JP2004203430A - 長尺材の巻体簡易包装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数が削減できると共に、構造を簡略化することができ、軽量化と低コスト化を図ることができ、しかも巻崩れが確実に防止できる長尺材の巻体簡易包装体を提供する。
【解決手段】包装体(10)は、面ファスナー(11)の巻体(12)の少なくとも一端面を板状の規制部材(13,14) の当接面の少なくとも一部に粘着層及び/又は接着層(15)を有している。粘着層及び/又は接着層(15)を介して規制部材(13,14) の当接面と前記長尺材(11)の側面とが剥離可能に粘着又は接着一体化する。面ファスナー(11)の巻付開始端から巻付終了端にわたって面ファスナー(11)の渦巻き状の安定した巻付形態が保持される。
【選択図】図1
【解決手段】包装体(10)は、面ファスナー(11)の巻体(12)の少なくとも一端面を板状の規制部材(13,14) の当接面の少なくとも一部に粘着層及び/又は接着層(15)を有している。粘着層及び/又は接着層(15)を介して規制部材(13,14) の当接面と前記長尺材(11)の側面とが剥離可能に粘着又は接着一体化する。面ファスナー(11)の巻付開始端から巻付終了端にわたって面ファスナー(11)の渦巻き状の安定した巻付形態が保持される。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファスナーチェーン、ファスナーテープ等の各種の長尺材を巻付けた状態で包装するための長尺材の巻体簡易包装体に係わり、更に詳しくは、部品点数の削減、構造の簡略化、軽量化と低コスト化、倉庫保管時や輸送時の巻崩れの防止を図った長尺材の巻体簡易包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、面ファスナー等の長尺材用巻枠は、強靱性を有する紙、段ボール紙、或いは合成樹脂などにより構成され、円筒状胴部の外周に長尺材が巻き付いており、この包装形態を保持して整理保管したり、或いは搬送したりする。
図5は長尺材用巻枠の一例を示している。図示例による巻枠1は、円筒状胴部2の一端部に第1の円板状フランジ部3を同心上に固設している。この円筒状胴部2を面ファスナー11の巻付終端部と巻上り周面とが適当な固着手段を介して互いに剥離可能に接合された巻体12の中心空洞部に嵌挿する。この嵌挿後、第2の円板状フランジ部4の中央部に形成された円筒状嵌入口4aを前記円筒状胴部2の外周に嵌め込んでから、上端縁に環状フランジ5bを有するキャップ5の筒状キャップ本体5aを、前記円筒状胴部2の筒内に密嵌的に嵌挿して固定する。
【0003】
この従来の巻枠1は、倉庫保管時や輸送時において、対向する一対の円板状フランジ部3,4を規制部材として面ファスナー11の巻付形態を保持すると共に、面ファスナー11の汚れや損傷を防止するようにしている。なお、この巻枠1は使用後に廃棄ゴミとして処理されるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の上記面ファスナー巻付用巻枠1は、円筒状胴部2の両端部に固定される一対の円板状フランジ部3,4のうち一方の円板状フランジ部4をキャップ5を介して円筒状胴部2の外周縁部に取り付けると共に、面ファスナー11の巻付終端部と面ファスナー11の巻上り周面とを互いに剥離可能に接合することにより、円筒状胴部2の周面に巻き付けられた面ファスナー11の巻付形態を安定して保持しようとしている。
【0005】
しかしながら、面ファスナー11の巻付終了端と面ファスナー11の巻上り周面との間の接合力や円筒状胴部2とキャップ5との間の嵌着力によって長尺な面ファスナー11の巻体12の形態を保持しようとしているため、例えば倉庫保管時に山積み状態に積み重ねて保管する場合、面ファスナー11の巻付終了端の接合が解かれたり、或いはキャップ5が外れて荷崩れが発生しやすい。
【0006】
また、例えば車両により、巻枠1に巻き付けられた面ファスナー11を山積み状態に積載して輸送する場合、面ファスナー11の巻体12が車両の制動時や始動時又は加速時による床の振動によって局部的な緩みを繰り返して発生すると、面ファスナー11の巻崩れを起こし、輸送中に面ファスナー11に変形、損傷等が発生する。また、上述のような円板状フランジ部4を上記キャップ5により固定しようとすると、円板状フランジ部4とキャップ5の環状フランジ5bとの間に段差が生じるため、巻枠1に巻き付けられた面ファスナー11を積み重ねると、その姿勢が不安定となり、また積み重ねたときに、前記段差によって隙間が発生するため、その隙間が生じる分だけ積載効率を低下させることとなる。
【0007】
一般に、この種の巻枠は、上述のごとく強靱な紙、段ボール紙、或いは合成樹脂などの材料からなり、中心に円筒状胴部を有し、その胴部の両端に一対の円板状フランジ部をキャップなどを使って平行に対向して取り付けたものであり、その構成部品が多い。このため、必然的に材料費や製作コストが高くなるばかりでなく、使用後に廃棄処理されるため、経済性の点から極めて好ましくない。しかも、部品点数が多いため、廃棄物として廃棄する量が増大し、廃棄処理にあたってもその処理能力が求められる。
【0008】
近年、面ファスナーを販売するにあたり、前述の巻枠に面ファスナーを巻き取って円板状フランジ部により包装する形態を採用して出荷されることが極めて多くなってきている。そのため、包装体を構成する部品点数を減らすことにより材料費を低減すると共に、それを低コストで生産すること、使用後に廃棄処理を容易にするために部品点数を減らすことが強く要望されている。
【0009】
本発明は、こうした従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、部品点数が削減できると共に、構造を簡略化することができ、軽量化と低コスト化を図ることができ、しかも巻崩れが確実に防止できる長尺材の巻体簡易包装体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
本件請求項1に係る発明は、長尺材の巻体の端面に当接し、同巻体の巻付形態を保持するためのシート状規制部材を有する巻体の簡易包装体であって、前記規制部材は前記巻体の少なくとも一端面に当接して配され、前記規制部材の当接面の少なくとも一部に、長尺材の側面と剥離可能な粘着層及び/又は接着層を有してなることを特徴とする長尺材の巻体簡易包装体にある。
【0011】
本発明は、胴部の両端にフランジ部を固定する従来から広く知られた周知の巻枠構造を有する包装体とは大きく異なり、長尺材の巻体の少なくとも一端面を、同巻体の巻付形態を保持するシート状規制部材に粘着又は接着させる簡易な包装形態とすることを特徴としている。つまり、前記規制部材の当接面の少なくとも一部に設けられた剥離可能な粘着層及び/又は接着層を介して、巻体とされた長尺材の側面が前記規制部材から巻き出し可能に粘着又は接着一体化されている。
【0012】
前記規制部材は、長尺材の幅、厚み、材質や巻量等に応じて前記巻体の一端面或いは両端面に当接して配する。前記規制部材を前記巻体の両端面に当接して配する場合は、前記巻体の巻形態の保持力を更に一層向上させることができる。ここで、長尺材として、柔軟性と可撓性を有する面ファスナーやファスナーテープ、装飾用テープなどの各種テープ類、ファスナーチェーンやファスナーストリンガーなどのスライドファスナー材料、ベルトやバンド、樹脂テープなどが挙げられる。
【0013】
上記構成によると、前記規制部材の当接面に塗布された粘着剤及び/又は接着剤により、その規制部材自体の剛性や巻体の巻形態の保持力が確保され、例えば倉庫保管時や輸送時に、巻形態の保持力が弱くなり、巻形態が変動して荷崩れや巻崩れを起こすことがない。従って、長尺材の巻付形態が安定化し、長期間にわたって長尺材の品質が保証できるようになる。
【0014】
本発明によれば、上記構成を備えることにより、この種の包装体の材料費や製造費等の低減、部品点数の削減が望まれている状況下にあって、従来のごとく前記胴部と前記規制部材とを強固に固定一体化しておくことが不要となるため、包装体の構造を簡略化することができ、同時に包装体の軽量化や小型化をも達成し得る。その包装体の軽量化や小型化に伴って持運び作業を容易に行うことができるようになり、しかも倉庫保管時や輸送時において広い設置場所を確保する必要がない。また、包装体の構成部品を少なくすることができるようになり、その材料費や製作費等が低減できることと相まって、使用後に廃棄ゴミとして処理される包装体の廃棄量を減少させることができ、包装材の廃棄処理が極めて容易となる。
