JP2004232728A - 二酸化炭素冷媒輸送用ホース - Google Patents

二酸化炭素冷媒輸送用ホース Download PDF

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Hideyuki Oishi
英之 大石
Yuuji Kawamori
裕二 河守
Hiroaki Shibano
宏明 柴野
Koji Sato
浩司 佐藤
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Abstract

【課題】超臨界状態となり得る二酸化炭素冷媒に対する優れた安定性および二酸化炭素冷媒ガスに対する高い不透過性を示し、さらに変形時においてクラックが発生しない二酸化炭素冷媒輸送用ホースの提供。
【解決手段】少なくとも以下(1)、(2)、(3)の各層を備え、二酸化炭素冷媒の輸送に用いられることを特徴とする二酸化炭素冷媒輸送用ホース。
(1)最内層を構成する第1の薄膜樹脂層。
(2)金属箔または金属蒸着層を含むラミネート層。
(3)前記ラミネート層の外周側に設けられる第2の薄膜樹脂層。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超臨界状態となり得る二酸化炭素冷媒に対する優れた安定性および二酸化炭素冷媒ガスに対する高い不透過性を示し、さらに変形時においてクラックが発生しない二酸化炭素冷媒輸送用ホースに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カーエアコン等に使用される冷媒輸送用のホースとして、ホースの内管にポリアミド樹脂または変性ブチルゴムを配したものを冷媒バリア層としているホースが一般的に用いられてきた。また、その冷媒としては、フロン系や代替フロン系が主流であったが、これらの冷媒ガスが冷媒ホースより大気中へ透過した場合の大気オゾン破壊作用、地球温暖化作用等に鑑み、近年、二酸化炭素冷媒が注目されている。
【0003】
二酸化炭素冷媒は、フロン系冷媒等に比較して、地球温暖化係数が1/1300〜1/3000程に減少するという利点がある。しかしながら、クーラーシステムへの煩雑な冷媒補給を不要化したい等の要求から、冷媒ホースにおける二酸化炭素透過抑制は軽視できないという問題があり、また、二酸化炭素冷媒を用いたクーラーシステムにおいては、その作動時(冷媒加圧時)に二酸化炭素が超臨界状態(液体と気体とが単一相となる状態)に至ることが知られており、さらなる耐熱性、耐CO2 透過性が必要となる問題があった。
【0004】
上記問題を解決することを目的として、少なくとも以下(1),(2)の各層を備え、二酸化炭素冷媒の輸送に用いられることを特徴とする二酸化炭素冷媒輸送用ホースが提案されている(特許文献1参照。)。
(1)最内層を構成する薄膜樹脂層。
(2)金属箔または金属蒸着層を含むラミネート層。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−221379号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2001−221379号公報に記載の二酸化炭素冷媒輸送用ホースでは、金属箔または金属蒸着膜を含むラミネート層の存在により二酸化炭素冷媒に対する耐透過性は飛躍的に向上するが、使用に際し該ホースが大きく変形するような場合(例えば、振動などによる場合)、該ラミネート層のラッピング部位にクラックが入り、そこから冷媒が漏れてしまうという問題があり、二酸化炭素冷媒に対する不透過性を改善する余地があった。
【0007】
したがって、本発明は、超臨界状態となり得る二酸化炭素冷媒に対する優れた安定性および二酸化炭素冷媒ガスに対する高い不透過性を示し、さらに変形時においてクラックが発生しない二酸化炭素冷媒輸送用ホースを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、少なくとも、最内層を構成する薄膜樹脂層、金属箔または金属蒸着層を含むラミネート層、および該ラミネート層の外周側に設けられる薄膜樹脂層の各層を備える二酸化炭素冷媒輸送用ホースが、超臨界状態となり得る二酸化炭素冷媒に対する優れた安定性および二酸化炭素冷媒ガスに対する高い不透過性を示し、さらに変形時においてクラックが発生しないことを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、下記(a)〜(e)に記載の二酸化炭素冷媒輸送用ホースを提供する。
