JP2004237687A - フィルム積層体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水蒸気透過率の低いフィルム積層体を提供する。
【解決手段】プラスチックフィルム製基材層に接して平坦化層を積層し、その上に無機化合物層を積層してなるフィルム積層体において、積層側面の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が50nm以下であるようにする。
【選択図】 なし
【解決手段】プラスチックフィルム製基材層に接して平坦化層を積層し、その上に無機化合物層を積層してなるフィルム積層体において、積層側面の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が50nm以下であるようにする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水蒸気バリア性を向上させたフィルム積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プラスチックフィルムを基材とした積層体(本発明においては、単に「フィルム積層体」と呼称することがある)の表面に酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機化合物層を形成したフィルム積層体は水蒸気バリア性フィルムとして、湿気すなわち水分を嫌う食品包装、医薬品包装などの包装用途に広く用いられている。
【0003】
また包装用途以外にも、水蒸気バリア性フィルム積層体は液晶表示素子、タッチパネル、エレクトロルミネッセンス表示素子などに使用する透明導電性基板の一部としても用いられている。これは表示素子が水分を嫌うためであり、水蒸気透過率の小さいフィルム積層体が望まれているのである。
【0004】
これらのフィルム積層体に関し、水蒸気透過率を低減させることを目的として数々の改良検討がなされている。例えば、基材の硬さを規定したもの(たとえば特許文献1参照。)、無機化合物層の粒状を規定したもの(たとえば特許文献2参照。)、基材を構成するプラスチックフィルムの表面粗さを規定したもの(たとえば特許文献3参照。)、無機化合物層の比重を規定したもの(たとえば特許文献4参照。)、基材を構成するプラスチックフィルムの表面凹凸と表面処理後の表面凹凸の比を規定したもの(たとえば特許文献5参照。)などが存在し、また基材を構成するプラスチックフィルムと薄膜との密着性向上のためにアンカーコートを施したもの(たとえば特許文献6参照。)が存在する。
【0005】
プラスチックフィルム表面に無機化合物を積層させ、水蒸気透過率を低減させる手法について、これまでに無機薄膜作製プロセスの改善やプラスチックフィルムを構成する樹脂の組成の最適化などの検討が行われてきた。しかるにこれら検討において作製したフィルム積層体についてその水蒸気透過率を測定したところ、包装用途が必要とする水蒸気透過率は達成可能であるものの、表示素子が必要とする水蒸気透過率のレベルを達成することはできなかった。
【0006】
この課題に対しては、フィルム表面に存在する凹凸構造が問題であると広く認識されてきた。そして、このような観点から、凹凸構造の少ないフィルムの作製法については従前より多くの検討がなされており、製膜時のフィルムの脈流の低減、巻取りドラムの平坦化、フィルムの延伸、溶液キャスト法の導入など各種改良がなされてきたが、水蒸気透過率の目標を達成できていないのが現状である。
【0007】
上記フィルム積層体に用いるプラスチックフィルムは、たとえば無延伸フィルムであれば原料樹脂を溶媒に溶解させてその溶液をTダイより押出し、キャスティングベルト上にて溶媒を揮発させることで得られる。あるいは原料樹脂を加熱して融解させてTダイより押出し、冷却ドラムにて巻き取ることでも作製できる。またインフレーション法でも作製できる。延伸フィルムであればこれらの方法で得られたフィルムをガラス転移温度以上に適宜加熱して延伸することによって得られる。また、ガラス転移温度以上への加熱を行わずに、いわゆる冷延伸工程にてフィルムを作製することもできる。
【0008】
フィルム表面のうち、キャスト面に接触していた側の表面は、延伸フィルムであっても無延伸フィルムであっても、表示素子が必要とする水蒸気透過率のレベルを達成するに足る平坦性を保持していないことが見出された。
【0009】
キャスト面とは溶融化あるいは溶液化したフィルム原料をキャストするキャスティングベルトや冷却ドラムの平坦な面のことである。この面は金属等の平板、あるいは円筒等を各種手法で研磨して表面の凹凸を軽減することで作製される。しかしながらキャスト面に残存する凹凸の大きさは、研磨粒子の大きさよりも小さくはならない。研磨粒子のサイズについては酸化ケイ素の場合で0.01μm以下の極微小粒が製造され、市販品での入手も可能であるが、これのみを用いての研磨が容易ではないこと、また、経時変化によって当初の平坦性を保持しつづけることが難しいこともあって、十分な平坦性を維持することは困難である。
【0010】
キャスト法でプラスチックフィルムを作製する工程においては原料樹脂または原料樹脂溶液をキャスト面に接触させるため、キャスト面の凹凸形状がプラスチックフィルム面に転写される。これに対し、この面とは反対側の面は、表面張力や各種収縮等によって自然形成された平坦面(以下エア面と称する)となることがわかった。
【0011】
たとえば、ビスフェノールA構造を骨格に持つポリカーボネートを290℃にて溶融し、Tダイより押出し、5℃に冷却したドラムにて巻き取って厚さ120μmのフィルムを作製したところ、プラスチックフィルムを製造する際にキャスト面に接触した面には高さ5nmないし50nmで長さ50〜150μmの筋状凹凸構造が多数観察されたが、フィルムのエア面にはこの筋状凹凸構造が確認されなかった。
【0012】
また例えばポリエチレンテレフタレートを2軸押出し機にて270℃に加熱してTダイより押出し、5℃に冷却したドラムにて巻取って無延伸フィルムを成形し、このフィルムを200℃に加熱し、縦横それぞれ3倍に延伸したのちに220℃にて熱固定し、2軸延伸フィルムを作製したところ、プラスチックフィルムを製造する際にキャスト面に接触した面には高さ5nmないし15nmで、長さが50nm〜150nmで同様の筋状凹凸構造が確認された。これらのプラスチックフィルムを製造する際にキャスト面に接触した面に多数観察されたこの筋状凹凸構造は、キャスト面の研磨痕を転写したものと考えられる。
【0013】
これらのプラスチックフィルムを使用してフィルム積層体を製造する際にフィルムのエア面に金属酸化物を積層したフィルム積層体では、バリア性の高いフィルム積層体が得られたが、キャスト面に接触した面に直接に酸化アルミニウム、酸化珪素などの金属酸化物を積層させたフィルム積層体を作製し、水蒸気透過率を測定したところ、十分な水蒸気バリア性は得られなかった。すなわち、フィルムの表面に存在する特定の凹凸構造が、金属酸化物層の均一な製膜の障害となっていることが判明した。また延伸フィルムを用いた場合でも、通常行われる高々5倍以内の延伸では、この筋状凹凸構造が充分には解消されないことが判明した。
【0014】
このように、プラスチックフィルム製基材層の積層側面に上記したような筋状凹凸構造があると、表示素子が必要とする水蒸気透過率のレベルを達成するに足る平坦性を実現するための障碍となる。
【0015】
【特許文献1】
特開2001−096661号公報(特許請求の範囲)
【0016】
【特許文献2】
特開平9−076400号公報(特許請求の範囲)
【0017】
【特許文献3】
特開平3−176123号公報(特許請求の範囲)
【0018】
【特許文献4】
特開平5−186622号公報(特許請求の範囲)
【0019】
【特許文献5】
特開平10−244601号公報(特許請求の範囲)
【0020】
【特許文献6】
特開平3−086539号公報(特許請求の範囲)
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決し、水蒸気透過率を低減させた良好なフィルム積層体を提供することを目的とする。
【0022】
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様によれば、プラスチックフィルム製基材層に接して平坦化層を積層し、その上に無機化合物層を積層してなるフィルム積層体において、積層側面の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が50nm以下であるフィルム積層体が提供される。
【0024】
本発明の他の一態様によれば、プラスチックフィルム製基材層に接して平坦化層を積層し、その上に無機化合物層を積層するフィルム積層体の製造方法において、プラスチックフィルム製基材層の積層側面について、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値を評価する、フィルム積層体の製造方法が提供される。
【0025】
本発明のさらに他の一態様によれば、プラスチックフィルム製基材層に接して平坦化層を積層し、その上に無機化合物層を積層するフィルム積層体の製造方法において、当該プラスチックフィルム製基材層として、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が50nm以下である面を積層側面として使用できるプラスチックフィルムを使用する、フィルム積層体の製造方法が提供される。
【0026】
これらの発明により、水蒸気透過率の低いフィルム積層体が得られる。
【0027】
プラスチックフィルム製基材層の積層側面が幅5〜20μm、長さ50〜150μmの筋状凹凸を含むこと、平坦化層が、プラスチックフィルムと実質的に同一種の材料よりなること、プラスチックフィルムがキャスト法により製造されたものであり、プラスチックフィルム製基材層の積層側面が、当該プラスチックフィルムを製造する際にキャスト面に接触した面であること、平坦化層の厚さが、プラスチックフィルム製基材層の積層側面の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値の2倍以上であること、平坦化層について、基材層の積層側面と接する側の面ではない方の面(平坦化層の基材層非接触面)の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が10nm以下であること、無機化合物層の厚さが、平坦化層の基材層非接触面の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値の3倍以上であること、が好ましい。プラスチックフィルム製基材層の積層側面や平坦化層についての凹凸のピークツーバレーの最大値は、それぞれ、平坦化層や無機化合物層の積層前の値であっても、積層後の値であってもよい。