【0015】
請求項2に係る発明は、前記巻体の中心部に胴部を有し、前記規制部材が前記巻体の少なくとも一端面に当接して配されていることを特徴としている。
この発明は、例えば胴部に長尺材を巻き付けた巻体の片端面又は両端面に剥離可能な粘着層又は接着層を介して規制部材を粘着又は接着させる。いずれの場合にも、予め規制部材の巻体との粘着面又は接着面に剥離可能な粘着層又は接着層を塗布しておき、規制部材を前記巻体の端面に接合する。この巻体を山積み状態に積載して倉庫内に保管したり、或いは輸送する場合、巻体の積載面が平面状をなしていることが安定した積み上げ姿勢を維持できるため、前記胴部の周端縁と前記巻体の両端面とを略同一平面上に配することが好ましく、例えば前記胴部の幅は前記巻体の中心空洞部よりも小さい寸法に設定することが好適である。
【0016】
上記粘着剤及び/又は接着剤による固定に加えて、前記巻体の中心空洞部に胴部を有しているため、前記長尺材は局部的に屈曲した状態で固定されることがなく、過大な張力変動も避けることができる。そのため、前記胴部の周面に固定された長尺材の巻付開始端から巻付終了端にわたり、長尺材の渦巻き状の安定した巻付形態が保持され、スプールとしての使用時においても、巻き崩れの心配がない。
【0017】
請求項3に係る発明は、前記規制部材の同心円上に1以上の切断線が形成されていることを特徴としている。
前記規制部材は、請求項7に係る発明に挙げたとおり、紙、樹脂又はフィルム等からなるシート状部材からなる。この規制部材は、上記巻体との当接面であるシート面の径の異なる同心円上に複数本の切断線が形成されている。この切断線は、好ましくは長尺材の巻回中心を中心とする同心上に形成される、例えば円形状のミシン目を径方向に所要の間隔をもって形成する。
【0018】
前記長尺材を前記巻体から巻き出すごとに不要となる規制部材の外周縁部を前記切断線に沿って切除する。これにより、常時、長尺材の巻回中心からの距離を前記規制部材の外縁と略同一寸法に維持することができるようになり、前記長尺材の巻量が減少しても、前記規制部材の外縁一杯に巻いた状態を維持することができる。従って、前記長尺材の残量に合わせて前記規制部材の大きさを次第に小さくすることができ、前記長尺材の巻量にかかわらず、長尺材の巻崩れを充分に阻止することができると同時に、次回の巻き出しが容易となる。
【0019】
請求項4に係る発明は、前記粘着層及び/又は接着層が感圧接着剤からなることを特徴としている。
長尺材が溶剤型又は無溶剤型の粘着剤からなる感圧接着剤により規制部材に剥離可能に粘着されることが好ましい。上記巻体の端面に上記規制部材の接着剤表面を押圧することにより、前記長尺材との剥がれを防止して確実な接着(粘着)を図ることができる。水溶性粘着剤を使用することにより前記長尺材に付着した粘着剤を水で洗い落とすことができる。感圧接着剤として、従来公知の一般的な、例えば溶剤型のアクリル系感圧接着剤(商品名「マロンタック」、東亜合成株式会社製)、無溶剤型のホットメルト型ゴム系の感圧接着剤(商品名「ディスポメント」又は「デュロタック」、カネボウNSC株式会社製)、無溶剤型のエマルジョン型アクリル系の感圧接着剤(商品名「VONCOAT」、大日本インキ化学工業株式会社製)などを使用することができる。
【0020】
請求項5に係る発明は、前記粘着層及び/又は接着層の剥離粘着力が前記規制部材の外周縁から中心方向に向けて漸次高くしていることを特徴としている。
前記規制部材の外周縁やその近傍は弱接着(粘着)性であり、その中心方向に向けて漸次高い剥離粘着強さ(剥離強度)や高い粘着強さを有している。かかる構成とすることにより、長尺材の残量が残り少なくなり、巻径が小さくなると長尺材の弾性復帰により巻き形態がほどけやすくなるが、長尺材側面と規制部材との当接面積が少なくなったとき、強く粘着及び/又は接着させるようにすれば、その長尺材の巻付形態を安定化に維持することができる。
【0021】
請求項6に係る発明は、前記粘着層及び/又は接着層が前記長尺材よりも低融点の熱活性接着剤からなることを特徴としている。
上記感圧接着剤に代えて、上記規制部材と前記長尺材とを熱活性接着層を介して剥離可能に接着することができる。熱活性接着剤の融点は前記長尺材の融点よりも低く設定される。熱活性接着剤として、従来公知の一般的な、例えば飽和共重合ポリエステル系樹脂(商品名「バイロン」、東洋紡績株式会社製)、ナイロン12系樹脂(商品名「ダイアミド」、ダイセルヒュルツ社製)などが使用できる。
【0022】
熱活性接着剤の融点以上で、且つ長尺材の融点よりも低い温度で加熱すると、熱活性接着剤は溶け出す。この溶け出す直前の軟化状態にあれば、長尺材のみを円滑に且つ比較的に小さい力で剥がすことができ、同長尺材を上記規制部材から剥がす場合の作業性を向上させることができる。また、この加熱を止め、冷却すると元の硬さに戻る。
【0023】
請求項7に係る発明は、前記規制部材が紙、樹脂シート又はフィルムからなることを特徴としている。
前記規制部材は、上述のように前記規制部材の当接面に塗布された粘着剤及び/又は接着剤によって剛性を高めることができると共に、巻体の保持強度を向上させることができ、しかも上記長尺材を上記規制部材から剥がすとき、同規制部材を補強する粘着性をもつ粘着剤や接着剤を使用することにより、同規制部材を比較的裂断しやすく廉価な紙、樹脂シート又はフィルムの材質により形成することができるようになる。
【0024】
請求項8に係る発明は、前記規制部材の板厚が0.01mm〜3mmであることを特徴としている。
上記長尺材の巻付形態保持性や前記規制部材の剛性や強度を有効に発揮させるために、同規制部材の板厚を規定しており、その板厚は規制部材の材質又は長尺材の違いにより0.01mm〜3mmとすることができる。好ましくは、0.05mm〜0.5mmの板厚が特に有効である。板厚を0.01mmよりも小さくすると、材質によっては前記長尺材を確実に保持することができなくなり、所要の巻付形態の保持機能、固定機能、巻き出し機能等が発揮されない。板厚が3mmを越えると、剛性、強度が増大し、耐久性を向上させることができるものの、重量が重くなるばかりでなく、前記規制部材の板厚が不必要に厚くなって不経済であり、大型化もするため、実用的には馴染まない。また更に、規制部材の剛性が増大するため、規制部材と巻体の剥離力が弱くなる。そのため、より適度な柔軟性をもった規制部材であることが好ましく、0.05mm〜0.5mmがより好ましい。
【0025】
請求項9に係る発明は、前記長尺材がテープ状基材の一表面に多数の係合素子を有する面ファスナーであることを特徴としている。
本発明は、上述のように各種テープ類、スライドファスナー材料、ベルトやバンド、樹脂テープなどの巻体の簡易包装体として好適に使用できるものであるが、例えば各種テープ類としての面ファスナーは、多数の係合素子を有するテープ状基材の表面を巻回中心に向けた巻付形態をもって、上述のごとく前記規制部材から巻き出し可能に粘着又は接着させることが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基いて具体的に説明する。
図1は本発明の代表的な第1の実施形態である長尺材用巻体簡易包装体の一例を概略的に示す概略構成図である。なお、本実施形態では、面ファスナー用の巻体簡易包装体を例に挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば柔軟性と可撓性を有するファスナーテープ、装飾用テープなどの各種テープ類、ファスナーチェーンやファスナーストリンガーなどのスライドファスナー材料、ベルトやバンド、樹脂テープなどの巻体の簡易包装体にも効果的に使用できる。
【0027】
図1において、本実施形態の面ファスナー用の簡易な包装体10は、長尺材の巻体12の中心空洞部に胴部(コア)16を有し、その胴部16の両端に平行に対向して配されるシート状の規制部材である一対のフランジ部13,14により構成されている。これらの胴部16やフランジ部13,14は、紙、段ボール紙、或いは合成樹脂などの材質からなり、それらは同一材質、或いは材質の異なるシート部材から構成されている。前記フランジ部13,14の中心部には、前記胴部16の外径に等しい内径を有する円形状嵌入口が形成されている。以上の包装体構成は、前記フランジ部13,14の一部構成を除くと、従来と実質的に変わるところがない。
