JP2004237526A - 微細パターン及びその母型を形成する方法 - Google Patents
微細パターン及びその母型を形成する方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明は、従来よりも広い領域に均一かつ高密度で形成された凹凸形状を有する微細構造パターンを形成する方法、及びその母型を形成する方法を提供することである。
【解決手段】本方法は、所定の基板上に、多数のプラスチック粒子を配列させる配列工程と、前記基板上及び前記プラスチック粒子どうしの隙間に、所定の金属元素を析出させるめっき工程と、前記プラスチック粒子を有機溶剤に溶解させる工程を有する微細パターンの形成方法である。
【選択図】 図1
【解決手段】本方法は、所定の基板上に、多数のプラスチック粒子を配列させる配列工程と、前記基板上及び前記プラスチック粒子どうしの隙間に、所定の金属元素を析出させるめっき工程と、前記プラスチック粒子を有機溶剤に溶解させる工程を有する微細パターンの形成方法である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細パターン及びその母型又はスタンパ(stamper)を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナノテクノロジに代表されるように近年微細加工技術が特に注目されている。その理由の1つは、この種の微細加工技術には、超高密度磁気ディスク、カーボンナノチューブ、フラーレン、プロティンチップ等のような様々な応用範囲のあることが挙げられる。それに加えて、例えば、ナノメートルのオーダーで磁気ディスクの磁性物質の配列パターンを規定できれば、例えば1テラビット/in2以上の超高密度化を達成することができ、情報処理機器の寸法及び容量等に関する飛躍的進歩が期待できることも挙げられる。
【0003】
非特許文献1に開示されているような従来の微細加工技術は、陽極酸化ポーラスアルミナを利用して、ナノオーダーのパターニングを行っている。陽極酸化ポーラスアルミナとは、アルミニウムを酸性電解液中で陽極酸化することにより形成される多孔性の酸化皮膜である。この技術によれば、その酸化皮膜を形成する際の電解液及び電圧を調整し、微細パターンを作成することが可能になる。しかしながら、このようにして形成されるパターンは、自己組織化の性質を利用して作成されるので、所望の領域に意図的に規則的に形成することが困難である。この手法によれば、例えば、微細パターンが数μm2程度の小領域毎に形成され、それら小領域間に欠陥が生じてしまうことがある。
【0004】
特許文献1は、電子ビーム露光法(EB法)により加工された凸側の母型を、アルミニウム箔に押しつけることで、アルミニウム箔に微細パターンを転写する(形成する)技術を開示する。こうして形成された微細パターンの窪み(凹部)を例えばエッチングの開始点に利用することで、更なる微細加工を行うことが可能になる。これにより、所望の領域に意図的にパターンを形成することが可能になる。しかしながら、この手法による微細パターンは、電子ビーム露光法の加工精度に依存し、将来的なデバイスの微細化に合わせて、電子ビーム露光法の加工精度を今後更に向上させてゆくことは困難である。また、上記のテラビットのメモリ等に応用するには比較的広い範囲(例えば、1in2程度の領域)に微細パターンを作成する必要があるが、この手法により作成されている範囲は比較的狭い(例えば、数mm2程度の領域)という問題がある。更に、イオンビームで微細パターンの母型を作成するので、この種の手法は高コストであるという問題点がある。なお、特許文献2は、微粒子薄膜の製造方法を開示している。
【0005】
【非特許文献1】
益田,「高規則性陽極酸化ポーラスアルミナの作製とナノファブリケーションへの応用」,応用物理,第69巻,第5号(2000),p.558−562
【0006】
【特許文献1】
特開平11−74162号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平7−116502号公報
【発明が解決しようとする課題】
本願の課題は、従来よりも広い領域に均一かつ高密度に形成された凹凸形状を有する微細構造パターン、及びその母型を形成する方法を提供することである。
【0008】
本願の別の課題は、そのような微細構造パターン及びその母型を安価に形成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、
