JP2004229401A - 電源、スパッタ用電源及びスパッタ装置 - Google Patents

電源、スパッタ用電源及びスパッタ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高電圧と大電流のいずれにも対応可能な電源、スパッタ電源及びスパッタ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】交流電流を整流する第1のダイオード(DB1、DB2・・)と、前記第1のダイオードにより整流された電流を平滑化するインダクタ(L1、L2、・・)と、を有する電源ブロック(PB1、PB2、・・)を複数備え、前記複数の電源ブロックの接続を直列にも並列にも切り替えて順方向の電力を出力可能としたことを特徴とする電源を提供する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電源、スパッタ用電源及びスパッタ装置に関し、特に、高電圧が必要とされる動作状態と大電流が必要とされる動作状態のいずれにも対応可能な電源、スパッタ用電源及びスパッタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種のプラズマ応用機器や、マイクロ波などの電磁波発生器、電力スイッチング装置などにおいて、負荷の状態に応じて高い電圧が必要とされる動作状態と大きな電流が必要とされる動作状態のいずれにも対応可能とする要求がある。以下、このような電源の具体例として、薄膜形成に用いるスパッタ用電源を例に挙げて説明する。
【0003】
すなわち、スパッタリングにより薄膜を形成する場合、プラズマ放電を点火する時は高電圧が必要であり、点火してスパッタリングを行う際には、大電流が必要とされる場合が多い。
【0004】
図15は、DC(direct current)スパッタ装置の要部構成を表す模式図である。このスパッタ装置は、真空チャンバ101とスパッタ用DC電源110とを有する。電源110の陽極は、接続ケーブル120Aを介してチャンバ101に接続され、接地電位とされている。一方、電源110の陰極は、接続ケーブル120Bを介して、チャンバ101の内部に設けられたスパッタリング・ターゲット104に接続されている。そして、チャンバ101の内部には、薄膜を堆積する基板100が設置される。
【0005】
成膜に際しては、まず、真空排気ポンプ106によりチャンバ101内を真空状態にし、ガス供給源107からアルゴン(Ar)などの放電ガスを導入してチャンバ内を所定の放電圧力に維持する。そして、電源110によりターゲット104とチャンバ101との間に電界を印加し、グロー放電108を発生させる。
すると、放電空間において生成されたプラズマ中の正イオンがターゲット104の表面に衝突し、ターゲット104の原子をはじき出す。このようなスパッタ現象を利用することにより、ターゲット104の材料からなる薄膜を基板100の上に形成することができる。
【0006】
なお、スパッタ動作中に、チャンバ101内でアーク放電150が生ずる場合がある。このようなアーク放電150は、ターゲット104の近傍において生ずる場合が比較的多いが、基板100の近傍において生ずる場合もある。そして、このようなアーク放電150が生ずると、局所的に大電流が流れるために、チャンバの負荷インピーダンスが低下し、ターゲット104や基板100に損傷が生ずる。
【0007】
図16は、本発明者が本発明に至る過程で試作したスパッタ用電源を表す模式図である。
【0008】
この電源は、直流電源DC1とトランジスタQ1〜4を共有した2つのインバータ出力ブロックを有する。すなわち、直流電源DC1、トランジスタQ1〜4、トランスT1及び整流器DB1を有する第1のインバータ出力ブロックINV1と、直流電源DC1、トランジスタQ1〜4、トランスT1及び整流器DB2を有する第2のインバータ出力ブロックINV2と、を有する。
【0009】
これら出力ブロックからの出力電流は、インダクタL1とL2とによりそれぞれ平滑化されてチャンバ101及びターゲット104に供給される。
【0010】
また、アーク検出回路(Asen)により、チャンバへの出力電圧と電流からアーク放電が検出されると、トランジスタQ5、Q6が開かれてインバータ出力が遮断される。同時に、スイッチング回路IGBT1及びIGBT2が閉じられ、コンデンサC1からの逆方向電圧を出力することよりアーク放電を急速に遮断する。またこの時、スイッチング回路IGBT1、2によりそれぞれ閉回路を形成し、インダクタL1、L2の電流を保存する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図15に表したようなスパッタ装置の場合、プラズマを形成するためにグロー放電を開始する時には、例えばマイナス1500ボルト程度の高電圧を印加する必要がある。一方、プラズマが形成された後に印加する電圧は例えばマイナス700ボルト程度であるが、スパッタを高速で実施するためには、例えば、数10アンペアの大電流を流す必要が生ずる場合もある。
【0012】
図16に表したような電源を用いてスパッタリングを実施する場合、スパッタ開示時の高電圧を得るために、インバータ出力ブロックINV1、INV2を直列に接続しているが、放電開始後の電圧はマイナス700ボルト程度であるので、インバータは、50パーセント以下の低いデューティで運転させる必要がある。
【0013】
すなわち、高電圧に対処するために複数のインバータを直列に接続すると、放電開始後には、その運転デューティを低くするため、インバータの使用効率が低く、装置も大規模化するという問題があった。
【0014】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、高電圧と大電流のいずれにも対応可能な電源、スパッタ電源及びスパッタ装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第1の電源は、交流電流を整流する第1のダイオードと、前記第1のダイオードにより整流された電流を平滑化するインダクタと、を有する電源ブロックを複数備え、
前記複数の電源ブロックの接続を直列にも並列にも切り替えて順方向の電力を出力可能としたことを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、高電圧と大電流のいずれにも対応可能な電源を提供することができる。
【0017】
ここで、前記直列は、前記複数の電源ブロックの全てを直列に接続した状態であり、前記並列は、2以上の前記電源ブロックを並列に接続しその2組以上を直列に接続した状態とすることができる。
【0018】
また、負荷を流れる電流が一定値に至らないときまたは負荷に印加される電圧が一定値を超えたときに、前記複数の電源ブロックの接続を直列とすることもできる。
【0019】
また、前記複数の電源ブロックの接続が直列の場合には、前記複数の電源ブロックのそれぞれの出力は、前記複数の電源ブロックが有する前記インダクタのいずれかを流れる電流値に基づいて制御され、前記複数の電源ブロックの接続が並列の場合には、前記複数の電源ブロックのそれぞれの出力は、それぞれの電源ブロックが有する前記インダクタを流れる電流値に基づいてそれぞれ制御されるものとすることができる。
