JP2004239455A - 高周波加熱装置 - Google Patents
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- Control Of High-Frequency Heating Circuits (AREA)
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Abstract
【解決手段】電子レンジの蒸し調理コースの処理では、まず、加熱時間H:TMだけ、マグネトロンが高出力でマイクロ波を発振することによる加熱が行なわれる。この間、放射アンテナは、最初下位置(加熱室の局部にマイクロ波を供給させる位置)とされるが、食品に被せられた蓋の温度が90℃に達すると、「上」位置(加熱室全体にマイクロ波を供給させる位置)に変更される。なお、放射アンテナの位置が変更される期間中は、マグネトロンによるマイクロ波の発振は停止される。そして、加熱時間H:TMの高出力加熱の後は、加熱時間L:TMの、低出力加熱(マグネトロンが低出力でマイクロ波を発振することによる加熱制御)が行なわれる。
【選択図】 図32
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波加熱装置に関し、特に、加熱室内に収容し食品を載置する加熱皿の表面に発熱体を備えられた高周波加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、マイクロ波を供給することにより被加熱物を加熱させる高周波加熱装置について、種々の技術が開示されている。特に、近年では、蒸し調理等、詳細な加熱調理を可能とする技術が開示されている。たとえば、特許文献1には、低誘電率材料によって形成した本体内に、電波を遮断する蒸気容器および蓋を入れ、当該蒸気容器および蓋内に被加熱物を収容させることにより、本体内の水を加熱して、被加熱物の過加熱および乾燥を回避しつつ蒸し調理を行なう技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−121160号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
なお、上記したような蒸し調理について、さらに優先的に水を加熱することが切望されていた。また、高周波加熱装置において、さらに他の詳細な加熱調理についても、適切な加熱制御が切望されていた。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、種々の加熱調理について、適切な加熱制御が可能な高周波加熱装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のある局面に従った高周波加熱装置は、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室に供給するための高周波を発振するマグネトロンと、被加熱物を載置して前記加熱室内に収納される調理皿とを含み、前記調理皿は、高周波を吸収して発熱する高周波発熱体を備え、前記加熱室への前記マグネトロンの発振する高周波の供給態様を、前記調理皿上の被加熱物の加熱開始時には、前記高周波発熱体に吸収させる第1の態様とし、所定の条件が成立したことに基づいて、前記加熱室全体に高周波を供給する前記第2の態様に変更する供給態様制御部とをさらに含むことを特徴とする。
【0007】
本発明のある局面によると、加熱開始時には、調理皿がまず加熱され、そして、所定の条件が成立した後、加熱室全体が加熱される。
【0008】
これにより、高周波加熱装置は、調理皿に水を入れて行なわれる蒸し調理や調理皿上の被加熱物を焼く焼き調理等の、最初には調理皿のみを温めた後、加熱室全体で加熱を行なう必要のある加熱調理について、適切な加熱制御を行なうことができる。
【0009】
また、本発明の高周波加熱装置では、前記供給態様制御部は、前記高周波の供給態様を前記第2の態様とした後、前記マグネトロンの出力を低下させることが好ましい。
【0010】
これにより、高周波加熱装置において蒸し調理が行なわれた際、まず調理皿を中心に強力な加熱が行なわれ、そして、被加熱物に高周波を吸収させるような加熱室全体での加熱はそれよりも弱く行なわれる。つまり、調理皿の水をより早く蒸気にすることができ、かつ、被加熱物自体を強力に加熱して被加熱物が乾燥することは回避できる。
【0011】
また、本発明の高周波加熱装置は、前記加熱室内に視野を有し、当該視野内の温度を検知できるセンサをさらに含み、前記供給態様制御部は、前記センサの検知した温度が所定の温度に到達したことにより前記所定の条件が成立したと判断することが好ましい。
【0012】
また、本発明の高周波加熱装置は、操作されることにより情報の入力を受付ける操作部をさらに含み、前記供給態様制御部は、前記高周波の供給態様が前記第1の態様とされてから所定の時間が経過し、かつ、前記操作部に対して所定の操作がなされたことにより、前記所定の条件が成立したと判断することが好ましい。
【0013】
これにより、高周波加熱装置において、たとえば、焼き調理が行なわれた際、まず予熱調理として調理皿を被加熱物が載置されない状態で所定の時間加熱し、そして、調理皿に食品を載置して所定の操作がなされたことにより加熱室全体での加熱を行なうことができる。つまり、焼き調理について、より適切な加熱制御が可能となる。
【0014】
本発明の他の局面に従った高周波加熱装置は、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室に供給するための高周波を発振するマグネトロンと、被加熱物を載置して前記加熱室内に収納される調理皿とを含み、前記調理皿は、高周波を吸収して発熱する高周波発熱体を備え、前記加熱室への前記マグネトロンの発振する高周波の供給態様を、前記高周波発熱体に吸収させる第1の態様と前記加熱室全体に高周波を供給する第2の態様とを交互に切替えられたものとする供給態様制御部をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の他の局面に従うと、加熱調理において、被加熱物に加えられる熱の分布が、切替えられることになる。つまり、被加熱物がブロック肉等のかたまり物であったり大きな冷凍食品であったりしても、当該被加熱物全体をまんべんなく加熱できる。
【0016】
これにより、高周波加熱装置は、煮物調理等の、被加熱物全体を均一に加熱する必要のある加熱調理について、適切な加熱制御を実行できる。
【0017】
また、本発明に従った高周波加熱装置では、前記マグネトロンは、前記調理皿上の被加熱物を加熱する際、断続的に高周波を発振し、前記供給態様制御部は、前記第1の態様と前記第2の態様との間の供給態様の入替えを、前記マグネトロンの断続的な高周波の発振の中の高周波の発振が停止されている期間中に行なうことが好ましい。
【0018】
これにより、高周波が発振されている状態で加熱室内の高周波の供給態様が変更されることによる放電の危険性を、極力抑えることができる。
【0019】
また、本発明に従った高周波加熱装置は、前記加熱室内に前記マグネトロンの発振したマイクロ波を放射するために、当該加熱室内に設置された放射アンテナと、前記放射アンテナを移動させるアンテナ移動部とをさらに含み、前記供給態様制御部は、前記アンテナ移動部に、前記放射アンテナを第1の位置に位置させることにより前記高周波の供給態様を前記第1の態様とし、前記放射アンテナを前記第1の位置とは異なる第2の位置に位置させることにより前記高周波の供給態様を前記第2の態様とすることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の高周波加熱調理装置の一実施の形態である電子レンジについて、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1は、電子レンジの斜視図である。電子レンジ1は、主に、本体とドア3とからなる。本体は、その外郭を外装部4に覆われ、複数の脚8に支持されている。本体の前面には、ユーザが電子レンジ1に各種の情報を入力するための操作パネル6が備えられている。操作パネル6は、適宜情報を表示する表示部60を含む。
【0022】
ドア3は、下端を軸として、開閉可能に構成されている。ドア3の上部には、取っ手3Aが備えられている。図2に、ドア3が開状態とされたときの電子レンジ1の正面図を示す。
【0023】
外装部4の内部には、本体枠5が設置され、本体枠5の内部には、加熱室10が形成されている。本体枠5は、その前面にであって後述する加熱室10の開口部外周の全域に、前面板5Fを備えている。ここで、図3に、外装部4等の一部の部材を省略した状態での電子レンジ1の斜視図を示す。
【0024】
