JP2004204132A - コークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】石灰の大きさが、10mm以下の粒径の石灰を10質量%以上含むものを、コークス1トン当り30〜650gの範囲で、コークス乾式消火設備101における赤熱コークスの投入空間であるプレチャンバ105および/またはバケット車等102に投入することを特徴とするコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【効果】石灰の投入により、燃焼により発生した硫黄化合物につき、その固定化によりガス中の硫黄化合物を除去回収することができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス乾式消火設備(以下、単にCDQともいう。)において、石灰を投入することで、ガス中の硫黄化合物を低減させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コークス炉は外熱式加熱炉であり、熱効率を向上させるために必然的に大型化していることや過去の省エネルギー技術開発により、エネルギー回収技術としては非常に進んだ設備となっている。エネルギー回収技術の主な方式がコークス乾式消火設備を用いる方式であり、コークスを大容量の循環ガス(ほとんど窒素)で冷却し、循環ガスの得た熱で蒸気を発生して蒸気タービンを動作させて電力として回収している。
【0003】
かかるコークス乾式消火設備では、コークス炉から排出される赤熱コークスをプレチャンバに投入し、下部のクーリングチャンバ内を通過する間に、循環ガスを冷却ガスとして該クーリングチャンバに供給することにより、赤熱コークスを消火、冷却すると共に、上記したようにクーリングチャンバから排出される高温の循環ガスの得た顕熱をボイラなどの熱交換器により熱交換し、蒸気を発生して蒸気タービンを動作させて電力として効率よく回収するという2つの目的を達成するものである。そして、前記クーリングチャンバから排出される冷却コークスは、高炉に装入される。即ち、高炉に装入され、焼結鉱の昇温及び還元用の燃料として使用される。
【0004】
このようなコークス乾式消火設備において、ガス成分の安定化を図る目的ないしコークスの燃焼による顕熱回収の増量を目的として、プレチャンバに空気を導入する技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0005】
また、従来の石灰(主に炭酸カルシウム、消石灰)の熱分解反応を起こし、生石灰を製造する方法では、重油バーナー等の燃料使用により、石灰が分解して二酸化炭素が発生するのに加えて燃料由来の二酸化炭素も発生する、非効率的、大量二酸化炭素発生プロセスであった(例えば、非特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−336588号公報
【特許文献2】
特開平7−145377号公報
【特許文献3】
特開平7−242879号公報
【非特許文献1】
工業炉ハンドブック(日本工業炉協会編)、p352、第2版、昭和57年4月20日発行
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1〜3に提案されているものは、空気導入によりガス成分の安定化を図る技術や空気導入によりコークスを燃焼させることで循環ガスによる顕熱回収量を増やす技術に関するものであり、プレチャンバに存在する空気によりコークスが燃焼して生成する微量の硫黄化合物に関しては、何ら関心が払われていないのが実情である。
【0008】
しかしながら、コークスの燃焼に伴い発生した硫黄化合物は、循環ガス成分としてコークス乾式消火設備の循環装置に運ばれ、ボイラ(熱交換器)の低温部(出口)で冷やされることで、一部が硫酸(H2SO4)または亜硫酸(H2SO3)の形で結露する。そのため、装置内の金属表面で結露した酸による金属腐食が進行する。そのため、定期的に装置を停止して行うメンテナンスの際に、当該部分で発見される金属腐食部分の修復作業(主に、腐食された金属表面の研磨などによる修復作業、腐食により金属の傷みが酷くなれば当該装置部品の交換作業)が必要である。そこで、当該腐食に伴うメンテナンスの回数を減少させることができれば、当該メンテナンスにかかる貴重な時間と労力と経費の削減に大いに寄与し得るものとして期待できる。にもかかわらず、こうしたコークス乾式消火設備の循環装置、特にボイラ(熱交換器)の低温部(出口)での金属腐食の有効な防止対策(腐食防止技術)は、何ら提案されていないのが現状である。
【0009】
そこで、本発明の目的は、プレチャンバに存在する空気によりコークスが燃焼して生成する、コークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物を低減する方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、プレチャンバに石灰を投入したとしても、従来の重油バーナー等の燃料使用に比べ、CDQは、分解に充分な温度・滞留時間をとれること、またコークス顕熱のみ使用するため、熱源は二酸化炭素増大に関与しないこと、回収効率が高いことなどの利点が得られることを見出し、赤熱コークスの持つ顕熱を利用して、石灰の分解と脱流反応を起こすことで、燃焼により発生してしまった硫黄化合物(SOX)をガス中から除去、回収し得ることにより、硫黄化合物を大幅に低減することができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は、下記(1)〜(10)のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法により達成できる。
【0012】
(1) 石灰を、コークス乾式消火設備に投入することを特徴とするコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0013】
(2) 前記石灰を、コークス乾式消火設備における赤熱コークスの投入空間であるプレチャンバに投入することを特徴とする上記(1)に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0014】
(3) 前記石灰を、コークス乾式消火設備における赤熱コークスの移動および投入設備であるバケットおよび/またはバケット車に投入することを特徴とする上記(1)または(2)に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0015】
(4) 前記プレチャンバ内部の空間の一部または全部が、1000〜1100℃の雰囲気温度であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0016】
(5) 前記石灰が、10mm以下の粒径の石灰を10質量%以上含むことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0017】
