JP2004204882A - フリクションダンパおよびこれを用いた歯車伝動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フリクションダンパでは、弾性体は、歯車の内周面に摺接するので、熱履歴等に起因する弾性力の低下により、トルクの低下が懸念される。
【解決手段】リップ13が歯車1の軸孔1a周面に接触する際のフリクションを維持するために、リブ14を、弾性体9の周方向に所定間隔で配置した構成により、歯車1の軸孔1a周面にリップ13が接触して摺動することでリップ13が加熱されて熱履歴等が発生したとしても、リップ13の弾性力の低下を抑えることができ、所定のフリクションを長期的に維持して、歯車1の異音、あるいはアイドル時の噛合打音を抑えることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】リップ13が歯車1の軸孔1a周面に接触する際のフリクションを維持するために、リブ14を、弾性体9の周方向に所定間隔で配置した構成により、歯車1の軸孔1a周面にリップ13が接触して摺動することでリップ13が加熱されて熱履歴等が発生したとしても、リップ13の弾性力の低下を抑えることができ、所定のフリクションを長期的に維持して、歯車1の異音、あるいはアイドル時の噛合打音を抑えることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車の手動変速機などの歯車伝動装置の内部における歯車からの異音発生を防止するためのフリクションダンパおよびこれを用いた歯車伝動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の変速機には、エンジンのクランク軸に常時連動して回転する歯車と、この歯車を回転自在に支持する歯車軸とが設けられている。自動車の走行時にエンジンのクランク軸の不整振動がこの歯車に伝達されると、歯車から特有の異音が発生する。
【0003】
この異音を防止するために、従来、歯車と、これを回転自在に支持する歯車軸との間に、適度のフリクションを与えることによって前記異音の発生を防止するための歯車伝動装置用フリクションダンパ(以下、単に「フリクションダンパ」という)を設けている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、図10に基づいて、従来のフリクションダンパ50の構成を説明する。
このフリクションダンパ50は、軸(スリーブ)51に圧入して嵌着される断面L字形の環状の芯金52と、この芯金52の外周面に一体に設けられて歯車53の内周面に摺接する環状の弾性体54とから構成されている。
【0005】
【特許文献1】
実公平8−1334号(第2頁,第1図,第8図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のフリクションダンパ50において、弾性体54は、歯車53の内周面に摺接するので、熱履歴等に起因する弾性力の低下により、トルクの低下が懸念される。
【0007】
そこで本発明は、上記課題を解決し得るフリクションダンパおよびこれを用いた歯車伝動装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のフリクションダンパは、軸体と、この軸体が挿通する歯車と、前記軸体と歯車との間に介装される転動体とを含んで前記軸体と歯車とが軸心回りに相対回転可能に設けられる歯車伝動装置に用いられ、前記軸体および歯車のうち固定側部材の周面に取付けられる芯金とこの芯金に一体に設けられる弾性部材とからなり、この弾性部材は、前記軸体および歯車のうち回転側部材の周面に接触して摺動するリップを有するとともに、円周方向複数箇所に該リップが回転側部材の周面の接触する際のフリクションを維持するためのリブを有している。
【0009】
上記構成のフリクションダンパは、弾性部材のリップが回転側部材の周面に摺接することにより、軸体と歯車との間に所定のフリクションを発生させるものである。
【0010】
また、上記構成のように、弾性部材の円周方向複数箇所にリップが回転側部材の周面の接触する際のフリクションを維持するためのリブを有した構成によれば、リップの弾性が劣化した場合であっても、リブの存在によって回転部材に必要なフリクションを長期的に継続して付与することができる。
