JP2004202021A - 歯ブラシ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数本の刷毛12を束ねた毛束11を平線14によって二つ折りにして打ち込むことにより植毛穴13に固定した歯ブラシにおいて、植毛される刷毛断面の最大幅をd、該最大幅dの中点位置を刷毛の中心Cとするとき、平線14から最も離れた刷毛12の中心Cと平線14との距離LがL≦1.5×dの範囲となるようにした。また、植毛穴13に固定された刷毛12が平線14に沿って一列に並ぶようにした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、刷毛の抜け強度の向上、ヘッド部の薄肉化を図るとともに、操作性、歯間進入性、外観差別性、歯垢除去性に優れた歯ブラシに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の歯ブラシは、歯ブラシヘッドの植毛面に1.0mm以上の間隔で形成された植毛穴に平線と呼ばれる止め具を用いて刷毛を二つ折りに打ち込むことにより、植毛穴1穴当たり16〜60本、折り返しで32〜120本程度の太い毛束を固定していた。一方、特許文献1には、1.0mm以内の植毛間隔で毛束を配置したものは、歯茎のマッサージ効果において優れることが示されている。
【0003】
一般に、歯ブラシにおいて毛束を太くすることは、毛腰強度の向上、植毛穴数の低減化につながるため、生産効率の向上につながる。そのため、インモールド法などの植毛技術を用いて大きな毛束を植毛する方法が種々開発され、実用化されている。
【0004】
一方、毛束を小さくしたもの(例えば、特許文献2参照)や、毛束としないで1本植毛するもの(例えば、特許文献3参照)なども提案されている。特に、特許文献3に示された1本植毛は、刷毛本来の特徴は引き出せるものの、毛束としての強度がないため、耐久性が不足し、毛の開きやヘタリが早くなり、その使用性に問題が残る。また、この1本植毛は、刷毛1本1本の特徴を引き出せる点で特長を有するが、その一方で、新しい植毛方式のために設備費や広大な設置場所を必要とするとともに、厳格な品質管理も必要とすることから、近時それほど利用されなくなってきている。
【0005】
口腔衛生面から見ると、太い毛束を有する歯ブラシは、口腔疾患好発部位とされる歯頸部、歯間部、咬合面の小窩裂溝部などに刷毛先が届きにくく、磨き残しが発生しやすいため、口腔疾患予防上課題が残されている。これは、毛束による歯面刷掃効果を発揮する一方で、毛束同士がブラッシング圧力を支え合ってしまうため、刷毛単体が持つ本来のしなやかな動きが発揮できず、歯間部や歯間三角などの口腔疾患好発部位とされる小さな部位に毛先が届きにくくなるためである。さらに、毛束が太いため、毛束が硬くなりがちで、口腔粘膜に対する刺激も大きい。また、毛束間の間隔が広いため、外観差別性も低く、新奇性にも乏しいため、ヘッドの形状、ハンドル形状、色などを工夫することにより、製品の差別化を図っているのが現状である。
【0006】
一方、植毛穴の形状に関しては、特許文献4に、楕円形をした植毛穴の短軸方向に平線を打ち込んだ歯ブラシが示されている。特許文献5には、長円形断面の植毛穴に断面矩形状の刷毛を植毛した歯ブラシが示されている。また、特許文献6および特許文献7には長方形状の植毛穴を用いた歯ブラシが示され、特許文献8には植毛穴の間隔を0.2〜0.4mmまで狭めた歯ブラシも示されている。
【0007】
特許文献9には、植毛面にその向きを異ならしめた長孔を形成し、この向きの異なる長孔に毛束を平線で植毛した歯ブラシが示されているが、刷毛の断面積を規定する記載はない。また、特許文献10〜12には、断面が楕円形状の毛束の長軸方向を歯ブラシヘッドの長軸方向や短軸方向に沿わせた歯ブラシが示されている。また、最近になって、新たな植毛法として特許文献13に見られるようなリボン状タフトを用いたり、特許文献14に見られるような2本植毛なども提案されている。
【0008】
