JP2004228035A - 密閉型電池の製造方法および密閉型電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造コストを低く抑えながら、耐久性およびエネルギ効率に優れた密閉型電池およびその製造方法を提供する。
【解決手段】図1(b)に示すように、渦巻状電極体10を外装缶40に収納し、負極集電板21を外装缶40の缶底に溶接した後に、内径寸法がd4(φ21.5mm)、外径寸法がd5(φ22.0mm)となるまで、外装缶40の側壁をその径方向内側に向けて絞る(縮径ステップ)。縮径は、外装缶40の側壁における缶底部分から開口縁端40aに至るまでの全領域について実施する。
縮径ステップにおける外装缶40は、開口された状態のままである。
【選択図】 図1
【解決手段】図1(b)に示すように、渦巻状電極体10を外装缶40に収納し、負極集電板21を外装缶40の缶底に溶接した後に、内径寸法がd4(φ21.5mm)、外径寸法がd5(φ22.0mm)となるまで、外装缶40の側壁をその径方向内側に向けて絞る(縮径ステップ)。縮径は、外装缶40の側壁における缶底部分から開口縁端40aに至るまでの全領域について実施する。
縮径ステップにおける外装缶40は、開口された状態のままである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉型電池の製造方法および密閉型電池に関し、特に、製造過程中に外装缶の側壁を缶の内方に向けて絞り加工を施す絞りステップを有する密閉型電池の製造方法および密閉型電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
ニッケル−カドミウム電池(以下、「Ni−Cd電池」という。)やニッケル−水素電池に代表される密閉型アルカリ電池は、有底円筒状の外装缶に正負両極板およびセパレータなどからなる電極体を収納し、電極体を収納した部分よりもやや開口縁端側の側壁を曲折して溝入加工することで外装缶の内面に棚を形成し、この棚に封口蓋を載置した後に、外装缶の開口縁端近傍をカシメ加工して封止し製造される。
【0003】
近年、密閉型アルカリ電池の製造においては、規格で規定された電池寸法の中でより大きな電池容量を得るために、規定の電池寸法よりも大きな外寸を有する外装缶に電極体を収納し、封口体などを載置して封止した後に、外装缶の側壁を径方向内側に向けて絞る(縮径)という手法が開発され、実施されている(特許文献1)。
【0004】
また、同じく規定の電池寸法よりも大きな外寸を有する外装缶に電極体を収納した後、一端、外装缶における電極体収納相当箇所のみを縮径し、溝入ステップおよび封口体載置ステップなどを経て、外装缶の側壁における残りの部分を縮径するという方法も開発されている(特許文献2)。この技術では、具体的に、外装缶を回転する2つの金型の中央部に形成される空間に配し、この金型を外装缶の径方向に向けて往復運動させることで、少しずつ外装缶の側壁が塑性加工(縮径)され、外装缶の側壁が縮径される。
【0005】
このように縮径を実施する製造方法を用いることによって、電極体を収納する際には、電極体の外面と外装缶の内面とが接触し難くいので、電極体にダメージがかかり難く、且つ、その後に規定寸法まで外装缶の側壁を絞るので、電極体と外装缶との間の隙間を小さくして、電池のエネルギ効率を高めることができる。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−285875号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平10−27584号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の製造方法では、封止した後に縮径を実施するために、縮径時における側壁の歪が封止箇所にまで及んでしまい、電池の密閉性を低下させてしまう。このような製造方法を用いて製造された密閉型電池では、低い密閉性のために耐久性能という面で問題を有する。
【0009】
また、特許文献2の製造方法では、上記装置および方法を用いて縮径が実施できるのであって、タクトタイムの面および製造装置のコストなどの面から問題を有する。つまり、特許文献2の製造方法では、コスト競争の厳しい電池の分野にあっては、製造コストの面などから実用に適さないものと考えられる。
本発明は、このような問題を解決しようとなされたものであって、製造コストを低く抑えながら、耐久性およびエネルギ効率に優れた密閉型電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る密閉型電池の製造方法は、正極板と負極板とが間にセパレータを介した状態で配されてなる電極体を、電極体の外形寸法より大きい内部空間を有する有底筒状の外装缶に収納する収納ステップと、
収納ステップの後に、所要の形状を有する透孔が形成された加工型を用い、この透孔に対して外装缶をその深さ方向に通過させることにより、外装缶の側壁における底部分から開口縁端までの全領域にわたって絞り加工し、外装缶の内面と電極体の外面との間の隙間を小さくする絞りステップと、絞りステップの後に、外装缶の開口縁端と電極体が収納された領域との間に、外装缶の内方に向けて曲折加工して溝を入れ、当該溝を入れることによって外装缶の内壁に棚部を形成する溝入ステップと、溝入ステップの後に、外装缶の開口部から封口体を挿入して、棚部に封口体を載置し、外装缶における開口縁端の近傍領域をカシメ加工し封止する封止ステップとを有することを特徴とする。
【0011】
この製造方法では、加工型に設けられた透孔に対して、外装缶を通過させるだけで外装缶の絞り加工を実施することができるので、簡易な装置をもって高い効率で加工を行うことができる。
また、この製造方法では、溝入ステップよりも前の段階で外装缶の側壁における全領域に対して絞り加工を施すので、絞り加工時における側壁の歪が溝に対して影響を及ぼすことはない。よって、電池完成後における溝の形状を幅広い形状で設定することができ、電極体と封口体との間の隙間を小さくすることができる。つまり、従来の製造方法をもって製造される密閉型電池に比べて、エネルギ効率(容積に対する電池容量)の高い密閉型電池を製造することができる。
【0012】
また、上記特許文献1の製造方法を用いた場合には、溝入ステップの後に外装缶における開口縁端の近傍の絞りを実施しているので、この時点で溝に歪が生じ、封口体の載置精度が低下することがある。
これに対して、本発明の製造方法では、溝入ステップの前に外装缶における底部分から開口縁端までの側壁全域を絞り加工している(絞りステップ)ので、封口体と外装缶との間で高い密着性を得ることができ、優れた耐久性能を有する密閉型電池を製造することができる。
【0013】
従って、本発明に係る密閉型電池の製造方法では、低い製造コストで、高いエネルギ効率、優れた耐久性能を有する密閉型電池を製造することができる。
上記製造方法において、封止ステップの後に、封口体の最下面が前記外装缶における溝が形成された領域よりも外装缶の缶底側に位置するまで、外装缶に対して深さ方向に圧力を加えて、外装缶を深さ方向に圧縮する圧縮ステップを設けるようにすれば、より高いエネルギ効率を達成することができるので、望ましい。
【0014】
なお、規格によって外寸が規定されているニッケル・カドミウム電池やニッケル・水素電池においては、絞りステップでの絞り加工および圧縮ステップでの深さ方向への圧縮加工後における外寸が規格に適合するように絞りステップを実施する前の段階(収納ステップ時)における外装缶の寸法を設定しておけば、エネルギ効率が最大となる。
【0015】
密閉型電池においては、集電効率を高めるために、電極体における封口体の側に集電体が取り付けられることが多いが、このような電池を製造する場合において、具体的な絞りステップとしては、集電体および外装缶における開口縁端に深さ方向の力を加えて、透孔に対して外装缶の底部分を通過させる第1サブステップと、第1サブステップの後に、集電体だけに深さ方向の力を加えて、透孔に対して外装缶の開口縁端までを通過させる第2サブステップとを有する構成とすることが望ましい。
【0016】
これは、加工型の透孔に対して、電極体における正極板および負極板に直接力を加えた場合には、これらの極板あるいはセパレータなどにダメージを与えることがあるが、電極体に予め集電体を取り付けておき、これに力を加えて絞り加工するようにすれば、電極体の極板などへのダメージを与え難いためである。
上記製造方法は、アルカリ性の電解液を備える密閉型アルカリ蓄電池の製造に際して採用すれば、特に有効である。
【0017】
