JP2004204143A - 透明性を有する生分解性樹脂組成物、およびその製造方法 - Google Patents

透明性を有する生分解性樹脂組成物、およびその製造方法 Download PDF

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明信 小上
Kazue Ueda
一恵 上田
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Abstract

【課題】透明性と耐熱性を兼備し、シート、パイプ、食品用容器、ブリスターパック容器、プレススルーパック容器、各種流動体用容器等に適用することができる生分解性ポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸を50質量%以上含有する生分解性ポリエステル樹脂100質量部と、層間に1級ないし4級アンモニウムイオン、またはホスホニウムイオンがイオン結合したヘクトライトまたはサポナイト0.1〜20質量部とからなり、1mm厚みで測定したヘーズが25%以下、かつ荷重0.98MPaにおける熱変形温度が90℃以上であることを特徴とする透明性生分解性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸を主体とする生分解性ポリエステル樹脂と層状珪酸塩からなる組成物、およびこれを用いて製造した成形体に関するものであり、特に透明性と耐熱性の両方に優れ、廃棄後も自然環境下に蓄積することがない生分解性樹脂成形体に関するものである。中でも、シートまたはパイプ、食品用容器、ブリスターパック容器、プレススルーパック容器、各種流動体用容器、および各種射出成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保全の見地からポリ乳酸をはじめとする生分解性樹脂が注目されている。生分解性樹脂のうちでポリ乳酸は透明性が良好で、かつ最も耐熱性が高い樹脂の1つであり、また大量生産可能なためコストも安いことから、有用性が高い。しかし、より高い温度において使用すると、変形するなどの問題があり、用途に制限があった。
【0003】
一般に、樹脂の耐熱性を向上させる方法として、タルクやガラス繊維、炭素繊維をはじめとする無機充填材を添加する方法がよく知られている。しかし、この方法では充填材の添加量が多くなるため、比重が大きくなる、透明性が低下する等の問題が生じ、透明性と耐熱性の両方が要求される用途においては使用することができなかった。
【0004】
一方、特許文献1には、脂肪族ポリエステルと有機化された層状珪酸塩からなる組成物およびこれらより得られるフィルムに関する技術が開示され、層状珪酸塩と複合化することにより機械的強度およびヒートシール性が向上することが示されているが、フィルム以外の成形体について検討されていないばかりでなく、ポリ乳酸樹脂に適用したときの効果は記載されていない。
また、特許文献2には、生分解性樹脂と有機化された層状珪酸塩からなる組成物が開示され、剛性および生分解速度が向上することが示されているが、特定の層状珪酸塩の種類による透明性の改良については記載されていない。
【0005】
また、特許文献3には、オニウム塩を有する有機物を挿入した層状粘土鉱物を有機物に相溶しうる熱可塑性樹脂中へ超微分散させる際、特定の条件で溶融混練することを特徴とする複合材料の製造方法が、また、特許文献4には、有機化クレイとポリマーとを混練機により溶融混練する際、特定の条件で溶融混練する高分子複合材料の製造方法が示されている。しかし、これらの先行技術では、ポリ乳酸をはじめとする生分解性樹脂に関しては検討されておらず、実際にポリ乳酸に適用しようとすると、混練が強すぎて樹脂が分解し、強度、透明性などの特性に劣るものしか得られなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−17157号公報
【特許文献2】
特開2001−89646号公報
【特許文献3】
特開平9−217012号公報層間
【特許文献4】
国際公開第99/50340号パンフレット
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決しようとするものであり、透明性および耐熱性に優れた成形体用生分解性樹脂組成物および成形体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の陽イオンが層間にイオン結合したヘクトライトまたはサポナイトが、ポリ乳酸を主体とした樹脂中に分散されてなる組成物、および特定の製造条件で製造した上記生分解性樹脂組成物、およびそれを成形してなる成形体が、透明性と耐熱性の両方に優れることを見いだし、本発明に到達した。
【0009】
すなわち本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)ポリ乳酸を50質量%以上含有する生分解性ポリエステル樹脂100質量部と、層間に1級ないし4級アンモニウムイオン、またはホスホニウムイオンがイオン結合したヘクトライトまたはサポナイト0.1〜20質量部とからなり、1mm厚みで測定したヘーズが25%以下、かつ荷重0.98MPaにおける熱変形温度が90℃以上であることを特徴とする透明性生分解性樹脂組成物。