以上、従来公知の技術について述べたが、いずれの場合も本発明のように毛束を構成する刷毛を平線に沿って1列に並ぶように配列して植毛した歯ブラシ構造については何ら開示されていない。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−300344号公報
【特許文献2】
特開2000−342334号公報
【特許文献3】
特表平11−500946号公報
【特許文献4】
特開平8−332115号公報
【特許文献5】
特開平11−318565号公報
【特許文献6】
特開2000−201739号公報
【特許文献7】
特開平11−290133号公報
【特許文献8】
特開平11−113634号公報
【特許文献9】
特開2002−10834号公報
【特許文献10】
登録実用新案第2549935号公報
【特許文献11】
特開平10−327930号公報
【特許文献12】
特開平10−327931号公報
【特許文献13】
国際公開第99/42019号パンフレット
【特許文献14】
国際公開第99/62371号パンフレット
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
平線で毛束を二つ折りにして植毛する平線植毛の場合、植毛穴の大きさと穴間隔は、植毛のしやすさから、大きめの植毛穴、広めの間隔として設計するのが一般的である。太い毛束を二つ折りにして固定するには、少なくとも毛束と平線高さの合計長さ以上の歯ブラシヘッドの厚みが必要である。このため、ヘッド部が厚くなりがちで、操作性に劣る点も指摘されている。また、太い毛束の場合、毛束を固定するための平線の長さも必然的に長くなり、それに応じて毛束間隔も広くならざるを得なかった。
【0011】
太い毛束は、刷掃実感が向上するが、一方では歯間への進入性が低下するため、う蝕好発部位の清掃性は低下する。さらに、近年増加している歯肉の退縮している人にとっては、硬い歯ブラシによるブラッシングは楔状欠損を助長させるため、毛腰の柔らかい歯ブラシのほうが望ましい。
【0012】
また、前記特許文献3に示された1本植毛では、刷毛単体の特性が効果的に発揮されるため、磨き心地、歯肉への当たり心地が向上し、さらにヘッド部も薄肉化が可能である。しかし、その反面、毛束としての剛性がないため、毛腰が弱く、刷掃力の点で十分ではない。
【0013】
刷掃効果の高い太い毛束と、狭いう蝕好発部位の清掃に適した1本植毛とを組み合わせた歯ブラシも従来技術を応用すれば製造可能であるが、歯ブラシとしての新奇性がない。
【0014】
このように、従来の歯ブラシは、刷掃効果、う蝕好発部位の清掃、耐久性のすべてを同時に十分に満足できるものがないのが現状である。
【0015】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、平線式植毛を利用した歯ブラシにおいて、1本植毛に近い外観差別性と使用感を有し、低コストで、しかも毛抜け強度の向上、ヘッド部の薄肉化を図るとともに、歯ブラシの操作性、歯間進入性、歯垢除去機能に優れた歯ブラシを提供することを課題とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、複数本の刷毛を束ねた毛束を平線によって二つ折りにして打ち込むことにより植毛穴に固定した歯ブラシにおいて、植毛される刷毛断面の最大幅をd、該最大幅dの中点位置を刷毛の中心Cとするとき、平線から最も離れた刷毛の中心Cと平線との距離LをL≦1.5×dの範囲としたものである。さらに、植毛穴に固定された刷毛が平線に沿って一列に並ぶように構成したものである。このとき、一列に並んだ刷毛列は、複数本の刷毛から構成されており、刷毛列の長さは、好ましくは0.5〜5.0mm、より好ましくは1.0〜2.0mmである。このような構成とすることにより、毛束でありながら1本植毛に近い外観差別性と使用感を与えることができ、低コストで、しかも毛抜け強度の向上、ヘッド部の薄肉化を図ることができるとともに、歯ブラシの操作性、歯間進入性、歯垢除去機能に優れた歯ブラシとすることができる。
【0017】