【0009】
(a)少なくとも以下(1)、(2)、(3)の各層を備え、二酸化炭素冷媒の輸送に用いられることを特徴とする二酸化炭素冷媒輸送用ホース(第1の態様)。
(1)最内層を構成する第1の薄膜樹脂層。
(2)金属箔または金属蒸着層を含むラミネート層。
(3)上記ラミネート層の外周側に設けられる第2の薄膜樹脂層。
【0010】
(b)上記第1および第2の薄膜樹脂層の厚さが、いずれも500μm以下であることを特徴とする上記(a)に記載の二酸化炭素冷媒輸送用ホース。
【0011】
(c)上記ラミネート層が、(4)金属箔、(5)金属箔および補強材、(6)金属蒸着層のいずれかに樹脂フィルムを積層したテープ状のラミネートシートを、螺旋巻きまたは縦添え巻きすることにより形成されていることを特徴とする上記(a)または(b)に記載の二酸化炭素冷媒輸送用ホース。
【0012】
(d)上記第2の薄膜樹脂層の外周側に、中間ゴム層、補強層、ゴム外管層が順次設けられていることを特徴とする上記(a)〜(c)のいずれかに記載の二酸化炭素冷媒輸送用ホース。
【0013】
(e)最内層に金属箔または金属蒸着層を含むラミネート層を備え、該ラミネート層の外周側に薄膜樹脂層を備え、さらに該薄膜樹脂層の外周側に、中間ゴム層、補強層、ゴム外管層が順次設けられている二酸化炭素冷媒の輸送に用いられることを特徴とする二酸化炭素冷媒輸送用ホース(第2の態様)。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明の第1の態様に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースは、少なくとも以下(1)、(2)、(3)の各層を備え、二酸化炭素冷媒の輸送に用いられることを特徴とする二酸化炭素冷媒輸送用ホースである。
(1)最内層を構成する第1の薄膜樹脂層。
(2)金属箔または金属蒸着層を含むラミネート層。
(3)上記ラミネート層の外周側に設けられる第2の薄膜樹脂層。
本発明の第1の態様においては、上述したように、上記ラミネート層と上記第2の薄膜樹脂層とともに上記第1の薄膜樹脂層を備えるが、本発明においては、上記第1の薄膜樹脂層が備えられていない、すなわち、以下に示す第2の態様に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースであってもよい。
【0015】
本発明の第2の態様に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースは、最内層に金属箔または金属蒸着層を含むラミネート層を備え、該ラミネート層の外周側に薄膜樹脂層を備え、さらに該薄膜樹脂層の外周側に、中間ゴム層、補強層、ゴム外管層が順次設けられている二酸化炭素冷媒の輸送に用いられることを特徴とする二酸化炭素冷媒輸送用ホースである。
ここで、本発明の第2の態様において、上記ラミネート層は、上記(1)に記載のラミネート層と同様であり、上記薄膜樹脂層は、上記(3)に記載の第2の薄膜樹脂層と同様である。以下、本発明の第2の態様における薄膜樹脂層は、第2の薄膜樹脂層として説明する。
なお、以下、単に「本発明の二酸化炭素冷媒輸送用ホース」というときは、第1の態様および第2の態様に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースを示すものとする。
【0016】
本発明の二酸化炭素冷媒輸送用ホースの代表的な例として、第1および第2の態様に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースにおいて上記第2の薄膜樹脂層の外周側に、中間ゴム層、補強層、ゴム外管層が順次設けられた冷媒輸送用ホースが好適に例示される。
【0017】
<薄膜樹脂層>
上記第1および第2の薄膜樹脂層は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ1層で形成されていても、複数層で形成されていてもよい。また、該薄膜樹脂層を構成する樹脂組成物に含有される樹脂は、同種であっても異種であってもよい。なお、ここで、樹脂組成物とは、樹脂および必要がある場合には添加剤を含有する組成物である。
上記第1および第2の薄膜樹脂層を構成する樹脂組成物に含有される樹脂としては、本発明の目的を逸脱しない樹脂であれば特に限定はないが、破断強度、破断伸びに優れた樹脂、ホース製造時に他のゴム層や樹脂層と接合が可能な樹脂、二酸化炭素冷媒に対する耐透過性や耐熱性および柔軟性が特に優れた樹脂等を好ましく使用することができ、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が好適に例示される。
