JP2004233454A - 反射防止フィルム - Google Patents

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Toshitaka Nakamura
年孝 中村
Yuji Hotta
祐治 堀田
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Nitto Denko Corp
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Abstract

【課題】低反射率で、色ムラがなく、しかもディスプレイ表面の耐擦傷性に優れ、経済性にも優れた反射防止フィルムを提供すること。
【解決手段】可視光域の光の反射防止フィルムであって、基材フィルム上に、特定のポリカルボジイミドの硬化体からなる、光のコヒーレント長を超える厚さのポリカルボジイミド層、並びに屈折率が1.3〜1.5であり、かつ厚さが50〜150nmである薄膜層が、順に積層されてなる反射防止フィルム、並びに光のコヒーレント長を超える厚さの基材フィルム上に、屈折率が1.3〜1.5であり、かつ厚さが50〜150nmである薄膜層が積層されてなる可視光域の光の反射防止フィルムであって、該基材フィルムが、特定のポリカルボジイミドの硬化体からなる、反射防止フィルム。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷陰極線管(CRT)表示装置、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、フィールドエミッションディスプレイ表示装置などの各種フラットパネルディスプレイ表示装置の外光の写り込みを低減し、視認性を高める為に用いられる反射防止フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディスプレイ表示装置のCRTも平面型のものが開発され、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等は全て画面が平坦な、いわゆるフラットパネルディスプレイである。ディスプレイの視認性を高めるために一般に反射防止処理が行われるが、現在では、別途、基材フィルム上に反射防止膜を形成した反射防止フィルムを製造し、そのフィルムを直接ディスプレイ表面に貼り合わせる方式で反射防止処理を行うことが可能となった。
【0003】
代表的な反射防止フィルムとして、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等の透明性の高い合成樹脂製フィルムを基材に用い、その片面の最表面にSiOやMgF等の無機物からなる屈折率の低い層を積層形成したもの(例えば、特許文献1参照)や、上記と同様の合成樹脂製フィルムの片面にTiOやZrO等の無機物からなる屈折率の高い層と、上記の屈折率の低い層とを交互に積層形成した反射防止フィルム(例えば、特許文献2参照)等が知られている。しかしながら、無機物からなる薄膜は主に真空蒸着法やスパッタリング法などにより成膜されるため真空装置を要し、製造コストが高く、しかも成膜速度の関係から、生産性が低いという問題があった。
【0004】
これらに対して、前記のようなフィルム上に薄膜層を塗布法で製造する方法が近年開発されている。当該方法では、ロール・ トゥ・ロールで生産性良く薄膜層の塗工が行われるので真空装置なども必要なく、大幅な低コスト化が可能となる。また、それらに用いられる材料についても多数の提案がなされている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、塗布法では、どうしても塗工時の膜厚ムラが生じてしまい、反射防止膜としての外観ムラが発生するという問題がある。
【0005】
また、反射防止フィルムに要求される特性としては、反射防止性等の光学的特性のみならず、ディスプレイ表面の耐擦傷性も非常に重要なものの1つである。通常の合成樹脂製フィルムはガラスなどに比べ硬度が低いため、その面上に上記SiOやMgF等の薄膜層を形成しても容易に傷が入り、耐擦傷性に乏しい。塗布層であればなおさらである。従って、基材となる合成樹脂製フィルムの表面には、反射防止層とは別に厚さ数μmのハードコート層を別途形成する必要がある。このような厚いハードコート層は、もはや真空蒸着法やスパッタリング法など気相成膜法での形成は困難であり、専ら架橋性高分子樹脂の塗布法で形成される。従って、ハードコート層の屈折率等によっては、その僅かな厚みムラも、外観ムラの原因となってしまう場合がある。
【0006】
例えば、ハードコート層の膜厚は、通常、光のコヒーレント長以下であるが、このような厚さ範囲では光がハードコート層の両界面で干渉を起こし、波長に対して周期的に反射率が変化する、いわゆるリップルが発生する。このリップルは、光源が可視光域の波長範囲で略一定の強度を持つような白色光源の場合、色ムラの原因とはならない。しかしながら、蛍光灯(三波長管)のように、ある波長の発光強度が強く、鋭いピークを有するような光源下では色ムラの原因となる。ハードコート層の厚さを、反射防止フィルム内で完全に一定に塗布できれば、このリップルは特に色ムラなどの原因になることは無く、大きな問題とはならない。しかしながら、ハードコート層の膜厚が僅かでも変化すると、リップルの波長域が僅かに変化し、上記のような蛍光灯照明下では、結果としてそれが色ムラとして人間の目に映ることになる。塗工によりハードコート層の膜厚を完全に均一に形成するのは極めて困難であるため、反射防止フィルムの視認性を著しく低下してしまう場合があり、安易にハードコート層の屈折率を高めると、反射率は低減できても、色ムラが増加してしまうという問題があった。
【0007】
