JP2004232377A - 壁構造及び壁構造の施工方法 - Google Patents

壁構造及び壁構造の施工方法 Download PDF

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Tetsumi Nakamura
哲己 中村
Tomonori Sato
友紀 佐藤
Akira Matsuoka
章 松岡
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Abstract

【課題】壁構造において、その内部での結露を防止する。
【解決手段】壁構造1は、屋外側から外装材3、外装下地材5、断熱材7、及び内装材が順に並んで形成されている。外装材3と外装下地材5との間には通気層11が形成されている。外装下地材5は透湿性を有する。壁構造1は、施工後に発生すると予想される隙間部を考慮して算出された断熱材7の平均の透湿抵抗を予め考慮している。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁構造及び壁構造の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、省エネルギーのために、住宅の高断熱化・高気密化が図られている。そのため、例えば、住宅の壁の構造は、屋外側から屋内側に外装材、外装下地材、断熱材、及び内装材が順に並んで形成されたものとなっている。内装材は一般的に、耐震性・耐火性を有する石膏ボード等の面材で形成されている。
【0003】
しかし、住宅の高断熱化・高気密化に伴い、壁の内部で結露が生じるおそれが生じた。つまり、外装下地材と内装下地材との間に生じる温度差により、室内から壁内へ侵入した湿気が凝結するのである。そこで、室内の湿気が壁内に侵入することを防ぐために、壁構造には防湿性を有する防湿気密層が設けられた(例えば、非特許文献1)。
【0004】
防湿気密層としては、防湿層が付された断熱材(例えば、グラスウール・ロックウール等の繊維系断熱材)や、それ自体が高い透湿抵抗を有する発泡系断熱材や、内装材と断熱材との間に設けられたポリエチレンフィルム・プラスチックフィルム等の防湿シートがある。
【0005】
【非特許文献1】
「平成13年度版木造住宅工事共通仕様書(解説付)」,財団法人住宅金融普及協会,p.92−102,106
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この防湿気密層を設けるための施工方法では、施工の精度が施工業者間で個人差があり、これは結露防止の観点から好ましくない。
【0007】
また、防湿層付きの断熱材を用いた場合、施工の精度が悪いと、断熱材の防湿層が破れることもあり、その結果、防湿層の透湿抵抗が小さくなる。そして、この破損部から湿気が壁内に侵入し、結露が発生することになる。
【0008】
また、発泡系断熱材を用いた場合、発泡系断熱材と柱等との間に隙間が生じやすい。さらに、正確に施工した場合でも、経年変化によって発泡系断熱材と柱等との間に隙間が生じることがある。それにより、発泡系断熱材の透湿抵抗が小さくなる。そして、その隙間から湿気が壁内に侵入し、結露が生じることがある。
【0009】
また、防湿シートは施工時に破れることがあり、そのため、防湿シートの透湿抵抗が小さくなる。したがって、破れたままの防湿シートを用いた場合、そこから湿気が壁内に侵入し、結露が発生することになる。
【0010】
以上より、本願発明者は、壁構造の内部での結露を防止するためには、防湿気密層を設ける施工の精度を予め考慮して壁構造を施工することが好ましいことを発見した。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、壁構造において、その内部での結露を防止することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る壁構造は、構造材と、該構造材の屋外側に設けられ、透湿性を有する外装下地材と、該外装下地材の屋外側に設けられた外装材と、上記構造材の屋内側に設けられた内装材と、上記外装下地材と上記内装材との間に設けられ、上記構造材に設けられた断熱材とを備え、上記外装下地材と上記外装材との間には、壁内部の湿気を屋外に排出するための通気層が形成された壁構造であって、施工後に上記断熱材と上記構造材との間に生じる隙間部を少なくとも考慮して算出された上記断熱材の平均の透湿抵抗を、少なくとも考慮したものである。
