JP2004234804A - ディスク装置およびヘッドサスペンションアッセンブリ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐衝撃性に優れているとともに、高精度の記録再生が可能な低コストのディスク装置およびヘッドサスペンションアッセンブリを提供することにある。
【解決手段】ヘッド40は、浮上型のスライダ42と、スライダに設けられ記録媒体に対し情報の記録再生を行うヘッド部44と、を有している。スライダのディスク対向面43の寸法は、0.935(mm)×0.77(mm)以下に形成され、ヘッド荷重をL(mN)、上記記録媒体の最低周速(m/s)をAとした場合、 L ≧ 2.74×A+2.7 に設定されている。
【選択図】 図3
【解決手段】ヘッド40は、浮上型のスライダ42と、スライダに設けられ記録媒体に対し情報の記録再生を行うヘッド部44と、を有している。スライダのディスク対向面43の寸法は、0.935(mm)×0.77(mm)以下に形成され、ヘッド荷重をL(mN)、上記記録媒体の最低周速(m/s)をAとした場合、 L ≧ 2.74×A+2.7 に設定されている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、磁気ディスク装置等のディスク装置およびディスク装置に用いるヘッドサスペンションアッセンブリに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスク装置として、例えば、磁気ディスク装置は、ケース内に配設された磁気ディスクと、磁気ディスクを支持および回転駆動するスピンドルモータと、磁気ディスクに対して情報のリード/ライトを行う磁気ヘッドと、磁気ヘッドを磁気ディスクに対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリと、を備えている。キャリッジアッセンブリは、回動自在に支持されたアームと、アームから延出したサスペンションとを備え、このサスペンションに延出端に磁気ヘッドが支持されている。磁気ヘッドは、サスペンションに取り付けられたスライダ、およびスライダに設けられたヘッド部を有し、ヘッド部は、リード用の再生素子、ライト用の記録素子を含んで構成されている。
【0003】
スライダは、磁気ディスクの記録面と対向した対向面を有している。また、スライダは、サスペンションにより、磁気ディスクの磁気記録層に向う方向に所定のヘッド荷重が印加されている。磁気ディスク装置の動作時、回転する磁気ディスクとスライダとの間には空気流が発生し、スライダの対向面には、空気流体潤滑の原理により、スライダを磁気ディスク記録面から浮上させる力が作用する。そして、この浮上力とヘッド荷重とを釣り合わせることにより、スライダは磁気ディスク記録面と一定の隙間を保って浮上している。
【0004】
スライダの浮上量は、磁気ディスクのどの半径位置においても同程度であることが求められる。磁気ディスクの回転数は一定であり、周速は半径位置に応じて相違している。また、磁気ヘッドは、回転式のキャリッジアッセンブリにより位置決めされるために、スキュー角(流れの方向とスライダの中心線とのなす角)もディスクの半径位置に応じて相違している。そのため、スライダの設計においては、ディスクの半径位置に応じて変化する上記2つのパラメータを適宜利用して、ディスク半径位置による浮上量の変化を抑制する必要がある。
【0005】
使用環境の変化を考慮した場合、ディスク装置は、高地での減圧環境下においても円滑に動作することが求められる。空気流体潤滑によってスライダ対向面に作用する正圧とヘッド荷重との釣り合いのみを考慮して磁気ヘッドを構成した場合、減圧環境下では、空気流体潤滑によって生じる正圧が減少する。そのため、スライダは、浮上量が低下した位置で釣り合うか、磁気ディスク表面に接触してしまう。
【0006】
このような浮上量の低下を防止するため、スライダの対向面中央付近に負圧キャビティを形成したディスク装置が知られている(例えば、特許文献1)。負圧キャビティは、空気流出方向以外の3方向を壁に囲まれた溝によって形成されている。そして、負圧キャビティにより発生した負圧、ヘッド荷重、および正圧の釣り合いにより、スライダが浮上するように構成されている。上記構成によれば、減圧環境下において、発生する正圧は減少するが同時に負圧も減少し、浮上量低下の少ないスライダを実現することができる。
【0007】
このように、スライダ対向面の凹凸形状を工夫することにより、スライダの浮上量、浮上姿勢、減圧低下浮上量を調整することができる。スライダ対向面の凹凸形状は、製造コスト上、単一か2種類の深さの溝で構成されている。
【0008】
一方、近年、スライダの小型化が進んでいる。スライダのサイズは、IDEMA (International Disk Drive Equipment and Materials Association)スタンダードとして標準化されている。サイズの大きい順にミニスライダ(100%スライダ)、マイクロスライダ(70%スライダ)、ナノスライダ(50%スライダ)、ピコスライダ(30%スライダ)、フェムトスライダ(20%スライダ)と命名されている。磁気ヘッドは、薄膜プロセスにより一括製作されるため、スライダのサイズを小さくした方が、同じプロセスで多くの磁気ヘッド収量を実現でき、製造コストの削減となる。また、スライダの小型化は、磁気ディスク表面の凹凸に対する磁気ヘッドの追従性を向上させることができ、更に、ヘッドアクチュエータ先端部の質量が低減し、シーク速度の向上も期待できる。
【0009】
しかし、スライダの小型化に伴いスライダ対向面の面積が減少すると、次のような問題が懸念される。
1)磁気ヘッドの浮上力が減少してヘッド荷重を支えられなくなり、磁気ヘッドがディスク表面に接触してしまう。
2)ヘッド荷重を支えられなくなり、磁気ヘッドの浮上姿勢が崩れる。
【0010】
従来、これらの問題を解決するため、スライダの小型化に応じてヘッド荷重を小さくする方策が採られている。スライダをピコスライダからフェムトスライダに小型化した場合でも、ヘッド荷重を小さくすることが近年の主流となっている。例えば、モバイル機器向けの2.5型ハードディスクドライブでは、フェムトスライダを採用した場合、ヘッド荷重は、19.6mN(2gf)が上限とされている。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−283549号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スライダの小型化に応じてヘッド荷重を小さくすると、ディスク装置に衝撃が印加された際、サスペンションおよびスライダが磁気ディスクから跳ね上がり易くなる。跳ね上がったスライダが元の位置に戻る際、スライダと磁気ディスクとが衝突し、記録データに障害を及ぼす恐れがある。従って、ヘッド荷重の低減は、ディスク装置の耐衝撃性能を劣化させることとなる。
【0013】
