JP2004203652A - 半導体粒子または金属粒子の製造装置 - Google Patents

半導体粒子または金属粒子の製造装置 Download PDF

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由岐夫 山口
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Abstract

【課題】坩堝に貯留した半導体または金属の融液の上方の空間にガス圧力を作用させ、坩堝のノズル孔から融液を滴下する方式の球状粒子の製造装置において、融液と坩堝および加圧用ガスとの反応を抑制して、高純度で均一な粒度分布の球状粒子を生産性良く製造可能とすることを目的とする。
【解決手段】少なくともノズル孔付近が、ジルコニアおよび安定化ジルコニアのうちの少なくとも一種の材料からなる坩堝、ならびに、He、Ne、Ar、KrおよびXeからなる群より選ばれた少なくとも一種からなる加圧用ガスを供給するガス源を有する半導体粒子または金属粒子の製造装置。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体粒子や金属粒子、特に高融点を有する半導体または金属の粒子、を製造する装置および製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体粒子や金属粒子の製造方法として、固体状の原料を加熱して溶融し、その融液を気相中に滴下させることにより球状粒子とする方法がある。この製造方法に関して、種々の具体的な方法が提案されている。このような球状粒子は、例えばソーラ・アレーに組み込む球状半導体として用いられる。このソーラ・アレーは、金属箔マトリクスに球状のシリコン半導体を電気的に接続し、光照射によって光起電力を取出すものである。(特許文献1参照)
【0003】
球状粒子の具体的な製造方法として、例えば、シリコン(Si)などの半導体を坩堝内に貯留し、坩堝内の半導体を加熱して溶融させ、この溶融半導体の上部の空間にAr、N2などのガスの加圧力を作用させ、溶融半導体を坩堝底部のノズル孔から気相中に滴下させる方法が提案されている。(特許文献2参照)
さらに、Si粒子を製造する際に、石英製の筒状坩堝を用い、He、Arなどの不活性ガスを用いて坩堝内の溶融シリコンを加圧し、この溶融シリコンをノズル孔から気相中に滴下させる方法が開示されている。(特許文献3参照)
【0004】
粉末冶金に適した金属粒子を製造するためには、坩堝に貯留された溶融金属を、Ar、He、Xe、Krなどの不活性ガスによって加圧して坩堝のノズル孔から噴射する技術が開示されている。(特許文献4参照)
さらに、金などの微細な金属粒子を製造するために耐火物の坩堝を用い、坩堝内の溶融金属を不活性ガスで加圧して、坩堝のノズル孔から気相中に滴下させる方法が提案されている。(特許文献5参照)
【0005】
本発明者らの実験によれば、上記のいずれの球状粒子の製造方法においても、坩堝内に貯留された溶融半導体または溶融金属(以下、融液で表す)がノズル孔から滴下する速度が、時間の経過に伴って低下し、不活性ガスによる加圧力を高めても、最終的には融液が滴下しなくなる場合が多い。
【0006】
その第1の原因は、融液をノズル孔から噴射させ、滴下させる際に、坩堝底部が融液で濡れるために、坩堝底部のノズル孔とその周辺部に固化した半導体または金属が付着し、ノズル孔が閉塞されることにある。第2の原因は、融液が高温なので坩堝材料と反応して濡れが進行し、さらに、反応生成物がノズル孔とその周辺部に堆積するとともにノズル孔を閉塞することにある。第3の原因は、高温の融液と加圧ガスとの反応生成物がノズル孔とその周辺部に堆積するとともに、ノズル孔を閉塞することにある。
【0007】
このようにして、坩堝のノズル孔の周辺部およびノズル孔内での融液の流れが阻害されることにより、一定のガス圧力で融液を加圧しても、その滴下速度が徐々に低下したり、滴下が停止するという問題が発生する。ノズル孔の極度の閉塞状態が発生すると、ガス圧力を最大限に高めても融液が滴下しなくなるので、滴下速度に応じてガス圧力を調整するという対策では、上記の問題を解決できない。上記の問題を解決するためには、融液との濡れ性が低く、かつ融液に対して化学的に安定な材料からなる坩堝を使用し、その上で、融液と反応しない加圧用ガスを選択することが必要である。
【0008】
さらに、上記の球状粒子の製造方法においては、融液と坩堝材料との反応生成物が生成すると、これが不純物として融液に混入し易いので、製造された球状粒子に不純物が多量に含まれる場合が多い。この球状粒子を半導体素子あるいはその基体として用いる場合に、上記の不純物が半導体素子の電気的特性に対して著しい影響をおよぼす。このような観点からも、球状粒子の製造に際しては、化学的に安定な坩堝材料を選択することが必要である。
【0009】
【特許文献1】
特公平7−54855号公報
【特許文献2】
特開2002−292265号公報
【特許文献3】
USP4、188、177
【特許文献4】
特公昭60−59283号公報
【特許文献5】
特許第2674053号
