JP2004242544A - 種菌接種装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】極めて簡単な構造として低コストに製造する。掻き取り部の進入量を正確に制御して種菌の掻き取り量を一定に制御する。
【解決手段】種菌接種装置は、開口部を下方に開口する姿勢に保持された種菌瓶10に掻き取り部2を挿入すると共に、掻き取り部2と種菌瓶10とを相対的に回転運動させて種菌を掻き取る。掻き取り部2は、種菌瓶10の開口部から挿入、引き出しするように掻き取り部移動部4で移動される。掻き取り部移動部4は、駆動ロッド6のネジと係合するネジ保持部8とネジ保持部8を解放するネジ解放部9とを備える。掻き取り部移動部4は、ネジ保持部8が駆動ロッド6に噛み合う状態において、掻き取り部2を一定速度で種菌瓶10に挿入する方向に移動させると共に、掻き取り部2を種菌瓶10から抜き取る際には、ネジ解放部9を解放してネジ保持部8と駆動ロッド6とを非噛み合い状態として、ネジ保持部8を下降させる。
【選択図】 図3
【解決手段】種菌接種装置は、開口部を下方に開口する姿勢に保持された種菌瓶10に掻き取り部2を挿入すると共に、掻き取り部2と種菌瓶10とを相対的に回転運動させて種菌を掻き取る。掻き取り部2は、種菌瓶10の開口部から挿入、引き出しするように掻き取り部移動部4で移動される。掻き取り部移動部4は、駆動ロッド6のネジと係合するネジ保持部8とネジ保持部8を解放するネジ解放部9とを備える。掻き取り部移動部4は、ネジ保持部8が駆動ロッド6に噛み合う状態において、掻き取り部2を一定速度で種菌瓶10に挿入する方向に移動させると共に、掻き取り部2を種菌瓶10から抜き取る際には、ネジ解放部9を解放してネジ保持部8と駆動ロッド6とを非噛み合い状態として、ネジ保持部8を下降させる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シイタケやキノコ等の菌床茸の人工栽培等に使用される種菌接種装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シイタケ、キノコ等の菌床茸の人工栽培には、種菌と培地が使用されている。殺菌された培地に種菌を蒔くと、種菌が培地から拡大成長し、菌塊を形成することで茸が育成される。種菌は、雑木等のおがくずに栄養体としてフスマ、コメヌカ等を混合しておき、その中で菌床茸の種菌を拡大培養させたものである。種菌は一般に円筒形プラスチック容器等の種菌瓶に収納されている。菌床瓶は、口径が100φ、高さ230mm程度のものが多く、この中で種菌は少し粘性のあるカステラ状の状態で収納される。この種菌を培地に蒔いて着床させる作業を接種という。接種作業は、以前は手作業で種菌を種菌瓶から掻き出し、培地である菌床に蒔いていたが、近年では接種機を使って自動的に種菌瓶から一定量の種菌を掻き出し、菌床を収納した菌床瓶や菌床袋に投入することが行われている。
【0003】
種菌瓶に収納された種菌を掻き出して菌床瓶に接種する装置として、例えば、特許文献1ないし3に記載される接種装置が開発されている。これらの装置は、種菌が入った種菌瓶を開口端が下方を向くように倒立して支持し、この倒立された種菌瓶に掻出刃を進入させ、種菌を所要量ずつ掻き出して下方に落下させて、これをホッパーやシュータを介して下方に配置された菌床瓶に供給している。これらの接種装置は、種菌瓶に収納された種菌を掻出刃で掻き出すために、倒立させた種菌瓶を回転させると共に、掻出刃を回転させつつ開口端から挿入しており、掻出刃の先端を種菌瓶内の固体状の種菌に接触させて種菌を掻き取って下方に落下させている。
【0004】
【特許文献1】
特公平3−76885号公報
【特許文献2】
特開平5−328843号公報
【特許文献3】
特開平10−178889号公報
【0005】
しかしながら、以上の接種装置では、種菌の掻き出し量を正確に制御し、効率よい接種を実現することができない。それは、種菌瓶に収納された粘性のある種菌を細かい粒子状に掻き取ることが難しいからである。種菌が菌床上に落下すると、種菌の内菌床と接触する面のみで着床が起こる。したがって、接種作業においては、種菌と菌床との接触面積ができるだけ大きくなるように、いいかえると、種菌の表面積が大きくなるようにすると効率よい着床が実現できる。そのためには、種菌をできるだけ細かい顆粒状あるいは粒子状、粉状に掻き取ることが好ましい。掻き取られる種菌を細かくして着床の効率を上げることができれば、必要な種菌の量を少なくできる。すなわち、掻き取りの際に塊状の種菌が発生しないように、種菌を細かく、かつ一定量で掻き出すことが望ましい。
【0006】
種菌瓶内の種菌をできるだけ細かい粒子状あるいは粉状に掻き取るためには、掻出刃を徐々に上昇させて種菌瓶に進入させる必要がある。このことを実現するために、従来の接種装置では、図1に示す上昇機構90を採用している。この図に示す上昇機構90は、回転する円盤91上に突起条であるカム92を設けて、このカム92でローラ93を押し上げ、この運動を利用して掻き取り棒94を押し上げている。カム92で押し上げられたローラ93は、これに連結された掻き取り棒94を上方向に押し上げる。これにより、掻き取り棒94は上昇し、先端に設けた掻出刃(図示せず)を上方、すなわち倒立して保持される種菌瓶の奥方向へ移動させることができる。一旦上昇された掻き取り棒94は下降するが、デテント式の移動止め機構(図示せず)によって元の位置まで下降する前に降下を止められる。デテント式機構は、ラチェットのようなつめを用いて逆方向への移動を阻止する。これによって掻き取り棒は上昇と下降を繰り返しながら、徐々に押し上げられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この上昇機構によって、段階的に掻き取り棒を種菌瓶に挿入する方式では、種菌を掻くための上昇動作が大きくなり、掻き取られた種菌が塊状になりやすいという問題がある。突起条であるカムにより突き上げるように掻き取り棒を押し上げるため、掻出刃の移動量が瞬間的に大きくなり、その際に種菌が塊状となって掻き取られるという問題が発生する。すなわち、種菌面を掻出刃で突き刺しまわっている状態であり、粘性のある種菌は塊状になり易い。また掻き取り棒が降下する際にも掻出刃の移動が大きく、同様に塊状の種菌が発生しやすい。また、この方式では、掻き取り位置が上下するため掻き取り面がジグザグになり、掻き取り量が一定しない。その結果、塊状の種菌が多く混入され、種菌の大きさが不均一となって効率のよい着床ができない。したがって、菌床瓶に若干多めに種菌を投入する必要が生じ、ロスが発生していた。また、塊状の種菌は種菌瓶に詰まり易く、詰まった場合はその都度手で叩いて除去する必要が生じる。さらに、塊状の種菌は降下される際に周囲に跳ね易くなるので、掻き取られた種菌が周囲にこぼれ易いという問題もあった。このように、従来の方法では種菌のロスが多く、より効率のよい接種が望まれていた。
【0008】
本発明者は、空気圧あるいは油圧式で掻き取り棒の進入を制御する方式も研究した。しかしながら、空気圧で掻き取り棒の送り出し量を制御しようとすれば空気は圧縮するため、押圧力が一定とならず、掻出刃の掻き取り量も不均一となる。その結果、同一の送り量で制御しようとしても進入度が変化し、掻き取り量が一定しないことが判明した。また、油圧式で送り出し量を制御する方式は、正確な制御が可能である反面、コスト高となる問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものである。本発明の第1の目的は、極めて簡単な構造として低コストに製造できると共に、掻き取り部の進入量を正確に制御して種菌の掻き取り量を一定に制御できる種菌接種装置を提供することにある。
【0010】
さらに、従来の接種装置では、種菌瓶を交換するのに時間がかかる欠点があった。それは、従来の接種装置では、種菌瓶に挿入された掻出刃を短時間で引き出すことができないからである。収納された種菌を全て接種した種菌瓶は新しい種菌瓶に交換されるが、接種が終わった種菌瓶は内部の奥深くまで掻出刃が挿入されているため、この掻出刃を種菌瓶から引き出すのに長い時間がかかっている。種菌瓶は、掻出刃を引き出した後、新しいものに交換される。したがって、種菌瓶から掻出刃を引き出す時間は、交換作業には無関係な無駄な時間となり、この時間のロスが種菌瓶の交換にかかる時間が長くさせていた。このように、種菌瓶を短時間で交換できない従来の接種装置は、接種作業を能率よく行うことができず、生産効率が低下してしまう欠点があった。
【0011】
本発明の第2の目的は、このような問題点を解決すること、すなわち、種菌瓶に挿入された掻き取り部を素早く引き出して種菌瓶の交換にかかる時間を短縮でき、接種作業を能率よく行って生産効率を向上できる種菌接種装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の種菌接種装置は、種菌瓶10の開口部を下方に開口する姿勢で種菌瓶10を保持するための保持部1と、この保持部1で保持された種菌瓶10の開口部に挿入し、種菌瓶10の内部で種菌を掻き取るための掻き取り部2と、この掻き取り部2を種菌瓶10に挿入した状態で掻き取り部2と種菌瓶10とを相対的に回転運動させるための回転部3と、この掻き取り部2を種菌瓶10の開口部から挿入、引き出しするように掻き取り部2を抜き差し移動させる掻き取り部移動部4と、掻き取り部2で掻き取られて落下する種菌を受け取る受け部5とを備える。この種菌接種装置では、掻き取り部移動部4は、一定のピッチでネジを設けた駆動ロッド6と、この駆動ロッド6を回転させる駆動ロッド回転部7と、駆動ロッド6のネジと係合する噛み合い状態で駆動ロッド6の回転によってネジに沿って上昇して掻き取り部2を上昇させるネジ保持部8と、このネジ保持部8を解放してネジの係合を解除する非噛み合い状態とするネジ解放部9とを備える。掻き取り部移動部4は、ネジ保持部8が駆動ロッド6に噛み合う状態において、掻き取り部2を一定速度で種菌瓶10に挿入する方向に移動させて、掻き取り部2で種菌瓶10の内部の種菌を掻き取る。さらに、掻き取り部移動部4は、掻き取り部2を種菌瓶10から抜き取る際には、ネジ解放部9を解放してネジ保持部8と駆動ロッド6とを非噛み合い状態として、ネジ保持部8を下降させる。
