JP2004209923A - フィラメントワインディング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】繊維束に付着した樹脂量を製品が完成する前に計測することができ、付着樹脂量の設定範囲からの逸脱を製品完成前に検知することができ、製品検査での不良品の発生を少なくできるフィラメントワインディング装置を提供する。
【解決手段】FW装置11は、繊維束供給部12、樹脂含浸装置13、付着樹脂重量計測部14、張力調整部15及び巻付けヘッド16を備えている。付着樹脂重量計測部14は、樹脂含浸槽21から繊維束Rを所定長さずつ引き出し可能な繊維束引出し部27と、前記所定長さの樹脂含浸繊維束の重量を計測する重量計測部28とを備えている。重量計測部28は複数の荷重計39を備え、各荷重計39上には所定本数の繊維束Rを支承する繊維束支承部40が設けられている。制御装置Cは荷重計39の計測信号に基づいて繊維束Rへの付着樹脂量が所定の設定範囲内にあるか否かを判断し、設定範囲から外れた場合に、FW装置11の巻付け運転を停止させる。
【選択図】 図1
【解決手段】FW装置11は、繊維束供給部12、樹脂含浸装置13、付着樹脂重量計測部14、張力調整部15及び巻付けヘッド16を備えている。付着樹脂重量計測部14は、樹脂含浸槽21から繊維束Rを所定長さずつ引き出し可能な繊維束引出し部27と、前記所定長さの樹脂含浸繊維束の重量を計測する重量計測部28とを備えている。重量計測部28は複数の荷重計39を備え、各荷重計39上には所定本数の繊維束Rを支承する繊維束支承部40が設けられている。制御装置Cは荷重計39の計測信号に基づいて繊維束Rへの付着樹脂量が所定の設定範囲内にあるか否かを判断し、設定範囲から外れた場合に、FW装置11の巻付け運転を停止させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフィラメントワインディング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
FRP(繊維強化プラスチック)製のパイプや容器を効率よく形成する方法としてフィラメントワインディング法がある。フィラメントワインディング法では一般に、樹脂含浸バス(樹脂含浸槽)で繊維束に樹脂を含浸し、樹脂含浸繊維束を回転するマンドレルの周囲に所定の角度で巻き付ける(例えば、特許文献1参照)。また、付着した樹脂量が一定の状態で繊維束をマンドレルに巻き付けるため、樹脂含浸槽から引き出された繊維束に付着した余分な樹脂をスキージ(パッド)で掻き取るようになっている。
【0003】
近年、自動車のプロペラシャフトを炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で形成することが提案され、一部、実施されている。プロペラシャフトをCFRPで製造する場合、炭素繊維に付着させる樹脂の量(重量)は、プロペラシャフトの性能上重要な要素であり、樹脂含浸工程で管理されている。含浸される樹脂量を管理するパラメータとして、樹脂含浸槽から引き出される樹脂含浸繊維束から樹脂を掻き取るスキージの隙間、繊維束の引き出し速度、雰囲気温度、湿度、樹脂温度、粘度、繊維束の開繊度、毛羽立ち具合等がある。
【0004】
また、生産性を高めるため、被糸条巻付け部材(マンドレル)に対して複数本の糸条(繊維束)で同時にヘリカル巻を行うヘリカル巻部と、糸条を被糸条巻付け部材に対してフープ巻を行うフープ巻部とを備えたフィラメントワインディング装置が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載のフィラメントワインディング装置では、複数の糸条(実施の形態では28本の糸条)を被糸条巻付け部材に対して同時にヘリカル巻で巻付け可能とするため、ヘリカル巻部は被糸条巻付け部材の周方向に沿って配列された複数のガイドを備えている。
【0005】
【特許文献1】
特許第3216855号公報(明細書の段落[0011]〜[0015]、図1)
【特許文献2】
特開2002−283467号公報(明細書の段落[0012]、[0013]、[0051]、図1、図5、図7)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のフィラメントワインディング装置では、樹脂含浸工程で繊維束への付着樹脂量を管理しても、所望の量の樹脂が繊維束に付着しているか否かを工程内で検査できない。そして、検査は、工程を止めた状態でのロット検査になるため、不具合が発生しても製造中には検知できず、不具合発生後、検査までの間の製品は不良品になる。また、繊維束への付着樹脂量を検査して繊維束に付着した樹脂の絞り量を調整するまでに時間がかかる。
【0007】
また、樹脂含浸工程で付着量が適正に管理された場合でも、フィラメントワインディング時に樹脂が垂れ落ちたり、繊維束の移動経路にあるガイドに樹脂が付着して製品の樹脂量が所定の範囲から逸脱する場合もある。そして、実際の付着樹脂量(重量)は、硬化、脱型が終わるまで分からないため、含浸工程あるいはフィラメントワインディング工程で付着樹脂量が変化する不具合が発生しても、不具合が発見され難い。
【0008】
マンドレル(被繊維束巻付け部材)に一度に巻き付けられる繊維束の本数が少ない場合は、付着樹脂量の管理を比較的良好に行うことができるが、10本以上の多数本の繊維束を同時に巻き付けるフィラメントワインディング装置では、付着樹脂量の管理が難しい。
【0009】
本発明は前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、繊維束に付着した樹脂量を製品が完成する前に計測することができ、付着樹脂量の設定範囲からの逸脱を製品完成前に検知することができるため、製品検査での不良品の発生を少なくできるフィラメントワインディング装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、被繊維束巻付け部材を支持して回転させながら、該被繊維束巻付け部材の表面に樹脂が含浸された繊維束を、巻付けヘッドを介して巻き付けるフィラメントワインディング装置である。フィラメントワインディング装置は前記繊維束に付着された樹脂の重量を計測する付着樹脂重量計測部を備えている。
【0011】
この発明では、巻付けヘッドによって被繊維束巻付け部材に巻き付けられる繊維束に付着された樹脂量(樹脂の重量)が付着樹脂重量計測部により計測される。即ち、従来装置と異なり、繊維束に付着した樹脂量を製品が完成する前に計測することができる。従って、例えば、付着樹脂量の適正範囲を余裕を持って設定し、適正範囲から多少ずれても不良品にならない値に設定することにより、付着樹脂量のずれが僅かな場合には繊維束を廃棄しなくてもよくなる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記付着樹脂重量計測部は、繊維束供給部から引き出された繊維束に樹脂を含浸させる樹脂含浸装置と前記巻付けヘッドとの間に配置され、樹脂が含浸された繊維束の重量を計測することにより付着樹脂量を計測する。この発明では、繊維束が巻付けヘッドに供給される前に、繊維束に付着した樹脂量が計測されるため、不具合の発生を早期に検知できる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記付着樹脂重量計測部と前記巻付けヘッドとの間に張力調整部が設けられ、前記付着樹脂重量計測部は、前記樹脂含浸装置から引き出された所定長さの繊維束を、その両端部で支承した状態で樹脂含浸繊維束の重量を計測する。この発明では、繊維束が樹脂含浸装置から引き出された後、多くの経路を経る前に付着樹脂量が計測されるため、付着樹脂量が設定範囲から外れた際に、原因究明が容易になる。また、繊維束を両端部で支承した状態で樹脂含浸繊維束の重量を計測するため、繊維束の経路を殆ど変更せずに、巻付けヘッドへ供給される経路に組み込むことができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記付着樹脂重量計測部は、繊維束が被繊維束巻付け部材に巻き付けられた状態で前記被繊維束巻付け部材及び樹脂含浸繊維束の重量を計測することにより付着樹脂量を計測する。
【0015】
この発明では、繊維束が被繊維束巻付け部材に巻き付けられた後に、付着樹脂量が計測される。従って、樹脂含浸装置で適正量の樹脂が繊維束に付着された後、被繊維束巻付け部材に巻き付けられる前に何らかの原因で樹脂量が適正量から逸脱した場合にも、そのことを検知できる。また、硬化、脱型工程を経る前に製品の合格及び不合格の判定が可能となり、不合格品に対する無駄な硬化作業を行う必要がなくなる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記被繊維束巻付け部材がフィラメントワインディング装置にその両端部において支承された状態でその重量を計測する。この発明では、所定量の繊維束の巻付けが完了した後、被繊維束巻付け部材をフィラメントワインディング装置から取り外すことなく付着樹脂量を計測できる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記付着樹脂重量計測部は、荷重計に曲げモーメントが加わらないように複数の荷重計で前記被繊維束巻付け部材の各端部を支承した状態で重量を計測する。この発明では、繊維束が巻き付けられた被繊維束巻付け部材の重量が、荷重計に曲げモーメントが加わらない状態で計測される。従って、荷重計に曲げモーメントが加わる状態で計測する場合に比較して、精度良く計測できる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記樹脂含浸槽より繊維束移動方向上流側に繊維束の重さを計測する繊維束重量測定部が設けられている。この発明では、繊維束に重量のバラツキがある場合、繊維束の重量が適正範囲を逸脱していることが検知された際に、製品の製造を中断して対処することができる。また、繊維束の重量が適正範囲にある場合に、繊維束の重量を考慮して繊維束への樹脂の付着量を管理することが可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図1及び図2に従って説明する。図1はフィラメントワインディング装置(以下、FW装置と称す)の模式側面図である。
【0020】
図1に示すように、FW装置11は、繊維束供給部12、樹脂含浸装置13、付着樹脂重量計測部14、張力調整部15及び巻付けヘッド16を備えている。
FW装置11は、本願出願人が先に出願した特許文献2に開示されたものと同様な巻付けヘッド(ヘリカル巻用ヘッド及びフープ巻用ヘッド)16を備えており、図1ではヘリカル巻用ヘッドが図示されている。FW装置11は、被繊維束巻付け部材17をその軸心を中心に回転可能に支持する支持部(図示せず)を備え、被繊維束巻付け部材17がその軸心を中心に回転されるようになっている。支持部は可変速モータにより回転駆動され、制御装置Cの指令によって支持部が巻付けヘッド16の移動速度と同期した状態で回転駆動されることにより、繊維束Rの被繊維束巻付け部材17に対する巻付け角度を任意の角度に設定して巻き付けることができるようになっている。被繊維束巻付け部材17は、例えばマンドレル、筒状の芯材あるいはタンクを製造する場合のライナ等である。
【0021】
巻付けヘッド16は、被繊維束巻付け部材17に貫通される孔を有する支持板18を備えている。ヘリカル巻用ヘッドの支持板18には、複数本の繊維束を同時に被繊維束巻付け部材17に対してヘリカル巻で巻付け可能とするため、図1に示すように複数のガイド19が被繊維束巻付け部材17の周方向に沿って配列された状態で設けられている。この実施の形態では28本の繊維束を案内可能にそれぞれ28個の大小2種のガイド19が2個の同心円上に配列されている。フープ巻部を備えたフープ巻用ヘッドは、繊維束Rを被繊維束巻付け部材17に対して2本同時にフープ巻で巻付け可能とするためのガイドを備えている。ヘリカル巻用ヘッドとフープ巻用ヘッドとは一体的な移動と、独立した状態での移動とが可能に構成されている。そして、数本の繊維束Rを同時に被繊維束巻付け部材17に対してヘリカル巻で巻付け可能となり、ヘリカル巻用ヘッドが被繊維束巻付け部材17に沿って一回往動又は復動することで被繊維束巻付け部材17の全周面に亘って繊維束Rがヘリカル巻で巻き付けられる。なお、張力調整部15から巻付けヘッド16に至る繊維束Rの経路には、他にも繊維束Rのガイドが配設されるが、図1では図示を省略している。
【0022】
繊維束供給部12は回転可能に構成された支持部20と、繊維束Rが巻き付けられたボビンBとから構成されている。支持部20は従来装置と異なり張力調整装置を備えず、単に回転可能に構成されている。
【0023】
繊維束供給部12から引き出された繊維束Rに樹脂を含浸させる樹脂含浸装置13は、樹脂含浸槽21と、繊維束Rを樹脂含浸槽21内の樹脂液に漬かる状態で案内するガイドローラ22とを備えている。樹脂含浸槽21の繊維束供給部12寄りには繊維束Rを開繊する開繊機構23が配設されている。開繊機構23は、繊維束Rの引出し方向と直交するように配設された3本一組のローラ23a,23b,23cを備えている。中央に配設されたローラ23bは両ローラ23a,23cとの間で繊維束Rを挟持する作用位置と、繊維束Rの挟持を解除する解除位置とに図示しないエアシリンダ等のアクチュエータにより移動されるようになっている。そして、ローラ23bが作用位置に配置された状態で繊維束Rがローラ23a,23b,23c間を通過することにより、繊維束Rが開繊される。なお、繊維束Rを開繊するとは、繊維束Rの幅を拡げて扁平にすることを意味する。
