JP2004242452A - 電力系統の縮約モデル作成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】縮約モデル作成の自由度が高く、また精度の高い縮約モデルを作成することのできる電力系統の縮約モデル作成装置を得る。
【解決手段】系統分割手段112により原系統モデルを指定されたノード及び発電機タイプにより縮約範囲を分割し、系統縮約手段113により分割された縮約範囲ごとに電力系統を縮約して部分縮約モデルを作成し、系統全体の縮約モデルを作成する。シミュレーション手段114は作成された縮約モデルによりシミュレーションを実行し、その結果を縮約モデルによるシミュレーション結果記憶手段115に記憶する。最適性評価手段116は、縮約モデルによるシミュレーション結果と実機データや原系統モデルによるシミュレーション結果とを比較して、その最適性を評価する。ノードを指定して縮約範囲を分割するので、縮約モデル作成の自由度が高く、また精度の高い縮約モデルが得られる。
【選択図】 図1
【解決手段】系統分割手段112により原系統モデルを指定されたノード及び発電機タイプにより縮約範囲を分割し、系統縮約手段113により分割された縮約範囲ごとに電力系統を縮約して部分縮約モデルを作成し、系統全体の縮約モデルを作成する。シミュレーション手段114は作成された縮約モデルによりシミュレーションを実行し、その結果を縮約モデルによるシミュレーション結果記憶手段115に記憶する。最適性評価手段116は、縮約モデルによるシミュレーション結果と実機データや原系統モデルによるシミュレーション結果とを比較して、その最適性を評価する。ノードを指定して縮約範囲を分割するので、縮約モデル作成の自由度が高く、また精度の高い縮約モデルが得られる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力系統のシミュレーションに用いられる縮約モデルを作成する電力系統の縮約モデル作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複雑かつ大規模な電力系統のシミュレーションを、高速にまた効率良く行うために、縮約モデルが用いられる。このために、精度の良い縮約モデルを求めることが必要とされる。縮約モデルとは、シミュレーションにおいて計算負荷を軽減するために、電力系統全体において適当な範囲を1つにまとめて簡略化した電力系統モデルをいう。
【0003】
従来の電力系統の縮約モデル作成装置においては、電力系統の原系統モデルのある個所に事故を発生させそのときの安定度シミュレーションを実行し、各発電機の挙動の類似性を調べて発電機のグループ分けを行う。そして、発電機グループごとに当該各発電機グループに属するすべての発電機を含みかつ所定の条件を満たす系統範囲を縮約範囲と判別し、当該縮約範囲を部分縮約モデルに縮約して、この部分縮約モデルを含む縮約モデルを作成する。
【0004】
この縮約モデルに対して、原系統モデルと同様の個所及び事故を模擬的に発生させて安定度シミュレーションを実行し、原系統モデルによるシミュレーション結果と縮約モデルによるシミュレーション結果とを比較し、両シミュレーション結果が一致すると判定されたときこの縮約モデルを縮約結果として出力する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−56735号公報(段落番号0045、0046及び図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電力系統の縮約モデル作成装置は以上のように構成されているので、部分縮約モデルには必ず発電機が含まれなければならないため、縮約モデル作成の自由度が低く、精度にも限界があるという問題点がある。例えば、原系統モデル内でシミュレーション結果を必要とする重要ノードが、どうしても縮約範囲すなわち部分縮約モデルの内部に存在してしまい、必要なデータが得られないような縮約モデルしか作成できない場合がある。
この発明は、上記のような問題点を解決して、縮約モデル作成の自由度が高くまた精度の高い縮約モデルを作成することのできる電力系統の縮約モデル作成装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る電力系統の縮約モデル作成装置においては、電力系統の原系統モデルにおけるノードを重要度に応じて順位付けを行う重要度定義手段、ノードの重要度に応じてノードにおいて原系統モデルを分割して縮約範囲を決定する系統分割手段、縮約範囲ごとに原系統モデルを縮約して縮約モデルを作成する縮約モデル作成手段、縮約モデルによるシミュレーションを行うシミュレーション手段及びこのシミュレーション手段によるシミュレーション結果を評価する評価手段を備えたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1〜図10は、この発明の実施の一形態を示すものであり、図1は電力系統の縮約モデル作成装置の構成図、図2は電力系統の縮約モデル作成装置の動作を示すフローチャートである。図3は縮約しようとする原系統モデルを示すモデル図である。図4は指定ノードにより分割した縮約範囲をそれぞれ縮約した縮約モデルを示すモデル図、図5はある指定ノードの間の部分縮約モデルの詳細を示すモデル図である。
【0009】
図6はある指定ノードの間をそれぞれ発電機を含む二つの縮約範囲に分けて作成された部分縮約モデルを有する縮約モデルを示すモデル図である。図7はさらに二次指定された指定ノードにより分割した縮約範囲をそれぞれ縮約した縮約モデルを示すモデル図である。図8はさらにある指定ノードの間をそれぞれ発電機を含む二つの縮約範囲に分けて作成された部分縮約モデルを有する縮約モデルを示すモデル図である。図9及び図10は所定の縮約範囲を縮約する方法を説明するための説明図である。
【0010】
まず、図3によって原系統モデルについて説明する。図3において、縮約対象の電力系統内にある発電機11,12及び発電機21,22、母線(以下、ノードと称する)N11〜N14,N21,N22,N3、送電線または変圧器(以下、ブランチと称する)4a〜4nが図示のように互いに接続されている。また、ノードN11〜N14,N21,N22,N3には負荷7が接続されている。それぞれの負荷7は、様々な特性及び容量を有するものであるが、図示の都合上負荷7として図示している。以下の負荷についても同様である。