(2)透過型電子顕微鏡で観察されるヘクトライトまたはサポナイトの平均層厚みが1〜100nm、長径が150nm以下であることを特徴とする前記(1)記載の透明性生分解性樹脂組成物。
(3)前記(1)または(2)に記載の透明性生分解性樹脂組成物を製造する方法であって、生分解性ポリエステル樹脂と層状珪酸塩とを、(樹脂の融点+80)℃以下の温度、せん断係数が70〜250の条件で溶融混練することを特徴とする透明性生分解性樹脂組成物の製造方法。
(4)前記(1)または(2)に記載の生分解性樹脂組成物を、射出成形、ブロー成形、押出成形、もしくはインフレーション成形のいずれかの方法で成形してなる透明性生分解性樹脂成形体。
(5)前記(1)または(2)に記載の生分解性樹脂組成物を、シート加工し、次いで、真空成形、圧空成形、もしくは真空圧空成形のいずれかの成形方法で成形してなる透明性生分解性樹脂成形体。
(6)前記(1)または(2)に記載の生分解性樹脂組成物で構成されたシート、パイプ、食品用容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器、プレススルーパック容器、流動体用容器、食器、容器のキャップ、事務用品、日用品、光学部品、農業・園芸用資材、玩具、電化製品用樹脂部品、または自動車用樹脂部品。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の生分解性樹脂組成物を構成する生分解性ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸を50質量%以上含有している必要があり、このポリ乳酸の含有量は、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。ポリ乳酸含有量が50質量%未満では、得られる生分解性樹脂組成物の機械的特性や透明性、耐熱性に劣る。
【0011】
本発明に用いる生分解性ポリエステル樹脂の主成分であるポリ乳酸としては、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、およびこれらの混合物または共重合体を用いることができる。
【0012】
本発明に用いられる生分解性ポリエステル樹脂は通常公知の溶融重合法により、あるいは必要に応じてさらに固相重合法を併用して製造される。本発明の生分解性ポリエステル樹脂に用いることのできる、ポリ乳酸以外の生分解性樹脂としては、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート−co−ブチレンアジペート)等に代表されるジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(3−ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(3−ヒドロキシカプロン酸)等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(ε−カプロラクトン)やポリ(δ−バレロラクトン)に代表されるポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)、さらに芳香族成分を含んでいても生分解性を示すポリ(ブチレンサクシネート−co−ブチレンテレフタレート)やポリ(ブチレンアジペート−co−ブチレンテレフタレート)の他、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート、澱粉等の多糖類等が挙げられる。これらの成分は、1種でも2種以上用いてもよく、共重合されていてもよい。また、主成分であるポリ乳酸に単に混合されていてもよいし、共重合されていてもよい。
【0013】
本発明の樹脂組成物には、ヘクトライトまたはサポナイトを配合する必要がある。これらは、いずれも層状珪酸塩の一種として分類される膨潤性層状粘土鉱物であり、スメクタイト族に属するものである。
これらは、天然品でも合成品でも使用することができるが、特に、合成ヘクトライト、合成サポナイトが好ましい。天然品の場合、産地等は特に限定されず、また、合成品の場合、その製法は溶融法、インターカレーション法、水熱法等いずれであってもよい。これらは、単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲でヘクトライト、サポナイト以外の層状珪酸塩、例えば、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母等が混合されていてもよい。
【0014】
ヘクトライトまたはサポナイトの配合量は生分解性ポリエステル樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部とすることが必要であり、好ましくは0.2〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部である。0.1質量部未満では本発明の目的とする耐熱性の改良効果が得られず、20質量部を超える場合には本発明の目的である透明性が低下するほか、成形加工性も低下する。
【0015】