(6) 前記石灰を、コークス1トン当り30〜650gの範囲で投入することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0018】
(7) 前記石灰を、間欠的になされるコークス乾式消火装置への赤熱コークスの投入と投入の間に、および/または赤熱コークスの投入と同時にプレチャンバ内に投入することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0019】
(8) 前記石灰を、コークス乾式消火設備上部のコークス投入口および/またはプレチャンバに設置された1若しくは2以上の投入口から投入することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0020】
(9) 前記石灰を、窒素および/または循環ガスを搬送ガスとして用いて気流搬送によって投入することを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0021】
(10) 前記石灰を、コークス炉から間欠的になされるバケットおよび/またはバケット車への赤熱コークスの積載の前、積載中および/または積載後に投入することを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法は、石灰をコークス乾式消火設備に投入して、ガス中の硫黄化合物を低減させることを特徴とするものである。
【0023】
本発明によれば、コークス中に存在する硫黄は、コークスの燃焼で硫黄化合物(SOX)となってガス中に移行する。またプレチャンバに(直接ないしバケット車等を介して間接的に)投入した石灰は、赤熱コークスの顕熱により熱分解反応(CaCO3→CaO+CO2;反応温度;700〜900℃)が進行する。さらにガス(循環ガスおよびプレチャンバ内の空間ガス)中に硫黄化合物(SO2またはH2S)があると、石灰の熱分解で生成したCaOとの間で、▲1▼CaO+SO2+1/2O2→CaSO4、▲2▼CaO+H2S→CaS+H2O、CaS+2O2→CaSO4の各反応の進行(投入した石灰(CaO)がCDQ内の800〜1000℃の温度域を通過(滞留)するのに要する時間は、約1時間で十分な反応が進行する。)により、ガス(気相)中のSO2またはH2Sが石コウ(CaSO4)の形でコークス表面(固相)に付着(固定化)される。その結果、上記ガス中の硫黄化合物を大幅に低減(実施例では、ガス中のSOX濃度を92%低減)することができ、系内の酸腐食を大幅に抑制することができる(よりメンテナンスフリーな状態に近づく)ものである。さらに、本発明では、石灰投入によりガス中の硫黄化合物を固定化するが、反応しなかったCaCO3、CaOは、焼結工程で石灰代替材料として使用することが可能であり、CDQまたは焼結工程、どちらでも脱硫効果を発揮できる。
【0024】
ここで、本発明に用いられる石灰としては、炭酸カルシウム(CaCO3)、消石灰(水酸化カルシウム;Ca(OH)2)、またはこれら一つ以上と生石灰(酸化カルシウム;CaO)の混合物を指す。炭酸カルシウムを主体とする天然の石灰石も本発明でいう石灰の範疇に入る。
【0025】
また、本発明に用いられる石灰の粒径としては、特に制限されるべきものではないが、10mm以下の粒径の石灰を10質量%以上含むことが望ましい。より詳しくは10mm以下の粒径の石灰を10〜100質量%、好ましくは50〜100質量%の範囲であり、10mmを超えて200mm以下の粒径の石灰を0〜90質量%、好ましくは0〜50質量%の範囲で含むものが望ましい。これは、投入する石灰に大きいサイズの粒子が増えてくると、CDQ内部で熱分解反応および脱硫反応に供されにいものがでてくるため、硫黄化合物の固定化効果が低下するおそれがあり、投入する石灰を増量する必要があるためである。通常、プレチャンバに投入された石灰が、熱分解反応及び脱硫反応に必要な700℃以上の温度領域を通過する(抜ける)1時間程度の間に熱分解反応及び脱硫反応が充分に進行することができる好適な粒径(粒度分布)が、上記に規定する範囲といえる。すなわち、投入する石灰の粒径が大きすぎて、粒子表面から中心部に向けて熱分解反応(石灰の一部がCO2としてガス化することで熱分解部分は脆化し細粒化していく。)が進行していく前に、粒子の一部に未反応部分を含んだ状態で上記高温域を抜けてしまうと、コークス顕熱利用による熱分解反応の進行が困難となり、さらに循環ガスとの接触によってもガス中の硫黄化合物との反応が充分に進行せず、固定化による硫黄化合物低減効果が得られにくくなるためである。
【0026】
但し、本発明では、200mmを超える粒径の石灰を含んでいてもよい。こうした大きな石灰は、CDQ内を通過する過程で加わる摩擦や加重増加等によって適当な大きさにまで細粒化されていき、上記に規定する粒度分布範囲に入るようになり、通常はこうした大きな石灰粒子でも上記高温域内を通過するまでに十分に細粒化され熱分解及び脱硫反応に供され、本発明の目的達成に貢献し得るためである。また、石灰の一部が熱分解されていないことを予定して石灰投入量を増量しておいても、CDQ通過後のコークスは、平均粒度が45〜55mm程度でかつ整粒化しているものが望まれるため、大塊はコークカッターで破砕し、分級過程(節目25〜30mm程度)で粉コークスと共に焼結工程に送られる程度にまで細粒化されていれば、焼結工程での石灰代替材料として有効利用できるため何ら問題はない。
【0027】
なお、10mm以下の粒径の石灰を10質量%以上、好ましくは50〜100質量%(全量)含むとしたのは、通常、焼結での石灰等の粒径を10mm以下としているため、これらと同等の大きさか、それ以下とするのが取り扱い上便利であるためである。以上のことから、本発明では、例えば、焼結での石灰等の粒径が10mm以下ではなく、例えば、15mm以下のものを用いている場合もあり得ることから、本発明の上記規定はより広義には、使用する焼結での石灰の粒径以下(例えば、使用する焼結での石灰が10mm以下であれば、10mm以下となるし、使用する焼結での石灰が15mm以下であれば、15mm以下となる。)の粒径の石灰を10〜100質量%、好ましくは50〜100質量%の範囲であり、使用する焼結での石灰の粒径を超えて200mm以下の粒径の石灰を0〜90質量%、好ましくは0〜50質量%の範囲で含むものが望ましいということになる。
【0028】
ここでいう石灰の粒径は、以下のように定義することができる。
【0029】
粉砕機、破砕機等で小粒径化された石灰を、スクリーン等の篩い分け設備で篩上、篩下に分別した際の、篩いの目開きサイズ(スクリーン等の篩いの「目開き」の形態については、図2(B)〜(E)参照のこと。ただし、これらの形態に制限されるものではなく、他の形態でも図2と同様にスクリーン等の篩いの目の長手方向(図中の矢印範囲)を目開きサイズとすればよい。)を本発明での石灰の粒径と定義する。
【0030】
