JP2004238901A - 木造建築物の接合補強材及び接合補強構造 - Google Patents

木造建築物の接合補強材及び接合補強構造 Download PDF

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Abstract

【課題】基礎、土台、柱あるいは梁等の建築部材同士の接合部を補強し、その接合耐力を向上させることができる接合補強材及び接合補強構造を提供する。
【解決手段】木造建築物の駆体を構成する基礎1と柱3との接合部を補強する接合補強材20の構成として、接合部を跨いで基礎1と柱3との間に配設される長尺状の繊維シート21と、繊維シート21を基礎1及び柱3の各々に定着させる定着プレート22と、を備えるようにした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木造建築物の駆体を構成する基礎、土台、柱あるいは梁等の建築部材同士の接合部を補強する接合補強材、及び接合補強構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、阪神淡路大震災以降「建築基準法の改正」や「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の実施に伴い、木造建築物における柱と土台などの接合部の引張耐力補強に建築金物が多用されることになった。
【0003】
木造建築物を構成する基礎、土台、柱、筋かいなどの接合部に取り付けられている従来の建築金物(図示省略)では、特に大きな地震が発生しこの地震による引抜力が上記接合部に作用した場合には当該接合部が破断することがある。この原因として、従来の金物接合では、弾性限度以上の荷重が作用し許容変形量を超えると、木材のめり込みや割裂破壊により、基礎、土台、柱、筋かい及び梁等の接合部がはずれ、急激に耐力が低下することが考えられる。
【0004】
このため、引張耐力補強のために、地震時に特に大きな引張力が作用する柱に、15KN用以上の大型のホールダウン金物(金具)を取り付けることが基準化されている。こうしたホールダウン金物の例としては、特許文献1に記載されているもの等が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−147981号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、こうした大型のホールダウン金物を取り付けるには、基礎から締結しなければならず、施工が困難となる。特に既存の建築物への適用は難しく、コストアップとなる。また、上記ホールダウン金物は、縦一列に配置されたボルトにより柱に取り付けられているので、地震時に柱の割裂破壊が生じやすくなる問題がある。
【0007】
このように、従来の接合金物だけでは、木質材の欠点であるめり込み、乾燥によるやせ、そり、ねじれ等による接合部のゆるみが生じやすく、さらに割裂破壊により破断し易く、大地震が発生した場合には柱、梁及び筋かい等の破断や接合部の抜けなどにより、建築物の倒壊が起こり得る問題があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、基礎、土台、柱あるいは梁等の建築部材同士の接合部を補強し、その接合耐力を向上させることができる接合補強材及び接合補強構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、木造建築物の駆体を構成する建築部材同士の接合部を補強する接合補強材であって、前記接合部を跨いで前記建築部材間に配設される長尺状の高強度繊維からなる繊維部材と、該繊維部材を前記建築部材に定着させる定着部材と、を備えた構成とされていることを特徴とする。
【0010】
このような構成としているので、基礎、柱、梁あるいは筋かい等の建築部材同士の接合部の接合強度を高めることができ、接合耐力を向上させることができる。すなわち、地震が発生すると、各建築部材には引抜力が作用して、各建築部材同士の接合部における接合が解除されようとする。ところが、接合部を跨いで建築部材間に、高強度繊維からなる繊維部材が配設されており、この繊維部材は鉄筋の引張強度と比較して5〜7倍の引張強度を有しているため、従来の金物により接合する場合と比較して接合引張強度を向上させることができる。このため、基礎、柱、梁あるいは筋かい等の建築部材同士の接合部の接合耐力を向上させ、接合強度を高めることができる。
なお、高強度繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、金属繊維、ポリエステル繊維などが好ましい。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の木造建築物の接合補強材であって、前記繊維部材は、高強度繊維がシート状に成形された繊維シートから構成されていることを特徴とする。
【0012】
このように、繊維部材を、高強度繊維をシート状に成形した繊維シートとしているので、従来の金物と比較して、張力が作用したときの初期変形量が多少大き目となり、弾性限度を超えた荷重に対しても塑性変形量を考慮して急激な耐力低下を防ぎ、さらに、終局破壊に至るまで耐力の維持ができるので、接合耐力を高いものとすることができる。
また、高強度繊維をシート状としているので、施工性を良好なものとすることができる。そのため、建築部材の外面側に沿わせるようにして直線的に配設することも、外面側に螺旋状に巻き付けて配設することもでき、施工の自由度を高めることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の木造建築物の接合補強材であって、前記繊維部材は、高強度繊維がロープ状に成形された繊維ロープ部と、前記高強度繊維がシート状に成形された繊維シート部とが一体に連なった構成とされていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の木造建築物の接合補強材であって、前記繊維ロープ部の長手方向両端部側に、前記繊維シート部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
このように、繊維部材を、繊維ロープ部と繊維シート部とが一体に連なるようにしているので、例えば建築部材を貫通させることも、建築部材外面側に定着させることも、容易に行うことができ、多様な施工に対応することができ。施工の自由度を高めることができる。
また、繊維ロープ部の両端部側に繊維シート部を設けるようにすれば、繊維部材の両端部側を、建築部材外面側に各々容易に定着させることができ、より多様な施工に対応することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4の何れかに記載の木造建築物の接合補強材であって、前記定着部材は、平板状をなして前記繊維シート又は前記繊維シート部の表面側に配設される定着プレートとされ、固定部材によって前記建築部材の外面側に前記繊維シート又は前記繊維シート部と一体となって取り付けられることを特徴とする。
【0016】
このように、定着プレートを用いて、固定部材によって建築部材の外面側に繊維シート又は繊維シート部と一体をなして取り付けるようにしているので、繊維部材を容易に定着させることができるとともに、定着のために建築部材側に必要な加工を大幅に少なくできるので、建築部材の断面欠損を少なくすることができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜4の何れかに記載の木造建築物の接合補強材であって、前記定着部材は、平板状をなして前記繊維シート又は前記繊維シート部の外面側に配設される第1プレートと、該第1プレートの表面側に折り返された前記繊維シート又は前記繊維シート部の端部側を該第1プレートに押圧する第2プレートと、を備えた定着プレートとされ、固定部材によって前記建築部材の外面側に前記繊維シート又は前記繊維シート部と一体となって取り付けられることを特徴とする。
【0018】
このように、第1プレートと第2プレートとからなる定着プレートを用いて、繊維シート又は繊維シート部の端部側を狭持するようにしているので、繊維シート又は繊維シート部と定着プレートとの固定をより強固なものとすることができ、建築部材に繊維部材をより的確に定着させることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の木造建築物の接合補強材であって、前記定着プレートには、前記繊維シート又は前記繊維シート部を挿通させて該定着プレートの表面側に折り返させる、スリット状の孔が形成されていることを特徴とする。
【0020】
このように、定着プレートに孔を設けて、繊維シート又は繊維シート部を挿通させて定着プレートの表面側に折り返させるようにしているので、繊維部材に高い張力を加えることができ、終局破壊時に更なる引張耐力の維持を可能とすることができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7の何れかに記載の木造建築物の接合補強材であって、前記定着プレートには、裏面側から突出して、前記建築部材の外面側に形成された凹部に前記繊維シート又は前記繊維シート部とともに挿入されるダボ部が設けられていることを特徴とする。
【0022】
このように、定着プレートにダボ部を設けて、繊維シート又は繊維シート部とともに凹部内に挿入させるようにしているので、繊維部材を容易に定着させることができるとともに、繊維部材を緊張させるように屈曲又は湾曲させて凹部内に固定させることができ、繊維部材に高い張力を加えることができるとともに、繊維部材を建築部材により的確に定着させることができる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項2〜4の何れかに記載の木造建築物の接合補強材であって、前記定着部材は、前記建築部材の外面側に形成された凹部に前記繊維シート又は前記繊維シート部とともに挿入されるダボとされていることを特徴とする。
【0024】
このように、定着部材をダボとして、繊維シート又は繊維シート部とともに凹部内に挿入させるようにしているので、繊維部材を容易に定着させることができるとともに、繊維部材を緊張させるように屈曲又は湾曲させて凹部内に固定させることができ、繊維部材に高い張力を加えることができるとともに、繊維部材を建築部材により的確に定着させることができる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜7の何れかに記載の木造建築物の接合補強材を用いた接合補強構造であって、前記繊維部材は、前記建築部材の外面側に張り渡されて配設されているとともに、該繊維部材の両端部側は、一対の前記定着部材によって各々の前記建築部材に定着されていることを特徴とする。
【0026】
このように、繊維部材を建築部材の外面側に張り渡して配設し、その両端部側を各々の建築部材に定着させるようにしているので、接合補強材を簡易に取り付けて好適に接合補強することができ、施工性を向上させることができるので、新築のみならず、既存建築物に対しても容易に施工することができる。
【0027】
請求項11に記載の発明は、請求項8に記載の木造建築物の接合補強材を用いた接合補強構造であって、前記凹部は、前記繊維部材の長手方向と交差する方向に延在するように形成された溝部とされているとともに、前記ダボ部は凸条をなして、前記溝部との間に前記繊維部材を狭持した状態で前記溝部内に挿入されていることを特徴とする。
【0028】
このように、定着プレートに設けられた凸条をなしたダボ部を、繊維シート又は繊維シート部とともに溝部内に挿入させるようにしているので、繊維部材を緊張させるように屈曲又は湾曲させて溝部内に固定させることができ、繊維部材に高い張力を加えることができるとともに、定着プレートと繊維部材とをより強固に一体化させることができる。
【0029】
請求項12に記載の発明は、請求項9に記載の木造建築物の接合補強材を用いた接合補強構造であって、前記凹部は、前記繊維部材の長手方向と交差する方向に延在するように形成された溝部とされているとともに、前記ダボは略円柱形状をなして、前記溝部との間に前記繊維部材を狭持した状態で前記溝部内に挿入されていることを特徴とする。
【0030】
このように、略円柱形状のダボを用いるようにしているので、溝部内に容易に挿入することができ、繊維部材を好適に緊張させることができるとともに、ダボに角隅部がないため、繊維部材に過度の応力集中が発生することを的確に防止することができる。
【0031】
請求項13に記載の発明は、請求項9に記載の木造建築物の接合補強材を用いた接合補強構造であって、前記凹部は、前記繊維部材の長手方向と交差する方向に延在するように形成された溝部とされているとともに、前記ダボは前記溝部と嵌合する略矩形状をなして、前記溝部との間に前記繊維部材を狭持した状態で前記溝部内に挿入されていることを特徴とする。
【0032】
このように、溝部と嵌合する略矩形状のダボを用いるようにしているので、繊維部材を、溝部の内面とダボの外面とでほぼ隙間無く狭持することができ、繊維部材をより強固に建築部材に定着させることができる。