【0020】
また、前記複数の電源ブロックの接続が直列の場合には、前記複数の電源ブロックのそれぞれの出力は、前記複数の電源ブロックが有する前記インダクタを流れる電流の平均値に基づいて制御され、前記複数の電源ブロックの接続が並列の場合には、前記複数の電源ブロックのそれぞれの出力は、それぞれの電源ブロックが有する前記インダクタを流れる電流値に基づいてそれぞれ制御されるものとすることもできる。
【0021】
また、前記複数の電源ブロックの少なくともいずれかは、前記順方向の電力とは逆方向の電圧を発生する逆方向電圧源を有し、負荷においてインピーダンスの低下が発生した時に、前記複数の電源ブロックの間の接続を遮断し、前記逆方向電圧源から前記逆方向の電圧を出力するものとすることもできる。
【0022】
また、1つまたは複数の第1のスイッチング素子と、1つまたは複数の第2のスイッチング素子と、をさらに備え、
前記第1のスイッチング素子の閉動作により前記複数の電源ブロックの接続が直列とされ、前記第2のスイッチング素子の閉動作により前記複数の電源ブロックの接続が並列とされるものとすることもできる。
【0023】
ここで、前記第2のスイッチング素子の少なくともいずれかは、前記並列の状態において、前記複数の電源ブロックのいずれかの前記インダクタの一端に接続されているものとすることもできる。
【0024】
また、前記第1のスイッチング素子の少なくともいずれかと前記第2のスイッチング素子の少なくともいずれかとが同一の電圧源により駆動されるものとすることもできる。
【0025】
また、前記複数の電源ブロックのそれぞれは、負荷においてインピーダンスの低下が発生した時に、前記インダクタを含む閉回路を形成しそのインダクタの電流を保存する第3のスイッチング素子を有し、前記第3のスイッチング素子の少なくともいずれかは、前記第1及び第2のスイッチング素子の少なくともいずれかと同一の電圧源により駆動されるものとすることもできる。
【0026】
また、前記複数の電源ブロックのそれぞれは、負荷においてインピーダンスの低下が発生した時に、前記インダクタを含む閉回路を形成しそのインダクタの電流を保存する第3のスイッチング素子を有し、前記第1のスイッチング素子のいずれかに一端が接続され、前記複数の電源ブロックの接続が直列のときにそのスイッチング素子を流れる電流に対して逆方向の整流特性を有する第2のダイオードと、前記第2のダイオードの他端に直列に接続され、前記第2のダイオードと同方向の整流特性を有する第3のダイオードと、前記第2のダイオードと第3のダイオードとの接続中点に一端が接続され、前記第3のスイッチング素子のいずれかに他端が接続されたコンデンサと、をさらに備えたものとすることもできる。
【0027】
また、前記第1のダイオードと、前記第2のスイッチング素子のいずれかと、を有する直列回路に対して並列に接続され、前記第1のダイオードと同方向の整流特性を有する第4のダイオードをさらに備えたものとすることもできる。
【0028】
一方、本発明の第2の電源は、複数のインバータを備えた電源であって、
前記複数のインバータのそれぞれが有するスイッチング素子を駆動する制御回路に対してひとつの電圧源から電流を供給し、前記複数のインバータのそれぞれを流れる電流が、前記電圧源を介して他のインバータに流れないようにダイオードを設けたことを特徴とする。
【0029】
上記構成によれば、インバータの使用効率が高く、装置もコンパクト化することが可能となる。
【0030】
ここで、前記複数の電源ブロックのそれぞれに対応して設けられた複数のインバータをさらに備え、
前記複数のインバータのそれぞれが有するスイッチング素子を駆動する制御回路に対してひとつの電圧源から電流を供給し、前記複数のインバータのそれぞれを流れる電流が、前記電圧源を介して他のインバータに流れないようにダイオードを設けたものとすることができる。
【0031】
また、前記制御回路と前記電圧源との間に、抵抗とコンデンサとを有するフィルタを設けたものとすることもできる。
【0032】
一方、本発明のスパッタ用電源は、ターゲットをスパッタして薄膜を形成するスパッタ用電源であって、上記いずれかの電源を備え、前記順方向の電力を前記ターゲットに与えて前記スパッタを実施可能としたことを特徴とする。
【0033】
または、本発明のスパッタ用電源は、ターゲットをスパッタして薄膜を形成するスパッタ用電源であって、上記のいずれかの電源を備え、前記順方向の電力を前記ターゲットに与えて前記スパッタを実施可能とし、前記インピーダンスの低下は、前記スパッタの際のアーク放電の発生によるものであることを特徴とする。
【0034】
または、本発明のスパッタ用電源は、ターゲットをスパッタして薄膜を形成するスパッタ用電源であって、上記いずれかの電源を2台以上備え、前記2台以上の電源の出力を並列に接続して前記順方向の電力を前記ターゲットに与えて前記スパッタを実施可能とし、前記2台以上の電源のいずれかにおいて、前記複数の電源ブロックの接続が直列とされたときは、他の電源においても、前記複数の電源ブロックの接続が直列とされることを特徴とする。
【0035】
一方、本発明のスパッタ装置は、上記いずれかのスパッタ用電源と、前記ターゲットを収容可能とし大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な真空チャンバと、を備えたことを特徴とする。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0037】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態として、複数のインバータ出力の接続関係を直列にも並列にも変えることができる電源について説明する。
【0038】
図1は、本実施形態にかかる電源の要部を表す模式図である。
【0039】
すなわち、同図は、図16に表した電源に対して本実施形態を適用した具体例を表す。図1の電源の構成及び動作については、図16に関して前述したものと同様の要素に同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0040】
本具体例の電源は、インバータ出力を含んだ2つの電源ブロックPB1、PB2を有する。それぞれの電源ブロックは、それぞれ別々のインバータ(図示せず)及び別々のトランス出力に結合されている。各電源ブロックは、整流器(DB1、DB2)とインダクタ(L1、L2)とを有する。これら電源ブロックPB1、PB2は、並列接続用スイッチング素子Q11と直列接続用スイッチング素子Q12とに接続されている。
【0041】
そして、グロー放電の点火時は、これら電源ブロックPB1、PB2を直列に接続することより出力電圧を大きくすることができる。また一方、スパッタ時には、これら出力ブロックを並列接続して、出力電流の容量を大きくすることができる。
【0042】
