JP2004207139A - 燃料電池水分排出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】固体高分子型燃料電池において、運転停止時の水分排出に要する乾燥ガス量を最小にし、敏速に再起動ができるような燃料電池の水分排出装置を提供する。
【解決手段】固体高分子型燃料電池の運転停止時に前記燃料電池内の水分を排出する装置において、前記燃料電池に乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給手段(20、21、22、23、24)と、前記燃料電池内に残存する水分量を推定する手段(5、6、7)と、前記推定した水分量に基づいて前記燃料電池から排出する水分量を決定し、前記水分の排出に要する乾燥ガスの量を決定する乾燥ガス量推定手段と、を備え、前記燃料電池の運転停止時に、前記乾燥ガス量推定手段で決定された量の前記乾燥ガスを前記乾燥ガス供給手段により前記燃料電池へ供給するようにした、
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子型燃料電池を用いた燃料電池システムに係わり、特に、再起動時の低温始動性向上に有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質が湿潤状態に保たれないとそのプロトン伝導性が低下し、十分な発電能力・効率が得られないため、供給ガスをあらかじめ加湿する必要があった。また発電に際して固体高分子型燃料電池は水を生成するので、低温環境下で保管すると電池内でこれらの水が凍結し、発電サイトへの供給ガスの供給を妨げるために起動できなくなるという問題があった。
【0003】
この問題は燃料電池本体のみならず、供給ガスを加湿するための加湿システムや、燃料電池の温度を制御するための温調システムなど、燃料電池システム全般が抱える問題であるが、例えば加湿システムについては、水分が凍結する前に予め加湿装置内の排気ガス流路に乾燥ガスを流すことにより、凍結の原因となる水蒸気を掃気して、凍結の未然防止を可能にした燃料電池用加湿システムの開発が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−216987号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
固体高分子型燃料電池においては、固体高分子電解質のプロトン伝導性を良好に保つために、そこへ供給されるガスは加湿されることが多い。また発電中は燃料電池内で酸素と水素の酸化還元反応により水が生成されるため、燃料電池内には常に水分が存在するので、厳寒時や寒冷地で燃料電池の運転を停止すると、燃料電池内の水分凍結が避けられない。
【0006】
これに対し、運転停止時に燃料電池中に水分を残さないように、ガス供給停止前に一定時間余分にガスを流して燃料電池内の水分をセル外に排出するなどの手順がとられることが多い。
【0007】
しかし、燃料電池中の水分を排出するためにどの程度の流量のガスをどの程度の時間流すかについては従来からあまり検討されておらず、一定時間、一定積算流量、セル電圧低下量あるいはセル温度の低下量などで便宜的に制御されることが多かった。
【0008】
しかし、乾燥ガスを必要以上に流すことは、乾燥ガスの無駄になるばかりでなく、燃料電池中の高分子電解質膜を乾燥させてしまい、再起動時に高分子電解質膜のプロトン伝導性の低下によって発電性能が悪くなってしまう。
【0009】
この他、高分子電解質膜を乾燥させてしまうことは高分子膜や電極触媒など燃料電池の構成部材の耐久性低下や、ガスシール性の低下、ガスのクロスオーバー量の増大をもたらす。
【0010】
以上のように、燃料電池の運転停止時に、電池内部の水を排出するために乾燥ガスを必要以上に流すことは、燃料電池の発電性能・耐久性能・安全性能など、広範にわたって悪影響をおよぼし、燃料電池システム本来の機能を充分に発揮する事が困難となる。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、燃料電池の運転停止時に水分残存量を適正な値に制御することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
