JP2004233945A - 光学装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光学装置1Aは、透明な第1液体を保有する第1液体保有部2と、第1液体と屈折率が異なる透明な第2液体を保有する第2液体保有部3とを有するレンズ部を備えている。ここで、第1調整部50および第2調整部55によって第1液体保有部2内の第1液体と第2液体保有部3内の第2液体との液量を変化させることにより、環状の支持部に支持された透明な弾性膜42が形状Ja、Jb、Jcに変形する。この場合、第1液体と第2液体とは密度が同等であるため、重力の影響が排除されて弾性膜42は略球面を保持しつつ変形する。その結果、いかなる姿勢でも回転対称性を維持しつつレンズ部の屈折面を変形でき、このレンズ部の製造を比較的容易に行える。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ部を有する光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学装置においては、レンズ部分の厚みを変化させて焦点距離(光学特性)を変更するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1では、可撓性を有する透明板状対象物の間に透明な流動体を充填し、アクチュエータにより透明板状対象物を変形させることにより、焦点距離を変化させる技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、導電性液体の中に置かれた絶縁性液滴をelectrowetting現象を利用して電界制御(電圧制御)で変形させる技術が開示されている。この絶縁性液滴の変形により、焦点距離が変化することとなる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−249813号公報
【0006】
【特許文献1】
特表2001−519539号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の技術では、透明板状対象物の曲げ剛性が小さい場合には、鉛直方向に対してレンズ部分の姿勢を変更すると、重力の影響で充填された流動体とともに透明板状対象物の形状が変化するため、常に屈折面が回転対称性を有することは難しく、安定した結像性能(光学性能)を維持するのが困難である。一方、透明板状対象物の曲げ剛性が大きい場合には、重力の影響は小さくなるが、屈折面の回転対称性を維持しつつ変形できるような曲げ剛性分布を持つ透明板状対象物の製造は困難で量産が難しい。
【0008】
また、特許文献2の技術では、レンズ部分を水平姿勢から傾けるなど、絶縁性液滴に対して作用する外力を変化させると絶縁性液滴の表面形状が容易に変化するため、常に屈折面が回転対称性を有することは難しく、安定した結像性能を維持するのが困難である。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、いかなる姿勢でも回転対称性を維持しつつレンズ部の屈折面を変形でき、このレンズ部の製造を比較的容易に行える光学装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、光学装置であって、(a)それぞれ透光性を有し密度が同等で屈折率の異なる第1液体および第2液体を、境界部で分離して保有するレンズ部と、(b)前記レンズ部における前記第1液体と前記第2液体との比率を変更する変更手段とを備え、前記境界部は、前記第1液体と前記第2液体とに挟まれるとともに前記レンズ部に係る光軸を中心とした環状の支持部に支持される透光性の弾性膜を有し、前記変更手段による前記第1液体と前記第2液体との比率の変更に応じて、前記透光性の弾性膜が変形する。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る光学装置において、前記透光性の弾性膜は、膜厚が均一である。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明に係る光学装置において、前記透光性の弾性膜は、前記光軸からの距離に応じて膜厚が変化する。
【0013】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
