JP2004233061A - ネブライザ・デニューダ連結による連続濃縮気体採取装置及び当該気体採取装置を組み込んだ気体分析装置並びに分析方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エアフィルタ1を通してエアポンプ2により吸引された気体試料は、ガス流量計3によって必要量がネブライザ4に吐出される。送液ポンプ5により供給されてネブライザで気体試料により微細な液滴状に噴霧された吸収液6は、気体試料と共にデニューダ管7の内壁及び充填材表面を接触を繰り返しながら流れ、吸収液中に対象成分が濃縮捕集される。続いて気体試料と吸収液は気液分離筒8に達し、慣性分離されて、対象成分を濃縮捕集した吸収液は対象成分検出装置の測定試料溶液9として回収され、残りの気体試料は排気される。吸収液に濃縮捕集された対象成分は検出装置により検出される。対象成分の濃縮捕集と検出の一連の分析操作が連続で行われる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体試料の含有成分を連続的に濃縮捕集する装置及び、これらの連続気体濃縮捕集装置と検出器を接続することで気体試料中含有成分を連続して分析する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
室内空気中の汚染物質を測定する場合、そのサンプリング方法は、サンプリングバッグまたは液体や固体捕集材に一定量または一定時間室内空気を通して捕集し、現場で簡易測定を行うか捕集後に実験室に持ち帰って抽出や濃縮といった繁雑な操作を行い、高速液体クロマトグラフ(HPLC)やガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)等の大型の分析機器で測定する方法が主流である。
【0003】
例えば屋内空気中のホルムアルデヒド濃度を測定する場合、測定対象現場で気体試料を一定時間DNPH溶液含浸捕集剤を詰めたカートリッジに通して捕集した後、実験設備のある場所に戻ってアセトニトリルにより抽出を行い、高速液体クロマトグラフによりホルムアルデヒド量を測定する方法(日本工業規格JISK0303等参照)や、パッシブサンプラと呼ばれる拡散型ガスモニタにより吸着し、同様に溶媒抽出−高速液体クロマトグラフにより測定される。
【0004】
また、頭頚部がんや食道がんは、予後が悪く「難治がん」とされているため、これらのがんの高危険群を抽出することは、予防医学上急務とされている。最近少量のアルコール負荷後の呼気中アセトアルデヒド濃度測定により、これらのがんの高危険群を簡便かつ高感度にスクリーニングされる方法が見出され、その測定方法としてサンプリングバッグ捕集・ガスクロマトグラフ法が研究的に行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来の技術はいずれも対象成分について捕集時間内の平均濃度を測定するものであり、一捕集操作で一測定結果を得る。このため、従来の技術で経時的な濃度測定を行う場合は一定時間ごとに同じ捕集操作を行わなければならず、捕集のための器具類は一測定に捕集剤が一つと測定点の数だけ必要であり、連続測定には不向きである。
【0006】
さらに、従来の技術は対象成分の濃度が低い場合、捕集時間を長くする必要があり、しかもほとんどの場合、対象成分を捕集したカートリッジ等を実験室などに持ち帰り、溶媒抽出等の前処理を行ってから各種の分析装置にて対象成分の測定を行うため、試料採取から最終的な測定結果を得るまで長時間を用し、試料を採取したその場で測定結果を得ることは困難であった。
【0007】
現在実用化されている現場での簡易測定方法は、いずれも厚生労働省など各省庁が種々の化学物質について定めた室内空気中濃度のガイドライン及び規制値に準じているが、実際の化学物質過敏症(シックハウス、シックビルディングなど)患者によると、各規制値の10分の1以下の濃度でも重篤な症状を訴える場合が少なくない。従ってこれらの簡易測定法及び装置では、能力不足である。
【0008】
また、呼気中のアセトアルデヒド測定による頭頚部及び食道がんの高危険群スクリーニング検査は実用化には至っておらず、日常の人間ドッグや健康診断の際に簡便に検査できる測定装置の開発が求められている。