【0024】
樹脂含浸槽21の繊維束R引出し側寄りには、繊維束Rが樹脂含浸槽21内の樹脂液に浸漬されることにより繊維束Rに付着した余分な樹脂液を取り除くための掻き取り装置24が設けられている。掻き取り装置24は樹脂が含浸された扁平な繊維束Rを挟んで余分な樹脂液を掻き取る作用を為す。掻き取り装置24は可動のスキージ25aと、固定のスキージ25bとを備え、可動のスキージ25aはリニアアクチュエータ26のプランジャ26aの先端に固定されている。スキージ25a,25bは例えば、ゴム製である。そして、リニアアクチュエータ26の作動により両スキージ25a,25bの隙間を調整することにより、繊維束Rに対する樹脂(液)の付着量が調整可能となっている。
【0025】
なお、この実施の形態では、同時に引き出される繊維束Rの本数が多いため、スキージ25a,25bは複数組(例えば、4組)設けられ、各組の可動のスキージ25aがそれぞれ独立してリニアアクチュエータ26により位置調整が可能に構成されている。各組のスキージ25a,25bが受け持つ繊維束Rの本数は、後記する付着樹脂重量計測部14の荷重計が受け持つ繊維束Rの本数と同じに設定されている。即ち、付着樹脂重量計測部14は、複数の繊維束Rを複数のグループに分けて各グループ毎に付着樹脂量を荷重計で計測可能に構成されている。
【0026】
繊維束Rに付着された樹脂の重量を計測する付着樹脂重量計測部14は、樹脂含浸装置13と巻付けヘッド16との間に配置され、樹脂が含浸された繊維束Rの重量を計測することにより付着樹脂量を計測する。
【0027】
付着樹脂重量計測部14は、樹脂含浸槽21から繊維束Rを一定速度で所定長さ引き出し可能な繊維束引出し部27と、前記所定長さの繊維束Rの重量を計測する重量計測部28とを備えている。繊維束引出し部27は、繊維束Rの移動方向上流側(樹脂含浸槽21側)に、繊維束Rを案内する案内ローラ29が繊維束Rと直交する状態で水平に配設されている。案内ローラ29の上方には、アクチュエータとしてのエアシリンダ30が配設され、そのピストンロッド30aの先端には把持バー31が固定されている。把持バー31はエアシリンダ30の作動により、案内ローラ29に繊維束Rを押圧して繊維束Rの移動を阻止する把持位置と、繊維束Rの移動を許容する退避位置とに移動されるようになっている。
【0028】
案内ローラ29より繊維束Rの引き出し方向下流側(図1における右側)に、繊維束Rを把持して繊維束Rの移動を阻止する繊維束ロック機構32が設けられている。繊維束ロック機構32は繊維束Rの移動経路を挟んで上下に配置されるアクチュエータとしてのエアシリンダ33,34を備え、エアシリンダ33,34のピストンロッドの先端に把持部材33a,34aが固定されている。両把持部材33a,34aは、水平状態で図1に示す把持位置と、繊維束Rの把持を解放する解放位置とに移動可能に構成されている。エアシリンダ30とエアシリンダ33との間で繊維束Rの移動経路の上方には、アクチュエータとしてのエアシリンダ35が設けられ、そのピストンロッド35aの先端には押圧バー36が固定されている。押圧バー36は繊維束Rと係合不能な退避位置と、繊維束Rを押圧して繊維束Rを樹脂含浸槽21から引き出す作用位置とに移動可能となっている。
【0029】
案内ローラ29、把持バー31、把持部材33a,34a及び押圧バー36の長さは、繊維束Rがそれらの部材に接触して案内あるいは把持される際、隣接する繊維束R同士が互いに接触しないように、使用される繊維束Rの本数に対応して設定されている。
【0030】
重量計測部28は、エアシリンダ35の下方に配設され、図2に示すように、アクチュエータとしてのエアシリンダ37により昇降される支持ブラケット38上に固定された複数(この実施の形態では4個)の荷重計39を備えている。各荷重計39上には、所定本数の繊維束Rを支承する繊維束支承部40が設けられ、繊維束Rの荷重が繊維束支承部40を介して荷重計39に作用するようになっている。各荷重計39は、樹脂含浸装置13から引き出された所定長さの繊維束Rが、その両端部で案内ローラ29と把持バー31、両把持部材33a,34aにより支承された状態で、繊維束Rの中央部において繊維束支承部40が繊維束Rと係合して樹脂含浸繊維束の重量を計測するようになっている。繊維束支承部40の幅は、隣接する繊維束R同士が互いに接触しないように、使用される繊維束Rの本数に対応して設定されている。荷重計39としては、例えば、荷重による電気抵抗の変化を利用して荷重を検出するひずみゲージを使用したものが使用されている。
【0031】
各荷重計39の出力は表示部39aに入力され、表示部39aに各荷重計39で計測された重量の合計値が表示されるようになっている。また、各荷重計39の出力は制御装置Cに入力され、制御装置Cは荷重計39の計測信号に基づいて繊維束Rへの付着樹脂量が所定の設定範囲内にあるか否かを判断し、設定範囲から外れた場合に、FW装置11の巻付け運転を停止させるように制御する。また、制御装置Cは繊維束Rへの付着樹脂量の設定範囲からのずれ量が所定のずれ量より大きいか否かを判断する。ずれ量が所定のずれ量より大きな場合は、FW装置11に装備された図示しない警報手段に駆動指令を出力する。
【0032】
制御装置Cは前記ずれ量が所定のずれ量より小さな場合、掻き取り装置24に付着樹脂量の設定範囲からのずれ量に応じて駆動指令を出力する。付着樹脂量が設定範囲より多い場合は、対応するリニアアクチュエータ26に両スキージ25a,25bの隙間を所定量小さくする駆動指令を出力する。付着樹脂量が設定範囲より少ない場合は、対応するリニアアクチュエータ26に両スキージ25a,25bの隙間を所定量大きくする駆動指令を出力する。なお、前記付着樹脂量の設定範囲は、付着樹脂量が設定範囲からずれた繊維束Rを巻き付けると製品が不良品となる値ではなく、設定範囲から多少ずれた繊維束Rの巻付けを継続すると製品が不良品となる値に設定されている。
【0033】
張力調整部15は付着樹脂重量計測部14と巻付けヘッド16との間に配設され、付着樹脂重量計測部14から巻付けヘッド16に連なる繊維束Rの張力を調整可能に構成されている。張力調整部15は、繊維束Rの引き出し方向と直交する方向に延びるように所定位置に配設された一対の案内ローラ41a,41bと、両案内ローラ41a,41bの間で案内ローラ41a,41bより下方において昇降可能に配置された張力付与ローラ42とを備えている。張力付与ローラ42は、上下方向に延びるガイド筒43にガイドされて昇降可能なガイドロッド43aの上端に、支持フレーム44と共に昇降可能に設けられている。張力付与ローラ42は支持フレーム44に水平状態で回動可能に支持されている。支持フレーム44の下面には重り45が固定され、張力付与ローラ42、ガイドロッド43a、支持フレーム44及び重り45の合計重量が繊維束Rに付与すべき張力となるように、重り45の重さが設定されている。張力付与ローラ42の長さは、繊維束Rが張力付与ローラ42に接触して案内される際、隣接する繊維束R同士が互いに接触しないように、使用される繊維束Rの本数に対応して設定されている。
【0034】
次に前記のように構成されたFW装置11によりパイプを製造する際の作用を説明する。FW装置11で製品を製造する場合は、先ず被繊維束巻付け部材17を支持部(チャック)に固定する。被繊維束巻付け部材17として両端部に繊維束折り返し用のピンが設けられた公知のマンドレルが使用される。
【0035】
次に繊維束供給部12から繊維束Rを引き出し、開繊機構23、樹脂含浸槽21のガイドローラ22、掻き取り装置24、繊維束引出し部27及び張力調整部15を経て巻付けヘッド16に導き、巻付けヘッド16に挿通した後、繊維束Rの端部を被繊維束巻付け部材17の所定位置に固定する。繊維束Rの端部の固定作業は作業者が手作業で行い、例えば粘着テープを使用して行われる。繊維束Rがセットされていない状態では、張力付与ローラ42はガイドロッド43aが最下降位置まで降下した状態にあるが、繊維束Rがセットされた状態では、図1に示すように、張力付与ローラ42はガイドロッド43aが昇降範囲の中間位置に配置される状態で繊維束Rによって支承された状態に保持される。従って、繊維束Rには張力付与ローラ42、ガイドロッド43a、支持フレーム44及び重り45の合計重量と、繊維束Rの本数とによって決まる張力が付与される状態となる。
【0036】
また、作業者は、被繊維束巻付け部材17の回転速度、巻付けヘッド16の巻付け時の往復移動幅等の巻付け条件を制御装置Cに入力する。なお、この実施の形態では樹脂として熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)が使用され、繊維束Rとして炭素繊維のロービングが使用される。ロービングとは細い単繊維のフィラメントを多数本束ねた実質無撚りの繊維束を意味する。
【0037】
次にFW装置11による繊維束Rの巻付け運転が開始される。FW装置11が作動されると、被繊維束巻付け部材17が一定方向に回転され、巻付けヘッド16が被繊維束巻付け部材17の長手方向に沿って往復移動される。また、付着樹脂重量計測部14の繊維束引出し部27が駆動される。そして、把持バー31が図1の状態から上方に移動されるとともに繊維束支承部40が図1に鎖線で示す退避位置に保持された状態で、把持部材33a,34aが図1に示す把持位置に配置され、エアシリンダ35が突出作動されて繊維束RがボビンBから一定速度で引き出される。ボビンBから引き出された繊維束Rは、開繊機構23を通過することにより扁平に開繊された後、樹脂含浸槽21の樹脂液中に導かれ、樹脂液が含浸された後、掻き取り装置24を経て繊維束引出し部27に導かれる。
【0038】
所定長さの繊維束Rが引き出された後、エアシリンダ30が作動されて把持バー31が図1に実線で示す把持位置に配置される。次に、エアシリンダ35が没入作動されて押圧バー36が図1に示す退避位置に配置される。また、エアシリンダ37が突出作動されて繊維束支承部40が図1に実線で示す計測位置に配置される。そして、付着樹脂重量計測部14は、樹脂含浸装置13から引き出された所定長さの繊維束Rをその両端部で支承した状態で、樹脂含浸繊維束の重量を荷重計39により計測する。各荷重計39には、樹脂含浸装置13から引き出され、その両端部が支承された状態の所定長さの繊維束Rの荷重が加わる。繊維束Rの荷重の一部は、支承部で担われるが、その分は予め実験あるいは理論的に求めておき、その分を加えることで正確な樹脂含浸繊維束の重量が計測可能となっている。
【0039】
荷重計39の検出結果は表示部39a及び制御装置Cへ出力される。制御装置Cは各荷重計39の出力信号から繊維束Rへの付着樹脂量を求め、その値が予め設定された設定範囲内か否かを判断する。詳述すれば、所定長さの繊維束Rの重量を、荷重計39で計測された樹脂含浸繊維束の重量から差し引いて付着樹脂量を求める。そして、付着樹脂量が設定範囲内であれば巻付け運転を継続し、設定範囲内からずれた(逸脱した)場合は巻付け運転を停止する。
【0040】
繊維束Rへの樹脂の付着量に影響を与えるパラメータとして、掻き取り装置24のスキージの隙間、繊維束の引き出し速度、雰囲気温度、湿度、樹脂温度、粘度、繊維束の開繊度、毛羽立ち具合等がある。このうち、繊維束の引き出し速度、雰囲気温度、湿度、樹脂温度、粘度が所定の範囲に管理されている場合、スキージの隙間が最も大きな影響を与える。制御装置Cは付着樹脂量のずれ量が所定の値より少ない場合は、掻き取り装置24のリニアアクチュエータ26を作動させてスキージ25a,25bの隙間の調整を行わせる。その結果、スキージ25a,25bの隙間が自動的に調整される。その状態で繊維束Rを引き出して再び付着樹脂量を計測する。そして、付着樹脂量が設定範囲内になれば、FW装置11は巻付け運転を再開する。
【0041】
スキージ25a,25bの隙間調整が行われても付着樹脂量が設定範囲内にならない場合は、制御装置Cは警報手段を作動させる。そして、作業者は警報手段が作動されると、付着樹脂量に影響を与えるパラメータが適正範囲内にないと判断して、スキージの隙間以外の他のパラメータを変更して付着樹脂量が設定範囲内となるように調整する。調整完了後、FW装置11の運転が再開される。
【0042】
なお、付着樹脂量の設定範囲からのずれ量が所定のずれ量より大きな場合は、その部分の繊維束Rを巻き付けると製品が不良品となるため、巻付けに使用することなく廃棄処分となる。その場合、繊維束Rの端部を再び被繊維束巻付け部材17に仮止めした後、FW装置11の運転が再開される。付着樹脂量の設定範囲からのずれ量が所定のずれ量より小さな場合は、その繊維束Rは巻付けに使用される。そして、繊維束Rの切断、廃棄を行わずにFW装置11の巻付け運転が再開される。
【0043】
繊維束Rへの付着樹脂量が設定範囲内であれば、エアシリンダ33,34が没入作動され、把持部材33a,34aによる繊維束Rの把持が解放された後、エアシリンダ33,34が突出作動され、把持部材33a,34aが再び把持位置に配置される。そして、再び前記と同様にして、繊維束Rが樹脂含浸装置13から所定の長さ引き出されて、付着樹脂量の計測が行われる。
【0044】