上記粉砕機、破砕機等は、通常、衝撃、摩擦、切削等により、サイズを細かくする。衝撃系の代表はハンマーミルやボールミル、摩擦系の代表はグラインドミル、切削系の代表はカッタータイプである。石灰の場合には、石炭や食品系の粉砕の場合と同様に、球や立方体に近い形状のものが多く、粒径=粒子のサイズという概念が比較的明確である。従って代表径、平均径等の概念を用い易いが、本発明では、ほとんどの実用破砕工程で使用される篩い分け設備、特にスクリーン等の目開き通過で評価、定義した。本発明で評価、定義のために使用するスクリーンとは、図2で示した破砕機に付属しているスクリーンではなく、たとえば破砕機のスクリーンを通過した破砕物を、別途篩い分けしたときのスクリーンであり、スクリーンと垂直方向への振動を極力抑えることで(傾斜0の時は水平方向に振動)、長軸方向サイズを通過径としようとするものである(ここで、上記破砕物を別途篩い分けしたときのスクリーンの「目開き」の形態については、図2(B)〜(E)で示した破砕機等に付属しているスクリーン等の「目開き」の形態と同様であるため、これを参照のこと。)。
【0031】
なお、粉砕機、破砕機等で小粒径化された石灰を得るには、例えば、図2(A)に示すように、石灰原料(例えば、石灰石等)301を破砕機(図には、ハンマー型破砕機の例を示す。)302の投入口より図中の太線矢印で示すように投入する。粉砕機内の回転体303で細線矢印の回転方向305に石灰が回転される際に、粉砕機内に1ないし複数設置されたハンマー(一部)304と衝突する際や該ハンマーと回転体303との隙間を通過する際に石灰が破砕されて小粒径化されていく。小粒径化された石灰は回転時の遠心力により外に飛び出すようになる。そこで、粉砕機の回転経路の外側面側に適当な目開き308(図2(B)〜(E)参照のこと。)のサイズ(図2(B)〜(E)の拡大図中の矢印範囲(長さ)が目開きのサイズに相当する。)及び形状を有するスクリーン307を設置しておくことで、目開きを通過する大きさ(粒度)にまで小粒径化された石灰(石灰破砕物306)のみが当該スクリーン307を通過して外部に取り出されるものである。
【0032】
以下に、篩い分けの具体例を挙げて詳しく説明する。
【0033】
ハンマータイプ破砕機:100kg/h破砕量、200rpm、ハンマー幅10mm、ハンマー数12、出側スクリーンサイズ□50mm(目開き、正方形)による石灰破砕物を、振動篩い:□10mmスクリーン(目開き、正方形)、傾斜5°、水平かつ傾斜方向に直角な振動振幅10mm、振動回数30回/分で篩った結果、篩い下が10、9、10質量%(試行3回)となれば、これを10mm以下の粒径の石灰を10質量%含むものとする(平均して四捨五入。)。同様に、破砕機出側スクリーンサイズを□30mm、振動篩いスクリーンを□10mmの場合の篩い下が20、20、20質量%となれば、10mm以下の粒径の石灰を20質量%含むものとし、破砕機側スクリーンサイズを□10mm、振動篩いスクリーンを□10mmの場合の篩い下が80、79、79質量%となれば、10mm以下の粒径の石灰を80質量%含むものとする。
【0034】
なお、上記数値は、破砕機Aのもので、本法式では別途破砕機B(50kg/h破砕、200rpm、ハンマー幅10mm、ハンマー数12で、破砕機Aよりやや小型)データも併用することで、データの信頼性を高めてもよい。
【0035】
上記の通り、本発明における「10mm以下の粒径の石灰」の割合(含有量)は、篩いのスクリーンサイズを基準とした篩い下質量%であり、この篩い下質量%を変化させるために、破砕機スクリーンの目のサイズを変更している。粒度変更の方法としては、上記に示す具体例の破砕機スクリーンの目のサイズのほかに、ハンマーの形状、幅、回転数、スクリーン位置等や、グラインドミル、カッターミル等の破砕方法の変更によるものが考えられるが、どの方法を用いた場合も、篩いスクリーンによる篩い分けで数値を規定できる。また、篩の方も、振動形式や振動方法(カムによる衝撃、篩い方向の円・楕円化、振動回数等)、スクリーン目の形状(矩形、円、楕円等)等で変更可能であるが、上記に示す具体例での振動方式で篩い分けることで共通数値として規定が可能となるものである。
【0036】
次に、前記石炭の投入量としては、特に制限されるものではなく、石灰投入量に比例してガス中の硫黄化合物量を低減することができるものであるが、コークス1トン当りの空気量に対応して、石灰をコークス1トン当り50〜500gの範囲で投入するが望ましい。該石灰の投入量がコークス1トン当り50g未満の場合には、硫黄化合物の除去が不十分となるおそれがある。一方、該石灰の投入量がコークス1トン当り500gを超える場合には、十分に硫黄化合物の除去・回収がなされており、さらなる除去回収効果が期待できない。ただし、上記上限値を超えて投入されることで残った未反応石灰量が、上記したように焼結工程で使用する石灰材料として利用可能な範囲内であれば特に問題はない。
【0037】
これは、コークス1トン当りの空気量(コークス投入時に開口部他から入る空気量(自然流入空気量)のほか、他の目的で導入される空気量)によって、燃焼されるコークス量、ひいてはコークス燃焼により発生する硫黄化合物の量(濃度)が異なるためである。
【0038】
例えば、コークス1トン当り5〜20Nm3の空気がプレチャンバに入る場合には、1.13〜4.5kgのコークスが燃焼する。該コークスの燃焼により、4.5〜18gのコークス中の硫黄がガス(気相)中に移動し、3.2〜13リットルのSOXが発生する(これは、実機による実証実験結果から、放散ガス中のSOX濃度13〜52ppmに相当する。)。
【0039】
ここで、▲1▼循環ガスによるコークス中の石灰やその熱分解生成物(CaO)の流動化状態が、流動層状態になっていると仮定した場合、Ca/S=2以上(すなわち、循環ガス中の硫黄(S)分に対する投入石灰のCa分が2倍以上)で効率的な脱硫が可能である(図3参照のこと。)。よって、コークス1トン当りの石灰は、CaCO3換算で30〜130g(流動層)が適量となる。
【0040】
▲2▼循環ガスによるコークス中の石灰やその熱分解生成物(CaO)の流動化状態が、充填層状態になっていると仮定した場合、接触機会の不足が考えられるので、Ca/S=10以上となる(図3参照のこと。)。よって、コークス1トン当りの石灰は、CaCO3換算で160〜650g(充填層)が適量となる。
【0041】
本系のCDQ中のコークスは移動層のため、上記▲1▼と▲2▼の両者の中間的接触状況となりえるため、石灰をコークス1トン当り30〜650gの範囲で投入すればよいといえるが、好ましくは実機での予備実験を行うことで、空気量変化に対する移動層下での石灰の最適投入量を決定するのが望ましい。
【0042】
さらにコークス以外に、例えば、プレチャンバにバイオマスを投入して代替燃焼させる技術も既に本出願人が提案しており、バイオマスなどの他の代替燃料を用いる場合には、空気量変化のほか、バイオマス等の投入量変化なども十分に勘案して、ガス中への硫黄化合物の発生量を求め、石灰投入量を決定すればよいといえるが、好ましくは、実機による実証実験を行うなどして、空気量変化やバイオマス等の投入量変化に対する石灰の最適投入量を決定するのが望ましい。
【0043】
