JP2004207065A - 色変換発光デバイスおよびその製造方法ならびに該デバイスを用いるディスプレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】経時安定性、色変換効率、製造プロセス上の問題のいずれをも犠牲にすることなく、トータルの性能を向上させた色変換発光デバイス、その製造方法、およびそれを用いたディスプレイの提供。
【解決手段】光の波長分布変換を行う色変換層と;一対の透明電極と、該一対の透明電極に挟持される有機EL層とを有する発光部と;カラーフィルタ層とをこの順に具え、該カラーフィルタ層の側から光を放射することを特徴とする色変換発光デバイス。
【選択図】 図2
【解決手段】光の波長分布変換を行う色変換層と;一対の透明電極と、該一対の透明電極に挟持される有機EL層とを有する発光部と;カラーフィルタ層とをこの順に具え、該カラーフィルタ層の側から光を放射することを特徴とする色変換発光デバイス。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長い使用寿命を可能とする色変換発光デバイスに関する。詳細には、イメージセンサー、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、テレビ、ファクシミリ、オーディオ、ビデオ、カーナビゲーション、電気卓上計算機、電話機、携帯端末機ならびに産業用計測器等の表示用の色変換発光デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報の多様化が急速に進んでいる。この中で、情報分野における表示デバイスは「美・軽・薄・優」が求められ、さらに低消費電力、高速応答化へ向けて活発な開発が進められている。
【0003】
液晶表示素子等に対して、視野角依存性および高速応答性などに優れた下記の特徴を有する有機EL素子の研究が活発に行われてきている。表示素子としての有機EL素子は、(1)高輝度および高コントラスト、(2)低電圧駆動と高い発光効率、(3)高解像度、(4)広視野角、(5)高応答速度、(6)微細化およびカラー化、(7)軽さおよび薄さ等の優れた特徴を有している。以上の点から、「美・軽・薄・優」な発光デバイスあるいはフラットパネルディスプレイへの応用が期待されている。
【0004】
車搭載用の緑色モノクロ有機ELディスプレイが、パイオニア社により1997年11月にすでに製品化されている。今後は、多様化する社会のニーズに応えるべく、長期安定性および高速応答性を有し、多色表示または高精細な多色表示が可能な有機多色ELディスプレイの実用化が急がれている。
【0005】
任意の発光色を有する有機EL発光デバイスを得る1つの方法として、CRT、プラズマディスプレイらの応用に実績を有する、発光体の発光を蛍光体により所望の色に変換する方法がある。例えば、有機EL素子の発光域の光を吸収し、波長分布変換を行って可視光域の蛍光を発光する蛍光材料をフィルタに用いる色変換方式(特許文献1〜4参照)が開示されている。有機EL素子の発光色は白色に限定されないため、より輝度の高い有機EL素子を光源に適用することができ、青色発光の有機EL素子を用いた色変換方式においては、青色光を緑色光および赤色光に波長変換している。このような蛍光色素を含む蛍光色素変換膜を高精細にパターニングすれば、発光体の近紫外光ないし可視光のような弱いエネルギー線を用いても、多色の発光型ディスプレイを構築できる。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−152897号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平5−258860号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平8−286033号公報
【0009】
【特許文献4】
特開平9−208944号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
色変換型の発光デバイスを図1に示す。図1の発光デバイスは、発光部(不透明電極1、有機EL層2および透明電極3)と、該発光部からの光の波長分布変換を行う色変換層4と、カラーフィルタ層5を備えたデバイスである。発光色としては主として青色が用いられ、色変換層における波長分布変換によって赤あるいは緑の光を出射する。色変換層4は、いわゆる色変換色素を含有し、該色素が発光部からの光50を吸収し、波長を変換して異なる波長の蛍光60を発する。長時間の使用において、色変換層4中の色変換色素は励起状態からの分解反応により徐々に分解することが知られており、結果として色変換層4の経時安定性の低下をもたらす。この経時安定性の低下を防止するための手段として種々の方法が検討されているが、そのような方法の1つとして本発明者は色変換層4を厚くすることが有効であることを見出してきた。
【0011】
しかしながら、多数の色変換発光デバイスを配列して構成される多色ディスプレイの場合には、色変換層4の厚さを各色変換発光部の幅(ピクセルの幅)に対してあまり大きくすることができない。製造プロセス上の問題あるいは視野角依存性の問題などを考慮すると、ピクセルの幅が50μmの場合に、色変換層の厚さとして考慮し得るのは高々20μmであり、10μm以下の厚さを有する色変換層を用いることが好ましい。
【0012】
また、このような膜厚を有する色変換層に充分に大きな吸収率を与えようとすると、色変換層中の色変換色素濃度を極端に高くする必要がある。極度に高濃度の色変換色素を用いる場合、濃度消光による色変換効率の低下、あるいは色変換色素の分解反応の確率の上昇による色変換効率の経時劣化が起こる。したがって、経時安定性、色変換効率、製造プロセス上の問題のいずれかをトレードオフで犠牲にしてトータルの性能を得ているのが、色変換方式の現状である。
【0013】
本発明は、経時安定性、色変換効率、製造プロセス上の問題のいずれをも犠牲にすることなく、色変換発光デバイスのトータルの性能を向上させることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様である色変換発光デバイスは、光の波長分布変換を行う色変換層と、一対の透明電極に挟持された有機EL発光層を有する発光部と、カラーフィルタ層とをこの順に積層したことを特徴とする。ここで、色変換層の発光部とは反対側に反射層をさらに設けてもよい。また、発光部とカラーフィルタ層との間に波長選択ミラーを設けてもよい。さらに、発光部とカラーフィルタ層との間に第2色変換層を設けてもよい。さらに、発光部と色変換層との間および/または発光部とカラーフィルタ層との間に、パシベーション層を設けてもよい。
【0015】
本発明の第2の態様である色変換発光デバイスの製造方法は、基板上に色変換層を積層する工程と、前記色変換層上に発光部を積層して発光/色変換部を形成する工程と、透明基板上にカラーフィルタ層を積層してカラーフィルタを形成する工程と、前記発光/色変換部と前記カラーフィルタを貼り合わせる工程とを具えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の第3の態様である色変換発光デバイスの製造方法は、基板上に色変換層を積層して色変換部を形成する工程と、透明基板上にカラーフィルタ層を積層し、前記カラーフィルタ層上に発光部を積層して発光/カラーフィルタを形成する工程と、前記色変換部と前記発光/カラーフィルタを貼り合わせる工程とを具えたことを特徴とする。
【0017】
本発明の第4の態様であるディスプレイは、光の波長分布変換を行う1つまたは複数種の色変換層と、一対の透明電極に挟持された有機EL発光層を有する発光部と、カラーフィルタ層とをこの順に積層したことを特徴とする。ここで、前記第1の透明電極はラインパターン状に分割された複数の部分電極から構成され、前記第2の透明電極はラインパターン状に分割された複数の部分電極から構成され、前記第1の透明電極のラインパターンと前記第2の透明電極のラインパターンとは直交して配列されていてもよい。あるいはまた、複数のスイッチング素子(たとえばTFT)をさらに具え、前記第1の透明電極は複数の部分電極から構成され、前記複数の部分電極のそれぞれに対して前記複数のスイッチング素子の1つが接続されていてもよい。さらに、前記1つまたは複数種の色変換層の、前記発光部とは反対の側に反射層をさらに具えてもよい。また、前記発光部と前記カラーフィルタ層との間に、1つまたは複数の第2色変換層をさらに具えていてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の色変換発光デバイスの一例を、図2に示す。図2において、色変換層4、第1透明電極7、有機EL層2、第2透明電極3、およびカラーフィルタ層5が順次積層されている。このデバイスにおいて、発光部は、第1透明電極7、有機EL発光層2および第2透明電極3から構成されている。
【0019】
本発明においては、発光部の光の取り出し方向とは反対の側に色変換層4が設けられる。発光部から色変換層4へと入射する光50は、波長分布変換が行われる。波長分布変換された出力光60は非方向選択的に放射され、発光部およびカラーフィルタ層を透過して外部へと取り出される。この構成を採ることにより、視野角依存性の低下や製造工程上の問題の発生を伴うことなしに、色変換層4を厚くしてその経時安定性を向上させることが可能となる。
【0020】
本発明の色変換層4は、マトリクス樹脂と、色変換色素とを含む。以下、色変換層4を構成する各々の材料について説明する。
【0021】
本発明の色変換色素は、発光部から発せられる近紫外領域ないし可視領域の光を吸収して波長分布変換を行い、異なる波長の可視光を蛍光として発光するものである。特に青色ないし青緑色領域の光を吸収することが好ましい。例えば、青色ないし青緑色の光を吸収して赤色領域の蛍光を発する色素、青色ないし青緑色の光を吸収して緑色領域の蛍光を発する色素、または近紫外領域ないし可視領域の光を吸収して青色の蛍光を発する色素などを、用いることができる色変換色素として挙げることができる。
【0022】
青色ないし青緑色領域の光を発光する光源を用いて、該光源からの光を単なる赤色フィルタに通して赤色領域の光を得ようとすると、元々赤色領域の波長の光が少ないために極めて暗い出力光になってしまう。しかしながら、青色ないし青緑色の光を吸収する色変換色素によって赤色領域の光に変換することにより、十分な強度を有する赤色領域の光の出力が可能となる。緑色についても同様である。また、青色に関しては、より短波長の青色光を吸収して、より長波長の好ましい色相を有する別の青色光に変換するために色変換色素を用いてもよい。あるいはまた、紫外域の光を吸収して青色光に変換する色変換色素を用いることも可能である。
【0023】
光源から発せられる青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えばローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウムパークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
【0024】
光源から発せられる青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えば3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、あるいはクマリン色素系染料であるベーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
【0025】