把持部材33a,34aが解放位置に配置された時に、繊維束Rが張力調整部15へと送り出され、張力調整部15に一時的に貯留される。そして、巻付けヘッド16の移動による推進力により張力調整部15から繊維束Rが引き出される。巻付けヘッド16は被繊維束巻付け部材17の長手方向に沿って往復移動されるが、移動方向が変更される前に減速され、移動方向が変更された後に所定速度まで加速される。そのため、巻付けヘッド16の移動速度の変更に伴って張力調整部15からの繊維束Rの引き出し速度が変化する。しかし、その変化は、張力付与ローラ42が昇降されることにより、案内ローラ41aから案内ローラ41bの間に一時的に貯留される繊維束Rの長さが変化することで吸収され、繊維束Rに付与される張力はほぼ一定に保持される。
【0045】
繊維束Rは被繊維束巻付け部材17に設けられたピンの間を通過した後、ピンに巻き掛けられて折り返すように配列され、被繊維束巻付け部材17の両端に位置するピン間における被繊維束巻付け部材17の軸方向となす角度(巻付け角度)が所定の角度となるように巻き付けられる。巻付け角度は製品のFRPパイプに要求される、曲げ、ねじり、振動等の特性を満足する所定の値に設定される。
【0046】
被繊維束巻付け部材17上に巻き付けられた繊維層の数が所定数となるまで繊維束Rが巻き付けられて積層繊維層が形成されると、繊維束Rの巻付けが終了する。なお、必要に応じてヘリカル巻だけでなく、繊維束Rの巻付け角度がほぼ90°に近い状態で巻き付けられる所謂フープ巻の層を形成する場合もある。
【0047】
繊維束Rの巻付けが完了した後、繊維束Rの端部が被繊維束巻付け部材17に仮止めされ、被繊維束巻付け部材17がFW装置11の支持部から取り外される。次に成形体とともに被繊維束巻付け部材17が加熱炉に入れられ、所定温度で樹脂が硬化される。硬化温度は樹脂により異なるが、例えばエポキシ樹脂の場合は180℃程度である。加熱硬化によりFRP製の円筒体(パイプ)が、被繊維束巻付け部材17上に形成される。冷却後、FRP製パイプの両端がピンの抜き跡の列より内側において切断された後、被繊維束巻付け部材17からFRP製パイプが取り外されて、所定寸法の長さのFRPパイプが形成される。
【0048】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) FW装置11は、被繊維束巻付け部材17の表面に巻付けヘッド16を介して巻き付けられる繊維束Rに付着された樹脂の重量を計測する付着樹脂重量計測部14を備えている。従って、従来装置と異なり、繊維束Rに付着した樹脂量を製品が完成する前に計測することができ、製品検査での不良品の発生を少なくできる。
【0049】
(2) 付着樹脂重量計測部14は、繊維束供給部12から引き出された繊維束Rに樹脂を含浸させる樹脂含浸装置13と巻付けヘッド16との間に配置され、樹脂が含浸された繊維束Rの重量を計測することにより付着樹脂量を計測する。従って、繊維束Rが巻付けヘッド16に供給される前に、繊維束Rに付着した樹脂量が計測されるため、不具合の発生を早期に検知できる。
【0050】
(3) 付着樹脂重量計測部14は、樹脂含浸装置13から引き出された所定長さの繊維束Rを、その両端部で支承した状態で樹脂含浸繊維束の重量を計測する。従って、繊維束Rが樹脂含浸装置13から引き出された後、多くの経路を経る前に付着樹脂量が計測されるため、付着樹脂量が設定範囲から外れた際に、原因究明が容易になる。また、繊維束Rを両端部で支承した状態で樹脂含浸繊維束の重量を計測するため、繊維束Rの経路を殆ど変更せずに、巻付けヘッド16へ供給される経路に組み込むことができる。
【0051】
(4) FW装置11の制御装置Cは、付着樹脂量が設定範囲からずれた(逸脱した)場合、巻付け運転を停止し、付着樹脂量のずれ量が所定の値より小さな場合は、掻き取り装置24のリニアアクチュエータ26を作動させてスキージ25a,25bの隙間の調整を行わせる。従って、付着樹脂量の設定範囲からのずれがスキージ25a,25bの隙間に起因する場合には、付着樹脂量を自動的に設定範囲内に調整することができる。
【0052】
(5) 付着樹脂量の設定範囲が、その範囲からずれると直ちに不良品となる範囲ではなく余裕を持って設定され、設定範囲から多少ずれても不良品にならない値に設定されている。従って、付着樹脂量の設定範囲からのずれが僅かな場合には繊維束Rを廃棄せず、付着樹脂量に影響を与えるパラメータを調整するだけで巻付け運転を継続することができる。その結果、無駄になる繊維束Rの量を少なくできる。
【0053】
(6) 付着樹脂量の設定範囲からのずれ量が大きな場合は、警報手段が作動されて作業者に報知され、作業者により付着樹脂量が調整され、繊維束Rの不良部分が廃棄された後、FW装置11の巻付け運転が再開される。従って、FW装置11の停止時間を少なくできる。
【0054】
(7) 荷重計39が複数設けられている。従って、1個の荷重計39で全ての繊維束Rの合計重量を計測する構成に比較して、付着樹脂量が設定範囲からずれた際、原因の究明が容易になる。
【0055】
(8) 荷重計39が複数設けられ、各荷重計39が重量計測を担当する繊維束R毎にスキージ25a,25bの隙間調整が可能に構成されている。従って、付着樹脂量が設定範囲からずれた場合に、付着樹脂量が設定範囲内となるように調整するのが容易になる。
【0056】
(9) 付着樹脂重量計測部14は、繊維束供給部12から繊維束Rを引き出す繊維束引出し部27を備えている。従って、繊維束供給部12から繊維束Rを巻付けヘッド16の推進力によらずに引き出すことができ、同時に巻き付けられる繊維束Rの本数が多い場合でも巻付けヘッド16の推進力を大きくする必要がない。
【0057】
(10) 繊維束引出し部27は、繊維束供給部12から繊維束Rを一定速度で引き出し可能に構成されているため、繊維束Rを一定速度で引き出すことにより、繊維束Rに対する樹脂の付着量の変動を小さくできる。
【0058】
(11) 付着樹脂重量計測部14と、巻付けヘッド16との間に、繊維束引出し部27から巻付けヘッド16に連なる繊維束Rの張力を調整する張力調整部15が設けられている。従って、張力調整部15と巻付けヘッド16との間に繊維束Rの大きな抵抗となる樹脂含浸装置13や掻き取り装置24が存在せず、巻付けヘッド16の推進力が小さくても、繊維束Rは巻付けヘッド16により円滑に被繊維束巻付け部材17に所定の張力で巻き付けられる。
【0059】
(12) 張力調整部15は、繊維束Rに対する張力の付与を、張力付与ローラ42、支持フレーム44及び重り45の重量で加える構成のため、所定の張力を簡単にかつ正確に付与することができる。また、フィラメントワインディングに使用される繊維束Rの本数に応じた重量の重り45を使用することで、繊維束Rに対して簡単に所望の張力を付与することができる。
【0060】
(13) 樹脂含浸装置13は樹脂液が貯留された樹脂含浸槽21を備え、繊維束Rは樹脂含浸槽21に浸漬された後、掻き取り装置24を通過して付着樹脂量が調整される。従って、繊維束Rに対して樹脂が内部まで含浸された状態での付着樹脂量の調整が容易になる。
【0061】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態を図3に従って説明する。この実施の形態では、付着樹脂重量計測部14の繊維束引出し部27の構成が第1の実施の形態と異なり、他の部分の構成は第1の実施の形態と同じである。第1の実施の形態と同様な部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0062】
図3に示すように、繊維束引出し部27は、エアシリンダ37を挟んで繊維束Rの引き出し方向上流側(図3における左側)に、繊維束Rを把持して水平方向に移動することにより繊維束Rを樹脂含浸装置13から引き出す引出し機構46を備えている。引出し機構46は、繊維束ロック機構32と同様に、繊維束Rの移動経路を挟んで上下に配置されるアクチュエータとしてのエアシリンダ47,48を備え、エアシリンダ47,48のピストンロッドの先端に把持部材47a,48aが固定されている。両把持部材47a,48aは、水平状態で把持位置と、繊維束Rの把持を解放する解放位置とに移動可能に構成されている。エアシリンダ47,48は、図示しないアクチュエータにより繊維束Rの移動経路に沿って往復移動されるブラケットに取り付けられている。そして、ブラケットと共に、図3に鎖線で示す引出し準備位置と、実線で示す計測位置とに移動可能となっている。
【0063】
エアシリンダ47,48の基準位置は計測位置であり、把持部材47a,48aは把持位置に配置されている。繊維束Rを引き出す場合は、エアシリンダ47,48が没入作動されて把持部材47a,48aが解放位置に配置された状態で、引出し準備位置に配置される。次に、エアシリンダ47,48が突出作動されて把持部材47a,48aが把持位置に配置され、繊維束Rを把持した図3に鎖線で示す状態となる。その状態でエアシリンダ47,48が計測位置まで移動されることにより、一定速度で所定長さの繊維束Rが樹脂含浸装置13から引き出される。この間、荷重計39は退避位置に保持されている。
【0064】
エアシリンダ47,48が基準位置に復帰した後、エアシリンダ37が突出作動され、繊維束支承部40が図3に実線で示す計測位置に配置される。そして、第1の実施の形態と同様に、樹脂含浸装置13から引き出された所定長さの樹脂含浸繊維束の重量が荷重計39により計測される。
【0065】
この実施の形態においては、第1の実施の形態の(1)〜(13)と同様の効果を有する他に、次の効果を有する。
(14) 樹脂含浸装置13から繊維束Rを引き出す際、両把持部材47a,48aで把持して引き出す構成のため、第1の実施の形態と異なり、引き出される繊維束Rが案内ローラ29や押圧バー36に接触することで樹脂の一部が案内ローラ29や押圧バー36でかきとられる虞がない。
【0066】
(15) エアシリンダ35のように長いストロークを有するエアシリンダが不要となる。
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態を図4(a),(b)に従って説明する。この実施の形態では、繊維束Rが被繊維束巻付け部材17に巻き付けられた後に、付着樹脂量が計測される点が第1及び第2の実施の形態と大きく異なっている。繊維束供給部12から巻付けヘッド16までの構成は、重量計測部28が無くなった点を除いて第2の実施の形態と同じである。第2の実施の形態と同様な部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0067】
図4(a)はFW装置11の被繊維束巻付け部材17(マンドレル)の支持部、駆動部及び巻付けヘッド16の関係を示す概略側面図である。FW装置11は、ベースプレート50上に配設された一対の支持ブラケット51を備えている。支持ブラケット51上には、ベースプレート50の長手方向(図4(a)の左右方向)に延びる回転軸52a,52bが、それぞれ一対の荷重計39を介して支持された軸受け部53を介して支持されている。回転軸52a,52bにはそれぞれ対向する側に、被繊維束巻付け部材17を一体回転可能に固定する支持部としてのチャック54が装備されている。
【0068】
一方の回転軸52aは、チャック54が固定された側と反対側の端部において、モータ55の出力軸55aに軸継手56を介して一体回転可能に連結されている。軸継手56は、出力軸55aの回転は伝達するが、モータ55側の重量は伝えない状態となることが可能な構造になっている。この実施の形態では、軸継手56はオルダム継手と同様な構成、即ち、図4(b)に示すように、直交する状態で形成された凸条57a,57bを有する円板57と、その両側に配置された部分を備えている。この軸継手56を採用し、凸条57a,57bの一方が上下方向に延びる状態に配置された状態では、モータ55側の重量が回転軸52aに伝達されない。
【0069】
モータ55は出力軸55aの基準位置からの回動量を検出する図示しないセンサ(例えばロータリエンコーダ)を備えている。制御装置Cは前記センサからの検出信号に基づいて、出力軸55aを基準位置から所望の角度回動された位置に停止させる制御が可能になっている。
【0070】
この実施の形態のFW装置11では、モータ55側の重量が回転軸52aに伝達されない状態で被繊維束巻付け部材17がチャック54を介して回転軸52a,52b間にセットされる。その状態で荷重計39の出力が表示部39a及び制御装置Cに入力される。表示部39a及び制御装置Cはその値が0となるように、調整される。荷重計39及び制御装置Cにより付着樹脂重量計測部が構成されている。
【0071】
巻付け運転が開始されると、引出し機構46により繊維束Rが所定長さずつ、一定速度で樹脂含浸装置13から引き出され、引き出された繊維束Rが張力調整部15を介して巻付けヘッド16へ供給される。巻付け終了までは、付着樹脂量の計測は行われない。繊維束Rの巻付け終了後、凸条57a,57bの一方が上下方向に延びる状態になる位置に出力軸55aが停止するようにモータ55が制御装置Cにより制御され、被繊維束巻付け部材17はモータ55側の重量が回転軸52aに伝達されない状態で停止する。次に、巻付けヘッド16から被繊維束巻付け部材17に連なる繊維束Rの張力が緩められる。そして、その状態における荷重計39の出力信号から、制御装置Cは付着樹脂と繊維束Rとの合計重量を求める。そして、予め測定されている繊維束Rの巻付けに必要な長さの重量をその値から差し引いて付着樹脂量を求める。