【0013】
ところで、壁構造では、防湿気密層を設ける施工の精度等を原因として、断熱材と構造材との間等に隙間部が生じやすい。このとき、断熱材の透湿抵抗は低下する。
【0014】
ここで、本発明によれば、断熱材自体の透湿抵抗ではなく、断熱材の平均の透湿抵抗を考慮して壁構造がなされている。すなわち、施工の精度等を考慮して壁構造は構成されている。そのため、施工された壁構造は、上記隙間部が生じやすいという実情に即したものとなる。したがって、壁構造の内部での結露の発生を確実に防ぐことができる。
【0015】
また、壁構造の内部に湿気が侵入したとしても、外装下地材が透湿性を有するため、湿気は外装下地材を通って通気層から屋外に排出される。したがって、壁構造の内部での結露の発生を更に確実に防ぐことができる。
【0016】
本発明に係る壁構造は更に、上記外装下地材の透湿抵抗に対する上記断熱材の平均の透湿抵抗と上記内装材の透湿抵抗とを加えた値の比率を考慮したものである。
【0017】
ところで、従来の壁構造は一般的に、外装下地材の透湿抵抗、断熱材の透湿抵抗、及び内装材の透湿抵抗のそれぞれの関係を考慮して施工されていた。
【0018】
ここで、本発明によれば、壁構造は、外装下地材の透湿抵抗に対する断熱材の平均の透湿抵抗と内装材の透湿抵抗とを加えた値の比率を考慮しているため、壁構造を施工するに際して、外装下地材、断熱材、及び内装材の関係について考慮すべき事柄が減る。したがって、壁構造の施工の容易化を図ることができる。
【0019】
本発明に係る壁構造は更に、内装材が調湿性を有するものである。
【0020】
これにより、内装材は調湿性を有するため、室内の湿気が内装材内に蓄えられる。よって、室内の湿気は内装材よりも内部へ侵入しにくい。したがって、壁構造の内部での結露の発生を更に確実に防ぐことができる。
【0021】
また、内装材は調湿性を有するため、室内の湿度が低くなったときには、内装材内に蓄えられた湿気が室内に放湿される。したがって、湿気の壁構造の内部への侵入を確実に防ぐことができる。
【0022】
本発明に係る壁構造の施工方法は、構造材と、該構造材の屋外側に設けられ、透湿性を有する外装下地材と、該外装下地材の屋外側に設けられた外装材と、上記構造材の屋内側に設けられた内装材と、上記外装下地材と上記内装材との間に設けられ、上記構造材に設けられた断熱材とを備え、上記外装下地材と上記外装材との間には、壁内部の湿気を屋外に排出するための通気層が形成された壁構造の施工方法であって、施工後に上記断熱材と上記構造材との間に生じる隙間部を少なくとも考慮して算出された上記断熱材の平均の透湿抵抗を、少なくとも考慮しているものである。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、断熱材自体の透湿抵抗ではなく、断熱材の平均の透湿抵抗を考慮して壁構造が施工されている。すなわち、施工の精度等を考慮して壁構造は構成されている。そのため、施工された壁構造は、上記隙間部が生じやすいという実情に即したものとなる。したがって、壁構造の内部での結露の発生を確実に防ぐことができる。
【0024】
また、壁構造の内部に湿気が侵入したとしても、外装下地材が透湿性を有するため、湿気は外装下地材を通って通気層から屋外に排出される。したがって、壁構造の内部での結露の発生を更に防ぐことができる。
【0025】
本発明によれば、壁構造が、外装下地材の透湿抵抗に対する断熱材の平均の透湿抵抗及び内装材の透湿抵抗を加えた値の比率を考慮しているため、壁構造を施工するに際して、外装下地材、断熱材、及び内装材の関係について考慮すべき点が減る。したがって、壁構造の施工の容易化を図ることができる。
【0026】