ドア3の外郭は、ドア枠3Xに覆われている。そして、ドア3の中央部分には、ドア3が閉状態とされていても加熱室10の内部を外部から視認できるように、耐熱ガラス3Bが嵌め込まれている。ドア3の、加熱室10に対向する側の面には、加熱室10の開口部外周の全域に渡って前面板5Fと接する接触面3Cと、マイクロ波を吸収するような樹脂からなるチョークカバー3Dが備えられている。接触面3Cと前面板5Fの隙間から漏れる高周波は、ドア3内で形成されチョークカバー3Dに覆われたチョーク構造により、加熱室10外への漏洩を防止されている。
【0025】
本体枠5は、上面5P、下面5Q、左側面5R、右側面5Sおよび後面5Tから構成され、加熱室10を区画している。加熱室10は、食品等を出し入れするための開口部を有する。そして、当該開口部が、ドア3によって開閉される。加熱室10の右方には、マグネトロン(図11のマグネトロン12。図3では省略。)が設置されている。そして、下面5Qの下方には、当該マグネトロンから供給されるマイクロ波を拡散する放射アンテナ(図11,図12の放射アンテナ15。図3では省略。)が配置されている。当該放射アンテナから放射されるマイクロ波を透過する食品載置台9を配置している。つまり、電子レンジ1では、加熱室10内へのマイクロ波の供給は、食品載置台9を介して行なわれる。また、右側面5Sには、後述する赤外線センサによる温度検知のための孔10Xが形成されている。
【0026】
左側面5Rには、レール101,102,105が設置され、右側面5Sには、レール103,104,106が設置されている。レール101〜106は、加熱室10内でレンジ焼角皿を支持するために設置されている。
【0027】
加熱室10内で使用されるレンジ焼角皿には、図4に示すように、マイクロ波を吸収して発熱する発熱体81を配置されたレンジ焼角皿80(図4(A)参照)と、そのような発熱体を配置されていない金属製角皿90(図4(B)参照)とがある。使用者は、所望の調理に合わせて両者を使い分けることになる。図2および図3では、レンジ焼角皿80を使用されている状態が示されている。
【0028】
図5、図6は、レンジ焼角皿80の裏面図、正面図であり、図7は、図5のVII−VII線に沿う矢視断面図である。
【0029】
レンジ焼角皿80は、その外周に水平方向に伸びる板体である外周部80Dと、底部80Bとを有する。外周部80Dと底部80Bとは、壁部80Eでつながれている。底部80Bの外縁であって壁部80Eとの接続部分には、底部80Bの全周を囲うように、溝80Aが形成されている。レンジ焼角皿80は、外周部80Dをレール101〜106の中の左右1組のレールに支持されることにより、加熱室10内に固定された状態で収容される。
【0030】
底部80Bの裏面には、発熱体81が蒸着されている。発熱体は、たとえば、導電性材料、より具体的には、酸化スズにモリブデンを添加した導電性材料等が蒸着されることにより構成される。なお、蒸着膜の厚みとしては8×10−8m程度、抵抗率は2〜6(Ω/m)程度が好ましい。なお、図5では、便宜上、発熱体81の表面が、ハッチングを施されて記載されている。
【0031】
レンジ焼角皿80の裏面の四隅には、それぞれ脚80Cが形成されている。図7に示すように、レンジ焼角皿80では、脚80Cの最下部、底部80Bの最下部(溝80Aの裏面に相当する部分)、発熱体81の最下部の高さは、それぞれ異なり、低い方から順に、Z、Y、Xとなっている。これにより、加熱室10内で発熱体81が加熱され高温となった状態でレンジ焼角皿80が加熱室10外に取出されてテーブル等の載置面に載置される場合でも、当該発熱体81よりも先に、脚80Cまたは底部80Bが当該載置面に接する。これにより、当該載置面に発熱体81から高熱が加えられることを回避できる。レンジ焼角皿80がこのように構成されることにより、たとえレンジ焼角皿80が図3のように開状態にされたドア3上に載置された場合でも、高温の発熱体81がチョークカバー3Dと接して当該チョークカバー3Dが溶解した結果、接触面3Cと本体枠5との隙間が広がることにより、加熱室10内の高周波が漏洩することを回避できる。
【0032】
また、発熱体81は、図5に示すように、外周部80Dの端部から距離W以上離れ、かつ溝80Aより内側の位置に蒸着されている。高周波を効率良く加熱皿80上の送るために、距離Wは、加熱室10内に供給される高周波の波長をλとした場合、λ/4(波長の1/4)以上とされることが好ましい。つまり、電子レンジ1で、高周波としてマイクロ波が発振される場合には、距離Wは、およそ3cm以上とされることが好ましい。
【0033】
電子レンジ1では、レンジ焼角皿80は、調理に使用される際、加熱室10内で、外周部80Dがレール101,102に支持される状態とされることが好ましい。このような状態では、発熱体81は、食品載置台9から垂直方向(下方からのマイクロ波が拡散する方向)について1〜15mmの距離を有し、効率良くマグネトロン(後述する図11のマグネトロン12)からのマイクロ波を吸収することができる。
【0034】
また、電子レンジ1では、レンジ焼角皿80が調理に使用される際、図8に示すように、レンジ焼角皿80の上に食品載置台110が設置され、当該食品載置台110の上に食品が載置され、そして、食品載置台110は、調理に使用される際には、図2および図3に示したように、蓋120に覆われる。なお、レンジ焼角皿80、食品載置台110、および、蓋120は、図8では、大小関係およびそれぞれの構造を理解されるように、互いに上下方向に離された状態で記載されているが、実際調理に使用される際には、上下方向に重ね合わせられている。なお、食品載置板110について、図9(A)に斜視図を、図9(B)に側面図を、それぞれ示す。
【0035】
食品載置台110は、レンジ焼角皿80の壁部80Eと接するとともに当該食品載置台110の補強の役目を有する縁部111と、食品を載置する調理面112と、調理面112に設けられた複数の貫通孔113と、調理面112と縁部111との間で下方に凹ませた段部114と、当該段部113の一部を下方にさらに膨出させて形成しかつ当該食品載置台110を支持する脚部115と、調理面112の略中央部に2箇所の使用者の手の指を挿入して食品載置台110を持ち上げられるようにした取り出し穴116とから構成される。
【0036】
なお、食品載置台110において、脚部115は、当該食品載置台110の各コーナー部110A,110B,110C,110D付近の段部114をさらに下方に膨出されることにより形成されている。該脚部115の高さは、レンジ焼角皿80に予め定められた量の水を入れたとき、その水面が調理面112より下方となるような高さに設定されている。このような構成とすることにより、使用者が、レンジ焼角皿80に水を入れ、さらに食品載置台110を設置した状態でレンジ焼角皿80を運んだ場合でも、レンジ焼角皿80から水がこぼれることを抑制することができる。なお、予め定められた量の水とは、調理器の取扱説明書などに記載され、電子レンジ1における蒸し調理において推奨する水量のことを示している。
【0037】
蓋120は、水平方向に延設した水平片121と、ミトン等を嵌めた手でも掴み易いように頂上部に設けられた取っ手122と、蓋120内の蒸気の抜き孔123とを備えている。蓋120は、金属製のほか、金属材料と樹脂とを張り合わせたものや、樹脂材に金属メッキしたもの、またはカーボンや金属パウダーを混入した樹脂などのマイクロ波を透過しない材料から形成されている。
【0038】
図10に、調理時における、レンジ焼角皿80、食品載置台110、および、蓋120の、重ねられた状態での部分的な縦断面図を示す。蓋120は、レンジ焼角皿80上に載置したときレンジ焼角皿80の発熱体81の外周位置(図10中に一点破線で示した位置)より内側に対向する蓋内面に位置し、下方に突出した凸部124と、水平片121の全周に亘って下方に延設した垂下片125とを、さらに備えている。
【0039】
このような蓋120の構成により、レンジ焼角皿80に蓋120が被せられるときは、蓋120の垂下片125がレンジ焼角皿80の壁部80Eに沿って当接し、かつ、蓋120の水平片121が、レンジ焼角皿80の壁部80Eの上端、即ちレンジ焼角皿80の外周部80Dに当接するように、蓋120が載置される。前述の垂下片125および水平片121の存在により、レンジ焼角皿80と蓋120とで形成される空間の機密性が高まり、蒸し調理が実現できるのである。
【0040】
さらに、蓋120内面に凸部124が設けられることにより、食品が発し蓋120の裏面に結露した蒸気を、水滴として、凸部124を介して、発熱体81上に滴下させて、再び蒸気として蒸し調理に寄与させることができる。このような蒸気および水滴の流れは、矢印R1,R2で示されている。このように水滴を再度蒸気とすることについて、以下に詳細に説明する。
【0041】