実際の植毛に際しては、ハンドル成形時の樹脂の収縮、ハンドルの材質、射出成形条件(温度、圧力、冷却条件)、植毛穴形状、植毛本数、刷毛断面形状、刷毛種類、刷毛材質、植毛機種、ピッカー形状、植毛速度など、様々な因子によりバラツキが発生する。そこで、これらのバラツキを考慮して種々実験を重ねた結果、L≦1.5×dの範囲とすれば上記目的とする効果をさらに確実に得られることを突き止めたものである。L>1.5×dの場合、刷毛が植毛穴内で2列以上に並ぶ可能性があり、歯間進入性、外観差別性などの効果が期待できない。また、刷毛が一列に並ぶ場合であっても、L>1.5×dの場合には、平線と刷毛の隙間が広くなり、毛立ちが悪くなる。
【0018】
また、上記植毛に際し、植毛穴に対する毛束のパッキングファクター(PF)を40%以上とすれば、上記効果をより一層発揮させることができる。パッキングファクターとは、植毛穴の穴断面積に対する植設される毛束の刷毛断面積の総和の比率を百分率で表したものである。パッキングファクターが40%よりも低いと毛立ちが悪くなり、耐久性、歯垢除去機能が低下する。パッキングファクターが100%近くになると刷毛同士が重なり合って平線に沿って一列に並べなくなり、毛立ちが悪くなるとともに、刷毛折れや引っ張り強度の低下につながるおそれがある。したがって、パッキングファクターの上限は、植毛穴と毛束および平線の仕様に応じて決定することが望ましい。
【0019】
なお、本発明にいう平線とは、植毛穴に刷毛を二つ折りにして打ち込んで固定する際に用いられる止め具全般を指すものであり、名称の違いや材質、形状などによって限定を受けるものではない。また、植毛した刷毛が平線に沿って一列に並ぶように構成する植毛穴は、ヘッド部に形成されたすべての植毛穴について行ってもよいし、一部の植毛穴だけに適用してもよいものである。歯ブラシの仕様に応じて決定すればよい。
【0020】
本発明の場合、植毛穴の穴形状に制限はなく、通常の円形でもよいが、平線に沿って刷毛を一列に並べる必要上から、正方形または長方形、長円形(小判形)、楕円形、角に丸みの付いた略正方形または略長方形など、穴形状に方向性を有する形状とする方が好ましい。また、その方向を組み合わせることによって、目的とする歯間進入性、毛の当たり心地、刷掃実感に応じた仕様の設計が可能である。平線は、これら穴形状からなる植毛穴の長辺または長軸に沿って平行に打ち込む方式とするのがより好ましい。短辺または短軸に沿って平行に打ち込む方法も可能である。
【0021】
本発明のように刷毛を平線に沿って一列に並べて植毛した場合、刷毛は一列に並んだ状態で折り返されるため、1本植毛並の外観差別性を与えることができる。また、歯間進入性も高まり、狭いう蝕好発部位にも一列の剛性を有する毛束によって効果的に進入することができ、このような部位の歯垢もしっかりと除去することができる。さらに、刷毛の1本1本を平線が直接止めているため、1本毛抜け強度は従来品よりも飛躍的に向上するとともに、バラツキも少なくなり、歯ブラシとしての品質が向上する。
【0022】
植毛穴の配置は特に制限はないが、歯間進入性を向上させるためには、歯ブラシヘッドの外周部の植毛穴に沿って、平線を歯ブラシハンドル長手方向に対してほぼ直角に近い角度で打ち込んだものが好ましい。一方、歯肉へのマッサージ効果などを出すためには、歯ブラシハンドル長手方向と平行に植毛穴の長軸を配し、平線を植毛穴の長軸と平行に打ち込んだものが好ましい。また、刷掃実感やデザイン、生産性などの面から、ヘッド部中央付近に従来の太い毛束を組み合わせるようにすることが好ましい。植毛穴に植毛する刷毛の本数、太さ、長さ、色に制限はない。
【0023】
使用する平線の材質、太さに制限はないが、植毛穴の面積を調節するためには厚みの異なる平線を使用することが好ましい。また、溝付き平線など、切断断面が矩形にならない平線類も用途に応じて仕様することができる。
【0024】
植毛穴の長軸方向に平線を打ち込む際は、平線に沿って刷毛が並ぶため、植毛強度(1本毛抜け強度)が向上する。また、平線の打ち込み方向によってヘッド部最外側の毛束が細く見えるようになるので、外観差別性を向上させることができる。この際の植毛穴形状は、毛束と植毛穴との隙間を減らすために、長方形もしくは略長方形が望ましい。
【0025】