【0033】
請求項14に記載の発明は、請求項10〜12の何れかに記載の木造建築物の接合補強構造であって、前記繊維部材は、前記建築部材の外面側に螺旋状に巻き付けられて配設されていることを特徴とする。
【0034】
このように、建築部材の外面側に繊維部材を螺旋状に巻き付けるようにしているので、多様な方向に対しての接合強度を高めることができる。
【0035】
請求項15に記載の発明は、木造建築物の駆体を構成する建築部材同士の接合部を補強する接合補強構造であって、高強度繊維がシート状に成形されてなる繊維シートの一端部側が、前記建築部材としての基礎に埋設されているとともに、前記繊維シートの他端部側が前記基礎の外部に延出され、該他端部側は、前記基礎の上部に設けられた木質材に定着されることを特徴とする。
また、請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の木造建築物の接合補強構造であって、前記繊維シートの一端部側が、前記基礎中の鉄筋に連結されていることを特徴とする。
【0036】
このように、繊維シートの一端部側を基礎に埋設するとともに、他端部側を上部の木質材に定着させるようにしているので、繊維シートの一端部側をコンクリートと一体として基礎に的確に固定させることができる。そのため、地震が発生した場合でも、基礎と土台、柱、梁あるいは筋交等といった木質材との接合部の接合強度を、向上させることができる。
また、高強度繊維をシート状とした繊維シートを用いているため、施工性を良好とできるとともに、急激な耐力低下を防ぐことができ、終局破壊に至るまで耐力の維持ができるので、接合耐力を高いものとすることができる。
更に、繊維シートの一端部側を鉄筋に連結するようにすれば、繊維シートをより強固に基礎に定着させることができ、接合強度を更に向上させることができる。
【0037】
請求項17に記載の発明は、請求項3に記載の木造建築物の接合補強材を用いた接合補強構造であって、前記繊維部材のうちの前記繊維ロープ部の側が、前記建築部材としての鉄筋コンクリート製の基礎に埋設されているとともに、前記繊維シート部の側が前記基礎の外部に延出され、該繊維シート部は、前記基礎の上部に設けられた木質材に定着されることを特徴とする。
また、請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の木造建築物の接合補強構造であって、前記繊維ロープ部の端部側が、前記基礎中の鉄筋に連結されていることを特徴とする。
【0038】
このように、繊維部材のうちの繊維ロープ部の側を基礎に埋設するとともに、繊維シート部を上部の木質材に定着するようにしているので、繊維ロープ部の側をコンクリートと一体として基礎に的確に固定させることができる。そのため、基礎と土台、柱あるいは梁等といった木質材との接合部の接合強度を、大幅に向上させることができる。
また、繊維部材が、高強度繊維をロープ状とした繊維ロープ部を有するようにしているため、例えば土台等の木質材を貫通させて配設して、柱等に定着させることも容易に行うことができ、施工性を良好とできる。
更に、繊維シートの一端部側を鉄筋に連結するようにすれば、繊維シートをより強固に基礎中に固定させることができ、接合強度を更に向上させることができる。
【0039】
請求項19に記載の発明は、請求項4に記載の木造建築物の接合補強材を用いた接合補強構造であって、前記繊維部材のうちの前記繊維ロープ部は、前記接合部近傍位置の建築部材を貫通して配設されているとともに、該繊維シート部は、一対の前記定着部材によって各々の前記建築部材に定着されることを特徴とする。
【0040】
このように、繊維ロープ部を、接合部近傍位置の建築部材を貫通させて配設するようにしているとともに、繊維シート部を、一対の前記定着部材によって両端部側の建築部材に各々定着させるようにしているので、両端部側の建築部材同士の接合部のみならず、繊維ロープ部が貫通している建築部材との接合部も含めて一体的に強固に接合補強することができる。
【0041】
請求項20に記載の発明は、木造建築物の駆体を構成する建築部材同士の接合部を補強する接合補強構造であって、前記建築部材のうちの一方から他方まで連通するボルト挿通孔が形成されるとともに、前記他方の建築部材には前記ボルト挿通孔と交差するピン挿通孔が形成され、前記一方の建築部材側から前記ボルト挿通孔に挿通されたボルトと、前記ピン挿通孔に挿通されたピンに形成された雌ネジ孔とが螺合されて、前記一方及び他方の建築部材の接合部が剛接合構造とされるとともに、高強度繊維がシート状に成形されてなる繊維シートが、前記接合部を跨いで前記建築部材間に配設され定着されていることを特徴とする。
【0042】
このように、ボルトとピンとを螺合させることで建築部材同士を剛接合構造とするとともに、繊維シートで接合補強するようにしているので、簡易な構成で、接合部の接合強度、接合耐力を大幅に向上させることができる。
【0043】
請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の木造建築物の接合補強構造であって、前記他方の建築部材には、外面側から前記ボルト挿通孔の終端部まで通じるように切欠凹部が形成され、前記ボルト挿通孔から該切欠凹部内に突出する前記ボルトの先端側には、該ボルトの緩みを防止する緩み防止部材が設けられていることを特徴とする。
【0044】
このようにしているので、ボルト挿通後に、切欠凹部内のボルト先端側に緩み防止部材を設けることができ、ボルトの緩みを的確に抑制することができる。
【0045】
請求項22に記載の発明は、請求項20又は請求項21に記載の木造建築物の接合補強構造であって、前記ピン挿通孔は断面視円形状に形成されているとともに、前記ピンは円柱形状もしくは円筒形状とされていることを特徴とする。
【0046】
このように、ピン挿通孔を断面視円形状に形成するとともに、ピンを円柱形状もしくは円筒形状としているので、ピン挿通孔とピンとの間に極度の応力集中が発生することが殆ど無く、建築部材にひび割れや変形等が発生するおそれを的確に抑制することができる。
【0047】
請求項23に記載の発明は、請求項22に記載の木造建築物の接合補強構造であって、前記ピンの端面側には、該ピンを回動させるための工具を係合可能とする係合部が形成されていることを特徴とする。
【0048】
このように、ピンの端面側に、ピンを回動させるための工具を係合可能とする係合部を形成しているので、ピン挿通孔に挿通されているピンを、工具を用いて周方向に容易に回動させることができ、雌ネジ孔とボルト挿通孔との周方向における位置合わせを容易に行うことができる。
【0049】
請求項24に記載の発明は、請求項20〜23の何れかに記載の木造建築物の接合補強構造であって、繊維方向が互いに異なる複数の前記繊維シートが、積層状態で配設されていることを特徴とする。
【0050】
このように、繊維方向が互いに異なる複数の繊維シートを用いるようにしているので、各々の繊維シートの繊維方向に対して高い強度を発揮させることができ、複数方向に対して高い接合強度を得ることができる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る木造建築物の接合補強材及び接合補強構造の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0052】
[第1の実施形態]
先ず、第1の実施形態について、図1乃至図4を用いて説明する。
図1(a)には、木造建築物の駆体を構成する建築部材同士の接合部を図示している。この図において、符号1は、この木造建築物の基礎を、符号2は、基礎1の上部に設けられた土台を、符号3は、土台2の上部に立設された柱(管柱)を、各々示している。なお、以下において「建築部材」とは、基礎、土台、柱、梁、あるいは筋交等といった、木造建築物の駆体を構成する部材を意味するものとする。つまり、土台、柱、梁、あるいは筋交等といった木質材は勿論、鉄筋コンクリート等から構成された基礎をも包含する意味である。
【0053】
図1(a)に示すように、基礎1と土台2と柱3との接合部は、接合補強材20によって接合補強(耐震補強)されている。この接合補強材20は、接合部を跨いで基礎1と柱3との間に掛け渡され配設される長尺状の繊維シート(繊維部材)21と、この繊維シート21を基礎1、柱3に各々定着させる定着プレート(定着部材)22と、を備えた構成となっている。
【0054】
繊維シート21は、接着剤によって基礎1から柱3までの外面に貼り付けられた状態で、配設されている。この繊維シート21は、高強度繊維をシート状に成形したものであり、少なくとも長手方向には非常に高い強度を発揮できるようになっている。ここで用いる高強度繊維としては、鉄筋の引張強度と比較して5〜7倍程度の引張強度を有している繊維、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、金属繊維、ポリエステル繊維などが好ましい。このような高強度繊維を、プリプレグあるいは織物等に加工することで、容易にシート状とすることができる。
【0055】
この繊維シート21の長手方向の両端部側は、基礎1あるいは柱3と定着プレート22との間に挟まれて、基礎1及び柱3各々に強固に固定されている。なお、繊維シート21の中間部分には中間取付プレート23が取り付けられており、この中間部分は、釘、ビス、ボルト等の固定部材25によって、基礎1、土台2又は柱3と固定されている。この中間取付プレート23は、要求される接合強度や、繊維シート21の長さ等により、必要に応じて適宜設けるようにすればよい。
【0056】
定着プレート22は、鋼、アルミニウム合金あるいは強化プラスチック等の材料によって構成されている、平板状をなしたプレートであって、繊維シート21の外面に配設されて、繊維シート21の端部側を基礎1及び柱3の各々に定着させるものである。これら定着プレート22には、釘、ビス、ボルト等の固定部材25を通すために、表面側から裏面側へと貫通する孔22hが複数形成されている。つまり、これら孔22hから固定部材25を打設して、定着プレート22を繊維シート21と一体として基礎1及び柱3の各々の外面側に取り付け、繊維シート21を各々定着させることができるようになっている。
なお、これら定着プレート22の幅は、繊維シート21よりも幅が広くなっており、繊維シート21との接触面積を広く確保できるようになっている。
【0057】
なおここでは、釘、ビス、ボルト等といった、建築部材に打設する、あるいは建築部材柱に予め埋設しておくタイプの固定部材を用いるようにしているが、接着剤を固定部材として用いてもよい。この場合には、定着プレート22に孔22hは形成されていなくともよい。
【0058】
この接合補強材20を取り付ける際には、繊維シート21を長手方向に緊張して、予め所定の張力を付与した状態としておいて、定着プレート22によって、繊維シート21の長手方向両端部側を基礎1又は柱3に定着させる。すなわち、繊維シート21の外面側に配設した定着プレート22の孔22hから、固定部材25を打ち込むことで、固定部材25は繊維シート21を貫通して基礎1内及び柱3内に進入し固定されるので、繊維シート21は、定着プレート22と一体となって基礎1及び柱3に強固に定着される。
【0059】
本実施形態に係る木造建築物の接合補強材20及びこれを用いた接合補強構造においては、接合部を跨いで基礎1と柱3との間に配設される長尺状の繊維部材としての繊維シート21と、繊維シート21を基礎1及び柱3に定着させる定着部材としての定着プレート22と、を備えた構成としている。また、この接合補強材20を用いた接合補強構造においては、繊維シート21を基礎1から柱3までの外面側に張り渡して配設するるとともに、繊維シート21の両端部側を、一対の定着プレート21によって基礎1及び柱3に定着させるようにしている。そのため、基礎1と土台2、土台2と柱3との接合力を向上させることができ、これにより大地震発生時に基礎1と土台2との間、又は土台2と柱3との間の接合部が離間してしまうことを、的確に防止することができる。
【0060】
すなわち、繊維シート21の一端部側を基礎1に、他端部側を柱3に各々定着させて、基礎1から柱3に亘ってその外面側に繊維シート21を張り渡すようにしているが、繊維シート21は鉄筋の引張強度と比較して5〜7倍程度の引張強度を有しているため、従来のように金物により接合する場合と比較して、接合耐力を向上させることができる。
【0061】
そして、接合補強材20をこのような構成としているので、既存の木造建築物にも取り付けることができ、従来の金物取付のための解体範囲を少なくできるため、既存建築物の耐震改修工事にも適している。
【0062】
また、高強度繊維をシート状に成形した繊維シート21を繊維部材として用いているため、従来の金物と比較して引張力が作用したときの弾性変形量が多少大きくなるが、また弾性限度を超えた荷重に対しても破壊に至らず、各木質材の引抜力に耐えることができる。このため、大地震発生時に、木造建築物の瞬間的な倒壊を的確に阻止することができ、地震による被害の拡大を極力抑制することができる。加えて、シート状としているため、繊維シート21巻いたり、捩ったり、曲げたりすることができ、取付作業等の施工を容易にすることができるとともに、施工後のメンテナンス等も容易に行うことができる。
