JP2004231784A - 有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム、その製造方法、該フィルムを用いたディスプレイ及びタッチパネル - Google Patents
有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム、その製造方法、該フィルムを用いたディスプレイ及びタッチパネル Download PDFInfo
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Abstract
【課題】透明性・耐熱性が高く、複屈折が少なく、軽くしなやかな基板フィルムを提供し、画像の歪み・色ずれの少ない液晶ディスプレイ・有機ELディスプレイ・タッチパネルを提供する。
【解決手段】セルロースエステルの置換度(DS)が、アセチル置換度をDSace、酢酸以外の第2の酸による置換度をDSsec、DS=DSace+DSsecとするとき、1.0<DS<2.8かつ0<DSace<2.8であるセルロースエステルと、加水分解重縮合が可能な反応性金属化合物の加水分解重縮合物を主成分とする有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムであり、該フィルム中にドメインを有し、その慣性半径の重量比分布の最大が100〜0.5nmであることを特徴とする有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】セルロースエステルの置換度(DS)が、アセチル置換度をDSace、酢酸以外の第2の酸による置換度をDSsec、DS=DSace+DSsecとするとき、1.0<DS<2.8かつ0<DSace<2.8であるセルロースエステルと、加水分解重縮合が可能な反応性金属化合物の加水分解重縮合物を主成分とする有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムであり、該フィルム中にドメインを有し、その慣性半径の重量比分布の最大が100〜0.5nmであることを特徴とする有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、光学特性に優れる樹脂フィルム及びそれを用いた液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル用基板フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示素子、有機EL表示素子等の電子ディスプレイ素子用基板、あるいはCCD、CMOSセンサー等の電子光学素子用基板、あるいは太陽電池用基板としては、熱安定性、透明性の高さ、水蒸気透過性の低さからガラス基板が用いられてきた。しかし、最近携帯電話あるいは携帯用の情報端末の普及に伴い、それらの基板用として割れやすく比較的重いガラスに対し屈曲性に富み割れにくく軽量な基板が求められるようになった。そこでポリエーテルスルホン、ポリカーボネートあるいは特開平5−142525号公報に記載のポリエーテルスルホンとアクリル系基板を張り合わせたプラスチック基板が提案され一部で採用されるようになったが、価格が高価であったり、透過率や複屈折等の光学的性質が充分でない等の理由で普及の妨げになっていた。また、これらの基板フィルムは波長分散特性が負であるため、複屈折を利用した表示方法を採用している、例えば、STN、VAあるいはIPSモードの液晶パネルにおいては可視光の全波長域で偏光の補償ができず、表示色の色ずれの原因となり、また、有機EL表示素子においてはコントラストの低下を起こしていた。一方、波長分散特性が正の樹脂としては、例えばセルロースアセテートプロピオネートなどのセルロース誘導体が挙げられるが、これらは、それ自体では水蒸気透過性が大きすぎ表示素子用基板フィルムとしては不適であった。さらに耐熱性を向上させ、防湿性を高める酸化珪素膜と、透明導電膜とを設けたプラスチックフィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このプラスチックフィルムは、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニールピロリドン、ポリイミド、ポリアミド等の樹脂に対し金属酸化物をナノスケールで混合・相溶させる有機−無機ポリマーハイブリッドという手法である。
【0003】
しかしながら、前記特許文献1記載の液晶表示用フィルムでは、柔軟性、耐折り曲げ性が不充分で、応力がかかった際にガラス基板のように割れると言う短所があり、電子機器用基板としては未だ不十分であることが分かった。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−122038号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の第一の目的はディスプレイ素子用、電子光学素子用、タッチパネル用に、透明性・耐熱性が高く、複屈折が少なく、軽く、しなやかな基板フィルムを提供することである。
【0006】
本発明の第二の目的は、画像の歪み・色ずれの少ない液晶ディスプレイ・有機ELディスプレイ・タッチパネルを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成によって達成される。
【0008】
(1)セルロースエステルの置換度(DS)が、アセチル置換度をDSace、酢酸以外の第2の酸による置換度をDSsec、DS=DSace+DSsecとするとき、1.0<DS<2.8かつ0<DSace<2.8であるセルロースエステルと、加水分解重縮合が可能な反応性金属化合物の加水分解重縮合物を主成分とする有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムであり、該フィルム中にドメインを有し、その慣性半径の重量比分布の最大が100〜0.5nmであることを特徴とする有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【0009】
(2)前記有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム中のドメイン慣性半径の重量比分布の最大が75〜1nmであることを特徴とする(1)に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【0010】
(3)前記有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム中のドメイン慣性半径の重量比分布の最大が30〜1nmであることを特徴とする(1)または(2)に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【0011】
(4)前記反応性金属化合物の金属種に4価の金属を含んでいることを特徴とする(1)から(3)の何れか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【0012】
(5)4価の金属が、ケイ素、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムから選ばれることを特徴とする(4)に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【0013】
(6)加水分解可能な置換基が金属1原子当たり4個である金属の、前記反応性金属化合物中におけるモル含有率が50%以上であることを特徴とする(1)〜(5)の何れか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【0014】
(7)有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムの表面に金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物膜が形成されていることを特徴とする(1)から(6)の何れか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【0015】
(8)金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物膜の金属元素がケイ素、ジルコニウム、チタン、タングステン、タンタル、アルミニウム、亜鉛、インジウム、クロム、バナジウム、ニオブ及び錫から選ばれることを特徴とする(7)に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【0016】
(9)前記(7)または(8)に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムを製造するに当たり、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、少なくとも1種類以上の放電ガスと、少なくとも1種類以上の薄膜形成用ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム基材またはその基材上に形成されたその他の膜上に、該プラズマ状態の薄膜形成用ガスに晒すことによって、該基材上またはその他の膜上に金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物膜を形成することを特徴とする有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムの製造方法。
【0017】
(10)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムにて構成されていることを特徴とする液晶ディスプレイ。
【0018】
(11)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムにて構成されていることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【0019】
(12)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムにて構成されていることを特徴とするタッチパネル。
【0020】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムはそのフィルム中にドメインを有する。ドメインとは周囲と密度が異なる領域である。本発明においてフィルム中にドメインが存在するか否かは透過型電子顕微鏡観察や小角X線散乱測定により知ることができる。
【0021】
本発明において有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム中のドメインサイズの測定は透過型電子顕微鏡観察、X線小角散乱測定により得ることができる。好ましいのはX線小角散乱測定により求める方法である。X線小角散乱法の詳細については例えばX線回折ハンドブック 第3版(理学電機株式会社 2000年発行)を参照することができる。よく知られているように試料中に電子密度の異なる領域が存在すると入射X線方向に散漫な散乱が観測される。この散乱は散乱角0〜5°程度の範囲に観測されるため、これらの散乱は小角散乱と呼ばれる。この散乱曲線に対し、Guinier(ギニエ)プロットあるいはFankuchen法を用いてドメインのサイズを測定する。
【0022】
本発明における有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム中のドメインサイズは球形換算での慣性半径の重量比の最大が100〜0.5nm、好ましくは75〜1nm、さらに好ましくは30〜1nmである。
【0023】
以下、本発明ではこの球形換算での慣性半径の重量比の最大をドメインサイズを称するが、ドメインサイズがこの範囲にあることにより透明性・耐熱性が高く、複屈折が少なく、軽くしなやかな基板フィルムを得ることが可能である。
【0024】
ドメインサイズを本発明の範囲内とするためには有機ポリマーに添加する無機化合物の種類、反応を促進するための触媒を適宜選択し、フィルムの製造にかかわるプロセスを最適にすることで達成できる。具体的には反応を急速に行わせればドメインサイズは大きくなり、その逆に反応を温和に進めればドメインサイズは小さくなる。
【0025】
〈有機−無機ポリマーハイブリッド〉
有機−無機ポリマーハイブリッド(または有機−無機ポリマーコンポジットまたはゾル・ゲル法などと呼ばれる手法が用いられるが、本発明では有機−無機ポリマーハイブリッドと呼称する)とは、有機ポリマーと無機化合物を組み合わせて、双方の特性を持った材料を合成する考え方であるが、有機ポリマーと無機化合物は相溶性に乏しいため、単純に両者を混合するだけでは有用な材料を得ることが難しい。近年になって、無機物を金属アルコキシドのような液体状態から合成する手法が開発されるにいたり、溶液プロセスによって光の波長以下(〜約750nm以下)のナノスケールで有機物と無機物を混合することが可能となり、光学的にも透明で有用な材料が得られるようになってきている。
【0026】
本発明においても、鋭意検討した結果、有機ポリマーであるセルロース誘導体の光学特性や柔軟性に、無機化合物である金属酸化物の安定性、耐熱性を付与することによって、上記課題を達成する基材フィルムを得ることができた。
【0027】
〈有機ポリマー〉