【0018】
ここで、ポリアミド樹脂としては、具体的には、例えば、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン666、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン6/66共重合体、ナイロン6/66/610共重合体、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体、主鎖中にメタキシレンジアミン等の芳香族環を有するポリアミド樹脂、ポリアミド/変性ポリオレフィンブレンド樹脂等を挙げることができる。これらのうち、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン666およびこれらの共重合体が好ましい。これらのポリアミド樹脂は、単独で用いても、2種以上を併用してもよく、さらに他の樹脂と併用してもよい。
【0019】
ポリエステル樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等を挙げることができ、ポリエチレンテレフタレートを使用することが好ましい。
また、その他の樹脂としては、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂が例示される。
【0020】
添加剤としては、具体的には、例えば、加硫剤、充填剤、補強剤、可塑剤、老化防止剤、加硫促進剤、軟化剤、粘着付与剤、滑剤、分散剤、加工助剤等を挙げることができる。これらの添加剤は、樹脂層に用いられる樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。
【0021】
上記第1および第2の薄膜樹脂層は、押出成形法等の公知の任意の方法で形成することができる。また、該薄膜樹脂層の厚さは、必要な冷媒輸送用ホースの柔軟性を確保できる限りにおいて限定されないが、一般的には500μm以下、好ましくは300μm以下である。なお、樹脂層が過剰に薄い場合(例えば、20μm未満である場合)には、二酸化炭素冷媒不透過性に悪影響が出たり、均一層厚に形成することの困難さから樹脂層に欠損部を伴うという不具合を生じる場合もある。
【0022】
<ラミネート層>
上記ラミネート層は、金属箔または金属蒸着層を含んでいれば特に限定されず、(4)金属箔、(5)金属箔および補強材、(6)金属蒸着層(以下、「(4)〜(6)に記載の金属箔や金属蒸着層等」ともいう)のいずれかに樹脂フィルムを積層したラミネート層であることが好ましい。
【0023】
また、上記ラミネート層の形成形態は特に限定されず、上記(4)金属箔、(5)金属箔および補強材、(6)金属蒸着層のいずれかに樹脂フィルムを積層したテープ状のラミネートシートを用い、これを螺旋巻きまたは縦添え巻き(とりわけ、縦添え巻き)することにより形成されたラミネート層であることが好ましい。
【0024】
ここで「螺旋巻き」とは、テープ状ラミネートシートを全体として隙間のない筒状となるように螺旋状に巻くことをいい、「縦添え巻き」とは、ホースを周回できる幅のテープ状ラミネートシートをホースの軸方向に平行に添えて隙間のない筒状となるように巻くことをいう。
【0025】
上記(4)〜(6)に記載の金属箔や金属蒸着層等は、通常、該金属箔や金属蒸着層等の両面から樹脂フィルムを積層して融着または接着することによってラミネートシートとされるが、上記(6)金属蒸着層については、金属を蒸着した樹脂フィルムの金属蒸着層側のみに他の樹脂フィルムを融着または接着することによって積層したり、金属を蒸着した2枚の樹脂フィルムを金属蒸着層側同士を融着または接着することによってラミネートシートとしてもよい。
【0026】
上記樹脂フィルムを構成する樹脂組成物に含有される樹脂は特に限定されないが、熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、具体的には、例えば、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂等を適宜用いることができる。
また、上記樹脂フィルムを構成する樹脂組成物に含有される樹脂は、上記薄膜樹脂層を構成する樹脂組成物に含有される樹脂として例示したものを用いることが上記薄膜樹脂層との接着性が良好となるため好ましい。
上記樹脂フィルムの材質上の剛性と厚さに関しても特に限定はないが、厚さ5〜100μmとすることが好ましい。