【0063】
更に、平板状をなして繊維シート21の外面側に配設される定着プレート22を定着部材として用い、釘、ビス、ボルト等の固定部材25によって、定着プレート22を基礎1及び柱3の外面側に繊維シート21と一体となって取り付けるようにしているので、その施工が容易になる。このため、基礎1や柱3等を予め加工しておく必要がなく、また作業労力の軽減を図ることができるため、施工及び加工に伴うコストも低減することができる。
【0064】
また、定着プレート22は、鋼板以外のアルミニウムや合金、強化プラスチックにより構成することも可能であるので、製造コストを低減することができる。加えて、鋼板を用いた場合であって、定着プレート22にメッキ処理した場合でも、曲げ・プレス加工で製造し、溶接部を設けないため、腐食しにくい。
【0065】
更に、繊維シート21に予め所定の張力を付与しているので、乾燥により土台2や柱3等が木痩せした場合でも、その変化に追従していくことができ、繊維シート22が緩むのを防止することができる。この結果、木質材等の木痩せによる接合力の低下を防止することができる。
【0066】
なおここでは、繊維シート21よりも幅広となった定着プレート22を用いるようにしているが、柱3等の幅と繊維シート21の幅とが殆ど同じである場合等においては、図3及び図4に示すように、繊維シート21の幅と略同一の幅を有する、より小型の定着プレート22Bを用いるようにしても、差し支えない。この定着プレート22Bは、幅と形状以外の点においては、上記定着プレート22とほぼ同一の構成を有しているものである。
【0067】
また、建築部材同士として、基礎1と柱3との接合部を接合補強するようにしているが、図1(b)に示すように、上下の柱3と梁4との接合部を接合補強するために用いることもできる。この図において示すように、梁4には2つの柱3が組み付けられており、接合補強材20は、一方の柱3から接合部を跨いで他方の柱3まで配設されている。すなわち、多数の木質材同士の接合部を接合補強し、接合強度を向上させることもできる。
【0068】
更に、繊維シート21を直線的に配設するようにしているが、図19又は図20に示すように、繊維シート21を柱3等の外面側に螺旋状に巻回させて配設してもよい。この図においては、繊維シート21の長手方向両端部側を、各々符号21a,21bとして示しており、定着部材22の図示は省略している。このように、柱3等の外面側に繊維シート21を螺旋状に巻き付けるようにすれば、多様な方向に対しての接合強度を高めることができ、より高い補強効果を得ることができる。
【0069】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について、図5及び図6を用いて説明する。
なお、本実施形態においては、上記第1実施形態と共通する構成要素には、同一の符号を付して、その詳しい説明は省略することとする。
【0070】
図5に示すように、基礎1と土台2と柱3との接合部は、接合補強材30によって接合補強されている。この接合補強材30は、接合部を跨いで基礎1と柱3との間に掛け渡され配設される長尺状の繊維シート(繊維部材)31と、この繊維シート31を基礎1、柱3に各々定着させる定着プレート(定着部材)32と、を備えた構成となっている。
【0071】
繊維シート31は、接着剤によって基礎1から柱3までの外面に貼り付けられた状態で、配設されている。この繊維シート31は、上記第1実施形態における繊維シート21と同様、高強度繊維をシート状に成形したものであり、少なくとも長手方向には非常に高い強度を発揮できるようになっている。この繊維シート31の長手方向の両端部側は、定着プレート32によって、基礎1及び柱3の各々に強固に固定されている。なお、繊維シート31の中間部分には中間取付プレート23が取り付けられており、この中間部分は、釘、ビス、ボルト等の固定部材25によって、中間取付プレート23とともに基礎1、土台2又は柱3と固定されるようになっている。
【0072】
定着プレート32は、繊維シート31を基礎1及び柱3の各々に定着させるもので、図6に示すように、平板状をなした第1プレート33と、同じく平板状をなして第1プレート33表面側に配設される第2プレート34とからなる。これら第1プレート33及び第2プレート34は、鋼、アルミニウム合金あるいは強化プラスチック等の材料によって構成されている。
【0073】
第1プレート33は、繊維シート31の端部側に若干の余長部分を残した状態で、繊維シート21の外面に配設されている。繊維シート31の余長部分は、第1プレート33の端部からこの第1プレート33の表面側へと折り返された折返部とされており、第2プレート34によって第1プレート33へと押圧されている。すなわち、繊維シート31の折返部は、第1プレート33と第2プレート34との間に狭持されている。
【0074】
また、第1プレート33及び第2プレート34には、釘、ビス、ボルト等の固定部材25、25Bを通すために、表面側から裏面側へと貫通する孔33h,33i,34h,34iが、各々形成されている。すなわち、これら孔33h,33i,34h,34iに固定部材25,25Bを通して、定着プレート32を繊維シート31と一体として基礎1及び柱3の各々の外面側に取り付け、繊維シート31を各々定着させることができるようになっている。なおここでは、上下2箇所に形成された大径の孔33h,34hに、基礎1又は柱3に埋め込まれたボルト(固定部材25B)を通して、ナット締結により強固に固定するとともに、小径の孔33i,34iから、基礎1又は柱3に、釘又はビス(固定部材25)を打ち込むようにしているが、接着剤を固定部材として用いてもよい。この場合には、定着プレート32に孔33h,33i,34h,34iは形成されていなくともよい。
【0075】
この接合補強材30を取り付ける際には、第1プレート33によって繊維シート31の両側を基礎1又は柱3に各々押圧した後、繊維シート31の端部側の余長部分を、第1プレート33の表面側へと折り返す。つまり繊維シート31を、第1プレート33の裏面側と表面側の双方に位置させる。このとき、繊維シート31の折返部に接着材を塗布して、繊維シート31を第1プレート33に接着させてもよい。
【0076】
この繊維シート31の折返部を覆うようにして、第2プレート34を第1プレート33に取り付け、固定部材25,25Bにより基礎1又は柱3に固定する。こうすることにより、繊維シート31の折返部が第1プレート31の表面に押圧されるとともに、第1プレート33及び第2プレート34は、固定部材25,25Bによって基礎1又は柱3の外面側に繊維シート31と一体となって取り付けられる。
【0077】
本実施形態に係る木造建築物の接合補強材30及びこれを用いた接合補強構造においては、定着部材としての定着プレート32が、平板状をなして繊維シート31の外面側に配設される第1プレート33と、第1プレート33の表面側に折り返された繊維シート31の端部側を第1プレート33に押圧する第2プレート34と、を備え、固定部材25,25Bによって基礎1及び柱3の外面側に繊維シート31と一体となって取り付けられるようにしている。このため、上記第1実施形態におけると同様に、接合強度を向上させることができる。
【0078】
とりわけこの接合補強材30及びこれを用いた接合補強構造では、繊維シート31の端部側を折り返し、この折返部を第1プレート33と第2プレート34との間に狭持するようにしているため、定着プレート32と繊維シート31との一体性を向上させることができ、基礎1と柱3との接合部の接合強度を更に向上させることができる。
【0079】
[第3の実施形態]
次に、第3実施形態について、図7及び図8を用いて説明する。
なお、本実施形態においては、上記第1実施形態と共通する構成要素には、同一の符号を付して、その詳しい説明は省略することとする。
【0080】
図7に示すように、基礎1と柱3との接合部は、接合補強材40によって接合補強されている。この接合補強材40は、接合部を跨いで基礎1と柱3との間に掛け渡され配設される長尺状の繊維シート(繊維部材)41と、この繊維シート41を基礎1、柱3に各々定着させる定着プレート(定着部材)42と、を備えた構成となっている。なお、上記第1実施形態におけると同様に、繊維シート21の中間に取り付けられる中間取付プレート23を備えた構成としてもよい。
【0081】
繊維シート41は、接着剤によって基礎1から柱3までの外面に貼り付けられた状態で、配設されている。この繊維シート41は、上記第1実施形態における繊維シート21と同様、高強度繊維をシート状に成形したものであり、少なくとも長手方向には非常に高い強度を発揮できるようになっている。この繊維シート41の長手方向の両端部側は、定着プレート42によって、基礎1及び柱3の各々に強固に固定されている。なお、上記第1実施形態におけると同様に、繊維シート41の中間部分に中間取付プレート23を取り付け、この中間部分を基礎1、土台2又は柱3と固定させるようにしてもよい。
【0082】
定着プレート42は、繊維シート41を基礎1及び柱3の各々に定着させるもので、鋼、アルミニウム合金あるいは強化プラスチック等の材料によって構成されている。図8に示すように、これら定着プレート42には、繊維シート41よりも広幅とされて表面側から裏面側へと貫通するスリット状の孔、つまり第1挿通孔(孔)43a及び第2挿通孔43bが、上下2箇所に形成されている。これら第1挿通孔43a及び第2挿通孔43bは、繊維シート41を挿通させて、この繊維シート41の一部を定着プレート42の表面側へと導出させることを可能とするものである。また、第1挿通孔43a及び第2挿通孔43bの各開口縁には、繊維シート41を引っ掛け、移動及びずれを阻止するための引掛部43fが形成されている。
【0083】
また、これら定着プレート42には、釘、ビス、ボルト等の固定部材25,25Bを通すために、表面側から裏面側へと貫通する孔42h,42iが複数形成されている。すなわち、これら孔42h、42iに固定部材25,25Bを通すことで、定着プレート42を繊維シート41と一体として基礎1及び柱3の各々の外面側に取り付け、繊維シート41を各々定着させることができるようになっている。なおここでは、上下2箇所に形成された大径の孔42hに、基礎1又は柱3に埋め込まれたボルト(固定部材25B)を通して、ナット締結により強固に固定するとともに、小径の孔42iから基礎1又は柱3に、釘又はビス(固定部材25)を打ち込むようにしているが、接着剤を固定部材として用いてもよい。この場合には、定着プレート42に孔42h,42iは形成されていなくともよい。
【0084】
この接合補強材40を取り付ける際には、定着プレート42と基礎1、柱3との間に位置する、繊維シート41の端部側の余長部分を、第1挿通孔43aに通して定着プレート42の表面側に折返して導出させる。そして、この表面側に位置させた繊維シート41の端部側を、第2挿通孔43bに通して、再度定着プレート42の裏面側に導入させる。つまり繊維シート41を、定着プレート42の裏面側と表面側との双方に位置させる。このとき、繊維シート41の折返部に接着材を塗布して、繊維シート41を定着プレート42に接着させてもよい。
【0085】
こうして、繊維シート41を緊張させた状態としておいて、定着プレート42によって繊維シート41の両端部側を基礎1又は柱3に各々押圧するとともに、定着プレート42を、固定部材25Bを孔42hに通すようにして、基礎1又は柱3に取り付ける。このとき、固定部材25Bは繊維シート41を貫通する。そして、固定部材25Bのナット締結を行うとともに、孔42iから固定部材25を打ち込むことで、繊維シート41は、定着プレート42と一体となって基礎1及び柱3に強固に定着される。
【0086】
本実施形態に係る木造建築物の接合補強材40及びこれを用いた接合補強構造においては、定着プレート42に、繊維シート41を挿通させて定着プレート42の表面側に折り返させる、スリット状の第1挿通孔43aと、折り返された繊維シート41を更に裏面側に導入させる第2挿通孔43bとを、形成するようにしている。このため、第1実施形態におけると同様に、接合強度を向上させることができる。
【0087】
とりわけこの接合補強材40及びこれを用いた接合補強構造では、繊維シート41の端部側が第1挿通孔43a及び第2挿通孔43bに通された状態で、基礎1及び柱3の各々に定着固定されているため、地震が発生し繊維シート41に引張力が作用した場合でも、繊維シート41の定着プレート42に対する移動やずれを的確に防止することができる。また、引掛部43fが繊維シート41に食い込むため、さらに繊維シート41のずれ、ゆるみを的確に防止することができる。この結果、定着プレート42と繊維シート41との一体性が増し、接合強度をより向上させることができる。
【0088】
[第4の実施形態]
次に、第4実施形態について、図9及び図10を用いて説明する。
なお、本実施形態においては、上記第1実施形態と共通する構成要素には、同一の符号を付して、その詳しい説明は省略することとする。
【0089】