これらスイッチング素子Q11、Q12の動作は、出力電流センサCsen1及び出力電圧センサVsenの測定結果に基づいて制御される。すなわち、これらのセンサの計測結果をヒステリシス・コンパレータ(comp+H)に入力し、所定値に到達したか否かを判断する。所定値に到達したことを表す到達信号には、RCフィルタでサージ電流による誤動作防止を施して、直列運転用のSP信号を生成する。
【0043】
SP信号は、フォトカプラPCを介して、スイッチング素子Q11、Q12に供給される。SP信号がローレベル(low level)の時は、直列接続用スイッチング素子Q12をオン(ON)し、並列接続用スイッチング素子Q11をオフ(OFF)する。一方、SP信号がハイレベル(high level)の時は、直列接続用スイッチング素子Q12をオフし、並列接続用スイッチング素子Q11をオンし、電流指令値を1/2に減じる回路を動作させる。
【0044】
一方、それぞれの電源ブロックPB1、PB2にはインダクタ電流をモニタするための個別電流センサCsen2、Csen3が設けられ、この測定結果に基づいて、電源はアーク遮断動作状態も含めた定電流制御を行うことができる。
【0045】
以下、本実施形態の電源の動作について具体的に説明する。なお、以下の具体例は、電源ブロックPB1、PB2の最大出力が、電流6アンペア、電圧750ボルトの場合である。
【0046】
まず、起動から点火に至る動作は以下の如くである。すなわち、インバータの起動時は、電源からの出力電圧は0ボルト、出力電流は0アンペアなので、スイッチング素子Q11はオフで、スイッチング素子Q12はオンとされる。よって電源ブロックPB1、PB2は直列接続され、点火電圧としては、例えば、最大でマイナス1500Vを出力することができる。
【0047】
放電が始まって電流が流れ始めて閾値0.6Aを超えると、スイッチング素子Q11はオン、スイッチング素子Q12はオフとされる。この時、通常のスパッタ装置においては、出力電流は1.2アンペアから更に上昇する。
【0048】
またここで、点火時の電源出力にはサージ電流が流れる場合が多いので、点火したか否かの判断は、出力電流が所定値を連続して超過する時間により行う。そして、放電を開始した電流が途切れないように、回路ブロックの接続切替はスイッチング素子により瞬時に行う。
【0049】
スパッタが開始すると、電源はPWM(pulse wave modulation)制御により所定の電力に達するようにインバータのデューティー比を調整する。スパッタ時の電源定格電流は、(6アンペア×2=12アンペア)に対して、並列接続に切り替える閾値を、例えば定格5パーセントの0.6アンペアとすることができる。並列接続時には、必要とされる出力電流センサCsen1の電流値の1/2を指令電流とし、それぞれの電源ブロックPB1、PB2は、この指令電流を得ることを目標に、それぞれのインダクタ電流を個別に帰還制御する。
【0050】
また、スパッタ中に、適当なタイミングで一時的にスイッチング素子Q5を開き、インダクタL1の電流で逆電圧源C1を充電する。
【0051】
一方、スパッタ中にアーク放電が発生した場合には、アークセンサAsenが出力電圧の低下によりアーク放電を検出する。すると、並列接続用スイッチング素子Q11を開いて、アーク遮断動作を開始する。これは、図16に関して前述した如くであり、トランジスタQ5、Q6を開いてインバータ出力を遮断する。同時に、スイッチング回路IGBT1及びIGBT2を閉じて、コンデンサC1からの逆方向電圧を出力することよりアーク放電を急速に遮断する。この時、逆電圧源C1からの電流は、IGBT1、Q12、C2、IGBT2、出力ケーブル120A、Bを経てチャンバへ接続され、C2が充電されると逆電圧の出力が停止する。一方、スイッチング回路IGBT1、2によりそれぞれ閉回路を形成し、インダクタL1、L2の電流を保存する。
【0052】
アーク放電が消弧すると、電源の動作はスパッタ状態に戻るが、コンデンサC2が逆電圧源C1で充電されているので、インダクタL2の電流はコンデンサC2を流れて放電しつつ、整流器DB2を流れ、全て放電するとダイオードDA2を流れてコンデンサC2の逆充電を防止する。
【0053】
一方、スパッタ中に雰囲気ガス圧力の変動などの原因により、プラズマが失火することかある。このような場合には、プラズマを再点火する必要がある。そこで、放電中の出力電圧が所定値を所定時間上回ったら失火と判断して、電源ブロックを直列接続させて点火動作に切り替える。スパッタ定格電圧であるマイナス750ボルトに対して、直列接続に切り替える閾値は、例えばマイナス1000ボルトとすることができる。直列接続に切り替えると、電源の点火定格電圧を、マイナス750ボルト×2=マイナス1500ボルトとすることができる。
【0054】
ここで、プラズマが失火する時、プラズマの衰退速度がインダクタ電流の減少より早いと、出力電圧は、インダクタ電流により急速に上昇して、並列接続時の最大値であるマイナス750Vを超過する。この時、電圧がさらに上昇して、例えばマイナス1000Vに達すると、電源ブロックPB1、PB2を直列接続に切り替える。
【0055】
直列接続に切り替えると出力電流は切替前の1/2になるが、電源の出力耐圧が2倍になり、過電圧による電源ブロックの回路破損を防ぐことができる。
【0056】
なお、図1に表した具体例の電源の場合、電源ブロックPB1、PB2毎にインダクタ電流センサCsen2、Csen3を設け、これら電流センサの測定結果により、電源ブロックはアーク遮断時を含む定電流制御を行う。ここで、直列接続時の電流制御は、複数のインダクタ電流センサ(Csen2、Csen3)の平均値を採用するが、簡易的には、いずれか一つのインダクタ電流センサの計測値を用いても良い。
【0057】
一方、並列接続時の電流制御は、指令電流を並列に接続した電源ブロックの数(図1の場合には2である)で分割し、ブロック毎のインダクタ電流センサ(Csen2、Csen3)を用いて制御する。
【0058】
また、本実施形態の電源を複数台、並列に接続して動作させることもできる。
【0059】
図2は、このような複数の電源を用いたスパッタ装置を表す模式図である。すなわち、本実施形態の電源110が複数台設けられ、これらの出力は並列に接続されてチャンバ及びターゲットに接続されている
このような複数台の並列運転の場合には、図2に例示したように、各電源110のSP端子とグラウンド(GND)端子をそれぞれ並列に接続する。このようにすれば、電源110の何れかがその内部の電源ブロックを直列接続にした場合、SP信号がローレベルになるので、他の全ての電源110もその内部の電源ブロックを直列接続に切り替える。
【0060】
このようにして、並列接続された電源110同士の出力電圧のバランスをとることができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態によれば、高電圧が必要だが電流が少なくてよいプラズマ点火時や失火時には、電源ブロックを直列接続するので、高い電圧を出力できる。一方、大電流が必要だが電圧が低くてよいスパッタ時には、電源ブロックを並列接続するので、直列動作時の2倍の電流容量が得られる。その結果として、インバータの運転効率が向上し、電源の小型化、低コスト化が可能となる。
