JP2004232601A - 軸流圧縮機 - Google Patents

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繁夫 鎌本
Hiroharu Yoshinami
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Abstract

【課題】低回転型の汎用的な電動モータを用いて所望圧力に流体を圧縮することができるコスト安価で小型の軸流圧縮機を提供する。
【解決手段】第1及び第2の動翼3、7を軸方向に互いに対向して配置するとともに、上記第1の動翼3を1万回転(rpm)程度以下の回転数で回転駆動する電動モータ4と、電動モータ4と第2の動翼7との間に連結されるとともに、その電動モータ4の回転力を第2の動翼7側に伝えて、第1の動翼3の回転方向と反対方向に当該第2の動翼7を回転駆動させる反転機構8とを設ける。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気等の流体を軸方向に流して圧縮する軸流圧縮機、特に車載用途に好適な軸流圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
軸流式の圧縮機は、スクロール式やピストン式などの他の形式の圧縮機に比べて、機械効率に優れ、かつ小型であるという特徴を有しており、このような軸流圧縮機の特徴を利用して、例えば電気自動車に当該圧縮機を搭載することが実施されている。詳細には、上記電気自動車では、その駆動系に含まれた電動モータなどの電源として在来の二次電池(蓄電池)に代えて燃料電池を使用したものが実用化されつつある。このような燃料電池では、反応ガスとしての空気に含まれた酸素をより高圧で供給することにより、当該電池の起電力を大きくすることができる。それ故、軸流圧縮機を用いて空気をより高圧に圧縮することで燃料電池に供給される単位時間当たりの酸素量を増やして、当該電池の定格出力(電力量)を向上させることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の軸流圧縮機では、上記のような車載用の燃料電池に適用した場合、その動翼(ロータ)の外周に設けられた翼列が亜音速に近い周速となるよう当該動翼を高速回転させることが求められ、電動モータで回転駆動させる場合には高価な高回転型モータを必要とした。
具体的にいえば、上記車載用の燃料電池では、その定格出力として50〜70kW程度のものが要求されており、この要求を満足するには車内に取り込まれた空気を2〜3気圧程度に圧縮して3m/min程度の流量で供給することが望まれた。このため、従来の軸流圧縮機では、例えば動翼外周部を亜音速で回転させる場合、10万回転(rpm)を超える高速で単一の動翼を回転させる必要があり、汎用的な電動モータを使用することができずに、特注の高速モータを使用していた。この結果、圧縮機のコストを低減するのが難しいという問題があった。しかも、上記高速モータでは、そのシャフトを高速回転させるため、ステータ巻線などのモータ構造を小さくして軸流圧縮機の小型化を図ることが困難であるという問題もあった。
【0004】
また、従来の軸流圧縮機としては、複数の動翼をシャフトの軸方向に併設した多段式の軸流圧縮機も製造されているが、このような従来の多段式圧縮機でも、そのモータの低速化と小型化の両立を図ることが難しく、コストダウンを行い難かった。具体的には、例えば動翼を4段に併設した場合、上記車載用燃料電池で要求される圧力に空気を圧縮するには各動翼を2万5千〜3万回転で回転させる必要があり、単一の動翼を用いた上記従来例と同様に、汎用的な電動モータを使用できなかった。また、動翼の設置数をさらに増加することで回転数の低減を行うことは可能であるが、上記設置数の増加に応じて、それらの動翼を回転させるのに必要なトルクが大きくなり、より高出力のモータを使用する必要を生じた。この結果、ステータ巻線などのモータ構造が大型化して圧縮機の小型化を妨げたり、当該圧縮機の大幅なコストアップを招いたりした。また、シャフトの一端側に取り付けられる動翼数が増加することから、そのシャフトの軸方向長さを長くしたり、他端側での支持構造を強化する必要を生じたりして、モータを複雑で大型な構造とし、ひいては圧縮機の大型化及びコスト上昇を招いた。
