JP2004209472A - 可視光応答型光触媒 - Google Patents
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Abstract
【課題】可視光照射の下、酸化電位の高い正孔と還元電位の高い電子の両方を同時に生成することのできる高活性な可視光応答型光触媒を提供する。
【解決手段】価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーが2.0〜3.0eVであり、伝導帯の電位がH2/H2Oに対して負であると共に、H2/H2Oとの間に0.2eV以上の差がある第1半導体と、価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーが2.0〜3.0eVであり、価電子帯の電位がH2/H2Oに対して正であると共に、H2/H2Oとの間に2.8eV以上の差がある第2半導体と、を複合してなる可視光応答型光触媒。
【選択図】なし
【解決手段】価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーが2.0〜3.0eVであり、伝導帯の電位がH2/H2Oに対して負であると共に、H2/H2Oとの間に0.2eV以上の差がある第1半導体と、価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーが2.0〜3.0eVであり、価電子帯の電位がH2/H2Oに対して正であると共に、H2/H2Oとの間に2.8eV以上の差がある第2半導体と、を複合してなる可視光応答型光触媒。
【選択図】なし
Description
本発明は、可視光下において酸化還元反応を誘起する光触媒に関し、より詳細には、可視光を受けて高活性を示す、酸化還元能力の高い複合型の光触媒に関する。
半導体の原子同士は共有結合により結びついており、価電子帯と伝導帯との間にはバンドギャップが存在している。このような半導体に光が照射され、その入射光のエネルギーが半導体のバンドギャップと等しいまたはこれより大きくなると、半導体の価電子帯から電子が伝導帯に励起され、価電子帯に正孔が残って、電子−正孔対が生成される。かかる性質を持つ半導体材料は、光触媒としての利用が可能である。電子−正孔対の寿命が十分にある状態において、電子は光触媒表面に拡散し、光触媒表面の吸着分子に引き付けられて還元反応を、また、正孔は光触媒表面に拡散し、光触媒表面の吸着分子を引き付けて酸化反応を起こすことができるからである。これら酸化還元反応の発現は、吸着分子の酸化還元電位とも関連がある。
これに関し、酸化チタン(TiO2)電極に光を照射して酸化反応を促進し、水を酸化して酸素を発生させるウェット式光電池が提案されている(特許文献1参照)。かかる光電池が開示されてからというもの、TiO2は、その低溶解性、高安定性、無毒性および低価格などのメリットから、光触媒に最も多く用いられる材料となった。
TiO2などからなる光触媒表面での水の酸化反応は、次のとおりに進行する。
その結果、生成したヒドロキシラジカル(・OH)は、人体に有害な汚染物質などと反応しこれを除去することができる。
しかし、すでに商用化されているデグッサ社(Degussa)製P−25酸化チタン(TiO2)などは、そのバンドギャップが3.2eVであるため、エネルギーがこの3.2eVと同じかまたはこれよりも大きい光を照射しなければ、価電子帯の電子を伝導帯へ励起させ電子−正孔対を生成して、酸化還元反応を起こさせることはできない。光のエネルギー3.2eVを波長に換算すると387nmであるので、光触媒作用を発現するには、波長387nm以下の紫外線領域にある光源が必要ということになる。ところが、平均海水面に届く太陽光線のうち、紫外線が占めるエネルギーの割合は僅か約5%のみであり、残り約45%は波長400〜800nmの可視光線が、約50%は波長800nm以上の赤外線が占める。よって、太陽エネルギーを有効利用し、車内や室内など光線が弱い場所においても光触媒作用により人体に有害な汚染物質を除去することができるように、可視光に応答する光触媒の開発が進められている。
そして、例えば、クロム(Cr)、バナジウム(V)等の金属をイオン化した後、これら金属イオンを酸化チタン(TiO2)にドーピングしてなる光触媒が提案されている(特許文献2参照)。この金属イオンドープ型光触媒によれば、TiO2結晶体構造中の一部Tiイオンを金属イオンで置換することによって、TiO2光触媒の伝導帯よりも低いエネルギー準位が新たに作られるため、そのバンドギャップが約2.0eVまで縮小し、可視光領域、例えば、波長約620nmの光照射下において電子−正孔対を生成できる。
また、窒素(N2)ガスをイオン化してから光触媒材料であるTiO2にドーピングすることで、TiO2結晶構造体中の一部OイオンがNイオンで置換され、その構造中にTi−O−N結合が備わる窒素ドープ型TiO2も提案されている(特許文献3参照)。この窒素ドープ型TiO2光触媒は、TiO2結晶構造体中の一部OイオンをNイオンで置換してなるため、TiO2光触媒の価電子帯よりも高いエネルギー準位が形成されて、そのバンドギャップが約2.4eVに縮小し、可視光領域、例えば、波長約520nmの光照射下で電子−正孔対を生成できる。
バンドギャップが2.0〜3.0eVの間にあり、可視光照射を受けて電子−正孔対を生成し、光触媒となり得る半導体材料には、ガリウムリン(GaP)、ガリウムヒ素(GaAs)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、酸化タングステン(WO3)、酸化鉄(Fe2O3)などが挙げられるほかに、バンドギャップの比較的小さい、上述した金属ドープ型酸化チタン(TiO2)や窒素ドープ型酸化チタン(TiO2)などがある。しかし、酸化電位の高い正孔を持つ金属ドープ型TiO2、WO3、Fe2O3などの半導体材料は、同時に還元電位の高い電子を持ち得ない一方で、還元電位の高い電子を持つ窒素ドープ型TiO2、GaP、GaAs、CdS、CdSeなどの半導体材料は、同時に酸化力電位の高い正孔を持ち得ない。したがって、可視光応答型光触媒の酸化還元能力は、紫外線を動作光とする酸化チタン光触媒に比べて劣っている。
前記した、従来技術における可視光応答型光触媒の酸化還元能力が低いという欠点に鑑みて、本発明の目的は、可視光照射の下、酸化電位の高い正孔と還元電位の高い電子の両方を同時に生成し得る光触媒を提供することにある。
すなわち、本発明は、価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーが2.0〜3.0eVであり、伝導帯の電位が、H2/H2Oに対して負であると共に、H2/H2Oとの間に0.2eV以上の差がある第1半導体と、価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーが2.0〜3.0eVであり、価電子帯の電位が、H2/H2Oに対して正であると共に、H2/H2Oとの間に2.8eV以上の差がある第2半導体とを複合してなる可視光応答型光触媒に関する。