本発明によれば、内装材が調湿性を有するため、室内の湿気が内装材内に蓄えられる。よって、室内の湿気は内装材よりも内部へ侵入しにくい。したがって、防湿気密層及び調湿性断熱材を設けることなく、壁構造の内部での結露の発生を更に防ぐことができる。
【0027】
また、内装材は調湿性を有するため、室内の湿度が低くなったときには、内装材内に蓄えられた湿気が室内に放湿される。したがって、湿気の壁構造の内部への侵入を更に防ぐことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
(実施形態1)
図1及び図2に示すように、住宅等の建物の壁構造1は、屋外側から室内(屋内)側に外装材3、外装下地材5、断熱材7、及び内装材9が順に並んで形成されている。
【0030】
外装材3はサイディング等で形成されている。サイディングとは、建物の外壁に用いられる耐水性及び耐天候性に富む板である。
【0031】
外装材3と外装下地材5との間には、通気層11が形成されている。通気層11は、外装材3の室内側の面と外装下地材5の屋外側の面との間に胴縁13や通気用金物等を介することにより形成されている。通気層11は、外装下地材5を通過した湿気を屋外に排出するためのものである。通気層11はその幅が15mm以上であることが好ましい。
【0032】
外装下地材5は、柱15・間柱17等の縦軸材と土台・胴差・梁・桁等の横架材(図示せず)とからなる軸組材の屋外側の面に、釘・ねじ等の固定金具で固定されている。
【0033】
軸組材は、製材・集成材・ディメンションランバー・LVL(Laminated Veneer Lumber/単板積層材)・PSL(Parallel Strand Lumber)等で形成されている。なお、本発明に係る構造材は建築物の躯体を構成する部材であり、軸組材に対応する。
【0034】
外装下地材5は透湿性を有する。透湿性とは湿気を通しやすい性質である。外装下地材5は、例えば、ダイライト(大建工業(株)製)・火山性ガラス質複層板・インシュレーションファイバーボード等の面材で形成されている。外装下地材5がダイライトで形成されている場合、ダイライトはその厚さが9mm以上であることが好ましい。外装下地材5がインシュレーションファイバーボードで形成されている場合、インシュレーションファイバーボードはその厚さが12mm以上であることが好ましい。表1は、外装下地材5に用いられる面材の透湿抵抗を示したものである。
【0035】
【表1】
Figure 2004232377
【0036】
また、外装下地材5は、ダイライト・火山性ガラス質複層板・インシュレーションファイバーボード等の面材と同等あるいはそれ以下の透湿抵抗を有する限り、上述の面材以外の面材、透湿シート又は防水シート等で形成されてもよい。
【0037】
なお、外装下地材5としてダイライト・火山性ガラス質複層板・インシュレーションファイバーボード等の面材を用いた場合、縦軸材等の間に筋交いを設けなくてもよい。これは、外装下地材5としてダイライト・火山性ガラス質複層板・インシュレーションファイバーボード等の面材を用いたとき、筋交いを設けた場合と同等、あるいはそれ以上の耐力が得られるためである。これにより、筋交いを設けた場合に生じる断熱欠損を防ぐことができる。
【0038】
断熱材7は軸組材の中空部に設けられている。中空部とは、縦軸材と横架材との間に形成された空間である。断熱材7は外装下地材5及び内装材9の間の熱の伝導を遮断するものである。断熱材7は、鉛直方向(図1において上下方向)に並んだ複数の断熱材部7aで形成されている。
【0039】
断熱材7は、グラスウール・ロックウール等の無機繊維系断熱材、ビーズ法ポリスチレンフォーム・ポリエチレンフォーム・押出法ポリスチレンフォーム・フェノールフォーム保温板・硬質ウレタンフォーム・吹付け硬質ウレタンフォーム等の発泡系断熱材、シージングボード・タタミボード・吹込み用セルロースファイバー等の木質繊維系断熱材、ウール等の天然系断熱材などで形成されている。断熱材7は、本実施形態の壁構造1が必要とする断熱性を有する限り、その厚さが如何なるものであってもよい。
【0040】
なお、本実施形態では、断熱材7は発泡系断熱材で形成されている。
【0041】