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、融液と坩堝および加圧ガスとの反応を抑制することにより、球状粒子の製造方法に関する上記の従来技術の問題点を解決し、高純度で均一な粒度分布を有する球状粒子を生産性良く製造できる装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体粒子または金属粒子の製造装置は、溶融半導体または溶融金属が貯留され、前記溶融半導体または溶融金属を滴下するノズル孔が底部に形成された坩堝であって、少なくとも前記ノズル孔の付近がジルコニアおよび安定化ジルコニアのうちの少なくとも一種の材料からなる坩堝、ならびに、前記坩堝内の溶融半導体または溶融金属の上部空間のガス圧力が、前記溶融半導体または溶融金属が滴下される側の気相の圧力を超える圧力となるように、前記上部空間にガスを供給するガス源であって、He、Ne、Ar、KrおよびXeからなる群より選ばれた少なくとも一種からなるガスを供給するガス源を有することを特徴とするものである。本発明の半導体粒子または金属粒子の製造装置は、シリコン粒子の製造のために用いられることが好ましい。
【0012】
本発明の半導体粒子または金属粒子の製造装置において、坩堝の全体が前記材料からなっていても良い。さらに、坩堝は、底部に取付孔が形成された坩堝本体、および取付孔に取り付けられ、ノズル孔が形成され、かつ前記材料からなるノズル部材を有するものであっても良い。さらに、坩堝は、その表面のうち、少なくとも坩堝底面のノズル孔の周辺部に前記材料からなる被覆層が形成されているものであっても良い。
【0013】
本発明の半導体粒子または金属粒子の製造装置において、坩堝のノズル孔の上部開口縁部は、下方になるにつれて小径となるように湾曲して形成されていることが好ましい。さらに、ノズル孔の下部開口縁部は、下方になるにつれて大径となるように湾曲して形成されていることが好ましい。さらに、坩堝の内表面は、下方になるにつれてノズル孔の上部開口縁部に近づくように傾斜して形成されていることが好ましい。さらに、ガス圧力は、溶融半導体または融液が滴下される側の気相の圧力よりも1〜100kPa高い圧力であることが好ましい。
【0014】
本発明の半導体粒子または金属粒子の製造方法は、少なくともノズル孔付近がジルコニアおよび安定化ジルコニアのうちの少なくとも一種からなる坩堝に溶融半導体または溶融金属を貯留し、前記溶融半導体または溶融金属をHe、Ne、Ar、KrおよびXeからなる群より選ばれた少なくとも一種からなるガスによって加圧して、前記坩堝のノズル孔から前記溶融半導体または溶融金属を滴下する工程を有することを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、融液を貯留した坩堝中にガスを供給し、そのガスの加圧力および融液の自重による加圧力により、融液を坩堝の底部に設けたノズル孔から噴出させ、気相中に滴下させる装置を有する球状粒子の製造装置に関するものである。本発明によれば、高温度の融液と反応しない不活性な加圧用ガスと、この融液との反応性および濡れ性が低い坩堝材料とを用いることにより、坩堝から融液に不純物を混入させず、坩堝内での融液の流れを阻害せず、さらに、ノズル孔を閉塞させることなく、連続的に安定した状態で融液を滴下させることができる。これにより、均一な粒度分布の高純度の球状粒子を生産性良く製造することができる。
【0016】
本発明における坩堝材料は、融液との濡れ性と反応性が低い上に耐熱性が高いので、一般的に1000℃以上の融点を有する半導体および金属を溶融状態で保持することができる。このような理由から、本発明は、高融点を有し、しかもその融液が坩堝材料や加圧ガスと反応し易い半導体および金属の粒子を製造する場合に特に効果的である。本発明の製造装置を適用して効果が大きい融点1000℃以上の半導体および金属としては、例えば、Si、GaAs、InGaP、チタン、クロム、銅、鉄、マンガン、タングステン、モリブデンおよびタンタルなどがある。また、本発明の製造装置により、マグネシウム、アルミニウムおよび亜鉛など、融点1000℃以下の反応性が高い金属の球状粒子を製造することもできる。
【0017】
本発明の製造装置は、Si粒子の製造のために使用した場合に最も大きな効果が得られる。その理由は、Siが1410℃という高融点を有し、さらに反応性が高く、特にシリサイドを形成しやすい半導体なので、従来技術では高純度のSi粒子を生産性良く製造することが困難であることによる。本発明により、均一な粒度分布の高純度のSi球状粒子の製造が容易となり、太陽電池や半導体の分野での球状半導体粒子の強いニーズに応えることができる。
【0018】
本発明者らは、従来から一般的に用いられているN2を加圧ガスとして用いると、融液との反応性が低い坩堝材料を用いた場合でも、融液と窒素との反応生成物がノズル孔を閉塞するなどの弊害を引き起こすことを発見した。例えば、窒素がSiの融液と反応すればSi34が生成する。さらに本発明者らは、本発明における前記の坩堝材料を用いた上で、He、Ne、Ar、KrおよびXeという厳密に不活性な希ガスを加圧ガスとして用いることによる相乗作用により、ノズル孔が閉塞されるなどの弊害がなくなり、粒度分布が均一な高純度の球状粒子を連続して製造できることを見出した。
【0019】
坩堝材料としては、高融点で反応性が高い半導体または金属の融液に対する化学的安定性が要求されるが、これら融液と全く反応しない坩堝材料を見出すことは極めて困難である。例えば、タングステン、モリブデン、タンタル、アルミナなどは溶融シリコンと容易に反応してシリサイドを生成し、これら反応生成物が濡れ性を著しく助長したり、融液に溶解あるいは混入し易いので、坩堝材料としては不適格である。
【0020】
実用的な観点から坩堝材料を選択する場合には、上記の化学的安定性を完全に満たすものでなくとも、融液との反応生成物が実質的に坩堝の濡れ性を助長せず、しかも融液に溶解あるいは混入し難い耐熱性材料であれば、坩堝材料として使用することができる。本発明は、上記の実用的な観点から適切な材料を見出し、これを坩堝材料として用いることにより、高純度の球状粒子の製造を可能にしたものである。つまり、本発明者らは、非濡れ性を有する数多い耐熱性材料のなかから、特に、溶融シリコンに混入する反応生成物を生成させない好適な坩堝材料として、ジルコニアおよび各種の安定化ジルコニアを実験的に見出した。