本発明においてヘクトライトまたはサポナイトは、層間に、1級ないし4級アンモニウムイオンまたは、ホスホニウムイオンがイオン結合している必要がある。1級ないし3級アンモニウムイオンは、対応する1級ないし3級アミンがプロトン化したものであり、1級アミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン等が挙げられる。2級アミンとしては、ジオクチルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジオクタデシルアミン等が挙げられる。3級アミンとしては、トリオクチルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジドデシルモノメチルアミン等が挙げられる。4級アンモニウムイオンとしては、テトラエチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム、ジヒドロキシエチルメチルオクタデシルアンモニウム、メチルドデシルビス(ポリエチレングリコール)アンモニウム、メチルジエチル(ポリプロピレングリコール)アンモニウム等が挙げられる。さらに、ホスホニウムイオンとしては、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、ヘキサデシルトリブチルホスホニウム、テトラキス(ヒドキシメチル)ホスホニウム、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウム等が挙げられる。
これらのうち、ジヒドロキシエチルメチルオクタデシルアンモニウム、メチルドデシルビス(ポリエチレングリコール)アンモニウム、メチルジエチル(ポリプロピレングリコール)アンモニウム、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウム等の、分子内に水酸基を1つ以上もつアンモニウムイオンで処理した場合には、生分解性ポリエステル樹脂との親和性が高まり、ヘクトライトまたはサポナイトの分散性が向上するため特に好ましい。また、ジオクタデシルアミン、ジドデシルモノメチルアミン、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウムなど、分子内に炭素数8以上のアルキル基を2つ以上を有するアンモニウム塩やホスホニウム塩で処理した場合には、ヘクトライトまたはサポナイトの層間距離を拡大する効果が大きく、生分解性ポリエステル樹脂と混合した際のヘクトライトまたはサポナイトの分散性が向上するため好ましい。これらのイオン化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
ヘクトライトまたはサポナイトを上記アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンで処理する方法としては、特に限定されないが、例えば、まず層状珪酸塩を水またはアルコール中に分散させ、ここへ上記1級ないし3級アミンと酸(塩酸等)、または4級アンモニウム塩もしくはホスホニウム塩を添加して撹拌混合することにより、層状珪酸塩の層間の無機イオンを上記アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンとイオン交換させた後、濾別・洗浄・乾燥する方法が挙げられる。
【0017】
本発明の樹脂組成物におけるヘクトライトやサポナイトの分散状態としては、これらの層状珪酸塩の層が1枚1枚剥離した完全層間剥離型、あるいは層間に樹脂分子が挿入した層間挿入型、あるいはこれらの混合型が好ましい。定量的には、透過型電子顕微鏡で観察される層状珪酸塩の単層あるいは積層の平均厚みが1〜100nm、かつ長径が150nm以下であることが好ましい。平均厚みは1〜50nmがより好ましく、1〜20nmがさらに好ましい。また、長径は120nm以下がより好ましく、さらに好ましくは長径100nm以下である。層状珪酸塩の平均厚みが100nmを超えるか、長径が150nmを超えると、層状珪酸塩によって可視光が散乱もしくは遮蔽されやすくなり、本発明の目的である透明性が低下する傾向にある。
【0018】
本発明の樹脂組成物におけるヘクトライトやサポナイトの分散状態は、X線回折で観察される、層状珪酸塩としての層間距離によって評価することもできる。この場合、観測される層間距離は2.5nm以上であることが好ましく、より好ましくは3nm以上であり、さらに好ましくは、層間距離に由来するピークが観測されないことである。樹脂組成物中の層状珪酸塩の層間距離が2.5nm未満である場合は、層状珪酸塩粒子の粗大化の原因となり、透明性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0019】
本発明において、樹脂とヘクトライトやサポナイトの分散性を制御する方法としては、混練法においては、混練条件の変更、樹脂と層状珪酸塩の双方と親和性のある相溶化剤的な第3成分の添加、樹脂自身への極性基の導入等が挙げられる。また一般的に重合法ではより分散性を高めることができる。
【0020】
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物は、本発明の目的である透明性を達成するために、厚さ1mmにおけるヘーズが25%以下である必要がある。好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下である。ヘーズは、全光線透過率に対する拡散光線透過率の割合で示され、透明性の指標となる値であり、小さいほど透明性が良好となるものである。ヘーズが25%を超えると、容器の内容物が識別できなくなり好ましくない。