前記第1半導体が、粒径50μm以下の粉末状を呈していることが好ましい。
前記第2半導体が、粒径50μm以下の粉末状を呈していることが好ましい。
前記第1半導体と前記第2半導体とが、1:20〜20:1の割合で含有されてなることが好ましい。
前記第1半導体が、ガリウムリン(GaP)、ガリウムヒ素(GaAs)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)もしくは窒素ドープ酸化チタンまたはこれらの組み合わせからなる群より選ばれることが好ましい。
前記第2半導体が、酸化タングステン(WO3)、酸化鉄(Fe2O3)もしくは金属ドープ酸化チタンまたはこれらの組み合わせからなる群より選ばれることが好ましい。
前記金属ドープ酸化チタンの金属が、バナジウム(V)もしくはクロム(Cr)またはその組み合わせであることが好ましい。
本発明は、価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーが2.0〜3.0eVであり、伝導帯の電位が、H2/H2Oに対して負であると共に、H2/H2Oとの間に0.2eV以上の差がある、窒素ドープ酸化チタンと、価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーが2.0〜3.0eVであり、価電子帯の電位が、H2/H2Oに対して正であると共に、H2/H2Oとの間に2.8V以上の差がある、バナジウムドープ酸化チタンとを複合してなる可視光応答型光触媒に関する。
前記窒素ドープ酸化チタンが、粒径50μm以下の粉末状を呈していることが好ましい。
前記バナジウムドープ酸化チタンが、粒径50μm以下の粉末状を呈していることが好ましい。
前記窒素ドープ酸化チタンと前記バナジウムドープ酸化チタンとが、1:20〜20:1の割合で含有されてなることが好ましい。
本発明の可視光応答型光触媒は、可視光照射下で酸化電位の高い正孔と還元電位の高い電子とを同時に生成することができ、高い酸化能力と高い還元能力の両方を備えているため、還元能力の高い電子を有する半導体または酸化能力の高い正孔を有する半導体の一方のみからなる従来の光触媒に比して遥かに優れている。
本発明の可視光応答型光触媒は、第1半導体と第2半導体とを複合してなる。
第1半導体において、価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーは2.0〜3.0eVである。
第1半導体において、H2/H2Oに対する伝導帯の電位は負であると共に、H2/H2Oとの間に0.2eV以上の差がある。
第1半導体は粒径50μm以下の粉末状であることが好ましく、33μm以下であることがより好ましい。粒径が50μmをこえると、表面積効果を大幅に低下させてしまい、反応活性が低くなる。
第1半導体は、ガリウムリン(GaP)、ガリウムヒ素(GaAs)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)もしくは窒素ドープ酸化チタンまたはこれらの組み合わせからなる群より選ばれてなることが好ましい。
第2半導体において、価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーは2.0〜3.0eVである。
第2半導体において、H2/H2Oに対する価電子帯の電位は、正であると共に、H2/H2Oとの間に2.8eV以上の差がある。
第2半導体は、粒径50μm以下の粉末状であることが好ましく、33μm以下であることがより好ましい。粒径が50μmをこえると、表面積効果を大幅に低下させてしまい、反応活性が低くなる。
第2半導体としては、酸化タングステン(WO3)、酸化鉄(Fe2O3)もしくは金属ドープ酸化チタンまたはこれらの組み合わせからなる群より選ばれてなることが好ましい。金属ドープ酸化チタンの金属としてはバナジウム(V)もしくはクロム(Cr)またはその組み合わせであることが好ましい。
本発明の可視光応答型光触媒は、第1半導体と第2半導体とが1:20〜20:1の割合で含有されてなることが好ましく、1:2〜2:1の割合で含有されてなることがより好ましい。どちらか一方が過度に少ないと、第1半導体により得られる還元能力の高い電子(−0.12eV未満)および第2半導体により得られる酸化能力の高い正孔(+0.27eV未満)の結合率が低下して、外の物質との反応の機会が増え、触媒反応を高めるという効果が得られない。
以下、図面と対応させながら実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
後述する実施例では、本発明にかかわる可視光応答型光触媒を、正孔の酸化能力で触媒される特性を持つ有機色素クリスタルバイオレット(C25H30ClN3)水溶液中に入れている。クリスタルバイオレットが水に溶解するときの反応は式(1)に示すスキームのとおりに進行し、解離してC25H30N3 +イオンとなる。この水溶液に可視光を照射すると、光触媒は、式(2)に示すスキームのように、水の酸化により発生したOH-とC25H30N3 +イオンとを反応させて、C25H30ClN3を生成し、C25H30N3 +イオンを消費する。このことは、本発明にかかわる可視光応答型光触媒が酸化還元力に優れることを示している。
さらに、実施例2の一実施態様においては、本発明にかかわる可視光応答型光触媒を、電子の還元能力で触媒される特性を持つ有機色素メチレンブルー(C16H18ClN3S)水溶液中に入れている。メチレンブルーが水に溶解するときの反応は式(3)に示すスキームのとおりに進行し、解離してC16H18N3S+陽イオンとなる。この水溶液に可視光を照射すると、光触媒中の価電子帯から電子が励起されて伝導帯に遷移し、電子および正孔が、O2およびH2Oと反応して、それぞれO2 -・およびOH・ラジカルまたはHO2およびOH-などの化合物が生成される。その結果、負イオンが青色C16H18N3S+イオン水溶液を反応させて、式(4)および(5)に示すスキームのように、無色C16H19N3SまたはC16H18N3SOHに還元し、C16H18N3S+イオンを消費する。このことから、本発明にかかわる可視光応答型光触媒が、優れた酸化還元力を有することが明らかとなる。
以下に、本発明がより明確に理解されるよう実施例を挙げるが、これらは本発明を限定しようとするものではない。当業者であればこれら実施例に基づいて各種の変更や修飾が可能であることは自明である。
実施例1および比較例1〜2
以下に、クリスタルバイオレットを試薬として使用し、本発明の可視光応答型光触媒の優れた酸化還元能力を説明する。