【0005】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、低回転型の汎用的な電動モータを用いて所望圧力に流体を圧縮することができるコスト安価で小型の軸流圧縮機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、軸方向に互いに対向して配置された第1及び第2の動翼を用いて、流体を圧縮する軸流圧縮機であって、
前記第1の動翼を回転駆動する電動モータと、前記電動モータと前記第2の動翼との間に連結されるとともに、その電動モータの回転力を前記第2の動翼側に伝えて、前記第1の動翼の回転方向と反対方向に当該第2の動翼を回転駆動させる反転機構とを備えたことを特徴とするものである(請求項1)。
【0007】
上記のように構成された軸流圧縮機では、上記電動モータが第1の動翼を回転駆動した場合に、第2の動翼が上記反転機構によって第1の動翼に対し同軸反転されるので、流体を効率よく圧縮することができ、モータの回転数を低くしたときでも所望圧力に流体を圧縮することができる。従って、1万5千回転程度以下である低回転型の汎用的な電動モータを用いて上記流体圧縮用のモータを構成することができる。また、電動モータの回転数が1万5千回転程度以下とした場合には、上記反転機構での焼付きなどの発生を防ぎつつ、モータ回転力の第2の動翼側への伝達効率が低下するのを極力抑えた状態で回転力を当該第2の動翼に伝えることができる。また、流体を効率よく圧縮することができるので、軸流圧縮機の機械効率を向上させることができ、動翼を小さくすることができる。尚、上記回転数が1万回転程度では、半径100〜150mmの動翼の場合に、当該動翼の外周部は音速の70%以下の周速となっている。さらに、圧縮機の各部の最適設計により、上記外周部の周速を音速の50%以下にすることも可能である。
【0008】
また、上記軸流圧縮機(請求項1)において、前記反転機構が、前記第1の動翼と実質的に同速で前記第2の動翼を回転駆動させることが好ましい(請求項2)。
この場合、第1及び第2の動翼が実質的に同速で同軸反転するので、流体の圧縮効率を確実に向上させることができる。
【0009】
また、上記軸流圧縮機(請求項1または2)において、前記第2の動翼と前記反転機構とが、前記第1の動翼と前記電動モータのモータ本体との間に設けられることが好ましい(請求項3)。
この場合、第1及び第2の動翼、電動モータ、及び反転機構が同軸上に配置されることとなり、軸流圧縮機の構造を容易に簡素化することができる。
【0010】
また、上記軸流圧縮機(請求項1〜3のいずれか)において、前記反転機構が、前記電動モータのシャフト側に設けられた第1転動面と前記第2の動翼側に設けられた第2転動面との間に転動自在に配置されるとともに、これらの転動面上を転動することにより、電動モータの回転力を前記第2の動翼側に伝えるトラクションローラを具備することが好ましい(請求項4)。
この場合、電動モータの回転力が上記トラクションローラにより第2の動翼側に伝えられることとなり、反転機構の構造を簡素化することができる。
【0011】
また、上記軸流圧縮機(請求項1〜4のいずれか)において、前記電動モータのシャフトに、前記流体によって前記第1の動翼と同方向に回転駆動される補助翼を一体的に設けてもよい(請求項5)。
この場合、上記補助翼が流体によって第1の動翼と同方向に回転駆動されるので、当該補助翼を有する電動モータでの回転駆動を補助することができる。
【0012】
また、上記軸流圧縮機(請求項1〜5のいずれか)において、前記流体が、車載用燃料電池の反応ガスであってもよい(請求項6)。
この場合、低回転型の汎用的な電動モータを用いて上記反応ガスを所望圧力に圧縮することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の軸流圧縮機の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、従来例との対比を容易なものとするために、電気自動車に搭載される燃料電池に反応ガスを供給する供給系に組み込まれる軸流圧縮機に適用した場合を例示して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る軸流圧縮機の要部構成を示す一部切裁断面図である。図において、本実施形態の軸流圧縮機1は、筒状のハウジング2と、このハウジング2の吸入口2a側から吐出口2b側に順次配列されるとともに、吐出口2b側に上記反応ガスとしての空気を圧送する第1及び第2の圧縮機構P、Qとを備えている。ハウジング2は上記電気自動車側に設けられた空気の取込口と排気口とを繋ぐ流路の途中に配置されたものであり、その吸入口2a及び吐出口2bが上記流路を構成するエアーパイプに接続されている(図示せず)。また、吐出口2bの下流側の流路上には上記燃料電池が配置されており、上記取込口から車内に導入された空気Aが軸流圧縮機1により所望圧力に圧縮された後、その圧縮空気CAが上記電池の空気極に供給される(図示せず)。