【0028】
さらに、うねりが40.00/mmより大きな空間周期の成分からなるうねりであること、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が、偶発的凹凸成分を除外したものであること、無機化合物層が、ケイ素、アルミニウム、インジウム、スズ、亜鉛、チタンおよびタンタルからなる群の内の少なくともいずれか1つの金属の酸化物、窒化物、酸窒化物、またはこれらの混合物を主成分とすること、が好ましい。
【0029】
また、無機化合物層を、ケイ素、アルミニウム、インジウム、スズ、亜鉛、チタンおよびタンタルからなる群の内の少なくともいずれか1つの金属の酸化物、窒化物、酸窒化物、またはこれらの混合物を主成分として用い、マグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、加熱蒸着法、ゾル−ゲル法、高周波誘導加熱法よりなる群の内のいずれか一つの方法で積層して形成することが好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を表や実施例等を使用して説明する。なお、これらの表や実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0031】
プラスチックフィルム製基材層に接して平坦化層を積層し、その上に無機化合物層を積層してなるフィルム積層体において、フィルム基材層の積層側面の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が50nm以下であると、水蒸気透過率が低いフィルム積層体を実現できる。
【0032】
本発明に係るプラスチックフィルム製基材層で平坦化層を積層する方の側面は、プラスチックフィルム製基材層の両面のうち、いずれか一方でもよく、両方であってもよいが、、溶液キャスト法でプラスチックフィルムを作製する場合には、フィルムを担持するベルトと接する側の面であるほうが好ましい。溶液キャスト法の場合、フィルムの表面のうちフィルムを担持するベルトと接する側の面の方が、接していない側の面よりもより高いピークツーバレー値を有し、これがガスバリア性のバラつきの原因の1つとなり得るからである。上記ピークツーバレーの最大値は、平坦化層を作成する前に測定した値を使用することができる。
【0033】
本発明に係るフィルム積層体の基材層に使用するプラスチックフィルムとしては、実質的に透明であることが非常に好ましい。またフィルム積層体の透明性を損なわない範囲であれば、可塑剤、フィラー、紫外線吸収剤、酸化防止剤、易接着剤、易滑材、着色剤などの添加剤を加えることができる。なお、これらの添加剤の発揮する機能は、本発明に係るフィルム積層体に他の層を積層することによって実現してもよい。
【0034】
基材層の製造法は、公知のどのような方法でも良いが、特に溶融樹脂または樹脂液をキャストする方法が好ましい。キャスト法としては、溶融押出し製膜法、溶液キャスト製膜法を例示することができる。無延伸フィルムでも、延伸フィルムでも良い。なお、用途によっては、透明でなくともよい場合もあり、そのような場合には、添加剤等についても透明性に対する制限は不要である。
【0035】
プラスチックフィルムとして使用できる材料としては特に制限はないが、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルサルホン、光硬化性アクリル重合体等を挙げることができる。ポリカーボネートとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン構造(ビスフェノールA構造)を骨格構造に持つポリカーボネートやビスクレゾールフルオレン構造とビスフェノールA構造とを骨格構造に持つポリカーボネートが特に好ましい。ビスクレゾールフルオレン構造とビスフェノールA構造とを骨格構造に持つポリカーボネートは、高いガラス転移温度を有するがゆえにプラスチックフィルムの耐熱性に優れ、透明導電基板などの用途においてより好ましく用いられる。なお、ビスクレゾールフルオレン構造および2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン構造とは、ビスクレゾールフルオレンや2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの両端の−OHが−O−となった構造を意味する。
【0036】
平坦化層の組成は、密着性、湿熱耐久性、透明性など、用途から要求される物性を満たすものから自由に選択することができる。たとえばポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、シリコン樹脂、アルキルチタネート、およびこれらの変性樹脂などを使用することができる。
【0037】
平坦化層が、プラスチックフィルムと実質的に同一種の材料よりなると、剥離、反りあるいは界面反射などの問題を回避できることも容易になり、好ましい。
【0038】
プラスチックフィルムと実質的に同一種の材料よりなる平坦化層を使用することにより、プラスチックフィルムとの化学的、物理的親和性が高くなり、これにより平坦化が容易に可能となり、より低い水蒸気透過率が実現できるものと推察される。また、線膨張係数の相違に起因する反りや剥離、屈折率の相違による界面反射などの問題が回避できるものと推察される。
【0039】
なお、本発明に係る「プラスチックフィルムと実質的に同一種の材料よりなる平坦化層」とは、平坦化層を形成する材料が、プラスチックフィルムを形成する材料と、同一またはほぼ同一の化学組成を有し、化学的、物理的特性が同一またはほぼ同一であることを意味する。たとえば、プラスチックフィルムが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを芳香族ジヒドロキシ化合物としてなる芳香族ポリカーボネートを使用する場合に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの一部を他のジヒドロキシ化合物で置き換え、ビスクレゾールフルオレンとビスフェノールAとを芳香族ジヒドロキシ化合物としてなる芳香族ポリカーボネートよりなる場合に、平坦化層を形成する材料として、同じ割合のビスクレゾールフルオレンと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとを芳香族ジヒドロキシ化合物としてなる芳香族ポリカーボネートを使用する場合や、その割合を変更したもの、芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を1,4−シクロヘキサンジメタノール等の他のジヒドロキシ化合物で置き換えた共重合体を使用する場合を例示することができる。実質的に同一種であるか否かやほぼ同一の化学組成を有しているかどうか、化学的、物理的特性がほぼ同一であるかどうかは、実際にフィルム積層体を作製し、平坦性、剥離性、反り等を評価することによって、本発明の目的に適合するかどうかにより、適宜定めることができる。一般的に、プラスチックフィルムを形成する材料に対して20重量%程度まで共重合比を変更させたもの、あるいは10重量%までのその他の共重合成分あるいは添加剤を加えたものが適する。
【0040】
なお、本発明に係る平坦化層とは、プラスチックフィルム製基材層の積層面の表面より平坦な面を実現するための層を意味する。具体的な平坦化の程度は、実情に応じて決めることができる。具体的な平坦化の好ましい程度については後述する。
【0041】
本発明においては、プラスチックフィルムがキャスト法により製造されたものであり、プラスチックフィルム製基材層の積層側面が、積層側面の凹凸のうち、うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸も除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が50nm以下であることが重要である。
【0042】
本発明における「面の凹凸のピークツーバレーの最大値」とは、ある表面上の所定面積について表面凹凸を測定した場合の、凸部分頂部の高さの内最大の値と凹部分底部の深さの内最大の値との差を意味する。
【0043】
この値には被測定表面のうねりや反りなどの成分も含み得るものであるが、本発明に述べる方法においてはこれらや場合によっては偶発的凹凸も除外して評価する。なお、本発明における「うねり」には、上記反りも含まれる。
【0044】
本発明の検討の過程で、プラスチックフィルムの表面に存在する凹凸に大きくは3つのグループが存在することが見いだされた。1つめはいわゆる「うねり」であり、2つめが筋状凹凸構造、そして3つめが突発的に発生する凹凸である。
【0045】
1つめの「うねり」は相対的に大きな空間周期を持っており、主にプラスチックフィルムが樹脂製であることに由来するものである。具体的に言うならば、基材を構成するプラスチックフィルムの作製に際して、たとえば溶融押出し製膜法において樹脂が凝固する過程で起こる収縮に起因するうねりがこれに該当し、あるいは、溶液キャスト製膜法において、溶液の粘稠性による展性不足で生じる塗りムラによって発生する塗布方向に伸びる筋ムラなどに起因するうねりもまたこれに該当する。なお、後述する平坦化層の塗布の場合にも「うねり」が発生し得る。この場合はロールコータによって発生する塗布方向に伸びる筋ムラなどに起因するうねりである。本発明において、平坦化層の凹凸を論じる場合には、このようなうねりも考慮の対象となる。
【0046】