一方、ハードコート層の厚さを、可視光線が干渉しない厚さ、すなわち、光のコヒーレント長より厚くすることでも問題は解決できるが、架橋性の合成樹脂であるハードコート層をその様に厚く塗工し、硬化させると、著しくフィルムがカールしてしまったり、フィルムを曲げた際に、ハードコート層にクラックが生ずるなどの問題があり、ハードコート層を厚くするのは技術的ハードルがかなり高い。
【0008】
従って、基材フィルムとハードコート層との屈折率を近くしてリップルを低減し、低屈折率層と高屈折率層とを多数積層して反射防止フィルムの反射防止性の向上が図られているのが現状である。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−27902号公報(第2頁〜第4頁)
【特許文献2】
特開平6−75103号公報(第2頁〜第3頁)
【特許文献3】
特開2002−265866号公報(第2頁〜第3頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、ディスプレイの高精細化、高画質化が進むなか、反射防止フィルムに要求される特性も益々厳しくなってきている。本発明の目的は、低反射率で、色ムラがなく、しかもディスプレイ表面の耐擦傷性に優れ、経済性にも優れた反射防止フィルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、
〔1〕 可視光域の光の反射防止フィルムであって、基材フィルム上に、以下の一般式(1):
【化3】
Figure 2004233454
(式中、Rはジイソシアネート残基を、Rはモノイソシアネート残基を表し、nは1〜100の整数である)
で表されるポリカルボジイミドの硬化体からなる、光のコヒーレント長を超える厚さのポリカルボジイミド層、並びに屈折率が1.3〜1.5であり、かつ厚さが50〜150nmである薄膜層が、順に積層されてなる反射防止フィルム、
〔2〕 ポリカルボジイミド層の厚さが10〜200μmである前記〔1〕記載の反射防止フィルム、
〔3〕 ポリカルボジイミド層と薄膜層との間に、ポリカルボジイミド層の屈折率との差が±0.05の範囲内にある屈折率を有し、かつ厚さが1〜10μmであるハードコート層がさらに積層されてなる、前記〔1〕又は〔2〕記載の反射防止フィルム、
〔4〕 光のコヒーレント長を超える厚さの基材フィルム上に、屈折率が1.3〜1.5であり、かつ厚さが50〜150nmである薄膜層が積層されてなる可視光域の光の反射防止フィルムであって、該基材フィルムが、以下の一般式(1):
【化4】
Figure 2004233454
(式中、Rはジイソシアネート残基を、Rはモノイソシアネート残基を表し、nは1〜100の整数である)
で表されるポリカルボジイミドの硬化体からなる、反射防止フィルム、
〔5〕 基材フィルムの厚さが10〜200μmである前記〔4〕記載の反射防止フィルム、並びに
〔6〕 基材フィルムと薄膜層との間に、基材フィルムの屈折率との差が±0.05の範囲内にある屈折率を有し、かつ厚さが1〜10μmであるハードコート層がさらに積層されてなる、前記〔4〕又は〔5〕記載の反射防止フィルム、
に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の反射防止フィルムは可視光域の光の反射防止用に使用されるものであり、大きく2つの態様からなる。
【0013】
第1の態様は、基材フィルム上に、前記一般式(1)で表されるポリカルボジイミドの硬化体からなる、光のコヒーレント長を超える厚さのポリカルボジイミド層、並びに屈折率が1.3〜1.5であり、かつ厚さが50〜150nmである薄膜層が、順に積層されてなる反射防止フィルムであり、第2の態様は、光のコヒーレント長を超える厚さの基材フィルム上に、屈折率が1.3〜1.5であり、かつ厚さが50〜150nmである薄膜層が積層されてなる反射防止フィルムであって、該基材フィルムが、前記一般式(1)で表されるポリカルボジイミドの硬化体からなる、反射防止フィルムである。
【0014】
第1の態様の反射防止フィルムは、従来の合成樹脂材料からなる基材フィルム上に、前記一般式(1)で表わされるポリカルボジイミドの硬化体からなるポリカルボジイミド層が積層されてなることを大きな特徴の1つとする。該ポリカルボジイミドの硬化体は高透明性を有し、かつ高屈折率を有し、しかも該樹脂は、通常の合成樹脂と同様、光のコヒーレント長を超える厚さに塗工しても、硬化後、フィルムのカール等の発生がない。従って、ポリカルボジイミドを用いれば、光の干渉の発生がない高屈折率な層(ポリカルボジイミド層)を基材フィルム上に問題なく形成できるので、ポリカルボジイミド層の上に少なくとも1層の低屈折率薄膜層を形成するだけで、色ムラのない、充分に光の反射率の低い反射防止フィルムが得られる。
【0015】
一方、第2の態様の反射防止フィルムは、基材フィルム自体が前記一般式(1)で表わされるポリカルボジイミドの硬化体から形成されていることを大きな1つの特徴とする。ポリカルボジイミドの硬化体は、従来用いられている合成樹脂材料と同様の物性をも有しており、基材フィルムとして使用可能であるため、従来の合成樹脂材料を用いずとも充分に優れた反射防止フィルムが得られる。本態様の反射防止フィルムでは、第1の態様のものと異なり、基材フィルムとポリカルボジイミド層との界面が存在しないので、基材フィルムとポリカルボジイミド層との屈折率差に起因する界面反射が全くない。また、構造が単純であり、経済性にも優れる。それゆえ、本発明の反射防止フィルムとしては、より好ましい態様である。
【0016】
本発明の反射防止フィルムを構成するポリカルボジイミドの硬化体は、適度な耐擦傷性を有する。また、該フィルムは、通常、塗布法により作製される。従って、本発明の反射防止フィルムは、ディスプレイ表面の耐擦傷性に優れ、経済性にも優れる。