【0072】
付着樹脂量が適正範囲内にあれば合格となり、被繊維束巻付け部材17がチャック54から取り外されて加熱炉に入れられて加熱硬化され、所定の処理を経て製品となる。付着樹脂量が適正範囲内になければ不合格となり、加熱硬化されずに廃棄される。
【0073】
この実施の形態では、第1の実施の形態の(1)及び第2の実施の形態の(12)〜(15)と同様の効果を有する他に、次の効果を有する。
(16) 繊維束Rが被繊維束巻付け部材17に巻き付けられた後に、付着樹脂量が計測される。従って、樹脂含浸装置13で適正量の樹脂が繊維束Rに付着された後、被繊維束巻付け部材17に巻き付けられる前に何らかの原因で樹脂量が適正量から逸脱した場合にも、そのことを検知できる。また、硬化、脱型工程を経る前に製品の合格及び不合格の判定が可能となり、不合格品に対する無駄な硬化作業を行う必要がなくなる。
【0074】
(17) 被繊維束巻付け部材17は、FW装置11にその両端部が支承された状態でその重量が計測される。従って、所定量の繊維束Rの巻付けが完了した後、被繊維束巻付け部材17をFW装置11から取り外すことなく付着樹脂量を計測できる。
【0075】
(18) 付着樹脂重量計測部は、荷重計39に曲げモーメントが加わらないように複数の荷重計39で被繊維束巻付け部材17の各端部を支承した状態で重量を計測する。従って、繊維束Rが巻き付けられた被繊維束巻付け部材17の重量が、荷重計39に曲げモーメントが加わらない状態で計測される。その結果、荷重計39に曲げモーメントが加わる状態で計測する場合に比較して、精度良く計測できる。
【0076】
(19) 引出し機構46は、繊維束供給部12から繊維束Rを巻付けヘッド16の推進力によらずに引き出すことができ、同時に巻き付けられる繊維束Rの本数が多い場合でも巻付けヘッド16の推進力を大きくする必要がない。
【0077】
(20) 引出し機構46は、繊維束供給部12から繊維束Rを一定速度で引き出し可能に構成されているため、繊維束Rを一定速度で引き出すことにより、繊維束Rに対する樹脂の付着量の変動を小さくできる。
【0078】
(21) 引出し機構46と、巻付けヘッド16との間に、引出し機構46から巻付けヘッド16に連なる繊維束Rの張力を調整する張力調整部15が設けられている。従って、張力調整部15と巻付けヘッド16との間に繊維束Rの大きな抵抗となる樹脂含浸装置13や掻き取り装置24が存在せず、巻付けヘッド16の推進力が小さくても、繊維束Rは巻付けヘッド16により円滑に被繊維束巻付け部材17に所定の張力で巻き付けられる。
【0079】
なお、実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 第3の実施の形態のように、繊維束Rが被繊維束巻付け部材17に巻き付けられた後に、付着樹脂量が計測される構成において、軸と一緒に回転するビーム型荷重計を介して被繊維束巻付け部材17を支持する構成とする。例えば、図5に示すように、被繊維束巻付け部材(マンドレル)17の軸部17aの途中にビーム型荷重計59を設ける。そして、軸部17aの端部をスリップリングを備えた軸受け60で支持する。ビーム型荷重計59は曲げ荷重を受けることで荷重(重量)を計測する構成である。ビーム型荷重計59の出力信号を制御装置C等に伝える配線が回転しないように、スリップリングを介して信号を取り出すように構成されている。この場合、必要な荷重計の個数が2個で済み、コストを低減できる。ビーム型荷重計59の取付構造を含めた被繊維束巻付け部材17の支持部の構造が第3の実施の形態に比較して簡単になる。
【0080】
○ 回転中のビーム型荷重計59の出力信号を制御装置C等に伝達する方法として、スリップリングを使用する構成に代えて、非接触状態、例えば、電磁誘導で信号を伝達する構成を採用したり無線通信でビーム型荷重計59から制御装置Cに出力信号(検出信号)を送信する構成としてもよい。
【0081】
○ 第3の実施の形態あるいは前記ビーム型荷重計59を備えた構成のFW装置11において、付着樹脂量の計測を繊維束Rの被繊維束巻付け部材17への巻き付けが終了した後に行う構成に代えて、繊維束Rの被繊維束巻付け部材17への巻き付け終了前にも行う構成としてもよい。例えば、所定の層数の半分の層数の巻き付けが完了した時点、あるいは一層分の巻き付けが完了する毎に、付着樹脂量の計測を行うようにしてもよい。一層分の巻き付けが完了する毎に、付着樹脂量を測定する構成では、付着樹脂量が適正範囲を超えた場合には、その層を解いて廃棄し、新たに巻き付けることも可能になる。所定の層数の半分の層数の巻き付けが完了した時点で付着樹脂量を測定する構成では、付着樹脂量が適正範囲を超えた場合には、そこで巻き付けを中止して廃棄処分にする。この場合、巻き付け終了時点で不良品を廃棄するより、廃棄される繊維束Rの量を少なくできる。
【0082】
○ 繊維束Rを所定長さずつ引き出して付着樹脂量を計測する構成として、樹脂含浸装置13から引き出された所定長さの繊維束Rを、その両端部で支承するとともに、その中央で1個の荷重計39により繊維束Rの重量を計測する構成に代えて、2個の荷重計39で計測する構成としてもよい。例えば、重量計測部28として荷重計39をエアシリンダ37により昇降される構成とせず、図6に示すように、押圧バー36の移動経路を挟んで繊維束Rの移動経路の上流側と下流側とに、荷重計39を配置する。荷重計39には各荷重計39が受け持つ繊維束Rの本数に対応した長さのローラを介して繊維束Rの荷重が作用するように構成されている。また、エアシリンダ30と対向する位置には案内ローラ29に代えて、エアシリンダ61により昇降可能な把持バー62が設けられる。この場合、第2の実施の形態の付着樹脂重量計測部14に比較して横方向(図3,6における左右方向)の寸法が小さくてよく、装置をコンパクトにできる。
【0083】
○ 上下方向に延びる2個のエアシリンダ47,48で把持部材47a,48aを把持位置と解放位置とに移動させる第2の実施の形態の構成に代えて、例えば、図7に示すように、繊維束Rを把持、解放可能な繊維束ロック機構63をエアシリンダ64で繊維束Rの引き出し方向に往復移動可能に構成する。繊維束ロック機構63は例えば、繊維束Rの本数以上の係止片が櫛歯状に形成された把持部材を一組備えている。一方の把持部材がピストンロッド64aの先端に固定され、他方の把持部材がアクチュエータによりピストンロッド64aと直交する水平方向に移動されることで、繊維束Rの把持、解放が行われるように構成されている。そして、繊維束Rを引き出す際は、繊維束Rの解放状態で、ピストンロッド64aが突出作動され、次に把持部材が繊維束Rを把持した状態でピストンロッド64aが没入作動されることにより、繊維束Rが一定速度で繊維束供給部12から引き出される。この実施の形態では第2の実施の形態に比較して繊維束引出し部27の構成がより簡単になる。
【0084】
○ 繊維束Rを所定長さずつ間欠的に引き出す構成として、エアシリンダのようなリニアアクチュエータを使用せず、一組のベルトコンベアで繊維束Rの一部を挟持して引き出す構成としてもよい。ベルトコンベアが間欠的に所定時間ずつ駆動されることにより、繊維束Rが所定長さずつ間欠的に引き出される。ベルトコンベアにはその幅方向(ベルトの移動方向と直交する方向)に沿って延びる多数の凸部を、凸部において繊維束Rを挟持可能に設けるのが好ましい。
【0085】
○ 樹脂含浸装置13より繊維束移動方向上流側に繊維束Rの重さを計測する繊維束重量測定部を設けてもよい。例えば、図8に示すように、繊維束供給部12と樹脂含浸装置13との間に繊維束重量測定部65が設けられる。繊維束重量測定部65は付着樹脂重量計測部14と同様な構成を採用できる。この構成では、繊維束Rに重量のバラツキがある場合、繊維束Rの重量が適正範囲を逸脱していることが検知された際に、製品の製造を中断して対処することができる。また、繊維束Rの重量が適正範囲にある場合に、繊維束Rの重量を考慮して繊維束Rへの樹脂の付着量を管理することが可能になる。
【0086】
○ 樹脂含浸装置13は必ずしも樹脂含浸槽21内の樹脂液中を繊維束Rが通過する構成に限らない。例えば、ローラに接触しながら移動する繊維束Rに樹脂液をかける構成としてもよい。
【0087】
○ 繊維束Rの引出し速度は必ずしも一定でなくともよい。繊維束引出し部27による繊維束Rの引き出し速度が一定でなくとも、繊維束引出し部27の繊維束R引出し方向下流側に配設された張力調整部15により適切な張力が付与されるため、繊維束Rの巻付けは円滑に行われる。
【0088】
○ 張力調整部15として重り45等の重量で繊維束Rに張力を付与する構成に代えて、バネで張力付与ローラ42を張力付与方向に付勢する構成やエアシリンダで張力付与ローラ42を張力付与方向に付勢する構成としてもよい。しかし、重り45等の重量を利用する構成の方が簡単な構成で一定張力を付与することができる。
【0089】
〇 繊維束引出し部27が引き出す繊維束Rの本数が多い場合は、張力調整部15を複数並列に設け、一つの張力調整部15が分担する繊維束Rの本数を少なくして調整するようにしてもよい。
【0090】
○ 荷重計39を各繊維束R毎に設けてもよい。この場合、付着樹脂量の付着異常が生じた場合、どの繊維束Rが異常なのかすぐに判断できる。
○ 荷重計39を各繊維束R毎に設ける構成では、スキージ25a,25bも各繊維束R毎に隙間調整が可能な構成にする方が好ましい。
【0091】
○ FW装置11によっては、フィラメントワインディング時に使用する繊維束Rの本数を製品によって変更するものもあり、その場合は使用される本数が最多の時に合わせて張力付与ローラ42の長さ等が設定される。
【0092】
○ FW装置11は、被繊維束巻付け部材17に同時に巻き付ける本数が複数本の構成に限らず、1本であってもよい。
○ 巻付けヘッドの構成は前記実施の形態のように被繊維束巻付け部材17の周囲を囲繞する構成に限らず、例えば、一般的なFW装置に装備されている構成でもよい。
【0093】
前記実施の形態から把握できる発明(技術的思想)について以下に記載する。
(1) 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発明において、前記樹脂含浸装置は樹脂液が貯留された樹脂含浸槽を備え、繊維束は前記樹脂含浸槽に浸漬された後、掻き取り装置を通過する。
【0094】
(2) 請求項2、請求項3及び前記技術的思想(1)のいずれか一項に記載の発明において、前記樹脂含浸装置は繊維束に含浸された樹脂の一部を掻き取る掻き取り装置24を備え、前記掻き取り装置は付着樹脂重量計測部により計測された付着樹脂量が設定範囲からずれた場合に、可動のスキージと固定のスキージとの隙間を調整するように自動的に制御される。
【0095】
(3) 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記付着樹脂重量計測部は繊維束を間欠的に一定速度で所定長さ引き出す繊維束引出し部を備えている。
【0096】
(4) 請求項1〜請求項3及び前記技術的思想(3)のいずれか一項に記載の発明において、前記巻付けヘッドは複数の繊維束を被繊維束巻付け部材に対して同時に巻き付けるように構成され、前記付着樹脂重量計測部は、前記複数の繊維束を複数のグループに分けて各グループ毎に付着樹脂量を荷重計で計測可能に構成されている。
【0097】
(5) 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発明において、前記付着樹脂重量計測部の出力信号に基づいて、付着樹脂量が適正範囲か否かを判断し、適正範囲からずれた場合に警報手段を作動させる制御装置が備えられている。
【0098】
(6) 請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記付着樹脂重量計測部は被繊維束巻付け部材への繊維束の巻き付け操作の終了後に付着樹脂量を計測する。
【0099】
(7) 請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記付着樹脂重量計測部は被繊維束巻付け部材に予め設定された層の巻き付けが完了する毎に付着樹脂量を計測する。
【0100】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜請求項7に記載の発明によれば、繊維束に付着した樹脂量を製品が完成する前に計測することができ、付着樹脂量の設定範囲からの逸脱を製品完成前に検知することができるため、製品検査での不良品の発生を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のFW装置の概略側面図。
【図2】同じく重量計測部の模式正面図。
【図3】第2の実施の形態の付着樹脂重量計測部を示す模式側面図。
【図4】(a)は第3の実施の形態のFW装置の部分概略図、(b)は軸継手の部品を示す模式斜視図。
【図5】別の実施の形態のFW装置の部分概略図。
【図6】別の実施の形態の付着樹脂重量計測部の模式側面図。
【図7】別の実施の形態の繊維束引出し部の模式側面図。
【図8】繊維束重量測定部の部分側面図。
【符号の説明】
R…繊維束、11…FW装置、12…繊維束供給部、13…樹脂含浸装置、14…付着樹脂重量計測部、15…張力調整部、16…巻付けヘッド、17…被繊維束巻付け部材、39…荷重計、65…繊維束重量測定部。
【発明の属する技術分野】