光源から発せられる近紫外ないし可視領域の光を吸収して、青色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えばクマリン466、クマリン47、クマリン2、およびクマリン102などのクマリン系色素が挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
【0026】
本発明のマトリクス樹脂は、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アルキッド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂およびこれらの樹脂混合物などを含む。
【0027】
あるいはまた、色変換層4をパターニングする必要がある場合には、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)を用いることができる。この場合、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)の硬化物がマトリクス樹脂として機能する。また、色変換層のパターニングを行うために、該光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、未露光の状態において有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが望ましい。
【0028】
用いることができる光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)は、具体的には、(1)アクロイル基やメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤とからなる組成物、(2)ボリビニル桂皮酸エステルと増感剤とからなる組成物、(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドとからなる組成物(ナイトレンが発生して、オレフィンを架橋させる)、および(4)エポキシ基を有するモノマーと酸発生剤とからなる組成物などを含む。特に、(1)のアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと光または熱重合開始剤とからなる組成物を用いることが好ましい。なぜなら、該組成物は高精細なパターニングが可能であり、および重合して硬化した後は耐溶剤性、耐熱性等の信頼性が高いからである。
【0029】
本発明で用いることができる光重合開始剤、増感剤および酸発生剤は、含まれる色変換色素が吸収しない波長の光によって重合を開始させるものであることが好ましい。本発明の色変換層4において、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂中の樹脂自身が光または熱により重合することが可能である場合には、光重合開始剤および熱重合開始剤を添加しないことも可能である。
【0030】
本発明の色変換層4は、マトリクス樹脂および色変換色素を含む溶液を調製し、それをスピンコート、ディップコート、ロールコート、スクリーン印刷など当該技術に知られている方法を用いて透明基板上に該溶液を塗布し、乾燥することにより形成される。
【0031】
あるいはまた、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂および色変換色素を含む溶液を調製し、該溶液を透明基板上に塗布し、引き続いて露光、パターニングを行うことにより、パターンを有して配設された色変換層4を形成することができる。該パターニングは、未露光部分の樹脂を溶解または分散させる有機溶媒またはアルカリ溶液を用いて、未露光部分の樹脂を除去するなどの慣用の方法によって実施することができる。
【0032】
本発明の色変換層4において、用いられるマトリクス樹脂1g当たり2マイクロモル以上、好ましくは6〜20マイクロモル、より好ましくは10〜14マイクロモルの色変換色素を用いることが好ましい。このような濃度範囲の蛍光色素を用いることにより、濃度消光および劣化を起こすことなく色変換を行うことが可能となる。
【0033】
本発明の色変換層4は、5μm以上、好ましくは8〜40μmの膜厚を有する。このような膜厚を有することにより、所望の強度の色変換された出力光を得ること、および経時安定性を向上させることが可能となる。
【0034】
発光部は、一対の透明電極(第1透明電極7および第2透明電極3)と、該一対の透明電極に挟持される有機EL層2とを備える。
【0035】
第1透明電極7および第2透明電極3は、有機EL層2に対して効率よく電子または正孔のいずれかを注入することとともに、有機EL層2の発光波長域および色変換層4において波長分布変換された光の波長域において透明であることが求められる。第1透明電極7および第2透明電極3は、波長400〜800nmの光に対して50%以上の透過率を有することが好ましい。
【0036】
第1透明電極7および第2透明電極3の一方は陰極、他方は陽極として機能する。第1透明電極7および第2透明電極3のいずれが陰極であってもよい。陰極として用いられる透明電極に関して、その材料は、電子を効率よく注入するために仕事関数が小さいことが求められる。さらに、有機EL層2の発光波長域および色変換層4において波長分布変換された光の波長域において透明であることが必要とされる。これら2つの特性を両立するために、透明電極を複数層からなる積層構造とすることが好ましい。なぜなら、仕事関数の小さい材料は、一般的に透明性が低いからである。すなわち、有機EL層2と接触する部位に、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属、またはこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属、その他の金属との合金や化合物の極薄膜(10nm以下)を用いる。これらの仕事関数の小さい材料を用いることにより効率のよい電子注入を可能とし、さらに極薄膜とすることによりこれら材料による透明性低下を最低限とすることが可能となる。該極薄膜の上には、ITOまたはIZOなどの透明導電膜を形成する。これらの透明導電膜は、透明電極全体の抵抗値を減少させ有機EL層2に対して充分な電流を供給することを可能にする。
【0037】
一方、陽極として用いられる透明電極に関しては、正孔注入効率を高めるために仕事関数の大きな材料を用いる必要がある。また、有機EL層2の発光波長域および色変換層4において波長分布変換された光の波長域において透明性の高い材料を用いる必要がある。したがって、この場合にはITOまたはIZOのような透明導電膜を用いることが好ましい。
【0038】
第1透明電極7および第2透明電極3は、上記の材料を蒸着、スパッタ、CVD等の方法により積層することにより形成される。パターニングが必要な場合には、マスクの使用あるいはフォトリソグラフィー法など当該技術において知られている方法を用いることができる。
【0039】
前述の有機EL層2は、近紫外から可視領域の光、好ましくは青色から青緑色領域の光を発する。その発光が色変換層4に入射して、所望される色を有する可視光へと波長分布変換される。有機EL層2は、少なくとも有機EL発光層を含み、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有する。具体的には、たとえば下記のような層構成からなるものが採用される。
(1)有機EL発光層
(2)正孔注入層/有機EL発光層
(3)有機EL発光層/電子注入層
(4)正孔注入層/有機EL発光層/電子注入層
(5)正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子注入層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子輸送層/電子注入層
(上記において、陽極は有機EL発光層または正孔注入層に接続され、陰極は有機EL発光層または電子注入層に接続される)
【0040】
上記各層の材料としては、公知のものが使用される。青色から青緑色の発光を得るためには、有機EL発光層中に、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましく使用される。また、有機EL層2は、蒸着法など当該技術において知られている任意の方法により形成することが可能である。
【0041】
カラーフィルタ層5は、色変換層4で波長分布変換された光60および有機EL層2から発せられる光50に含まれる所望の波長域の成分のみを透過させるのに用いられる層である。たとえば、有機EL層2で青緑色光を発光させ、それを色変換層4で波長分布変換した赤色光を取り出す場合には、カラーフィルタ層5は、光60の所望される波長域の赤色成分のみを透過させ、光50の青緑色成分を透過させないものである。一方、緑色光を取り出す場合には、光60の所望される波長域の緑色成分を透過させると同時に、光50に含まれる緑色成分を透過させる。青色光の場合も同様である。カラーフィルタ層5は、例えば液晶ディスプレイなどに用いられる、当該技術において知られている任意の材料を用いて形成することができる。あるいはまた、低分子の染料を蒸着することによってカラーフィルタ層5を形成してもよい。
【0042】
本発明の色変換発光デバイスの第1の変形例を図3に示す。図3のデバイスは、図2のデバイスにおいて色変換層4の発光部とは反対の側に反射層8をさらに設けたものである。発光部を発し、波長分布変換されずに色変換層4を透過した光は、反射層8にて反射されて、再び色変換層4へと入射し波長分布変換を受けることが可能となる。また、色変換層4における波長分布変換を受けて非方向選択的に放射される光の内、反射層8に向かった光は、反射層8にて反射され、色変換層4、発光部、カラーフィルタ層5を透過して、光の取り出し側から外部へと放射される。以上の効果により、反射層8は色変換発光デバイスの発光効率および色変換効率を向上させることができる。反射層8は、Al,Ag,Mo,Wなどの反射率の高い金属から形成することができる。
【0043】
本発明の色変換発光デバイスの第2の変形例を図4に示す。図4のデバイスは、図3のデバイスにおいて第2透明電極3とカラーフィルタ層5との間に波長選択ミラー9をさらに設けたものである。
【0044】
波長選択ミラー9は、発光部からの発光を選択的に反射し、色変換層4で波長分布変換された光を透過せしめるものである。波長選択ミラー9は、2種類の屈折率を有する材料の薄膜を交互に積層することによって形成することができる。高屈折および低屈折の材料としては、TiO2、SiO2、ZnS、Ta2O5、MgF2、Al2O3等を用いることができる。波長選択ミラー9は、例えば、高真空蒸着装置内にて高屈折材料および低屈折材料を交互に所望の膜厚で蒸着させることにより形成することができる。波長選択ミラー9は、発光部の発光の極大波長において50%以上の反射率および色変換層4で波長分布変換された光の極大波長において50%以上の透過率を有することが好ましい。より好ましくは、発光部の発光の極大波長において70%以上の反射率および色変換層で波長分布変換された光の極大波長において75%以上の透過率を有することが好ましい。
【0045】
このような構成を採ることにより、発光部から光の取り出し側(カラーフィルタ層5の方向)へと向かう光を波長選択ミラー9にて反射し、色変換層4へと導くことができる。そして色変換層4へと導かれた光51は、そこで波長分布変換を受けることが可能となる。したがって、色変換発光デバイスの発光効率および色変換効率を向上させることができる。
【0046】
本発明の色変換発光デバイスの第3の変形例を図5に示す。図5のデバイスは、図3のデバイスにおいて第2透明電極3とカラーフィルタ層5との間に第2色変換層4’をさらに設けたものである。第2色変換層4’は、色変換層4と同一の材料から形成することが好ましい。視野角依存性および製造上の問題を考慮すると、第2色変換層4’は、5μm以上、好ましくは8〜15μmの膜厚を有する。
