JP2004231831A - ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主たる成分としてテレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応により得られた生成物を重縮合せしめてポリエステルを製造する方法において、エステル化および/又は重縮合触媒として、置換基が特定の官能基からなる群より選ばれる少なくとも1種であるチタン化合物を使用し、かつ、第4級アンモニウム化合物、水酸化カリウム、および水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ化合物を添加することを特徴とする、ポリエステルの製造方法。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は色調などのポリマ特性に優れたポリエステルを得るとともに、エステル交換反応および/又は重縮合反応性に優れたポリエステルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物が広く用いられている。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリマーは以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
【0003】
例えば、アンチモン触媒を使用して得られたポリマーを溶融紡糸して繊維とするときに、アンチモン触媒の残渣が口金孔周りに堆積することが知られている。この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチモン触媒残渣の堆積が生じるのは、ポリマー中のアンチモン化合物が口金近傍で変成し、一部が気化、散逸した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであると考えられている。
【0004】
また、ポリマー中のアンチモン触媒残渣は比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって成形加工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の糸切れあるいは製膜時のフイルム破れの原因になるなどの好ましくない特性を有しており、操業性を低下させる一因となっている。
【0005】
上記のような背景からアンチモン含有量が少ないか、あるいは含有しないポリエステルが求められている。そこで、重縮合触媒の役割をアンチモン系化合物以外の化合物に求める場合、ゲルマニウム化合物が知られているが、ゲルマニウム化合物は非常に高価であり汎用的に用いることは難しい。
【0006】
また、アンチモン系化合物やゲルマニウム系化合物以外の重縮合触媒として、従来からチタン系化合物が知られているものの、かかるチタン系化合物を用いた場合には、得られるポリエステルは黄味を帯びやすく、特に工業的な生産性が得られる程度の量を使用した場合の色調は濃い黄味となる。このようにチタン系化合物を触媒として用いた時の問題を克服する試みとして、特定のリン化合物を併用する方法やアルキルアミンを添加する方法、また、有機カルボンとの混合物よりなる均一溶液を使用する方法等が提案されている(特許文献1〜3参照)。さらに、ポリエステル重合用触媒として、チタン化合物とリン化合物とからなるチタン錯体等のチタン系化合物を用いる方法も提案がされている(特許文献4〜6参照)。これらの方法によれば、触媒に起因した異物を少なくすることができるものの、重縮合反応が遅延したり、副反応が促進されるためにDEG量が増加したり、また、得られたポリマーの色調は十分満足できるレベルでない等、さらなる改善が望まれている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭52−136294号公報
【0008】
【特許文献2】
特開昭55−56121号公報
【0009】
【特許文献3】
特開昭56−129220号公報
【0010】
【特許文献4】
特開2001−524536号公報
【0011】
【特許文献5】
特開2002−512267号公報
【0012】
【特許文献6】
特開2002−293909号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記従来の問題を克服し、エステル化反応性および/又は重縮合反応性に優れると共に、色調が良好であり、DEG含有量が少なく、かつ、紡糸性の良好なポリエステルの製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明の目的は、主たる成分としてテレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応により得られた生成物を重縮合せしめてポリエステルを製造する方法において、エステル化および/又は重縮合触媒として、置換基が下記一般式1〜式6で表される官能基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有するチタン化合物を使用し、かつ、第4級アンモニウム化合物、水酸化カリウム、および水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ化合物を添加することを特徴とする、ポリエステルの製造方法により達成される。
【0015】
【化13】
【0016】
【化14】
【0017】
【化15】
【0018】
【化16】
【0019】
【化17】
【0020】
【化18】
【0021】
(式1〜式6中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基、アルコキシ基または水酸基またはカルボニル基またはアセチル基またはカルボキシル基またはエステル基またはアミノ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルは、芳香族ジカルボン酸であるテレフタル酸とエチレングリコールを主成分とするジオールから構成される。
【0023】
本発明のポリエステルには、ジエチレングリコール以外に共重合成分としてアジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキシ)安息香酸等のオキシカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体等が共重合されていてもよい。