【0011】
ここに、発電機11,12と発電機21,22とは、異なるタイプの発電機である。また、ノードN11〜N14は、原系統モデル内にあるノードの内最も重要度の高いノードであり、実機データあるいは原系統モデルによるシミュレーション結果のデータを持っているものとする。ノードN21,N22は、ノードN11〜N14に次いで重要度の高いノードである。また、多数のノードN3は、ノードN21,N22より重要度の低い原系統モデル内における順位3番目以下のノードである。
【0012】
次に、電力系統の縮約モデル作成装置の構成を図1により説明する。図1において、原系統モデル記憶手段111は、図3に示した原系統モデルの情報データベースとして、どの位置にどれだけの容量の発電機・負荷が接続されているかなどノード・ブランチの接続関係、各発電機・負荷のインピーダンス・アドミタンス、系統運用上の拘束条件等の系統データ、各ノードの重要度等を記憶している。なお、原系統モデルにおける全てのノードについてその重要度の順位を予め定義しておく。例えば、図3で、発電機22の挙動が系統に大きな影響を与えると予想される場合は、その発電機22に最も近いノードにより高い重要度を与えておく。なお、原系統モデル記憶手段111がこの発明におけるノードの重要度定義手段である。
【0013】
系統分割手段112は、指定ノードによる系統分割手段112a及び発電機タイプによる系統分割手段112bを有し、指定されたノードあるいは発電機タイプにより縮約すべき範囲を分割する。系統縮約手段113は、分割された縮約範囲ごとに電力系統を縮約して部分縮約モデルを作成し、系統全体の縮約モデルを作成する。なお、指定ノードによる系統分割手段112aがこの発明におけるノード二次分割手段を兼ねている。
【0014】
シミュレーション手段114は作成された縮約モデルによってシミュレーションを実行し、その結果を縮約モデルによるシミュレーション結果記憶手段115に記憶する。最適性評価手段116は、縮約モデルによるシミュレーション結果と、実機データ記憶手段117に記憶されている実電力系統における実機データ、または原系統モデルによるシミュレーション結果記憶手段118に記憶されている原系統モデルによるシミュレーション結果とを比較して、誤差が所定値以下なら得られた縮約モデルを最適縮約モデルとして出力する。
【0015】
次に、動作を図2のフローチャートにより説明する。系統分割手段112は、最初に変数n=1とおくとともに分割するノードを指定する。まず最初に、重要度の最も高いノードN11〜N14にて、縮約対象を分割するようにして指定する(ステップS11)。系統分割手段112は変数nが1がどうかを判定し(ステップS12)、n=1であれば指定されたノードN11〜N14にて原系統モデルを分割する(ステップS13)。
【0016】
そして、系統縮約手段113がそれぞれの縮約範囲について部分縮約モデルを作成し、全体の縮約モデルを作成する(ステップS14)。このようにして図3の原系統モデルが縮約され、図4に示すような縮約モデルが作成される。この段階では、指定されたノード間にある発電機は、その種類に拘わらずひとまとめにして扱う。
【0017】
作成された縮約モデルによるシミュレーションをシミュレーション手段114にて実施し、その結果を縮約モデルによるシミュレーション結果記憶手段115に記憶する(ステップS15)。この縮約モデルによるシミュレーション結果と、実機データ記憶手段117に記憶されている実機データ、または原系統モデルによるシミュレーション結果記憶手段118に記憶されている原系統モデルによるシミュレーション結果とを比較する(ステップS16)。そして、縮約モデルによるシミュレーション結果の誤差が所定値以下ならば得られた縮約モデルを最適縮約モデルとして出力する(ステップS17)。なお、ステップS14〜16の詳細については、後述する。
【0018】
以上のようにして得られた最適縮約モデルは、図4のように表される。この場合、縮約範囲は重要度の最も高いノードN11〜N14にて分割され、それぞれの分割範囲が縮約された部分縮約モデルが生成され、発電機11,12、発電機21,22、及び縮約された各負荷17が、図4のごとく接続された形になっている。もちろん、前述のように各負荷17の特性及び容量は様々である。
【0019】
ステップS16において、誤差が所定値を超えるならば変数nに1を加え(ステップS18)、ステップS12へ戻る。ステップS12において、変数nが1ではないので、ステップS19へ行く。次に、変数nが偶数かどうかを判断し(ステップS19)、偶数であればステップS13における分割した分割結果を、さらに発電機の容量に応じて分割する(ステップS20)。なお、この実施の形態においては、発電機の容量により分類してタイプ分けしている。
【0020】
具体的には、図5の区間[N12,N13]において、発電機21,22を異なる縮約範囲とする。なお、区間[N12,N13]における発電機21,22及び負荷27、ノードNa1〜Na7は、図5のようになっており、この区間に含まれるノードNa3,Na4,Na5のうち、どれを分割ポイントとするかは、ノードの重要度により決定する。ここではNa4の重要度が一番高いとして、原系統モデルの情報データベースをもとに、各縮約範囲すなわち各ノードに接続されている負荷および発電機の電力供給量を計算し、図6に示すような縮約モデルを作成する(ステップS14)。以下、ステップS15,S16を経て、縮約モデルの評価を行い、縮約モデルによるシミュレーション結果の誤差が所定を超える場合は、変数nに1を加えてn=3とし、ステップS12へ戻る。
【0021】
ステップS12、S19を経てステップS21において、ステップS20の分割結果を、発電機タイプではなく、さらに指定したノードにて分割する。具体的には、図3に示した原系統モデルにおいて、2番目に重要なノードN21,N22で分割し(ステップS21)、原系統モデルの情報データベースをもとに、各縮約範囲すなわち各ノードに接続されている負荷および発電機の電力供給量を計算し、図7に示すような縮約モデルを作成する(ステップS14)。なお、このとき分割範囲の変更により発電機D1,D2が同じノードN13に接続され、また各ノードN11〜N14に負荷37が接続されている形になる。以下、同様にステップS15,S16を経て、縮約モデルの評価を行い、縮約モデルによるシミュレーション結果の誤差が所定を超える場合は、さらに変数nに1を加えてn=4とし、ステップS12へ戻る。