また、本発明に係る密閉型電池は、正極板と負極板とが間にセパレータを介した状態で配されてなる電極体が、外装缶の内部空間に収納され、外装缶の一端側に配された封口体により電極体が封止されてなる密閉型電池であって、外装缶の側壁の外面を曲折することで溝部を形成しておき、これにより内面に棚部が形成されることとなり、封口体を、その縁部分を棚部に載置し、最下面が溝部の形成領域よりも電極体に近い位置となるように配しておくことを特徴とする。
【0018】
この密閉型電池では、封口体の最下面が外装缶における屈曲された領域よりも電極体の側に配されているので、電極体と封口体との間の隙間が小さく、その分電極体を大きく設定することができる。
従って、本発明の密閉型電池では、高い封止性を維持しながら、高いエネルギ効率を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係る密閉型電池の製造方法について、図1および図2を用いて説明する。なお、以下の説明および図面は、本発明の構成および効果を説明するために一例として用いるものであって、本発明は、これによって制限を受けるものではない。
【0020】
図1および図2に示す製造方法が対象とする密閉型電池は、円筒型の外観形状を有し、正極にニッケル極、負極にカドミウム極を備える密閉型のニッケル−カドミウム蓄電池(以下、「Ni−Cd電池」という。)で、SCサイズのものを対象とするものである。
図1(a)に示すように、最初のステップとしては、有底円筒状の外装缶40における内部空間に対して、渦巻状電極体10を収納する(収納ステップ)。
【0021】
収納ステップにおいて、収納する渦巻状電極体10は、短冊状の正極板11と同じく短冊状の負極板12とを、間にセパレータ13を介した状態で巻回して作製される。巻回に際しては、外装缶40が負極となるのに対応させて、最外周に負極板12が配置されるようにする。そして、渦巻状電極体10には、正極板11の芯体が露出した側(図面では、上側。)に正極集電板20が接合されており、同様に負極板12の芯体が露出した側(図面では、下側。)に負極集電板21が接合されている。これら両集電板20、21は、薄い金属製円板であって、各極板11、12における芯体の端面に対して、抵抗溶接あるいはレーザ溶接などを用いて接合されている。
【0022】
正極集電板20には、短冊状のリード部20aが設けられているとともに、板本体の中央部分に孔20bが設けられている。この内、リード部20aは、正極集電板20と後述の封口体(電池における正極端子に相当)50との接合のために設けられている。また、孔20bは、抵抗溶接によって負極集電板21と外装缶40の底面とを接合する際に、抵抗溶接用の溶接電極を通すために設けられている。
【0023】
また、正極集電板20の上には、薄いドーナツ状をした絶縁体30が載置されている。これは、正極集電板20と外装缶40との間における電気的な絶縁を図るために設けられている。
外装缶40への収納時における渦巻状電極体10の外径寸法は、d1(例えば、φ22.0mm)である。
【0024】
外装缶40は、ステンレス製の板材を深絞りなどの加工を経て有底円筒状に加工したものであって、筒部の内径寸法がd2(例えば、φ22.5mm)、外径寸法がd3(例えば、φ23.0mm)になっている。
図1(a)に示すように、渦巻状電極体10の外径寸法d1に対して、内径寸法d2が大きい外装缶40を用いているので、収納時に渦巻電極体10の外周面に対し外装缶40の内周面から無理な力が及ばず、渦巻状電極体10における両極板11、12およびセパレータ13にダメージを与えることがない。
【0025】
次に、図1(b)に示すように、渦巻状電極体10が外装缶40の缶底まで収納されたら、抵抗溶接などによって、負極集電板21における中央部分21aで負極集電板21と外装缶40の底面との接合を実施する。図示はしていないが、抵抗溶接の際には、渦巻状電極体10の中空部分10aから溶接用電極を挿し入れる。
【0026】
負極集電板21と外装缶40との接合の後に、内径寸法がd4(例えば、φ21.5mm)、外径寸法がd5(例えば、φ22.0mm)となるまで、外装缶40の側壁をその径方向内側に向けて絞る(縮径ステップ)。縮径は、外装缶40の側壁における缶底部分から開口縁端40aに至るまでの全領域について実施する。詳細な加工方法については、後述する。
【0027】
縮径を実施することによって、外装缶40の側壁は、図1(b)における上方、つまり、開口縁端40aの方向に圧延されてゆく。
次に、図1(c)に示すように、外装缶40の側壁に対して、渦巻状電極体10が収納された相当領域よりもやや上方に、缶の径方向内側に向けて溝部40bを形成する(溝入ステップ)。溝部40bは、溝入れコマ(不図示)を外装缶40の溝入れ箇所における側壁に沿って回転させた状態で、溝入れコマを徐々に外装缶40の径方向内側に向けて押圧し側壁を屈曲加工することで形成される。溝部40bの幅x1は、用いる溝入れコマの厚みに相当し、例えば、0.5mmである。
【0028】
なお、溝部40bの幅x1は、溝部40bの上下における溝入れしていない部分での外装缶40の内壁どうしを結んだ仮想線をL1とし、仮想線L1と溝部40bにおける外装缶40の外壁との交点をP1、P2とするとき、P1とP2との垂直方向における距離である。
また、このような溝部40bは、外装缶40の外側底面から渦巻状電極体10に取り付けられた絶縁体30の上面までの高さh1(例えば、39.3mm)に対して、若干上方となる高さh2(例えば、39.4mm)の箇所に溝部40bにおける外装缶40の内壁の下面が配置されるように設定している。つまり、図1(c)の拡大部分に示すように、溝部40bは、渦巻状電極体10に取り付けられた絶縁体30の上面との間に(h2−h1)の隙間(39.4mm−39.3mm=0.1mm)が残るように形成する。このように隙間が残るように溝部40bを形成することにより、溝形成時における外装缶40の内壁から渦巻状電極体10へのストレスをかかり難くすることができ、完成後における電池の耐久性を向上させることができる。
【0029】
なお、上記特許文献1に記載の技術のように、外装缶40の開口部を封止した後に縮径を実施した場合には、縮径により外装缶40の深さ方向に延ばされた側壁が封止部にまで影響を及ぼし、これによって封止部における外装缶40の側壁と封口体50におけるガスケット55との間の圧着力が低下してしまう。よって、この技術を用いて製造された密閉型電池では、封止性が低下し、液洩れなどの問題を生じ易い。
【0030】
これに対して、本実施の形態では、外装缶40が開口されたままの状態で縮径を実施しているので、外装缶40における開口縁端40aの伸び量にバラツキを生じたとしても、その後に溝部40bを形成し、最終段階で封止するため、上記側壁の歪が完成後における電池性能に対して何ら悪影響を及ぼさない。
次に、図2(a)に示すように、溝入ステップの後に、正極集電板20におけるリード部20aを、予め作製された封口体50の底面に溶接する。
【0031】
封口体50は、皿状の金属板51、52を向かい合わせに接合し、これより形成される内部の空間に、弁板53と、これを金属板51の内壁面における開口部を塞ぐように押さえつけるスプリング54とが収納されている。また、図示はしていないが、金属板52には、ガス抜き孔が設けられている。このような封口体50は、電池の安全弁として機能するものであって、電池への過充電などにより電池の内部圧力が規定値以上となった際に、弁板53が押し上げられ、金属板51および金属板52に設けられた孔が連通されて、内部のガスが放出される。
【0032】
また、封口体50における金属板51の鍔部分は、表面にガスケット55が取り付けられている。
封口体50とリード部20aとの接合の後に、渦巻状電極体10が収納された外装缶40の内部空間に対して、所定量の電解液を注入する(電解液注入ステップ)。
【0033】
電解液注入ステップの後に、封口体50を、外装缶40の側壁内面に溝部40bの形成によって設けられた棚面40cにガスケット55の下面55aが密着するように載置する。ここで、封口体50を載置する際には、シール性を一層向上させるために、ガスケット55の外面にシール材などを塗布しておいてもよい。
次に、図2(b)に示すように、外装缶40の側壁における開口縁端40aの近傍領域を封口体50におけるガスケット55に沿うようにカシメ加工を施し、缶の開口部分を縮径する。これによって、外装缶40における電極体10が収納された内部空間は、外部から封止されることになる(封止ステップ)。
【0034】
なお、カシメ加工を実施することによって、外装缶40におけるガスケット55になる封止部40dは、その上側表面が外装缶40の外側底面から距離h3(例えば、42.3mm)のところになる。
