JP2004211032A - ポリウレタンフォーム - Google Patents

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嘉修 西村
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忠史 矢野
Kazuhisa Uchiyama
一寿 内山
Shinko Ito
眞弘 伊藤
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Abstract

【課題】一定以上の数平均分子量を有する高分子化合物を選択する等することで、得られたポリウレタンフォームや、該ポリウレタンフォームから製造される各種製品の使用時に発生する揮発性有機化合物(VOC)の発生量を抑制し得るポリウレタンフォームを提供する。
【解決手段】ポリオール、イソシアネート、触媒および酸化防止剤を混合して得たポリウレタンフォームであって、該酸化防止剤およびポリオールの合成時に使用される酸化防止剤の双方に、一定以上の数平均分子量を有する高分子化合物を使用することで、得られるポリウレタンフォームからの揮発性有機化合物の発生量を抑制する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ポリウレタンフォームに関し、更に詳細には、該ポリウレタンフォームを製造するのに使用される各原料として、一定以上の数平均分子量を有する高分子物質を使用する等して、該フォーム使用時に発生する揮発性有機化合物量を抑制するようにしたポリウレタンフォームに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にポリウレタンフォームは、その原料であるポリオールおよびイソシアネートの種類や、混合量を変えることで、様々な物性、例えば優れた軽量性、クッション性、耐薬品性および耐水性等を発現し得る組成とすることが可能である。そしてその優れた物性および高い汎用性により、車両内装材、各種生活雑貨並びにクッション材およびマット等の家具材の分野に、その素材として好適に使用されていた。
【0003】
【発明が解決すべき課題】
通常ポリウレタンフォームからは、異臭のもと等となる揮発性有機化合物が時間の経過と共に揮発することが知られている。この揮発性有機化合物は、前記ポリウレタンフォームが車両内装材として使用されている場合には、例えば車内のガラス面に付着して視界を悪くする問題があり、また各種家具材として使用されている場合には、ガラス面への付着の他、所謂シックハウスの原因となるホルムアルデヒドと同様に人体に対する影響が懸念される問題が指摘される。更に車両における視界の悪化は、事故等の深刻な問題を引き起こす原因の1つであり、また家具材のおける人体に対する悪影響も、別途法的規制の整備が必要と考えられる程の深刻な問題と認識されており、その対応が急務となっている。
【0004】
【発明の目的】
この発明は、前述した従来技術に係るポリウレタンフォームに関して内在していた欠点に鑑み、これを好適に解決すべく提案されたものであって、一定以上の数平均分子量を有する高分子化合物を選択して使用する等することで、得られたポリウレタンフォームや、該フォームから製造される各種製品の使用時に発生する揮発性有機化合物(VOC)の発生量を抑制し得るポリウレタンフォームを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本願の発明に係るポリウレタンフォームは、ポリオール、イソシアネート、触媒および酸化防止剤を含んでなる原料から製造したポリウレタンフォームであって、
前記酸化防止剤およびポリオールの合成時に使用される酸化防止剤の何れも、一定以上の数平均分子量を有する高分子化合物が選択され、
これによりポリウレタンフォームからの揮発性有機化合物の発生量が抑制されていることを特徴とする。
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本願の別の発明に係るポリウレタンフォームは、ポリオール、イソシアネート、触媒および酸化防止剤を含んでなる原料から製造したポリウレタンフォームであって、
前記酸化防止剤およびポリオールの合成時に使用される酸化防止剤の何れも、一定以上の数平均分子量を有する高分子化合物が選択され、
前記触媒として、ポリウレタンフォームの重合反応進行中に該ポリウレタンフォームの構造と化学的に結合する物質が含有されており、