【0022】
ステップS12、S19を経てステップS20において、ステップS21の分割結果を発電機タイプによりさらに分割する。ここでは、図7のモデル図におけるノードN12,N13間を、発電機21,22をそれぞれ含む図8のような分割範囲に分割される。なお、このとき分割範囲の変更により一部のノードに接続される負荷は負荷47に変更になる。以下、同様にステップS15,S16を経て、縮約モデルの評価を行う。以上のように、分割結果を発電機のタイプにてさらに分割し、分割結果をノードの重要によりさらに分割する動作を繰り返し、最適な縮約モデルを得る。
【0023】
ここで、ステップS14における縮約モデルの作成方法、すなわち系統縮約手段113による部分縮約モデルの作成方法を、図9及び図10により説明する。なお、この発明においては、発電機を含まない縮約範囲を許容する。まず、発電機を含まない縮約範囲についての部分縮約モデルの作成方法を、図9によって考える。負荷Lはアドミタンス行列Yで表現され、あるノードに並列に接続されている負荷は、縮約するとこれらの和で表される。図9(a)に示すように、二つの負荷(アドミタンスY1,Y2)が並列に接続されているとする。
【0024】
ノードN1,N2の電圧をV1,V2とし、負荷Y1,Y2に流れる電流をJ1,J2とする。このとき、以下の関係式が成り立つ。
J1=Y1・V1
J2=Y2・V2
今、ノードN1からノードN2までの電力損失が非常に小さいとすると、V1=V2(=V)が成り立つので、縮約した系統(図9(b))のJ,Yの関係は上式より、
J=J1+J2=(Y1+Y2)V
となり、J=Y・Vであるから、
Y=Y1+Y2
が成立する。
【0025】
次に、発電機を含む縮約範囲については、次のように考えることができる。発電機を電圧Gと背後アドミタンスYの直列接続で表す。これがあるノードに並列に接続されている場合について考える。図10(a)に示すように、発電機(電圧G1,G2、背後アドミタンスYG1,YG2)が並列に接続されているとする。ノードNG1,NG2の電圧をVG1,VG2とし、負荷YG1,YG2に流れる電流をJG1,JG2とする。このとき、以下の関係式が成り立つ。
JG1=YG1・(VG1−G1)
JG2=YG2・(VG2−G2)
【0026】
今、ノードNG1からNG2までの電力損失が非常に小さいとすると、VG1=VG2(=V)が成り立つので、縮約した系統(図10(b))のJG,YGの関係は上式より、
JG=JG1+JG2=(YG1+YG2)V−(YG1・G1+YG2・G2)
となるので、JG=YG(V−G)であるから、
G=(YG1・G1+YG2・G2)/(YG1+YG2)
YG=YG1+YG2
が成立する。
以上のようにしてある縮約範囲が部分縮約範囲にモデルに縮約される。
【0027】
また、ステップS15におけるシミュレーションは、具体的には例えば次のようにして行う。縮約した系統データ(ノード・ブランチの接続関係、各発電機・負荷のインピーダンス・アドミタンス、系統運用上の拘束条件)から、系統の電圧と潮流との関係式としての電力方程式を解く。ただし、次式でJは電流、Vは電圧、Yはアドミタンス、Pは有効電力、Qは無効電力、NJはJの共役ベクトル(J=a+jbのとき、NJ=a−jb)である。
J=Y・V
P+jQ=V・NJ
【0028】
そして、レファレンスデータとの比較のため、各時刻の各ノードの電圧・電流をシミュレーション結果として出力する。また、要すればレファレンスデータの種類により、シミュレーション結果として、必要なノード及びブランチの電圧、電流、位相角、有効電力、無効電力などを出力する。
【0029】
また、レファレンスデータは、電圧・電流だけでなく、次のようなデータを用いることもできる。
・有効電力・無効電力を含んでもよいし、これらのうち1つあるいは任意の複数であってもよい。
・あるいは、全く縮約していない原系統モデルのシミュレーション結果、あるいはほとんど縮約していない詳細度の高い縮約モデルのシミュレーション結果であってもよい。
・定常状態および複数の過渡状態A1,A2,…の任意の組み合わせであってもよい。この場合、これら全ての状態にうまく合う縮約モデルを最適縮約モデルとして出力する。
【0030】
なお、実機データをレファレンスデータとする場合、全てのノードでレファレンスデータが存在するとは限らない。しかし、発電機が接続されている近辺では電圧・電流の挙動が重要であると考えられる。例えば、図5の区間[N12,N13]間の実測データが存在しないとする。このような場合、ノードN12,N13を端点として、この区間だけを詳細な縮約モデルによりシミュレーションを実行して、区間内のデータを得てもよい。ノードN12,N13の実測データはあるので、これを境界条件として、この区間内だけのシミュレーションを実行可能である。
【0031】
ステップS16における縮約モデルの最適性評価は、例えば次のように最小自乗法にて行う。
P=(Jref(N11)−J(N11))・(Jref(N11)−J(N11))+・・ ・・+(Jref(N14)−J(N14))・(Jref(N14)−J(N14))+(Vref(N11)−V(N11))・(Vref(N11)−V(N11))+・・ ・・+(Vref(N14)−V(N14))・(Vref(N14)−V(N14))
【0032】
ここに、Jref(N11)〜Jref(N14),Vref(N11)〜Vref(N14)は各ノードN11〜N14における電流及び電圧のレファレンスデータ例えば実機データである。J(N11)〜J(N14),V(N11)〜V(N14)は縮約モデルにより得られた各ノードN11〜N14における電流及び電圧である。この二乗和Pがあらかじめ設定した誤差評価閾値以下の場合はステップS17へ行き、最適縮約モデルとして当該縮約モデルを出力する。また、誤差評価閾値より大きい場合は、上述のように次の作業のためにステップS12へ戻ることになる。ステップS20やS21の作業の結果得られた縮約モデルを評価する場合は、新たなノード分を追加したもので行う。
【0033】