内装材9は、軸組材の室内側の面に固定金具で固定されている。内装材9は断熱材7の室内側の面上に形成されている。内装材9は、例えば、石膏ボード・構造用合板・珪酸カルシウム・スラグ石膏板・ロックウール板・モルタル・ALC等で形成されている。内装材9は、壁1内への湿気の侵入の防止の観点から、透湿抵抗が高い方が好ましい。
【0042】
なお、内装材9は、内装下地材と、内装下地材の室内側の面上に形成された内装仕上げ材とで形成されてもよい。内装下地材は、例えば、石膏ボード・構造用合板・珪酸カルシウム・スラグ石膏板・ロックウール板・モルタル・ALC等で形成されている。内装仕上げ材は、例えば、塩化ビニール壁紙、オレフィン壁紙、紙壁紙、絹・麻・綿等の天然素材やレーヨン・ポリエステル等の合成・再生素材を原料とした布壁紙、珪藻土を原料とした壁紙などで形成されている。
【0043】
ところで、断熱材7として発泡系断熱材を用いた場合、施工後に断熱材7と軸組材との間及び断熱材部7aと断熱材部7aとの間等に隙間部19が生じやすい(図1参照)。そこで、本実施形態に係る壁構造1は、施工後に発生すると予想される隙間部を考慮して算出された施工後の断熱材7の透湿抵抗(断熱材7の平均の透湿抵抗とも言う)を予め考慮している。言い換えれば、本実施形態に係る壁構造1は、施工後の断熱材7の透湿抵抗を用いている。なお、本発明に係る断熱材の平均の透湿抵抗は、施工後の断熱材7の透湿抵抗に対応する。
【0044】
ここで、施工後の建築用部材の透湿抵抗は、以下に示す式で求められる。
【0045】
施工後の建築用部材の透湿抵抗=全体の面積/(隙間部の透湿×隙間部の長さ+建築用部材の透湿×建築用部材の面積)…(i)
本実施形態において、「全体の面積」は壁面積に対応し、「建築用部材」は断熱材7に対応する。壁面積とは、軸組材の中空部の室内側(室外側)の面の面積である。断熱材7の面積とは、断熱材7の室内側の面の面積である。
【0046】
また、本実施形態において、隙間部は、計算の容易性等の観点から、軸組材と断熱材7の四周(外周)との継ぎ目に生じた隙間と仮定する。隙間部の長さとは、断熱材7の四周(外周)の長さである。加えて、透湿とは、湿気の抜けやすさを示すものであり、透湿係数とも言われている。透湿は、湿気の抜けにくさを示す透湿抵抗の逆数(1/透湿抵抗)である。隙間部の透湿や建築用部材の透湿はそれぞれ、隙間部の透湿抵抗の逆数と建築用部材の透湿抵抗の逆数である。
【0047】
具体的には、本実施形態において、壁面積は910mm×2400mmであり、発泡系断熱材の透湿抵抗は19.2×10・S・Pa/kgであり、隙間部の透湿抵抗は0.1×10・S・Pa/kgであり、断熱材7の面積は2.18mであり、隙間部の長さは6.62mである。なお、隙間部の透湿抵抗は予め行われた実験により得られた数値であり、特にこの数値に限定されるものではない。
【0048】
ここで、これらの数値を式(i)に代入する。
(0.91×2.4)/{0.1×10−9×6.62+1/(19.2×10)×2.18}=2.8×10・S・Pa/kg
したがって、本実施形態の断熱材7の施工後の透湿抵抗は、2.8×10・S・Pa/kgである。本実施形態の壁構造1は、この施工後の断熱材7の透湿抵抗を予め考慮している。
【0049】
なお、当然のことであるが、求められた施工後の断熱材7の透湿抵抗が壁構造1に必要とされる所定の透湿抵抗より低い場合には、壁構造1を施工する前に、断熱材7を発泡系断熱材から他の断熱材に変更する等の処置を施すことが好ましい。
【0050】
以上により、本実施形態によれば、断熱材7自体の透湿抵抗ではなく、施工後の断熱材7の透湿抵抗を考慮して壁構造1が施工されている。すなわち、施工の精度等を考慮して壁構造1は構成されている。そのため、施工された壁構造1は、隙間部19が生じやすいという実情に即したものとなる。したがって、壁構造1の内部での結露の発生を確実に防ぐことができる。
【0051】
また、壁構造1の内部に湿気が侵入したとしても、外装下地材5が透湿性を有するため、湿気は外装下地材5及び通気層11を通って屋外に排出される。したがって、壁構造1内部での結露の発生を更に確実に防ぐことができる。