【0011】
本発明のフリクションダンパでは、前記弾性部材は、前記回転部材側の円周方向複数箇所に潤滑油通路を有し、前記リブは、前記潤滑油通路間に配置されている。
【0012】
この構成のように、リブを潤滑油通路間に配置したことによれば、長期的かつ周方向で均等に回転部材に必要なフリクションを付与することができる。
【0013】
加えて、前記回転側部材の回転方向に応じて前記リブが傾斜して配置された構成によれば、長期的かつ周方向で均等に回転部材に必要なフリクションを付与することができるとともに、潤滑剤の流れを軸受側に導入し易くなる。
【0014】
本発明の歯車伝動装置は、軸体と、この軸体が挿通する歯車と、前記軸体と歯車との間に転動自在に介装される転動体と、前記軸体と歯車との間でかつ転動体の軸方向側方に配置されて前記軸体と歯車との間にフリクションを生じさせるフリクションダンパとを含み、前記軸体と歯車とが軸心回りに相対回転可能に設けられ、前記フリクションダンパは、前記軸体および歯車のうち固定側部材の周面に取付けられる芯金とこの芯金に一体に設けられる弾性部材とからなり、この弾性部材は、前記軸体および歯車のうち回転側部材の周面に接触して摺動するリップを有するとともに、円周方向複数箇所に該リップが回転側部材の周面の接触する際のフリクションを維持するためのリブが形成されている。
【0015】
このような構成を有する歯車伝動装置では、フリクションダンパのリップの弾性が劣化した場合であっても、リブの存在によって回転部材に必要なフリクションを長期的に継続して付与することができる。
【0016】
また、本発明の歯車伝動装置では、前記フリクションダンパの弾性部材は、前記回転部材側の円周方向複数箇所に潤滑油通路を有し、前記リブは、前記潤滑油通路間に配置されている。
【0017】
この構成のように、リブを潤滑油通路間に配置したことによれば、長期的かつ周方向で均等に回転部材に必要なフリクションを付与することができる。
【0018】
さらに、本発明の歯車伝動装置では、前記回転側部材の回転方向に応じて前記リブが傾斜して配置されている。
【0019】
この構成によれば、長期的かつ周方向で均等に回転部材に必要なフリクションを付与することができるとともに、潤滑剤の流れを軸受側に導入し易くなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係るフリクションダンパおよび歯車伝動装置を、図面に基づいて説明する。なお、図は、歯車伝動装置を自動車の手動変速機に用いた例を示している。
【0021】
(第一の実施形態)
図1は歯車伝動装置のフリクションダンパを含む部分の拡大断面図、図2はフリクションダンパの単体正面図、図3は図2におけるA−A線断面図、図4はフリクションダンパの単体斜視図である。
【0022】
図1において、符号1は回転側部材である歯車、符号2は非回転側部材を構成する歯車軸、符号3は歯車軸2に外嵌するスリーブを示し、歯車軸2とスリーブ3とで非回転側部材である軸体が構成されている。
【0023】
符号4は、転動体としてのニードルローラを示している。このニードルローラ4は、歯車1の軸孔1a周面を外輪軌道面とし、スリーブ3の外周面を内輪軌道面として、歯車1とスリーブ3との間を転動自在に設けられている。
【0024】
ニードルローラ4は、環状に形成された保持器5のポケット6に保持されて、歯車軸2の円周方向等配位置に複数個配置されている。
【0025】
スリーブ3と歯車1との間に所定のフリクションを生じさせることで、自動車の走行時にエンジンのクランク軸の不整振動に基づく歯車の異音、あるいはアイドル時の噛合打音を抑えるためのフリクションダンパ7が設けられている。
【0026】
このフリクションダンパ7は、スリーブ3の外周面と歯車1の内周面(軸孔周面)との間で、かつニードルローラ4の軸方向側方に配置されている。図2〜図4に示すように、このフリクションダンパ7は、環状の芯金8と、加硫ゴムからなる弾性部材9とから構成されている。
【0027】
図3に示すように、芯金8は、母材として0.6mmの厚みを有する冷間圧延鋼板:SPCC(JIS G3141)を、プレス加工によって形成されたものである。この芯金8は、スリーブ3の周面に軸方向から圧入される円筒部10と、この円筒部10の保持器5(ニードルローラ4)側位置で径方向外向きに折曲するよう一体的に形成されて、ニードルローラ4と軸方向で対向する円板部11とから形成されている。