【0047】
本変形例においては、発光部にて発せられた光のうち、色変換層4へと向かう光50は、色変換層4にて波長分布変換を受けて出力光60として放射され、一方第2色変換層4’へと向かう光52は、第2色変換層4’にて波長分布変換を受けて出力光62として放射される。したがって、本変形例においては発光部からの発光をより有効に利用することができ、色変換発光デバイスの発光効率および色変換効率を向上させることが可能となる。
【0048】
本発明の色変換発光デバイスは、基板上に各構成層を順次積層することによって形成することができる。各層を形成するための基板は、色変換層4に接していてもよく、あるいはカラーフィルタ層5に接していてもよい。
【0049】
基板は、積層される層の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐えるものであるべきであり、および寸法安定性に優れていることが好ましい。光の取り出し側となるカラーフィルタ層5に接する基板を用いる場合、基板は色変換層4において波長分布変換され、カラーフィルタ層5を透過した光に対して透明であることが必要である。400〜700nmの波長域の光に対して50%以上、好ましくは75%以上の透過率を有することが望ましい。そのような材料の例は、ガラス、ならびにポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート等の樹脂を含む。ホウケイ酸ガラスまたは青板ガラス等が特に好ましいものである。
【0050】
一方、色変換層4に接する基板を用いる場合、基板は、透明であっても不透明であってもよい。好ましい材料は、金属、セラミック、ガラス、ならびにポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート等の樹脂を含む。さらにこの場合には、基板が発光部からの光および色変換層において波長分布変換された光を反射することが好ましい。反射性を有する基板としては、Al,Ag,Mo,Wなどの反射率の高い金属、あるいは前述の金属を表面にコーティングしたセラミック、ガラス、樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレートなど)を用いることができる。
【0051】
本発明の第4の変形例を図6に示す。図6のデバイスは、図2のデバイスに対して、色変換層4と接する基板10を用い、色変換層4と第1透明電極7との間および第2透明電極3とカラーフィルタ層5との間にパッシベーション層11および11’をさらに設けたものである。
【0052】
パッシベーション層11および11’は、水分やアルカリに対するバリア性を有する層であり、発光部が水分またはアルカリなどに弱い場合に発光部の信頼性を向上させるのに有用である。パッシベーション層11および11’は、発光部で発せられる光および色変換層において波長分布変換された光に対して透明であることが必要であり、波長400〜800nmの光に対して20%〜95%、好ましくは60%〜95%の可視光透過率を有するべきである。パッシベーション層11および11’は、例えば、SiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOxまたはZnOxのような無機酸化物または無機窒化物から形成することができる。パッシベーション層11および11’は、単層から構成されてもよいし、複数の材料を積層したものであってもよい。また、その形成法は特に制約が無く、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法、ディップ法などの慣用の手段を用いることができる。
【0053】
本発明の色変換発光デバイスの形成は、前述の通りに1つの基板上に各構成層を順次積層して形成してもよいし、2つの基板に別個の積層体を形成し、それらを貼り合わせることによって形成してもよい。
【0054】
本発明の色変換発光デバイスの別の形成方法の第1の例を図7に示す。図7においては、最初に、基板10の上に反射層8、色変換層4、パッシベーション層11、第1透明電極7、有機EL層2、第2透明電極3およびパッシベーション層11’を積層した発光/色変換部71を形成する。反射層8ならびにパッシベーション層11および11’は任意選択的に設けてもよい層である。基板10は、前述のように不透明であっても透明であってもよく、また反射性を有してもよい。基板10が反射性を有する場合には、反射層8を省略することが可能である。別途に、透明基板12上にカラーフィルタ層5を積層したカラーフィルタ81を形成する。上記で形成した発光/色変換部71およびカラーフィルタ81を貼り合わせることにより、本発明の色変換発光デバイスを形成することができる。貼り合わせは、当該技術において知られている任意の方法で行うことが可能である。たとえば、発光/色変換部71またはカラーフィルタ81の周縁部に接着剤(紫外線硬化型接着剤など)を塗布して貼り合わせてもよい。
【0055】
本発明の色変換発光デバイスの別の形成方法の第2の例を図8に示す。図8においては、最初に、基板10の上に反射層8および色変換層4を積層した色変換部72を形成する。基板10は、前述のように不透明であっても透明であってもよく、また反射性を有してもよい。基板10が反射性を有する場合には、反射層8を省略することが可能である。別途に、透明基板12上にカラーフィルタ層5、パッシベーション層11’、第2透明電極3、有機EL層2、第1透明電極7およびパッシベーション層11を積層した発光/カラーフィルタ82を形成する。パッシベーション層11および11’は任意選択的に設けてもよい層である。上記で形成した色変換部72および発光/カラーフィルタ82を貼り合わせることにより、本発明の色変換発光デバイスを形成することができる。貼り合わせは、当該技術において知られている任意の方法で行うことが可能である。たとえば、色変換部72または発光/カラーフィルタ82の周縁部に接着剤(紫外線硬化型接着剤など)を塗布して貼り合わせてもよい。
【0056】
以上の記載においては、デバイス全面が均一に発光する例を用いて本発明を説明してきたが、1つの基板上に本発明の発光部をマトリクス状に配置してディスプレイとして用いてもよい。例えば、第1透明電極7および第2透明電極3のそれぞれを、ラインパターンを有する複数の部分電極で構成し、第1透明電極7のラインパターンと第2透明電極3とのラインパターンが直交する方向に延びるようにすることで、パッシブマトリクス駆動ディスプレイを形成することができる。
【0057】
また、図9に示すように、複数のTFT14が形成されたTFT基板13の上に各構成層を形成し、TFT14と第1透明電極7とを接続してアクティブマトリクス駆動ディスプレイを形成することもできる。TFTに代わるスイッチング素子として、MIM等の当該技術において知られているスイッチング素子を用いてもよい。TFT14と第1透明電極7との接続部は、第1透明電極7を形成する材料から形成してもよいし、導電性の高い金属(Au、Ag、Cu、Alなど)を用いて別個に形成してもよい。図9のデバイスにおいてはパッシベーション層11を用いて色変換層4による段差の平坦化を行っているが、別個の層を設けて平坦化を行ってもよいことを当業者は容易に理解するであろう。
【0058】
さらに、本発明のディスプレイとしてのデバイスにおいて、複数種の色変換層4を用いてもよい。複数種の色変換層4を形成する場合には、たとえば3原色(赤、緑、青)への波長分布変換を行う色変換層を1つの組として配列して、多色表示を行うことが可能となる。あるいはまた、ある区域のみにそれ以外の区域とは別の色変換層を設けて、いわゆるエリアカラー表示を行ってもよい。あるいはまた、模様、サイン、文字、マークなどに従って複数種の色変換層4を配設して、それらを表示するようにしてもよい。あるいはまた、微小の区域に分割された適当な面積比で配設される2種の色変換層を用いて、単独の色変換層では達成できない単一色を示すようにしてもよい。
【0059】
図10に多色表示を行うためのディスプレイの構造例を示す。図10はパッシブマトリクス駆動のディスプレイの一例であり、3つの発光部(サブピクセル)がそれぞれ赤色光、緑色光および青色光を出力する1つのピクセルを示している。ここで、第1透明電極7は図示面の垂直方向に延びるラインパターンを有し、第2透明電極3は図示面内の横方向に延びるラインパターンを有し、それら2つのラインパターンは互いに直交して配列されている。カラーフィルタ層は、それぞれ発光部の位置に対応している赤色カラーフィルタ層5R、緑色カラーフィルタ層5G、青色カラーフィルタ層5Bから構成される。各色のカラーフィルタ層の間にブラックマスク16を形成している。ブラックマスク16は、ディスプレイのコントラスト比の向上に有効である。また、赤色発光部には赤色変換層4Rが、緑色発光部には緑色変換層4Gが配置される。青色発光部に関しては、発光部から発せられる光が充分な青色成分を含む場合には、図10に示すように色変換層を設けなくてもよい。また、図10の例においては、平坦化層15を設けて各色発光部間で発生する段差を平坦化している。平坦化層15は、たとえば色変換層用のマトリクス樹脂から形成されてもよく、所望の特性を有する他の材料から形成されてもよい。好ましくは、平坦化層15はポリイミドまたはアクリル樹脂から形成される。
【0060】
各色変換層4の発光部とは反対の側に反射層をさらに設けてもよい。反射層は、マトリクス状に配列される各発光部に対応して複数に分割されていてもよいし、あるいは一体として形成されていてもよい。反射層は、Al,Ag,Mo,Wなどの反射率の高い金属から形成することができる。
【0061】
また、第2透明電極3とカラーフィルタ層5との間に1つまたは複数種の第2色変換層をさらに設けてもよい。第2色変換層は、各色変換層4の配列に対応して配列されることが好ましい。また、第2色変換層は、対応する位置の色変換層4と同一の材料から形成することが好ましい。視野角依存性および製造上の問題を考慮すると、第2色変換層は、5μm以上、好ましくは8〜15μmの膜厚を有する。
【0062】
【実施例】
(実施例1)
最初に、クマリン6(0.1質量部)、ローダミン6G(0.05質量部)、ベーシックバイオレット11(0.05質量部)を、プロピレングリコールモノエチルアセテート溶剤(120質量部)に溶解させた色変換色素溶液を調製した。該溶液に対して、100質量部の光重合性樹脂「V259PA/P5」(商品名、新日鐵化成工業株式会社)を添加して溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を、ガラス基板上にスピンコート法にて塗布し、加熱乾燥して膜厚25μmの色変換層4を形成した。
【0063】
色変換層4を形成した基板上に、スパッタ法にて膜厚300nmのSiO2を積層し、パッシベーション層11を形成した。
【0064】
次に、スパッタ法にてITOを積層して、膜厚200nmの第1透明電極7を形成した。そして、第1透明電極7を形成した基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着して、有機EL層2を形成した。有機EL層2は、正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子注入層の4層構成とした。真空槽内圧を1×10−4Paまで減圧し、厚さ100nmの銅フタロシアニン(CuPc、正孔注入層)、厚さ20nmの4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD、正孔輸送層)、厚さ30nmの4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi、有機EL発光層)、および厚さ20nmのアルミニウムトリス(8−キノリノラート)(Alq、電子注入層)を、真空を破ることなく積層して、有機EL層2を得た。さらに真空を破ることなしに、膜厚5nmのMg/Ag(質量比10:1)および膜厚0.2μmのIZOを積層して、第2透明電極7を形成した。