溶液キャスト法で作製したポリカーボネートフィルムの場合は、面内周期でおよそ50μm、高さ方向がおよそ50nmのうねりが存在した。しかしながら、このうねりは水蒸気バリア性に対して影響するものではないことが判明した。
【0047】
2つめの凹凸は筋状凹凸構造であり、本発明に密接な関係を有する。この筋状凹凸構造は、主に基材を構成するプラスチックフィルムを製造する際にキャスト面に接触したフィルム面にキャスト面の凹凸が転写されることに由来するもので、高さが10nmないしは50nm、フィルム面内方向には幅5μmないしは20μm、長さ50μmないし150μmの大きさを持っている。
【0048】
無機化合物層を積層する場合には、この筋状凹凸構造が存在すると製膜においてシャドウ効果を引き起こし、無機化合物層を均一に製膜することができないため、水蒸気バリア性の芳しくないフィルム積層体となる。
【0049】
3つめの偶発的凹凸は、電気的ノイズ等に起因するものであり、本来的に凹凸の評価からは除外すべきものである。この偶発的凹凸も本発明の目的とする水蒸気透過率には大きく影響しないことが判明した。これらは、形状が異常であったり、異常に大きな突起であったりすることから、上記二つのグループから区別することは、経験等により容易である。
【0050】
すなわち、基材を構成するプラスチックフィルムの保持する凹凸は、空間周期の大きい方より、うねり、筋状凹凸構造、本来的に凹凸の評価から除外すべき偶発的凹凸の3つのグループに分類でき、そのうち、2つ目のグループが水蒸気バリア性の向上に重要な因子であることから、うねり成分を除外し、場合によっては偶発的凹凸も除外した筋状凹凸構造を評価の対象とすべきことが判明した。
【0051】
しかしながら、従来の表面凹凸の数値化においては、うねりと筋状凹凸構造とが複合した曲面が区別されず評価されていた。また、本来的に凹凸の評価から除外すべき偶発的凹凸も評価から除外されていない場合が多かった。表面凹凸値と水蒸気バリア性との間に明確な相関性が得られない場合が多く見られたのはこのためであろうと推察される。
【0052】
これまでは、上記観点から見れば必ずしも適切ではない表面凹凸値を採用している場合が多く見られた。たとえば、表面粗さの平均的数値を示すRa、Rq、Rmsといった数値は、「うねり」に強く影響され、Rz、Rpといった最大数値を示す数値は偶発的凹凸に強く影響されるものであり、水蒸気バリア性への影響を判断する基準としては必ずしも適切ではない。
【0053】
表面の粗さの測定は通常市販されている原子間力顕微鏡、あるいは光学干渉式顕微鏡にて行うことができる。
【0054】
うねりと筋状凹凸構造との分離について検討した結果、表面凹凸の測定データについて、フーリエ変換によって周波数分解を行い、不必要な周波数成分を除去することでこれを分離できることが判明した。このフーリエ変換は市販の解析ソフトあるいは測定機器に附属する解析ソフトによって行うことができる。例えば、Veeco社製光学干渉式顕微鏡WYCO(R)NT3300で測定を行うならば、附属する解析ソフトをそのまま用いることができる。
【0055】
例えば表面凹凸の測定では、約190μm×約250μmの面積を測定した凹凸像について2次元傾き補正処理を行った後、測定値についてHigh Pass Filterを使用し、そのカットオフ周波数を設定することにより、設定した周波数以下の成分をうねりに相当する不必要な周波数成分として除去することができる。High Pass Filterでのカットオフ周波数は任意に設定でき、たとえば、フィルム積層体を試作し、その水蒸気バリア性との相関性を見て適宜定めることができる。本発明の目的に対しては1mmあたり40周期、すなわち40.00/mmに設定するのが好ましい。このようにして得られたフィルタリングの残りの波は表面の筋状凹凸構造と偶発的凹凸から構成されることになる。
【0056】
ここから偶発的凹凸の成分を除去するのにはLow Pass Filterを使用することもできるが、偶発的凹凸の発生箇所が測定面積内で占める割合が小さいため、凹凸の高さ分布のヒストグラムを用いることで、充分な確度で処理を行うことができる。たとえば、具体的には凹凸の高さ分布のヒストグラムの上位2.5%以内と下位2.5%以内をカットし、残りの95%領域の高さ方向の差をもって筋状凹凸構造の凹凸とすることができる。
【0057】
このようにして面の凹凸のうち、うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸も除外した凹凸を得ることができる。
【0058】
面の凹凸のうち、うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸も除外した凹凸のピークツーバレーの最大値とは、上記のようにして得た表面凹凸について、凸部分頂部の高さの内最大の値と凹部分底部の深さの内最大の値との差を意味する。具体的には、たとえばJIS B0601−1994に規定される最大高さ(Ry)を使用することもできる。この値が50nm以下であることが好ましい。
【0059】
この値が50nm以下であると、平坦化層の平坦化効果が発揮し易く、ひいては水蒸気バリアー性がばらつき少なく良好に発揮し易くなる。
【0060】
なお、面の凹凸のうち、うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸も除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が50nm以下である要件は、プラスチックフィルム製基材層の積層側面の任意の部分で成立すればよいが、たとえば、生産の1ロットについて数点以上測定すれば、フィルム積層体の製品全体の信頼性が向上するため、好ましい。
【0061】
上記の凹凸の評価は、プラスチックフィルム製基材層の積層側面が幅5〜20μm、長さ50〜150μmの筋状凹凸を含む場合に有用である。上記したように、このような筋状凹凸の存在が水蒸気バリアー性向上の阻害因子となっており、このような場合には、基材層を構成するプラスチックフィルムの製造方法の移管を問わず、本発明を適用すると効果が大きいからである。
【0062】
基材層を構成するプラスチックフィルムがキャスト法により製造されたものである場合は、プラスチックフィルム製基材層の積層側面が、当該プラスチックフィルムを製造する際にキャスト面に接触した面であることが好ましい。このような場合に本発明の効果が発揮し易いからである。
【0063】
本発明に係る平坦化層の厚さは、本発明の目的を阻害しない範囲であれば限定されるものではないが、フィルム表面の筋状凹凸構造を充分に軽減することを目的とするものであり、ある程度の厚さを有することが好ましい。具体的には、平坦化層の厚さが、プラスチックフィルム製基材層の積層側面の凹凸のうち、うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸も除外した凹凸のピークツーバレーの最大値の2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましい。
【0064】
この平坦化層の厚さは、上記ピークツーバレー値を測定したのと同一のフィルム積層体ロットについて測定したものであれば、どのような方法によったものでもよい。具体的には、1ロットについて数点以上測定し、その平均値として求めれば十分である。測定したピークツーバレーの最大値が複数ある場合には、そのうちの最大の値の2倍または3倍以上とすればよい。
【0065】
積層された平坦化層については、基材層の積層側面と接する側の面ではない方の面(平坦化層の基材層非接触面)の凹凸のうち、うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸も除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。
【0066】
平坦化層の上に積層する無機化合物層の厚さとしては、平坦化層の基材層非接触面の凹凸のうち、うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸も除外した凹凸のピークツーバレーの最大値の3倍以上であることが好ましい。無機薄膜の積層において筋状凹凸構造がフィルム表面でシャドウ効果を引き起こし、無機薄膜が積層されない部分が発生してしまう場合があるが、無機薄膜を上記のようにすると、このシャドウ効果の影響を実質的に除外できるからである。
【0067】
この無機化合物層の厚さは、上記ピークツーバレー値を測定したのと同一のフィルム積層体ロットについて測定したものであれば、どのような方法によったものでもよい。具体的には、1ロットについて数点以上測定し、その平均値として求めれば十分である。測定したピークツーバレーの最大値が複数ある場合には、そのうちの最大の値の3倍以上とすればよい。
【0068】
無機化合物層については、金属の酸化物、窒化物、酸窒化物等を用いることができる。具体的にはアルミニウム、ケイ素、亜鉛、インジウム、スズ、チタン、タンタルの酸化物、窒化物、あるいは酸窒化物を用いることができるが、水蒸気バリア性と透明性、並びに安価であることから工業的には酸化アルミニウム、酸化ケイ素がより好適に用いられる。無機化合物層の厚さは、連続膜を作製するには10nm以上の厚さを持つことが好ましく、また反りの発生やひび割れ発生防止の点で200nm以下の厚さとすることが好ましい。通例としては20〜40nmの厚さが多く用いられる。
【0069】
本発明に係るフィルム積層体の製造方法では、プラスチックフィルム製基材層に接して平坦化層を積層し、その上に無機化合物層を積層するフィルム積層体の製造方法において、プラスチックフィルム製基材層の積層側面について、うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸成分も除外した凹凸のピークツーバレーの最大値を評価する。このような評価をたとえば基材層を構成するプラスチックフィルムの選択基準とすることによって、ばらつきの少ない水蒸気バリア性を有するフィルム積層体を製造することができる。具体的には、上記うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸成分も除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が50nm以下である面を積層側面として使用できるプラスチックフィルムを使用することが好ましい。このような方法により、上記した本発明に係るフィルム積層体を製造することにより、水蒸気透過率を低減させた良好なフィルム積層体を安定的に製造することが可能となる。なお、フィルム積層体を製造するに当たっては、ピークツーバレーの最大値は、平坦化層を積層する前のプラスチックフィルム製基材層や、無機化合物層を積層する前の平坦化層についての値として扱うことができる。