本発明はフィラメントワインディング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
FRP(繊維強化プラスチック)製のパイプや容器を効率よく形成する方法としてフィラメントワインディング法がある。フィラメントワインディング法では一般に、樹脂含浸バス(樹脂含浸槽)で繊維束に樹脂を含浸し、樹脂含浸繊維束を回転するマンドレルの周囲に所定の角度で巻き付ける(例えば、特許文献1参照)。また、付着した樹脂量が一定の状態で繊維束をマンドレルに巻き付けるため、樹脂含浸槽から引き出された繊維束に付着した余分な樹脂をスキージ(パッド)で掻き取るようになっている。
【0003】
近年、自動車のプロペラシャフトを炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で形成することが提案され、一部、実施されている。プロペラシャフトをCFRPで製造する場合、炭素繊維に付着させる樹脂の量(重量)は、プロペラシャフトの性能上重要な要素であり、樹脂含浸工程で管理されている。含浸される樹脂量を管理するパラメータとして、樹脂含浸槽から引き出される樹脂含浸繊維束から樹脂を掻き取るスキージの隙間、繊維束の引き出し速度、雰囲気温度、湿度、樹脂温度、粘度、繊維束の開繊度、毛羽立ち具合等がある。
【0004】
また、生産性を高めるため、被糸条巻付け部材(マンドレル)に対して複数本の糸条(繊維束)で同時にヘリカル巻を行うヘリカル巻部と、糸条を被糸条巻付け部材に対してフープ巻を行うフープ巻部とを備えたフィラメントワインディング装置が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載のフィラメントワインディング装置では、複数の糸条(実施の形態では28本の糸条)を被糸条巻付け部材に対して同時にヘリカル巻で巻付け可能とするため、ヘリカル巻部は被糸条巻付け部材の周方向に沿って配列された複数のガイドを備えている。
【0005】
【特許文献1】
特許第3216855号公報(明細書の段落[0011]〜[0015]、図1)
【特許文献2】
特開2002−283467号公報(明細書の段落[0012]、[0013]、[0051]、図1、図5、図7)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のフィラメントワインディング装置では、樹脂含浸工程で繊維束への付着樹脂量を管理しても、所望の量の樹脂が繊維束に付着しているか否かを工程内で検査できない。そして、検査は、工程を止めた状態でのロット検査になるため、不具合が発生しても製造中には検知できず、不具合発生後、検査までの間の製品は不良品になる。また、繊維束への付着樹脂量を検査して繊維束に付着した樹脂の絞り量を調整するまでに時間がかかる。
【0007】
また、樹脂含浸工程で付着量が適正に管理された場合でも、フィラメントワインディング時に樹脂が垂れ落ちたり、繊維束の移動経路にあるガイドに樹脂が付着して製品の樹脂量が所定の範囲から逸脱する場合もある。そして、実際の付着樹脂量(重量)は、硬化、脱型が終わるまで分からないため、含浸工程あるいはフィラメントワインディング工程で付着樹脂量が変化する不具合が発生しても、不具合が発見され難い。
【0008】
マンドレル(被繊維束巻付け部材)に一度に巻き付けられる繊維束の本数が少ない場合は、付着樹脂量の管理を比較的良好に行うことができるが、10本以上の多数本の繊維束を同時に巻き付けるフィラメントワインディング装置では、付着樹脂量の管理が難しい。
【0009】
本発明は前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、繊維束に付着した樹脂量を製品が完成する前に計測することができ、付着樹脂量の設定範囲からの逸脱を製品完成前に検知することができるため、製品検査での不良品の発生を少なくできるフィラメントワインディング装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、被繊維束巻付け部材を支持して回転させながら、該被繊維束巻付け部材の表面に樹脂が含浸された繊維束を、巻付けヘッドを介して巻き付けるフィラメントワインディング装置である。フィラメントワインディング装置は前記繊維束に付着された樹脂の重量を計測する付着樹脂重量計測部を備えている。
【0011】
この発明では、巻付けヘッドによって被繊維束巻付け部材に巻き付けられる繊維束に付着された樹脂量(樹脂の重量)が付着樹脂重量計測部により計測される。即ち、従来装置と異なり、繊維束に付着した樹脂量を製品が完成する前に計測することができる。従って、例えば、付着樹脂量の適正範囲を余裕を持って設定し、適正範囲から多少ずれても不良品にならない値に設定することにより、付着樹脂量のずれが僅かな場合には繊維束を廃棄しなくてもよくなる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記付着樹脂重量計測部は、繊維束供給部から引き出された繊維束に樹脂を含浸させる樹脂含浸装置と前記巻付けヘッドとの間に配置され、樹脂が含浸された繊維束の重量を計測することにより付着樹脂量を計測する。この発明では、繊維束が巻付けヘッドに供給される前に、繊維束に付着した樹脂量が計測されるため、不具合の発生を早期に検知できる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記付着樹脂重量計測部と前記巻付けヘッドとの間に張力調整部が設けられ、前記付着樹脂重量計測部は、前記樹脂含浸装置から引き出された所定長さの繊維束を、その両端部で支承した状態で樹脂含浸繊維束の重量を計測する。この発明では、繊維束が樹脂含浸装置から引き出された後、多くの経路を経る前に付着樹脂量が計測されるため、付着樹脂量が設定範囲から外れた際に、原因究明が容易になる。また、繊維束を両端部で支承した状態で樹脂含浸繊維束の重量を計測するため、繊維束の経路を殆ど変更せずに、巻付けヘッドへ供給される経路に組み込むことができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記付着樹脂重量計測部は、繊維束が被繊維束巻付け部材に巻き付けられた状態で前記被繊維束巻付け部材及び樹脂含浸繊維束の重量を計測することにより付着樹脂量を計測する。
【0015】
この発明では、繊維束が被繊維束巻付け部材に巻き付けられた後に、付着樹脂量が計測される。従って、樹脂含浸装置で適正量の樹脂が繊維束に付着された後、被繊維束巻付け部材に巻き付けられる前に何らかの原因で樹脂量が適正量から逸脱した場合にも、そのことを検知できる。また、硬化、脱型工程を経る前に製品の合格及び不合格の判定が可能となり、不合格品に対する無駄な硬化作業を行う必要がなくなる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記被繊維束巻付け部材がフィラメントワインディング装置にその両端部において支承された状態でその重量を計測する。この発明では、所定量の繊維束の巻付けが完了した後、被繊維束巻付け部材をフィラメントワインディング装置から取り外すことなく付着樹脂量を計測できる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記付着樹脂重量計測部は、荷重計に曲げモーメントが加わらないように複数の荷重計で前記被繊維束巻付け部材の各端部を支承した状態で重量を計測する。この発明では、繊維束が巻き付けられた被繊維束巻付け部材の重量が、荷重計に曲げモーメントが加わらない状態で計測される。従って、荷重計に曲げモーメントが加わる状態で計測する場合に比較して、精度良く計測できる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記樹脂含浸槽より繊維束移動方向上流側に繊維束の重さを計測する繊維束重量測定部が設けられている。この発明では、繊維束に重量のバラツキがある場合、繊維束の重量が適正範囲を逸脱していることが検知された際に、製品の製造を中断して対処することができる。また、繊維束の重量が適正範囲にある場合に、繊維束の重量を考慮して繊維束への樹脂の付着量を管理することが可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図1及び図2に従って説明する。図1はフィラメントワインディング装置(以下、FW装置と称す)の模式側面図である。
【0020】
図1に示すように、FW装置11は、繊維束供給部12、樹脂含浸装置13、付着樹脂重量計測部14、張力調整部15及び巻付けヘッド16を備えている。
FW装置11は、本願出願人が先に出願した特許文献2に開示されたものと同様な巻付けヘッド(ヘリカル巻用ヘッド及びフープ巻用ヘッド)16を備えており、図1ではヘリカル巻用ヘッドが図示されている。FW装置11は、被繊維束巻付け部材17をその軸心を中心に回転可能に支持する支持部(図示せず)を備え、被繊維束巻付け部材17がその軸心を中心に回転されるようになっている。支持部は可変速モータにより回転駆動され、制御装置Cの指令によって支持部が巻付けヘッド16の移動速度と同期した状態で回転駆動されることにより、繊維束Rの被繊維束巻付け部材17に対する巻付け角度を任意の角度に設定して巻き付けることができるようになっている。被繊維束巻付け部材17は、例えばマンドレル、筒状の芯材あるいはタンクを製造する場合のライナ等である。
【0021】
巻付けヘッド16は、被繊維束巻付け部材17に貫通される孔を有する支持板18を備えている。ヘリカル巻用ヘッドの支持板18には、複数本の繊維束を同時に被繊維束巻付け部材17に対してヘリカル巻で巻付け可能とするため、図1に示すように複数のガイド19が被繊維束巻付け部材17の周方向に沿って配列された状態で設けられている。この実施の形態では28本の繊維束を案内可能にそれぞれ28個の大小2種のガイド19が2個の同心円上に配列されている。フープ巻部を備えたフープ巻用ヘッドは、繊維束Rを被繊維束巻付け部材17に対して2本同時にフープ巻で巻付け可能とするためのガイドを備えている。ヘリカル巻用ヘッドとフープ巻用ヘッドとは一体的な移動と、独立した状態での移動とが可能に構成されている。そして、数本の繊維束Rを同時に被繊維束巻付け部材17に対してヘリカル巻で巻付け可能となり、ヘリカル巻用ヘッドが被繊維束巻付け部材17に沿って一回往動又は復動することで被繊維束巻付け部材17の全周面に亘って繊維束Rがヘリカル巻で巻き付けられる。なお、張力調整部15から巻付けヘッド16に至る繊維束Rの経路には、他にも繊維束Rのガイドが配設されるが、図1では図示を省略している。
【0022】
繊維束供給部12は回転可能に構成された支持部20と、繊維束Rが巻き付けられたボビンBとから構成されている。支持部20は従来装置と異なり張力調整装置を備えず、単に回転可能に構成されている。
【0023】
繊維束供給部12から引き出された繊維束Rに樹脂を含浸させる樹脂含浸装置13は、樹脂含浸槽21と、繊維束Rを樹脂含浸槽21内の樹脂液に漬かる状態で案内するガイドローラ22とを備えている。樹脂含浸槽21の繊維束供給部12寄りには繊維束Rを開繊する開繊機構23が配設されている。開繊機構23は、繊維束Rの引出し方向と直交するように配設された3本一組のローラ23a,23b,23cを備えている。中央に配設されたローラ23bは両ローラ23a,23cとの間で繊維束Rを挟持する作用位置と、繊維束Rの挟持を解除する解除位置とに図示しないエアシリンダ等のアクチュエータにより移動されるようになっている。そして、ローラ23bが作用位置に配置された状態で繊維束Rがローラ23a,23b,23c間を通過することにより、繊維束Rが開繊される。なお、繊維束Rを開繊するとは、繊維束Rの幅を拡げて扁平にすることを意味する。
【0024】
樹脂含浸槽21の繊維束R引出し側寄りには、繊維束Rが樹脂含浸槽21内の樹脂液に浸漬されることにより繊維束Rに付着した余分な樹脂液を取り除くための掻き取り装置24が設けられている。掻き取り装置24は樹脂が含浸された扁平な繊維束Rを挟んで余分な樹脂液を掻き取る作用を為す。掻き取り装置24は可動のスキージ25aと、固定のスキージ25bとを備え、可動のスキージ25aはリニアアクチュエータ26のプランジャ26aの先端に固定されている。スキージ25a,25bは例えば、ゴム製である。そして、リニアアクチュエータ26の作動により両スキージ25a,25bの隙間を調整することにより、繊維束Rに対する樹脂(液)の付着量が調整可能となっている。
【0025】
なお、この実施の形態では、同時に引き出される繊維束Rの本数が多いため、スキージ25a,25bは複数組(例えば、4組)設けられ、各組の可動のスキージ25aがそれぞれ独立してリニアアクチュエータ26により位置調整が可能に構成されている。各組のスキージ25a,25bが受け持つ繊維束Rの本数は、後記する付着樹脂重量計測部14の荷重計が受け持つ繊維束Rの本数と同じに設定されている。即ち、付着樹脂重量計測部14は、複数の繊維束Rを複数のグループに分けて各グループ毎に付着樹脂量を荷重計で計測可能に構成されている。
【0026】
繊維束Rに付着された樹脂の重量を計測する付着樹脂重量計測部14は、樹脂含浸装置13と巻付けヘッド16との間に配置され、樹脂が含浸された繊維束Rの重量を計測することにより付着樹脂量を計測する。
【0027】