また、スライダが小さくなりその質量が小さくなると、耐衝撃性向上に繋がるが、衝撃印加の際に跳ね上がる力は、サスペンションの等価質量によって大きく影響される。そのため、スライダの質量の低減は、実際上、耐衝撃性向上にほとんど寄与しない。このことから、スライダの小型化に応じたヘッド荷重の低減は耐衝撃性を低下させ、ディスク装置の信頼性低下の要因となり得る。
【0014】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、耐衝撃性に優れているとともに、高精度の記録再生が可能な低コストのディスク装置およびヘッドサスペンションアッセンブリを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の態様に係るディスク装置は、ディスク状の記録媒体と、上記記録媒体を支持しているとともに回転駆動する駆動部と、上記記録媒体の表面に対向するディスク対向面を有し、記録媒体の回転によって上記記録媒体表面とディスク対向面との間に生じる空気流により浮上するスライダと、上記スライダに設けられ上記記録媒体に対し情報の記録再生を行うヘッド部と、を有したヘッドと、上記記録媒体に対して上記ヘッドを移動自在に支持しているとともに、上記記録媒体の表面に向かうヘッド荷重を上記ヘッドに印加したヘッドサスペンションと、を備え、
上記スライダのディスク対向面の寸法は、0.935(mm)×0.77(mm)以下に形成され、上記ヘッド荷重をL(mN)、上記記録媒体の最低周速(m/s)をAとした場合、L ≧ 2.74×A+2.7であることを特徴としている。
【0016】
この発明の更に他の態様に係るヘッドサスペンションアッセンブリは、ディスク状の記録媒体と、上記記録媒体を支持しているとともに回転駆動する駆動部と、を備えたディスク装置に用いるヘッドサスペンションアッセンブリにおいて、上記記録媒体の表面に対向するディスク対向面を有し、記録媒体の回転によって上記記録媒体表面とディスク対向面との間に生じる空気流により浮上するスライダと、上記スライダに設けられ上記記録媒体に対し情報の記録再生を行う記録素子と、を有したヘッドと、上記記録媒体に対して上記ヘッドを移動自在に支持しているとともに、上記記録媒体の表面に向かうヘッド荷重を上記ヘッドに印加したヘッドサスペンションと、を備え、
上記スライダのディスク対向面の寸法は、0.935(mm)×0.77(mm)以下に形成され、上記ヘッド荷重をL(mN)、上記記録媒体の最低周速(m/s)をAとした場合、L ≧ 2.74×A+2.7であることを特徴としている。
【0017】
上記のように構成されたディスク装置およびヘッドサスペンションアッセンブリによれば、ディスク対向面の面積が0.935mm×0.77mm以下のスライダを用いた場合でも、ヘッド荷重を小さくするこなく充分なヘッドの浮上量を実現することができる。これにより、ヘッドを小型化し記録密度の向上を図ることができるとともに、ヘッドの耐衝撃性を向上することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、この発明に係るディスク装置をハードディスクドライブ(以下、HDDと称する)に適用した実施の形態について詳細に説明する。図1に示すように、HDDは、上面の開口した矩形箱状のケース12と、複数のねじによりケースにねじ止めされケースの上端開口を閉塞する図示しないトップカバーと、を有している。
【0019】
ケース12内には、記録媒体としての2枚の磁気ディスク16(一方のみ図示する)、磁気ディスクを支持および回転させる駆動部としてのスピンドルモータ18、磁気ディスクに対して情報の書き込み、読み出しを行なう複数の磁気ヘッド、これらの磁気ヘッドを磁気ディスク16に対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリ22、キャリッジアッセンブリを回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMと称する)24、磁気ヘッドが磁気ディスクの最外周に移動した際、磁気ヘッドを磁気ディスクから離間した退避位置に保持するランプロード機構25、およびヘッドIC等を有する基板ユニット21等が収納されている。
【0020】
また、ケース12の底壁外面には、基板ユニット21を介してスピンドルモータ18、VCM24、および磁気ヘッドの動作を制御する図示しないプリント回路基板がねじ止めされている。
【0021】
各磁気ディスク16は、上面および下面に磁気記録層を有している。そして、2枚の磁気ディスク16は、スピンドルモータ18の図示しないハブの外周に嵌合されているとともに、クランプばね17によってハブ上に固定支持されている。これにより、2枚の磁気ディスク16は所定の隙間を置いて互いに同軸的に積層配置されている。そして、スピンドルモータ18を駆動することにより、2枚の磁気ディスク16は一体的に所定の速度、例えば、4200rpmで矢印B方向に回転される。
【0022】
キャリッジアッセンブリ22は、ケース12の底壁上に固定された軸受部26と、軸受部から延出した複数のアーム32と、を備えている。これらのアーム32は、磁気ディスク16の表面と平行に、かつ、互いに所定の間隔を置いて位置しているとともに、軸受部26から同一の方向へ延出している。また、キャリッジアッセンブリ22は、弾性変形可能な細長い板状のサスペンション38を備えている。サスペンション38は、板ばねにより構成され、その基端がスポット溶接あるいは接着によりアーム32の先端に固定され、アームから延出している。なお、各サスペンション38は対応するアーム32と一体に形成されていてもよい。アーム32およびサスペンション38によりヘッドサスペンションを構成し、このヘッドサスペンションと磁気ヘッドとによりヘッドサスペンションアッセンブリを構成している。
【0023】
図2に示すように、各磁気ヘッド40は、ほぼ矩形状のスライダ42とこのスライダの端面に設けられた形成された記録再生用のヘッド部44とを有し、サスペンション38の先端部に設けられたジンバルばね41に固定されている。各磁気ヘッド40は、サスペンション38の弾性により、磁気ディスク16の表面に向かうヘッド荷重Lが印加されている。
【0024】
図1に示すように、キャリッジアッセンブリ22は、軸受部26からアーム32と反対の方向へ延出した支持枠45を有し、この支持枠により、VCM24の一部を構成するボイスコイル47が支持されている。支持枠45は、合成樹脂によりボイスコイル47の外周に一体的に成形されている。ボイスコイル47は、ケース12上に固定された一対のヨーク49間に位置し、これらのヨーク、および一方のヨークに固定された図示しない磁石とともにVCM24を構成している。そして、ボイスコイル47に通電することにより、軸受部26の回りでキャリッジアッセンブリ22が回動し、磁気ヘッド40は磁気ディスク16の所望のトラック上に移動および位置決めされる。
【0025】
ランプロード機構25は、ケース12の底壁に設けられているとともに磁気ディスク16の外側に配置されたランプ51と、各サスペンション38の先端から延出したタブ53と、を備えている。キャリッジアッセンブリ22が、磁気ディスク16の外側の退避位置まで回動する際、各タブ53は、ランプ51に形成されたランプ面と係合し、その後、ランプ面の傾斜によって引き上げられ、磁気ヘッドのアンロード動作を行う。