【0070】
平坦化層は、樹脂溶液を塗布することにより積層することができる。樹脂溶液を塗布する方法については特に限定はなく、ロールコーター、グラビアコーター、スピンコーターなどの公知の方法を使用することができる。
【0071】
無機酸化物層の作製については公知の手法を用いることができる。具体例としてはマグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、加熱蒸着法、ゾル−ゲル法、高周波誘導加熱法等を採用できる。
【0072】
無機化合物層を作製する原料としては、通常、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物等が好適に用いられる。具体的には、ケイ素、アルミニウム、インジウム、スズ、亜鉛、チタンおよびタンタルからなる群の内の少なくともいずれか1つの金属の酸化物、窒化物、酸窒化物、またはこれらの混合物を主成分とすることが好ましい。なお、本発明の趣旨に反しない限り、他の成分が共存していてもよい。水蒸気バリア性と透明性、並びに安価という点においては、工業的には酸化アルミニウム、酸化ケイ素がより好適に用いられる。
【0073】
本発明で得られるフィルム積層体は高い水蒸気バリア性を有し、水分の透過を嫌う、食品包装用途、医薬品包装用途に好適に用いることができる。また水蒸気透過率の低い透明基板を必要とする、液晶ディスプレー、エレクトロルミネッセンスディスプレー、電子ペーパーなど、各種表示素子の材料として、単独であるいはフィルム積層体上に透明導電膜や保護層、易接着層、易滑層などとともに積層した形で、あるいはこれらを附属させた形で使用することができる。
【0074】
【実施例】
以下本発明の内容および効果を実施例によりさらに説明する。以下の実施例におけるフィルムの測定及び評価の方法は以下の通りである。
【0075】
<面の凹凸のピークツーバレーの最大値の測定>
光学干渉式顕微鏡として、Veeco社製Wyco(登録商標)NT3300を使用し、PSIモードで、面の凹凸を、187.5μm×246.6μmの面積について、サンプリング間隔335.47nmで、736×480カ所測定した。測定する箇所はサンプル中から一カ所任意に選択した。なお、測定は、基材層については、平坦化層を積層する前、平坦化層については、無機化合物層形成前に行った。
【0076】
測定した凹凸像について2次元ティルト処理を行った後、High Passフィルター処理を行って、40.00/mmより大きな空間周期の成分からなるうねり成分を取り除き、凹凸の高さ分布のヒストグラムから、突発的異常に起因する偶発的凹凸を取り除いた。具体的には高さが100nm以上の成分を除外した。その後、凸部分頂部の高さの内最大の値と凹部分底部の深さの内最大の値との差を得た。
【0077】
測定を5回繰り返し、凸部分頂部の高さの内最大の値と凹部分底部の深さの内最大の値との差の五つの値の平均値を、本発明に係る面の凹凸のピークツーバレーの最大値とした。
【0078】
<平坦化層の厚さ>
コート層に用いる樹脂について、その屈折率をアッべ屈折計にて測定した。溶媒に溶解させた樹脂溶液を用いて、実施例のフィルム積層体を作製する場合と同じ条件で、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にコート層を作成した。コート層を施したフィルムについて分光スペクトルを測定し、その測定結果を株式会社スペクトラ・コープ製の解析ソフトAspect Plus Thicknessを用いて膜厚を算出した。
【0079】
<無機化合物層の厚さ>
実施例及び比較例により得られたフィルム積層体から蛍光X線分析装置によって金属原子の積層量を測定し、その量を酸化ケイ素膜の厚さに換算した。
【0080】
<水蒸気透過率>
水蒸気透過率測定装置、MOCON社製Permatran−W1を使用して温度40℃相対湿度100%の条件下で測定した。本測定において水蒸気透過率が0.1g/(m2・24h)以下となったものについて水蒸気バリア性良好と判断した。
【0081】
[実施例1]
アミノプロピルトリメトキシシランとオルガノシランとを混合し、ブタノール、酢酸、1−メトキシ−2−プロパノール、蒸留水を補助剤として添加して樹脂溶液を作成した。ビスフェノールA構造を骨格に持つポリカーボネートを290℃に加熱して融解させ、Tダイより押出し、5℃に冷却したドラムにて巻き取ってフィルムを製膜した。
【0082】
このプラスチックフィルムを基材層として、フィルム製造時にキャスト面に接触した面に、スピンコート法で上記樹脂溶液を塗布した後に130℃の温浴槽にて2分間加熱し、厚さ300nmの平坦化層を作製した。
【0083】
この平坦化層表面に無機化合物層として酸化ケイ素膜をアルゴンスパッタリング法にて30nmの厚さで製膜した。
【0084】
[実施例2]
無機化合物として酸化アルミニウムをイオンプレーティング法で製膜した以外は実施例1と同様な方法でフィルム積層体を得た。
【0085】
[実施例3]
1−メトキシ−2−プロパノールで希釈した日本ポリウレタン工業社製コロネートLを含む熱硬化性ウレタン樹脂溶液の混合物を平坦化液として用い、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)の表面に厚さ100nmの平坦化層を施し、該平坦化層表面に酸化ケイ素膜を蒸着法にて30nmの厚さで製膜した以外は実施例1と同様にしてフィルム積層体を得た。
【0086】
[実施例4]
ポリエチレンナフタレートを溶融押出し法にて製膜し、逐次2軸延伸機にて延伸して得たフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様な方法でフィルム積層体を得た。
【0087】
[比較例1]
平坦化層を設けず、直接、基材層に無機化合物層として酸化ケイ素膜をアルゴンスパッタリング法にて30nmの厚さで製膜した以外は実施例1と同様にしてフィルム積層体を得た。
【0088】
[比較例2]
溶液キャスト法に用いるキャスティングベルトについて、粒子径1.0μmの微粒アルミナ研磨粒子(日本軽金属株式会社製A32)にて表面を粗化し、ビスフェノールAを骨格に持つポリカーボネートをジクロロメタンに溶解させて、溶液キャスト法にてポリカーボネートフィルムを得た。このフィルムの製造時にキャスト面に接触した面に、実施例1に用いた平坦化層を用いて厚さ100μmの平坦化層を作製し、この平坦化層表面に無機酸化物層として酸化タンタルをアルゴンスパッタリング法にて30nmの厚さで製膜し、フィルム積層体を得た。
【0089】
[比較例3]
比較例2と同様の方法にて得たポリカーボネートフィルムについて、1−メトキシ−2−プロパノールで希釈した日本ポリウレタン工業社製コロネートLを含む熱硬化性ポリウレタン樹脂溶液の混合物を平坦化液として用い、厚さ100nmの平坦化層を施した。該平坦化層表面に酸化ケイ素膜を蒸着法にて9nmの厚さで製膜し、フィルム積層体を得た。
【0090】
上記例の結果を表1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
【発明の効果】
本発明により、水蒸気透過率の低いフィルム積層体が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水蒸気バリア性を向上させたフィルム積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プラスチックフィルムを基材とした積層体(本発明においては、単に「フィルム積層体」と呼称することがある)の表面に酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機化合物層を形成したフィルム積層体は水蒸気バリア性フィルムとして、湿気すなわち水分を嫌う食品包装、医薬品包装などの包装用途に広く用いられている。
【0003】
また包装用途以外にも、水蒸気バリア性フィルム積層体は液晶表示素子、タッチパネル、エレクトロルミネッセンス表示素子などに使用する透明導電性基板の一部としても用いられている。これは表示素子が水分を嫌うためであり、水蒸気透過率の小さいフィルム積層体が望まれているのである。
【0004】
これらのフィルム積層体に関し、水蒸気透過率を低減させることを目的として数々の改良検討がなされている。例えば、基材の硬さを規定したもの(たとえば特許文献1参照。)、無機化合物層の粒状を規定したもの(たとえば特許文献2参照。)、基材を構成するプラスチックフィルムの表面粗さを規定したもの(たとえば特許文献3参照。)、無機化合物層の比重を規定したもの(たとえば特許文献4参照。)、基材を構成するプラスチックフィルムの表面凹凸と表面処理後の表面凹凸の比を規定したもの(たとえば特許文献5参照。)などが存在し、また基材を構成するプラスチックフィルムと薄膜との密着性向上のためにアンカーコートを施したもの(たとえば特許文献6参照。)が存在する。
【0005】
プラスチックフィルム表面に無機化合物を積層させ、水蒸気透過率を低減させる手法について、これまでに無機薄膜作製プロセスの改善やプラスチックフィルムを構成する樹脂の組成の最適化などの検討が行われてきた。しかるにこれら検討において作製したフィルム積層体についてその水蒸気透過率を測定したところ、包装用途が必要とする水蒸気透過率は達成可能であるものの、表示素子が必要とする水蒸気透過率のレベルを達成することはできなかった。
【0006】
この課題に対しては、フィルム表面に存在する凹凸構造が問題であると広く認識されてきた。そして、このような観点から、凹凸構造の少ないフィルムの作製法については従前より多くの検討がなされており、製膜時のフィルムの脈流の低減、巻取りドラムの平坦化、フィルムの延伸、溶液キャスト法の導入など各種改良がなされてきたが、水蒸気透過率の目標を達成できていないのが現状である。