これによりポリウレタンフォームからの揮発性有機化合物の発生量が抑制されていることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るポリウレタンフォームにつき、好適な実施例を挙げて以下説明する。本願の発明者は、良好な物性を有する前記ポリウレタンフォームを得るために、通常に使用される酸化防止剤等として、一定以上の数平均分子量を有する高分子化合物を選択的に使用することで、揮発性有機化合物(以下、VOCと云う)の発生量を抑制し得ることを知見したものである。また本発明におけるVOCの値は、ドイツ自動車工業会 VDA278に規定されるVOC測定法により測定され、評価される。
【0008】
また本発明においては、前記VOC値を測定するドイツ自動車工業会 VDA278に規定されるVOC測定法で測定されるVOC値が500以下、好ましくは400以下、更に好ましくは50以下となるように設定される。そしてこのVOC値は、本願の発明者が知見した内容、すなわちVOC値を増大させる大きな原因である、酸化防止剤および触媒について、以下に記載する内容に合致する物質を使用することで基本的に達成される。
【0009】
本発明の好適な実施例に係るポリウレタンフォームは、主原料であるポリオールおよびイソシアネートに対して、酸化防止剤としてその数平均分子量が一定以上の高分子化合物を選択的に使用することで製造される。そして触媒として反応型アミン系触媒等の、得られるポリウレタンフォームの重合反応進行中に該ポリウレタンフォームの構造と化学的に結合する物質を使用することやその他手段を講じることで、よりVOC値を低減したポリウレタンフォームの製造を可能としている。また必要に応じて、前記添加物として、鎖延長剤、難燃剤、架橋剤、発泡剤および/または整泡剤が必要に応じて使用される。
【0010】
殊に前記ポリオールが、ポリエーテルポリオールの場合、前記酸化防止剤は、良好なポリウレタンフォームを得るために、該ポリエーテルポリオール合成時にも使用され、この合成時に使用される酸化防止剤が前記VOC値を増大させる大きな原因の1つとなっている。従って、前記合成時に使用される酸化防止剤についても、ポリウレタンフォームを製造する際に使用される酸化防止剤と同様に、その数平均分子量が一定以上である高分子化合物が選択して使用される。
【0011】
また前記ポリオールが、ポリエステルポリオールの場合には、その分子中に酸化され易いエーテル基を含有していないため、該ポリエステルポリオール合成時にVOC値を増大させる酸化防止剤を使用する必要はない。しかし、前記ポリエステルポリオールとイソシアネートとを使用して得られたポリウレタンフォームについては、該ポリウレタンフォーム製造時、発熱反応による熱がもたらす部分的な黄変現象、所謂スコーチ(コゲ)現象を防止する目的として酸化防止剤がスコーチ防止剤として使用される。従って、全体としてVOC値を低下させるためには、前記酸化防止剤(スコーチ防止剤)として、一定以上の数平均分子量を有する高分子化合物を選択的に使用する必要がある。
【0012】
この他、前記ポリエステルポリオールを使用する場合、該ポリエステルポリオール合成時に使用される重合開始剤として、前記酸化防止剤と同様にその数平均分子量が一定以上である高分子化合物が選択される。具体的には、その数平均分子量が400以上となる、例えばダイマー酸等の採用が好適である。通常のポリエステルポリオールでは、合成コスト等の点からアジピン酸の如き、安価かつ低価格な物質を使用することが一般的である。しかしこの場合、ポリオール合成時に目的とされる数平均分子量まで縮合されない残留物が環状エステルにまで分解され、これがVOC発生の原因となってしまうため、好適な使用には向かない。
【0013】
前記酸化防止剤としては、その数平均分子量が400以上となる高分子物質が使用される。この数平均分子量が400未満であると、この酸化防止剤を使用したポリウレタンフォームのVOC値が大きく増大してしまい、前述の500ppm以下のVOC値を達成し得ない。また前述の如く、前記酸化防止剤の選択がVOC値に与える影響は大きく、更に前記ポリエーテルポリオールの場合には、該ポリオール合成およびポリウレタンフォームそのものの酸化劣化防止のために夫々において使用される物質であるため影響も大きい点に留意すべきである。
【0014】