【0014】
具体的には、上記軸流圧縮機1は、その容積が4リットル程度に構成されたものであり、同圧縮機1は上記吸入口2aに流れ込む1気圧程度の空気(大気)Aを上記第1及び第2の圧縮機構P、Qにより、例えば2〜3気圧程度に空気圧を高め1分間当たり3mの流量で、圧縮空気CAとして吐出口2bから吐出するよう構成されている。その後、圧縮空気CAは、イットリア安定化ジルコニア等の固体酸化物を用いた燃料電池の空気極に供給され、当該空気極において上記空気CAに含まれた酸素分子が酸素イオンに変換される。そして、燃料電池では、その燃料極において空気極からの酸素イオンが燃料ガスとしての水素ガスと化学反応して、水を生じるとともに電荷(電子)を発生させ、当該電池が50〜70kW程度の電力を生じて、上記電気自動車の駆動輪を駆動する駆動モータなどの電気系統の電源として利用されるようになっている。
【0015】
上記第1の圧縮機構Pは、空気Aを圧縮する第1の動翼(ロータ)3と、この動翼3を回転駆動する電動モータ4と、上記動翼3の上流側(吸入口2a側)でハウジング2と同軸に配置されたノズル部材5及びこの部材5の周りに等配された複数個(例えば24個)の静翼(ステータ)6とを備えている。上記動翼3は、電動モータ4のシャフト4aの先端部に一体回転可能に連結された円盤状部材3aと、この部材3aの外周面に対し所定角度で等間隔に配列された複数個(例えば24個)の翼(羽根)3bとを有している。
上記電動モータ4は、上記吐出口2b側の端部が流線型に形成された収納容器9内から吸入口2a側に、一端部が突出した上記シャフト4aと、当該容器9内に収納されたモータ本体4bとを備えており、第1の動翼3を一の方向に回転させる。また、この電動モータ4は、後で詳述するように、低回転型の汎用的な電動モータにより構成されており、さらにシャフト4aは、軸受鋼や軸受用鋼等の鋼製からなる玉軸受などの汎用的な転がり軸受4cによって回転自在に支持されている。
また、上記ノズル部材5は、吸入口2a側の端部が流線型に形成されるとともに、円盤状部材3aと所定の距離をおいて配置されている。また、このノズル部材5の外周面には、一端部側がハウジング2の内周面2cに固定された上記複数個の各静翼6の他端部側が取り付けられており、吸入口2a側から流れてきた空気Aの整流を行う。また、静翼6は、ノズル部材5をハウジング2内に固定支持する支持部材としての機能も有している。
【0016】
上記第2の圧縮機構Qは、上記圧縮機構Pと同様に、空気Aを圧縮する第2の動翼7と、上記電動モータ4の回転力を用いて当該動翼7を上記第1の動翼3に対し実質的に同速で回転駆動させる反転機構8と、上記収納容器9の周りに等配された複数個(例えば24個)の静翼10とを備えている。
上記動翼7は、所定角度で等間隔に配列された複数個(例えば24個)の翼7bが外周面に形成された円盤状部7aと、この円盤状部7aに順次連続するよう形成された円筒部7b及び環状部7cと、これら円盤状部7a、円筒部7b、及び環状部7cの内側に面一に形成され、上記シャフト4aが挿通される貫通孔7eとを有するものであり、上記第1の動翼3と同軸に配置されている。この動翼7では、円盤状部7aが動翼3の円盤状部材3aに対して軸方向(図の左右方向)に所定隙間をおいて対向配置されている。また、この動翼7では、収納容器9の内部に設けられるとともに、上記転がり軸受4cと同様な汎用的な転がり軸受で構成された軸受(図示せず)により、円筒部7bが回転自在に支持されており、内周面7eがシャフト外周面に接触するのを防いだ状態で動翼7が回転するようになっている。さらに、この円筒部7bは、例えば上記軸受から吐出口2b側への所定のスラスト荷重を受けた状態で軸支されており、後述のトラクションローラ8bによって付与されるモータ回転力を動翼7が効率よく受容できるとともに、上記所定隙間を維持できるようになっている。
【0017】