【0007】
上記フィルム積層体に用いるプラスチックフィルムは、たとえば無延伸フィルムであれば原料樹脂を溶媒に溶解させてその溶液をTダイより押出し、キャスティングベルト上にて溶媒を揮発させることで得られる。あるいは原料樹脂を加熱して融解させてTダイより押出し、冷却ドラムにて巻き取ることでも作製できる。またインフレーション法でも作製できる。延伸フィルムであればこれらの方法で得られたフィルムをガラス転移温度以上に適宜加熱して延伸することによって得られる。また、ガラス転移温度以上への加熱を行わずに、いわゆる冷延伸工程にてフィルムを作製することもできる。
【0008】
フィルム表面のうち、キャスト面に接触していた側の表面は、延伸フィルムであっても無延伸フィルムであっても、表示素子が必要とする水蒸気透過率のレベルを達成するに足る平坦性を保持していないことが見出された。
【0009】
キャスト面とは溶融化あるいは溶液化したフィルム原料をキャストするキャスティングベルトや冷却ドラムの平坦な面のことである。この面は金属等の平板、あるいは円筒等を各種手法で研磨して表面の凹凸を軽減することで作製される。しかしながらキャスト面に残存する凹凸の大きさは、研磨粒子の大きさよりも小さくはならない。研磨粒子のサイズについては酸化ケイ素の場合で0.01μm以下の極微小粒が製造され、市販品での入手も可能であるが、これのみを用いての研磨が容易ではないこと、また、経時変化によって当初の平坦性を保持しつづけることが難しいこともあって、十分な平坦性を維持することは困難である。
【0010】
キャスト法でプラスチックフィルムを作製する工程においては原料樹脂または原料樹脂溶液をキャスト面に接触させるため、キャスト面の凹凸形状がプラスチックフィルム面に転写される。これに対し、この面とは反対側の面は、表面張力や各種収縮等によって自然形成された平坦面(以下エア面と称する)となることがわかった。
【0011】
たとえば、ビスフェノールA構造を骨格に持つポリカーボネートを290℃にて溶融し、Tダイより押出し、5℃に冷却したドラムにて巻き取って厚さ120μmのフィルムを作製したところ、プラスチックフィルムを製造する際にキャスト面に接触した面には高さ5nmないし50nmで長さ50〜150μmの筋状凹凸構造が多数観察されたが、フィルムのエア面にはこの筋状凹凸構造が確認されなかった。
【0012】
また例えばポリエチレンテレフタレートを2軸押出し機にて270℃に加熱してTダイより押出し、5℃に冷却したドラムにて巻取って無延伸フィルムを成形し、このフィルムを200℃に加熱し、縦横それぞれ3倍に延伸したのちに220℃にて熱固定し、2軸延伸フィルムを作製したところ、プラスチックフィルムを製造する際にキャスト面に接触した面には高さ5nmないし15nmで、長さが50nm〜150nmで同様の筋状凹凸構造が確認された。これらのプラスチックフィルムを製造する際にキャスト面に接触した面に多数観察されたこの筋状凹凸構造は、キャスト面の研磨痕を転写したものと考えられる。
【0013】
これらのプラスチックフィルムを使用してフィルム積層体を製造する際にフィルムのエア面に金属酸化物を積層したフィルム積層体では、バリア性の高いフィルム積層体が得られたが、キャスト面に接触した面に直接に酸化アルミニウム、酸化珪素などの金属酸化物を積層させたフィルム積層体を作製し、水蒸気透過率を測定したところ、十分な水蒸気バリア性は得られなかった。すなわち、フィルムの表面に存在する特定の凹凸構造が、金属酸化物層の均一な製膜の障害となっていることが判明した。また延伸フィルムを用いた場合でも、通常行われる高々5倍以内の延伸では、この筋状凹凸構造が充分には解消されないことが判明した。
【0014】
このように、プラスチックフィルム製基材層の積層側面に上記したような筋状凹凸構造があると、表示素子が必要とする水蒸気透過率のレベルを達成するに足る平坦性を実現するための障碍となる。
【0015】
【特許文献1】
特開2001−096661号公報(特許請求の範囲)
【0016】
【特許文献2】
特開平9−076400号公報(特許請求の範囲)
【0017】
【特許文献3】
特開平3−176123号公報(特許請求の範囲)
【0018】
【特許文献4】
特開平5−186622号公報(特許請求の範囲)
【0019】
【特許文献5】
特開平10−244601号公報(特許請求の範囲)
【0020】
【特許文献6】
特開平3−086539号公報(特許請求の範囲)
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決し、水蒸気透過率を低減させた良好なフィルム積層体を提供することを目的とする。
【0022】
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様によれば、プラスチックフィルム製基材層に接して平坦化層を積層し、その上に無機化合物層を積層してなるフィルム積層体において、積層側面の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が50nm以下であるフィルム積層体が提供される。
【0024】
本発明の他の一態様によれば、プラスチックフィルム製基材層に接して平坦化層を積層し、その上に無機化合物層を積層するフィルム積層体の製造方法において、プラスチックフィルム製基材層の積層側面について、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値を評価する、フィルム積層体の製造方法が提供される。
【0025】
本発明のさらに他の一態様によれば、プラスチックフィルム製基材層に接して平坦化層を積層し、その上に無機化合物層を積層するフィルム積層体の製造方法において、当該プラスチックフィルム製基材層として、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が50nm以下である面を積層側面として使用できるプラスチックフィルムを使用する、フィルム積層体の製造方法が提供される。
【0026】
これらの発明により、水蒸気透過率の低いフィルム積層体が得られる。
【0027】
プラスチックフィルム製基材層の積層側面が幅5〜20μm、長さ50〜150μmの筋状凹凸を含むこと、平坦化層が、プラスチックフィルムと実質的に同一種の材料よりなること、プラスチックフィルムがキャスト法により製造されたものであり、プラスチックフィルム製基材層の積層側面が、当該プラスチックフィルムを製造する際にキャスト面に接触した面であること、平坦化層の厚さが、プラスチックフィルム製基材層の積層側面の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値の2倍以上であること、平坦化層について、基材層の積層側面と接する側の面ではない方の面(平坦化層の基材層非接触面)の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が10nm以下であること、無機化合物層の厚さが、平坦化層の基材層非接触面の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値の3倍以上であること、が好ましい。プラスチックフィルム製基材層の積層側面や平坦化層についての凹凸のピークツーバレーの最大値は、それぞれ、平坦化層や無機化合物層の積層前の値であっても、積層後の値であってもよい。
【0028】
さらに、うねりが40.00/mmより大きな空間周期の成分からなるうねりであること、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が、偶発的凹凸成分を除外したものであること、無機化合物層が、ケイ素、アルミニウム、インジウム、スズ、亜鉛、チタンおよびタンタルからなる群の内の少なくともいずれか1つの金属の酸化物、窒化物、酸窒化物、またはこれらの混合物を主成分とすること、が好ましい。
【0029】
また、無機化合物層を、ケイ素、アルミニウム、インジウム、スズ、亜鉛、チタンおよびタンタルからなる群の内の少なくともいずれか1つの金属の酸化物、窒化物、酸窒化物、またはこれらの混合物を主成分として用い、マグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、加熱蒸着法、ゾル−ゲル法、高周波誘導加熱法よりなる群の内のいずれか一つの方法で積層して形成することが好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を表や実施例等を使用して説明する。なお、これらの表や実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0031】
プラスチックフィルム製基材層に接して平坦化層を積層し、その上に無機化合物層を積層してなるフィルム積層体において、フィルム基材層の積層側面の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が50nm以下であると、水蒸気透過率が低いフィルム積層体を実現できる。
【0032】
本発明に係るプラスチックフィルム製基材層で平坦化層を積層する方の側面は、プラスチックフィルム製基材層の両面のうち、いずれか一方でもよく、両方であってもよいが、、溶液キャスト法でプラスチックフィルムを作製する場合には、フィルムを担持するベルトと接する側の面であるほうが好ましい。溶液キャスト法の場合、フィルムの表面のうちフィルムを担持するベルトと接する側の面の方が、接していない側の面よりもより高いピークツーバレー値を有し、これがガスバリア性のバラつきの原因の1つとなり得るからである。上記ピークツーバレーの最大値は、平坦化層を作成する前に測定した値を使用することができる。
【0033】
本発明に係るフィルム積層体の基材層に使用するプラスチックフィルムとしては、実質的に透明であることが非常に好ましい。またフィルム積層体の透明性を損なわない範囲であれば、可塑剤、フィラー、紫外線吸収剤、酸化防止剤、易接着剤、易滑材、着色剤などの添加剤を加えることができる。なお、これらの添加剤の発揮する機能は、本発明に係るフィルム積層体に他の層を積層することによって実現してもよい。
【0034】