【0028】
前記弾性体9は、芯金8の外周部に加硫プレスによって成形されるもので、芯金8の外周部に固着される固着部12と、歯車1の内周面に接触して摺動するリップ13と、複数個の断面台形状のリブ14とを一体的に有している。リップ13は所定の厚みを有して固着部12外周部に、反ニードルローラ4側に拡径するように傾斜して形成されている。また、図2および図4に示すように、リップ13の円周方向等配4箇所に、芯金8側に凹となる半円状の潤滑油通路15が、円周方向等配位置に4箇所形成されている。
【0029】
リブ14は、リップ13が歯車1の軸孔1a周面に接触する際のフリクションを維持するために設けられている。すなわちリブ14は、弾性体9の周方向に所定間隔で配置されており、具体的には、各潤滑油通路15間に二個ずつ配置されている。各リブ14は周方向に等しい長さを有し、各リブ14の周方向両端面14a,14bは、径方向Bに対して所定の角度をもって、歯車1の回転方向と同方向に傾斜するよう形成されている。
【0030】
上記構成のフリクションダンパ7は、例えば自動車の手動変速機のような歯車伝動装置における歯車1の内周面とスリーブ3(歯車軸2)との外周面との間に介装して使用するものである。
【0031】
そして、フリクションダンパ7は、歯車1の内周面とスリーブ3との外周面との間に介装した状態において、リップ13が歯車1の内周面に当接することで、リップ13はその弾性に抗してわずかに湾曲し、歯車1の内周面に摺接することで所定のフリクションを発生させる。このフリクションの発生により、自動車の走行時にエンジンのクランク軸の不整振動に基づく歯車1の異音、あるいはアイドル時の噛合打音を抑えることができる。
【0032】
ところで、上記構成のフリクションダンパ7では、歯車1の軸孔1a周面にリップ13が接触して摺動するため、リップ13は加熱される。しかし、リップ13が歯車1の軸孔1a周面に接触する際のフリクションを維持するために、リブ14を、弾性体9の周方向に所定間隔(各潤滑油通路15間に二個ずつ)で配置している。このため、使用に伴なって熱履歴等が発生したとしても、リップ13の弾性力の低下を抑えることができ、所定のフリクションを長期的に維持して、歯車1の異音、あるいはアイドル時の噛合打音を抑えることができる。
【0033】
加えて、各リブ14の周方向両端面14a,14bは、径方向Bに対して所定の角度をもって、歯車1の回転方向と同方向に傾斜するよう形成されているため、潤滑油がリブ14に沿って流れ易くなり、軸受部分を効果的に潤滑することができる。
【0034】
(第二の実施形態)
図5〜図7は、リブ14の形状を上記実施の形態とは異ならせた例を示している。図5はフリクションダンパの単体正面図、図6は図5のA−A線断面図、図7はフリクションダンパの単体斜視図である。
【0035】
この実施の形態のフリクションダンパ7におけるひと組のリブ14は、その周方向両端面14a,14bが、各潤滑油通路15間を三分割する径方向線B1,B2にそれぞれ平行に形成されている。他の構成は上記第一の実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
この第二の実施形態においても、フリクションダンパ7が、使用に伴なって熱履歴等が発生したとしても、リップ13の弾性力の低下を抑えることができ、所定のフリクションを長期的に維持して、歯車1の異音、あるいはアイドル時の噛合打音を抑えることができる。
【0037】
(第三の実施形態)
図8は、第三の実施形態を示すフリクションダンパの単体正面図、図9は、図8におけるA−A線断面図である。この第三の実施形態では、歯車1が固定側部材として用いられ、歯車軸2およびこれに外嵌するスリーブ3からなる軸体が、回転側部材として用いられる例である。
【0038】
第三の実施形態におけるフリクションダンパ20を構成する芯金21の円板部22は、円筒部23における保持器5(図1参照)側の端部から径方向内方に折曲するよう一体形成されている。
【0039】
弾性体24は、芯金21の内周部に加硫プレスによって成形されるもので、芯金21の内周部に固着される固着部25と、スリーブ3の外周面に接触して摺動するリップ26と、複数個の断面台形状のリブ27とを一体的に有している。
【0040】