【0017】
本発明の第1の態様において用いられる基材フィルムとしては、光学的透明性を有し、可撓性のあるものであれば問題なく使用することができる。具体的な材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン等が挙げられる。基材フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、用途や作業性を考慮して5〜500μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは50〜100μmの範囲内である。また、屈折率としては、通常、1.47〜1.67である。
【0018】
基材フィルムをポリカルボジイミドを用いて形成する第2の態様の場合は、例えば、以下のようにして行う。すなわち、後述するようにしてポリカルボジイミドの溶液を得、当該溶液を公知の方法、例えば、キャスティング、スピンコート、ロールコーティングなどにより、適当な厚さに製膜する。製膜された膜(フィルム)は、通常、溶媒の除去に必要な温度で乾燥する。即ち、硬化反応を進行させず、乾燥させるよう、好ましくは20〜350℃、より好ましくは50〜200℃に温度設定して乾燥する。乾燥時間としては、1〜5分間程度が好適である。得られたフィルムを、さらに、例えば、後述するような熱硬化の条件の下で熱硬化する。
【0019】
なお、ここで得られる熱硬化前のフィルムは、第1の態様の反射防止フィルムにおけるポリカルボジイミド層の形成に使用することもできる。すなわち、基材フィルム上に、ここで得られる熱硬化前のフィルムを適宜接着して、ポリカルボジイミド層を形成することもできる。
【0020】
ポリカルボジイミドの硬化体からなる基材フィルムの厚さとしては、本発明の所望の効果の発現の観点から、光のコヒーレント長を超え、リップルによる色ムラの発生を効果的に防止する観点から、好ましくは10〜200μmであり、より好ましくは20〜50μmである。また、屈折率としては、1.70以上であるのが好ましく、1.70〜1.85であるのがより好ましい。
【0021】
本発明のポリカルボジイミド層或いは基材フィルムを構成するポリカルボジイミドは、1種若しくは2種以上のジイソシアネートを縮合反応させ、モノイソシアネートで末端封鎖することにより得られる。
【0022】
前記一般式(1)中、Rは、原料として用いられるジイソシアネートの残基を、Rは、同様に原料として用いられるモノイソシアネートの残基を表す。また、nは1〜100の整数である。
【0023】
原料であるジイソシアネート及びモノイソシアネートは芳香族系又は脂肪族系のいずれであってもよく、それぞれ芳香族系又は脂肪族系のものを単独で若しくは両者を共に用いることができる。ポリカルボジイミド層の屈折率をより高くする観点から、芳香族系のものが好適に使用される。即ち、ジイソシアネート及びモノイソシアネートの少なくとも一方が芳香族系のものを含むか若しくは芳香族系であるか、又はいずれも芳香族系のものであるのが好ましい。中でも、ジイソシアネートが脂肪族系及び芳香族系のものであり、かつモノイソシアネートが芳香族系のものであるのがより好ましく、ジイソシアネート及びモノイソシアネートのいずれもが芳香族系のものであるのが特に好ましい。
【0024】
本発明において用いられるジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,2−ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]プロパンなどが挙げられる。
【0025】
中でも、高屈折率の発現とその制御の容易性の観点から、ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及びナフタレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種が好適に使用され、ナフタレンジイソシアネートがより好適に使用される。
【0026】
これらのジイソシアネートは単独で若しくは2種以上を混合して用いることができる。
【0027】
原料であるジイソシアネートとしては、用いられる全ジイソシアネート中、芳香族ジイソシアネートが、好ましくは10モル%以上(上限は100モル%)含まれるものが好適である。当該ジイソシアネートとしては、前記好適なものを用いるのが望ましい。
【0028】
本発明において用いられるモノイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p−ニトロフェニルイソシアネート、p−及びm−トリルイソシアネート、p−ホルミルフェニルイソシアネート、p−イソプロピルフェニルイソシアネート、1−ナフチルイソシアネートなどが挙げられる。
【0029】
モノイソシアネートとしては、モノイソシアネート同士間での反応が生じず、かつ効率よくポリカルボジイミドの末端封鎖が進行するという観点から、芳香族モノイソシアネートが好適に使用され、1−ナフチルイソシアネートがより好適に使用される。
【0030】
これらのモノイソシアネートは単独で若しくは2種以上を混合して用いることができる。
【0031】
末端封鎖に使用されるモノイソシアネートは、使用するジイソシアネート成分100モルに対して1〜10モルの範囲で用いるのが好ましい。ジイソシアネート成分100モルに対してモノイソシアネート成分を1モル以上で用いると、得られるポリカルボジイミドの分子量が大きくなりすぎたり架橋反応が生ずることがないため、例えば、ポリカルボジイミド溶液の粘度の上昇ないし当該溶液の固化が生じたり、当該溶液の保存安定性の低下が生ずることがないので好ましい。また、ジイソシアネート成分100モルに対してモノイソシアネート成分を10モル以下で用いると、ポリカルボジイミド溶液の粘度が適度であり、例えば、当該溶液の塗布乾燥によるフィルム成型において良好な成膜を行うことができるので好ましい。モノイソシアネートをジイソシアネート成分に対し前記範囲で用いて末端封鎖したポリカルボジイミドの溶液は、特に保存安定性に優れる。