最後に、封止ステップの後の外装缶40に対して、その高さ方向に圧縮加重をかけ、その全高を規格によって規定された高さ以内のh5(例えば、42.5mm)とする(圧縮ステップ)。このとき、外装缶40の側壁における封止部40dの上面は、外装缶40の外側底面からの高さがh4(例えば、42.0mm)の高さとなっている。
【0035】
また、図2(c)の拡大部分に示すように、圧縮ステップを実施することによって、これより前に溝幅x2であった溝部40bは、外装缶の高さ方向、つまり溝が潰れる方向に圧縮を受け、溝幅x2(例えば、0.2mm)となる。ここでは、圧縮ステップの前後における溝部を区別するために、圧縮後の溝部を符号40eで表すことにする。
【0036】
なお、溝部40eにおける溝幅x2についても、上述の幅x1の規定方法と同様に仮想線L2上におけるポイントP3、P4の垂直方向の距離としている。
この圧縮ステップにより、溝部40eにおける外装缶40の側壁内面は、溝入ステップ直後に0.1mmあった絶縁体30との隙間が小さくなり、絶縁体30と非常に近い距離で近接することになる。
【0037】
さらに、封口体50における金属板51の最下面は、上記絶縁体30の最上面と略面一あるいはそれよりも缶底側に位置することになる。
このような圧縮ステップを設けることによって、封止ステップまで各ステップにおいて、渦巻電極体10と外装缶40の開口縁端40aとの間の距離をある程度確保できる。これより、製造時における作業性が低下せず、且つ、完成後の電池において渦巻電極体10(正極集電板20)と封口体50との間の隙間を可能な限り小さくすることができる。よって、この製造方法を用いて製造されるNi−Cd電池は、高いエネルギ効率を有する。例えば、完成後における電池の高さを同一にすると仮定し、上記圧縮ステップを実施して電池高さを上記h5とする場合には、圧縮ステップを経ずに電池高さを上記h5とする場合に比べて、電池容量を3〜4%向上させることができる。
【0038】
また、圧縮ステップを実施することによって、外装缶40の側壁と封口体50におけるガスケット55との間の密着性が増し、封止性を向上させるのに有効である。つまり、圧縮ステップは、外装缶40と封口体50との圧着をもって電池の密閉性向上をもその目的とするものである。
(縮径ステップについて)
以下では、上記製造過程の内、図1(b)における縮径ステップについて、その具体的方法を、図3および図4を用いて説明する。図3は、本実施の形態において縮径に用いる装置の概略図であり、図4は、装置と外装缶40との関係を示す断面図である。
【0039】
先ず、図3に示すように、本実施の形態に係る縮径装置は、縮径加工型100と、集電板押圧型110と、縁端部押圧型120とから構成されている。
縮径加工型100は、直方形状を有しており、その中央部分にテーパー状の透孔100aが設けられている。透孔100aは、外装缶40を挿入する側の開口径がd6(例えば、23.4mm)、排出側の開口径がd7(例えば、21.98mm)に設定されている。
【0040】
なお、排出側の開口径は、縮径後に得ようとする外装缶40の外径寸法d5と同一であっても構わないが、外装缶40の使用材料における弾性変形分を考慮して若干小さく設定しておくことが望ましい(上記では、外径寸法d5に対して、開口径d7を0.02mm小さくしている。)。
集電板押圧型110は、全体が中実円筒状をしており、その外径寸法d8が外装缶40の縮径前における渦巻状電極体10の外径寸法d1より小さく、縮径後における外装缶40の内径寸法d4よりもほんの少し小さく形成されている。
【0041】
縁端部押圧型120は、厚肉円筒形状を有しており、外径寸法d9が縮径前における外装缶40の外径寸法d3よりも大きく形成されている。
集電板押圧型110は、縁端部押圧型120における中空部分に挿入された状態で用いられ、縁端部押圧型120の内部で摺動可能となっている。
なお、上記図3では、縮径装置における主要構成要素である縮径加工型100、集電板押圧型110、縁端部押圧型120のみを図示しているが、これは模式的に表したものであって、実際には、これらの各型100、110、120を保持するフレーム、摺動のためのベアリング、集電板押圧型110および縁端部押圧型120を駆動するためのシリンダなどが備えられている。
【0042】
このような縮径装置を用いた外装缶40の縮径方法について、図4を用いて説明する。
図4(a)に示すように、渦巻状電極体10が収納された外装缶40は、図面上の上方より、集電板押圧型110および縁端部押圧型120により押圧を受けて縮径加工型100における透孔100aに挿入される。上述のように、透孔100aに最初に外装缶40を挿入する時点においては、集電板押圧型110が外装缶40内に収納された渦巻状電極体10を押圧し、同時に縁端部押圧型120が外装缶40における開口縁端40aを押圧する。ここで、集電板押圧型110は、実際には渦巻状電極体10の上に接合された正極集電板20および絶縁体30を間に介して渦巻状電極体10を透孔100aに向けて押圧する。
【0043】
外装缶40を透孔100aに対して挿入し始める際に加える力f1は、上記のような寸法関係を有する外装缶40と渦巻状電極体10との場合、1000〜1800N(平均1400N程度)とするのが最適であった。
なお、図示はしていないが、集電板押圧型110は、押圧時に正極集電板20に当接する面にリード部20aが接触しないように、U字状の凹部分が形成されている。これにより、集電板押圧型110で正極集電板20を押圧する際にも、リード部20aが変形することがない。
【0044】
次に、図4(b)に示すように、集電板押圧型110および縁端部押圧型120を用いて、外装缶40の開口縁端40aと縮径加工型100の主表面とが同一レベルまで外装缶40を挿入してゆくと、縁端部押圧型120が縮径加工型100における一方の主表面100cに当たる。縁端部押圧型120は、この時点で外装缶40における開口縁端40aの押圧を停止する。そして、これより先の外装缶40に対しては、集電板押圧型110による正極集電板20および絶縁体30への押圧のみとなる。
【0045】
集電板押圧型110のみによる押圧の際に加える力f2は、上記力f2の約50〜60%程度の500〜1300N(平均900N程度)である。このように力f2を力f1よりも小さくすることによって、渦巻状電極体10における正極板11および負極板12に無理な力がかかるのを防止し、それらの変形を防止することができる。
【0046】
なお、上述のように力f2を力f1の約50〜60%としても、外装缶40の絞り加工に影響は生じない。これは、一般に有底筒状の外装缶40を縮径する場合に最も大きな力を必要とするのが缶底部分に変形を加える時点であり、その後は小さな力を付加するだけで良好に変形を加えることができるためである。
外装缶40は、集電板押圧型110による渦巻状電極体10への押圧によって、透孔100aより押し出される。
【0047】
このように押し出された外装缶40は、透孔100aにおける開口径d7(例えば、φ21.98mm)に一端縮径されるが、透孔100aから押し出された直後に外装缶40の使用材料が有する弾性変形分が戻り、外径寸法d5(例えば、φ22.0mm)を有することになる。
以上のようにして、縮径ステップが完了する。
【0048】
このように、上記図3のような縮径装置は、上記特許文献2に開示された製造方法で用いられる2つの金型を回転させながら外装缶を押圧し縮径する装置に対して、非常に簡易なものであり、その分設備コストを低くすることができる。また、上記図3の縮径装置を用い、図4のような方法をもって外装缶40の縮径を実施できるので、上記特許文献2に開示の技術よりも圧倒的にタクトタイムを短くすることができる。よって、これらのことから本発明の実施の形態に係る密閉型電池の製造方法では、従来の技術を用いて密閉電池を作製する場合よりも低コスト化を実現することができる。
【0049】
また、本発明の実施の形態に係る密閉型電池の製造方法では、溝入ステップおよび封止ステップよりも前の段階で外装缶40の側壁における底面から開口縁までの全領域を縮径しているので、上記特許文献1に開示された製造技術を用いた場合よりも、開口縁端40aにおける歪による封止性の低下などを生じることがない。
【0050】
従って、本発明の実施の形態に係る密閉型電池の製造方法は、製造コストを低く抑えながら、耐久性およびエネルギ効率に優れた密閉型電池を製造することができる。
(確認実験)
以下では、上記発明の実施の形態に係る製造方法の優位性を確認するための実験について説明する。
【0051】
▲1▼実施例:外装缶への渦巻状電極体の収納から電池完成まで上記図1および図2のステップを経たもの。
▲2▼比較例:上記実施例との際は、上記図2(c)の圧縮ステップの後に上記図1(b)の圧縮ステップを実施したところにある。
【0052】
上記実施例および比較例で得られるNi−Cd電池を各20個準備し、以下の条件にて耐久試験を実施した。