従って精密な濃度測定を行う場合、従来法ではヒト呼気の捕集方法や日射、暖房、換気などの環境によって変化しやすい室内空気中の対象物質濃度を正確に把握できない恐れがあり、適切な治療方針や室内環境対策を講じる上での障害ともなっている。
【0009】
本発明は、前述した課題に鑑み、室内空気及びヒト呼気などの気体試料中の対象成分を連続的に濃縮捕集できる方法及びその方法を実施するコンパクトで携帯に便利な気体捕集装置、ならびに可搬型の各種検出装置と接続することにより、その場で試料採取から濃度測定までを短時間でかつ連続的に行えるシステムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の方法では、ポンプで吸引した気体試料をネブライザに送り、先端が細くなったノズルから噴出させて、気体試料がネブライザノズル先端から吐出する際にノズル内部が減圧されることによって吸引される、もしくは吸収液を供給するための送液ポンプにより一定の流速で供給される吸収液と接触させ、吸収液を微細な液滴状にしてネブライザと連結したデニューダ管内壁及び管内の捕集用充填材表面に吹き付ける。気体試料の流れによって、気体試料と接触している微細な液滴状吸収液は対象成分を溶解しながらデニューダ管内部の捕集用充填材表面を移動し、デニューダ管の出口に接続した気液分離筒に送られる。気液分離筒で吸収液は慣性分離により該気体と分離され、対象成分捕集後の気体試料は排気される。気液分離筒から吸収液を連続で回収することにより、連続的に対象成分を濃縮捕集することができる。
【0011】
また、気体試料の吸引量に対して吸収液の流量が小さいことから、低濃度の対象成分を高倍率で連続濃縮捕集することができる。室内空気中のホルムアルデヒドを例にとると、本発明の方法により試料である室内空気の吸引量2.0L/min.に対し、吸収液であるH2Oの流量は0.1mL/min.で98%以上の安定した捕集効率が得られており、このときの濃縮率は体積比で20000倍となる。
【0012】
さらに、可搬型の検出装置と接続して対象成分を捕集した吸収液を連続して直接導入することにより、その場で対象成分の連続濃度測定ができる。室内空気中のホルムアルデヒドを例に取ると、厚生労働省の指針値0.08ppmに対し、検出器としてフローインジェクション分析装置(FIA)を接続した本発明の方法により、0.001ppmの検出限界が得られている。
【0013】
また、吸収液をメタノールなどの有機溶媒、検出装置をガスクロマトグラフに替えて多くの揮発性有機化合物(VOC成分)に適用するなど、吸収液の種類及び可搬型検出装置を替えて組み合わせることにより、本発明による方法は多くの化学物質に対して現場型の高精度・高感度モニタリング装置として応用が可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について、具体的且つ詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例である気体採取装置の構成図である。
対象成分を含む気体試料は、オープンフェイスタイプのエアフィルタ1の気体試料採取口1aからエアポンプ2によって吸引される。図示されていないが、エアフィルタ1にはフィルタとして気体試料中の埃塵除去用のメッシュシートが装着されており、メッシュシートの材質は対象成分及び水分を吸着しないフッ素樹脂などで、対象成分が気体状だけでなく粒子状で浮遊しているミストでも捕集されないメッシュサイズを使用する。エアポンプ2の吸引口2aで採取された気体試料は、エアポンプ吐出口2bからガス流量計3に送られ、所定の試料採取量となるように気体試料流量が調節される。
【0015】
続いて気体試料はネブライザ4に送られ、送液ポンプ5によって一定流量で供給される吸収液を微細な液滴状にし、吸収液と共にデニューダ管6へ送られ、気体試料と吸収液の微細な液滴が接触しながら移動する間に対象成分が吸収液中に捕集される。ネブライザ4から噴霧された微細な液滴状の吸収液は、デニューダ内壁およびデニューダ充填材表面に直接吹き付けられるようにする。
【0016】