<光学装置の要部構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学装置1Aの正面図である。また、図2は、図1のII−II位置から見た縦断面図である。なお、図1以降では、方向関係を明確にするため、Y軸方向を鉛直方向とし、XZ平面を水平面とするXYZ直交座標系を必要に応じて付している。
【0014】
光学装置1Aは、所定の体積(容積)を有するレンズ部Daと、液量変更部Dbとを備えている。
【0015】
レンズ部Daは、非圧縮性流体の第1液体Laを保有する第1液体保有部2と、非圧縮性流体の第2液体Lbを保有する第2液体保有部3と、第1液体Laおよび第2液体Lbを光軸Hの方向に分離して隔てる境界部4とを備えている。
【0016】
液量変更部Dbは、レンズ部Daに対して第1液体Laの注入・抽出と第2液体Lbの抽出・注入とを行うことによりレンズ部Daにおける第1液体Laと第2液体Lbとの液量比率を変更する変更手段として機能し、第1液体保有部2内の第1液体Laの液量を調整する第1調整部50と、第2液体保有部3内の第2液体Lbの液量を調整する第2調整部55とを備えている。
【0017】
上記の第1液体Laおよび第2液体Lbは、それぞれ透光性を有する透明な液体で同等の密度を有するが、屈折率が異なっている。例えば、第1液体Laとして無色透明なシリコーンオイル(密度1.06、屈折率1.49)を使用し、第2液体Lbとして無色透明な食塩水(密度1.06、屈折率1.35)を使用する。この食塩水については、水と異なる他の物質である食塩を液体の水に溶解させることにより、シリコーンオイルの密度と等しくなるように調整されている。
【0018】
第1液体保有部2は、光軸Hを中心軸とした円筒形状のフレーム部10と、フレーム部10の端部に接続する透明板21と、境界部4とで囲まれる部位である。
【0019】
透明板21は、例えばガラス素材で形成されており、光軸Hを中心とした円板形状を有している。
【0020】
第2液体保有部3は、フレーム部10と、フレーム部10の端部に接続する透明板31と、境界部4とで囲まれる部位である。
【0021】
透明板31は、例えばガラス素材で形成されており、透明板21に平行で光軸Hを中心とした円板形状を有している。
【0022】
以上のような構成の第1液体保有部2および第2液体保有部3においては、気密性が高く密閉して第1液体Laおよび第2液体Lbを保持できる。なお、第1液体保有部2および第2液体保有部3では、空気などの気体を混入させずに第1液体Laおよび第2液体Lbを充填するようにする。
【0023】
境界部4は、透明板21、31に平行で光軸Hを中心軸としたドーナツ状の仕切板41と、第1液体Laと第2液体Lbとに挟まれる弾性膜42とを有している。
【0024】
仕切板41は、フレーム部10の中央内壁に接続し、光軸Hを中心とした真円形の孔43が形成されている。ここで、仕切板41の端部44は、弾性膜42を支持する環状の支持部として機能する。
【0025】
弾性膜42は、仕切板41の孔43を覆うように円形の端部44に張設され、例えばゴムなど伸縮自在で可撓性を有し容易に破れない素材で形成されている。また、弾性膜42は、透光性を有し、全面にわたって縦弾性係数(伸長弾性率)が一様な分布となるように、膜厚が均一となっている。なお、弾性膜42は、第1液体Laや第2液体Lbと同等の密度を有するのが好ましい。
【0026】
第1調整部50は、フレーム部10とシリンダー52とを連通するための配管51と、ピストン53と、ピストン53に連結するアクチュエータ54とを有している。
【0027】
ピストン53は、例えばモータが内蔵されるアクチュエータ54により、シリンダー52の内壁に沿ってY軸方向に移動可能な構成となっている。すなわち、アクチュエータ54を駆動することで、ピストン53により第1液体Laがシリンダ52から押出され、また吸引されるため、第1液体保有部2における第1液体Laの液量を調整できることとなる。
【0028】
第2調整部55は、第1調整部50と同様に、フレーム部10とシリンダー57とを連通するための配管56と、ピストン58と、ピストン58に連結するアクチュエータ59とを有している。
【0029】