【0013】
本発明の種菌接種装置は、掻き取り部2を種菌瓶10の開口部の半径方向に揺動させる揺動部50を備えることができる。この構造の種菌接種装置は、掻き取り部2の先端を均一に種菌面に接触させて、広範囲にわたってむらなく種菌を掻き取ることができる。
【0014】
さらに、本発明の種菌接種装置は、掻き取り部2を回転させず、保持部1を回転させることができる。さらに、本発明の種菌接種装置は、回転部3と、掻き取り部移動部4の駆動ロッド回転部7とに、1台のモーター23を併用することができる。この種菌接種装置は、製造コストを低減できる特長がある。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための種菌接種装置を例示するものであって、本発明は、種菌接種装置を以下のものに特定しない。
【0016】
また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに、以下の説明において、同一の名称、符号については、同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を随時省略する。
【0017】
本発明の種菌接種装置は、種菌瓶に充填された菌類の種菌を掻き取って、菌床を収納した菌床瓶や菌床袋に接種する装置である。本発明の種菌接種装置は、とくに、粘性のある状態に培養された種菌を、種菌瓶からできるだけ細かい顆粒状あるいは粒子状、粉状に掻き取ると共に、種菌瓶の交換等にかかる時間を短縮して効率よく接種することを特徴としている。したがって、種菌瓶に収納される種菌の種類や状態、及び培養方法等は問わない。すなわち、本発明の種菌接種装置は、種々の種菌の接種に適宜に採用できる。
【0018】
図2ないし図5に示す種菌接種装置は、種菌瓶10の開口部を下方に開口する姿勢で種菌瓶10を保持する保持部1と、この保持部1で保持された種菌瓶10の内部で種菌を掻き取る掻き取り部2と、掻き取り部2を種菌瓶10に挿入した状態で掻き取り部2と種菌瓶10とを相対的に回転運動させる回転部3と、掻き取り部2を種菌瓶10の開口部から挿入、引き出しするように移動させる掻き取り部移動部4と、掻き取り部2で掻き取られて落下する種菌を受け取る受け部5とを備える。
【0019】
種菌瓶10は、菌類の種菌が収納された容器である。種菌瓶10はプラスチック製の容器で、円筒状に成形されている。この種菌瓶10には、好ましくは広口瓶を使用する。図6の拡大断面図に示す種菌瓶10は、胴体部10Bに対して開口筒部10Aをやや絞った形状の広口瓶を使用している。ただ、広口瓶には、図示しないが、開口筒部と胴体部の内径がほぼ等しいものを使用することもできる。種菌瓶10には、培養された菌類の種菌が、おがくずや栄養体等と共に収納されている。種菌瓶10に充填される種菌には、たとえば、シイタケ等の菌床キノコ全般に使用できる。
【0020】
保持部1は、種菌瓶10を所定の位置に所定の姿勢で保持する。図に示す保持部1は、種菌接種装置の正面の上部に、種菌瓶10の開口部を下方に開口する倒立した姿勢で保持している。この保持部1は、種菌瓶10の開口筒部10Aを連結して、開口部を下方に向ける姿勢で保持する保持テーブル11と、種菌瓶10の胴体部10Bを脱着自在に保持するホルダー部12とを備える。
【0021】
保持テーブル11は、円形の金属盤で、図6に示すように、種菌瓶10の開口筒部10Aを挿入して保持する中心穴13を中央部に開口している。この中心穴13は、種菌瓶10の開口筒部10Aを挿入できるが、種菌瓶10の胴体部分10Bを挿入できないように、種菌瓶10の開口筒部10Aの外形とほぼ等しく、あるいはやや大きくしている。この保持テーブル11は、中心穴13の開口部の上部をテーパー状にカットしており、このテーパー部で種菌瓶10の開口筒部10A周縁の肩部を支持して種菌瓶10を落下させることなく支持する。図示しないが、中心穴は、その内周面に、種菌瓶の開口筒部の外周に設けた雄ネジに係合する雌ネジを設けて、種菌瓶を中心穴にねじ込んで連結することもできる。さらに、保持テーブルは、図示しないが、中心穴の下部に開口筒部を支持する開口端支持部を設けて、種菌瓶を落下しないように支持することもできる。この開口端支持部は、たとえば、中心穴の下端縁に設けた保持溝や、中心穴の下端から内側に突出する凸部とすることができる。この保持テーブルは、たとえば、開口筒部と胴体部の内径がほぼ等しく、開口筒部を絞っていない種菌瓶であっても落下させることなく支持できる。
【0022】
ホルダー部12は、保持部1に装着される種菌瓶10を脱着自在に保持する。図6に示すホルダー部12は、種菌瓶10の胴体部10Bの側面を弾性的に押圧する弾性押圧部14と、この弾性押圧部14を保持テーブル11に連結する固定連結具15とを備える。図のホルダー部12は、複数の弾性押圧部14を備え、これらの弾性押圧部14を固定連結具15を介して保持テーブル11の上方に配設している。弾性押圧部14は、倒立した姿勢で装着された種菌瓶10の胴体部10Bの側面を弾性的に押圧して、種菌瓶10を保持部1に一体的に連結する。図に示す弾性押圧部14は、弾性変形する金属板である。弾性金属板である弾性押圧部14は、種菌瓶10の高さ方向に延長される姿勢で、種菌瓶10の外周に沿って配設されている。ただ、弾性押圧部には、コイルスプリングやゴム状弾性体、あるいはこれらの弾性体と金属板を組み合わせたものも使用できる。
【0023】
固定連結具15は、下端を保持テーブル11に垂直に固定している複数の連結アーム部15Bと、この連結アーム部15Bの上端を連結しているリング部15Aとを備える。複数の連結アーム部15Bは、等間隔に配設されており、上端部にそれぞれ弾性押圧部14を固定している。弾性金属板である弾性押圧部14は、中央部を連結アーム部15Bの上端部の内面に固定している。ただ、弾性押圧部は、リング部の内面に固定することもできる。弾性押圧部14は、種菌瓶10の高さ方向のほぼ中央部に位置して連結アーム部15Bに固定されている。さらに、弾性押圧部14は、両端部を種菌瓶10の側面に接近する方向に折曲または湾曲しており、両端部に設けた先端押圧部14Aで種菌瓶10の側面を押圧している。さらに、弾性押圧部14は、先端押圧部14Aよりも先端側を種菌瓶の側面から離れる方向に湾曲または折曲して、種菌瓶10を着脱しやすくしている。図示しないが、種菌瓶は、外周面に、弾性押圧部の先端押圧部を嵌着する嵌入凹部や嵌着凸部を設けて、より確実に弾性押圧部で保持することができる。
【0024】
以上のように、ホルダー部12を備える保持部1は、種菌瓶10を確実に所定の姿勢で保持できる特長がある、とくに、弾性押圧部14で種菌瓶10の胴体部10Bの側面を押圧して保持するホルダー部12は、種菌瓶10の底面側をフリーな状態にできるので、簡単かつ容易に、しかも短時間で、倒立した姿勢の種菌瓶10を着脱できる特長がある。ただ、ホルダー部は、保持アーム以外の構造で種菌瓶を保持することもできる。たとえば、ホルダー部は、種菌瓶を挿入する筒部と、この筒部に挿入された種菌瓶の底部を押圧する押圧部材とで構成することもできる。押圧部材には、筒体の上端開口部を閉塞する蓋体や、伸縮自在なゴムバンド等が使用できる。この構造のホルダー部も、押圧部材で種菌瓶の底部を押圧して種菌瓶を確実に保持できる。
【0025】
さらに、図3に示す保持部1は、種菌瓶10を鉛直方向から傾斜する姿勢で保持している。このように、種菌瓶10を傾斜する姿勢で保持する種菌接種装置は、掻き取り部2で掻き取られて落下する種菌が受け部5の外にこぼれるのを有効に防止できる特長がある。それは、詳細には後述するが、掻き取り部2を通過させるために受け部5と本体フレーム18に設けたスリット61、18Bを種菌瓶10の真下に位置させることなく配置できるからである。さらに、傾斜される種菌瓶10は、開口部の水平投影面積が小さくなるので、このことも落下する種菌が広い範囲に落下するのを防止している。種菌瓶10を傾斜する角度は、例えば、水平面に対して45〜90度、好ましくは、50〜75度とすることができる。図に示す保持部1は、水平面に対して約60度傾斜する姿勢で種菌瓶10を保持している。
【0026】
保持部1は、支持プレート16を介して本体フレーム18に連結している。図3に示す支持プレート16は、その上面に配設される保持部1で種菌瓶10を傾斜姿勢で保持するために、本体フレーム18に傾斜した姿勢で連結している。図の支持プレート16は、本体フレーム18の駆動開口部18Aを貫通する状態で配設されており、本体フレーム18から外側に突出する部分の上面に種菌瓶10を保持する保持部1を設けている。さらに、支持プレート16は、本体フレーム18の内部において、両側の本体フレーム18を連結してなる補強フレーム19に固定している。支持プレート16は、保持テーブル11に開口した中心穴13と対向する位置に貫通穴16Aを開口しており、種菌瓶10から落下する種菌をここに通過できるようにしている。さらに、支持プレート16は、この貫通穴16Aの周縁部において、ベアリング17を介して保持部1の保持テーブル11を回転できるように連結している。