その後、気体試料と吸収液は気液分離筒7に到達し、慣性分離により吸収液が対象成分を捕集した捕集液と、気体試料から対象成分を捕集除去された排ガスに分離し、捕集液は対象成分検出のために回収され、排ガスは排気される。ここで、吸収液は対象成分に対して溶解度の大きい水、無機酸溶液、アルカリ溶液、緩衝液、有機溶媒、もしくは対象成分と特異的に反応官能基を有する化合物を含む水、または有機溶媒とし、それぞれ対象成分及び使用環境により選択される。
【0017】
エアポンプ2は、吸引・吐出両用のエアポンプで、長時間の連続安定運転が可能であり、オイルを使用しないタイプで、流量0.5〜6L/min.程度が得られものを使用する。このエアポンプ2は2流路のものを用い、対象成分捕集後の排気試料ガス中に、吸収液成分で室内空気汚染の原因となる恐れがある化学物質を含む場合で、さらに除去用のデニューダ管を装備する場合に、対象成分捕集用と別の流路を使用する。
【0018】
流量計3は、ニードルバルブ付で流量を調節できるもので、流量範囲0.5〜5L/min.程度のものを使用する。対象成分捕集後の排気試料ガス中に、吸収液成分で室内空気汚染の原因となる恐れがある化学物質を含む場合で、さらに除去用のデニューダ管を装備する場合には、別の流量計を設置する。
【0019】
送液ポンプ5は、流量0.1mL/min.が長時間安定して得られる性能を有するもので、対象成分捕集用吸収液の送液用の外に、図示されていないが必要に応じて対象成分捕集後の捕集液回収用の別の送液ポンプを設置する。または、2流路の送液ポンプを使用する。もしくは対象成分を含む気体試料のネブライザ出口からの吐出に伴ってネブライザ内部が減圧され、吸収液が吸引される現象を利用して送液ポンプ使用せずにネブライザに吸収液を供給する場合もある。
【0020】
図示してないが、送液ポンプ5により吸収液を供給する吸収液供給用の容器は、前項の吸収液に対し対象成分の溶出がないことはもちろん、その他の室内空気汚染物質となるような化学物質の溶出がないこと、及び前項の吸収液と化学的な反応を起こさず、吸収液の運搬、保存に支障がない材質で、PTFE等のフッ素樹脂製や強化ガラス、PE、PP等の合成高分子またはこれらの内表面をフッ素樹脂加工したものを使用する。さらに大気との接触により保存中に変性、または対象成分の捕集や検出器での対象成分濃度測定時に支障をきたす恐れがある吸収液を使用する場合は、溶液の減少に伴って内容積が減少する減容容器を使用する。
【0021】
この吸収液供給用容器は、運転時以外に吸収液が流出しないよう、開閉コックをつける。吸収液容器交換が容易なように、開閉コックは吸収液供給用容器のフタを加工して取り付ける。さらに、吸収液供給用容器の蓋には、送液ポンプ5への吸収液供給用送液チューブが取り付けられるようにする。
【0022】
吸収液供給用送液チューブは、前項の吸収液に対し対象成分の溶出がないことはもちろん、その他の室内空気汚染物質となるような化学物質の溶出がないこと、及び前項の吸収液と化学的な反応を起こさない材質で、PTFEやPFA等のフッ素樹脂、またはその他の合成高分子、ガラス、金属及び合金を用いる。それぞれ対象成分及び使用する吸収液と、使用環境により選択される。
【0023】
図2は、対象成分の吸収液への捕集効率を向上させる目的で気体試料と吸収液の接触面積を大きくするため、吸収液を微細な液滴にするために使用するネブライザである。本発明で使用するネブライザは、気体試料噴射用ノズル4aの先端と吸収液吐出用ノズル4bの先端が直角に近接して、微細な液滴としてネブライザ出口4cから噴霧するクロスフロー型ネブライザ(a)、気体試料噴射用ノズル4aの内側に吸収液吐出用ノズル4bが同方向に設置され、同様に吸収液を気体試料の流れによって微細な液滴として噴霧する同軸型ネブライザ(b)、もしくは吸収液の供給チューブ途中に設けた液貯めに超音波発振器4dを設置し、超音波によって吸収液を霧状にし、霧状になった吸収液を気体試料の流れによってネブライザ出口4cから吸収液を噴霧する超音波ネブライザ(c)である。
【0024】
クロスフローネブライザの本体はPTFE等のフッ素樹脂またはその他の合成高分子、あるいはFRPなどの強化プラスチックであり、試料ガス及び吸収液噴射ノズルの材質は石英、パイレックス(登録商標)等の各種ガラス、ニッケル、ステンレス、白金、銅等の金属及び合金、アルミナ等のセラミック、PTFE等のフッ素樹脂をはじめとする合成高分子(合成樹脂)とし、それぞれ対象成分及び使用する吸収液と、使用環境により選択される。同軸ネブライザの材質は石英、パイレックスガラス(登録商標)またはPTFE、PFA等のフッ素樹脂、あるいはPP、PEEK、PMO、ナイロン等の合成高分子とする。