所定の基板上に、多数のプラスチック粒子を配列させる配列工程と、
前記基板上及び前記プラスチック粒子どうしの隙間に、所定の金属元素を析出させるめっき工程と、
前記プラスチック粒子を有機溶剤に溶解させる工程
を有することを特徴とする微細パターンの形成方法
が、提供される。
【発明の実施の形態】
[第1実施例]
図1は、本願実施例による微細パターンを形成する方法の主要な工程図を示す。図1(A)に示される工程では、例えばガラス基板やサファイヤ基板のような平坦な基板10に、金属層12が成膜される。基板10は平坦であって金属を成膜することが可能であるならば、ガラス基板等であることは必須ではない。ただし、平坦であることに加えて低価格である等の観点からは、本実施例のようにガラス基板を採用することが好ましい。更に、基板10に使用可能な材料は、ガラスやサファイヤ等の絶縁性材料以外に、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)等より成る半導体、ガリウム砒素(GaAs)やインジウム燐(InP)等より成る化合物半導体その他の半導体基板を利用することも可能である。
【0009】
基板10に成膜される金属層12は、例えば、500nmの厚さのモリブデン(Mo)と、50nmの厚さの白金(Pt)より成り、スパッタリング法、蒸着法その他の成膜技術を利用して作成することが可能である。金属層12に使用可能な金属元素には様々なものを使用することが可能であり、例えば、金(Au),銅(Cu),錫(Sn),鉛(Pd),鉄(Fe),コバルト(Co),ケイ素(Si),アルミニウム(Al),クロム(Cr),タングステン(W),チタン(Ti),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd),ニオブ(Nb)等が挙げられる。いずれにせよ、金属層12は、電解めっきの電極として機能し得るような材料であることを要する。
【0010】
図1(B)に示される工程では、例えばポリスチレンより成る多数のプラスチック粒子14が、金属層12上に並べられる。本実施例におけるプラスチック粒子14は、粒径が2ミクロン程度の球状の粒子である。このようなプラスチック粒子14については、市販のものを利用することが可能である。作製する微細パターンに依存して、例えば粒径が約20nmのような、更に小さな粒子を使用することも可能である。プラスチック粒子14を並べるには、先ず、このような多数のプラスチック粒子14を体積分率0.01で充填した溶液が作製される。次に、この溶液中に前記金属層12を投入し、それを引き上げることで、プラスチック粒子14を六方最密形式で(図2参照)金属層12に付着させることが可能になる。ただし、プラスチック粒子14が適切に付着するように、膜成長近傍の溶媒の蒸発速度、粒子の充填率、及び基板の引き上げ速度等を適切に制御することを要する。
【0011】
図1(C)に示される工程では、プラスチック粒子14をマスクとし、金属層12を電極とする電解めっきが行われる。本実施例では、クロム(Cr)を含む溶液(クロムめっき液エンパイクロム90(W.Cannig社))に、基板を浸す。この電解めっきを行うことで、プラスチック粒子14どうしの隙間及び金属層12上に、金属(Cr)16が析出する。電解めっきは、この析出する金属16の高さがプラスチック粒子14の半径程度(本実施例では1μm)になるまで行われる。より一般的には、析出する金属16の高さが、プラスチック粒子の半分以下であるように、電解めっきが行われる。
【0012】
図1(D)に示される工程では、例えばジクロロメタン又はキシレンである有機溶剤に基板が浸され、プラスチック粒子14が溶解し、除去される。有機溶剤としては、プラスチック粒子14を溶解するが、析出した金属は溶解しない性質を有する任意のものを利用することが可能である。また、この工程におけるプラスチック粒子の溶解及び除去を促進させるため、超音波による振動を溶液に加えることも有利である。プラスチック粒子14が除去されると、金属層12上に、半球状の凹部18が形成される。
【0013】
析出する金属16の高さは、適切なエッチング処理を行うことで、調整する(すなわち減少させる)ことが可能である。その高さを減少させることは、半球状の凹部18の領域を広げることを意味する(図3参照)。本実施例では、析出する金属16はクロムであるので、例えば、硝酸第2セリウムアンモニウム、過塩素酸及び水を含むエッチング液で、その高さを減少させることが可能である。また、析出する金属16がアルミニウムであれば、硝酸、燐酸及びシュウ酸を含むエッチング液で、高さを減少させることが可能である。析出する金属16が錫であれば、塩酸を含むエッチング液で、高さを減少させることが可能である。いずれにせよ、金属層12に対するエッチングレートが小さい選択比の大きいエッチング液を利用することで、めっきの高さを減少させることが可能である。
