JP2004238265A - セメント組成物用添加剤およびセメント硬化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】無機繊維、有機繊維などの繊維状物質および/またはカルシウム、シリカヒュームなどの粒子状物質からなる充填材と、リグニンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、メラミンスルホン酸、メチロールメラミン縮合物、芳香族アミノスルホン酸などの流動化剤とを含むセメント組成物を硬化させてセメント硬化物を製造方法する。
【選択図】 なし
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、セメントペースト、モルタル、コンクリートなどのセメント組成物に添加してひび割れ等の発生を防止するための添加剤、特に吹き付け用セメント組成物に添加してセメント組成物のリバウンドやセメント硬化物のひび割れ等の発生を防止するための添加剤、ならびにこれを用いるセメント硬化物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
緑化工事分野において、法面の保護は樹脂系物質またはモルタルで行われている。モルタルは、砂等の細骨材、セメントおよび水を定められた配合で混練したセメント組成物であり、これを所定の吹き付け機から吐出して法面に吹き付け、乾燥、硬化させてセメント硬化物からなる保護層を形成する。またトンネルやダムの建設現場においては、砂等の細骨材、砂利等の粗骨材、セメントおよび水を配合したセメント組成物であるコンクリートが吹き付け工法により施用されて、セメント硬化物が形成されている。
【0003】
このような分野において、特に緑化工事におけるモルタルの吹き付け工事において、モルタル、コンクリートなどのセメント組成物の吹き付け時に跳ね返り(いわゆるリバウンド)が多いと、施工材料の無駄になるとともに、工事に余計な時間がかかることになる。また吹き付け後のモルタルが養生過程において、セメント硬化物のひび割れを引き起こすと、強度が低下するとともに外観を損ない、目的とする機能を果たさないことになる。
【0004】
モルタル等のセメント組成物から形成されるセメント硬化物のひび割れには、プラスチックひび割れ、硬化収縮によるひび割れ、乾燥収縮によるひび割れなどがある。プラスチックひび割れや硬化収縮によるひび割れなどは、材齢数時間から1日程度で発生するものがあるが、乾燥収縮によるひび割れは数ヶ月から数年で発生するものがあるとされている(例えば非特許文献1)。
【0005】
このようなひび割れに対する従来の防止方法としては、繊維、膨張材、混和材、プラスチックなどを添加することが行われている(例えば非特許文献1)。
一方、特許文献1には、セメント、骨材、水と、引張強度の大きい繊維を混合することにより、劣化現象初期の膨張、ひび割れ、剥離の発生を防止することのできる耐強硫酸性モルタル、コンクリートを得ることが示されている。
【0006】
しかし特許文献1および非特許文献1に示される繊維物質の添加は、モルタルやコンクリートなどの流動性を損ない、吹き付け時の配管でのモルタル等の閉塞を引き起こすため、繊維物質を多量にモルタルやコンクリートなどに添加して混練することは難しい。また非特許文献1に示される繊維、膨張材、混和材、プラスチックなども、多くの種類があり、効果的にひび割れの発生を抑制できる資材は少ない。また、ひび割れの発生を防止した結果、施工性を損なう結果となる場合もある。このように従来は、モルタル、コンクリートなどのセメント組成物のひび割れを効果的に抑制し、かつリバウンドを低減するような技術は確立されていなかった。
【0007】
また非特許文献1に示される混和材としての流動化材の添加は、モルタル等の流動性を向上させるとともに、セメントの水和を若干遅延させることから、ひびの発生を抑制する効果があるが、流動性が向上したモルタルは吹き付け時に法面から垂れる(いわゆるダレ)ことから、角度が急な法面への適用が難しいとともに、鉛直方向の距離が長い法面への適用も難しい。また膨張材はモルタルやコンクリート等を膨張させ、空隙を減少させることによるひびの発生を抑制するが、モルタルを膨張させると脆弱な部分が形成されることから、耐候性、強度を低下させることになる。
【0008】
【非特許文献1】
関博;「ひび割れの種類と発生時期について」,セメント・コンクリート,No.451,p.24,1984
【特許文献1】