【0052】
また、上述のように、湿気は外装下地材5及び通気層11を通って屋外に排出されるため、壁構造1に防湿気密層を設ける必要がない。
【0053】
また、同様に、湿気は外装下地材5及び通気層11を通って屋外に排出されるため、壁構造1に防湿材を設ける必要がない。したがって、施工の容易化、壁構造1の解体時における建築用部材の分別の容易化、及び壁構造1の施工のコストの低減化を図ることができる。
【0054】
(実施形態2)
図3に示すように、本実施形態の壁構造1は、断熱材7の屋内側の面に防湿材21が設けられたものである。その他の点に関しては、実施形態1の壁構造1の構造とほぼ同様である。
【0055】
防湿材21は、その四周が軸組材の屋内側の面に重なっている。防湿材21は、その四周が軸組材の屋内側の面にタッカー23等の固定金具で固定されている。
【0056】
ところで、防湿材21を防湿材21自体が有する透湿抵抗の値どおりに機能させるためには、防湿材21の四周を軸組材に対して隙間なく固定しなければならない。しかし、そのためには高度な施工精度が必要となり、それは困難を極める。そのため、施工後に防湿材21と軸組材との間に隙間部19が生じやすい。そこで、本実施形態に係る壁構造1は、施工後に発生すると予想される隙間部を考慮して算出された施工後の防湿材21の透湿抵抗を予め考慮している。
【0057】
本実施形態において、防湿材21の透湿抵抗は48×10・S・Pa/kgである。壁面積、防湿材21の面積、隙間部の透湿抵抗、及び隙間部の長さは実施形態1のものと同値である。
【0058】
ここで、上記の値を式(i)に代入する。
(0.91×2.4)/{0.1×10−9×6.62+1/(48×10)×2.18}=3.1×10・S・Pa/kg
したがって、本実施形態の防湿材21の施工後の透湿抵抗は、3.1×10・S・Pa/kgとなる。本実施形態の壁構造1は、この施工後の防湿材21の透湿抵抗を予め考慮している。
【0059】
以上により、本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果が得られる。
【0060】
(実施形態3)
図4に示すように、本実施形態の壁構造1は、断熱材7として防湿層付き断熱材が用いられているものである。その他の点に関しては、実施形態1の壁構造1の構造とほぼ同様である。
【0061】
断熱材7は、断熱材部7a及び防湿層7bを有する。
【0062】
断熱材部7aは、グラスウール・ロックウール等の無機繊維系断熱材で形成されている。
【0063】
防湿層7bはポリエチレンフィルム等で形成された薄いシートである。防湿層7bは断熱材部7aの屋内側の面に設けられ、その四周が軸組材の屋内側の面にタッカー23で固定されている。
【0064】
ところで、断熱材7を断熱材7自体が有する透湿抵抗の値どおりに機能させるためには、防湿層7bの四周を軸組材に対して隙間なく固定しなければならない。しかし、そのためには高度な施工精度が必要となり、それは困難を極める。そのため、施工後に防湿層7bと軸組材との間等に隙間部19が生じやすい。そこで、本実施形態に係る壁構造1は、施工後に発生すると予想される隙間部を考慮して算出された施工後の断熱材7の透湿抵抗を、予め考慮している。
【0065】
本実施形態において、防湿層付きの断熱材の透湿抵抗は8.2×10・S・Pa/kgである。壁面積、断熱材7の面積、隙間部の透湿抵抗、及び隙間部の長さは実施形態1のものと同値である。
【0066】
ここで、上記の値を式(i)に代入する。
(0.91×2.4)/{0.1×10−9×6.62+1/(8.2×10)×2.18}=2.4×10・S・Pa/kg
したがって、本実施形態の断熱材7の施工後の透湿抵抗は、2.4×10・S・Pa/kgである。本実施形態の壁構造1は、この施工後の断熱材7の透湿抵抗を予め考慮している。
【0067】
以上により、本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果が得られる。
【0068】
(実施形態4)