【0021】
また本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物は、耐熱性の指標である熱変形温度が90℃以上に向上している必要があり、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上である。熱変形温度が90℃未満では、例えば生分解性樹脂容器に熱湯等を注いだ場合に変形してしまうため好ましくない。
【0022】
熱変形温度を90℃以上、ヘーズ25%以下とするためには、例えば、前記したような透過型電子顕微鏡観察での平均厚みが1〜100nmかつ長径が150nm以下、またはX線回折における層間距離が2.5nm以上であればよく、こうした分散状態は、例えば後述するような混練手法を採用することによりヘクトライトやサポナイトの分散性を高めれば達成できる。
【0023】
本発明では、生分解性ポリエステル樹脂組成物の透明性をさらに向上させるために、ソルビトール化合物、安息香酸およびその金属塩、燐酸エステル金属塩、ロジン化合物等を添加してもよい。これらの添加剤は結晶核材として用いられ、結晶化速度の向上、結晶構造の微細化等の効果があり、結晶構造を微細化させることによって透明性が向上する。これらの化合物の添加方法は特に限定されるものではなく、生分解性ポリエステル樹脂組成物の製造におけるいずれの過程において添加されてもよい。好ましくは、生分解性ポリエステル樹脂の重合時、もしくは生分解性ポリエステル樹脂組成物の溶融混練時に添加される。
【0024】
上記添加剤を用いる場合には、その効果的な含有量としては、生分解性ポリエステル樹脂100質量部に対して0.01〜1質量部が好ましく、より好ましくは0.05〜0.5質量部である。
また、溶融混練によって混合する場合には、上記添加剤の融点は240℃以下であることが好ましく、より好ましくは220℃以下、さらに好ましくは210℃以下である。
【0025】
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物の製造法としては、一般的な混練機、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等を用いて生分解性ポリエステル樹脂とヘクトライトまたはサポナイトを溶融混練する方法があるが、これらの層状珪酸塩の分散性を高めるには二軸押出機を使用することが好ましい。また本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物を製造する第2の方法は、生分解性ポリエステルを形成するモノマーに対して、層状珪酸塩を所定量存在させた状態でモノマーを重合することによって生分解性ポリエステル樹脂組成物を得る方法である。
【0026】
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物の好ましい製造方法として、溶融混練時に、特定の混練条件で混練を行う方法が挙げられる。具体的には、以下の式(1)で定義されるせん断係数Fを70〜250の範囲とし、かつ樹脂温度を(樹脂の融点+80)℃以下とする方法である。せん断係数は、70〜200がより好ましく、さらに好ましくは70〜150である。また、樹脂温度は(樹脂の融点+60)℃以下とすることがより好ましく、さらに好ましくは(樹脂の融点+50)℃以下である。せん断係数が70未満であると、せん断が弱すぎて層状珪酸塩の分散状態が悪くなり、透明性、耐熱性に劣る傾向があり、せん断係数が250を超えると、せん断が強すぎて樹脂が過熱され、樹脂の分解劣化が発生し、分解生成物が透明性に悪影響を与える傾向が現れる。また、樹脂温度が(樹脂の融点+80)℃を超えると、樹脂の分解劣化が発生し、分解生成物が透明性に悪影響を与える傾向が現れる。
【0027】
F={(πDN)/H}×t (1)
F:せん断係数
D:スクリュー断面平均径(mm)
N:スクリュー回転数(rps)
H:スクリュー平均溝深さ(mm)
t:滞留時間(分)
【0028】
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物には、本発明の目的をを大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材等を添加することも可能である。熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物を使用することができる。無機充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。
【0029】
なお、本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物に上記の熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、充填材等を混合する方法は特に限定されず、生分解性ポリエステル樹脂の製造時、あるいは生分解性ポリエステル樹脂と層状珪酸塩を溶融混練する際に添加することができる。