以下に、クリスタルバイオレットを試薬として使用し、本発明の可視光応答型光触媒の優れた酸化還元能力を説明する。
(実施例1)
GaPの粉末とWO3の粉末を研磨して細かくした後、400メッシュの篩に通し、それぞれ粒径33μm以下のGaP粉末とWO3粉末とを得た。なお、GaPの価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーは2.2eVであり、GaPの伝導帯の電位がH2/H2Oに対して負であると共に、H2/H2Oとの間に1.2eVの差がある。また、WO3の価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーは2.5eVであり、WO3の価電子帯の電位がH2/H2Oに対して正であると共に、H2/H2Oとの間に3.2eVの差がある。
GaPの粉末とWO3の粉末を研磨して細かくした後、400メッシュの篩に通し、それぞれ粒径33μm以下のGaP粉末とWO3粉末とを得た。なお、GaPの価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーは2.2eVであり、GaPの伝導帯の電位がH2/H2Oに対して負であると共に、H2/H2Oとの間に1.2eVの差がある。また、WO3の価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーは2.5eVであり、WO3の価電子帯の電位がH2/H2Oに対して正であると共に、H2/H2Oとの間に3.2eVの差がある。
篩に通したGaP粉末とWO3粉末を10mgずつ取り出して、暗所に置いた濃度20mg/mlのクリスタルバイオレット水溶液100ml中に加えてから、回転数500rpmで5分間攪拌し、粉末である可視光応答型光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に均一に分散させた。
次に、高圧ナトリウムランプを可視光源として用い(波長450〜650nm、照度50Klux)、前記クリスタルバイオレット水溶液に照射した。そして、照射時間20分、40分、60分、90分、120分、180分、240分、300分、360分の各時点でクリスタルバイオレット水溶液をそれぞれ1mlずつ吸い取った。さらに、その水溶液を回転数12000rpmで遠心分離してから、その上澄みを吸い取り、クリスタルバイオレットの濃度を測定した。高圧ナトリウムランプでクリスタルバイオレット水溶液を照射している間は、回転数を500rpmに保って攪拌を続け、粉末である可視光応答型光触媒を水溶液中に均一に分散させておくよう注意を払った。
(比較例1)
GaP粉末を研磨して細かくした後、400メッシュの篩に通し、粒径33μm以下のGaP粉末を得た。なお、GaPの価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーは2.2eVであり、GaPの伝導帯の電位がH2/H2Oに対して負であると共に、H2/H2Oとの間に1.2eVの差がある。
GaP粉末を研磨して細かくした後、400メッシュの篩に通し、粒径33μm以下のGaP粉末を得た。なお、GaPの価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーは2.2eVであり、GaPの伝導帯の電位がH2/H2Oに対して負であると共に、H2/H2Oとの間に1.2eVの差がある。
篩に通したGaP粉末を20mg取り出して、暗所に置いた濃度20mg/mlのクリスタルバイオレット水溶液100ml中に加えてから、回転数500rpmで5分間攪拌して、粉末である光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に均一に分散させた。
次に、高圧ナトリウムランプを可視光源として用い(波長450〜650nm、照度50Klux)、前記クリスタルバイオレット水溶液を照射した。そして、照射時間20分、40分、60分、90分、120分、180分、240分、300分、360分の各時点でクリスタルバイオレット水溶液をそれぞれ1mlずつ吸い取った。さらに、その水溶液を回転数12000rpmで遠心分離してから、その上澄みを吸い取り、クリスタルバイオレットの濃度を測定した。高圧ナトリウムランプでクリスタルバイオレット水溶液を照射している間は、回転数を500rpmに保って攪拌を続け、粉末である光触媒を水溶液中に均一に分散させておくよう注意を払った。
(比較例2)
WO3粉末を研磨して細かくした後、400メッシュの篩に通し、粒径33μm以下のWO3粉末を得た。なお、WO3の価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーは2.5eVであり、WO3の価電子帯の電位がH2/H2Oに対して正であると共に、H2/H2Oとの間に3.2eVの差がある。
WO3粉末を研磨して細かくした後、400メッシュの篩に通し、粒径33μm以下のWO3粉末を得た。なお、WO3の価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーは2.5eVであり、WO3の価電子帯の電位がH2/H2Oに対して正であると共に、H2/H2Oとの間に3.2eVの差がある。
篩に通した第2半導体WO3粉末を20mg取り出して、暗所に置いた濃度20mg/mlのクリスタルバイオレット水溶液100ml中に加えてから、回転数500rpmで5分間攪拌して、粉末である光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に均一に分散させた。
次に、高圧ナトリウムランプを可視光源として用い(波長450〜650nm、照度50Klux)、上述のクリスタルバイオレット水溶液を照射した。そして、照射時間20分、40分、60分、90分、120分、180分、240分、300分、360分の各時点でクリスタルバイオレット水溶液をそれぞれ1mlずつ吸い取った。その水溶液を回転数12000rpmで遠心分離してから、その上澄みを吸い取り、クリスタルバイオレットの濃度を測定した。高圧ナトリウムランプでクリスタルバイオレット水溶液を照射している間は、回転数を500rpmに保って攪拌を続け、粉末である光触媒を水溶液中に均一に分散させておくよう注意を払った。
実験開始(反応時間0時間)、高圧ナトリウムランプによる180分間照射(反応時間3時間)、および360分間照射(反応時間6時間)の各時点における、実施例1および比較例1〜2のクリスタルバイオレット残留率を比較した。結果を図1に示す(実施例1はc、比較例1はa、および比較例2はbで示す)。
