JP2004207619A - パワーモジュール用基板及びパワーモジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】放熱体16が、放熱体本体17と低熱膨張材18とを接合させて多層構造に形成される。放熱体本体17は、例えばAl、Cu等のような熱伝導率の良好な高熱伝導材によって形成される。低熱膨張材18は、放熱体本体17に積層することで、放熱体16全体の熱膨張係数と絶縁基板11の熱膨張係数との差を可及的に近づけるためのものであり、絶縁基板11がAlNで、放熱体本体17がAlのとき、例えば高炭素鋼(Fe−C)からなっている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、大電圧・大電流を制御する半導体装置に用いられるパワーモジュール用基板に係り、特に半導体チップの発熱体から発生する熱を放散させる放熱体を有するパワーモジュール用基板及びパワーモジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のパワーモジュール用基板にあっては、図5に示すように、酸化アルミニウム焼結体からなる絶縁基板1の両面に、Cuからなる回路層2、金属層3がそれぞれ積層されている。回路層2には、半導体チップ100を搭載するための回路パターンが形成されている。
【0003】
そして、絶縁基板1の金属層3にはんだ4、或いはろう付け等によって放熱体5が接合されている。この放熱体5は、下方が例えば冷却シンク部(図示せず)に取り付けられて使用されたとき、該冷却シンク部内の冷却水(若しくは冷却空気)が放熱体5に伝達される熱を外部に放熱させ、これによって、回路層2に搭載された半導体チップ100の熱が回路層2、絶縁基板1、金属層3、はんだ4、放熱体5を介して伝達されることで、良好な熱伝達が得られるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−12554号公報(第1−3頁、第1図、第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記に示す従来のパワーモジュール用基板は、絶縁基板1と放熱体5との熱膨張係数が互いに異なるので、両者1、5がはんだ4によって接合された後、冷却して常温に戻すと、絶縁基板1の熱膨張係数が小さく、放熱体5の収縮寸法が大きいことから、図6に示すように、放熱体5が絶縁基板1側に向けて凸状に反ってしまう現象が起こる。放熱体5に絶縁基板1側に向かう反りが発生すると、放熱体5が図6の鎖線に示す冷却シンク部6に取り付けられたとき、放熱体5と冷却シンク部6間に隙間が生じてしまうので、熱伝達の低下をきたし、そのため、発熱量の大きい半導体チップを用いた場合、熱により半導体チップ100が機能しなくなるという問題があった。
【0006】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、絶縁基板と放熱体との熱膨張係数の差を少なくして反りを低減でき、しかも熱伝達率が低下するのを抑制できるパワーモジュール用基板及びパワーモジュールを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、絶縁基板と、該絶縁基板の一方の面に接合される放熱体とを備えたパワーモジュール用基板において、前記放熱体は、高熱伝導材からなる放熱体本体と、該放熱体本体の熱膨張係数より低い低熱膨張材とを複数接合させて多層構造としたことを特徴とする。
【0008】
この発明に係るパワーモジュール用基板によれば、放熱体が、放熱体本体と低熱膨張材とを互いに積層して多層に形成されると、放熱体全体としての熱膨張係数を確実に下げることができるので、絶縁基板と放熱体全体との熱膨張係数の差を可及的に小さくすることができ、そのため、絶縁基板と放熱体とをはんだ等によって接合した場合、放熱体に絶縁基板に向かう反りが発生するのを確実に低減することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のパワーモジュール用基板において、前記放熱体は、放熱体本体と低熱膨張材とが互い違いに接合されて、計5〜7枚の多層構造としたことを特徴とする。
【0010】
この発明に係るパワーモジュール用基板によれば、放熱体本体と、低熱膨張材とを5〜7枚接合した多層構造に形成されるので、反りの抑制をいっそう的確に行うことができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の絶縁基板上にチップを搭載してなることを特徴とする。
この発明に係るパワーモジュールによれば、絶縁基板と放熱体との熱膨張係数の差を可及的に小さくでき、両者の反りを可及的に抑えつつ良好な熱伝導率を有するパワーモジュールが得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。
<第一の実施形態>