図9に示すように、基礎1と柱3との接合部は、接合補強材50によって接合補強されている。この接合補強材50は、接合部を跨いで基礎1と柱3との間に掛け渡され配設される長尺状の繊維シート(繊維部材)51と、この繊維シート51を基礎1、柱3に各々定着させる定着プレート(定着部材)52と、を備えた構成となっている。
【0090】
繊維シート51は、接着剤によって基礎1から柱3までの外面に貼り付けられた状態で、配設されている。この繊維シート51は、上記第1実施形態における繊維シート21と同様、高強度繊維をシート状に成形したものであり、少なくとも長手方向には非常に高い強度を発揮できるようになっている。この繊維シート51の長手方向の両端部は、定着プレート52によって、基礎1及び柱3の各々に強固に固定されている。なお、繊維シート51の中間部分には中間取付プレート23が取り付けられており、この中間部分は、釘、ビス、ボルト等の固定部材25によって、中間取付プレート23とともに基礎1、土台2又は柱3と固定されている。
【0091】
定着プレート52は、鋼、アルミニウム合金あるいは強化プラスチック等の材料によって構成されている、平板状をなしたプレートであって、繊維シート51の外面に配設されて、繊維シート51の端部側を基礎1及び柱3の各々に定着させるものである。これら定着プレート52のほぼ中間部分には、この定着プレート52を屈曲させることで裏面側から突出するように形成された、ダボ部52aが設けられている。このダボ部52aは、基礎1、柱3の外面側に形成された溝状の凹部である溝部(凹部)1g、3gの各々と嵌合し、且つ、繊維シート51の長手方向と交差する方向に延在する凸条とされ、繊維シート51とともに溝部1g、3gに挿入されるものである。すなわち繊維シート51は、溝部1g、3gの内面とダボ部52aの外面との間に狭持されるようになっている。
【0092】
また、これら定着プレート52には、釘、ビス、ボルト等の固定部材25を通すために、表面側から裏面側へと貫通する孔52hが複数形成されている。すなわち、これら孔52hに固定部材25を通すことで、定着プレート52を繊維シート51と一体として基礎1及び柱3の各々の外面側に取り付け、繊維シート51を各々定着させることができるようになっている。なおここでは、上下計6箇所に形成された孔52hから、基礎1又は柱3に、釘又はビス(固定部材25)を打ち込むようにしているが、接着剤を固定部材として用いてもよい。この場合には、定着プレート52に孔52hは形成されていなくともよい。
【0093】
この接合補強材50を取り付ける際には、基礎1及び柱3の各定着位置に、ダボ部52aと嵌合する大きさを有する溝部1g,3gを、繊維シート51の長手方向と交差する方向に延在するようにして、予め形成しておく。そして、ダボ部52aと溝部1g,3gとの間に繊維シート51を位置させた状態としておき、定着プレート52を押圧して、ダボ部52aを溝部1g,3g内に各々挿入し、孔52hから固定部材25を打ち込むことで、繊維シート51は、定着プレート52と一体となって基礎1及び柱3に強固に定着される。このとき、ダボ部52aは、溝部1g,3gとの間に繊維シート51を狭持した状態で溝部1g,3g内に固定されており、繊維シート51は、屈曲又は湾曲されて溝部1g,3g内に固定されて、両端部側に緊張された状態で定着されることとなる。
【0094】
本実施形態に係る木造建築物の接合補強材50及びこれを用いた接合補強構造においては、定着プレート52にダボ部52aを設けて、繊維シート51とともに溝部1g,3g内に挿入させるようにしている。このため、上記第1実施形態におけると同様に、接合強度を向上させることができる。
【0095】
とりわけこの接合補強材50及びこれを用いた接合補強構造では、繊維シート51を基礎1及び柱3に容易に定着させることができるとともに、繊維シート51を緊張させるように屈曲又は湾曲させて溝部1g,3g内に固定させることができ、繊維シート51に高い張力を加えることができるとともに、繊維シート51を基礎1及び柱3により的確に定着させることができる。これにより、定着プレート52と繊維シート51との一体性が増し、接合強度をより向上させることができる。
【0096】
[第5の実施形態]
次に、第5実施形態について、図11及び図12を用いて説明する。
なお、本実施形態においては、上記第1実施形態又は第4実施形態と共通する構成要素には、同一の符号を付して、その詳しい説明は省略することとする。
【0097】
図11に示すように、基礎1と柱3との接合部は、接合補強材60によって接合補強されている。この接合補強材60は、接合部を跨いで基礎1と柱3との間に掛け渡され配設される長尺状の繊維シート(繊維部材)61と、この繊維シート61を基礎1、柱3に各々定着させる定着プレート(定着部材)62と、を備えた構成となっている。
【0098】
繊維シート61は、接着剤によって基礎1から柱3までの外面に貼り付けられた状態で、配設されている。この繊維シート61は、上記第1実施形態における繊維シート21と同様、高強度繊維をシート状に成形したものであり、少なくとも長手方向には非常に高い強度を発揮できるようになっている。この繊維シート61の長手方向の両端部側は、定着プレート62によって、基礎1及び柱3の各々に強固に固定されている。なお、繊維シート61の中間部分には中間取付プレート23が取り付けられており、この中間部分は、釘、ビス、ボルト等の固定部材25によって、基礎1、土台2又は柱3と固定されている。
【0099】
定着プレート62は、鋼、アルミニウム合金あるいは強化プラスチック等の材料によって構成されている、平板状をなしたプレートであって、繊維シート61の外面に配設されて、繊維シート61の端部側を基礎1及び柱3の各々に定着させるものである。図12(a)及び(b)に示すように、これら定着プレート62のほぼ中間部分には、この定着プレート62を屈曲させることで裏面から外方へと突出するように形成された、ダボ部62aが設けられている。このダボ部62aは、基礎1、柱3の外面側に形成された溝部1g、3gの各々と嵌合し、且つ、繊維シート61の長手方向と交差する方向に延在する凸条とされ、繊維シート61とともに溝部1g、3gに挿入されるものである。すなわち繊維シート61は、溝部1g、3gの内面とダボ部62aの外面との間に狭持されるようになっている。
【0100】
また、これら定着プレート62には、繊維シート61よりも広幅とされて表面側から裏面側へと貫通するスリット状の挿通孔(孔)63が、ダボ部62aよりも端部側の位置に形成されている。この挿通孔63は、繊維シート61を挿通させて、この繊維シート61の一部を定着プレート62の表面側へと導出させることを可能とするものである。
【0101】
更に、これら定着プレート62には、釘、ビス、ボルト等の固定部材25を通すために、表面側から裏面側へと貫通する孔62hが複数形成されている。すなわち、これら孔62hに固定部材25を通して、定着プレート62を繊維シート61と一体として基礎1及び柱3の各々の外面側に取り付け、繊維シート61を各々定着させることができるようになっている。なおここでは、上下計8箇所に形成された孔62hから基礎1又は柱3に、釘又はビス(固定部材25)を打ち込むようにしているが、接着剤を固定部材として用いてもよい。この場合には、定着プレート62に孔62hは形成されていなくともよい。
【0102】
この接合補強材60を取り付ける際には、基礎1及び柱3の各定着位置に、ダボ部62aと嵌合する大きさを有する溝部1g,3gを、繊維シート61の長手方向と交差する方向に延在するようにして、予め形成しておく。そして、定着プレート62と基礎1、柱3との間に位置する繊維シート61の端部側の余長部分を、挿通孔63に通して定着プレート62の表面側に導出させる。そして、この表面側に位置させた繊維シート61の端部側を、定着プレート62の端部から折り返して、再度定着プレート62の裏面側に導入させる。つまり繊維シート61を、定着プレート62の裏面側と表面側との双方に位置させる。このとき、繊維シート61の折返部に接着材を塗布して、繊維シート61を定着プレート62に接着させてもよい。
【0103】
次に、繊維シート61を緊張させた状態としておいて、定着プレート62を押圧して、ダボ部62aを溝部1g,3g内に各々挿入し、孔62hから固定部材25を打ち込むことで、繊維シート61は、定着プレート62と一体となって基礎1及び柱3に強固に定着される。このとき、ダボ部62aは、溝部1g,3gとの間に繊維シート61を狭持した状態で溝部1g,3g内に固定されており、繊維シート61は、屈曲又は湾曲されて溝部1g,3g内に固定されて、両端部側に高い緊張力で緊張された状態で定着されることとなる。
【0104】
本実施形態に係る木造建築物の接合補強材60及びこれを用いた接合補強構造においては、定着プレート62に、繊維シート61を挿通させて定着プレート62の表面側に導出させる、スリット状の挿通孔63を設けるとともに、ダボ部62aを設けて、繊維シート61とともに溝部1g,3g内に挿入させるようにしている。このように、上記第3実施形態における接合補強材40と第4実施形態における接合補強材50との双方の特徴を併せ持った形態としているので、定着プレート62と繊維シート61との一体性を増すことができるとともに、繊維シート61に高い張力を加えることができ、接合強度、接合耐力を大幅に向上させることができる。
【0105】
[第6の実施形態]
次に、第6実施形態について、図13乃至図16を用いて説明する。
なお、本実施形態においては、上記第1実施形態と共通する構成要素には、同一の符号を付して、その詳しい説明は省略することとする。
【0106】
図13に示すように、基礎1と柱3との接合部は、接合補強材70Aによって接合補強されている。この接合補強材70Aは、接合部を跨いで基礎1と柱3との間に掛け渡され配設される長尺状の繊維シート(繊維部材)71と、この繊維シート71を基礎1、柱3に各々定着させる円柱ダボ(定着部材、ダボ)72Aと、を備えた構成となっている。なお、基礎1、柱3の各々の定着位置の外面側には、繊維シート71の長手方向と交差する方向に延在するように溝部(凹部)1h,3hが予め形成されている。
【0107】
繊維シート71は、接着剤によって基礎1から柱3までの外面に貼り付けられた状態で、配設されている。この繊維シート71は、上記第1実施形態における繊維シート21と同様、高強度繊維をシート状に成形したものであり、少なくとも長手方向には非常に高い強度を発揮できるようになっている。この繊維シート71の長手方向の両端部側は、円柱ダボ72Aによって、基礎1及び柱3の各々に強固に固定されている。なおここでは、繊維シート71の中間部分には中間取付プレート23が取り付けられており、この中間部分は、釘、ビス、ボルト等の固定部材25によって、基礎1、土台2又は柱3と固定されるようになっている。
【0108】
円柱ダボ72Aは、木質材、金属あるいは強化プラスチック等の材料によって構成されている、略円柱形状をなしたダボであって、繊維シート71の外面に配設されて、繊維シート71の端部側を基礎1及び柱3の各々に定着させるものである。この円柱ダボ72Aは、基礎1、柱3の各々の外面側に形成された溝状の凹部である断面視略矩形状の溝部(凹部)1h,3hに、繊維シート71とともに溝部1h,3hに挿入されるものである。すなわち繊維シート71は、溝部1g、3gの内面と円柱ダボ72Aの外面との間に狭持されるようになっている。
【0109】
この接合補強材70Aを取り付ける際には、基礎1及び柱3の各定着位置に、円柱ダボ72Aと嵌合する大きさを有する溝部1h,3hを、繊維シート71の長手方向と交差する方向に延在するようにして、予め形成しておく。そして、円柱ダボ72Aと溝部1h,3hとの間に繊維シート71を位置させた状態としておき、円柱ダボ72Aを押圧して、円柱ダボ72Aを溝部1h,3h内に各々挿入し、固定部材25を打ち込むことで、繊維シート71は、円柱ダボ72Aと一体となって基礎1及び柱3に強固に定着される。なお、接着剤を固定部材として用いて、円柱ダボ72A及び繊維シート71を溝部1h,3hに固定するようにしてもよい。
【0110】
このとき、円柱ダボ72Aは、溝部1h,3hとの間に繊維シート71を狭持した状態で溝部1h,3h内に固定されており、繊維シート71は、屈曲又は湾曲されて溝部1h,3h内に固定されて、両端部側に緊張された状態で定着されることとなる。
【0111】
なお、接合補強材70Aに替えて、図15及び図16に示す接合補強材70Bを用いるようにしてもよい。この接合補強材70Bは、上記接合補強材70Aと比較して、円柱ダボ72Aの替わりに、角柱ダボ(定着部材、ダボ)72Bを備えている点が異なっているのみである。
【0112】
これら角柱ダボ72Bは、溝部1h、3hの内面とほぼ隙間無く嵌合するように、略矩形状をなしている。この角柱ダボ72Bを用いれば、繊維シート71を、溝部1h,3hの内面と角柱ダボ72Bの外面とでほぼ隙間無く狭持することができ、繊維シート71をより強固に基礎1及び柱3に定着させることができる。
【0113】