なお、最適性評価式では、計算機能力による制約を加えた式を用いてもよい。また、レファレンスデータとして複数の系統状態(定常状態および過渡状態A1,A2,…)があるとき、1つの縮約モデル候補に対して複数のシミュレーションを実行し、それら全ての結果を総合して評価する。
(誤差評価値)=(定常状態での誤差)+(過渡状態A1での誤差)+…
【0034】
また、分割後のノード数とその重要度に応じて、誤差評価閾値εを変動させてもよい。すなわち、重要度αiのノード数がNi個のとき、次の数式で与えられる誤差評価閾値εを用いてもよい。より詳細に分割した場合、誤差評価ポイントが増加するため、εを大きくとるのが自然であるためである。
ε=(α1・N1+・・ ・・+αn・Nn)ε0
ここに、ε0はより詳細に分割する前に用いた誤差評価閾値、
Σαi=1(いち)、
である。
【0035】
上記実施の形態においては、指定ノードによる系統分割手段112aは、図2のステップS13〜S16において原系統モデルを指定ノードにより分割して縮約モデルを作成、評価し、誤差が所定値以下でないときは、ステップS20において分割結果を発電機容量に応じて分割し、ステップS14において再度縮約モデルを作成、評価する。そして、なお誤差が所定値を超えるときは、ステップS12からS21へ行き、ノード内をさらに次に重要度の高い指定ノードで分割し、このとき新たに分割されたノード内の発電機はそのタイプ(容量)に拘わらず一括してまとめるものを示した(図7の発電機D1,D2参照)。
【0036】
このようにする代わりに、ステップS21においては先のステップS20において発電機の容量により分割されたノードはそのまま固定し、このノードの他に次に重要なノードにより分割範囲を決定するようにすることもできる。この場合は、系統分割手段112aがこの発明におけるノード二次分割手段を兼ねることになる。
【0037】
上記実施の形態においては、発電機モデルとして、一定電圧源+背後インピーダンス(アドミタンス)を用いた。この場合、負荷と発電機は1つにまとめることができる。これは、負荷の縮約結果の式が発電機の式においてG=0とした場合と同一であるからである。また、発電機モデルとして、別のモデルを用いてもよい。例えば、近年電力の自由化に伴い普及が進んでいる分散電源(風力・太陽光・ガスタービン・燃料電池など)の特性を詳細に模擬できるモデルを用いることができる。
【0038】
負荷の縮約方法として、各ノード間の電力消費量が分かっている場合は、当該電力消費量をもとに縮約する方法としてもよい。
ノードの重要度は、シミュレーションする過渡状態によって変更してもよい。
発電機タイプの分類は、上記実施の形態では容量を基準にして実施したが、容量以外にも、単相・3相の違い、直流・交流の違い等によって分類してもよい。
【0039】
また、原系統モデルの情報データベースには、以下の情報を用意しておいて、縮約・シミュレーションにこれらのデータを使用してもよい。
・系統構成:発電機・変圧器・送電線負荷の接続状態
・設備定数:インピーダンス・アドミタンス、変圧器タップなど
・運用条件:発電機、負荷の電力、無効電力、基準電圧など
【0040】
さらに、ノードには、発電機・負荷のほかに、変圧器に対応するノードを設けておいてもよい。ノードからノードへ電力が流れるときに、送電線で消費される電力は、負荷に集約させてもよい。この場合、設備定数から計算される送電線での電力損失が、新たに定義された負荷として、接続ノードに追加する。
【0041】
以上のように、この発明によれば、ノードの重要度に応じて縮約範囲を決定して縮約モデルを作成するので、縮約範囲に発電機が含まれる必要はなく、また所望するノードの重要度を高くしておけば当該ノードにおけるシミュレーションデータを得ることができる。従って、縮約モデル作成の自由度が高く、また精度の高い縮約モデルを作成することができる。
【0042】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、電力系統の原系統モデルにおけるノードを重要度に応じて順位付けを行う重要度定義手段、ノードの重要度に応じてノードにおいて原系統モデルを分割して縮約範囲を決定する系統分割手段、縮約範囲ごとに原系統モデルを縮約して縮約モデルを作成する縮約モデル作成手段、縮約モデルによるシミュレーションを行うシミュレーション手段及びこのシミュレーション手段によるシミュレーション結果を評価する評価手段を備えることにより、縮約モデル作成の自由度が高くまた精度の高い縮約モデルを作成可能な電力系統の縮約モデル作成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態を示す電力系統の縮約モデル作成装置の構成図である。
【図2】電力系統の縮約モデル作成装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】縮約しようとする原系統モデルを示すモデル図である。
【図4】指定ノードにより分割した縮約範囲をそれぞれ縮約した縮約モデルを示すモデル図である。
【図5】ある指定ノードの間の部分縮約モデルの詳細を示すモデル図である。
【図6】ある指定ノードの間をそれぞれ発電機を含む二つの縮約範囲に分けて作成された部分縮約モデルを有する縮約モデルを示すモデル図である。
【図7】さらに二次指定された指定ノードにより分割した縮約範囲をそれぞれ縮約した縮約モデルを示すモデル図である。
【図8】さらにある指定ノードの間をそれぞれ発電機を含む二つの縮約範囲に分けて作成された部分縮約モデルを有する縮約モデルを示すモデル図である。
【図9】所定の縮約範囲を縮約する方法を説明するための説明図である。
【図10】所定の縮約範囲を縮約する方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
112 系統分割手段、112a 指定ノードによる系統分割手段、
112b 発電機タイプによる系統分割手段、113 系統縮約手段、
114 シミュレーション手段、
115 縮約モデルによるシミュレーション結果評価記憶手段、
116 最適性評価手段。
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力系統のシミュレーションに用いられる縮約モデルを作成する電力系統の縮約モデル作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複雑かつ大規模な電力系統のシミュレーションを、高速にまた効率良く行うために、縮約モデルが用いられる。このために、精度の良い縮約モデルを求めることが必要とされる。縮約モデルとは、シミュレーションにおいて計算負荷を軽減するために、電力系統全体において適当な範囲を1つにまとめて簡略化した電力系統モデルをいう。