【0032】
本発明のポリカルボジイミドの製造は、所定の溶媒中、カルボジイミド化触媒の存在下、原料としてのジイソシアネートを縮合反応によりカルボジイミド化させ、モノイソシアネートにより末端封鎖することにより行う。
【0033】
ジイソシアネートの縮合反応の反応温度としては、通常、0〜150℃であり、好ましくは10〜120℃である。
【0034】
原料のジイソシアネートに脂肪族ジイソシアネートと芳香族ジイソシアネートとを併用する場合は低温で反応させるのが好ましい。反応温度としては、0〜50℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。反応温度がかかる範囲内であれば、脂肪族ジイソシアネートと芳香族ジイソシアネートとの縮合反応が充分に進行するので好ましい。
【0035】
脂肪族ジイソシアネートと芳香族ジイソシアネートとからなるポリカルボジイミドに対し、反応溶液中に過剰に存在する芳香族ジイソシアネートを、さらに反応させることを所望する場合、反応温度は40〜150℃が好ましく、50〜120℃がより好ましい。反応温度がかかる範囲内であれば、任意の溶媒を用いて反応を円滑に進行させることができるので好ましい。
【0036】
反応溶液中のジイソシアネート濃度は5〜80重量%であるのが好適である。ジイソシアネート濃度がかかる範囲内にあれば、カルボジイミド化が充分に進行し、また、反応の制御が容易であるので好ましい。
【0037】
モノイソシアネートによる末端封鎖は、ジイソシアネートのカルボジイミド化の初期、中期、末期又は全般にわたり、モノイソシアネートを反応溶液中に加えることにより行うことができる。当該モノイソシアネートとしては芳香族モノイソシアネートが好ましい。
【0038】
カルボジイミド化触媒としては、公知のリン系触媒がいずれも好適に用いられる。例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、或いはこれらの3−ホスホレン異性体などのホスホレンオキシドが挙げられる。
【0039】
ポリカルボジイミドの製造に用いられる溶媒(有機溶媒)としては、公知のものが使用される。具体的には、テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独で若しくは2種以上を混合して用いることができる。また、これらの溶媒は、得られたポリカルボジイミドを溶解する場合にも用いられる。
【0040】
なお、反応の終点は、赤外分光分析(IR測定)によるカルボジイミド構造(N=C=N)由来の吸収(2140cm−1)の観測及びイソシアネート由来の吸収(2280cm−1)の消失により確認することができる。
【0041】
カルボジイミド化反応の終了後、通常、ポリカルボジイミドは溶液として得られるが、さらにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサンなどの貧溶媒に得られた溶液を投入し、ポリカルボジイミドを沈澱として析出させ、未反応のモノマーや触媒を取り除いてもよい。
【0042】
また、一旦、沈澱として回収されたポリカルボジイミドの溶液を調製するには、当該沈澱を所定の操作により洗浄し、乾燥を行い、再度有機溶媒に溶解する。このような操作を行うことにより、ポリカルボジイミド溶液の保存安定性を向上させることができる。
【0043】
さらに、ポリカルボジイミド溶液中に副生成物が含まれる場合には、例えば、適当な吸着剤を用い、副生成物を吸着除去して、精製してもよい。吸着剤としては、例えば、アルミナゲル、シリカゲル、活性炭、ゼオライト、活性酸化マグネシウム、活性ボーキサイト、フラースアース、活性白土、分子ふるいカーボンなどが挙げられ、それらの吸着剤は単独で若しくは2種以上を併用することができる。
【0044】
以上より、本発明のポリカルボジイミドが得られる。当該ポリカルボジイミドとしては、ポリカルボジイミド層或いはポリカルボジイミドの硬化体からなる基材フィルムの屈折率をより高くする観点から、主鎖構造が芳香族及び脂肪族ジイソシアネートから構成され、かつ末端封鎖が芳香族モノイソシアネートよりなるものが好適であり、主鎖構造が芳香族ジイソシアネートから構成され、かつ末端封鎖が芳香族モノイソシアネートよりなるものがさらに好適である。
【0045】
具体的には、ポリカルボジイミドとしては、前記一般式(1)のRで表されるジイソシアネート残基中、10モル%以上(上限は100モル%)が芳香族ジイソシアネート残基であるものが好ましく、前記一般式(1)のRで表されるモノイソシアネート残基が芳香族モノイソシアネート残基であるものが好ましい。また、該芳香族ジイソシアネート残基としては、トリレンジイソシアネート残基、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート残基及びナフタレンジイソシアネート残基からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ナフタレンジイソシアネート残基がより好ましく、該芳香族モノイソシアネート残基としては、1−ナフチルイソシアネート残基が好ましい。
【0046】
本発明の第1の態様におけるポリカルボジイミド層は、前記ポリカルボジイミドを、後述するようにして基材フィルム上に塗工し、熱硬化することにより得られる。当該ポリカルボジイミド層の屈折率としては1.70以上であるのが好ましく、1.70〜1.85であるのがより好ましい。ポリカルボジイミド層の屈折率は、当該層を構成するポリカルボジイミドの成分、その種類、量等を適宜選定することにより、所望の値に調整することができる。
