JP2004228355A - 絶縁膜基板の製造方法、絶縁膜基板の製造装置及び絶縁膜基板並びに電気光学装置の製造方法及び電気光学装置 - Google Patents

絶縁膜基板の製造方法、絶縁膜基板の製造装置及び絶縁膜基板並びに電気光学装置の製造方法及び電気光学装置 Download PDF

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Abstract

【課題】異常放電によりパーティクルの発生を抑制し、効率よく基板上に金属絶縁膜を成膜することができる絶縁膜基板の製造方法、絶縁膜基板の製造装置及び絶縁膜基板並びに電気光学装置の製造方法及び電気光学装置を提供すること。
【解決手段】基板上に亜酸化金属膜を形成した後、この亜酸化金属膜を酸素プラズマ処理することにより、パーティクルの付着がない基板面内で膜厚が均一な良質な酸化金属膜としての金属絶縁膜を形成することができる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スパッタリングによる金属絶縁膜(例えば、五酸化タンタル)の薄膜を形成するための絶縁膜基板の製造方法、絶縁膜基板の製造装置及び絶縁膜基板並びに電気光学装置の製造方法及び電気光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スパッタリングにより金属絶縁膜を成膜する場合、例えば、反応性ガスとして酸素ガスを、不活性ガスとしてアルゴンガスをそれぞれ導入して、金属製のターゲットに対するスパッタリングが行われる。例えば、金属絶縁膜の一例である五酸化タンタルの成膜においては、タンタルのターゲットを用い、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを用いて成膜する反応性スパッタリング方法が用いられる。この場合、イオン化されたアルゴンガスがターゲットに衝突してタンタル原子が叩き出され、このタンタル原子と酸素ガスとが反応した酸化タンタルが基板上に堆積されて薄膜となる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−244522号公報(第6頁、
【図2】)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の反応性スパッタリング方法において、成膜される金属絶縁膜の化学組成は、混合ガス中の反応ガスの分圧比に大きく依存する。例えば、反応ガスの分圧比が高いと、十分に酸化された薄膜が基板上に成膜されていくが、これと同時にターゲットの表面においても酸化反応が起き、ターゲット表面に酸化膜が形成される。ところが、酸化物のスパッタ収率は金属に比べて小さいため、ターゲット表面に形成される酸化膜の成長に伴って、ターゲットが十分にスパッタされなくなり、成膜レートが低下するという問題がある。更に、ターゲットの酸化膜が電子絶縁性という特性を有している場合には、アーク放電などの異常放電が起こるおそれもあった。異常放電により、ターゲットに対するイオン電流密度の上昇があると、急激に成膜レートが高まり、局所的にマイクロアーク放電が発生し、メタル状のパーティクル(霧状の数μm程度の異物:スプラッシュ)が多発し、製品品質を著しく低下させる。
【0005】
一方、反応ガスの分圧比が低いと、ターゲット表面に形成される酸化膜の成長速度よりもターゲットがスパッタされるスパッタ速度の方が速くなる。この場合には、常にターゲット表面は金属が露出している状態となり高い成膜レートが得られるというメリットがある。その反面、基板表面に供給される酸素が不足するため、基板上に成膜された薄膜は十分に酸化されていないメタルリッチな膜(以下、亜酸化膜という)となってしまい、絶縁性が低い薄膜となってしまう。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、異常放電によりパーティクルの発生を抑制し、効率よく基板上に金属絶縁膜を成膜することができる絶縁膜基板の製造方法、絶縁膜基板の製造装置及び絶縁膜基板を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するため、本発明は以下のような構成を採用している。
【0008】
本発明の絶縁膜基板の製造方法は、金属絶縁膜が形成された基板を製造する方法であって、前記基板上にスパッタリング法により低酸素雰囲気で亜酸化金属膜形成工程と、前記亜酸化金属膜が形成された基板を酸素プラズマ処理する工程とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明のこのような構成によれば、亜酸化金属膜形成工程において、反応ガスである酸素の分圧比を低くした状態で成膜を行うので、ターゲット表面の金属が常に露出している状態でスパッタリングを行うことができ、成膜レートを高くすることができる。更に、ターゲット表面に酸化膜が形成されにくいため、アーク放電などの異常放電の発生を防止できるため、パーティクル(霧状の数μm程度の異物:スプラッシュ)の付着によって、形成される膜の製品品質が低下することがない。亜酸化金属膜形成後の酸素プラズマ処理工程において、前工程で得られた酸素が欠乏している亜酸化金属膜に対して酸素プラズマ処理を施すことによって、酸化させ完全な酸化膜を形成することができる。以上のように、絶縁膜形成工程を2段階に分けることにより、パーティクル(霧状の数μm程度の異物:スプラッシュ)の付着などによる膜の製品品質の低下のない、基板面内で膜厚が均一な良質な金属絶縁膜を有する絶縁膜基板を得ることができる。
【0010】
本発明の一の形態によれば、前記金属絶縁膜は、チタン、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ジルコニウムのいずれか1つの酸化膜であることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、ターゲットとして用いる金属は、チタン、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ジルコニウムのどれに対しても適用可能である。
【0012】