【0026】
次に、磁気ヘッド40の構成について詳細に説明する。図2ないし図4に示すように、磁気ヘッド40はほぼ角柱状に形成されたスライダ42を有し、このスライダは磁気ディスク16の表面に対向する矩形状のディスク対向面43を有している。磁気ヘッド40は浮上型のスライダとして構成され、スライダ42は、磁気ディスク16の回転によってディスク表面とディスク対向面43との間に生じる空気流Cにより浮上する。これにより、HDDの動作時、スライダ42のディスク対向面43はディスク表面に対し常に隙間を保って対向している。ここで、空気流Cの方向は、磁気ディスク16の回転方向Bに一致している。磁気ヘッド40のヘッド部44は、空気流Cの下流側に位置したスライダ42の端面に設けられている。そして、スライダ42は、ヘッド部44が最もディスク表面に接近した傾斜姿勢をとって浮上する。なお、ヘッド部44は、磁気ディスク16に対して情報の記録再生を行う図示しない記録素子および再生素子を有している。
【0027】
図3および図4に示すように、スライダ42のディスク対向面43はほぼ矩形状に形成され第1軸Xおよびこの第1軸と直交した第2軸Yを有している。そして、スライダ42は、HDDの動作時、磁気ディスク16表面に対し、第1軸Xが空気流Cの方向とほぼ一致するように配置されている。スライダ42は、フェムトスライダとして構成され、ディスク対向面43の寸法は、第1軸方向の長さD1:0.935mm×第2軸Y方向の幅W1:0.77mm以下に形成され、通常、D1:0.85mm×W1:0.7mmに形成されている。
【0028】
ディスク対向面43上にはステップ面50が突設されている。このステップ面50は、空気流Cの方向に対し、上流側が閉塞され、下流側に向かって開放したほぼU字形状に形成されている。また、磁気ヘッド40のピッチ角を維持するため、ステップ面50上には、空気膜によってスライダを支えるためのリーディングパッド52が突設されている。リーディングパッド52は、第2軸Y方向に沿って連続的に延びた細長い形状に形成され、空気流Cに対し、スライダ42の流入側部分に位置している。
【0029】
リーディングパッド52が第2軸Y方向に沿って連続的に形成されている場合と、第2軸方向に分断されている場合とのついて、スライダ42に発生する浮上力を以下のように比較解析した。
図5に示すように、スライダのディスク対向面に面積が一定のパッドを形成し、このパッドのアスペクト比(幅長さ比)を1から4まで変更して浮上力を比較した。この際、パッドが連続の場合と、2分割の場合とで解析を行った。
【0030】
その結果、図6に示すように、アスペクト比2以上では、いずれの分離型よりも一連型のパッドの方が大きな浮上力を発生した。このことから、空気流Cと直交する方向に沿って連続したパッド形状とすることにより効率よく浮上力が発生し、ディスク対向面43の小型化に伴う浮上力低下の補填および浮上姿勢の維持のに有効であることが分かる。
【0031】
リーディングパッド52の第2軸Y方向の幅W2は、ディスク対向面43の幅W1の60%以上であることが望ましく、本実施の形態では約60%とした。また、リーディングパッド52に効率良く空気膜剛性を持たせるには、空気流Cの方向に対し、リーディングパッド52の上流側にステップ面50を設けることが望ましい。そこで、リーディングパッド52の上流側にステップ面50を設け、第1軸X方向に沿ったステップ面の長さD2をディスク対向面43の長さD1の10%以上に形成した。また、リーディングパッド52は、第1軸X方向に沿った幅が最小の最細部を有し、この最細部からディスク対向面43の空気流方向Cの下流側に向かって開放している。これにより、ステップ効果を期待でき、大きなヘッド荷重Lを少ない面積にて支えるのに有用となる。
【0032】
図3および図4に示すように、ディスク対向面43の中央部には凹所によって規定された負圧キャビティ54が形成されている。負圧キャビティ54は、空気流Cの方向に対し、リーディングパッド52の下流側に位置しているとともに、ディスク対向面43の下流側端に向かって開放している。
【0033】
このように、リーディングパッド52の下流側に発生する減圧部をあわせて負圧キャビティ54とすることにより、大きな負圧の発生する負圧キャビティを実現できる。また、凹所からなる負圧キャビティ54を設けることにより、HDDで実現される全てスキュー角において、ディスク対向面43中心部で負圧を発生させることができる。更に、磁気ディスク16の径方向位置により負圧がスライダ中央で発生しなくなり、径方向位置に応じてスライダ42のロール角が大きく付いてしまう。
【0034】
一方、スライダ42の流入端側で発生させる負圧が大きすぎると、ピッチ角を維持することが困難となり、磁気ヘッド40の浮上姿勢が崩れてしまう。そのため、図4に示すように、第1軸X方向についてディスク対向面43の上流側半分の領域において、負圧キャビティ54が占める面積54aを、ディスク対向面の半分の面積の25%以下としている。
【0035】
図3および図4に示すように、ステップ面50上に独立した2つの補助パッド56を突設してもよい。これらの補助パッド56は、空気流Cの方向に対して、リーディングパッド52の下流側に位置しているとともに、第2軸Y方向に関し、負圧キャビティ54の両側に配置されている。補助パッド56を設けることにより、ディスク対向面43の中央部で負圧を発生させた分、負圧キャビティの第2軸Y方向両側で正しい発生させることができ、磁気ヘッド40のロール方向のモーメントを支えることができる。従って、磁気ヘッド40のロールを抑制し、所望の浮上姿勢を維持することができる。
【0036】
また、図7に示すように、スライダ42のディスク対向面43の面形状を磁気ディスク表面側を凸とし第1軸X方向の最大ふくらみ高さが10nm以上の円弧状としてもよい。ディスク対向面43の面形状を円弧状とすることにより、補助パッド56と磁気ディスク表面との距離を短くし、補助パッドに発生する空気膜剛性を高めることができる。なお、補助パッド56がない場合でも、ピッチ角に対して、パッドの浮上量を小さくでき、効率よく正圧負圧の発生が期待できる。
【0037】
上述した磁気ヘッド40において、スライダ42のディスク対向面43は、予め上述した曲率を有する円弧状の面に形成した後、この面をエッチングして上述した凹所、ステップ面50、リーディングパッド52、補助パッド56等を形成することにより得られる。
【0038】
一方、現在、2.5インチのHDDでは、磁気ディスクの半径位置14mm〜30mmの記録エリアを回転数4200rpmで使用し、ピコスライダに29.6mN(3gf)のヘッド荷重をかけて使用している。また、1.8インチのHDDでは、半径位置10mm〜22mmの記録エリアを回転数4200rpmで使用し、ピコスライダに24.5mN(2.5gf)のヘッド荷重をかけて使用している。
【0039】