【0025】
これらのネブライザはプラズマ発光分析法(ICP)や質量分析法に(MS)において溶液試料を装置に導入される際に広く使用されており、これらの装置に使用されているネブライザはネブライザ出口が狭いために出口の流速が速く、吸収液も微細な霧状となるが、本発明の気体採取装置に使用するネブライザは、上述のICPやMSに使用されているネブライザに比較して気体試料噴射用ノズル、吸収液吐出用ノズル及びネブライザ出口とも径が大きく、出口での流速も遅く、吸収液も微細な霧状とはならず微細な液滴状であることが特徴である。吸収液が微細な霧状であると、本発明の気体採取装置では霧状の吸収液が凝集して比較的大きな液滴となってデニューダ管内を流れ、さらに気体試料の流れが速いために気体試料と吸収液の接触面積が小さくなり、結果として捕集効率は向上しない。本発明で使用するネブライザは、吸収液が霧状とならず、微細な液滴となるために凝集せず微細な液滴のままデニューダ管内を気体試料と共に流れる。
【0026】
図3は本発明の気体採取装置に組み込まれるデニューダ管の一例である。デニューダ管6は石英、ホウケイ酸ガラス、パイレックスガラス(登録商標)等の各種ガラス或いはフッ素樹脂等の透明または半透明な合成高分子等で作られ、対象成分及び吸収液中の成分と反応もしくは吸着しない材質の内壁が平滑な内径1〜20mm、長さ10〜2000mmの細管であり、形状は直管、ループ状、コイル状のいずれかとする。それぞれ対象成分及び使用する吸収液と、使用環境により選択される。
【0027】
気体試料と吸収液の接触を多くするために、デニューダ管の中に対象成分により石英、ガラス、各種ケイ酸塩化合物、金属、合金、セラミック、フッ素樹脂、炭素、あるいはその他の合成高分子をそれぞれ繊維状もしくは粒状に加工したもの、もしくはこれらの2種以上を複合して繊維状もしくは粒状に加工した充填材6aを充填またはデニューダ管内壁に付着させる。対象成分により充填材内表面をフッ化水素酸や硫酸などの無機酸、水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液、有機溶剤等を用いて化学的に荒れさせるか、熱や切削等により物理的に荒れさせる。あるいは細管のみで上記の充填材を用いない場合もある。
【0028】
前述したように、デニューダ管内壁は平滑であるが、必要に応じてデニューダ管内表面をフッ化水素酸や硫酸などの無機酸、水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液、もしくは有機溶剤を使用して化学的に荒れさせるか、熱や切削などの物理的方法により荒れさせる。または、デニューダ管内表面を荒らした後に、上記の充填材を付着させ、デニューダ管内表面及び充填材表面を微細な液滴状とした吸収液と気体試料が接触を繰り返しながら移動することにより、対象成分が吸収液に効率的に捕集される。もしくは気体試料中の対象成分がまず充填材表面に捕獲され、次いで吸収液の流れによって、吸収液中に捕集される。
【0029】
図4は対象成分を捕集除去された気体試料と対象成分を捕集した吸収液を慣性分離する気液分離筒の一例である。気液分離管の本体7は石英、ガラスまたはフッ素樹脂等の合成高分子の筒であり、下半部にデニューダ管出口との接続口7aがあり、筒の上端には気体試料排気用チューブを接続するためのL字型コネクタ7bを有し、下端には捕集液回収用チューブを接続するコネクタ7fを有し、慣性分離により気液分離を行う。吸収液が水、無機酸溶液、アルカリ溶液、緩衝液、または揮発性が極めて低い有機溶媒、対象成分と特異的に反応する官能基を有する化合物を含む水または有機溶媒のうち、慣性分離によって分離された排気試料ガス中に含まれる量が少なく、かつ新たな室内空気汚染物質となる危険性が極めて低い場合は、気液分離管上端に接続された気体試料排気用チューブ7cの先端に活性炭入りエアフィルタ7dを充填した排気用エアフィルタホルダ7eを装着する。
【0030】