前記酸化防止剤の種類としては、ポリエーテルポリオール合成およびポリウレタンフォーム製造に対して汎用的に使用可能な、例えばカルシウムジエチルビスIII3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル[メチル]ホスホネート(数平均分子量:695)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−O−クレゾール(数平均分子量424.7)、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](数平均分子量:586.8)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](数平均分子量:1178)、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](数平均分子量:643)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(数平均分子量:531)、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)](数平均分子量:637)等のヒンダードフェノール系物質が好適であり、該ヒンダードフェノール系物質以外には、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤またはヒンダードアミン系酸化防止剤が挙げられる。
【0015】
主原料の1つとして使用される前記ポリオールとしては、一般にポリオールと呼称される水酸基を2個以上有する化合物、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が単一または混合されている物質が好適である。この他、水酸基の代わりにカルボン酸、アミン等の活性水素を有する化合物の併用も可能である。
【0016】
また前記イソシアネートとしては、通常使用されているイソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂肪族系、脂環族系の各種イソシアネート化合物、更には、イソシアネート化合物を変性して得られる変性イソシアネートが使用可能であり、また該イソシアネートを2種類以上併用するようにしてもよい。具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、P−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、水添化XDI(HXDI)、水添化MDI(H12MDI)等の脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リシンジイソシアネート(LDI)、リシントリイソシアネート(LTI)等の脂肪族イソシアネート類が挙げられる。また、その変性体としてはイソシアネート化合物のウレタン変性体、2量体、3量体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビューレット変性体、ウレア変性体またはプレポリマー等が挙げられる。そして、製造コストの点から、前記ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の使用が好適である。
【0017】
前記触媒としては、例えばジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン、N−ジメチルベンジルアミン等の非反応型モノアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビスジメチルアミノエチルエーテル、テトラメチルプロパンジアミン、ジメチルアミノエチルモルフォリン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアゾビシクロウンデセン、2−メチル−1,4−ジアゾ(2,2,2)ビシクロオクタン等の非反応型ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン等の非反応型トリアミン、ジメチルエタノールアミン、N−トリオキシエチレン−N,N−ジメチルアミン、N,N−ジメチル−N−ヘキサノールアミン等の反応型アミンまたはこれらの有機酸塩といった、所謂アミン系触媒が好適に使用される。一般的に前記アミン系触媒とと複合的に使用される、例えばスタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテートまたはジブチルチンジラウレート等の有機酸金属スズ系触媒は、VOC値を大きく増大させることが分かっている。従って、その使用量をポリオール100重量部に対して、0.1重量部未満に設定することが望まれる。なお、得られるポリウレタンフォームの発泡安定性を得るために、前記ポリオール100重量部に対して、0.1重量部以上使用される前記有機酸金属スズ系触媒の代わりとして、前記アミン系触媒が該ポリエーテルポリオール100重量部に対して、少なくとも0.5重量部以上の使用が好ましい。