本発明の一の形態によれば、前記亜酸化金属膜形成工程において、前記雰囲気内の酸素量を徐々に増加させることを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、亜酸化金属膜形成工程において形成された膜は、膜厚方向に酸素濃度に勾配があるため、膜厚方向に酸素濃度が徐々に変化する酸化金属膜を形成することができる。従って、例えば、金属膜と酸化金属膜との積層膜を形成する場合、金属膜と酸化金属膜との密着性が良く、また、金属膜と酸化金属膜とを連続して同一ユニット内で成膜することができる。
【0014】
本発明の絶縁膜基板の製造装置は、基板上にスパッタリング法により低酸素雰囲気で亜酸化金属膜を形成する第1ユニットと、前記亜酸化金属膜が形成された基板を酸素プラズマ処理する第2ユニットと、前記第1ユニットから前記第2ユニットに基板を搬送する搬送系とを具備することを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、亜酸化金属膜形成工程と酸素プラズマ処理する工程とを別々のチャンバで処理することができるので、各ユニット内での諸設定を簡素化することができる。
【0016】
本発明の一の形態によれば、前記第1ユニットには、チタン、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ジルコニウムのいずれか1つを有するターゲットが配置されていることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、ターゲットとして用いる金属は、チタン、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ジルコニウムのどれに対しても適用可能である。
【0018】
本発明の一の形態によれば、基板上にスパッタリング法により金属絶縁膜を形成するためのユニットと、前記ユニット内に低酸素分圧の状態の酸素と不活性ガスとの混合ガスを導入する第1モードと、前記ユニット内に前記混合ガスよりも酸素分圧が高いガスを導入する第2モードとを切り替える手段とを具備することを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、亜酸化金属膜形成工程と酸素プラズマ処理する工程とを同一チャンバで行うことができるので、装置自体を簡素化することができる。
【0020】
本発明の一の形態によれば、前記金属絶縁膜は、チタン、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ジルコニウムのいずれか1つの酸化膜であることを特徴とする。
【0021】
このような構成によれば、金属酸化膜に用いる金属は、チタン、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ジルコニウムのどれに対しても適用可能である。
【0022】
本発明の絶縁膜基板は、上述に記載の絶縁膜基板の製造方法により製造されたことを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、異常放電によるパーティクルの発生を抑制し、効率よく基板上に金属絶縁膜を成膜することができるので、良質の絶縁膜基板が形成できる。
【0024】
本発明の絶縁膜基板は、基板と、前記基板上に配置され、前記基板の厚み方向に酸素濃度が異なる酸化金属膜とを具備することを特徴とする。
【0025】
このような構成によれば、例えば、金属膜とその酸化金属膜との積層膜を形成する場合、金属膜を酸化金属膜との密着性が良い。
【0026】
本発明の電気光学装置の製造方法は、金属絶縁膜が形成された基板を含む電気光学装置の製造方法であって、上述に記載の絶縁膜基板の製造方法を用いて、前記基板に前記金属絶縁膜を形成する工程を具備することを特徴とする。
【0027】
このような構成によれば、異常放電によるパーティクルの発生を抑制し、効率よく基板上に金属絶縁膜を成膜した良質の絶縁膜基板を搭載するので、良質の電気光学装置を製造することができる。
【0028】
本発明の電気光学装置は、上述に記載の絶縁膜基板を備えることを特徴とする。
【0029】
このような構成によれば、異常放電によるパーティクルの発生を抑制し、効率よく金属絶縁膜が成膜された基板を搭載するので、良質な電気光学装置となる。
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、図1〜図3を用いて、本発明に関わる絶縁膜基板の製造装置、絶縁膜基板の製造方法及び絶縁膜基板の一実施形態について説明する。本実施形態においては、絶縁膜基板として、基板上に金属絶縁膜としてタンタルの酸化物である五酸化タンタル膜(Ta)の薄膜が成膜された基板を例にあげて説明する。
【0030】
図1は、絶縁膜基板の製造装置としてのスパッタリング装置の構成を示す図である。
【0031】
この図には、センタチャンバ式で連続成膜スパッタリングが可能な反応性直流スパッタリング装置(スパッタリング成膜装置)202が図示されている。
【0032】
この反応性直流スパッタリング装置202は、反応性ガスとして酸素(O)ガスを、不活性ガスとしてアルゴン(Ar)ガスをそれぞれ導入して、金属製のターゲット(タンタル)をスパッタリングし、基板に五酸化タンタル(Ta26)の薄膜を成膜する装置である。
【0033】
同図において、ユニットとしての真空槽10には、陽極側の基板ステージ11および陰極側のマグネット13が対向配置されている。これらの基板ステージ11およびマグネット13には、DC(直流)の可変電源15が接続されている。
【0034】
基板12a、12bは、後述するターゲット14に対向するように基板ステージ11にセットされたガラス基板である。この基板12a、12bのそれぞれは、450cm×450cmの面積、0.5mmの厚さを有している。これらの基板12a、12bの表面には、反応性直流スパッタリングにより金属酸化物の一種である五酸化タンタル(Ta26)の薄膜が成膜される。
【0035】
また、基板ステージ11にセットされた基板12a、12bには、弱アルカリ洗剤を用いたブラシ洗浄、超音波洗浄、水すすぎ、エアナイフ乾燥が施されている。なお、実際には、基板ステージ11には、4枚の基板がセットされている。
【0036】
ターゲット14は、陰極側のマグネット13にセットされており、99.99%の純度を有するタンタル(Ta)の単体である。このターゲット14は、例えば170cm×140cm(縦×横)の面積を有しており、Arイオン24のイオン衝撃によりスパッタリングされ、基板12a及び基板12bの表面に成膜される薄膜(Ta26)の材料物質である。Ta26は、スパッタリングされたタンタルとO25とにより生成される。