【0065】
さらに、スパッタ法にて膜厚300nmのSiO2を積層し、パッシベーション層11’を形成した。
【0066】
最後に、市販のカラーフィルタ材料(富士フイルムオーリン株式会社製カラーモザイクCR−7001)をスピンコート法にて塗布し、加熱乾燥することにより膜厚1.8μmのカラーフィルタ層5を形成して、色変換発光デバイスを得た。
【0067】
(実施例2)
最初に、蒸着法によって、ガラス基板1上に最初に膜厚300nmのAlを積層して、反射層8を得た。以後、実施例1と同様に、色変換層4、パッシベーション層11、第1透明電極7、有機EL層2、第2透明電極3、パッシベーション層11、カラーフィルタ層5を積層して、色変換発光デバイスを得た。
【0068】
(実施例3)
実施例1の方法に従って、パッシベーション層11’までを形成した。次に、9層のSiO2および8層のTiO2を交互に真空中で蒸着することにより、波長選択ミラー9を形成した。この波長選択ミラー9は、光が垂直に入射したときに、570nm以下の波長域の光を75%以上反射し、波長590nmの光を50%反射し、610nm以上の波長域の光を75%透過した。最後に、実施例1と同様にカラーフィルタ層5を形成して、色変換発光デバイスを得た。
【0069】
(実施例4)
実施例1の方法に従って、パッシベーション層11’までを形成した。次に、色変換層4を形成するための塗布液を用いて、膜厚10μmの第2色変換層4’を積層した。最後に、実施例1と同様にカラーフィルタ層5を形成して、色変換発光デバイスを得た。
【0070】
(比較例1)
最初に、ガラス基板上にスパッタ法にてITOを積層して、膜厚200nmの第1透明電極を形成した。次に、実施例1と同様の方法により、有機EL層、第2透明電極、およびパッシベーション層を形成した。
【0071】
次に、実施例1で用いた色変換層用の塗布液をスピンコート法にて塗布し、加熱乾燥して膜厚10μmの色変換層を形成した。
【0072】
最後に、市販のカラーフィルタ材料(富士フイルムオーリン株式会社製カラーモザイクCR−7001)をスピンコート法にて塗布し、加熱乾燥することにより膜厚300nmのカラーフィルタ層を形成して、色変換発光デバイスを得た。
【0073】
(評価)
各実施例および比較例において、一定電圧を電極間に印加した際の輝度を測定して、色変換効率の指標とした。測定電圧として、比較例1のデバイスが100cd/m2の輝度に発光する電圧を用いた。また、上記電圧において1000時間連続駆動を行った後に、各素子の輝度を測定し、経時安定性の指標とした。結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
実施例1と比較例1との初期輝度の比較から、本発明の色変換発光デバイスは、従来構造の色変換発光デバイスと同等(またはそれ以上)の色変換効率を有することが分かった。さらに色変換効率を高めるための任意選択の層を設けた実施例2〜4のデバイスにおいては、比較例1のデバイスよりも高い初期輝度が得られ、より高い色変換効率を有することが明らかとなった。
【0076】
また、1000時間連続駆動後の輝度の比較において、実施例1〜4のデバイスの輝度変化は、いずれも比較例1のデバイスの輝度変化よりも小さく、優れた経時安定性を有することが明らかとなった。なお、実施例4のデバイスの輝度変化は、実施例1〜3のものに比較して若干大きくなっている。これは、実施例4のデバイス中の第2色変換層4’の色変換効率低下に相当するものと考えられる。このことは、実施例4のデバイス中の第2色変換層4’が従来構造のものと同等の位置に配置されているために、比較例1の色変換層と同様な劣化が起こったためと考えている。
【0077】
(実施例5)
本実施例は、図10に示す多色表示ディスプレイを形成する例である。最初に、クマリン6(0.1質量部)を、プロピレングリコールモノエチルアセテート溶剤(120質量部)に溶解させた色変換色素溶液を調製した。該溶液に対して、100質量部の光重合性樹脂「V259PA/P5」(商品名、新日鐵化成工業株式会社)を添加して溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を、ガラス基板10上にスピンコート法にて塗布し、パターニングを施した後に加熱乾燥して幅0.9μm、間隔2.4μmのラインパターンを有する緑色変換層4Gを形成した。
【0078】
次に、クマリン6(0.1質量部)、ローダミン6G(0.05質量部)、ベーシックバイオレット11(0.05質量部)を、プロピレングリコールモノエチルアセテート溶剤(120質量部)に溶解させた蛍光色変換色素溶液を調製した。該溶液に対して、100質量部の光重合性樹脂「V259PA/P5」(商品名、新日鐵化成工業株式会社)を添加して溶解させ、塗布液を得た。この塗布液をガラス基板10上にスピンコート法にて塗布し、パターニングを施した後に加熱乾燥して幅0.9μm、間隔2.4μmのラインパターンを有する赤色変換層4Gを形成した。赤色変換層のラインパターンと緑色変換層のラインパターンとを、間隔0.2μmをおいて平行に配置した。
【0079】
色変換層4を形成した基板上に、シリコン系のハードコート剤「KP854」(信越化学工業製)をスピンコート法にて塗布し、加熱乾燥して平坦化層15を形成した。次に、平坦化層15の上に、マスクを用いるスパッタ法にてITOを積層して、幅0.9μm、間隔0.2μm、膜厚300nmのラインパターン状の第1透明電極7を形成した。赤色変換層のラインパターンと緑色変換層のラインパターンとが、第1透明電極のラインパターンの直下にあるように配置した。
【0080】
第1透明電極7を形成した基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着して、有機EL層2を形成した。有機EL層2は、正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子注入層の4層構成とした。真空槽内圧を1×10−4Paまで減圧し、厚さ100nmの銅フタロシアニン(CuPc、正孔注入層)、厚さ20nmの4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD、正孔輸送層)、厚さ30nmの4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi、有機EL発光層)、および厚さ20nmのアルミニウムトリス(8−キノリノラート)(Alq、電子注入層)を、真空を破ることなく積層して、有機EL層7を得た。さらに真空を破ることなしに、マスクを用いて、さらに真空を破ることなしに、膜厚5nmのMg/Ag(質量比10:1)および膜厚300nmのIZOを積層して、幅0.9μm、間隔0.2μmのラインパターン状の第2透明電極3を形成した。第2透明電極3のラインパターンと第1透明電極7のラインパターンは直交する方向に延びている。
【0081】
さらに、スパッタ法にて膜厚300nmのSiO2を積層し、パッシベーション層11’を形成した。
【0082】
そして、市販のカラーフィルタ材料(富士フイルムオーリン株式会社製カラーモザイクCR−7001)をスピンコート法にて塗布し、パターニングを施した後に加熱乾燥して、2.4μmの間隔をおいて配置される0.9μm×0.9μmの複数の部分から構成される膜厚2μmの赤色カラーフィルタ層5Rを形成した。同様に、市販のカラーフィルタ材料(富士フイルムオーリン株式会社製カラーモザイクCG−7001(緑)、富士フイルムオーリン株式会社製カラーモザイクCB−7001(青)、富士フイルムARCH製CK8400L(ブラックマスク))を用いて、それぞれ膜厚2μmの緑色カラーフィルタ層5G、青色カラーフィルタ層5Bおよびブラックマスク16を形成して多色表示ディスプレイを得た。得られたディスプレイは、小さい視野角依存性および優れた経時安定性を示した。
【0083】
【発明の効果】
発光部の光の取り出し方向とは反対側に色変換層を配置する本発明の構成を採ることにより、経時安定性の向上した色変換発光デバイスを得ることができた。また、本発明の色変換発光デバイスは、従来構造の色変換発光デバイスと同等以上の色変換効率を有し、また容易に製造することが可能であった。さらに本発明の色変換発光デバイスをマトリクス状に配置して形成されるディスプレイは、優れた視野角依存性を示した。以上のように、本発明によれば、経時安定性、色変換効率、製造プロセス上の問題のいずれをも犠牲にすることなく、トータルの性能を向上させた色変換発光デバイスを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の色変換発光デバイスを示す概略断面図である。
【図2】本発明の色変換発光デバイスの概略断面図である。
【図3】本発明の色変換発光デバイスの第1の変形例の概略断面図である。
【図4】本発明の色変換発光デバイスの第2の変形例の概略断面図である。
【図5】本発明の色変換発光デバイスの第3の変形例の概略断面図である。
【図6】本発明の色変換発光デバイスの第4の変形例の概略断面図である。
【図7】本発明の色変換発光デバイスの形成方法を説明する概略断面図である。
【図8】本発明の色変換発光デバイスの形成方法を説明する概略断面図である。
【図9】本発明の色変換発光デバイスから構成されるアクティブマトリクス駆動ディスプレイを示す概略断面図である。
【図10】本発明の色変換発光デバイスから構成されるパッシブマトリクス駆動多色表示ディスプレイを示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 不透明電極
2 有機EL層
3 第2透明電極
4(R,G) 色変換層
4’ 第2色変換層
5(R,G,B) カラーフィルタ層
7 第1透明電極
8 反射層
9 波長選択ミラー
10 基板
11,11’ パッシベーション層
12 透明基板
13 TFT基板
14 TFT
15 平坦化層
16 ブラックマスク
50,51,52,60,62 光
71 発光/色変換部
72 色変換部
81 カラーフィルタ
82 発光/カラーフィルタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、長い使用寿命を可能とする色変換発光デバイスに関する。詳細には、イメージセンサー、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、テレビ、ファクシミリ、オーディオ、ビデオ、カーナビゲーション、電気卓上計算機、電話機、携帯端末機ならびに産業用計測器等の表示用の色変換発光デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報の多様化が急速に進んでいる。この中で、情報分野における表示デバイスは「美・軽・薄・優」が求められ、さらに低消費電力、高速応答化へ向けて活発な開発が進められている。
【0003】
液晶表示素子等に対して、視野角依存性および高速応答性などに優れた下記の特徴を有する有機EL素子の研究が活発に行われてきている。表示素子としての有機EL素子は、(1)高輝度および高コントラスト、(2)低電圧駆動と高い発光効率、(3)高解像度、(4)広視野角、(5)高応答速度、(6)微細化およびカラー化、(7)軽さおよび薄さ等の優れた特徴を有している。以上の点から、「美・軽・薄・優」な発光デバイスあるいはフラットパネルディスプレイへの応用が期待されている。
【0004】