上記反転機構8は、シャフト4aに一体的に取り付けられた環状の回転部材8aと、例えばシャフト4aの軸中心に対し90度間隔で円周等配された4個のトラクションローラ8bとを備えたものであり、上記容器9内に収納されている。上記各トラクションローラ8bは、一端部が収納容器9側に固定された軸部材(図示せず)により、回転部材8aの吸入口2a側の表面で構成された第1転動面としての環状の軸方向端面8a1と、上記環状部7dの吐出口2b側の表面で構成された第2転動面としてのリング状端面7d1との間に転動自在に配置されたものであり、シャフト回転に伴う回転部材8aの回転に応じて上記軸方向端面8a1及びリング状端面7d1上を転動することによって電動モータ4の回転力を第2の動翼7に伝える。
【0018】
また、上記収納容器9の外周面には、一端部側がハウジング2の内周面2cに固定された上記複数個の各静翼10の他端部側が取り付けられており、吐出口2b側に圧送される圧縮空気CAの圧力を僅かに上昇させる。また、静翼10は、収納容器9をハウジング2内に固定支持する支持部材としての機能も有している。また、軸流圧縮機1では、ハウジング2内の空気路中に配置されるノズル部材5、円盤状部材3a、円盤状部7a、及び収納容器9は、図に示すように、それら全体で卵を横倒しにした如くの流線型の構造体に構成されており、空気A及び圧縮空気CAの流れを阻害するのを極力抑えつつ、動翼3、7による空気圧縮を効率よく行えるようになっている。
【0019】
以上のように構成された本実施形態の軸流圧縮機1では、第1の動翼3が電動モータ4のシャフト4aの回転に伴い一の方向に回転駆動されると、第2の動翼7は反転機構8を経て伝えられた上記モータ4の回転力によって実質的に同速で他の方向に回転駆動される。このように、本実施形態の軸流圧縮機1では、複数設けられた翼3bからなる翼列を備えた上記第1の動翼3と、複数設けられた翼7bからなる翼列を備えた上記第2の動翼7とを互いに近接配置し、かつ実質的に同速で同軸反転させているので、電動モータ4の回転数を低くしたときでも、空気Aを効率よく圧縮することができる。また、第1及び第2の動翼3、7を実質的に同速で駆動していることから、空気Aの圧縮効率を確実に向上させることができる。この結果、本実施形態の軸流圧縮機1では、上記従来例と異なり、高価で高回転型の電動モータを用いることなく、低回転型の汎用的な電動モータを用いて動翼3、7を回転させて空気Aを所望圧力に圧縮することができる。
【0020】
具体的にいえば、電動モータ4は、DCモータやインバータ駆動されるACモータなどにより構成されたものであり、1万回転(rpm)程度以下の低回転型の汎用的な電動モータが用いられている。そして、電動モータ4が、上記回転数以下に制限された回転数で直接的に連結された第1の動翼3及び反転機構8を介在させて間接的に連結された第2の動翼7を実質的に同速で同軸反転させることにより、所望の高圧(2〜3気圧程度)で、かつ上記流量(3m/min)以上で空気Aからの圧縮空気CAに圧縮することができ、上記燃料電池の空気極に供給される単位時間当たりの酸素分子量を増加させて当該電池に要求される電力量(50〜70kW)を発生可能なものとしている。このように、本実施形態では、10万回転を超える回転数で単一の動翼を回転させていた上記従来例や4段に併設された動翼を2万5千〜3万回転で回転させていた上記従来例での各高回転型電動モータに比べて、ステータ巻線などのモータ構造自体が小型でコスト安価な上記低回転型の汎用的な電動モータを使用することができ、軸流圧縮機の小型化及び低コスト化を図ることができる。例えば上記圧力、流量、回転数の仕様では、圧縮機全体の体積を4リットル以下とすることができる。しかも、上記低回転型の汎用的な電動モータは、各高回転型電動モータに比べてはるかに軽量であることから、当該圧縮機の軽量化を従来例に比べ容易に図ることができ、車載用に好適な圧縮機を簡単に構成することができる。
【0021】
また、本実施形態では、空気Aを効率よく圧縮することができるので、軸流圧縮機1の機械効率を向上させることができ、第1及び第2の各動翼3、7を小さくすることができる。この結果、軸流圧縮機1の小型化及び低コスト化をより簡単に図ることができるとともに、慣性トルクを小さくすることができ、当該圧縮機1のON/OFF特性を向上させることができる。すなわち、電動モータ4が駆動するロータ(第1及び第2の動翼3、7)での慣性トルクを小さくすることができるので、各動翼3、7での回転開始から所定の回転数までに到達する時間で示される起動特性並びに所定の回転数から停止するまでの時間で示される停止特性、さらに必要出力に応じた動翼回転数の制御特性を向上させることができ、電源のON/OFF操作や回転数変更が比較的頻繁に行われる電気自動車等に好適な軸流圧縮機を容易に構成することができる。しかも、このように低速駆動される動翼3、7を同軸反転させているので、動翼を停止するためのプロペラ等をシャフト4aに取り付ける必要がない。