試験条件:各電池を満充電状態にし、この状態で温度33℃、湿度80%の恒温恒湿槽内に2週間放置した。2週間後における電池の漏液を確認し、その結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
表1に示すように、比較例では、試験電池個数20個の内、10%にあたる2個の電池で漏液が発生していた。
それに対して、実施例では、2週間の試験によっても漏液を生じた電池はなかった。
【0054】
以上の結果より、本発明の実施の形態に係る製造方法では、確実に外装缶の封止を行うことができるので、過酷な条件に対しても漏液を生じることがなく耐久性の優れた密閉型電池を製造することができる。
(完成後におけるNi−Cd電池における溝部40eについて)
次に、上記図1および図2の各ステップを経て作製されたNi−Cd電池における溝部40eの周辺部分の構造について、図5を用いて補足説明しておく。
【0055】
図5(a)に示すように、上記図2(c)の圧縮ステップを経た後の溝部40eは、溝幅x2を有し、その部分における外装缶40の側壁内面が絶縁体30と非常に近い距離で近接した状態となっている。そして、封口体50における下側に配された金属板51の最下面51aは、上記絶縁体39の最上面よりも缶底側に位置する。具体的には、溝部40eにおける外装缶40の側壁内面の最下面は、外装缶40の外面側缶底から高さh6(例えば、39.3mm)のところに位置し、封口体50における金属板51の最下面51aは、外装缶40の外面側缶底から高さh7(例えば、39.1mm)に位置する。
【0056】
このような構造を有するNi−Cd電池では、封口体50における金属板51の最下面51aが間にリード部20aを介した状態で正極集電板20の本体部分に押し付けられているので、最下面51aが溝部40eにおける側壁内面の最下面よりも渦巻状電極体10の近い位置に配されている。つまり、このNi−Cd電池においては、外装缶40の内部空間がより有効に利用されており、エネルギ効率が高い。
【0057】
従って、上記Ni−Cd電池では、非常に高いエネルギ効率を有する。つまり、正極集電板20と封口体50との間の隙間を最小とすることにより、規格で規定された電池寸法内で最大のエネルギ効率を実現することができる。
また、図5(b)に示すように、溝部40eの傾斜角度θについては、上記図2(c)の圧縮ステップを経ることによって、0°よりも大きくなる。これは、上記図1(c)に示すように、溝入ステップで溝入れを実施した差異の傾斜角度θは、その溝入れコマの形状あるいは溝入れの方向などによって規定されるが、上記図2(c)の圧縮ステップを経ることにより、溝部40eの中心線(仮想線L4)の傾きが大きくなる。つまり、溝入ステップにおいて、傾斜角度θが0°に規定されていた場合にも、溝部40bに圧縮を受け、封口体50に接触することで拘束を受けた上側の部分よりも下側の部分が変形し、傾斜角度θを有した溝部40eに成形される。
【0058】
上述のように圧縮ステップにおいて変形を受けた溝部40eにおいては、上述の電池のエネルギ密度を高く維持するために、傾斜角度θを0°<θ<25°と規定しておくことが望ましい。これは、このように傾斜角度θを規定することにより、外装缶40内における渦巻状電極体10の収納のための空間を最大限確保でき、内部空間の有効利用を図るのに有効であるためである。例えば、傾斜角度θが55°とした場合の内部空間を100とした場合に、傾斜角度θが25°未満の内部空間は、105となる。つまり、上記傾斜角度θの規定により、内部空間は、規定範囲外の傾斜角度θ(25°以上)の場合よりも5%以上大きくできる。
【0059】
従って、圧縮ステップの後の溝部40eにおける傾斜角度θを0°<θ<25°に規定して作製した密閉型電池では、内部空間が大きくなる分、電極体を大きくすることができ、規格で規定された電池の外形寸法内で電池容量を向上させることができる。
なお、上記溝部40eの傾斜角度θとは、溝部40eにおける溝幅x2を規定する2つのポイントP3、P4の中点をポイントp5と仮定し、溝部40eにおける折り返し部の曲率中心をポイントp6と仮定したとき、ポイントp5とポイントp6とを結んだ仮想線L4が外装缶40の外側底面と平行な仮想線L5との間になす角度を言う。
(その他の事項)
上記実施の形態では、Ni−Cd電池の製造方法を一例として説明したが、本発明は、外装缶に対して絞り加工を実施して製造される密閉型電池全体を対象とするものである。例えば、Ni−MH電池を対象としても良いし、角型のリチウムイオン電池などを対象とするものであってもよい。このような密閉型電池を対象とした場合にも、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
また、電池に用いる各部品についても、上記実施の形態に限定を受けるものではない。例えば、上記実施の形態では、リード部20aが延出された形状を有する正極集電板20を用いたが、リード部20を設ける代わりに、正極集電板の本体の面上に溶接性に優れた溶接用部材を接合しておき、抵抗溶接によって溶接用部材と封口体50とを接合してもよい(特開2002−231216号公報参照。)。このような正極集電板を用いることにより、正極集電板と封口体との間の電気抵抗、即ち、正極板と正極端子との間における電気抵抗を低減することができる。よって、電池性能を向上させるのに有効である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明のように、本発明に係る密閉型電池の製造方法では、加工型に設けられた透孔に対して、外装缶を通過させるだけで外装缶の絞り加工を実施することができるので、簡易な装置をもって高効率な作業性で加工を行うことができる。
また、この製造方法では、溝入ステップを実施するよりも前に、外装缶の側壁における全領域(缶底から開口縁端)に対して絞り加工を施すので、絞り加工時における側壁の歪が溝に対して影響を及ぼすことはなく、電池完成後における溝の形状を任意に設定することができ、電極体と封口体との間の隙間を小さくすることができる。つまり、従来の製造方法をもって製造される密閉型電池に比べて、エネルギ効率(単位容積あたりの電池容量)の高い密閉型電池を製造することができる。
【0062】
さらに、本発明の製造方法では、溝入ステップの前に外装缶における底部分から開口縁端までの側壁全域を絞り加工しているので、封口体と外装缶との間で高い密着性を得ることができ、優れた耐久性能を有する密閉型電池を製造することができる。
従って、本発明に係る密閉型電池の製造方法では、低い製造コストで、高いエネルギ効率、優れた耐久性能を有する密閉型電池を製造することができる。
【0063】
また、本発明に係る密閉型電池では、封口体の最下面が外装缶における屈曲された領域よりも電極体の側に配されているので、電極体と封口体との間の隙間が小さく、その分電極体を大きく設定することができる。このため、本発明の密閉型電池は、低コストで、且つエネルギ効率が高いという優位性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る密閉型Ni−Cd電池の製造工程(前工程)を示すステップ図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る密閉型Ni−Cd電池の製造工程(後工程)を示すステップ図である。
【図3】外装缶の側壁を縮径するための装置の概要を示す模式図である。
【図4】図3における外装缶の縮径ステップを示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る製造方法により得られるNi−Cd電池の封口部分の詳細断面図である。
【符号の説明】
10. 渦巻状電極体
11. 正極板
12. 負極板
13. セパレータ
20. 正極集電板
21. 負極集電板
30. 絶縁体
40. 外装缶
50. 封口体
100. 縮径加工型
110. 集電板押圧型
120. 縁端部押圧型
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉型電池の製造方法および密閉型電池に関し、特に、製造過程中に外装缶の側壁を缶の内方に向けて絞り加工を施す絞りステップを有する密閉型電池の製造方法および密閉型電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
ニッケル−カドミウム電池(以下、「Ni−Cd電池」という。)やニッケル−水素電池に代表される密閉型アルカリ電池は、有底円筒状の外装缶に正負両極板およびセパレータなどからなる電極体を収納し、電極体を収納した部分よりもやや開口縁端側の側壁を曲折して溝入加工することで外装缶の内面に棚を形成し、この棚に封口蓋を載置した後に、外装缶の開口縁端近傍をカシメ加工して封止し製造される。