【0027】
掻き取り部2は、種菌瓶10の内部に挿入されて種菌瓶10に収納された種菌を掻き取る部材である。掻き取り部2は、図3と図7に示すように、保持部1で保持される種菌瓶10の略軸方向に延長された掻取バー20と、この掻取バー20の上端に設けられた掻取刃21とを備える。掻取バー20は、図3に示すように、下端を本体フレーム18の内部に位置させて、上端の掻取刃21を本体フレーム18の外側に配設された種菌瓶10の開口部に位置させている。掻取バー20は、本体フレーム18の前面に設けたスリット18Bを貫通する状態で配設されている。掻取バー20は、その下端部を、後述する掻き取り部移動部4によって上下動する上下台22に連結している。この掻取バー20は、上下台22を介して上下方向に移動されて、先端の掻取刃21を種菌瓶10に出し入れする方向に移動させる。
【0028】
掻取刃21は、種菌瓶10に収納された種菌に接触して種菌を掻き取る。掻取刃21は、種菌を効率よく掻き取りできる形状に成形される。図7ないし図9に示す掻取刃21は、金属刃で、先端縁の形状を鋸刃状とすると共に、先端に向かって次第に薄くなる形状としている。この掻取刃21は、図8に示すように、掻取バー20の先端に傾斜する姿勢で固定されている。掻取刃21は、種菌と対向する方向に傾斜させている。すなわち、図8において、矢印Aで示す方向から種菌が接触するように傾斜させている。図に示すように、傾斜して配設される掻取刃21は、先端の刃縁を種菌面にスムーズに接触させて、種菌を効率よく掻き出しできる特長がある。ただ、掻き取り部は、掻取刃の形状と配置を以上に特定しない。すなわち、掻取刃は、種菌を効率よく掻き出しできる他の全ての形状とすることができ、また掻取バーに対して水平ないし垂直に固定することもできる。また、掻取刃は、掻取バーに脱着できる構造として、種菌瓶に収納された種菌の種類や状態に応じて適宜変更することもできる。
【0029】
回転部3は、掻き取り部2を種菌瓶10に挿入した状態で、掻き取り部2と種菌瓶10とを相対的に回転運動させる。図2ないし図5に示す回転部3は、掻き取り部2を回転させることなく、種菌瓶10を装着した保持部1を回転させる構造としている。この回転部3は、モーター23と、このモーター23の回転軸23Aに固定されて、モーター23で回転される駆動プーリー24と、この駆動プーリー24に駆動されて保持部1の保持テーブル11を回転させる駆動ベルト25とを備える。モーター23は、その回転軸23Aが種菌瓶10の回転軸mと平行になるように配設している。図の保持部1は、種菌瓶10を傾斜する姿勢で保持するので、モーター23も傾斜する姿勢で配設している。回転部3は、モーター23で回転される駆動プーリー24で駆動ベルト25を駆動し、この駆動ベルト25で保持テーブル11を回転させる。保持テーブル11は、図6に示すように、回転できるようにリング状のベアリング17を介して支持プレート16に連結している。この保持テーブル11は、外周面に駆動ベルト25を掛けており、この駆動ベルト25で駆動されて回転する。駆動ベルト25は、支持プレート16と平行な面内を駆動するように張設している。回転部3は、モーター23の回転数と、駆動プーリー24の外径と保持テーブル11の外径の比とで種菌瓶10の回転数を調整する。回転部3は、種菌瓶10の回転数を、75〜200rpm、好ましくは、100〜150rpm、最適には120rpmとなるように調整する。
【0030】
以上の回転部3は、掻き取り部2を回転させることなく、種菌瓶10のみを回転させている。ただ、回転部は、種菌瓶を回転させることなく、掻き取り部のみを回転させることも、種菌瓶と掻き取り部の両方を回転させることもできる。掻き取り部を回転させる回転部は、たとえば、掻取バーを回転できるように支持すると共に、この掻取バーをモーターで回転させる構造として実現できる。
【0031】
掻き取り部移動部4は、一定のピッチでネジを設けた駆動ロッド6と、駆動ロッド6を回転させる駆動ロッド回転部7と、この駆動ロッド6で上昇されて掻き取り部2を上昇させるネジ保持部8と、ネジ保持部8を解放して駆動ロッド6のネジとの係合を解除するネジ解放部9とを備える。
【0032】
駆動ロッド6は、外周面に一定のピッチで雄ネジ6aを設けたネジ棒である。この駆動ロッド6は、保持部1に保持される種菌瓶10の回転軸mと平行に、すなわち図において傾斜する姿勢で配設している。駆動ロッド6は、上端部と下端部とを軸受け26を介して、回転できるように上下の補強フレーム19に連結している。駆動ロッド6の上端は、軸受け26から上方に突出しており、この突出部6Aに駆動ロッド6を回転駆動するための昇降プーリー27を固定している。
【0033】
駆動ロッド回転部7は、駆動ロッド6を回転させる。図3、図4及び図10に示す駆動ロッド6は、モーター23と、このモーター23の回転軸23Aに固定された駆動プーリー24と、駆動ロッド6の先端に固定された昇降プーリー27と、駆動プーリー24と昇降プーリー27とに張設された駆動ベルト28とを備える。図に示す駆動ロッド回転部7のモーター23は、回転部3のモーター23を併用している。回転部3のモーター23を駆動ロッド回転部7に併用する構造は、製造コストを低減できる特長がある。
【0034】
回転部3と駆動ロッド回転部7とにひとつのモーターを併用する構造は、駆動プーリー24、保持テーブル11及び昇降プーリー27の外径の比を調整して保持テーブル11と駆動ロッド6の回転数を調整できる。図の駆動プーリー24は、外形の異なる2つのプーリーを上下2段に積層してなる異径プーリーを使用している。この駆動プーリー24は、下段の第1プーリー24Aと保持テーブル11との間に駆動ベルト25を張設しており、上段の第2プーリー24Bと昇降プーリー27との間に駆動ベルト28を張設している。図の駆動プーリー24は、上段の第2プーリー24Bの外径(R2)を下段の第1プーリー24Aの外径(R1)よりも小さくしている。さらに、駆動ロッド回転部7は、昇降プーリー27の外径(RS)を第2プーリー24Bの外径(R2)よりも大きくして、モーター23の回転数に対する駆動ロッド6の回転数を小さくしている。これに対して、回転部3は、第1プーリー24Aの外径(R1)と保持テーブル11の外径(Rh)をほぼ等しくして、モーター23の回転数と保持テーブル11の回転数をほぼ等しくしている。すなわち、駆動ロッド6の回転数が、種菌瓶10の回転数に対して小さくなるようにしている。このように、駆動ロッド6の回転数を小さく調整する構造は、後述するネジ保持部8の上昇速度を小さくし、掻き取り部2を種菌瓶10に挿入する速度を小さくできる特長がある。図の装置は、RS:R2=4:1、Rh:R1=1:1として、駆動ロッド6の回転数を、種菌瓶10の回転数の1/4に減速している。ただ、種菌瓶の回転数に対する駆動ロッドの回転数の比率は、1/10〜1/2、好ましくは、1/5〜1/3とすることができる。
【0035】
掻き取り部2が上昇する速度は、駆動ロッド6に設ける雄ネジ6aのピッチと駆動ロッド6の回転数とで決定される。駆動ロッド6は、ネジ山のピッチを小さくすると掻き取り部2の上昇速度が遅くなり、大きくすると掻き取り部2の上昇速度が速くなる。また、駆動ロッド6は、回転数を大きくすると掻き取り部2の上昇速度が速くなり、回転数を小さくすると掻き取り部2の上昇速度が遅くなる。本発明の種菌接種装置は、掻き取り部2が種菌瓶10に収納された種菌をより小さな粒状に掻き取ることを特長としている。したがって、掻き取り部2の上昇速度を遅くして、掻き取り部2が種菌を掻き取る量を少なくし、小さな粒状に分離できる。ただ、掻き取り部2の上昇速度を遅くすると、種菌を掻き取るのにかかる時間が長くなる。したがって、掻き取り部移動部4は、これらのことを考慮して、掻き取り部2の上昇速度が、最適となるように駆動ロッド6に設けた雄ネジ6aのピッチと、駆動ロッド6の回転数とを調整する。掻き取り部移動部4は、掻き取り部2の上昇速度が、1〜3mm/秒、好ましくは、1.8〜2.2mm/秒となるように調整される。
【0036】
以上の種菌接種装置は、回転部のモーターを駆動ロッド回転部に併用している。ただ、本発明の種菌接種装置は、図示しないが、回転部のモーターと駆動ロッド回転部のモーターとを別々に設けることもできる。この構造は、回転部のモーターと駆動ロッド回転部のモーターとを個別に制御して、種菌瓶と駆動ロッドをそれぞれ最適な回転数で回転できる。さらに、以上の実施例の回転部3と駆動ロッド回転部7は、プーリーとベルトを介して種菌瓶10と駆動ロッド6を回転させているが、回転部と駆動ロッド回転部は、その他の機構、たとえば、複数の歯車を組み合わせて、あるいはギアでチェーンを駆動して種菌瓶と駆動ロッドを回転させることもできる。
【0037】