【0014】
図1(D)に示される工程に続いて、電界めっき凸部16の全面を酸化し、凹部18の側面どうしを互いに電気的に分離することが有意義である。たとえば、図4に示されるように、析出した金属16及び金属層12上に酸化膜20を成膜し、各凹部18に、強磁性材料22を付着させると、極めて緻密な配列の磁気メモリ領域を形成することが可能になる。酸化膜20としては、例えば、析出した金属16がクロムを含むものであれば酸化クロム(CrO)を、析出した金属16がアルミニウムを含むものであればアルミナ(Al2O3)を形成することが可能である。強磁性材料22としては、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)等がある。また、市販されている粒子の中には、プラスチック粒子14に利用可能なものだけでなく、上記の強磁性材料22に利用可能なものもある。そのような微小な粒径を有する強磁性材料の粒子を、例えばスピンコート等の手法で凹部に堆積させることで、上記の強磁性材料22による領域を形成することが可能である。
【0015】
なお、本実施例では、電解めっきを行うことで、微細パターンを規定する金属を析出させたが、このことは本発明に必須ではなく、それを無電解めっきで形成することも可能である。プラスチック粒子14どうしの隙間、及びプラスチック粒子14の下地層の上に所定の金属を析出させることができればよいからである。 ただし、プラスチック粒子と下地層との間に緻密に効果的に金属を充填するには、電解めっきが有利である。
【0016】
以上のようにして作成される多数の半球状の凹部により、六方最密形式で均一かつ広範囲に整列した微細パターンを得ることが可能になる。微細パターンの作成される領域は、プラスチック粒子14を整列させる領域に相当するので、非常に広い領域にすることが可能である。粒径のばらつきの少ないプラスチック粒子14及び有機溶剤等は、比較的安価に入手することが可能であるので、本願実施例による方法は低コストで実行することが可能である。
【0017】
[第2実施例]
図5及び図6は、本願実施例による微細パターンの母型を作成する方法の主要な工程図を示す。図5(A)に示される工程では、先ず、図1(D)に示されるような構造が用意される。すなわち、例えばガラス基板のような基板10上に、金属層12が成膜され、その金属層12上には、六方最密形式で整列した半球状の凹部18を規定する金属16が形成されている。本実施例では、ガラス基板である基板10上に、300nmの膜厚の銅が、蒸着法により成膜されている。また、めっき液としては硫酸銅(CuSO4)が使用され、析出した金属16は銅(Cu)より成る。
【0018】
図5(B)に示される工程では、析出した金属16及び金属層12上に、白金(Pt)より成る薄膜24が形成される。薄膜24は、0.2μmの膜厚で蒸着法により成膜されるが、他の成膜法で形成することも可能である。薄膜24の膜厚は、微細パターンの凹凸形状が失われない程度に薄い厚さである。
【0019】
図5(C)に示される工程では、ニッケルより成る材料層26が、例えば50μmの膜厚で成膜される。材料層26の材料は、微細パターンの母型となり得る程度に硬いものであることを条件に、様々な材料を選択することが可能である。例えば、本実施例では、微細パターンの転写される材料としてアルミニウムが想定されているので、母型はそれよりも硬いニッケルが採用されている。
【0020】
図6に示される工程では、図5(A)で用意した構造が除去される。先ず、ガラス基板である基板10は、例えば5%のフッ酸(HF)溶液でエッチングされ除去される。銅で形成された微細パターン16は、例えば塩酸(HCl)のような酸でエッチングされ除去される。その結果、微細パターンの母型26が得られる。
【0021】
第1実施例にて説明したように、微細パターンは、六方最密形式で広範囲に整列した多数の半球状の凹型の形状を有するので、この微細パターンを転写して形成される母型は、六方最密形式で広範囲に整列した多数の半球状の凸型の形状を備えることが可能になる。
【0022】