【0028】
従来の巻枠構成は、図5に示して既述したとおり、面ファスナー11の巻付終了端と面ファスナー11の巻上り周面とを剥離可能に接着したのち、円筒状胴部2の両端部に固定される一対の円板状フランジ部3,4のうち一方の円板状フランジ部4をキャップ5を介して円筒状胴部2の外周縁部に取り付けることによって面ファスナー11を包装している。これに対して、本実施形態の円筒状胴部16と同胴部16の両端に配されるシート状フランジ部13,14とを使う点では、従来の胴部2やフランジ部3,4と外形上及び構造上で一部一致するものの、本実施形態ではフランジ部13,14の巻体12との当接面に、本発明の特徴的構成である粘着層及び/又は接着層15が形成されている(以下、単に接着層15という。)。
【0029】
この胴部16や一対のフランジ部13,14を使用して面ファスナー11を包装するには、一対のフランジ部13,14の面ファスナー11の巻体12との各接着面に予め前記接着層15を形成しておき、これを胴部16の周面に面ファスナー11が所定量巻き付けられた巻体12の両端面に接合して接着固定する。
【0030】
ここで、本実施形態において接着層とは、例えば温風等により加熱すると軟化状態になり、この加熱を止めて冷却すると元の硬さに戻る粘着性をもつ接着剤や粘着剤による接合層を含んでいる。また、面ファスナー11は、図示せぬ多数の係合素子を有するテープ状基材の表面を巻回中心に向けた巻付形態をもつ中心部に胴部16を有する巻体12とされており、同巻体12の側面が前記フランジ部13,14の当接面から巻き出し可能に接着される。
【0031】
本発明は、前記接着層15を介してフランジ部13,14の各当接面と面ファスナー11の側面とが剥離可能に固定一体化されることに重要な意義をもつ。本発明の重要な構成の一部をなす接着層15は、面ファスナー11の巻体12を巻き出し自在に固定するためだけではなく、前記フランジ部13,14に適当な剛性や強度を付与している。従って、従来のごとく円筒状胴部2にフランジ部3,4やキャップ5を介して巻体12を固定する必要はなく、その取扱いを簡便に且つ容易に行うことができるようにしている。倉庫保管時や輸送時には、面ファスナー11に必要な固定強度の他に巻付形態保持性能、巻き出し性能等が確保されると共に、前記フランジ部13,14の破損や面ファスナー11の汚れなどを防止することができる。
【0032】
本実施形態による接着層15の塗布形態としては、図2(a)に斜線で示すように、前記フランジ部13,14の外周縁部を残して前記巻体12の巻量に合致する当接面上に形成された接着剤表面がある。この他にも、図2(b)に示すように、前記フランジ部13,14の当接面上に散在する微小な円形面をなす接着層15が小面積に塗布されている。図2(b)に示す多数の接着層15は所望の間隔をもって散在して配されているが、各接着層15の周縁が互いに重畳する間隔をもって配してもよい。
【0033】
本実施形態では、図2(c)〜(e)に斜線で示すとおり、更に多様な塗布形態をもって接着剤表面を形成することができる。図2(c)に斜線で示す接着層15は、前記フランジ部13,14の中心にある嵌入口の一部を通る帯状の接着層15とそれに平行な多数の帯状の接着層15が所要の間隔をもって平行に形成されている。図2(d)に斜線で示す接着層15は、前記フランジ部13,14の当接面上に格子状に散在する四角形状の非接着剤表面を有している。このように、面ファスナー11の幅、厚み、材質や巻量などに応じて前記フランジ部13,14に必要な剛性や強度を付与している。前記フランジ部13,14の板厚を無用に厚く設定することなく、合理的な厚さに設定することができる。
【0034】
特に、図2(e)に斜線で示す接着層15はフランジ部13,14に所要数の切断線17,…,17が形成されている点、剥離接着力がフランジ部13,14の外周縁から中心方向に向けて漸次高くなるように設けている点が、図2(a)〜(d)に示す塗布形態とは大きく異なっている。図2(e)に破線で示す都合二本の円形状切断線17,17は、図示例に限定されるものではないが、常時、面ファスナー11の巻体12の巻回中心からの距離をフランジ部13,14の外縁と略同一寸法に維持することができるようにフランジ部13,14の径方向に所要の間隔をもって、フランジ部13,14の中心部(巻体12の巻回中心)を中心とする同心上に形成されている。
【0035】
かかる構成を備えることにより、前記巻体12から巻き出すごとに不要となるフランジ部13,14の外周縁部を切断線17に沿って切除し、巻体12の残量に合わせてフランジ部13,14の大きさを小さくする。巻体12の巻量が減少しても、常時、前記フランジ部13,14の外縁一杯に面ファスナー11を巻いた状態に維持することができる。このため、巻体12の巻量にかかわらず、面ファスナー11の巻崩れを充分に阻止することができると共に、次回の巻き出しが円滑に且つ確実に行える。
【0036】
更に、図2(e)に示すフランジ部13,14の外周縁やその近傍は、弱接着性をもって接着層15が形成され、そのフランジ部13,14の中心方向に向けて漸次高い剥離強度や高い粘着強さをもって接着層15が形成されている。ただし、面ファスナー11を巻き出すとき、各フランジ部13,14が不要に裂断しない粘着性をもつことが肝要である。これにより、長尺材の残量が残り少なくなり、面ファスナー11の側面とフランジ部13,14との当接面積が少なくなっても、強く粘着及び/又は接着し続けるため、面ファスナー11の巻付終了端から巻付開始端にわたり巻崩れを発生することなく、その面ファスナー11の巻付形態を安定して確保している。なお、接着層15の設定範囲、形状や配列ピッチなどは、前記フランジ部13,14の直径や厚み、面ファスナー11の幅、厚み、材質や巻量などにより適宜決定できるものであることは勿論である。
【0037】
各種の塗布形態をもって形成される接着層15は、従来から一般の、例えば溶剤型又は無溶剤型の粘着剤からなる感圧接着剤などを使用することができる。この感圧接着剤は、前記巻体12の端面にフランジ部13,14の接着剤表面を押圧することにより、面ファスナー11の剥がれを防止して確実に接着することができる。感圧接着剤として、例えば溶剤型のアクリル系感圧接着剤(東亜合成株式会社製の商品名「マロンタック」)、無溶剤型のホットメルト型ゴム系の感圧接着剤(カネボウNSC株式会社製の商品名「ディスポメント」又は「デュロタック」)、無溶剤型のエマルジョン型アクリル系の感圧接着剤(大日本インキ化学工業株式会社製の商品名「VONCOAT」)などを使用することができる。
【0038】
また、感圧接着剤に代えて、前記フランジ部13,14の当接面と面ファスナー11とを従来公知の一般的な熱活性接着剤を介して剥離可能に接着することができる。好ましくは、面ファスナー11よりも低融点の熱活性接着剤が特に望ましい。熱活性接着剤として、例えば飽和共重合ポリエステル系樹脂(東洋紡績株式会社製の商品名「バイロン」)、ナイロン12系樹脂(ダイセルヒュルツ社製の商品名「ダイアミド」)などが使用できる。例えば、熱活性接着剤の融点以上であって、面ファスナー11の融点よりも低い温度で加熱すると、熱活性接着剤は溶融する。この加熱を止めて冷却すると元の硬さに戻る。熱活性接着剤が溶融する直前の軟化状態で、面ファスナー11を容易に且つ比較的に小さい力をもってフランジ部13,14の当接面から剥がすことができる。従って、面ファスナー11を剥がす場合の作業性を向上させることができる。
【0039】
このように、前記フランジ部13,14の当接面に塗布された接着層15により、そのフランジ部13,14の剛性や巻体12の巻形態保持力を確保することができる。このため、倉庫保管時や輸送時に、巻体12の巻形態保持力が弱くなって容易に離脱することがなく、面ファスナー11の巻付形態が変動して荷崩れや巻崩れの発生を防止することができる。従って、面ファスナー11の巻付形態が安定化し、面ファスナー11の品質が長期間にわたって保証できる。
【0040】
また、従来のように前記胴部16の両端に前記フランジ部13,14を強固に固定一体化しておく必要はないため、前記胴部16を排除して包装体10の構造を簡略化することができると共に、包装体10の軽量化や小型化が達成できる。また、包装体10の構成部品を少なくすることができるため、その材料費や製作費等を大幅に低減できるばかりか、使用後に廃棄ゴミとして処理される包装材の廃棄量を減少させることができ、その廃棄処理が極めて容易となる。また更に、包装体10の軽量化や小型化に伴って持運び作業が容易であり、しかも倉庫保管時や輸送時において、包装体10の設置場所を広く確保することがなくなる。