このリップ26は、所定の厚みを有して固着部25内周部に、反ニードルローラ4側に縮径するように傾斜して形成されている。また、リップ26の円周方向等配4か所に、芯金21側に凹となる半円状の潤滑油通路28が形成されている。
【0041】
リブ27は、リップ26がスリーブ3の外周面に接触する際のフリクションを維持するために設けられている。すなわちリブ27は、弾性体24の周方向に所定間隔で配置されており、具体的には、各潤滑油通路28間に二個ずつ配置されている。各リブ27は周方向に等しい長さを有し、各リブ27の周方向両端面27a,27bは、径方向Bに対して所定の角度をもって、スリーブ3の回転方向と同方向に傾斜するよう形成されている。
【0042】
上記構成のフリクションダンパ20では、その芯金21の円筒部23を歯車1の内周面に嵌着する点、および弾性体24のリップ26がスリーブ3の外周面に接触する点で、上記第一の実施の形態および第二の実施の形態と異なる。
【0043】
噛合打音を抑えることができる点、安定したフリクションを付与できる点において、上記実施形態と同様である。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明によれば、リップの弾性が劣化した場合であっても、リブの存在によって回転部材に、必要なフリクションを長期的に継続して付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す歯車伝動装置のフリクションダンパを含む部分の拡大断面図である。
【図2】同じくフリクションダンパの単体正面図である。
【図3】同じく図2におけるA−A線断面図である。
【図4】同じくフリクションダンパの単体斜視図である。
【図5】本発明の第二の実施形態を示すフリクションダンパの単体正面図である。
【図6】同じく図5におけるA−A線断面図である。
【図7】同じくフリクションダンパの単体斜視図である。
【図8】本発明の第三の実施形態を示すフリクションダンパの単体正面図である。
【図9】同じく図8におけるA−A線断面図である。
【図10】従来の歯車伝動装置のフリクションダンパを含む部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 歯車
2 歯車軸
3 スリーブ
4 ニードルローラ
5 保持器
7 フリクションダンパ
8 芯金
9 弾性部材
10 円筒部
11 円板部
12 固着部
13 リップ
14 リブ
15 潤滑油通路
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車の手動変速機などの歯車伝動装置の内部における歯車からの異音発生を防止するためのフリクションダンパおよびこれを用いた歯車伝動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の変速機には、エンジンのクランク軸に常時連動して回転する歯車と、この歯車を回転自在に支持する歯車軸とが設けられている。自動車の走行時にエンジンのクランク軸の不整振動がこの歯車に伝達されると、歯車から特有の異音が発生する。
【0003】
この異音を防止するために、従来、歯車と、これを回転自在に支持する歯車軸との間に、適度のフリクションを与えることによって前記異音の発生を防止するための歯車伝動装置用フリクションダンパ(以下、単に「フリクションダンパ」という)を設けている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、図10に基づいて、従来のフリクションダンパ50の構成を説明する。
このフリクションダンパ50は、軸(スリーブ)51に圧入して嵌着される断面L字形の環状の芯金52と、この芯金52の外周面に一体に設けられて歯車53の内周面に摺接する環状の弾性体54とから構成されている。
【0005】
【特許文献1】
実公平8−1334号(第2頁,第1図,第8図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のフリクションダンパ50において、弾性体54は、歯車53の内周面に摺接するので、熱履歴等に起因する弾性力の低下により、トルクの低下が懸念される。
【0007】