【0021】
坩堝材料として好適な代表的な安定化ジルコニアとして、イットリア安定化ジルコニア、カルシア安定化ジルコニアおよびマグネシア安定化ジルコニアがある。安定化ジルコニアは、ジルコニア(ZrO2)の相転移を抑制するためにY23,CaOおよびMgOなどの安定化剤を添加した焼結体である。安定化ジルコニアには、2〜3mol%の安定化剤を添加した部分安定化ジルコニア、および、8mol%のY23を添加したイットリア安定化ジルコニアのように、比較的多量の安定化剤を添加した完全安定化ジルコニアがある。本発明においては、上記の部分安定化ジルコニアおよび完全安定化ジルコニアのいずれの安定化ジルコニアをも、坩堝材料として用いることができる。
【0022】
これらジルコニア系材料からなる坩堝では、溶融シリコンとの反応によって表面に若干のジルコニウムシリサイドが生成する。しかし、このシリサイドはジルコニア系坩堝材料本来の非濡れ性に与える影響が少ないので、融液を滴下させる場合の実質的な弊害は殆どない。この坩堝材料を用いれば、加圧ガスによる一定の加圧力もしくは必要に応じて調整される加圧力により、坩堝内の融液を円滑に気相中に噴出させ、滴下させることができる。
【0023】
本発明における坩堝は次の四種類に大別される。各分類に属する坩堝の各実施形態を図1〜6に示す。尚、坩堝の一部を拡大して示す図2を除く各図では、説明の便宜上、坩堝内に貯留される融液3を坩堝とともに示している。
第1の分類の坩堝は、本発明における坩堝材料で坩堝全体を構成したものであり、例えば、粉体状の坩堝材料を結着材などと混合したものを加圧成型、あるいはこれを焼結して作製することができる。図1にこの分類の坩堝の一実施形態の縦断面図を示す。
【0024】
図1において、鉛直の軸線24に垂直な断面は円形であり、坩堝14の内周面は、直円筒部12とその下部に連なる円錐部13を含み、その底部には、軸線24と同軸のノズル孔15が形成されている。したがって、坩堝内に貯留される融液3が接触する坩堝底部の内表面は、下方になるにつれてノズル孔15の上部開口縁部に近づくように傾斜して形成されている。これによって、坩堝内に貯留される融液3の全てがノズル孔15に円滑に案内され、坩堝内に残留して無駄になる融液をなくすことができる。
【0025】
図2は、図1の坩堝14のノズル孔付近の拡大図である。ノズル孔15の上部開口縁部21は、下方になるにつれて小径となるように湾曲し、ラッパ状に形成されている。ノズル孔15の下部開口縁部20は、下方になるにつれて大径となるように湾曲し、ラッパ状に形成されている。ノズル孔15の上部開口縁部21の曲率半径R1は、ノズル孔15の孔径D3の1/10〜10倍であることが好ましく、特に、1〜5倍であることが好ましい。
【0026】
第2の分類の坩堝は、必ずしも非濡れ性あるいは化学的安定性が充分でない耐熱性材料、例えばカーボン、Al23、SiC、タングステン、モリブデン、タンタルなどからなる坩堝本体の少なくとも底面のノズル孔の周辺部を、本発明における坩堝材料からなる被覆層で被覆した坩堝である。この被覆層は、例えば化学蒸着法あるいは物理蒸着法により、0.1〜5μmの厚さで形成すればよい。被覆層は粉体状の坩堝材料を含むペーストを坩堝本体に塗布し、熱処理して形成しても良い。
【0027】
第2の分類の坩堝の一実施形態の縦断面図を図3に示す。坩堝30の坩堝本体31には、その底面38のノズル孔36の下部開口縁部39に連なる面に被覆層33が形成されている。坩堝本体31の融液3を貯留する部分の内表面、すなわち、直円筒部34および円錐部35にも被覆層33が形成されている。さらに、ノズル孔36の壁面にも被覆層33が形成されていても良い。被覆層33の厚みは、0.1〜5μmであることが好ましい。
【0028】
第3の分類の坩堝は、少なくとも坩堝のノズル孔の周辺は、本発明における坩堝材料からなり、坩堝本体は本発明における坩堝材料からなっても良く、非濡れ性あるいは化学的安定性が充分ではない上記の耐熱性材料からなってもよい。例えば、坩堝底部のノズル孔付近に、本発明における坩堝材料で構成し、ノズル孔を形成したノズル部材を嵌め込んだ坩堝であってもよい。
【0029】
第3の分類の坩堝の一実施形態の縦断面図を図4に示す。この坩堝40は、坩堝本体41とノズル部材42とから構成されている。坩堝本体41は、図1の坩堝14と同様の坩堝材料からなり、その底部には、めねじが刻設された取付孔45が軸線44と同軸で形成されている。ノズル部材42は、おねじ部46とこれに連なるベース部47を含み、おねじ部46は、交換のために取り外しできるように取付孔45に螺着されている。ノズル部材42は、図1の坩堝14と同様の坩堝材料からなり、軸線44と同軸のノズル孔48が形成されている。ベース部47は、坩堝本体41の底部の下面に当接し、ノズル孔48の上部開口縁部50は、円錐部51の下部に連なっている。
【0030】
図5は、第3の分類の坩堝の他の実施形態の縦断面図である。この坩堝53は、坩堝本体60とノズル部材52から構成されている。坩堝本体60は、図4における坩堝本体41と同様に構成され、底部には取付孔54が形成されている。ノズル部材52は、取付孔54のめねじに螺合するおねじ部55と、このおねじ部55の上部に連なる頂部58とを有し、軸線56と同軸のノズル孔57が形成されている。頂部58は、坩堝本体60の円錐部59に連なっている。坩堝本体60およびノズル部材52は、図1の坩堝と同様な坩堝材料からなっている。