空気膜剛性により発生するヘッド荷重を支える力は、磁気ディスクの周速に依存し、遅い周速では、大きなヘッド荷重を支持できない。そして、磁気ヘッドのスライダに発生する空気膜剛性によって発生する力は、図8に示すように、ほぼ周速に比例している。そのため、従来、図9に示すように、磁気ディスクの小径化に伴って磁気ディスクの周速が遅くなると、ヘッド荷重を低減している。
【0040】
これに対して本実施の形態では、フェムトスライダを採用しているにもかかわらず、ヘッド荷重Lをピコスライダ使用時のヘッド荷重から低減することなく、逆に、増大させている。ピコスライダでの荷重と装置内の最低周速の関係を数式で表すと以下の式(1)のようになる。
ヘッド荷重L(mN)=2.74×最低周速(m/s)+12.5 (1)
式(1)における傾きは、周速が速くなることによる支持できるヘッド荷重の割合を表している。すなわち、2.5インチディスクで回転数4200rpmとした時、ディスクの最低周速(ディスク内周、14mmの位置)は、
14(mm)×2π×70(Hz)=6.15(m/s)
となる。また、1.8インチディスクで回転数4200rpmとした時、ディスクの最低周速(ディスク内周、10mmの位置)は、
10(mm)×2π×70(Hz)=4.40(m/s)
となる。また、2.5インチ、および1.8インチディスクドライブでは、それぞれヘッド荷重3gf(29.4mN)、および2.5gf(24.5mN)が印加される。これら最低周速およびヘッド荷重の点をプロットすると図9における直線Eが得られ、直線Eの傾きは2.74となる。そして、この直線Eから、最低周速がゼロ接片の時のヘッド荷重は12.5(mN)となる。これらの値から上記式(1)が得られる。
【0041】
また、図9に示すように、2.5インチHDDにおいて、フェムトスライダを用いた場合、上記直線Eの傾きから直線Dが得られる。この直線Dから、最低周速がゼロ接片の時のヘッド荷重は2.7(mN)となる。従って、ヘッド荷重19.6mN(2gf)と最低周速との関係は、以下の式(2)によって表される。
ヘッド荷重L(mN)=2.74×最低周速(m/s)+2.7 (2)
本実施の形態では、スライダ42としてフェムトスライダを使用し、サスペンション38により、
ヘッド荷重L(mN)≧ 2.74×装置内最低周速(m/s)+2.7
の式で表されるヘッド荷重を磁気ヘッド40に印加している。
【0042】
上記構成のHDDにおいて、スライダ42のステップ面50の高さを115nm、負圧キャビティ面の高さを1.1μmとし、磁気ディスク16の内周(半径14mm)でのヘッド荷重Lを29.4mN(3gf)とした際、磁気ヘッド40は、浮上量14.8nm、ピッチ角130(urad)で浮上すると解析され、また、3000mの高地で気圧0.7atmのとき、浮上量が11.1nmと解析された。
【0043】
以上のように構成されたHDDおよびヘッドサスペンションアッセンブリによれば、ディスク対向面の面積が0.935mm×0.77mm以下のスライダを用いた場合でも、ヘッド荷重を小さくすることなく充分な磁気ヘッドの浮上量を実現することができる。これにより、磁気ヘッドを小型化し記録密度の向上を図ることができるとともに、磁気ヘッドの耐衝撃性を向上することができる。従って、耐衝撃性に優れ、高精度の記録再生が可能な低コストのHDDおよびヘッドサスペンションアッセンブリを得ることができる。
【0044】
なお、この発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、磁気ディスクの枚数は2枚に限らず、必要に応じて増減可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上の詳述したように、本発明によれば、耐衝撃性に優れているとともに、高精度の記録再生が可能な低コストのディスク装置およびヘッドサスペンションアッセンブリを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係るHDDを示す平面図。
【図2】上記HDDにおける磁気ヘッド部分を拡大して示す側面図。
【図3】上記磁気ヘッドのスライダのディスク対向面側を示す斜視図。
【図4】上記スライダ対向面を示す平面図。
【図5】スライダ対向面において、一連型のパッドと分離型のパッドとをアスペクト比ごとに模式的に示す図。
【図6】上記一連型のパッドを備えたスライダと分離型のパッドを備えたスライダとにおけるアスペクト比と発生力との関係を示す図。
【図7】上記スライダの側面図。
【図8】ディスクの周速と発生力との関係を示す図。
【図9】ピコスライダを用いた場合における装置内最低周速とヘッド荷重との関係を示す図。
【符号の説明】
12…ケース、 16…磁気ディスク、 18…スピンドルモータ
22…キャリッジアッセンブリ、 26…軸受部、 32…アーム、
38…サスペンション、 40…磁気ヘッド、 42…スライダ、
43…ディスク対向面、 44…ヘッド部、50…ステップ面、
52…リーディングパッド、 54…負圧チェンバ、
56…補助パッド
【発明の属する技術分野】
この発明は、磁気ディスク装置等のディスク装置およびディスク装置に用いるヘッドサスペンションアッセンブリに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスク装置として、例えば、磁気ディスク装置は、ケース内に配設された磁気ディスクと、磁気ディスクを支持および回転駆動するスピンドルモータと、磁気ディスクに対して情報のリード/ライトを行う磁気ヘッドと、磁気ヘッドを磁気ディスクに対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリと、を備えている。キャリッジアッセンブリは、回動自在に支持されたアームと、アームから延出したサスペンションとを備え、このサスペンションに延出端に磁気ヘッドが支持されている。磁気ヘッドは、サスペンションに取り付けられたスライダ、およびスライダに設けられたヘッド部を有し、ヘッド部は、リード用の再生素子、ライト用の記録素子を含んで構成されている。
【0003】
スライダは、磁気ディスクの記録面と対向した対向面を有している。また、スライダは、サスペンションにより、磁気ディスクの磁気記録層に向う方向に所定のヘッド荷重が印加されている。磁気ディスク装置の動作時、回転する磁気ディスクとスライダとの間には空気流が発生し、スライダの対向面には、空気流体潤滑の原理により、スライダを磁気ディスク記録面から浮上させる力が作用する。そして、この浮上力とヘッド荷重とを釣り合わせることにより、スライダは磁気ディスク記録面と一定の隙間を保って浮上している。
【0004】
スライダの浮上量は、磁気ディスクのどの半径位置においても同程度であることが求められる。磁気ディスクの回転数は一定であり、周速は半径位置に応じて相違している。また、磁気ヘッドは、回転式のキャリッジアッセンブリにより位置決めされるために、スキュー角(流れの方向とスライダの中心線とのなす角)もディスクの半径位置に応じて相違している。そのため、スライダの設計においては、ディスクの半径位置に応じて変化する上記2つのパラメータを適宜利用して、ディスク半径位置による浮上量の変化を抑制する必要がある。
【0005】