ネジ保持部8は、図11ないし図14に示すように、駆動ロッド6の回転によってネジに沿って上昇するチャック30を備える。このチャック30は、駆動ロッド6を両側から挟着できるように2分割されている。2分割されたチャック30は、対向面に、駆動ロッド6を案内する噛み合い凹部31を設けており、この噛み合い凹部31の内面に、駆動ロッド6の雄ネジ6aと係合する雌ネジ30aを設けている。一対のチャック30は、開閉軸32を介して開閉できるように連結されており、それぞれのチャック30に連結された開閉アーム38で駆動されて開閉される。開閉されるチャック30は、図11ないし図13に示す閉じられた状態、すなわち駆動ロッド6を両側から挟着する状態では、噛み合い凹部31の内面に設けた雌ネジ30aが駆動ロッド6の雄ネジ6aに係合する噛み合い状態となり、駆動ロッド6の回転によってネジに沿って上昇する。図14に示すようにチャック30が開かれると、雄ネジ6aとの係合が解除された非噛み合い状態となって、ネジ保持部8の上昇が停止される。
【0038】
一対のチャック30は、図11ないし図14に示すように、チャックホルダー37と開閉軸32を介して上下台22の上面に連結されている。チャックホルダー37は、金属板を組み合わせてコ字状に成形したもので、対向する2枚の金属板の間に一対のチャック30を開閉できるように配設している。チャックホルダー37は、対向する2枚の金属板に、駆動ロッド6を貫通させる通し穴37Aを開口している。この通し穴37Aは、駆動ロッド6の外径よりも大きく開口している。さらに、2枚の金属板の先端部には、一対のチャック30を貫通する開閉軸32を挿通している。この開閉軸32は、一対のチャック30の積層部分を貫通する状態でチャックホルダー37に挿通している。チャックホルダー37は、底面を上下台22に固定しており、一対のチャック30を上下台22に一体的に連結している。この上下台22は、チャック30が噛み合い状態となって上昇するとき、チャック30に引き上げられて駆動ロッド6に沿って上昇し、チャック30が解放されて非噛み合い状態となると、駆動ロッド6に沿って自重で落下する。上下台22は、中央部分に駆動ロッド6を貫通させる貫通孔22Aを開口している。この貫通孔22Aは、上下台22をスムーズに上下動できるように、駆動ロッド6の外径よりも大きく開口している。上下台22とチャックホルダー37は、貫通孔22Aと通し穴37Aとが互いに対向するように固定されており、ここを貫通する駆動ロッド6の両側に一対のチャック30が位置するようにしている。
【0039】
さらに、図10と図13に示すように、上下台22は、駆動ロッド6に沿ってスムーズに上下方向に平行移動できるように、駆動ロッド6の両側に配設してなる2本のガイドロッド34を介して補強フレーム19に連結している。上下台22は、両側部に貫通部22Bを設けると共に、この貫通部22Bにガイド筒35を固定しており、このガイド筒35に挿通したガイドロッド34に沿って上下に移動できるようにしている。さらに、上下台22は、前方に突出する先端連結部36に、掻き取り部2の下端部に連結した下端連結部29を連結している。
【0040】
ネジ解放部9は、ネジ保持部8のチャック30を開いて、チャック30の雌ネジと駆動ロッド6の雄ネジ6aとの係合を解除してこれらを非噛み合い状態とする。ネジ解放部9は、一対のチャック30を開閉する一対の開閉アーム38と、これらの開閉アーム38を駆動する開閉バー39と、この開閉バー39を駆動する駆動機構40とを備える。
【0041】
一対の開閉アーム38は、一対のチャック30にそれぞれ連結している。一対のチャック30は、チャック30の開閉方向であって、互いに反対方向に突出してなる突出部33を備え、これらの突出部33に各開閉アーム38の一端を回動できるように連結している。それぞれの開閉アーム38の他端は、開閉バー39の一端に回動できるように連結している。一対の開閉アーム38は、図11に示すように、上下に離れて互いに平行に配設されている。一対の開閉アーム38は、開閉バー39に駆動されて一対のチャック30を開閉する。図13で示すように、開閉バー39が矢印Aで示す方向に移動すると、一対の開閉アーム38は、各チャック30の突出部33を押して一対のチャック30を閉じる方向に回動させる。逆に、図14に示すように、開閉バー39が矢印Bで示す方向に移動すると、開閉アーム38がチャック30の突出部33を引いて一対のチャック30を開く方向に回動させる。
【0042】
開閉バー39は、一対の開閉アーム38をチャック30の方向に押したり引いたりする方向に往復運動できるように配設される。開閉バー39は、この向きに往復運動できるように、スライドガイド41を介して上下台22の上面に固定されている。開閉バー39は、駆動機構40で駆動されて、チャック30を開く開位置と、チャック30を閉じる閉位置とに往復運動される。
【0043】
駆動機構40は、開閉バー39を閉位置に移動させる閉機構40Aと、開閉バー39を開位置に移動させる開機構40Bとを備える。図に示す閉機構40Aは、開閉バー39を閉位置に付勢する弾性体42を備える。図に示す弾性体42はコイルスプリングで、2本のコイルスプリングを開閉バー39の両側に配設している。このコイルスプリングは引きバネである。図の開閉バー39は、開閉アーム38が連結された一端とは反対側の端部に、開閉バー39を垂直に貫通する駆動バー43を連結しており、この駆動バー43の両端に引きバネであるコイルスプリングの一端を連結している。弾性体42は、この駆動バー43をチャック30の方向に引っ張って開閉バー39を閉位置とする。さらに、駆動バー43は、両端部であって弾性体42との連結部よりも内側に一対のガイドプレート44を連結している。これらのガイドプレート44は、チャック30から離れる方向に延長されると共に、先端部を両側に折曲して係止ストッパ44Aとしている。この閉機構40Aは、ガイドプレート44の係止ストッパ44Aをソレノイド46に固定している係止部45の垂直面に当接させて、開閉バー39の移動を所定の位置で停止させる。
【0044】
開機構40Bは、開閉バー39を開位置に移動させるソレノイド46を備える。ソレノイド46は、通電状態において磁力を発生し、磁力で開閉バー39を吸引して開位置に移動させる。したがって、開閉バー43は、ソレノイド46に吸引されるように、磁性金属で製作され、あるいは先端に磁石を設ける。ソレノイド46は、弾性体42の付勢力に逆らって開閉バー39を吸引できるように、開閉バー43を吸引する磁力が弾性体42の付勢力よりも大きくなるように調整している。このようにソレノイド46で開閉バー39を吸引する構造は、電気的な制御によって極めて簡単に開閉バー39を駆動できる。
【0045】
以上の構造の駆動機構40は、ソレノイド46に通電しないOFF状態では、弾性体42が開閉バー43をチャック30の方向に引っ張って閉位置とし、チャック30を閉じた状態に保持する。ソレノイド46に通電してON状態とすると、ソレノイド46が開閉バー43をチャック30から離す方向に引っ張って開位置とし、チャック30を開いた状態に保持する。この構造の駆動機構40は、通常は弾性体42で開閉バー39を閉位置としてチャック30を閉じた状態に保持し、チャックを開くときにのみソレノイド46に通電して開閉バー39を開位置にできる。したがって、極めて理想的にチャック30の開閉を制御できる。ただ、駆動機構は、閉機構をソレノイドとして開機構を弾性体とすることも、開機構と閉機構の両方をソレノイドとすることもできる。さらに、駆動機構は、ソレノイドを使用することなく、その他の機構、たとえば、シリンダーやモーター等を使用してチャックを開閉することもできる。
【0046】
以上のように、掻き取り部移動部4は、ネジ保持部8のチャック30が駆動ロッド6のネジと噛み合う噛み合い状態では、回転する駆動ロッド6のネジに沿って上昇するチャック30が上下台22を上昇させて、掻き取り部2を一定速度で種菌瓶10に挿入する方向に移動させる。さらに、掻き取り部移動部4は、ネジ解放部9のチャック30と駆動ロッド6のネジの係合が解除されて非噛み合い状態となると、上下台22を自重で落下させる。落下する上下台22は、極めて短時間で降下位置に達する。このため、上昇位置にある掻き取り部2を短時間で降下位置まで降下させて、掻取刃21を種菌瓶10から引き抜くことができる。
【0047】
さらに、図3に示す種菌接種装置は、落下する上下台22にはたらく衝撃を緩衝するために、落下支持バネ47とショックアブソーバー48を備えている。落下支持バネ47は、駆動ロッド6と平行に配設されており、上端を上側の補強フレーム19に、下端を上下台22に連結している。この落下支持バネ47は引きバネで、落下する上下台22を上方に引っ張って落下の衝撃を少なくする。さらに、ショックアブソーバー48は、落下する上下台22の下面に衝突して支持する支持部48Aを上方に向ける姿勢で、下側の補強フレーム19に固定している。ショックアブソーバー48は、支持部48Aにはたらく上下台22の落下のエネルギーを吸収して衝撃を少なくする。
【0048】