本発明の歯ブラシで使用する平線の材質は、真鍮、ステンレスなどの金属の他、生分解性プラスチックを初め、硬質プラスチックなども使用可能である。植毛穴と毛束とを確実に固定して空隙を少なくするために、平線の厚みを変えて空隙を調整することもできる。使用する平線の厚みや幅には特に制限はなく、任意に設定することができる。
【0026】
歯ブラシヘッド部を含む歯ブラシハンドル材料としては、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、セルロースプロピオネート樹脂(CP)、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、飽和ポリエステル樹脂(PCTA)などが単独または混合して用いられる。また、熱可塑性エラストマー類と組み合わせた多色成形ハンドルとすることも可能であり、ハンドル材料は上記記載の制限を受けない。また、歯ブラシヘッド部の形状、大きさ、デザインも特に制限はない。
【0027】
毛束を構成する刷毛(フィラメント)の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12などのポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、およびポリフッ化ビニリデンなどのポリハロゲン化ビニルなどの溶融紡糸可能な素材が使用されるが、使用感、耐久性などの点で、ナイロン、ポリトリメチレンテレフタレートが好ましい。また、これらの刷毛を二重芯鞘状に成形し、外側と内側の材質の異なる刷毛としたり、表面状態の異なる刷毛などを目的に応じて使用することができる。
【0028】
刷毛の太さとしては、3〜10ミル(0.076〜0.254mm)、好ましくは5〜8ミル(0.125〜0.203mm)ものがよい。さらに、使用性、刷掃実感、清掃効果、耐久性などを考慮して、これらを組み合わせて利用することもできる。特に、多数穴を配置した仕様の場合、ヘッド部外側の毛束より中央に向かうほど刷毛の強度を硬くし、または変化(太さ、材質、長さ、色、断面形状)させることは、使用感、外観差別性の上からも好ましい。
【0029】
刷毛の種類も何ら制限はないが、例えば、通常のラウンド用毛、テーパー用毛、ダイヤモンド用毛、フェザー用毛、異形断面用毛、グレイニー用毛、スパイラルキャッチ用毛、インジケータ用毛などを利用することができる。
【0030】
刷毛のプロファイルリングに関しては、自由端部の毛切り形状と刷毛長を目的に応じて設定し、単一平面状、山切り状、凹凸形状としたり、さらには外側と内側、先端部側と後端部側などで異なった構成としてもよい。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1に本発明の第1の実施の形態を示す。(a)は平線を用いて植毛された毛束の模式斜視図、(b)はその模式拡大平面図、(c)は毛束を構成する刷毛の断面図である。
【0032】
この第1の実施の形態は、毛束11を円形断面からなる刷毛12によって構成するとともに、植毛穴13として長方形状の植毛穴を採用し、毛束11を平線14によって植毛穴13の長辺方向に沿って二つ折りに打ち込むことにより、各刷毛12が平線14に沿って一列に並ぶように植毛したものである。そして、この植毛に際し、毛束11を構成する刷毛12の刷毛断面の最大幅をd、該最大幅dの中点位置を刷毛の中心Cとするとき、平線14から最も離れた刷毛12の中心Cと平線14との距離L(図1ではすべての刷毛が平線から等距離)が、L≦1.5×dの範囲、さらに、植毛穴13に対する毛束11のパッキングファクターが40%以上となるように、刷毛12の直径と本数、植毛穴13の長辺と短辺の長さ、平線14の厚さなどを設定したものである。
【0033】
このような構成とした場合、刷毛12が平線14に沿って一列に並んでいるので、1本植毛に近い外観差別性と使用感を与えることができる。また、低コストで、毛抜け強度も向上するとともに、歯ブラシの操作性、歯間進入性、歯垢除去機能も優れたものとなる。さらに、各刷毛12は1本毎に2つ折りに植毛されるので、植毛穴13内で複数本の刷毛がヘッド部上下方向に重なって嵩高くなるようなこともないので、ヘッド部の上下方向の厚さも薄くすることができる。
【0034】