使用環境の変化を考慮した場合、ディスク装置は、高地での減圧環境下においても円滑に動作することが求められる。空気流体潤滑によってスライダ対向面に作用する正圧とヘッド荷重との釣り合いのみを考慮して磁気ヘッドを構成した場合、減圧環境下では、空気流体潤滑によって生じる正圧が減少する。そのため、スライダは、浮上量が低下した位置で釣り合うか、磁気ディスク表面に接触してしまう。
【0006】
このような浮上量の低下を防止するため、スライダの対向面中央付近に負圧キャビティを形成したディスク装置が知られている(例えば、特許文献1)。負圧キャビティは、空気流出方向以外の3方向を壁に囲まれた溝によって形成されている。そして、負圧キャビティにより発生した負圧、ヘッド荷重、および正圧の釣り合いにより、スライダが浮上するように構成されている。上記構成によれば、減圧環境下において、発生する正圧は減少するが同時に負圧も減少し、浮上量低下の少ないスライダを実現することができる。
【0007】
このように、スライダ対向面の凹凸形状を工夫することにより、スライダの浮上量、浮上姿勢、減圧低下浮上量を調整することができる。スライダ対向面の凹凸形状は、製造コスト上、単一か2種類の深さの溝で構成されている。
【0008】
一方、近年、スライダの小型化が進んでいる。スライダのサイズは、IDEMA (International Disk Drive Equipment and Materials Association)スタンダードとして標準化されている。サイズの大きい順にミニスライダ(100%スライダ)、マイクロスライダ(70%スライダ)、ナノスライダ(50%スライダ)、ピコスライダ(30%スライダ)、フェムトスライダ(20%スライダ)と命名されている。磁気ヘッドは、薄膜プロセスにより一括製作されるため、スライダのサイズを小さくした方が、同じプロセスで多くの磁気ヘッド収量を実現でき、製造コストの削減となる。また、スライダの小型化は、磁気ディスク表面の凹凸に対する磁気ヘッドの追従性を向上させることができ、更に、ヘッドアクチュエータ先端部の質量が低減し、シーク速度の向上も期待できる。
【0009】
しかし、スライダの小型化に伴いスライダ対向面の面積が減少すると、次のような問題が懸念される。
1)磁気ヘッドの浮上力が減少してヘッド荷重を支えられなくなり、磁気ヘッドがディスク表面に接触してしまう。
2)ヘッド荷重を支えられなくなり、磁気ヘッドの浮上姿勢が崩れる。
【0010】
従来、これらの問題を解決するため、スライダの小型化に応じてヘッド荷重を小さくする方策が採られている。スライダをピコスライダからフェムトスライダに小型化した場合でも、ヘッド荷重を小さくすることが近年の主流となっている。例えば、モバイル機器向けの2.5型ハードディスクドライブでは、フェムトスライダを採用した場合、ヘッド荷重は、19.6mN(2gf)が上限とされている。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−283549号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スライダの小型化に応じてヘッド荷重を小さくすると、ディスク装置に衝撃が印加された際、サスペンションおよびスライダが磁気ディスクから跳ね上がり易くなる。跳ね上がったスライダが元の位置に戻る際、スライダと磁気ディスクとが衝突し、記録データに障害を及ぼす恐れがある。従って、ヘッド荷重の低減は、ディスク装置の耐衝撃性能を劣化させることとなる。
【0013】
また、スライダが小さくなりその質量が小さくなると、耐衝撃性向上に繋がるが、衝撃印加の際に跳ね上がる力は、サスペンションの等価質量によって大きく影響される。そのため、スライダの質量の低減は、実際上、耐衝撃性向上にほとんど寄与しない。このことから、スライダの小型化に応じたヘッド荷重の低減は耐衝撃性を低下させ、ディスク装置の信頼性低下の要因となり得る。
【0014】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、耐衝撃性に優れているとともに、高精度の記録再生が可能な低コストのディスク装置およびヘッドサスペンションアッセンブリを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の態様に係るディスク装置は、ディスク状の記録媒体と、上記記録媒体を支持しているとともに回転駆動する駆動部と、上記記録媒体の表面に対向するディスク対向面を有し、記録媒体の回転によって上記記録媒体表面とディスク対向面との間に生じる空気流により浮上するスライダと、上記スライダに設けられ上記記録媒体に対し情報の記録再生を行うヘッド部と、を有したヘッドと、上記記録媒体に対して上記ヘッドを移動自在に支持しているとともに、上記記録媒体の表面に向かうヘッド荷重を上記ヘッドに印加したヘッドサスペンションと、を備え、
上記スライダのディスク対向面の寸法は、0.935(mm)×0.77(mm)以下に形成され、上記ヘッド荷重をL(mN)、上記記録媒体の最低周速(m/s)をAとした場合、L ≧ 2.74×A+2.7であることを特徴としている。
【0016】
この発明の更に他の態様に係るヘッドサスペンションアッセンブリは、ディスク状の記録媒体と、上記記録媒体を支持しているとともに回転駆動する駆動部と、を備えたディスク装置に用いるヘッドサスペンションアッセンブリにおいて、上記記録媒体の表面に対向するディスク対向面を有し、記録媒体の回転によって上記記録媒体表面とディスク対向面との間に生じる空気流により浮上するスライダと、上記スライダに設けられ上記記録媒体に対し情報の記録再生を行う記録素子と、を有したヘッドと、上記記録媒体に対して上記ヘッドを移動自在に支持しているとともに、上記記録媒体の表面に向かうヘッド荷重を上記ヘッドに印加したヘッドサスペンションと、を備え、
上記スライダのディスク対向面の寸法は、0.935(mm)×0.77(mm)以下に形成され、上記ヘッド荷重をL(mN)、上記記録媒体の最低周速(m/s)をAとした場合、L ≧ 2.74×A+2.7であることを特徴としている。
【0017】
上記のように構成されたディスク装置およびヘッドサスペンションアッセンブリによれば、ディスク対向面の面積が0.935mm×0.77mm以下のスライダを用いた場合でも、ヘッド荷重を小さくするこなく充分なヘッドの浮上量を実現することができる。これにより、ヘッドを小型化し記録密度の向上を図ることができるとともに、ヘッドの耐衝撃性を向上することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、この発明に係るディスク装置をハードディスクドライブ(以下、HDDと称する)に適用した実施の形態について詳細に説明する。図1に示すように、HDDは、上面の開口した矩形箱状のケース12と、複数のねじによりケースにねじ止めされケースの上端開口を閉塞する図示しないトップカバーと、を有している。
【0019】