【0037】
可変電源15は、スパッタリング放電電圧、成膜電力を基板ステージ11およびマグネット13へ供給するための電源であり、後述する制御部21により可変制御される。
【0038】
Arガス供給部16は、制御部21の制御により、所定流量のArガスを管路18を介して真空槽10へ供給する。Oガス供給部17は、制御部21に制御により、所定流量のOガスを管路18を介して真空槽10へ供給する。
【0039】
真空ポンプ19は、制御部21に制御により、真空槽10内が所定の全圧になるように、管路20を介して真空槽10内を脱気する。制御部21は、可変電源15のスパッタリング放電電圧の制御や成膜電力の制御、Arガス供給部16およびOガス供給部17の流量制御、真空ポンプ19の駆動制御などの各種制御を実行する。本実施形態のスパッタリング装置を用いた絶縁膜基板の製造方法では、真空槽10内に導入されるガスが異なる2工程を経てTa26が成膜される。制御部21は、第1工程において真空槽10内へガスを導入する第1モードと、第2工程において真空槽10内へガスを導入する第2モードとを切り替える手段として機能する。第1モードは、低酸素分圧の状態の酸素と不活性ガスとの混合ガスを導入するモードであり、第2モードは第1モードの混合ガスよりも酸素分圧が高いガスを導入するモードである。
【0040】
設定部22は、制御部21における制御パラメータに関する設定を行う。制御パラメータとしては、Arガス供給部16およびOガス供給部17における各流量、真空ポンプ19を停止させる圧力、可変電源15におけるスパッタリング放電電圧および成膜電力の制御パターンなどである。具体的には、設定部22では、上述した第1工程(亜酸化金属膜形成工程)における、O/Ar比(流量比)を300%以下とする設定、処理中の全圧を3〜4mTorr程度とする設定、基板ステージ11を陽極またはフロート式としマグネトロン付きターゲット13を陰極とする設定が予め行われる。ここでのマグネトロンは固定式、可動式のいずれでもよい。更に、設定部22では、上述した第2工程(酸素プラズマ処理工程)における、O/Ar比(流量比)をArを0〜50%、Oを100〜50%とする設定、処理中の全圧を0.02〜0.2Torrとする設定、基板ステージ11を陽極としマグネトロン付きターゲット13を陰極とする設定が予め行われている。
【0041】
また、酸素プラズマのイオン量を増し陽極酸化を促進する目的で13.56MHz、420KHz、2.45GHz等の高周波を加える事も可能である。
【0042】
圧力センサ23は、真空槽10内の全圧を検出する。
【0043】
なお、プラズマ中に補助電極を置く(マグネトロンから数十mm内側)ことも放電安定性を確保するためには有効である。第1工程(亜酸化金属膜形成工程)ではアノード(陽極)として、第2工程(酸素プラズマ処理工程)ではカソード(陰極)として機能する。材質としては中空のTiパイプ上にアルミ溶射膜を付け、表面付着膜の剥離を防止し、中空部分には冷却用の冷媒を通過させる。又、この電極をマグネトロンと一緒に可動させることにより大面積基板への成膜時の均一性を改善することも可能になる。
【0044】
次に、上述のスパッタリング装置の動作及びこのスパッタリング装置により製造される絶縁膜基板の製造方法について図1〜図3を用いて説明する。図2は、スパッタリング装置におけるO/Ar比と成膜全圧Pとの関係を示す図である。図3は、絶縁膜基板の製造方法のフローチャート図である。
【0045】
図3に示すように、本実施形態においては、第1工程としてまず亜酸化金属膜を形成する工程と、その後、第2工程として亜酸化金属膜を酸素プラズマ処理して酸化金属膜を形成する工程との2工程を経ることによりTa26が成膜される。以下に、スパッタリング装置の動作を含め、Ta26が成膜された絶縁膜基板の製造方法について説明する。
【0046】
まず、設定部22により、上述した制御パラメータが制御部21に設定される。基板12a、12bは、真空槽10内に搬入され、基板ステージ11上に載置される。つぎに、制御部21は、圧力センサ23からの全圧のフィードバックを受けつつ、真空ポンプ19を制御して、真空槽10内の全圧が例えば5×10−6Torr以下になるまで脱気させる(STEP301)。
【0047】
つぎに、制御部21は、成膜前の予備スパッタリングとして、Arガス供給部16よりスパッタリング圧が3mTorr程度になるようArガスを真空槽10内に導入させた後、可変電源15より35kWの成膜電力を10sec供給させて、ターゲット14の表面をクリーニング(ターゲット14の表面の酸化膜を除去:Cleaning)させる(STEP302)。
【0048】
つぎに、制御部21は、Arガス供給部16およびOガス供給部17を制御して、例えば、O/Ar比(流量比)を300%以下、処理中の全圧を3〜4mTorr程度になるようにArガス及びOガスを真空槽10内に導入する(STEP303)。その後、可変電源15より35kWの成膜電力を60sec供給させて、基板12a、12b上に、亜酸化タンタル膜を形成する(STEP304)。なお、ここでは、基板ステージ11を陽極またはフロート式とし、マグネトロン13を陰極としている(亜酸化金属膜形成工程)。ここでのマグネトロンは固定式、可動式のいずれでもよい。
【0049】
ここで、亜酸化金属膜形成工程におけるOガスの導入量は、図2に示した例えば35kWのヒステリシスカーブのサチュレーションポイントA(成膜電圧Pが急激に落ちる点)以下のO/Ar比(流量比)となるように設定される。このように低酸素雰囲気なので、ターゲット14上に酸化膜が形成されにくいため、異常放電が起こりにくい。従って、異常放電によるパーティクルの発生を抑制することができ、安定して亜酸化金属膜を形成することができる。更に、酸素ガスの分圧比が低いので、ターゲット14表面に形成される酸化膜の成長速度よりもターゲット14がスパッタリングされるスパッタリング速度の方が速くなり、常にターゲット14表面は金属が露出している状態となって高い成膜レートが得られる。なお、図2において、B点は、スパッタリング放電電圧の成膜電力を増加させ、入力可能な最大値に達した後、さらに成膜電力を増加させた場合にスパッタリング放電電圧が大きく減少してメタル成膜となった点である。
【0050】