上記石灰の投入は、必ずしもプレチャンバ内に投入する必要はない。本発明では、石灰、特に石灰石、炭酸カルシウム、消石灰等を熱分解(700℃以上あれば反応が進行する)して酸化カルシウム(CaO)に変換し、これとCDQのガス中の硫黄化合物とを反応させて硫黄分とを固定化させることを主旨としている。このうち、石灰の熱分解反応を進行させるためには、プレチャンバ内に投入される赤熱コークス(1000℃程度)の顕熱を利用することができるほか、コークス炉からバケット/バケット車に押し出された赤熱コークスの顕熱も利用することができるためである。すなわち、プレチャンバへの投入前の赤熱コークスの顕熱利用はなされておらず、従来バケット/バケット車に積載してCDQまで移動する間(5分程度)、赤熱コークスの顕熱は、大気放散されているだけであったが、石灰投入を混載することで、大気放散されていた赤熱コークスの顕熱を石灰の予熱(熱分解)に有効利用することができるものである。
【0044】
本発明の上記要件を明らかにするために、図面を用いて説明する。図1は、本発明に用いることのできる代表的なCDQを模式的に表わした概略図である。
【0045】
まずは、図1をもとにCDQの通常操業例を示す。コークス炉201で製造された約1000℃の赤熱コークス151は、押し出し機(図示せず)でバケット/バケット車(以下、単にバケット車等102という)に押し出され、CDQ101まで搬送された後、CDQ101上部の上蓋103を開けて、プレチャンバ(の空間部分)105に投入される。上蓋103で塞がれていた部分が上部コークス投入口104である。赤熱コークス151投入後は、該上蓋103は閉められ、自然流入する空気量が制限されている。また空になったバケット車等102は、次ロットの赤熱コークスを積載すべくコークス炉201に回送される。
【0046】
プレチャンバ105内に入った高温の赤熱コークス151は、下部のクーリングチャンバ106内を通過する間に、循環ガス107により徐々に冷却されながら200℃程度まで冷却され、クーリングチャンバ106下部の取出口108から取り出される。図中、CDQに投入する赤熱コークスは、符号151を付した太線矢印で表わしている。CDQ内のコークスは、符号153を付すと共に、その移動方向を太線矢印(符号無し)で表わしている。また、CDQから取り出されたコークス(本発明では、石灰や石灰が分解され硫黄分との反応で固定化された石コウなども含まれる)は、符号155を付した太線矢印で表わしている。
【0047】
一方、熱は、例えば、窒素等を主成分とする循環ガス107により熱交換器(ボイラ)109で熱回収され、その熱で作られた蒸気111で蒸気タービン113を動かして発電する。このとき残存揮発分等や粉コークス(さらに本発明では、石灰粉末や石灰が分解され硫黄分との反応で固定化された石コウ粉末などの一部)が熱交換器109に到達してコーキングや伝熱阻害のトラブルを生じさせないために、プレチャンバ105から出た後のガスの排出口であるリングダクト115近傍で空気(外気)117を追加して完全燃焼させている。さらに、リングダクト115から熱交換器109に向う循環経路121上には、ダストキャッチャー123を設けて、上記粉コークス(さらに本発明では石灰粉末や石灰が分解され硫黄分との反応で固定化された石コウ粉末など)を除去・回収しているが、次の焼結工程に有効利用するのが望ましい。また、熱交換器(ボイラ)109で熱回収された循環ガス107は、循環経路121上に設けた循環ガスブロア125により適当な圧力に調整した後に、循環ガス投入口127より、クーリングチャンバ106に導入すればよい。また、CDQ101内への循環ガス供給流量を一定に保つことができるように、例えば、循環ガスブロア125と循環ガス投入口127の間の循環経路121から循環ガス107の一部を放散するための放散ガス抜取経路129を設け、該経路129を通じて放散しても良い。したがって、該経路129上には、必要に応じて、流量調整弁、流量計、排ガス浄化装置(いずれも図示せず、省略した。)などが設けられていてもよいことは言うまでもない。図中には、コークスの移動を太線で、ガスの移動を細線で示した。
【0048】
本発明に係るCDQ内のガス中の硫黄化合物の低減方法につき、さらに図1を用いて説明する。
【0049】
本発明では、図1に示すように、(A)石灰181aを、コークス乾式消火設備(CDQ)101における赤熱コークス151の投入空間であるプレチャンバ105に(直接)投入するようにしてもよいし、(B)石灰181bを、コークス乾式消火設備(CDQ)101における赤熱コークス151の移動および投入設備であるバケットおよび/またはバケット車103に投入するようにしてもよいし、上記(A)と(B)の双方で投入してもよい。
【0050】
以下、上記(A)の投入形態と、(B)の投入形態に分けて説明する。
【0051】
<上記(A)の投入形態の場合>
次に、本発明の上記(A)の投入形態により石灰を投入する場合につき、図1を用いて説明する。
【0052】
(A−1) 赤熱コークス151の投入は、数分〜数10分間隔で行われるバッチ投入であるため、本発明の石灰の投入形態としては、投入タイミングのとりやすさの観点からは、赤熱コークス151の投入と投入の間に石灰181aを適当な投入装置183を介してプレチャンバ105内に投入すればよいといえるが、好ましくは、赤熱コークス151の投入直後にプレチャンバ105内に投入するものである。これは、先述したように、投入した石灰181aを赤熱コークスの顕熱を利用して熱分解反応および脱硫反応を進行させることができればよく、通常、CDQ101内部は、赤熱コークスの顕熱により空間部分も1000〜1100℃の温度雰囲気にあるため、コークスと均一に混合された状態でなくともよいためである。さらに、CDQ101内部を通過される間に800〜1000℃の温度領域での滞留時間は、約1時間あるため、この領域を通過する間に十分な反応が進行するため、投入形態については、特に制限されるものではないといえる。とはいえ、赤熱コークス151の投入直後にプレチャンバ105内に石灰を投入することで、ガス中の硫黄化合物が循環経路に吸い込まれる以前に固定化できる量を増やせれば、該循環経路内のボイラ出口部等での硫黄分の結露をより一層低減でき、系内の酸腐食の程度をより軽微なものに抑えることができる。
【0053】
ここで、赤熱コークス151の投入と投入の間とは、あるロットの赤熱コークスのプレチャンバ105への投入時にバケット車等102内にコークスが無くなった時点から、次のロットの赤熱コークス151のプレチャンバ105への投入時にバケット車等102下部の開放が始まる直前までをいう。
【0054】
石灰を、赤熱コークスの投入と投入の間に投入した場合には、投入されたコークス層と、投入された石灰層とは、交互にサンドイッチ状のままCDQ内を下降し、下部取出口108から排出されるまでに石灰層は熱分解反応、脱硫反応を受けて石コウとして固定化されて近傍の整粒コークス表面に付着する形で排出される。
【0055】
(A−2) 本発明のバイオマスの他の投入形態としては、赤熱コークス151の投入と同時に、石灰181aを投入装置183(または投入装置163)を介してプレチャンバ105内に投入してもよい。これは、同時投入により赤熱コークス層内に石灰が混合分散される形態であるため、石灰を取り囲む赤熱コークスの顕熱を享受し易く、熱分解が促進される点で好ましい態様の1つと言える。熱分解された石灰は、コークス間の隙間を通過する循環ガス中の硫黄化合物との接触効率もよく、硫黄分を効率よく固定化することができる。