さらに、種菌接種装置は、図3と図5に示すように、種菌瓶10に挿入されて種菌を掻き取る掻き取り部2を揺動させる揺動部50を備える。揺動部50は、種菌瓶10の開口部の半径方向であって、図の装置において前後方向に掻き取り部2を揺動させる。この揺動部50は、掻き取り部2を前後方向に往復運動させる往復運動機構51を備える。図に示す掻き取り部2は、掻取バー20の下端部に固定した下端連結部29の先端を、上下台22の先端連結部36に垂直面内で回動できるように回動軸49を介して連結している。さらに、掻き取り部2は、掻取バー20の中間を往復運動機構51に連結しており、往復運動機構51で前後方向に駆動されて往復運動される。正確には、掻き取り部2は、図3と図5に示すように、前方に傾斜する姿勢で配設されると共に、この姿勢を保持するように押圧バネ65で付勢されているので、往復運動機構51が掻き取り部2を前方位置とするときには自重とバネの押圧力で前方に傾斜し、往復運動機構51が掻き取り部2を後方位置とするときには掻取バー20が後方に引っ張られて往復運動する。押圧バネ65は、掻き取り部2の下端連結部29の下面に固定した固定アーム66の先端に配置されている。この固定アーム66は、下端連結部29の先端から上下台22の方向に突出しており、この突出部の先端に押圧バネ65を連結している。押圧バネ65は、固定アーム66の突出部を上下台22の先端連結部36に向かって押圧しており、掻き取り部2を、回動軸49を中心として回動させて前方位置に傾斜させる。
【0049】
往復運動機構51は、掻き取り部2を下端の回動軸49を中心として前後方向に回動し、掻き取り部2の先端の掻取刃21を種菌瓶10の内部で半径方向に揺動させる。図に示す往復運動機構51は、駆動ロッド6で駆動される回転運動を往復運動に変換して掻き取り部2を前後方向に往復運動させる。この往復運動機構51は、図15ないし図17に示すように、駆動ロッド6で回転される偏芯カラー52と、この偏芯カラー52の外側に、ベアリング53を介して配設されるヨーイングケース54と、このヨーイングケース54と掻き取り部2との間に配設される駆動部材55とを備える。
【0050】
偏芯カラー52は、平面形状を円形としている。円形の偏芯カラー52は、外形の中心から偏心して偏心穴52Aを開口しており、この偏心穴52Aに駆動ロッド6を挿通している。この偏心穴52Aは、駆動ロッド6の雄ネジ6aに関係なく上下に移動できるように、駆動ロッド6の外径よりも大きな内径としている。この偏芯カラー52は、キー56とキー溝6bを介して駆動ロッド6で回転される。駆動ロッド6は、図5と図15に示すように、外周面に、軸方向に延長して一列のキー溝6bを設けている。偏心カラー52は、駆動ロッド6に設けたキー溝6bに挿入されるキー56を、偏心穴52Aの内面に突出して配設している。このキー56は、キー溝6bに沿って駆動ロッド6の軸方向に移動できるように、キー溝6bよりも多少は幅を狭くしている。
【0051】
偏芯カラー52は、図11に示すように、上下台22に固定されたチャックホルダー37の上方に配設されており、掻き取り部移動部4で上昇される上下台22に押し上げられて上昇する。さらに、この偏芯カラー52の上面には、チャックホルダー37に固定されたストッパ57を配設しており、上下台22が落下するときには、ストッパ57で偏芯カラー52を降下させるようにしている。このストッパ57は、L字状に折曲されており、起立部57Aの下端をチャックホルダー37に固定すると共に、水平部57Bをヨーイングケース54の上方に位置させて、この水平部57Bでヨーイングケース54を引っ張って偏芯カラー52を降下させる。以上の構造の偏芯カラー52は、駆動ロッド6で駆動されて回転すると共に、上下台22と一緒に駆動ロッド6に沿って上下に移動する。図15に示す偏芯カラー52は、外径の異なる上下2段の円盤を重ねた形状としており、上段の円盤を下段の円盤よりも小さな外径として、この外側にベアリング53を配設している。このように、2段構造の偏芯カラー52は、図11に示すようにヨーイングケース54をチャックホルダー37に接触させることなく配設できる。
【0052】
ヨーイングケース54は、偏芯カラー52の外周に沿って、偏芯カラー52の外側に配設されたケーシングである。ヨーイングケース54は、偏芯カラー52に対して回転できるように、ベアリング53を介して偏芯カラー52の外側に配設している。さらに、ヨーイングケース54は、外周面の一部に駆動部材55を連結する連結片58を設けており、この連結片58に連結された駆動部材55を介して掻き取り部2に連結されている。このヨーイングケース54は、内側に配設された偏芯カラー52に対して空転する。したがって、ヨーイングケース54は、図16と図17に示すように、駆動ロッド6に対して偏心して回転する偏芯カラー52によって、駆動ロッド6に対して偏心して円運動する。このように、回転することなく円運動するヨーイングケース54は、図の鎖線で示すように連結片58の連結点である点Pを円運動させて、連結片58の位置を前後方向に移動させる。すなわち、ヨーイングケース54は、円運動によって前後方向に駆動されて駆動部材55を往復運動させる。図16は、偏芯カラー52がヨーイングケース54を前方位置とする状態を、図17は、偏芯カラー52がヨーイングケース54を後方位置とする状態をそれぞれ示している。ただし、これらの図において、左側を装置の前方、右側を装置の後方としている。
【0053】
駆動部材55は、ヨーイングケース54と掻き取り部2との間に配設されており、前後方向に運動するヨーイングケース54に駆動されて、掻き取り部2を前後方向に往復運動させる。駆動部材55は、一端をヨーイングケース54の連結片58に、他端を掻取バー20の中間に設けた連結片59にそれぞれ連結している。掻き取り部2の連結片59は、掻き取り部2の下端連結部29と上下台22の先端連結部36との連結点である回動軸49から上方に離れた位置に連結している。図に示す駆動部材55は、ヨーイングケース54と掻き取り部2との間に張設された線材である。この線材には、たとえばワイヤーが使用できる。線材である駆動部材55は、線材を弛ませることによって、前方位置で傾斜姿勢にある掻き取り部2の向きを簡単に変更できる特長がある。このため、掻き取り部2の先端の掻取刃21を容易に種菌瓶10の開口部から内部に出し入れできる。ただ、駆動部材には、ロッドも使用できる。ロッドである駆動部材は、スリット等を設けることによって、前方位置で傾斜姿勢にある掻き取り部の向きを変更できる。
【0054】
以上の構造の揺動部50は、往復運動機構51で掻き取り部2を前後方向に往復運動させて、掻取刃21を種菌瓶10の内部で半径方向に揺動する。掻取刃21の揺動幅は、駆動部材55と掻き取り部2の連結位置と、往復運動機構51のストローク幅とで決定される。掻き取り部2は、回動軸49を中心として回動するので、駆動部材55と掻取バー20との連結位置を回動軸49に近づけるほど、テコの原理によって掻取刃21の揺動幅が大きくなる。さらに、往復運動機構51の前後方向のストローク幅は、偏芯カラー52の偏心距離(d)の2倍となる。したがって、揺動部50は、これらのことを考慮して、駆動部材55と掻き取り部2の連結位置と、偏芯カラー52の偏心距離(d)を決定する。揺動部50は、たとえば、掻取刃21が種菌瓶10の中心から内面まで移動して種菌瓶の種菌面の全面にわたってむらなく接触できる揺動幅とすることができる。揺動部50は、たとえば、種菌瓶10の半径を100mm、掻取刃21の幅を36mmとするとき、揺動幅を5〜20mm、好ましくは、12〜16mmとすることができる。さらに、揺動部の揺動幅は、種菌瓶の半径と掻取刃の幅に応じて適宜に変更できるのは言うまでもない。
【0055】
さらに、以上のように駆動ロッド6の回転を利用して掻き取り部2を揺動させる揺動部50は、製造コストを低減できる特長がある。ただ、揺動部は、上記以外の構造、たとえばシリンダー等の往復運動する機構を使用して掻き取り部を揺動させることもできる。
【0056】
以上のように、掻き取り部2の揺動部50を備える種菌接種装置は、種菌瓶10に収納された種菌の種菌面に掻取刃21をむらなく接触させて、理想的に種菌を掻き取りできる特長がある。とくに、幅の狭い掻取刃を使用して、種菌面に均一に接触できる特長がある。ただ、本発明の種菌接種装置は、必ずしも揺動部を備える必要はない。たとえば、掻取刃の幅が種菌瓶の半径とほぼ等しく、あるいはやや大きい掻き取り部は、揺動させることなく掻取刃を種菌面の全面に接触できる。
【0057】
受け部5は、掻き取り部2によって種菌瓶10から掻き出された種菌を受け取る。したがって、受け部5は、保持部1に保持された種菌瓶10の開口部の下方に位置して配設される。図2、図3及び図5に示す受け部5には、ホッパー60を使用している。ホッパー60である受け部5は、上端を広く開口すると共に、下端を次第に細くするテーパー状に成形している。このように、上端を広く開口している受け部5は、掻き取られて落下する種菌が辺りに散乱するのを有効に防止しながら種菌を収集できる特長がある。図に示す受け部5は、ホッパー60の下端に開閉蓋62を設けている。この受け部5は、この開閉蓋62を開くことによって、受け部5に集められた種菌を排出する。ただ、受け部は、必ずしも開閉蓋を備える必要はなく、ホッパーで受け取った種菌をそのまま下端の開口部から落下させることもできる。
【0058】
さらに、受け部5は、図18に示すように、傾斜姿勢で配設される掻き取り部2の掻取バー20を貫通させるスリット61を開口している。このスリット61は、上述した揺動部50で前後方向に揺動させる掻取バー20をスムーズに案内できるように上下方向に延長して開口している。さらに、図3と図5の受け部5は、種菌瓶10から落下する種菌がこのスリット61からホッパー60の外部へこぼれ落ちるのを防止するために、鎖線で示す案内プレート63を配設している。この案内プレート63は、上下方向に開口されたスリット(図示せず)を有し、このスリットの上端縁を掻取バー20の上面に当接する状態で配設している。この案内プレート63は、掻取バー20の上面に沿って落下する種菌をこの部分で落下させて、ホッパー60の外部に落下するのを有効に防止する。