【0041】
前記フランジ部13,14は、上述のように当接面に塗布された接着層15によって剛性を高め、巻体12の保持強度を向上させることができる。しかも、必要とする長さの面ファスナー11をフランジ部13,14の接着剤表面から剥がすとき、これらのフランジ部13,14を補強する粘着性をもつ上記接着剤を使用しているため、フランジ部13,14を比較的裂断しやすく廉価な紙、樹脂シート又はフィルム等のシート状部材により形成することができる。
【0042】
このフランジ部13,14の板厚は、面ファスナー11の巻付形態を保持すると共に、フランジ部自体の剛性や強度等を有効に発揮させるために0.01mm〜3mmが好ましい。フランジ部13,14の剛性が増大すると、面ファスナー11とフランジ部13,14の剥離力が弱くなる場合がある。この場合は、適当な柔軟性を有するフランジ部材であることが好ましく、好ましくは0.05mm〜0.5mmの板厚が特に有用である。前記フランジ部13,14の板厚を0.01mmよりも小さくすると、材質によっては面ファスナー11を確実に安定して保持することができなくなり、必要とする固定強度や巻付形態の他に巻き出し性能等が十分に発揮されない。その板厚が3mmを越えると、前記フランジ部13,14の剛性や強度が増大し、その耐久性を向上させることができるものの、重量が重くなるばかりでなく、フランジ部13,14の板厚が不必要に厚くなって不経済であり、しかも大型化するため、実用的にはあまり馴染まない。
【0043】
上記第1の実施形態の包装体10は、図1に示すように、胴部16と、その胴部16の両端に平行に対向して配される一対のフランジ部13,14とからなる独立した3つの部材により構成されており、リサイクルにあたっても分別が容易となる。巻体12を山積み状態に積載して倉庫内に保管したり、或いは輸送する場合、巻体12の積載面同士が平面状に安定して積み上げられるため、胴部16の周端縁と巻体12の両端面とを略同一平面上に配することが好ましく、例えば胴部16の幅は巻体12の中心空洞部よりも小さい寸法に設定することが好適である。また、この包装体10は、上記接着層15による固定に加えて、前記巻体12の中心空洞部に胴部16を有しているため、面ファスナー11は局部的に屈曲した状態で固定されることがなく、過大な張力変動を避けることができ、前記胴部16の外周に嵌挿固定された面ファスナー11の巻付開始端から巻付終了端にわたって渦巻き状の安定した巻付形態が得られる。
【0044】
上記第1の実施形態では、巻体12の中心に円筒状の胴部16を有し、同胴部16の両端に平行に対向して配されるシート状の規制部材である一対のフランジ部13,14により構成されているが、上記包装体10の構成は特に限定されるものではなく、例えば一方のフランジ部13(図1の下側)を胴部16の一側部に適当な固定手段により、或いは一体成形により固定一体化し、他方のフランジ部14(図1の上側)を別体に構成してもよい。
【0045】
この変形例にあっても、片面中央に胴部16を有するフランジ部13と他方のフランジ部14とを使用して面ファスナー11を包装するにあたり、胴付きフランジ部13の胴部16の周面に面ファスナー11を予め所定量巻き付けておく。そして、この巻体12の片側の露呈端面に、巻体12との接合面に予め形成された接着層15を介してフランジ部14を接着する。この場合は、巻体12の片端面にフランジ部14を接着させることとなるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば接着層を介して巻体12の両端面に胴付きフランジ部13と他方のフランジ部14の双方を接着させることができることは勿論である。
【0046】
この場合、予め胴付きフランジ部13の巻体12との当接面に接着層15を形成しておく必要があるが、この状態で胴付きフランジ部13の胴部16の周面に面ファスナー11を所定量巻き付けることとなるため、常温では粘着性を有さず、加熱により粘着性をもつようになる上記熱活性接着剤を使用することが好ましい。この変形例にあっても、上述のように本発明の初期の目的を確実に達成することができる。
【0047】
このように、巻体12の両端面に接合する両側のフランジ部13,14のうち、片側のフランジ部13の中心部に胴部16を有するものを使用することもできるが、本発明はこれに限定されるものでもない。例えば、両側のフランジ部13,14の中心部にそれぞれ胴部16を有することができる。互いに胴部16を有するフランジ部13とフランジ部14とを使用して面ファスナー11を包装するにあたっては、巻体12の片端面又は両端面に剥離可能な接着層を形成することもできるが、図1に示す上記第1の実施形態と同様に、予め各フランジ部13,14の巻体12との当接面に剥離可能な接着層15を形成しておくともできる。各胴部16の接合端に巻体12の中心空洞部をそれぞれ嵌挿することにより、各胴部16の接合端を互いに接合して各フランジ部13,14を巻体12の両端面に接合することもできる。
【0048】
更に、本発明の包装体10の他の例を図3及び図4に示す。図3及び図4は簡易な包装体10の第2及び第3の実施形態をそれぞれ概略的に示している。図3に示す第2の実施形態において、上記第1実施形態である包装体10と異なるところは、胴部16を排除していることにある。図4に示す第3の実施形態は、一対のフランジ部13,14のうち一方のフランジ部14を排除して、単一のフランジ部13を設けている点が上記第2の実施形態とは異なっている。
【0049】
これらの図に示すフランジ部13,14の剛性や巻体12の巻形態保持力は、上述のように前記フランジ部13,14の当接面に塗布された接着層15によって高めることができるため、図3に示すごとく胴部16を排除して各フランジ部13,14間に剥離可能に固定一体化した簡易な構造であっても、要求される巻形態の保持機能が確保され、長期間にわたって面ファスナー11の巻崩れや汚れを防止することができる。一方、図4に示すごとく巻体12の一端面だけにフランジ部13を有する簡易な包装体10を使用して、無包装に近い状態で面ファスナー11を固定することができる。包装体10の軽量化、小型化、部品点数の削減による材料費や製作費等の低減を実現できるばかりでなく、面ファスナー11を使用したのちの包装材の廃棄処理がしやすくなる。
【0050】
以上は本発明の好適な実施形態や変形例を例示したものであり、例えば包装体10として、上述のごとく、接着層15を介してフランジ部13,14の少なくとも一つの当接面と面ファスナー11の周端縁とを剥離可能に取り付けさえすれば、フランジ部13,14及び胴部16の全てを具備する必要はなく、面ファスナー11の巻量、幅、材質などとの関係で、胴部16を排除してフランジ部13,14のいずれか一つ、或いはそれらの任意の組合せによっても、本発明の目的を充分に達成することができることは勿論である。従って、本発明は上記各実施形態や変形例に限定されないことは当然であり、各請求項に記載した範囲内で様々に設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な第1実施形態である長尺材の巻体簡易包装体の一例を概略的に示す概略構成図である。
【図2】同包装体の当接面に形成される接着層の塗布形態を模式的に示す説明図である。
【図3】同包装体の第2実施形態を概略的に示す概略構成図である。
【図4】同包装体の第3実施形態を概略的に示す概略構成図である。
【図5】従来の包装体の一例を概略的に示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 巻枠
2,16 胴部
3,4 フランジ部
4a 嵌入口
5 キャップ
5a キャップ本体
5b フランジ
10 包装体
11 面ファスナー
12 巻体
13,14 規制部材(フランジ部)
15 接着層(粘着層)
17 切断線
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファスナーチェーン、ファスナーテープ等の各種の長尺材を巻付けた状態で包装するための長尺材の巻体簡易包装体に係わり、更に詳しくは、部品点数の削減、構造の簡略化、軽量化と低コスト化、倉庫保管時や輸送時の巻崩れの防止を図った長尺材の巻体簡易包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、面ファスナー等の長尺材用巻枠は、強靱性を有する紙、段ボール紙、或いは合成樹脂などにより構成され、円筒状胴部の外周に長尺材が巻き付いており、この包装形態を保持して整理保管したり、或いは搬送したりする。