【0031】
第4の分類の坩堝は、第3の分類の坩堝における坩堝本体に、第2の分類の坩堝における被覆層を形成したものである。図6は、第4の分類に属する坩堝の一実施形態の縦断面図である。この坩堝70では、坩堝本体74の直円筒部71および円錐部72の内面に、図3と同様の被覆層73が形成されている。この坩堝本体74の下部には、図4と同様の取付孔76が形成され、この取付孔76には、図4と同様のノズル部材77が脱着可能に取り付けられている。坩堝本体74は、図3の坩堝本体と同様なカーボンなどの耐熱性材料からなっている。
【0032】
上記の各分類に属する坩堝を用いることによって、融液中に混入する坩堝と融液との反応生成物の生成が抑制される。これらの坩堝を用い、さらに本発明における不活性な加圧用ガスを用いることにより、ノズル孔を閉塞させることなく、融液を安定した状態で連続的に噴射して滴下させることができる。これらの効果により、高融点で反応性が高い半導体および金属からなる高純度で均一な粒度分布を有する球状粒子を生産性良く製造することが可能となる。
【0033】
再び図2を参照して、本発明における坩堝の実施形態についてさらに詳細に説明する。ノズル孔15の内径D3は、0.05〜2.0mmであり、ノズル孔15の上部開口縁部21から下部開口縁部20にかけての長さL3は、ノズル孔の内径の1〜50倍であることが好ましい。これによって、粒径が揃った球状粒子を大量生産することができる。ノズル孔の内径が0.05mm未満では、製作される球状粒子が小さすぎて取り扱いが困難となる。ノズル孔の内径が2.0mmを超えると、製作される球状粒子が大き過ぎるので、例えば光電変換素子あるいはその基体として用いる場合には、単位面積当たりの光電変換効率が低下する。光電変換素子用としては、発電効率の観点から、直径1mm前後の球状粒子であることが好ましく、この球状粒子を製作するためには、ノズル孔の内径を0.1〜0.5mmとすることが好ましい。
【0034】
ノズル孔15の長さL3は、前記のようにノズル孔の内径の1〜50倍が好ましく、10〜20倍がさらに好ましい。その長さは、例えば0.05〜60mmであればよく、10〜20mmが好ましい。ノズル孔の長さがノズル孔の内径未満の場合には、ノズル孔を流れる融液が層流にならず、レイノルズ数が大きい乱流になるため、滴下する融液粒子の粒径が不揃いになる。球状粒子の粒径を揃えるためのノズル孔の長さはノズル孔の内径の50倍で充分であり、また、50倍を超えると、ドリルによるノズル孔の穿孔が困難となる。
【0035】
以上のようにノズル孔の長さとノズル孔の内径とを適正化することによって、坩堝内の融液が、その自重のみではノズル孔から流過しなくなり、加圧手段による圧力によって、ノズル孔から滴下する融液の流量を制御することができる。これによって粒径分布などの特性が優れた球状粒子を作製することができる。
【0036】
本発明において、ノズル孔15の上部開口縁部21は、下方になるにつれて小径となるように湾曲して形成されることが好ましい。このようにノズル孔の上部開口縁部をラッパ状に形成することによって、融液がノズル孔に円滑に導入され、融液を層流としてノズル孔から滴下させることが容易になる。また、ノズル孔15の下部開口縁部20は、下方になるにつれて大径となるように湾曲して形成されることが好ましい。ノズル孔の下部開口縁部をラッパ状に形成することによって、ノズル孔の下部に融液が付着し、その量が時間の経過につれて増大するという現象が抑制される。これによって、付着した融液によりノズル孔の下部が閉塞する懸念が少なくなり、融液を連続して滴下させ易くなる。
【0037】
さらに、坩堝の内表面の底部は、下方になるにつれてノズル孔15の上部開口縁部21に近づくように傾斜して形成されることが好ましい。これにより、坩堝内に貯留された融液は、坩堝内の底部の表面に沿ってノズル孔の上部に導かれ、最終的には坩堝内に融液を残すことなく、全ての融液をノズル孔に導入することができる。
【0038】
本発明において、坩堝内の融液の上部空間に供給するガスの圧力は、融液が滴下される側の気相の圧力よりも1〜100kPa高い圧力であることが好ましい。この場合、ノズル孔から滴下しようとする融液には、上記のガス圧力と融液が滴下される側の気相の圧力との差(以下、圧力差で表す)、およびノズル孔の上方に貯留されている融液のヘッドによる圧力の和が作用する。圧力差が1kPa未満の場合には、ノズル孔から融液が充分に滴下しないので、1kPa以上が好ましく、5kPa以上であることが一層好ましい。この圧力差が100kPaを超えると、坩堝およびガスの加圧装置の構造が複雑になるので、100kPa以下であることが好ましく、50kPa以下であることが一層好ましい。
【0039】
次に、本発明による球状粒子の製造装置の一実施形態における坩堝とガス源の部分を中心にして具体的に説明する。図7は、この製造装置のうち、原料を溶融させ、その融液を滴下させる部分の装置の概略図である。ガス源1からは、管路16を介して希ガスが坩堝2内の融液3の上部空間4に供給される。坩堝2は、その周辺部を囲むカーボンヒータなどの電気ヒータ5によって加熱される。坩堝2は、支持体6によって支持された支持筒7内に配置されている。ノズル孔8から滴下する融液3の液滴9は、支持体6内の気相10中を落下する。坩堝2および電気ヒータ5などは断熱材11で覆われている。融液3の上部空間4に供給される希ガスは、He、Ne、Ar、KrおよびXeからなる群より選ばれた少なくとも一種からなるガスである。生産性をさらに高めるために、坩堝2には複数のノズル孔8を設けても良い。
【0040】