本実施形態に係る木造建築物の接合補強材70A、70Bにおいては、定着部材を円柱ダボ72A又は角柱ダボ72Bとして、基礎1又は柱3の外面側に形成された凹部としての溝部1h,3hに、繊維シート71とともに挿入されるようにしている。このため、繊維シート71を容易に定着させることができるとともに、繊維シート71を緊張させるように屈曲又は湾曲させて、溝部1h,3h内に固定させることができ、繊維シート71に高い張力を加えることができるとともに、繊維シート71を、基礎1及び柱3により的確に定着させることができる。
【0114】
また、接合補強材70Aを用いた接合補強構造においては、繊維シート71の長手方向と交差する方向に延在するように溝部1h,3hを形成しておき、略円柱形状をなす円柱ダボ72Aを用いて、溝部1h,3hとの間に繊維シート71を狭持した状態で溝部1h,3h内に挿入するようにしている。このため、溝部1h,3h内に容易に挿入することができ、繊維シート71を好適に緊張させることができるとともに、円柱ダボ72Aには角隅部がないため、繊維シート71に過度の応力集中が発生することを、的確に防止することができ、接合補強材70Aの耐久性をより高めることができる。
【0115】
更に、接合補強材70Bを用いた接合補強構造においては、溝部1h,3hと嵌合する略矩形状をなす角柱ダボ72Bを用いるようにしているので、繊維シート71を、溝部1h,3hの内面と角柱ダボ72Bの外面とでほぼ隙間無く狭持することができ、繊維シート71をより強固に基礎1及び柱3に定着させることができ、接合補強材70Bの信頼性をより高めることができる。
【0116】
なお、以上述べてきた第2乃至第6実施形態においては、基礎1と柱3との接合部を接合補強するようにしているが、上記第1実施形態において図1(b)に示したと同様に、多数の木質材同士の接合部を接合補強するために用いることもできる。また、図19又は図20において示したように、繊維シートを柱3等の外面側に螺旋状に巻回させて配設することもできることは、言うまでもない。
【0117】
[第7の実施形態]
次に、第7実施形態について、図17及び図18を用いて説明する。
なお、本実施形態においては、上記第1及び第3実施形態と共通する構成要素には、同一の符号を付して、その詳しい説明は省略することとする。
【0118】
図17に示すように、土台2と柱3との接合部は、接合補強材80によって接合補強されている。この接合補強材80は、接合部を跨いで土台2と柱3との間に掛け渡され配設される長尺状の繊維シート(繊維部材)81と、この繊維シート81を土台2、柱3に各々定着させる定着プレート(定着部材)82、22Bと、を備えた構成となっている。
【0119】
繊維シート81は、接着剤によって土台2から柱3までの外面に貼り付けられた状態で、配設されている。この繊維シート81は、上記第1実施形態における繊維シート21と同様、高強度繊維をシート状に成形したものであり、少なくとも長手方向には非常に高い強度を発揮できるようになっている。この繊維シート81の長手方向の両端部側は、定着プレート82、22Bによって、土台2及び柱3の各々に強固に固定されている。
【0120】
定着プレート82は、鋼、アルミニウム合金あるいは強化プラスチック等の材料によって構成されている、側面視略L字形状をなしたプレートであって、土台2と柱3との角隅部における繊維シート81の外面側に配設されて、繊維シート81の端部側を土台2及び柱3に定着させるものである。この定着プレート82は、平板が中間部分で屈曲されることで側面視略L字形状とされており、互いに略直交する第1板部82a及び第2板部82bと、屈曲部分としての角隅部を補強する角部材82cと、が備えられている。
【0121】
この定着プレート82には、釘、ビス、ボルト等の固定部材25,25Bを通すために、表面側から裏面側へと貫通する孔82h,82iが複数形成されている。すなわち、これら孔82h、82iに固定部材25を通すことで、定着プレート82を繊維シート81と一体として土台2及び柱3の各々の外面側に取り付け、繊維シート81を各々定着させることができるようになっている。なおここでは、第2板部82aに形成された大径の孔82hに、土台2に埋め込まれたボルト(固定部材25B)を通して、ナット締結により強固に固定するとともに、小径の孔82iから土台2及び柱3に、釘又はビス(固定部材25)を打ち込むようにしているが、接着剤を固定部材として用いてもよい。この場合には、定着プレート82に孔82h,82iは形成されていなくともよい。
【0122】
なお、図17に示すように、定着プレート82に筋交取付プレート85を一体に取り付けて、筋交5も定着プレート82に一体に固定するようにしてもよい。こうすれば、土台2と柱3と筋交5との接合部は、強固に接合補強されることとなる。
【0123】
本実施形態に係る木造建築物の接合補強材80及びこれを用いた接合補強構造においては、略L字形状とされた定着プレート82を用いて、土台2と柱3との角隅部における繊維シート81を定着させるようにしている。このため、土台2と柱3との接合強度を向上させるとともに、これらの角隅部における剛性を高めて、互いの位置ずれや破損が発生することを的確に防止することができる。
【0124】
[第8の実施形態]
次に、第8実施形態について、図21を用いて説明する。
本実施形態は、建築部材としての基礎と、その上部に設けられた土台、柱あるいは梁等といった建築部材としての木質材との接合部を補強する、接合補強構造に関するものである。なお、本実施形態においては、上記第1実施形態と共通する構成要素には、同一の符号を付して、その詳しい説明は省略することとする。
【0125】
図21に示すように、基礎1は、鉄筋1rとコンクリート1cとから構成された、鉄筋コンクリート製となっている。この基礎1には、繊維シート91の長手方向の下端部側(一端部側)が、埋設されることにより定着されている。この繊維シート91は、基礎1の上部に設けられた土台、柱、梁あるいは筋交等といった木質材(図示省略)との接合部を接合補強するためのものであり、繊維シート91の他端部側(上端部側)は、こうした木質材に定着されるようになっている。この図においては、繊維シートの下端部側(一端部側)を符号91a、上端部側(他端部側)を符号91bとして、各々示している。
【0126】
繊維シート91は、上記第1実施形態における繊維シート21と同様、高強度繊維をシート状に成形したものであり、少なくとも長手方向には非常に高い強度を発揮できるようになっている。この繊維シート91の下端部側91aは、幅方向に分割されて繊維状とされ、鉄筋1rと強固に連結されている。この下端部側91aを含む繊維シート91の下側の一部は、鉄筋1rの周囲に打設されたコンクリート1cに埋設されることで基礎1に定着されており、また上端部側91bを含む繊維シート91の上側の一部は、基礎1の外部に延出されている。この上端部側91bが、基礎1の上部に設けられた木質材に定着されて、基礎1と木質材との接合部が接合補強される。
【0127】
この繊維シート91を基礎1に定着させる際には、予め繊維シート91の下端部側91aをほぐしておき、幅方向に分割させて繊維状としておく。そしてこの下端部側91aを、配筋された鉄筋1rに結束、巻回等することにより、鉄筋1rと連結させる。その後、鉄筋1rの周囲にコンクリート1cを打設し、固化・養生させる。こうすることにより、繊維シート91の下側の一部が埋設された状態の基礎1が形成される。なおこのとき、繊維シート91の上側の一部は、コンクリート1cの上部側から基礎1の外部に延出させた状態としておく。
【0128】
その後の施工により、基礎1の上部に木質材を配設した際に、定着部材(図示省略)を用いる等して、繊維シート91の上端部側91bを木質材に定着させる。こうすることにより、基礎1と、基礎1の上部に設けられた木質材との接合部は、両側が定着された繊維シート91によって接合補強される。
なお、ここで用いる定着部材としては、上記第1乃至第7実施形態において用いる定着部材を、適宜用いることができる。
【0129】
本実施形態に係る接合補強構造においては、高強度繊維がシート状に成形されてなる繊維シート91の下端部側91aが基礎1に埋設されているとともに、繊維シート91の上端部側91bが基礎1の外部に延出されて、基礎1の上部に設けられた木質材に定着されるようにしている。このようにしているので、繊維シート91の下端部側をコンクリート1cと一体として基礎1に的確に固定させ定着させることができる。そのため、地震が発生した場合でも、基礎1と土台、柱、梁あるいは筋交等といった木質材との接合部の接合強度を、向上させることができる。また、繊維シート91の周囲にコンクリート1cを打設するようにしているので、繊維シート91が埋設された状態の基礎1を、容易に施工することができる。
【0130】
また、高強度繊維をシート状とした繊維シート91を用いているため、施工性を良好とできるとともに、急激な耐力低下を防ぐことができ、終局破壊に至るまで耐力の維持ができるので、接合耐力を高いものとすることができる。
更に、高強度繊維は熱伝導製が極めて低いため、基礎1からの冷橋が木質材に殆ど伝わることがなく、木造建築物における結露の発生を極力防止することができる。
【0131】
更に、繊維シート91の下端部側91aを鉄筋1rに連結しているので、繊維シート91をより強固に基礎1に固定・定着させることができ、接合強度を更に向上させることができる。
【0132】
[第9の実施形態]
次に、第9実施形態について、図22、図24及び図25を用いて説明する。
なお、本実施形態においては、上記第1実施形態と共通する構成要素には、同一の符号を付して、その詳しい説明は省略することとする。
【0133】
図22に示すように、基礎1と土台2と柱3との接合部は、接合補強材100Aによって接合補強されている。この接合補強材100Aは、接合部を跨いで基礎1と柱3との間に掛け渡され配設される長尺状の繊維部材101Aと、この繊維部材101Aを柱3に定着させる定着プレート(定着部材)102と、を備えた構成となっている。
【0134】
繊維部材101Aは、上記第1実施形態における繊維シート21におけると同様の高強度繊維から構成されており、図22及び図24に示すように、繊維ロープ部101rと繊維シート部101sとが、一体に連なった構成とされている。繊維シート部101sは、高強度繊維がシート状に成形された部分であり、また繊維ロープ部101rは、高強度繊維がロープ状に成形された部分である。この繊維ロープ部101rは、繊維シートを編み込む、あるいは結束すること等によって、容易に成形することができる。すなわちこの繊維部材101Aは、上記各実施形態における繊維シートの一端部側をシート状として残しておき、他の部分をロープ状とした形態となっている。
【0135】
定着プレート102は、上記第1実施形態における定着プレート22,22Bと同様の構成となっており、固定部材25によって柱3等に固定されるようになっている。なおここでは、定着部材としての定着プレート102を用いることとしているが、上記第2乃至第7実施形態において用いる定着部材を適宜用いるようにしても、差し支えない。
【0136】
土台2の接合部近傍位置には、上下方向に貫通する貫通孔2hが形成されているとともに、この貫通孔2h内には、繊維ロープ部101rを挿通させるためのロープ挿通具103が取り付けられている。
【0137】
このロープ挿通具103は、図25に示すように、長尺状のロープ挿通中空ボルト103aと、この中空ボルト103aの両端部側に螺合されるロープ固定中空ナット103bと、ロープ固定中空ナット103cと、から構成されている。ロープ挿通中空ボルト103aは、長尺筒状をなして、少なくとも長手方向両端部側には、外周側及び内周側の各々にネジが形成されている。このロープ挿通中空ボルト103aの外周側には、筒状をなす固定ナット103bが螺合され、また内周側には、筒状をなすロープ固定中空ナット103cが螺合されている。
【0138】
土台2の貫通孔2hの内径は、ロープ挿通中空ボルト103aの外形に対応するように形成されており、貫通孔2h内に挿入されたロープ挿通中空ボルト103aの両端部側に固定ナット103bを各々螺合させ、土台2を上下方向から狭持することで、ロープ挿通中空ボルト103aは貫通孔2h内に固定されている。そして、ロープ挿通中空ボルト103a内に挿通された繊維ロープ部101rを、ロープ挿通中空ボルト103a端部に螺合させたロープ固定中空ナット103cで緊結しており、繊維ロープ部101rは土台2と強固に固定されている。
【0139】
繊維部材101Aのうち、繊維ロープ部101rは、土台2に取り付けられたロープ挿通具103を貫通して、鉄筋コンクリート製の基礎1に埋設されている。この繊維ロープ部101rの下端部側101aは、幅方向に分割されて繊維状とされ、基礎1内の鉄筋(図示省略)と連結されている。この下端部側101aを含む繊維ロープ部101rの下側の一部は、鉄筋の周囲に打設されたコンクリートに埋設されることで基礎1に定着されており、また繊維シート部101sを含む繊維部材101Aの上側の一部は、基礎1の外部に延出されている。そしてこの基礎1外部に延出されている繊維ロープ部101rは、ロープ挿通具103に挿通されて土台2を貫通し、その上部の繊維シート部101sは、固定部材25によって定着プレート102と一体となって柱3の外面側に取り付けられ、定着されている。
【0140】