車搭載用の緑色モノクロ有機ELディスプレイが、パイオニア社により1997年11月にすでに製品化されている。今後は、多様化する社会のニーズに応えるべく、長期安定性および高速応答性を有し、多色表示または高精細な多色表示が可能な有機多色ELディスプレイの実用化が急がれている。
【0005】
任意の発光色を有する有機EL発光デバイスを得る1つの方法として、CRT、プラズマディスプレイらの応用に実績を有する、発光体の発光を蛍光体により所望の色に変換する方法がある。例えば、有機EL素子の発光域の光を吸収し、波長分布変換を行って可視光域の蛍光を発光する蛍光材料をフィルタに用いる色変換方式(特許文献1〜4参照)が開示されている。有機EL素子の発光色は白色に限定されないため、より輝度の高い有機EL素子を光源に適用することができ、青色発光の有機EL素子を用いた色変換方式においては、青色光を緑色光および赤色光に波長変換している。このような蛍光色素を含む蛍光色素変換膜を高精細にパターニングすれば、発光体の近紫外光ないし可視光のような弱いエネルギー線を用いても、多色の発光型ディスプレイを構築できる。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−152897号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平5−258860号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平8−286033号公報
【0009】
【特許文献4】
特開平9−208944号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
色変換型の発光デバイスを図1に示す。図1の発光デバイスは、発光部(不透明電極1、有機EL層2および透明電極3)と、該発光部からの光の波長分布変換を行う色変換層4と、カラーフィルタ層5を備えたデバイスである。発光色としては主として青色が用いられ、色変換層における波長分布変換によって赤あるいは緑の光を出射する。色変換層4は、いわゆる色変換色素を含有し、該色素が発光部からの光50を吸収し、波長を変換して異なる波長の蛍光60を発する。長時間の使用において、色変換層4中の色変換色素は励起状態からの分解反応により徐々に分解することが知られており、結果として色変換層4の経時安定性の低下をもたらす。この経時安定性の低下を防止するための手段として種々の方法が検討されているが、そのような方法の1つとして本発明者は色変換層4を厚くすることが有効であることを見出してきた。
【0011】
しかしながら、多数の色変換発光デバイスを配列して構成される多色ディスプレイの場合には、色変換層4の厚さを各色変換発光部の幅(ピクセルの幅)に対してあまり大きくすることができない。製造プロセス上の問題あるいは視野角依存性の問題などを考慮すると、ピクセルの幅が50μmの場合に、色変換層の厚さとして考慮し得るのは高々20μmであり、10μm以下の厚さを有する色変換層を用いることが好ましい。
【0012】
また、このような膜厚を有する色変換層に充分に大きな吸収率を与えようとすると、色変換層中の色変換色素濃度を極端に高くする必要がある。極度に高濃度の色変換色素を用いる場合、濃度消光による色変換効率の低下、あるいは色変換色素の分解反応の確率の上昇による色変換効率の経時劣化が起こる。したがって、経時安定性、色変換効率、製造プロセス上の問題のいずれかをトレードオフで犠牲にしてトータルの性能を得ているのが、色変換方式の現状である。
【0013】
本発明は、経時安定性、色変換効率、製造プロセス上の問題のいずれをも犠牲にすることなく、色変換発光デバイスのトータルの性能を向上させることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様である色変換発光デバイスは、光の波長分布変換を行う色変換層と、一対の透明電極に挟持された有機EL発光層を有する発光部と、カラーフィルタ層とをこの順に積層したことを特徴とする。ここで、色変換層の発光部とは反対側に反射層をさらに設けてもよい。また、発光部とカラーフィルタ層との間に波長選択ミラーを設けてもよい。さらに、発光部とカラーフィルタ層との間に第2色変換層を設けてもよい。さらに、発光部と色変換層との間および/または発光部とカラーフィルタ層との間に、パシベーション層を設けてもよい。
【0015】
本発明の第2の態様である色変換発光デバイスの製造方法は、基板上に色変換層を積層する工程と、前記色変換層上に発光部を積層して発光/色変換部を形成する工程と、透明基板上にカラーフィルタ層を積層してカラーフィルタを形成する工程と、前記発光/色変換部と前記カラーフィルタを貼り合わせる工程とを具えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の第3の態様である色変換発光デバイスの製造方法は、基板上に色変換層を積層して色変換部を形成する工程と、透明基板上にカラーフィルタ層を積層し、前記カラーフィルタ層上に発光部を積層して発光/カラーフィルタを形成する工程と、前記色変換部と前記発光/カラーフィルタを貼り合わせる工程とを具えたことを特徴とする。
【0017】
本発明の第4の態様であるディスプレイは、光の波長分布変換を行う1つまたは複数種の色変換層と、一対の透明電極に挟持された有機EL発光層を有する発光部と、カラーフィルタ層とをこの順に積層したことを特徴とする。ここで、前記第1の透明電極はラインパターン状に分割された複数の部分電極から構成され、前記第2の透明電極はラインパターン状に分割された複数の部分電極から構成され、前記第1の透明電極のラインパターンと前記第2の透明電極のラインパターンとは直交して配列されていてもよい。あるいはまた、複数のスイッチング素子(たとえばTFT)をさらに具え、前記第1の透明電極は複数の部分電極から構成され、前記複数の部分電極のそれぞれに対して前記複数のスイッチング素子の1つが接続されていてもよい。さらに、前記1つまたは複数種の色変換層の、前記発光部とは反対の側に反射層をさらに具えてもよい。また、前記発光部と前記カラーフィルタ層との間に、1つまたは複数の第2色変換層をさらに具えていてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の色変換発光デバイスの一例を、図2に示す。図2において、色変換層4、第1透明電極7、有機EL層2、第2透明電極3、およびカラーフィルタ層5が順次積層されている。このデバイスにおいて、発光部は、第1透明電極7、有機EL発光層2および第2透明電極3から構成されている。
【0019】
本発明においては、発光部の光の取り出し方向とは反対の側に色変換層4が設けられる。発光部から色変換層4へと入射する光50は、波長分布変換が行われる。波長分布変換された出力光60は非方向選択的に放射され、発光部およびカラーフィルタ層を透過して外部へと取り出される。この構成を採ることにより、視野角依存性の低下や製造工程上の問題の発生を伴うことなしに、色変換層4を厚くしてその経時安定性を向上させることが可能となる。
【0020】
本発明の色変換層4は、マトリクス樹脂と、色変換色素とを含む。以下、色変換層4を構成する各々の材料について説明する。
【0021】
本発明の色変換色素は、発光部から発せられる近紫外領域ないし可視領域の光を吸収して波長分布変換を行い、異なる波長の可視光を蛍光として発光するものである。特に青色ないし青緑色領域の光を吸収することが好ましい。例えば、青色ないし青緑色の光を吸収して赤色領域の蛍光を発する色素、青色ないし青緑色の光を吸収して緑色領域の蛍光を発する色素、または近紫外領域ないし可視領域の光を吸収して青色の蛍光を発する色素などを、用いることができる色変換色素として挙げることができる。
【0022】
青色ないし青緑色領域の光を発光する光源を用いて、該光源からの光を単なる赤色フィルタに通して赤色領域の光を得ようとすると、元々赤色領域の波長の光が少ないために極めて暗い出力光になってしまう。しかしながら、青色ないし青緑色の光を吸収する色変換色素によって赤色領域の光に変換することにより、十分な強度を有する赤色領域の光の出力が可能となる。緑色についても同様である。また、青色に関しては、より短波長の青色光を吸収して、より長波長の好ましい色相を有する別の青色光に変換するために色変換色素を用いてもよい。あるいはまた、紫外域の光を吸収して青色光に変換する色変換色素を用いることも可能である。
【0023】
光源から発せられる青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えばローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウムパークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
【0024】
光源から発せられる青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えば3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、あるいはクマリン色素系染料であるベーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
【0025】
光源から発せられる近紫外ないし可視領域の光を吸収して、青色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えばクマリン466、クマリン47、クマリン2、およびクマリン102などのクマリン系色素が挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
【0026】
本発明のマトリクス樹脂は、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アルキッド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂およびこれらの樹脂混合物などを含む。
【0027】
あるいはまた、色変換層4をパターニングする必要がある場合には、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)を用いることができる。この場合、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)の硬化物がマトリクス樹脂として機能する。また、色変換層のパターニングを行うために、該光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、未露光の状態において有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが望ましい。
【0028】
用いることができる光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)は、具体的には、(1)アクロイル基やメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤とからなる組成物、(2)ボリビニル桂皮酸エステルと増感剤とからなる組成物、(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドとからなる組成物(ナイトレンが発生して、オレフィンを架橋させる)、および(4)エポキシ基を有するモノマーと酸発生剤とからなる組成物などを含む。特に、(1)のアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと光または熱重合開始剤とからなる組成物を用いることが好ましい。なぜなら、該組成物は高精細なパターニングが可能であり、および重合して硬化した後は耐溶剤性、耐熱性等の信頼性が高いからである。
【0029】