【0047】
ポリカルボジイミド層は、例えば、ディッピングコート法、グラビアコート法、バーコート法、キスコート法、リバースコート法、ドクターブレード法等により、基材フィルム上にポリカルボジイミドの溶液を塗工し、熱硬化させて形成する。熱硬化の条件としては、好ましくは100〜250℃で10分〜2時間、より好ましくは100〜200℃で30分〜1時間30分間加熱するという条件が挙げられる。
【0048】
ポリカルボジイミド層の厚さとしては、本発明の所望の効果の発現の観点から、光のコヒーレント長を超え、リップルによる色ムラの発生を効果的に防止する観点から、好ましくは10〜200μmであり、より好ましくは20〜50μmである。かかる範囲内であれば、光の干渉が生じず、リップルの発生がなく色ムラが見られず、経済性、塗工性も良好である。
【0049】
本発明のポリカルボジイミド層の膜厚の均一性は、より高い方が好ましいが、多少、均一性が悪くなっても、すでに光のコヒーレント長を超えているため、色ムラの原因にはならない。
【0050】
本発明の薄膜層を構成する材料としては、屈折率1.3〜1.5、好ましくは1.35〜1.45の層を形成しうる材料であれば特に限定されるものではないが、光学的透明性を有し、より低屈折率で、ある程度機械的強度を持ち合わせている材料であるのが好ましい。また、薄膜層の厚さとしては50〜150nm、好ましくは70〜120nmの範囲である。
【0051】
具体的な材料としては、例えば、トリアセチルセルロースの如きアセテート系樹脂やポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。また、紫外線硬化型のアクリル系樹脂等の樹脂系材料、樹脂中にコロイダルシリカ等の無機微粒子を分散させたハイブリッド系材料、テトラエトキシシランやメチルトリメトキシシラン等の金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル系材料等が挙げられる。それぞれの材料は、表面の防汚染性付与としてフッ素基含有成分を含んだものであってもよい。中でも、無機成分含有量が多いものの方が耐擦傷性に優れる傾向にあるため、耐擦傷性の向上の面からはゾル−ゲル系材料が好ましい。
【0052】
薄膜層は、前記のような材料を使用し、公知の方法に従って、ポリカルボジイミド層或いはポリカルボジイミドの硬化体からなる基材フィルム上に形成することができる。
【0053】
例えば、ゾル−ゲル系材料を用いて薄膜層を形成する場合、上記金属アルコキシド溶液を準備し、この金属アルコキシド溶液を加水分解させた後縮合させて、ゾル溶液(ゾル−ゲル系材料)を調製する。塗工溶液の組成は、通常、ゾル−ゲル系材料5〜50質量部を、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール溶媒で希釈して固形分で0.5〜3質量%とする。次いで、このゾル溶液を、ディッピングコート法、グラビアコート法、バーコート法、キスコート法、リバースコート法、ドクターブレード法等の適宜な方式でポリカルボジイミド層或いはポリカルボジイミドの硬化体からなる基材フィルム上に塗工して塗膜を形成する。次いで、塗膜を、通常、60〜120℃で1〜10分間加熱し、金属アルコキシド加水分解物の重縮合体から構成される薄膜層をポリカルボジイミド層或いはポリカルボジイミドの硬化体からなる基材フィルム上に形成させる。
【0054】
また、薄膜層は、上記有機材料の他、SiOやMgFのような低屈折率の無機材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などによりポリカルボジイミド層或いはポリカルボジイミドの硬化体からなる基材フィルム上に成膜することにより、形成してもよい。さらに、薄膜層上には、例えば、特開平9−255919号公報に開示されているように、フッ素を含むアルコキシシラン化合物を塗布することにより、光学的に無視できる10nm程度以下の厚さの防汚染層を形成しても良い。
【0055】
本発明の反射防止フィルムの耐擦傷性を向上させる観点からは、ポリカルボジイミド層或いはポリカルボジイミドの硬化体からなる基材フィルムと薄膜層との間に、ハードコート層がさらに積層されているのが好ましい。
【0056】
ハードコート層の屈折率としては、ハードコート層における光の干渉を抑制する観点から、ポリカルボジイミド層或いはポリカルボジイミドの硬化体からなる基材フィルムの屈折率と可能な限り近い値であるのが好ましい。具体的には、ポリカルボジイミド層或いはポリカルボジイミドの硬化体からなる基材フィルムとハードコート層との屈折率の差は、±0.05、好ましくは±0.02、より好ましくは±0.01の範囲内である。
【0057】
ハードコート層の厚さとしては、充分なハードコート性が発揮できる厚さであればよく、通常、1〜10μmである。かかる範囲内であれば、充分な耐擦傷性が得られ、また、経済性が良好であり、硬化処理後のカール等の発生の問題もない。
【0058】
ハードコート層を構成する材料としては、上記条件を満たし得、好ましくは優れた光学的透明性を有する層を形成しうる材料であれば特に限定されるものではないが、当該材料としては、特に紫外線硬化型樹脂が好ましい。
【0059】
ハードコート層の紫外線硬化型樹脂を用いての形成は、例えば、紫外線硬化型の、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系等のモノマーや、質量平均分子量1000〜5000程度のオリゴマーやポリマーに、ベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル等の紫外線重合開始剤や重合禁止剤等を配合し、配合物を、薄膜層を形成する前のポリカルボジイミド層或いはポリカルボジイミドの硬化体からなる基材フィルムの上に前記各種塗工方式を用いて塗工し、次いで、紫外線照射による硬化処理を行って層を形成させることにより行うことができる。