なお、薄膜24は、母型自体を作成する観点からは必須ではないが、材料の化学エッチングの選択性(本実施例では、銅とニッケル)の観点から、薄膜24を設けている。
【0023】
以下、本発明が教示する手段を列挙する。
【0024】
(付記1)所定の基板上に、多数のプラスチック粒子を配列させる配列工程と、
前記基板上及び前記プラスチック粒子どうしの隙間に、所定の金属元素を析出させるめっき工程と、
前記プラスチック粒子を有機溶剤に溶解させる工程
を有することを特徴とする微細パターンの形成方法。
【0025】
(付記2)前記基板上には所定の金属元素より成る金属層が形成されており、前記めっき工程が、前記金属層を電極とする電解めっき工程より成ることを特徴とする付記1記載の微細パターンの形成方法。
【0026】
(付記3)前記金属元素が、金(Au),銅(Cu),錫(Sn),鉛(Pd),鉄(Fe),白金(Pt),コバルト(Co),ケイ素(Si),アルミニウム(Al),クロム(Cr),タングステン(W),モリブデン(Mo),チタン(Ti),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd)又はニオブ(Nb)より成ることを特徴とする付記2記載の微細パターンの形成方法。
【0027】
(付記4)前記プラスチック粒子がポリスチレンより成り、前記有機溶剤がジクロロメタン又はキシレンより成ることを特徴とする付記1記載の微細パターンの形成方法。
【0028】
(付記5)前記配列工程において、前記プラスチック粒子が六方最密充填形式に平面状に配列されることを特徴とする付記1記載の微細パターンの形成方法。
【0029】
(付記6)前記めっき工程における所定の金属元素が、クロム(Cr)より成ることを特徴とする付記1記載の微細パターンの形成方法。
【0030】
(付記7)更に、エッチング処理を行うことで、析出した金属の高さを調整する工程より成ることを特徴とする付記1記載の微細パターンの形成方法。
【0031】
(付記8)前記エッチング処理に使用されるエッチング液が、硝酸第二セリウムアンモニウム、過塩素酸及び水より成ることを特徴とする付記7記載の微細パターンの形成方法。
【0032】
(付記9)更に、前記プラスチック粒子が除去されることによって形成された多数の凸部を酸化させる工程より成ることを特徴とする付記1記載の微細パターンの形成方法。
【0033】
(付記10)更に、前記プラスチック粒子が除去されることによって形成された凹部に、磁性材料を付着させる工程より成ることを特徴とする付記1記載の微細パターンの形成方法。
【0034】
(付記11)付記1記載の方法により形成された微細パターンを有する金属層上に、前記所定の金属元素とは異なる金属元素より成る材料層を、所定の厚さに形成する工程と、
前記金属層を除去する工程
より成ることを特徴とする前記微細パターンの母型を作成する方法。
【0035】
(付記12)前記めっき工程にて析出される金属に銅(Cu)が含まれることを特徴とする付記11記載の方法。
【0036】
(付記13)前記材料層が、ニッケル(Ni)より成ることを特徴とする付記11記載の方法。
【0037】
(付記14)前記微細パターン上に、白金(Pt)より成る薄膜が成膜された後に、前記材料層が形成されることを特徴とする付記11記載の方法。
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、従来よりも広い領域に均一かつ高密度に形成された凹凸形状を有する微細構造パターン及びその母型を形成することが可能になる。また、そのような微細構造パターン及びその母型を安価に形成することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願実施例による微細パターンを形成する方法の主要な工程図を示す。
【図2】図2は、プラスチック粒子を六方最密形式に配列した場合の平面図を示す。
【図3】図3は、析出した金属にエッチング処理を施した様子を示す図である。
【図4】図4は、微細パターン内の凹部に磁性材料を充填した様子を示す図である。
【図5】図5は、本願実施例による微細パターンの母型を作成する方法の主要な工程図(その1)を示す。
【図6】図6は、本願実施例による微細パターンの母型を作成する方法の主要な工程図(その2)を示す。
【符号の説明】
10 基板
12 金属層
14 プラスチック粒子
16 析出した金属
18 半球状凹部
20 酸化膜
22 磁性材料
24 薄膜
26 材料層