図1及び図2はこの発明の第一の実施の形態に係るパワーモジュール及びパワーモジュール用基板を示す図であって、図1はパワーモジュールの全体図、図2は放熱体の破断拡大図である。
この実施形態のパワーモジュールPにおいて、パワーモジュール用基板10は、大別すると図1に示すように、絶縁基板11と、放熱体16とを備える。
絶縁基板11は、例えばAlN、Al2O3、Si3N4、SiC等により所望の大きさに形成され、その上面及び下面に回路層12及び金属層13がそれぞれ積層して接合される。回路層12及び金属層13は、Al、Cu等により形成されている。
【0013】
絶縁基板11の回路層12上にはんだ14によって半導体チップ30が搭載される一方、金属層13の下面にはんだ15によって、或いはろう付けや拡散接合等によって放熱体16が直接接合され、更に、この放熱体16が冷却シンク部20に取り付けられて使用され、該冷却シンク部20内の冷却水(或いは冷却空気)21によって放熱体16に伝達される熱が外部に放熱されるようになっている。放熱体16は、冷却シンク部20に取付ねじ22によって密着した状態で取り付けられる。
【0014】
この実施形態は、放熱体16が、放熱体本体17と低熱膨張材18とを複数接合させて多層構造に形成されている。
放熱体本体17は、例えばAl、Cu等のような熱伝導率の良好な材質、いわゆる高熱伝導材によって形成されている。高熱伝導材としては、熱伝導率が例えば180W/mK以上、好ましくは200W/mK以上のものである。
一方、低熱膨張材18は、放熱体本体17に積層することで、放熱体16全体の熱膨張係数と絶縁基板11の熱膨張係数との差を可及的に近づけるためのものであり、熱膨張係数が例えば10ppm/℃以下、好ましくは7ppm/℃以下であり、本例では絶縁基板11がAlNで、放熱体本体17がAlのとき、例えば高炭素鋼(Fe−C)からなっている。
【0015】
上記の材質からなる低熱膨張材18は、図1及び図2に示すように、放熱体本体17と17との間に接合されている。従って、放熱体16が二枚の放熱体本体17と一枚の低熱膨張材18との三層構造であって、絶縁基板11側と冷却シンク部20側とに放熱体本体17が配置されている。
なお、図2において、符号19は、放熱体16に穿設された取付ねじ22の挿通孔である。
【0016】
このように、パワーモジュール用基板10を構成する放熱体16が、放熱体本体17と低熱膨張材18とを互いに積層して多層に形成すると、放熱体16全体としての熱膨張係数を確実に下げることができるので、絶縁基板11と放熱体16全体との熱膨張係数の差を可及的に小さくすることができる。
そのため、絶縁基板11と放熱体16とをはんだ15(若しくはろう付けや拡散接合等)によって接合した場合、放熱体16に従来のように絶縁基板11に向かう反りが発生するのを確実に低減することができるので、放熱体16を冷却シンク部20に取り付けても、冷却シンク部20と放熱体16との間に隙間が発生するのを防止することができる。
【0017】
しかも、低熱膨張材18が金属であってかつ相応の熱伝導率を有しているので、絶縁基板11上の半導体チップ30からの発熱が、回路層12、絶縁基板11、金属層13、はんだ15、放熱体16及び冷却シンク部20を介して外部に放熱される結果、熱伝達率が低下するのを抑制することもできる。
その結果、絶縁基板11と放熱体16との材質の膨張係数に差があっても、反りの抑制と熱伝達率の低下の抑制とを両立させた、良好なパワーモジュール基板10を得ることができる。
【0018】
また、放熱体16が、二層からなる放熱体本体17、17の間に低熱膨張材18が挟まれた状態で接合されているので、つまり、放熱体16において絶縁基板11側と冷却シンク部20側との層に放熱体本体17がそれぞれ配置して形成されているので、絶縁基板11からの熱を良好に受けると共に、その熱を冷却シンク部20に対して良好に伝達させることができ、これによって、放熱体16本来の放熱効果を的確に果たすことができる。
【0019】
<第2の実施形態>
図3は、この発明の第2の実施の形態に係るパワーモジュール用基板の放熱体を示している。この実施形態では、低熱膨張材18として、インバー合金を用いている。そして、この低熱膨張材18と、Alからなる高熱伝導材としての放熱体本体17とが、図3に示すように下方に順次互い違いに接合されることで、六層構造の放熱体16が形成されている。絶縁基板は、AlNからなっている。
【0020】
なお、インバー合金とは、室温付近でほとんど熱膨張が生じない合金であって、Feが64.6mol%で、Niが35.4mol%の組成率となっている。但し、Fe中には、それ以外の不可避不純物が含まれたものもインバー合金と呼ばれている。
【0021】
<第3の実施形態>
図示しないが、この実施形態では、低熱膨張材18として42合金を用い、これを図3に示す第2の実施形態と同様、Alからなる放熱体本体17に互い違いに積層して六層構造とすることで、放熱体16が形成されている。
なお、42合金は、Feが58mol%で、Niが42mol%の組成率となったFe系合金である。