そこで本発明は、上記課題を解決し得るフリクションダンパおよびこれを用いた歯車伝動装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のフリクションダンパは、軸体と、この軸体が挿通する歯車と、前記軸体と歯車との間に介装される転動体とを含んで前記軸体と歯車とが軸心回りに相対回転可能に設けられる歯車伝動装置に用いられ、前記軸体および歯車のうち固定側部材の周面に取付けられる芯金とこの芯金に一体に設けられる弾性部材とからなり、この弾性部材は、前記軸体および歯車のうち回転側部材の周面に接触して摺動するリップを有するとともに、円周方向複数箇所に該リップが回転側部材の周面の接触する際のフリクションを維持するためのリブを有している。
【0009】
上記構成のフリクションダンパは、弾性部材のリップが回転側部材の周面に摺接することにより、軸体と歯車との間に所定のフリクションを発生させるものである。
【0010】
また、上記構成のように、弾性部材の円周方向複数箇所にリップが回転側部材の周面の接触する際のフリクションを維持するためのリブを有した構成によれば、リップの弾性が劣化した場合であっても、リブの存在によって回転部材に必要なフリクションを長期的に継続して付与することができる。
【0011】
本発明のフリクションダンパでは、前記弾性部材は、前記回転部材側の円周方向複数箇所に潤滑油通路を有し、前記リブは、前記潤滑油通路間に配置されている。
【0012】
この構成のように、リブを潤滑油通路間に配置したことによれば、長期的かつ周方向で均等に回転部材に必要なフリクションを付与することができる。
【0013】
加えて、前記回転側部材の回転方向に応じて前記リブが傾斜して配置された構成によれば、長期的かつ周方向で均等に回転部材に必要なフリクションを付与することができるとともに、潤滑剤の流れを軸受側に導入し易くなる。
【0014】
本発明の歯車伝動装置は、軸体と、この軸体が挿通する歯車と、前記軸体と歯車との間に転動自在に介装される転動体と、前記軸体と歯車との間でかつ転動体の軸方向側方に配置されて前記軸体と歯車との間にフリクションを生じさせるフリクションダンパとを含み、前記軸体と歯車とが軸心回りに相対回転可能に設けられ、前記フリクションダンパは、前記軸体および歯車のうち固定側部材の周面に取付けられる芯金とこの芯金に一体に設けられる弾性部材とからなり、この弾性部材は、前記軸体および歯車のうち回転側部材の周面に接触して摺動するリップを有するとともに、円周方向複数箇所に該リップが回転側部材の周面の接触する際のフリクションを維持するためのリブが形成されている。
【0015】
このような構成を有する歯車伝動装置では、フリクションダンパのリップの弾性が劣化した場合であっても、リブの存在によって回転部材に必要なフリクションを長期的に継続して付与することができる。
【0016】
また、本発明の歯車伝動装置では、前記フリクションダンパの弾性部材は、前記回転部材側の円周方向複数箇所に潤滑油通路を有し、前記リブは、前記潤滑油通路間に配置されている。
【0017】
この構成のように、リブを潤滑油通路間に配置したことによれば、長期的かつ周方向で均等に回転部材に必要なフリクションを付与することができる。
【0018】
さらに、本発明の歯車伝動装置では、前記回転側部材の回転方向に応じて前記リブが傾斜して配置されている。
【0019】
この構成によれば、長期的かつ周方向で均等に回転部材に必要なフリクションを付与することができるとともに、潤滑剤の流れを軸受側に導入し易くなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係るフリクションダンパおよび歯車伝動装置を、図面に基づいて説明する。なお、図は、歯車伝動装置を自動車の手動変速機に用いた例を示している。
【0021】
(第一の実施形態)
図1は歯車伝動装置のフリクションダンパを含む部分の拡大断面図、図2はフリクションダンパの単体正面図、図3は図2におけるA−A線断面図、図4はフリクションダンパの単体斜視図である。
【0022】
図1において、符号1は回転側部材である歯車、符号2は非回転側部材を構成する歯車軸、符号3は歯車軸2に外嵌するスリーブを示し、歯車軸2とスリーブ3とで非回転側部材である軸体が構成されている。
【0023】
符号4は、転動体としてのニードルローラを示している。このニードルローラ4は、歯車1の軸孔1a周面を外輪軌道面とし、スリーブ3の外周面を内輪軌道面として、歯車1とスリーブ3との間を転動自在に設けられている。