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細パターン及びその母型又はスタンパ(stamper)を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナノテクノロジに代表されるように近年微細加工技術が特に注目されている。その理由の1つは、この種の微細加工技術には、超高密度磁気ディスク、カーボンナノチューブ、フラーレン、プロティンチップ等のような様々な応用範囲のあることが挙げられる。それに加えて、例えば、ナノメートルのオーダーで磁気ディスクの磁性物質の配列パターンを規定できれば、例えば1テラビット/in2以上の超高密度化を達成することができ、情報処理機器の寸法及び容量等に関する飛躍的進歩が期待できることも挙げられる。
【0003】
非特許文献1に開示されているような従来の微細加工技術は、陽極酸化ポーラスアルミナを利用して、ナノオーダーのパターニングを行っている。陽極酸化ポーラスアルミナとは、アルミニウムを酸性電解液中で陽極酸化することにより形成される多孔性の酸化皮膜である。この技術によれば、その酸化皮膜を形成する際の電解液及び電圧を調整し、微細パターンを作成することが可能になる。しかしながら、このようにして形成されるパターンは、自己組織化の性質を利用して作成されるので、所望の領域に意図的に規則的に形成することが困難である。この手法によれば、例えば、微細パターンが数μm2程度の小領域毎に形成され、それら小領域間に欠陥が生じてしまうことがある。
【0004】
特許文献1は、電子ビーム露光法(EB法)により加工された凸側の母型を、アルミニウム箔に押しつけることで、アルミニウム箔に微細パターンを転写する(形成する)技術を開示する。こうして形成された微細パターンの窪み(凹部)を例えばエッチングの開始点に利用することで、更なる微細加工を行うことが可能になる。これにより、所望の領域に意図的にパターンを形成することが可能になる。しかしながら、この手法による微細パターンは、電子ビーム露光法の加工精度に依存し、将来的なデバイスの微細化に合わせて、電子ビーム露光法の加工精度を今後更に向上させてゆくことは困難である。また、上記のテラビットのメモリ等に応用するには比較的広い範囲(例えば、1in2程度の領域)に微細パターンを作成する必要があるが、この手法により作成されている範囲は比較的狭い(例えば、数mm2程度の領域)という問題がある。更に、イオンビームで微細パターンの母型を作成するので、この種の手法は高コストであるという問題点がある。なお、特許文献2は、微粒子薄膜の製造方法を開示している。
【0005】
【非特許文献1】
益田,「高規則性陽極酸化ポーラスアルミナの作製とナノファブリケーションへの応用」,応用物理,第69巻,第5号(2000),p.558−562
【0006】
【特許文献1】
特開平11−74162号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平7−116502号公報
【発明が解決しようとする課題】
本願の課題は、従来よりも広い領域に均一かつ高密度に形成された凹凸形状を有する微細構造パターン、及びその母型を形成する方法を提供することである。
【0008】
本願の別の課題は、そのような微細構造パターン及びその母型を安価に形成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、
所定の基板上に、多数のプラスチック粒子を配列させる配列工程と、
前記基板上及び前記プラスチック粒子どうしの隙間に、所定の金属元素を析出させるめっき工程と、
前記プラスチック粒子を有機溶剤に溶解させる工程
を有することを特徴とする微細パターンの形成方法
が、提供される。
【発明の実施の形態】
[第1実施例]
図1は、本願実施例による微細パターンを形成する方法の主要な工程図を示す。図1(A)に示される工程では、例えばガラス基板やサファイヤ基板のような平坦な基板10に、金属層12が成膜される。基板10は平坦であって金属を成膜することが可能であるならば、ガラス基板等であることは必須ではない。ただし、平坦であることに加えて低価格である等の観点からは、本実施例のようにガラス基板を採用することが好ましい。更に、基板10に使用可能な材料は、ガラスやサファイヤ等の絶縁性材料以外に、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)等より成る半導体、ガリウム砒素(GaAs)やインジウム燐(InP)等より成る化合物半導体その他の半導体基板を利用することも可能である。