なお、図示してはいないが、気液分離管での慣性分離のみでは排気試料ガス中に新たな室内環境汚染物質の放出の危険性が高い無機酸溶液、有機溶媒、または対象成分と特異的に反応する官能基を有する化合物を含む水または有機溶媒を吸収液として使用する場合、試料ガス排気用チューブの先端に活性炭、シリカゲル、無機珪酸塩、アルミナなどの固体捕集材を充填したカラム、または吸収液成分と特異的に反応する官能基を有する固体または液体をそのままあるいは上記の固体捕集材表面に担持させて捕集材とし、これを充填したカラムを通過させて室内に放出するか、あるいは別のデニューダ管を接続して排気試料ガス中の吸収液成分を別の無害の捕集溶液に吸収させて除去してから、別の気液分離管を経て、排気する。
【0031】
図5は本発明の気体採取装置と検出装置を組み合わせた気体分析装置の一実施例で、室内空気中の鎖式アルデヒド分析装置の構成図である。
エアフィルタ1を通して吸引された対象成分を含む気体試料は気体採取装置8に導入され、吸収液供給容器10から供給されるアルデヒドの吸収液である純水(H2O)中に対象成分が濃縮捕集される。対象成分を濃縮捕集した吸収液は、試料溶液として鎖式アルデヒド分析装置である例えばエフ・アイ・エー機器株式会社製PFA・NO改良型などのフローインジェクション分析装置(FIA)等の検出装置9に自動で注入され、純水対象成分の吸収液と兼用で吸収液供給容器10から分岐された純水をキャリヤ溶液としてFIAのフローラインに送られる。
【0032】
キャリヤ溶液と共に流れる試料溶液は、FIA中で試薬溶液供給容器11から供給される鎖式アルデヒド検出用試薬(酢酸緩衝液を含むシッフ試薬)と自動で混合→加熱→反応→検出され、データ処理用パソコン12により、データ処理が行われ、結果の表示及びデータの保存が行われる。
【0033】
また、気体採取装置8から必要量のFIA測定のために必要な試料溶液を採取した残りの対象成分捕集濃縮溶液及びFIAのキャリヤ溶液、試薬溶液ならびに試薬と反応後の試料溶液は廃液として、活性炭等の固体捕集材を充填した排液処理用カラム13を通して廃液中に含まれるほとんどの有機物質が除去された後、廃液タンク14に回収される。これらの工程は自動で連続的に繰り返され、長時間の自動モニタリングが可能となる。
【0034】
なお、図示されていないがFIAに液体クロマトグラフィー(LC)で使用される親水性化合物の分離用カラム(例えばShodex RSpack DE・413)を装着することにより、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどの個々の鎖式アルデヒドを分離・検出することが可能である。
【0035】
また、図示されてはいないが、これらを1つの可搬台に収納し、可搬型とすることにより、現場で気体試料中の対象成分の濃縮捕集、対象成分の分析・データ処理・廃液処理の分析に必要な工程をすべて連続で自動運転できるシステムとなる。気体採取装置8に接続可能な可搬型の検出装置9としては、前述したFIAの他、GC、GC/MS、ICを含むHPLC、UV−VIS、蛍光光度計、FT−IR、pH計、伝導度計、自動滴定装置などが含まれる。
【0036】
さらに、図示されていないがエアフィルタ1と気体採取装置8の間にヒト呼気捕集容器を接続することにより、集団検診時の頭頚がん及び食道がんの高危険群簡易スクリーニング検査装置となる。呼気サンプリングの方法としては、例えば容量既知(0.25〜1L)の気体試料採取容器(テドラーバッグ等)で、開閉コック付の入り口と、入り口の反対側に開閉コック付の出口がある容量可変の容器を使用する。この気体試料採取容器により、一定量のアルコール摂取後のヒト呼気を採取する。前述した気体採取装置のエア吸引チューブの途中に呼気を採取した前記気体試料採取容器を接続し、コックを開いてエアを通じ、採取した呼気をエアと共に前記気体採取装置に導入する。
気体採取装置により呼気中のアセトアルデヒドを吸収液(水)に濃縮捕集する。濃縮捕集された吸収液中のアセトアルデヒドをFIAまたはGCにより定量し、定量された吸収液中のホルムアルデヒド濃度と、呼気採取量(気体試料採取容器の容量)から呼気中のアセトアルデヒド量を求める。
【0037】