蓋120の裏面を流れる水滴は、もし凸部124が蓋120の裏面に無ければ、レンジ焼角皿80の中央部付近よりも壁部80Eに近い垂下片125およびその近傍に到達する。壁部80E付近は、発熱体81が存在せず、レンジ焼角皿80の中央部付近に比べて温度が低いため、流れてきた水滴は、垂下片125とレンジ焼角皿80の壁部80Eとの間に水滴となってたまることになる。この状態で、調理が終了し、蓋120をレンジ焼角皿80から離すと、その振動で、垂下片125に付着した水滴が落下し、台所などの床面をぬらし、使用者が後で清掃するなどの手間をかけることになる。
【0042】
これに対し、凸部124が蓋120の裏面に設けると、蓋120の裏面に結露した水滴は、凸部124付近でたまり、適宜、発熱体81上に滴下する。発熱体81上に滴下した水滴は再び蒸発して、蒸し調理の寄与することになり、調理の仕上りを良好なものとすることができる。また、垂下片125まで到達する水滴は、凸部108より下方の部分の水滴となるので、比較的少量となるため、蓋120をレンジ焼角皿80から離しても、滴下するほどたまらない。特に、食品から発する蒸気は、上方に上昇するので、凸部124より取手102側により多く結露するので、さらに垂下片125に到達する水滴は減少する。
【0043】
また、段部114は、コーナー部110A〜110D以外の部分では、下方への膨出量が少ないので、食品載置台110とレンジ焼角皿80との間にマイクロ波が進入できるスペースができ、ここから矢印Mで示すように侵入したマイクロ波がレンジ焼角皿80内の水を加熱し、加熱を促進させることができる。
【0044】
図11に、図1のXI−XIに沿う矢視断面図を示す。また、図12に、図1のXII−XII線に沿う矢視断面図を示す。
【0045】
図11および図12をさらに参照して、孔10Xに接続された検知経路部材40は、開口を有し、当該開口を孔10Xに接続された箱形状を有している。なお、検知経路部材40の、当該箱形状の底面には、赤外線センサ7が取付けられている。検知経路部材40を構成する箱形状の底面上であって、赤外線センサ7に対向する部分には、検知窓11が形成されている。
【0046】
赤外線センサ7は、加熱室10内に視野を有している。赤外線センサ7を、加熱室10の、幅方向に角度θだけ振り、奥行き方向に角度αだけ振ることにより、視野700が加熱室10の底面全体をカバーしている。
【0047】
外装部4の内部には、加熱室10の右下に隣接するように、マグネトロン12が備えられている。また、加熱室10の下方には、マグネトロン12と本体枠5の下部を接続させる導波管19が備えられている。マグネトロン12は、導波管19内に位置するマグネトロンアンテナ12Aを備えている。マグネトロン12は、マグネトロンアンテナ12Aからマイクロ波を発し、当該マイクロ波は、導波管19を介して、加熱室10に供給される。
【0048】
本体枠5の底面5Xと食品載置台9の間には、放射アンテナ15が備えられている。導波管19の下方には、放射アンテナ15の回転等の移動を制御するためのアンテナ駆動ボックス16が備えられている。放射アンテナ15は、軸15Aで、アンテナ駆動ボックス16と接続されている。取付部材15Bは、軸15Aを本体枠5に取付けるために設けられている。このことから、放射アンテナ15は、取付部材15Bおよび軸15Aにより、本体枠5に、水平方向に回転可能に、取付けられている。なお、軸15Aは、導波管19と加熱室10とをマイクロ波的に結合する作用を有する。
【0049】
食品載置台9の外周には、シリコン99が備えられる。シリコン99が備えられることにより、食品載置台9の外周は、シール止めされる。
【0050】
加熱室10内では、食品載置台9上に、食品が載置される。マグネトロン12の発振したマイクロ波は、導波管19を介し、放射アンテナ15によって拡散されつつ、加熱室10内に供給される。これにより、食品載置台9上の食品が加熱される。
【0051】
また、加熱室10の後方には、ヒータユニット130が備えられている。ヒータユニット130には、ヒータ、および、当該ヒータの発する熱を加熱室10内に効率よく送るためのファンが収納されている。
【0052】
次に、電子レンジ1における食品載置台9の構成について、図13を参照しつつ、詳細に説明する。図13は、食品載置台9の平面図である。
【0053】
食品載置台9は、透明なガラスにより構成され、その表面には、印刷が施されている。図13では、食品載置台9において印刷の施されている部分には、斜線を施している。より詳しくは、食品載置台9の中央には、円状に黒く塗りつぶされることにより、印刷部9Aが形成されている。そして、印刷部9Aの外周部には、印刷の施されていない、ドーナツ状の領域である、透明部9Bが位置している。そして、さらに、透明部9Bの外側には、黒く塗りつぶされることにより、印刷部9Cが形成されている。食品載置台9が、このように印刷を施されていることにより、加熱室10において、後述する座金15C等の、調理に直接関係の無い、目障りな部品を、隠すことができる。つまり、電子レンジにおいて、底板の中央部の印刷を、底板中央よりも少し(10mm程度)前方にズラして施すことにより、ユーザの視界から底板中央のアンテナ取付部を、より効率良く隠すことができる。このことを、図14および図15を参照して、より具体的に説明する。
【0054】
図14は、電子レンジ1においてドア3を開状態とし、本体枠5の底面を、食品載置台9を取外して、前上方から見た図である。また、図15は、食品載置台9が取付けられた状態での、加熱室10の底面を、前上方から見た図である。なお、図15において、食品載置台9上の印刷を施された部分には、斜線を施している。
【0055】
まず図14を参照して、放射アンテナ15は、円状の板を、複数箇所くり貫かれた形状を有している。放射アンテナ15中央の上には、当該放射アンテナ15と軸15Aとを接続させるための座金15Cが取付けられている。放射アンテナ15は、座金15Cを中心として、水平面上で回転する。
【0056】
本体枠5の底面5Xには、凹部5Aが形成されている。また、凹部5Aの外周には、食品載置台9の外周部分(食品載置台9の最外に位置する幅2〜3cm程度の部分)に対応する底板支持部5Bが形成されている。底板支持部5Bは、本体枠5の、該底板支持部5Bの外周側に位置する下面5Qに対して、食品載置台9の厚み程度だけ低くなっている。これにより、食品載置台9を、その外周部分が底板支持部5Bに対応するように取付けると、食品載置台9と下面5Qとが、同一平面を構成する。
【0057】
放射アンテナ15は、凹部5Aのほぼ中央に取付けられている。ユーザが、加熱室10を、食品載置台9を取外した状態で見た場合、座金15Cを見ることになる。また、この場合、ユーザは、凹部5Aの外周部に存在する、水抜き穴や板金のつなぎ目、および、当該つなぎ目に取付けられている複数のネジ等も、見ることになる。
【0058】
次に、図15を参照して、加熱室10の底面に食品載置台9が取付けられることにより、加熱室10の内部からは、取付部材15B,座金15C,凹部5A外周の板金のつなぎ目,および,当該つなぎ目の複数のネジが、印刷部9A,9Cに遮られて、見えなくなっている。なお、食品載置台9が取付けられても、加熱室10の内部から、透明部9Bを介して、放射アンテナ15の外周部分は、見ることができる。放射アンテナ15の中で、印刷部15Aに遮られて見えなくなる部分は、放射アンテナ15の中心から、当該放射アンテナ15の半径の半分の半径を有する円内に含まれる部分である。また、図15において、透明部9Bの外周円は、アンテナ取付部より、10mm程度、中心を前にズラすことで、ドア3を開状態として前方から加熱室10内を見るユーザの視界では、放射アンテナ15の外周と、ほぼ一致している。つまり、このように、隠したい部品と、食品載置台9上の印刷との、垂直方向(ユーザが見る方向に交わる方向)での位置をユーザが見る側にずらすことにより、より確実に、当該印刷を当該部品に対応させることができることになるのである。
【0059】
以上説明した電子レンジ1では、食品載置台9に、透明部9Bが設けられている。したがって、放射アンテナ15の回転の様子を加熱室10内から見ることができる。これにより、放射アンテナ15が故障等によって、回転すべきときに停止したままである場合には、その旨を、早期に発見することができる。なお、放射アンテナ15が加熱室10の側方に設けられるような場合であれば、同様に、加熱室10の側壁を、放射アンテナ15の回転を視認できるような、透明な部分を有する板体で、構成することができる。
【0060】
また、加熱室10の底面に放射アンテナ15が備えられるタイプである電子レンジ1では、被加熱物である食品をターンテーブル等で移動させなくとも、マグネトロン12による加熱調理において、加熱むらをある程度回避できる。つまり、このような電子レンジ1において、市販されている電子レンジの加熱室に備えられているようなターンテーブルを備える必要が無い。この一方で、ユーザが、加熱室内に回転する部材を見ることができないことから、調理が十分に実行されるか、という不安感を抱く場合が考えられる。そして、電子レンジ1では、透明部9Bを介して放射アンテナ15の回転を視認できることにより、ユーザに、加熱室10内に、調理中に回転する部材がある、という安心感を与えることができる。