基材層の製造法は、公知のどのような方法でも良いが、特に溶融樹脂または樹脂液をキャストする方法が好ましい。キャスト法としては、溶融押出し製膜法、溶液キャスト製膜法を例示することができる。無延伸フィルムでも、延伸フィルムでも良い。なお、用途によっては、透明でなくともよい場合もあり、そのような場合には、添加剤等についても透明性に対する制限は不要である。
【0035】
プラスチックフィルムとして使用できる材料としては特に制限はないが、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルサルホン、光硬化性アクリル重合体等を挙げることができる。ポリカーボネートとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン構造(ビスフェノールA構造)を骨格構造に持つポリカーボネートやビスクレゾールフルオレン構造とビスフェノールA構造とを骨格構造に持つポリカーボネートが特に好ましい。ビスクレゾールフルオレン構造とビスフェノールA構造とを骨格構造に持つポリカーボネートは、高いガラス転移温度を有するがゆえにプラスチックフィルムの耐熱性に優れ、透明導電基板などの用途においてより好ましく用いられる。なお、ビスクレゾールフルオレン構造および2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン構造とは、ビスクレゾールフルオレンや2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの両端の−OHが−O−となった構造を意味する。
【0036】
平坦化層の組成は、密着性、湿熱耐久性、透明性など、用途から要求される物性を満たすものから自由に選択することができる。たとえばポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、シリコン樹脂、アルキルチタネート、およびこれらの変性樹脂などを使用することができる。
【0037】
平坦化層が、プラスチックフィルムと実質的に同一種の材料よりなると、剥離、反りあるいは界面反射などの問題を回避できることも容易になり、好ましい。
【0038】
プラスチックフィルムと実質的に同一種の材料よりなる平坦化層を使用することにより、プラスチックフィルムとの化学的、物理的親和性が高くなり、これにより平坦化が容易に可能となり、より低い水蒸気透過率が実現できるものと推察される。また、線膨張係数の相違に起因する反りや剥離、屈折率の相違による界面反射などの問題が回避できるものと推察される。
【0039】
なお、本発明に係る「プラスチックフィルムと実質的に同一種の材料よりなる平坦化層」とは、平坦化層を形成する材料が、プラスチックフィルムを形成する材料と、同一またはほぼ同一の化学組成を有し、化学的、物理的特性が同一またはほぼ同一であることを意味する。たとえば、プラスチックフィルムが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを芳香族ジヒドロキシ化合物としてなる芳香族ポリカーボネートを使用する場合に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの一部を他のジヒドロキシ化合物で置き換え、ビスクレゾールフルオレンとビスフェノールAとを芳香族ジヒドロキシ化合物としてなる芳香族ポリカーボネートよりなる場合に、平坦化層を形成する材料として、同じ割合のビスクレゾールフルオレンと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとを芳香族ジヒドロキシ化合物としてなる芳香族ポリカーボネートを使用する場合や、その割合を変更したもの、芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を1,4−シクロヘキサンジメタノール等の他のジヒドロキシ化合物で置き換えた共重合体を使用する場合を例示することができる。実質的に同一種であるか否かやほぼ同一の化学組成を有しているかどうか、化学的、物理的特性がほぼ同一であるかどうかは、実際にフィルム積層体を作製し、平坦性、剥離性、反り等を評価することによって、本発明の目的に適合するかどうかにより、適宜定めることができる。一般的に、プラスチックフィルムを形成する材料に対して20重量%程度まで共重合比を変更させたもの、あるいは10重量%までのその他の共重合成分あるいは添加剤を加えたものが適する。
【0040】
なお、本発明に係る平坦化層とは、プラスチックフィルム製基材層の積層面の表面より平坦な面を実現するための層を意味する。具体的な平坦化の程度は、実情に応じて決めることができる。具体的な平坦化の好ましい程度については後述する。
【0041】
本発明においては、プラスチックフィルムがキャスト法により製造されたものであり、プラスチックフィルム製基材層の積層側面が、積層側面の凹凸のうち、うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸も除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が50nm以下であることが重要である。
【0042】
本発明における「面の凹凸のピークツーバレーの最大値」とは、ある表面上の所定面積について表面凹凸を測定した場合の、凸部分頂部の高さの内最大の値と凹部分底部の深さの内最大の値との差を意味する。
【0043】
この値には被測定表面のうねりや反りなどの成分も含み得るものであるが、本発明に述べる方法においてはこれらや場合によっては偶発的凹凸も除外して評価する。なお、本発明における「うねり」には、上記反りも含まれる。
【0044】
本発明の検討の過程で、プラスチックフィルムの表面に存在する凹凸に大きくは3つのグループが存在することが見いだされた。1つめはいわゆる「うねり」であり、2つめが筋状凹凸構造、そして3つめが突発的に発生する凹凸である。
【0045】
1つめの「うねり」は相対的に大きな空間周期を持っており、主にプラスチックフィルムが樹脂製であることに由来するものである。具体的に言うならば、基材を構成するプラスチックフィルムの作製に際して、たとえば溶融押出し製膜法において樹脂が凝固する過程で起こる収縮に起因するうねりがこれに該当し、あるいは、溶液キャスト製膜法において、溶液の粘稠性による展性不足で生じる塗りムラによって発生する塗布方向に伸びる筋ムラなどに起因するうねりもまたこれに該当する。なお、後述する平坦化層の塗布の場合にも「うねり」が発生し得る。この場合はロールコータによって発生する塗布方向に伸びる筋ムラなどに起因するうねりである。本発明において、平坦化層の凹凸を論じる場合には、このようなうねりも考慮の対象となる。
【0046】
溶液キャスト法で作製したポリカーボネートフィルムの場合は、面内周期でおよそ50μm、高さ方向がおよそ50nmのうねりが存在した。しかしながら、このうねりは水蒸気バリア性に対して影響するものではないことが判明した。
【0047】
2つめの凹凸は筋状凹凸構造であり、本発明に密接な関係を有する。この筋状凹凸構造は、主に基材を構成するプラスチックフィルムを製造する際にキャスト面に接触したフィルム面にキャスト面の凹凸が転写されることに由来するもので、高さが10nmないしは50nm、フィルム面内方向には幅5μmないしは20μm、長さ50μmないし150μmの大きさを持っている。
【0048】
無機化合物層を積層する場合には、この筋状凹凸構造が存在すると製膜においてシャドウ効果を引き起こし、無機化合物層を均一に製膜することができないため、水蒸気バリア性の芳しくないフィルム積層体となる。
【0049】
3つめの偶発的凹凸は、電気的ノイズ等に起因するものであり、本来的に凹凸の評価からは除外すべきものである。この偶発的凹凸も本発明の目的とする水蒸気透過率には大きく影響しないことが判明した。これらは、形状が異常であったり、異常に大きな突起であったりすることから、上記二つのグループから区別することは、経験等により容易である。
【0050】
すなわち、基材を構成するプラスチックフィルムの保持する凹凸は、空間周期の大きい方より、うねり、筋状凹凸構造、本来的に凹凸の評価から除外すべき偶発的凹凸の3つのグループに分類でき、そのうち、2つ目のグループが水蒸気バリア性の向上に重要な因子であることから、うねり成分を除外し、場合によっては偶発的凹凸も除外した筋状凹凸構造を評価の対象とすべきことが判明した。
【0051】
しかしながら、従来の表面凹凸の数値化においては、うねりと筋状凹凸構造とが複合した曲面が区別されず評価されていた。また、本来的に凹凸の評価から除外すべき偶発的凹凸も評価から除外されていない場合が多かった。表面凹凸値と水蒸気バリア性との間に明確な相関性が得られない場合が多く見られたのはこのためであろうと推察される。
【0052】
これまでは、上記観点から見れば必ずしも適切ではない表面凹凸値を採用している場合が多く見られた。たとえば、表面粗さの平均的数値を示すRa、Rq、Rmsといった数値は、「うねり」に強く影響され、Rz、Rpといった最大数値を示す数値は偶発的凹凸に強く影響されるものであり、水蒸気バリア性への影響を判断する基準としては必ずしも適切ではない。
【0053】
表面の粗さの測定は通常市販されている原子間力顕微鏡、あるいは光学干渉式顕微鏡にて行うことができる。
【0054】
うねりと筋状凹凸構造との分離について検討した結果、表面凹凸の測定データについて、フーリエ変換によって周波数分解を行い、不必要な周波数成分を除去することでこれを分離できることが判明した。このフーリエ変換は市販の解析ソフトあるいは測定機器に附属する解析ソフトによって行うことができる。例えば、Veeco社製光学干渉式顕微鏡WYCO(R)NT3300で測定を行うならば、附属する解析ソフトをそのまま用いることができる。
【0055】
例えば表面凹凸の測定では、約190μm×約250μmの面積を測定した凹凸像について2次元傾き補正処理を行った後、測定値についてHigh Pass Filterを使用し、そのカットオフ周波数を設定することにより、設定した周波数以下の成分をうねりに相当する不必要な周波数成分として除去することができる。High Pass Filterでのカットオフ周波数は任意に設定でき、たとえば、フィルム積層体を試作し、その水蒸気バリア性との相関性を見て適宜定めることができる。本発明の目的に対しては1mmあたり40周期、すなわち40.00/mmに設定するのが好ましい。このようにして得られたフィルタリングの残りの波は表面の筋状凹凸構造と偶発的凹凸から構成されることになる。