本発明においては、波長分散特性が正である、セルロースエステルが有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムの有機ポリマーとして用いられる。
【0028】
正の波長分散特性とは、該有機ポリマーを可溶な溶媒(例えばアセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、塩化メチレンなどが挙げられ、またこれらの混合溶媒でもよい)に溶解してガラス板上にフィルム厚みが100μmになるように流延し乾燥させたフィルムを作製し、波長600nmにおける面内リターデーション値R(600)を波長450nmにおける面内リターデーション値R(450)で除した値が1より大きいものをいう。
【0029】
波長分散特性が正の基板フィルムにおいては、可視光の全波長領域で偏光の補償が可能であり、複屈折を利用した表示方法を採用している液晶パネルにおいては色ずれがなく、有機EL表示素子においてはコントラストが良好である。
【0030】
波長分散特性が正であるセルロースエステルの例としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテートなどが挙げられる。
【0031】
上記セルロースエステル類であれば本発明の有機−無機ポリマーハイブリッドには好ましく用いられるが、より好ましくはセルロースエステルの置換度が、アセチル置換度をDSace、酢酸以外の第2の酸による置換度をDSsec、DS=DSace+DSsecとしたとき、1.0<DS<2.8かつ0<DSace<2.8であるものである。DSが1.0以下だと複屈折が大きく、透明性・樹脂の溶解性が低下するためであり、一方DSが2.8以上では反応性金属化合物の加水分解重縮合物と水素結合を形成しうるセルロース上の水酸機の密度が少なく、有機材料と無機材料の間の相互作用が弱まって高温時の弾性率が低下し流動しやすくなるためである。好ましいセルロースエステルとしては、置換度が2.0〜2.5であり、更に好ましくは2.3〜2.5であるジアセチルセルロースあるいはアセチルプロピルセルロースが挙げられる。
【0032】
本発明に用いられるセルロース誘導体の原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることが出来る。また、これらから得られたセルロース誘導体は、それぞれを単独であるいは任意の割合で混合使用することが出来るが、綿花リンターを50質量%以上使用することが好ましい。
【0033】
セルロースエステルフィルムの分子量が大きいと弾性率が大きくなるが、分子量を上げすぎるとセルロースエステルの溶解液の粘度が高くなりすぎるため生産性が低下する。セルロースエステルの分子量は数平均分子量(Mn)で70,000〜200,000のものが好ましく、100,000〜200,000のものが更に好ましい。本発明で用いられるセルロースエステルはMw/Mn比が3.0未満であるが、好ましくは1.4〜2.3である。
【0034】
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用い測定できるので、これを用いて数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出し、その比を計算することができる。
【0035】
測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
【0036】
〈無機化合物〉
次に有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムを構成する無機化合物である、金属化合物について説明する。
【0037】
本発明において金属とは、「周期表の化学」岩波書店 斎藤一夫著 p.71記載の金属すなわち半金属性原子を含む金属である。
【0038】
本発明に用いられる加水分解重縮合が可能な反応性金属化合物としては例えば金属アルコキシド、反応性の金属ハロゲン化物が挙げられ、好ましくは金属種が4価の金属のものであり、より好ましくは金属種がケイ素、ジルコニウム、チタンおよびゲルマニウムから選ばれるものであって、なかでも特に好ましくはケイ素である。これらの金属化合物で、加水分解可能な置換基が金属1原子当たり4個である金属が、金属化合物中におけるモル含有率が50%以上であることが好ましい。加水分解可能な置換基が金属1原子当たり4個である金属以外に共存することが望ましい加水分解可能な金属化合物としては、基材フィルムの透湿度を低減する観点から、加水分解されない置換基で該金属1原子当たり1つまたは2つ、あるいは3つ置換されている化合物が挙げられる。このような加水分解されない置換基を有する金属化合物の添加量としては、添加される金属化合物のモル含有率は50%以下が好ましい。
【0039】
このような加水分解されない置換基としては、置換または無置換のアルキル基、または置換または無置換のアリール基が好ましく該アルキル基またはアリール基の置換基としては、アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)、複素環基(たとえばフラン、チオフェン、ピリジン等)アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、アシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アルキルチオ基、グリシジル基、ビニル基、フッ素原子含有アルキル基またはフッ素原子含有アリール基等が挙げられる。
【0040】
このような重縮合可能な反応性金属化合物は、中心金属をM、その原子数をq、加水分解されない置換基をX、その置換基数をp、加水分解可能な置換基をY、その置換基数をrとすると、理想的には下記一般式(1)のように反応が完結し、金属酸化物が得られる。
【0041】
一般式(1) XpMqYr → XpMqOr/2
このように反応が完結したと仮定した、XpMqOr/2の質量を、本発明では有機−無機ポリマーハイブリッド材料の無機物の含有量として算出する。
【0042】
有機−無機ポリマーハイブリッド材料の無機物の含有量としては、有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムの全質量に対して、0.1〜40質量%が好ましい。無機物の添加量が0.1質量%より少ないと有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムの物性改良効果が認められなくなり、40質量%を越えると有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムが脆くなってしまうためである。
【0043】
本発明に用いられる重縮合が可能な反応性金属化合物としては、加水分解可能な置換基が金属1原子当たり2個ある化合物、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、バリウムイソプロポキシド、カルシウムエトキシド、銅エトキシド、マグネシウムエトキシド、マンガンメトキシド、ストロンチウムイソプロポキシド、すずエトキシド、亜鉛メトキシエトキシド等が挙げられる。
【0044】
加水分解可能な置換基が金属1原子当たり3個である化合物、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、アセトキシトリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、メチルトリイソシアナートシラン、フェニルトリイソシアナートシラン、ビニルトリイソシアナートシラン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、アルマトラン、アルミニウムフェノキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、アンチモンエトキシド、ヒ素トリエトキシド、ビスマスt−ペントキシド、クロムイソプロポキシド、エルビウムメトキシエトキシド、ガリウムエトキシド、インジウムメトキシエトキシド、鉄エトキシド、ランタンイソプロポキシド、ネオジウムメトキシエトキシド、プラセオジムメトキシエトキシド、サマリウムイソプロポキシド、バナジウムトリイソブトキシドオキシド、イットリウムイソプロポキシド等が挙げられる。
【0045】
加水分解可能な置換基が金属1原子当たり4個である化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシプロポキシ)シラン、テトラクロロシラン、テトライソシアナートシラン、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンn−ブトキシド、テトラクロロチタン、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−エチルアセトアセテート)、チタンジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、テトラメトキシゲルマン、テトラエトキシゲルマン、テトライソプロポキシゲルマン、テトラn−ブトキシゲルマン、セリウムt−ブトキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウムn−ブトキシド、テルルエトキシド等が挙げられる。
【0046】
加水分解可能な置換基が金属1原子当たり5個である化合物としては、例えば、モリブデンエトキシド、ニオブエトキシド、ニオブn−ブトキシド、タンタルメトキシド、タンタルエトキシド、タンタルn−ブトキシド、タングステン(V)エトキシド等が挙げられる。
【0047】
加水分解可能な置換基が金属1原子当たり6個である化合物としては、例えば、タングステン(VI)エトキシド、タングステン(VI)フェノキシド等が挙げられる。
【0048】
また、本発明に用いられる重縮合が可能な反応性金属化合物としては、分子種内に2つの金属原子を持つダブル金属アルコキシドと呼ばれる化合物でも良い。このようなダブル金属アルコキシドとしては、例えば、ゲレスト社製のアルミニウム銅アルコキシド、アルミニウムチタンアルコキシド、アルミニウムイットリウムアルコキシド、アルミニウムジルコニウムアルコキシド、バリウムチタンアルコキシド、バリウムイットリウムアルコキシド、バリウムジルコニウムアルコキシド、インジウムスズアルコキシド、リチウムニッケルアルコキシド、リチウムニオブアルコキシド、リチウムタンタルアルコキシド、マグネシウムアルミニウムアルコキシド、マグネシウムチタンアルコキシド、マグネシウムジルコニウムアルコキシド、ストロンチウムチタンアルコキシド、ストロンチウムジルコニウムアルコキシド等が挙げられるが、少なくとも、ケイ素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウムのいずれかの金属が含まれているものが好ましい。
【0049】
〈加水分解触媒〉
本発明の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムにおいて無機化合物である、加水分解重縮合可能な反応性金属化合物は、必要に応じて水・触媒を加えて加水分解を起こさせて縮合反応を促進する。
【0050】
しかしフィルムのヘイズ、平面性、製膜速度、溶剤リサイクルなどの生産性の観点から、水分はドープ濃度の0.01%以上2.0%以下の範囲内とすることが好ましい。
【0051】
疎水的な加水分解重縮合可能な反応性金属化合物に水を添加する場合には、加水分解重縮合可能な反応性金属化合物と水が混和しやすいように、メタノール、エタノール、アセトニトリルのような親水性の有機溶媒も添加されていることが好ましい。また、セルロース誘導体のドープに加水分解重縮合可能な反応性金属化合物を添加する際に、ドープからセルロース誘導体が析出しないよう、該セルロース誘導体の良溶媒も添加されていることが好ましい。
【0052】
ここで触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、酢酸、トリフロロ酢酸、レブリン酸、クエン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸等が用いられる。酸を添加しゾル・ゲル反応が進行した後に塩基を加え中和しても良い。塩基を加え中和する場合、乾燥工程前でのアルカリ金属の含有量が5000ppm未満であることが好ましい(ここでアルカリ金属とは、イオン状態のものを含む)。又、ルイス酸、例えばゲルマニウム、チタン、アルミニウム、アンチモン、錫などの金属の酢酸塩、その他の有機酸塩、ハロゲン化物、燐酸塩などを併用してもよい。
【0053】
また触媒として、このような酸類の代りに、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなど、DBU(ジアザビシクロウンデセン−1)、DBN(ジアザビシクロノネン)などのビシクロ環系アミン、アンモニア、ホスフィン、アルカリ金属アルコキシド、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム等の塩基を用いることができる。
【0054】
このような、酸またはアルカリ触媒の添加量としては特に制限はされないが、好ましくは重縮合可能な反応性金属化合物の量に対して1.0%〜20%が好ましい。また、酸及び塩基の処理を複数回併用しても良い。触媒を中和してもよいし揮発性の触媒は減圧で除去してもよいし、分液水洗等により除去しても良い。