【0030】
本発明の生分解性樹脂を成形する方法としては特に限定されず、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、およびシート加工後に真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の深絞り成形を行う方法など、公知の成形方法を採用することができ、種々の成形品を作製することができる。下記に本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物を用いて成形を行う場合の好ましい条件等を記載する。
【0031】
射出成形法としては、一般的な射出成形法を用いることができ、さらにはガス射出成形、射出プレス成形等も採用できる。射出成形時のシリンダ温度は生分解性ポリエステル樹脂のTmまたは流動開始温度以上であることが必要であり、好ましくは140〜230℃、さらに好ましくは160〜220℃の範囲である。成形温度が低すぎると成形体にショートが発生したりして成形が不安定になったり、過負荷に陥りやすく、逆に成形温度が高すぎると生分解性ポリエステル樹脂が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、着色する等の問題が発生するため好ましくない。一方、金型温度は生分解性樹脂の(Tm−20℃)以下にする必要がある。生分解性ポリエステル樹脂の耐熱性を高める目的で金型内にて結晶化を促進する場合は、(Tg+20℃)以上、(Tm−20℃)以下で所定時間保った後、Tg以下に冷却することが好ましく、逆に後結晶化する場合は、直接Tg以下に冷却した後、再度Tg以上、(Tm−20℃)以下で熱処理することが好ましい。
【0032】
生分解性ポリエステル樹脂組成物を押出成形する場合には、押出成形温度は生分解性ポリエステル樹脂組成物の融点(Tm)または流動開始温度以上であることが必要であり、好ましくは140〜230℃、さらに好ましくは160〜220℃の範囲である。成形温度が低すぎると成形が不安定になったり、過負荷に陥りやすく、逆に成形温度が高すぎるとポリ乳酸が分解し、得られる成形体(シートやパイプ等)の強度が低下したり、着色する等の問題が発生するため、好ましくない。得られた成形体の耐熱性を高める目的で、生分解性ポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、(Tm−20℃)以下で熱処理することもできる。
【0033】
真空成形、圧空成形、および真空圧空成形等の深絞り成形時の温度および熱処理温度条件としては、生分解性ポリエステル樹脂組成物の(Tg+20℃)以上、(Tm−20℃)以下であることが好ましい。深絞り温度が(Tg+20℃)未満では深絞りが困難になったり、得られる成形品(特に容器)の耐熱性が不十分となる場合があり、逆に深絞り温度が(Tm−20℃)を超えると偏肉が生じたり、配向がくずれて耐衝撃性が低下する場合がある。
【0034】
ブロー成形法としては、原料チップから直接成形を行うダイレクトブロー法や、まず射出成形で予備成形体(有底パリソン)を成形後にブロー成形を行う射出ブロー成形法、さらには延伸ブロー成形等も採用することができる。また予備成形体成形後に連続してブロー成形を行うホットパリソン法、いったん予備成形体を冷却し取り出してから再度加熱してブロー成形を行うコールドパリソン法のいずれの方法も採用できる。ブロー成形温度は(Tg+20℃)以上、(Tm−20℃)以下とすることが好ましい。ブロー成形温度が(Tg+20℃)未満では成形が困難になったり、得られる容器の耐熱性が不十分となる場合があり、逆にブロー成形温度が(Tm−20℃)を超えると偏肉が生じたり、粘度低下によりブローダウンする等の問題が発生する。
【0035】
本発明の生分解性樹脂組成物で形成することのできる成形品としては、シート、パイプ、食品用容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器、プレススルーパック容器、流動体用容器、食器、容器のキャップ、事務用品、日用品、光学部品、農業・園芸用資材、玩具、電化製品用樹脂部品、自動車用樹脂部品等が挙げられる。
【0036】
シートまたはパイプの具体的用途としては、深絞り成形用原反シート、バッチ式発泡用原反シート、クレジットカード等のカード類、下敷き、クリアファイル、ストロー、農業・園芸用硬質パイプ等が挙げられる。シートまたはパイプを製造する方法としては、押出成形法が好適であり、Tダイ法および丸ダイ法を適用することができる。
【0037】
食品用容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器、およびプレススルーパック容器については、その形態は特に限定されないが、食品、物品、および薬品等を収容するために深さ2mm以上に深絞りされていることが好ましい。容器の厚さは特に限定しないが、必要強力から考えて厚さは50μm以上、より好ましくは150μm〜2mmである。食品用容器の具体的例としては、生鮮食品のトレー、インスタント食品容器、ファーストフード容器、弁当箱等が挙げられる。農業・園芸用容器の具体例としては、育苗ポット等が挙げられる。また、ブリスターパック容器の具体的例としては、食品以外にも事務用品、玩具、乾電池等の多様な商品群の包装容器が挙げられる。また、プレススルーパック容器の具体例としては医薬品容器等が挙げられる。こうした成形体は、前記したシートを用いて真空成形、圧空成形、および真空圧空成形等の深絞り成形により製造することができる。