実施例1の溶液における可視光応答型光触媒は、高圧ナトリウムランプの可視光照射を受けて、クリスタルバイオレットの反応に対し触媒効果を示した。そして、照射3時間後および6時間後、データcに示されるように、溶液中に残留したクリスタルバイオレットはそれぞれ84%および74%のみであった。
これに対し、比較例1の溶液において、可視光下で還元電位の高い電子を有する第1半導体GaPからなる光触媒も、高圧ナトリウムランプの照射を受けてクリスタルバイオレットの反応に対し触媒効果を示したが、データaに示されるように、照射3時間後および6時間後、溶液中にはそれぞれ94%および90%ものクリスタルバイオレットが残留していた。
さらに、比較例2の溶液において、可視光下で酸化電位の高い正孔を有する第2半導体WO3からなる光触媒も、高圧ナトリウムランプの照射を受けてクリスタルバイオレットの反応に対し触媒効果を示したが、データbに示すように、照射3時間後および6時間後、溶液中にはそれぞれ94%および86%ものクリスタルバイオレットが残留していた。
このように、実施例1における可視光応答型光触媒は、可視光照射下で、酸化電位の高い正孔と還元電位の高い電子を同時に生成することができるため、還元能力の高い電子を有する半導体または酸化能力の高い正孔を有する半導体の一方のみからなる従来の光触媒に比べて遥かに優れた性能を備えており、前述した本発明の目的が達成され得る。
実施例2〜4および比較例3〜6
ここで用いられる可視光応答型光触媒は、第1半導体としての窒素ドープTiO2と、第2半導体としてのVドープTiO2とを主要成分とするものである。以下に、窒素ドープTiO2粉末とVドープTiO2粉末の作製工程および性質をそれぞれ説明する。
ここで用いられる可視光応答型光触媒は、第1半導体としての窒素ドープTiO2と、第2半導体としてのVドープTiO2とを主要成分とするものである。以下に、窒素ドープTiO2粉末とVドープTiO2粉末の作製工程および性質をそれぞれ説明する。
(窒素ドープTiO2粉末の作製)
アルコール溶液0.5モルを、アルコール/チタンのモル比が約4になるよう、チタン酸テトラ−n−ブチル[Ti(OC4H9)4]溶液中にゆっくりと添加し、マグネット攪拌子で均一に混合しながら、ギ酸約0.5モルを加え、さらに10〜60分間攪拌を続けた。すると、アルコールはチタン酸テトラ−n−ブチルを希釈する作用を有するため、加水分解・縮合反応が緩慢に進行し、さらに、ギ酸がチタン酸テトラ−n−ブチルと共に新たな出発物質[Ti(OC4H9)4-X(OAc)X]を形成することにより、約10〜60分の間に、白色を呈する水酸化チタンの水和物が得られた。酸とアルコールのエステル化反応により生成される均質な水分子は、加水分解・縮合の反応速度をコントロールできるため、得られた縮合分子は解膠に有利なサイズとなった。
アルコール溶液0.5モルを、アルコール/チタンのモル比が約4になるよう、チタン酸テトラ−n−ブチル[Ti(OC4H9)4]溶液中にゆっくりと添加し、マグネット攪拌子で均一に混合しながら、ギ酸約0.5モルを加え、さらに10〜60分間攪拌を続けた。すると、アルコールはチタン酸テトラ−n−ブチルを希釈する作用を有するため、加水分解・縮合反応が緩慢に進行し、さらに、ギ酸がチタン酸テトラ−n−ブチルと共に新たな出発物質[Ti(OC4H9)4-X(OAc)X]を形成することにより、約10〜60分の間に、白色を呈する水酸化チタンの水和物が得られた。酸とアルコールのエステル化反応により生成される均質な水分子は、加水分解・縮合の反応速度をコントロールできるため、得られた縮合分子は解膠に有利なサイズとなった。
前記で得られた白色水酸化チタン水和物を、その重量比が0.02〜0.05重量%となるように脱イオン水中に加えた。その混合物をマグネット攪拌子で攪拌しながら、HNO3/Tiのモル比を0.5〜2.0として硝酸水溶液を添加した後、8時間かけて酸分解し、水酸化チタン透明ゾルを得た。
続いて、得られた水酸化チタン透明ゾルをオーブンに入れ、約50℃で24時間かけて乾燥し、水酸化チタンゲルを得た。得られたゲルを、3℃/分で150℃に加熱し、溶剤を除去した後、300〜500℃で仮焼して白色のアナターゼ型二酸化チタンを得た。そして、この凝集塊状の二酸化チタンを研磨により粉体にしてから、400メッシュの篩に通し、粒径33μm以下の二酸化チタン粉末とした。その二酸化チタン粉末に対してX回折測定、(BET)比表面積測定およびUV/Vis測定を行ったところ、結晶サイズは6〜15nm、(BET)比表面積は50〜80m2/g、バンドギャップは約3.2eVであった。
前記で得られたアナターゼ型二酸化チタン粉末を、再度400メッシュの篩に通してから、マイクロ波プラズマ真空容器に入れ、窒素(N2)雰囲気下、好適なマイクロ波条件(窒素流量20sccm、真空度約2Torr、マイクロ波パワー600〜1000W、1〜6時間)にて、二酸化チタン表面の改質を行ない、すなわち、二酸化チタン中の酸素サイトの一部を、高活性のN原子またはイオンで置換することによって、窒素ドープTiO2粉体を得た。窒素の価電子帯のエネルギーは酸素の価電子帯(+3.05eV)よりも低いため、窒素ドープTiO2粉体の価電子帯と伝導帯のエネルギーギャップが3.2eV以下に縮小されて、可視光吸収能力が高まる。そして、この窒素ドープTiO2粉体に対し、X線回折測定、(BET)比表面積測定、UV/Vis測定を行なったところ、結晶サイズは8〜20nm、(BET)比表面積は30〜60m2/g、エネルギーギャップは2.8〜3.0eVであった。なお、窒素ドープTiO2価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーは2.5〜2.9eVであり、窒素ドープTiO2の伝導帯の電位がH2/H2Oに対して負であると共に、H2/H2Oとの間に1.5eVの差がある。また、粉末の凝集粒径は33μm以下である。
(VドープTiO2粉末の作製)
アルコール溶液0.5モルを、アルコール/チタンのモル比が約4になるよう、チタン酸テトラ−n−ブチル[Ti(OC4H9)4]溶液中にゆっくりと添加して、マグネット攪拌子で均一に混合した。これとは別に、ギ酸0.5モルのギ酸水溶液にバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)溶解させて均一に攪拌し、バナジウム/チタンのモル比を0.001〜0.005の範囲内にコントロールしながら、前記した希釈後のチタン酸テトラ−n−ブチル[Ti(OC4H9)4]溶液に加え、さらに10〜60分間攪拌を続けた。すると、アルコールはチタン酸テトラ−n−ブチルを希釈する作用を有するため、加水分解・縮合反応が緩慢に進行し、さらに、ギ酸がチタン酸テトラ−n−ブチルと共に新たな出発物質[Ti(OC4H9)4-X(OAc)X]を形成することにより、約10〜60分の間に、橘黄色のバナジウムイオンを含有する水酸化チタンの水和物が得られた。また、酸とアルコールのエステル化反応により生成される均質な水分子は、加水分解・縮合の反応速度をコントロールするので、得られた縮合分子が解膠に有利なサイズとなった。