図5に示すように、本実施形態の壁構造1は、防湿層付き断熱材に破損部25が形成されたものである。その他の点に関しては、実施形態3の壁構造1の構造とほぼ同様である。
【0069】
ところで、上述のように、防湿層7bはポリエチレンフィルム等の薄いシートで形成されているため、防湿層7bは施工時に破れ、施工後に破損部25が形成される場合がある。そこで、本実施形態に係る壁構造1は、施工後に発生すると予想される隙間部、及び施工後に防湿層7bに形成されると予想される破損部を考慮して算出された施工後の断熱材7の透湿抵抗を、予め考慮している。
【0070】
本実施形態において、防湿層の破損部は10cm/mである。壁面積、防湿層付きの断熱材の透湿抵抗、断熱材7の面積、隙間部の透湿抵抗、及び隙間部の長さは実施形態3のものと同値である。
【0071】
ここで、上記の値を式(i)に代入する。
(0.91×2.4)/[(0.1×10−9×6.62)+{(1/(8.2×10)×2.18)+(1/(3.8×10)×0.002)}=2.3×10・S・Pa/kg
なお、「1/(3.8×10)×0.002」が破損部25の透湿を示すものである。
【0072】
したがって、本実施形態の断熱材7の施工後の透湿抵抗は、2.3×10・S・Pa/kgである。本実施形態の壁構造1は、この施工後の断熱材7の透湿抵抗を予め考慮して施工されている。
【0073】
以上により、本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果が得られる。
【0074】
(実施形態5)
本実施形態の壁構造1は、外装下地材5の透湿抵抗に対する施工後の断熱材7の透湿抵抗と内装材9の透湿抵抗とを加えた値の比率を考慮して施工されたものである。その他の点に関しては、実施形態4の壁構造1とほぼ同様である。
【0075】
本実施形態の壁構造1は、外装下地材5が9mmのインシュレーションボードで形成され、断熱材7が100mmの防湿層付きグラスウールで形成され、内装材9が9mmの石膏ボードで形成されている。このとき、外装下地材5の透湿抵抗が0.43×10・S・Pa/kgとなり、施工後の断熱材7の透湿抵抗が2.3×10・S・Pa/kgとなり、内装材9の透湿抵抗が0.37×10・S・Pa/kgとなる。
【0076】
ここで、外装下地材5の透湿抵抗に対する施工後の断熱材7の透湿抵抗及び内装材9の透湿抵抗を加えた値の比率は、以下のように求められる。
【0077】
外装下地材5の透湿抵抗:(施工後の断熱材7の透湿抵抗+内装材9の透湿抵抗)
=0.43×10:(2.3×10+0.37×10
=0.43:2.67
=1:6.2
なお、壁構造1の内部での結露をより確実に防止するためには、外装下地材5の透湿抵抗:(施工後の断熱材7の透湿抵抗+内装材9の透湿抵抗)=1:1〜7とすることが好ましい。
【0078】
なお、図6に示すように、内装材9が内装下地材9aと内装仕上げ材9bで形成されている場合、外装下地材5の透湿抵抗に対する施工後の断熱材7の透湿抵抗と内装下地材9aの透湿抵抗とを加えた値の比率を考慮してもよい。
【0079】
ところで、従来の壁構造1は一般的に、内装材9に透湿抵抗の高い材料を使用することで、壁内への湿った空気の侵入を抑制していた。
【0080】
ここで、本実施形態によれば、壁構造1は、外装下地材5の透湿抵抗に対する施工後の断熱材7の透湿抵抗と内装材9の透湿抵抗とを加えた値の比率を考慮しているため、内装材9に透湿抵抗の低い石膏ボード等を使用しても、壁構造1により壁内の湿気を屋外に排出することで、結露を抑制することができる。
【0081】
(実施形態6)
本実施形態の壁構造1は、内装材9が調湿性を有するものである。その他の点に関しては、実施形態3の壁構造1の構造とほぼ同様である。
【0082】
内装材9は調湿性(吸放湿性)を有する。調湿性とは、湿度が高いときには吸湿し、湿度が低いときには放湿する性質である。内装材9は調湿面材で形成されている。内装材9は吸放湿量が400g/m程度より上の建材で形成されていることが好ましい。内装材9の吸放湿量が400g/m程度より上であれば、室内における炊事・入浴・暖房等によって発生する湿気、温度の変動に伴う湿度の変動、及び梅雨に代表される高湿度環境に、本実施形態の壁構造1はより確実に対応することができる。