この繊維部材101Aを基礎1に定着させる際には、予め繊維ロープ部101rの下端部側101aをほぐしておき、幅方向に分割させて繊維状としておく。そしてこの下端部側101aを、配筋された鉄筋に結束、巻回等することにより、鉄筋と連結させる。その後、鉄筋の周囲にコンクリートを打設し、固化・養生させる。こうすることにより、繊維ロープ部101rの下側の一部が埋設された状態の基礎1が形成される。なおこのとき、繊維部材101Aの上側の一部は、コンクリートの上部側から基礎1の外部に延出させた状態としておく。
【0141】
その後の施工により、基礎1の上部に土台2を配設する際に、予め土台2に設けられたロープ挿通具103内に繊維部材101Aを挿通させ、繊維シート部101sを土台2の上側に延出させて、定着プレート102及び固定部材25を用いて、繊維シート部101sを柱3に定着させる。こうすることで、基礎1と土台2と柱3と接合部を、一体的に接合補強することができる。
【0142】
本実施形態に係る接合補強材100A及びこれを用いた接合補強構造においては、繊維ロープ部101rと繊維シート部101sとが一体に連なるように構成した繊維部材101Aを用いるようにしている。このように、繊維部材101Aが、高強度繊維をロープ状とした繊維ロープ部101rを有するようにしているため、土台2を貫通させて配設することを容易に行うことができるとともに、繊維シート部101sをも有するようにしているので、土台2から上側の柱3に定着させることも容易に行うことができる。このため、多様な施工に対応することができ。施工の自由度を高めることができる。
【0143】
また、繊維部材101Aのうちの繊維ロープ部101rの側を基礎1に埋設するとともに、繊維シート部101sを上部の柱3に定着するようにしているので、繊維ロープ部101rの側をコンクリート1cと一体として基礎1に的確に固定させることができる。そのため、基礎1と土台2と柱3との接合部の接合強度を大幅に向上させることができる。
【0144】
更に、繊維ロープ部101rの下端部側101aを鉄筋に連結するようにすれば、繊維部材101Aをより強固に基礎1に固定・定着させることができ、接合強度を更に向上させることができる。
【0145】
[第10の実施形態]
次に、第10実施形態について、図23を用いて説明する。
なお、本実施形態においては、上記第1実施形態または第9実施形態と共通する構成要素には、同一の符号を付して、その詳しい説明は省略することとする。
【0146】
図23に示すように、下側の柱3と梁4と上側の柱3との接合部は、接合補強材100Bによって接合補強されている。この接合補強材100Bは、接合部を跨いで柱3と柱3との間に掛け渡され配設される長尺状の繊維部材101Bと、この繊維部材101Bを柱3に定着させる定着プレート(定着部材)102と、を備えた構成となっている。
【0147】
繊維部材101Bは、上記繊維部材101Aと同様の高強度繊維から構成されており、繊維ロープ部101rと繊維シート部101sとが、一体に連なった構成とされている。上記繊維部材101Aと異なる点は、長手方向両端部側に繊維シート部101sが形成されて中間部分が繊維ロープ部101rとなっている点である。
【0148】
梁4の接合部近傍位置には、上下方向に貫通する貫通孔4hが形成されているとともに、この貫通孔4h内には、繊維ロープ部101rを挿通させるためのロープ挿通具103が取り付けられている。
【0149】
繊維部材101Bのうち、繊維ロープ部101rは、梁4に取り付けられたロープ挿通具103を貫通して、梁4の上下側に各々延出されている。そして、両端部側の繊維シート部101sは、固定部材25によって定着プレート102と一体となって、上下の柱3の外面側に各々取り付けられ、定着されている。
【0150】
この繊維部材101Bを上下の柱3に定着させる際には、予め梁4に設けられたロープ挿通具103内に繊維部材101Bを挿通させ、繊維シート部101sを梁4の上下側に各々延出させるようにしておき、定着プレート102及び固定部材25を用いて、繊維シート部101sを上下の柱3に各々定着させる。こうすることで、柱3同士の接合部のみならず、梁4との接合部も含めて一体的に強固に接合補強することができる。
【0151】
本実施形態に係る接合補強材100B及びこれを用いた接合補強構造においては、繊維ロープ部101rの両端部側に繊維シート部101sを有する繊維部材101Bを用いるようにしているので、梁4を容易に貫通させることができるとともに、柱3の各々の外面側に、繊維部材100Bの両端部側を各々容易に定着させることができ、より多様な施工に対応することができる。
【0152】
また、繊維ロープ部101rを、接合部近傍位置の梁4を貫通させて配設するようにしているとともに、繊維シート部101sを、一対の定着プレート102によって、両端部側の建築部材すなわち上下の柱3に各々定着させるようにしているので、上下の柱3同士の接合部のみならず、繊維ロープ部101rが貫通している梁4との接合部も含めて、一体的に強固に接合補強することができる。すなわち、多数の木質材同士の接合部を接合補強し、接合強度を向上させることができる。
【0153】
[第11の実施形態]
次に、第11実施形態について、図26乃至図38を用いて説明する。
本実施形態は、建築部材同士としての柱と梁との接合部を補強する、接合補強構造に関するものである。
【0154】
図26及び図34には、柱(一方の建築部材)13と梁(他方の建築部材)14とが略直交方向に組み付けられている接合部を示している。これら柱13と梁14との接合部は、ボルト121と円柱ピン(ピン)122Aとが螺合していることにより、剛接合構造とされている。
【0155】
柱13及び梁14には、接合部を通って柱13から梁14まで連通する長尺状のボルト挿通孔13h,14hが、梁14の長手方向と略平行方向に延在するようにして、各々形成されている。これらボルト挿通孔13h,14hには、柱13側から長尺状のボルト121が挿通されている。
【0156】
梁14には、ボルト挿通孔13h,14hと略直交に交差するように、梁14の横方向に延在するようにして、断面視略円形状をなす長尺状のピン挿通孔14iが、上下2箇所に形成されている。これらピン挿通孔14iは、少なくともボルト挿通孔13h,14hよりも大径となっており、それに対応する径を有して円柱状をなす円柱ピン122Aが各々挿通されている。このように、ピン挿通孔14i及び円柱ピン122Aをともに断面視円形状としており、両者間に極度の応力集中が発生するおそれを殆ど無くすことができる。
【0157】
円柱ピン122Aは、金属、強化プラスチック等から構成されており、ボルト挿通孔14hに対応する位置に、円柱ピン122Aを横方向に貫通する雌ネジ孔122hが形成されている。つまり、1つの円柱ピン122Aには、2つの雌ネジ孔122hが形成されている。これら雌ネジ孔122hには、ボルト121が貫通して螺合されており、円柱ピン122Aとボルト121は強固に連結されている。すなわち、柱13から接合部を通って梁14まで挿通されたボルト121を締め付けることにより、円柱ピン122Aは柱13側に緊張され、これにより梁14と柱13との間に強固な接合力が発生しており、両者は剛接合構造とされた状態となっている。
【0158】
また、梁14には、梁14の外面側からボルト挿通孔14hの終端部まで通じるように、切欠凹部15aが形成されており、この切欠凹部15a内には、円柱ピン122Aを貫通したボルト121の先端側が突出している。このボルト121の突出部分には、ボルト122の緩みを防止するためのナット(緩み防止部材)123が螺合・緊結されている。こうした切欠凹部15aが形成されていることで、ボルト121を円柱ピン122Aに螺合させた後、梁14外面側からボルト121先端側にナット123を挿入・螺合させて、ボルト121の緩み止めを容易に行うことができる。なお、ナット123を螺合・緊結した後に、切欠凹部15a内に接着剤等を充填・固化させるようにすれば、より高い緩み止め効果を得ることができる。
【0159】
図26に示した柱13と梁14との接合部においては、梁14の4隅の各々の内側にボルト121を挿通可能とし、横方向から挿通された円柱ピン122Aと螺合させて、計4箇所で剛接合するようにしているが、柱13と梁14との接合部を剛接合構造とするには、こうした構成に限定されるものではない。他の変形例について、図27乃至図33に各々示す。
【0160】
図27に示す接合部においては、梁14の上下各1箇所の内側にボルト121を挿通可能として、計2箇所で剛接合するようにしている。この場合、ボルト挿通孔13h,14hは、柱13及び梁14の横方向における中央部近傍に各々形成されており、2つの円柱ピン122Aには、雌ネジ孔122hは各々1箇所形成されている。そしてこれに伴って切欠凹部(符号15b)は、梁14の横方向中央部近傍の上下側から、平面視略矩形状の凹部をなして各々形成されている。
【0161】
図28に示す接合部においては、梁14の4隅の各々の内側にボルト121を挿通可能として、計4箇所で剛接合するようにしている点で、図26に示した接合部と共通している。しかし、円柱ピン122Aよりも加工が容易な円筒ピン(ピン)122Bを用いている点、及び切欠凹部(符号15c)が平面視略円形状の凹部をなして各々形成されている点、において異なっている。
【0162】
円筒ピン122Bは、材質等は上記円柱ピン122Aと同様であるが、中空の円筒形状をなしている。この円筒ピン122Bのボルト挿通孔14hに対応する位置には、円筒ピン122Bを横方向に貫通する雌ネジ孔122h2が形成されている。このように中空の円筒形状をなしていることで、中実の円柱ピン122Aの場合と比較して、雌ネジ孔122h2をより容易に加工することができるとともに、より軽量化を図ることができる。なお、ボルト121を螺合させた後に、円筒ピン122B内に接着剤等を充填・固化させて、中実構造とするようにしてもよい。
【0163】
また、梁14には、梁14の外面側からボルト挿通孔14hの終端部まで通じるように、切欠凹部15cが形成されており、この切欠凹部15c内には、円筒ピン122Bを貫通したボルト121の先端側が突出している。この切欠凹部15cは、上記切欠凹部15aよりも小型の平面視略円形状の凹部をなしており、ボルト121の緩み防止部材としての接着剤が、充填・固化されている。つまりここでは、ナット123を螺合させる必要がないので、梁14への加工は、接着剤を充填・固化するに必要な最小限に止められている。
【0164】
図29に示す接合部においては、図27において用いた円柱ピン122Aを、円筒ピン122Bに置き換えている。これら2つの円筒ピン122Bには、雌ネジ孔122h2は、各々1箇所形成されている。
【0165】
図30及び図31に示す接合部においては、図27において用いた円柱ピン122Aを、円柱ピン122Cに置き換えている。図30に示す剛接合構造と図31に示す剛接合構造とは、梁14に切欠凹部15bが形成されているか否か、つまり緩み止め部材が設けられているか否かという点のみが異なっている。
【0166】
円柱ピン122Cは、基本構成は上記円柱ピン122Aと同様となっており、ボルト挿通孔14hに対応する位置に、円柱ピン122Cを横方向に貫通する雌ネジ孔122h3が形成されている。円柱ピン122Aと異なる点は、長手方向の端面側に、工具を係合可能とするための係合溝(係合部)122gが形成されている点である。
【0167】
断面視円形状のピン挿通孔14iに、それに対応する径を有する円柱ピン122Cを挿通するようにしているので、円柱ピン122Cの挿通時において、円柱ピン122Cが周方向に摺動してしまうおそれがある。こうなると、雌ネジ孔122h3とボルト挿通孔14hとの周方向における位置合わせを、挿通後に行う必要がある。円柱ピン122Cにおいては、工具(図示省略)を係合溝122gに係合させて容易に回動させることができるので、円柱ピン122Cの挿入後に、雌ネジ孔122h3とボルト挿通孔14hとの周方向における位置合わせを、容易に行うことができる。なおここでの係合溝122gは、プラスドライバー等を係合可能なように略十字型に形成されているが、その形状等は特に限定されない。またここでは、係合部を溝部、つまり凹部としているが、例えばボルトの頭部のような凸部としてもよい。
【0168】
図32及び図33に示す接合部においては、梁14の上下各1箇所の内側にボルト121を挿通可能として、計2箇所で剛接合するようにしている点で、図30及び図31に示した剛接合構造と共通している。しかし、梁14の縦方向に延在するようにしてピン挿通孔14i2が1箇所に形成されており、円柱ピン122Cが縦方向に挿通されている点が異なる。図32に示す剛接合構造と図33に示す剛接合構造とは、梁14に切欠凹部15bが形成されているか否か、つまり緩み止め部材が設けられているか否かという点のみが異なっている。
【0169】
このように、柱13と梁14との接合部を剛接合構造とするには、様々な変形例があり、施工コストや施工期間、要求される接合強度や接合耐力等に応じて、その構成は適宜変更することができる。
【0170】