【0059】
さらに、図に示す種菌接種装置は、正面の側部に殺菌灯64を備える。この殺菌灯64は、たとえば、紫外線を照射して掻き取り部2や受け部5に付着する雑菌を死滅させる。このように、殺菌灯64を備える種菌接種装置は、菌床瓶や菌床袋に雑菌が混入されるのを有効に防止しながら接種作業できる特長がある。
【0060】
以上の実施例の種菌接種装置は、以下のようにして種菌瓶に収納された種菌を掻き取って接種する。
(1) 種菌瓶10を保持部1に装着する。種菌瓶10は、図2〜図6に示すように、開口部を下方に向けた倒立した姿勢で保持部1に装着される。
(2) 掻き取り部2の掻取刃21を種菌瓶10の開口部に挿入する。
(3) 回転部3で種菌瓶10を回転させると共に、掻き取り部移動部4で掻き取り部2を一定速度で上昇させる。
このとき、ネジ保持部8はチャック30を閉じた状態に保持されており、チャック30と駆動ロッド6のネジとが係合する噛み合い状態であって、回転する駆動ロッド6に沿って上昇して掻き取り部2を上昇させる。
(4) 一定速度で上昇する掻き取り部2は、掻取刃21の先端が種菌瓶10内に収納された種菌の種菌面に均一に接触し、種菌を細かい顆粒状あるいは粒子状、粉状に掻き取る。掻き取られた種菌は、種菌瓶10の開口部から落下し、下方に配設された受け部5に受け取られる。
(5) 受け部5に所定量の種菌が落下すると、回転部3あるいは掻き取り部移動部4を停止して、種菌を掻き取るのを一時停止する。この操作は、たとえば、リミットスイッチ(図示せず)を介して制御することができる。このリミットスイッチは、モーター23を所定時間駆動させて、掻き取り部2が所定量の種菌を掻き取ると、タイムアップしてモーター23を停止する。
(6) 受け部5に落下した種菌を菌床瓶または菌床袋に接種する。
(7) その後、(3)〜(6)の作業を繰り返して、種菌瓶10に収納された全ての種菌を掻き取って接種する。
(8) 種菌が掻き取られた種菌瓶10を交換する。このとき、掻き取り部移動部4のネジ解放部9でネジ保持部8と駆動ロッド6のネジの係合を解除する。ネジ解放部9は、チャック30を開いた状態として、チャック30と駆動ロッド6のネジとを非噛み合い状態とする。非噛み合い状態となったネジ保持部8は、自重で落下して掻き取り部2を下降させる。掻き取り部2は、落下するネジ保持部8によって、速やかに種菌瓶10から抜き取られる。
(9) 掻き取り部2が抜き取られた種菌瓶10を保持部1から取り外す。
【0061】
【発明の効果】
本発明の種菌接種装置は、極めて簡単な構造として低コストに製造できると共に、掻き取り部の進入量を正確に制御して種菌の掻き取り量を一定に制御できる優れた特長がある。それは、本発明の種菌接種装置が、開口部を下方に開口する姿勢で保持される種菌瓶に挿入されて、種菌瓶内の種菌を掻き取る掻き取り部を、独特の構造の掻き取り部移動部で種菌瓶の開口部から挿入しているからである。この掻き取り部移動部は、一定のピッチでネジを設けた駆動ロッドと、駆動ロッドのネジと係合する噛み合い状態で駆動ロッドの回転によってネジに沿って上昇するネジ保持部とを備え、駆動ロッド回転部で駆動ロッドを回転させてネジ保持部を上昇させて掻き取り部を上昇させている。このように、ネジを使った方式では、ネジの回転によって、押圧力を一定としながら極めて正確に掻き取り部の進入量を制御して種菌の掻き取り量を一定に制御できる。
【0062】
このことは、種菌瓶からの種菌の掻き出しにおいて極めて重要である。従来のようにカムなどを使用すると、ある一点では急激に掻き取り部が種菌瓶に押し込まれ、同様に急激に引き込まれる。このような往復動作では、掻き取り棒の進行方向が変化する際に掻き取り棒の突出部が種菌にひっかかり、塊状に種菌が削ぎ落とされやすくなる。他の部分では顆粒状に種菌を掻き取ることができても、このような塊状の種菌が混入すると、種菌が不均一となり、品質が悪くなる。特に、種菌は菌床との接触面でのみ着床するため、塊状の種菌は一部のみが着床し、種菌の仕様効率は悪くなる。また、掻き取り棒を急激に突き出すと種菌が塊状で押し上げられるため、種菌が部分的に圧縮されて密度も不均一となる。さらに、掻き取り部を急激に突き刺すことで種菌が損傷するという問題もある。
【0063】
このような問題点に対し、本発明は種菌面を掻き取りながら一定の速度で徐々に内部に向かって進行する構成としている。この構成では掻き取り部はゆっくりと徐々に挿入されるため、一定のペースで確実に掻き取りを行って均一な粒子状の種菌を掻き出すことができる。また、往復運動を生じないため、塊状に掻き出すこともない。さらに、掻き取り棒を種菌に急激に突き刺すこともなく、種菌を破損することもない。このように、本発明によれば、掻き出された種菌のばらつきを抑えて、均一な掻き出しを可能にすると共に、掻き出された種菌は細かな粒子状であるため、菌床に投入する際の着床率を向上させることができる。いいかえると、少ない種菌量でも効果的に着床させることができ、種菌瓶当たりの着床可能な菌床瓶数を多くして生産効率を向上できる特長が実現できる。
【0064】
さらに、本発明の種菌接種装置は、種菌瓶に挿入された掻き取り部を素早く引き出して種菌瓶の交換にかかる時間を短縮できる特長もある。それは、掻き取り部移動部がネジ解放部を備え、このネジ解放部でネジ保持部を解放してネジの係合を解除する非噛み合い状態としてネジ保持部を下降させているからである。このように、非噛み合い状態で下降するネジ保持部は、自重で落下するので、極めて短時間で下降して掻き取り部を速やかに抜き取りできる。したがって、種菌瓶の内部の奥深くまで挿入された掻き取り部であっても速やかに抜き取ることができ、種菌瓶の交換にかかる時間を短縮できる。とくに、種菌瓶から掻出刃を引き出す時間は、種菌瓶の交換作業には無関係な無駄な時間であるため、この時間を短縮できることは種菌瓶の交換にかかる時間の短縮には極めて有効である。このように、種菌瓶の交換時間を短縮できる種菌接種装置は、接種作業を能率よく行って生産効率を向上できる特長が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の種菌接種装置の掻き取り棒の上昇機構の一例を示す斜視図
【図2】本発明の一実施例にかかる種菌接種装置の正面図
【図3】図2に示す種菌接種装置の内部構造を示す断面図
【図4】図3に示す種菌接種装置を矢印Aで示す方向から見た平面図
【図5】図3に示す種菌接種装置の掻き取り部移動部を示す側面図
【図6】図3に示す種菌接種装置の保持部を示す拡大断面図
【図7】図3に示す種菌接種装置の掻き取り部を示す拡大側面図
【図8】図7に示す掻き取り部の上端部を示す正面図
【図9】図7に示す掻き取り部の上端部を示す斜視図
【図10】図3に示す種菌接種装置の掻き取り部移動部を矢印Bで示す方向から見た背面図
【図11】図5に示す掻き取り部移動部のネジ保持部周辺を示す拡大側面図
【図12】図11に示すネジ保持部の噛み合い状態を示す拡大断面図
【図13】図10に示す掻き取り部移動部のA−A線断面図であって、ネジ保持部の噛み合い状態を示す図
【図14】図13に示すネジ保持部の非噛み合い状態を示す図
【図15】揺動部の往復運動機構を示す断面図
【図16】図15に示す往復運動機構の平面図
【図17】図16に示す往復運動機構の偏芯カラーが180度回転した状態を示す平面図
【図18】図3に示す受け部のホッパーを示す平面図
【符号の説明】
1…保持部
2…掻き取り部
3…回転部
4…掻き取り部移動部
5…受け部
6…駆動ロッド 6A…突出部
6a…雄ネジ 6b…キー溝
7…駆動ロッド回転部
8…ネジ保持部
9…ネジ解放部
10…種菌瓶 10A…開口筒部 10B…胴体部
11…保持テーブル
12…ホルダー部
13…中心穴
14…弾性押圧部 14A…先端押圧部
15…固定リング 15A…リング部 15B…連結アーム部
16…支持プレート 16A…貫通穴
17…ベアリング
18…本体フレーム 18A…駆動開口部 18B…スリット
19…補強フレーム
20…掻取バー
21…掻取刃
22…上下台 22A…貫通孔 22B…貫通部
23…モーター 23A…回転軸
24…駆動プーリー 24A…第1プーリー 24B…第2プーリー
25…駆動ベルト
26…軸受け
27…昇降プーリー
28…駆動ベルト
29…下端連結部
30…チャック 30a…雌ネジ
31…噛み合い凹部
32…開閉軸
33…突出部
34…ガイドロッド
35…ガイド筒
36…先端連結部
37…チャックホルダー 37A…通し穴
38…開閉アーム
39…開閉バー
40…駆動機構 40A…閉機構 40B…開機構
41…スライドガイド
42…弾性体
43…駆動バー
44…ガイドプレート 44A…係止ストッパ
45…係止部
46…ソレノイド
47…落下支持バネ
48…ショックアブソーバー 48A…支持部
49…回動軸
50…揺動部
51…往復運動機構
52…偏芯カラー 52A…偏心穴
52a…長径部
53…ベアリング
54…ヨーイングケース
55…駆動部材
56…キー
57…ストッパ 57A…起立部 57B…水平部
58…連結片
59…連結片
60…ホッパー
61…スリット
62…開閉蓋
63…案内プレート
64…殺菌灯
65…押圧バネ
66…固定アーム
90…上昇機構
91…円盤
92…カム
93…ローラ
94…掻き取り棒
【発明の属する技術分野】