【0009】
基板10に成膜される金属層12は、例えば、500nmの厚さのモリブデン(Mo)と、50nmの厚さの白金(Pt)より成り、スパッタリング法、蒸着法その他の成膜技術を利用して作成することが可能である。金属層12に使用可能な金属元素には様々なものを使用することが可能であり、例えば、金(Au),銅(Cu),錫(Sn),鉛(Pd),鉄(Fe),コバルト(Co),ケイ素(Si),アルミニウム(Al),クロム(Cr),タングステン(W),チタン(Ti),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd),ニオブ(Nb)等が挙げられる。いずれにせよ、金属層12は、電解めっきの電極として機能し得るような材料であることを要する。
【0010】
図1(B)に示される工程では、例えばポリスチレンより成る多数のプラスチック粒子14が、金属層12上に並べられる。本実施例におけるプラスチック粒子14は、粒径が2ミクロン程度の球状の粒子である。このようなプラスチック粒子14については、市販のものを利用することが可能である。作製する微細パターンに依存して、例えば粒径が約20nmのような、更に小さな粒子を使用することも可能である。プラスチック粒子14を並べるには、先ず、このような多数のプラスチック粒子14を体積分率0.01で充填した溶液が作製される。次に、この溶液中に前記金属層12を投入し、それを引き上げることで、プラスチック粒子14を六方最密形式で(図2参照)金属層12に付着させることが可能になる。ただし、プラスチック粒子14が適切に付着するように、膜成長近傍の溶媒の蒸発速度、粒子の充填率、及び基板の引き上げ速度等を適切に制御することを要する。
【0011】
図1(C)に示される工程では、プラスチック粒子14をマスクとし、金属層12を電極とする電解めっきが行われる。本実施例では、クロム(Cr)を含む溶液(クロムめっき液エンパイクロム90(W.Cannig社))に、基板を浸す。この電解めっきを行うことで、プラスチック粒子14どうしの隙間及び金属層12上に、金属(Cr)16が析出する。電解めっきは、この析出する金属16の高さがプラスチック粒子14の半径程度(本実施例では1μm)になるまで行われる。より一般的には、析出する金属16の高さが、プラスチック粒子の半分以下であるように、電解めっきが行われる。
【0012】
図1(D)に示される工程では、例えばジクロロメタン又はキシレンである有機溶剤に基板が浸され、プラスチック粒子14が溶解し、除去される。有機溶剤としては、プラスチック粒子14を溶解するが、析出した金属は溶解しない性質を有する任意のものを利用することが可能である。また、この工程におけるプラスチック粒子の溶解及び除去を促進させるため、超音波による振動を溶液に加えることも有利である。プラスチック粒子14が除去されると、金属層12上に、半球状の凹部18が形成される。
【0013】
析出する金属16の高さは、適切なエッチング処理を行うことで、調整する(すなわち減少させる)ことが可能である。その高さを減少させることは、半球状の凹部18の領域を広げることを意味する(図3参照)。本実施例では、析出する金属16はクロムであるので、例えば、硝酸第2セリウムアンモニウム、過塩素酸及び水を含むエッチング液で、その高さを減少させることが可能である。また、析出する金属16がアルミニウムであれば、硝酸、燐酸及びシュウ酸を含むエッチング液で、高さを減少させることが可能である。析出する金属16が錫であれば、塩酸を含むエッチング液で、高さを減少させることが可能である。いずれにせよ、金属層12に対するエッチングレートが小さい選択比の大きいエッチング液を利用することで、めっきの高さを減少させることが可能である。
【0014】
図1(D)に示される工程に続いて、電界めっき凸部16の全面を酸化し、凹部18の側面どうしを互いに電気的に分離することが有意義である。たとえば、図4に示されるように、析出した金属16及び金属層12上に酸化膜20を成膜し、各凹部18に、強磁性材料22を付着させると、極めて緻密な配列の磁気メモリ領域を形成することが可能になる。酸化膜20としては、例えば、析出した金属16がクロムを含むものであれば酸化クロム(CrO)を、析出した金属16がアルミニウムを含むものであればアルミナ(Al2O3)を形成することが可能である。強磁性材料22としては、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)等がある。また、市販されている粒子の中には、プラスチック粒子14に利用可能なものだけでなく、上記の強磁性材料22に利用可能なものもある。そのような微小な粒径を有する強磁性材料の粒子を、例えばスピンコート等の手法で凹部に堆積させることで、上記の強磁性材料22による領域を形成することが可能である。