【0024】
本発明における重合用触媒としてのチタン化合物は、置換基が下記一般式1〜式6で表される官能基からなる群より選ばれる少なくとも1種であるチタン化合物であることが必要である。
【0025】
【化19】
【0026】
【化20】
【0027】
【化21】
【0028】
【化22】
【0029】
【化23】
【0030】
【化24】
【0031】
(式1〜式6中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基、アルコキシ基または水酸基またはカルボニル基またはアセチル基またはカルボキシル基またはエステル基またはアミノ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
本発明の式1としては、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、2−エチルヘキソキシド等のアルコキシ基、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系化合物からなる官能基が挙げられる。 式2としては、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系化合物、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系化合物からなる官能基が挙げられる。
【0032】
式3としては、フェノキシ、クレシレイト、サリチル酸等からなる官能基が挙げられる。
【0033】
式4としては、ラクテート、ステアレート等のアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系化合物、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸からなる官能基が挙げられる。
【0034】
式5としては、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等からなる官能基が挙げられる。また、これらの置換基を2種含んでなるジイソプロポキシビスアセチルアセトンやトリエタノールアミネートイソプロポキシド等が好ましく挙げられる。
【0035】
なかでも式1及び/又は式4が含まれていることがポリマーの熱安定性および色調の観点から好ましい。
【0036】
また、チタン化合物としてこれら式1〜式6の置換基の2種以上を含んでなるチタンジイソプロポキシビスアセチルアセトナートやチタントリエタノールアミネートイソプロポキシド等が挙げられる。
【0037】
本発明における触媒としてのチタン化合物は、得られるポリマーに対してチタン原子換算で0.5〜150ppm添加するとエステル化反応や重合活性が高く、得られるポリマーの溶融耐熱性や色調が良好となり好ましい。より好ましくは1〜100ppm、更に好ましくは3〜50ppmである。
【0038】
本発明の触媒としてのチタン化合物は、ポリエステルの反応系にそのまま添加してもよいが、予め該化合物をエチレングリコール等のポリエステルを形成するジオール成分を含む溶媒と混合し、溶液またはスラリーとし、必要に応じて該化合物合成時に用いたアルコール等の低沸点成分を除去した後、反応系に添加すると、ポリマー中での異物生成がより抑制されるため好ましい。添加時期はエステル化反応触媒として、原料添加直後に触媒を添加する方法や、原料と同伴させて触媒を添加する方法がある。また、重縮合反応触媒として添加する場合は、実質的に重縮合反応開始前であればよく、エステル化反応の前、あるいは該反応終了後、重縮合反応触媒が開始される前に添加してもよい。
【0039】
なお、本発明の触媒とは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーにおいて、以下の(1)(2)の反応全てまたは一部の素反応の反応促進に実質的に寄与する化合物を指す。
(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応
(2)実質的にエステル反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応
本発明のアルカリ化合物は、第4級アンモニウム化合物、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ化合物であることが必要である。
【0040】
本発明において、これら第4級アンモニウム化合物、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ化合物のうち、第4級アンモニウム化合物を用いると、得られるポリエステルの色調が特に良好
となることから好ましく、また、280℃以下の温度で揮発する化合物であることから、最終的に得られるポリエステル中の残留量が少なくなり、ポリマー中に異物となることがなく、好ましい。
【0041】
本発明の好ましい第4級アンモニウム化合物は、例えば次の式7で表される化合物を挙げることができる。
【0042】
【化25】
【0043】
(但し、式7中、R1 、R2 、R3および R4 は水素原子、アルキル基、アリー
ル基、アリル基から選ばれる基を表す。)
より具体的には、式7の化合物としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム(以下EAHという)、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム、等を挙げることができる。
【0044】
本発明のアルカリ化合物の添加量は、第4級アンモニウム化合物の場合には、得られるポリエステルに対して10〜3000ppmであることが好ましい。10ppm以上であると、ポリマーの色調の改善、重合反応時の副反応の抑制によるDEG量増加の抑制効果が十分に発揮される。一方、特に、3000ppm以下であると、ポリマーの色調も良好である。添加量としては、20〜2000ppmがより好ましく、さらに好ましくは50〜1000ppmである。また、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの場合には0.1〜100ppmであることが好ましい。0.1ppm以上であると、ポリマーの色調の改善、重合反応時の副反応の抑制によるDEG量増加の抑制効果が十分に発揮される。一方、特に、100ppm以下であると、エステル化反応や重縮合反応の遅延はなく良好である。添加量としては、0.5〜50ppmがより好ましく、さらに好ましくは1〜20ppmである。