図5は長尺材用巻枠の一例を示している。図示例による巻枠1は、円筒状胴部2の一端部に第1の円板状フランジ部3を同心上に固設している。この円筒状胴部2を面ファスナー11の巻付終端部と巻上り周面とが適当な固着手段を介して互いに剥離可能に接合された巻体12の中心空洞部に嵌挿する。この嵌挿後、第2の円板状フランジ部4の中央部に形成された円筒状嵌入口4aを前記円筒状胴部2の外周に嵌め込んでから、上端縁に環状フランジ5bを有するキャップ5の筒状キャップ本体5aを、前記円筒状胴部2の筒内に密嵌的に嵌挿して固定する。
【0003】
この従来の巻枠1は、倉庫保管時や輸送時において、対向する一対の円板状フランジ部3,4を規制部材として面ファスナー11の巻付形態を保持すると共に、面ファスナー11の汚れや損傷を防止するようにしている。なお、この巻枠1は使用後に廃棄ゴミとして処理されるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の上記面ファスナー巻付用巻枠1は、円筒状胴部2の両端部に固定される一対の円板状フランジ部3,4のうち一方の円板状フランジ部4をキャップ5を介して円筒状胴部2の外周縁部に取り付けると共に、面ファスナー11の巻付終端部と面ファスナー11の巻上り周面とを互いに剥離可能に接合することにより、円筒状胴部2の周面に巻き付けられた面ファスナー11の巻付形態を安定して保持しようとしている。
【0005】
しかしながら、面ファスナー11の巻付終了端と面ファスナー11の巻上り周面との間の接合力や円筒状胴部2とキャップ5との間の嵌着力によって長尺な面ファスナー11の巻体12の形態を保持しようとしているため、例えば倉庫保管時に山積み状態に積み重ねて保管する場合、面ファスナー11の巻付終了端の接合が解かれたり、或いはキャップ5が外れて荷崩れが発生しやすい。
【0006】
また、例えば車両により、巻枠1に巻き付けられた面ファスナー11を山積み状態に積載して輸送する場合、面ファスナー11の巻体12が車両の制動時や始動時又は加速時による床の振動によって局部的な緩みを繰り返して発生すると、面ファスナー11の巻崩れを起こし、輸送中に面ファスナー11に変形、損傷等が発生する。また、上述のような円板状フランジ部4を上記キャップ5により固定しようとすると、円板状フランジ部4とキャップ5の環状フランジ5bとの間に段差が生じるため、巻枠1に巻き付けられた面ファスナー11を積み重ねると、その姿勢が不安定となり、また積み重ねたときに、前記段差によって隙間が発生するため、その隙間が生じる分だけ積載効率を低下させることとなる。
【0007】
一般に、この種の巻枠は、上述のごとく強靱な紙、段ボール紙、或いは合成樹脂などの材料からなり、中心に円筒状胴部を有し、その胴部の両端に一対の円板状フランジ部をキャップなどを使って平行に対向して取り付けたものであり、その構成部品が多い。このため、必然的に材料費や製作コストが高くなるばかりでなく、使用後に廃棄処理されるため、経済性の点から極めて好ましくない。しかも、部品点数が多いため、廃棄物として廃棄する量が増大し、廃棄処理にあたってもその処理能力が求められる。
【0008】
近年、面ファスナーを販売するにあたり、前述の巻枠に面ファスナーを巻き取って円板状フランジ部により包装する形態を採用して出荷されることが極めて多くなってきている。そのため、包装体を構成する部品点数を減らすことにより材料費を低減すると共に、それを低コストで生産すること、使用後に廃棄処理を容易にするために部品点数を減らすことが強く要望されている。
【0009】
本発明は、こうした従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、部品点数が削減できると共に、構造を簡略化することができ、軽量化と低コスト化を図ることができ、しかも巻崩れが確実に防止できる長尺材の巻体簡易包装体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
本件請求項1に係る発明は、長尺材の巻体の端面に当接し、同巻体の巻付形態を保持するためのシート状規制部材を有する巻体の簡易包装体であって、前記規制部材は前記巻体の少なくとも一端面に当接して配され、前記規制部材の当接面の少なくとも一部に、長尺材の側面と剥離可能な粘着層及び/又は接着層を有してなることを特徴とする長尺材の巻体簡易包装体にある。
【0011】
本発明は、胴部の両端にフランジ部を固定する従来から広く知られた周知の巻枠構造を有する包装体とは大きく異なり、長尺材の巻体の少なくとも一端面を、同巻体の巻付形態を保持するシート状規制部材に粘着又は接着させる簡易な包装形態とすることを特徴としている。つまり、前記規制部材の当接面の少なくとも一部に設けられた剥離可能な粘着層及び/又は接着層を介して、巻体とされた長尺材の側面が前記規制部材から巻き出し可能に粘着又は接着一体化されている。
【0012】
前記規制部材は、長尺材の幅、厚み、材質や巻量等に応じて前記巻体の一端面或いは両端面に当接して配する。前記規制部材を前記巻体の両端面に当接して配する場合は、前記巻体の巻形態の保持力を更に一層向上させることができる。ここで、長尺材として、柔軟性と可撓性を有する面ファスナーやファスナーテープ、装飾用テープなどの各種テープ類、ファスナーチェーンやファスナーストリンガーなどのスライドファスナー材料、ベルトやバンド、樹脂テープなどが挙げられる。
【0013】
上記構成によると、前記規制部材の当接面に塗布された粘着剤及び/又は接着剤により、その規制部材自体の剛性や巻体の巻形態の保持力が確保され、例えば倉庫保管時や輸送時に、巻形態の保持力が弱くなり、巻形態が変動して荷崩れや巻崩れを起こすことがない。従って、長尺材の巻付形態が安定化し、長期間にわたって長尺材の品質が保証できるようになる。
【0014】
本発明によれば、上記構成を備えることにより、この種の包装体の材料費や製造費等の低減、部品点数の削減が望まれている状況下にあって、従来のごとく前記胴部と前記規制部材とを強固に固定一体化しておくことが不要となるため、包装体の構造を簡略化することができ、同時に包装体の軽量化や小型化をも達成し得る。その包装体の軽量化や小型化に伴って持運び作業を容易に行うことができるようになり、しかも倉庫保管時や輸送時において広い設置場所を確保する必要がない。また、包装体の構成部品を少なくすることができるようになり、その材料費や製作費等が低減できることと相まって、使用後に廃棄ゴミとして処理される包装体の廃棄量を減少させることができ、包装材の廃棄処理が極めて容易となる。
【0015】
請求項2に係る発明は、前記巻体の中心部に胴部を有し、前記規制部材が前記巻体の少なくとも一端面に当接して配されていることを特徴としている。
この発明は、例えば胴部に長尺材を巻き付けた巻体の片端面又は両端面に剥離可能な粘着層又は接着層を介して規制部材を粘着又は接着させる。いずれの場合にも、予め規制部材の巻体との粘着面又は接着面に剥離可能な粘着層又は接着層を塗布しておき、規制部材を前記巻体の端面に接合する。この巻体を山積み状態に積載して倉庫内に保管したり、或いは輸送する場合、巻体の積載面が平面状をなしていることが安定した積み上げ姿勢を維持できるため、前記胴部の周端縁と前記巻体の両端面とを略同一平面上に配することが好ましく、例えば前記胴部の幅は前記巻体の中心空洞部よりも小さい寸法に設定することが好適である。
【0016】
上記粘着剤及び/又は接着剤による固定に加えて、前記巻体の中心空洞部に胴部を有しているため、前記長尺材は局部的に屈曲した状態で固定されることがなく、過大な張力変動も避けることができる。そのため、前記胴部の周面に固定された長尺材の巻付開始端から巻付終了端にわたり、長尺材の渦巻き状の安定した巻付形態が保持され、スプールとしての使用時においても、巻き崩れの心配がない。
【0017】
請求項3に係る発明は、前記規制部材の同心円上に1以上の切断線が形成されていることを特徴としている。