【0018】
前記アミン系触媒としては、例えば前述のジメチルエタノールアミン、N−トリオキシエチレン−N,N−ジメチルアミン、N,N−ジメチル−N−ヘキサノールアミン等の他、N,N−ジメチルアミノエタノール、エトキシド水酸化アミン、N,N−テトラメチル−1,3−ジアミノ−2−プロパノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N−トリメチルアミノプロピルエタノルアミン、N−メチルN’−(2−ヒドロキシル)モルフォリン、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダソール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)−フェノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルピペラジン、トリエタノールアミン等の活性水素基を含有する、所謂反応型のアミン化合物(以下、反応型アミン系触媒と云う)が好適である。これは、前述のポリウレタンフォームを得る反応に関係せずに、前記触媒が残留してしまうと、前記有機酸金属スズ系触媒と同様にVOC値を増大させる原因となるためであり、触媒としての作用を果たした後、VOCを発生させない状態、例えば生成物として得られるポリウレタンフォームの分子構造と化学的に結合するためである。そして前記反応型アミン系触媒を使用することで、前記有機酸金属スズ系触媒の使用下においても、VOC値を効果的に低下させることが可能となっている。
【0019】
この他の添加物については、一般に使用される鎖延長剤、難燃剤、架橋剤、発泡剤および/または整泡剤が挙げられる。前記鎖延長剤としては、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミンなどの多価アミン等が、前記難燃剤としては、トリス−ジクロロプロピルホスフェート、トリス−クロロエチルホスフェート、ジブロモネオペンチルアルコール、トリブロモネオペンチルアルコール等が夫々挙げられる。前記架橋剤としては、従来公知のエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、トリメチローラプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、ジエチルトルエンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール類が挙げられる。前記発泡剤としては、水、シクロペンタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等の炭化水素類、ノナフロロブチルメチルエーテル、ノナフロロイソブチルメチルエーテル、ノナフロロブチルエチルエーテル、ノナフロロイソブチルエチルエーテル、ペンタフロロエチルメチルエーテルまたはヘプタフロロイソプロピルメチルエーテル等のハイドロフルオロカーボン類或いは液化炭酸ガス等が用いられる。前記整泡剤については、通常の発泡体の製造にて通常使用されている物質が使用可能である。例えば、ジメチルシロキサン系、ポリエーテルジメチルシロキサン系またはフェニルメチルシロキサン系等の各種整泡剤が挙げられる。この他、着色剤、充填剤等を必要に応じて配合することもできる。なお全ての添加物において、それらの数平均分子量が低ければ、フォーム成形後、該添加物が揮発成分として散逸し易いと考えられるため、前記酸化防止剤と同様に比較的高分子の物質の使用が好ましい。
【0020】
前記ポリウレタンフォームの製造方法については、前述([0009])の如く、基本的に通常のポリウレタンフォームの製造方法と変わりがない。すなわち、主原料であるポリオールおよびイソシアネートと、所定の触媒および酸化防止剤等の副原料とを混合することで製造される。具体的には、2液性ポリウレタンフォームの連続スラブ発泡成形により得られる。この製造方法の場合、連続生産が可能であり、所要の走行コンベア上に前記主原料および副原料の反応混合液を吐出し、移動するコンベア上で大気圧下で自由発泡させ、硬化を行なうと共に、所定長さに加工されたスラブストックを得る。前記スラブストックは、別途加熱炉によりキュアされることで製品とされる。前記反応混合液を得るために実施される各原料の混合機構である注入機チャンバーへの投入・混合攪拌方法としては、予めポリオール成分に所定の酸化防止剤等の副原料を混合し、注入チャンバーへの吐出時に、別途イソシアネートを吐出して、混合ポリオール成分と混合攪拌する、所謂ワンショット法や、該注入機チャンバー内に複数の注入ノズルを介して各原料を導入・混合攪拌する方法等の従来公知の方法が適宜採用される。