【0022】
<第4の実施形態>
図4は、この発明の第4の実施の形態に係るパワーモジュール用基板の放熱体を示している。
図4に示す実施形態では、低熱膨張材18としてMoを用い、この低熱膨張材18と、Cuからなる放熱体本体17とが互い違いに接合されることで、全体として五層構造の放熱体16が構成されている。この場合、放熱体16において、絶縁基板11側の層と冷却シンク部20側の層とにそれぞれ放熱体本体17が配置される。
【0023】
<第5の実施形態>
図示しないが、この実施形態では、低熱膨張材18としてWを用い、この低熱膨張材18と、Cuからなる放熱体本体17とが互い違いに積層されることで、全体として図4のような五層構造の放熱体16が構成される。この場合も、放熱体16の絶縁基板11側の層と冷却シンク部20側の層とにそれぞれ放熱体本体17が配置される。
上記した各実施形態及び比較例の試験結果を表1にまとめた。
【0024】
【表1】
【0025】
なお、表1において、「接合方法」とは、放熱体と絶縁基板との接合方法を表している。また、比較例の放熱体は、CuにMoを分散させたものである。
【0026】
上記表1において、第4の実施形態が比較例と対応するものであり、第4の実施形態の反り量が比較例の反り量より遙かに小さな値となっており、反り量を大幅に低減できることが明らかである。
表紙1における「反り量」とは、測定長さ200mmの範囲内で、反りが最も大きくなっている部分を測定したときの数値である。
【0027】
なお、上記表1において、第2及び第3の実施形態の反り量が他の実施形態より大きい値となっているが、これは放熱体16が、表に示す材質からなる六層構造であること等に起因するものである。また、これら第2及び第3の実施形態は、比較例と条件が大幅に異なるため、比較例との測定結果の比較は適切でない。
試験結果から、放熱体16が、高熱伝導材としての放熱体本体17と、低熱膨張材18とを5〜7枚接合した多層構造に形成される場合にも、反りの抑制を的確に行うことができることを確認した。
【0028】
そして、放熱体16における放熱体本体17の全体厚みと、低熱膨張材18の全体厚みとは、概略的には適宜の割合に規定してもよいが、これに限らず、それぞれの厚みのみならず大きさを任意に変えたりしても良いのは勿論である。
なお、図示実施形態では、絶縁基板11において放熱体16側の面に金属層13が積層された例を示したが、これに限らず、金属層13が設けられていない絶縁基板11を放熱体16に直接接合しても、同様の作用効果が得られる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、放熱体が、放熱体本体と低熱膨張材とを互いに積層して多層に形成されることで、絶縁基板と放熱体全体との熱膨張係数の差を可及的に小さくできるように構成したので、放熱体に絶縁基板に向かう反りが発生するのを確実に低減することができる結果、絶縁基板と放熱体との材質の膨張係数に差があっても、反りの抑制と熱伝達率の低下の抑制とを両立させた、良好なパワーモジュール基板が得られるという効果がある。
【0030】
請求項2に係る発明によれば、放熱体本体と、低熱膨張材とを5〜7枚接合した多層構造に形成されるので、反りの抑制をいっそう的確に行うことができるという効果が得られる。
【0031】
請求項3に係る発明によれば、絶縁基板と放熱体との熱膨張係数の差を可及的に小さくすることができ、両者の反りを可及的に抑えつつ良好な熱伝達率を有するパワーモジュールが得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第一の実施の形態に係るパワーモジュールを示す全体構成図である。
【図2】図1における放熱体の破断拡大図である。
【図3】この発明の第2の実施の形態に係るパワーモジュール用基板を示す破断拡大図である。
【図4】この発明の第4の実施の形態に係るパワーモジュール用基板の放熱体を示す破断拡大図である。
【図5】従来のパワーモジュール用基板を示す概略図である。
【図6】従来のパワーモジュール用基板に反りが発生した説明図である。
【符号の説明】
P パワーモジュール
10 パワーモジュール用基板
11 絶縁基板
16 放熱体
17 放熱体本体(高熱伝導材)
18 低熱膨張材
Claims (3)
- 絶縁基板と、該絶縁基板の一方の面に接合される放熱体とを備えたパワーモジュール用基板において、
前記放熱体は、高熱伝導材からなる放熱体本体と、該放熱体本体の熱膨張係数より低い低熱膨張材とを複数接合させて多層構造としたことを特徴とするパワーモジュール用基板。 - 請求項1記載のパワーモジュール用基板において、
前記放熱体は、放熱体本体と低熱膨張材とが互い違いに接合されて、計5〜7枚の多層構造としたことを特徴とするパワーモジュール用基板。 - 請求項1又は2記載の絶縁基板上にチップを搭載してなることを特徴とするパワーモジュール。
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