本発明は、シイタケやキノコ等の菌床茸の人工栽培等に使用される種菌接種装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シイタケ、キノコ等の菌床茸の人工栽培には、種菌と培地が使用されている。殺菌された培地に種菌を蒔くと、種菌が培地から拡大成長し、菌塊を形成することで茸が育成される。種菌は、雑木等のおがくずに栄養体としてフスマ、コメヌカ等を混合しておき、その中で菌床茸の種菌を拡大培養させたものである。種菌は一般に円筒形プラスチック容器等の種菌瓶に収納されている。菌床瓶は、口径が100φ、高さ230mm程度のものが多く、この中で種菌は少し粘性のあるカステラ状の状態で収納される。この種菌を培地に蒔いて着床させる作業を接種という。接種作業は、以前は手作業で種菌を種菌瓶から掻き出し、培地である菌床に蒔いていたが、近年では接種機を使って自動的に種菌瓶から一定量の種菌を掻き出し、菌床を収納した菌床瓶や菌床袋に投入することが行われている。
【0003】
種菌瓶に収納された種菌を掻き出して菌床瓶に接種する装置として、例えば、特許文献1ないし3に記載される接種装置が開発されている。これらの装置は、種菌が入った種菌瓶を開口端が下方を向くように倒立して支持し、この倒立された種菌瓶に掻出刃を進入させ、種菌を所要量ずつ掻き出して下方に落下させて、これをホッパーやシュータを介して下方に配置された菌床瓶に供給している。これらの接種装置は、種菌瓶に収納された種菌を掻出刃で掻き出すために、倒立させた種菌瓶を回転させると共に、掻出刃を回転させつつ開口端から挿入しており、掻出刃の先端を種菌瓶内の固体状の種菌に接触させて種菌を掻き取って下方に落下させている。
【0004】
【特許文献1】
特公平3−76885号公報
【特許文献2】
特開平5−328843号公報
【特許文献3】
特開平10−178889号公報
【0005】
しかしながら、以上の接種装置では、種菌の掻き出し量を正確に制御し、効率よい接種を実現することができない。それは、種菌瓶に収納された粘性のある種菌を細かい粒子状に掻き取ることが難しいからである。種菌が菌床上に落下すると、種菌の内菌床と接触する面のみで着床が起こる。したがって、接種作業においては、種菌と菌床との接触面積ができるだけ大きくなるように、いいかえると、種菌の表面積が大きくなるようにすると効率よい着床が実現できる。そのためには、種菌をできるだけ細かい顆粒状あるいは粒子状、粉状に掻き取ることが好ましい。掻き取られる種菌を細かくして着床の効率を上げることができれば、必要な種菌の量を少なくできる。すなわち、掻き取りの際に塊状の種菌が発生しないように、種菌を細かく、かつ一定量で掻き出すことが望ましい。
【0006】
種菌瓶内の種菌をできるだけ細かい粒子状あるいは粉状に掻き取るためには、掻出刃を徐々に上昇させて種菌瓶に進入させる必要がある。このことを実現するために、従来の接種装置では、図1に示す上昇機構90を採用している。この図に示す上昇機構90は、回転する円盤91上に突起条であるカム92を設けて、このカム92でローラ93を押し上げ、この運動を利用して掻き取り棒94を押し上げている。カム92で押し上げられたローラ93は、これに連結された掻き取り棒94を上方向に押し上げる。これにより、掻き取り棒94は上昇し、先端に設けた掻出刃(図示せず)を上方、すなわち倒立して保持される種菌瓶の奥方向へ移動させることができる。一旦上昇された掻き取り棒94は下降するが、デテント式の移動止め機構(図示せず)によって元の位置まで下降する前に降下を止められる。デテント式機構は、ラチェットのようなつめを用いて逆方向への移動を阻止する。これによって掻き取り棒は上昇と下降を繰り返しながら、徐々に押し上げられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この上昇機構によって、段階的に掻き取り棒を種菌瓶に挿入する方式では、種菌を掻くための上昇動作が大きくなり、掻き取られた種菌が塊状になりやすいという問題がある。突起条であるカムにより突き上げるように掻き取り棒を押し上げるため、掻出刃の移動量が瞬間的に大きくなり、その際に種菌が塊状となって掻き取られるという問題が発生する。すなわち、種菌面を掻出刃で突き刺しまわっている状態であり、粘性のある種菌は塊状になり易い。また掻き取り棒が降下する際にも掻出刃の移動が大きく、同様に塊状の種菌が発生しやすい。また、この方式では、掻き取り位置が上下するため掻き取り面がジグザグになり、掻き取り量が一定しない。その結果、塊状の種菌が多く混入され、種菌の大きさが不均一となって効率のよい着床ができない。したがって、菌床瓶に若干多めに種菌を投入する必要が生じ、ロスが発生していた。また、塊状の種菌は種菌瓶に詰まり易く、詰まった場合はその都度手で叩いて除去する必要が生じる。さらに、塊状の種菌は降下される際に周囲に跳ね易くなるので、掻き取られた種菌が周囲にこぼれ易いという問題もあった。このように、従来の方法では種菌のロスが多く、より効率のよい接種が望まれていた。
【0008】
本発明者は、空気圧あるいは油圧式で掻き取り棒の進入を制御する方式も研究した。しかしながら、空気圧で掻き取り棒の送り出し量を制御しようとすれば空気は圧縮するため、押圧力が一定とならず、掻出刃の掻き取り量も不均一となる。その結果、同一の送り量で制御しようとしても進入度が変化し、掻き取り量が一定しないことが判明した。また、油圧式で送り出し量を制御する方式は、正確な制御が可能である反面、コスト高となる問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものである。本発明の第1の目的は、極めて簡単な構造として低コストに製造できると共に、掻き取り部の進入量を正確に制御して種菌の掻き取り量を一定に制御できる種菌接種装置を提供することにある。
【0010】
さらに、従来の接種装置では、種菌瓶を交換するのに時間がかかる欠点があった。それは、従来の接種装置では、種菌瓶に挿入された掻出刃を短時間で引き出すことができないからである。収納された種菌を全て接種した種菌瓶は新しい種菌瓶に交換されるが、接種が終わった種菌瓶は内部の奥深くまで掻出刃が挿入されているため、この掻出刃を種菌瓶から引き出すのに長い時間がかかっている。種菌瓶は、掻出刃を引き出した後、新しいものに交換される。したがって、種菌瓶から掻出刃を引き出す時間は、交換作業には無関係な無駄な時間となり、この時間のロスが種菌瓶の交換にかかる時間が長くさせていた。このように、種菌瓶を短時間で交換できない従来の接種装置は、接種作業を能率よく行うことができず、生産効率が低下してしまう欠点があった。
【0011】
本発明の第2の目的は、このような問題点を解決すること、すなわち、種菌瓶に挿入された掻き取り部を素早く引き出して種菌瓶の交換にかかる時間を短縮でき、接種作業を能率よく行って生産効率を向上できる種菌接種装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の種菌接種装置は、種菌瓶10の開口部を下方に開口する姿勢で種菌瓶10を保持するための保持部1と、この保持部1で保持された種菌瓶10の開口部に挿入し、種菌瓶10の内部で種菌を掻き取るための掻き取り部2と、この掻き取り部2を種菌瓶10に挿入した状態で掻き取り部2と種菌瓶10とを相対的に回転運動させるための回転部3と、この掻き取り部2を種菌瓶10の開口部から挿入、引き出しするように掻き取り部2を抜き差し移動させる掻き取り部移動部4と、掻き取り部2で掻き取られて落下する種菌を受け取る受け部5とを備える。この種菌接種装置では、掻き取り部移動部4は、一定のピッチでネジを設けた駆動ロッド6と、この駆動ロッド6を回転させる駆動ロッド回転部7と、駆動ロッド6のネジと係合する噛み合い状態で駆動ロッド6の回転によってネジに沿って上昇して掻き取り部2を上昇させるネジ保持部8と、このネジ保持部8を解放してネジの係合を解除する非噛み合い状態とするネジ解放部9とを備える。掻き取り部移動部4は、ネジ保持部8が駆動ロッド6に噛み合う状態において、掻き取り部2を一定速度で種菌瓶10に挿入する方向に移動させて、掻き取り部2で種菌瓶10の内部の種菌を掻き取る。さらに、掻き取り部移動部4は、掻き取り部2を種菌瓶10から抜き取る際には、ネジ解放部9を解放してネジ保持部8と駆動ロッド6とを非噛み合い状態として、ネジ保持部8を下降させる。
【0013】
本発明の種菌接種装置は、掻き取り部2を種菌瓶10の開口部の半径方向に揺動させる揺動部50を備えることができる。この構造の種菌接種装置は、掻き取り部2の先端を均一に種菌面に接触させて、広範囲にわたってむらなく種菌を掻き取ることができる。
【0014】
さらに、本発明の種菌接種装置は、掻き取り部2を回転させず、保持部1を回転させることができる。さらに、本発明の種菌接種装置は、回転部3と、掻き取り部移動部4の駆動ロッド回転部7とに、1台のモーター23を併用することができる。この種菌接種装置は、製造コストを低減できる特長がある。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための種菌接種装置を例示するものであって、本発明は、種菌接種装置を以下のものに特定しない。
【0016】
また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに、以下の説明において、同一の名称、符号については、同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を随時省略する。
【0017】