付着樹脂重量計測部14は、樹脂含浸槽21から繊維束Rを一定速度で所定長さ引き出し可能な繊維束引出し部27と、前記所定長さの繊維束Rの重量を計測する重量計測部28とを備えている。繊維束引出し部27は、繊維束Rの移動方向上流側(樹脂含浸槽21側)に、繊維束Rを案内する案内ローラ29が繊維束Rと直交する状態で水平に配設されている。案内ローラ29の上方には、アクチュエータとしてのエアシリンダ30が配設され、そのピストンロッド30aの先端には把持バー31が固定されている。把持バー31はエアシリンダ30の作動により、案内ローラ29に繊維束Rを押圧して繊維束Rの移動を阻止する把持位置と、繊維束Rの移動を許容する退避位置とに移動されるようになっている。
【0028】
案内ローラ29より繊維束Rの引き出し方向下流側(図1における右側)に、繊維束Rを把持して繊維束Rの移動を阻止する繊維束ロック機構32が設けられている。繊維束ロック機構32は繊維束Rの移動経路を挟んで上下に配置されるアクチュエータとしてのエアシリンダ33,34を備え、エアシリンダ33,34のピストンロッドの先端に把持部材33a,34aが固定されている。両把持部材33a,34aは、水平状態で図1に示す把持位置と、繊維束Rの把持を解放する解放位置とに移動可能に構成されている。エアシリンダ30とエアシリンダ33との間で繊維束Rの移動経路の上方には、アクチュエータとしてのエアシリンダ35が設けられ、そのピストンロッド35aの先端には押圧バー36が固定されている。押圧バー36は繊維束Rと係合不能な退避位置と、繊維束Rを押圧して繊維束Rを樹脂含浸槽21から引き出す作用位置とに移動可能となっている。
【0029】
案内ローラ29、把持バー31、把持部材33a,34a及び押圧バー36の長さは、繊維束Rがそれらの部材に接触して案内あるいは把持される際、隣接する繊維束R同士が互いに接触しないように、使用される繊維束Rの本数に対応して設定されている。
【0030】
重量計測部28は、エアシリンダ35の下方に配設され、図2に示すように、アクチュエータとしてのエアシリンダ37により昇降される支持ブラケット38上に固定された複数(この実施の形態では4個)の荷重計39を備えている。各荷重計39上には、所定本数の繊維束Rを支承する繊維束支承部40が設けられ、繊維束Rの荷重が繊維束支承部40を介して荷重計39に作用するようになっている。各荷重計39は、樹脂含浸装置13から引き出された所定長さの繊維束Rが、その両端部で案内ローラ29と把持バー31、両把持部材33a,34aにより支承された状態で、繊維束Rの中央部において繊維束支承部40が繊維束Rと係合して樹脂含浸繊維束の重量を計測するようになっている。繊維束支承部40の幅は、隣接する繊維束R同士が互いに接触しないように、使用される繊維束Rの本数に対応して設定されている。荷重計39としては、例えば、荷重による電気抵抗の変化を利用して荷重を検出するひずみゲージを使用したものが使用されている。
【0031】
各荷重計39の出力は表示部39aに入力され、表示部39aに各荷重計39で計測された重量の合計値が表示されるようになっている。また、各荷重計39の出力は制御装置Cに入力され、制御装置Cは荷重計39の計測信号に基づいて繊維束Rへの付着樹脂量が所定の設定範囲内にあるか否かを判断し、設定範囲から外れた場合に、FW装置11の巻付け運転を停止させるように制御する。また、制御装置Cは繊維束Rへの付着樹脂量の設定範囲からのずれ量が所定のずれ量より大きいか否かを判断する。ずれ量が所定のずれ量より大きな場合は、FW装置11に装備された図示しない警報手段に駆動指令を出力する。
【0032】
制御装置Cは前記ずれ量が所定のずれ量より小さな場合、掻き取り装置24に付着樹脂量の設定範囲からのずれ量に応じて駆動指令を出力する。付着樹脂量が設定範囲より多い場合は、対応するリニアアクチュエータ26に両スキージ25a,25bの隙間を所定量小さくする駆動指令を出力する。付着樹脂量が設定範囲より少ない場合は、対応するリニアアクチュエータ26に両スキージ25a,25bの隙間を所定量大きくする駆動指令を出力する。なお、前記付着樹脂量の設定範囲は、付着樹脂量が設定範囲からずれた繊維束Rを巻き付けると製品が不良品となる値ではなく、設定範囲から多少ずれた繊維束Rの巻付けを継続すると製品が不良品となる値に設定されている。
【0033】
張力調整部15は付着樹脂重量計測部14と巻付けヘッド16との間に配設され、付着樹脂重量計測部14から巻付けヘッド16に連なる繊維束Rの張力を調整可能に構成されている。張力調整部15は、繊維束Rの引き出し方向と直交する方向に延びるように所定位置に配設された一対の案内ローラ41a,41bと、両案内ローラ41a,41bの間で案内ローラ41a,41bより下方において昇降可能に配置された張力付与ローラ42とを備えている。張力付与ローラ42は、上下方向に延びるガイド筒43にガイドされて昇降可能なガイドロッド43aの上端に、支持フレーム44と共に昇降可能に設けられている。張力付与ローラ42は支持フレーム44に水平状態で回動可能に支持されている。支持フレーム44の下面には重り45が固定され、張力付与ローラ42、ガイドロッド43a、支持フレーム44及び重り45の合計重量が繊維束Rに付与すべき張力となるように、重り45の重さが設定されている。張力付与ローラ42の長さは、繊維束Rが張力付与ローラ42に接触して案内される際、隣接する繊維束R同士が互いに接触しないように、使用される繊維束Rの本数に対応して設定されている。
【0034】
次に前記のように構成されたFW装置11によりパイプを製造する際の作用を説明する。FW装置11で製品を製造する場合は、先ず被繊維束巻付け部材17を支持部(チャック)に固定する。被繊維束巻付け部材17として両端部に繊維束折り返し用のピンが設けられた公知のマンドレルが使用される。
【0035】
次に繊維束供給部12から繊維束Rを引き出し、開繊機構23、樹脂含浸槽21のガイドローラ22、掻き取り装置24、繊維束引出し部27及び張力調整部15を経て巻付けヘッド16に導き、巻付けヘッド16に挿通した後、繊維束Rの端部を被繊維束巻付け部材17の所定位置に固定する。繊維束Rの端部の固定作業は作業者が手作業で行い、例えば粘着テープを使用して行われる。繊維束Rがセットされていない状態では、張力付与ローラ42はガイドロッド43aが最下降位置まで降下した状態にあるが、繊維束Rがセットされた状態では、図1に示すように、張力付与ローラ42はガイドロッド43aが昇降範囲の中間位置に配置される状態で繊維束Rによって支承された状態に保持される。従って、繊維束Rには張力付与ローラ42、ガイドロッド43a、支持フレーム44及び重り45の合計重量と、繊維束Rの本数とによって決まる張力が付与される状態となる。
【0036】
また、作業者は、被繊維束巻付け部材17の回転速度、巻付けヘッド16の巻付け時の往復移動幅等の巻付け条件を制御装置Cに入力する。なお、この実施の形態では樹脂として熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)が使用され、繊維束Rとして炭素繊維のロービングが使用される。ロービングとは細い単繊維のフィラメントを多数本束ねた実質無撚りの繊維束を意味する。
【0037】
次にFW装置11による繊維束Rの巻付け運転が開始される。FW装置11が作動されると、被繊維束巻付け部材17が一定方向に回転され、巻付けヘッド16が被繊維束巻付け部材17の長手方向に沿って往復移動される。また、付着樹脂重量計測部14の繊維束引出し部27が駆動される。そして、把持バー31が図1の状態から上方に移動されるとともに繊維束支承部40が図1に鎖線で示す退避位置に保持された状態で、把持部材33a,34aが図1に示す把持位置に配置され、エアシリンダ35が突出作動されて繊維束RがボビンBから一定速度で引き出される。ボビンBから引き出された繊維束Rは、開繊機構23を通過することにより扁平に開繊された後、樹脂含浸槽21の樹脂液中に導かれ、樹脂液が含浸された後、掻き取り装置24を経て繊維束引出し部27に導かれる。
【0038】
所定長さの繊維束Rが引き出された後、エアシリンダ30が作動されて把持バー31が図1に実線で示す把持位置に配置される。次に、エアシリンダ35が没入作動されて押圧バー36が図1に示す退避位置に配置される。また、エアシリンダ37が突出作動されて繊維束支承部40が図1に実線で示す計測位置に配置される。そして、付着樹脂重量計測部14は、樹脂含浸装置13から引き出された所定長さの繊維束Rをその両端部で支承した状態で、樹脂含浸繊維束の重量を荷重計39により計測する。各荷重計39には、樹脂含浸装置13から引き出され、その両端部が支承された状態の所定長さの繊維束Rの荷重が加わる。繊維束Rの荷重の一部は、支承部で担われるが、その分は予め実験あるいは理論的に求めておき、その分を加えることで正確な樹脂含浸繊維束の重量が計測可能となっている。
【0039】
荷重計39の検出結果は表示部39a及び制御装置Cへ出力される。制御装置Cは各荷重計39の出力信号から繊維束Rへの付着樹脂量を求め、その値が予め設定された設定範囲内か否かを判断する。詳述すれば、所定長さの繊維束Rの重量を、荷重計39で計測された樹脂含浸繊維束の重量から差し引いて付着樹脂量を求める。そして、付着樹脂量が設定範囲内であれば巻付け運転を継続し、設定範囲内からずれた(逸脱した)場合は巻付け運転を停止する。
【0040】
繊維束Rへの樹脂の付着量に影響を与えるパラメータとして、掻き取り装置24のスキージの隙間、繊維束の引き出し速度、雰囲気温度、湿度、樹脂温度、粘度、繊維束の開繊度、毛羽立ち具合等がある。このうち、繊維束の引き出し速度、雰囲気温度、湿度、樹脂温度、粘度が所定の範囲に管理されている場合、スキージの隙間が最も大きな影響を与える。制御装置Cは付着樹脂量のずれ量が所定の値より少ない場合は、掻き取り装置24のリニアアクチュエータ26を作動させてスキージ25a,25bの隙間の調整を行わせる。その結果、スキージ25a,25bの隙間が自動的に調整される。その状態で繊維束Rを引き出して再び付着樹脂量を計測する。そして、付着樹脂量が設定範囲内になれば、FW装置11は巻付け運転を再開する。
【0041】
スキージ25a,25bの隙間調整が行われても付着樹脂量が設定範囲内にならない場合は、制御装置Cは警報手段を作動させる。そして、作業者は警報手段が作動されると、付着樹脂量に影響を与えるパラメータが適正範囲内にないと判断して、スキージの隙間以外の他のパラメータを変更して付着樹脂量が設定範囲内となるように調整する。調整完了後、FW装置11の運転が再開される。
【0042】
なお、付着樹脂量の設定範囲からのずれ量が所定のずれ量より大きな場合は、その部分の繊維束Rを巻き付けると製品が不良品となるため、巻付けに使用することなく廃棄処分となる。その場合、繊維束Rの端部を再び被繊維束巻付け部材17に仮止めした後、FW装置11の運転が再開される。付着樹脂量の設定範囲からのずれ量が所定のずれ量より小さな場合は、その繊維束Rは巻付けに使用される。そして、繊維束Rの切断、廃棄を行わずにFW装置11の巻付け運転が再開される。
【0043】
繊維束Rへの付着樹脂量が設定範囲内であれば、エアシリンダ33,34が没入作動され、把持部材33a,34aによる繊維束Rの把持が解放された後、エアシリンダ33,34が突出作動され、把持部材33a,34aが再び把持位置に配置される。そして、再び前記と同様にして、繊維束Rが樹脂含浸装置13から所定の長さ引き出されて、付着樹脂量の計測が行われる。
【0044】
把持部材33a,34aが解放位置に配置された時に、繊維束Rが張力調整部15へと送り出され、張力調整部15に一時的に貯留される。そして、巻付けヘッド16の移動による推進力により張力調整部15から繊維束Rが引き出される。巻付けヘッド16は被繊維束巻付け部材17の長手方向に沿って往復移動されるが、移動方向が変更される前に減速され、移動方向が変更された後に所定速度まで加速される。そのため、巻付けヘッド16の移動速度の変更に伴って張力調整部15からの繊維束Rの引き出し速度が変化する。しかし、その変化は、張力付与ローラ42が昇降されることにより、案内ローラ41aから案内ローラ41bの間に一時的に貯留される繊維束Rの長さが変化することで吸収され、繊維束Rに付与される張力はほぼ一定に保持される。
【0045】
繊維束Rは被繊維束巻付け部材17に設けられたピンの間を通過した後、ピンに巻き掛けられて折り返すように配列され、被繊維束巻付け部材17の両端に位置するピン間における被繊維束巻付け部材17の軸方向となす角度(巻付け角度)が所定の角度となるように巻き付けられる。巻付け角度は製品のFRPパイプに要求される、曲げ、ねじり、振動等の特性を満足する所定の値に設定される。
【0046】
被繊維束巻付け部材17上に巻き付けられた繊維層の数が所定数となるまで繊維束Rが巻き付けられて積層繊維層が形成されると、繊維束Rの巻付けが終了する。なお、必要に応じてヘリカル巻だけでなく、繊維束Rの巻付け角度がほぼ90°に近い状態で巻き付けられる所謂フープ巻の層を形成する場合もある。
【0047】
繊維束Rの巻付けが完了した後、繊維束Rの端部が被繊維束巻付け部材17に仮止めされ、被繊維束巻付け部材17がFW装置11の支持部から取り外される。次に成形体とともに被繊維束巻付け部材17が加熱炉に入れられ、所定温度で樹脂が硬化される。硬化温度は樹脂により異なるが、例えばエポキシ樹脂の場合は180℃程度である。加熱硬化によりFRP製の円筒体(パイプ)が、被繊維束巻付け部材17上に形成される。冷却後、FRP製パイプの両端がピンの抜き跡の列より内側において切断された後、被繊維束巻付け部材17からFRP製パイプが取り外されて、所定寸法の長さのFRPパイプが形成される。