本発明で用いることができる光重合開始剤、増感剤および酸発生剤は、含まれる色変換色素が吸収しない波長の光によって重合を開始させるものであることが好ましい。本発明の色変換層4において、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂中の樹脂自身が光または熱により重合することが可能である場合には、光重合開始剤および熱重合開始剤を添加しないことも可能である。
【0030】
本発明の色変換層4は、マトリクス樹脂および色変換色素を含む溶液を調製し、それをスピンコート、ディップコート、ロールコート、スクリーン印刷など当該技術に知られている方法を用いて透明基板上に該溶液を塗布し、乾燥することにより形成される。
【0031】
あるいはまた、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂および色変換色素を含む溶液を調製し、該溶液を透明基板上に塗布し、引き続いて露光、パターニングを行うことにより、パターンを有して配設された色変換層4を形成することができる。該パターニングは、未露光部分の樹脂を溶解または分散させる有機溶媒またはアルカリ溶液を用いて、未露光部分の樹脂を除去するなどの慣用の方法によって実施することができる。
【0032】
本発明の色変換層4において、用いられるマトリクス樹脂1g当たり2マイクロモル以上、好ましくは6〜20マイクロモル、より好ましくは10〜14マイクロモルの色変換色素を用いることが好ましい。このような濃度範囲の蛍光色素を用いることにより、濃度消光および劣化を起こすことなく色変換を行うことが可能となる。
【0033】
本発明の色変換層4は、5μm以上、好ましくは8〜40μmの膜厚を有する。このような膜厚を有することにより、所望の強度の色変換された出力光を得ること、および経時安定性を向上させることが可能となる。
【0034】
発光部は、一対の透明電極(第1透明電極7および第2透明電極3)と、該一対の透明電極に挟持される有機EL層2とを備える。
【0035】
第1透明電極7および第2透明電極3は、有機EL層2に対して効率よく電子または正孔のいずれかを注入することとともに、有機EL層2の発光波長域および色変換層4において波長分布変換された光の波長域において透明であることが求められる。第1透明電極7および第2透明電極3は、波長400〜800nmの光に対して50%以上の透過率を有することが好ましい。
【0036】
第1透明電極7および第2透明電極3の一方は陰極、他方は陽極として機能する。第1透明電極7および第2透明電極3のいずれが陰極であってもよい。陰極として用いられる透明電極に関して、その材料は、電子を効率よく注入するために仕事関数が小さいことが求められる。さらに、有機EL層2の発光波長域および色変換層4において波長分布変換された光の波長域において透明であることが必要とされる。これら2つの特性を両立するために、透明電極を複数層からなる積層構造とすることが好ましい。なぜなら、仕事関数の小さい材料は、一般的に透明性が低いからである。すなわち、有機EL層2と接触する部位に、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属、またはこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属、その他の金属との合金や化合物の極薄膜(10nm以下)を用いる。これらの仕事関数の小さい材料を用いることにより効率のよい電子注入を可能とし、さらに極薄膜とすることによりこれら材料による透明性低下を最低限とすることが可能となる。該極薄膜の上には、ITOまたはIZOなどの透明導電膜を形成する。これらの透明導電膜は、透明電極全体の抵抗値を減少させ有機EL層2に対して充分な電流を供給することを可能にする。
【0037】
一方、陽極として用いられる透明電極に関しては、正孔注入効率を高めるために仕事関数の大きな材料を用いる必要がある。また、有機EL層2の発光波長域および色変換層4において波長分布変換された光の波長域において透明性の高い材料を用いる必要がある。したがって、この場合にはITOまたはIZOのような透明導電膜を用いることが好ましい。
【0038】
第1透明電極7および第2透明電極3は、上記の材料を蒸着、スパッタ、CVD等の方法により積層することにより形成される。パターニングが必要な場合には、マスクの使用あるいはフォトリソグラフィー法など当該技術において知られている方法を用いることができる。
【0039】
前述の有機EL層2は、近紫外から可視領域の光、好ましくは青色から青緑色領域の光を発する。その発光が色変換層4に入射して、所望される色を有する可視光へと波長分布変換される。有機EL層2は、少なくとも有機EL発光層を含み、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有する。具体的には、たとえば下記のような層構成からなるものが採用される。
(1)有機EL発光層
(2)正孔注入層/有機EL発光層
(3)有機EL発光層/電子注入層
(4)正孔注入層/有機EL発光層/電子注入層
(5)正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子注入層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子輸送層/電子注入層
(上記において、陽極は有機EL発光層または正孔注入層に接続され、陰極は有機EL発光層または電子注入層に接続される)
【0040】
上記各層の材料としては、公知のものが使用される。青色から青緑色の発光を得るためには、有機EL発光層中に、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましく使用される。また、有機EL層2は、蒸着法など当該技術において知られている任意の方法により形成することが可能である。
【0041】
カラーフィルタ層5は、色変換層4で波長分布変換された光60および有機EL層2から発せられる光50に含まれる所望の波長域の成分のみを透過させるのに用いられる層である。たとえば、有機EL層2で青緑色光を発光させ、それを色変換層4で波長分布変換した赤色光を取り出す場合には、カラーフィルタ層5は、光60の所望される波長域の赤色成分のみを透過させ、光50の青緑色成分を透過させないものである。一方、緑色光を取り出す場合には、光60の所望される波長域の緑色成分を透過させると同時に、光50に含まれる緑色成分を透過させる。青色光の場合も同様である。カラーフィルタ層5は、例えば液晶ディスプレイなどに用いられる、当該技術において知られている任意の材料を用いて形成することができる。あるいはまた、低分子の染料を蒸着することによってカラーフィルタ層5を形成してもよい。
【0042】
本発明の色変換発光デバイスの第1の変形例を図3に示す。図3のデバイスは、図2のデバイスにおいて色変換層4の発光部とは反対の側に反射層8をさらに設けたものである。発光部を発し、波長分布変換されずに色変換層4を透過した光は、反射層8にて反射されて、再び色変換層4へと入射し波長分布変換を受けることが可能となる。また、色変換層4における波長分布変換を受けて非方向選択的に放射される光の内、反射層8に向かった光は、反射層8にて反射され、色変換層4、発光部、カラーフィルタ層5を透過して、光の取り出し側から外部へと放射される。以上の効果により、反射層8は色変換発光デバイスの発光効率および色変換効率を向上させることができる。反射層8は、Al,Ag,Mo,Wなどの反射率の高い金属から形成することができる。
【0043】
本発明の色変換発光デバイスの第2の変形例を図4に示す。図4のデバイスは、図3のデバイスにおいて第2透明電極3とカラーフィルタ層5との間に波長選択ミラー9をさらに設けたものである。
【0044】
波長選択ミラー9は、発光部からの発光を選択的に反射し、色変換層4で波長分布変換された光を透過せしめるものである。波長選択ミラー9は、2種類の屈折率を有する材料の薄膜を交互に積層することによって形成することができる。高屈折および低屈折の材料としては、TiO2、SiO2、ZnS、Ta2O5、MgF2、Al2O3等を用いることができる。波長選択ミラー9は、例えば、高真空蒸着装置内にて高屈折材料および低屈折材料を交互に所望の膜厚で蒸着させることにより形成することができる。波長選択ミラー9は、発光部の発光の極大波長において50%以上の反射率および色変換層4で波長分布変換された光の極大波長において50%以上の透過率を有することが好ましい。より好ましくは、発光部の発光の極大波長において70%以上の反射率および色変換層で波長分布変換された光の極大波長において75%以上の透過率を有することが好ましい。
【0045】
このような構成を採ることにより、発光部から光の取り出し側(カラーフィルタ層5の方向)へと向かう光を波長選択ミラー9にて反射し、色変換層4へと導くことができる。そして色変換層4へと導かれた光51は、そこで波長分布変換を受けることが可能となる。したがって、色変換発光デバイスの発光効率および色変換効率を向上させることができる。
【0046】
本発明の色変換発光デバイスの第3の変形例を図5に示す。図5のデバイスは、図3のデバイスにおいて第2透明電極3とカラーフィルタ層5との間に第2色変換層4’をさらに設けたものである。第2色変換層4’は、色変換層4と同一の材料から形成することが好ましい。視野角依存性および製造上の問題を考慮すると、第2色変換層4’は、5μm以上、好ましくは8〜15μmの膜厚を有する。
【0047】
本変形例においては、発光部にて発せられた光のうち、色変換層4へと向かう光50は、色変換層4にて波長分布変換を受けて出力光60として放射され、一方第2色変換層4’へと向かう光52は、第2色変換層4’にて波長分布変換を受けて出力光62として放射される。したがって、本変形例においては発光部からの発光をより有効に利用することができ、色変換発光デバイスの発光効率および色変換効率を向上させることが可能となる。
【0048】
本発明の色変換発光デバイスは、基板上に各構成層を順次積層することによって形成することができる。各層を形成するための基板は、色変換層4に接していてもよく、あるいはカラーフィルタ層5に接していてもよい。
【0049】
基板は、積層される層の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐えるものであるべきであり、および寸法安定性に優れていることが好ましい。光の取り出し側となるカラーフィルタ層5に接する基板を用いる場合、基板は色変換層4において波長分布変換され、カラーフィルタ層5を透過した光に対して透明であることが必要である。400〜700nmの波長域の光に対して50%以上、好ましくは75%以上の透過率を有することが望ましい。そのような材料の例は、ガラス、ならびにポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート等の樹脂を含む。ホウケイ酸ガラスまたは青板ガラス等が特に好ましいものである。
【0050】
一方、色変換層4に接する基板を用いる場合、基板は、透明であっても不透明であってもよい。好ましい材料は、金属、セラミック、ガラス、ならびにポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート等の樹脂を含む。さらにこの場合には、基板が発光部からの光および色変換層において波長分布変換された光を反射することが好ましい。反射性を有する基板としては、Al,Ag,Mo,Wなどの反射率の高い金属、あるいは前述の金属を表面にコーティングしたセラミック、ガラス、樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレートなど)を用いることができる。
【0051】