さらに、本実施形態では、第1及び第2の動翼3、7を低速回転させ、かつ効率よく空気Aを圧縮空気CAに圧縮することができるので、吸入口2aから導入される空気Aを整流する上記静翼6及び圧縮空気CAの圧力を僅かに高めて吐出口2bに送る上記静翼10を省略またはそれら静翼6、10の設置数や形状などの設計を簡単化することができる。
【0022】
また、本実施形態では、電動モータ4の回転数を1万回転以下に制限しているので、上記トラクションローラ8bと軸方向端面8a1及びリング状端面7d1との間に焼付きなどの損傷が生じるのを防ぎつつ、モータ回転力の第2の動翼7側への伝達効率が低下するのを極力抑えた状態で同回転力を当該動翼7に伝えることができる。
これに対して、電動モータ4の回転数を高くして第1及び第2の動翼3、7の相対回転速度を向上させるにつれて、起動増大あるいは焼付きなどの損傷の発生が増加し伝達効率が著しく低下する。また、このような不具合の発生を抑制するためには、モータ4や反転機構8の構成部品の寸法精度を向上し、材料の機械的特性の均一化や微小欠陥の極小化等の対策が必要となるため、圧縮機のコストが著しく増大する。そして、上記相対回転速度が3万回転(すなわち、モータ回転数が1万5千回転)を超えると、反転機構8はモータ回転力を第2の動翼7側に伝達するのが困難となる。
【0023】
また、本実施形態では、反転機構8を用いることにより、電動モータ4を第1及び第2の動翼3、7の駆動源として共用している。さらには、第1の動翼3と電動モータ4のモータ本体4bとの間に、第2の動翼7と反転機構8とを設けるとともに、そのモータ本体4b及び反転機構8を収納容器9内に収納し、かつハウジング2内の空気路中に配置される当該容器9等の構造体全体を流線型としている。これにより、電動モータ4及び反転機構8が空気A及び圧縮空気CAの流れに対して抵抗となるのを極力防ぐことができるとともに、シンプルな構造の軸流圧縮機1を容易に構成することができる。
【0024】
また、本実施形態では、上記従来例に比べて、第1及び第2の動翼3、7の回転数を大幅に低くしているので、各動翼3、7の翼3a、7aに作用する遠心力を小さくすることができる。この結果、上記従来例に比べて、遠心力による破損が翼3a、7aに生じるのを容易に防ぐことができ、翼3a、7aの取付構造等を簡単化して動翼3、7の軽量化を容易に図ることができる。さらに、翼の強度が低くても損傷しないため、安価な材料を使用できる。
【0025】
また、本実施形態では、シャフト4aの回転数が上記1万回転程度以下の低回転数に抑えられており、当該シャフト4aが上記軸受鋼や軸受用鋼等の鋼製からなる玉軸受などの汎用的な転がり軸受4cにより軸支されているので、上記従来例に比べて耐震性に優れ、かつコスト安価な軸流圧縮機を構成することができる。
具体的には、例えば単一の動翼を用いた上記従来例では、その動翼を10万回転を超える高速で回転駆動させていたので、このような高回転型モータでは、そのシャフトを回転自在に支持する軸受として玉軸受等の転がり軸受を使用することができないことから、滑り軸受(動圧軸受を含む)が用いられていた。ところが、この滑り軸受は転がり軸受に比べて耐震性が低いものであり、自動車走行に伴う振動等に起因して軸受のタッチダウンが生じ易いものであった。また、このように高速回転させていたので、その動翼回転やシャフト回転に伴う騒音も極めて大きくなって遮音対策を軸流圧縮機に行う必要があった。
【0026】
また、2万5千〜3万回転する電動モータを用いて4段の動翼を回転させていた上記従来例では、そのモータシャフトを転がり軸受で支承することは可能であったが、本実施形態と異なり、軸受鋼や軸受用鋼等の鋼製の汎用的な転がり軸受を用いた場合、その軸受の耐久性が不足し、早期不具合を生じる恐れがあった。このため、上記汎用的な転がり軸受に比べて、高価なセラミック軸受が使用されていた。
これに対して、本実施形態では、上記汎用的な転がり軸受4cが用いられているので、コスト安価で耐震性に優れた軸受で電動モータ4のシャフト4aが支承されることとなるため、耐震性を有し、かつコスト安価な軸流圧縮機を容易に構成することができる。