図8は本発明による球状粒子の製造装置の一実施形態の全体構成を簡略化して示す模式図である。この装置は光発電装置などに用いられる球状のSi半導体粒子の製造装置である。先ず、上部ホッパ101にSiのp型半導体の果粒状の原料が供給され、開閉弁102を経て中間ホッパ103に供給される。この中間ホッパ103からの原料は、開閉弁104を経て下部ホッパ105に供給される。
【0041】
下部ホッパ105からの原料が固体予熱部106において予熱され、予熱された原料は次の溶融部107において、加熱されて溶融される。溶融部107は、坩堝108を含み、溶融シリコン(融液)が坩堝108に貯留される。この坩堝108内の融液の上部空間には、加圧用の希ガスが供給されるとともに、融液が加振されて振動される。坩堝108の底部にはノズル109が設けられ、このノズル109のノズル孔から、坩堝108の融液の上部空間に与えられる圧力に対応した所定の流量で融液が落下する。融液が滴下される側の気相はAr雰囲気であり、その圧力は大気圧である。
【0042】
他の実施形態では、坩堝内の融液の上部空間の圧力を大気圧とし、融液が滴下される側の気相の圧力を、大気圧よりも低くしてもよい。融液が滴下される側の気相の好ましい雰囲気は、上記のAr単独の他にも、He、Ne、Ar、KrおよびXeからなる群より選ばれた少なくとも一種よりなるガスによって形成することができる。
【0043】
図9は、ノズル109のノズル孔118から噴出して滴下する融液が球状粒子に形成される過程を示す模式図である。ノズル孔118から落下する融液201は、上下に連なっているが、さらに落下するにつれて上下に分断されて粒子状の液滴202となり、さらに落下することにより球状の固体粒子203となる。
【0044】
再び、 図8を参照して、ノズル109のノズル孔から落下した融液が粒子状となり、冷却塔121を通過し、真球度を高めた固体粒子(球状粒子)となり、表面状態が滑らかにされる。この冷却塔121で冷却された球状粒子が分級される。以上の過程で、p型の球状半導体粒子が製造される。本実施形態の球状粒子の製造装置は、上記の過程までの装置により製造装置を構成しても良いが、この製造装置に、球状粒子を結晶化させ、分級する装置をさらに連結した製造装置を構成することもできる。
【0045】
この場合には、分級された球状粒子は、気相中に落下している状態でレーザ源122からのレーザ光123の照射によって加熱されて再溶融し、単結晶または多結晶になる。これによって、粒子表面にクラックが生じたり、粒子がアモルファス化することが防止される。この球状粒子はさらに分級され、p型の結晶半導体としての球状粒子が製造される。
【0046】
本実施形態の球状粒子の製造装置は、上記の過程までの装置により製造装置を構成しても良いが、この製造装置に、上記結晶半導体の球状粒子の表面にn型半導体層を形成する装置をさらに連結した製造装置を構成することもできる。この場合、p型結晶半導体の球状粒子は、まず表面層形成手段125に導かれる。表面層形成手段125では、p型結晶半導体の表面にドープすべき原子または分子を含むドーピングガスを循環させた通路にこれら球状粒子を通過させてn形半導体層を形成する。
【0047】
この通路は、上下に延びて形成され、球状粒子がその通路を落下する間に、表面層の拡散が行われる。拡散源には、たとえばP25、POCl3またはPH3などが用いられる。表面層が形成された球状粒子は、冷却塔127において冷却制御が行われた後、回収容器128に収容される。このようにして、表面層が所望の状態に制御され、クラックなどが生じることなく、結晶性、および真球度が優れた光電変換素子が得られる。
【0048】
上記の実施形態の製造装置により製造された球状の光電変換素子は、光発電装置用の太陽電池素子として用いることができる。この光発電装置の代表例として、マイクロ集光型球状太陽電池がある。この太陽電池は、支持体に多数の凹部を設け、各凹部に単体の太陽電池素子を収容する方式を採るもので、凹部内面の反射鏡により4〜6倍に集光した光を太陽電池素子に照射することにより、太陽電池素子一個当りの出力を高める構造になっている(例えば特開2002−164554号公報参照)。
【0049】
上記の太陽電池は、次の工程を経て製造することができる。まず、上記の実施形態の製造装置により製造された球状の光電変換素子(太陽電池素子)の底部を切除して、球状のp型半導体の一部が露出するようにn型半導体層の開口部を形成する。次いで、p型半導体の露出部に第1電極を形成し、n型半導体層の開口部に近い外周部に第2電極を形成する。次いでこの太陽電池素子を支持体内の所定の位置に配置する。
【0050】
図10は代表的な支持体の部分的な平面図であり、図11はそのA−B線の断面図である。支持体は第2導電体層225と電気絶縁体層228からなり、複数の凹部226が形成されている。凹部226は底になるにつれて先細状となっている。凹部226の開口端は一辺約2.0mmの六角形であり、各開口端は相互に隣接している。電気絶縁体層228には円形の接続孔229が形成され、その周縁部227には電気絶縁体層228が露出している。第2導電体層225の内面は、n型半導体層と導通する導電層および反射鏡として機能する。
【0051】
図12には、p型半導体205およびn型半導体層206に、それぞれ電極を形成した上記の太陽電池素子を組み込んだ太陽電池モジュールの縦断面図を示す。太陽電池素子は、その底部が接続孔229に填まるように、図10の支持体の凹部226に配置されている。第1電極230は第1導電体層231の突起部276と半田234により接続され、第2電極232は支持体凹部226の底部の第2導電体層225と半田235により接続されている。接続孔229の周縁部の電気絶縁体層228には、太陽電池素子の底部が熱溶着されている。