【0060】
一般的に紫外線硬化型樹脂の硬化体の屈折率は本発明のポリカルボジイミドの硬化体の屈折率より小さい為、紫外線硬化型樹脂の硬化体の屈折率を高める観点から、可視光の波長より充分小さく、可視光域で光散乱が生じない大きさの、高屈折率微粒子を紫外線硬化型樹脂に添加して屈折率を適宜調整するのが好ましい。高屈折率微粒子の平均粒子径としては、好ましくは1〜100nmであり、完全に光散乱を抑制する観点から、1〜50nmがより好ましい。なお、平均粒子径は気体吸着法などにより測定することができる。
【0061】
高屈折率微粒子の材料としては、例えば、TiO、ZrO、ZnO 、Y、SnO、CdO 、PbO 、SiO、Sb、Al、CeO、In、HfOや、InにSnOをドープしたもの、SbOにSbをドープしたものなどの金属酸化物を用いることができる。その他にも、ZnS などの硫化物、セレン化物、テルル化物なども用いることができ、特に制限されるものではない。
【0062】
高屈折率微粒子は単独で若しくは2種以上を混合して用いてもよい。InにSnOをドープしたもの、Sb0にSbをドープしたものの様に導電性を有する微粒子を添加すると、反射防止フィルムの帯電防止効果も得られる場合があり、より好適である。
【0063】
また、本発明においては、ハードコート層と同様に、ポリカルボジイミド層或いはポリカルボジイミドの硬化体からなる基材フィルムに前記高屈折率微粒子を含有させ、屈折率をより高く調整しても良い。すなわち、ポリカルボジイミド層或いはポリカルボジイミドの硬化体からなる基材フィルムに、平均粒子径1〜100nmの高屈折率微粒子を含有させることで、透明性を損なうことなく、さらに屈折率を高く調整することができる。
【0064】
本発明の第1の態様の反射防止フィルムにおいては、例えば、基材フィルムとポリカルボジイミド層との間に、両者の中間の屈折率を有する層を適宜挿入したり、帯電防止効果を考慮して導電層を挿入したり、密着性を改良する為に、適宜、密着層を形成するなどは全く任意に行うことができる。
【0065】
特に、基材フィルムとポリカルボジイミド層との屈折率差が大きい場合、両層間での界面反射を抑制する観点から、基材フィルムとポリカルボジイミド層との間に、両層の中間の屈折率を有する、光の波長の約1/4波長の厚さ、すなわち、80〜120nm程度の厚さの層を挿入するのが好ましい。
【0066】
なお、基材フィルムとポリカルボジイミド層との間に挿入されうる上記各層は、公知の方法に従って塗布法や無機材料の真空蒸着、スパッタリング法などにより適宜形成することができる。また、屈折率を調整するためにハードコート層と同様の微粒子を樹脂に添加したものであってもよい。
【0067】
本発明の反射防止フィルムは、ポリカルボジイミド層或いはポリカルボジイミドの硬化体からなる基材フィルムの上に1層の薄膜層が形成されてなる構成を有する。すなわち、本発明の所望の効果の発現の観点から、本発明において規定する薄膜層が所定の位置に少なくとも1層存在すればよいのであるが、例えば、該薄膜層の上に、公知の方法に従って高屈折率である該薄膜層と同程度の厚さを有する層などをさらに形成し、多層構成としてもよく、特に制限されるものではない。多層構成にした場合、より広い波長範囲での反射率の低減効果が得られるという利点がある。
【0068】
なお、本明細書において屈折率は後述の実施例1に記載の方法に準じて測定することができる。
【0069】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は当該実施例のみに限定されるものではない。
【0070】
なお、以下において、合成反応は全て窒素気流下で行った。IR測定は、FT/IR−230(日本電子製)を用いて行った。
【0071】
製造例1
以下の様にしてポリカルボジイミドの製造を行った。即ち、攪拌装置、滴下漏斗、還流冷却器、温度計を取り付けた500mLの四つ口フラスコにトリレンジイソシアネート(異性体混合物:三井武田ケミカル製T−80)を29.89g(171.6mmol)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを94.48g(377.52mmol)、ナフタレンジイソシアネートを64.92g(308.88mmol)、トルエンを184.59g入れ、混合した。
【0072】
さらに、1−ナフチルイソシアネートを8.71g(51.48mmol)と3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−2−オキシドを0.82g(4.28mmol)添加し、攪拌しながら100℃に昇温し、2時間保持した。
【0073】
反応の進行はIR測定により確認した。具体的にはイソシアネートのN−C−O伸縮振動(2280cm−1)の吸収の減少とカルボジイミドのN=C=N伸縮振動(2140cm−1)の吸収の増加を観測した。IR測定にて反応の終点を確認し、反応液を室温まで冷却することによってポリカルボジイミド溶液を得た。なお、ポリカルボジイミドのジイソシアネート残基の100モル%が芳香族ジイソシアネート残基であった。また、一般式(1)におけるnは15〜77で分布していた。
【0074】
製造例2
以下の様にしてポリカルボジイミドの製造を行った。即ち、攪拌装置、滴下漏斗、還流冷却器、温度計を取り付けた500mLの四つ口フラスコに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを89.01g(355.68mmol)、ナフタレンジイソシアネートを24.92g(118.56mmol)、ヘキサメチレンジイソシアネートを44.87g(266.76mmol)、トルエンを216.56g添加し、混合した。