つぎに、制御部21は、Arガス供給部16およびOガス供給部17を制御して、例えば、O/Ar比(流量比)を400%、処理中の全圧を50mTorr程度になるようにArガス及びOガスを真空槽10内に導入する(STEP305)。また、供給電力の極性は同じにしフロート方式の場合は、基板ステージ11を陽極とする。マグネトロン付きターゲット13を陰極とする。これにより、基板12a、12b上に形成された亜酸化タンタル膜を酸素プラズマ処理して酸化させ、Ta26を形成する(酸素プラズマ処理工程)(STEP306)。
【0051】
図4は、本実施形態の製造方法により製造された基板と基板上に成膜されたTaの薄膜をESCA(化学分析用電子分光法:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)で分析した結果を示す図である。
【0052】
ESCAは、対象物ここでは酸化タンタル膜が形成されたガラス基板に、電子線を照射し、この反射電子のエネルギースペクトルを測定し、各スペクトルに相当する電子の結合エネルギー値を標準資料と比較し、表面の膜中に含まれる各元素の化学状態を測定するものである。ここでは、酸化タンタル膜が形成されたガラス基板に電子線を照射して酸化タンタル膜表面からガラス基板に向かってエッチングをし、膜厚方向にESCA分析したものを示している。
【0053】
図中のO1sは酸素、Ta4fはタンタル、Si2pは二酸化ケイ素を夫々示している。また、図中横軸は酸化タンタル膜をエッチングするための電子線の照射時間を示している。縦軸は、膜中に含まれる酸素、タンタル、二酸化ケイ素の元素濃度を示している。
【0054】
図中、40minでSi2pの原子濃度(%)が急激に上昇し、Ta4fの原子濃度(%)が急激に下降しているが、これは酸化タンタル膜が電子線エッチングにより略全てエッチングされ、ガラス基板に到達されたことを示している。図に示すように、本実施形態における製法で成膜された酸化タンタル膜は膜厚方向に沿って、酸素濃度のムラがない。
【0055】
本発明の製造方法は、亜酸化金属膜形成工程と酸素プラズマ処理工程の2工程により酸化金属膜を形成することを特徴としている。亜酸化金属膜形成工程において、反応ガスの分圧比を低くすることによりターゲット14表面の金属が常に露出している状態となるので、成膜レートを高くすることができる。更に、ターゲット14表面に酸化膜が形成されにくいため、アーク放電などの異常放電の発生を防止できるため、パーティクルの付着によって形成される膜の製品品質が低下することがない。亜酸化金属膜形成後、酸素プラズマ処理工程において、前工程で得られた酸素が欠乏している亜酸化金属膜に対して、酸素プラズマ処理を施すことによって、酸化させ完全な酸化膜を形成することができる。以上のように、絶縁膜形成工程を2工程に分けることにより、パーティクルの付着等による膜の製品品質の低下がない、基板面内で膜厚が均一な良質な酸化金属膜を得ることができる。
【0056】
なお、本実施形態においては、亜酸化金属膜形成工程と酸素プラズマ処理工程をそれぞれ1回づつ行っているが、これら2工程を繰り返して行っても良く、これにより酸化金属膜の厚膜を形成することが可能である。
【0057】
(第2実施形態)
第1実施形態においては、第1工程と第2工程とが同一の真空槽内で行われていたが、それぞれの工程を別々のユニットで行っても良い。以下に、ユニットを別々にした場合の絶縁膜基板の製造装置、絶縁膜基板の製造方法及び絶縁膜基板の一実施形態について図1、図5、図6及び図7を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の箇所は説明を省略する。
【0058】
図5は、第1工程で使用するスパッタリング装置202と第2工程で使用する酸素プラズマ装置203を含む絶縁膜基板の製造装置の全体構成を示す平面図である。図6は、第2の工程で使用する酸素プラズマ装置203である。図7は、絶縁膜基板の製造方法のフローチャート図である。なお、本実施形態において、第1工程である亜酸化金属膜形成工程で用いられるスパッタリング装置は、図1に示す第1実施形態と同様のスパッタリング装置を用いることができ、第1実施形態と比較して制御部に予め入力される成膜条件が異なる。
【0059】
第2実施形態に関わる絶縁膜基板の製造装置は、亜酸化金属膜形成工程を行う第1ユニットとしてのスパッタリング装置202と酸素プラズマ処理工程を行う第2ユニットとしての酸素プラズマ装置203とを備える。すなわち、図5に示すように、処理装置200は、ロードロック室201と、亜酸化金属膜形成工程におけるスパッタリング装置202と、酸素プラズマ処理工程における酸素プラズマ装置203と、加熱室204と、各室及び各装置間を自在に搬送可能な搬送系として搬送回転ハンド205aを具備する真空搬送装置205とから構成されている。また、各室及び各装置の間には真空扉201a、201b、202a、203a及び204aが設けられ、各室及び各装置内には各室及び各装置内の圧力を調整する図示しない真空調整装置とが設けられている。
【0060】
スパッタリング装置202の制御部21では、第1実施形態と異なり、O/Ar比(流量比)を300%以下とし、処理中の全圧を3〜4mTorr程度とする設定が予め入力されている。更に、基板ステージ11を陽極またはフロート方式ここでは陽極としマグネトロン付きターゲット13を陰極とする設定も予め行われる。
【0061】
本実施形態の酸素プラズマ装置203は、反応性ガスとしてOガスを、不活性ガスとしてアルゴン(Ar)ガスをそれぞれ導入し、このOガスをプラズマ化して薄膜を改質処理する装置である。
【0062】
図6において、酸素プラズマ装置203には、陽極側の基板ステージ211および陰極側のマグネトロン付きカソード213が対向配置されている。これらの基板ステージ211およびマグネトロン付きカソード213には、DC(直流)の可変電源215が接続されている。
【0063】
基板12a、12bは、基板ステージ211にセットされたガラス基板である。これらの基板12a、12bは、その表面が、スパッタリング装置202で亜酸化タンタル膜が成膜された状態で酸素プラズマ装置203内へ搬入され、プラズマ化した酸素と衝突することにより酸化タンタル膜となるよう処理される。
【0064】
可変電源215は、電圧を基板ステージ211およびマグネトロン付きカソード213へ供給するための電源であり、後述する制御部221により可変制御される。
【0065】