【0021】
【実験例】
以下に、本発明に係る低いVOC値を達成するポリウレタンフォームを製造する際の、酸化防止剤や触媒の種類といった条件を変化させて得たポリウレタンフォームのVOC値(ppm)を測定した実験例を示す。なお、本発明に係るポリウレタンフォームは、この実験例に限定されるものではない。
【0022】
(VOC値の測定方法)
以下に記載される各実験例においては、各原料から得られたポリウレタンフォームに係る各試験片 約7mgをガラスチューブ内に入れ、熱脱着装置(商品名 TDSA(KAS、KAS−3+、KAS−4を含む);Gestel製)を使用することで、「ドイツ自動車工業会 VDA278」に規定されるVOC測定法を実施した。具体的には、各試験片を温度90℃、時間30分の条件下で加熱し、該加熱時に発生したガスをガスクロマトグラフ質量分析計(商品名 ガスクロマトグラフ質量分析計(品番:6890−5973N);アジレント製)により分析、VOC値を算出した。また前述の「ドイツ自動車工業会 VDA278」の規定に従い、前記VOC値測定に引き続き、温度120℃、時間1時間の条件下で加熱し、該加熱時に発生したガスを同様にガスクロマトグラフ質量分析計で分析するFOG値についても、併せて算出した。
【0023】
(実験1) 酸化防止剤の種類と、VOC値との関係について
前記ポリウレタンフォームの主原料として、その合成時にも酸化防止剤を使用するポリエーテルポリオールを選択し、使用される酸化防止剤の数平均分子量を変化させて、以下の表1に記載の内容とした実施例1および2に係るポリウレタンフォームと、比較例1に係るポリウレタンフォームを夫々製造し、VOC値等を測定した。なお、使用した各原料は、以下に述べる。なおポリオール合成時に使用される酸化防止剤については、合成時酸化防止剤と呼称する。
【0024】
使用した各原料は以下の通りである。
・ポリオールA:ポリエ−テルポリオール(商品名 GP3000;三洋化成製(合成時酸化防止剤(BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)(商品名 BHTスワノックス;精工化学製(数平均分子量:220))/添加量0.003重量部
・ポリオールB:ポリエーテルポリオール(商品名 GP3000;三洋化成製(合成時酸化防止剤(商品名 IRGANOX245;チバスペシャリティケミカルズ製(数平均分子量:586.8))/添加量0.003重量部
・ポリオールC:ポリエーテルポリオール(商品名 GP3000;三洋化成製(合成時酸化防止剤(商品名 IRGANOX1010;チバスペシャリティケミカルズ製(数平均分子量:1178))/添加量0.003重量部
・イソシアネート:トリレンジイソシアネート(商品名 TDI−80;住化バイエルウレタン製)
・酸化防止剤A:BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)(商品名 BHTスワノックス;精工化学製(数平均分子量:220))
・酸化防止剤B:商品名 IRGANOX245;チバスペシャリティケミカルズ製(数平均分子量:586.8)
・アミン系触媒:トリエチレンジアミン(商品名 LV−33;中京油脂製)
・有機酸金属スズ系触媒:スタナスオクトエート(商品名 MRH−110;城北化学製)
・整泡剤:シリコーン整泡剤(商品名 TEGOSTAB B8110;ゴールドシュミット製)
・発泡剤:水
【0025】
【表1】
Figure 2004211032
【0026】
(実験1の結果)
実験1から得られる結果を上記の表1に併記する。この表1に記載の結果から、数平均分子量が400以上の酸化防止剤を使用してポリオールを合成し、かつポリウレタンフォームを製造した場合、6020ppmに近かったVOC値が約1/15となり、400ppm前後となることが確認された。また参考として、以下の表2に前記表1に係る各原料が、どの程度VOC値等に影響を与えているかを記す。なお、この表2において、イソシアネート、整泡剤、発泡剤その他特定不明な物質に起因したVOC値/FOG値についてはまとめて示す。また、前記VOC値/FOG値において10ppm前後のズレは誤差の範囲内である。