本発明の第4の変形例を図6に示す。図6のデバイスは、図2のデバイスに対して、色変換層4と接する基板10を用い、色変換層4と第1透明電極7との間および第2透明電極3とカラーフィルタ層5との間にパッシベーション層11および11’をさらに設けたものである。
【0052】
パッシベーション層11および11’は、水分やアルカリに対するバリア性を有する層であり、発光部が水分またはアルカリなどに弱い場合に発光部の信頼性を向上させるのに有用である。パッシベーション層11および11’は、発光部で発せられる光および色変換層において波長分布変換された光に対して透明であることが必要であり、波長400〜800nmの光に対して20%〜95%、好ましくは60%〜95%の可視光透過率を有するべきである。パッシベーション層11および11’は、例えば、SiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOxまたはZnOxのような無機酸化物または無機窒化物から形成することができる。パッシベーション層11および11’は、単層から構成されてもよいし、複数の材料を積層したものであってもよい。また、その形成法は特に制約が無く、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法、ディップ法などの慣用の手段を用いることができる。
【0053】
本発明の色変換発光デバイスの形成は、前述の通りに1つの基板上に各構成層を順次積層して形成してもよいし、2つの基板に別個の積層体を形成し、それらを貼り合わせることによって形成してもよい。
【0054】
本発明の色変換発光デバイスの別の形成方法の第1の例を図7に示す。図7においては、最初に、基板10の上に反射層8、色変換層4、パッシベーション層11、第1透明電極7、有機EL層2、第2透明電極3およびパッシベーション層11’を積層した発光/色変換部71を形成する。反射層8ならびにパッシベーション層11および11’は任意選択的に設けてもよい層である。基板10は、前述のように不透明であっても透明であってもよく、また反射性を有してもよい。基板10が反射性を有する場合には、反射層8を省略することが可能である。別途に、透明基板12上にカラーフィルタ層5を積層したカラーフィルタ81を形成する。上記で形成した発光/色変換部71およびカラーフィルタ81を貼り合わせることにより、本発明の色変換発光デバイスを形成することができる。貼り合わせは、当該技術において知られている任意の方法で行うことが可能である。たとえば、発光/色変換部71またはカラーフィルタ81の周縁部に接着剤(紫外線硬化型接着剤など)を塗布して貼り合わせてもよい。
【0055】
本発明の色変換発光デバイスの別の形成方法の第2の例を図8に示す。図8においては、最初に、基板10の上に反射層8および色変換層4を積層した色変換部72を形成する。基板10は、前述のように不透明であっても透明であってもよく、また反射性を有してもよい。基板10が反射性を有する場合には、反射層8を省略することが可能である。別途に、透明基板12上にカラーフィルタ層5、パッシベーション層11’、第2透明電極3、有機EL層2、第1透明電極7およびパッシベーション層11を積層した発光/カラーフィルタ82を形成する。パッシベーション層11および11’は任意選択的に設けてもよい層である。上記で形成した色変換部72および発光/カラーフィルタ82を貼り合わせることにより、本発明の色変換発光デバイスを形成することができる。貼り合わせは、当該技術において知られている任意の方法で行うことが可能である。たとえば、色変換部72または発光/カラーフィルタ82の周縁部に接着剤(紫外線硬化型接着剤など)を塗布して貼り合わせてもよい。
【0056】
以上の記載においては、デバイス全面が均一に発光する例を用いて本発明を説明してきたが、1つの基板上に本発明の発光部をマトリクス状に配置してディスプレイとして用いてもよい。例えば、第1透明電極7および第2透明電極3のそれぞれを、ラインパターンを有する複数の部分電極で構成し、第1透明電極7のラインパターンと第2透明電極3とのラインパターンが直交する方向に延びるようにすることで、パッシブマトリクス駆動ディスプレイを形成することができる。
【0057】
また、図9に示すように、複数のTFT14が形成されたTFT基板13の上に各構成層を形成し、TFT14と第1透明電極7とを接続してアクティブマトリクス駆動ディスプレイを形成することもできる。TFTに代わるスイッチング素子として、MIM等の当該技術において知られているスイッチング素子を用いてもよい。TFT14と第1透明電極7との接続部は、第1透明電極7を形成する材料から形成してもよいし、導電性の高い金属(Au、Ag、Cu、Alなど)を用いて別個に形成してもよい。図9のデバイスにおいてはパッシベーション層11を用いて色変換層4による段差の平坦化を行っているが、別個の層を設けて平坦化を行ってもよいことを当業者は容易に理解するであろう。
【0058】
さらに、本発明のディスプレイとしてのデバイスにおいて、複数種の色変換層4を用いてもよい。複数種の色変換層4を形成する場合には、たとえば3原色(赤、緑、青)への波長分布変換を行う色変換層を1つの組として配列して、多色表示を行うことが可能となる。あるいはまた、ある区域のみにそれ以外の区域とは別の色変換層を設けて、いわゆるエリアカラー表示を行ってもよい。あるいはまた、模様、サイン、文字、マークなどに従って複数種の色変換層4を配設して、それらを表示するようにしてもよい。あるいはまた、微小の区域に分割された適当な面積比で配設される2種の色変換層を用いて、単独の色変換層では達成できない単一色を示すようにしてもよい。
【0059】
図10に多色表示を行うためのディスプレイの構造例を示す。図10はパッシブマトリクス駆動のディスプレイの一例であり、3つの発光部(サブピクセル)がそれぞれ赤色光、緑色光および青色光を出力する1つのピクセルを示している。ここで、第1透明電極7は図示面の垂直方向に延びるラインパターンを有し、第2透明電極3は図示面内の横方向に延びるラインパターンを有し、それら2つのラインパターンは互いに直交して配列されている。カラーフィルタ層は、それぞれ発光部の位置に対応している赤色カラーフィルタ層5R、緑色カラーフィルタ層5G、青色カラーフィルタ層5Bから構成される。各色のカラーフィルタ層の間にブラックマスク16を形成している。ブラックマスク16は、ディスプレイのコントラスト比の向上に有効である。また、赤色発光部には赤色変換層4Rが、緑色発光部には緑色変換層4Gが配置される。青色発光部に関しては、発光部から発せられる光が充分な青色成分を含む場合には、図10に示すように色変換層を設けなくてもよい。また、図10の例においては、平坦化層15を設けて各色発光部間で発生する段差を平坦化している。平坦化層15は、たとえば色変換層用のマトリクス樹脂から形成されてもよく、所望の特性を有する他の材料から形成されてもよい。好ましくは、平坦化層15はポリイミドまたはアクリル樹脂から形成される。
【0060】
各色変換層4の発光部とは反対の側に反射層をさらに設けてもよい。反射層は、マトリクス状に配列される各発光部に対応して複数に分割されていてもよいし、あるいは一体として形成されていてもよい。反射層は、Al,Ag,Mo,Wなどの反射率の高い金属から形成することができる。
【0061】
また、第2透明電極3とカラーフィルタ層5との間に1つまたは複数種の第2色変換層をさらに設けてもよい。第2色変換層は、各色変換層4の配列に対応して配列されることが好ましい。また、第2色変換層は、対応する位置の色変換層4と同一の材料から形成することが好ましい。視野角依存性および製造上の問題を考慮すると、第2色変換層は、5μm以上、好ましくは8〜15μmの膜厚を有する。
【0062】
【実施例】
(実施例1)
最初に、クマリン6(0.1質量部)、ローダミン6G(0.05質量部)、ベーシックバイオレット11(0.05質量部)を、プロピレングリコールモノエチルアセテート溶剤(120質量部)に溶解させた色変換色素溶液を調製した。該溶液に対して、100質量部の光重合性樹脂「V259PA/P5」(商品名、新日鐵化成工業株式会社)を添加して溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を、ガラス基板上にスピンコート法にて塗布し、加熱乾燥して膜厚25μmの色変換層4を形成した。
【0063】
色変換層4を形成した基板上に、スパッタ法にて膜厚300nmのSiO2を積層し、パッシベーション層11を形成した。
【0064】
次に、スパッタ法にてITOを積層して、膜厚200nmの第1透明電極7を形成した。そして、第1透明電極7を形成した基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着して、有機EL層2を形成した。有機EL層2は、正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子注入層の4層構成とした。真空槽内圧を1×10−4Paまで減圧し、厚さ100nmの銅フタロシアニン(CuPc、正孔注入層)、厚さ20nmの4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD、正孔輸送層)、厚さ30nmの4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi、有機EL発光層)、および厚さ20nmのアルミニウムトリス(8−キノリノラート)(Alq、電子注入層)を、真空を破ることなく積層して、有機EL層2を得た。さらに真空を破ることなしに、膜厚5nmのMg/Ag(質量比10:1)および膜厚0.2μmのIZOを積層して、第2透明電極7を形成した。
【0065】
さらに、スパッタ法にて膜厚300nmのSiO2を積層し、パッシベーション層11’を形成した。
【0066】
最後に、市販のカラーフィルタ材料(富士フイルムオーリン株式会社製カラーモザイクCR−7001)をスピンコート法にて塗布し、加熱乾燥することにより膜厚1.8μmのカラーフィルタ層5を形成して、色変換発光デバイスを得た。
【0067】
(実施例2)
最初に、蒸着法によって、ガラス基板1上に最初に膜厚300nmのAlを積層して、反射層8を得た。以後、実施例1と同様に、色変換層4、パッシベーション層11、第1透明電極7、有機EL層2、第2透明電極3、パッシベーション層11、カラーフィルタ層5を積層して、色変換発光デバイスを得た。
【0068】
(実施例3)
実施例1の方法に従って、パッシベーション層11’までを形成した。次に、9層のSiO2および8層のTiO2を交互に真空中で蒸着することにより、波長選択ミラー9を形成した。この波長選択ミラー9は、光が垂直に入射したときに、570nm以下の波長域の光を75%以上反射し、波長590nmの光を50%反射し、610nm以上の波長域の光を75%透過した。最後に、実施例1と同様にカラーフィルタ層5を形成して、色変換発光デバイスを得た。
【0069】
(実施例4)
実施例1の方法に従って、パッシベーション層11’までを形成した。次に、色変換層4を形成するための塗布液を用いて、膜厚10μmの第2色変換層4’を積層した。最後に、実施例1と同様にカラーフィルタ層5を形成して、色変換発光デバイスを得た。
【0070】
(比較例1)
最初に、ガラス基板上にスパッタ法にてITOを積層して、膜厚200nmの第1透明電極を形成した。次に、実施例1と同様の方法により、有機EL層、第2透明電極、およびパッシベーション層を形成した。
【0071】
次に、実施例1で用いた色変換層用の塗布液をスピンコート法にて塗布し、加熱乾燥して膜厚10μmの色変換層を形成した。
【0072】
最後に、市販のカラーフィルタ材料(富士フイルムオーリン株式会社製カラーモザイクCR−7001)をスピンコート法にて塗布し、加熱乾燥することにより膜厚300nmのカラーフィルタ層を形成して、色変換発光デバイスを得た。