気体採取装置8には、エアフィルタ1を任意の高さで固定できる長さ可変の支柱を設ける。このエアフィルタ1から気体採取装置8に至る気体試料採取用チューブはPFA、PTFE等のフッ素樹脂をはじめとする合成樹脂チューブまたはゴムチューブ、あるいは石英、ガラス管など、対象成分及び水分等の吸着がなく、撥水性の高いものを使用する。それぞれ対象成分及び使用する吸収液と、使用環境により選択される。気体試料採取用チューブの長さは気体採取装置外壁より2mとし、任意の長さで使用できるよう気体試料採取用チューブを巻きつけるフック等を気体採取装置外壁に設ける。(参考:厚生労働省 室内環境指針;床上0.6〜1.5m,国土交通省 床材;床上0.3m〜)
【0038】
気体採取装置8から検出装置9への試料導入は、検出装置9側に自動導入機能がある場合はこれを使用するが、機能がない場合は、検出装置9に適応するオートサンプラ(試料自動導入装置)をシステムに組み込む。このオートサンプラには気体採取装置からの対象成分捕集液回収と、検出装置9への試料自動注入機能を持たせる。必要に応じて気体採取装置に対象成分捕集液回収用の送液ポンプを増設する。試料自動導入装置を別に組み込ませる場合、データ処理と連動させる。
【0039】
検出装置9からの試料廃液及び試薬廃液は、気体採取装置8から検出装置9へ必要量導入後の捕集液残液を水系及び有機溶媒系に分けて回収する。廃液タンク14は、これらの廃液によって侵されない材質のものであれば良い。必要に応じて転倒防止及び溢れ出るのを防止する処置を施す。この廃液のうち、水系の廃液については活性炭、無機ケイ酸塩等の対象成分及び、吸収液に含まれる対象成分と特異的に反応する官能基を有する化合物のうち新たな室内環境汚染及び水質汚濁を起こす危険性の高い物質等を吸着する固体を充填した排液処理用カラム13を通し、無害化して廃液用容器に回収する。
【0040】
無害化された水系廃液は一般家庭の排水溝に廃棄できる。ただし、水系廃液であっても有害または有毒物質を含む試薬を使用した場合は、廃液中にこれらの物質が含まれないか、あるいは法規制による基準値以下であることを確認するまで廃棄しない。これらの物質が基準値以上検出された場合は、専門業者への委託など別途処理を行ってから廃棄する。これは各自治体で規制値が異なるので注意を要する。
【0041】
有機溶媒系の廃液は、すべて廃液用容器に回収し、専門業者等へ委託する。廃液回収用容器は、使用中に対象成分、溶媒及びこれに含まれる試薬等の揮発による新たな室内環境汚染が発生しないよう、活性炭入りエアフィルタなどを用いて直接室内空気と接触して廃液の一部が揮散などにより放出されないようにする。
【0042】
【発明の効果】
本発明の気体採取装置は、対象成分を含む気体試料と、対象成分に対して溶解度の大きい、あるいは対象成分と特異的に反応する官能基を有する化合物を含む吸収液を連続的に接触させて、吸収液中に対象成分を濃縮捕集するというものであり、原理的には単純なものであるため、気体試料中の対象成分を現場で少量の吸収液中に高倍率で連続して捕集濃縮が可能である。1台の気体採取装置で吸収液の種類、気体試料との流量比、気液接触部であるデニューダ充填材の種類などの捕集条件を変えることにより、室内空気中の鎖式アルデヒド、呼気中のアセトアルデヒドだけでなく、芳香族もしくは鎖式炭化水素、ハロゲン化炭化水素などのVOC(揮発性有機化合物)成分、エステル化合物などの可塑剤成分、さらにクロルピリホスなどの防蟻剤や農薬成分など、多くの室内空気汚染物質といわれる化学物質に応用可能である。
【0043】
気体試料中の対象成分を高精度に分析しようとする場合、従来の気体採取法のように固体または液体捕集材に長時間気体試料を通して濃縮捕集後、実験室に持ち帰って溶離・濃縮等の繁雑な操作が不要となり、大幅な分析所要時間の短縮と人件費及びエネルギー削減に伴う大幅なコストダウンに加えて、本発明の気体採取装置によれば原理が単純であるため、前処理操作における系統誤差や個人誤差などの分析精度を低下させる要因が大きく減り、分析精度の向上が期待される。また、前処理工程で使用される試薬の種類及び量とも大幅に削減されることにより、分析操作による新たな室内環境汚染物質の発生や廃棄物が削減され、エネルギー問題や環境問題に大きく貢献できる。
【0044】