【0061】
食品載置台9は、上記したように、透明な板によって構成される。その材料としては、耐熱温度が高く、熱衝撃に強く、誘電損失が低く、また、強度の高いものが好ましい。耐熱温度が高くなければ、食品が加熱された場合に、食品載置台9が破壊してしまうおそれがあるからである。
【0062】
そして、熱衝撃が強くなければ、ある食品の加熱によって食品載置台9が高温となっているときに、次の食品の加熱を行なうために冷たい食品を食品載置台9に載置されると、食品載置台9が破壊してしまうおそれがあるからである。なお、熱衝撃性とは、たとえば、或る物質をオーブン等で熱した後、冷水に入れて算出される値によって評価される性質である。たとえば、後述する表1においては、熱衝撃が100℃とある場合には、110℃に熱した後、10℃の水の中に入れても破損しない、ということを意味する。
【0063】
また、誘電損失が高ければ、マグネトロン12の発振するマイクロ波を、食品載置台9が吸収し、加熱効率が低下するからである。
【0064】
また、強度が低ければ、食品載置台9上に食品が載置されたときに、食品載置台9が破壊してしまうおそれがあるからである。
【0065】
なお、上記した、食品載置台9に求められる特性は、放射アンテナが、加熱室の底面側以外(天面側,側方等)に設けられ、食品載置台9に対応する板体が該放射アンテナを覆うように設けられる場合でも、同様に求められる。つまり、耐熱温度や、熱衝撃については、加熱対象とされる食品が、沸騰や、ユーザの操作によって、加熱室の側面等に飛び散る場合も考えられるためである。また、誘電損失については、加熱室内にあれば、底面であっても、側面であっても、天面であっても、マイクロ波を吸収することがあるからである。また、強度についても、ユーザの操作によって、食品の容器等が、加熱室の側面等に衝突する場合が考えられるためである。
【0066】
そして、上記した特性を満たすような材料としては、ホウケイ酸ガラスを挙げることができる。ホウケイ酸ガラスの中でも、強化されたものは、さらに好ましい。ここで、表1に、強化されたホウケイ酸ガラスの例として、パイレックス(R)強化ガラスおよびテンパックスフロート(R)強化ガラスの特性を挙げる。また、表1には、強化されたソーダガラス、ネオセラムおよびコージライトの特性も挙げる。なお、ネオセラム、コージライトは、市販の電磁調理器において、鍋を載置する板として使用されているものであって、不透明である。したがって、電子レンジ1の食品載置台9として使用するには、難しいと言える。
【0067】
【表1】
【0068】
表1を参照して、ホウケイ酸ガラスである、パイレックス(R)強化ガラスおよびテンパックスフロート(R)強化ガラスは、ネオセラムやコージライトに匹敵するほどの強度(曲げ強度)を有している。これに加え、誘電損失については、ネオセラムよりも圧倒的に低く、コージライトに対しても低い値を有している。
【0069】
また、パイレックス(R)強化ガラス,テンパックスフロート(R)強化ガラスは、透明なガラスである強化されたソーダガラスと、同程度の強度(曲げ強度)を有している。そして、パイレックス(R)強化ガラス,テンパックスフロート(R)強化ガラスは、強化されたソーダガラスに対して、それぞれ、40℃または30℃だけ、耐熱温度が高く、熱衝撃については、それぞれ、84℃または60℃、高い値を有している。なお、表1には、強化されたソーダガラスの誘電損失の値は、記載されていないが、おおよそ、100×10−4程度と考えられる。つまり、パイレックス(R)強化ガラス,テンパックスフロート(R)強化ガラスは、強化されたソーダガラスに対して、かなり低い誘電損失を有する。
【0070】
以上のことより、食品載置台9の材質としては、ホウケイ酸ガラス、その中でも特に、強化されたものが好ましいといえる。
【0071】
また、食品載置台9は、その片面に印刷される。一般に、板状の物の片面に印刷が施されると、印刷を施された面の表面に存在する微細な亀裂にインクが入り込んで、内部に浸透していく。そのため、印刷裏面からの力が加わると、該力は、亀裂が広がる方向に働くため、強度が弱い。このことを、図16を参照して、より具体的に説明する。図16は、図13のXVI−XVI線に沿う矢視断面図である。
【0072】
食品載置台9は、印刷を施される印刷面9Dと、その裏側に位置する裏面9Eとを有している。印刷面9D上には、インク90が塗布されている。なお、このとき、裏面9Eからの衝撃の強度は、印刷面9Dにインク90が塗布されていない状態よりも、低下する。
【0073】
また、印刷面9Dでは、図13に示したようなパターンで印刷が施されるため、つまり、その表面にはインク90が塗布される場所と塗布されない場所が存在するため、裏面9Eよりも、表面の凹凸の差が大きくなる。
【0074】
食品載置台9は、図2等に示したように、加熱室10内に取付けられる場合、その印刷面9Dを、上向きにして取付けられることもできれば、下向きにして取付けられることもできる。前者の場合、印刷面9Dが食品に接することになり、後者の場合、裏面9Eが食品に接することになる。
【0075】
そして、食品載置台9を、印刷面9Dが食品に接するように取付けると、電子レンジ1において食品と接する面の強度を確保できる、という利点がある。また、この場合、食品と接する面上に凹凸があるため、食品が食品載置台9上で滑りにくくなり安全である、という利点もある。
【0076】
その一方で、食品載置台9を、裏面9Eが食品に接するように取付けると、電子レンジ1において食品を載置する面に凹凸が少ないため、当該面の清掃が容易になり、衛生的である、という利点がある。
【0077】
また、食品を食品載置台9上で滑りにくくするために、食品載置台9の、食品を載置する面に、表面がざらつくような加工を施すことが好ましい。このような加工方法としては、たとえば、食品載置台9の材料を、ローラで延ばす方法が考えられる。このような方法により、食品載置台9の表面にはローラ目が付く。このローラ目により、食品載置台9の表面は、ざらつくのである。
【0078】
図17は、放射アンテナ15の平面図である。放射アンテナ15には、軸15Aを通される孔15Xと、開口15P,15Q,15Rとが形成されている。図17では、開口15Qと孔15Xの最短経路が線L1で示され、開口15Rと孔15Xの最短経路が線L2で示されている。線L1および線L2の長さは、それぞれ45mm程度である。
【0079】
次に、放射アンテナ15の構造について、詳細に説明する。図18は、放射アンテナ15の斜視図である。図18から理解されるように、放射アンテナ15は折り曲げられた構造を有している。図19に、折り曲げられた線とともに記載された放射アンテナ15の平面図を示す。また、図20に、図19の矢印XXから見た側面図を示す。
【0080】
放射アンテナ15は、線1501,1503,1505,1508,1510,1512で、それぞれ、中心の孔15Xから遠くなる方を下に位置するように折り曲げられている。そして、放射アンテナ15は、孔15Xに対してこれらの線よりも外側にある線1502,1504,1506,1507,1509,1511で、それぞれ、中心の孔15Xから遠くなる方を元の平面に戻すように折り曲げられている。線1501〜1512で上記のように折り曲げられることにより、放射アンテナ15は、同じ高さ位置にある平面151,152および、平面151,152よりも低い位置にある平面154,155を備えることになる。また、放射アンテナ15は、線1515で山折りされ、線1514で谷折りされ、そして、線1513で山折りされている。これにより、放射アンテナ15は、線1515と線1514に挟まれた平面156と、線1514と線1513に挟まれた平面153をさらに備えることになる。
【0081】
次に、アンテナ駆動ボックス16の内部を含めた、放射アンテナ15を駆動させる機構について、説明する。図21は、アンテナ駆動ボックス16およびその近傍の部材の斜視図である。アンテナ駆動ボックス16は、載置台61を、上部にかぶせられている。軸15Aは、載置台61を貫通するように、直立している。また、図11では省略したが、載置台61上であって、導波管19の下方には、アンテナ回転モータ34とアンテナ上下駆動モータ35とが設置されている。アンテナ回転モータ34は、放射アンテナ15を水平面上で回転させる際に駆動されるモータである。アンテナ上下駆動モータ35は、放射アンテナ15を上下方向に移動させる際に駆動されるモータである。
【0082】
アンテナ駆動ボックス16の内部であって載置台61の下方には、アンテナ検知スイッチ36を含む、種々の部材が収容されている。図22に、図21から載置台61を省略した場合の図を示す。また、図23に、アンテナ駆動ボックス16、載置台61、アンテナ回転モータ34、アンテナ上下駆動モータ35、および、放射アンテナ15が組立てられたものの分解斜視図を示す。
【0083】
アンテナ駆動ボックス16の内部には、複数の歯車62〜69が回転可能に取付けられている。