【0003】
近年、密閉型アルカリ電池の製造においては、規格で規定された電池寸法の中でより大きな電池容量を得るために、規定の電池寸法よりも大きな外寸を有する外装缶に電極体を収納し、封口体などを載置して封止した後に、外装缶の側壁を径方向内側に向けて絞る(縮径)という手法が開発され、実施されている(特許文献1)。
【0004】
また、同じく規定の電池寸法よりも大きな外寸を有する外装缶に電極体を収納した後、一端、外装缶における電極体収納相当箇所のみを縮径し、溝入ステップおよび封口体載置ステップなどを経て、外装缶の側壁における残りの部分を縮径するという方法も開発されている(特許文献2)。この技術では、具体的に、外装缶を回転する2つの金型の中央部に形成される空間に配し、この金型を外装缶の径方向に向けて往復運動させることで、少しずつ外装缶の側壁が塑性加工(縮径)され、外装缶の側壁が縮径される。
【0005】
このように縮径を実施する製造方法を用いることによって、電極体を収納する際には、電極体の外面と外装缶の内面とが接触し難くいので、電極体にダメージがかかり難く、且つ、その後に規定寸法まで外装缶の側壁を絞るので、電極体と外装缶との間の隙間を小さくして、電池のエネルギ効率を高めることができる。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−285875号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平10−27584号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の製造方法では、封止した後に縮径を実施するために、縮径時における側壁の歪が封止箇所にまで及んでしまい、電池の密閉性を低下させてしまう。このような製造方法を用いて製造された密閉型電池では、低い密閉性のために耐久性能という面で問題を有する。
【0009】
また、特許文献2の製造方法では、上記装置および方法を用いて縮径が実施できるのであって、タクトタイムの面および製造装置のコストなどの面から問題を有する。つまり、特許文献2の製造方法では、コスト競争の厳しい電池の分野にあっては、製造コストの面などから実用に適さないものと考えられる。
本発明は、このような問題を解決しようとなされたものであって、製造コストを低く抑えながら、耐久性およびエネルギ効率に優れた密閉型電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る密閉型電池の製造方法は、正極板と負極板とが間にセパレータを介した状態で配されてなる電極体を、電極体の外形寸法より大きい内部空間を有する有底筒状の外装缶に収納する収納ステップと、
収納ステップの後に、所要の形状を有する透孔が形成された加工型を用い、この透孔に対して外装缶をその深さ方向に通過させることにより、外装缶の側壁における底部分から開口縁端までの全領域にわたって絞り加工し、外装缶の内面と電極体の外面との間の隙間を小さくする絞りステップと、絞りステップの後に、外装缶の開口縁端と電極体が収納された領域との間に、外装缶の内方に向けて曲折加工して溝を入れ、当該溝を入れることによって外装缶の内壁に棚部を形成する溝入ステップと、溝入ステップの後に、外装缶の開口部から封口体を挿入して、棚部に封口体を載置し、外装缶における開口縁端の近傍領域をカシメ加工し封止する封止ステップとを有することを特徴とする。
【0011】
この製造方法では、加工型に設けられた透孔に対して、外装缶を通過させるだけで外装缶の絞り加工を実施することができるので、簡易な装置をもって高い効率で加工を行うことができる。
また、この製造方法では、溝入ステップよりも前の段階で外装缶の側壁における全領域に対して絞り加工を施すので、絞り加工時における側壁の歪が溝に対して影響を及ぼすことはない。よって、電池完成後における溝の形状を幅広い形状で設定することができ、電極体と封口体との間の隙間を小さくすることができる。つまり、従来の製造方法をもって製造される密閉型電池に比べて、エネルギ効率(容積に対する電池容量)の高い密閉型電池を製造することができる。
【0012】
また、上記特許文献1の製造方法を用いた場合には、溝入ステップの後に外装缶における開口縁端の近傍の絞りを実施しているので、この時点で溝に歪が生じ、封口体の載置精度が低下することがある。
これに対して、本発明の製造方法では、溝入ステップの前に外装缶における底部分から開口縁端までの側壁全域を絞り加工している(絞りステップ)ので、封口体と外装缶との間で高い密着性を得ることができ、優れた耐久性能を有する密閉型電池を製造することができる。
【0013】
従って、本発明に係る密閉型電池の製造方法では、低い製造コストで、高いエネルギ効率、優れた耐久性能を有する密閉型電池を製造することができる。
上記製造方法において、封止ステップの後に、封口体の最下面が前記外装缶における溝が形成された領域よりも外装缶の缶底側に位置するまで、外装缶に対して深さ方向に圧力を加えて、外装缶を深さ方向に圧縮する圧縮ステップを設けるようにすれば、より高いエネルギ効率を達成することができるので、望ましい。
【0014】
なお、規格によって外寸が規定されているニッケル・カドミウム電池やニッケル・水素電池においては、絞りステップでの絞り加工および圧縮ステップでの深さ方向への圧縮加工後における外寸が規格に適合するように絞りステップを実施する前の段階(収納ステップ時)における外装缶の寸法を設定しておけば、エネルギ効率が最大となる。
【0015】
密閉型電池においては、集電効率を高めるために、電極体における封口体の側に集電体が取り付けられることが多いが、このような電池を製造する場合において、具体的な絞りステップとしては、集電体および外装缶における開口縁端に深さ方向の力を加えて、透孔に対して外装缶の底部分を通過させる第1サブステップと、第1サブステップの後に、集電体だけに深さ方向の力を加えて、透孔に対して外装缶の開口縁端までを通過させる第2サブステップとを有する構成とすることが望ましい。
【0016】
これは、加工型の透孔に対して、電極体における正極板および負極板に直接力を加えた場合には、これらの極板あるいはセパレータなどにダメージを与えることがあるが、電極体に予め集電体を取り付けておき、これに力を加えて絞り加工するようにすれば、電極体の極板などへのダメージを与え難いためである。
上記製造方法は、アルカリ性の電解液を備える密閉型アルカリ蓄電池の製造に際して採用すれば、特に有効である。
【0017】
また、本発明に係る密閉型電池は、正極板と負極板とが間にセパレータを介した状態で配されてなる電極体が、外装缶の内部空間に収納され、外装缶の一端側に配された封口体により電極体が封止されてなる密閉型電池であって、外装缶の側壁の外面を曲折することで溝部を形成しておき、これにより内面に棚部が形成されることとなり、封口体を、その縁部分を棚部に載置し、最下面が溝部の形成領域よりも電極体に近い位置となるように配しておくことを特徴とする。
【0018】
この密閉型電池では、封口体の最下面が外装缶における屈曲された領域よりも電極体の側に配されているので、電極体と封口体との間の隙間が小さく、その分電極体を大きく設定することができる。
従って、本発明の密閉型電池では、高い封止性を維持しながら、高いエネルギ効率を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係る密閉型電池の製造方法について、図1および図2を用いて説明する。なお、以下の説明および図面は、本発明の構成および効果を説明するために一例として用いるものであって、本発明は、これによって制限を受けるものではない。
【0020】
図1および図2に示す製造方法が対象とする密閉型電池は、円筒型の外観形状を有し、正極にニッケル極、負極にカドミウム極を備える密閉型のニッケル−カドミウム蓄電池(以下、「Ni−Cd電池」という。)で、SCサイズのものを対象とするものである。
図1(a)に示すように、最初のステップとしては、有底円筒状の外装缶40における内部空間に対して、渦巻状電極体10を収納する(収納ステップ)。
【0021】
収納ステップにおいて、収納する渦巻状電極体10は、短冊状の正極板11と同じく短冊状の負極板12とを、間にセパレータ13を介した状態で巻回して作製される。巻回に際しては、外装缶40が負極となるのに対応させて、最外周に負極板12が配置されるようにする。そして、渦巻状電極体10には、正極板11の芯体が露出した側(図面では、上側。)に正極集電板20が接合されており、同様に負極板12の芯体が露出した側(図面では、下側。)に負極集電板21が接合されている。これら両集電板20、21は、薄い金属製円板であって、各極板11、12における芯体の端面に対して、抵抗溶接あるいはレーザ溶接などを用いて接合されている。