ケース12内には、記録媒体としての2枚の磁気ディスク16(一方のみ図示する)、磁気ディスクを支持および回転させる駆動部としてのスピンドルモータ18、磁気ディスクに対して情報の書き込み、読み出しを行なう複数の磁気ヘッド、これらの磁気ヘッドを磁気ディスク16に対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリ22、キャリッジアッセンブリを回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMと称する)24、磁気ヘッドが磁気ディスクの最外周に移動した際、磁気ヘッドを磁気ディスクから離間した退避位置に保持するランプロード機構25、およびヘッドIC等を有する基板ユニット21等が収納されている。
【0020】
また、ケース12の底壁外面には、基板ユニット21を介してスピンドルモータ18、VCM24、および磁気ヘッドの動作を制御する図示しないプリント回路基板がねじ止めされている。
【0021】
各磁気ディスク16は、上面および下面に磁気記録層を有している。そして、2枚の磁気ディスク16は、スピンドルモータ18の図示しないハブの外周に嵌合されているとともに、クランプばね17によってハブ上に固定支持されている。これにより、2枚の磁気ディスク16は所定の隙間を置いて互いに同軸的に積層配置されている。そして、スピンドルモータ18を駆動することにより、2枚の磁気ディスク16は一体的に所定の速度、例えば、4200rpmで矢印B方向に回転される。
【0022】
キャリッジアッセンブリ22は、ケース12の底壁上に固定された軸受部26と、軸受部から延出した複数のアーム32と、を備えている。これらのアーム32は、磁気ディスク16の表面と平行に、かつ、互いに所定の間隔を置いて位置しているとともに、軸受部26から同一の方向へ延出している。また、キャリッジアッセンブリ22は、弾性変形可能な細長い板状のサスペンション38を備えている。サスペンション38は、板ばねにより構成され、その基端がスポット溶接あるいは接着によりアーム32の先端に固定され、アームから延出している。なお、各サスペンション38は対応するアーム32と一体に形成されていてもよい。アーム32およびサスペンション38によりヘッドサスペンションを構成し、このヘッドサスペンションと磁気ヘッドとによりヘッドサスペンションアッセンブリを構成している。
【0023】
図2に示すように、各磁気ヘッド40は、ほぼ矩形状のスライダ42とこのスライダの端面に設けられた形成された記録再生用のヘッド部44とを有し、サスペンション38の先端部に設けられたジンバルばね41に固定されている。各磁気ヘッド40は、サスペンション38の弾性により、磁気ディスク16の表面に向かうヘッド荷重Lが印加されている。
【0024】
図1に示すように、キャリッジアッセンブリ22は、軸受部26からアーム32と反対の方向へ延出した支持枠45を有し、この支持枠により、VCM24の一部を構成するボイスコイル47が支持されている。支持枠45は、合成樹脂によりボイスコイル47の外周に一体的に成形されている。ボイスコイル47は、ケース12上に固定された一対のヨーク49間に位置し、これらのヨーク、および一方のヨークに固定された図示しない磁石とともにVCM24を構成している。そして、ボイスコイル47に通電することにより、軸受部26の回りでキャリッジアッセンブリ22が回動し、磁気ヘッド40は磁気ディスク16の所望のトラック上に移動および位置決めされる。
【0025】
ランプロード機構25は、ケース12の底壁に設けられているとともに磁気ディスク16の外側に配置されたランプ51と、各サスペンション38の先端から延出したタブ53と、を備えている。キャリッジアッセンブリ22が、磁気ディスク16の外側の退避位置まで回動する際、各タブ53は、ランプ51に形成されたランプ面と係合し、その後、ランプ面の傾斜によって引き上げられ、磁気ヘッドのアンロード動作を行う。
【0026】
次に、磁気ヘッド40の構成について詳細に説明する。図2ないし図4に示すように、磁気ヘッド40はほぼ角柱状に形成されたスライダ42を有し、このスライダは磁気ディスク16の表面に対向する矩形状のディスク対向面43を有している。磁気ヘッド40は浮上型のスライダとして構成され、スライダ42は、磁気ディスク16の回転によってディスク表面とディスク対向面43との間に生じる空気流Cにより浮上する。これにより、HDDの動作時、スライダ42のディスク対向面43はディスク表面に対し常に隙間を保って対向している。ここで、空気流Cの方向は、磁気ディスク16の回転方向Bに一致している。磁気ヘッド40のヘッド部44は、空気流Cの下流側に位置したスライダ42の端面に設けられている。そして、スライダ42は、ヘッド部44が最もディスク表面に接近した傾斜姿勢をとって浮上する。なお、ヘッド部44は、磁気ディスク16に対して情報の記録再生を行う図示しない記録素子および再生素子を有している。
【0027】
図3および図4に示すように、スライダ42のディスク対向面43はほぼ矩形状に形成され第1軸Xおよびこの第1軸と直交した第2軸Yを有している。そして、スライダ42は、HDDの動作時、磁気ディスク16表面に対し、第1軸Xが空気流Cの方向とほぼ一致するように配置されている。スライダ42は、フェムトスライダとして構成され、ディスク対向面43の寸法は、第1軸方向の長さD1:0.935mm×第2軸Y方向の幅W1:0.77mm以下に形成され、通常、D1:0.85mm×W1:0.7mmに形成されている。
【0028】
ディスク対向面43上にはステップ面50が突設されている。このステップ面50は、空気流Cの方向に対し、上流側が閉塞され、下流側に向かって開放したほぼU字形状に形成されている。また、磁気ヘッド40のピッチ角を維持するため、ステップ面50上には、空気膜によってスライダを支えるためのリーディングパッド52が突設されている。リーディングパッド52は、第2軸Y方向に沿って連続的に延びた細長い形状に形成され、空気流Cに対し、スライダ42の流入側部分に位置している。
【0029】
リーディングパッド52が第2軸Y方向に沿って連続的に形成されている場合と、第2軸方向に分断されている場合とのついて、スライダ42に発生する浮上力を以下のように比較解析した。
図5に示すように、スライダのディスク対向面に面積が一定のパッドを形成し、このパッドのアスペクト比(幅長さ比)を1から4まで変更して浮上力を比較した。この際、パッドが連続の場合と、2分割の場合とで解析を行った。
【0030】
その結果、図6に示すように、アスペクト比2以上では、いずれの分離型よりも一連型のパッドの方が大きな浮上力を発生した。このことから、空気流Cと直交する方向に沿って連続したパッド形状とすることにより効率よく浮上力が発生し、ディスク対向面43の小型化に伴う浮上力低下の補填および浮上姿勢の維持のに有効であることが分かる。
【0031】
リーディングパッド52の第2軸Y方向の幅W2は、ディスク対向面43の幅W1の60%以上であることが望ましく、本実施の形態では約60%とした。また、リーディングパッド52に効率良く空気膜剛性を持たせるには、空気流Cの方向に対し、リーディングパッド52の上流側にステップ面50を設けることが望ましい。そこで、リーディングパッド52の上流側にステップ面50を設け、第1軸X方向に沿ったステップ面の長さD2をディスク対向面43の長さD1の10%以上に形成した。また、リーディングパッド52は、第1軸X方向に沿った幅が最小の最細部を有し、この最細部からディスク対向面43の空気流方向Cの下流側に向かって開放している。これにより、ステップ効果を期待でき、大きなヘッド荷重Lを少ない面積にて支えるのに有用となる。