【0056】
ここで、「同時に投入する」とは、あるロットの赤熱コークス151がバケット車等102から落下開始した時点から落下終了した時点までの間に石灰181aの投入を開始しかつ終了させるという意味であり、同じ時間帯に投入することにより、コークス落下時の拡散を利用してコークスと平均的に混合させることで石灰とコークスの接触機会促進(コークス顕熱の伝熱効率向上による熱分解反応の促進)および循環ガスとの接触機会促進(ガス中の硫黄化合物とCaOとの反応効率向上による硫黄分の固定化促進)を図ることができる。
【0057】
赤熱コークスの投入と同時に投入した場合には、同時に投入された赤熱コークス151と石灰181aとの混合層が、ロットごとに積層されCDQ内を下降し、下部取出口108から排出されるまでに石灰は熱分解反応、脱硫反応を受けて石コウとして固定化されて近傍の整粒コークス表面に付着する形で排出される。
【0058】
(A−3) 本発明の石灰の他の投入形態としては、上記(A−1)および(A−2)の石灰の投入形態を組み合わせても良い。すなわち、赤熱コークスの投入と投入の間に、および赤熱コークスの投入と同時にプレチャンバ内に石灰を投入するようにしてもよい。これにより、利用目的に応じて必要な量の石灰をコークス層内ないしコークス表層部に投入することができる点で有用である。
【0059】
上記(A−1)〜(A−3)の方法では、赤熱コークス151の投入と投入の間に、および/または赤熱コークス151の投入と同時に、投入ロットごとの赤熱コークス量に対応する石灰181aを一時に全量投入してもよいし、一定期間内にわたって連続的に投入してもよいし、あるいは断続的に投入してもよいなど、特に制限されるものではない。連続的または断続的に一定期間内に投入する場合には、投入量を一定にして行ってもよいし、投入量を経時的に変動するように投入してもよい。
【0060】
また、上記(A)において、上記石灰181aは、CDQ101上部のコークス投入口104および/またはプレチャンバ105に設置された1若しくは2以上の石灰投入口185から投入すればよいなど、特に制限されるものではない。
【0061】
すなわち、上記石灰181aのプレチャンバ105内への投入位置は、コークス投入口104からの場合と、新規にプレチャンバ105に設置された1若しくは2以上の石灰投入口185やバイオマス投入口165からの場合があり、これらを適用に併用しても良い。
【0062】
ここで、プレチャンバ105に設置する石灰投入口185の数は、特に制限されるものではないが、プレチャンバ105内に均等に拡散させ、なるべく均一にプレチャンバ105内に堆積させ、プレチャンバ105内の循環ガス中の硫黄化合物との接触効率(ひいては反応効率)を高めることが望ましいことから、プレチャンバ105の内周囲に等間隔で2箇所以上、好ましくは3箇所以上、より好ましくは4〜16箇所程度設けるのが望ましい。ただし、17個以上でも問題ないが、装置構成及び制御が複雑化してくるため、簡素化の観点からは17個以下で十分である。また複数の石灰投入口185を設ける場合、内周面の同一円周上(すなわち、同じ高さ)に設置するのが、各投入口からの石灰181aの投入量ないし流量、搬送ガス量ないし流量、投入流速、投入角度などを制御ないし決定するのが容易である。
【0063】
また、複数の投入口185を設ける場合には、各投入口からの投入量や投入時期や投入流速等を同期させて(同じになるようにして)石灰181aを投入するようにしてもよいし、投入口ごとに石灰の投入量や投入時期や投入流速などを変えるようにしてもよい。いずれにしても、コークスの顕熱を有効に利用して、石灰の熱分解反応および脱硫反応により気相中の硫黄化合物を固定化し低減する目的を効率よく達成できるものであれば、特に制限されるものではない。例えば、プレチャンバの中央部付近と側面部付近とで石灰の分布にバラツキが生じないように、投入口ごとに投入量や投入時期や投入流速を変動させるなどして、局所的に石灰が不足して、循環ガス中の硫黄化合物との反応効率が低下することがないように、全体に均一に石灰が投入されるように調整するのが望ましい。さらに、必要があれば、投入時期によって、石灰の種類やブレンドのしかたを変えるなどしてもよいことはいうまでもない。
【0064】
また、石灰投入口185の設置高さは、図1に示すように、リングダクト115よりも上部のプレチャンバ105が下部に向って拡径している部分に設けるのが望ましいが、プレチャンバの上蓋103に設けてもよい。
【0065】
また、上記(A)の方法での、各投入口からの石灰の投入量や投入流速(流量)や投入角度などに関しては、石灰の全体投入量、投入時期、投入位置(上部ないし内周囲)、投入数などに応じて適宜決定されるべきものであり、石灰投入目的を達成することができるように適宜最適な条件を事前に予備実験等やコンピュータ等でシミュレーションを行うなどして決定すればよい。さらに好ましくは実機による実証実験を行って最終的に調整するのが望ましい。特に、これら各投入口からの石灰の投入量や投入流速(流量)や投入角度に関しては、後述する搬送ガス量を変動させるなどして、石灰がプレチャンバ内に均一に分布するように調整するのが望ましい。
【0066】
また、上記(A)の方法において、コークス投入口104またはコークス上蓋103から石灰181aを投入する場合には、投入時期にもよるが、赤熱コークス151の投入と投入の間に行う場合には、コークス投入口104は、全開しなくてもよく、石灰が投入できる程度にわずかに開口させてもよい。また、上蓋103の一部に石灰投入用に別途投入口(図示せず)を設けておいて、該投入口を通じて投入する(落下させる)してもよい。したがって、コークス投入口から石灰を投入する場合にも、石灰投入口を複数設けることは可能である。ただし、装置構成が複雑化するおそれがあるため、石灰投入時にも上蓋103を開口させるのが簡便ではある。
【0067】
また、上記(A)の方法において、石灰181aを上部コークス投入口104あるいはプレチャンバ105内周面に設けた石灰投入口185から投入する場合には、プレチャンバ105内に均等に拡散(分布)させることができるように、これらの投入口を拡径させたり、投入口先端に可動式の機構やノズルを設けるなどして、拡散し易くしてもよいが、後述する搬送ガスを利用して拡散させるのがより望ましい。これは、投入口での雰囲気温度が高温となるため、既存の駆動装置や機構等が利用できても、使用部材には高耐熱性部材が要求されるため、コスト面で実用化しにくいためである。
【0068】
なお、上記(A−2)の赤熱コークス151の投入と同時に石灰181aを投入する場合には、プレチャンバ105内周面に設けた石灰投入口185から中央部に向けて投入しても、落下する赤熱コークス151に邪魔されて、石灰を均一に分布させるのが困難であるため、この場合にはコークス投入口104から赤熱コークス151と一緒に石灰181aを落下させる方が適している。