前記規制部材は、請求項7に係る発明に挙げたとおり、紙、樹脂又はフィルム等からなるシート状部材からなる。この規制部材は、上記巻体との当接面であるシート面の径の異なる同心円上に複数本の切断線が形成されている。この切断線は、好ましくは長尺材の巻回中心を中心とする同心上に形成される、例えば円形状のミシン目を径方向に所要の間隔をもって形成する。
【0018】
前記長尺材を前記巻体から巻き出すごとに不要となる規制部材の外周縁部を前記切断線に沿って切除する。これにより、常時、長尺材の巻回中心からの距離を前記規制部材の外縁と略同一寸法に維持することができるようになり、前記長尺材の巻量が減少しても、前記規制部材の外縁一杯に巻いた状態を維持することができる。従って、前記長尺材の残量に合わせて前記規制部材の大きさを次第に小さくすることができ、前記長尺材の巻量にかかわらず、長尺材の巻崩れを充分に阻止することができると同時に、次回の巻き出しが容易となる。
【0019】
請求項4に係る発明は、前記粘着層及び/又は接着層が感圧接着剤からなることを特徴としている。
長尺材が溶剤型又は無溶剤型の粘着剤からなる感圧接着剤により規制部材に剥離可能に粘着されることが好ましい。上記巻体の端面に上記規制部材の接着剤表面を押圧することにより、前記長尺材との剥がれを防止して確実な接着(粘着)を図ることができる。水溶性粘着剤を使用することにより前記長尺材に付着した粘着剤を水で洗い落とすことができる。感圧接着剤として、従来公知の一般的な、例えば溶剤型のアクリル系感圧接着剤(商品名「マロンタック」、東亜合成株式会社製)、無溶剤型のホットメルト型ゴム系の感圧接着剤(商品名「ディスポメント」又は「デュロタック」、カネボウNSC株式会社製)、無溶剤型のエマルジョン型アクリル系の感圧接着剤(商品名「VONCOAT」、大日本インキ化学工業株式会社製)などを使用することができる。
【0020】
請求項5に係る発明は、前記粘着層及び/又は接着層の剥離粘着力が前記規制部材の外周縁から中心方向に向けて漸次高くしていることを特徴としている。
前記規制部材の外周縁やその近傍は弱接着(粘着)性であり、その中心方向に向けて漸次高い剥離粘着強さ(剥離強度)や高い粘着強さを有している。かかる構成とすることにより、長尺材の残量が残り少なくなり、巻径が小さくなると長尺材の弾性復帰により巻き形態がほどけやすくなるが、長尺材側面と規制部材との当接面積が少なくなったとき、強く粘着及び/又は接着させるようにすれば、その長尺材の巻付形態を安定化に維持することができる。
【0021】
請求項6に係る発明は、前記粘着層及び/又は接着層が前記長尺材よりも低融点の熱活性接着剤からなることを特徴としている。
上記感圧接着剤に代えて、上記規制部材と前記長尺材とを熱活性接着層を介して剥離可能に接着することができる。熱活性接着剤の融点は前記長尺材の融点よりも低く設定される。熱活性接着剤として、従来公知の一般的な、例えば飽和共重合ポリエステル系樹脂(商品名「バイロン」、東洋紡績株式会社製)、ナイロン12系樹脂(商品名「ダイアミド」、ダイセルヒュルツ社製)などが使用できる。
【0022】
熱活性接着剤の融点以上で、且つ長尺材の融点よりも低い温度で加熱すると、熱活性接着剤は溶け出す。この溶け出す直前の軟化状態にあれば、長尺材のみを円滑に且つ比較的に小さい力で剥がすことができ、同長尺材を上記規制部材から剥がす場合の作業性を向上させることができる。また、この加熱を止め、冷却すると元の硬さに戻る。
【0023】
請求項7に係る発明は、前記規制部材が紙、樹脂シート又はフィルムからなることを特徴としている。
前記規制部材は、上述のように前記規制部材の当接面に塗布された粘着剤及び/又は接着剤によって剛性を高めることができると共に、巻体の保持強度を向上させることができ、しかも上記長尺材を上記規制部材から剥がすとき、同規制部材を補強する粘着性をもつ粘着剤や接着剤を使用することにより、同規制部材を比較的裂断しやすく廉価な紙、樹脂シート又はフィルムの材質により形成することができるようになる。
【0024】
請求項8に係る発明は、前記規制部材の板厚が0.01mm〜3mmであることを特徴としている。
上記長尺材の巻付形態保持性や前記規制部材の剛性や強度を有効に発揮させるために、同規制部材の板厚を規定しており、その板厚は規制部材の材質又は長尺材の違いにより0.01mm〜3mmとすることができる。好ましくは、0.05mm〜0.5mmの板厚が特に有効である。板厚を0.01mmよりも小さくすると、材質によっては前記長尺材を確実に保持することができなくなり、所要の巻付形態の保持機能、固定機能、巻き出し機能等が発揮されない。板厚が3mmを越えると、剛性、強度が増大し、耐久性を向上させることができるものの、重量が重くなるばかりでなく、前記規制部材の板厚が不必要に厚くなって不経済であり、大型化もするため、実用的には馴染まない。また更に、規制部材の剛性が増大するため、規制部材と巻体の剥離力が弱くなる。そのため、より適度な柔軟性をもった規制部材であることが好ましく、0.05mm〜0.5mmがより好ましい。
【0025】
請求項9に係る発明は、前記長尺材がテープ状基材の一表面に多数の係合素子を有する面ファスナーであることを特徴としている。
本発明は、上述のように各種テープ類、スライドファスナー材料、ベルトやバンド、樹脂テープなどの巻体の簡易包装体として好適に使用できるものであるが、例えば各種テープ類としての面ファスナーは、多数の係合素子を有するテープ状基材の表面を巻回中心に向けた巻付形態をもって、上述のごとく前記規制部材から巻き出し可能に粘着又は接着させることが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基いて具体的に説明する。
図1は本発明の代表的な第1の実施形態である長尺材用巻体簡易包装体の一例を概略的に示す概略構成図である。なお、本実施形態では、面ファスナー用の巻体簡易包装体を例に挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば柔軟性と可撓性を有するファスナーテープ、装飾用テープなどの各種テープ類、ファスナーチェーンやファスナーストリンガーなどのスライドファスナー材料、ベルトやバンド、樹脂テープなどの巻体の簡易包装体にも効果的に使用できる。
【0027】
図1において、本実施形態の面ファスナー用の簡易な包装体10は、長尺材の巻体12の中心空洞部に胴部(コア)16を有し、その胴部16の両端に平行に対向して配されるシート状の規制部材である一対のフランジ部13,14により構成されている。これらの胴部16やフランジ部13,14は、紙、段ボール紙、或いは合成樹脂などの材質からなり、それらは同一材質、或いは材質の異なるシート部材から構成されている。前記フランジ部13,14の中心部には、前記胴部16の外径に等しい内径を有する円形状嵌入口が形成されている。以上の包装体構成は、前記フランジ部13,14の一部構成を除くと、従来と実質的に変わるところがない。
【0028】
従来の巻枠構成は、図5に示して既述したとおり、面ファスナー11の巻付終了端と面ファスナー11の巻上り周面とを剥離可能に接着したのち、円筒状胴部2の両端部に固定される一対の円板状フランジ部3,4のうち一方の円板状フランジ部4をキャップ5を介して円筒状胴部2の外周縁部に取り付けることによって面ファスナー11を包装している。これに対して、本実施形態の円筒状胴部16と同胴部16の両端に配されるシート状フランジ部13,14とを使う点では、従来の胴部2やフランジ部3,4と外形上及び構造上で一部一致するものの、本実施形態ではフランジ部13,14の巻体12との当接面に、本発明の特徴的構成である粘着層及び/又は接着層15が形成されている(以下、単に接着層15という。)。
【0029】
この胴部16や一対のフランジ部13,14を使用して面ファスナー11を包装するには、一対のフランジ部13,14の面ファスナー11の巻体12との各接着面に予め前記接着層15を形成しておき、これを胴部16の周面に面ファスナー11が所定量巻き付けられた巻体12の両端面に接合して接着固定する。
【0030】
ここで、本実施形態において接着層とは、例えば温風等により加熱すると軟化状態になり、この加熱を止めて冷却すると元の硬さに戻る粘着性をもつ接着剤や粘着剤による接合層を含んでいる。また、面ファスナー11は、図示せぬ多数の係合素子を有するテープ状基材の表面を巻回中心に向けた巻付形態をもつ中心部に胴部16を有する巻体12とされており、同巻体12の側面が前記フランジ部13,14の当接面から巻き出し可能に接着される。
【0031】