さらに、可搬型検出装置と組み合わせることにより、低コストで対象成分の現場での高精度リアルタイムモニタが可能となり、シックビルディングの原因物質の現場での高精度分析が可能となるため、詳細な実状把握による実状にあった対策が可能となり、快適な居住空間を提供するための有力な手段となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である気体採取装置の構成図である。
【図2】本発明の気体採取装置に組み込まれるネブライザの3つの例であり、(a)は気体試料噴射用ノズルと吸収液吐出用ノズルが直角に位置するクロスフロー型ネブライザ、(b)は、気体試料噴射用ノズルの中に吸収液吐出用ノズルが同方向に設置される同軸型ネブライザ、(c)は吸収液貯めに設置された超音波発振器により吸収液を霧状とし、気体試料の流れによって霧状の吸収液を吐出させる超音波ネブライザである。
【図3】本発明の気体採取装置に組み込まれるデニューダ管の一実施例である。
【図4】本発明の気体採取装置に組み込まれる気液分離等の一実施例である。
【図5】本発明の気体採取装置と検出装置を組み合わせた気体分析装置の一実施例で、室内空気中の鎖式アルデヒド分析装置の構成図である。
【符号の説明】
1 エアフィルタ
1a 気体試料採取口
2 エアポンプ
2a エアポンプ吸引口
2b エアポンプ吐出口
3 ガス流量計
4 ネブライザ
4a 気体試料噴射用ノズル
4b 吸収液吐出用ノズル
4c ネブライザ出口
4d 超音波発振器
5 送液ポンプ
6 デニューダ管
6a 糸状または粒状充填材もしくはデニューダ管内壁付着材
7 気液分離筒
7a デニューダ管出口の接続口
7b 排気用チューブ接続用L字型コネクタ
7c 排気用チューブ
7d 活性炭入りエアフィルタ
7e 排気用エアフィルタホルダ
7f 捕集液回収用チューブ接続用コネクタ
8 気体試料採取装置
9 検出装置
10 気体採取装置の吸収液及びFIAのキャリヤ溶液である純水
11 測定に使用する試薬溶液
12 データ処理用ノート型パソコン
13 排液処理用カラム
14 測定廃液回収用タンク
Claims (16)
- 測定対象成分を含む気体試料と、測定対象成分に対して溶解力の大きいまたは選択的に反応する吸収液を連続的に接触させ、対象成分を吸収液中に連続的に濃縮捕集する気体採取装置。
- 前記気体試料が室内空気、屋外大気、作業場内空気、排出ガス、加熱発生ガスもしくはヒトまたは動物の呼気であって、連続的に流れる前記測定対象成分を含む前記気体試料により、前記測定対象成分に対して溶解力の大きいまたは選択的に反応する前記吸収液を微細な液滴状とし、細管の内壁または前記細管内に付着もしくは充填した表面が平滑でない糸状あるいは粒状の樹脂もしくは無機物表面に噴射して、前記細管中を前記気体試料と共に移動させて連続的に前記測定対象成分を前記吸収液中に濃縮捕集する請求項1に記載する気体採取装置。
- 気体試料を吸引・吐出するポンプと、前記気体試料吸引・吐出量を調節するガス流量計と、前記気体試料の流れによって前記吸収液を吸引かつ微細に液滴化するネブライザと、前記気体試料と微細に液滴化した前記吸収液が連続的に接触しながら流れるデニューダと、前記対象成分を捕集した前記吸収液と前記対象成分が捕集除去された前記気体試料を慣性分離する気液分離筒を有することを特徴とする請求項1もしくは2に記載する気体採取装置。
- 前記ネブライザが前記吸引・吐出ポンプによって供給される前記測定対象成分を含む前記気体試料が前記吸収液を吸引かつ微細な液滴状に噴射するクロスフロー型ネブライザまたは同軸ネブライザ、もしくは超音波発振器により霧滴化された前記吸収液が前記吸引・吐出ポンプによる前記測定対象成分を含む前記気体試料の流れによって噴霧される超音波発振器を有する超音波ネブライザであって、かつ前記ネブライザの吸引のみでは一定流量が得られない場合は前記吸収液を前記ネブライザに一定流量で供給するための送液ポンプを有する請求項3に記載の気体採取装置。
- 前記デニューダが石英、ホウケイ酸ガラスまたはフッ素樹脂の管であって、前記デニューダの形状が、内径1〜20mm、長さ10〜2000mmの直管、またはループ状もしくはコイル型であることを特徴とする請求項3または4に記載の気体採取装置。