アルコール溶液0.5モルを、アルコール/チタンのモル比が約4になるよう、チタン酸テトラ−n−ブチル[Ti(OC4H9)4]溶液中にゆっくりと添加して、マグネット攪拌子で均一に混合した。これとは別に、ギ酸0.5モルのギ酸水溶液にバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)溶解させて均一に攪拌し、バナジウム/チタンのモル比を0.001〜0.005の範囲内にコントロールしながら、前記した希釈後のチタン酸テトラ−n−ブチル[Ti(OC4H9)4]溶液に加え、さらに10〜60分間攪拌を続けた。すると、アルコールはチタン酸テトラ−n−ブチルを希釈する作用を有するため、加水分解・縮合反応が緩慢に進行し、さらに、ギ酸がチタン酸テトラ−n−ブチルと共に新たな出発物質[Ti(OC4H9)4-X(OAc)X]を形成することにより、約10〜60分の間に、橘黄色のバナジウムイオンを含有する水酸化チタンの水和物が得られた。また、酸とアルコールのエステル化反応により生成される均質な水分子は、加水分解・縮合の反応速度をコントロールするので、得られた縮合分子が解膠に有利なサイズとなった。
前記で得られたバナジウム含有水酸化チタンの水和物を、その重量比が0.02〜0.05重量%となるよう、脱イオン水中に加え、マグネット攪拌子で攪拌しながら、HNO3/Tiのモル比が0.5〜2.0となるように、硝酸水溶液をさらに添加した後、8時間かけて酸分解し、バナジウム含有水酸化チタンの透明ゾルを得た。
続いて、得られたバナジウム含有水酸化チタン透明ゾルをオーブンに入れ、約50℃で24時間かけて乾燥し、水酸化チタンゲルを得た。得られたゲルを、3℃/分で150℃に加熱し、溶剤を除去した後、300〜600℃で仮焼して橘黄色のアナターゼ型VドープTiO2を得た。そして、この凝集塊状のVドープTiO2を研磨により粉体にしてから、400メッシュの篩に通し、粒径33μm以下のVドープTiO2粉末を得た。そのVドープTiO2粉末に対してX回折測定、(BET)比表面積測定およびUV/Vis測定を行ったところ、結晶サイズは6〜15nm、(BET)比表面積は50〜80m2/gおよびバンドギャップエネルギーは約2.0〜2.5eVという結果であった。
最後に、後続の各実験に備えるべく、前記で得られたアナターゼ型VドープTiO2粉末を再度400メッシュの篩に通した。粉末の凝集粒径は33μm以下である。なお、VドープTiO2における価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーは1.8〜2.6eVであり、VドープTiO2の価電子帯の電位がH2/H2Oに対して正であると共に、H2/H2Oとの間に2.7eVの差がある。
クリスタルバイオレットを試薬とする実施例2〜4および比較例3〜4について以下に説明する。
(実施例2)
窒素ドープTiO2粉末とVドープTiO2粉末をそれぞれ10mgずつ取り出して、暗所に置いた濃度0.005mg/mlのクリスタルバイオレット水溶液100ml中に添加した後、回転数500rpmで5分間攪拌し、粉末である可視光応答型光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に均一に分散させた。
窒素ドープTiO2粉末とVドープTiO2粉末をそれぞれ10mgずつ取り出して、暗所に置いた濃度0.005mg/mlのクリスタルバイオレット水溶液100ml中に添加した後、回転数500rpmで5分間攪拌し、粉末である可視光応答型光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に均一に分散させた。
次に、高圧ナトリウムランプを可視光源として用い(波長450〜650nm、照度50Klux)、反応容器を約25℃の温水が循環する恒温水槽に入れた状態で、前記クリスタルバイオレット水溶液を照射した。そして、照射時間20分、40分、60分、90分、120分、180分、240分、300分、360分の各時点においてクリスタルバイオレット水溶液をそれぞれ1mlずつ吸い取った。さらに、その水溶液を回転数12000rpmで遠心分離してから上澄みを吸い取り、クリスタルバイオレットの濃度を測定した。高圧ナトリウムランプでクリスタルバイオレット水溶液を照射している間は、攪拌の回転数を500rpmに保って攪拌を続け、可視光応答型光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に常に均一に分散させておくよう注意を払った。
(実施例3)
窒素ドープTiO2粉末を約6.7mg、VドープTiO2粉末を約13.3mg取り出し、窒素ドープTiO2粉末とVドープTiO2粉末との混合比を1:2とした上で、粉体の総量は20mgとなるように、暗所に置いた濃度0.005mg/mlのクリスタルバイオレット水溶液100ml中に添加した。その後、回転数500rpmで5分間攪拌し、粉末である可視光応答型光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に均一に分散させた。
窒素ドープTiO2粉末を約6.7mg、VドープTiO2粉末を約13.3mg取り出し、窒素ドープTiO2粉末とVドープTiO2粉末との混合比を1:2とした上で、粉体の総量は20mgとなるように、暗所に置いた濃度0.005mg/mlのクリスタルバイオレット水溶液100ml中に添加した。その後、回転数500rpmで5分間攪拌し、粉末である可視光応答型光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に均一に分散させた。
次に、高圧ナトリウムランプを可視光源として用い(波長450〜650nm、照度50Klux)、反応容器を約25℃の温水が循環する恒温水槽に入れた状態で、前記クリスタルバイオレット水溶液を照射した。そして、照射時間20分、40分、60分、90分、120分、180分、240分、300分、360分の各時点においてクリスタルバイオレット水溶液をそれぞれ1mlずつ吸い取った。さらに、その水溶液を回転数12000rpmで遠心分離してから上澄みを吸い取り、クリスタルバイオレットの濃度を測定した。高圧ナトリウムランプでクリスタルバイオレット水溶液を照射している間は、攪拌の回転数を500rpmに保ち、可視光応答型光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に均一に分散させておくよう注意を払った。
(実施例4)