【0032】
図3および図4に示すように、ディスク対向面43の中央部には凹所によって規定された負圧キャビティ54が形成されている。負圧キャビティ54は、空気流Cの方向に対し、リーディングパッド52の下流側に位置しているとともに、ディスク対向面43の下流側端に向かって開放している。
【0033】
このように、リーディングパッド52の下流側に発生する減圧部をあわせて負圧キャビティ54とすることにより、大きな負圧の発生する負圧キャビティを実現できる。また、凹所からなる負圧キャビティ54を設けることにより、HDDで実現される全てスキュー角において、ディスク対向面43中心部で負圧を発生させることができる。更に、磁気ディスク16の径方向位置により負圧がスライダ中央で発生しなくなり、径方向位置に応じてスライダ42のロール角が大きく付いてしまう。
【0034】
一方、スライダ42の流入端側で発生させる負圧が大きすぎると、ピッチ角を維持することが困難となり、磁気ヘッド40の浮上姿勢が崩れてしまう。そのため、図4に示すように、第1軸X方向についてディスク対向面43の上流側半分の領域において、負圧キャビティ54が占める面積54aを、ディスク対向面の半分の面積の25%以下としている。
【0035】
図3および図4に示すように、ステップ面50上に独立した2つの補助パッド56を突設してもよい。これらの補助パッド56は、空気流Cの方向に対して、リーディングパッド52の下流側に位置しているとともに、第2軸Y方向に関し、負圧キャビティ54の両側に配置されている。補助パッド56を設けることにより、ディスク対向面43の中央部で負圧を発生させた分、負圧キャビティの第2軸Y方向両側で正しい発生させることができ、磁気ヘッド40のロール方向のモーメントを支えることができる。従って、磁気ヘッド40のロールを抑制し、所望の浮上姿勢を維持することができる。
【0036】
また、図7に示すように、スライダ42のディスク対向面43の面形状を磁気ディスク表面側を凸とし第1軸X方向の最大ふくらみ高さが10nm以上の円弧状としてもよい。ディスク対向面43の面形状を円弧状とすることにより、補助パッド56と磁気ディスク表面との距離を短くし、補助パッドに発生する空気膜剛性を高めることができる。なお、補助パッド56がない場合でも、ピッチ角に対して、パッドの浮上量を小さくでき、効率よく正圧負圧の発生が期待できる。
【0037】
上述した磁気ヘッド40において、スライダ42のディスク対向面43は、予め上述した曲率を有する円弧状の面に形成した後、この面をエッチングして上述した凹所、ステップ面50、リーディングパッド52、補助パッド56等を形成することにより得られる。
【0038】
一方、現在、2.5インチのHDDでは、磁気ディスクの半径位置14mm〜30mmの記録エリアを回転数4200rpmで使用し、ピコスライダに29.6mN(3gf)のヘッド荷重をかけて使用している。また、1.8インチのHDDでは、半径位置10mm〜22mmの記録エリアを回転数4200rpmで使用し、ピコスライダに24.5mN(2.5gf)のヘッド荷重をかけて使用している。
【0039】
空気膜剛性により発生するヘッド荷重を支える力は、磁気ディスクの周速に依存し、遅い周速では、大きなヘッド荷重を支持できない。そして、磁気ヘッドのスライダに発生する空気膜剛性によって発生する力は、図8に示すように、ほぼ周速に比例している。そのため、従来、図9に示すように、磁気ディスクの小径化に伴って磁気ディスクの周速が遅くなると、ヘッド荷重を低減している。
【0040】
これに対して本実施の形態では、フェムトスライダを採用しているにもかかわらず、ヘッド荷重Lをピコスライダ使用時のヘッド荷重から低減することなく、逆に、増大させている。ピコスライダでの荷重と装置内の最低周速の関係を数式で表すと以下の式(1)のようになる。
ヘッド荷重L(mN)=2.74×最低周速(m/s)+12.5 (1)
式(1)における傾きは、周速が速くなることによる支持できるヘッド荷重の割合を表している。すなわち、2.5インチディスクで回転数4200rpmとした時、ディスクの最低周速(ディスク内周、14mmの位置)は、
14(mm)×2π×70(Hz)=6.15(m/s)
となる。また、1.8インチディスクで回転数4200rpmとした時、ディスクの最低周速(ディスク内周、10mmの位置)は、
10(mm)×2π×70(Hz)=4.40(m/s)
となる。また、2.5インチ、および1.8インチディスクドライブでは、それぞれヘッド荷重3gf(29.4mN)、および2.5gf(24.5mN)が印加される。これら最低周速およびヘッド荷重の点をプロットすると図9における直線Eが得られ、直線Eの傾きは2.74となる。そして、この直線Eから、最低周速がゼロ接片の時のヘッド荷重は12.5(mN)となる。これらの値から上記式(1)が得られる。
【0041】
また、図9に示すように、2.5インチHDDにおいて、フェムトスライダを用いた場合、上記直線Eの傾きから直線Dが得られる。この直線Dから、最低周速がゼロ接片の時のヘッド荷重は2.7(mN)となる。従って、ヘッド荷重19.6mN(2gf)と最低周速との関係は、以下の式(2)によって表される。
ヘッド荷重L(mN)=2.74×最低周速(m/s)+2.7 (2)
本実施の形態では、スライダ42としてフェムトスライダを使用し、サスペンション38により、
ヘッド荷重L(mN)≧ 2.74×装置内最低周速(m/s)+2.7
の式で表されるヘッド荷重を磁気ヘッド40に印加している。
【0042】
上記構成のHDDにおいて、スライダ42のステップ面50の高さを115nm、負圧キャビティ面の高さを1.1μmとし、磁気ディスク16の内周(半径14mm)でのヘッド荷重Lを29.4mN(3gf)とした際、磁気ヘッド40は、浮上量14.8nm、ピッチ角130(urad)で浮上すると解析され、また、3000mの高地で気圧0.7atmのとき、浮上量が11.1nmと解析された。
【0043】
以上のように構成されたHDDおよびヘッドサスペンションアッセンブリによれば、ディスク対向面の面積が0.935mm×0.77mm以下のスライダを用いた場合でも、ヘッド荷重を小さくすることなく充分な磁気ヘッドの浮上量を実現することができる。これにより、磁気ヘッドを小型化し記録密度の向上を図ることができるとともに、磁気ヘッドの耐衝撃性を向上することができる。従って、耐衝撃性に優れ、高精度の記録再生が可能な低コストのHDDおよびヘッドサスペンションアッセンブリを得ることができる。
【0044】