【0003】
従来の電力系統の縮約モデル作成装置においては、電力系統の原系統モデルのある個所に事故を発生させそのときの安定度シミュレーションを実行し、各発電機の挙動の類似性を調べて発電機のグループ分けを行う。そして、発電機グループごとに当該各発電機グループに属するすべての発電機を含みかつ所定の条件を満たす系統範囲を縮約範囲と判別し、当該縮約範囲を部分縮約モデルに縮約して、この部分縮約モデルを含む縮約モデルを作成する。
【0004】
この縮約モデルに対して、原系統モデルと同様の個所及び事故を模擬的に発生させて安定度シミュレーションを実行し、原系統モデルによるシミュレーション結果と縮約モデルによるシミュレーション結果とを比較し、両シミュレーション結果が一致すると判定されたときこの縮約モデルを縮約結果として出力する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−56735号公報(段落番号0045、0046及び図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電力系統の縮約モデル作成装置は以上のように構成されているので、部分縮約モデルには必ず発電機が含まれなければならないため、縮約モデル作成の自由度が低く、精度にも限界があるという問題点がある。例えば、原系統モデル内でシミュレーション結果を必要とする重要ノードが、どうしても縮約範囲すなわち部分縮約モデルの内部に存在してしまい、必要なデータが得られないような縮約モデルしか作成できない場合がある。
この発明は、上記のような問題点を解決して、縮約モデル作成の自由度が高くまた精度の高い縮約モデルを作成することのできる電力系統の縮約モデル作成装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る電力系統の縮約モデル作成装置においては、電力系統の原系統モデルにおけるノードを重要度に応じて順位付けを行う重要度定義手段、ノードの重要度に応じてノードにおいて原系統モデルを分割して縮約範囲を決定する系統分割手段、縮約範囲ごとに原系統モデルを縮約して縮約モデルを作成する縮約モデル作成手段、縮約モデルによるシミュレーションを行うシミュレーション手段及びこのシミュレーション手段によるシミュレーション結果を評価する評価手段を備えたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1〜図10は、この発明の実施の一形態を示すものであり、図1は電力系統の縮約モデル作成装置の構成図、図2は電力系統の縮約モデル作成装置の動作を示すフローチャートである。図3は縮約しようとする原系統モデルを示すモデル図である。図4は指定ノードにより分割した縮約範囲をそれぞれ縮約した縮約モデルを示すモデル図、図5はある指定ノードの間の部分縮約モデルの詳細を示すモデル図である。
【0009】
図6はある指定ノードの間をそれぞれ発電機を含む二つの縮約範囲に分けて作成された部分縮約モデルを有する縮約モデルを示すモデル図である。図7はさらに二次指定された指定ノードにより分割した縮約範囲をそれぞれ縮約した縮約モデルを示すモデル図である。図8はさらにある指定ノードの間をそれぞれ発電機を含む二つの縮約範囲に分けて作成された部分縮約モデルを有する縮約モデルを示すモデル図である。図9及び図10は所定の縮約範囲を縮約する方法を説明するための説明図である。
【0010】
まず、図3によって原系統モデルについて説明する。図3において、縮約対象の電力系統内にある発電機11,12及び発電機21,22、母線(以下、ノードと称する)N11〜N14,N21,N22,N3、送電線または変圧器(以下、ブランチと称する)4a〜4nが図示のように互いに接続されている。また、ノードN11〜N14,N21,N22,N3には負荷7が接続されている。それぞれの負荷7は、様々な特性及び容量を有するものであるが、図示の都合上負荷7として図示している。以下の負荷についても同様である。
【0011】
ここに、発電機11,12と発電機21,22とは、異なるタイプの発電機である。また、ノードN11〜N14は、原系統モデル内にあるノードの内最も重要度の高いノードであり、実機データあるいは原系統モデルによるシミュレーション結果のデータを持っているものとする。ノードN21,N22は、ノードN11〜N14に次いで重要度の高いノードである。また、多数のノードN3は、ノードN21,N22より重要度の低い原系統モデル内における順位3番目以下のノードである。
【0012】
次に、電力系統の縮約モデル作成装置の構成を図1により説明する。図1において、原系統モデル記憶手段111は、図3に示した原系統モデルの情報データベースとして、どの位置にどれだけの容量の発電機・負荷が接続されているかなどノード・ブランチの接続関係、各発電機・負荷のインピーダンス・アドミタンス、系統運用上の拘束条件等の系統データ、各ノードの重要度等を記憶している。なお、原系統モデルにおける全てのノードについてその重要度の順位を予め定義しておく。例えば、図3で、発電機22の挙動が系統に大きな影響を与えると予想される場合は、その発電機22に最も近いノードにより高い重要度を与えておく。なお、原系統モデル記憶手段111がこの発明におけるノードの重要度定義手段である。
【0013】
系統分割手段112は、指定ノードによる系統分割手段112a及び発電機タイプによる系統分割手段112bを有し、指定されたノードあるいは発電機タイプにより縮約すべき範囲を分割する。系統縮約手段113は、分割された縮約範囲ごとに電力系統を縮約して部分縮約モデルを作成し、系統全体の縮約モデルを作成する。なお、指定ノードによる系統分割手段112aがこの発明におけるノード二次分割手段を兼ねている。
【0014】
シミュレーション手段114は作成された縮約モデルによってシミュレーションを実行し、その結果を縮約モデルによるシミュレーション結果記憶手段115に記憶する。最適性評価手段116は、縮約モデルによるシミュレーション結果と、実機データ記憶手段117に記憶されている実電力系統における実機データ、または原系統モデルによるシミュレーション結果記憶手段118に記憶されている原系統モデルによるシミュレーション結果とを比較して、誤差が所定値以下なら得られた縮約モデルを最適縮約モデルとして出力する。