窒素ドープTiO2粉末を約13.3mg、VドープTiO2粉末を約6.7mg取り出し、窒素ドープTiO2粉末とVドープTiO2粉末との混合比を2:1とした上で、粉体の総量は20mgとなるように、暗所に置いた濃度0.005mg/mlのクリスタルバイオレット水溶液100ml中に添加した。その後、回転数500rpmで5分間攪拌し、可視光応答型光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に均一に分散させた。
窒素ドープTiO2粉末を約13.3mg、VドープTiO2粉末を約6.7mg取り出し、窒素ドープTiO2粉末とVドープTiO2粉末との混合比を2:1とした上で、粉体の総量は20mgとなるように、暗所に置いた濃度0.005mg/mlのクリスタルバイオレット水溶液100ml中に添加した。その後、回転数500rpmで5分間攪拌し、可視光応答型光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に均一に分散させた。
次に、高圧ナトリウムランプを可視光源として用い(波長450〜650nm、照度50Klux)、反応容器を約25℃の温水が循環する恒温水槽に入れた状態で、上述のクリスタルバイオレット水溶液を照射した。そして、照射時間20分、40分、60分、90分、120分、180分、240分、300分、360分の各時点においてクリスタルバイオレット水溶液をそれぞれ1mlずつ吸い取った。さらに、その水溶液を回転数12000rpmで遠心分離してから上澄みを吸い取り、クリスタルバイオレットの濃度を測定した。高圧ナトリウムランプでクリスタルバイオレット水溶液を照射している間は、攪拌の回転数を500rpmに保ち、可視光応答型光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に均一に分散させておくよう注意を払った。
(比較例3)
窒素ドープTiO2粉末を20mg取り出して、暗所に置いた濃度0.005mg/mlのクリスタルバイオレット水溶液100ml中に添加した後、回転数500rpmで5分間攪拌し、得られた光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に均一に分散させた。
窒素ドープTiO2粉末を20mg取り出して、暗所に置いた濃度0.005mg/mlのクリスタルバイオレット水溶液100ml中に添加した後、回転数500rpmで5分間攪拌し、得られた光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に均一に分散させた。
次に、高圧ナトリウムランプを可視光源として用い(波長450〜650nm、照度50Klux)、反応容器を約25℃の温水が循環する恒温水槽に入れた状態で、上述のクリスタルバイオレット水溶液を照射した。そして、照射時間20分、40分、60分、90分、120分、180分、240分、300分、360分の各時点においてクリスタルバイオレット水溶液をそれぞれ1mlずつ吸い取った。さらに、その水溶液を回転数12000rpmで遠心分離してから上澄みを吸い取り、クリスタルバイオレットの濃度を測定した。高圧ナトリウムランプでクリスタルバイオレット水溶液を照射している間は、攪拌の回転数を500rpmに保ち、光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に常に均一に分散させておくよう注意を払った。
(比較例4)
VドープTiO2粉末を20mg取り出し、暗所に置いた濃度0.005mg/mlのクリスタルバイオレット水溶液100ml中に添加してから、回転数500rpmで5分間攪拌し、粉末としての比較例4にかかわる光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に均一に分散させた。
VドープTiO2粉末を20mg取り出し、暗所に置いた濃度0.005mg/mlのクリスタルバイオレット水溶液100ml中に添加してから、回転数500rpmで5分間攪拌し、粉末としての比較例4にかかわる光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に均一に分散させた。
次に、高圧ナトリウムランプを可視光源として用い(波長450〜650nm、照度50Klux)、反応容器を約25℃の温水が循環する恒温水槽に入れた状態で、上述のクリスタルバイオレット水溶液を照射した。そして、照射時間20分、40分、60分、90分、120分、180分、240分、300分、360分の各時点においてクリスタルバイオレット水溶液をそれぞれ1mlずつ吸い取った。さらに、その水溶液を回転数12000rpmで遠心分離してから上澄みを吸い取り、クリスタルバイオレットの濃度を測定した。高圧ナトリウムランプでクリスタルバイオレット水溶液を照射している間は、攪拌の回転数を500rpmに保ち、比較例4の光触媒をクリスタルバイオレット水溶液中に常に均一に分散させておくよう注意を払った。
実験開始(反応時間0時間)、高圧ナトリウムランプによる180分間照射(反応時間3時間)、および360分間照射(反応時間6時間)の各時点における、上記各グループのクリスタルバイオレット残留率を比較した。結果は図2に示す(比較例3はd、比較例4はe、実施例2はf、実施例3はg、実施例4はhで示す)。実施例2,3,4で得られた各溶液において、酸化能力の強い窒素ドープTiO2と還元能力の強いVドープTiO2とをそれぞれ異なる割合(それぞれ1:1,1:2,2:1)で混合してなる各光触媒は、高圧ナトリウムランプの照射によりクリスタルバイオレットに対して反応性を触媒した。そして、高圧ナトリウムランプの照射3時間後および6時間後に、各溶液中に残留するクリスタルバイオレットは、データf,g,hに示されるように、それぞれ7.73%,16.30%,12.84%、および0.56%,1.56%,0.78%であった。これに対し、比較例3の溶液において、可視光下で還元電位の高い電子を有する第1半導体(窒素ドープTiO2)からなる光触媒も、高圧ナトリウムランプの照射によりクリスタルバイオレットに対し反応を触媒するが、照射3時間後および6時間後、データdに示されるように、溶液中にはそれぞれ32.12%および4.23%ものクリスタルバイオレットが残留していた。さらに、比較例4により得られた溶液において、可視光下で酸化電位の高い正孔を有する第2半導体(VドープTiO2)からなる光触媒も、高圧ナトリウムランプの照射によりクリスタルバイオレットに対し反応を触媒するが、照射3時間後および6時間後、溶液中に残留したクリスタルバイオレットはそれぞれ27.92%および8.78%もあった。このように、実施例2〜4の可視光応答型光触媒は、可視光照射下で、酸化電位の高い正孔と還元電位の高い電子とを同時に生成することができるため、還元能力の高い電子を有する半導体または酸化能力の高い正孔を有する半導体の一方のみからなる従来の光触媒に比べ、遥かに優れた性能を備えており、前述した本発明の目的が達成され得る。