【0055】
尚、金属化合物の加水分解重縮合は、塗布前の溶液状態で反応を完結させても良いし、フィルム状に流延してから反応を完結させても良いが塗布前に反応を完結させるのが良い。用途によっては反応は完全に終了しなくても良いが、できれば完結していたほうが良い。
【0056】
〈製膜〉
本発明のセルロースエステルおよび加水分解重縮合可能な反応性金属化合物は溶剤に溶解されるが、基材上に流延しフィルムを形成させる際に押し出しあるいは流延後に溶剤を蒸発させる必要性があるため、揮発性の溶媒が好ましく、かつ、反応性金属化合物や触媒等と反応せず、しかも流延用基材を溶解しないものであり、2種以上の溶媒を混合して用いても良い。また、有機ポリマーと加水分解重縮合可能な反応性金属化合物を各々別の溶媒に溶解し後に混合しても良い。
【0057】
溶媒の例としてはエチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、メトキシメチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ぎ酸メチル、ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類の他、ジメチルイミダゾリノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、スルホラン、塩化メチレンなどが挙げられるが、1,3−ジオキソラン、THF、エチルアルコール、メチルエチルケトン、アセトンおよび塩化メチレンが好ましい。
【0058】
得られる基板フィルムの厚さとしては、10μm〜1mm程度の任意のものを作製できるが30μm〜500μmが好ましい。
【0059】
〈添加剤〉
本発明における有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムには、例えば、特開2002−62430号などに記載されているような、フィルムに加工性・柔軟性・防湿性を付与する可塑剤、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤、フィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)、フィルムのリタデーションを調整するリタデーション調整剤等を含有させても良い。
【0060】
本発明の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムを基材として用い、該基材表面に金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化膜を形成することにより機能性フィルムとして用いることができる。金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物膜中の金属元素としてはケイ素、ジルコニウム、チタン、タングステン、タンタル、アルミニウム、亜鉛、インジウム、クロム、バナジウム、ニオブ及び錫から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。金属元素としてケイ素を選ぶことにより、より透湿性、気体透過性の少ないガスガスバリヤ性の高いフィルムを得ることが可能である。また、インジウム、錫を混合して製膜することにより透過率が高く、比抵抗の小さいいわゆる透明導電膜を得ることが可能である。
【0061】
該金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物膜を形成する方法としては一般に知られている蒸着、スパッタなどの物理蒸着法、ゾルゲル法などの塗布法、真空CVDなどの化学蒸着法など公知の手法を適宜選択することが可能である。より好ましい方法としては大気圧または大気圧近傍の圧力下において、少なくとも1種類以上の放電ガスと、少なくとも1種類以上の薄膜形成用ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、基材またはその他の層を該プラズマ状態の薄膜形成用ガスに晒すことによって、該基材上またはその他の層上に光触媒層を形成するいわゆる大気圧プラズマ法が好ましい。
【0062】
上記有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム上に金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物膜を形成したフィルムは液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル用の基板として好適に用いることができる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されない。
【0064】
実施例1
〈本発明に使用するセルロース類の置換度の測定〉
各実施例において、セルロースエステル、溶液およびフィルムの化学的性質は以下のように測定した。
【0065】
〈アセチルセルロースの置換度(DS)〉
乾燥したアセチルセルロース1.9gを精秤し、アセトン70mlとジメチルスルホキシド30mlを加え溶解した後、さらにアセトン50mlを加えた。撹拌しながら1M−水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、2時間けん化した。60℃程度の熱水を100ml加え、フラスコ側面を洗浄した後、フェノールフタレインを指示薬として0.5M−硫酸で滴定した。別に試料と同じ方法で空試験を行った。下記式より置換度(DS)を計算した。
【0066】
TA=(B−A)×F/(1000×W)
TA:酢酸量(mol/g)
A:試料滴定量
B:空試験滴定量
F:0.5M−硫酸の力価
W:試料質量
置換度(DS)=(162.14×TA)/(1−42.14×TA)
〈2つの酸により置換されたセルロースエステルの置換度(DS)〉
乾燥したセルロースエステル1.9gを精秤し、アセトン70mlとジメチルスルホキシド30mlを加え溶解した後、さらにアセトン50mlを加えた。撹拌しながら1M−水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、2時間けん化した。60℃程度の熱水を100ml加え、フラスコ側面を洗浄した後、フェノールフタレインを指示薬として0.5M−硫酸で滴定した。別に試料と同じ方法で空試験を行った。滴定が終了した溶液の上澄み液を100倍に希釈し、イオンクロマトグラフを用いて、定法により有機酸の組成を測定した。測定結果とイオンクロマトグラフによる酸組成分析結果から、下記式により置換度(DS)を計算した。
【0067】
TA=(B−A)×F/(1000×W)
TA:有機酸量(mol/g)
A:試料滴定量
B:空試験滴定量
F:0.5M−硫酸の力価
W:試料質量
DSace=(162.14×TA)/{1−42.14×TA+(1−MC×TA)×(SA/AC)}
DS=DSace+DSsec
DSsec=DSace×(SA/AC)
DSace:酢酸の置換度
DSsec:第2の酸の置換度
MC:第2の酸のアシル基から水素原子を除いた原子団の分子量(プロピオン酸の時は56.06)
SA/AC:イオンクロマトグラフ法で測定した酢酸(AC)と第2の酸(SA)とのモル比
〈基板フィルム101の作製〉
テトラエトキシシラン4.16gをエタノール20.0gに溶解し攪拌しながら、12.7質量%塩酸水溶液を0.7g加えた。10分後この溶液を55℃に保った12.5質量%のジアセチルセルロース(ダイセル化学製、LM−80)のアセトン溶液38.4gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間加熱還流した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは50μmだった。また、使用したセルロースLM−80の置換度は2.13だった。
【0068】
〈基板フィルム102の作製〉
テトラエトキシシラン4.16gをエタノール10.0gに溶解し攪拌しながら、12.7質量%塩酸水溶液を0.7g加えた。10分後この溶液を45℃に保った12.5質量%のジアセチルセルロース(ダイセル化学製、L−50)のアセトン溶液38.4gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間加熱還流した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは50μmだった。また、使用したセルロースL−50の置換度は2.33だった。
【0069】
〈基板フィルム103の作製〉
テトラエトキシシラン2.08g、メチルトリエトキシシラン1.78gをエタノール4.0gに溶解し攪拌しながら、12.7質量%塩酸水溶液を0.61g加えた。10分後この溶液を55℃に保った12.5質量%のジアセチルセルロース(ダイセル化学製、L−50)のアセトン溶液40.64gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間加熱還流した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは50μmだった。
【0070】
〈基板フィルム104の作製〉
メチルトリエトキシシラン3.57gをエタノール4.0gに溶解し攪拌しながら、12.7質量%塩酸水溶液を0.52g加えた。10分後この溶液を45℃に保った12.5質量%のジアセチルセルロース(ダイセル化学製、L−50)のアセトン溶液42.88gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間加熱還流した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは50μmだった。
【0071】
〈基板フィルム105の作製〉
テトラエトキシシラン4.16gをエタノール4.0gに溶解し攪拌しながら、15.7質量%トリフルオロ酢酸を0.5g加えた。10分後この溶液を55℃に保った12.5質量%のセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製)のアセトン溶液38.4gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間加熱還流した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは50μmだった。また、使用したセルロースアセテートプロピオネートの置換度は2.43だった。
【0072】
〈基板フィルム106の作製〉
テトラエトキシシラン4.16gをエタノール4.0gに溶解し攪拌しながら、5.7質量%リン酸水溶液を1.2g加えた。10分後この溶液を45℃に保った12.5質量%のセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製)のアセトン溶液38.4gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間加熱還流した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは50μmだった。また、使用したセルロースアセテートプロピオネートの置換度は2.43だった。
【0073】
〈基板フィルム107の作製〉
テトラエトキシシラン3.42gをTHF4.0gに溶解し、この溶液を室温で10.0質量%のセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製)のメチルセロソルブ溶液48.0gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間室温で攪拌した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは30μmだった。また、使用したセルロースアセテートプロピオネートの置換度は2.43だった。
【0074】
〈基板フィルム108の作製〉
メチルトリエトキシシラン9.36gをエタノール4.0gに溶解し攪拌しながら、12.7質量%塩酸水溶液を0.7g加えた。10分後この溶液を45℃に保った12.5質量%のセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製)のアセトン溶液38.4gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間加熱還流した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは50μmだった。また、使用したセルロースアセテートプロピオネートの置換度は2.43だった。
【0075】
〈基板フィルム109の作製〉
ジメチルジエトキシシラン9.36gをエタノール4.0gに溶解し攪拌しながら、12.7質量%塩酸水溶液を0.7g加えた。10分後この溶液を35℃に保った12.5質量%のセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製)のアセトン溶液38.4gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間加熱還流した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは50μmだった。また、使用したセルロースアセテートプロピオネートの置換度は2.43だった。