柱13と梁14とが剛接合構造とされたら、次に図35乃至図38に示すように、柱13と梁14との接合部を跨いで繊維シートを配設・定着して、更に接合補強を行う。これらの図においては、図26において示した接合部を接合補強している場合を例にとって説明する。
【0171】
図35には、繊維シート125Aが、接着剤によって柱13から梁14までの外面に貼り付けられて配設されている状態について示している。この繊維シート125Aは、上記第1実施形態における繊維シート21と同様、高強度繊維をシート状に成形したものである。この繊維シート125Aの繊維方向は、梁14の延在方向と略平行方向とされており、この方向には非常に高い強度を発揮できるようになっている。つまり、梁14の延在方向に作用する力に対して非常に高い強度を発揮でき、接合部の接合強度、接合耐力を向上させることができるようになっている。
【0172】
図36には、上記繊維シート125Aに加えて、繊維シート125Bが配設されている状態について示している。この繊維シート125Bは、上記繊維シート125Aと同様の構成であるが、繊維方向が異なっているので、異なった符号を付しているものである。この繊維シート125Bの繊維方向は、柱13の延在方向と略平行方向とされており、繊維シート125Aの梁14側に、積層状態で配設されている。つまり、梁14の延在方向と柱13の延在方向との2方向に作用する力に対して、非常に高い強度を発揮でき、さらに、梁14のボルト挿通孔14hからの割裂を防止することができ、図35において示した例に比べて、接合部の接合強度、接合耐力を更に向上させることができるようになっている。
【0173】
図37には、上記繊維シート125Aに加えて、繊維シート125C,125Dが配設されている状態について示している。これら繊維シート125C,125Dは、上記繊維シート125Aと同様の構成であるが、繊維方向が異なっているので、異なった符号を付しているものである。これら繊維シート125C,125Cの繊維方向は、柱13の延在方向に対して各々±45°傾斜した方向とされており、柱13から梁14にわたって積層状態で配設されている。つまり、梁14の延在方向と、その方向から±45°傾斜した方向との3方向に作用する力に対して、非常に高い強度を発揮でき、図36において示した例に比べて、接合部の、特に柱13と梁14の曲げに対する接合強度、接合耐力を、更に向上させることができるようになっている。
【0174】
図38には、上記繊維シート125A,125C,125Dに加えて、上記繊維シート125Bが積層状態で配設されている状態について示している。つまり、梁14の延在方向と、柱13の延在方向と、その方向から±45°傾斜した方向との4方向に作用する力に対して、非常に高い強度を発揮でき、図37において示した例に比べて、接合部の接合強度、接合耐力を更に向上させることができるようになっている。
【0175】
このように、柱13と梁14との接合部を接合補強するには、様々な変形例があり、施工コストや施工期間、要求される接合強度や接合耐力等に応じて、その構成は適宜変更することができる。
【0176】
本実施形態に係る木造建築物の接合補強構造においては、柱13から梁14まで連通するボルト挿通孔13h,14hが形成されるとともに、梁14にはボルト挿通孔14hと交差するピン挿通孔14iが形成され、柱13側からボルト挿通孔13h,14hに挿通されたボルト121と、ピン挿通孔14iに挿通されたピン122A,122B,122Cに形成された雌ネジ孔122h,122h2,122h3とが螺合されて、柱13と梁14との接合部が剛接合構造とされるとともに、繊維シート125A,125B,125C,125Dが、接合部を跨いで柱13と梁14との間に配設され定着されるようにしている。このように、ボルト121とピン122A,122B,122Cとを螺合させることで、柱13と梁14とを剛接合構造とするとともに、繊維シート125A,125B,125C,125Dで接合補強するようにしているので、簡易な構成で、接合部の接合強度、接合耐力を大幅に向上させることができる。
【0177】
また、梁14には、外面側からボルト挿通孔14hの終端部まで通じるように切欠凹部15a,15b,15cを形成して、ボルト挿通孔14hから切欠凹部内に突出するボルト121の先端側に、ボルト121の緩みを防止する、ナット123や接着剤等の緩み防止部材が設けられるようにしている。このため、ボルト121挿通後に、切欠凹部15a,15b,15c内のボルト121先端側に、ナット123等の緩み防止部材を設けることができ、ボルト121の緩みを的確に抑制することができ、接合部の信頼性・耐久性を大幅に向上させることができる。
【0178】
更に、ピン挿通孔14i,14i2を断面視円形状に形成するとともに、ピンを、円柱ピン122A,122Cのような円柱形状、もしくは円筒ピン122Bのような円筒形状としている。このため、ピン挿通孔14i,14i2とピン122A,122B,122Cとの間に、極度の応力集中が発生することが殆ど無く、梁14にひび割れや変形等が発生するおそれを的確に抑制することができ、接合強度を高めることができるとともに、木造建築物の耐久性を高めることができる。
【0179】
更に、円柱ピン122Cの端面側に、この円柱ピン122Cを回動させるための工具を係合可能とする係合溝122gを形成しているので、ピン挿通孔14i,14i2に挿通されている円柱ピン122Cを、工具を用いて周方向に容易に回動させることができ、雌ネジ孔122h3とボルト挿通孔14hとの周方向における位置合わせを容易に行うことができる。これにより、施工性を良好とでき、施工時間の短縮化を図ることができる。
【0180】
更に、繊維方向が互いに異なる繊維シート125A,125B,125C,125Dが、積層状態で配設されるようにしているので、各々の繊維シート125A,125B,125C,125Dの繊維方向に対して高い強度を発揮させることができ、複数方向に対して高い接合強度、接合耐力を得ることができる。
【0181】
以上述べたように、本発明に係る接合補強材及び接合補強構造の各実施形態においては、既存の建築金物にはない靭性に富んだ接合耐力を得ることができる。すなわち、繊維部材を備えているため、地震時の水平荷力による初期の弾性変形量が多少大きくなるが、弾性限度を超えた荷重が作用した場合でも、耐力を維持し続けて急激な耐力低下を防ぎ、仕口の破断・抜けを防止することができる。このため、既存建築金物にはない靭性に富んだ接合耐力が得られ、耐震性及び靭性を向上させることができ、木造建築物の急激な倒壊を防ぐことができる。
【0182】
また、既存建築金物の取付けに要した木材加工を大幅に少なくでき、使用木質材の断面欠損が少なくなる。さらに、その欠損部に接着剤を充填することもできるため、欠損による耐力低下を補うことができる。
【0183】
更に、必要引抜き耐力が15KN以下の場合は、定着部材を取り付けるための固定部材としてのボルトを省略して、ビスや釘、あるいは接着剤等で取付け可能であるため、施工性向上とコストダウンを可能とする。
【0184】
更に、基礎に定着部材を取り付ける場合、基礎のコンクリート打設前に予めアンカーボルトやビスの受け材をコンクリート内に埋設しておくことで、容易に取付できる。また、基礎内部に繊維部材の端部側を分割してコンクリートで固定できる構造を用いることで、さらに強固となり、基礎からの冷橋が繊維部材により木部に伝達されないため、結露が発生せず、木材の腐れを防止できる。
【0185】
更に、基礎への定着部材の取付けをケミカルアンカーボルト、オールアンカー、アンカービスなどを用いることができ、既存建築物の耐震改修・補強工事にも適し、施工のための解体部分を極力小さく出来るので、コストダウンが可能となる。
【0186】
更に、固定部材はプレス加工等で生産できるため、量産により安価に提供可能となる。さらに、固定部材の形状によっては、鋼板、アルミや合金、強化プラスチックなどの素材により押出し成形による製造も可能なため、さらに安価に提供できる。
【0187】
更に、既存建築金物に見られる溶接部分がないため、メッキ処理した場合でも、腐食しにくくすることができる。
【0188】
更に、接合補強材における両端側の定着部材と木質材とは、繊維部材を介して固定部材で固定されているので、既存建築金物のような冷橋の伝導がなく、結露が発生しないため、木質材の腐朽を発生させ難くすることができる。
【0189】
更に、既存のアンカーボルトなどとの併用の場合でも、繊維部材が木質材と定着部材との間に介在するため、結露の発生を抑制できる。
【0190】
更に、繊維部材をシート状又はロープ状としているので、巻き込んだり、捩ったり、曲げたり、戻したりすることが可能なため、定着部材への取付作業性を良好とし、さらに基礎の内側から柱等の内側へと巻き込んで取り付けることができるため、施工場所が限定されず、外壁材等の取付けの際に当該作業の支障とならないような構造とすることができる。
【0191】
更に、柱と梁との接合補強に、ボルトやピン等といった金物と、繊維シートとを併用することにより、その接合部の剛性を高め、剛接合構造つまり木質ラーメン構造とできるため、門型フレームによる一方向ラーメン建築物を提供することができる。これにより、大スパン化による大空間が木造でも可能となり、筋交などによる耐力壁もスパン方向には必要とならないため、施工性が良く、コストダウンとなる。
【0192】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る接合補強材及び接合補強構造においては、上記の如き構成を採用しているので、基礎、土台、柱あるいは梁等の建築部材同士の接合部を補強し、その接合耐力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る接合補強材及び接合補強構造を示す図であって、(a)、(b)ともに、接合補強材が建築部材に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図2】図1における接合補強材の一部を拡大して示す図であって、(a)は斜視図、(b)は側断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る接合補強材及び接合補強構造における変形例を示す図であって、接合補強材が建築部材に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図4】図3における接合補強材の一部を拡大して示す斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る接合補強材及び接合補強構造を示す図であって、接合補強材が建築部材に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図6】図5における接合補強材の一部を拡大して示す図であって、(a)は斜視図、(b)は側断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る接合補強材及び接合補強構造を示す図であって、接合補強材が建築部材に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図8】図7における接合補強材の一部を拡大して示す図であって、(a)は斜視図、(b)は側断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る接合補強材及び接合補強構造を示す図であって、接合補強材が建築部材に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図10】図9における接合補強材の一部を拡大して示す図であって、(a)は斜視図、(b)は側断面図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る接合補強材及び接合補強構造を示す図であって、接合補強材が建築部材に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図12】図11における接合補強材の一部を拡大して示す図であって、(a)は斜視図、(b)は側断面図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る接合補強材及び接合補強構造を示す図であって、接合補強材が建築部材に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図14】図13における接合補強材の一部を拡大して示す図であって、(a)は斜視図、(b)は側断面図である。
【図15】本発明の第6実施形態に係る接合補強材及び接合補強構造における変形例を示す図であって、接合補強材が建築部材に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図16】図15における接合補強材の一部を拡大して示す図であって、(a)は斜視図、(b)は側断面図である。
【図17】本発明の第7実施形態に係る接合補強材及び接合補強構造を示す図であって、接合補強材が建築部材に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図18】図17における接合補強材の一部を拡大して示す斜視図である。