【0027】
上記(5)金属箔および補強材は、互いに接着されていても、されていなくてもよいが、互いに接着されている方が、金属箔に対する補強材の補強効果が大きくなるため好ましい。また、上記ラミネートシート中において、補強材は金属箔の内側に設けられていても外側に設けられていてもよいが、補強材を外側に設けている方がより効果的である。上記(5)金属箔および補強材と、これらに積層する樹脂フィルムとの間は、接着されていても、されていなくてもよい。
【0028】
上記補強材は、大きな伸び抵抗を示すものであれば特に限定されず、伸び抵抗が大きく、かつ柔軟性も優れた材料であることが好ましい。このような補強材としては、具体的には、ワイヤーメッシュ、補強布材(例えば、帆布、不織布等であって、好ましくは伸びの小さいアラミド繊維、カーボン繊維、ガラス繊維等を用いたもの)、高強度の樹脂フィルム等が好適に例示される。
【0029】
テープ状のラミネートシートを螺旋巻きまたは縦添え巻きする場合において、テープ状のラミネートシートの端部同士を若干重合させることが、ラミネート層全体としての水密性を容易に確保できるため好ましく、さらにこれらの重合部を相互に接着すれば、一層高度の水密性を確保できるためより好ましい。
【0030】
本発明の二酸化炭素冷媒輸送用ホースにおいて、上記第1および第2の薄膜樹脂層は、上記ラミネート層に対して直接に隣接させて備えたり、該薄膜樹脂層と該ラミネート層との間に熱可塑性の薄い樹脂層を介在させもしくは接着剤を介在させ、加熱工程により融着もしくは接着させて備えたりすることができ、上記第1の薄膜樹脂層、上記ラミネート層、上記第2の薄膜樹脂層の各層をこの順で隣接して備えていることが好ましい。
次に、上記第2の薄膜樹脂層の外周側に設けられる中間ゴム層、補強層およびゴム外管層について説明する。
【0031】
<中間ゴム層>
上記第2の薄膜樹脂層と後述する補強層との間に中間ゴム層を設けることが、ホース接続部に接続金具等を加締めて取り付ける際のホースのカシメ性が良好となり、さらに、該中間ゴム層と、上記第2の薄膜樹脂層および後述する補強層との接着を加硫接着により接合させることができるため接合性が向上する理由から好ましい。
中間ゴム層を構成するゴムの種類は特に限定されないが、具体的には、冷媒耐透過性や柔軟性のよいゴム、あるいは上記第2の薄膜樹脂層や後述する補強層との高温接着性が良好な加硫接着処方を設計し易いゴムが好適に例示される。
【0032】
このようなゴムとしては、具体的には、例えば、ブチルゴム(IIR)、塩化ブチルゴム(Cl−IIR)、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等の極性官能基を有しないゴムや、ニトリルゴム(NBR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)等を挙げることができる。
【0033】
上記中間ゴム層の厚さは特に限定されないが、ホースのカシメ性を有効に向上させるためには、例えば0.5〜2.0mm程度とすることができる。
また、上記中間ゴム層は、1層で形成されていても、複数層で形成されていてもよい。
【0034】
<補強層>
上記補強層としては、その構成がブレード状で形成されたものでもスパイラル状で形成されたものでもよく、具体的には、例えば、ワイヤーブレード層や、補強糸をブレード巻きあるいは逆方向に二層スパイラル巻きしたもの、さらには逆方向の二層のスパイラル巻きの間に中間ゴム層を介在させたもの等が挙げられる。アラミド繊維やポリエステル繊維等の補強糸を編組した補強層であることが、得られる二酸化炭素冷媒輸送用ホースの柔軟性に優れる理由から好ましい。
また、上記補強層は、1層で形成されていても、複数層で形成されていてもよい。
【0035】
<ゴム外管層>
冷媒輸送用ホースの最外層として、ゴム材料からなるゴム外管層を設けることが好ましい。該ゴム外管層を構成するゴムの種類は特に限定されないが、具体的には、例えば、耐候性が良好なクロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。
また、上記ゴム外管層は、1層で形成されていても、複数層で形成されていてもよい。
【0036】
このような構成を有する本発明の第1の態様に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースは、最内層を形成する薄膜樹脂層が、超臨界状態の二酸化炭素冷媒に接触しても、膨張や発泡等の変化を受けず冷媒透過抵抗が低減しないため、従来の冷媒輸送用ホースにおける通常のゴム内管に比較して、冷媒に対する耐性および不透過性が優れ、ホース管路の縮小や閉塞等という不具合を招く懸念がなく有用である。