【0013】
固体高分子型燃料電池と、前記燃料電池に乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給手段と、前記燃料電池内に残存する水分量を推定する手段と、前記推定した水分量に基づいて前記燃料電池から排出する水分量を決定し、前記水分の排出に要する乾燥ガスの量を決定する乾燥ガス量推定手段と、を備え、前記燃料電池の運転停止時に、前記乾燥ガス量推定手段で決定された量の前記乾燥ガスを前記乾燥ガス供給手段により前記燃料電池へ供給するようにした。
【0014】
【発明の効果】
本発明の燃料電池によれば、燃料電池内の水分量を測定することにより、運転停止時に、電池中に含まれる水分を排出するために流す乾燥ガスの量を最小にすることができ、かつ低温始動性能を最大に引き出す条件で運転を停止できる。このことは同時に燃料電池の耐久性や安全性・信頼性の維持・向上にもきわめて効果的である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
先ず、図1から図3を参照して、燃料電池の構成体を説明する。図1中、符号1は固体高分子電解質型燃料電池のセパレータ(以下、セパレータという。)であり、2はマニホールド、3はガス流路、4はシール、5は絶縁体、6は抵抗測定電極、7は抵抗測定リードを示しており、これらはセパレータ1の両面にそれぞれ形成される。ガス流路3の一方には水素(燃料)ガス、他方には酸素(酸化剤)ガスが導かれる。
【0017】
図1で示すように、セパレータ1上の任意の2ヶ所以上に絶縁体5によってセパレータ1とは互いに電気的に絶縁された抵抗測定電極6を設け、それぞれから抵抗測定リード7をセル外に取り出す。
【0018】
ここで、絶縁体5の材料・形状・大きさ・数量および位置については、セパレータ1と抵抗測定電極6とを電気的に絶縁できればどのようなものでもよく、図1に示したものに限定されない。
【0019】
また、抵抗測定電極6の材料・形状・大きさ・数量および位置については、図2に示すように、抵抗測定電極6がセパレータ1の両面(ただし、図では一方のみを示した)に取り付けられる拡散電極11に電気的に良好に接触することができればどのようなものでもよく、図1に示したものに限定されない。
【0020】
また、抵抗測定リード7の材料・形状・構成・太さ・長さ・数量および位置については、抵抗測定リード7が抵抗測定電極6と電気的に導通し、かつセパレータ1とは電気的に絶縁され、さらにガスシール性を良好に保つことができればどのようなものでもよく、図1に示したものに限定されない。
【0021】
図2は、本実施の形態による燃料電池セルと、MEAと呼ばれる膜−電極接合体の配置関係を説明するための図であり、符号11は高分子電解質膜12の両面に形成される固体高分子電解質型燃料電池のガス拡散電極12を示している。
【0022】
図2においては本実施の形態による燃料電池セルと、膜−電極接合体の配置・位置関係を説明するため、膜−電極接合体の厚さ方向に誇張した表現を用いており、これはなんら本発明の実施の形態を限定するものではない。
【0023】
図2のように本実施の形態による燃料電池セルと、膜−電極接合体が配置される時、2つの抵抗測定電極6a、6bの間で電気抵抗を測定すると、ガス拡散電極11とセパレータ1との間の接触抵抗、およびガス拡散電極11の発電平面方向の電気抵抗R、およびセパレータ1自体の電気抵抗を測ることができるが、ガス拡散電極11とセパレータ1との間の接触抵抗は高分子電解質膜12が十分に水分を含有して膨潤しているときには小さく観測され、またガス拡散電極11の発電平面方向の電気抵抗Rはガス拡散電極11中に含まれる水分が多いときには小さく観測される。
【0024】
つまり、ここで観測される各電気抵抗成分の和は、セル内が十分湿潤状態にある場合は小さく観測される。
【0025】
また交流電流を印加するなどして、ガス拡散電極11とセパレータ1との間の接触抵抗、およびガス拡散電極11の発電平面方向の電気抵抗成分Rをそれぞれ互いに分離すれば、高分子電解質膜12に含まれる水分量と、ガス拡散電極11中に含まれる水分量のいずれもが推定できる。