【0015】
なお、本実施例では、電解めっきを行うことで、微細パターンを規定する金属を析出させたが、このことは本発明に必須ではなく、それを無電解めっきで形成することも可能である。プラスチック粒子14どうしの隙間、及びプラスチック粒子14の下地層の上に所定の金属を析出させることができればよいからである。 ただし、プラスチック粒子と下地層との間に緻密に効果的に金属を充填するには、電解めっきが有利である。
【0016】
以上のようにして作成される多数の半球状の凹部により、六方最密形式で均一かつ広範囲に整列した微細パターンを得ることが可能になる。微細パターンの作成される領域は、プラスチック粒子14を整列させる領域に相当するので、非常に広い領域にすることが可能である。粒径のばらつきの少ないプラスチック粒子14及び有機溶剤等は、比較的安価に入手することが可能であるので、本願実施例による方法は低コストで実行することが可能である。
【0017】
[第2実施例]
図5及び図6は、本願実施例による微細パターンの母型を作成する方法の主要な工程図を示す。図5(A)に示される工程では、先ず、図1(D)に示されるような構造が用意される。すなわち、例えばガラス基板のような基板10上に、金属層12が成膜され、その金属層12上には、六方最密形式で整列した半球状の凹部18を規定する金属16が形成されている。本実施例では、ガラス基板である基板10上に、300nmの膜厚の銅が、蒸着法により成膜されている。また、めっき液としては硫酸銅(CuSO4)が使用され、析出した金属16は銅(Cu)より成る。
【0018】
図5(B)に示される工程では、析出した金属16及び金属層12上に、白金(Pt)より成る薄膜24が形成される。薄膜24は、0.2μmの膜厚で蒸着法により成膜されるが、他の成膜法で形成することも可能である。薄膜24の膜厚は、微細パターンの凹凸形状が失われない程度に薄い厚さである。
【0019】
図5(C)に示される工程では、ニッケルより成る材料層26が、例えば50μmの膜厚で成膜される。材料層26の材料は、微細パターンの母型となり得る程度に硬いものであることを条件に、様々な材料を選択することが可能である。例えば、本実施例では、微細パターンの転写される材料としてアルミニウムが想定されているので、母型はそれよりも硬いニッケルが採用されている。
【0020】
図6に示される工程では、図5(A)で用意した構造が除去される。先ず、ガラス基板である基板10は、例えば5%のフッ酸(HF)溶液でエッチングされ除去される。銅で形成された微細パターン16は、例えば塩酸(HCl)のような酸でエッチングされ除去される。その結果、微細パターンの母型26が得られる。
【0021】
第1実施例にて説明したように、微細パターンは、六方最密形式で広範囲に整列した多数の半球状の凹型の形状を有するので、この微細パターンを転写して形成される母型は、六方最密形式で広範囲に整列した多数の半球状の凸型の形状を備えることが可能になる。
【0022】
なお、薄膜24は、母型自体を作成する観点からは必須ではないが、材料の化学エッチングの選択性(本実施例では、銅とニッケル)の観点から、薄膜24を設けている。
【0023】
以下、本発明が教示する手段を列挙する。
【0024】
(付記1)所定の基板上に、多数のプラスチック粒子を配列させる配列工程と、
前記基板上及び前記プラスチック粒子どうしの隙間に、所定の金属元素を析出させるめっき工程と、
前記プラスチック粒子を有機溶剤に溶解させる工程
を有することを特徴とする微細パターンの形成方法。
【0025】
(付記2)前記基板上には所定の金属元素より成る金属層が形成されており、前記めっき工程が、前記金属層を電極とする電解めっき工程より成ることを特徴とする付記1記載の微細パターンの形成方法。
【0026】
(付記3)前記金属元素が、金(Au),銅(Cu),錫(Sn),鉛(Pd),鉄(Fe),白金(Pt),コバルト(Co),ケイ素(Si),アルミニウム(Al),クロム(Cr),タングステン(W),モリブデン(Mo),チタン(Ti),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd)又はニオブ(Nb)より成ることを特徴とする付記2記載の微細パターンの形成方法。