メチレンブルーを試薬とする実施例5〜7および比較例5〜6について以下に説明する。なお、窒素ドープTiO2粉末およびVドープTiO2粉末は、実施例2〜4および比較例3〜4で用いたものと同様のものを用いた。
(実施例5)
窒素ドープTiO2粉末とVドープTiO2粉末とをそれぞれ10mgずつ取り出し、暗所に置いた濃度0.01mg/mlのメチレンブルー水溶液100ml中に添加してから、回転数500rpmで5分間攪拌し、得られた可視光応答型光触媒をメチレンブルー水溶液中に均一に分散させた。
窒素ドープTiO2粉末とVドープTiO2粉末とをそれぞれ10mgずつ取り出し、暗所に置いた濃度0.01mg/mlのメチレンブルー水溶液100ml中に添加してから、回転数500rpmで5分間攪拌し、得られた可視光応答型光触媒をメチレンブルー水溶液中に均一に分散させた。
次に、高圧ナトリウムランプを可視光源として用い(波長450〜650nm、照度50Klux)、反応容器を約25℃の温水が循環する恒温水槽に入れた状態で、上述のクリスタルバイオレット水溶液を照射した。そして、照射時間20分、40分、60分、90分、120分、180分、240分、300分、360分の各時点においてクリスタルバイオレット水溶液をそれぞれ1mlずつ吸い取った。さらに、その水溶液を回転数12000rpmで遠心分離してから上澄みを吸い取り、メチレンブルーの濃度を測定した。高圧ナトリウムランプでメチレンブルー水溶液を照射している間は、攪拌の回転数を500rpmに保ち、得られた可視光応答型光触媒をメチレンブルー水溶液中に始終均一に分散させておくよう注意を払った。
(実施例6)
窒素ドープTiO2粉末を約6.7mg、VドープTiO2粉末を約13.3mg取り出し、窒素ドープTiO2粉末とVドープTiO2粉末との混合比を1:2とした上で、粉体の総量は20mgとなるように、暗所に置いた濃度0.01mg/mlのメチレンブルー水溶液100ml中に添加した。その後、回転数500rpmで5分間攪拌し、粉末として得られた可視光応答型光触媒をメチレンブルー水溶液中に均一に分散させた。
窒素ドープTiO2粉末を約6.7mg、VドープTiO2粉末を約13.3mg取り出し、窒素ドープTiO2粉末とVドープTiO2粉末との混合比を1:2とした上で、粉体の総量は20mgとなるように、暗所に置いた濃度0.01mg/mlのメチレンブルー水溶液100ml中に添加した。その後、回転数500rpmで5分間攪拌し、粉末として得られた可視光応答型光触媒をメチレンブルー水溶液中に均一に分散させた。
次に、高圧ナトリウムランプを可視光源として用い(波長450〜650nm、照度50Klux)、反応容器を約25℃の温水が循環する恒温水槽に入れた状態で、上述のクリスタルバイオレット水溶液を照射した。そして、照射時間20分、40分、60分、90分、120分、180分、240分、300分、360分の各時点においてクリスタルバイオレット水溶液をそれぞれ1mlずつ吸い取った。さらに、その水溶液を回転数12000rpmで遠心分離してから上澄みを吸い取り、メチレンブルーの濃度を測定した。高圧ナトリウムランプでメチレンブルー水溶液を照射している間は、攪拌の回転数を500rpmに保ち、可視光応答型光触媒をメチレンブルー水溶液中に均一に分散させておくよう注意を払った。
(実施例7)
窒素ドープTiO2粉末を約13.3mg、VドープTiO2粉末を約6.7mgそれぞれ取り出し、窒素ドープTiO2粉末とVドープTiO2粉末との混合比を2:1とした上で、粉体の総量は必ず20mgとなるように、暗所に置いた濃度0.01mg/mlのメチレンブルー水溶液100ml中に添加した。その後、回転数500rpmで5分間攪拌し、粉末として得られた可視光応答型光触媒をメチレンブルー水溶液中に均一に分散させた。
窒素ドープTiO2粉末を約13.3mg、VドープTiO2粉末を約6.7mgそれぞれ取り出し、窒素ドープTiO2粉末とVドープTiO2粉末との混合比を2:1とした上で、粉体の総量は必ず20mgとなるように、暗所に置いた濃度0.01mg/mlのメチレンブルー水溶液100ml中に添加した。その後、回転数500rpmで5分間攪拌し、粉末として得られた可視光応答型光触媒をメチレンブルー水溶液中に均一に分散させた。
次に、高圧ナトリウムランプを可視光源として用い(波長450〜650nm、照度50Klux)、反応容器を約25℃の温水が循環する恒温水槽に入れた状態で、前記クリスタルバイオレット水溶液に照射した。そして、照射時間20分、40分、60分、90分、120分、180分、240分、300分、360分の各時点においてクリスタルバイオレット水溶液をそれぞれ1mlずつ吸い取った。さらに、その水溶液を回転数12000rpmで遠心分離してから上澄みを吸い取り、メチレンブルーの濃度を測定した。高圧ナトリウムランプでメチレンブルー水溶液を照射している間は、攪拌の回転数を500rpmに保ち、可視光応答型光触媒をメチレンブルー水溶液中に均一に分散させておくよう注意を払った。
(比較例5)
窒素ドープTiO2粉末を20mg取り出し、暗所に置いた濃度0.01mg/mlのメチレンブルー水溶液100ml中に添加してから、回転数500rpmで5分間攪拌し、粉末としての比較例5の光触媒をメチレンブルー水溶液中に均一に分散させた。
窒素ドープTiO2粉末を20mg取り出し、暗所に置いた濃度0.01mg/mlのメチレンブルー水溶液100ml中に添加してから、回転数500rpmで5分間攪拌し、粉末としての比較例5の光触媒をメチレンブルー水溶液中に均一に分散させた。
次に、高圧ナトリウムランプを可視光源として用い(波長450〜650nm、照度50Klux)、反応容器を約25℃の温水が循環する恒温水槽に入れた状態で、前記クリスタルバイオレット水溶液に照射した。そして、照射時間20分、40分、60分、90分、120分、180分、240分、300分、360分の各時点においてクリスタルバイオレット水溶液をそれぞれ1mlずつ吸い取った。さらに、その水溶液を回転数12000rpmで遠心分離してから上澄みを吸い取り、メチレンブルーの濃度を測定した。高圧ナトリウムランプでメチレンブルー水溶液を照射している間は、攪拌の回転数を500rpmに保ち、光触媒をメチレンブルー水溶液中に均一に分散させておくよう注意を払った。
(比較例6)
VドープTiO2粉末を20mg取り出し、暗所に置いた濃度0.01mg/mlのメチレンブルー水溶液100ml中に添加してから、回転数500rpmで5分間攪拌し、粉末として得られた光触媒をメチレンブルー水溶液中に均一に分散させた。
VドープTiO2粉末を20mg取り出し、暗所に置いた濃度0.01mg/mlのメチレンブルー水溶液100ml中に添加してから、回転数500rpmで5分間攪拌し、粉末として得られた光触媒をメチレンブルー水溶液中に均一に分散させた。