【0024】
ニードルローラ4は、環状に形成された保持器5のポケット6に保持されて、歯車軸2の円周方向等配位置に複数個配置されている。
【0025】
スリーブ3と歯車1との間に所定のフリクションを生じさせることで、自動車の走行時にエンジンのクランク軸の不整振動に基づく歯車の異音、あるいはアイドル時の噛合打音を抑えるためのフリクションダンパ7が設けられている。
【0026】
このフリクションダンパ7は、スリーブ3の外周面と歯車1の内周面(軸孔周面)との間で、かつニードルローラ4の軸方向側方に配置されている。図2〜図4に示すように、このフリクションダンパ7は、環状の芯金8と、加硫ゴムからなる弾性部材9とから構成されている。
【0027】
図3に示すように、芯金8は、母材として0.6mmの厚みを有する冷間圧延鋼板:SPCC(JIS G3141)を、プレス加工によって形成されたものである。この芯金8は、スリーブ3の周面に軸方向から圧入される円筒部10と、この円筒部10の保持器5(ニードルローラ4)側位置で径方向外向きに折曲するよう一体的に形成されて、ニードルローラ4と軸方向で対向する円板部11とから形成されている。
【0028】
前記弾性体9は、芯金8の外周部に加硫プレスによって成形されるもので、芯金8の外周部に固着される固着部12と、歯車1の内周面に接触して摺動するリップ13と、複数個の断面台形状のリブ14とを一体的に有している。リップ13は所定の厚みを有して固着部12外周部に、反ニードルローラ4側に拡径するように傾斜して形成されている。また、図2および図4に示すように、リップ13の円周方向等配4箇所に、芯金8側に凹となる半円状の潤滑油通路15が、円周方向等配位置に4箇所形成されている。
【0029】
リブ14は、リップ13が歯車1の軸孔1a周面に接触する際のフリクションを維持するために設けられている。すなわちリブ14は、弾性体9の周方向に所定間隔で配置されており、具体的には、各潤滑油通路15間に二個ずつ配置されている。各リブ14は周方向に等しい長さを有し、各リブ14の周方向両端面14a,14bは、径方向Bに対して所定の角度をもって、歯車1の回転方向と同方向に傾斜するよう形成されている。
【0030】
上記構成のフリクションダンパ7は、例えば自動車の手動変速機のような歯車伝動装置における歯車1の内周面とスリーブ3(歯車軸2)との外周面との間に介装して使用するものである。
【0031】
そして、フリクションダンパ7は、歯車1の内周面とスリーブ3との外周面との間に介装した状態において、リップ13が歯車1の内周面に当接することで、リップ13はその弾性に抗してわずかに湾曲し、歯車1の内周面に摺接することで所定のフリクションを発生させる。このフリクションの発生により、自動車の走行時にエンジンのクランク軸の不整振動に基づく歯車1の異音、あるいはアイドル時の噛合打音を抑えることができる。
【0032】
ところで、上記構成のフリクションダンパ7では、歯車1の軸孔1a周面にリップ13が接触して摺動するため、リップ13は加熱される。しかし、リップ13が歯車1の軸孔1a周面に接触する際のフリクションを維持するために、リブ14を、弾性体9の周方向に所定間隔(各潤滑油通路15間に二個ずつ)で配置している。このため、使用に伴なって熱履歴等が発生したとしても、リップ13の弾性力の低下を抑えることができ、所定のフリクションを長期的に維持して、歯車1の異音、あるいはアイドル時の噛合打音を抑えることができる。
【0033】
加えて、各リブ14の周方向両端面14a,14bは、径方向Bに対して所定の角度をもって、歯車1の回転方向と同方向に傾斜するよう形成されているため、潤滑油がリブ14に沿って流れ易くなり、軸受部分を効果的に潤滑することができる。
【0034】
(第二の実施形態)
図5〜図7は、リブ14の形状を上記実施の形態とは異ならせた例を示している。図5はフリクションダンパの単体正面図、図6は図5のA−A線断面図、図7はフリクションダンパの単体斜視図である。
【0035】
この実施の形態のフリクションダンパ7におけるひと組のリブ14は、その周方向両端面14a,14bが、各潤滑油通路15間を三分割する径方向線B1,B2にそれぞれ平行に形成されている。他の構成は上記第一の実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