- 前記デニューダ管内部に糸状または粒状の充填材を挿入もしくは内表面に付着させ、前記デニューダ管内表面及び充填材表面をネブライザから噴射された微細な前記吸収液滴が吸引・吐出ポンプによって流れる測定対象成分を含む前記気体試料と接触しながら流れることを特徴とし、かつ前記デニューダ管内部に充填された前記糸状または粒状の部材が石英、ホウケイ酸ガラス、シリカ(SiO2)をはじめとする無機ケイ酸塩、もしくは金属、合金、セラミック、フッ素樹脂、炭素、合成高分子のいずれかまたは2種以上の複合材料である請求項3〜5の何れかに記載の気体採取装置。
- 前記デニューダ管の内壁をフッ化水素酸、硫酸、硝酸、アルカリ溶液、有機溶剤のいずれか、または2種以上の溶液により表面を荒らした状態にした請求項3〜6の何れかに記載の気体採取装置。
- 前記ネブライザから噴射された微細な前記吸収液滴が、凝集することなく前記デニューダ管の内壁面及び前記デニューダ管充填材表面に直接吹き付けられるように、前記ネブライザと前記デニューダ管入り口を接続した請求項3〜7の何れかに記載の気体採取装置。
- 前記気液分離筒が、筒状で下半部にデニューダ管出口の接続口と、上端に前記対象成分吸収後の前記気体試料を排気するためのチューブを接続するL字型コネクタと、下端に前記対象成分捕集後の前記吸収液を回収するチューブを接続するコネクタを有し、筒内で前記デニューダ管を通過した前記気体試料と前記吸収液が慣性分離される特徴を有する請求項3〜8の何れかに記載の気体採取装置。
- 前記吸引・吐出ポンプと前記ネブライザを接続する気体用チューブのあいだに、一定容量で開閉コック付入り口と容器の入り口の反対側に開閉コック付の出口を有し、捕集量により体積が変化する気体捕集容器を接続するチューブジョイントを有し、かつ前記気体捕集容器が、一定量のアルコール負荷後のヒト呼気を捕集するものであり、前記気体捕集容器により捕集されたヒト呼気中成分を前記吸引・吐出ポンプによるエアまたはその他のキャリヤガスの流れによって前記ネブライザに送り、前記呼気中成分を前記吸収液中に濃縮捕集することを特徴とする請求項3〜9の何れかに記載の気体採取装置。
- 気液分離筒の上端に接続された前記排気チューブに前記吸収液の揮散成分を回収するための活性炭入りエアフィルタ、もしくは前記揮散成分を回収するための別のデニューダ管及び別の気液分離筒、前記揮散成分回収用デニューダのための別のエアポンプ及び別の吸収液送液用ポンプを有する請求項9に記載の気体採取装置
- 請求項4から11のいずれか1項に記載した気体捕集装置と、対象成分を検出するための検出装置と、検出した成分のデータ処理機能を有することを特徴とする気体分析装置。
- 前記検出装置が可搬型のフローインジェクション分析装置(FIA)、ガスクロマトグラフィー(GC)、ガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)、イオンクロマトグラフィー(IC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、可視‐紫外吸光光度計(UV・VIS)、蛍光光度計、赤外分光光度計(IR)、pHメーター、電気伝導度計、自動滴定装置のいずれかである請求項12に記載の気体分析装置。
- 前記気体採取装置により前記測定対象成分の濃縮捕集と前記検出装置による前記測定対象成分の検出工程を、30時間程度の連続自動運転するための前記データ処理機能と制御機能を有し、かつ前記気体捕集装置と前記検出装置と前記データ処理機能と前記制御機能が1台の可搬台に収納され、前記測定対象成分の分析対象地点まで運搬が可能である請求項12または13に記載の気体分析装置。
- 請求項14に記載の気体分析装置を使用して、前記分析対象地点において前記測定対象成分を前記測定対象気体から前記気体採取装置により前記吸収液に濃縮捕集し、前記対象成分を濃縮捕集した前記吸収液中の前記測定対象成分を連続して前記検出装置によって濃度測定する分析工程を有する気体分析方法。
- 請求項14に記載の気体分析装置を使用して、一定量のアルコール負荷後のヒト呼気中アセトアルデヒド濃度を測定し、頭頚部がん及び食道がんの高危険群簡易スクリーニング検査とする気体分析方法。
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