【0069】
上記(A)の方法での石灰の投入(搬送)方法としては、各投入位置で、適当な投入装置183、例えば、スクリューフィーダー、テーブルフィーダー等の切り出し装置で自重によって落下させる方法と、窒素および/または循環ガス(の一部)を搬送ガスとして用いて気流搬送によって投入する(吹き込む)方法がある。
【0070】
後者の、窒素および/または循環ガス(の一部)を搬送ガスとして用いて気流搬送によって投入する(吹き込む)方法のうち、循環ガスを用いる場合には、図1に示すように、ガス温度が下がった時点、例えば、循環用の循環ガスブロワ125後のガスを一部分岐して、投入装置183な、例えば、テーブルフィーダー等の切り出し設備まで配管186で引き、該切り出し設備から石灰投入口185までの石灰搬送用配管187内に当該循環ガスを搬送ガスとして供給できるように、切り出し設備と組み合わせて使用する。窒素ガスの場合も、外部より窒素を配管188で投入装置186、例えば、テーブルフィーダー等の切り出し設備まで引き、同様に切り出し設備から石灰投入口185までの石灰搬送用配管187内に当該窒素ガスを搬送ガスとして供給できるように切り出し設備と組み合わせて使用する。さらに、窒素ガスと循環ガスの双方を搬送ガスとして用いる場合には、上記した双方の配管経路を設けておけばよい。こうすることで、必要に応じて、窒素ガスと循環ガスを同時に併用することもできれば、交互に使用することができるように、それぞれの配管経路の開閉を切り替えることもでき、効率よく搬送ガスの供給が可能となる。
【0071】
なお、本発明では、搬送ガスとして用いることのできるものとしては、上記した窒素ガス、循環ガスに何ら制限されるべきものではなく、不活性ガス(アルゴンガスなど)、空気(特に自然流入以外の他の目的で積極投入される空気の一部を用いてもよい)、製鉄設備で産生される各種ガス、例えば、コークス炉ガス、高炉ガス、転炉ガスなど積極投入される空気の代替酸素源などとして利用することができるものが好適に使用できる。
【0072】
気流搬送の優位性は、より少ない投入口数で分散範囲を拡大できることから自重落下の場合より層厚みの均一性が増す(コークス投入と同時の場合は、分散性の向上)ことにある。また、搬送ガスに循環ガス107を使用することで、窒素ガス使用のコストデメリットを最小限にすることも可能である。
【0073】
また、自重によって落下させる方法は、特に搬送ガスを必要とせず、ランニングコストを抑えることができる点にある。特に、コークス投入口104から石灰を投入する場合には、自重落下でもプレチャンバ105内のガスが熱対流しているため適度に分散されるため、好適である。
【0074】
<上記(B)の方法について>
まず、上記バケットとバケット車は、以下のように区別するものとする。バケットとは赤熱コークス移送容器をいい、バケット車とは、図1に示すように、搬送し易いように適当な(車輪等のついた)台車を有するものとする。なお、本発明では、これらに制限されるべきものではなく、他の移動および投入設備を用いることができることはいうまでもない。
【0075】
また、上記(B)の方法に関し誤解がないように説明すれば、石灰の移動および投入設備であるバケットおよび/またはバケット車102には、上記したように赤熱コークスの顕熱を利用できるように、赤熱コークス151が石灰181bの投入前、投入と同時および/または投入後のいずれかに積載される必要がある。よって該バケットおよび/またはバケット車102には、赤熱コークス151及び石灰181bが積載された状態でCDQ101のプレチャンバ105(詳しくはコークス投入口104の上方)まで搬送され、投入されるものである。したがって、石灰181bのみを専用のバケットおよび/またはバケット車102に投入してプレチャンバ105まで搬送し、投入してもよいが、その場合には、実質上、上記(A)の方法の範疇に含まれるものといえる。なお、「石灰を、コークス乾式消火設備に投入する」方法は、上記(A)および/または(B)の投入形態を包含する。これは、バケットおよび/またはバケット車102も、CDQ101の付帯設備として捉えることができるためである。なお、バケットおよび/またはバケット車が、CDQ101に含まれないとしても、「バケットおよび/またはバケット車に石灰を投入する」という(B)の投入形態は、その後、バケットおよび/またはバケット車102内の赤熱コークス151及び石灰181bをCDQ101のプレチャンバ105内に投入することが必須の行為になるため、結果的に「石灰181bを(バケットおよび/またはバケット車102を使用して)、CDQ101に投入する」ことになるため、(B)の投入形態も、「石灰を、コークス乾式消火設備に投入する」方法の1つとして包含されるものとした。
【0076】
また、上記したようにバケットおよび/またはバケット車(単にバケット車等ともいう。)への石灰の投入時期は、特に制限されるものではなく、コークス炉201からバケット車等102への赤熱コークス151の積載前、積載と同時および/または積載後のいずれかに行えばよい。いずれでもコークスの顕熱を有効利用して石灰の予熱を行うことができるためである。
【0077】
▲1▼赤熱コークス151を積載する前に予め石灰181bをバケット車等102に投入する。例えば、バケット車等102への石灰投入装置の配置や投入のしやすさの関係からは、赤熱コークス151をCDQ101に投入後の空のバケット車等102がコークス炉に戻る途中に、石灰投入装置(上記(A)の投入形態で説明したと同様に、適当な投入装置183、例えば、スクリューフィーダー、テーブルフィーダー等の切り出し装置等を利用することができるほか、ロータリーフィーダーなどを用いてもよい。)を設けておき、そこで空のバケット車等102に該石灰投入装置から自重によって落下させる方法や、空気等を搬送ガスとして用いて気流搬送によって投入する(吹き込む)方法等により石灰181bを投入し、その後赤熱コークス151を押し出して積載するようにしてもよい。
【0078】
▲2▼赤熱コークス151を積載したバケット車等102に石灰181bを投入する。例えば、押出機で赤熱コークス151をコークス炉201より押し出してバケット車等102に積載した後に、該バケット車等102を石灰投入装置の石灰投入口(図示せず)直下まで移動させて、石灰投入装置(上記(A)の投入形態で説明したと同様に、適当な投入装置183、例えば、スクリューフィーダー、テーブルフィーダー等の切り出し装置等を利用することができるほか、ロータリーフィーダーなどを用いてもよい。)を設けておき、そこで自重落下させる方法や、空気等を搬送ガスとして用いて気流搬送によって投入する(吹き込む)方法等により石灰181bを、積載されている赤熱コークス上に投入(投下)させるようにしてもよい。いずれも操作が簡便で、石灰投入装置が他のコークス押出機やCDQの設備と干渉することがない点でも有利である。
【0079】
上記▲1▼では、バケット車等102に赤熱コークス151積載後に余分な時間をかけることなくCDQ101まで搬送できる。上記▲2▼では、バケット車等102に積載した赤熱コークス151表面を石灰181bで覆うことができ、赤熱コークス151顕熱の大気放散を抑えながら石灰181bの熱分解を促進でき、また空気(外気)と赤熱コークス151との接触を断つこができ、搬送中に赤熱コークス151が燃焼するのも効果的に防止できる。