本発明は、前記接着層15を介してフランジ部13,14の各当接面と面ファスナー11の側面とが剥離可能に固定一体化されることに重要な意義をもつ。本発明の重要な構成の一部をなす接着層15は、面ファスナー11の巻体12を巻き出し自在に固定するためだけではなく、前記フランジ部13,14に適当な剛性や強度を付与している。従って、従来のごとく円筒状胴部2にフランジ部3,4やキャップ5を介して巻体12を固定する必要はなく、その取扱いを簡便に且つ容易に行うことができるようにしている。倉庫保管時や輸送時には、面ファスナー11に必要な固定強度の他に巻付形態保持性能、巻き出し性能等が確保されると共に、前記フランジ部13,14の破損や面ファスナー11の汚れなどを防止することができる。
【0032】
本実施形態による接着層15の塗布形態としては、図2(a)に斜線で示すように、前記フランジ部13,14の外周縁部を残して前記巻体12の巻量に合致する当接面上に形成された接着剤表面がある。この他にも、図2(b)に示すように、前記フランジ部13,14の当接面上に散在する微小な円形面をなす接着層15が小面積に塗布されている。図2(b)に示す多数の接着層15は所望の間隔をもって散在して配されているが、各接着層15の周縁が互いに重畳する間隔をもって配してもよい。
【0033】
本実施形態では、図2(c)〜(e)に斜線で示すとおり、更に多様な塗布形態をもって接着剤表面を形成することができる。図2(c)に斜線で示す接着層15は、前記フランジ部13,14の中心にある嵌入口の一部を通る帯状の接着層15とそれに平行な多数の帯状の接着層15が所要の間隔をもって平行に形成されている。図2(d)に斜線で示す接着層15は、前記フランジ部13,14の当接面上に格子状に散在する四角形状の非接着剤表面を有している。このように、面ファスナー11の幅、厚み、材質や巻量などに応じて前記フランジ部13,14に必要な剛性や強度を付与している。前記フランジ部13,14の板厚を無用に厚く設定することなく、合理的な厚さに設定することができる。
【0034】
特に、図2(e)に斜線で示す接着層15はフランジ部13,14に所要数の切断線17,…,17が形成されている点、剥離接着力がフランジ部13,14の外周縁から中心方向に向けて漸次高くなるように設けている点が、図2(a)〜(d)に示す塗布形態とは大きく異なっている。図2(e)に破線で示す都合二本の円形状切断線17,17は、図示例に限定されるものではないが、常時、面ファスナー11の巻体12の巻回中心からの距離をフランジ部13,14の外縁と略同一寸法に維持することができるようにフランジ部13,14の径方向に所要の間隔をもって、フランジ部13,14の中心部(巻体12の巻回中心)を中心とする同心上に形成されている。
【0035】
かかる構成を備えることにより、前記巻体12から巻き出すごとに不要となるフランジ部13,14の外周縁部を切断線17に沿って切除し、巻体12の残量に合わせてフランジ部13,14の大きさを小さくする。巻体12の巻量が減少しても、常時、前記フランジ部13,14の外縁一杯に面ファスナー11を巻いた状態に維持することができる。このため、巻体12の巻量にかかわらず、面ファスナー11の巻崩れを充分に阻止することができると共に、次回の巻き出しが円滑に且つ確実に行える。
【0036】
更に、図2(e)に示すフランジ部13,14の外周縁やその近傍は、弱接着性をもって接着層15が形成され、そのフランジ部13,14の中心方向に向けて漸次高い剥離強度や高い粘着強さをもって接着層15が形成されている。ただし、面ファスナー11を巻き出すとき、各フランジ部13,14が不要に裂断しない粘着性をもつことが肝要である。これにより、長尺材の残量が残り少なくなり、面ファスナー11の側面とフランジ部13,14との当接面積が少なくなっても、強く粘着及び/又は接着し続けるため、面ファスナー11の巻付終了端から巻付開始端にわたり巻崩れを発生することなく、その面ファスナー11の巻付形態を安定して確保している。なお、接着層15の設定範囲、形状や配列ピッチなどは、前記フランジ部13,14の直径や厚み、面ファスナー11の幅、厚み、材質や巻量などにより適宜決定できるものであることは勿論である。
【0037】
各種の塗布形態をもって形成される接着層15は、従来から一般の、例えば溶剤型又は無溶剤型の粘着剤からなる感圧接着剤などを使用することができる。この感圧接着剤は、前記巻体12の端面にフランジ部13,14の接着剤表面を押圧することにより、面ファスナー11の剥がれを防止して確実に接着することができる。感圧接着剤として、例えば溶剤型のアクリル系感圧接着剤(東亜合成株式会社製の商品名「マロンタック」)、無溶剤型のホットメルト型ゴム系の感圧接着剤(カネボウNSC株式会社製の商品名「ディスポメント」又は「デュロタック」)、無溶剤型のエマルジョン型アクリル系の感圧接着剤(大日本インキ化学工業株式会社製の商品名「VONCOAT」)などを使用することができる。
【0038】
また、感圧接着剤に代えて、前記フランジ部13,14の当接面と面ファスナー11とを従来公知の一般的な熱活性接着剤を介して剥離可能に接着することができる。好ましくは、面ファスナー11よりも低融点の熱活性接着剤が特に望ましい。熱活性接着剤として、例えば飽和共重合ポリエステル系樹脂(東洋紡績株式会社製の商品名「バイロン」)、ナイロン12系樹脂(ダイセルヒュルツ社製の商品名「ダイアミド」)などが使用できる。例えば、熱活性接着剤の融点以上であって、面ファスナー11の融点よりも低い温度で加熱すると、熱活性接着剤は溶融する。この加熱を止めて冷却すると元の硬さに戻る。熱活性接着剤が溶融する直前の軟化状態で、面ファスナー11を容易に且つ比較的に小さい力をもってフランジ部13,14の当接面から剥がすことができる。従って、面ファスナー11を剥がす場合の作業性を向上させることができる。
【0039】
このように、前記フランジ部13,14の当接面に塗布された接着層15により、そのフランジ部13,14の剛性や巻体12の巻形態保持力を確保することができる。このため、倉庫保管時や輸送時に、巻体12の巻形態保持力が弱くなって容易に離脱することがなく、面ファスナー11の巻付形態が変動して荷崩れや巻崩れの発生を防止することができる。従って、面ファスナー11の巻付形態が安定化し、面ファスナー11の品質が長期間にわたって保証できる。
【0040】
また、従来のように前記胴部16の両端に前記フランジ部13,14を強固に固定一体化しておく必要はないため、前記胴部16を排除して包装体10の構造を簡略化することができると共に、包装体10の軽量化や小型化が達成できる。また、包装体10の構成部品を少なくすることができるため、その材料費や製作費等を大幅に低減できるばかりか、使用後に廃棄ゴミとして処理される包装材の廃棄量を減少させることができ、その廃棄処理が極めて容易となる。また更に、包装体10の軽量化や小型化に伴って持運び作業が容易であり、しかも倉庫保管時や輸送時において、包装体10の設置場所を広く確保することがなくなる。
【0041】
前記フランジ部13,14は、上述のように当接面に塗布された接着層15によって剛性を高め、巻体12の保持強度を向上させることができる。しかも、必要とする長さの面ファスナー11をフランジ部13,14の接着剤表面から剥がすとき、これらのフランジ部13,14を補強する粘着性をもつ上記接着剤を使用しているため、フランジ部13,14を比較的裂断しやすく廉価な紙、樹脂シート又はフィルム等のシート状部材により形成することができる。
【0042】
このフランジ部13,14の板厚は、面ファスナー11の巻付形態を保持すると共に、フランジ部自体の剛性や強度等を有効に発揮させるために0.01mm〜3mmが好ましい。フランジ部13,14の剛性が増大すると、面ファスナー11とフランジ部13,14の剥離力が弱くなる場合がある。この場合は、適当な柔軟性を有するフランジ部材であることが好ましく、好ましくは0.05mm〜0.5mmの板厚が特に有用である。前記フランジ部13,14の板厚を0.01mmよりも小さくすると、材質によっては面ファスナー11を確実に安定して保持することができなくなり、必要とする固定強度や巻付形態の他に巻き出し性能等が十分に発揮されない。その板厚が3mmを越えると、前記フランジ部13,14の剛性や強度が増大し、その耐久性を向上させることができるものの、重量が重くなるばかりでなく、フランジ部13,14の板厚が不必要に厚くなって不経済であり、しかも大型化するため、実用的にはあまり馴染まない。
【0043】