特開平6−321604号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、セメントペースト、モルタル、コンクリートなどのセメント組成物に添加して、粘性、流動性、チキソ性などを付与し、これによりセメント組成物のリバウンドやセメント硬化物のひび割れ等の発生を防止するとともに、施工性を改善することができ、優れた特性を有するセメント硬化物を得ることができるセメント組成物用添加剤およびセメント硬化物の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のセメント組成物用添加剤およびセメント硬化物の製造方法である。
(1) 繊維状物質および/または粒子状物質からなる充填材と、流動化剤とを含むセメント組成物用添加剤。
(2) 繊維状物質が無機繊維または有機繊維である上記(1)記載のセメント組成物用添加剤。
(3) 粒子状物質が炭酸カルシウムまたはシリカヒュームである上記(2)記載のセメント組成物用添加剤。
(4) 流動化剤がリグニンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩(具体的には、ポリアクリル酸ナトリウム、マレイン酸共重合体など)、メラミンスルホン酸、メチロールメラミン縮合物または芳香族アミノスルホン酸である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のセメント組成物用添加剤。
(5) 充填材と流動化剤との配合割合は、充填材が70〜95重量%、流動化剤が30〜5重量%、繊維状物質と粒子状物質との配合割合は、繊維状物質が0〜100重量%、粒子状物質が0〜100重量%である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のセメント組成物用添加剤。
(6) セメント組成物がセメントペースト、モルタルまたはコンクリートである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のセメント組成物用添加剤。
(7) 繊維状物質および/または粒子状物質からなる充填材と、流動化剤とを含むセメント組成物を硬化させることを特徴とするセメント硬化物の製造方法。
【0011】
本発明においてセメント組成物とは、セメントを含む組成物であり、セメントペースト、モルタル、コンクリートなどが挙げられる。このうちセメントペーストは骨材を含まず、セメントおよび水を配合した組成物であり、モルタルは砂等の細骨材、セメントおよび水を配合した組成物であり、またコンクリートは砂等の細骨材、砂利等の粗骨材、セメントおよび水を配合した組成物である。本発明の添加剤の添加対象となるセメント組成物は、これらのセメント組成物がすべて含まれ、これらの組成物に他の成分を含む組成物も対象となる。本発明においてセメント硬化物とは、上記のセメント組成物を硬化させた硬化物である。
【0012】
本発明において充填材として用いられる繊維状物質は、セメント組成物中で格子状に広がって、モルタルやコンクリート等のセメント硬化物の変形を抑制することができる繊維状の物質であり、無機繊維でも有機繊維でもよい。無機繊維としては、ガラス繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、岩綿などが挙げられる。有機繊維としては、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維などが挙げられる。これらの繊維状物質の繊維径は10μm〜0.3mm、好ましくは50μm〜0.2mm、繊維長は1〜15mm、好ましくは5〜12mmのものが好ましい。
【0013】
本発明において充填材として用いられる粒子状物質は、増粘材としてセメント組成物中に分散してセメント組成物の粘度を上げるとともに、マイクロフィラー効果を与え、流動化剤との組み合わせによりチキソ性を付与する材料である。このような粒子状物質としては、無機物粉末でも有機物粉末でもよいが、炭酸カルシウム、シリカヒュームなどの無機物微粉末が好ましい。これらの粒子状物質の表面積は1m2/g〜20m2/g、好ましくは5m2/g〜20m2/gのものが好ましい。
【0014】
本発明においてセメント組成物の成分となる流動化剤は、セメント組成物中の各成分を分散させてセメント組成物に流動性を付与し、また繊維状物質または増粘材との組み合わせによりチキソ性を付与する材料である。このような流動化剤としては、従来より流動化剤として使用されているものが使用でき、リグニンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩(具体的には、ポリアクリル酸ナトリウム、マレイン酸共重合体など)、メラミンスルホン酸、メチロールメラミン縮合物、芳香族アミノスルホン酸などが挙げられる。