【0037】
また、第1の態様に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースは、高度の二酸化炭素冷媒透過抵抗を期待できる金属箔または金属蒸着層(とりわけ金属箔が好適である)を含むラミネート層を備えているので、上記薄膜樹脂層における良好な冷媒透過抵抗と相まって、ホース全体として非常に優れた二酸化炭素冷媒不透過性を実現することができる。
【0038】
さらに、第1の態様に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースは、上記ラミネート層の外周側に設けられる第2の薄膜樹脂層を備えていることから、使用に際し該ホースが大きく変形するような場合においても、該ラミネート層のラッピング部位にクラックが入ることがないため有用である。
例えば、ラミネート層の外周側に中間ゴム層を隣接して形成させた場合では、変形などの動的ひずみが加えられた際に、ラミネート層を形成する樹脂フィルムと中間ゴム層を形成するゴム層との硬度に差があることから、硬度の高い部分、特にラミネート層のラッピング部位に応力が集中してクラックが発生すると考えられる。
そのため、上記ラミネート層の外周側にさらに第2の薄膜樹脂層を備えることによって、応力集中が抑えられることからクラックの発生が制御されると考えられる。
【0039】
第1の態様に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースにおいて、上記第1および第2の薄膜樹脂層が薄膜に形成されている点や、二酸化炭素冷媒に対する主たる不透過層が金属箔等を含むラミネート層の形態を有している点から、冷媒輸送用ホースとして必要な柔軟性(耐振動性)を維持することができる。具体的には、上記第1および第2の薄膜樹脂層の厚さを500μm以下とすることで、優れた二酸化炭素冷媒不透過性と、冷媒輸送用ホースとしての柔軟性とをバランスよく実現することができる。
【0040】
また、第1の態様に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースにおいて、上記(4)金属箔、(5)金属箔および補強材、(6)金属蒸着層のいずれかに樹脂フィルムを積層してなるテープ状のラミネートシートを用いたラミネート層が構成されていると、ホースの曲げや変形に際して、樹脂フィルムの保護作用により金属箔等の疲労による損傷や破断が起こり難く、高度の二酸化炭素冷媒不透過性を耐久的に確保することができる。具体的には、上記テープ状のラミネートシートをいわゆる螺旋巻きまたは縦添え巻きすることによりラミネート層を構成するので、筒状体であるホースにおけるラミネート層の形成を極めて容易に行うことができる。
【0041】
なお、ラミネートシート中に上記(5)金属箔および補強材が含まれる場合は、上記樹脂フィルムの保護作用を超える強い力でホース壁部が延伸されたり曲げられたりした場合にも、金属箔と一緒に含まれる補強材の伸び抵抗により、金属箔の破断を回避することができる。
また、ラミネートシート中に上記(6)金属蒸着層が含まれる場合は、極めて強い力でホース壁部が延伸されたり曲げられたりしても、蒸着層が伸びによって破断するという性質を有しないため、ラミネートシート自体が破断しない限り急激な耐透過性の低下が起こり得ない。
【0042】
第1の態様に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースにおいて、上記ラミネート層の外周側に設けられる第2の薄膜樹脂層の外周側に、上記中間ゴム層、上記補強層、上記ゴム外管層を順次設けられていると、第1に中間ゴム層によってカシメ性の向上や第2の薄膜樹脂層と補強層との接合性の向上を図ることができ、第2に補強層によってホース全体の破裂もしくは破断や伸びに対する強度を向上させることができると共に上記ラミネート層に対する保護作用を強化することができ、第3に適宜なゴム材料からなる外管層によって上記補強層やラミネート層を外部環境(気候、熱、雨水、薬品、各種オイル等)による劣化から有効に保護することができる。
【0043】