【0076】
〈基板フィルム110の作製〉
チタンテトラn−プロポキシド70%プロパノール溶液9.36gを塩化メチレン7.0gに溶解し、この溶液を室温で10.0質量%のセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製)のメチルセロソルブ:塩化メチレン=1:1(質量比)の溶液74.0gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を1時間室温で攪拌した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは60μmだった。また、使用したセルロースアセテートプロピオネートの置換度は2.43だった。
【0077】
〈基板フィルム111の作製〉
チタンテトラn−プロポキシド70%プロパノール溶液9.36gを塩化メチレン7.0gに溶解し、この溶液を室温で10.0質量%のセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製)のメチルセロソルブ:塩化メチレン=1:1(質量比)の溶液74.0gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を30分間30℃で攪拌した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは60μmだった。また、使用したセルロースアセテートプロピオネートの置換度は2.43だった。
【0078】
以上、作製した基板フィルムについてドメインサイズ、光透過率(可視光)、ヘイズ、ガラス転移温度、250℃弾性率を評価した。
【0079】
〈ドメインサイズ〉
以下の条件でX線小角散乱測定を行った。
【0080】
装置:理学電機製RINT2500/PC 小角広角X線回折装置
ターゲット:銅
出力:40kV−200mA
1stスリット:0.04mm
2ndスリット:0.03mm
受光スリット:0.1mm
散乱スリット:0.2mm
測定法:2θ FTスキャン法
測定範囲:0.1から6°
サンプリング:0.04°
計数時間:30秒
上記条件にて透過法で小角散乱測定を行った。得られたスペクトルに対し、空気散乱補正、スリット補正を行い、ギニエプロットにより粒径分布解析を行う。尚、慣性半径は球として求める。
【0081】
〈光透過率及びヘイズ〉
東京電色(株)製TURBIDITY METER T−2600DAで測定した。
【0082】
〈複屈折の測定〉
王子計測機器(株)製自動複屈折計KOBRA−21ADHで測定し、試料の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムの面内のX方向、Y方向の屈折率の差に、厚みを50μmと仮定して乗じた値を複屈折(nm)として表した。
【0083】
〈貯蔵弾性率の測定〉
レオメトリックス社製固体粘弾性測定装置RSA−IIを用い、引っ張りモードにて室温から250℃まで掃引し、試料の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムの貯蔵弾性率E’(Pa)、損失弾性率E”(Pa)、またその比(E”/E’)であるtanδを測定した。このtanδが極大値をとる温度をガラス転移温度とした。
【0084】
評価結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
ドメインサイズを本発明の範囲とすることにより、優れた光透過率、低ヘイズで面内複屈折の小さい、ガラス転移温度が高い有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムが得られた。
【0087】
実施例2
実施例1にて作製した基板フィルム104、107、109上に酸化ケイ素層を設けた。
【0088】
〈酸化ケイ素層製膜条件1〉
プラズマ放電装置には、電極が平行平板型のものを用い、この電極間に基板フィルムを載置し、且つ、混合ガスを導入して薄膜形成を行った。
【0089】
尚、電極は、以下の物を用いた。200mm×200mm×2mmのステンレス板に高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させ封孔処理を行った。このようにして被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にして、Rmax5μmとなるように加工した。このように電極を作製し、アース(接地)した。
【0090】
一方、印加電極としては、中空の角型の純チタンパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆したものを複数作製し、対向する電極群とした。
【0091】
また、プラズマ発生に用いる使用電源は日本電子(株)製高周波電源JRF−10000にて周波数13.56MHzの電圧で且つ5W/cm2の電力を供給し、電極間に以下の組成の反応性ガスを流した。
【0092】
不活性ガス:ヘリウム 98.69体積%
反応性ガス1:酸素 0.05体積%
反応性ガス2:テトラエトキシシラン 1.26体積%
基板フィルム上に上記反応ガス、反応条件により大気圧プラズマ処理を行い、酸化ケイ素層の製膜を行った。
【0093】
〈酸化ケイ素層製膜条件2〉
基板フィルムを直流式マグネトロンスパッタ装置内の基板保持装置に固定した。スパッタターゲットとして二酸化けい素を用い、真空度2.7mPaまで真空槽内を排気した。その後、Ar/O2 混合ガス(O2 1.5%)を槽内に導入し、真空度を0.67Paに保った後、スパッタリング法により基板フィルム上に酸化ケイ素層の製膜を行った。
【0094】
〈酸化ケイ素層製膜条件3〉
基板フィルムを真空プラズマCVD装置に設置し、下記の条件にて製膜を行った。
【0095】
原料ガス:(CH3)3SiOSi(CH3)3とO2
原料ガスの流量:1.0slm
O2ガスの流量:3.0slm
成層速度:0.25μm・m/min
プラズマ生成手段:13.56MHzのRF波
上記3種の方法により、基板フィルム上に酸化ケイ素層を形成した試料201〜209を作製し、以下の評価を行った。
【0096】
〈水蒸気透過性〉
MOCON社製、パーマトランW1Aを用いて、40℃、90℃%RH雰囲気下における水蒸気透過度を測定した。
【0097】
〈接着性〉
それぞれの基材フィルム上に酸化ケイ素層を形成した試料201〜209について、50℃/相対湿度95%の環境下に48時間放置した後、JIS K 5400に規定の方法に従い碁盤目試験を行った。具体的には、表面に片刃のかみそりの刃を面に対して90°の角度で切り込みを1mm間隔で縦横11本入れ、碁盤目を100こ作製した。この上に市販のセロテープ(R)を張り付け、その一端を手で持って垂直に引っ張ってはがし、残った碁盤目の数により評価した。評価結果を表2に示す。
【0098】
【表2】
【0099】
本発明の試料は水蒸気透過性も低く、接着性も良好であることがわかる。
実施例3
実施例2で作製した試料201、202、208の酸化ケイ素層形成面に下記の方法で透明導電層を形成した。
【0100】
〈透明導電層製膜条件a〉
プラズマ放電装置には、電極が平行平板型のものを用い、この電極間に実施例2で得られた試料を載置し、且つ、混合ガスを導入して薄膜形成を行った。
【0101】
尚、電極は、以下の物を用いた。200mm×200mm×2mmのステンレス板に高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させ封孔処理を行った。このようにして被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にして、Rmax5μmとなるように加工した。このようにして電極を作製し、アース(接地)した。
【0102】
一方、印加電極としては、中空の角型の純チタンパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆したものを複数作製し、対向する電極群とした。
【0103】
また、プラズマ発生に用いる使用電源は日本電子(株)製高周波電源JRF−10000にて周波数13.56MHzの電圧で且つ5W/cm2の電力を供給し、電極間に以下の組成の反応性ガスを流した。
【0104】
不活性ガス:ヘリウム 98.69体積%
反応性ガス1:水素 0.05体積%
反応性ガス2:インジウムアセチルアセトナト 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
反応性ガス4:テトラエトキシシラン 0.01体積%
基材フィルムの酸化ケイ素層上に上記反応ガス、反応条件により大気圧プラズマ処理を行い、透明導電層を形成した。
【0105】
〈透明導電層製膜条件b〉
実施例2で得られた各試料をDCマグネトロンスパッタ装置に装着し、真空槽内を1.33×10−3Pa以下まで減圧した。尚、スパッタリングターゲットは酸化インジウム:酸化錫95:5の組成のものを用いた。この後、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスを(Ar:O2=1000:3)を1×10−3Paとなるまで導入し、スパッタ出力100W、基板温度100℃にて透明導電層を形成した。
【0106】
上記で作製した透明導電膜積層体試料301〜306を以下の方法により評価した。
【0107】
〈透過率〉
JIS−R−1635に従い、日立製作所製分光光度計U−4000型を用いて測定を行った。試験光の波長は550nmとした。
【0108】
〈比抵抗〉
JIS−R−1637に従い、四端子法により求めた。なお、測定には三菱化学製ロレスタ−GP、MCP−T600を用いた。
【0109】
〈耐屈曲性〉
透明導電膜積層体試料を縦横10cmの長さに切断した。このフィルムについて室温25℃、湿度60%における表面抵抗を三菱化学製ロレスタ−GP、MCP−T600を用いて測定した。この表面抵抗値をR0とする。このフィルムを直径10mmφのステンレス丸棒に隙間が出来ないように巻き付けた。その状態で3分間保持した後フィルムを丸棒よりとり、再度表面抵抗を測定した。この値をRとする。丸棒の半径を10mmφから1mmφずつ小さくし、同様の測定を繰り返した。R/R0の値が1を越えた丸棒の半径を限界曲率半径とした。
【0110】
〈劣化試験〉
透明導電膜積層体試料を縦横10cmの長さに切断した。このフィルムについて室温25℃相対湿度50%における表面抵抗を三菱化学製ロレスタ−GP、MCP−T600を用いて測定した。この表面抵抗値をR0とする。このフィルムを温度80℃相対湿度40%の恒温恒湿槽で1週間処理し、再度表面抵抗値を測定した。この値をRとし、R/R0の比を求めた。この比は1に近い方が好ましい。
【0111】
〈耐NMP性〉
25℃のN−メチルピロリドン(NMP)に5分間浸漬、その後、流水にて十分洗浄を行った後、乾燥して、外観を目視にて観察した。
【0112】
◎:外観に全く変化が認められない
○:外観の極一部にわずかな曇りが認められる
△:外観の一部にわずかな曇りが認められる
×:外観に曇りが認められる
【0113】
【表3】
【0114】
本発明の試料は、比較試料に比べ光透過率が高く、耐屈曲性、劣化試験や耐NMP性にも優れた、優れた透明導電膜積層体フィルムが得られたことがわかる。
【0115】
実施例4
実施例3で得られた透明導電膜積層体試料301〜306を用いて、13.3インチ(1インチは2.54cmである。)のプラスチックフィルム製液晶セルを作製した。得られた液晶セルに偏光板を貼り合わせて液晶板試料401〜406を作製し、80℃の高温、及び60℃95%RHの高温高湿において、各々1000時間保存した後、液晶板の反り量を測定した。測定は、液晶板を水平台上に上側に湾曲するように置き、端部の高さから反り量(mm)を測定した。測定結果は以下の通りである。
【0116】
【表4】
【0117】
高温及び高温高湿における劣化試験においても高い平面性を保持し、液晶表示装置に用いても優れた性能を示すことがわかる。
【0118】
【発明の効果】
ディスプレイ素子用、電子光学素子用、タッチパネル用に適した透明性・耐熱性が高く、複屈折が少なく、軽く、しなやかな基板フィルムを得ることができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、光学特性に優れる樹脂フィルム及びそれを用いた液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル用基板フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示素子、有機EL表示素子等の電子ディスプレイ素子用基板、あるいはCCD、CMOSセンサー等の電子光学素子用基板、あるいは太陽電池用基板としては、熱安定性、透明性の高さ、水蒸気透過性の低さからガラス基板が用いられてきた。しかし、最近携帯電話あるいは携帯用の情報端末の普及に伴い、それらの基板用として割れやすく比較的重いガラスに対し屈曲性に富み割れにくく軽量な基板が求められるようになった。そこでポリエーテルスルホン、ポリカーボネートあるいは特開平5−142525号公報に記載のポリエーテルスルホンとアクリル系基板を張り合わせたプラスチック基板が提案され一部で採用されるようになったが、価格が高価であったり、透過率や複屈折等の光学的性質が充分でない等の理由で普及の妨げになっていた。また、これらの基板フィルムは波長分散特性が負であるため、複屈折を利用した表示方法を採用している、例えば、STN、VAあるいはIPSモードの液晶パネルにおいては可視光の全波長域で偏光の補償ができず、表示色の色ずれの原因となり、また、有機EL表示素子においてはコントラストの低下を起こしていた。一方、波長分散特性が正の樹脂としては、例えばセルロースアセテートプロピオネートなどのセルロース誘導体が挙げられるが、これらは、それ自体では水蒸気透過性が大きすぎ表示素子用基板フィルムとしては不適であった。さらに耐熱性を向上させ、防湿性を高める酸化珪素膜と、透明導電膜とを設けたプラスチックフィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このプラスチックフィルムは、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニールピロリドン、ポリイミド、ポリアミド等の樹脂に対し金属酸化物をナノスケールで混合・相溶させる有機−無機ポリマーハイブリッドという手法である。