【0048】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) FW装置11は、被繊維束巻付け部材17の表面に巻付けヘッド16を介して巻き付けられる繊維束Rに付着された樹脂の重量を計測する付着樹脂重量計測部14を備えている。従って、従来装置と異なり、繊維束Rに付着した樹脂量を製品が完成する前に計測することができ、製品検査での不良品の発生を少なくできる。
【0049】
(2) 付着樹脂重量計測部14は、繊維束供給部12から引き出された繊維束Rに樹脂を含浸させる樹脂含浸装置13と巻付けヘッド16との間に配置され、樹脂が含浸された繊維束Rの重量を計測することにより付着樹脂量を計測する。従って、繊維束Rが巻付けヘッド16に供給される前に、繊維束Rに付着した樹脂量が計測されるため、不具合の発生を早期に検知できる。
【0050】
(3) 付着樹脂重量計測部14は、樹脂含浸装置13から引き出された所定長さの繊維束Rを、その両端部で支承した状態で樹脂含浸繊維束の重量を計測する。従って、繊維束Rが樹脂含浸装置13から引き出された後、多くの経路を経る前に付着樹脂量が計測されるため、付着樹脂量が設定範囲から外れた際に、原因究明が容易になる。また、繊維束Rを両端部で支承した状態で樹脂含浸繊維束の重量を計測するため、繊維束Rの経路を殆ど変更せずに、巻付けヘッド16へ供給される経路に組み込むことができる。
【0051】
(4) FW装置11の制御装置Cは、付着樹脂量が設定範囲からずれた(逸脱した)場合、巻付け運転を停止し、付着樹脂量のずれ量が所定の値より小さな場合は、掻き取り装置24のリニアアクチュエータ26を作動させてスキージ25a,25bの隙間の調整を行わせる。従って、付着樹脂量の設定範囲からのずれがスキージ25a,25bの隙間に起因する場合には、付着樹脂量を自動的に設定範囲内に調整することができる。
【0052】
(5) 付着樹脂量の設定範囲が、その範囲からずれると直ちに不良品となる範囲ではなく余裕を持って設定され、設定範囲から多少ずれても不良品にならない値に設定されている。従って、付着樹脂量の設定範囲からのずれが僅かな場合には繊維束Rを廃棄せず、付着樹脂量に影響を与えるパラメータを調整するだけで巻付け運転を継続することができる。その結果、無駄になる繊維束Rの量を少なくできる。
【0053】
(6) 付着樹脂量の設定範囲からのずれ量が大きな場合は、警報手段が作動されて作業者に報知され、作業者により付着樹脂量が調整され、繊維束Rの不良部分が廃棄された後、FW装置11の巻付け運転が再開される。従って、FW装置11の停止時間を少なくできる。
【0054】
(7) 荷重計39が複数設けられている。従って、1個の荷重計39で全ての繊維束Rの合計重量を計測する構成に比較して、付着樹脂量が設定範囲からずれた際、原因の究明が容易になる。
【0055】
(8) 荷重計39が複数設けられ、各荷重計39が重量計測を担当する繊維束R毎にスキージ25a,25bの隙間調整が可能に構成されている。従って、付着樹脂量が設定範囲からずれた場合に、付着樹脂量が設定範囲内となるように調整するのが容易になる。
【0056】
(9) 付着樹脂重量計測部14は、繊維束供給部12から繊維束Rを引き出す繊維束引出し部27を備えている。従って、繊維束供給部12から繊維束Rを巻付けヘッド16の推進力によらずに引き出すことができ、同時に巻き付けられる繊維束Rの本数が多い場合でも巻付けヘッド16の推進力を大きくする必要がない。
【0057】
(10) 繊維束引出し部27は、繊維束供給部12から繊維束Rを一定速度で引き出し可能に構成されているため、繊維束Rを一定速度で引き出すことにより、繊維束Rに対する樹脂の付着量の変動を小さくできる。
【0058】
(11) 付着樹脂重量計測部14と、巻付けヘッド16との間に、繊維束引出し部27から巻付けヘッド16に連なる繊維束Rの張力を調整する張力調整部15が設けられている。従って、張力調整部15と巻付けヘッド16との間に繊維束Rの大きな抵抗となる樹脂含浸装置13や掻き取り装置24が存在せず、巻付けヘッド16の推進力が小さくても、繊維束Rは巻付けヘッド16により円滑に被繊維束巻付け部材17に所定の張力で巻き付けられる。
【0059】
(12) 張力調整部15は、繊維束Rに対する張力の付与を、張力付与ローラ42、支持フレーム44及び重り45の重量で加える構成のため、所定の張力を簡単にかつ正確に付与することができる。また、フィラメントワインディングに使用される繊維束Rの本数に応じた重量の重り45を使用することで、繊維束Rに対して簡単に所望の張力を付与することができる。
【0060】
(13) 樹脂含浸装置13は樹脂液が貯留された樹脂含浸槽21を備え、繊維束Rは樹脂含浸槽21に浸漬された後、掻き取り装置24を通過して付着樹脂量が調整される。従って、繊維束Rに対して樹脂が内部まで含浸された状態での付着樹脂量の調整が容易になる。
【0061】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態を図3に従って説明する。この実施の形態では、付着樹脂重量計測部14の繊維束引出し部27の構成が第1の実施の形態と異なり、他の部分の構成は第1の実施の形態と同じである。第1の実施の形態と同様な部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0062】
図3に示すように、繊維束引出し部27は、エアシリンダ37を挟んで繊維束Rの引き出し方向上流側(図3における左側)に、繊維束Rを把持して水平方向に移動することにより繊維束Rを樹脂含浸装置13から引き出す引出し機構46を備えている。引出し機構46は、繊維束ロック機構32と同様に、繊維束Rの移動経路を挟んで上下に配置されるアクチュエータとしてのエアシリンダ47,48を備え、エアシリンダ47,48のピストンロッドの先端に把持部材47a,48aが固定されている。両把持部材47a,48aは、水平状態で把持位置と、繊維束Rの把持を解放する解放位置とに移動可能に構成されている。エアシリンダ47,48は、図示しないアクチュエータにより繊維束Rの移動経路に沿って往復移動されるブラケットに取り付けられている。そして、ブラケットと共に、図3に鎖線で示す引出し準備位置と、実線で示す計測位置とに移動可能となっている。
【0063】
エアシリンダ47,48の基準位置は計測位置であり、把持部材47a,48aは把持位置に配置されている。繊維束Rを引き出す場合は、エアシリンダ47,48が没入作動されて把持部材47a,48aが解放位置に配置された状態で、引出し準備位置に配置される。次に、エアシリンダ47,48が突出作動されて把持部材47a,48aが把持位置に配置され、繊維束Rを把持した図3に鎖線で示す状態となる。その状態でエアシリンダ47,48が計測位置まで移動されることにより、一定速度で所定長さの繊維束Rが樹脂含浸装置13から引き出される。この間、荷重計39は退避位置に保持されている。
【0064】
エアシリンダ47,48が基準位置に復帰した後、エアシリンダ37が突出作動され、繊維束支承部40が図3に実線で示す計測位置に配置される。そして、第1の実施の形態と同様に、樹脂含浸装置13から引き出された所定長さの樹脂含浸繊維束の重量が荷重計39により計測される。
【0065】
この実施の形態においては、第1の実施の形態の(1)〜(13)と同様の効果を有する他に、次の効果を有する。
(14) 樹脂含浸装置13から繊維束Rを引き出す際、両把持部材47a,48aで把持して引き出す構成のため、第1の実施の形態と異なり、引き出される繊維束Rが案内ローラ29や押圧バー36に接触することで樹脂の一部が案内ローラ29や押圧バー36でかきとられる虞がない。
【0066】
(15) エアシリンダ35のように長いストロークを有するエアシリンダが不要となる。
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態を図4(a),(b)に従って説明する。この実施の形態では、繊維束Rが被繊維束巻付け部材17に巻き付けられた後に、付着樹脂量が計測される点が第1及び第2の実施の形態と大きく異なっている。繊維束供給部12から巻付けヘッド16までの構成は、重量計測部28が無くなった点を除いて第2の実施の形態と同じである。第2の実施の形態と同様な部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0067】
図4(a)はFW装置11の被繊維束巻付け部材17(マンドレル)の支持部、駆動部及び巻付けヘッド16の関係を示す概略側面図である。FW装置11は、ベースプレート50上に配設された一対の支持ブラケット51を備えている。支持ブラケット51上には、ベースプレート50の長手方向(図4(a)の左右方向)に延びる回転軸52a,52bが、それぞれ一対の荷重計39を介して支持された軸受け部53を介して支持されている。回転軸52a,52bにはそれぞれ対向する側に、被繊維束巻付け部材17を一体回転可能に固定する支持部としてのチャック54が装備されている。
【0068】
一方の回転軸52aは、チャック54が固定された側と反対側の端部において、モータ55の出力軸55aに軸継手56を介して一体回転可能に連結されている。軸継手56は、出力軸55aの回転は伝達するが、モータ55側の重量は伝えない状態となることが可能な構造になっている。この実施の形態では、軸継手56はオルダム継手と同様な構成、即ち、図4(b)に示すように、直交する状態で形成された凸条57a,57bを有する円板57と、その両側に配置された部分を備えている。この軸継手56を採用し、凸条57a,57bの一方が上下方向に延びる状態に配置された状態では、モータ55側の重量が回転軸52aに伝達されない。
【0069】
モータ55は出力軸55aの基準位置からの回動量を検出する図示しないセンサ(例えばロータリエンコーダ)を備えている。制御装置Cは前記センサからの検出信号に基づいて、出力軸55aを基準位置から所望の角度回動された位置に停止させる制御が可能になっている。
【0070】
この実施の形態のFW装置11では、モータ55側の重量が回転軸52aに伝達されない状態で被繊維束巻付け部材17がチャック54を介して回転軸52a,52b間にセットされる。その状態で荷重計39の出力が表示部39a及び制御装置Cに入力される。表示部39a及び制御装置Cはその値が0となるように、調整される。荷重計39及び制御装置Cにより付着樹脂重量計測部が構成されている。
【0071】
巻付け運転が開始されると、引出し機構46により繊維束Rが所定長さずつ、一定速度で樹脂含浸装置13から引き出され、引き出された繊維束Rが張力調整部15を介して巻付けヘッド16へ供給される。巻付け終了までは、付着樹脂量の計測は行われない。繊維束Rの巻付け終了後、凸条57a,57bの一方が上下方向に延びる状態になる位置に出力軸55aが停止するようにモータ55が制御装置Cにより制御され、被繊維束巻付け部材17はモータ55側の重量が回転軸52aに伝達されない状態で停止する。次に、巻付けヘッド16から被繊維束巻付け部材17に連なる繊維束Rの張力が緩められる。そして、その状態における荷重計39の出力信号から、制御装置Cは付着樹脂と繊維束Rとの合計重量を求める。そして、予め測定されている繊維束Rの巻付けに必要な長さの重量をその値から差し引いて付着樹脂量を求める。
【0072】
付着樹脂量が適正範囲内にあれば合格となり、被繊維束巻付け部材17がチャック54から取り外されて加熱炉に入れられて加熱硬化され、所定の処理を経て製品となる。付着樹脂量が適正範囲内になければ不合格となり、加熱硬化されずに廃棄される。
【0073】
この実施の形態では、第1の実施の形態の(1)及び第2の実施の形態の(12)〜(15)と同様の効果を有する他に、次の効果を有する。
(16) 繊維束Rが被繊維束巻付け部材17に巻き付けられた後に、付着樹脂量が計測される。従って、樹脂含浸装置13で適正量の樹脂が繊維束Rに付着された後、被繊維束巻付け部材17に巻き付けられる前に何らかの原因で樹脂量が適正量から逸脱した場合にも、そのことを検知できる。また、硬化、脱型工程を経る前に製品の合格及び不合格の判定が可能となり、不合格品に対する無駄な硬化作業を行う必要がなくなる。
【0074】
(17) 被繊維束巻付け部材17は、FW装置11にその両端部が支承された状態でその重量が計測される。従って、所定量の繊維束Rの巻付けが完了した後、被繊維束巻付け部材17をFW装置11から取り外すことなく付着樹脂量を計測できる。
【0075】
(18) 付着樹脂重量計測部は、荷重計39に曲げモーメントが加わらないように複数の荷重計39で被繊維束巻付け部材17の各端部を支承した状態で重量を計測する。従って、繊維束Rが巻き付けられた被繊維束巻付け部材17の重量が、荷重計39に曲げモーメントが加わらない状態で計測される。その結果、荷重計39に曲げモーメントが加わる状態で計測する場合に比較して、精度良く計測できる。
【0076】
(19) 引出し機構46は、繊維束供給部12から繊維束Rを巻付けヘッド16の推進力によらずに引き出すことができ、同時に巻き付けられる繊維束Rの本数が多い場合でも巻付けヘッド16の推進力を大きくする必要がない。
【0077】