【0027】
(付記4)前記プラスチック粒子がポリスチレンより成り、前記有機溶剤がジクロロメタン又はキシレンより成ることを特徴とする付記1記載の微細パターンの形成方法。
【0028】
(付記5)前記配列工程において、前記プラスチック粒子が六方最密充填形式に平面状に配列されることを特徴とする付記1記載の微細パターンの形成方法。
【0029】
(付記6)前記めっき工程における所定の金属元素が、クロム(Cr)より成ることを特徴とする付記1記載の微細パターンの形成方法。
【0030】
(付記7)更に、エッチング処理を行うことで、析出した金属の高さを調整する工程より成ることを特徴とする付記1記載の微細パターンの形成方法。
【0031】
(付記8)前記エッチング処理に使用されるエッチング液が、硝酸第二セリウムアンモニウム、過塩素酸及び水より成ることを特徴とする付記7記載の微細パターンの形成方法。
【0032】
(付記9)更に、前記プラスチック粒子が除去されることによって形成された多数の凸部を酸化させる工程より成ることを特徴とする付記1記載の微細パターンの形成方法。
【0033】
(付記10)更に、前記プラスチック粒子が除去されることによって形成された凹部に、磁性材料を付着させる工程より成ることを特徴とする付記1記載の微細パターンの形成方法。
【0034】
(付記11)付記1記載の方法により形成された微細パターンを有する金属層上に、前記所定の金属元素とは異なる金属元素より成る材料層を、所定の厚さに形成する工程と、
前記金属層を除去する工程
より成ることを特徴とする前記微細パターンの母型を作成する方法。
【0035】
(付記12)前記めっき工程にて析出される金属に銅(Cu)が含まれることを特徴とする付記11記載の方法。
【0036】
(付記13)前記材料層が、ニッケル(Ni)より成ることを特徴とする付記11記載の方法。
【0037】
(付記14)前記微細パターン上に、白金(Pt)より成る薄膜が成膜された後に、前記材料層が形成されることを特徴とする付記11記載の方法。
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、従来よりも広い領域に均一かつ高密度に形成された凹凸形状を有する微細構造パターン及びその母型を形成することが可能になる。また、そのような微細構造パターン及びその母型を安価に形成することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願実施例による微細パターンを形成する方法の主要な工程図を示す。
【図2】図2は、プラスチック粒子を六方最密形式に配列した場合の平面図を示す。
【図3】図3は、析出した金属にエッチング処理を施した様子を示す図である。
【図4】図4は、微細パターン内の凹部に磁性材料を充填した様子を示す図である。
【図5】図5は、本願実施例による微細パターンの母型を作成する方法の主要な工程図(その1)を示す。
【図6】図6は、本願実施例による微細パターンの母型を作成する方法の主要な工程図(その2)を示す。
【符号の説明】
10 基板
12 金属層
14 プラスチック粒子
16 析出した金属
18 半球状凹部
20 酸化膜
22 磁性材料
24 薄膜
26 材料層
Claims (5)
- 所定の基板上に、多数のプラスチック粒子を配列させる配列工程と、
前記基板上及び前記プラスチック粒子どうしの隙間に、所定の金属元素を析出させるめっき工程と、
前記プラスチック粒子を有機溶剤に溶解させる工程
を有することを特徴とする微細パターンの形成方法。 - 前記基板上には所定の金属元素より成る金属層が形成されており、前記めっき工程が、前記金属層を電極とする電解めっき工程より成ることを特徴とする請求項1記載の微細パターンの形成方法。
- 前記配列工程において、前記プラスチック粒子が六方最密充填形式に平面状に配列されることを特徴とする請求項1記載の微細パターンの形成方法。
- 更に、前記プラスチック粒子が除去されることによって形成された凹部に、磁性材料を付着させる工程より成ることを特徴とする請求項1記載の微細パターンの形成方法。
- 請求項1記載の方法により形成された微細パターンを有する金属層上に、前記所定の金属元素とは異なる金属元素より成る材料層を、所定の厚さに形成する工程と、
前記金属層を除去する工程
より成ることを特徴とする前記微細パターンの母型を作成する方法。
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