【0056】
ここから偶発的凹凸の成分を除去するのにはLow Pass Filterを使用することもできるが、偶発的凹凸の発生箇所が測定面積内で占める割合が小さいため、凹凸の高さ分布のヒストグラムを用いることで、充分な確度で処理を行うことができる。たとえば、具体的には凹凸の高さ分布のヒストグラムの上位2.5%以内と下位2.5%以内をカットし、残りの95%領域の高さ方向の差をもって筋状凹凸構造の凹凸とすることができる。
【0057】
このようにして面の凹凸のうち、うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸も除外した凹凸を得ることができる。
【0058】
面の凹凸のうち、うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸も除外した凹凸のピークツーバレーの最大値とは、上記のようにして得た表面凹凸について、凸部分頂部の高さの内最大の値と凹部分底部の深さの内最大の値との差を意味する。具体的には、たとえばJIS B0601−1994に規定される最大高さ(Ry)を使用することもできる。この値が50nm以下であることが好ましい。
【0059】
この値が50nm以下であると、平坦化層の平坦化効果が発揮し易く、ひいては水蒸気バリアー性がばらつき少なく良好に発揮し易くなる。
【0060】
なお、面の凹凸のうち、うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸も除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が50nm以下である要件は、プラスチックフィルム製基材層の積層側面の任意の部分で成立すればよいが、たとえば、生産の1ロットについて数点以上測定すれば、フィルム積層体の製品全体の信頼性が向上するため、好ましい。
【0061】
上記の凹凸の評価は、プラスチックフィルム製基材層の積層側面が幅5〜20μm、長さ50〜150μmの筋状凹凸を含む場合に有用である。上記したように、このような筋状凹凸の存在が水蒸気バリアー性向上の阻害因子となっており、このような場合には、基材層を構成するプラスチックフィルムの製造方法の移管を問わず、本発明を適用すると効果が大きいからである。
【0062】
基材層を構成するプラスチックフィルムがキャスト法により製造されたものである場合は、プラスチックフィルム製基材層の積層側面が、当該プラスチックフィルムを製造する際にキャスト面に接触した面であることが好ましい。このような場合に本発明の効果が発揮し易いからである。
【0063】
本発明に係る平坦化層の厚さは、本発明の目的を阻害しない範囲であれば限定されるものではないが、フィルム表面の筋状凹凸構造を充分に軽減することを目的とするものであり、ある程度の厚さを有することが好ましい。具体的には、平坦化層の厚さが、プラスチックフィルム製基材層の積層側面の凹凸のうち、うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸も除外した凹凸のピークツーバレーの最大値の2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましい。
【0064】
この平坦化層の厚さは、上記ピークツーバレー値を測定したのと同一のフィルム積層体ロットについて測定したものであれば、どのような方法によったものでもよい。具体的には、1ロットについて数点以上測定し、その平均値として求めれば十分である。測定したピークツーバレーの最大値が複数ある場合には、そのうちの最大の値の2倍または3倍以上とすればよい。
【0065】
積層された平坦化層については、基材層の積層側面と接する側の面ではない方の面(平坦化層の基材層非接触面)の凹凸のうち、うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸も除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。
【0066】
平坦化層の上に積層する無機化合物層の厚さとしては、平坦化層の基材層非接触面の凹凸のうち、うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸も除外した凹凸のピークツーバレーの最大値の3倍以上であることが好ましい。無機薄膜の積層において筋状凹凸構造がフィルム表面でシャドウ効果を引き起こし、無機薄膜が積層されない部分が発生してしまう場合があるが、無機薄膜を上記のようにすると、このシャドウ効果の影響を実質的に除外できるからである。
【0067】
この無機化合物層の厚さは、上記ピークツーバレー値を測定したのと同一のフィルム積層体ロットについて測定したものであれば、どのような方法によったものでもよい。具体的には、1ロットについて数点以上測定し、その平均値として求めれば十分である。測定したピークツーバレーの最大値が複数ある場合には、そのうちの最大の値の3倍以上とすればよい。
【0068】
無機化合物層については、金属の酸化物、窒化物、酸窒化物等を用いることができる。具体的にはアルミニウム、ケイ素、亜鉛、インジウム、スズ、チタン、タンタルの酸化物、窒化物、あるいは酸窒化物を用いることができるが、水蒸気バリア性と透明性、並びに安価であることから工業的には酸化アルミニウム、酸化ケイ素がより好適に用いられる。無機化合物層の厚さは、連続膜を作製するには10nm以上の厚さを持つことが好ましく、また反りの発生やひび割れ発生防止の点で200nm以下の厚さとすることが好ましい。通例としては20〜40nmの厚さが多く用いられる。
【0069】
本発明に係るフィルム積層体の製造方法では、プラスチックフィルム製基材層に接して平坦化層を積層し、その上に無機化合物層を積層するフィルム積層体の製造方法において、プラスチックフィルム製基材層の積層側面について、うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸成分も除外した凹凸のピークツーバレーの最大値を評価する。このような評価をたとえば基材層を構成するプラスチックフィルムの選択基準とすることによって、ばらつきの少ない水蒸気バリア性を有するフィルム積層体を製造することができる。具体的には、上記うねりを除外し、場合によっては偶発的凹凸成分も除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が50nm以下である面を積層側面として使用できるプラスチックフィルムを使用することが好ましい。このような方法により、上記した本発明に係るフィルム積層体を製造することにより、水蒸気透過率を低減させた良好なフィルム積層体を安定的に製造することが可能となる。なお、フィルム積層体を製造するに当たっては、ピークツーバレーの最大値は、平坦化層を積層する前のプラスチックフィルム製基材層や、無機化合物層を積層する前の平坦化層についての値として扱うことができる。
【0070】
平坦化層は、樹脂溶液を塗布することにより積層することができる。樹脂溶液を塗布する方法については特に限定はなく、ロールコーター、グラビアコーター、スピンコーターなどの公知の方法を使用することができる。
【0071】
無機酸化物層の作製については公知の手法を用いることができる。具体例としてはマグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、加熱蒸着法、ゾル−ゲル法、高周波誘導加熱法等を採用できる。
【0072】
無機化合物層を作製する原料としては、通常、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物等が好適に用いられる。具体的には、ケイ素、アルミニウム、インジウム、スズ、亜鉛、チタンおよびタンタルからなる群の内の少なくともいずれか1つの金属の酸化物、窒化物、酸窒化物、またはこれらの混合物を主成分とすることが好ましい。なお、本発明の趣旨に反しない限り、他の成分が共存していてもよい。水蒸気バリア性と透明性、並びに安価という点においては、工業的には酸化アルミニウム、酸化ケイ素がより好適に用いられる。
【0073】
本発明で得られるフィルム積層体は高い水蒸気バリア性を有し、水分の透過を嫌う、食品包装用途、医薬品包装用途に好適に用いることができる。また水蒸気透過率の低い透明基板を必要とする、液晶ディスプレー、エレクトロルミネッセンスディスプレー、電子ペーパーなど、各種表示素子の材料として、単独であるいはフィルム積層体上に透明導電膜や保護層、易接着層、易滑層などとともに積層した形で、あるいはこれらを附属させた形で使用することができる。
【0074】
【実施例】
以下本発明の内容および効果を実施例によりさらに説明する。以下の実施例におけるフィルムの測定及び評価の方法は以下の通りである。
【0075】
<面の凹凸のピークツーバレーの最大値の測定>
光学干渉式顕微鏡として、Veeco社製Wyco(登録商標)NT3300を使用し、PSIモードで、面の凹凸を、187.5μm×246.6μmの面積について、サンプリング間隔335.47nmで、736×480カ所測定した。測定する箇所はサンプル中から一カ所任意に選択した。なお、測定は、基材層については、平坦化層を積層する前、平坦化層については、無機化合物層形成前に行った。
【0076】
測定した凹凸像について2次元ティルト処理を行った後、High Passフィルター処理を行って、40.00/mmより大きな空間周期の成分からなるうねり成分を取り除き、凹凸の高さ分布のヒストグラムから、突発的異常に起因する偶発的凹凸を取り除いた。具体的には高さが100nm以上の成分を除外した。その後、凸部分頂部の高さの内最大の値と凹部分底部の深さの内最大の値との差を得た。
【0077】
測定を5回繰り返し、凸部分頂部の高さの内最大の値と凹部分底部の深さの内最大の値との差の五つの値の平均値を、本発明に係る面の凹凸のピークツーバレーの最大値とした。
【0078】
<平坦化層の厚さ>