【0003】
しかしながら、前記特許文献1記載の液晶表示用フィルムでは、柔軟性、耐折り曲げ性が不充分で、応力がかかった際にガラス基板のように割れると言う短所があり、電子機器用基板としては未だ不十分であることが分かった。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−122038号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の第一の目的はディスプレイ素子用、電子光学素子用、タッチパネル用に、透明性・耐熱性が高く、複屈折が少なく、軽く、しなやかな基板フィルムを提供することである。
【0006】
本発明の第二の目的は、画像の歪み・色ずれの少ない液晶ディスプレイ・有機ELディスプレイ・タッチパネルを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成によって達成される。
【0008】
(1)セルロースエステルの置換度(DS)が、アセチル置換度をDSace、酢酸以外の第2の酸による置換度をDSsec、DS=DSace+DSsecとするとき、1.0<DS<2.8かつ0<DSace<2.8であるセルロースエステルと、加水分解重縮合が可能な反応性金属化合物の加水分解重縮合物を主成分とする有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムであり、該フィルム中にドメインを有し、その慣性半径の重量比分布の最大が100〜0.5nmであることを特徴とする有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【0009】
(2)前記有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム中のドメイン慣性半径の重量比分布の最大が75〜1nmであることを特徴とする(1)に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【0010】
(3)前記有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム中のドメイン慣性半径の重量比分布の最大が30〜1nmであることを特徴とする(1)または(2)に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【0011】
(4)前記反応性金属化合物の金属種に4価の金属を含んでいることを特徴とする(1)から(3)の何れか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【0012】
(5)4価の金属が、ケイ素、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムから選ばれることを特徴とする(4)に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【0013】
(6)加水分解可能な置換基が金属1原子当たり4個である金属の、前記反応性金属化合物中におけるモル含有率が50%以上であることを特徴とする(1)〜(5)の何れか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【0014】
(7)有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムの表面に金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物膜が形成されていることを特徴とする(1)から(6)の何れか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【0015】
(8)金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物膜の金属元素がケイ素、ジルコニウム、チタン、タングステン、タンタル、アルミニウム、亜鉛、インジウム、クロム、バナジウム、ニオブ及び錫から選ばれることを特徴とする(7)に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
【0016】
(9)前記(7)または(8)に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムを製造するに当たり、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、少なくとも1種類以上の放電ガスと、少なくとも1種類以上の薄膜形成用ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム基材またはその基材上に形成されたその他の膜上に、該プラズマ状態の薄膜形成用ガスに晒すことによって、該基材上またはその他の膜上に金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物膜を形成することを特徴とする有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムの製造方法。
【0017】
(10)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムにて構成されていることを特徴とする液晶ディスプレイ。
【0018】
(11)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムにて構成されていることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【0019】
(12)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムにて構成されていることを特徴とするタッチパネル。
【0020】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムはそのフィルム中にドメインを有する。ドメインとは周囲と密度が異なる領域である。本発明においてフィルム中にドメインが存在するか否かは透過型電子顕微鏡観察や小角X線散乱測定により知ることができる。
【0021】
本発明において有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム中のドメインサイズの測定は透過型電子顕微鏡観察、X線小角散乱測定により得ることができる。好ましいのはX線小角散乱測定により求める方法である。X線小角散乱法の詳細については例えばX線回折ハンドブック 第3版(理学電機株式会社 2000年発行)を参照することができる。よく知られているように試料中に電子密度の異なる領域が存在すると入射X線方向に散漫な散乱が観測される。この散乱は散乱角0〜5°程度の範囲に観測されるため、これらの散乱は小角散乱と呼ばれる。この散乱曲線に対し、Guinier(ギニエ)プロットあるいはFankuchen法を用いてドメインのサイズを測定する。
【0022】
本発明における有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム中のドメインサイズは球形換算での慣性半径の重量比の最大が100〜0.5nm、好ましくは75〜1nm、さらに好ましくは30〜1nmである。
【0023】
以下、本発明ではこの球形換算での慣性半径の重量比の最大をドメインサイズを称するが、ドメインサイズがこの範囲にあることにより透明性・耐熱性が高く、複屈折が少なく、軽くしなやかな基板フィルムを得ることが可能である。
【0024】
ドメインサイズを本発明の範囲内とするためには有機ポリマーに添加する無機化合物の種類、反応を促進するための触媒を適宜選択し、フィルムの製造にかかわるプロセスを最適にすることで達成できる。具体的には反応を急速に行わせればドメインサイズは大きくなり、その逆に反応を温和に進めればドメインサイズは小さくなる。
【0025】
〈有機−無機ポリマーハイブリッド〉
有機−無機ポリマーハイブリッド(または有機−無機ポリマーコンポジットまたはゾル・ゲル法などと呼ばれる手法が用いられるが、本発明では有機−無機ポリマーハイブリッドと呼称する)とは、有機ポリマーと無機化合物を組み合わせて、双方の特性を持った材料を合成する考え方であるが、有機ポリマーと無機化合物は相溶性に乏しいため、単純に両者を混合するだけでは有用な材料を得ることが難しい。近年になって、無機物を金属アルコキシドのような液体状態から合成する手法が開発されるにいたり、溶液プロセスによって光の波長以下(〜約750nm以下)のナノスケールで有機物と無機物を混合することが可能となり、光学的にも透明で有用な材料が得られるようになってきている。
【0026】
本発明においても、鋭意検討した結果、有機ポリマーであるセルロース誘導体の光学特性や柔軟性に、無機化合物である金属酸化物の安定性、耐熱性を付与することによって、上記課題を達成する基材フィルムを得ることができた。
【0027】
〈有機ポリマー〉
本発明においては、波長分散特性が正である、セルロースエステルが有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムの有機ポリマーとして用いられる。
【0028】
正の波長分散特性とは、該有機ポリマーを可溶な溶媒(例えばアセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、塩化メチレンなどが挙げられ、またこれらの混合溶媒でもよい)に溶解してガラス板上にフィルム厚みが100μmになるように流延し乾燥させたフィルムを作製し、波長600nmにおける面内リターデーション値R(600)を波長450nmにおける面内リターデーション値R(450)で除した値が1より大きいものをいう。
【0029】
波長分散特性が正の基板フィルムにおいては、可視光の全波長領域で偏光の補償が可能であり、複屈折を利用した表示方法を採用している液晶パネルにおいては色ずれがなく、有機EL表示素子においてはコントラストが良好である。
【0030】
波長分散特性が正であるセルロースエステルの例としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテートなどが挙げられる。
【0031】
上記セルロースエステル類であれば本発明の有機−無機ポリマーハイブリッドには好ましく用いられるが、より好ましくはセルロースエステルの置換度が、アセチル置換度をDSace、酢酸以外の第2の酸による置換度をDSsec、DS=DSace+DSsecとしたとき、1.0<DS<2.8かつ0<DSace<2.8であるものである。DSが1.0以下だと複屈折が大きく、透明性・樹脂の溶解性が低下するためであり、一方DSが2.8以上では反応性金属化合物の加水分解重縮合物と水素結合を形成しうるセルロース上の水酸機の密度が少なく、有機材料と無機材料の間の相互作用が弱まって高温時の弾性率が低下し流動しやすくなるためである。好ましいセルロースエステルとしては、置換度が2.0〜2.5であり、更に好ましくは2.3〜2.5であるジアセチルセルロースあるいはアセチルプロピルセルロースが挙げられる。
【0032】
本発明に用いられるセルロース誘導体の原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることが出来る。また、これらから得られたセルロース誘導体は、それぞれを単独であるいは任意の割合で混合使用することが出来るが、綿花リンターを50質量%以上使用することが好ましい。
【0033】
セルロースエステルフィルムの分子量が大きいと弾性率が大きくなるが、分子量を上げすぎるとセルロースエステルの溶解液の粘度が高くなりすぎるため生産性が低下する。セルロースエステルの分子量は数平均分子量(Mn)で70,000〜200,000のものが好ましく、100,000〜200,000のものが更に好ましい。本発明で用いられるセルロースエステルはMw/Mn比が3.0未満であるが、好ましくは1.4〜2.3である。
【0034】
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用い測定できるので、これを用いて数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出し、その比を計算することができる。