【0062】
図3は、本実施形態の変形例の電源を表す模式図である。同図については、図1及び図16に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0063】
本変形例の場合、図1に表した並列接続用スイッチング素子Q11を省略している。この場合には、スイッチング素子Q12のオン、オフにより、直列接続、並列接続を切り替えることができる。このようにしても、図1に関して前述したものと同様の効果が得られる。
【0064】
一方、図1及び図3には2つの電源ブロックを有する電源を例示したが、本実施形態はこれには限定されない。
【0065】
図4は、4つの電源ブロックを有する電源の初段部を表した模式図である。同図についても、図1、図3及び図16に関して前述したものと同様の要素には同様の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0066】
本変形例の場合、4つの電源ブロックPB1〜PB4が、スイッチング素子Q11〜Q14により接続されている。そして、直列接続時には、これら4つの電源ブロックを直列に接続して各ブロックの4倍の電圧を出力できる。一方、並列接続時には、これら電源ブロックを2台ずつ並列に接続し、各ブロックの2倍の電流容量と電圧とを出力することができる。
【0067】
すなわち、点火時は、Q5〜Q8、Q12〜Q14を閉じ、Q11、IGBT1〜IGBT4を開いて、4つの電源ブロックPB1〜PB4の出力を直列接続して高電圧を出力する。
【0068】
また、スパッタ時は、Q5〜Q8、Q11を閉じ、Q12〜Q14、IGBT1〜IGBT4を開いて、2つの電源ブロックの出力を並列接続して電流容量を拡大し、かつその2組を直列接続して出力する。
【0069】
インダクタL1の電流が規定値に達したらQ5を開いて、D1を経て逆電源用コンデンサC1を規定の電圧(例えば、200V)に充電する。
【0070】
一方、スパッタ中にアーク放電が発生し、アークセンサがチャンバの電圧低下を出力電圧の低下として検知すると、スイッチング素子Q12〜Q14、IGBT1〜IGBT4を閉じ、Q5〜Q8を開いて出力電流を遮断する。さらにコンデンサC1からIGBT1、Q12、C2、IGBT2、Q13、C3、IGBT3、Q14、C4、IGBT4の経路で逆電圧を出力してアーク放電を急速遮断する。これを「遮断期間」と称する。
【0071】
なお、アーク遮断中に逆方向アークが生ずると、逆方向電流によってコンデンサC2〜C4がC1の電圧まで充電され、逆方向電圧の出力がなくなるので逆方向アークの電流が遮断される。
【0072】
アーク放電に対する「遮断期間」を経過すると、次に、「復旧期間」に入る。
「復旧期間」においては、スイッチング素子IGBT1〜IGBT4を開いて、スイッチング素子Q5〜Q8、Q12〜Q14を閉じて、順方向(スパッタを実施する電圧方向)の電流出力を再開する。
【0073】
「復旧期間」の後にアーク放電を検知したら、上述した「遮断期間」の動作を繰り返し、アーク放電を検知しなければ、Q12〜Q14を開いてスパッタ電流を出力する。
【0074】
以上説明した本変形例においても、高電圧が必要だが電流が少なくてよいプラズマ点火時や失火時には、4つの電源ブロックを直列接続するので、高い電圧を出力できる。一方、大電流が必要だが電圧が低くてよいスパッタ時には、4つの電源ブロックを2つずつ並列接続するので、直列動作時の2倍の電流容量が得られる。その結果として、インバータの運転効率が向上し、電源の小型化、低コスト化が可能となる。
【0075】
なお、本実施形態は図示した具体例には限定されず、例えば、電源ブロックの数についても、2つあるいは4つ以外にも、任意の複数のブロックを用いて同様の効果が得られる。
【0076】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態として、図4の如く、複数の電源ブロックを有する電源において、さらに構造を簡略とし、部品点数を減らして小型化・低コスト化が可能な電源について説明する。
【0077】
図5は、本実施形態にかかる電源の要部を表す模式図である。
【0078】
また、図6は、比較例の電源の要部を表す模式図である。
【0079】
図5及び図6は、第1実施形態に関して前述した図4に対応するものであり、電源の初段部の具体例を表す。
【0080】
まず、図6の比較例について説明すると、その回路構成及び動作は、図4に表したものと同様である。ここで、各スイッチング素子を駆動する、すなわちオン・オフを制御する駆動用電圧源(図示せず)について説明すると、電位が異なるスイッチング素子については、それぞれ別の駆動用電圧源が必要である。
【0081】
図6の電源の場合、4つの電源ブロックPB1〜PB4は、直列に接続される場合があるので、それぞれに内蔵されるスイッチング素子の電位は異なる場合が生ずる。これを考慮すると、スイッチング素子Q11とQ23、Q21とQ33、Q31とQ43、Q41を駆動する4台の駆動用電圧源の他に、スイッチング素子Q22、Q32、Q42をそれぞれ駆動する4台の駆動用電圧源が必要である。つまり、8台の駆動用電圧源が必要となるため、電源全体の構造が複雑になる。
【0082】
また、トランスT1〜T4の電圧出力が無い時のインダクタ電流は、それぞれ整流器DB1〜DB4とスイッチング素子Q12、Q22、Q32、Q42とダイオードD13、D23、D33、D43を流れるが、その電圧降下による発熱が大きい。
【0083】
例えば、ひとつのダイオード素子における電圧降下を1.1ボルトとし、ひとつのスイッチング素子(トランジスタ)の電圧降下を2ボルトとすると、並列接続時のインダクタL4を出た電流は、インダクタL2に着くまでに約5.3ボルトだけ降下する。この電圧降下は発熱を生ずるので、放熱器や冷却ファンが大きくする必要があり、電源が大きくなる。
【0084】
本実施形態においては、これらの点に改善を加えた電源を提供する。
【0085】
図5に表した本実施形態の電源について、図6の比較例と比べつつ説明すると、以下の如くである。
【0086】
まず、図6におけるスイッチング素子Q22、Q32、Q42の配置を、ダイオードD13、D23、D33の上流(図中では下方)側に変更して、スイッチング素子Q13、Q22、Q32としている。また、図6におけるスイッチング素子Q22は、図5においてはスイッチング素子Q13と一体化し、スイッチング素子Q12と同じ駆動用電圧源(図示せず)で駆動する。同様に、図5において、スイッチング素子Q22は、スイッチング素子Q11、Q23と同じ駆動用電圧源で駆動し、スイッチング素子Q32はスイッチング素子Q21、Q33と同じ駆動用電圧源で駆動する。
【0087】
つまり、本実施形態においては、スイッチング素子Q12とQ13、Q11とQ22とQ23、Q21とQ32とQ33、Q31とQ43、Q41をそれぞれ同電位に配置した。その結果として、図6の比較例では8台の駆動用電圧源が必要であったものを、5台の駆動用電圧源で動作させることができる。