【0022】
正極集電板20には、短冊状のリード部20aが設けられているとともに、板本体の中央部分に孔20bが設けられている。この内、リード部20aは、正極集電板20と後述の封口体(電池における正極端子に相当)50との接合のために設けられている。また、孔20bは、抵抗溶接によって負極集電板21と外装缶40の底面とを接合する際に、抵抗溶接用の溶接電極を通すために設けられている。
【0023】
また、正極集電板20の上には、薄いドーナツ状をした絶縁体30が載置されている。これは、正極集電板20と外装缶40との間における電気的な絶縁を図るために設けられている。
外装缶40への収納時における渦巻状電極体10の外径寸法は、d1(例えば、φ22.0mm)である。
【0024】
外装缶40は、ステンレス製の板材を深絞りなどの加工を経て有底円筒状に加工したものであって、筒部の内径寸法がd2(例えば、φ22.5mm)、外径寸法がd3(例えば、φ23.0mm)になっている。
図1(a)に示すように、渦巻状電極体10の外径寸法d1に対して、内径寸法d2が大きい外装缶40を用いているので、収納時に渦巻電極体10の外周面に対し外装缶40の内周面から無理な力が及ばず、渦巻状電極体10における両極板11、12およびセパレータ13にダメージを与えることがない。
【0025】
次に、図1(b)に示すように、渦巻状電極体10が外装缶40の缶底まで収納されたら、抵抗溶接などによって、負極集電板21における中央部分21aで負極集電板21と外装缶40の底面との接合を実施する。図示はしていないが、抵抗溶接の際には、渦巻状電極体10の中空部分10aから溶接用電極を挿し入れる。
【0026】
負極集電板21と外装缶40との接合の後に、内径寸法がd4(例えば、φ21.5mm)、外径寸法がd5(例えば、φ22.0mm)となるまで、外装缶40の側壁をその径方向内側に向けて絞る(縮径ステップ)。縮径は、外装缶40の側壁における缶底部分から開口縁端40aに至るまでの全領域について実施する。詳細な加工方法については、後述する。
【0027】
縮径を実施することによって、外装缶40の側壁は、図1(b)における上方、つまり、開口縁端40aの方向に圧延されてゆく。
次に、図1(c)に示すように、外装缶40の側壁に対して、渦巻状電極体10が収納された相当領域よりもやや上方に、缶の径方向内側に向けて溝部40bを形成する(溝入ステップ)。溝部40bは、溝入れコマ(不図示)を外装缶40の溝入れ箇所における側壁に沿って回転させた状態で、溝入れコマを徐々に外装缶40の径方向内側に向けて押圧し側壁を屈曲加工することで形成される。溝部40bの幅x1は、用いる溝入れコマの厚みに相当し、例えば、0.5mmである。
【0028】
なお、溝部40bの幅x1は、溝部40bの上下における溝入れしていない部分での外装缶40の内壁どうしを結んだ仮想線をL1とし、仮想線L1と溝部40bにおける外装缶40の外壁との交点をP1、P2とするとき、P1とP2との垂直方向における距離である。
また、このような溝部40bは、外装缶40の外側底面から渦巻状電極体10に取り付けられた絶縁体30の上面までの高さh1(例えば、39.3mm)に対して、若干上方となる高さh2(例えば、39.4mm)の箇所に溝部40bにおける外装缶40の内壁の下面が配置されるように設定している。つまり、図1(c)の拡大部分に示すように、溝部40bは、渦巻状電極体10に取り付けられた絶縁体30の上面との間に(h2−h1)の隙間(39.4mm−39.3mm=0.1mm)が残るように形成する。このように隙間が残るように溝部40bを形成することにより、溝形成時における外装缶40の内壁から渦巻状電極体10へのストレスをかかり難くすることができ、完成後における電池の耐久性を向上させることができる。
【0029】
なお、上記特許文献1に記載の技術のように、外装缶40の開口部を封止した後に縮径を実施した場合には、縮径により外装缶40の深さ方向に延ばされた側壁が封止部にまで影響を及ぼし、これによって封止部における外装缶40の側壁と封口体50におけるガスケット55との間の圧着力が低下してしまう。よって、この技術を用いて製造された密閉型電池では、封止性が低下し、液洩れなどの問題を生じ易い。
【0030】
これに対して、本実施の形態では、外装缶40が開口されたままの状態で縮径を実施しているので、外装缶40における開口縁端40aの伸び量にバラツキを生じたとしても、その後に溝部40bを形成し、最終段階で封止するため、上記側壁の歪が完成後における電池性能に対して何ら悪影響を及ぼさない。
次に、図2(a)に示すように、溝入ステップの後に、正極集電板20におけるリード部20aを、予め作製された封口体50の底面に溶接する。
【0031】
封口体50は、皿状の金属板51、52を向かい合わせに接合し、これより形成される内部の空間に、弁板53と、これを金属板51の内壁面における開口部を塞ぐように押さえつけるスプリング54とが収納されている。また、図示はしていないが、金属板52には、ガス抜き孔が設けられている。このような封口体50は、電池の安全弁として機能するものであって、電池への過充電などにより電池の内部圧力が規定値以上となった際に、弁板53が押し上げられ、金属板51および金属板52に設けられた孔が連通されて、内部のガスが放出される。
【0032】
また、封口体50における金属板51の鍔部分は、表面にガスケット55が取り付けられている。
封口体50とリード部20aとの接合の後に、渦巻状電極体10が収納された外装缶40の内部空間に対して、所定量の電解液を注入する(電解液注入ステップ)。
【0033】
電解液注入ステップの後に、封口体50を、外装缶40の側壁内面に溝部40bの形成によって設けられた棚面40cにガスケット55の下面55aが密着するように載置する。ここで、封口体50を載置する際には、シール性を一層向上させるために、ガスケット55の外面にシール材などを塗布しておいてもよい。
次に、図2(b)に示すように、外装缶40の側壁における開口縁端40aの近傍領域を封口体50におけるガスケット55に沿うようにカシメ加工を施し、缶の開口部分を縮径する。これによって、外装缶40における電極体10が収納された内部空間は、外部から封止されることになる(封止ステップ)。
【0034】
なお、カシメ加工を実施することによって、外装缶40におけるガスケット55になる封止部40dは、その上側表面が外装缶40の外側底面から距離h3(例えば、42.3mm)のところになる。
最後に、封止ステップの後の外装缶40に対して、その高さ方向に圧縮加重をかけ、その全高を規格によって規定された高さ以内のh5(例えば、42.5mm)とする(圧縮ステップ)。このとき、外装缶40の側壁における封止部40dの上面は、外装缶40の外側底面からの高さがh4(例えば、42.0mm)の高さとなっている。
【0035】
また、図2(c)の拡大部分に示すように、圧縮ステップを実施することによって、これより前に溝幅x2であった溝部40bは、外装缶の高さ方向、つまり溝が潰れる方向に圧縮を受け、溝幅x2(例えば、0.2mm)となる。ここでは、圧縮ステップの前後における溝部を区別するために、圧縮後の溝部を符号40eで表すことにする。
【0036】
なお、溝部40eにおける溝幅x2についても、上述の幅x1の規定方法と同様に仮想線L2上におけるポイントP3、P4の垂直方向の距離としている。
この圧縮ステップにより、溝部40eにおける外装缶40の側壁内面は、溝入ステップ直後に0.1mmあった絶縁体30との隙間が小さくなり、絶縁体30と非常に近い距離で近接することになる。
【0037】
さらに、封口体50における金属板51の最下面は、上記絶縁体30の最上面と略面一あるいはそれよりも缶底側に位置することになる。
このような圧縮ステップを設けることによって、封止ステップまで各ステップにおいて、渦巻電極体10と外装缶40の開口縁端40aとの間の距離をある程度確保できる。これより、製造時における作業性が低下せず、且つ、完成後の電池において渦巻電極体10(正極集電板20)と封口体50との間の隙間を可能な限り小さくすることができる。よって、この製造方法を用いて製造されるNi−Cd電池は、高いエネルギ効率を有する。例えば、完成後における電池の高さを同一にすると仮定し、上記圧縮ステップを実施して電池高さを上記h5とする場合には、圧縮ステップを経ずに電池高さを上記h5とする場合に比べて、電池容量を3〜4%向上させることができる。
【0038】
また、圧縮ステップを実施することによって、外装缶40の側壁と封口体50におけるガスケット55との間の密着性が増し、封止性を向上させるのに有効である。つまり、圧縮ステップは、外装缶40と封口体50との圧着をもって電池の密閉性向上をもその目的とするものである。