【0083】
ここで、吸放湿量の算定方法について説明する。
【0084】
相対湿度を50%に保った恒温・恒湿の槽内で重量を恒量化させた試験体を、相対湿度を90%に保った恒温・恒湿の槽内で重量を恒量化させる。そして、前者と後者との含水率の差を吸湿量(g/m,kg/m)と定義する。一方、相対湿度を90%に保った恒温・恒湿の槽内で重量を恒量化させた試験体を、相対湿度を50%に保った恒温・恒湿の槽内で重量を恒量化させる。そして、前者と後者との含水率の差を放湿量(g/m,kg/m)と定義する。
【0085】
そうして、吸湿量及び放湿量の平均値を吸放湿量と定義する。これを以下の式に示す。
(吸湿量+放湿量)/2=吸放湿量
なお、吸湿量、放湿量、及び吸放湿量はJSTMH6301に準拠した方法で測定する。
【0086】
表2は、主な材料の吸放湿量の値を示したものである。
【表2】
Figure 2004232377
【0087】
内装材9は、例えば、ゼオライト・ベントナイト・白土・アロフェン・珪藻土等の粘土鉱物を添加・混入した石膏ボード・ケイ酸カルシウム・スラグ石膏板・モルタル・ALC等で形成されている。また、内装材9は、木炭・竹炭・活性炭・シリカゲル等の多孔質材料を合成・添加・混入した石膏ボード・ケイ酸カルシウム・スラグ石膏板・モルタル・ALC等であってもよい。また、内装材9は、ゼオライト・ベントナイト・白土・アロフェン・珪藻土等の粘土鉱物の焼成板であってもよい。さらに、内装材9は、ゼオライトを添加した石膏ボード等に表面化粧を施したものであってもよい。
【0088】
また、図6に示すように、内装材9は内装下地材9aと内装仕上げ材9bとで形成されてもよい。このとき、内装下地材9aが調湿性を有し、内装仕上げ材9bが通気性を有せばよい。なお、内装仕上げ材9bは通気性(透湿性)を有するため、内装下地材9aの調湿作用を妨げることはない。
【0089】
さらに、内装下地材9aは、調湿性を有さない第1内装下地材と調湿性を有する第2内装下地材とで形成されてもよい。第1内装下地材は軸組材の室内側の面に固定金具で固定されている。第1内装下地材は断熱材7の室内側の面上に形成されている。第1内装下地材は、例えば、石膏ボード・構造用合板・珪酸カルシウム・スラグ石膏板・モルタル・ALC等で形成されている。なお、第1内装下地材が石膏ボードで形成されている場合、第1内装下地材はその厚さが9.5mm以上であることが好ましい。第2内装下地材は第1内装下地材の室内側の面上に形成されている。第2内装下地材は調湿性面材、例えば、エアスマイル(大建工業(株)製)等で形成されている。
【0090】
ここで、本実施形態の壁構造1は、外装下地材5の透湿抵抗に対する施工後の断熱材7の透湿抵抗と内装材9の透湿抵抗とを加えた値の比率を考慮して施工されている。
【0091】
本実施形態の壁構造1は、外装下地材5が9mmのインシュレーションボードで形成され、断熱材7が100mmの防湿層付きグラスウールで形成され、内装材9が6mmのエアスマイルで形成されている。このとき、外装下地材5の透湿抵抗が0.43×10・S・Pa/kgとなり、施工後の断熱材7の透湿抵抗が0.8×10・S・Pa/kgとなり、内装材9の透湿抵抗が0.37×10・S・Pa/kgとなる。
【0092】
ここで、外装下地材5の透湿抵抗に対する施工後の断熱材7の透湿抵抗と内装材9の透湿抵抗とを加えた値の比率は、以下のように求められる。
【0093】
外装下地材5の透湿抵抗:(施工後の断熱材7の透湿抵抗+内装材9の透湿抵抗)
=0.43×10:(0.8×10+0.37×10
=0.9:2.4
なお、内装材9が調湿性を有する場合、壁構造1の内部での結露をより確実に防止するためには、外装下地材5の透湿抵抗:(施工後の断熱材7の透湿抵抗+内装材9の透湿抵抗)=0.9:1〜7とすることが好ましい。
【0094】
以上により、本実施形態によれば、内装材9が調湿性を有するため、室内の湿気が内装材9内に蓄えられる。よって、湿気は内装材9よりも内部へ侵入しにくい。したがって、壁構造1内部での結露の発生を更に確実に防ぐことができる。