また、第2の態様に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースは、最内層に上記ラミネート層を備え、さらに該ラミネート層の外周側に第2の薄膜樹脂層を備えているので、冷媒輸送用ホースとして必要な柔軟性を維持したうえで、二酸化炭素冷媒に対して第1の態様に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースと同様の耐性および不透過性が得られる。
【0044】
第2の態様に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースにおいて、上記(4)金属箔、(5)金属箔および補強材、(6)金属蒸着層のいずれかに樹脂フィルムを積層してなるテープ状のラミネートシートを用いたラミネート層が構成されていると、該樹脂フィルムの保護作用による金属箔等の損傷、破断の防止により高度の二酸化炭素冷媒不透過性を耐久的に確保することができ、テープ状のラミネートシートを螺旋巻きまたは縦添え巻きすることによりラミネート層の形成を極めて容易に行うことができ、ラミネートシート中に金属箔および補強材が含まれる場合にはその金属箔に対する保護作用が期待できる。
【0045】
また、第2の態様に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースにおいて、上記ラミネート層の外周側に設けられる第2の薄膜樹脂層の外周側に、上記中間ゴム層、上記補強層、上記ゴム外管層が順次設けられていると、第1の態様に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースと同様、中間ゴム層によるホースのカシメ性の向上、第2の薄膜樹脂層と補強層との接合性の向上、補強層によるホース全体の破裂もしくは破断や伸びに対する強度の向上とラミネート層に対する保護作用の強化、および外管層による補強層やラミネート層の外部環境に起因する劣化からの保護が可能となる。
【0046】
また、本発明の二酸化炭素冷媒輸送用ホースは、二酸化炭素冷媒の輸送に用いる限りにおいて、利用分野の限定なく適用することができる。
その代表的な用途例としては、例えば、自動車用エアコンシステム、冷蔵庫、ルームエアコン等を挙げることができるが、特に、ホースに対して高度の二酸化炭素冷媒不透過性と柔軟性(耐振動性)とが同時に要求される自動車用エアコンシステムへの適用が好ましい。
【0047】
【実施例】
本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明する。なお、本発明の二酸化炭素冷媒輸送用ホースは、この実施例に限定されない。
(実施例1)
実施例1の二酸化炭素冷媒輸送用ホースとして、図1に示すように、最内層より順に、ポリアミド樹脂を押出成形した約150μmの膜厚の第1の薄膜樹脂層2、ラミネート層3、ポリアミド樹脂を押出成形した約150μmの膜厚の第2の薄膜樹脂層4、ブチルゴムからなる厚さ約1.0mmの中間ゴム層5、適宜な種類の補強糸をブレード巻きした補強層6、EPDM製のゴム外管7を設けた二酸化炭素冷媒輸送用ホース1を用いた。
【0048】
(比較例1)
比較例1の二酸化炭素冷媒輸送用ホースとして、図2に示すように、最内層より順に、ポリアミド樹脂を押出成形した約150μmの膜厚の薄膜樹脂層12、ラミネート層13、ブチルゴムからなる厚さ約1.0mmの中間ゴム層15、適宜な種類の補強糸をブレード巻きした補強層16、EPDM製のゴム外管17を設けた二酸化炭素冷媒輸送用ホース11を用いた。
【0049】
このうち、二酸化炭素冷媒輸送用ホース1における第1の薄膜樹脂層2とラミネート層3における後述する内側の樹脂フィルム層3aとの界面、および、ラミネート層3における後述する外側の樹脂フィルム層3bと第2の薄膜樹脂層4との界面は、それぞれ上述した適宜な接着処方のもとに加熱工程および加硫により接着されている。
同様に、二酸化炭素冷媒輸送用ホース11における薄膜樹脂層12とラミネート層13における後述する内側の樹脂フィルム層13aとの界面、および、ラミネート層13における後述する外側の樹脂フィルム層13bと中間ゴム層15との界面は加硫接着されている。
【0050】
上記ラミネート層3(13)は、図3(A)および図3(B)に示すように、熱可塑性であるPET製の薄膜フィルムからなる内側の樹脂フィルム層3a(13a)と、外側の樹脂フィルム層3b(13b)とによって、アルミニウム製の金属箔3c(13c)をサンドイッチ状に貼着してなるラミネートシート3d(13d)を用いて構成されている。
【0051】
上記二酸化炭素冷媒輸送用ホース1および11について、超臨界状態の二酸化炭素に対する耐透過性(耐超臨界CO2 透過性)、およびホイップ試験後のクラックの有無を下記に示す条件で行った。