【0038】
流動体用容器の形態は、特に限定されないが、流動体を収容するためには深さ20mm以上に成形されていることが好ましい。容器の厚さは特に限定しないが、必要強力から考えて厚さは0.2mm以上、好ましくは0.5〜5mmである。流動体用容器の具体的例としては、乳製品や清涼飲料水および酒類等の飲料用コップおよび飲料用ボトル、醤油、ソース、マヨネーズ、ケチャップ、食用油等の調味料の一時保存容器、シャンプー・リンス等の容器、化粧品用容器、農薬用容器等が挙げられる。流動体用容器は、例えばブロー成形や射出成形法により作製することができる。
【0039】
その他の成形品として、皿、椀、鉢、箸、スプーン、フォーク、ナイフ等の食器、容器用キャップ、定規、筆記具、クリアケース、CDケース等の事務用品、台所用三角コーナー、ゴミ箱、洗面器、歯ブラシ、櫛、ハンガー等の日用品、虫眼鏡や眼鏡のレンズ等の光学部品、植木鉢、育苗ポット等の農業・園芸用資材、プラモデル等の各種玩具類、エアコンパネル、冷蔵庫トレイ、各種筐体等の電化製品用樹脂部品、バンパー、インパネ、ドアトリム等の自動車用樹脂部品等が挙げられる。これらは主として射出成形法によって得ることができる。
【0040】
【実施例】
以下本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。実施例および比較例の樹脂組成物の評価に用いた測定法は次のとおりである。
(1)ヘーズ:
JIS規格K−7136に従い、厚さ1mmの板状試験片に対して測定を行った。すなわち、生分解性ポリエステル樹脂組成物について、東芝機械製IS−80G型射出成形機を用いて、シリンダー温度190℃、金型温度15℃、サイクル時間45秒の成形条件で厚さ1mm、縦60mm、横60mmの板状試験片を作製し、日本電色工業製NDH−2000型ヘイズメーター装置を用いて測定を行った。
(2)熱変形温度:
ASTM規格D−648に準拠し、荷重0.98MPaで熱変形温度を測定した。測定に先立って、試験片に120℃で30分間の熱処理を行った。
(3)樹脂中の層状珪酸塩の平均層厚および長径:
透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM−200CX)を用い、2万倍の倍率で、層状珪酸塩の粒子が20以上観察される視野内で、各層状珪酸塩の厚みおよび長手方向の長さを目視で測定して平均値を算出した。この作業を20ヶ所の異なる視野で行い、平均値を算出して平均の層厚み、長径とした。
(4)層状珪酸塩の平均粒径:
層状珪酸塩の水分散体を試料として、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用いて平均粒径を測定した。
(5)樹脂温度:
混練装置の吐出口直後における樹脂の温度を測定し、樹脂温度とした。
【0041】
また、成形体については以下の評価を行った。
(6)透明性:
各種成形品に対し、目視で評価を行った。すなわち、トレイの蓋に関しては、トレイの内容物が確認できたものを透明性良(○)とし、確認できなかったものを透明性不良(×)とした。ボトルに関しては、内部に無色の液体を充填し、液面を識別できたものを透明性良(○)とし、できなかったものを透明性不良(×)とした。
(7)耐熱性:
各種成形品を95℃の熱水浴中に5分間沈め、トレイの蓋に関しては、縦、横、深さ方向の変形を、ボトルに関しては胴径、高さ方向の変形をそれぞれ測定し、いずれの成形品においても、変形が原形の5%未満であった場合を耐熱性良(○)とし、変形が原形の5%以上であった場合を耐熱性不良(×)とした。
【0042】
次に、実施例、比較例において用いた各種原料を示す。
(1)ポリ乳酸(以下、「PLA」と示す。):
カーギルダウ社製NatureWorks、融点170℃。
(2)乳酸/ダイマー酸/プロピレングリコール共重合体(以下、「co−PLA」と示す):
コグニス社製「エンポール1062」とプロピレングリコールから合成されたポリエステルに、L−ラクチドを加えて重合した共重合体。
(3)ヘクトライト
▲1▼ルーセンタイトSAN:層間イオンがジメチルジオクタデシルアンモニウムイオンで置換された膨潤性合成ヘクトライト(コープケミカル株式会社製、平均粒径0.1μm)。
▲2▼ルーセンタイトSEN:層間イオンがジヒドロキシエチルメチルドデシルアンモニウムイオンで置換された膨潤性合成ヘクトライト(コープケミカル株式会社製、平均粒径0.1μm)。
▲3▼ルーセンタイトSTN:層間イオンがメチルトリオクチルアンモニウムイオンで置換された膨潤性合成ヘクトライト(コープケミカル株式会社製、平均粒径0.1μm)。
▲4▼ルーセンタイトSPN:層間イオンがH(OCH2CH(CH3))25Et2MeN+で置換された膨潤性合成ヘクトライト(コープケミカル株式会社製、平均粒径0.1μm)。
▲5▼ルーセンタイトSWN:層間イオンがナトリウムである膨潤性合成ヘクトライト(コープケミカル株式会社製、平均粒径0.1μm)。
(4)サポナイト
ベントン38:層間イオンがジメチルジオクタデシルアンモニウムイオンで置換された天然のサポナイト(エレメンティス社製、平均粒径0.1μm)。