【0027】
図2は、別の実施形態に係る軸流圧縮機の要部構成を示す一部切裁断面図である。図2において、この実施形態と図1に示した実施形態との主な相違点は、上記電動モータ4に代えて、シャフト11aをモータ本体11bの両側に突出させシャフト両端に異なる回転系を連結可能なモータ、いわゆる両軸タイプの電動モータ11を使用するとともに、吐出口2b側のシャフト突出部分に補助翼12を設けた点である。
図2に示すように、本実施形態では、電動モータ11のシャフト11aは、同モータ11のモータ本体11bの両側から図の左右方向に突出した状態で、上記軸受鋼や軸受用鋼等の鋼製からなる玉軸受などの汎用的な転がり軸受11cによって回転自在に支持されている。また、この電動モータ11は、上記低回転型の汎用的な電動モータを用いて構成されたものであり、そのシャフト11aの一端部に一体回転可能に取り付けられた第1の動翼3及び反転機構8を介在させて連結された第2の動翼7を上記1万5千回転(rpm)程度以下の回転数で回転駆動する。さらに、シャフト11aの他端部には、複数の翼部12aが外周面上に等間隔に設けられた補助翼12が一体回転可能に取り付けられている。
【0028】
また、上記電動モータ11を収納する収納容器13には、排気パイプ14が連結された連結口13aが設けられており、上記燃料電池の空気極に供給された後、外部に排出される排出空気が当該容器13内に導入されるようになっている。この連結口13aは、容器13の吐出口2b側の端部を円形状に開口することにより形成されている。そして、この収納容器13では、連結口13aからの上記排出空気を容器13の内部に導入しその排出空気を補助翼12の翼部12aに与えることにより、当該補助翼12を上記第1の動翼3と同方向に回転駆動させるようになっている。尚、上記排出空気は、補助翼12を回転駆動させた後、図示を省略したパイプ等により、収納容器13及びハウジング2の外部に送られて車外に放出される。
【0029】
以上のように構成された本実施形態では、上記補助翼12が収納容器13内に導入された排出空気により第1の動翼3と同方向に回転駆動されるので、当該補助翼12が設けられた電動モータ11での第1の動翼3、さらには第2の動翼7の回転駆動を補助することができる。この結果、電動モータ11での消費電力を抑えることができ、軸流圧縮機1の省エネルギー化を図ることができる。また、電動モータ11では、その動翼3、7に対する回転駆動が補助されるので、図1に示した電動モータ4に比べて小さい出力のモータにより当該モータ11を構成することができる。
【0030】
尚、上記の説明では、車載用燃料電池に反応ガスを供給する供給系に組み込まれる軸流圧縮機に適用した場合について説明したが、本発明は軸方向に互いに対向して配置された第1及び第2の動翼を有し、第1の動翼を1万回転程度以下の回転数で電動モータにより回転駆動し、かつ反転機構により上記モータの回転力を用いて第2の動翼を第1の動翼に対して実質的に同速で同軸反転させるものであればよく、冷却媒体としてのCOガス等の流体に対し、上記第1及び第2の動翼を回転させてその流体を圧縮する各種軸流圧縮機に適用することができる。また、上記の説明では、各々1つの第1及び第2の動翼を用いた構成について説明したが、例えば軸方向に2段に併設された2つの動翼を上記第1の動翼として電動モータ4のシャフト4aに先端部に一体回転可能に設け、モータ本体4b側の動翼を第2の動翼に対向配置する構成でもよい。
【0031】
また、上記の説明では、回転部材8aと、軸方向端面8a1及びリング状端面7d1上を転動するトラクションローラ8bとを有する反転機構8について説明したが、本発明の反転機構は電動モータと第2の動翼との間に連結されて、そのモータ回転力を第2の動翼側に伝えることにより、第1の動翼の回転方向と反対方向に、当該第2の動翼を回転駆動させるものであれば、何等限定されない。例えば上記円筒部7bの内周面及びシャフト外周面をそれぞれ第2及び第1転動面として構成するとともに、一端部が上記モータ本体に固定された軸部材の他端部に回転自在に支持されたトラクションローラを上記転動面上を転動させる構成でもよい。また、トラクションローラを含んだトラクションドライブタイプの反転機構の代わりに、遊星ギヤ等の歯部の噛み合いによって力を伝達する伝達機構を利用して、上記モータ回転力で第2の動翼を回転駆動させてもよい。