【0015】
繊維状物質および/または粒子状物質からなる充填材と、流動化剤との配合割合は、充填材が70〜95重量%、好ましくは80〜90重量%、流動化剤が30〜5重量%、好ましくは20〜10重量%程度が好ましい。充填材として繊維状物質および粒子状物質を併用する場合は、繊維状物質と粒子状物質との配合割合は、繊維状物質が0〜100重量%、好ましくは20〜50重量%、さらに好ましくは30〜40重量%、粒子状物質が0〜100重量%、好ましくは80〜50重量%、さらに好ましくは70〜60重量%程度が好ましい。
【0016】
上記の繊維状物質および/または粒子状物質からなる充填材と流動化剤とを含む本発明のセメント組成物用添加剤は、セメントペースト、モルタル、コンクリートなどのセメント組成物に添加して、セメント組成物のリバウンドやセメント硬化物のひび割れ等の発生を防止する。本発明のセメント組成物用添加剤のセメント組成物に対する添加量は、セメントペースト、モルタル、コンクリートなどのセメント組成物1m3あたり0.1〜5kg、好ましくは0.2〜1kg程度が好ましい。
【0017】
セメント組成物の各成分の配合割合は、従来から採用されている一般的な配合割合を採用することができる。本発明のセメント組成物用添加剤を添加したセメント組成物は流動性が高くなるので、夏場など高温下でモルタルの流動性が低下しやすい条件でも、水/セメント比を大きくすることなく、モルタルの吹きつけが可能となる。
【0018】
本発明のセメント組成物用添加剤を添加したセメント組成物は流動性が高く、チキソ性を有するので、セメントペースト、モルタル、コンクリートなどの吹き付け用セメント組成物として用いるのが好ましいが、型枠を用いる一般的な打設用、あるいは打ちっ放し用のセメント組成物として用いることも可能であり、これにより打設工事を効率化することができる。こうして打設されたセメント組成物を硬化させることにより、優れた特性を有するセメント硬化物を製造することができる。
【0019】
吹き付けの場合、例えば緑化工事分野において法面の保護をモルタルの吹き付けで行う場合、砂等の細骨材、セメント、水および本発明のセメント組成物用添加剤を定められた配合で混練したモルタルを、所定の吹き付け機から吐出して法面に吹き付け、乾燥、硬化させてモルタルの硬化物からなる保護層を形成する。またトンネルやダムの建設現場においては、砂等の細骨材、砂利等の粗骨材、セメント、水および本発明のセメント組成物用添加剤を配合したコンクリートを、所定の吹き付け機から吐出して吹き付けて打設する。セメントペーストの場合は、例えばひびの入った法面や壁面等の補修などのために、吹き付けにより施用することができる。
【0020】
本発明のセメント組成物用添加剤をセメントペースト、モルタル、コンクリートなどのセメント組成物に添加することにより、セメント組成物に粘性、流動性、チキソ性(チキソトロピックな状態)などを付与することができ、これによりセメント組成物のリバウンドやセメント硬化物のひび割れ等の発生を防止するとともに、施工性を改善することができる。そして上記のセメント組成物を硬化させることにより、強度、外観、均一性、耐候性などの優れた特性を有するセメント硬化物を得ることができる。
【0021】
繊維状物質はモルタル、コンクリートなどの内部で格子状に広がるため、ひび発生時の拘束圧に対し、格子状に広がった繊維がモルタル、コンクリートなどの変形の抑制することによって、ひびの発生を防止することができる。また粒子状物質はモルタル、コンクリートなどに添加することによりマイクロフィラー効果を与えるため、これによりモルタル、コンクリートなどが緻密な状態となり、セメントの硬化による収縮が起こっても、ひびの発生を抑制することができる。また緻密な状態のモルタルおよびコンクリートは、チキソ性を示すことから、吹き付け時のリバウンドを低減することができる。
【0022】