【0095】
また、内装材9が調湿性を有するため、室内の湿度が低くなったときには、内装材9内に蓄えられた湿気が室内に放湿される。したがって、湿気の壁構造1内部への侵入を確実に防ぐことができる。
【0096】
また、内装材9の吸放湿量が400g/m程度より上であるとき、室内の湿気が内装材9内に確実に蓄えられる。よって、湿気は内装材9よりも内部へ侵入しにくい。したがって、壁構造1内部での結露の発生をより確実に防ぐことができる。
【0097】
また、内装材9の吸放湿量が400g/m程度より上であるとき、室内の湿度が低くなったときには、内装材9内に蓄えられた湿気が室内に確実に放湿される。したがって、湿気の壁構造1内部への侵入をより確実に防ぐことができる。
【0098】
なお、本実施形態では、内装材9が軸組材の室内側の面に固定金具で固定されているが、内装材9が胴縁を介して軸組材の室内側の面に設けられてもよい。このとき、胴縁はその幅が10mm以上であることが好ましい。
【0099】
(その他の実施形態)
上記各実施形態によれば、本発明は壁構造1に適用されているが、床や天井等に適用されてもよい。
【0100】
また、上記各実施形態によれば、断熱材7及び防湿材21に関して平均の透湿抵抗を使用しているが、これに限らず、外装下地材5及び内装材9等に適用してもよい。
【0101】
また、上記各実施形態によれば、外装下地材5及び内装材9が軸組材に固定されているが、縦枠、上枠、及び下枠からなる枠組材に固定されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る壁構造の斜視図である。
【図2】実施形態に係る壁構造の水平断面図である。
【図3】実施形態に係る壁構造の斜視図である。
【図4】実施形態に係る壁構造の斜視図である。
【図5】実施形態に係る壁構造の斜視図である。
【図6】実施形態に係る壁構造の水平断面図である。
【符号の説明】
1 壁構造
3 外装材
5 外装下地材
7 断熱材
9 内装材
11 通気層
19 隙間部
25 破損部

Claims (4)

  1. 構造材と、
    該構造材の屋外側に設けられ、透湿性を有する外装下地材と、
    該外装下地材の屋外側に設けられた外装材と、
    上記構造材の屋内側に設けられた内装材と、
    上記外装下地材と上記内装材との間に設けられ、上記構造材に設けられた断熱材とを備え、
    上記外装下地材と上記外装材との間には、壁内部の湿気を屋外に排出するための通気層が形成された壁構造であって、
    施工後に上記断熱材と上記構造材との間に生じる隙間部を少なくとも考慮して算出された上記断熱材の平均の透湿抵抗を、少なくとも考慮した壁構造。
  2. 請求項1記載の壁構造であって、
    上記外装下地材の透湿抵抗に対する上記断熱材の平均の透湿抵抗と上記内装材の透湿抵抗とを加えた値の比率を考慮した壁構造。
  3. 請求項1又は2記載の壁構造であって、
    内装材は調湿性を有する壁構造。
  4. 構造材と、該構造材の屋外側に設けられ、透湿性を有する外装下地材と、該外装下地材の屋外側に設けられた外装材と、上記構造材の屋内側に設けられた内装材と、上記外装下地材と上記内装材との間に設けられ、上記構造材に設けられた断熱材とを備え、上記外装下地材と上記外装材との間には、壁内部の湿気を屋外に排出するための通気層が形成された壁構造の施工方法であって、
    施工後に上記断熱材と上記構造材との間に生じる隙間部を少なくとも考慮して算出された上記断熱材の平均の透湿抵抗を、少なくとも考慮した壁構造の施工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009185506A (ja) * 2008-02-06 2009-08-20 Panasonic Corp 断熱壁
JP2009270397A (ja) * 2008-05-12 2009-11-19 Wood Build Co Ltd 通気構造を備える建築構造

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