(5)モンモリロナイト
エスベンE:
層間イオンがトリメチルオクタデシルアンモニウムイオンで置換されたモンモリロナイト(株式会社ホージュン製、平均粒径2.5μm)。
(6)合成雲母
▲1▼ソマシフME100:
層間イオンナトリウム型の膨潤性合成フッ素雲母(コープケミカル株式会社製、平均粒径6.2μm)。
▲2▼ソマシフMEE:
層間イオンがジヒドロキシエチルメチルドデシルアンモニウムイオンで置換された膨潤性合成フッ素雲母(コープケミカル株式会社製、平均粒径6.3μm)
【0043】
溶融混練には、池貝製PCM−30型2軸押出機を用いた。スクリュー径は30mmφ、平均溝深さは2.5mmであった。
【0044】
実施例1(樹脂組成物A)
PLA100質量部、ルーセンタイトSAN4質量部を混合し、池貝製PCM−30を用いて、シリンダー温度190℃、スクリュー回転数200rpm(=3.3rps)、滞留時間1.6分で溶融混練をおこない、樹脂組成物Aを得た。式(1)によって算出されるせん断係数Fは199であり、樹脂温度は205℃であった。
【0045】
実施例2(樹脂組成物B)
ルーセンタイトSANの量を2質量部とした以外は、実施例1と同様の混練条件にて溶融混練を行い、樹脂組成物Bを得た。
【0046】
実施例3〜5(樹脂組成物C〜E)
ルーセンタイトSANに代えて、ルーセンタイトSEN、STN、SPNをそれぞれ4質量部用いた以外は、実施例1と同様の混練条件にて溶融混練を行い、樹脂組成物C、D、Eをそれぞれ得た。
【0047】
実施例6(樹脂組成物F)
ヘクトライトであるルーセンタイトSANに代えて、サポナイトであるベントン38を4質量部用いた以外は、実施例1と同様の混練条件にて溶融混練を行い、樹脂組成物Fを得た。
【0048】
実施例7(樹脂組成物G)
樹脂としてPLA90質量部、co−PLA10質量部の混合物を用い(両者の混合樹脂組成物としての融点は162℃であった)、ルーセンタイトSAN2質量部用いた以外は実施例1と同様の混練条件にて溶融混練を行い、樹脂組成物Gを得た。
【0049】
比較例1(樹脂組成物H)
PLAを樹脂組成物Hとし、これを試験片化して各種物性評価を行った。
【0050】
比較例2(樹脂組成物I)
ルーセンタイトSWN4質量部を用いた以外は、実施例1同様の混練条件にて溶融混練して樹脂組成物Fを得た。
【0051】
比較例3(樹脂組成物J)
ルーセンタイトSANの量を0.05質量部とした以外は、実施例1同様の混練条件にて溶融混練して樹脂組成物Jを得た。
【0052】
比較例4(樹脂組成物K)
ルーセンタイトSANの量を30質量部とした以外は、実施例1同様の混練条件にて溶融混練して樹脂組成物Kを得た。
【0053】
比較例5(樹脂組成物L)
ルーセンタイトSANに代えてエスベンEを4質量部用いた以外は、実施例1同様にして溶融混練し、樹脂組成物Lを得た。
【0054】
比較例6(樹脂組成物M)
ルーセンタイトSANに代えてソマシフMEEを4質量部用いた以外は、実施例1同様にして溶融混練し、樹脂組成物Mを得た。
【0055】
比較例7(樹脂組成物N)
ルーセンタイトSANに代えてソマシフME100を4質量部用いた以外は、実施例1同様にして溶融混練し、樹脂組成物Nを得た。
【0056】
比較例8(樹脂組成物O)
スクリュー回転数を80rpm(=1.3rps)、樹脂の滞留時間を1.2分とした以外は実施例1と同様に溶融混練して樹脂組成物Oを得た。せん断係数は59であり、樹脂温度は202℃であった。
【0057】
比較例9(樹脂組成物P)
スクリュー回転数を200rpm、樹脂の滞留時間を3分とした以外は実施例1と同様に溶融混練して樹脂組成物Pを得た。せん断係数は373であり、樹脂温度は252℃であった。
【0058】
実施例1〜7および比較例1〜9の溶融混練条件および樹脂組成物の物性をまとめて表1に示す。
【0059】
【表1】
Figure 2004204143
【0060】
実施例1〜7の樹脂組成物A〜Gは、いずれも本発明の優れた透明性と耐熱性を有していたため、後述のように成形過程を経たのちでも透明性と耐熱性を維持しながら所望の用途に使用することが可能であった。
比較例1の樹脂組成物Hは、層状珪酸塩が全く配合されていなかったので、透明性には優れたものの、熱変形温度が満足できるものでなかった。
比較例2の樹脂組成物Iは、層状珪酸塩がアミン、アンモニウム塩、ホスホニウム塩のいずれの有機カチオンも層間に結合していなかったため、層状珪酸塩の分散性に劣り、その結果透明性、耐熱性に劣っていた。
比較例3の樹脂組成物Jは、ヘクトライトの配合量が0.05質量部と本発明の範囲の下限を下回ったため、透明性には優れたものの、熱変形温度が満足できるものではなかった。
比較例4の樹脂組成物Kは、ヘクトライトの配合量が30質量部と本発明で規定する範囲の上限を上回ったため、耐熱性には優れたものの、ヘーズが満足できるものではなかった。
比較例5、6の樹脂組成物L、Mは、ヘクトライトでもサポナイトでもない層状珪酸塩(モンモリロナイトまたは合成雲母)を用いたため、耐熱性には優れていたものの、透明性に劣っていた。
比較例7の樹脂組成物Nは、層状珪酸塩が本発明とは異なり、またその層間に結合するイオンがナトリウムであったため、透明性、耐熱性ともに不十分であった。