<耐超臨界CO2 透過性>
得られた二酸化炭素冷媒輸送用ホース1および11に対して、耐冷媒透過試験を行った。耐冷媒透過試験は、冷媒として二酸化炭素を使用し、それぞれの場合において、特開2001−349801号公報に記載してあるホースのガス透過量測定方法およびその測定装置を用いて行った。
すなわち、二酸化炭素冷媒輸送用ホース1および11のそれぞれについて、ホース両端に金具を装着した長さ50cmのホース2本を用意し、あらかじめ70℃で4時間加熱しておき、1本のホースはリザーバタンクを連結し、20℃で5.5MPaになるまで冷媒を封入した。他方のホースは冷媒を封入せずに密閉した。そして、120℃で72時間後における質量を測定することで、ガス透過量を算出し、耐超臨界CO2 透過性を調べた。結果を下記表1に示す。
【0052】
<ホイップ試験後のクラックの有無>
得られた二酸化炭素冷媒輸送用ホース1および11に対して、ホイップ試験を行った。ホイップ試験は、温度120℃、圧力4.0MPaでホース内部にN2 ガスを導入した状態で、該ホースを図4に示す回転疲労試験機30(31:ホース、32:平行軸、33:回転円板、34:圧力計、35:加圧シリンダー、36:重錘)に取り付け、規定の条件(回転数:450rpm/分、回転半径:10mm、回転時間:100時間、試料長さL:300mm、取り付け距離S:190mm)で円運動するように調整して行った。
なお、クラックの有無は、上記ホイップ試験後の各ホースを縦方向に分割し、分割されたホースの内面を目視にて確認し、亀裂の入っている状態であるものをクラック有りとし、亀裂のない状態であるものをクラック無しとした。結果を下記表1に示す。
【0053】
【表1】
Figure 2004232728
【0054】
表1に示す結果より、実施例1に示す二酸化炭素冷媒輸送用ホースは、ホイップ試験前後において超臨界状態のCO2 に対する耐透過性を有していることが分かった。比較例1に示す二酸化炭素冷媒輸送用ホースはホイップ試験後にクラックが発生することから十分な耐透過性を有していないことが分かった。
【0055】
【発明の効果】
本発明の二酸化炭素冷媒輸送用ホースは、超臨界状態となり得る二酸化炭素冷媒に対して、優れた安定性および高い不透過性を示し、さらに変形時においてもクラックが発生しないことから有用であり、特にカーエアコン用冷媒輸送用ホースとして好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースを、その各層毎に一部切欠いて示す斜視図である。
【図2】比較例1に係る二酸化炭素冷媒輸送用ホースを、その各層毎に一部切欠いて示す斜視図である。
【図3】図1(図2)におけるラミネート層の詳細を示す図であって、図3(A)はラミネート層をその各構成層毎に一部切欠いて示す斜視図、図3(B)はラミネート層の断面図である。
【図4】ホイップ試験に用いた回転疲労試験機を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,11 二酸化炭素冷媒輸送用ホース
2 第1の薄膜樹脂層
3,13 ラミネート層
3a,3b,13a,13b 樹脂フィルム層
3c,13c 金属箔
3d,13d ラミネートシート
4 第2の薄膜樹脂層
5,15 中間ゴム層
6,16 補強層
7,17 ゴム外管
12 薄膜樹脂層
30 回転疲労試験機
31 ホース
32 平行軸
33 回転円板
34 圧力計
35 加圧シリンダー
36 重錘

Claims (3)

  1. 少なくとも以下(1)、(2)、(3)の各層を備え、二酸化炭素冷媒の輸送に用いられることを特徴とする二酸化炭素冷媒輸送用ホース。
    (1)最内層を構成する第1の薄膜樹脂層。
    (2)金属箔または金属蒸着層を含むラミネート層。
    (3)前記ラミネート層の外周側に設けられる第2の薄膜樹脂層。
  2. 前記第2の薄膜樹脂層の外周側に、中間ゴム層、補強層、ゴム外管層が順次設けられていることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素冷媒輸送用ホース。
  3. 最内層に金属箔または金属蒸着層を含むラミネート層を備え、該ラミネート層の外周側に薄膜樹脂層を備え、さらに該薄膜樹脂層の外周側に、中間ゴム層、補強層、ゴム外管層が順次設けられている二酸化炭素冷媒の輸送に用いられることを特徴とする二酸化炭素冷媒輸送用ホース。
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