Arガス供給部216は、制御部221の制御により、所定流量のArガスを管路218を介して酸素プラズマ装置203へ供給する。Oガス供給部217は、制御部221に制御により、所定流量のOガスを管路218を介して酸素プラズマ装置203へ供給する。
【0066】
真空ポンプ219は、制御部221の制御により、酸素プラズマ装置203内が所定の全圧になるように、管路220を介して真空槽210内を脱気する。
【0067】
制御部221は、可変電源215の電圧の制御、Arガス供給部216およびOガス供給部217の流量制御、真空ポンプ219の駆動制御などの各種制御を実行する。設定部222は、制御部221における制御パラメータに関する設定を行う。制御パラメータとしては、Arガス供給部216およびOガス供給部217における各流量、真空ポンプ219を停止させる圧力、可変電源215における電圧の制御パターンなどである。具体的には、設定部222では、O/Ar比(流量比)をArを0〜50%、Oを100〜50%とする設定、処理中の全圧を0.02〜0.2Torrとする設定が予め行われている。圧力センサ223は、酸素プラズマ装置203内の全圧を検出する。
【0068】
次に、上述した製造装置としての処理装置200を用いた基板の製造方法及び製造装置の動作について図1、図5、図6及び図7を参照して説明する。
【0069】
最初に、図5に示すように、真空扉201bを開き、図示しない搬送手段により基板12a、12bをロードロック室201内へ搬送した後、真空扉201bを閉じる。
【0070】
次に、ロードロック室201を図示しない真空調節装置によって、真空状態にする。
【0071】
このロードロック室201内が真空状態となってから、ロードロック室201と搬送装置205との間に介在する真空扉201aを開け、搬送ハンド205aに基板12a、12bを載置し、載置した基板12a、12bを搬送装置205内へ搬送する。
【0072】
次に、真空扉202aを開け、基板12a、12bを載置した搬送ハンド205aは、搬送装置205から亜酸化金属膜形成が行われるスパッタリング装置202へ基板12a、12bを搬送する。搬送後、真空扉202aを閉じる。
【0073】
その後、制御部21は、圧力センサ23からの全圧のフィードバックを受けつつ、真空ポンプ19を制御して、スパッタリング装置202内の全圧が例えば5×10−6Torr以下になるまで脱気させる(STEP601)。
【0074】
つぎに、制御部21は、成膜前の予備スパッタリングとして、Arガス供給部16よりスパッタリング圧が3mTorr程度になるようArガスをスパッタリング装置202内に導入させた後、可変電源15より35kWの成膜電力を10sec供給させて、ターゲット14の表面をクリーニングさせる(STEP602)。
【0075】
つぎに、制御部21は、Arガス供給部16およびOガス供給部17を制御して、例えば、O/Ar比(流量比)を300%以下、処理中の全圧を3〜4mTorr程度になるようにArガス及びOガスをスパッタリング装置202内に導入する(STEP603)。その後、可変電源15より35kWの成膜電力を60sec供給させて、基板12a、12b上に、亜酸化金属膜としての亜酸化タンタル膜を形成する(STEP604)。なお、ここでは、基板ステージ11を陽極またはフロート式とし、マグネトロン付きカソード13を陰極としている。
【0076】
次に、真空扉202aを開け、搬送ハンド205aによって、基板12a、12bをスパッタリング装置202から搬送装置205へ搬送する。真空扉203aを開け、搬送ハンド205aによって、基板12a、12bを搬送装置205から酸素プラズマ処理が行われる酸素プラズマ装置203内へ搬送する(STEP605)。この後、真空扉203aを閉じる。
【0077】
図6に示すように、制御部221は、Arガス供給部216およびOガス供給部217を制御して、例えば、O/Ar比(流量比)を400%、処理中の全圧を50mTorr程度になるようにArガス及びOガスを酸素プラズマ装置203内に導入する(STEP606)。ここでは、基板ステージ211を陽極とし、マグネット213を陰極とする。これにより、基板12a、12b上に形成された亜酸化タンタル膜をプラズマ化された酸素で酸化させ、基板上に酸化金属膜としてのTaを形成する(STEP607)。
【0078】
酸素プラズマ処理後、真空扉203aを開け、搬送ハンド205aにより基板12a、12bを酸素プラズマ装置203から搬送装置205へ搬送される。さらに真空扉201aを開け、基板12a、12bは搬送装置205からロードロック室201へ搬送される。この後、真空扉201bを開け、基板12a、12bは、ロードロック室201から外へ搬送される。
【0079】
このようにして、亜酸化金属膜形成工程と酸素プラズマ処理工程を別々のユニットで行うことも可能である。また、亜酸化金属膜形成工程と酸素プラズマ処理する工程とを別々のチャンバで処理することができるので、各ユニット内での諸設定を簡素化することができる。
【0080】
なお、本実施形態で形成された酸化タンタル膜のESCA分析した結果は、第1実施形態と同様図4に示す挙動を示した。すなわち、異なるユニットで亜酸化膜形成工程と酸素プラズマ処理工程を行っても膜厚方向に酸素濃度のムラのない酸化タンタル膜を形成することができる。
【0081】
(第3実施形態)
上述の実施形態においては、亜酸化金属膜形成工程では、酸化条件が一定となるように固定しているが、酸素流量が経時的に変化するようにしても良い。以下に、第3実施形態として、亜酸化金属膜形成工程において、酸素導入量が経時的に変化する場合について説明する。ここでは、2工程を別ユニットでスパッタリングする第2実施形態に基づいて説明する。
【0082】
第3実施形態においては、亜酸化膜形成工程において、ガス導入量などの成膜条件が異なるのみで、図1に示すスパッタリング装置を用いることができる。以下に、第3実施形態に関わる絶縁膜基板の製造方法について図1及び図5を用いて説明する。ここでは、第2実施形態と比較して、スパッタリング装置202内における成膜条件のみが異なるため、この点について主に説明し、同様の点については説明を省略する。
【0083】
スパッタリング装置202へ基板12a、12bを搬送後、制御部21は、圧力センサ23からの全圧のフィードバックを受けつつ、真空ポンプ19を制御して、スパッタリング装置202内の全圧が例えば5×10−6Torr以下になるまで脱気させる。
【0084】