【0015】
次に、動作を図2のフローチャートにより説明する。系統分割手段112は、最初に変数n=1とおくとともに分割するノードを指定する。まず最初に、重要度の最も高いノードN11〜N14にて、縮約対象を分割するようにして指定する(ステップS11)。系統分割手段112は変数nが1がどうかを判定し(ステップS12)、n=1であれば指定されたノードN11〜N14にて原系統モデルを分割する(ステップS13)。
【0016】
そして、系統縮約手段113がそれぞれの縮約範囲について部分縮約モデルを作成し、全体の縮約モデルを作成する(ステップS14)。このようにして図3の原系統モデルが縮約され、図4に示すような縮約モデルが作成される。この段階では、指定されたノード間にある発電機は、その種類に拘わらずひとまとめにして扱う。
【0017】
作成された縮約モデルによるシミュレーションをシミュレーション手段114にて実施し、その結果を縮約モデルによるシミュレーション結果記憶手段115に記憶する(ステップS15)。この縮約モデルによるシミュレーション結果と、実機データ記憶手段117に記憶されている実機データ、または原系統モデルによるシミュレーション結果記憶手段118に記憶されている原系統モデルによるシミュレーション結果とを比較する(ステップS16)。そして、縮約モデルによるシミュレーション結果の誤差が所定値以下ならば得られた縮約モデルを最適縮約モデルとして出力する(ステップS17)。なお、ステップS14〜16の詳細については、後述する。
【0018】
以上のようにして得られた最適縮約モデルは、図4のように表される。この場合、縮約範囲は重要度の最も高いノードN11〜N14にて分割され、それぞれの分割範囲が縮約された部分縮約モデルが生成され、発電機11,12、発電機21,22、及び縮約された各負荷17が、図4のごとく接続された形になっている。もちろん、前述のように各負荷17の特性及び容量は様々である。
【0019】
ステップS16において、誤差が所定値を超えるならば変数nに1を加え(ステップS18)、ステップS12へ戻る。ステップS12において、変数nが1ではないので、ステップS19へ行く。次に、変数nが偶数かどうかを判断し(ステップS19)、偶数であればステップS13における分割した分割結果を、さらに発電機の容量に応じて分割する(ステップS20)。なお、この実施の形態においては、発電機の容量により分類してタイプ分けしている。
【0020】
具体的には、図5の区間[N12,N13]において、発電機21,22を異なる縮約範囲とする。なお、区間[N12,N13]における発電機21,22及び負荷27、ノードNa1〜Na7は、図5のようになっており、この区間に含まれるノードNa3,Na4,Na5のうち、どれを分割ポイントとするかは、ノードの重要度により決定する。ここではNa4の重要度が一番高いとして、原系統モデルの情報データベースをもとに、各縮約範囲すなわち各ノードに接続されている負荷および発電機の電力供給量を計算し、図6に示すような縮約モデルを作成する(ステップS14)。以下、ステップS15,S16を経て、縮約モデルの評価を行い、縮約モデルによるシミュレーション結果の誤差が所定を超える場合は、変数nに1を加えてn=3とし、ステップS12へ戻る。
【0021】
ステップS12、S19を経てステップS21において、ステップS20の分割結果を、発電機タイプではなく、さらに指定したノードにて分割する。具体的には、図3に示した原系統モデルにおいて、2番目に重要なノードN21,N22で分割し(ステップS21)、原系統モデルの情報データベースをもとに、各縮約範囲すなわち各ノードに接続されている負荷および発電機の電力供給量を計算し、図7に示すような縮約モデルを作成する(ステップS14)。なお、このとき分割範囲の変更により発電機D1,D2が同じノードN13に接続され、また各ノードN11〜N14に負荷37が接続されている形になる。以下、同様にステップS15,S16を経て、縮約モデルの評価を行い、縮約モデルによるシミュレーション結果の誤差が所定を超える場合は、さらに変数nに1を加えてn=4とし、ステップS12へ戻る。
【0022】
ステップS12、S19を経てステップS20において、ステップS21の分割結果を発電機タイプによりさらに分割する。ここでは、図7のモデル図におけるノードN12,N13間を、発電機21,22をそれぞれ含む図8のような分割範囲に分割される。なお、このとき分割範囲の変更により一部のノードに接続される負荷は負荷47に変更になる。以下、同様にステップS15,S16を経て、縮約モデルの評価を行う。以上のように、分割結果を発電機のタイプにてさらに分割し、分割結果をノードの重要によりさらに分割する動作を繰り返し、最適な縮約モデルを得る。
【0023】
ここで、ステップS14における縮約モデルの作成方法、すなわち系統縮約手段113による部分縮約モデルの作成方法を、図9及び図10により説明する。なお、この発明においては、発電機を含まない縮約範囲を許容する。まず、発電機を含まない縮約範囲についての部分縮約モデルの作成方法を、図9によって考える。負荷Lはアドミタンス行列Yで表現され、あるノードに並列に接続されている負荷は、縮約するとこれらの和で表される。図9(a)に示すように、二つの負荷(アドミタンスY1,Y2)が並列に接続されているとする。
【0024】
ノードN1,N2の電圧をV1,V2とし、負荷Y1,Y2に流れる電流をJ1,J2とする。このとき、以下の関係式が成り立つ。
J1=Y1・V1
J2=Y2・V2
今、ノードN1からノードN2までの電力損失が非常に小さいとすると、V1=V2(=V)が成り立つので、縮約した系統(図9(b))のJ,Yの関係は上式より、
J=J1+J2=(Y1+Y2)V
となり、J=Y・Vであるから、
Y=Y1+Y2
が成立する。
【0025】
次に、発電機を含む縮約範囲については、次のように考えることができる。発電機を電圧Gと背後アドミタンスYの直列接続で表す。これがあるノードに並列に接続されている場合について考える。図10(a)に示すように、発電機(電圧G1,G2、背後アドミタンスYG1,YG2)が並列に接続されているとする。ノードNG1,NG2の電圧をVG1,VG2とし、負荷YG1,YG2に流れる電流をJG1,JG2とする。このとき、以下の関係式が成り立つ。