【0035】
測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
【0036】
〈無機化合物〉
次に有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムを構成する無機化合物である、金属化合物について説明する。
【0037】
本発明において金属とは、「周期表の化学」岩波書店 斎藤一夫著 p.71記載の金属すなわち半金属性原子を含む金属である。
【0038】
本発明に用いられる加水分解重縮合が可能な反応性金属化合物としては例えば金属アルコキシド、反応性の金属ハロゲン化物が挙げられ、好ましくは金属種が4価の金属のものであり、より好ましくは金属種がケイ素、ジルコニウム、チタンおよびゲルマニウムから選ばれるものであって、なかでも特に好ましくはケイ素である。これらの金属化合物で、加水分解可能な置換基が金属1原子当たり4個である金属が、金属化合物中におけるモル含有率が50%以上であることが好ましい。加水分解可能な置換基が金属1原子当たり4個である金属以外に共存することが望ましい加水分解可能な金属化合物としては、基材フィルムの透湿度を低減する観点から、加水分解されない置換基で該金属1原子当たり1つまたは2つ、あるいは3つ置換されている化合物が挙げられる。このような加水分解されない置換基を有する金属化合物の添加量としては、添加される金属化合物のモル含有率は50%以下が好ましい。
【0039】
このような加水分解されない置換基としては、置換または無置換のアルキル基、または置換または無置換のアリール基が好ましく該アルキル基またはアリール基の置換基としては、アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)、複素環基(たとえばフラン、チオフェン、ピリジン等)アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、アシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アルキルチオ基、グリシジル基、ビニル基、フッ素原子含有アルキル基またはフッ素原子含有アリール基等が挙げられる。
【0040】
このような重縮合可能な反応性金属化合物は、中心金属をM、その原子数をq、加水分解されない置換基をX、その置換基数をp、加水分解可能な置換基をY、その置換基数をrとすると、理想的には下記一般式(1)のように反応が完結し、金属酸化物が得られる。
【0041】
一般式(1) XpMqYr → XpMqOr/2
このように反応が完結したと仮定した、XpMqOr/2の質量を、本発明では有機−無機ポリマーハイブリッド材料の無機物の含有量として算出する。
【0042】
有機−無機ポリマーハイブリッド材料の無機物の含有量としては、有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムの全質量に対して、0.1〜40質量%が好ましい。無機物の添加量が0.1質量%より少ないと有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムの物性改良効果が認められなくなり、40質量%を越えると有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムが脆くなってしまうためである。
【0043】
本発明に用いられる重縮合が可能な反応性金属化合物としては、加水分解可能な置換基が金属1原子当たり2個ある化合物、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、バリウムイソプロポキシド、カルシウムエトキシド、銅エトキシド、マグネシウムエトキシド、マンガンメトキシド、ストロンチウムイソプロポキシド、すずエトキシド、亜鉛メトキシエトキシド等が挙げられる。
【0044】
加水分解可能な置換基が金属1原子当たり3個である化合物、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、アセトキシトリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、メチルトリイソシアナートシラン、フェニルトリイソシアナートシラン、ビニルトリイソシアナートシラン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、アルマトラン、アルミニウムフェノキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、アンチモンエトキシド、ヒ素トリエトキシド、ビスマスt−ペントキシド、クロムイソプロポキシド、エルビウムメトキシエトキシド、ガリウムエトキシド、インジウムメトキシエトキシド、鉄エトキシド、ランタンイソプロポキシド、ネオジウムメトキシエトキシド、プラセオジムメトキシエトキシド、サマリウムイソプロポキシド、バナジウムトリイソブトキシドオキシド、イットリウムイソプロポキシド等が挙げられる。
【0045】
加水分解可能な置換基が金属1原子当たり4個である化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシプロポキシ)シラン、テトラクロロシラン、テトライソシアナートシラン、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンn−ブトキシド、テトラクロロチタン、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−エチルアセトアセテート)、チタンジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、テトラメトキシゲルマン、テトラエトキシゲルマン、テトライソプロポキシゲルマン、テトラn−ブトキシゲルマン、セリウムt−ブトキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウムn−ブトキシド、テルルエトキシド等が挙げられる。
【0046】
加水分解可能な置換基が金属1原子当たり5個である化合物としては、例えば、モリブデンエトキシド、ニオブエトキシド、ニオブn−ブトキシド、タンタルメトキシド、タンタルエトキシド、タンタルn−ブトキシド、タングステン(V)エトキシド等が挙げられる。
【0047】
加水分解可能な置換基が金属1原子当たり6個である化合物としては、例えば、タングステン(VI)エトキシド、タングステン(VI)フェノキシド等が挙げられる。
【0048】
また、本発明に用いられる重縮合が可能な反応性金属化合物としては、分子種内に2つの金属原子を持つダブル金属アルコキシドと呼ばれる化合物でも良い。このようなダブル金属アルコキシドとしては、例えば、ゲレスト社製のアルミニウム銅アルコキシド、アルミニウムチタンアルコキシド、アルミニウムイットリウムアルコキシド、アルミニウムジルコニウムアルコキシド、バリウムチタンアルコキシド、バリウムイットリウムアルコキシド、バリウムジルコニウムアルコキシド、インジウムスズアルコキシド、リチウムニッケルアルコキシド、リチウムニオブアルコキシド、リチウムタンタルアルコキシド、マグネシウムアルミニウムアルコキシド、マグネシウムチタンアルコキシド、マグネシウムジルコニウムアルコキシド、ストロンチウムチタンアルコキシド、ストロンチウムジルコニウムアルコキシド等が挙げられるが、少なくとも、ケイ素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウムのいずれかの金属が含まれているものが好ましい。
【0049】
〈加水分解触媒〉
本発明の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムにおいて無機化合物である、加水分解重縮合可能な反応性金属化合物は、必要に応じて水・触媒を加えて加水分解を起こさせて縮合反応を促進する。
【0050】
しかしフィルムのヘイズ、平面性、製膜速度、溶剤リサイクルなどの生産性の観点から、水分はドープ濃度の0.01%以上2.0%以下の範囲内とすることが好ましい。
【0051】
疎水的な加水分解重縮合可能な反応性金属化合物に水を添加する場合には、加水分解重縮合可能な反応性金属化合物と水が混和しやすいように、メタノール、エタノール、アセトニトリルのような親水性の有機溶媒も添加されていることが好ましい。また、セルロース誘導体のドープに加水分解重縮合可能な反応性金属化合物を添加する際に、ドープからセルロース誘導体が析出しないよう、該セルロース誘導体の良溶媒も添加されていることが好ましい。
【0052】
ここで触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、酢酸、トリフロロ酢酸、レブリン酸、クエン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸等が用いられる。酸を添加しゾル・ゲル反応が進行した後に塩基を加え中和しても良い。塩基を加え中和する場合、乾燥工程前でのアルカリ金属の含有量が5000ppm未満であることが好ましい(ここでアルカリ金属とは、イオン状態のものを含む)。又、ルイス酸、例えばゲルマニウム、チタン、アルミニウム、アンチモン、錫などの金属の酢酸塩、その他の有機酸塩、ハロゲン化物、燐酸塩などを併用してもよい。
【0053】
また触媒として、このような酸類の代りに、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなど、DBU(ジアザビシクロウンデセン−1)、DBN(ジアザビシクロノネン)などのビシクロ環系アミン、アンモニア、ホスフィン、アルカリ金属アルコキシド、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム等の塩基を用いることができる。
【0054】
このような、酸またはアルカリ触媒の添加量としては特に制限はされないが、好ましくは重縮合可能な反応性金属化合物の量に対して1.0%〜20%が好ましい。また、酸及び塩基の処理を複数回併用しても良い。触媒を中和してもよいし揮発性の触媒は減圧で除去してもよいし、分液水洗等により除去しても良い。
【0055】
尚、金属化合物の加水分解重縮合は、塗布前の溶液状態で反応を完結させても良いし、フィルム状に流延してから反応を完結させても良いが塗布前に反応を完結させるのが良い。用途によっては反応は完全に終了しなくても良いが、できれば完結していたほうが良い。
【0056】
〈製膜〉
本発明のセルロースエステルおよび加水分解重縮合可能な反応性金属化合物は溶剤に溶解されるが、基材上に流延しフィルムを形成させる際に押し出しあるいは流延後に溶剤を蒸発させる必要性があるため、揮発性の溶媒が好ましく、かつ、反応性金属化合物や触媒等と反応せず、しかも流延用基材を溶解しないものであり、2種以上の溶媒を混合して用いても良い。また、有機ポリマーと加水分解重縮合可能な反応性金属化合物を各々別の溶媒に溶解し後に混合しても良い。
【0057】
溶媒の例としてはエチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、メトキシメチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ぎ酸メチル、ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類の他、ジメチルイミダゾリノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、スルホラン、塩化メチレンなどが挙げられるが、1,3−ジオキソラン、THF、エチルアルコール、メチルエチルケトン、アセトンおよび塩化メチレンが好ましい。
【0058】
得られる基板フィルムの厚さとしては、10μm〜1mm程度の任意のものを作製できるが30μm〜500μmが好ましい。
【0059】
〈添加剤〉
本発明における有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムには、例えば、特開2002−62430号などに記載されているような、フィルムに加工性・柔軟性・防湿性を付与する可塑剤、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤、フィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)、フィルムのリタデーションを調整するリタデーション調整剤等を含有させても良い。
【0060】
本発明の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムを基材として用い、該基材表面に金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化膜を形成することにより機能性フィルムとして用いることができる。金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物膜中の金属元素としてはケイ素、ジルコニウム、チタン、タングステン、タンタル、アルミニウム、亜鉛、インジウム、クロム、バナジウム、ニオブ及び錫から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。金属元素としてケイ素を選ぶことにより、より透湿性、気体透過性の少ないガスガスバリヤ性の高いフィルムを得ることが可能である。また、インジウム、錫を混合して製膜することにより透過率が高く、比抵抗の小さいいわゆる透明導電膜を得ることが可能である。