第1調整部50と同様に、アクチュエータ59を駆動することで、ピストン58により第2液体Lbがシリンダ57から押出され、また吸引されるため、第2液体保有部3における第2液体Lbの液量を調整できることとなる。なお、第1調整部50および第2調整部55により第1液体保有部2内の第1液体Laおよび第2液体保有部3内の第2液体Lbの液量が変化する場合にも、変形するのは柔軟な弾性膜42のみで、透明板21、31やフレーム部10などの他の部材は変形しないように剛性の高いものを使用する。
【0030】
なお、アクチュエータ54、59は、圧力制御が可能となっており、常に大気圧以上で第1液体Laと第2液体Lbとを加圧するのが好ましい。具体的には、例えばアクチュエータ54でピストン53の位置を固定し、アクチュエータ59により加圧することで第1液体Laと第2液体Lbとに一定の圧力を与える。これにより、弾性膜42に対する外力の影響を低減できるとともに、弾性膜42の形状形成における第1液体Laおよび第2液体Lbの影響が大きくなるため、弾性膜42の形状をより球面に近づけることできる。弾性膜42の形状を球面に近づける他の手法としては、弾性膜42に対する第1液体Laおよび/または第2液体Lbの界面張力を増大させるような弾性膜42の素材を選定したり、表面処理(コーテイング)を施す方法が挙げられる。
【0031】
一般的にレンズで適切に結像させるためには、少なくともレンズ表面(屈折面)が光軸対称回転面、例えば二次曲面である球面、楕円面や放物面になることが必要である。本実施形態の光学装置1Aでは、弾性膜42が回転対称面である球面を保持しつつ、その曲率を変更できるようになっているが、この原理について図2を参照しつつ以下で説明する。
【0032】
<弾性膜42が回転対称面を保持する原理>
Y軸方向を鉛直方向と考え、孔43における仕切板41の延長面(波線部)SEと、突出する弾性膜42とで囲まれる凸部PLについて考察する。
【0033】
この凸部PL内の第1液体Laにおける重心Goでは、重力により力F1が作用する。一方、凸部PLには、その体積に相当する第2液体Lbの質量と等しい浮力F2が働く。ここで、第1液体Laと第2液体Lbとの密度が同等であるため、重力F1と浮力F2とは大きさの等しい逆向きの力として釣り合うこととなる。よって、凸部PL内の第1液体Laについては、重力の影響が実質的に排除される。
【0034】
また、弾性膜42は凸部PL内の第1液体Laの液量に応じて伸縮するが、弾性膜42は、そのひずみエネルギーが最小となる形状を保とうとする。すなわち、上述のように凸部PL内の第1液体Laに対する重力の影響がない場合には、膜厚が均一であって環状の支持部44で支持される弾性膜42は、略球面の形状を有することとなる。したがって、弾性膜42は、凸部PL内の第1液体Laの液量が変化しても略球面を維持して変形する。これにより、後述する焦点変更動作においても結像を精度良く行えることとなる。
【0035】
なお、以上の説明ではY軸方向を鉛直方向と考えたが、Y軸以外に鉛直方向を設定、つまりレンズ部Daの姿勢を変更してもレンズ部Daに対する重力F1および浮力F2の向きが変わるだけで重力F1と浮力F2との釣り合いは保たれるため、弾性膜42は略球面を維持して変形することとなる。
【0036】
<光学装置1Aの焦点変更動作>
図3は、光学装置1Aの焦点変更動作を説明するための図である。
【0037】
図3(b)に示すような形状Jbを有する弾性膜42の状態から、アクチュエータ54を駆動させてピストン53を方向Md1に移動させるとともに、アクチュエータ59を駆動させてピストン58を方向Mu2に移動させる。ただし、この動作おいては第1液体保有部2から注出される第1液体Laの液量と、第2液体保有部3に注入される第2液体Lbの液量とを等しくする。これにより、弾性膜42は、上述したように略球面を保持しつつ、図3(a)に示すような形状Jaに変形することとなる。
【0038】
一方、図3(b)に示すような形状Jbを有する弾性膜42の状態から、アクチュエータ54を駆動させてピストン53を方向Mu1に移動させるとともに、アクチュエータ59を駆動させてピストン58を方向Md2に移動させる。この動作においても、第1液体保有部2に注入される第1液体Laの液量と、第2液体保有部2から注出される第2液体Lbの液量とを等しくする。これにより、弾性膜42は、上述したように略球面を保持しつつ、図3(c)に示すような形状Jcに変形することとなる。
【0039】