なお、この発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、磁気ディスクの枚数は2枚に限らず、必要に応じて増減可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上の詳述したように、本発明によれば、耐衝撃性に優れているとともに、高精度の記録再生が可能な低コストのディスク装置およびヘッドサスペンションアッセンブリを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係るHDDを示す平面図。
【図2】上記HDDにおける磁気ヘッド部分を拡大して示す側面図。
【図3】上記磁気ヘッドのスライダのディスク対向面側を示す斜視図。
【図4】上記スライダ対向面を示す平面図。
【図5】スライダ対向面において、一連型のパッドと分離型のパッドとをアスペクト比ごとに模式的に示す図。
【図6】上記一連型のパッドを備えたスライダと分離型のパッドを備えたスライダとにおけるアスペクト比と発生力との関係を示す図。
【図7】上記スライダの側面図。
【図8】ディスクの周速と発生力との関係を示す図。
【図9】ピコスライダを用いた場合における装置内最低周速とヘッド荷重との関係を示す図。
【符号の説明】
12…ケース、 16…磁気ディスク、 18…スピンドルモータ
22…キャリッジアッセンブリ、 26…軸受部、 32…アーム、
38…サスペンション、 40…磁気ヘッド、 42…スライダ、
43…ディスク対向面、 44…ヘッド部、50…ステップ面、
52…リーディングパッド、 54…負圧チェンバ、
56…補助パッド
Claims (12)
- ディスク状の記録媒体と、
上記記録媒体を支持しているとともに回転駆動する駆動部と、
上記記録媒体の表面に対向するディスク対向面を有し、記録媒体の回転によって上記記録媒体表面とディスク対向面との間に生じる空気流により浮上するスライダと、上記スライダに設けられ上記記録媒体に対し情報の記録再生を行うヘッド部と、を有したヘッドと、
上記記録媒体に対して上記ヘッドを移動自在に支持しているとともに、上記記録媒体の表面に向かうヘッド荷重を上記ヘッドに印加したヘッドサスペンションと、を備え、
上記スライダのディスク対向面の寸法は、0.935(mm)×0.77(mm)以下に形成され、上記ヘッド荷重をL(mN)、上記記録媒体の最低周速(m/s)をAとした場合、 L ≧ 2.74×A+2.7
であることを特徴とするディスク装置。 - 上記スライダのディスク対向面は、上記空気流の方向に沿った第1軸およびこの第1軸と直交する第2軸を有し、
上記スライダのディスク対向面は、上記ディスク対向面の中央部に形成された凹所により規定された負圧を発生させる負圧キャビティと、上記負圧キャビティに対して上記空気流の上流側に位置したリーディングパッドと、を有し、
上記リーディングパッドは、上記第2軸方向に沿って連続的に延びているとともに、上記第2軸方向に沿った幅が、上記ディスク対向面の第2軸方向に沿った幅の60%以上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。 - 上記リーディングパッドは、上記第1軸方向に沿った幅が最小の最細部を有し、この最細部から上記ディスク対向面の上記空気流の下流側に開放した形状を有していることを特徴とする請求項2に記載のディスク装置。
- 上記ディスク対向面の内、上記第1軸方向に沿って上記空気流の上流側に位置した半分の領域において、上記負圧キャビティが占める面積が、上記ディスク対向面の半分の面積の25%以下に形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のディスク装置。
- 上記スライダのディスク対向面は、上記空気流の方向に対し、上記リーディングパッドの下流側に設けられているとともに上記第2軸方向に対し上記負圧キャビティの両側に設けられた複数の独立した補助パッドを有していることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載のディスク装置。
- 上記スライダのディスク対向面の面形状は、上記記録媒体の表面側を凸とし上記第1軸方向の最大ふくらみ高さが10nm以上の円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のディスク装置。
- ディスク状の記録媒体と、上記記録媒体を支持しているとともに回転駆動する駆動部と、を備えたディスク装置に用いるヘッドサスペンションアッセンブリにおいて、
上記記録媒体の表面に対向するディスク対向面を有し、記録媒体の回転によって上記記録媒体表面とディスク対向面との間に生じる空気流により浮上するスライダと、上記スライダに設けられ上記記録媒体に対し情報の記録再生を行う記録素子と、を有したヘッドと、
上記記録媒体に対して上記ヘッドを移動自在に支持しているとともに、上記記録媒体の表面に向かうヘッド荷重を上記ヘッドに印加したヘッドサスペンションと、を備え、
上記スライダのディスク対向面の寸法は、0.935(mm)×0.77(mm)以下に形成され、上記ヘッド荷重をL(mN)、上記記録媒体の最低周速(m/s)をAとした場合、 L ≧ 2.74×A+2.7
であることを特徴とするヘッドサスペンションアッセンブリ。 - 上記スライダのディスク対向面は、上記空気流の方向に沿った第1軸およびこの第1軸と直交する第2軸を有し、
上記スライダのディスク対向面は、上記ディスク対向面の中央部に形成された凹所により規定された負圧を発生させる負圧キャビティと、上記負圧キャビティに対して上記空気流の上流側に位置したリーディングパッドと、を有し、
上記リーディングパッドは、上記第2軸方向に沿って連続的に延びているとともに、上記第2軸方向に沿った幅が、上記ディスク対向面の第2軸方向に沿った幅の60%以上に形成されていることを特徴とする請求項7に記載のヘッドサスペンションアッセンブリ。 - 上記リーディングパッドは、上記第1軸方向に沿った幅が最小の最細部を有し、この最細部から上記ディスク対向面の上記空気流の下流側に開放した形状を有していることを特徴とする請求項8に記載のヘッドサスペンションアッセンブリ。
- 上記ディスク対向面の内、上記第1軸方向に沿って上記空気流の上流側に位置した半分の領域において、上記負圧キャビティが占める面積が、上記ディスク対向面の半分の面積の25%以下に形成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載のヘッドサスペンションアッセンブリ。
- 上記スライダのディスク対向面は、上記空気流の方向に対し、上記リーディングパッドの下流側に設けられているとともに上記第2軸方向に対し上記負圧キャビティの両側に設けられた複数の独立した補助パッドを有していることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1項に記載のヘッドサスペンションアッセンブリ。
- 上記スライダのディスク対向面の面形状は、上記記録媒体の表面側を凸とし上記第1軸方向の最大ふくらみ高さが10nm以上の円弧状に形成されていることを特徴とする請求項7ないし11のいずれか1項に記載のヘッドサスペンションアッセンブリ。
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