【0026】
ところで、固体高分子型燃料電池の低温始動性に関しては、運転停止時においてガス拡散電極11中に水分が残っていると、これが低温環境下で凍結し、再始動時に反応部位へのガスの供給を妨げるために低温始動性を低下させることがわかっているので、可能な限り水分を除去することが好ましい。
【0027】
これに対し、高分子電解質膜12中に含まれる水分に関しては、水分量の減少によってプロトン伝導性が低下するため再始動時に電池性能を低下させることがわかっているので、可能な限り水分を残存させることが好ましい。
【0028】
低温環境下での水分の凍結を回避するために、前述のとおり運転停止時に余分の乾燥ガスを燃料電池に流して水分を排出するが、このときガス拡散電極11中に含まれる水分量と高分子電解質膜12中に含まれる水分量は乾燥ガスを流す時間に対して図3のようなプロファイルを示す。
【0029】
すなわち、ガス流路3に近接するガス拡散電極11中の水分量Aは乾燥ガスを流す時間に対して速やかに減少するが、それに比べてガス流路3から遠い位置にある高分子電解質膜12中に含まれる水分量Bの減少量の比は乾燥ガスを流す時間に対して緩やかに減少する。
【0030】
ここで、ガス拡散電極11中の水分量を、低温始動性を確保するために図3中に示す水分量比aまで除去する必要がある場合、乾燥ガスをbに相当する時間だけ流して停止すれば、水分量比cに相当する高分子電解質膜12中に含まれる水分量を残存させることができ、この停止手順が低温始動性を良好にするために最も適した方法であるといえる。
【0031】
本発明によれば、電気抵抗測定によって、ガス拡散電極11中の水分量はガス拡散電極11の発電平面方向の電気抵抗成分Rから、高分子電解質膜12中に含まれる水分量はガス拡散電極11とセパレータ1との間の接触抵抗成分からそれぞれ求められるので、上記のガス拡散電極11中の最適水分量比aをガス拡散電極11の発電平面方向の電気抵抗成分Rから判断することができ、ガス拡散電極11とセパレータ1との間の接触抵抗成分から高分子電解質膜12中に残存させた水分量比cを確認することもできる。
【0032】
ガス拡散電極11中の水分量や高分子電解質膜12中に含まれる水分量は燃料電池の運転条件の影響を非常に大きく受けるため、従来のように一定時間、一定積算流量、セル電圧低下量あるいはセル温度の低下量などで便宜的に乾燥ガスを流す時間が制御されると、既述のとおり燃料電池の発電性能・耐久性能・安全性能など、広範にわたって悪影響をおよぼすこととなる。
【0033】
これに対して本発明では運転停止ごとにガス拡散電極11中の水分量を正確に測定するので、ガス拡散電極11中の水分を排出するために流す乾燥ガスの量を最小にすることができ、かつ高分子電解質膜12中に含まれる水分量を最大に残存させることができる。
【0034】
次に、図4を参照して、本発明による燃料電池水分排出装置の乾燥ガス供給手段を説明する。
【0035】
図4は拡散電極11中の水分を排出する乾燥ガスを燃料電池スタック22に供給する乾燥ガス供給手段を説明する概略構成図である。乾燥ガス供給系23は燃料電池に燃料ガスまたは酸化剤を供給するためのボンベ、改質器、またはコンプレッサなどから構成され、乾燥ガスを発生する。乾燥ガス供給系23からの乾燥ガスは加湿器21手前の三方弁20が加湿器22をバイパスするように切り替えられると、バイパス配管24を通り、加湿されないで燃料電池スタック22に供給され、ガス拡散電極11から水分を排出する。
【0036】
次に、図5を参照して、燃料電池運転停止時に実行される水分排出装置の動作を説明する。
【0037】
先ず、ステップ1で、再起動時の低温始動性を良好にするために最適なガス拡散電極中の水分残存量aを設定し、ステップ2で乾燥ガスパージを開始する。ステップ3では、上述したようにガス拡散電極発電平面方向の電気抵抗Rを測定してガス拡散電極中の水分残存量Aを推定する。ステップ4では、推定した水分残存量Aが設定した水分残存量aを下回るか否か判定し、下回らない場合はステップ5に進んで乾燥ガスパージを継続する。推定した水分残存量が設定した水分残存量aを下回った場合は、ステップ6に進み、乾燥ガスパージを終了する。