以上のように、第1液体保有部2内の第1液体Laと第2液体保有部3内の第2液体Lbとの合計液量(レンズ部Da内の合計液量)を維持しつつ、第1液体保有部2内の第1液体Laの液量を調整することにより、弾性膜42の曲率つまり第1液体Laの表面(屈折面)の曲率は、形状Ja、形状Jb、形状Jcの順に大きくなる。これにより、光軸Hに沿って光学装置1Aに入射する光線Hpは、形状Ja、形状Jb、形状Jcの順に、焦点までの距離が短くなる。すなわち、焦点距離を連続的に変更できることとなる。この場合、第1液体Laおよび第2液体Lbについては、その屈折率の差が大きいほど焦点距離が短くなるため、屈折率の差が大きい液体を選定するのが好ましい。
【0040】
以上の光学装置1Aの動作により、密度が同等で屈折率の異なる第1液体Laと第2液体Lbとに挟まれ、環状の支持部で支持されるレンズ部の弾性膜42が変形するため、いかなる姿勢でも回転対称性を維持しつつレンズ部の屈折面を変形できるとともに、このレンズ部の製造を比較的容易に行える。
【0041】
<第2実施形態>
<光学装置の要部構成>
図4は、本発明の第2実施形態に係る光学装置1Bの正面図である。また、図5は、図4のV−V位置から見た縦断面図である。
【0042】
光学装置1Bは、所定の体積(容積)を有するレンズ部Eaと、液量変更部Ebとを備えている。
【0043】
レンズ部Eaは、非圧縮性流体である第1液体Laを保有する第1液体保有部6と、非圧縮性流体である第2液体Lbを保有する第2液体保有部7(7A、7B)と、第1液体Laおよび第2液体Lbを分離する境界部8(8A、8B)とを備えている。
【0044】
液量変更部Ebは、第1液体保有部6内の第1液体Laの液量を調整する第1調整部90と、第2液体保有部7内の第2液体Lbの液量を調整する第2調整部95(95A、95B)とを備えている。
【0045】
上記の第1液体Laおよび第2液体Lbは、それぞれ透明な液体で同等の密度を有するが、屈折率が異なっている。この第1液体Laおよび第2液体Lbとしては、第1実施形態と同様のシリコーンオイルおよび食塩水を使用する。
【0046】
第1液体保有部6は、光軸Hを中心軸とした円筒形状のフレーム部11と、2つの境界部8A、8Bとで囲まれる部位である。
【0047】
第2液体保有部7(7A、7B)は、フレーム部11と、フレーム部11の各端部に接続する透明板71(71A、71A)と、境界部8A、8Bとで囲まれる部位である。
【0048】
2つの透明板71A、71Bは、それぞれ例えばガラス素材で形成されており、互いに平行で、光軸Hを中心とした円板形状を有している。
【0049】
以上のような第1液体保有部6および第2液体保有部7においては、気密性が高く密閉して第1液体Laおよび第2液体Lbを保持できる。
【0050】
境界部8は、透明板71A、71Bに平行で光軸Hを中心軸としたドーナツ状の仕切板81(81A、81B)と、第1液体Laと第2液体Lbとに挟まれる弾性膜82(82A、82B)とを有している。
【0051】
2つの仕切板81A、81Bは、それぞれフレーム部11の内壁に接続し、光軸Hを中心とした真円形の孔83(83A、83B)が形成されている。ここで、それぞれの仕切板81A、81Bの端部84A、84Bは、弾性膜82A、82Bを支持する環状の支持部として機能する。
【0052】
2つの弾性膜82A、82Bは、それぞれ仕切板81の端部84に張設され、第1実施形態と同様に伸縮自在の素材で形成されている。また、弾性膜82は、透明であり、厚さが均一となっている。
【0053】
第1調整部90は、フレーム部11とシリンダー92とを連通するための配管91と、ピストン93と、ピストン93に連結するアクチュエータ94とを有している。
【0054】
ピストン93は、例えばモータが内蔵されるアクチュエータ94により、シリンダー92の内壁に沿ってY軸方向に移動可能な構成となっている。すなわち、アクチュエータ94を駆動することで、ピストン93により第1液体Laがシリンダ92から押出され、また吸引されるため、第1液体保有部6における第1液体Laの液量を調整できることとなる。
【0055】
第2調整部95は、フレーム部11から突出するポケット(舟形)形状の突出筐体96(96A、96B)と、第2液体保有部7の下部開口を覆うように張設される弾性シート97(97A、97B)とを有している。これらの弾性シート97A、97Bは、弾性膜82より縦弾性係数が大きいゴムで形成されており、面方向に伸縮可能となっている。このような弾性シート97により、弾性膜82が膨らむほど第2液体Lb(第1液体La)の圧力が増加することとなる。