【0084】
アンテナ回転モータ34が駆動することにより、当該モータに接続されている歯車66が回転する。歯車66が回転すると、歯車66に噛み合わされている歯車68が回転する。歯車68が回転すると、歯車68と一体的に形成されている歯車67が回転する。歯車67が回転すると、歯車67に噛み合わされた歯車69が回転する。歯車69が回転すると、歯車69に取付けられている軸15Aが回転する。軸15Aが回転することにより、放射アンテナ15が回転する。
【0085】
歯車65の上部に取付けられた回転部材70は、楕円形の筒状であり、その外縁部の高さが、一定でなく、場所によって変化している。そして、軸15Aは、回転部材70の外縁部によって、下方から支持されている。
【0086】
アンテナ上下駆動モータ35が駆動することにより、当該モータに接続されている歯車62が回転する。歯車62が回転すると、歯車62に噛み合わされている歯車63が回転する。歯車63が回転すると、歯車63と一体的に形成されている歯車64が回転する。歯車64が回転すると、歯車64に噛み合わされている歯車65が回転する。歯車65が回転すると、回転部材70が回転する。回転部材70が回転すると、回転部材70における軸15Aを支持する部分の高さが異なる。
【0087】
回転部材70における軸15Aを支持する部分の高さが変化すると、それに応じて、放射アンテナ15の高さも変化する。具体的には、たとえば、図11に示したような位置にあった放射アンテナ15が、回転部材70における軸15Aを支持する部分の高さが変化すると、図24に示すように、高い場所に位置することになる。電子レンジ1では、回転部材70の回転が継続されると、その期間中、放射アンテナ15の高さ位置の変化も継続される。
【0088】
なお、放射アンテナ15では、図17を参照して説明したように、軸15Aと接続される孔15Xと線L1,L2で結ばれた位置に、開口15Q,15Rの端部が位置している。なお、図11に示した状態の電子レンジ1では、軸15A内でマイクロ波が伝播される距離と、線L1または線L2の長さとの和Xは、マグネトロン12で発振されるマイクロ波の波長をλとし、nを整数とすると、式(1)で示される。
【0089】
X=2n×λ/2 …(1)
また、図11に示した状態では、放射アンテナ15と本体枠5の底面5Xとの距離が比較的短く、放射アンテナ15と底面5Xの間の空間におけるインピーダンスが比較的低い。これにより、放射アンテナ15まで伝播してきたマイクロ波の、当該放射アンテナ15の外縁部分からの加熱室10への伝播が抑えられ、その代わりに、線L1,L2と開口15Q,15Rとの交点付近(図19で領域15Mで示された領域)から多くのマイクロ波が加熱室10へと伝播される。なお、図11に示した状態では、本体枠5の底面5Xと、平面151,152との垂直方向の距離は15mmであり、平面154,155との垂直方向の距離は10mmである。
【0090】
一方、図24に示した状態では、放射アンテナ15は、図11に示された状態よりも5mm上方に位置している。つまり、図24に示した状態では、本体枠5の底面5Xと、平面151,152との垂直方向の距離は20mmであり、平面154,155との垂直方向の距離は15mmである。そして、図24に示した状態では、図11に示した状態よりも、底面5Xと放射アンテナ15との間の空間におけるインピーダンスが高くなる。これにより、放射アンテナ15まで伝播してきたマイクロ波は、当該放射アンテナ15の各端部から、加熱室10へと伝播していく。
【0091】
つまり、電子レンジ1では、加熱室10において局所的にマイクロ波を供給する場合には、放射アンテナ15は図11に示した高さに位置するよう制御され、加熱室10の全体にマイクロ波を供給する場合には、放射アンテナ15は図24に示した高さに位置するよう制御される。
【0092】
なお、放射アンテナ15の高さは、軸15Aが回転部材70に支持される高さに依存する。また、軸15Aが回転部材70に支持される高さは、回転部材70の回転の停止位置に依存する。そして、回転部材70の回転の停止位置は、アンテナ検知スイッチ36の検知出力に基づいて制御される。図25に、アンテナ駆動ボックス16内の回転部材70とアンテナ検知スイッチ36の平面図を示す。
【0093】
回転部材70は、上方から見ると楕円形状を有し、中心70Xを中心として回転する。アンテナ検知スイッチ36は、ボタン36Aを押圧されることにより検知出力を出力する。
【0094】
図25では、回転の停止位置の異なる回転部材70が、それぞれ、実線と一点破線で記載されている。このことから理解されるように、回転部材70の回転の停止位置によって、ボタン36Aが回転部材70によって押圧されたり押圧されなかったりする。したがって、電子レンジ1では、ボタン36Aが押圧されていることにより、回転部材70の回転位置が特定の位置であることを認識できる。また、ボタン36Aが押圧されてから回転部材70の回転を停止させるまでの時間を制御することにより、回転部材70の回転の停止位置を制御できる。回転部材70が回転し、使用頻度が高いと想定された予め定められた所定位置に放射暗転が位置したとき、すなわち、本実施の形態では放射アンテナ15が最も下方に位置したとき、回転部材70がアンテナ検知スイッチ36のボタン36Aを押圧しない位置に対応するするように構成されている。このような構成により、アンテナ検知スイッチ36のボタン36Aに、待機時に力が付勢されず、必要なときのみ付勢されることになるため、アンテナ検知スイッチ36の寿命を延ばすことができるのである。
【0095】
図26は、電子レンジ1の制御ブロック図である。電子レンジ1は、当該電子レンジ1の動作を全体的に制御する制御回路30を備えている。制御回路30は、マイクロコンピュータ300および適宜情報を記録するためのメモリ301を含む。
【0096】
制御回路30は、操作パネル6、赤外線センサ7、および、アンテナ検知スイッチ36から種々の情報を入力される。そして、制御回路30は、該入力された情報等に基づいて、マグネトロンファンモータ31、庫内灯32、マイクロ波発振回路33、アンテナ回転モータ34、アンテナ上下駆動モータ35、および、表示部60の動作を制御する。マグネトロンファンモータ31は、マグネトロン12を冷却するためのファンである。庫内灯32は、加熱室10内を照らす電灯である。マイクロ波発振回路33は、マグネトロン12にマイクロ波を発振させるための回路である。
【0097】
次に、電子レンジ1において制御回路30が実行する制御内容について、図27〜図31に記載されたフローチャートを参照しつつ説明する。
【0098】
制御回路30は、まずS1で、操作パネル6に対してキー入力があったか否かを判断し、あったと判断すると、処理をS2に進める。
【0099】
S2で、制御回路30は、S1で入力を確認されたキーが自動コースを実行するためのキーであったか否かを判断する。自動コースとは、赤外線センサ7等の検知出力に基づいて電子レンジ1側で被加熱物の状態を判断して加熱の終了時期を決定するような調理メニューである。そして、自動コースのためのキーであったと判断すると、S3で、自動コースに従った調理メニューを実行して、S1に処理を戻す。なお、自動コースに従った調理メニューは周知技術を利用して実行可能なため、詳細な説明は繰返さない。一方、自動コースのためのキーではなかったと判断すると、S4に処理が進められる。
【0100】
S4で、制御回路30は、S1で入力を確認されたキーが蒸し調理コースを実行するためのキーであるか否かを判断する。蒸し調理コースとは、図10等を用いて説明したような、水を入れたレンジ焼角皿80の上に食品載置台110を設置し、食品載置台110上に食品を載置し、その上に蓋120が被せられて、当該食品の蒸し調理を行なうための調理コースである。そして、蒸し調理コースのためのキーであったと判断すると、S5に処理を進め、蒸し調理コースのためのキーではなかったと判断すると、S30に処理を進める。
【0101】
S5で、制御回路30は、操作パネル6上のキーの1つであるスタートキーへの入力があったか否かを判断し、入力があったと判断すると、S6に処理を進める。
【0102】
S6で、制御回路30は、これから説明する加熱制御で用いられる、蓋120についての検知温度THを設定する。検知温度THは、予め定められていても良いし、外気温度等から算出されても良いし、ユーザから調理される食品の量が入力された場合に当該入力された量に応じて算出されても良い。
【0103】
なお、電子レンジ1では、マグネトロン12の出力を高出力(たとえば1000W)と低出力(たとえば500W)の2通りに制御可能である。また、蒸し調理コースでは、加熱開始時にはまずマグネトロン12の出力が高出力とされ、その後、低出力とされる。そして、制御回路30は、S7で、高出力の加熱時間H:TMを設定し、次に、S8で、低出力の加熱時間L:TMを設定する。加熱時間H:TM,L:TMも、予め定められていても良いし、外気温度等から算出されても良いし、ユーザから調理される食品の量が入力された場合に当該入力された量に応じて算出されても良い。