つぎに、制御部21は、成膜前の予備スパッタリングとして、Arガス供給部16よりスパッタリング圧が3mTorr程度になるようArガスをスパッタリング装置202内に導入させた後、可変電源15より35kWの成膜電力を10sec供給させて、ターゲット14の表面をクリーニングさせる。
【0085】
つぎに、制御部21は、Arガス供給部16およびOガス供給部17を制御する。ここでは第2実施形態と異なり、酸素導入量が徐々に増加するように制御されている。ここでのO/Ar比(流量比)は0から徐々に300%へと変化させ、またこの際の処理中の全圧は3mTorrから徐々に10mTorrへと変化させるように、Arガス及びOガスをスパッタリング装置202内へ導入する。この際可変電源15より35kWの成膜電力を60sec供給させて、基板12a、12b上に、亜酸化タンタル膜を形成する。これによって、ここで形成された亜酸化タンタル膜は、Oの導入量の変化によって膜自体が膜厚方向に酸素濃度に勾配を有する。すなわち、ここでは徐々に酸素量が増加する亜酸化タンタル膜を形成することができる。その後、酸素プラズマ工程をO/Ar比400%、50mTorr下でプラズマ酸化処理を実施することにより、図7に示すような酸化タンタル膜を形成することができる。これにより、タンタル膜と、このタンタル膜から離れるほど膜厚方向に酸素濃度が徐々に増加する酸化タンタル膜との積層膜を形成することができる。このような積層膜はタンタル膜と酸化タンタル膜との密着性が良く、信頼性の高い膜を得ることができる。
【0086】
また、この亜酸化金属膜形成工程と酸素プラズマ処理工程を繰り返す事により、タンタル膜、酸化タンタル膜を順時積層させる多層膜を形成することも可能である。
【0087】
図8は、第3実施形態に係る酸素条件および成膜電力条件の下で基板12a、12bの表面に成膜された酸化タンタルの薄膜をSIMS(SecondaryIon Mass Spectrometry)で分析した結果を示す図である。
【0088】
SIMSは、固体分析法の一つであり、数10KV程度に加速されたイオンを酸化タンタルの薄膜表面に衝突させ、この表面から放出される2次イオンを質量分析する方法である。ここでは、電子ビームを酸化タンタル膜に照射し酸化タンタル膜表面からガラス基板に向かって、酸化タンタル膜をエッチングしながらSIMS分析を行っており、図は膜の膜厚方向の成分組成を示している。また、図中横軸は酸化タンタル膜をエッチングするための電子線の照射時間を示している。縦軸は、膜中に含まれる酸素、タンタル、二酸化ケイ素の元素濃度を示している。図8に示すように、200〜400secにおいて、酸素勾配が形成されおり、本実施形態の酸化タンタル膜は膜厚方向に酸素濃度が変化していることがわかる。
【0089】
本実施形態においては、別のユニットで形成する第2実施形態を採用したが、同ユニットでスパッタリングする第1実施形態に適用してもよい。この場合は、第1モードでの酸素導入量を経時的に変化させればよい。
【0090】
上述の実施形態においては、絶縁膜基板として、五酸化タンタル膜が形成された基板を例にあげて説明したが、これに限定されるものではなく、Ti(チタン)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Zr(ジルコニウム)などの酸化膜成膜に適用することができる。ターゲットとしては、99.99%程度の純金属か、酸素欠乏状態(化学両論的組成より酸素が不足)の低抵抗酸化物(比抵抗20Ωcm以下:例えばタンタルの酸化物であれば、Ta2Ox;x=4.7〜4.94程度)を使用する。
【0091】
(第4実施形態)
上述の実施形態で形成した絶縁膜基板を搭載した電気光学装置としての液晶装置について説明する。
【0092】
まず、液晶装置401の構造について図9及び図10を用いて説明する。図9は、液晶装置の断面図である。図10は、液晶装置に設けられるTFD、データ線及び画素電極の構造を説明する図であり、図10(a)は平面図、図10(b)は図10(a)の線A−A’における断面図、図10(c)は概略斜視図である。なお、本実施形態において、図示及び説明をわかりやすくするために、各種配線や電極、着色層の数を実際の構造よりも少なくしており、また図面間においても適宜それらの数を異ならせている。
【0093】
本実施形態においては、液晶装置401として、TFD素子を用いたアクティブマトリクス型の透過型液晶装置に適用した場合を例にあげて説明する。
【0094】
図9に示すように、液晶装置401は、電気光学パネルとしての液晶パネル402と、液晶パネル402を挟むように設けられた第1の偏光板418a及び第2の偏光板418bと図示しないバックライトと、図示しないドライバICと、このドライバICとACFを介して電気的に接続する図示しない配線基板とを有している。
【0095】
液晶パネル402は、カラーフィルタ基板420と、これに対向する絶縁膜基板としての対向基板410と、これら一対の基板420及び410を貼り合わせる基板周縁部に設けられたシール材430と、一対の基板420及び410とシール材430とにより形成された空間内に挟持された液晶404とを有している。一対の基板420及び410の間隙はスペーサ421によって保持されている。
【0096】
バックライトは、対向基板410に隣接して配置され、光源(図示せず)と、光源から光が入射される導光板と、拡散シート、プリズムシート、反射シートとを有している。
【0097】
図9に示すように、液晶パネル402を構成するカラーフィルタ基板420は、第1基板409bと、第1基板409b上に額縁状に配置された額縁状の遮光膜450及びこの額縁状の遮光膜450と同層からなる各絵素を区画する格子状遮光膜452と、格子状遮光膜452の隙間を埋めるように配置された着色層460と、着色層460、遮光膜450及び遮光膜452を覆うように配置されたオーバーコート層413と、オーバーコート層413上に配置された走査線424と、走査線424及びオーバーコート層413を覆うように配置されたポリイミドなどからなる配向膜416bとを有している。走査線424はストライプ状に形成された着色層460とほぼ直交するように配置されている。
【0098】