図2に本発明の第2の実施の形態を示す。
この第2の実施の形態は、前記第1の実施の形態と同様な構成において、刷毛12として星形断面になる刷毛を用いた場合の例である。星形断面の刷毛12を用いた場合、刷毛断面の最大幅dと刷毛の中心Cは、(b)に示すような位置となる。また、(a)に示すように、星形断面になる刷毛12のすべてが平線14に接せず、その一部が平線14から浮いているような場合には、平線14から最も離れた刷毛12の中心Cと平線14との距離LがL≦1.5×dの範囲となるように設定する。
【0035】
図3に本発明の第3の実施の形態を示す。
この第3の実施の形態は、前記第1の実施の形態と同様な構成において、刷毛12として八角形断面の刷毛を用いた場合の例である。八角形断面の刷毛12を用いた場合、刷毛断面の最大幅dと刷毛の中心Cは、(b)に示すような位置となる。
【0036】
図4に本発明を適用して構成した歯ブラシの一例を示す。(a)はヘッド部に形成された植毛穴の形状とその配置パターンを示す図、(b)(c)は従来形式で植毛された毛束部分の略示拡大平面図とその断面図、(d)(e)は本発明形式で植毛された毛束部分の略示拡大平面図とその断面図である。
【0037】
この図4の例は、(a)に示すように、ヘッド部15の植毛面中央部付近に円形状の植毛穴16を配置するとともに、植毛面外周部には、前記円形状の植毛穴16を囲むように、長方形状の植毛穴13をその長辺が歯ブラシハンドルの長手方向と直行する向きに配置し、さらに、中央付近の円形状の植毛穴16には、(b)(c)に示すように、複数本の刷毛17を平線18によって従来形式で二つ折りに植毛するとともに、外周部の長方形状の植毛穴13には、(d)(e)に示すように、複数本の刷毛12を平線14に沿って一列に並ぶように本発明形式で植毛したものである。このように、ヘッド部中央付近に従来形式の毛束を植毛し、その周りを取り囲むように本発明形式の毛束を配置すれば、刷掃実感や外観差別性の上からより好ましいものとなる。
【0038】
(実験例)
本発明の歯ブラシと従来の歯ブラシを用いて植毛強度の測定と官能評価を行った。その結果を以下に示す。
【0039】
1.植毛強度(1本毛抜け強度)
植毛穴に植毛されている刷毛1本を専用器具でつかみ、刷毛が植毛穴から抜けるまでの最大引っ張り応力を測定した。その結果を表1に示す。表から明らかなように、本発明品は従来品に比べて植毛強度(1本毛抜け強度)が格段に向上することが確認された。なお、測定機器は、島津製作所製オートグラフ(引っ張り速度20mm/分)を用いた。
【0040】
【表1】
【0041】
2.植毛穴深さの違いによる植毛強度(1本毛抜け強度)
深さの異なる植毛穴に植毛されている刷毛1本を専用器具でつかみ、刷毛が植毛穴から抜けるまでの最大引っ張り応力を測定した。その結果を表2に示す。表から明らかなように、本発明品は従来品に比べて1本毛抜け強度(対深さ)が格段に向上することが確認された。従来品は植毛穴が浅いと刷毛が抜けやすいといった不具合があったが、本発明品は浅い場合でも刷毛が抜けにくく、優れた品質を有する。なお、測定機器は表1と同じものを用いた。
【0042】
【表2】
【0043】
3.官能評価
図5〜図8に示す植毛穴形状と配置パターンからなる本発明の歯ブラシと、図9および図10に示す植毛穴形状と配置パターンからなる従来の歯ブラシを用いて、パネラー20名による官能評価試験を行った。その結果を表3に示す。表から明らかなように、本発明品は、歯肉マッサージ効果、歯間進入性、刷掃実感のすべてを同時に満足できることが証明された。なお、各図において、符号13で示す植毛穴が前述した本発明形式で刷毛を植毛穴、符号16で示す植毛穴が従来形式で刷毛を植毛した植毛穴である。図面を分かりやすくするため、各植毛穴に植毛されている刷毛については図示を略した。
【0044】
【表3】
【0045】
なお、上記官能評価の評価基準は次によった。
1.歯肉マッサージの評価
○:歯肉のマッサージ感が高い
△:どちらとも言えない
×:歯肉のマッサージ感が低い
2.歯間進入性の評価
○:歯間進入性がよい
△:どちらとも言えない
×:歯間進入性が劣る
3.刷掃実感の評価
○:刷掃実感が高い