【0080】
また、本発明では、上記(A)および(B)の投入形態を組み併せることができるものである。すなわち、(B)の投入形態では、特に上記▲2▼により赤熱コークス151顕熱の大気放散を抑えながら石灰181bの熱分解を促進できに充分な石灰投入量のみを加え、上記(A)の投入形態によって残る石灰投入量をできるだけ、赤熱コークス中に均等に混合分散されるように投入するのが望ましいといえる。
【0081】
また、前記石灰を上記(A)および/または(B)の投入形態のいずれかにより、最終的にプレチャンバ105に投入する場合に、前記プレチャンバ105の内部空間の一部または全部が、1000〜1100℃の雰囲気温度であることが望ましい。これは、コークス顕熱を反応に利用するものであるが、該反応温度(=プレチャンバ内部空間の雰囲気温度)を高くとることで、石灰の熱分解反応、熱分解生成物(CaO)とガス中の硫黄化合物との反応により硫黄分が石コウの形で固定化されてガス中から除去、回収(固形層であるコークス表面に付着する)されるが、この際の反応速度が速くなり脱硫効果が高くなる点で有利である。なお、固定化されてコークス表面に付着したCaSO4粉末は、未反応CaCO3、CaO等と共にCDQ下部の取出口108から冷却されたコークス155と共に取り出された後、大塊をコークカッターで粉砕し、分級されて、篩い下となる粉コークスと共に次工程である焼結工程に送られる。なお篩い上の整粒コークスは高炉へ供給される。ここで、通常、鉄鉱石に粉コークスと共に石灰を加えて焼結を行い、焼結鉱(特に高炉に溶媒剤を加えずに済むように予め焼結鉱中にCaO(一般には石灰石粉)を焼きこんだものである自溶性焼結鉱ないし石灰焼結鉱)を製造するものであるが、本発明では、粉コークスに含まれるCaCO3、CaO粉末を石灰代替材料としてそのまま有効活用することができ、焼結工程での石灰の低減効果がある点で、極めて効率的な利用が図られるものである。CDQ、焼結工程のどちらでCaSO4になるにしても、製鉄プロセスにおける脱硫剤として有効に利用される。
【0082】
なお、プレチャンバ内部の空間の雰囲気温度が、1000℃未満の場合には、熱分解によるCaCO3→CaO+CO2反応が起こり難く(900℃以上で分解)なるほか、脱流の反応効率を高めることができないため、硫黄化合物の除去率(脱硫率)を高くできないおそれがある。一方、1100℃を超える場合には、放散熱等の熱ロスの増加によるCDQの冷却効率が下がることで、総合的な熱効率が下がってしまう。
【0083】
ここで、プレチャンバ内部の空間の一部または全部としたのは、プレチャンバ内部全体が均一な温度分布ではなく、局所的に上記温度範囲を外れていても特に問題がないためである。
【0084】
【実施例】
以下、本発明につき、実施例を挙げて説明するが、本発明がこれらに制限されるべきものでないことは言うまでもない。
【0085】
比較例1(石灰未投入例)
まず、1トンの赤熱コークスあたりおよそ5Nm3の空気がプレチャンバに入ると仮定して図1に示すCDQを用いて通常の操業を行った。上記空気は赤熱コークス投入時に上蓋103を開口した際に自然流入する空気量が5Nm3と仮定したものである(この点は、実機のCDQの運用実績からほぼ正確な自然流入量を推測して仮定した。)。また、本比較例で使用したコークス中の硫黄含有量は0.4質量%(dry)であり、揮発性物質(VM)は3%であった。また、プレチャンバ内部の空間部分は、操業中1000〜1100℃の雰囲気温度であった。この雰囲気温度は、プレチャンバ105内部の図1に示す位置に温度センサ191を設置して測定した。また、コークス炉201の装入炭の粒径は10mm以下のものを使用した。
【0086】
導入した空気5Nm3中の酸素ガス(O2)量は、1.05Nm3であり、赤熱コークス(1.13kg)と燃焼し、4.5gの硫黄(S)がガスに移行する。これにより、3.2NlのSOXが発生する。これを、図1の放散ガス抜取経路129を通じて放散される放散ガス中のSOX濃度として測定した。その結果、石灰未投入の場合の放散ガス中のSOX量は13ppm(CDQ操業中に放散されるガス中のSOX濃度の平均値)であった。
【0087】
実施例1(石灰投入例)
一方、比較例1と同様に、1トンの赤熱コークスあたりおよそ5Nm3の空気がプレチャンバに入ると仮定した。さらに図1中のプレチャンバ105の同一周囲に等間隔で設置された4個所の石灰投入口185から均等に、各投入位置で、適当な投入装置183、本実施例ではテーブルフィーダーの切り出し設備を用い、空気を搬送ガスとして用いて気流搬送によって吹き込む方式を用いて(詳しくは、切り出し設備から石灰及び搬送ガス流量を調節(変動)することで、各投入口185から同時期に同量の石灰を吹き込み、コークス表面上に均一な石灰層が形成されるように調整しながら行った。)、間欠的になされるCDQ101への赤熱コークス151の投入と投入の間に、赤熱コークス1トンあたり300gの石灰を投入した以外は、比較例1と同様に図1に示すCDQを用いて通常の操業を行った。なお、本実施例で使用したコークス中の硫黄含有量は、0.4質量%(dry)であり、揮発性物質(VM)は3%であった。また、本実施例で使用した石灰は、全量炭酸カルシウム(CaCO3)を用いた。さらに、本実施例でも、コークス炉201の装入炭には、粒径が10mm以下のものを使用したことから、本実施例で使用した石灰の粒径には、10mm以下の粒径の石灰を10質量%含有するものを用いた。詳しくは、図2に示すように、ハンマータイプ破砕機:100kg/h破砕量、200rpm、ハンマー幅10mm、ハンマー数12、出側スクリーンサイズ□50mm(目開き、正方形)による破砕物を、振動篩い:□10mmスクリーン(目開き、正方形;図2(B)のスクリーンを用いた。)、傾斜5°、水平かつ傾斜方向に直角な振動振幅10mm、振動回数30回/分で篩った結果、篩い下が10、9、10質量%(試行3回)となったことから、これらを10mm以下の粒径の石灰が10質量%のものとして、本実施例に使用した。
【0088】
本実施例では、赤熱コークス1トンあたり300gの石灰(CaCO3)を投入してCDQを操業した場合に、図1の放散ガス抜取経路129を通じて放散される放散ガス中のSOX濃度を測定した。その結果、放散ガス中のSOX量が1ppm(CDQ操業中に放散されるガス中のSOX濃度の平均値)に低減することが確認された。このことから、SOXの固定化による除去・回収率(脱硫率)は92%におよぶことが確かめられた。
【0089】
これにより、ボイラ109内部の熱交換用パイプ(水・蒸気循環パイプ)の外表面やボイラの出口部に硫黄化合物がH2SO4ないしH2SO3の形で結露することによる金属表面の酸腐食による問題が大幅に低減でき、かかる結露の具合から、比較例1に対する実施例1の方が格段に良好であった。
【0090】
実施例2