一方、図9に示すように、液晶パネル402を構成する対向基板410は、第2基板409aと、第2基板409a上に配置された走査線424とほぼ直交するように配置されたデータ線411と、データ線411に電気的に接続する複数のスイッチング素子としてのTFD素子428と、各TFD素子428に電気的に接続した画素電極425と、これらデータ線411、TFD素子428、及び画素電極425を覆うように配置されたポリイミドなどからなる配向膜416aとを有している。更に、対向基板410の張り出し部410aには、走査線424が延在した配線とデータ線411とACFを介して電気的に接続するドライバICとが実装され、ドライバICとフレキシブル基板とを電気的に接続するための図示しないパッドが配置されている。
【0099】
ここで、TFD、データ線及び画素電極の構造について図10を用いて説明する。
【0100】
図10は、基板409a上に配置されるTFD、データ線及び画素電極の構造を説明する図である。
【0101】
TFD素子428は、図10(a)、(b)、(c)に示すように、基板409aの表面に成膜された下地層上に形成されたTFD素子428a及びTFD素子428bからなる2つのTFD素子428によって、いわゆるBack−to−Back構造として構成されている。下地層は、例えば厚さ50〜200nm程度の酸化タンタル(Ta)によって構成されている。
【0102】
TFD素子428a及びTFD素子428bは、第1金属層432と、この第1金属層432の表面に形成された酸化タンタルより形成される絶縁膜433と、絶縁膜433の表面に互いに離間して形成された第2金属層434a、434bとによって構成されている。第1金属層432は、例えば、厚さ100〜500nm、ここでは200nm程度の反射性の金属としてTa単体膜を用いて形成したが、Ta合金膜、タンタルタングステン(TaW)などを用いて形成してもよい。
【0103】
本実施形態において、絶縁膜433は上述の実施形態に示した絶縁膜形成工程と同様に亜酸化金属膜形成工程と酸素プラズマ処理工程の2工程を行うことによって形成される。この際の絶縁膜433の厚さは、10〜35nmの酸化タンタル(Ta)である。この2工程を経ることにより、パーティクルの付着等による膜の製品品質の低下がない、膜厚が均一な良質な絶縁膜433を形成することができる。なお、ここでの絶縁膜433を形成する際に酸素プラズマ工程において酸化濃度を経時的に変えることにより、酸化勾配のある酸化タンタル膜である絶縁膜433としてもよい。
【0104】
第2金属層434a、434bは、例えばクロム(Cr)などといった金属膜によって50〜300nm程度の厚さに形成されている。第2金属層434aは、そのままデータ線411の第3層441cとなり、他方の第2金属層434bは、ITO(Indium Tin Oxide)などといった透明導電材からなる画素電極425に接続されている。データ線411は、第1金属層432と同時に形成された第1層441aと、絶縁膜433と同一工程で形成された第2層441bと、第3層441cとが積層した構造となっている。
【0105】
次に、上述の液晶装置の製造方法について説明する。
【0106】
まず、対向基板410の製造方法について図11及び図12を用いて説明する。データ線、画素電極及びTFD素子の製造方法について説明する。図11及び図12は、対向基板410の製造方法を示している。
【0107】
まず、図11において、下地層形成工程(a)では、対向基板410及びダミーパターンの基材としての矩形状の透明基板407の表面にTa酸化物、例えば、Taを一様な厚さに成膜して下地層461を形成する。
【0108】
次に、第1金属層形成工程(b)において、例えば、下地層461上にTaをスパッタリングなどによって一様な厚さで成膜し、さらにフォトリソグラフィ技術を用いてデータ線411の第1層411a及び第1金属層432を同時に形成する。また、データ線411の第1層411aと第1金属層432とはブリッジ部469でつながっている。
【0109】
次に、絶縁層形成工程(c)において、データ線411の第1層411aの表面、第1金属層432の表面を上述の実施形態で示したような亜酸化金属膜形成工程と酸素プラズマ処理工程の2工程を行うことにより、絶縁膜433を形成する。これにより、パーティクルの付着等による膜の製品品質の低下がない、膜厚が均一な良質な絶縁膜433を形成することができる。
【0110】
次に、図12の第2金属層形成工程(d)において、Crをスパッタリングなどによって一様な厚さで成膜した後、フォトリソグラフィ技術を利用して、データ線411の第3層411c、第1のTFD素子428aの第2金属層434a及び第2のTFD素子428bの第2金属層434bを形成する。
【0111】
次に、下地層除去工程(e)において、画素電極425の形成予定領域の下地層461を除去し、ブリッジ部469を透明基板407から除去する。以上により、TFD素子428が形成される。
【0112】
次に、電極形成工程(f)において、画素電極425を形成するためのITOをスパッタリングなどによって一様な厚さで成膜し、さらに、フォトリソグラフィ技術により画素電極425を形成する。
【0113】
これらの一連の工程により、TFD素子428、データ線411及び画素電極425が形成される。
【0114】
この後、図示を省略するが、対向基板410の表面にポリイミドなどの膜を形成し、この膜にラビング処理などの配向処理を施して、配向膜を形成する。これにより対向基板410が完成する。
【0115】
次に、カラーフィルタ基板420の製造方法について説明する。
【0116】
まず、矩形状の透明基板上に、Crをスパッタリングなどによって一様な厚さで成膜した後、フォトリソグラフィ技術を利用して、額縁状の遮光膜450及びマトリクス状遮光膜451を形成する。額縁状の遮光膜450及びマトリクス状遮光膜451は、連接している。
【0117】
次に、例えばフォトリソグラフィ技術を利用して、マトリクス状遮光膜451の開口部に対応した位置にR、G、Bからなるカラーフィルタを形成する。カラーフィルタ材料としては、例えば顔料が分散されたアクリル樹脂を用いることができ、カラーフィルタの厚みは例えば0.5〜2μm程度である。
【0118】
次に、スピンコートなどによりカラーフィルタを覆うように、厚さ1〜4μmのアクリル樹脂からなるオーバーコート層を形成する。
【0119】
次に、オーバーコート層上にITOをスパッタリングなどによって一様な厚さで成膜し、さらに、フォトリソグラフィ技術により、複数の帯状の走査線424を形成する。
【0120】
この後、カラーフィルタ基板420の表面にポリイミドなどの膜を形成し、この膜にラビング処理などの配向処理を施して、配向膜を形成する。これによりカラーフィルタ基板420が完成する。
【0121】