【0052】
上記の光電変換素子は球状のp型Si半導体の外側にn型Si半導体層が形成されている。これに代わり、たとえばInAs、CuInSe2、Cu(InGa)Se2、CuInS、GaAs、InGaPおよびCdTeなどから選ばれた球状n型半導体の上に、AlGaAs、CuInSe2、Cu(InGa)Se2、GaAs、AlGaP、CdTeおよびそれに類似する化合物半導体から選ばれたp型半導体層を形成して光電変換素子を作製することもできる。
【0053】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。各実施例および各比較例では、本発明による球状粒子の製造装置のうち、原料となる半導体または金属を溶融させ、これを気相中に滴下させる図7に示した部分の装置を用いて、融液の滴下の安定性を評価した。図7の装置には高さ7mの落下筒を取り付け、落下筒内を落下する間に固化した融液粒子を、球状粒子として耐熱性クロス製の回収容器に回収した。坩堝は各実施例および各比較例毎に定めた材料からなる図1に示した構造のものを用いた。
【0054】
原料としては、CZ(Czochralski)法によって製造されたp型単結晶シリコンウエハを細片状に破砕したものを使用した。この原料を1500℃に加熱し、溶融させて滴下実験を行った。原料に含有される不純物の二次イオン質量分析による測定値は、B:1×1016atoms/cm3、O:1×1018atoms/cm3、およびC:7×1015atoms/cm3であり、Al、ZrおよびYは、いずれも検出されなかった。比抵抗値は1〜2(Ω・cm)であった。
【0055】
各実施例および各比較例における不純物および比抵抗値の測定用試料は、滴下試験に使用した坩堝と同一仕様の別の坩堝中で原料を加熱して溶融させた後、滴下させることなく採取し、これを自然冷却して固化させ、板状に切断して作製した。原料の加熱条件および加熱時の雰囲気ガスは、それぞれ滴下試験時の加熱条件および加圧用ガスと同じとした。
【0056】
不純物の測定は二次イオン質量分析により行い、測定対象元素は、それぞれの坩堝材料の構成元素とした。すなわち、使用した坩堝材料がカーボンの場合はC、アルミナ(Al23)の場合はAlおよびO、ジルコニア(ZrO2)の場合はZrおよびO、イットリア安定化ジルコニア(ZrO2+Y23)の場合はZr、YおよびOをそれぞれ測定対象とした。
【0057】
《実施例1》
坩堝材質をジルコニア、ノズル孔の孔径を0.3mmとし、加圧用ガスとしてArを用いた。原料を加熱して溶融させ、圧力差30kPaとして溶融シリコンを気相中に滴下させた。
【0058】
加圧中に溶融シリコンの滴下が停止することなく、また、滴下する融液粒子の大きさが殆ど変化することなく、安定した状態で滴下が終了した。坩堝に貯留した80gの原料のうち、78gを球状粒子として回収できた。また、使用後の坩堝の底面のノズル孔周囲には、シリコンは全く付着していなかった。図13の写真に示すように、回収された球状粒子の直径は、約1mm程度でほぼ均一な粒度分布を示した。
【0059】
溶融シリコンを固化させた試料の不純物を測定した結果、Zrは検出されず、Oの濃度は1×1018atoms/cm3であり、原料と全く同じ不純物濃度を示した。また、試料の比抵抗の測定値は1.7Ω・cmであり、原料の比抵抗値と同レベルの値を示した。これらにより、坩堝から溶融シリコンへの不純物の混入がないことが確認された。
【0060】
《実施例2》
坩堝材質を8mol%のイットリアを含む安定化ジルコニア、ノズル孔の孔径を0.3mmとし、加圧用ガスとしてArを用いた。原料を加熱して溶融させ、圧力差30kPaとして溶融シリコンを気相中に滴下させた。
【0061】
加圧中に溶融シリコンの滴下が停止することなく、また、滴下する融液粒子の大きさが殆ど変化することなく、安定した状態で滴下が終了した。坩堝に貯留した80gの原料のうち79gを球状粒子として回収できた。また、使用後の坩堝の底面のノズル孔周囲には、シリコンは全く付着していなかった。図14の写真に示すように、回収された球状粒子の直径は約1mm程度で、ほぼ均一な粒度分布を示した。
【0062】
溶融シリコンを固化させた試料の不純物を測定した結果、ZrおよびYは検出されず、Oの濃度は1×1018atoms/cm3であり、原料と全く同じ不純物濃度を示した。また、試料の比抵抗の測定値は1.8Ω・cmであり、原料の比抵抗値と同レベルの値を示した。これらから、坩堝から溶融シリコンへの不純物の混入がないことが確認された。
【0063】
《比較例1》
坩堝材質をカーボン、ノズル孔の孔径を0.5mmとし、加圧用ガスとしてN2を用いた。原料を加熱して溶融させ、圧力差10kPaとして溶融シリコンを気相中に滴下させた。
【0064】
滴下開始直後には小径粒子が滴下したが、圧力差10kPaを保持したにも拘らず、時間の経過とともに滴下する融液粒子が大径化し、最終的には滴下が停止した。その後、圧力差を30kPaまで上昇させたが、滴下しなかったため、滴下実験を中断した。時間の経過と共に、滴下する融液粒子が小径から大径へと変化した原因は、カーボンに溶融シリコンが徐々に濡れ、坩堝底面のノズル孔の周囲に溶融シリコンが付着し始め、この溶融シリコンが塊となって滴下したためである。また、滴下が停止した原因は、カーボンと溶融シリコンの反応生成物(SiC)や、N2と溶融シリコンの反応生成物(Si34)がノズル孔の内部に堆積し、最終的にノズル孔が閉塞されたためである。
【0065】