【図19】本発明の第1実施形態に係る接合補強材及び接合補強構造を示す図であって、繊維補強材が建築部材に螺旋状に巻回された状態を示す斜視図である。
【図20】本発明の第1実施形態に係る接合補強材及び接合補強構造を示す図であって、繊維補強材が建築部材に螺旋状に巻回された状態を示す斜視図である。
【図21】本発明の第8実施形態に係る接合補強構造を示す図であって、繊維シートが基礎に埋設された状態を示す斜視図である。
【図22】本発明の第9実施形態に係る接合補強材及び接合補強構造を示す図であって、接合補強材が建築部材に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図23】本発明の第10実施形態に係る接合補強材及び接合補強構造を示す図であって、接合補強材が建築部材に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図24】図22における繊維部材の一部を拡大して示す斜視図である。
【図25】図22におけるロープ挿通具を拡大して示す部分断面図である。
【図26】本発明の第11実施形態に係る接合補強構造を示す図であって、柱と梁との接合部が剛接合構造とされた状態を示す斜視図である。
【図27】本発明の第11実施形態に係る接合補強構造における変形例を示す図であって、柱と梁との接合部が剛接合構造とされた状態を示す斜視図である。
【図28】本発明の第11実施形態に係る接合補強構造における他の変形例を示す図であって、柱と梁との接合部が剛接合構造とされた状態を示す斜視図である。
【図29】本発明の第11実施形態に係る接合補強構造における更に他の変形例を示す図であって、柱と梁との接合部が剛接合構造とされた状態を示す斜視図である。
【図30】本発明の第11実施形態に係る接合補強構造における更に他の変形例を示す図であって、柱と梁との接合部が剛接合構造とされた状態を示す斜視図である。
【図31】本発明の第11実施形態に係る接合補強構造における更に他の変形例を示す図であって、柱と梁との接合部が剛接合構造とされた状態を示す斜視図である。
【図32】本発明の第11実施形態に係る接合補強構造における更に他の変形例を示す図であって、柱と梁との接合部が剛接合構造とされた状態を示す斜視図である。
【図33】本発明の第11実施形態に係る接合補強構造における更に他の変形例を示す図であって、柱と梁との接合部が剛接合構造とされた状態を示す斜視図である。
【図34】図26における接合部を詳細に示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。
【図35】図26における接合部を繊維シートによって接合補強した状態を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。
【図36】図26における接合部を繊維シートによって接合補強した状態を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。
【図37】図26における接合部を繊維シートによって接合補強した状態を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。
【図38】図26における接合部を繊維シートによって接合補強した状態を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。
【符号の説明】
1 基礎(建築部材)
1c コンクリート
1r 鉄筋
1g 溝部(凹部)
1h 溝部(凹部)
2 土台(建築部材、木質材)
2h 貫通孔
3 柱(建築部材、木質材)
3g 溝部(凹部)
3h 溝部(凹部)
4 梁(建築部材、木質材)
4h 貫通孔
5 筋交(建築部材、木質材)
13 柱(一方の建築部材)
13h ボルト挿通孔
14 梁(他方の建築部材)
14h ボルト挿通孔
14i ピン挿通孔
15a,15b 切欠凹部
20,20B 接合補強材
21 繊維シート(繊維部材)
22,22B 定着プレート(定着部材)
25,25B 固定部材
30 接合補強材
31 繊維シート(繊維部材)
32 定着プレート(定着部材)
33 第1プレート
34 第2プレート
40 接合補強材
41 繊維シート(繊維部材)
42 定着プレート(定着部材)
43a 第1挿通孔(孔)
43b 第2挿通孔
50 接合補強材
51 繊維シート(繊維部材)
52 定着プレート(定着部材)
52a ダボ部
60 接合補強材
61 繊維シート(繊維部材)
62 定着プレート(定着部材)
62a ダボ部
63 挿通孔(孔)
70A,70B 接合補強材
71 繊維シート(繊維部材)
72A 円柱ダボ(定着部材、ダボ)
72B 角柱ダボ(定着部材、ダボ)
80 接合補強材
81 繊維シート(繊維部材)
82 定着プレート(定着部材)
91 繊維シート
100A,100B 接合補強材
101A,101B 繊維部材
101s 繊維シート部
101r 繊維ロープ部
102 定着プレート(定着部材)
121 ボルト
122A 円柱ピン(ピン)
122h 雌ネジ孔
122B 円筒ピン(ピン)
122h2 雌ネジ孔
122C 円柱ピン(ピン)
122h3 雌ネジ孔
122g 係合溝(係合部)
123 ナット(緩み防止部材)
125A,125B,125C,125D 繊維シート

Claims (24)

  1. 木造建築物の駆体を構成する建築部材同士の接合部を補強する接合補強材であって、
    前記接合部を跨いで前記建築部材間に配設される長尺状の高強度繊維からなる繊維部材と、
    該繊維部材を前記建築部材に定着させる定着部材と、
    を備えた構成とされていることを特徴とする木造建築物の接合補強材。
  2. 前記繊維部材は、高強度繊維がシート状に成形された繊維シートから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の木造建築物の接合補強材。
  3. 前記繊維部材は、高強度繊維がロープ状に成形された繊維ロープ部と、前記高強度繊維がシート状に成形された繊維シート部とが一体に連なった構成とされていることを特徴とする請求項1に記載の木造建築物の接合補強材。
  4. 前記繊維ロープ部の長手方向両端部側に、前記繊維シート部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の木造建築物の接合補強材。
  5. 前記定着部材は、平板状をなして前記繊維シート又は前記繊維シート部の表面側に配設される定着プレートとされ、固定部材によって前記建築部材の外面側に前記繊維シート又は前記繊維シート部と一体となって取り付けられることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の木造建築物の接合補強材。
  6. 前記定着部材は、平板状をなして前記繊維シート又は前記繊維シート部の外面側に配設される第1プレートと、該第1プレートの表面側に折り返された前記繊維シート又は前記繊維シート部の端部側を該第1プレートに押圧する第2プレートと、を備えた定着プレートとされ、固定部材によって前記建築部材の外面側に前記繊維シート又は前記繊維シート部と一体となって取り付けられることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の木造建築物の接合補強材。
  7. 前記定着プレートには、前記繊維シート又は前記繊維シート部を挿通させて該定着プレートの表面側に折り返させる、スリット状の孔が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の木造建築物の接合補強材。
  8. 前記定着プレートには、裏面側から突出して、前記建築部材の外面側に形成された凹部に前記繊維シート又は前記繊維シート部とともに挿入されるダボ部が設けられていることを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載の木造建築物の接合補強材。
  9. 前記定着部材は、前記建築部材の外面側に形成された凹部に前記繊維シート又は前記繊維シート部とともに挿入されるダボとされていることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の木造建築物の接合補強材。
  10. 請求項1〜7の何れかに記載の木造建築物の接合補強材を用いた接合補強構造であって、
    前記繊維部材は、前記建築部材の外面側に張り渡されて配設されているとともに、
    該繊維部材の両端部側は、一対の前記定着部材によって各々の前記建築部材に定着されていることを特徴とする木造建築物の接合補強構造。
  11. 請求項8に記載の木造建築物の接合補強材を用いた接合補強構造であって、
    前記凹部は、前記繊維部材の長手方向と交差する方向に延在するように形成された溝部とされているとともに、前記ダボ部は凸条をなして、前記溝部との間に前記繊維部材を狭持した状態で前記溝部内に挿入されていることを特徴とする木造建築物の接合補強構造。
  12. 請求項9に記載の木造建築物の接合補強材を用いた接合補強構造であって、
    前記凹部は、前記繊維部材の長手方向と交差する方向に延在するように形成された溝部とされているとともに、前記ダボは略円柱形状をなして、前記溝部との間に前記繊維部材を狭持した状態で前記溝部内に挿入されていることを特徴とする木造建築物の接合補強構造。
  13. 請求項9に記載の木造建築物の接合補強材を用いた接合補強構造であって、
    前記凹部は、前記繊維部材の長手方向と交差する方向に延在するように形成された溝部とされているとともに、前記ダボは前記溝部と嵌合する略矩形状をなして、前記溝部との間に前記繊維部材を狭持した状態で前記溝部内に挿入されていることを特徴とする木造建築物の接合補強構造。
  14. 前記繊維部材は、前記建築部材の外面側に螺旋状に巻き付けられて配設されていることを特徴とする請求項10〜12の何れかに記載の木造建築物の接合補強構造。
  15. 木造建築物の駆体を構成する建築部材同士の接合部を補強する接合補強構造であって、
    高強度繊維がシート状に成形されてなる繊維シートの一端部側が、前記建築部材としての基礎に埋設されているとともに、前記繊維シートの他端部側が前記基礎の外部に延出され、該他端部側は、前記基礎の上部に設けられた木質材に定着されることを特徴とする木造建築物の接合補強構造。
  16. 前記繊維シートの一端部側が、前記基礎中の鉄筋に連結されていることを特徴とする請求項15に記載の木造建築物の接合補強構造。
  17. 請求項3に記載の木造建築物の接合補強材を用いた接合補強構造であって、
    前記繊維部材のうちの前記繊維ロープ部の側が、前記建築部材としての鉄筋コンクリート製の基礎に埋設されているとともに、前記繊維シート部の側が前記基礎の外部に延出され、該繊維シート部は、前記基礎の上部に設けられた木質材に定着されることを特徴とする木造建築物の接合補強構造。
  18. 前記繊維ロープ部の端部側が、前記基礎中の鉄筋に連結されていることを特徴とする請求項17に記載の木造建築物の接合補強構造。
  19. 請求項4に記載の木造建築物の接合補強材を用いた接合補強構造であって、
    前記繊維部材のうちの前記繊維ロープ部は、前記接合部近傍位置の建築部材を貫通して配設されているとともに、
    該繊維シート部は、一対の前記定着部材によって各々の前記建築部材に定着されることを特徴とする木造建築物の接合補強構造。
  20. 木造建築物の駆体を構成する建築部材同士の接合部を補強する接合補強構造であって、
    前記建築部材のうちの一方から他方まで連通するボルト挿通孔が形成されるとともに、前記他方の建築部材には前記ボルト挿通孔と交差するピン挿通孔が形成され、
    前記一方の建築部材側から前記ボルト挿通孔に挿通されたボルトと、前記ピン挿通孔に挿通されたピンに形成された雌ネジ孔とが螺合されて、前記一方及び他方の建築部材の接合部が剛接合構造とされるとともに、
    高強度繊維がシート状に成形されてなる繊維シートが、前記接合部を跨いで前記建築部材間に配設され定着されていることを特徴とする木造建築物の接合補強構造。
  21. 前記他方の建築部材には、外面側から前記ボルト挿通孔の終端部まで通じるように切欠凹部が形成され、前記ボルト挿通孔から該切欠凹部内に突出する前記ボルトの先端側には、該ボルトの緩みを防止する緩み防止部材が設けられていることを特徴とする請求項20に記載の木造建築物の接合補強構造。
  22. 前記ピン挿通孔は断面視円形状に形成されているとともに、前記ピンは円柱形状もしくは円筒形状とされていることを特徴とする請求項20又は請求項21に記載の木造建築物の接合補強構造。
  23. 前記ピンの端面側には、該ピンを回動させるための工具を係合可能とする係合部が形成されていることを特徴とする請求項22に記載の木造建築物の接合補強構造。
  24. 繊維方向が互いに異なる複数の前記繊維シートが、積層状態で配設されていることを特徴とする請求項20〜23の何れかに記載の木造建築物の接合補強構造。
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