(縮径ステップについて)
以下では、上記製造過程の内、図1(b)における縮径ステップについて、その具体的方法を、図3および図4を用いて説明する。図3は、本実施の形態において縮径に用いる装置の概略図であり、図4は、装置と外装缶40との関係を示す断面図である。
【0039】
先ず、図3に示すように、本実施の形態に係る縮径装置は、縮径加工型100と、集電板押圧型110と、縁端部押圧型120とから構成されている。
縮径加工型100は、直方形状を有しており、その中央部分にテーパー状の透孔100aが設けられている。透孔100aは、外装缶40を挿入する側の開口径がd6(例えば、23.4mm)、排出側の開口径がd7(例えば、21.98mm)に設定されている。
【0040】
なお、排出側の開口径は、縮径後に得ようとする外装缶40の外径寸法d5と同一であっても構わないが、外装缶40の使用材料における弾性変形分を考慮して若干小さく設定しておくことが望ましい(上記では、外径寸法d5に対して、開口径d7を0.02mm小さくしている。)。
集電板押圧型110は、全体が中実円筒状をしており、その外径寸法d8が外装缶40の縮径前における渦巻状電極体10の外径寸法d1より小さく、縮径後における外装缶40の内径寸法d4よりもほんの少し小さく形成されている。
【0041】
縁端部押圧型120は、厚肉円筒形状を有しており、外径寸法d9が縮径前における外装缶40の外径寸法d3よりも大きく形成されている。
集電板押圧型110は、縁端部押圧型120における中空部分に挿入された状態で用いられ、縁端部押圧型120の内部で摺動可能となっている。
なお、上記図3では、縮径装置における主要構成要素である縮径加工型100、集電板押圧型110、縁端部押圧型120のみを図示しているが、これは模式的に表したものであって、実際には、これらの各型100、110、120を保持するフレーム、摺動のためのベアリング、集電板押圧型110および縁端部押圧型120を駆動するためのシリンダなどが備えられている。
【0042】
このような縮径装置を用いた外装缶40の縮径方法について、図4を用いて説明する。
図4(a)に示すように、渦巻状電極体10が収納された外装缶40は、図面上の上方より、集電板押圧型110および縁端部押圧型120により押圧を受けて縮径加工型100における透孔100aに挿入される。上述のように、透孔100aに最初に外装缶40を挿入する時点においては、集電板押圧型110が外装缶40内に収納された渦巻状電極体10を押圧し、同時に縁端部押圧型120が外装缶40における開口縁端40aを押圧する。ここで、集電板押圧型110は、実際には渦巻状電極体10の上に接合された正極集電板20および絶縁体30を間に介して渦巻状電極体10を透孔100aに向けて押圧する。
【0043】
外装缶40を透孔100aに対して挿入し始める際に加える力f1は、上記のような寸法関係を有する外装缶40と渦巻状電極体10との場合、1000〜1800N(平均1400N程度)とするのが最適であった。
なお、図示はしていないが、集電板押圧型110は、押圧時に正極集電板20に当接する面にリード部20aが接触しないように、U字状の凹部分が形成されている。これにより、集電板押圧型110で正極集電板20を押圧する際にも、リード部20aが変形することがない。
【0044】
次に、図4(b)に示すように、集電板押圧型110および縁端部押圧型120を用いて、外装缶40の開口縁端40aと縮径加工型100の主表面とが同一レベルまで外装缶40を挿入してゆくと、縁端部押圧型120が縮径加工型100における一方の主表面100cに当たる。縁端部押圧型120は、この時点で外装缶40における開口縁端40aの押圧を停止する。そして、これより先の外装缶40に対しては、集電板押圧型110による正極集電板20および絶縁体30への押圧のみとなる。
【0045】
集電板押圧型110のみによる押圧の際に加える力f2は、上記力f2の約50〜60%程度の500〜1300N(平均900N程度)である。このように力f2を力f1よりも小さくすることによって、渦巻状電極体10における正極板11および負極板12に無理な力がかかるのを防止し、それらの変形を防止することができる。
【0046】
なお、上述のように力f2を力f1の約50〜60%としても、外装缶40の絞り加工に影響は生じない。これは、一般に有底筒状の外装缶40を縮径する場合に最も大きな力を必要とするのが缶底部分に変形を加える時点であり、その後は小さな力を付加するだけで良好に変形を加えることができるためである。
外装缶40は、集電板押圧型110による渦巻状電極体10への押圧によって、透孔100aより押し出される。
【0047】
このように押し出された外装缶40は、透孔100aにおける開口径d7(例えば、φ21.98mm)に一端縮径されるが、透孔100aから押し出された直後に外装缶40の使用材料が有する弾性変形分が戻り、外径寸法d5(例えば、φ22.0mm)を有することになる。
以上のようにして、縮径ステップが完了する。
【0048】
このように、上記図3のような縮径装置は、上記特許文献2に開示された製造方法で用いられる2つの金型を回転させながら外装缶を押圧し縮径する装置に対して、非常に簡易なものであり、その分設備コストを低くすることができる。また、上記図3の縮径装置を用い、図4のような方法をもって外装缶40の縮径を実施できるので、上記特許文献2に開示の技術よりも圧倒的にタクトタイムを短くすることができる。よって、これらのことから本発明の実施の形態に係る密閉型電池の製造方法では、従来の技術を用いて密閉電池を作製する場合よりも低コスト化を実現することができる。
【0049】
また、本発明の実施の形態に係る密閉型電池の製造方法では、溝入ステップおよび封止ステップよりも前の段階で外装缶40の側壁における底面から開口縁までの全領域を縮径しているので、上記特許文献1に開示された製造技術を用いた場合よりも、開口縁端40aにおける歪による封止性の低下などを生じることがない。
【0050】
従って、本発明の実施の形態に係る密閉型電池の製造方法は、製造コストを低く抑えながら、耐久性およびエネルギ効率に優れた密閉型電池を製造することができる。
(確認実験)
以下では、上記発明の実施の形態に係る製造方法の優位性を確認するための実験について説明する。
【0051】
▲1▼実施例:外装缶への渦巻状電極体の収納から電池完成まで上記図1および図2のステップを経たもの。
▲2▼比較例:上記実施例との際は、上記図2(c)の圧縮ステップの後に上記図1(b)の圧縮ステップを実施したところにある。
【0052】
上記実施例および比較例で得られるNi−Cd電池を各20個準備し、以下の条件にて耐久試験を実施した。
試験条件:各電池を満充電状態にし、この状態で温度33℃、湿度80%の恒温恒湿槽内に2週間放置した。2週間後における電池の漏液を確認し、その結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
表1に示すように、比較例では、試験電池個数20個の内、10%にあたる2個の電池で漏液が発生していた。
それに対して、実施例では、2週間の試験によっても漏液を生じた電池はなかった。
【0054】
以上の結果より、本発明の実施の形態に係る製造方法では、確実に外装缶の封止を行うことができるので、過酷な条件に対しても漏液を生じることがなく耐久性の優れた密閉型電池を製造することができる。
(完成後におけるNi−Cd電池における溝部40eについて)
次に、上記図1および図2の各ステップを経て作製されたNi−Cd電池における溝部40eの周辺部分の構造について、図5を用いて補足説明しておく。
【0055】
図5(a)に示すように、上記図2(c)の圧縮ステップを経た後の溝部40eは、溝幅x2を有し、その部分における外装缶40の側壁内面が絶縁体30と非常に近い距離で近接した状態となっている。そして、封口体50における下側に配された金属板51の最下面51aは、上記絶縁体39の最上面よりも缶底側に位置する。具体的には、溝部40eにおける外装缶40の側壁内面の最下面は、外装缶40の外面側缶底から高さh6(例えば、39.3mm)のところに位置し、封口体50における金属板51の最下面51aは、外装缶40の外面側缶底から高さh7(例えば、39.1mm)に位置する。
【0056】
このような構造を有するNi−Cd電池では、封口体50における金属板51の最下面51aが間にリード部20aを介した状態で正極集電板20の本体部分に押し付けられているので、最下面51aが溝部40eにおける側壁内面の最下面よりも渦巻状電極体10の近い位置に配されている。つまり、このNi−Cd電池においては、外装缶40の内部空間がより有効に利用されており、エネルギ効率が高い。
【0057】