【0088】
また、このようなスイッチング素子の配置の変更に伴い、ダイオードD24、D34、D44を設けて逆方向電流の流入経路を確保している。さらに、コンデンサC2、C3、C4に、それぞれスイッチング・ダイオードD25、D35、D45を直列に接続してインバータ電流の流入を防いでいる。
【0089】
以下、本実施形態の電源の動作について説明する。
【0090】
まず、電源起動の起動に際しては、スイッチング素子Q12、Q23、Q33、Q43を閉じ、Q11、Q13、Q21、Q22、Q31、Q32、Q41を開く。これにより、図示した初段部のN端子とP端子との間に、図7に表したように、以下の閉回路が形成される。N端子−L4−DB4−Q43−L3−DB3−Q33−L2−DB2−Q23−L1−DB1−Q12−P端子−チャンバ。
【0091】
インバータが起動すると、整流器DB1〜DB4でそれぞれ整流した直流電圧が直列接続されてチャンバへ供給される。
【0092】
そして、出力電流の上昇によってプラズマの点火を確認すると、スイッチング素子Q13、Q22、Q32を閉じて、Q23,33,43を開く。その結果、隣接する電源ブロックが並列接続され、(2並列)×(2直列)の接続により、N端子からの電流は2系統でP端子につながれる。
【0093】
図8に表したように、第1の電流の流れは、N端子−D43−L3−DB3−D23−Q22−L1−DB1−Q12−P端子であり、第2の電流の流れは、N端子−L4−DB4−D33−Q32−L2−DB2−D13−Q13−P端子となる。
【0094】
次に、アーク放電が発生した時の遮断動作について説明する。電源がアーク放電を検知すると、スイッチング素子Q11、Q21、Q31、Q41を閉じ、それ以外のスイッチング素子を開く。すると、インダクタL1〜L4の電流は、それぞれQ11+D11、Q21+D21、Q31+D31、Q41+D41の閉回路により短絡され、アーク遮断動作の終了まで保存される。
【0095】
一方、P端子に接続したコンデンサC1の充電電圧が、図9に表したように、Q11−D24−C2−Q21−D34−C3−Q31−D44−C4−Q41を経てN端子に誘導されるので、チャンバはスパッタ時とは逆方向の電圧にバイアスされてアーク放電が短時間に消弧する。
【0096】
上述したアーク遮断が規定の遮断時間(「遮断期間))に達すると、「復旧期間」に入る。「復旧期間」には、スイッチング素子Q13、Q22、Q32を閉じて、Q23,33,43を開いて電流出力を再開する。「復旧期間」には、放電電圧に係らず、この状態を維持する。
【0097】
「復旧期間」が終了した時点でアークを検知していたら、再び「遮断期間」に入り、上述したアーク遮断を行う。一方、「復旧期間」の後にアーク放電を検知しなければスパッタを継続する。
【0098】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の電源ブロックを直列にも並列にも接続でき、さらに、スイッチング素子の駆動用電圧源の数を減らして回路構成を簡潔にすることができる。また、トランス出力が無い状態でのインダクタ電流の損失も低減することができる。
【0099】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0100】
図10は、本実施形態の第1の変形例の電源の初段部を表す模式図である。同図については、図1乃至図9に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0101】
本変形例の場合、インバータの整流器DB1〜DB4とそれぞれ並列にバイパスダイオードD16、D26、D36、D46を設けている。これらバイパスダイオードは、直列接続時のバイアスダイオードD13、D23、D33とインバータ電流遮断用トランジスタQ22、Q32の電流を迂回する役割を有する。これらバイパスダイオードを設けることにより、トランスの出力電圧が無い時のインダクタ電流の損失を低減できる。
【0102】
以下、トランスの出力電圧が無い時のインダクタ電流の経路について、例えばインダクタL4を例に挙げて説明する。
【0103】
トランスの出力電圧がある時にインダクタL4を出た電流は、トランスT4、整流器DB4、ダイオードD33、スイッチング素子Q32を流れる。これに対して、トランスの出力電圧が無い時にインダクタL4の電流が流れるのはダイオードD41、D46だけである。すなわち、ひつとのダイオード素子の電圧降下を1.1ボルトとすると、インダクタ電流の電圧降下は2.2ボルトで済む。その結果として、損失を低減し、発熱も抑制できる。
【0104】
また、本変形例の電源の場合、アーク遮断のための「遮断期間」においては、電源の出力端子からチャンバまでの経路(例えば、電源ケーブル120A、120B)の寄生インダクタンス成分に充電された電流は、N端子−D43−L3−D31−D36−Q11−C1−P端子を流れて、コンデンサC1に吸収される。
【0105】
図11は、本実施形態の第2の変形例の電源の初段部を表す模式図である。同図についても、図1乃至図10に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0106】
本変形例の場合、バイパスダイオードD16、D26、D36、D46は、それぞれインダクタL1〜L4の一端に直接、接続されている。図10の変形例と比較すると、これらバイパスダイオードが、ダイオードD11、D21、D31、D41と直列に接続されてない点が異なる。
【0107】
このようにすると、トランス出力電圧が無い状態でのインダクタ電流のパイパス経路の素子数をさらに減らすことができる。例えば、インダクタL4を流れる電流を例に挙げて説明すると、図10の電源の場合、トランス出力が無い状態でのインダクタL4の電流の迂回路は、ダイオードD41とパイパスダイオードD46とにより形成される。これに対して、図11の電源の場合、インダクタL4の電流迂回路は、パイパスダイオードD46のみにより形成される。
【0108】
つまり、本変形例の場合、パイパスダイオードD46の電圧降下を1.1ボルトとすると、インダクタ電流の電圧降下は1.1ボルトで済む。その結果として、損失をさらに低減し、発熱もさらに抑制できる。
【0109】
但し、本変形例の場合、パイパスダイオードD46のみによって電源ブロックひとつ分の電圧を負担するので、耐圧の高い素子を採用する必要がある。例えば、それぞれの電源ブロックの出力電圧を775ボルトとした場合には、本変形例のバイパスダイオードは、775ボルト以上の耐圧を持つことが必要である。
【0110】
これに対して、図10の電源の場合、例えば、インダクタL4については、ダイオードD41とパイパスダイオードD46によって電源ブロックの電圧を分担するので、それぞれのダイオードの耐圧は、775ボルトの半分で済む。
【0111】
従って、インダクタ電流の損失を重視するか、それとも素子の耐圧を重視するか、を適宜考慮して、図10または図11の構成を採用すればよい。
【0112】