次に、高圧ナトリウムランプを可視光源として用い(波長450〜650nm、照度50Klux)、反応容器を約25℃の温水が循環する恒温水槽に入れた状態で、前記クリスタルバイオレット水溶液に照射した。そして、照射時間20分、40分、60分、90分、120分、180分、240分、300分、360分の各時点においてクリスタルバイオレット水溶液をそれぞれ1mlずつ吸い取った。さらに、その水溶液を回転数12000rpmで遠心分離してから上澄みを吸い取り、メチレンブルーの濃度を測定した。高圧ナトリウムランプでメチレンブルー水溶液を照射している間は、攪拌の回転数を500rpmに保ち、比較例6の光触媒をメチレンブルー水溶液中に均一に分散させておくよう注意を払った。
実験開始(反応時間0時間)、高圧ナトリウムランプによる180分間照射(反応時間3時間)および360分間照射(反応時間6時間)の各時点における、それぞれのクリスタルバイオレット残留率を比較したところ、結果を図3に示す(比較例5はi、比較例6はj、実施例5はk、実施例6はl、実施例7はmで示す)。実施例5〜7で得られた各溶液において、酸化能力の強い窒素ドープTiO2と還元能力の強いVドープTiO2とをそれぞれ異なる割合(それぞれ1:1,1:2,2:1)で混合してなる各可視光応答型光触媒は、高圧ナトリウムランプの照射を受けてメチレンブルーに対し反応を触媒した。そして、照射3時間後および6時間後、データk,l,mに示されるように、溶液中にはそれぞれ4.58%,4.67%,5.83%および1.38%,1.39%,3.27%のみしかメチレンブルーは残留しなかった。これに対し、比較例5の溶液において、可視光下で還元電位の高い電子を有する第1半導体(窒素ドープTiO2)も、高圧ナトリウムランプの照射を受けてメチレンブルーに対し反応を触媒するが、照射3時間後および6時間後、データiに示されるように、溶液中にそれぞれ43.07%および19.34%ものメチレンブルーが残留していた。さらに、比較例6により得られた溶液において、可視光下で酸化電位の高い正孔を有する第2半導体(VドープTiO2)からなる光触媒も、高圧ナトリウムランプの照射を受けてメチレンブルーに対し反応を触媒するが、照射3時間後および6時間後、溶液中のメチレンブルーの残留率はそれぞれ37.53%および23.95%と高かった。このように、実施例5〜7の可視光応答型光触媒は、可視光照射下で、酸化電位の高い正孔と還元電位の高い電子とを同時に生成することができるため、還元能力の高い電子を有する半導体または酸化能力の高い正孔を有する半導体の一方のみからなる従来の光触媒に比べ、遥かに優れた性能を備えており、前述した本発明の目的が達成され得る。
本発明による酸化還元能力に優れた可視光応答型光触媒は、実施例1で挙げたGaPとWO3を1:1の割合で複合した光触媒や、実施例2で挙げた窒素ドープTiO2とVドープTiO2とを1:2〜2:1の割合で複合した光触媒に限られることはなく、例えば、GaP、GaAs、CdS、CdSeもしくは窒素ドープTiO2またはこれらの組み合わせであって、可視光照射下で還元電位の高い電子を備える半導体材料からなる第1半導体と、WO3、Fe2O3もしくは金属ドープTiO2またはこれらの組み合わせであって、可視光照射下で酸化電位の高い正孔を備える半導体材料からなる第2半導体とを、所望の組み合わせおよびそれに適した任意の割合で複合したものすることができ、いずれの態様であっても本発明にかかわる酸化還元能力に優れた可視光応答型光触媒を構成することができると共に、本発明の効果を達成することが可能である。また、金属ドープ型TiO2における金属は、VもしくはCrまたはその組み合わせであり得る。
以上、好適な実施形態および実施例により本発明を説明したが、当業者には自明であろう変更や修飾を施すことは可能である。すなわち、添付した特許請求の範囲は、本発明の思想と権利を求める範囲内に含まれるこれら変更や修飾を全て包括していると解されるべきである。
Claims (11)
- 価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーが2.0〜3.0eVであり、伝導帯の電位が、H2/H2Oに対して負であると共に、H2/H2Oとの間に0.2eV以上の差がある第1半導体と、
価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーが2.0〜3.0eVであり、価電子帯の電位が、H2/H2Oに対して正であると共に、H2/H2Oとの間に2.8eV以上の差がある第2半導体と
を複合してなる可視光応答型光触媒。 - 前記第1半導体が、粒径50μm以下の粉末状を呈している請求項1記載の可視光応答型光触媒。
- 前記第2半導体が、粒径50μm以下の粉末状を呈している請求項1記載の可視光応答型光触媒。
- 前記第1半導体と前記第2半導体とが、1:20〜20:1の割合で含有されてなる請求項1記載の可視光応答型光触媒。
- 前記第1半導体が、ガリウムリン(GaP)、ガリウムヒ素(GaAs)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)もしくは窒素ドープ酸化チタンまたはこれらの組み合わせからなる群より選ばれる請求項1記載の可視光応答型光触媒。
- 前記第2半導体が、酸化タングステン(WO3)、酸化鉄(Fe2O3)もしくは金属ドープ酸化チタンまたはこれらの組み合わせからなる群より選ばれる請求項1記載の可視光応答型光触媒。
- 前記金属ドープ酸化チタンの金属が、バナジウム(V)もしくはクロム(Cr)またはその組み合わせである請求項6記載の可視光応答型光触媒。
- 価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーが2.0〜3.0eVであり、伝導帯の電位が、H2/H2Oに対して負であると共に、H2/H2Oとの間に0.2eV以上の差がある、窒素ドープ酸化チタンと、
価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップエネルギーが2.0〜3.0eVであり、価電子帯の電位が、H2/H2Oに対して正であると共に、H2/H2Oとの間に2.8V以上の差がある、バナジウムドープ酸化チタンと、
を複合してなる可視光応答型光触媒。 - 前記窒素ドープ酸化チタンが、粒径50μm以下の粉末状を呈している請求項8記載の可視光応答型光触媒。
- 前記バナジウムドープ酸化チタンが、粒径50μm以下の粉末状を呈している請求項8記載の可視光応答型光触媒。
- 前記窒素ドープ酸化チタンと前記バナジウムドープ酸化チタンとが、1:20〜20:1の割合で含有されてなる請求項8記載の可視光応答型光触媒。
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