【0056】
以上のような第2調整部95の構成によって、第1調整部90により第1液体保有部6内の第1液体Laの液量が変化するのに応じて、弾性シート97が膨張および収縮するため、第2液体保有部7内の第2液体Lbの液量を受動的に調整できる。なお、第1調整部90により第1液体保有部6内の第1液体Laの液量が変化する場合にも、変形するのは弾性膜82および弾性シート97のみで、透明板71やフレーム部11などの他の部材は変形しないように剛性の高いものを使用する。
【0057】
本実施形態においても、第1液体Laと第2液体Lbとの密度が等しいため、第1実施形態と同様に、弾性膜82は、凸部PLA内および凸部PLB内の第1液体Laの液量が変化しても略球面を維持して変形することとなる。これにより、以下で説明する焦点変更動作において結像を精度良く行える。
【0058】
<光学装置1Bの焦点変更動作>
図6は、光学装置1Bの焦点変更動作を説明するための図である。
【0059】
図6(b)に示すような形状Kbを有する弾性膜82の状態から、アクチュエータ94を駆動させてピストン93を方向Mdに移動させると、第2調整部95の弾性シート97が収縮する。これにより、弾性膜82は、図6(a)に示すような形状Kaに変形するが、略球面は保持されることとなる。
【0060】
一方、図6(b)に示すような形状Kbを有する弾性膜82の状態から、アクチュエータ94を駆動させてピストン93を方向Muに移動させると、第2調整部95の弾性シート97が膨張する。これにより、弾性膜82は、図6(c)に示すような形状Kcに変形するが、略球面は保持されることとなる。
【0061】
以上のように、液量変更部Ebによりレンズ部Eaにおける第1液体Laと第2液体Lbとの比率を変更することで、2つの弾性膜82A、82Bそれぞれの曲率、すなわち第1液体Laの表面(屈折面)の曲率は、形状Ka、形状Kb、形状Kcの順に大きくなる。これにより、光軸Hに沿って光学装置1Bに入射する光線Hpは、形状Ka、形状Kb、形状Kcの順に、焦点までの距離が短くなることとなる。
【0062】
以上の光学装置1Bの動作により、第1実施形態と同様の効果を奏する。さらに、2つの弾性膜82A、82Bが同時に変形するとともにレンズ部Ea内で2回屈折が生じるため、第1実施形態より相対的に焦点距離を短くできる。
【0063】
<変形例>
◎上記の第1実施形態については、アクチュエータを有する光学装置であるのは必須でなく、次で説明するような構成の光学装置1Cでも良い。
【0064】
図7は、本発明の変形例に係る光学装置1Cの要部構成を示す図である。本図は、図2に示す縦断面図に対応している。
【0065】
光学装置1Cは、光学装置1Aと同様の構成を有するレンズ部Daと、光学装置1Aと異なる構成の液量変更部Dcとを備えている。この液量変更部Dcは、第1液体保有部2内の第1液体Laの液量および第2液体保有部3内の第2液体Lbの液量を調整する調整部13を備えている。
【0066】
調整部13は、フレーム部10とシリンダー15とを連通するための2つの配管14a、14bと、ピストン16とを有している。
【0067】
ピストン16は、ヘッド17と、回転操作部18と、ヘッド17と回転操作部18とを連結する連結棒19とを有している。この連結棒19の中央部付近には、ねじが切られており、方向Rtに回動する回転操作部18の操作量に応じて、ヘッド17がシリンダ15の内壁に沿ってZ方向に移動可能な構成となっている。
【0068】
以上のような構成の光学装置1Cにおいては、ユーザが回転操作部18を廻すことで、第1液体保有部2内の第1液体Laの液量と第2液体保有部3内の第2液体Lbの液量とを同時に変更できる。これにより、弾性膜42が膨張・収縮するため、第1実施形態と同様に焦点距離を変更できることとなる。
【0069】
このように簡単な構造の光学装置1Cであれば、安価に製造できるため、焦点距離を可変としたい眼鏡や使い捨てカメラなどへの適用が容易となる。
【0070】
◎上記の各実施形態における弾性膜については、膜厚が均一であるのは必須でなく、図8に示す弾性膜44のように光軸Hからの距離に比例して膜厚が増加、つまり光軸Hからの距離に応じた膜厚を有しても良い。このように光軸Hからの距離に応じて膜厚が変化する弾性膜44では、形状Qのように非球面、例えば放物面などの回転対称面を保持しつつ変形することとなる。なお、弾性膜については、光軸Hから離れるに従い膜厚が減少しても良く、また光軸Hからの距離の関数として定義される膜厚であっても良い。