【0104】
次に、制御回路30は、S9で、これから説明する加熱制御で用いられるフラグF0,F1をリセットし、S10で、放射アンテナ15を図11に示したような低い方の位置にセットする。なお、以下の説明では、放射アンテナ15について、図11に示したような低い位置を「下」位置、図24に示したような高い位置を「上」位置と言う。
【0105】
次に、制御回路30は、S11で、マグネトロン12による加熱動作を開始するための処理を実行する。具体的には、たとえば、庫内灯32を点灯させたり、マグネトロンファンモータ31の駆動を開始させたりする処理が含まれる。
【0106】
次に、制御回路30は、S12で、マグネトロン12に高出力でマイクロ波を発振させる。
【0107】
次に、制御回路30は、S13で、高出力の加熱時間H:TMを計時するためのタイマH:TMをカウントダウンする。
【0108】
次に、制御回路30は、S14で、当該タイマH:TMの値が0となったか否か、つまり、高出力の加熱が加熱時間H:TMの間実行されたか否かを判断する。そして、制御回路30は、タイマH:TMの値が0となった、つまり、高出力の加熱が加熱時間H:TMの間実行されたと判断すると、S15に処理を進める。一方、制御回路30は、タイマH:TMの値が0となっていない、つまり、高出力の加熱がまだ加熱時間H:TMの間実行されていないと判断すると、S16に処理を進める。
【0109】
S16で、制御回路30は、フラグF0がリセットされた状態(値が0の状態)であるか否かを判断し、リセットされた状態であると判断するとS17へ処理を進め、リセットされていない状態であると判断するとS21へ処理を進める。
【0110】
S17で、制御回路30は、赤外線センサ7を用いて、蓋120の温度T0を検知する。
【0111】
次に、S18で、制御回路30は、直前に検知された温度T0がS6で設定された検知温度THに達したか否かを判断し、達していると判断するとS19に処理を進め、まだ達していないと判断するとS21に処理を進める。
【0112】
S19では、制御回路30は、放射アンテナ15の位置を「上」位置に変更し、そして、S20で、フラグF0をセットする(値を「1」とする)。
【0113】
そして、S21で、制御回路30は、フラグF1がリセットされているか否かを判断し、リセットされていると判断すればS13に処理を戻し、リセットされていない(セットされている)と判断すればS22に処理を進める。
【0114】
制御回路30は、S22で、マグネトロン12の出力を低出力とし、S23で、低出力の加熱時間L:TMを計時するためのタイマL:TMをカウントダウンし、S24で、当該タイマL:TMの値が0となったか否かを判断する。そして、制御回路30は、まだタイマL:TMの値が0となっていないと判断すると、処理をS16に進める。一方、制御回路30は、タイマL:TMの値が0となったと判断すると、S25で、マグネトロン12の加熱動作を終了させかつそれに付随する処理(庫内等32の消灯等)を行ない、S26で、加熱動作の終了をブザーで報知して、ユーザの操作を待つ待機状態に入る。
【0115】
以上説明したS4〜S21の蒸し調理コースの処理は、図32に示すようにまとめることができる。図32(A)は当該処理中の蓋120の温度の、図32(B)はマグネトロン12の出力の、図32(C)は放射アンテナ15の位置の、時間による変化をそれぞれ示す図である。
【0116】
図32をさらに参照して、以上説明した蒸し調理コースの処理では、まず、加熱時間H:TMだけ高出力で加熱が行なわれる。この間、放射アンテナ15は、最初「下」位置とされるが、蓋120の温度がTH(たとえば90℃)に達すると、放射アンテナ15が「上」位置に変更される。なお、放射アンテナ15の位置が変更される期間中は、マグネトロン12によるマイクロ波の発振は停止される。そして、加熱時間H:TMの高出力加熱の後は、加熱時間L:TMの低出力加熱が行なわれる。
【0117】
また、以上説明した蒸し調理コースでは、まず、加熱室10内の発熱体81を局部的に加熱できる状態(放射アンテナ15が「下」位置にある状態)で高出力加熱が行なわれるため、レンジ焼角皿80内の水を早期に蒸気とすることができる。さらに、蓋120内で蒸気が少ない状態で蓋120内の食品が直接強力なマイクロ波で加熱されることを回避できる。
【0118】
なお、このとき、加熱室10内に供給され発熱体81に吸収されなかった微弱のマイクロ波は、図10に矢印Mで示したように、レンジ焼角皿80に侵入する。レンジ焼角皿80内に侵入した微弱なマイクロ波は、食品の中心部を加熱する。
【0119】
そして、さらに、蓋120の温度を検知することにより、蓋120の内部が、食品を加熱できるだけの蒸気が存在すると考えられる状態となると、放射アンテナ15を「上」位置として、加熱室10全体にマイクロ波が供給される。
【0120】
つまり、以上説明した蒸し調理コースによると、食品を、乾燥させずふっくらと、かつ、微弱なマイクロ波で中心部まで確実に、加熱できる。具体的には、たとえば肉まんを電子レンジ1で加熱した場合、肉まんに直接マイクロ波を吸収させて加熱したところ、肉まんの水分率が加熱前よりも5%程度低減する一方で、蒸気により加熱すると、肉まんの水分率が加熱前よりも10%程度増加する。
【0121】
また、蒸気で食品を加熱することにより、食品に直接マイクロ波を吸収させて加熱する場合よりも、食品の一定時間内の温度上昇量を抑えることができる。つまり、緩やかに、食品の温度を上昇させることができる。これにより、蒸し調理コースによると、電子レンジ1において卵料理がなされる際でも、食品に「す」が入ることを回避できる。
【0122】
なお、このような蒸し調理コースは、加熱室10内に蒸気を急速に発生させることができるため、加熱室10内の汚れを蒸気で浮かせる洗浄のためのコースとして利用することもできる。
【0123】
ここで、再度図27〜図31のフローチャートを参照して、S30で、制御回路30は、S1で入力を確認されたキーがレンジ焼きコースを実行するためのキーであるか否かを判断する。レンジ焼きコースとは、予熱処理をされたレンジ焼角皿80の上で食品を焼く調理を行なうための調理コースである。そして、レンジ焼きコースのためのキーであったと判断すると、S31に処理を進め、レンジ焼きコースのためのキーではなかったと判断すると、S50に処理を進める。
【0124】
制御回路30は、S31で、予熱処理のための加熱時間である予熱時間「予熱:TM」を設定した後、S32で、食品を焼くための加熱時間である調理時間「調理:TM」を設定し、S33で、スタートキーへの入力の有無を判断する。そして、スタートキーへの入力があったと判断すると、処理をS34に進める。予熱時間および調理時間は、ユーザによって任意に決定されても良いし、予め電子レンジ1において定められていてもよい。
【0125】
S34で、制御回路30は、放射アンテナ15を「下」位置とし、S35で、S11と同様の、マグネトロン12による加熱動作を開始するための処理を実行する。
【0126】
そして、制御回路30は、S36で、予熱処理のためにマグネトロン12にマイクロ波を発振させ、S37で、予熱時間「予熱:TM」を計時するためのタイマ予熱:TMをカウントダウンし、S38で、タイマ予熱:TMの値が0であるか否かを判断する。ここで、タイマ予熱:TMの値がまで0ではないと判断されると、処理はS37に戻される。一方、タイマ予熱:TMの値が0であると判断されると、処理はS39に進められる。なお、ここでは、放射アンテナ15が「下」位置とされているため、マグネトロン12の発振したマイクロ波は、効率良く、発熱体81に吸収される。
【0127】
そして、制御回路30は、S39で、予熱処理のためのマグネトロン12等の動作を終了させ、S40で、予熱処理が終了したことをブザーで報知し、S41で、ドアの開閉等に基づく加熱の再スタート動作を行なう。なお、S41の加熱の再スタート動作とは、たとえば、S39で予熱処理が終了されてから、ドア3が開状態とされ、そして、閉状態とされたことを検知したことを条件として、S11で説明したようなマグネトロン12による加熱動作を開始するための処理を実行する。なお、このようなドア3の開閉の検知および/またはS39で予熱処理が終了した後に操作パネル6に対して所定の操作がなされたことを条件として加熱の再スタート動作が行なわれてもよい。なお、このような再スタート動作は、ユーザが、予熱処理されたレンジ焼角皿80を一度加熱室10内から取り出し、その上に食品を載置させて、再度、加熱室10内に戻したことに応じてなされる動作である。
【0128】
そして、制御回路30は、S42で、放射アンテナ15を「上」位置に変更した後、S43で、マグネトロン12にマイクロ波を発振させる。これにより、予熱処理されたレンジ焼角皿80の上に載置された食品は、レンジ焼角皿80からも、マイクロ波を吸収することによっても、加熱される。