また、モータを動翼の前または後部に配置した例を示したが、動翼の内部にモータを収容するよう動翼を配置する構成でもよく、この場合は軸流圧縮機の軸方向寸法を短くできる。本発明に係る圧縮機では上述の如くモータが小出力、小型であるため、このような構成を実施できる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明は以下の効果を奏する。
請求項1の軸流圧縮機によれば、低回転型の汎用的な電動モータと反転機構とを用いて、上記第1及び第2の各動翼を回転駆動させて流体を所望圧力に圧縮することができるので、軸流圧縮機の機械効率を向上させて動翼を小さくすることができる点とも相まって、コスト安価で小型の軸流圧縮機を容易に構成することができる。また、上記反転機構での焼付きなどの発生を防ぎつつ、モータ回転力の第2の動翼側への伝達効率が低下するのを極力抑えた状態で回転力を当該第2の動翼に伝えることができるので、耐久性及び圧縮効率に優れた軸流圧縮機を構成することができる。
【0033】
また、請求項2の軸流圧縮機によれば、流体の圧縮効率を確実に向上させることができるので、コスト安価で小型の軸流圧縮機をさらに容易に構成することができる。
【0034】
また、請求項3の軸流圧縮機によれば、軸流圧縮機の構造を容易に簡素化することができるので、当該圧縮機の小型化をさらに簡単に行うことができる。
【0035】
また、請求項4の軸流圧縮機によれば、上記反転機構の構造を簡素化することができるので、当該圧縮機の大型化を防げることができ、コンパクトな圧縮機を容易に構成することができる。
【0036】
また、請求項5の軸流圧縮機によれば、上記補助翼を有する電動モータでの回転駆動を補助することができるので、当該モータでの消費電力を抑えることができ、軸流圧縮機の省エネルギー化を図ることができる。
【0037】
また、請求項6の軸流圧縮機によれば、上記低回転型の汎用的な電動モータを用いて上記車載用燃料電池の反応ガスを所望圧力に圧縮することができるので、電気自動車等の車両への搭載性に優れた圧縮機を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る軸流圧縮機の要部構成を示す一部切裁断面図である。
【図2】別の実施形態に係る軸流圧縮機の要部構成を示す一部切裁断面図である。
【符号の説明】
1 軸流圧縮機
3 第1の動翼
4、11 電動モータ
4a、11a シャフト
4b、11b モータ本体
7 第2の動翼
7d1 リング状端面(第2転動面)
8 反転機構
8a1 軸方向端面(第1転動面)
8b トラクションローラ
12 補助翼

Claims (6)

  1. 軸方向に互いに対向して配置された第1及び第2の動翼を用いて、流体を圧縮する軸流圧縮機であって、
    前記第1の動翼を回転駆動する電動モータと、
    前記電動モータと前記第2の動翼との間に連結されるとともに、その電動モータの回転力を前記第2の動翼側に伝えて、前記第1の動翼の回転方向と反対方向に当該第2の動翼を回転駆動させる反転機構と
    を備えたことを特徴とする軸流圧縮機。
  2. 前記反転機構が、前記第1の動翼と実質的に同速で前記第2の動翼を回転駆動させることを特徴とする請求項1記載の軸流圧縮機。
  3. 前記第2の動翼と前記反転機構とが、前記第1の動翼と前記電動モータのモータ本体との間に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の軸流圧縮機。
  4. 前記反転機構が、前記電動モータのシャフト側に設けられた第1転動面と前記第2の動翼側に設けられた第2転動面との間に転動自在に配置されるとともに、これらの転動面上を転動することにより、電動モータの回転力を前記第2の動翼側に伝えるトラクションローラを具備することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の軸流圧縮機。
  5. 前記電動モータのシャフトに、前記流体によって前記第1の動翼と同方向に回転駆動される補助翼を一体的に設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の軸流圧縮機。
  6. 前記流体が、車載用燃料電池の反応ガスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の軸流圧縮機。
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