使用後の坩堝の底面のノズル孔周囲には、濡れたシリコンが多量に付着していた。また、図15の写真に示すように、回収された球状粒子のうち、滴下開始直後の小径粒子の直径は約1mm程度、その後に滴下した大径粒子の直径は約10mm程度であった。
【0066】
溶融シリコンを固化させた試料の不純物を測定した結果、Cの濃度は3×1018atoms/cm3であった。この不純物濃度は原料中のCの濃度7×1015 atoms/cm3に対して著しく高く、これは坩堝から溶融シリコン中に混入した炭素によるものである。試料の比抵抗の測定値は1.0Ω・cmであり、原料の比抵抗値と同レベルの値を示した。
【0067】
《比較例2》
坩堝材質をカーボン、ノズル孔の孔径を0.3mmとし、加圧用ガスとしてArを用いた。原料を加熱して溶融させ、圧力差30kPaとして溶融シリコンを気相中に滴下させた。
【0068】
滴下開始直後には小径粒子が滴下していたが、圧力差30kPaを保持していたにも拘らず、時間の経過とともに滴下する融液粒子は大径へと変化しながら、最終的には滴下が停止した。この後、圧力差を50kPaまで上昇させたが、滴下が再開しなかったので実験を中断した。
【0069】
時間の経過と共に、滴下する融液粒子の大きさが変化した原因は、溶融シリコンが徐々にカーボンに濡れ、坩堝底面のノズル孔の周囲に溶融シリコンが付着し始め、この溶融シリコンが塊となって滴下したためである。また、滴下が停止してしまった原因は、カーボンと溶融シリコンの反応生成物(SiC)がノズル孔の内部に堆積し、最終的にノズル孔が閉塞されたためである。
【0070】
使用後の坩堝の底面のノズル孔周囲には、濡れたシリコンが付着していた。また、図16の写真に示すように、回収された球状粒子のうち、滴下開始直後の小径粒子の直径は約1mm程度、その後に滴下した大径粒子の直径は約7mm程度であった。溶融シリコンを固化させた試料の不純物および比抵抗を測定した結果、比較例1と同じ測定値を示した。
【0071】
《比較例3》
坩堝材質をアルミナ、ノズル孔の孔径を0.3mmとし、加圧用ガスとしてArを用いた。原料を加熱して溶融させ、圧力差30kPaとして溶融シリコンを気相中に滴下させた。
【0072】
加圧中に溶融シリコンの滴下が停止したり、滴下する融液粒子の大きさが変化することなく、安定した状態で溶融シリコンの滴下が終了した。坩堝に貯留した80gの原料のうち78gを球状粒子として回収できた。また、使用後の坩堝の底面のノズル孔周囲に僅かなシリコンが付着していた。図17の写真のように 、回収されたSi粒子の直径は約1mm程度で、ほぼ均一な粒度分布を示した。
【0073】
溶融シリコンを固化させた試料の不純物を測定した結果、Alの濃度は1×1017atoms/cm3であり、Oの濃度は2×1018atoms/cm3であった。原料中にはAlが検出されず、Oの濃度が1×1018 atoms/cm3であったことから、坩堝から溶融シリコン中にAlおよびOが不純物として混入したことがわかる。また、試料の比抵抗の測定値は0.2Ω・cmであった。この測定値は原料の比抵抗値から一段と低下しており、これは、不純物のAlがSiに対してp型不純物として作用することに起因する。
【0074】
《比較例4》
坩堝の材質を8mol%のイットリアを含む安定化ジルコニア、ノズル孔の孔径を0.3mmとし、加圧用ガスとしてN2を用いた。原料を加熱して溶融させ、圧力差30kPaとして溶融シリコンを気相中に滴下させた。
【0075】
30kPaの圧力差を保持したにも拘らず、融液粒子が短時間滴下しては、また停止するといった断続的な滴下状態を数度繰り返し、最終的には滴下が停止した。この後、圧力差を50kPaまで上昇させたが、滴下が再開しなかったので実験を中断した。
【0076】
断続的な滴下状態を数度繰り返した原因は、N2とシリコンの反応生成物(Si34)が孔の内部に堆積するたびに、溶融シリコンによって洗い流され、溶融シリコンが流過するために有効な孔径が細くなっては、元に戻るという現象を繰り返したことにある。また、溶融シリコンの滴下が停止した原因は、反応生成物(Si34)が孔の内部に堆積し、最終的にはノズル孔を閉塞したことにある。
【0077】
使用後の坩堝の底面のノズル孔周囲にはシリコンは全く付着していなかった。また、図18の写真に示すように、回収された球状粒子のうち、直径が約1mm程度のもの以外に、0.7mm程度、あるいはそれ以下のものも多数認められた。
【0078】
溶融シリコンを固化させた試料の不純物を測定した結果、ZrおよびYは検出されず、Oの濃度は1×1018atoms/cm3であり、原料と全く同じ不純物濃度を示した。また、試料の比抵抗の測定値は1.5Ω・cmであり、原料の比抵抗値と同レベルの値を示した。
【0079】
以上のように、ジルコニア坩堝あるいはイットリア安定化ジルコニア坩堝を用い、 加圧用ガスとしてArを用いた実施例1あるいは実施例2では、融液の滴下の安定性が良好であり、しかも溶融シリコン中への不純物の混入が認めらなかった。イットリア安定化ジルコニア坩堝を用い、加圧用ガスとしてN2を用いた比較例4では、溶融シリコン中への不純物の混入は認めらなかったが、融液の滴下状態が不安定であった。
【0080】
一方、カーボン坩堝を用い、加圧用ガスとしてN2あるいはArを用いた比較例1あるいは比較例2では、融液の滴下の安定性が乏しく、しかも溶融シリコン中への不純物(C)の混入が認められた。アルミナ坩堝を用い、加圧用ガスとしてArを用いた比較例3では、融液の滴下の安定性は比較例1および比較例2よりは良好であったが、溶融シリコン中への不純物(AlおよびO)の混入が認められた。
【0081】
【発明の効果】