流動化剤はモルタル、コンクリートなどの流動性を向上させるとともに、セメントの凝結を遅延させることから、セメントの水和初期段階の硬化収縮を低減させることができ、これによりひびの発生を防止することができる。また繊維状物質や粒子状物質により、粘性が増したモルタル、コンクリートなどに流動性、チキソ性を付与して、施工性を改善するとともに、吹き付け時のリバウンドを低減することができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明のセメント組成物用添加剤によれば、繊維状物質および/または粒子状物質からなる充填材と流動化剤とを成分として含むため、モルタル、コンクリートなどのセメント組成物に添加して、粘性、流動性、チキソ性などを付与し、これによりセメント組成物のリバウンドやセメント硬化物のひび割れ等の発生を防止するとともに、施工性を改善することができ、そのセメント組成物を硬化させることにより、優れた特性を有するセメント硬化物を製造することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
実施例1〜3、比較例1:
実施例1〜3のセメント組成物用添加剤の配合を表1に示す。表1において用いた成分は次のとおりである。
1)繊維状物質:プラスチック繊維(クラレ製:RF350×12、繊維径0.2mm、繊維長12mm)
2)粒子状物質:シリカヒューム(表面積19.3m2/g)
3)流動化剤:リグニンスルホン酸カルシウム
【0025】
【表1】
【0026】
表1の実施例1〜3のセメント組成物用添加剤を表2のモルタルに添加して実施例1〜3のモルタルとし、セメント組成物用添加剤を添加しないモルタルを比較例1のモルタルとした。
【0027】
【表2】
【0028】
実施例1〜3および比較例1のモルタルにつき、以下の試験を行った。
1)流動性評価試験: JISR5201に示されるテーブルフロー試験法により、モルタルフロー値を測定し、モルタルの流動性を評価した。
2)リバウンド率: 1.5m四方の平板を45度の傾斜角で立てかけ、下端から2m離れた位置からモルタルを吹き付け、以下の式に従ってリバウンド率を算出した。
リバウンド率(%)={(吹き付けモルタル量)−(付着したモルタル量)}/(吹き付けモルタル量)×100
3)ひび割れ発生抑制試験:タテ16cm、ヨコ13.5cm、深さ4cmの型枠にモルタルを流し込んで平板形の供試体を作成し、60℃で4時間乾燥した後、表面に表れたひびの長さから、ひび総延長を測定した。
上記の試験の結果を表3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】
表4に示すように、添加剤を配合しない比較例1で100mmであったフロー値が、添加剤を配合した実施例1では1.4倍まで増加しており、流動性が向上している。
【0031】
上記の試験で用いた実施例1〜3および比較例のモルタルは、ひび割れ率とリバウンドの低減率を明確に評価するために、通常緑化分野で用いられているモルタルよりも水を多く配合し、セメントを少なくして、流動性の高い状態に改善したものであるが、表3に示すように、本発明の添加剤を配合した実施例1〜3のモルタルは、添加剤を配合しない比較例1のモルタルに比べて、リバウンド率が低下しており、特に実施例1の低下は大きい。
【0032】
次に、ひび割れの発生抑制効果については、添加剤を配合した実施例1〜3のモルタルは、添加剤を配合しない比較例1のモルタルに比べて、ひびの発生はほとんど認められず、大幅な抑制効果が得られた。
Claims (7)
- 繊維状物質および/または粒子状物質からなる充填材と、流動化剤とを含むセメント組成物用添加剤。
- 繊維状物質が無機繊維または有機繊維である請求項1記載のセメント組成物用添加剤。
- 粒子状物質が炭酸カルシウムまたはシリカヒュームである請求項2記載のセメント組成物用添加剤。
- 流動化剤がリグニンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩(具体的には、ポリアクリル酸ナトリウム、マレイン酸共重合体など)、メラミンスルホン酸、メチロールメラミン縮合物または芳香族アミノスルホン酸である請求項1ないし3のいずれかに記載のセメント組成物用添加剤。
- 充填材と流動化剤との配合割合は、充填材が70〜95重量%、流動化剤が30〜5重量%、繊維状物質と粒子状物質との配合割合は、繊維状物質が0〜100重量%、粒子状物質が0〜100重量%である請求項1ないし4のいずれかに記載のセメント組成物用添加剤。
- セメント組成物がセメントペースト、モルタルまたはコンクリートである請求項1ないし5のいずれかに記載のセメント組成物用添加剤。
- 繊維状物質および/または粒子状物質からなる充填材と、流動化剤とを含むセメント組成物を硬化させることを特徴とするセメント硬化物の製造方法。
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