【0071】
◎上記の実施形態における第1液体および第2液体については、粘性の低い液体に限らず、粘性の高い流動体でも良い。
【0072】
また、第1液体として例えばセダー油(密度0.97程度、屈折率1.52)を使用し、第2液体として例えば純水(密度1、屈折率1.33)を使用するようにしても良い。この場合、各液体の密度は厳密には等しくないが、上述した重力の影響をほぼ排除できるため、弾性膜は略球面を維持できることとなる。なお、液体の密度の相違については、5%以内に抑えるのが好ましい。
【0073】
また、第1液体の屈折率が第2液体の屈折率より大きいのは必須でなく、第1液体の屈折率が第2液体の屈折率より小さくても良い。この場合、レンズ部は収束レンズでなく、発散レンズとして機能することとなる。
【0074】
◎上記の第2実施形態における第2調整部95については、突出筐体96と弾性シート97とで密閉される空間SP(図5)を減圧するようにしても良い。これにより、ピストン93を駆動するのに必要な力が小さくなるため、アクチュエータ94を小型化でき、省電力等に貢献できる。
【0075】
◎本発明における「透光性」については、光が100%近く透過する特性に限らず、光が僅かでも透過する特性であれば良い。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし請求項3の発明によれば、それぞれ透光性を有し密度が同等で屈折率の異なる第1液体と第2液体とに挟まれるとともにレンズ部に係る光軸を中心とした環状の支持部に支持される透光性の弾性膜が、レンズ部における第1液体と第2液体との比率の変更に応じて変形する。その結果、いかなる姿勢でも回転対称性を維持しつつレンズ部の屈折面を変形できるとともに、このレンズ部の製造を比較的容易に行える。
【0077】
特に、請求項2の発明においては、透光性の弾性膜は膜厚が均一であるため、略球面を保持しつつ屈折面を適切に変形できる。
【0078】
また、請求項3の発明においては、透光性の弾性膜は光軸からの距離に応じて膜厚が変化するため、放物面などの回転対称面を保持しつつ屈折面を適切に変形できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光学装置1Aの正面図である。
【図2】図1のII−II位置から見た縦断面図である。
【図3】光学装置1Aの焦点変更動作を説明するための図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る光学装置1Bの正面図である。
【図5】図4のV−V位置から見た縦断面図である。
【図6】光学装置1Bの焦点変更動作を説明するための図である。
【図7】本発明の変形例に係る光学装置1Cの要部構成を示す図である。
【図8】本発明の変形例に係る弾性膜44を説明するための図である。
【符号の説明】
1A,1B,1C 光学装置、2,6 第1液体保有部、3,7,7A,7B第2液体保有部、4,8,8A,8B 境界部、42,44,82,82A,82B 弾性膜、44,84,84A,84B 仕切板の端部(環状の支持部)、50,90 第1調整部、55,95,95A,95B 第2調整部、Da,Ea レンズ部、Db,Dc,Eb 液量変更部、La 第1液体、Lb 第2液体。
Claims (3)
- 光学装置であって、
(a)それぞれ透光性を有し密度が同等で屈折率の異なる第1液体および第2液体を、境界部で分離して保有するレンズ部と、
(b)前記レンズ部における前記第1液体と前記第2液体との比率を変更する変更手段と、
を備え、
前記境界部は、前記第1液体と前記第2液体とに挟まれるとともに前記レンズ部に係る光軸を中心とした環状の支持部に支持される透光性の弾性膜を有し、
前記変更手段による前記第1液体と前記第2液体との比率の変更に応じて、前記透光性の弾性膜が変形することを特徴とする光学装置。 - 請求項1に記載の光学装置において、
前記透光性の弾性膜は、膜厚が均一であることを特徴とする光学装置。 - 請求項1に記載の光学装置において、
前記透光性の弾性膜は、前記光軸からの距離に応じて膜厚が変化することを特徴とする光学装置。
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