【0038】
なお、セパレータ上面側の抵抗測定リード7とセパレータ下面側の抵抗測定リードとの間で電気抵抗を測定すれば、2つのガス拡散電極11とセパレータ1界面を含むので、ガス拡散電極11とセパレータ1との間の接触抵抗成分が感度よく測定でき、高分子電解質膜12中に含まれる水分量をさらに詳細に検出することができる。
【0039】
このように燃料電池セルに抵抗測定電極6を設けることにより、ガス拡散電極11の水分量および高分子電解質膜12の水分量を推定することができる。したがって、運転停止時に、電池中に含まれる水分を排出するために流す乾燥ガスの量を最適化することができ、かつ低温始動性能を最大に引き出す条件で運転を停止できる。このことは同時に燃料電池の耐久性や安全性・信頼性の維持・向上にもきわめて効果的である。
【0040】
本発明を、構造的と方法的特徴に関してある程度特定的な言葉で説明したが、本明細書に開示した手段は本発明を実施する好ましい形態を含むものであり、本発明はこれら図示し記載された特定の特徴に制限されないことを理解されたい。したがって、本発明は、均等の原則に従って適切に解釈される特許請求の範囲に記載された範囲内におけるいかなる形態または変更についても含むものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による燃料電池セルの構成図である。
【図2】燃料電池セルの膜−電極接合体に対する配置図である。
【図3】運転停止時に乾燥ガスにより水分を排出したときのガス拡散電極および高分子電解質膜中の水分量の変化を示す図である。
【図4】本発明による乾燥ガスの供給装置を説明する概略構成図である。
【図5】本発明による燃料電池の水分パージの制御方法を説明する流れ図である。
【符号の説明】
1 セパレータ
2 マニホールド
3 ガス流路
4 シール
5 絶縁体
6 抵抗測定電極
7 抵抗測定リード
11 ガス拡散電極
12 高分子電解質膜
20 三方弁

Claims (5)

  1. 固体高分子型燃料電池と、
    前記燃料電池に乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給手段と、
    前記燃料電池内に残存する水分量を推定する手段と、
    前記推定した水分量に基づいて前記燃料電池から排出する水分量を決定し、前記水分の排出に要する乾燥ガスの量を決定する乾燥ガス量推定手段と、
    を備え、
    前記燃料電池の運転停止時に、前記乾燥ガス量推定手段で決定された量の前記乾燥ガスを前記乾燥ガス供給手段により前記燃料電池へ供給するようにした、
    ことを特徴とする燃料電池水分排出装置。
  2. 前記水分量推定手段により得られた水分量推定値が所定値以下である場合、前記燃料電池への前記乾燥ガスの供給を停止することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池水分排出装置。
  3. 前記水分量推定手段は、ガス拡散電極とセパレータとの間の接触抵抗およびガス拡散電極の発電平面方向の電気抵抗を測定する抵抗測定電極を備え、前記抵抗測定電極は前記セパレータ表面の非発電部に絶縁体を介して設けられることを特徴とする請求項1記載の燃料電池水分排出装置。
  4. 前記水分量推定手段は、前記抵抗測定電極が測定した抵抗値に基づいて実際の水分量を推定することを特徴とする請求項3記載の燃料電池水分排出装置。
  5. 前記乾燥ガス供給手段は、
    前記燃料電池に圧送されるガスを加湿する加湿器をバイパスするバイパス管と、
    前記バイパス間の分岐部に設けられ、前記ガスを前記加湿器と前記バイパス管に選択的に導入する弁と、を備え、
    前記乾燥ガスの供給時には前記バイパス管を通して前記ガスを燃料電池に供給するように前記弁を切り替える、
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池水分排出装置。
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