【0027】
【表2】
Figure 2004211032
【0028】
上記表2から分かる通り、汎用の酸化防止剤が全体の約8割を占めており、該酸化防止剤として高分子物質を選択することで、大きくVOC値を低減させていることが確認された。
【0029】
(実験2) 触媒の種類と、VOC値との関係について
前記ポリウレタンフォームの主原料として、酸化防止剤の数平均分子量が400以上であるポリエーテルポリオールを選択した前記実験1における実施例1を基本として、使用される触媒の種類を変化させて、以下の表3に記載の内容とした実施例3〜5に係るポリウレタンフォームを夫々製造し、VOC値等を測定した。なお、前記実験1で得られた実施例1の値を併記する。また使用した各原料は、以下に述べる。
【0030】
使用した各原料は以下の通りである。
・反応型アミン系触媒:ジメチルアミノヘキサノール(商品名 カオライザー No.25;花王製)
・ポリオールB、イソシアネート、酸化防止剤B、アミン系触媒、有機酸金属スズ系触媒、整泡剤および発泡剤については、前記実験1と同様である。
【0031】
【表3】
Figure 2004211032
【0032】
(実験2の結果)
実験2から得られる結果を上記の表3に併記する。この表3の結果から、通常の有機酸金属スズ系触媒およびアミン系触媒を用いる際に、該アミン系触媒を反応型のアミン系触媒に変更する場合は、変更しない場合に較べて明らかな低下が確認され(実施例5参照)、また有機酸金属スズ系触媒を使用しない場合は、該スズ系触媒を使用する場合に較べて半分程度のVOC値となり(実施例3参照)、更に触媒として反応型のアミン系触媒だけ用いることで更にVOC値が低減し得ることが確認された(実施例4参照)。また参考として、以下の表4に前記表3に係る各原料が、どの程度VOC値等に影響を与えているかを記す。なお、この表3において、イソシアネート、整泡剤、発泡剤その他特定不明な物質に起因したVOC値/FOG値についてはまとめて示す。また、前記VOC値/FOG値において10ppm前後のズレは誤差の範囲内である。
【0033】
【表4】
Figure 2004211032
【0034】
上記表4から分かる通り、有機酸金属スズ系触媒0.1pbwがVOC値を約150ppm増大させ、アミン系触媒0.1pbwがVOC値を約20〜25ppm増大させるのに対して、反応型アミン系触媒0.1pbwはVOC値を殆ど変化させないことが確認された。
【0035】
(実験3) ポリオールの種類と、VOC値との関係について
前記ポリウレタンフォームの主原料として使用されているポリエーテルポリオールに代えて、ポリエステルポリオールを用いた場合の実験を、以下の表5に記載の内容とした実施例6および比較例2に係るポリウレタンフォームを夫々製造することで実施した。そして得られたポリウレタンフォームのVOC値等を測定した。なお使用した各原料は、以下に述べる。
【0036】
使用した各原料は以下の通りである。
・ポリオールD:ポリエステルポリオール(商品名 N−2200;日本ポリウレタン工業製(重合開始剤としてのアジピン酸、数平均分子量:146.15))、DEG(ジエチレンクリコール)およびTMP(トリメチロールプロパン)を縮合させて合成した物質))
・ポリオールE:ポリエステルポリオール(重合開始剤としてのダイマー酸(数平均分子量:400以上)、メチルペンタジオールおよびTMPを縮合させて合成した物質)
・イソシアネート、触媒(アミン系触媒のみ)、整泡剤および発泡剤については、前記実験1と同様である。また本実験3における各スコーチ防止剤は、基本的にポリエーテルポリオール使用時における酸化防止剤と同じ物質であり、原料系に混合されることで発現する作用が前述([0011])する如く、酸化防止からスコーチ防止となっているだけであり、実質上の違いはない。
【0037】
【表5】
Figure 2004211032
【0038】
(実験3の結果)
実験3から得られる結果を上記の表5に併記する。この表5の結果から、ポリエステルポリオールの重合開始剤およびスコーチ防止剤(酸化防止剤)として、高分子物質を選択することで、大きくVOC値を低減させていることが確認された。また参考として、以下の表6に前記表5に係る各原料が、どの程度VOC値等に影響を与えているかを記す。なお、この表3において、イソシアネート、整泡剤、発泡剤その他特定不明の物質に起因したVOC値/FOG値についてはまとめて示す。また、前記VOC値/FOG値において10ppm前後のズレは誤差の範囲内である。
【0039】
【表6】