以上説明したように、本実施形態によれば、まず、インバータ・トランスの2次側に位置するスイッチング素子の駆動用電圧源の数が、少なくて済む。例えば、電源ブロックが4つの場合は、8個必要だったものが5個で済み、電源ブロックが6つの場合は、12個必要だったものが7個で済む。
【0113】
また、本実施形態によれば、パイパスを設けることにより、インバータ・トランスの出力電圧が無い時のインダクタの回生電流の電圧落差が少なくなる。例えば、インダクタL4について説明すると、電圧損失を5.3ボルトから2.2ボルトまで低減し、さらに1.1ボルトにまで低減することも可能である。従って、この部分の発熱量が58パーセント低減し、さらに80パーセント低減することもできる。電圧降下の低減は電力損失を低減するので、省エネルギーと冷却性能の簡素化が可能となる。
【0114】
これらの効果により、電源の小型化が可能となる。
【0115】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態として、第1及び第2実施形態に関して前述したように複数のインバータを有する電源におけるインバータ駆動用の電圧源の数を減らした電源について説明する。
【0116】
まず、本発明者が本実施形態に至る過程で試作した電源について説明する。
【0117】
図12は、本発明者が本実施形態に至る過程で試作した電源の一部を表す模式図である。すなわち、同図は、電源のインバータを表し、例えば、第1及び第2実施形態の電源ブロックのそれぞれが有するトランスの一次側を表す。なお、ここでは、一例として2セットのインバータを表したが、インバータの数は、電源ブロックの数に対応するので、例えば、電源ブロックが4つあれば、インバータも4セット必要である。
【0118】
さて、図12の回路について説明すると、2セットのインバータ(Q111、Q112、C112、C113)と(Q121、Q122、C122、C123)の出力を、それぞれトランスT1、T2を介して整流・平滑してチャンバへ供給する。
【0119】
各インバータへの入力は、3相交流(R、T、S)をそれぞれダイオードDB11、DB21で整流して供給する。複数のインバータに対して、ひとつの整流ダイオード・ブリッジから電流を供給する回路も考えられる。しかし、このようにすると、整流ダイオードの発熱が1箇所に集中して放熱性能が低下するので好ましくない。
【0120】
インバータのトランジスタQ111、Q121を駆動・制御する回路U11、U21およびトランジスタQ111、Q121を駆動・制御する回路U12、U22の電源は、それぞれ絶縁された電圧源DC11、DC12から、電圧を調整するレギュレータREG1、REG2を介して供給する。
【0121】
しかし、図12に表した回路の場合、整流ダイオード・ブリッジで分割されるインバータ群毎に直流電圧源DC11、DC12が必要である。従って、これら駆動用電圧源を収納する電源は大規模化するという問題がある。
【0122】
これに対して、本実施形態によれば、ひとつの駆動用電圧源で複数のインバータを駆動できる電源を提供する。
【0123】
図13は、本実施形態の電源の一部を表す模式図である。すなわち、同図は、図12に対応するものであり、インバータ・トランスの一次側を表す。図13については、図12に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0124】
本具体例の電源においては、2つのインバータの駆動回路U11、U12は、ひとつの直流電圧源DC11で駆動し、それぞれ調整器REG1、REG2で安定化している。すなわち、複数のインバータ駆動回路に対してひとつの駆動用電源DC11から、インバータ駆動回路の直流電流だけを供給する。
【0125】
そして、電圧源DC11の負極側の出力線N1は、整流ダイオードD111、D121を介して調整器REG1、REG2の基準点GNDに接続されている。このような整流ダイオードD111、D121を設けることにより、インバータ電流の回り込みを防ぐことができる。
【0126】
さらに、インバータ間の電位差の変動が電源ノイズとしてインバータ駆動回路に侵入しないように、抵抗R111、R112と、コンデンサC114、C124とにより構成されたノイズフィルタが設けられている。
【0127】
回路構成の具体例について説明すると、調整器REG1、REG2の入力には、直流電圧源DC1の正極側の出力線P1から、例えば、抵抗R111、R112=10ΩとコンデンサC114、C124=0.1μFとで構成するノイズフィルタを介して接続する。
【0128】
ここで、直流電圧源DC11の出力電圧Vdc1は、以下の範囲にあることが望ましい。
Figure 2004229401
すなわち、Vdc1は、(調整器の入力最大電圧)−(インバータ間の電位差)よりも大きく、(調整器出力電圧)+(調整代)+(フィルタ電圧降下)+(インバータ間の電位差)よりも小さいことが望ましい。
【0129】
具体的な数値を紹介すると、例えば、以下の如くである。
Figure 2004229401
次に、本実施形態の電源の動作について具体的な数字を例示しつつ説明する。
【0130】
まず、各インバータには、3相交流200ボルトを整流・平滑した直流約300ボルトを供給し、インバータのスイッチング動作によりトランスT1、T2を介して交流電圧を出力する。トランス出力は、図示しない整流ダイオード(例えば、図1に表したDB1、DB2など)によってそれぞれ整流されインダクタ(例えば、図1に表したL1、L2など)で電流を平滑して出力される。
【0131】
インバータ電流は、交流電源R、S、Tからダイオード・ブリッジDB11、DB21とスイッチング素子(Q111、Q112、Q121、Q122)とコンデンサ(C112、C113、C122、C123)へ導入され、同じダイオード・ブリッジを経て交流電源に戻る。負荷電流が少ない時は、交流電源R、S、Tの代わりに、コンデンサC111、C121から供給される。
【0132】
戻り電流は、整流ダイオードD111、D112が逆方向になるので、N1を介して他ブロックへ流れない。つまり、これら整流ダイオードにより、戻り電流を遮断できる。
【0133】
2つのインバータが同じ電位(COM1=COM2)で動作する場合は、調整器REG1の電流は、直流電源DC11から抵抗R111を通って供給し、帰りはD111を経てDC11に戻る。
【0134】
調整器REG2に関しても同様であり、伝送途中で混入したノイズはR112とC124からなるフィルタで除去される。
【0135】
インバータ電位が異なる(COM1>COM2)電位で動作する場合には、N1の電位は、COM1とほぼ同電位になる。これに対してCOM2の電位は、N1より下がるため、戻り電流がD121を流れず、COM2からDB21、交流電圧源RST、DB11、インバータ(Q111、Q112、C111、C112)、COM1、D111を経て、DC11へ帰還する。この時も、インバータ電流がN1を介して他ブロックへ流入することは無い。
【0136】
COM1<COM2の場合や、3ブロック以上のインバータを並列接続した場合も同様である。