【0061】
該金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物膜を形成する方法としては一般に知られている蒸着、スパッタなどの物理蒸着法、ゾルゲル法などの塗布法、真空CVDなどの化学蒸着法など公知の手法を適宜選択することが可能である。より好ましい方法としては大気圧または大気圧近傍の圧力下において、少なくとも1種類以上の放電ガスと、少なくとも1種類以上の薄膜形成用ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、基材またはその他の層を該プラズマ状態の薄膜形成用ガスに晒すことによって、該基材上またはその他の層上に光触媒層を形成するいわゆる大気圧プラズマ法が好ましい。
【0062】
上記有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム上に金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物膜を形成したフィルムは液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル用の基板として好適に用いることができる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されない。
【0064】
実施例1
〈本発明に使用するセルロース類の置換度の測定〉
各実施例において、セルロースエステル、溶液およびフィルムの化学的性質は以下のように測定した。
【0065】
〈アセチルセルロースの置換度(DS)〉
乾燥したアセチルセルロース1.9gを精秤し、アセトン70mlとジメチルスルホキシド30mlを加え溶解した後、さらにアセトン50mlを加えた。撹拌しながら1M−水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、2時間けん化した。60℃程度の熱水を100ml加え、フラスコ側面を洗浄した後、フェノールフタレインを指示薬として0.5M−硫酸で滴定した。別に試料と同じ方法で空試験を行った。下記式より置換度(DS)を計算した。
【0066】
TA=(B−A)×F/(1000×W)
TA:酢酸量(mol/g)
A:試料滴定量
B:空試験滴定量
F:0.5M−硫酸の力価
W:試料質量
置換度(DS)=(162.14×TA)/(1−42.14×TA)
〈2つの酸により置換されたセルロースエステルの置換度(DS)〉
乾燥したセルロースエステル1.9gを精秤し、アセトン70mlとジメチルスルホキシド30mlを加え溶解した後、さらにアセトン50mlを加えた。撹拌しながら1M−水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、2時間けん化した。60℃程度の熱水を100ml加え、フラスコ側面を洗浄した後、フェノールフタレインを指示薬として0.5M−硫酸で滴定した。別に試料と同じ方法で空試験を行った。滴定が終了した溶液の上澄み液を100倍に希釈し、イオンクロマトグラフを用いて、定法により有機酸の組成を測定した。測定結果とイオンクロマトグラフによる酸組成分析結果から、下記式により置換度(DS)を計算した。
【0067】
TA=(B−A)×F/(1000×W)
TA:有機酸量(mol/g)
A:試料滴定量
B:空試験滴定量
F:0.5M−硫酸の力価
W:試料質量
DSace=(162.14×TA)/{1−42.14×TA+(1−MC×TA)×(SA/AC)}
DS=DSace+DSsec
DSsec=DSace×(SA/AC)
DSace:酢酸の置換度
DSsec:第2の酸の置換度
MC:第2の酸のアシル基から水素原子を除いた原子団の分子量(プロピオン酸の時は56.06)
SA/AC:イオンクロマトグラフ法で測定した酢酸(AC)と第2の酸(SA)とのモル比
〈基板フィルム101の作製〉
テトラエトキシシラン4.16gをエタノール20.0gに溶解し攪拌しながら、12.7質量%塩酸水溶液を0.7g加えた。10分後この溶液を55℃に保った12.5質量%のジアセチルセルロース(ダイセル化学製、LM−80)のアセトン溶液38.4gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間加熱還流した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは50μmだった。また、使用したセルロースLM−80の置換度は2.13だった。
【0068】
〈基板フィルム102の作製〉
テトラエトキシシラン4.16gをエタノール10.0gに溶解し攪拌しながら、12.7質量%塩酸水溶液を0.7g加えた。10分後この溶液を45℃に保った12.5質量%のジアセチルセルロース(ダイセル化学製、L−50)のアセトン溶液38.4gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間加熱還流した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは50μmだった。また、使用したセルロースL−50の置換度は2.33だった。
【0069】
〈基板フィルム103の作製〉
テトラエトキシシラン2.08g、メチルトリエトキシシラン1.78gをエタノール4.0gに溶解し攪拌しながら、12.7質量%塩酸水溶液を0.61g加えた。10分後この溶液を55℃に保った12.5質量%のジアセチルセルロース(ダイセル化学製、L−50)のアセトン溶液40.64gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間加熱還流した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは50μmだった。
【0070】
〈基板フィルム104の作製〉
メチルトリエトキシシラン3.57gをエタノール4.0gに溶解し攪拌しながら、12.7質量%塩酸水溶液を0.52g加えた。10分後この溶液を45℃に保った12.5質量%のジアセチルセルロース(ダイセル化学製、L−50)のアセトン溶液42.88gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間加熱還流した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは50μmだった。
【0071】
〈基板フィルム105の作製〉
テトラエトキシシラン4.16gをエタノール4.0gに溶解し攪拌しながら、15.7質量%トリフルオロ酢酸を0.5g加えた。10分後この溶液を55℃に保った12.5質量%のセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製)のアセトン溶液38.4gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間加熱還流した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは50μmだった。また、使用したセルロースアセテートプロピオネートの置換度は2.43だった。
【0072】
〈基板フィルム106の作製〉
テトラエトキシシラン4.16gをエタノール4.0gに溶解し攪拌しながら、5.7質量%リン酸水溶液を1.2g加えた。10分後この溶液を45℃に保った12.5質量%のセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製)のアセトン溶液38.4gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間加熱還流した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは50μmだった。また、使用したセルロースアセテートプロピオネートの置換度は2.43だった。
【0073】
〈基板フィルム107の作製〉
テトラエトキシシラン3.42gをTHF4.0gに溶解し、この溶液を室温で10.0質量%のセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製)のメチルセロソルブ溶液48.0gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間室温で攪拌した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは30μmだった。また、使用したセルロースアセテートプロピオネートの置換度は2.43だった。
【0074】
〈基板フィルム108の作製〉
メチルトリエトキシシラン9.36gをエタノール4.0gに溶解し攪拌しながら、12.7質量%塩酸水溶液を0.7g加えた。10分後この溶液を45℃に保った12.5質量%のセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製)のアセトン溶液38.4gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間加熱還流した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは50μmだった。また、使用したセルロースアセテートプロピオネートの置換度は2.43だった。
【0075】
〈基板フィルム109の作製〉
ジメチルジエトキシシラン9.36gをエタノール4.0gに溶解し攪拌しながら、12.7質量%塩酸水溶液を0.7g加えた。10分後この溶液を35℃に保った12.5質量%のセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製)のアセトン溶液38.4gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を6時間加熱還流した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは50μmだった。また、使用したセルロースアセテートプロピオネートの置換度は2.43だった。
【0076】
〈基板フィルム110の作製〉
チタンテトラn−プロポキシド70%プロパノール溶液9.36gを塩化メチレン7.0gに溶解し、この溶液を室温で10.0質量%のセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製)のメチルセロソルブ:塩化メチレン=1:1(質量比)の溶液74.0gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を1時間室温で攪拌した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは60μmだった。また、使用したセルロースアセテートプロピオネートの置換度は2.43だった。
【0077】
〈基板フィルム111の作製〉
チタンテトラn−プロポキシド70%プロパノール溶液9.36gを塩化メチレン7.0gに溶解し、この溶液を室温で10.0質量%のセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製)のメチルセロソルブ:塩化メチレン=1:1(質量比)の溶液74.0gに攪拌しながら加えた。得られた溶液を30分間30℃で攪拌した後、ガラス板上に流延し乾燥させた。乾燥後の厚みは60μmだった。また、使用したセルロースアセテートプロピオネートの置換度は2.43だった。
【0078】
以上、作製した基板フィルムについてドメインサイズ、光透過率(可視光)、ヘイズ、ガラス転移温度、250℃弾性率を評価した。
【0079】
〈ドメインサイズ〉
以下の条件でX線小角散乱測定を行った。
【0080】
装置:理学電機製RINT2500/PC 小角広角X線回折装置
ターゲット:銅
出力:40kV−200mA
1stスリット:0.04mm
2ndスリット:0.03mm
受光スリット:0.1mm
散乱スリット:0.2mm
測定法:2θ FTスキャン法
測定範囲:0.1から6°
サンプリング:0.04°
計数時間:30秒
上記条件にて透過法で小角散乱測定を行った。得られたスペクトルに対し、空気散乱補正、スリット補正を行い、ギニエプロットにより粒径分布解析を行う。尚、慣性半径は球として求める。
【0081】
〈光透過率及びヘイズ〉
東京電色(株)製TURBIDITY METER T−2600DAで測定した。
【0082】
〈複屈折の測定〉
王子計測機器(株)製自動複屈折計KOBRA−21ADHで測定し、試料の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムの面内のX方向、Y方向の屈折率の差に、厚みを50μmと仮定して乗じた値を複屈折(nm)として表した。
【0083】
〈貯蔵弾性率の測定〉
レオメトリックス社製固体粘弾性測定装置RSA−IIを用い、引っ張りモードにて室温から250℃まで掃引し、試料の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムの貯蔵弾性率E’(Pa)、損失弾性率E”(Pa)、またその比(E”/E’)であるtanδを測定した。このtanδが極大値をとる温度をガラス転移温度とした。