コート層に用いる樹脂について、その屈折率をアッべ屈折計にて測定した。溶媒に溶解させた樹脂溶液を用いて、実施例のフィルム積層体を作製する場合と同じ条件で、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にコート層を作成した。コート層を施したフィルムについて分光スペクトルを測定し、その測定結果を株式会社スペクトラ・コープ製の解析ソフトAspect Plus Thicknessを用いて膜厚を算出した。
【0079】
<無機化合物層の厚さ>
実施例及び比較例により得られたフィルム積層体から蛍光X線分析装置によって金属原子の積層量を測定し、その量を酸化ケイ素膜の厚さに換算した。
【0080】
<水蒸気透過率>
水蒸気透過率測定装置、MOCON社製Permatran−W1を使用して温度40℃相対湿度100%の条件下で測定した。本測定において水蒸気透過率が0.1g/(m2・24h)以下となったものについて水蒸気バリア性良好と判断した。
【0081】
[実施例1]
アミノプロピルトリメトキシシランとオルガノシランとを混合し、ブタノール、酢酸、1−メトキシ−2−プロパノール、蒸留水を補助剤として添加して樹脂溶液を作成した。ビスフェノールA構造を骨格に持つポリカーボネートを290℃に加熱して融解させ、Tダイより押出し、5℃に冷却したドラムにて巻き取ってフィルムを製膜した。
【0082】
このプラスチックフィルムを基材層として、フィルム製造時にキャスト面に接触した面に、スピンコート法で上記樹脂溶液を塗布した後に130℃の温浴槽にて2分間加熱し、厚さ300nmの平坦化層を作製した。
【0083】
この平坦化層表面に無機化合物層として酸化ケイ素膜をアルゴンスパッタリング法にて30nmの厚さで製膜した。
【0084】
[実施例2]
無機化合物として酸化アルミニウムをイオンプレーティング法で製膜した以外は実施例1と同様な方法でフィルム積層体を得た。
【0085】
[実施例3]
1−メトキシ−2−プロパノールで希釈した日本ポリウレタン工業社製コロネートLを含む熱硬化性ウレタン樹脂溶液の混合物を平坦化液として用い、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)の表面に厚さ100nmの平坦化層を施し、該平坦化層表面に酸化ケイ素膜を蒸着法にて30nmの厚さで製膜した以外は実施例1と同様にしてフィルム積層体を得た。
【0086】
[実施例4]
ポリエチレンナフタレートを溶融押出し法にて製膜し、逐次2軸延伸機にて延伸して得たフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様な方法でフィルム積層体を得た。
【0087】
[比較例1]
平坦化層を設けず、直接、基材層に無機化合物層として酸化ケイ素膜をアルゴンスパッタリング法にて30nmの厚さで製膜した以外は実施例1と同様にしてフィルム積層体を得た。
【0088】
[比較例2]
溶液キャスト法に用いるキャスティングベルトについて、粒子径1.0μmの微粒アルミナ研磨粒子(日本軽金属株式会社製A32)にて表面を粗化し、ビスフェノールAを骨格に持つポリカーボネートをジクロロメタンに溶解させて、溶液キャスト法にてポリカーボネートフィルムを得た。このフィルムの製造時にキャスト面に接触した面に、実施例1に用いた平坦化層を用いて厚さ100μmの平坦化層を作製し、この平坦化層表面に無機酸化物層として酸化タンタルをアルゴンスパッタリング法にて30nmの厚さで製膜し、フィルム積層体を得た。
【0089】
[比較例3]
比較例2と同様の方法にて得たポリカーボネートフィルムについて、1−メトキシ−2−プロパノールで希釈した日本ポリウレタン工業社製コロネートLを含む熱硬化性ポリウレタン樹脂溶液の混合物を平坦化液として用い、厚さ100nmの平坦化層を施した。該平坦化層表面に酸化ケイ素膜を蒸着法にて9nmの厚さで製膜し、フィルム積層体を得た。
【0090】
上記例の結果を表1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
【発明の効果】
本発明により、水蒸気透過率の低いフィルム積層体が得られる。
Claims (21)
- プラスチックフィルム製基材層に接して平坦化層を積層し、その上に無機化合物層を積層してなるフィルム積層体において、
積層側面の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が50nm以下である、
フィルム積層体。 - 前記プラスチックフィルム製基材層の積層側面が幅5〜20μm、長さ50〜150μmの筋状凹凸を含む、請求項1に記載のフィルム積層体。
- 前記平坦化層が、前記プラスチックフィルムと実質的に同一種の材料よりなる、
請求項1または2に記載のフィルム積層体。 - 前記プラスチックフィルムがキャスト法により製造されたものであり、
前記プラスチックフィルム製基材層の積層側面が、当該プラスチックフィルムを製造する際にキャスト面に接触した面である、
請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム積層体。 - 前記平坦化層の厚さが、前記プラスチックフィルム製基材層の積層側面の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値の2倍以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム積層体。
- 前記平坦化層について、前記基材層の積層側面と接する側の面ではない方の面(平坦化層の基材層非接触面)の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が10nm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム積層体。
- 前記無機化合物層の厚さが、前記平坦化層の基材層非接触面の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値の3倍以上である、請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム積層体。
- 前記うねりが40.00/mmより大きな空間周期の成分からなるうねりである、
請求項1〜7のいずれかに記載のフィルム積層体。 - うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が、偶発的凹凸成分を除外したものである、
請求項1〜8のいずれかに記載のフィルム積層体。 - 前記無機化合物層が、ケイ素、アルミニウム、インジウム、スズ、亜鉛、チタンおよびタンタルからなる群の内の少なくともいずれか1つの金属の酸化物、窒化物、酸窒化物、またはこれらの混合物を主成分とする、請求項1〜9のいずれかに記載のフィルム積層体。
- プラスチックフィルム製基材層に接して平坦化層を積層し、その上に無機化合物層を積層するフィルム積層体の製造方法において、
当該プラスチックフィルム製基材層の積層側面について、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値を評価する、
フィルム積層体の製造方法。 - プラスチックフィルム製基材層に接して平坦化層を積層し、その上に無機化合物層を積層するフィルム積層体の製造方法において、
当該プラスチックフィルム製基材層として、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が50nm以下である面を積層側面として使用できるプラスチックフィルムを使用する、
フィルム積層体の製造方法。 - 前記プラスチックフィルムがキャスト法により製造されたものであり、
前記プラスチックフィルム製基材層の積層側面が、当該プラスチックフィルムを製造する際にキャスト面に接触した面である、
請求項11または12に記載のフィルム積層体の製造方法。 - 前記プラスチックフィルム製基材層の積層側面が幅5〜20μm、長さ50〜150μmの筋状凹凸を含む、請求項11〜13のいずれかに記載のフィルム積層体の製造方法。
- 前記平坦化層を、前記プラスチックフィルムと実質的に同一種の材料から形成する、
請求項11〜14のいずれかに記載のフィルム積層体の製造方法。 - 前記平坦化層の厚さが、平坦化層を積層する前の前記プラスチックフィルム製基材層の積層側面の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値の2倍以上になるようにする、請求項11〜15のいずれかに記載のフィルム積層体の製造方法。
- 前記平坦化層について、前記基材層の積層側面と接する側の面ではない方の面(平坦化層の基材層非接触面)の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値が、無機化合物層を積層する前に10nm以下である、請求項11〜16のいずれかに記載のフィルム積層体の製造方法。
- 前記無機化合物層の厚さが、無機化合物層を積層する前の前記平坦化層の基材層非接触面の凹凸のうち、うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値の3倍以上であるようにする、請求項11〜17のいずれかに記載のフィルム積層体の製造方法。
- 前記うねりが40.00/mmより大きな空間周期の成分からなるうねりである、
請求項11〜18のいずれかに記載のフィルム積層体の製造方法。 - うねりを除外した凹凸のピークツーバレーの最大値を求めるに際し、偶発的凹凸成分を除外する、
請求項11〜19のいずれかに記載のフィルム積層体の製造方法。 - 前記無機化合物層を、
ケイ素、アルミニウム、インジウム、スズ、亜鉛、チタンおよびタンタルからなる群の内の少なくともいずれか1つの金属の酸化物、窒化物、酸窒化物、またはこれらの混合物を主成分として用い、
マグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、加熱蒸着法、ゾル−ゲル法、高周波誘導加熱法よりなる群の内のいずれか一つの方法で積層して形成する、
請求項11〜20のいずれかに記載のフィルム積層体の製造方法。
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