【0129】
そして、制御回路30は、S44で調理時間「調理:TM」を計時するためのタイマ調理:TMをカウントダウンし、S45で、タイマ調理:TMの値が0であるか否かを判断する。そして、当該タイマの値が0になったと判断すると、制御回路30は、S46で、マグネトロン12のマイクロ波の発振等を含む加熱のための動作を終了させ、S47で、加熱が終了したことをブザーで報知して、待機状態に入る。
【0130】
一方、S50では、制御回路30は、S1で入力を確認されたキーが煮物調理コースを実行するためのキーであるか否かを判断する。煮物調理コースとは、底の比較的深い容器に収容された比較的多量な食品を煮る調理を行なうための調理コースである。そして、煮物調理コースのためのキーであったと判断すると、S51に処理を進める。一方、蒸し調理コースのためのキーではなかったと判断すると、S80で、S1で入力を確認されたキーに従った処理を実行した後、待機状態に入る。
【0131】
S51で、制御回路30は、スタートキーへの入力の有無を判断し、スタートキーへの入力があったと判断すると、処理をS52に進める。
【0132】
S52で、制御回路30は、食品の検知温度THを設定する。食品の検知温度THとは、加熱室10内で赤外線センサ7によって検知される食品の温度がその温度(TH)に到達するまで、食品を高出力で加熱する、という温度である。検知温度THは、たとえば、食品の量等に基づいて算出される値であっても良いし、予め定められた一定の温度であっても良い。
【0133】
次に、制御回路30は、S53で、マグネトロン12の出力が高出力(たとえば1000W)となるよう設定を行ない、S54で、これからの制御で使用されるフラグをすべてリセットし、S55で、放射アンテナ15を「下」位置に移動させ、S56で、S11と同様の、マグネトロン12による加熱動作を開始するための処理を実行し、そして、S57で、マグネトロン12にマイクロ波を発振させる。
【0134】
次に、制御回路30は、S58で、加熱室10内の食品の温度T0を赤外線センサ7を用いて検知し、S59で、直前で検知した食品の温度T0が、S52で設定した検知温度THに到達したか否かを判断する。そして、制御回路30は、食品の温度T0が検知温度THに到達していないと判断するとS58に処理を戻し、到達していると判断するとS60に処理を進める。
【0135】
S60では、制御回路30は、マグネトロン12の低出力での加熱時間L:TMを計算し、そして、設定する。なお、加熱時間L:TMは、たとえば、食品が加熱され始めてから、食品の温度T0が検知温度THに到達するまでに要した時間に基づいて、計算される。また、加熱時間L:TMは、当該要した時間に応じて予め定められていても良い。また、加熱時間L:TMは、当該要した時間に関係になく、予め定められていても良い。
【0136】
そして、制御回路30は、S61で、S11と同様の、マグネトロン12による低出力(たとえば200W)加熱動作を開始するための処理を実行し、S62で、マグネトロン12にマイクロ波を発振させる。
【0137】
そして、制御回路30は、S63で、S62でマグネトロン12にマイクロ波を発振させてから19.6秒が経過したか否かを判断し、経過していれば、処理をS64に進める。
【0138】
S64では、制御回路30は、マグネトロン12のマイクロ波の発振を停止させ、そして、S65で、放射アンテナ15の位置を変更する。ここで言う位置の変更とは、「上」位置にあれば「下」位置にすることであり、「下」位置にあれば「「上」位置にすることである。つまり、放射アンテナ15の位置を「上」位置と「下」位置の間で入れ替えることである。
【0139】
次に、制御回路30は、S66で、S64でマイクロ波の発振を止めてから5.4秒が経過したか否かを判断し、経過したと判断すると、S67で、タイマL:TMをカウントダウンする。
【0140】
そして、制御回路30は、S68で、タイマL:TMの値が0となったか否かを判断し、まだ0になっていないと判断すればS62に処理を戻し、0になったと判断すれば、S69で、放射アンテナ15を「下」位置にした後、S70で、マグネトロン12による加熱動作を終了させるための処理(庫内灯32の消灯等)をし、S71で、加熱が終了した旨をブザーで報知して、処理を待機状態に入る。
【0141】
以上説明したS50〜S71の煮物調理コースの処理は、図33に示すようにまとめることができる。図33(A)は当該処理中の加熱室10内の食品の温度の、図33(B)はマグネトロン12の出力の、図33(C)は放射アンテナ15の位置の、時間による変化をそれぞれ示す図である。
【0142】
図33をさらに参照して、以上説明した煮物調理コースの処理では、まず、食品の温度が検知温度TH(たとえば90℃)になるまで、食品が、局部的に、高出力で、加熱される。
【0143】
次に、当該食品は、低出力で、加熱される。なお、電子レンジ1では、マグネトロン12が断続的に運転されることにより、その出力を下げられている。具体的には、図34に示すように、200Wの出力を得るために、25秒周期で、19.6秒マグネトロン12をONした後、5.4秒マグネトロン12がOFFされている。そして、低出力の加熱の際には、マグネトロン12がOFFされるごとに、放射アンテナ15の位置が「上」位置と「下」位置との間で入替えられている。これにより、電子レンジ1で調理される食品の全体をまんべんなくをできる。
【0144】
なお、図35〜図36を参照して、本実施の形態の煮物調理コースの処理の変形例について説明する。なお、この変形例は、比較的大量の食品を或る温度付近で保温するのにふさわしい処理であり、具体的には、図31のS50以降の処理が実行される代わりに図35〜図36のSA50以降の処理が実行されるものとする。
【0145】
煮物調理コースの処理の変形例では、制御回路30は、SA50で、S1で入力を確認されたキーが煮物調理コースを実行するためのキーであるか否かを判断する。そして、煮物調理コースのためのキーであったと判断すると、SA51に処理を進める。一方、蒸し調理コースのためのキーではなかったと判断すると、SA80で、S1で入力を確認されたキーに従った処理を実行した後、待機状態に入る。SA51で、スタートキーへの入力の有無を判断し、スタートキーへの入力があったと判断すると、処理をSA52に進める。
【0146】
SA52で、制御回路30は、食品の検知温度THを設定する。
次に、制御回路30は、SA53で、マグネトロン12の出力が高出力(たとえば1000W)となるよう設定を行ない、SA54で、これからの制御で使用されるフラグをすべてリセットし、SA55で、放射アンテナ15を「下」位置に移動させ、SA56で、SA11と同様の、マグネトロン12による加熱動作を開始するための処理を実行し、そして、SA57で、マグネトロン12にマイクロ波を発振させる。
【0147】
次に、制御回路30は、SA58で、マグネトロン12にマイクロ波を発振させ、かつ、フラグF1をリセットする。
【0148】
次に、制御回路30は、SA59で、加熱室10内の食品の温度T0を赤外線センサ7を用いて検知し、SA60で、直前で検知した食品の温度T0が、SA52で設定した検知温度THに到達したか否かを判断する。そして、制御回路30は、食品の温度T0が検知温度THに到達していないと判断するとSA73に処理を移行させ、到達していると判断するとSA61に処理を進める。
【0149】
SA61では、制御回路30は、フラグF1がリセットされているか否かを判断し、リセットされていると判断するとSA62に処理を進め、リセットされていないと判断するとSA64に処理を進める。
【0150】
SA62では、制御回路30は、フラグF0をセットし、そして、SA63で、保温加熱のための時間L:TMを計算し、設定する。なお、保温加熱のための時間L:TMは、たとえば、食品が加熱され始めてから、食品の温度T0が検知温度THに到達するまでに要した時間に基づいて、計算される。また、保温加熱のための時間L:TMは、当該要した時間に応じて予め定められていても良い。また、保温加熱のための時間L:TMは、当該要した時間に関係になく、予め定められていても良い。
【0151】
SA64で、制御回路30は、マグネトロン12のマイクロ波の発振を停止させ、そして、SA65で、フラグF1がリセットされているか否かを判断し、リセットされていると判断するとSA66へ、リセットされていないと判断するとSA68へ、それぞれ処理を移行させる。
【0152】
SA66では、制御回路30は、S65と同様に、放射アンテナ15の位置を「上」位置と「下」位置の間で入れ替える処理を行ない、そして、SA67で、フラグF1をセットする。
【0153】
そして、SA68で、制御回路30は、保温加熱のための時間L:TMを計時するためのタイマL:TMをカウントダウンし、SA69で、タイマL:TMの値が0となったか否かを判断する。そして、制御回路30は、当該値が0となったと判断すると処理をSA70に移行させる。一方、まだ当該値が0となっていないと判断すると、処理をSA59に戻す。