【0137】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数のインバータをひとつの駆動用電圧源により駆動できるので、回路構成を簡略化することができる。その結果として、部品点数を減らし、電源のサイズを小型化し、低コストで高性能の電源を提供できる。
【0138】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態として、第1乃至第3の実施の形態に関して前述したいずれかの電源を用いたマグネトロン用の電源システムについて説明する。すなわち、マグネトロンに順方向電力を供給して発振動作を生じさせ、またその運転条件に応じて複数の電源ブロックを直列に接続したり並列に接続することができる。。
【0139】
図14は、本発明の電源をマグネトロンの発振に用いた構成を例示する概念図である。すなわち、同図は、マグネトロンを用いたマイクロ波発生システムを表す。
【0140】
このシステムの電源110は、所定の直流高電圧をマグネトロン200に印加して発振させる。この電源110として、図1乃至図13に関して前述した本発明の電源を用いることができる。マグネトロン200の発振により生じたマイクロ波電力は、導波管を伝送路としてアイソレータ310、マイクロ波センサ320、マイクロ波整合器340を介して、負荷500に供給される。また、センサ320からはフィードバック信号FSが、電源110のインバータに与えられ、マイクロ波の出力電力の制御が行われる。
【0141】
このようなシステムの場合にも、マグネトロン200の特性や状態あるいは要求されるマイクロ波の出力レベルに応じてに複数の電源ブロックを直列に接続したり、並列に接続して、効率のよい運転が可能となる。
【0142】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0143】
例えば、図1乃至図13においては、2つあるいは4つの電源ブロックまたはインバータを設けた電源を例示したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明は、これら以外の複数のインバータを設けた、いわゆる「多段インバータ構成」の電源についても同様に適用して同様の作用効果を得ることができる。
【0144】
また一方、本発明の電源、スパッタ用電源及びスパッタ装置における各部の構成、構造、数、配置、形状、材質などに関しては、上記具体例に限定されず、当業者が適宜選択採用したものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に包含される。
【0145】
より具体的には、例えば、スイッチング素子またはスイッチング回路としてMOSトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)の記号により例示したものや、保護用素子としてバリスタの記号により例示したものなどは、これら特定の電気素子には限定されず、同様の機能または作用を有する単一の電気素子あるいは複数の電気素子を含む電気回路として構成することができ、これらすべての変形は、本発明の範囲に包含される。
【0146】
また、同様に、インバータやコンパレータ、論理回路、保護回路などの具体的な構成や、ダイオード、抵抗、トランジスタをはじめとする各回路素子の数や配置関係などについても、当業者が適宜設計変更したものは本発明の範囲に包含される。
【0147】
また、本発明の電源は、スパッタ装置やマグネトロンの発振の他にも、各種のプラズマ応用機器や、レーザ発振、電力スイッチング装置などの各種の用途に用いて同様の効果を得ることができる。
【0148】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての電源、スパッタ用電源及びスパッタ装置は本発明の範囲に包含される。
【0149】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の電源ブロックの接続関係を直列にも並列にも可変とすることにより、高電圧と大電流の要求にそれぞれ応えることができ、同時に、インバータの運転効率が向上し、電源の小型化、低コスト化が可能となる。
【0150】
また、本発明によれば、インバータ・トランスの2次側に位置するスイッチング素子の数を減らすことも可能となる。
【0151】
また、本発明によれば、パイパスを設けることにより、インバータ・トランスの出力電圧が無い時のインダクタの回生電流の損失を低減することもできる。
【0152】
また、本発明によれば、複数のインバータをひとつの駆動用電圧源により駆動できるので、回路構成を簡略化することができる。その結果として、部品点数を減らし、電源のサイズを小型化し、低コストで高性能の電源を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる電源の要部を表す模式図である。
【図2】複数の電源を並列接続したスパッタ装置を表す模式図である。
【図3】第1実施形態の変形例の電源を表す模式図である。
【図4】4つの電源ブロックを有する電源の初段部を表した模式図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかる電源の要部を表す模式図である。
【図6】比較例の電源の要部を表す模式図である。
【図7】直列接続時の電流経路を表す模式図である。
【図8】並列接続時の電流経路を表す模式図である。
【図9】アーク遮断時の電流経路を表す模式図である。
【図10】第2実施形態の第1の変形例の電源の初段部を表す模式図である。
【図11】第2実施形態の第2の変形例の電源の初段部を表す模式図である。
【図12】本発明者が本発明の第3実施形態に至る過程で試作した電源の一部を表す模式図である。
【図13】本発明の第3実施形態の電源の一部を表す模式図である。
【図14】本発明の電源をマグネトロンの発振に用いた構成を例示する概念図である。
【図15】DC(direct current)スパッタ装置の要部構成を表す模式図である。
【図16】本発明者が本発明に至る過程で試作したスパッタ用電源の要部を表す模式図である。
【符号の説明】
100 基板
101 チャンバ
104 ターゲット
106 ポンプ
107 ガス供給源
108 グロー放電
110 電源
120A、120B 接続ケーブル
150 アーク放電
200 マグネトロン
310 アイソレータ
320 センサ
340 マイクロ波整合器
500 負荷
Asen アークセンサ
Csen1 出力電流センサ
Csen2、Csen3 インダクタ電流センサ

Claims (19)

  1. 交流電流を整流する第1のダイオードと、前記第1のダイオードにより整流された電流を平滑化するインダクタと、を有する電源ブロックを複数備え、
    前記複数の電源ブロックの接続を直列にも並列にも切り替えて順方向の電力を出力可能としたことを特徴とする電源。
  2. 前記直列は、前記複数の電源ブロックの全てを直列に接続した状態であり、
    前記並列は、2以上の前記電源ブロックを並列に接続しその2組以上を直列に接続した状態であることを特徴とする請求項1記載の電源。