JG1=YG1・(VG1−G1)
JG2=YG2・(VG2−G2)
【0026】
今、ノードNG1からNG2までの電力損失が非常に小さいとすると、VG1=VG2(=V)が成り立つので、縮約した系統(図10(b))のJG,YGの関係は上式より、
JG=JG1+JG2=(YG1+YG2)V−(YG1・G1+YG2・G2)
となるので、JG=YG(V−G)であるから、
G=(YG1・G1+YG2・G2)/(YG1+YG2)
YG=YG1+YG2
が成立する。
以上のようにしてある縮約範囲が部分縮約範囲にモデルに縮約される。
【0027】
また、ステップS15におけるシミュレーションは、具体的には例えば次のようにして行う。縮約した系統データ(ノード・ブランチの接続関係、各発電機・負荷のインピーダンス・アドミタンス、系統運用上の拘束条件)から、系統の電圧と潮流との関係式としての電力方程式を解く。ただし、次式でJは電流、Vは電圧、Yはアドミタンス、Pは有効電力、Qは無効電力、NJはJの共役ベクトル(J=a+jbのとき、NJ=a−jb)である。
J=Y・V
P+jQ=V・NJ
【0028】
そして、レファレンスデータとの比較のため、各時刻の各ノードの電圧・電流をシミュレーション結果として出力する。また、要すればレファレンスデータの種類により、シミュレーション結果として、必要なノード及びブランチの電圧、電流、位相角、有効電力、無効電力などを出力する。
【0029】
また、レファレンスデータは、電圧・電流だけでなく、次のようなデータを用いることもできる。
・有効電力・無効電力を含んでもよいし、これらのうち1つあるいは任意の複数であってもよい。
・あるいは、全く縮約していない原系統モデルのシミュレーション結果、あるいはほとんど縮約していない詳細度の高い縮約モデルのシミュレーション結果であってもよい。
・定常状態および複数の過渡状態A1,A2,…の任意の組み合わせであってもよい。この場合、これら全ての状態にうまく合う縮約モデルを最適縮約モデルとして出力する。
【0030】
なお、実機データをレファレンスデータとする場合、全てのノードでレファレンスデータが存在するとは限らない。しかし、発電機が接続されている近辺では電圧・電流の挙動が重要であると考えられる。例えば、図5の区間[N12,N13]間の実測データが存在しないとする。このような場合、ノードN12,N13を端点として、この区間だけを詳細な縮約モデルによりシミュレーションを実行して、区間内のデータを得てもよい。ノードN12,N13の実測データはあるので、これを境界条件として、この区間内だけのシミュレーションを実行可能である。
【0031】
ステップS16における縮約モデルの最適性評価は、例えば次のように最小自乗法にて行う。
P=(Jref(N11)−J(N11))・(Jref(N11)−J(N11))+・・ ・・+(Jref(N14)−J(N14))・(Jref(N14)−J(N14))+(Vref(N11)−V(N11))・(Vref(N11)−V(N11))+・・ ・・+(Vref(N14)−V(N14))・(Vref(N14)−V(N14))
【0032】
ここに、Jref(N11)〜Jref(N14),Vref(N11)〜Vref(N14)は各ノードN11〜N14における電流及び電圧のレファレンスデータ例えば実機データである。J(N11)〜J(N14),V(N11)〜V(N14)は縮約モデルにより得られた各ノードN11〜N14における電流及び電圧である。この二乗和Pがあらかじめ設定した誤差評価閾値以下の場合はステップS17へ行き、最適縮約モデルとして当該縮約モデルを出力する。また、誤差評価閾値より大きい場合は、上述のように次の作業のためにステップS12へ戻ることになる。ステップS20やS21の作業の結果得られた縮約モデルを評価する場合は、新たなノード分を追加したもので行う。
【0033】
なお、最適性評価式では、計算機能力による制約を加えた式を用いてもよい。また、レファレンスデータとして複数の系統状態(定常状態および過渡状態A1,A2,…)があるとき、1つの縮約モデル候補に対して複数のシミュレーションを実行し、それら全ての結果を総合して評価する。
(誤差評価値)=(定常状態での誤差)+(過渡状態A1での誤差)+…
【0034】
また、分割後のノード数とその重要度に応じて、誤差評価閾値εを変動させてもよい。すなわち、重要度αiのノード数がNi個のとき、次の数式で与えられる誤差評価閾値εを用いてもよい。より詳細に分割した場合、誤差評価ポイントが増加するため、εを大きくとるのが自然であるためである。
ε=(α1・N1+・・ ・・+αn・Nn)ε0
ここに、ε0はより詳細に分割する前に用いた誤差評価閾値、
Σαi=1(いち)、
である。
【0035】
上記実施の形態においては、指定ノードによる系統分割手段112aは、図2のステップS13〜S16において原系統モデルを指定ノードにより分割して縮約モデルを作成、評価し、誤差が所定値以下でないときは、ステップS20において分割結果を発電機容量に応じて分割し、ステップS14において再度縮約モデルを作成、評価する。そして、なお誤差が所定値を超えるときは、ステップS12からS21へ行き、ノード内をさらに次に重要度の高い指定ノードで分割し、このとき新たに分割されたノード内の発電機はそのタイプ(容量)に拘わらず一括してまとめるものを示した(図7の発電機D1,D2参照)。
【0036】
このようにする代わりに、ステップS21においては先のステップS20において発電機の容量により分割されたノードはそのまま固定し、このノードの他に次に重要なノードにより分割範囲を決定するようにすることもできる。この場合は、系統分割手段112aがこの発明におけるノード二次分割手段を兼ねることになる。
【0037】
上記実施の形態においては、発電機モデルとして、一定電圧源+背後インピーダンス(アドミタンス)を用いた。この場合、負荷と発電機は1つにまとめることができる。これは、負荷の縮約結果の式が発電機の式においてG=0とした場合と同一であるからである。また、発電機モデルとして、別のモデルを用いてもよい。例えば、近年電力の自由化に伴い普及が進んでいる分散電源(風力・太陽光・ガスタービン・燃料電池など)の特性を詳細に模擬できるモデルを用いることができる。