この第二の実施形態においても、フリクションダンパ7が、使用に伴なって熱履歴等が発生したとしても、リップ13の弾性力の低下を抑えることができ、所定のフリクションを長期的に維持して、歯車1の異音、あるいはアイドル時の噛合打音を抑えることができる。
【0037】
(第三の実施形態)
図8は、第三の実施形態を示すフリクションダンパの単体正面図、図9は、図8におけるA−A線断面図である。この第三の実施形態では、歯車1が固定側部材として用いられ、歯車軸2およびこれに外嵌するスリーブ3からなる軸体が、回転側部材として用いられる例である。
【0038】
第三の実施形態におけるフリクションダンパ20を構成する芯金21の円板部22は、円筒部23における保持器5(図1参照)側の端部から径方向内方に折曲するよう一体形成されている。
【0039】
弾性体24は、芯金21の内周部に加硫プレスによって成形されるもので、芯金21の内周部に固着される固着部25と、スリーブ3の外周面に接触して摺動するリップ26と、複数個の断面台形状のリブ27とを一体的に有している。
【0040】
このリップ26は、所定の厚みを有して固着部25内周部に、反ニードルローラ4側に縮径するように傾斜して形成されている。また、リップ26の円周方向等配4か所に、芯金21側に凹となる半円状の潤滑油通路28が形成されている。
【0041】
リブ27は、リップ26がスリーブ3の外周面に接触する際のフリクションを維持するために設けられている。すなわちリブ27は、弾性体24の周方向に所定間隔で配置されており、具体的には、各潤滑油通路28間に二個ずつ配置されている。各リブ27は周方向に等しい長さを有し、各リブ27の周方向両端面27a,27bは、径方向Bに対して所定の角度をもって、スリーブ3の回転方向と同方向に傾斜するよう形成されている。
【0042】
上記構成のフリクションダンパ20では、その芯金21の円筒部23を歯車1の内周面に嵌着する点、および弾性体24のリップ26がスリーブ3の外周面に接触する点で、上記第一の実施の形態および第二の実施の形態と異なる。
【0043】
噛合打音を抑えることができる点、安定したフリクションを付与できる点において、上記実施形態と同様である。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明によれば、リップの弾性が劣化した場合であっても、リブの存在によって回転部材に、必要なフリクションを長期的に継続して付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す歯車伝動装置のフリクションダンパを含む部分の拡大断面図である。
【図2】同じくフリクションダンパの単体正面図である。
【図3】同じく図2におけるA−A線断面図である。
【図4】同じくフリクションダンパの単体斜視図である。
【図5】本発明の第二の実施形態を示すフリクションダンパの単体正面図である。
【図6】同じく図5におけるA−A線断面図である。
【図7】同じくフリクションダンパの単体斜視図である。
【図8】本発明の第三の実施形態を示すフリクションダンパの単体正面図である。
【図9】同じく図8におけるA−A線断面図である。
【図10】従来の歯車伝動装置のフリクションダンパを含む部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 歯車
2 歯車軸
3 スリーブ
4 ニードルローラ
5 保持器
7 フリクションダンパ
8 芯金
9 弾性部材
10 円筒部
11 円板部
12 固着部
13 リップ
14 リブ
15 潤滑油通路
Claims (6)
- 軸体と、この軸体が挿通する歯車と、前記軸体と歯車との間に介装される転動体とを含んで前記軸体と歯車とが軸心回りに相対回転可能に設けられる歯車伝動装置に用いられ、
前記軸体および歯車のうち固定側部材の周面に取付けられる芯金とこの芯金に一体に設けられる弾性部材とからなり、この弾性部材は、前記軸体および歯車のうち回転側部材の周面に接触して摺動するリップを有するとともに、円周方向複数箇所に該リップが回転側部材の周面の接触する際のフリクションを維持するためのリブを有した、ことを特徴とするフリクションダンパ。 - 請求項1記載のフリクションダンパにおいて、