【0045】
本発明におけるアルカリ化合物の添加時期は、エステル化反応開始前、エステル化反応中、エステル化反応後、および/又は重縮合開始前等であるが、特に限定されるものではなく、エステル化反応前と重縮合前に分割添加してもよい。チタン化合物の添加前、又はチタン化合物と同時に添加するのが、得られるポリマーの色調、DEG量の抑制効果の点から好ましい。
【0046】
また、本発明で用いるチタン化合物を、アルカリ化合物を含有する水、有機溶媒、又は水および有機溶媒の混合物で予め処理し、得られた処理液を添加すると、チタン化合物が均一に分散あるいは溶解し、ポリマー中での異物生成が抑制されるため好ましい。また、このチタン化合物を含有する処理液が水溶液の場合にはエチレングリコール等のポリエステルを形成するジオール成分で希釈した後、反応系に添加すると、急激な温度変化による局部的な濃縮などが起こりにくくなるため、不溶性異物の生成がなく、好ましい。
【0047】
このようにチタン化合物を予めアルカリ化合物を含有する水、有機溶媒、又は水および有機溶媒の混合物で予め処理する場合には、水、有機溶媒、又は水および有機溶媒の混合物に対して、アルカリ化合物の濃度が、0.05〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%にすると、その後に添加するチタン化合物が分散あるいは溶解がより容易に進行するため好ましい。
【0048】
本発明のチタン化合物を予めリン化合物と反応させた触媒とする場合には、(1)チタン化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液にリン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下する。(2)前記ヒドロキシカルボン酸系化合物や多価カルボン酸系化合物等のチタン化合物の配位子を用いる場合は、チタン化合物または配位子化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液に配位子化合物またはチタン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下する。また、この混合溶液にさらにリン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下すると、熱安定性及び色調改善の観点から好ましい。上記の反応条件は0〜200℃の温度で1分以上、好ましくは20〜100℃の温度で2〜100分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力には特に制限はなく、常圧でも良い。また、上記溶媒としては、チタン化合物、リン化合物及びカルボニル基含有化合物の一部または全部を溶解し得るものから選択することができるが、好ましくは、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ベンゼン、キシレンから選ばれる。
【0049】
また、本発明のポリエステルは、製糸時におけるポリエステルの熱安定性や色調の観点から、チタン化合物と共にリンをポリエステルに対してリン原子換算で0.1〜400ppm含有されるように重合開始前、又はそれ以前の段階で添加してもよい。このようなリン化合物としてはリン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、亜ホスホン酸系、亜ホスフィン酸系、ホスフィン系のいずれか1種または2種であることが好ましい。具体的には、例えば、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等のリン酸系、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸系、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸などが好ましく用いられる。リン含有量は、1〜200ppmが好ましく、さらに好ましくは3〜100ppmである。
【0050】
なお、チタン化合物のチタン原子に対してリン原子としてモル比率でTi/P=0.1〜20であるとポリエステルの熱安定性や色調が良好となり好ましい。より好ましくはTi/P=0.2〜10であり、さらに好ましくはTi/P=0.3〜5である。
【0051】
本発明のポリエステルにおいてはアンチモン化合物の含有量が金属原子換算で50ppm以下であることが必要である。この範囲とすることで、成形加工時の口金汚れの発生等が少なく、かつ比較的安価なポリマーを得ることができる。より好ましくは、20ppm以下、特には実質的に含有しないことが好ましい。
【0052】
また、従来公知の酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、カーボンブラック等の顔料のほか、従来公知の着色防止剤、安定剤、抗酸化剤等の添加剤を含有しても差支えない。
【0053】
本発明のポリエステルは以下のような方法によって得られる。
【0054】
例えば、テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを製造する。
【0055】
ここで、エステル化、および/又は重縮合触媒として本発明のチタン化合物を使用し、かつ、第4級アンモニウム化合物、水酸化カリウム、および水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ化合物を添加するが、少量のアンチモン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物、あるいはマンガン、コバルト、亜鉛などの化合物を触媒に用いて進行させてもよい。なお、エステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、本発明のチタン化合物を触媒として添加してもよい。
【0056】
本発明の製造方法は、一連の反応の任意の段階、好ましくは一連の反応の前半で得られた低重合体に、艶消し剤として酸化チタン粒子や、コバルト化合物等の添加物を添加した後、重縮合触媒として本発明のチタン化合物を添加し重縮合反応を行い、高分子量のポリエチレンテレフタレートを得てもよい。
【0057】