△:どちらとも言えない
×:刷掃実感が低い
4.総合評価
○:良好
△:どちらとも言えない
×:劣る
【0046】
図11に、本発明で用いる刷毛12の断面形状の例をいくつか示す。(a)は円形断面の例、(b)は四角形断面の例、(c)は菊花形断面の例、(d)は楕円形断面の例、(e)は長方形断面の例、(f)は菱形断面の例、(g)は短冊形断面の例、(h)は光芒形断面の例である。各刷毛断面において、刷毛断面の最大幅dと刷毛の中心Cは、それぞれ図中に示すような位置となる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、平線を用いて二つ折りに植毛された刷毛が植毛穴内で平線に沿って一列に並ぶように構成したので、平線式植毛を利用した歯ブラシにおいて1本植毛に近い外観差別性と使用感を与えることができる。また、低コストで、しかも毛抜け強度の向上とヘッド部の薄肉化を図ることができるとともに、歯ブラシの操作性、歯間進入性、歯垢除去機能の優れた歯ブラシとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すもので、(a)は平線を用いて植毛された毛束の模式斜視図、(b)はその模式拡大平面図、(c)は毛束を構成する刷毛の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示すもので、(a)は平線を用いて植毛された植毛穴部分の模式平面図、(b)は毛束を構成する刷毛の断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態を示すもので、(a)は平線を用いて植毛された植毛穴部分の模式拡大平面図、(b)は毛束を構成する刷毛の断面図である。
【図4】本発明を適用して構成した歯ブラシを示すもので、(a)はヘッド部に形成された植毛穴の形状とその配置パターンを示す図、(b)は従来形式で植毛された植毛穴部分の略示拡大平面図、(c)は従来形式で植毛された植毛穴部分の略示拡大断面図、(d)は本発明形式で植毛された植毛穴部分の略示拡大平面図、(e)は本発明形式で植毛された植毛穴部分の略示拡大断面図である。
【図5】官能評価試験に用いた本発明の歯ブラシの第1の実施例(本発明品1)を示すもので、(a)はヘッド部の略示平面図、(b)は植毛穴と平線の向きを示す略示平面図である。
【図6】官能評価試験に用いた本発明の歯ブラシの第2の実施例(本発明品2)を示すもので、(a)はヘッド部の略示平面図、(b)は植毛穴と平線の向きを示す略示平面図である。
【図7】官能評価試験に用いた本発明の歯ブラシの第3の実施例(本発明品3)を示すもので、(a)はヘッド部の略示平面図、(b)は植毛穴と平線の向きを示す略示平面図である。
【図8】官能評価試験に用いた本発明の歯ブラシの第4の実施例(本発明品4)を示すもので、(a)はヘッド部の略示平面図、(b)は植毛穴と平線の向きを示す略示平面図である。
【図9】官能評価試験に用いた従来の歯ブラシの第1の例(従来品1)を示すもので、(a)はヘッド部の略示平面図、(b)は植毛穴と平線の向きを示す略示平面図である。
【図10】官能評価試験に用いた従来の歯ブラシの第2の例(従来品2)を示すもので、(a)はヘッド部の略示平面図、(b)は植毛穴と平線の向きを示す略示平面図である。
【図11】(a)〜(h)は、それぞれ本発明で用いる刷毛の断面形状の例を示す図である。
【符号の説明】
11 毛束
12 刷毛
13 植毛穴
14 平線
15 ヘッド部
16 植毛穴(従来形式)
17 刷毛(従来形式)
18 平線(従来形式)
Claims (2)
- 複数本の刷毛を束ねた毛束を平線によって二つ折りにして打ち込むことにより植毛穴に固定した歯ブラシにおいて、植毛される刷毛断面の最大幅をd、該最大幅dの中点位置を刷毛の中心Cとするとき、平線から最も離れた刷毛の中心Cと平線との距離LがL≦1.5×dの範囲であることを特徴とする歯ブラシ。
- 植毛穴に固定された刷毛が平線に沿って一列に並んでいることを特徴とする請求項1記載の歯ブラシ。
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