【0075】
さらに、1−ナフチルイソシアネートを7.52g(44.46mmol)と3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−2−オキシドを0.71g(3.705mmol)添加し、これを25℃で3時間攪拌した後、攪拌しながら100℃に昇温し、2時間保持した。
【0076】
製造例1と同様に、IR測定にて反応の終点を確認し、反応液を室温まで冷却することによってポリカルボジイミド溶液を得た。なお、ポリカルボジイミドのジイソシアネート残基の64モル%が芳香族ジイソシアネート残基であった。また、一般式(1)におけるnは15〜77で分布していた。
【0077】
実施例1
厚さ125μm、屈折率1.65であるポリエチレンテレフタレート(PET) フィルムの片面上に、製造例1で作製したポリカルボジイミド溶液をアプリケータを用いて塗工し、120℃で1時間キュアし、厚さ約24μm、屈折率1.7571であるポリカルボジイミド層を作製した。
【0078】
なお、屈折率は、多波長アッベ屈折率計(ATAGO社製DR−M4)で波長589nmにて25℃で測定した。ポリカルボジイミド層については、ポリカルボジイミド溶液を剥離剤(フッ素化シリコーン)で処理したポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセパレータ(厚さ50μm)〔東レ(株)製〕の上に塗布し、130℃にて1分間加熱した後、150℃で1分間加熱し、セパレータを外してフィルム状サンプル(フィルム厚さ50μm)を得、これを1cm×2cmのサイズに切断し、このフィルム状サンプルを120℃のキュア炉にて1時間硬化させ、得られたフィルムの屈折率を測定した。
【0079】
次いで、ポリカルボジイミド層の上に低屈折率コート材(JSR社製、品名:JN7212、屈折率:1.40)を、乾燥・ 硬化時に平均厚さ約100nmになるようバーコーターにて塗布し、120℃で15分間加熱処理することにより反射防止フィルムを得た。
【0080】
なお、前記塗布液の屈折率は(株) 島津製作所製UV−2400 を用い波長589nmにて25℃で測定することができる。
【0081】
実施例2
実施例1において、PET フィルムの代わりに、厚さ80μm、屈折率1.49であるトリアセチルセルロース(TAC) フィルムを用い、ポリカルボジイミド溶液には製造例2で作製したものを用いた以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。なお、ポリカルボジイミド層の厚さは24μm、屈折率は1.7343であった。
【0082】
実施例3
シリコンアクリル系熱硬化性樹脂(大日本インキ社製、SC81) にアンチモンドープ酸化錫微粒子を添加して塗布液を得、当該塗布液を用いて形成される塗布膜の屈折率が約1.6になるように調整した。該塗布液をバーコーターを用いてTAC フィルムの片面上に塗工し、110℃で5分間加熱し硬化させ、TAC フィルムとポリカルボジイミド層との界面反射を低下させるために厚さ80nmの層を形成した。その後は、実施例2と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0083】
実施例4
製造例1で作製したポリカルボジイミド溶液を剥離剤(フッ素化シリコーン)で処理したPET フィルムからなるセパレータの上に塗布し、乾燥後、120℃で1時間硬化することにより、厚さ50μm、屈折率1.7571であるポリカルボジイミドフィルムを得た。それを、基材フィルムとして用い、当該フィルムの片面上に、固形分約1質量%、屈折率1.39であるフッ素基含有成分を含むアルキルトリメトキシシランよりなる塗布液を、乾燥・ 硬化時に平均厚さ約100nmになるようバーコーターにて塗布し、反射防止フィルムを得た。
【0084】
実施例5
実施例3において、ポリカルボジイミド層を形成した後に、紫外線硬化型アクリル系樹脂にジルコニア超微粒子(平均粒子径30nm)を添加してなる塗布液(JSR 社製、KZ7325、屈折率1.71) をバーコーターにより塗工し、200mJ の紫外線を照射して、厚さ2μmのハードコート層を形成した。次いで、ハードコート層の上に実施例3と同様に、固形分約1質量%、屈折率1.39であるフッ素基含有成分を含むアルキルトリメトキシシランよりなる塗布液を、乾燥・ 硬化時に平均厚さ約100nmになるようバーコーターにて塗布し、反射防止フィルムを得た。
【0085】
比較例1
実施例1において、ポリカルボジイミド層を形成せず、PET フィルム上に直接、固形分約1質量%、屈折率1.39であるフッ素基含有成分を含むアルキルトリメトキシシランよりなる塗布液を、乾燥・ 硬化時に平均厚さ約100nmになるようバーコーターにて塗布し、反射防止フィルムを得た。
【0086】
比較例2
実施例1において、ポリカルボジイミド層の厚さが約2μm(光のコヒーレント長以下) となるようにバーコーターを用いてポリカルボジイミド溶液を塗工した以外は、同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0087】
比較例3
比較例1において、PET フィルムの代わりにTAC フィルムを用いた以外は、同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0088】
比較例4
比較例2において、PET フィルムの代わりにTAC フィルムを用い、ポリカルボジイミド溶液には製造例2で作製したものを用いた以外は、比較例2と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0089】