(20) 引出し機構46は、繊維束供給部12から繊維束Rを一定速度で引き出し可能に構成されているため、繊維束Rを一定速度で引き出すことにより、繊維束Rに対する樹脂の付着量の変動を小さくできる。
【0078】
(21) 引出し機構46と、巻付けヘッド16との間に、引出し機構46から巻付けヘッド16に連なる繊維束Rの張力を調整する張力調整部15が設けられている。従って、張力調整部15と巻付けヘッド16との間に繊維束Rの大きな抵抗となる樹脂含浸装置13や掻き取り装置24が存在せず、巻付けヘッド16の推進力が小さくても、繊維束Rは巻付けヘッド16により円滑に被繊維束巻付け部材17に所定の張力で巻き付けられる。
【0079】
なお、実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 第3の実施の形態のように、繊維束Rが被繊維束巻付け部材17に巻き付けられた後に、付着樹脂量が計測される構成において、軸と一緒に回転するビーム型荷重計を介して被繊維束巻付け部材17を支持する構成とする。例えば、図5に示すように、被繊維束巻付け部材(マンドレル)17の軸部17aの途中にビーム型荷重計59を設ける。そして、軸部17aの端部をスリップリングを備えた軸受け60で支持する。ビーム型荷重計59は曲げ荷重を受けることで荷重(重量)を計測する構成である。ビーム型荷重計59の出力信号を制御装置C等に伝える配線が回転しないように、スリップリングを介して信号を取り出すように構成されている。この場合、必要な荷重計の個数が2個で済み、コストを低減できる。ビーム型荷重計59の取付構造を含めた被繊維束巻付け部材17の支持部の構造が第3の実施の形態に比較して簡単になる。
【0080】
○ 回転中のビーム型荷重計59の出力信号を制御装置C等に伝達する方法として、スリップリングを使用する構成に代えて、非接触状態、例えば、電磁誘導で信号を伝達する構成を採用したり無線通信でビーム型荷重計59から制御装置Cに出力信号(検出信号)を送信する構成としてもよい。
【0081】
○ 第3の実施の形態あるいは前記ビーム型荷重計59を備えた構成のFW装置11において、付着樹脂量の計測を繊維束Rの被繊維束巻付け部材17への巻き付けが終了した後に行う構成に代えて、繊維束Rの被繊維束巻付け部材17への巻き付け終了前にも行う構成としてもよい。例えば、所定の層数の半分の層数の巻き付けが完了した時点、あるいは一層分の巻き付けが完了する毎に、付着樹脂量の計測を行うようにしてもよい。一層分の巻き付けが完了する毎に、付着樹脂量を測定する構成では、付着樹脂量が適正範囲を超えた場合には、その層を解いて廃棄し、新たに巻き付けることも可能になる。所定の層数の半分の層数の巻き付けが完了した時点で付着樹脂量を測定する構成では、付着樹脂量が適正範囲を超えた場合には、そこで巻き付けを中止して廃棄処分にする。この場合、巻き付け終了時点で不良品を廃棄するより、廃棄される繊維束Rの量を少なくできる。
【0082】
○ 繊維束Rを所定長さずつ引き出して付着樹脂量を計測する構成として、樹脂含浸装置13から引き出された所定長さの繊維束Rを、その両端部で支承するとともに、その中央で1個の荷重計39により繊維束Rの重量を計測する構成に代えて、2個の荷重計39で計測する構成としてもよい。例えば、重量計測部28として荷重計39をエアシリンダ37により昇降される構成とせず、図6に示すように、押圧バー36の移動経路を挟んで繊維束Rの移動経路の上流側と下流側とに、荷重計39を配置する。荷重計39には各荷重計39が受け持つ繊維束Rの本数に対応した長さのローラを介して繊維束Rの荷重が作用するように構成されている。また、エアシリンダ30と対向する位置には案内ローラ29に代えて、エアシリンダ61により昇降可能な把持バー62が設けられる。この場合、第2の実施の形態の付着樹脂重量計測部14に比較して横方向(図3,6における左右方向)の寸法が小さくてよく、装置をコンパクトにできる。
【0083】
○ 上下方向に延びる2個のエアシリンダ47,48で把持部材47a,48aを把持位置と解放位置とに移動させる第2の実施の形態の構成に代えて、例えば、図7に示すように、繊維束Rを把持、解放可能な繊維束ロック機構63をエアシリンダ64で繊維束Rの引き出し方向に往復移動可能に構成する。繊維束ロック機構63は例えば、繊維束Rの本数以上の係止片が櫛歯状に形成された把持部材を一組備えている。一方の把持部材がピストンロッド64aの先端に固定され、他方の把持部材がアクチュエータによりピストンロッド64aと直交する水平方向に移動されることで、繊維束Rの把持、解放が行われるように構成されている。そして、繊維束Rを引き出す際は、繊維束Rの解放状態で、ピストンロッド64aが突出作動され、次に把持部材が繊維束Rを把持した状態でピストンロッド64aが没入作動されることにより、繊維束Rが一定速度で繊維束供給部12から引き出される。この実施の形態では第2の実施の形態に比較して繊維束引出し部27の構成がより簡単になる。
【0084】
○ 繊維束Rを所定長さずつ間欠的に引き出す構成として、エアシリンダのようなリニアアクチュエータを使用せず、一組のベルトコンベアで繊維束Rの一部を挟持して引き出す構成としてもよい。ベルトコンベアが間欠的に所定時間ずつ駆動されることにより、繊維束Rが所定長さずつ間欠的に引き出される。ベルトコンベアにはその幅方向(ベルトの移動方向と直交する方向)に沿って延びる多数の凸部を、凸部において繊維束Rを挟持可能に設けるのが好ましい。
【0085】
○ 樹脂含浸装置13より繊維束移動方向上流側に繊維束Rの重さを計測する繊維束重量測定部を設けてもよい。例えば、図8に示すように、繊維束供給部12と樹脂含浸装置13との間に繊維束重量測定部65が設けられる。繊維束重量測定部65は付着樹脂重量計測部14と同様な構成を採用できる。この構成では、繊維束Rに重量のバラツキがある場合、繊維束Rの重量が適正範囲を逸脱していることが検知された際に、製品の製造を中断して対処することができる。また、繊維束Rの重量が適正範囲にある場合に、繊維束Rの重量を考慮して繊維束Rへの樹脂の付着量を管理することが可能になる。
【0086】
○ 樹脂含浸装置13は必ずしも樹脂含浸槽21内の樹脂液中を繊維束Rが通過する構成に限らない。例えば、ローラに接触しながら移動する繊維束Rに樹脂液をかける構成としてもよい。
【0087】
○ 繊維束Rの引出し速度は必ずしも一定でなくともよい。繊維束引出し部27による繊維束Rの引き出し速度が一定でなくとも、繊維束引出し部27の繊維束R引出し方向下流側に配設された張力調整部15により適切な張力が付与されるため、繊維束Rの巻付けは円滑に行われる。
【0088】
○ 張力調整部15として重り45等の重量で繊維束Rに張力を付与する構成に代えて、バネで張力付与ローラ42を張力付与方向に付勢する構成やエアシリンダで張力付与ローラ42を張力付与方向に付勢する構成としてもよい。しかし、重り45等の重量を利用する構成の方が簡単な構成で一定張力を付与することができる。
【0089】
〇 繊維束引出し部27が引き出す繊維束Rの本数が多い場合は、張力調整部15を複数並列に設け、一つの張力調整部15が分担する繊維束Rの本数を少なくして調整するようにしてもよい。
【0090】
○ 荷重計39を各繊維束R毎に設けてもよい。この場合、付着樹脂量の付着異常が生じた場合、どの繊維束Rが異常なのかすぐに判断できる。
○ 荷重計39を各繊維束R毎に設ける構成では、スキージ25a,25bも各繊維束R毎に隙間調整が可能な構成にする方が好ましい。
【0091】
○ FW装置11によっては、フィラメントワインディング時に使用する繊維束Rの本数を製品によって変更するものもあり、その場合は使用される本数が最多の時に合わせて張力付与ローラ42の長さ等が設定される。
【0092】
○ FW装置11は、被繊維束巻付け部材17に同時に巻き付ける本数が複数本の構成に限らず、1本であってもよい。
○ 巻付けヘッドの構成は前記実施の形態のように被繊維束巻付け部材17の周囲を囲繞する構成に限らず、例えば、一般的なFW装置に装備されている構成でもよい。
【0093】
前記実施の形態から把握できる発明(技術的思想)について以下に記載する。
(1) 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発明において、前記樹脂含浸装置は樹脂液が貯留された樹脂含浸槽を備え、繊維束は前記樹脂含浸槽に浸漬された後、掻き取り装置を通過する。
【0094】
(2) 請求項2、請求項3及び前記技術的思想(1)のいずれか一項に記載の発明において、前記樹脂含浸装置は繊維束に含浸された樹脂の一部を掻き取る掻き取り装置24を備え、前記掻き取り装置は付着樹脂重量計測部により計測された付着樹脂量が設定範囲からずれた場合に、可動のスキージと固定のスキージとの隙間を調整するように自動的に制御される。
【0095】
(3) 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記付着樹脂重量計測部は繊維束を間欠的に一定速度で所定長さ引き出す繊維束引出し部を備えている。
【0096】
(4) 請求項1〜請求項3及び前記技術的思想(3)のいずれか一項に記載の発明において、前記巻付けヘッドは複数の繊維束を被繊維束巻付け部材に対して同時に巻き付けるように構成され、前記付着樹脂重量計測部は、前記複数の繊維束を複数のグループに分けて各グループ毎に付着樹脂量を荷重計で計測可能に構成されている。
【0097】
(5) 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発明において、前記付着樹脂重量計測部の出力信号に基づいて、付着樹脂量が適正範囲か否かを判断し、適正範囲からずれた場合に警報手段を作動させる制御装置が備えられている。
【0098】
(6) 請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記付着樹脂重量計測部は被繊維束巻付け部材への繊維束の巻き付け操作の終了後に付着樹脂量を計測する。
【0099】
(7) 請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記付着樹脂重量計測部は被繊維束巻付け部材に予め設定された層の巻き付けが完了する毎に付着樹脂量を計測する。
【0100】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜請求項7に記載の発明によれば、繊維束に付着した樹脂量を製品が完成する前に計測することができ、付着樹脂量の設定範囲からの逸脱を製品完成前に検知することができるため、製品検査での不良品の発生を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のFW装置の概略側面図。
【図2】同じく重量計測部の模式正面図。
【図3】第2の実施の形態の付着樹脂重量計測部を示す模式側面図。
【図4】(a)は第3の実施の形態のFW装置の部分概略図、(b)は軸継手の部品を示す模式斜視図。
【図5】別の実施の形態のFW装置の部分概略図。
【図6】別の実施の形態の付着樹脂重量計測部の模式側面図。
【図7】別の実施の形態の繊維束引出し部の模式側面図。
【図8】繊維束重量測定部の部分側面図。
【符号の説明】
R…繊維束、11…FW装置、12…繊維束供給部、13…樹脂含浸装置、14…付着樹脂重量計測部、15…張力調整部、16…巻付けヘッド、17…被繊維束巻付け部材、39…荷重計、65…繊維束重量測定部。
Claims (7)
- 被繊維束巻付け部材を支持して回転させながら、該被繊維束巻付け部材の表面に樹脂が含浸された繊維束を、巻付けヘッドを介して巻き付けるフィラメントワインディング装置であって、前記繊維束に付着された樹脂の重量を計測する付着樹脂重量計測部を備えているフィラメントワインディング装置。
- 前記付着樹脂重量計測部は、繊維束供給部から引き出された繊維束に樹脂を含浸させる樹脂含浸装置と前記巻付けヘッドとの間に配置され、樹脂が含浸された繊維束の重量を計測することにより付着樹脂量を計測する請求項1に記載のフィラメントワインディング装置。
- 前記付着樹脂重量計測部と前記巻付けヘッドとの間に張力調整部が設けられ、前記付着樹脂重量計測部は、前記樹脂含浸装置から引き出された所定長さの繊維束を、その両端部で支承した状態で樹脂含浸繊維束の重量を計測する請求項2に記載のフィラメントワインディング装置。
- 前記付着樹脂重量計測部は、繊維束が被繊維束巻付け部材に巻き付けられた状態で前記被繊維束巻付け部材及び樹脂含浸繊維束の重量を計測することにより付着樹脂量を計測する請求項1に記載のフィラメントワインディング装置。
- 前記付着樹脂重量計測部は、前記被繊維束巻付け部材がフィラメントワインディング装置にその両端部において支承された状態でその重量を計測する請求項4に記載のフィラメントワインディング装置。
- 前記付着樹脂重量計測部は、荷重計に曲げモーメントが加わらないように複数の荷重計で前記被繊維束巻付け部材の各端部を支承した状態で重量を計測する請求項5に記載のフィラメントワインディング装置。
- 樹脂含浸装置より繊維束移動方向上流側に繊維束の重さを計測する繊維束重量測定部が設けられている請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のフィラメントワインディング装置。
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