また、上記の反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式で実施されるが、本発明の製造方法はそのいずれの形式にも適応し得る。
【0058】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリマーの固有粘度IV
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(2)ポリマー中の金属含有量
蛍光X線により求めた。
(3)DEG含有量
ポリマーをアルカリ分解した後、ガスクロマトグラフィーを用いて定量した。
(4)ポリマーの色調
スガ試験機(株)社製の色差計(SMカラーコンピューター型式SM−3)を用いて、ハンター値として測定した。
(5)不溶性異物の有無
重合操作終了後のポリマー5gをガラス試験管に採取し、リメルトした後の溶融ポリマーを観察して、不溶性異物の有無を判定した。
【0059】
○: 不溶性異物は認められない。
【0060】
×: 不溶性異物がみられる。
【0061】
参考例
以下に触媒の合成方法を記す。
【0062】
触媒A.クエン酸キレートチタン化合物の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
【0063】
触媒B.クエン酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸混合)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量2.49重量%)。
【0064】
触媒C.クエン酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸、リン酸混合)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)及びリン酸の85重量/重量%水溶液(39.9g、0.35モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量3.36重量%)。
【0065】
触媒D.乳酸キレートチタン化合物の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。
【0066】
触媒E.乳酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸混合)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量4.23重量%)。
【0067】
触媒F.乳酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸、リン酸混合)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)及びリン酸の85重量/重量%水溶液(39.9g、0.35モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量5.71重量%)。
【0068】
触媒G.チタンアルコキシド化合物の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。
【0069】
触媒H.チタンアルコキシド化合物(リン酸混合)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。この混合溶液に対し、リン酸の85重量/重量%水溶液(114g、1.00モル)を加えた(P含有量2.87重量%)。
【0070】
触媒I.チタンアルコキシド化合物(ジエチルホスホノ酢酸エチル混合)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。この混合溶液に対し、ジエチルホスホノ酢酸エチル(224g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量2.87重量%)。
【0071】
実施例1
予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に、EAH(三洋化成社製 20重量%含有水溶液)とエチレングリコールとの混合液をポリマーに対してEAH成分として50ppm添加した後、高純度テレフタル酸(三井化学社製)100kgとエチレングリコール(日本触媒社製)45kgのスラリーを3時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行った。このエステル化反応生成物の123kgを重縮合槽に移送した。
【0072】
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、触媒A(クエン酸キレートチタン化合物)の2重量%エチレングリコール溶液(ポリマーに対してチタン原子換算で10ppm)、EAH(20重量%含有水溶液)のエチレングリコール混合液(ポリマーに対してEAH成分として50ppm)、およびリン酸の2重量%エチレングリコール溶液(ポリマーに対してリン原子換算で5ppm)を添加し、その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は2時間50分であった。
【0073】
得られたポリマーのIVは0.68であり、アルカリ化合物を添加していない比較例1に比べてポリマーのDEG量は0.91wt%と少なく、特に色調b値は良好であった。(なお、ポリマーから測定したチタン触媒由来のチタン原子の含有量は10ppm、リン原子の含有量は5ppmであり、Ti/P=1.3であった。)
このポリエステルを乾燥後、紡糸基に供し、メルターにて溶融した後、計量し紡糸パック部から吐出し、2000m/分の速度で引取った。紡糸時に口金汚れの発生や糸切れはなく、紡糸性に優れていた。
実施例2〜9
実施例2〜9は、参考例での触媒B〜Iを使用し、いずれも2重量%エチレングリコール溶液(ポリマーに対してチタン原子換算で10ppm)を添加した以外は、実施例1と同様にして、エステル化、および重合した。なお、実施例4、および実施例7以外は、リン化合物を追加添加しなかった。
【0074】
いずれも比較例1〜3に比べてDEG量は少なく、特に色調b値は良好であった。
実施例10〜16
アルカリ化合物の種類、および量を変更する以外は、実施例1と同様にして、エステル化、および重合した。
【0075】
いずれも比較例1〜3に比べてDEG量が少なく、特に色調b値は良好であった。