従って、上記Ni−Cd電池では、非常に高いエネルギ効率を有する。つまり、正極集電板20と封口体50との間の隙間を最小とすることにより、規格で規定された電池寸法内で最大のエネルギ効率を実現することができる。
また、図5(b)に示すように、溝部40eの傾斜角度θについては、上記図2(c)の圧縮ステップを経ることによって、0°よりも大きくなる。これは、上記図1(c)に示すように、溝入ステップで溝入れを実施した差異の傾斜角度θは、その溝入れコマの形状あるいは溝入れの方向などによって規定されるが、上記図2(c)の圧縮ステップを経ることにより、溝部40eの中心線(仮想線L4)の傾きが大きくなる。つまり、溝入ステップにおいて、傾斜角度θが0°に規定されていた場合にも、溝部40bに圧縮を受け、封口体50に接触することで拘束を受けた上側の部分よりも下側の部分が変形し、傾斜角度θを有した溝部40eに成形される。
【0058】
上述のように圧縮ステップにおいて変形を受けた溝部40eにおいては、上述の電池のエネルギ密度を高く維持するために、傾斜角度θを0°<θ<25°と規定しておくことが望ましい。これは、このように傾斜角度θを規定することにより、外装缶40内における渦巻状電極体10の収納のための空間を最大限確保でき、内部空間の有効利用を図るのに有効であるためである。例えば、傾斜角度θが55°とした場合の内部空間を100とした場合に、傾斜角度θが25°未満の内部空間は、105となる。つまり、上記傾斜角度θの規定により、内部空間は、規定範囲外の傾斜角度θ(25°以上)の場合よりも5%以上大きくできる。
【0059】
従って、圧縮ステップの後の溝部40eにおける傾斜角度θを0°<θ<25°に規定して作製した密閉型電池では、内部空間が大きくなる分、電極体を大きくすることができ、規格で規定された電池の外形寸法内で電池容量を向上させることができる。
なお、上記溝部40eの傾斜角度θとは、溝部40eにおける溝幅x2を規定する2つのポイントP3、P4の中点をポイントp5と仮定し、溝部40eにおける折り返し部の曲率中心をポイントp6と仮定したとき、ポイントp5とポイントp6とを結んだ仮想線L4が外装缶40の外側底面と平行な仮想線L5との間になす角度を言う。
(その他の事項)
上記実施の形態では、Ni−Cd電池の製造方法を一例として説明したが、本発明は、外装缶に対して絞り加工を実施して製造される密閉型電池全体を対象とするものである。例えば、Ni−MH電池を対象としても良いし、角型のリチウムイオン電池などを対象とするものであってもよい。このような密閉型電池を対象とした場合にも、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
また、電池に用いる各部品についても、上記実施の形態に限定を受けるものではない。例えば、上記実施の形態では、リード部20aが延出された形状を有する正極集電板20を用いたが、リード部20を設ける代わりに、正極集電板の本体の面上に溶接性に優れた溶接用部材を接合しておき、抵抗溶接によって溶接用部材と封口体50とを接合してもよい(特開2002−231216号公報参照。)。このような正極集電板を用いることにより、正極集電板と封口体との間の電気抵抗、即ち、正極板と正極端子との間における電気抵抗を低減することができる。よって、電池性能を向上させるのに有効である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明のように、本発明に係る密閉型電池の製造方法では、加工型に設けられた透孔に対して、外装缶を通過させるだけで外装缶の絞り加工を実施することができるので、簡易な装置をもって高効率な作業性で加工を行うことができる。
また、この製造方法では、溝入ステップを実施するよりも前に、外装缶の側壁における全領域(缶底から開口縁端)に対して絞り加工を施すので、絞り加工時における側壁の歪が溝に対して影響を及ぼすことはなく、電池完成後における溝の形状を任意に設定することができ、電極体と封口体との間の隙間を小さくすることができる。つまり、従来の製造方法をもって製造される密閉型電池に比べて、エネルギ効率(単位容積あたりの電池容量)の高い密閉型電池を製造することができる。
【0062】
さらに、本発明の製造方法では、溝入ステップの前に外装缶における底部分から開口縁端までの側壁全域を絞り加工しているので、封口体と外装缶との間で高い密着性を得ることができ、優れた耐久性能を有する密閉型電池を製造することができる。
従って、本発明に係る密閉型電池の製造方法では、低い製造コストで、高いエネルギ効率、優れた耐久性能を有する密閉型電池を製造することができる。
【0063】
また、本発明に係る密閉型電池では、封口体の最下面が外装缶における屈曲された領域よりも電極体の側に配されているので、電極体と封口体との間の隙間が小さく、その分電極体を大きく設定することができる。このため、本発明の密閉型電池は、低コストで、且つエネルギ効率が高いという優位性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る密閉型Ni−Cd電池の製造工程(前工程)を示すステップ図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る密閉型Ni−Cd電池の製造工程(後工程)を示すステップ図である。
【図3】外装缶の側壁を縮径するための装置の概要を示す模式図である。
【図4】図3における外装缶の縮径ステップを示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る製造方法により得られるNi−Cd電池の封口部分の詳細断面図である。
【符号の説明】
10. 渦巻状電極体
11. 正極板
12. 負極板
13. セパレータ
20. 正極集電板
21. 負極集電板
30. 絶縁体
40. 外装缶
50. 封口体
100. 縮径加工型
110. 集電板押圧型
120. 縁端部押圧型
Claims (5)
- 正極板と負極板とが間にセパレータを介した状態で配されてなる電極体を、前記電極体の外形寸法より大きい内部空間を有する有底筒状の外装缶に収納する収納ステップと、
前記収納ステップの後に、所要の形状を有する透孔が形成された加工型を用い、前記透孔に対して前記外装缶をその深さ方向に通過させることにより、前記外装缶の側壁における底部分から開口縁端までの全領域にわたって絞り加工を実施し、前記外装缶の内面と電極体の外面との間の隙間を小さくする絞りステップと、
前記絞りステップの後に、前記外装缶の開口縁端と前記電極体が収納された領域との間に、前記外装缶の内方に向けて曲折加工して溝を入れ、当該溝を入れることによって前記外装缶の内壁に棚部を形成する溝入ステップと、
前記溝入ステップの後に、前記外装缶の開口部から封口体を挿入して、前記棚部に前記封口体を載置し、前記外装缶における開口縁端の近傍領域をカシメ加工し封止する封止ステップとを有する
ことを特徴とする密閉型電池の製造方法。 - 前記封止ステップの後に、前記封口体の最下面が前記外装缶における溝が形成された領域よりも外装缶の缶底側に位置するまで、前記外装缶に対して前記深さ方向に圧力を加え、前記外装缶を深さ方向に圧縮する圧縮ステップを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の密閉型電池の製造方法。 - 前記電極体には、前記外装缶への収納時に外装缶の開口部の側になるように、予め集電体が取り付けられており、
前記絞りステップは、
前記集電体および前記外装缶における開口縁端に前記深さ方向の力を加えて、前記透孔に対して前記外装缶の底部分を通過させる第1サブステップと、
前記第1サブステップの後に、前記集電体だけに前記深さ方向の力を加えて、前記透孔に対して前記外装缶の開口縁端までを通過させる第2サブステップとを有する
ことを特徴とする請求項2に記載の密閉型電池の製造方法。 - 前記収納ステップの後に、前記電極体に対して、アルカリ性の電解液を浸透させる電解液注入ステップを有する
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の密閉型電池の製造方法。 - 正極板と負極板とが間にセパレータを介した状態で配されてなる電極体が、外装缶の内部空間に収納され、前記外装缶の一端側に配された封口体により前記電極体が封止されてなる密閉型電池において、
前記外装缶の側壁には、その外面に曲折されて溝部が形成され、内面に前記溝部の形成によって棚部が形成されており、
前記封口体は、その縁部分が前記棚部に載置され、最下面が前記溝部の形成領域よりも前記電極体に近い位置となるように配されている
ことを特徴とする密閉型電池。
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