  3. 負荷を流れる電流が一定値に至らないときまたは負荷に印加される電圧が一定値を超えたときに、前記複数の電源ブロックの接続を直列とすることを特徴とする請求項1または2に記載の電源。
  4. 前記複数の電源ブロックの接続が直列の場合には、前記複数の電源ブロックのそれぞれの出力は、前記複数の電源ブロックが有する前記インダクタのいずれかを流れる電流値に基づいて制御され、
    前記複数の電源ブロックの接続が並列の場合には、前記複数の電源ブロックのそれぞれの出力は、それぞれの電源ブロックが有する前記インダクタを流れる電流値に基づいてそれぞれ制御されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電源。
  5. 前記複数の電源ブロックの接続が直列の場合には、前記複数の電源ブロックのそれぞれの出力は、前記複数の電源ブロックが有する前記インダクタを流れる電流の平均値に基づいて制御され、
    前記複数の電源ブロックの接続が並列の場合には、前記複数の電源ブロックのそれぞれの出力は、それぞれの電源ブロックが有する前記インダクタを流れる電流値に基づいてそれぞれ制御されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電源。
  6. 前記複数の電源ブロックの少なくともいずれかは、前記順方向の電力とは逆方向の電圧を発生する逆方向電圧源を有し、
    負荷においてインピーダンスの低下が発生した時に、前記複数の電源ブロックの間の接続を遮断し、前記逆方向電圧源から前記逆方向の電圧を出力することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の電源。
  7. 1つまたは複数の第1のスイッチング素子と、
    1つまたは複数の第2のスイッチング素子と、をさらに備え、
    前記第1のスイッチング素子の閉動作により前記複数の電源ブロックの接続が直列とされ、
    前記第2のスイッチング素子の閉動作により前記複数の電源ブロックの接続が並列とされることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の電源。
  8. 前記第2のスイッチング素子の少なくともいずれかは、前記並列の状態において、前記複数の電源ブロックのいずれかの前記インダクタの一端に接続されていることを特徴とする請求項7記載の電源。
  9. 前記第1のスイッチング素子の少なくともいずれかと前記第2のスイッチング素子の少なくともいずれかとが同一の電圧源により駆動されることを特徴とする請求項7または8に記載の電源。
  10. 前記複数の電源ブロックのそれぞれは、負荷においてインピーダンスの低下が発生した時に、前記インダクタを含む閉回路を形成しそのインダクタの電流を保存する第3のスイッチング素子を有し、
    前記第3のスイッチング素子の少なくともいずれかは、前記第1及び第2のスイッチング素子の少なくともいずれかと同一の電圧源により駆動されることを特徴とする請求項7または8に記載の電源。
  11. 前記複数の電源ブロックのそれぞれは、負荷においてインピーダンスの低下が発生した時に、前記インダクタを含む閉回路を形成しそのインダクタの電流を保存する第3のスイッチング素子を有し、
    前記第1のスイッチング素子のいずれかに一端が接続され、前記複数の電源ブロックの接続が直列のときにそのスイッチング素子を流れる電流に対して逆方向の整流特性を有する第2のダイオードと、
    前記第2のダイオードの他端に直列に接続され、前記第2のダイオードと同方向の整流特性を有する第3のダイオードと、
    前記第2のダイオードと第3のダイオードとの接続中点に一端が接続され、前記第3のスイッチング素子のいずれかに他端が接続されたコンデンサと、をさらに備えたことを特徴とする請求項7〜10のいずれか1つに記載の電源。
  12. 前記第1のダイオードと、前記第2のスイッチング素子のいずれかと、を有する直列回路に対して並列に接続され、前記第1のダイオードと同方向の整流特性を有する第4のダイオードをさらに備えたことを特徴とする請求項7〜11の何れか1つに記載の電源。
  13. 複数のインバータを備えた電源であって、
    前記複数のインバータのそれぞれが有するスイッチング素子を駆動する制御回路に対してひとつの電圧源から電流を供給し、前記複数のインバータのそれぞれを流れる電流が、前記電圧源を介して他のインバータに流れないようにダイオードを設けたことを特徴とする電源。
  14. 前記複数の電源ブロックのそれぞれに対応して設けられた複数のインバータをさらに備え、
    前記複数のインバータのそれぞれが有するスイッチング素子を駆動する制御回路に対してひとつの電圧源から電流を供給し、前記複数のインバータのそれぞれを流れる電流が、前記電圧源を介して他のインバータに流れないようにダイオードを設けたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の電源。
  15. 前記制御回路と前記電圧源との間に、抵抗とコンデンサとを有するフィルタを設けたことを特徴とする請求項13または14に記載の電源。
  16. ターゲットをスパッタして薄膜を形成するスパッタ用電源であって、
    請求項1〜15のいずれか1つに記載の電源を備え、
    前記順方向の電力を前記ターゲットに与えて前記スパッタを実施可能としたことを特徴とするスパッタ用電源。
  17. ターゲットをスパッタして薄膜を形成するスパッタ用電源であって、
    請求項6、10及び11のいずれか1つに記載の電源を備え、
    前記順方向の電力を前記ターゲットに与えて前記スパッタを実施可能とし、
    前記インピーダンスの低下は、前記スパッタの際のアーク放電の発生によるものであることを特徴とするスパッタ用電源。
  18. ターゲットをスパッタして薄膜を形成するスパッタ用電源であって、
    請求項1〜12、14及び15のいずれか1つに記載の電源を2台以上備え、前記2台以上の電源の出力を並列に接続して前記順方向の電力を前記ターゲットに与えて前記スパッタを実施可能とし、
    前記2台以上の電源のいずれかにおいて、前記複数の電源ブロックの接続が直列とされたときは、他の電源においても、前記複数の電源ブロックの接続が直列とされることを特徴とするスパッタ用電源。
  19. 請求項16〜18のいずれか1つに記載のスパッタ用電源と、
    前記ターゲットを収容可能とし大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な真空チャンバと、を備えたことを特徴とするスパッタ装置。
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CN108306279A (zh) * 2017-01-12 2018-07-20 中兴通讯股份有限公司 电源输出控制电路及方法

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