比較例8の樹脂組成物Oは、混練時のせん断係数が59と本発明の好ましい範囲の下限より小さかったため、樹脂中の層状珪酸塩の分散が劣り、その結果ヘーズおよび熱変形温度が本発明に規定する範囲に入らず、透明性および耐熱性において満足できるものでなかった。
比較例9の樹脂組成物Pは、混練時のせん断係数が373と本発明の好ましい範囲の上限より大きかったため、樹脂が過熱し、252℃(=融点+82℃)と本発明の好ましい範囲の上限を上回った。それにより樹脂が分解劣化し、その結果ヘーズおよび熱変形温度が本発明に規定する範囲に入らず、透明性および耐熱性において満足できるものでなかった。
【0061】
実施例8〜14、比較例10〜18(シート成形+真空成形)
表2に示す樹脂組成物を用い、スクリュー径が40mmφ、L/D=36の1軸押出機を使用して、温度200℃でTダイより溶融押出し、厚さ400μmの未延伸シートを得た。ただし、比較例18に関しては、樹脂の劣化が著しく、溶融押出成形によって未延伸シートを得ることができなかった。未延伸シートが得られたものに関しては、シートを120℃に加熱した後、真空成形により縦180mm、横120mm、深さ20mmの食品用トレー蓋を作製した。得られたトレー蓋の物性を表2に示す。
【0062】
実施例15〜16、比較例19〜20(ブロー成形)
表2に示す樹脂組成物について射出ブロー成形機(日精ASB機械製ASB−50TH)を用い、シリンダ設定温度200℃で溶融して10℃の金型に充填し、30秒間冷却して4mm厚の予備成形体(有底パリソン)を得た。これを80℃の温風で加熱した後金型に入れ、圧力空気3.5MPaの条件下で縦3倍、横2.5倍にブロー成形し、内容積900mlのボトルを作製した。得られたボトルの物性を表2に示す。
【0063】
【表2】
Figure 2004204143
【0064】
実施例8〜16の成形体は、いずれも、耐熱性、透明性ともに良好なものであった。
比較例10、12および19の成形体は、材料に耐熱性の劣る樹脂組成物HもしくはJを使用したため、耐熱性において満足するものでなかった。
比較例13、14、15および20の成形体は、材料に透明性の劣る樹脂組成物K、LもしくはMを使用したため、透明性において満足するものでなかった。
比較例11、16および17の成形体は、材料に透明性、耐熱性の劣る樹脂組成物I、NもしくはOを使用したため、透明性、耐熱性において満足するものでなかった。
比較例18に関しては、樹脂組成物Pの分解劣化が著しかったため、成形ができず、評価に値するものではなかった。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、透明性及び耐熱性に優れた生分解性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体が提供される。この成形体はシートまたはパイプ、食品用容器、ブリスターパック容器、プレススルーパック容器、各種流動体用容器、および各種射出成形体等に適用することができ、廃棄する際にはコンポスト化可能であるので、ゴミの減量化、肥料としての再利用が可能となる。

Claims (9)

  1. ポリ乳酸を50質量%以上含有する生分解性ポリエステル樹脂100質量部と、層間に1級ないし4級アンモニウムイオン、またはホスホニウムイオンがイオン結合したヘクトライトまたはサポナイト0.1〜20質量部とからなり、1mm厚みで測定したヘーズが25%以下、かつ荷重0.98MPaにおける熱変形温度が90℃以上であることを特徴とする透明性生分解性樹脂組成物。
  2. 透過型電子顕微鏡で観察される層状珪酸塩の平均層厚みが1〜100nm、長径が150nm以下であることを特徴とする請求項1記載の透明性生分解性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の透明性生分解性樹脂組成物を製造する方法であって、生分解性ポリエステル樹脂と層状珪酸塩とを、(樹脂の融点+80)℃以下の温度、せん断係数が70〜250の条件で溶融混練することを特徴とする透明性生分解性樹脂組成物の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の生分解性樹脂組成物を、射出成形、ブロー成形、押出成形、もしくはインフレーション成形のいずれかの方法で成形してなる透明性生分解性樹脂成形体。
  5. 請求項1または2に記載の生分解性樹脂組成物を、シート加工し、次いで、真空成形、圧空成形、もしくは真空圧空成形のいずれかの成形方法で成形してなる透明性生分解性樹脂成形体。
  6. 請求項1または2に記載の生分解性樹脂組成物で構成されたシートまたはパイプ。
  7. 請求項1または2に記載の生分解性樹脂組成物で構成された食品用容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器、またはプレススルーパック容器。
  8. 請求項1または2に記載の生分解性樹脂組成物で構成された流動体用容器。
  9. 請求項1または2に記載の生分解性樹脂組成物で構成された食器、容器のキャップ、事務用品、日用品、光学部品、農業・園芸用資材、玩具、電化製品用樹脂部品、または自動車用樹脂部品。
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