前記弾性部材は、前記回転部材側の円周方向複数箇所に潤滑油通路を有し、前記リブは、前記潤滑油通路間に配置された、ことを特徴とするフリクションダンパ。 - 請求項1または請求項2記載のフリクションダンパにおいて、前記回転側部材の回転方向に応じて前記リブが傾斜して配置された、ことを特徴とするフリクションダンパ。
- 軸体と、この軸体が挿通する歯車と、前記軸体と歯車との間に転動自在に介装される転動体と、前記軸体と歯車との間でかつ転動体の軸方向側方に配置されて前記軸体と歯車との間にフリクションを生じさせるフリクションダンパとを含み、前記軸体と歯車とが軸心回りに相対回転可能に設けられる歯車伝動装置であって、
前記フリクションダンパは、前記軸体および歯車のうち固定側部材の周面に取付けられる芯金とこの芯金に一体に設けられる弾性部材とからなり、この弾性部材は、前記軸体および歯車のうち回転側部材の周面に接触して摺動するリップを有するとともに、円周方向複数箇所に該リップが回転側部材の周面の接触する際のフリクションを維持するためのリブを有した、ことを特徴とする歯車伝動装置。 - 請求項4記載の歯車伝動装置において、
前記フリクションダンパの弾性部材は、前記回転部材側の円周方向複数箇所に潤滑油通路を有し、前記リブは、前記潤滑油通路間に配置された、ことを特徴とする歯車伝動装置。 - 請求項4または請求項5記載の歯車伝動装置において、
前記回転側部材の回転方向に応じて前記リブが傾斜して配置された、ことを特徴とする歯車伝動装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002372291A JP2004204882A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | フリクションダンパおよびこれを用いた歯車伝動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2002372291A JP2004204882A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | フリクションダンパおよびこれを用いた歯車伝動装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004204882A true JP2004204882A (ja) | 2004-07-22 |
Family
ID=32810936
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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| JP2002372291A Pending JP2004204882A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | フリクションダンパおよびこれを用いた歯車伝動装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004204882A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2013217480A (ja) * | 2012-04-12 | 2013-10-24 | Nok Corp | フリクションダンパ |
| WO2016035762A1 (ja) * | 2014-09-03 | 2016-03-10 | Nok株式会社 | バランスシャフト用フリクションダンパー |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002372291A patent/JP2004204882A/ja active Pending
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|---|---|---|---|---|
| JP2013217480A (ja) * | 2012-04-12 | 2013-10-24 | Nok Corp | フリクションダンパ |
| WO2016035762A1 (ja) * | 2014-09-03 | 2016-03-10 | Nok株式会社 | バランスシャフト用フリクションダンパー |
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