本発明により、比較的高融点で反応性が高いシリコンなどの半導体および金属の均一な粒度分布を有する球状粒子を、不純物を混入させずに生産性良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における坩堝の第1の分類に属する一実施形態の縦断面図である。
【図2】図1の坩堝のノズル孔付近を拡大した縦断面図である。
【図3】本発明における坩堝の第2の分類に属する一実施形態の縦断面図である。
【図4】本発明における坩堝の第3の分類に属する一実施形態の縦断面図である。
【図5】本発明における坩堝の第3の分類に属する他の実施形態の縦断面図である。
【図6】本発明における坩堝の第4の分類に属する一実施形態の縦断面図である。
【図7】本発明の半導体粒子または金属粒子の製造装置の一実施形態のうち、原料を溶融させ、その融液を滴下させる部分の概略図である。
【図8】本発明の半導体粒子または金属粒子の製造装置の一実施形態の全体構成を示す模式図である。
【図9】坩堝のノズル孔から滴下する融液が球状粒子となる過程を示す模式図である。
【図10】図8の製造装置によって製造した球状の光電変換素子を用いる太陽電池の支持体の平面図である。
【図11】図10の支持体のA−B線の断面図である。
【図12】図8の製造装置によって製造した球状の光電変換素子を用いた太陽電池の要部を拡大した縦断面図である。
【図13】本発明の実施例1で回収した球状粒子の状態を示す写真である。
【図14】本発明の実施例2で回収した球状粒子の状態を示す写真である。
【図15】比較例1で回収した球状粒子の状態を示す写真である。
【図16】比較例2で回収した球状粒子の状態を示す写真である。
【図17】比較例3で回収した球状粒子の状態を示す写真である。
【図18】比較例4で回収した球状粒子の状態を示す写真である。
【符号の説明】
1 ガス源
2、14、30、40、53、70、108 坩堝
3、201 融液
4 上部空間
5 電気ヒータ
6 支持体
7 支持筒
8、15、36、48、57、118 ノズル孔
9、202 液滴
10 気相
11 断熱材
12、34、71 直円筒部
13、35、51、59、72 円錐部
16 管路
20、39 (ノズル孔の)下部開口縁部
21、50(ノズル孔の)上部開口縁部
24、44、56 軸線
31、41、60、74 坩堝本体
33、73 被覆層
38 (坩堝の)底面
42、52、77 ノズル部材
45、54、76 取付孔
46 おねじ部
47 ベース部
55 おねじ部
58 (ノズル部材の)頂部
101 上部ホッパ
102、104 開閉弁
103 中間ホッパ
105 下部ホッパ
106 固体予熱部
107 溶融部
109 ノズル
121、127 冷却塔
122 レーザ源
123 レーザ光
125 表面層形成手段
128 回収容器
203 固体粒子

Claims (10)

  1. 溶融半導体または溶融金属が貯留され、前記溶融半導体または溶融金属を滴下するノズル孔が底部に形成された坩堝であって、少なくとも前記ノズル孔の付近がジルコニアおよび安定化ジルコニアのうちの少なくとも一種の材料からなる坩堝、ならびに、前記坩堝内の溶融半導体または溶融金属の上部空間のガス圧力が、前記溶融半導体または溶融金属が滴下される側の気相の圧力を超える圧力となるように、前記上部空間にガスを供給するガス源であって、He、Ne、Ar、KrおよびXeからなる群より選ばれた少なくとも一種からなるガスを供給するガス源を有することを特徴とする半導体粒子または金属粒子の製造装置。
  2. 前記溶融半導体または溶融金属が溶融シリコンである請求項1に記載の半導体粒子または金属粒子の製造装置。
  3. 前記坩堝の全体が前記材料からなる請求項1または2に記載の半導体粒子または金属粒子の製造装置。
  4. 前記坩堝が、底部に取付孔が形成された坩堝本体、および、前記取付孔に取り付けられ、ノズル孔が形成され、かつ前記材料からなるノズル部材を有する請求項1〜3のいずれかに記載の半導体粒子または金属粒子の製造装置。
  5. 前記坩堝の表面のうち、少なくとも坩堝底面のノズル孔の周辺部に前記材料からなる被覆層が形成されている請求項1、2または4に記載の半導体粒子または金属粒子の製造装置。
  6. 前記ノズル孔の上部開口縁部は、下方になるにつれて小径となるように湾曲して形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の半導体粒子または金属粒子の製造装置。
  7. 前記ノズル孔の下部開口縁部は、下方になるにつれて大径となるように湾曲して形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の半導体粒子または金属粒子の製造装置。
  8. 前記坩堝の内表面は、下方になるにつれてノズル孔の上部開口縁部に近づくように傾斜して形成されている請求項1〜7のいずれかに記載の半導体粒子または金属粒子の製造装置。
  9. 前記ガス圧力は、溶融半導体または溶融金属が滴下される側の気相の圧力よりも1〜100kPa高い圧力である請求項1〜8のいずれかに記載の半導体粒子または金属粒子の製造装置。
  10. 少なくともノズル孔付近がジルコニアおよび安定化ジルコニアのうちの少なくとも一種からなる坩堝に溶融半導体または溶融金属を貯留し、前記溶融半導体または溶融金属をHe、Ne、Ar、KrおよびXeからなる群より選ばれた少なくとも一種からなるガスによって加圧して、前記坩堝のノズル孔から前記溶融半導体または溶融金属を滴下する工程を有することを特徴とする半導体粒子または金属粒子の製造方法。
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