【0154】
なお、SA73では、制御回路30は、フラグF1がリセットされているか否かを判断し、リセットされていると判断すれば処理をSA74に処理を進め、リセットされていないと判断すると処理をSA58に戻す。
【0155】
また、SA74では、制御回路30は、フラグF0がリセットされているか否かを判断し、リセットされていると判断すれば処理をSA59に処理を戻し、リセットされていないと判断すると処理をSA68に進める。
【0156】
一方、SA70では、制御回路30は、放射アンテナを「下」位置に移動させ、そして、SA71で、マグネトロン12による加熱動作を終了させるための処理(庫内灯32の消灯等)をし、SA72で、加熱が終了した旨をブザーで報知して、処理を待機状態に入る。
【0157】
以上説明したSA50〜SA73の煮物調理コースの処理の変形例によると、食品の温度T0が食品の検知温度THに達するまでは、マグネトロン12は、連続的にマイクロ波を発振する。そして、食品の温度T0が検知温度THに達すると、食品の温度T0が検知温度THを下回るまで、マグネトロン12のマイクロ波の発振は停止される。なお、マグネトロン12のマイクロ波の発振が停止されるごとに、停止されている期間内で、放射アンテナ15の位置が「上」位置と「下」位置との間で入替えられる。これにより、食品を保温する際、当該食品内の同じ部位のみが加熱されることを回避でき、調理後の食品の品質の向上に寄与できると考えられる。
【0158】
なお、以上説明した本実施の形態では、電子レンジ1が待機状態となる際、常に、放射アンテナ15は、同じ位置に位置させられていることが好ましい。このようにされることにより、放射アンテナ15の移動制御を容易にすることができる。
【0159】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高周波加熱調理装置の一実施の形態である電子レンジの斜視図である。
【図2】図1の電子レンジのドアが開状態とされた状態の正面図である。
【図3】図1の電子レンジの外装部が省略された状態での斜視図である。
【図4】図1の電子レンジの加熱室内に設置されるレンジ焼角皿の斜視図である。
【図5】図4のレンジ焼角皿の裏面図である。
【図6】図4のレンジ焼角皿の正面図である。
【図7】図5のVII−VII線に沿う矢視断面図である。
【図8】図1の電子レンジにおける加熱調理に使用される、レンジ焼角皿、食品載置台、および、蓋を示す図である。
【図9】(A)は図1の食品載置板の斜視図であり、(B)は当該食品載置板の側面図である。
【図10】図1の電子レンジにおける、レンジ焼角皿、食品載置台、および、蓋の重ねられた状態での部分的な縦断面図である。
【図11】図1のXI−XI線に沿う矢視断面図である。
【図12】図1のXII−XII線に沿う矢視断面図である。
【図13】図1の電子レンジの、底板の平面図である。
【図14】図1の電子レンジにおいて、底板が取外された、本体枠の底面を示す図である。
【図15】図1の電子レンジの、加熱室の底面を示す図である。
【図16】図13のXVI−XVI線に沿う矢視断面図である。
【図17】図11の放射アンテナの平面図である。
【図18】図11の放射アンテナの斜視図である。
【図19】図11の放射アンテナの、折り曲げられた線とともに示された、平面図である。
【図20】図19の放射アンテナの、矢印XXから見た側面図である。
【図21】図11のアンテナ駆動ボックスおよびその近傍の部材の斜視図である。
【図22】図21から載置台を省略した場合の図である。
【図23】図1の電子レンジのアンテナ駆動ボックス、載置台、アンテナ回転モータ、アンテナ上下駆動モータ、および、放射アンテナが組立てられたものの分解斜視図である。
【図24】図11において、放射アンテナを上方に位置させた状態を示す図である。
【図25】図22のアンテナ駆動ボックス内の回転部材とアンテナ検知スイッチの平面図である。
【図26】図1の電子レンジの制御ブロック図である。
【図27】図1の電子レンジの制御回路が実行する処理のフローチャートである。
【図28】図1の電子レンジの制御回路が実行する処理のフローチャートである。
【図29】図1の電子レンジの制御回路が実行する処理のフローチャートである。
【図30】図1の電子レンジの制御回路が実行する処理のフローチャートである。
【図31】図1の電子レンジの制御回路が実行する処理のフローチャートである。
【図32】(A)は、図1の電子レンジでの蒸し調理処理中の蓋の温度の、(B)は、当該処理中のマグネトロンの出力の、(C)は、当該処理中の放射アンテナの位置の、時間による変化をそれぞれ示す図である。
【図33】(A)は、図1の電子レンジでの煮物調理処理中の食品の温度の、(B)は、当該処理中のマグネトロンの出力の、(C)は、当該処理中の放射アンテナの位置の、時間による変化をそれぞれ示す図である。
【図34】図1の電子レンジのマグネトロンが、断続的にマイクロ波を発振することを示す、マグネトロンの出力の時間変化を示す図である。
【図35】図1の電子レンジにおける煮物調理コースの処理に変形例のフローチャートである。
【図36】図1の電子レンジにおける煮物調理コースの処理に変形例のフローチャートである。
【符号の説明】
1 電子レンジ、3 ドア、3B 耐熱ガラス、3C 接触面、3D チョークカバー、5 本体枠、6 操作パネル、7 赤外線センサ、9,110 食品載置台、10 加熱室、12 マグネトロン、15 放射アンテナ、19 導波管、40 検知経路部材、59 オーブンサーミスタ、80,90 レンジ焼角皿、80E 壁部、81 発熱体、101〜106 レール、111 縁部、112 調理面、113 貫通孔、114 段部、115 脚部、116 取り出し穴、120 蓋、121 水平片、122 取っ手、123 抜き孔、124凸部、125 垂下片125。
Claims (7)
- 被加熱物を収容する加熱室と、
前記加熱室に供給するための高周波を発振するマグネトロンと、
被加熱物を載置して前記加熱室内に収納される調理皿とを含み、
前記調理皿は、高周波を吸収して発熱する高周波発熱体を備え、
前記加熱室への前記マグネトロンの発振する高周波の供給態様を、前記調理皿上の被加熱物の加熱開始時には、前記高周波発熱体に吸収させる第1の態様とし、所定の条件が成立したことに基づいて、前記加熱室全体に高周波を供給する前記第2の態様に変更する供給態様制御部とをさらに含む、高周波加熱装置。 - 前記供給態様制御部は、前記高周波の供給態様を前記第2の態様とした後、前記マグネトロンの出力を低下させる、請求項1に記載の高周波加熱装置。
- 前記加熱室内に視野を有し、当該視野内の温度を検知できるセンサをさらに含み、
前記供給態様制御部は、前記センサの検知した温度が所定の温度に到達したことにより前記所定の条件が成立したと判断する、請求項1または請求項2に記載の高周波加熱装置。 - 操作されることにより情報の入力を受付ける操作部をさらに含み、
前記供給態様制御部は、前記高周波の供給態様が前記第1の態様とされてから所定の時間が経過し、かつ、前記操作部に対して所定の操作がなされたことにより、前記所定の条件が成立したと判断する、請求項1または請求項2に記載の高周波加熱装置。 - 被加熱物を収容する加熱室と、
前記加熱室に供給するための高周波を発振するマグネトロンと、
被加熱物を載置して前記加熱室内に収納される調理皿とを含み、
前記調理皿は、高周波を吸収して発熱する高周波発熱体を備え、
前記加熱室への前記マグネトロンの発振する高周波の供給態様を、前記高周波発熱体に吸収させる第1の態様と前記加熱室全体に高周波を供給する第2の態様とを交互に切替えられたものとする供給態様制御部をさらに含む、高周波加熱装置。 - 前記マグネトロンは、前記調理皿上の被加熱物を加熱する際、断続的に高周波を発振し、
前記供給態様制御部は、前記第1の態様と前記第2の態様との間の供給態様の入替えを、前記マグネトロンの断続的な高周波の発振の中の高周波の発振が停止されている期間中に行なう、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の高周波加熱装置。 - 前記加熱室内に前記マグネトロンの発振したマイクロ波を放射するために、当該加熱室内に設置された放射アンテナと、
前記放射アンテナを移動させるアンテナ移動部とをさらに含み、
前記供給態様制御部は、前記アンテナ移動部に、前記放射アンテナを第1の位置に位置させることにより前記高周波の供給態様を前記第1の態様とし、前記放射アンテナを前記第1の位置とは異なる第2の位置に位置させることにより前記高周波の供給態様を前記第2の態様とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の高周波加熱装置。
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