上記第1の実施形態の包装体10は、図1に示すように、胴部16と、その胴部16の両端に平行に対向して配される一対のフランジ部13,14とからなる独立した3つの部材により構成されており、リサイクルにあたっても分別が容易となる。巻体12を山積み状態に積載して倉庫内に保管したり、或いは輸送する場合、巻体12の積載面同士が平面状に安定して積み上げられるため、胴部16の周端縁と巻体12の両端面とを略同一平面上に配することが好ましく、例えば胴部16の幅は巻体12の中心空洞部よりも小さい寸法に設定することが好適である。また、この包装体10は、上記接着層15による固定に加えて、前記巻体12の中心空洞部に胴部16を有しているため、面ファスナー11は局部的に屈曲した状態で固定されることがなく、過大な張力変動を避けることができ、前記胴部16の外周に嵌挿固定された面ファスナー11の巻付開始端から巻付終了端にわたって渦巻き状の安定した巻付形態が得られる。
【0044】
上記第1の実施形態では、巻体12の中心に円筒状の胴部16を有し、同胴部16の両端に平行に対向して配されるシート状の規制部材である一対のフランジ部13,14により構成されているが、上記包装体10の構成は特に限定されるものではなく、例えば一方のフランジ部13(図1の下側)を胴部16の一側部に適当な固定手段により、或いは一体成形により固定一体化し、他方のフランジ部14(図1の上側)を別体に構成してもよい。
【0045】
この変形例にあっても、片面中央に胴部16を有するフランジ部13と他方のフランジ部14とを使用して面ファスナー11を包装するにあたり、胴付きフランジ部13の胴部16の周面に面ファスナー11を予め所定量巻き付けておく。そして、この巻体12の片側の露呈端面に、巻体12との接合面に予め形成された接着層15を介してフランジ部14を接着する。この場合は、巻体12の片端面にフランジ部14を接着させることとなるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば接着層を介して巻体12の両端面に胴付きフランジ部13と他方のフランジ部14の双方を接着させることができることは勿論である。
【0046】
この場合、予め胴付きフランジ部13の巻体12との当接面に接着層15を形成しておく必要があるが、この状態で胴付きフランジ部13の胴部16の周面に面ファスナー11を所定量巻き付けることとなるため、常温では粘着性を有さず、加熱により粘着性をもつようになる上記熱活性接着剤を使用することが好ましい。この変形例にあっても、上述のように本発明の初期の目的を確実に達成することができる。
【0047】
このように、巻体12の両端面に接合する両側のフランジ部13,14のうち、片側のフランジ部13の中心部に胴部16を有するものを使用することもできるが、本発明はこれに限定されるものでもない。例えば、両側のフランジ部13,14の中心部にそれぞれ胴部16を有することができる。互いに胴部16を有するフランジ部13とフランジ部14とを使用して面ファスナー11を包装するにあたっては、巻体12の片端面又は両端面に剥離可能な接着層を形成することもできるが、図1に示す上記第1の実施形態と同様に、予め各フランジ部13,14の巻体12との当接面に剥離可能な接着層15を形成しておくともできる。各胴部16の接合端に巻体12の中心空洞部をそれぞれ嵌挿することにより、各胴部16の接合端を互いに接合して各フランジ部13,14を巻体12の両端面に接合することもできる。
【0048】
更に、本発明の包装体10の他の例を図3及び図4に示す。図3及び図4は簡易な包装体10の第2及び第3の実施形態をそれぞれ概略的に示している。図3に示す第2の実施形態において、上記第1実施形態である包装体10と異なるところは、胴部16を排除していることにある。図4に示す第3の実施形態は、一対のフランジ部13,14のうち一方のフランジ部14を排除して、単一のフランジ部13を設けている点が上記第2の実施形態とは異なっている。
【0049】
これらの図に示すフランジ部13,14の剛性や巻体12の巻形態保持力は、上述のように前記フランジ部13,14の当接面に塗布された接着層15によって高めることができるため、図3に示すごとく胴部16を排除して各フランジ部13,14間に剥離可能に固定一体化した簡易な構造であっても、要求される巻形態の保持機能が確保され、長期間にわたって面ファスナー11の巻崩れや汚れを防止することができる。一方、図4に示すごとく巻体12の一端面だけにフランジ部13を有する簡易な包装体10を使用して、無包装に近い状態で面ファスナー11を固定することができる。包装体10の軽量化、小型化、部品点数の削減による材料費や製作費等の低減を実現できるばかりでなく、面ファスナー11を使用したのちの包装材の廃棄処理がしやすくなる。
【0050】
以上は本発明の好適な実施形態や変形例を例示したものであり、例えば包装体10として、上述のごとく、接着層15を介してフランジ部13,14の少なくとも一つの当接面と面ファスナー11の周端縁とを剥離可能に取り付けさえすれば、フランジ部13,14及び胴部16の全てを具備する必要はなく、面ファスナー11の巻量、幅、材質などとの関係で、胴部16を排除してフランジ部13,14のいずれか一つ、或いはそれらの任意の組合せによっても、本発明の目的を充分に達成することができることは勿論である。従って、本発明は上記各実施形態や変形例に限定されないことは当然であり、各請求項に記載した範囲内で様々に設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な第1実施形態である長尺材の巻体簡易包装体の一例を概略的に示す概略構成図である。
【図2】同包装体の当接面に形成される接着層の塗布形態を模式的に示す説明図である。
【図3】同包装体の第2実施形態を概略的に示す概略構成図である。
【図4】同包装体の第3実施形態を概略的に示す概略構成図である。
【図5】従来の包装体の一例を概略的に示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 巻枠
2,16 胴部
3,4 フランジ部
4a 嵌入口
5 キャップ
5a キャップ本体
5b フランジ
10 包装体
11 面ファスナー
12 巻体
13,14 規制部材(フランジ部)
15 接着層(粘着層)
17 切断線
Claims (9)
- 長尺材(11)の巻体(12)の端面に当接し、同巻体(12)の巻付形態を保持するためのシート状規制部材(13,14) を有する巻体(12)の簡易包装体(10)であって、
前記規制部材(13,14) は前記巻体(12)の少なくとも一端面に当接して配され、前記規制部材(13,14) の当接面の少なくとも一部に、長尺材(11)の側面と剥離可能な粘着層及び/又は接着層(15)を有してなることを特徴とする長尺材の巻体簡易包装体。 - 前記巻体(12)の中心部に胴部(16)を有し、前記規制部材(13,14) が前記巻体(12)の少なくとも一端面に当接して配されてなることを特徴とする請求項1記載の包装体。
- 前記規制部材(13,14) の同心円上に1以上の切断線(17)が形成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の包装体。
- 前記粘着層及び/又は接着層(15)が感圧接着剤からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の包装体。
- 前記粘着層及び/又は接着層の剥離粘着力が前記規制部材(13,14) の外周縁から中心方向に向けて漸次高くされてなることを特徴とする請求項4記載の包装体。
- 前記粘着層及び/又は接着層(15)が前記長尺材(11)よりも低融点の熱活性接着剤からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の包装体。
- 前記規制部材(13,14) が紙、樹脂シート又はフィルムからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の包装体。
- 前記規制部材(13,14) の板厚が0.01mm〜3mmであることを特徴とする請求項1〜3,7のいずれかに記載の包装体。
- 前記長尺材(11)がテープ状基材の一表面に多数の係合素子を有する面ファスナーであることを特徴とする請求項1又は2記載の包装体。
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