試験例1
実施例1〜5及び比較例1〜4の反射防止フィルムにおける基材フィルムの各層が積層されていない面を黒塗りし、各反射防止フィルムの反射スペクトルを測定した(大塚電子社製、瞬間マルチ測光システム、MCPD3000) 。その結果を図1〜4に示す。
【0090】
図1に、実施例1、比較例1及び2の反射スペクトルを示す。実施例1の反射防止フィルムは薄膜層が1層形成されているだけの非常に簡潔な構成であるにも関わらず、視感度の強い555nm付近での光の反射率は0.5%以下であり、低反射な反射防止フィルムであった。しかも、リップルの発生はなく、色ムラの発生が非常に少なかった。
【0091】
一方、比較例1の反射防止フィルムも同様に色ムラは少なかったが、反射率については実施例1のものよりも高いものであった。
【0092】
また、比較例2の反射防止フィルムは、反射率の平均値は実施例1のものと同程度であったが、リップルが発生し、厚さ約2μmで塗工したポリカルボジイミド層の膜厚ムラにより、虹色にニュートンリングのような色ムラが発生した。この色ムラは、太陽光のもとで観察するとさほど気にはならなかったが、蛍光灯照明下でははっきりと色ムラとして観察された。
【0093】
図2に、実施例2〜4の、図3に、比較例3及び4の反射スペクトルを示す。実施例2の反射防止フィルムは、基材フィルムとして使用したTAC フィルムの屈折率が1.49と低かったため、1層の薄膜層の形成では、実施例1ほど低反射なものは得られなかったが、最低反射率1%となり、色ムラも発生しなかった。
【0094】
また、実施例3及び実施例4の反射防止フィルムは共に、低反射化が実現され、同様に色ムラは見られなかった。
【0095】
一方、比較例3の反射防止フィルムは、ほとんど薄膜層の効果が得られておらず、反射防止フィルムとしての特性に乏しいものであった。また、比較例4の反射防止フィルムは、TAC フィルムとポリカルボジイミド層との屈折率差による非常に大きなリップルが発生し、著しい色ムラが発生した。
【0096】
図4に、実施例5の反射スペクトルを示す。実施例5の反射防止フィルムには僅かにリップルの発生が見られるが、フィルム自体に色ムラは見られず、反射防止フィルムとしての光学特性を損なうことなく、優れたディスプレイ表面の耐擦傷性を付与することができた。
【0097】
【発明の効果】
本発明により、通常の樹脂材料に比べ、高い屈折率を有するポリカルボジイミドからなる、可視光域で光の干渉が起こらない、光のコヒーレント長を超える厚さの層を有してなる反射防止フィルムが提供される。かかる反射防止フィルムは、従来のものに比べ、より低反射率であり、しかも光の干渉に起因した色ムラがなく、安価であり、高い表示品位に加えて、写り込みのない視認性に優れたディスプレイの形成に好適な反射防止フィルムである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1、比較例1及び2の各反射防止フィルムの反射スペクトルである。
【図2】図2は、実施例2〜4の各反射防止フィルムの反射スペクトルである。
【図3】図3は、比較例3及び4の各反射防止フィルムの反射スペクトルである。
【図4】図4は、実施例5の反射防止フィルムの反射スペクトルである。

Claims (6)

  1. 可視光域の光の反射防止フィルムであって、基材フィルム上に、以下の一般式(1):
    Figure 2004233454
    (式中、Rはジイソシアネート残基を、Rはモノイソシアネート残基を表し、nは1〜100の整数である)
    で表されるポリカルボジイミドの硬化体からなる、光のコヒーレント長を超える厚さのポリカルボジイミド層、並びに屈折率が1.3〜1.5であり、かつ厚さが50〜150nmである薄膜層が、順に積層されてなる反射防止フィルム。
  2. ポリカルボジイミド層の厚さが10〜200μmである請求項1記載の反射防止フィルム。
  3. ポリカルボジイミド層と薄膜層との間に、ポリカルボジイミド層の屈折率との差が±0.05の範囲内にある屈折率を有し、かつ厚さが1〜10μmであるハードコート層がさらに積層されてなる、請求項1又は2記載の反射防止フィルム。
  4. 光のコヒーレント長を超える厚さの基材フィルム上に、屈折率が1.3〜1.5であり、かつ厚さが50〜150nmである薄膜層が積層されてなる可視光域の光の反射防止フィルムであって、該基材フィルムが、以下の一般式(1):
    Figure 2004233454
    (式中、Rはジイソシアネート残基を、Rはモノイソシアネート残基を表し、nは1〜100の整数である)
    で表されるポリカルボジイミドの硬化体からなる、反射防止フィルム。
  5. 基材フィルムの厚さが10〜200μmである請求項4記載の反射防止フィルム。
  6. 基材フィルムと薄膜層との間に、基材フィルムの屈折率との差が±0.05の範囲内にある屈折率を有し、かつ厚さが1〜10μmであるハードコート層がさらに積層されてなる、請求項4又は5記載の反射防止フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006043486A1 (ja) * 2004-10-20 2006-04-27 Nof Corporation 減反射積層フィルム及びそれを用いた表示装置
WO2007066718A1 (ja) * 2005-12-08 2007-06-14 Fujifilm Corporation 積層フィルム及びその製造方法、並びに積層フィルムを用いた光学シート及び表示装置

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