実施例17〜19
ポリマーに対するチタン化合物の添加量、およびリン化合物の添加量を変更する以外は、実施例1と同様にして、エステル化、および重合した。
【0076】
いずれも比較例1〜3に比べてDEG量は少なく、特に色調b値は良好であった。
実施例20
リン化合物の種類を変更した以外は、実施例1と同様にして、エステル化、および重合した。
【0077】
比較例1〜3に比べてDEG量は少なく、特に色調b値は良好であった。
実施例21
予めエチレングリコールに、EAHを20重量%含有する水溶液を添加、撹拌した混合溶液に、参考例において合成した触媒B(2重量%エチレングリコール溶液)を添加混合し、EAH、水、エチレングリコールおよびチタンを含有する処理液を調整した。この処理液を重縮合前に添加(ポリマーに対してEAH成分として50ppm)した以外は、実施例1と同様にして、エステル化、および重合した。
【0078】
比較例1〜3に比べてDEG量は少なく、特に色調b値は良好であった。
実施例22
予めエチレングリコールに、KOHを2重量%含有する水溶液を添加、撹拌した混合溶液に、参考例において合成した触媒F(2重量%エチレングリコール溶液)を添加混合し、KOH、水、エチレングリコールおよびチタンを含有する処理液を調整した。この処理液を重縮合前に添加(ポリマーに対してKOHとして5ppm)した以外は、実施例1と同様にして、エステル化、および重合した。
【0079】
比較例1〜3に比べてDEG量は少なく、特に色調b値は良好であった。
比較例1〜3
参考例での触媒A、EおよびIを用いて、EAHを添加しない以外は実施例1と同様にして、エステル化、および重合した。
【0080】
重合反応性は良好であったが、実施例に比べてDEG量が多く、ポリマーの色調も特にb値が高く、黄味を帯びたものであった。
比較例4
アルカリ化合物としてトリエチルアミン(100ppm添加)を用いる以外は、
実施例1と同様にして、エステル化、および重合した。
【0081】
重合反応性はやや良好であったものの、実施例に比べてDEG量が多く、ポリマーの色調b値が高く、黄味を帯びたものであった。
比較例5
触媒に三酸化アンチモン(住友金属鉱山社製)を、得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で350ppm添加したこと以外は実施例1と同様にして、エステル化、および重合し、得られたポリマーを用いて紡糸を行った。
【0082】
各実施例に比べて重合反応性は劣っていた。また、得られるポリマーの色調b値は良好であったものの、DEG量が多く、紡糸時に口金汚れが発生し、糸切れがあり、操業性に劣っていた。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【発明の効果】
本発明のポリエステルの製造方法によって、エステル化反応性および/又は重縮合反応性に優れると共に、色調が良好であり、DEG含有量が少なく、かつ、紡糸性の良好なポリエステルを得ることができる。
Claims (10)
- 主たる成分としてテレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応により得られた生成物を重縮合せしめてポリエステルを製造する方法において、エステル化および/又は重縮合触媒として、置換基が下記一般式1〜式6で表される官能基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有するチタン化合物を使用し、かつ、第4級アンモニウム化合物、水酸化カリウム、および水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ化合物を添加することを特徴とするポリエステルの製造方法。
(式1〜式6中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基、アルコキシ基または水酸基またはカルボニル基またはアセチル基またはカルボキシル基またはエステル基またはアミノ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基を表す。) - 式1〜式3のR1〜R3がそれぞれ独立に水素または炭素数1〜30の炭化水素基であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造方法。
- 式1〜式3中、R1〜R3のうち少なくとも1つが、水酸基またはカルボニル基またはアセチル基またはカルボキシル基またはエステル基を有する炭素数1〜30の炭化水素基であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造方法。
- 式1のR1〜R3のうち少なくとも1つが、カルボキシル基またはエステル基を有する炭素数1〜30の炭化水素基であることを特徴とする請求項3記載のポリエステルの製造方法。
- 式4のR1が炭素数1〜30の炭化水素基もしくは、水酸基またはカルボニル基またはアセチル基またはカルボキシル基またはエステル基を有する炭素数1〜30の炭化水素基であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造方法。
- 得られるポリエステルに対し、チタン原子換算として0.5〜150ppm添加することを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載1項記載のポリエステルの製造方法。
- 得られるポリエステルに対してアルカリ化合物が、第4級アンモニウム化合物の場合は10〜3000ppm、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムの場合は0.1〜100ppm添加することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
- リン化合物をリン原子としてポリエステルに対して0.1〜400ppm以下となるようにポリエステル製造工程で添加することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
- チタン化合物とリン化合物の比率が、チタン原子とリン原子のモル比率としてTi/P=0.1〜20であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
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