Figure 2004211032
【0040】
上記表6から分かる通り、低分子量のポリエーテルポリオールと同様にスコーチ防止剤、すなわち酸化防止剤と、ポリエステルポリオールにおける重合開始剤とが大きくVOC値を増大させていることが確認された。
【0041】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係るポリウレタンフォームによれば、例えば酸化防止剤等として一定以上の数平均分子量を有する高分子化合物を選択することやその他手段により、得られたポリウレタンフォームや、該フォームから製造される各種製品の使用時に発生する揮発性有機化合物(VOC)の発生量を抑制し得る。

Claims (17)

  1. ポリオール、イソシアネート、触媒および酸化防止剤を含んでなる原料から製造したポリウレタンフォームであって、
    前記酸化防止剤およびポリオールの合成時に使用される酸化防止剤の何れも、一定以上の数平均分子量を有する高分子化合物が選択され、
    これによりポリウレタンフォームからの揮発性有機化合物の発生量が抑制されている
    ことを特徴とするポリウレタンフォーム。
  2. 前記揮発性有機化合物の発生量の抑制を示す指標であるドイツ自動車工業会 VDA278に規定のVOC測定法によると、ポリウレタンフォームのVOC総量値が500ppm以下になっている請求項1記載のポリウレタンフォーム。
  3. 前記酸化防止剤およびポリオールの合成時に使用される酸化防止剤の数平均分子量は、少なくとも400以上である請求項1または2記載のポリウレタンフォーム。
  4. 前記酸化防止剤およびポリオールの合成時に使用される酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系物質である請求項3記載のポリウレタンフォーム。
  5. 前記ポリオールには、ポリエステルポリオールが含まれている請求項1〜4の何れかに記載のポリウレタンフォーム。
  6. 前記ポリエステルポリオールは、数平均分子量400以上の重合開始剤から製造される請求項5記載のポリウレタンフォーム。
  7. 前記重合開始剤は、ダイマー酸である請求項6記載のポリウレタンフォーム。
  8. ポリオール、イソシアネート、触媒および酸化防止剤を含んでなる原料から製造したポリウレタンフォームであって、
    前記酸化防止剤およびポリオールの合成時に使用される酸化防止剤の何れも、一定以上の数平均分子量を有する高分子化合物が選択され、
    前記触媒として、ポリウレタンフォームの重合反応進行中に該ポリウレタンフォームの構造と化学的に結合する物質が含有されており、
    これによりポリウレタンフォームからの揮発性有機化合物の発生量が抑制されている
    ことを特徴とするポリウレタンフォーム。
  9. 前記ポリウレタンフォームの構造と化学的に結合する物質として、活性水素基を含有するアミン化合物が使用される請求項8記載のポリウレタンフォーム。
  10. 前記揮発性有機化合物の発生量の抑制を示す指標であるドイツ自動車工業会 VDA278に規定のVOC測定法によると、ポリウレタンフォームのVOC総量値が400ppm以下になっている請求項8または9記載のポリウレタンフォーム。
  11. 前記触媒として、アミン系触媒が単独で使用される請求項8または9記載のポリウレタンフォーム。
  12. 前記揮発性有機化合物の発生量の抑制を示す指標であるドイツ自動車工業会 VDA278に規定のVOC測定法によると、ポリウレタンフォームのVOC総量値が50ppm以下になっている請求項11記載のポリウレタンフォーム。
  13. 前記酸化防止剤およびポリオールの合成時に使用される酸化防止剤の数平均分子量は、少なくとも400以上である請求項8〜12の何れかに記載のポリウレタンフォーム。
  14. 前記酸化防止剤およびポリオールの合成時に使用される酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系物質である請求項13記載のポリウレタンフォーム。
  15. 前記ポリオールには、ポリエステルポリオールが含まれている請求項8〜14の何れかに記載のポリウレタンフォーム。
  16. 前記ポリエステルポリオールは、数平均分子量400以上の重合開始剤から製造される請求項15記載のポリウレタンフォーム。
  17. 前記重合開始剤は、ダイマー酸である請求項16記載のポリウレタンフォーム。
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