【0073】
(評価)
各実施例および比較例において、一定電圧を電極間に印加した際の輝度を測定して、色変換効率の指標とした。測定電圧として、比較例1のデバイスが100cd/m2の輝度に発光する電圧を用いた。また、上記電圧において1000時間連続駆動を行った後に、各素子の輝度を測定し、経時安定性の指標とした。結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
実施例1と比較例1との初期輝度の比較から、本発明の色変換発光デバイスは、従来構造の色変換発光デバイスと同等(またはそれ以上)の色変換効率を有することが分かった。さらに色変換効率を高めるための任意選択の層を設けた実施例2〜4のデバイスにおいては、比較例1のデバイスよりも高い初期輝度が得られ、より高い色変換効率を有することが明らかとなった。
【0076】
また、1000時間連続駆動後の輝度の比較において、実施例1〜4のデバイスの輝度変化は、いずれも比較例1のデバイスの輝度変化よりも小さく、優れた経時安定性を有することが明らかとなった。なお、実施例4のデバイスの輝度変化は、実施例1〜3のものに比較して若干大きくなっている。これは、実施例4のデバイス中の第2色変換層4’の色変換効率低下に相当するものと考えられる。このことは、実施例4のデバイス中の第2色変換層4’が従来構造のものと同等の位置に配置されているために、比較例1の色変換層と同様な劣化が起こったためと考えている。
【0077】
(実施例5)
本実施例は、図10に示す多色表示ディスプレイを形成する例である。最初に、クマリン6(0.1質量部)を、プロピレングリコールモノエチルアセテート溶剤(120質量部)に溶解させた色変換色素溶液を調製した。該溶液に対して、100質量部の光重合性樹脂「V259PA/P5」(商品名、新日鐵化成工業株式会社)を添加して溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を、ガラス基板10上にスピンコート法にて塗布し、パターニングを施した後に加熱乾燥して幅0.9μm、間隔2.4μmのラインパターンを有する緑色変換層4Gを形成した。
【0078】
次に、クマリン6(0.1質量部)、ローダミン6G(0.05質量部)、ベーシックバイオレット11(0.05質量部)を、プロピレングリコールモノエチルアセテート溶剤(120質量部)に溶解させた蛍光色変換色素溶液を調製した。該溶液に対して、100質量部の光重合性樹脂「V259PA/P5」(商品名、新日鐵化成工業株式会社)を添加して溶解させ、塗布液を得た。この塗布液をガラス基板10上にスピンコート法にて塗布し、パターニングを施した後に加熱乾燥して幅0.9μm、間隔2.4μmのラインパターンを有する赤色変換層4Gを形成した。赤色変換層のラインパターンと緑色変換層のラインパターンとを、間隔0.2μmをおいて平行に配置した。
【0079】
色変換層4を形成した基板上に、シリコン系のハードコート剤「KP854」(信越化学工業製)をスピンコート法にて塗布し、加熱乾燥して平坦化層15を形成した。次に、平坦化層15の上に、マスクを用いるスパッタ法にてITOを積層して、幅0.9μm、間隔0.2μm、膜厚300nmのラインパターン状の第1透明電極7を形成した。赤色変換層のラインパターンと緑色変換層のラインパターンとが、第1透明電極のラインパターンの直下にあるように配置した。
【0080】
第1透明電極7を形成した基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着して、有機EL層2を形成した。有機EL層2は、正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子注入層の4層構成とした。真空槽内圧を1×10−4Paまで減圧し、厚さ100nmの銅フタロシアニン(CuPc、正孔注入層)、厚さ20nmの4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD、正孔輸送層)、厚さ30nmの4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi、有機EL発光層)、および厚さ20nmのアルミニウムトリス(8−キノリノラート)(Alq、電子注入層)を、真空を破ることなく積層して、有機EL層7を得た。さらに真空を破ることなしに、マスクを用いて、さらに真空を破ることなしに、膜厚5nmのMg/Ag(質量比10:1)および膜厚300nmのIZOを積層して、幅0.9μm、間隔0.2μmのラインパターン状の第2透明電極3を形成した。第2透明電極3のラインパターンと第1透明電極7のラインパターンは直交する方向に延びている。
【0081】
さらに、スパッタ法にて膜厚300nmのSiO2を積層し、パッシベーション層11’を形成した。
【0082】
そして、市販のカラーフィルタ材料(富士フイルムオーリン株式会社製カラーモザイクCR−7001)をスピンコート法にて塗布し、パターニングを施した後に加熱乾燥して、2.4μmの間隔をおいて配置される0.9μm×0.9μmの複数の部分から構成される膜厚2μmの赤色カラーフィルタ層5Rを形成した。同様に、市販のカラーフィルタ材料(富士フイルムオーリン株式会社製カラーモザイクCG−7001(緑)、富士フイルムオーリン株式会社製カラーモザイクCB−7001(青)、富士フイルムARCH製CK8400L(ブラックマスク))を用いて、それぞれ膜厚2μmの緑色カラーフィルタ層5G、青色カラーフィルタ層5Bおよびブラックマスク16を形成して多色表示ディスプレイを得た。得られたディスプレイは、小さい視野角依存性および優れた経時安定性を示した。
【0083】
【発明の効果】
発光部の光の取り出し方向とは反対側に色変換層を配置する本発明の構成を採ることにより、経時安定性の向上した色変換発光デバイスを得ることができた。また、本発明の色変換発光デバイスは、従来構造の色変換発光デバイスと同等以上の色変換効率を有し、また容易に製造することが可能であった。さらに本発明の色変換発光デバイスをマトリクス状に配置して形成されるディスプレイは、優れた視野角依存性を示した。以上のように、本発明によれば、経時安定性、色変換効率、製造プロセス上の問題のいずれをも犠牲にすることなく、トータルの性能を向上させた色変換発光デバイスを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の色変換発光デバイスを示す概略断面図である。
【図2】本発明の色変換発光デバイスの概略断面図である。
【図3】本発明の色変換発光デバイスの第1の変形例の概略断面図である。
【図4】本発明の色変換発光デバイスの第2の変形例の概略断面図である。
【図5】本発明の色変換発光デバイスの第3の変形例の概略断面図である。
【図6】本発明の色変換発光デバイスの第4の変形例の概略断面図である。
【図7】本発明の色変換発光デバイスの形成方法を説明する概略断面図である。
【図8】本発明の色変換発光デバイスの形成方法を説明する概略断面図である。
【図9】本発明の色変換発光デバイスから構成されるアクティブマトリクス駆動ディスプレイを示す概略断面図である。
【図10】本発明の色変換発光デバイスから構成されるパッシブマトリクス駆動多色表示ディスプレイを示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 不透明電極
2 有機EL層
3 第2透明電極
4(R,G) 色変換層
4’ 第2色変換層
5(R,G,B) カラーフィルタ層
7 第1透明電極
8 反射層
9 波長選択ミラー
10 基板
11,11’ パッシベーション層
12 透明基板
13 TFT基板
14 TFT
15 平坦化層
16 ブラックマスク
50,51,52,60,62 光
71 発光/色変換部
72 色変換部
81 カラーフィルタ
82 発光/カラーフィルタ
Claims (15)
- 光の波長分布変換を行う色変換層と、
一対の透明電極と、該一対の透明電極に挟持される有機EL層とを有する発光部と、
カラーフィルタ層と
をこの順に具え、該カラーフィルタ層の側から光を放射することを特徴とする色変換発光デバイス。 - 前記色変換層の、前記発光部とは反対の側に反射層をさらに具えたことを特徴とする請求項1に記載の色変換発光デバイス。
- 前記発光部と前記カラーフィルタ層との間に、波長選択ミラーをさらに具えたことを特徴とする請求項1または2に記載の色変換発光デバイス。
- 前記発光部と前記カラーフィルタ層との間に、第2色変換層をさらに具えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の色変換発光デバイス。
- 前記色変換層または前記カラーフィルタ層のいずれかに接する基板をさらに具えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の色変換発光デバイス。
- 前記色変換層と前記発光部との間にパッシベーション層をさらに具えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の色変換発光デバイス。
- 前記カラーフィルタ層と前記発光部との間にパッシベーション層をさらに具えたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の色変換発光デバイス。
- 基板上に光の波長分布変換を行う色変換層を形成する工程と、
前記色変換層上に、一対の透明電極と、該一対の透明電極に挟持される有機EL層とを有する発光部を形成し、発光/色変換部を得る工程と、
透明基板上にカラーフィルタ層を形成して、カラーフィルタを得る工程と、
前記発光/色変換部と前記カラーフィルタとを貼り合わせて、色変換発光デバイスを得る工程と
を具えたことを特徴とする色変換発光デバイスの製造方法。 - 基板上に光の波長分布変換を行う色変換層を形成して、色変換部を得る工程と、
透明基板上にカラーフィルタ層を形成する工程と、
前記カラーフィルタ層上に、一対の透明電極と、該一対の透明電極に挟持される有機EL層とを有する発光部を形成し、発光/カラーフィルタを得る工程と、
前記色変換部と前記発光/カラーフィルタとを貼り合わせて、色変換発光デバイスを得る工程と
を具えたことを特徴とする色変換発光デバイスの製造方法。 - 光の波長分布変換を行う1つまたは複数種の色変換層と、
第1の透明電極と、第2の透明電極と、第1および第2の透明電極に挟持される有機EL層とを有する発光部と、
カラーフィルタ層と
をこの順に具え、該カラーフィルタ層の側から光を放射することを特徴とするディスプレイ。 - 前記第1の透明電極はラインパターン状に分割された複数の部分電極から構成され、前記第2の透明電極はラインパターン状に分割された複数の部分電極から構成され、前記第1の透明電極のラインパターンと前記第2の透明電極のラインパターンとは直交して配列されることを特徴とする請求項10に記載のディスプレイ。
- 複数のスイッチング素子をさらに具え、前記第1の透明電極は複数の部分電極から構成され、前記複数の部分電極のそれぞれに対して前記複数のスイッチング素子の1つが接続されていることを特徴とする請求項10に記載のディスプレイ。
- 前記複数のスイッチング素子はTFTであることを特徴とする請求項12に記載のディスプレイ。
- 前記1つまたは複数種の色変換層の、前記発光部とは反対の側に反射層をさらに具えたことを特徴とする請求項10から13のいずれかに記載のディスプレイ。
- 前記発光部と前記カラーフィルタ層との間に、1つまたは複数の第2色変換層をさらに具えたことを特徴とする請求項10から13のいずれかに記載のディスプレイ。
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