上述のように製造された対向基板410及びカラーフィルタ基板420の一方の基板にシール材430を形成し、両基板をデータ線及び走査線が交差し対向するように重ね合わせ、シール材430により接着固定する。その後、液晶注入口から、両基板及びシール材により形成された領域に、液晶を注入する。注入後、液晶注入口を封止材により封止する。次に、対向基板410及びカラーフィルタ基板420を挟むように、それぞれの基板に隣接して一対の偏光板を配置し、液晶パネルを形成する。その後、この液晶パネルをバックライトとともに筐体に組み込むことより、液晶装置401が完成する。
【0122】
また、以上説明した実施形態においては、電気光学装置として液晶装置401を例示しているが、金属絶縁膜が形成された基板を構成の一部とするものであればよく、エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置、プラズマディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、フィールド・エミッション・ディスプレイ(電解放出表示装置)などの各種の電気光学装置に用いられる電気光学パネル及びこれに用いられる基板に本発明の処理を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るO/Ar比と成膜全圧Pとの関係を表す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る製造方法を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る基板と基板に成膜されたTaの薄膜をESCAで分析した結果を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る構成を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る酸素プラズマ処理工程を行うスパッタリング装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る製造方法を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る酸素条件および成膜電力条件の下で基板表面に成膜された五酸化タンタルの薄膜をESCAで分析した結果を示す図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る電気光学装置としての液晶装置を示した概略断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る液晶装置に設けられるTFD、データ線及び画素電極の構造を説明する図であり、図10(a)は概略平面図、図10(b)は図10(a)の線A−A’における断面図、図10(c)は概略斜視図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る液晶装置の対向基板の製造方法を示した概略断面図及び概略平面図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る液晶装置の対向基板の製造方法を示した概略断面図及び概略平面図である。
【符号の説明】
10…真空槽、12a、12b…基板、14…ターゲット、16…ガス供給部、17…ガス供給部、21…制御部、26…Ta、200…処理装置、202…スパッタリング装置、203…酸素プラズマ処理工程のスパッタリング装置、205a…搬送回転ハンド、401…液晶装置、433…絶縁膜

Claims (10)

  1. 金属絶縁膜が形成された基板を製造する方法であって、
    前記基板上にスパッタリング法により低酸素雰囲気で亜酸化金属膜を形成する工程と、
    前記亜酸化金属膜が形成された基板を酸素プラズマ処理する工程と
    を具備することを特徴とする絶縁膜基板の製造方法。
  2. 前記金属絶縁膜は、チタン、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ジルコニウムのいずれか1つの酸化膜であることを特徴とする請求項1記載の絶縁膜基板の製造方法。
  3. 前記亜酸化金属膜形成工程において、前記雰囲気内の酸素量を徐々に増加させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の絶縁膜基板の製造方法。
  4. 基板上にスパッタリング法により低酸素雰囲気で亜酸化金属膜を形成する第1ユニットと、
    前記亜酸化金属膜が形成された基板を酸素プラズマ処理する第2ユニットと、
    前記第1ユニットから前記第2ユニットに基板を搬送する搬送系と
    を具備することを特徴とする絶縁膜基板の製造装置。
  5. 前記第1ユニットには、チタン、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ジルコニウムのいずれか1つを有するターゲットが配置されていることを特徴とする請求項4記載の絶縁膜基板の製造装置。
  6. 基板上にスパッタリング法により金属絶縁膜を形成するためのユニットと、
    前記ユニット内に低酸素分圧の状態の酸素と不活性ガスとの混合ガスを導入する第1モードと、前記ユニット内に前記混合ガスよりも酸素分圧が高いガスを導入する第2モードとを切り替える手段と
    を具備することを特徴とする絶縁膜基板の製造装置。
  7. 前記金属絶縁膜は、チタン、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ジルコニウムのいずれか1つの酸化膜であることを特徴とする請求項6記載の絶縁膜基板の製造装置。
  8. 基板と、
    前記基板上に配置され、前記基板の厚み方向に酸素濃度が異なる酸化金属膜と
    を具備することを特徴とする絶縁膜基板。
  9. 金属絶縁膜が形成された基板を含む電気光学装置の製造方法であって、請求項1から請求項3いずれか一項に記載の絶縁膜基板の製造方法を用いて、前記基板に前記金属絶縁膜を形成する工程を具備することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  10. 請求項8に記載の絶縁膜基板を備えることを特徴とする電気光学装置。
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