【0084】
評価結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
ドメインサイズを本発明の範囲とすることにより、優れた光透過率、低ヘイズで面内複屈折の小さい、ガラス転移温度が高い有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムが得られた。
【0087】
実施例2
実施例1にて作製した基板フィルム104、107、109上に酸化ケイ素層を設けた。
【0088】
〈酸化ケイ素層製膜条件1〉
プラズマ放電装置には、電極が平行平板型のものを用い、この電極間に基板フィルムを載置し、且つ、混合ガスを導入して薄膜形成を行った。
【0089】
尚、電極は、以下の物を用いた。200mm×200mm×2mmのステンレス板に高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させ封孔処理を行った。このようにして被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にして、Rmax5μmとなるように加工した。このように電極を作製し、アース(接地)した。
【0090】
一方、印加電極としては、中空の角型の純チタンパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆したものを複数作製し、対向する電極群とした。
【0091】
また、プラズマ発生に用いる使用電源は日本電子(株)製高周波電源JRF−10000にて周波数13.56MHzの電圧で且つ5W/cm2の電力を供給し、電極間に以下の組成の反応性ガスを流した。
【0092】
不活性ガス:ヘリウム 98.69体積%
反応性ガス1:酸素 0.05体積%
反応性ガス2:テトラエトキシシラン 1.26体積%
基板フィルム上に上記反応ガス、反応条件により大気圧プラズマ処理を行い、酸化ケイ素層の製膜を行った。
【0093】
〈酸化ケイ素層製膜条件2〉
基板フィルムを直流式マグネトロンスパッタ装置内の基板保持装置に固定した。スパッタターゲットとして二酸化けい素を用い、真空度2.7mPaまで真空槽内を排気した。その後、Ar/O2 混合ガス(O2 1.5%)を槽内に導入し、真空度を0.67Paに保った後、スパッタリング法により基板フィルム上に酸化ケイ素層の製膜を行った。
【0094】
〈酸化ケイ素層製膜条件3〉
基板フィルムを真空プラズマCVD装置に設置し、下記の条件にて製膜を行った。
【0095】
原料ガス:(CH3)3SiOSi(CH3)3とO2
原料ガスの流量:1.0slm
O2ガスの流量:3.0slm
成層速度:0.25μm・m/min
プラズマ生成手段:13.56MHzのRF波
上記3種の方法により、基板フィルム上に酸化ケイ素層を形成した試料201〜209を作製し、以下の評価を行った。
【0096】
〈水蒸気透過性〉
MOCON社製、パーマトランW1Aを用いて、40℃、90℃%RH雰囲気下における水蒸気透過度を測定した。
【0097】
〈接着性〉
それぞれの基材フィルム上に酸化ケイ素層を形成した試料201〜209について、50℃/相対湿度95%の環境下に48時間放置した後、JIS K 5400に規定の方法に従い碁盤目試験を行った。具体的には、表面に片刃のかみそりの刃を面に対して90°の角度で切り込みを1mm間隔で縦横11本入れ、碁盤目を100こ作製した。この上に市販のセロテープ(R)を張り付け、その一端を手で持って垂直に引っ張ってはがし、残った碁盤目の数により評価した。評価結果を表2に示す。
【0098】
【表2】
【0099】
本発明の試料は水蒸気透過性も低く、接着性も良好であることがわかる。
実施例3
実施例2で作製した試料201、202、208の酸化ケイ素層形成面に下記の方法で透明導電層を形成した。
【0100】
〈透明導電層製膜条件a〉
プラズマ放電装置には、電極が平行平板型のものを用い、この電極間に実施例2で得られた試料を載置し、且つ、混合ガスを導入して薄膜形成を行った。
【0101】
尚、電極は、以下の物を用いた。200mm×200mm×2mmのステンレス板に高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させ封孔処理を行った。このようにして被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にして、Rmax5μmとなるように加工した。このようにして電極を作製し、アース(接地)した。
【0102】
一方、印加電極としては、中空の角型の純チタンパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆したものを複数作製し、対向する電極群とした。
【0103】
また、プラズマ発生に用いる使用電源は日本電子(株)製高周波電源JRF−10000にて周波数13.56MHzの電圧で且つ5W/cm2の電力を供給し、電極間に以下の組成の反応性ガスを流した。
【0104】
不活性ガス:ヘリウム 98.69体積%
反応性ガス1:水素 0.05体積%
反応性ガス2:インジウムアセチルアセトナト 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
反応性ガス4:テトラエトキシシラン 0.01体積%
基材フィルムの酸化ケイ素層上に上記反応ガス、反応条件により大気圧プラズマ処理を行い、透明導電層を形成した。
【0105】
〈透明導電層製膜条件b〉
実施例2で得られた各試料をDCマグネトロンスパッタ装置に装着し、真空槽内を1.33×10−3Pa以下まで減圧した。尚、スパッタリングターゲットは酸化インジウム:酸化錫95:5の組成のものを用いた。この後、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスを(Ar:O2=1000:3)を1×10−3Paとなるまで導入し、スパッタ出力100W、基板温度100℃にて透明導電層を形成した。
【0106】
上記で作製した透明導電膜積層体試料301〜306を以下の方法により評価した。
【0107】
〈透過率〉
JIS−R−1635に従い、日立製作所製分光光度計U−4000型を用いて測定を行った。試験光の波長は550nmとした。
【0108】
〈比抵抗〉
JIS−R−1637に従い、四端子法により求めた。なお、測定には三菱化学製ロレスタ−GP、MCP−T600を用いた。
【0109】
〈耐屈曲性〉
透明導電膜積層体試料を縦横10cmの長さに切断した。このフィルムについて室温25℃、湿度60%における表面抵抗を三菱化学製ロレスタ−GP、MCP−T600を用いて測定した。この表面抵抗値をR0とする。このフィルムを直径10mmφのステンレス丸棒に隙間が出来ないように巻き付けた。その状態で3分間保持した後フィルムを丸棒よりとり、再度表面抵抗を測定した。この値をRとする。丸棒の半径を10mmφから1mmφずつ小さくし、同様の測定を繰り返した。R/R0の値が1を越えた丸棒の半径を限界曲率半径とした。
【0110】
〈劣化試験〉
透明導電膜積層体試料を縦横10cmの長さに切断した。このフィルムについて室温25℃相対湿度50%における表面抵抗を三菱化学製ロレスタ−GP、MCP−T600を用いて測定した。この表面抵抗値をR0とする。このフィルムを温度80℃相対湿度40%の恒温恒湿槽で1週間処理し、再度表面抵抗値を測定した。この値をRとし、R/R0の比を求めた。この比は1に近い方が好ましい。
【0111】
〈耐NMP性〉
25℃のN−メチルピロリドン(NMP)に5分間浸漬、その後、流水にて十分洗浄を行った後、乾燥して、外観を目視にて観察した。
【0112】
◎:外観に全く変化が認められない
○:外観の極一部にわずかな曇りが認められる
△:外観の一部にわずかな曇りが認められる
×:外観に曇りが認められる
【0113】
【表3】
【0114】
本発明の試料は、比較試料に比べ光透過率が高く、耐屈曲性、劣化試験や耐NMP性にも優れた、優れた透明導電膜積層体フィルムが得られたことがわかる。
【0115】
実施例4
実施例3で得られた透明導電膜積層体試料301〜306を用いて、13.3インチ(1インチは2.54cmである。)のプラスチックフィルム製液晶セルを作製した。得られた液晶セルに偏光板を貼り合わせて液晶板試料401〜406を作製し、80℃の高温、及び60℃95%RHの高温高湿において、各々1000時間保存した後、液晶板の反り量を測定した。測定は、液晶板を水平台上に上側に湾曲するように置き、端部の高さから反り量(mm)を測定した。測定結果は以下の通りである。
【0116】
【表4】
【0117】
高温及び高温高湿における劣化試験においても高い平面性を保持し、液晶表示装置に用いても優れた性能を示すことがわかる。
【0118】
【発明の効果】
ディスプレイ素子用、電子光学素子用、タッチパネル用に適した透明性・耐熱性が高く、複屈折が少なく、軽く、しなやかな基板フィルムを得ることができた。
Claims (12)
- セルロースエステルの置換度(DS)が、アセチル置換度をDSace、酢酸以外の第2の酸による置換度をDSsec、DS=DSace+DSsecとするとき、1.0<DS<2.8かつ0<DSace<2.8であるセルロースエステルと、加水分解重縮合が可能な反応性金属化合物の加水分解重縮合物を主成分とする有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムであり、該フィルム中にドメインを有し、その慣性半径の重量比分布の最大が100〜0.5nmであることを特徴とする有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
- 前記有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム中のドメイン慣性半径の重量比分布の最大が75〜1nmであることを特徴とする請求項1に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
- 前記有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム中のドメイン慣性半径の重量比分布の最大が30〜1nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
- 前記反応性金属化合物の金属種に4価の金属を含んでいることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
- 4価の金属が、ケイ素、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムから選ばれることを特徴とする請求項4に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
- 加水分解可能な置換基が金属1原子当たり4個である金属の、前記反応性金属化合物中におけるモル含有率が50%以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
- 有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムの表面に金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物膜が形成されていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
- 金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物膜の金属元素がケイ素、ジルコニウム、チタン、タングステン、タンタル、アルミニウム、亜鉛、インジウム、クロム、バナジウム、ニオブ及び錫から選ばれることを特徴とする請求項7に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム。
- 請求項7または8項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムを製造するに当たり、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、少なくとも1種類以上の放電ガスと、少なくとも1種類以上の薄膜形成用ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、有機−無機ポリマーハイブリッドフィルム基材またはその基材上に形成されたその他の膜上に、該プラズマ状態の薄膜形成用ガスに晒すことによって、該基材上またはその他の膜上に金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物膜を形成することを特徴とする有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムにて構成されていることを特徴とする液晶ディスプレイ。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムにて構成されていることを特徴とする有機ELディスプレイ。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機−無機ポリマーハイブリッドフィルムにて構成されていることを特徴とするタッチパネル。
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