赤熱コークス151を積載したバケット車103に、赤熱コークス1トンあたり300gの石灰181b(石灰には、実施例1で用いたものと同じものを用いた。)を投入した。この場合、バケット車103滞在中(平均5分)に熱分解反応(CaCO3→CaO+CO2)がおこり、分解熱に相当すると考えられる分の蒸気が増加(0.5t/h)する。熱量から7.5%がCDQ101前で分解{蒸気増加量=(0.64−0.635)/(0.702−0.635)×100}しており、従来大気中に放散していた赤熱コークスの顕熱を石灰の分解熱として回収することができた。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、CDQ内のガス中の硫黄化合物を低減することができる。具体的には、コークス1トン当り5Nm3の空気(コークス投入時などに自然流入した空気)がプレチャンバに入ったケースでは、硫黄化合物であるSOX量が13ppmから1ppmに約92%低減する。そのため、従来、酸腐食に伴うメンテナンス回数が1回/3年であったところが、少なくとも1回/5年程度にまで低減できるため、腐食部分の補修ないし改修に要する貴重な時間、労力、経費を大幅に低減できる。また、従来では改修による研磨により、想定したよりも早く金属腐食部分が設計許容厚さを下回ることになるため、その部分を含む部品の交換が必要であったが、本発明を採用することで、装置寿命も大幅に伸ばすこともできる。また、放散されるSOX量が大幅に低減できることから、当該放散経路内に設置する放散ガスの浄化装置のランニングコストなども大幅に削減できる。
【0092】
また、CDQで冷却されたコークスは篩いにかけられ、篩上の整粒コークスは高炉に送られる一方、篩下の粉コークスは焼結工程に送られ、焼結鉱を形成するのに用いられる。すなわち焼結工程では、鉄鉱石に粉コークスと石灰を加えて焼結し、10〜20mmに整粒された焼結鉱を形成するものである。本発明では、CDQに加えた石灰が、硫黄分を石コウ(CaSO4)として固定化させてCDQから取り出し、篩い分けで、粉コークスと共に篩下に回収される。そのため、該石コウ(CaSO4)も焼結工程に用いられることから、焼結工程での石灰使用量を大幅に低減もしくは石灰を使用しなくてもよいという派生効果が得られるものである。なお、硫黄分は、本来、コークス中に含まれているものであり、これが焼結鉱側に一部移行したに過ぎず、高炉に持ち込まれる硫黄量に大差はないため、CDQのガス中から除去、回収した硫黄分は、特に後工程で別途除去するなどの余分の処理や操作を行う必要がない点でも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いることのできる代表的なCDQを模式的に表わした概略図である。
【図2】図2(A)は、バイオマスの粉砕に用いられる粉砕機の概略図であり、図2(B)〜(E)は、該粉砕機で小粒径化された石灰のみを通過させるために用いられる該粉砕機出口部に備えられた篩いの目開きの形態および目開きサイズを模式的に表わす図面であると共に、さらに粉砕機の篩いを通過した小粒径化された石灰を、本発明で規定する10mm以下の粒径の石灰の割合を規定し得るように、別途も設けられた篩い分け設備で、10mmより大きい粒子を篩上、10mm以下の粒子を篩下に分別する際の、篩いの目開きの形態および目開きのサイズを模式的に表わす図面でも有り得る。
【図3】化学工学便覧5版、279頁から抜粋した図面であって、図3(A)の▲1▼〜▲5▼は、気系流動層の流動化状態図を表わす図面であり、図3(B)は、上記▲1▼〜▲5▼でのガス空塔速度と粒子径との関係を表わすグラフである。
【符号の説明】
101…CDQ、 102…バケット車等、
103…CDQ上部の上蓋、 104…上部コークス投入口、
105…プレチャンバ(の空間部分)、 106…クーリングチャンバ、
107…循環ガス、 108…CDQ下部の取出口、
109…熱交換器(ボイラ)、 111…蒸気、
113…蒸気タービン、 115…リングダクト、
117…空気(外気)、 121…循環経路、
123…ダストキャッチャー、 125…循環ガスブロア、
127…循環ガス投入口、 129…放散ガス抜取経路、
151…赤熱コークス、 153…CDQ内のコークス、
155…CDQから取り出されたコークス、 181…石灰、
183…石灰投入装置、 185…石灰投入口、
191…温度センサ、 201…コークス炉、
301…石灰原料、 302…ハンマー型破砕機、
303…回転体、 304…ハンマー(一部)、
305…ハンマー回転方向、 306…石灰破砕物、
307…スクリーン、 308…目開き。
Claims (10)
- 石灰を、コークス乾式消火設備に投入することを特徴とするコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
- 前記石灰を、コークス乾式消火設備における赤熱コークスの投入空間であるプレチャンバに投入することを特徴とする請求項1に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
- 前記石灰を、コークス乾式消火設備における赤熱コークスの移動および投入設備であるバケットおよび/またはバケット車に投入することを特徴とする請求項1または2に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
- 前記プレチャンバ内部の空間の一部または全部が、1000〜1100℃の雰囲気温度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
- 前記石灰が、10mm以下の粒径の石灰を10質量%以上含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
- 前記石灰を、コークス1トン当り30〜650gの範囲で投入することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
- 前記石灰を、間欠的になされるコークス乾式消火装置への赤熱コークスの投入と投入の間に、および/または赤熱コークスの投入と同時にプレチャンバ内に投入することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
- 前記石灰を、コークス乾式消火設備上部のコークス投入口および/またはプレチャンバに設置された1若しくは2以上の投入口から投入することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
- 前記石灰を、窒素および/または循環ガスを搬送ガスとして用いて気流搬送によって投入することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
- 前記石灰を、コークス炉から間欠的になされるバケットおよび/またはバケット車への赤熱コークスの積載の前、積載中および/または積載後に投入することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
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