【0038】
負荷の縮約方法として、各ノード間の電力消費量が分かっている場合は、当該電力消費量をもとに縮約する方法としてもよい。
ノードの重要度は、シミュレーションする過渡状態によって変更してもよい。
発電機タイプの分類は、上記実施の形態では容量を基準にして実施したが、容量以外にも、単相・3相の違い、直流・交流の違い等によって分類してもよい。
【0039】
また、原系統モデルの情報データベースには、以下の情報を用意しておいて、縮約・シミュレーションにこれらのデータを使用してもよい。
・系統構成:発電機・変圧器・送電線負荷の接続状態
・設備定数:インピーダンス・アドミタンス、変圧器タップなど
・運用条件:発電機、負荷の電力、無効電力、基準電圧など
【0040】
さらに、ノードには、発電機・負荷のほかに、変圧器に対応するノードを設けておいてもよい。ノードからノードへ電力が流れるときに、送電線で消費される電力は、負荷に集約させてもよい。この場合、設備定数から計算される送電線での電力損失が、新たに定義された負荷として、接続ノードに追加する。
【0041】
以上のように、この発明によれば、ノードの重要度に応じて縮約範囲を決定して縮約モデルを作成するので、縮約範囲に発電機が含まれる必要はなく、また所望するノードの重要度を高くしておけば当該ノードにおけるシミュレーションデータを得ることができる。従って、縮約モデル作成の自由度が高く、また精度の高い縮約モデルを作成することができる。
【0042】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、電力系統の原系統モデルにおけるノードを重要度に応じて順位付けを行う重要度定義手段、ノードの重要度に応じてノードにおいて原系統モデルを分割して縮約範囲を決定する系統分割手段、縮約範囲ごとに原系統モデルを縮約して縮約モデルを作成する縮約モデル作成手段、縮約モデルによるシミュレーションを行うシミュレーション手段及びこのシミュレーション手段によるシミュレーション結果を評価する評価手段を備えることにより、縮約モデル作成の自由度が高くまた精度の高い縮約モデルを作成可能な電力系統の縮約モデル作成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態を示す電力系統の縮約モデル作成装置の構成図である。
【図2】電力系統の縮約モデル作成装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】縮約しようとする原系統モデルを示すモデル図である。
【図4】指定ノードにより分割した縮約範囲をそれぞれ縮約した縮約モデルを示すモデル図である。
【図5】ある指定ノードの間の部分縮約モデルの詳細を示すモデル図である。
【図6】ある指定ノードの間をそれぞれ発電機を含む二つの縮約範囲に分けて作成された部分縮約モデルを有する縮約モデルを示すモデル図である。
【図7】さらに二次指定された指定ノードにより分割した縮約範囲をそれぞれ縮約した縮約モデルを示すモデル図である。
【図8】さらにある指定ノードの間をそれぞれ発電機を含む二つの縮約範囲に分けて作成された部分縮約モデルを有する縮約モデルを示すモデル図である。
【図9】所定の縮約範囲を縮約する方法を説明するための説明図である。
【図10】所定の縮約範囲を縮約する方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
112 系統分割手段、112a 指定ノードによる系統分割手段、
112b 発電機タイプによる系統分割手段、113 系統縮約手段、
114 シミュレーション手段、
115 縮約モデルによるシミュレーション結果評価記憶手段、
116 最適性評価手段。
Claims (5)
- 電力系統の原系統モデルにおけるノードを重要度に応じて順位付けを行う重要度定義手段、上記ノードの重要度に応じて上記ノードにおいて上記原系統モデルを分割して縮約範囲を決定する系統分割手段、上記縮約範囲ごとに上記原系統モデルを縮約して縮約モデルを作成する縮約モデル作成手段、上記縮約モデルによるシミュレーションを行うシミュレーション手段及びこのシミュレーション手段によるシミュレーション結果を評価する評価手段を備えた電力系統の縮約モデル作成装置。
- 上記系統分割手段は、上記シミュレーション結果の評価結果が所定の条件を満たさないとき上記系統分割手段により分割された上記分割範囲に複数の発電機を含む場合に上記分割範囲に含まれる上記複数の発電機を所定の分類条件に従って分類するとともにこの分類された発電機の種類ごとに上記分割範囲をさらに分割して新たな分割範囲とする発電機分割手段を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の電力系統の縮約モデル作成装置。
- 上記系統分割手段は、上記シミュレーション結果の評価結果が所定の条件を満たさないとき上記分割範囲を次に重要度の高いノードにおいてさらに分割して新たな分割範囲とするノード再分割手段を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の電力系統の縮約モデル作成装置。
- 上記系統分割手段は、上記シミュレーション結果の評価結果が所定の条件を満たさないとき上記系統分割手段により分割された上記分割範囲に複数の発電機を含む場合に上記分割範囲に含まれる上記複数の発電機を所定の分類条件に従って分類するとともにこの分類された発電機の種類ごとに上記分割範囲をさらに分割して新たな分割範囲とする発電機分割手段と、この新たな分割範囲ごとに原系統モデルを縮約して作成された縮約モデルによる上記シミュレーション結果の評価結果が上記所定の条件を満たさないとき上記分割範囲を次に重要度の高いノードにおいてさらに分割して新たな分割範囲とするノード二次分割手段とを有するものであることを特徴とする請求項1に記載の電力系統の縮約モデル作成装置。
- 上記評価手段は、上記シミュレーション結果と、上記原系統モデルによるシミュレーション結果または実際の電力系統の実測データとを比較して、上記シミュレーション結果を評価するものであることを特徴とする請求項1に記載の電力系統の縮約モデル作成装置。
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