本発明の種菌接種装置は、種菌瓶に充填された菌類の種菌を掻き取って、菌床を収納した菌床瓶や菌床袋に接種する装置である。本発明の種菌接種装置は、とくに、粘性のある状態に培養された種菌を、種菌瓶からできるだけ細かい顆粒状あるいは粒子状、粉状に掻き取ると共に、種菌瓶の交換等にかかる時間を短縮して効率よく接種することを特徴としている。したがって、種菌瓶に収納される種菌の種類や状態、及び培養方法等は問わない。すなわち、本発明の種菌接種装置は、種々の種菌の接種に適宜に採用できる。
【0018】
図2ないし図5に示す種菌接種装置は、種菌瓶10の開口部を下方に開口する姿勢で種菌瓶10を保持する保持部1と、この保持部1で保持された種菌瓶10の内部で種菌を掻き取る掻き取り部2と、掻き取り部2を種菌瓶10に挿入した状態で掻き取り部2と種菌瓶10とを相対的に回転運動させる回転部3と、掻き取り部2を種菌瓶10の開口部から挿入、引き出しするように移動させる掻き取り部移動部4と、掻き取り部2で掻き取られて落下する種菌を受け取る受け部5とを備える。
【0019】
種菌瓶10は、菌類の種菌が収納された容器である。種菌瓶10はプラスチック製の容器で、円筒状に成形されている。この種菌瓶10には、好ましくは広口瓶を使用する。図6の拡大断面図に示す種菌瓶10は、胴体部10Bに対して開口筒部10Aをやや絞った形状の広口瓶を使用している。ただ、広口瓶には、図示しないが、開口筒部と胴体部の内径がほぼ等しいものを使用することもできる。種菌瓶10には、培養された菌類の種菌が、おがくずや栄養体等と共に収納されている。種菌瓶10に充填される種菌には、たとえば、シイタケ等の菌床キノコ全般に使用できる。
【0020】
保持部1は、種菌瓶10を所定の位置に所定の姿勢で保持する。図に示す保持部1は、種菌接種装置の正面の上部に、種菌瓶10の開口部を下方に開口する倒立した姿勢で保持している。この保持部1は、種菌瓶10の開口筒部10Aを連結して、開口部を下方に向ける姿勢で保持する保持テーブル11と、種菌瓶10の胴体部10Bを脱着自在に保持するホルダー部12とを備える。
【0021】
保持テーブル11は、円形の金属盤で、図6に示すように、種菌瓶10の開口筒部10Aを挿入して保持する中心穴13を中央部に開口している。この中心穴13は、種菌瓶10の開口筒部10Aを挿入できるが、種菌瓶10の胴体部分10Bを挿入できないように、種菌瓶10の開口筒部10Aの外形とほぼ等しく、あるいはやや大きくしている。この保持テーブル11は、中心穴13の開口部の上部をテーパー状にカットしており、このテーパー部で種菌瓶10の開口筒部10A周縁の肩部を支持して種菌瓶10を落下させることなく支持する。図示しないが、中心穴は、その内周面に、種菌瓶の開口筒部の外周に設けた雄ネジに係合する雌ネジを設けて、種菌瓶を中心穴にねじ込んで連結することもできる。さらに、保持テーブルは、図示しないが、中心穴の下部に開口筒部を支持する開口端支持部を設けて、種菌瓶を落下しないように支持することもできる。この開口端支持部は、たとえば、中心穴の下端縁に設けた保持溝や、中心穴の下端から内側に突出する凸部とすることができる。この保持テーブルは、たとえば、開口筒部と胴体部の内径がほぼ等しく、開口筒部を絞っていない種菌瓶であっても落下させることなく支持できる。
【0022】
ホルダー部12は、保持部1に装着される種菌瓶10を脱着自在に保持する。図6に示すホルダー部12は、種菌瓶10の胴体部10Bの側面を弾性的に押圧する弾性押圧部14と、この弾性押圧部14を保持テーブル11に連結する固定連結具15とを備える。図のホルダー部12は、複数の弾性押圧部14を備え、これらの弾性押圧部14を固定連結具15を介して保持テーブル11の上方に配設している。弾性押圧部14は、倒立した姿勢で装着された種菌瓶10の胴体部10Bの側面を弾性的に押圧して、種菌瓶10を保持部1に一体的に連結する。図に示す弾性押圧部14は、弾性変形する金属板である。弾性金属板である弾性押圧部14は、種菌瓶10の高さ方向に延長される姿勢で、種菌瓶10の外周に沿って配設されている。ただ、弾性押圧部には、コイルスプリングやゴム状弾性体、あるいはこれらの弾性体と金属板を組み合わせたものも使用できる。
【0023】
固定連結具15は、下端を保持テーブル11に垂直に固定している複数の連結アーム部15Bと、この連結アーム部15Bの上端を連結しているリング部15Aとを備える。複数の連結アーム部15Bは、等間隔に配設されており、上端部にそれぞれ弾性押圧部14を固定している。弾性金属板である弾性押圧部14は、中央部を連結アーム部15Bの上端部の内面に固定している。ただ、弾性押圧部は、リング部の内面に固定することもできる。弾性押圧部14は、種菌瓶10の高さ方向のほぼ中央部に位置して連結アーム部15Bに固定されている。さらに、弾性押圧部14は、両端部を種菌瓶10の側面に接近する方向に折曲または湾曲しており、両端部に設けた先端押圧部14Aで種菌瓶10の側面を押圧している。さらに、弾性押圧部14は、先端押圧部14Aよりも先端側を種菌瓶の側面から離れる方向に湾曲または折曲して、種菌瓶10を着脱しやすくしている。図示しないが、種菌瓶は、外周面に、弾性押圧部の先端押圧部を嵌着する嵌入凹部や嵌着凸部を設けて、より確実に弾性押圧部で保持することができる。
【0024】
以上のように、ホルダー部12を備える保持部1は、種菌瓶10を確実に所定の姿勢で保持できる特長がある、とくに、弾性押圧部14で種菌瓶10の胴体部10Bの側面を押圧して保持するホルダー部12は、種菌瓶10の底面側をフリーな状態にできるので、簡単かつ容易に、しかも短時間で、倒立した姿勢の種菌瓶10を着脱できる特長がある。ただ、ホルダー部は、保持アーム以外の構造で種菌瓶を保持することもできる。たとえば、ホルダー部は、種菌瓶を挿入する筒部と、この筒部に挿入された種菌瓶の底部を押圧する押圧部材とで構成することもできる。押圧部材には、筒体の上端開口部を閉塞する蓋体や、伸縮自在なゴムバンド等が使用できる。この構造のホルダー部も、押圧部材で種菌瓶の底部を押圧して種菌瓶を確実に保持できる。
【0025】
さらに、図3に示す保持部1は、種菌瓶10を鉛直方向から傾斜する姿勢で保持している。このように、種菌瓶10を傾斜する姿勢で保持する種菌接種装置は、掻き取り部2で掻き取られて落下する種菌が受け部5の外にこぼれるのを有効に防止できる特長がある。それは、詳細には後述するが、掻き取り部2を通過させるために受け部5と本体フレーム18に設けたスリット61、18Bを種菌瓶10の真下に位置させることなく配置できるからである。さらに、傾斜される種菌瓶10は、開口部の水平投影面積が小さくなるので、このことも落下する種菌が広い範囲に落下するのを防止している。種菌瓶10を傾斜する角度は、例えば、水平面に対して45〜90度、好ましくは、50〜75度とすることができる。図に示す保持部1は、水平面に対して約60度傾斜する姿勢で種菌瓶10を保持している。
【0026】
保持部1は、支持プレート16を介して本体フレーム18に連結している。図3に示す支持プレート16は、その上面に配設される保持部1で種菌瓶10を傾斜姿勢で保持するために、本体フレーム18に傾斜した姿勢で連結している。図の支持プレート16は、本体フレーム18の駆動開口部18Aを貫通する状態で配設されており、本体フレーム18から外側に突出する部分の上面に種菌瓶10を保持する保持部1を設けている。さらに、支持プレート16は、本体フレーム18の内部において、両側の本体フレーム18を連結してなる補強フレーム19に固定している。支持プレート16は、保持テーブル11に開口した中心穴13と対向する位置に貫通穴16Aを開口しており、種菌瓶10から落下する種菌をここに通過できるようにしている。さらに、支持プレート16は、この貫通穴16Aの周縁部において、ベアリング17を介して保持部1の保持テーブル11を回転できるように連結している。
【0027】
掻き取り部2は、種菌瓶10の内部に挿入されて種菌瓶10に収納された種菌を掻き取る部材である。掻き取り部2は、図3と図7に示すように、保持部1で保持される種菌瓶10の略軸方向に延長された掻取バー20と、この掻取バー20の上端に設けられた掻取刃21とを備える。掻取バー20は、図3に示すように、下端を本体フレーム18の内部に位置させて、上端の掻取刃21を本体フレーム18の外側に配設された種菌瓶10の開口部に位置させている。掻取バー20は、本体フレーム18の前面に設けたスリット18Bを貫通する状態で配設されている。掻取バー20は、その下端部を、後述する掻き取り部移動部4によって上下動する上下台22に連結している。この掻取バー20は、上下台22を介して上下方向に移動されて、先端の掻取刃21を種菌瓶10に出し入れする方向に移動させる。
【0028】
掻取刃21は、種菌瓶10に収納された種菌に接触して種菌を掻き取る。掻取刃21は、種菌を効率よく掻き取りできる形状に成形される。図7ないし図9に示す掻取刃21は、金属刃で、先端縁の形状を鋸刃状とすると共に、先端に向かって次第に薄くなる形状としている。この掻取刃21は、図8に示すように、掻取バー20の先端に傾斜する姿勢で固定されている。掻取刃21は、種菌と対向する方向に傾斜させている。すなわち、図8において、矢印Aで示す方向から種菌が接触するように傾斜させている。図に示すように、傾斜して配設される掻取刃21は、先端の刃縁を種菌面にスムーズに接触させて、種菌を効率よく掻き出しできる特長がある。ただ、掻き取り部は、掻取刃の形状と配置を以上に特定しない。すなわち、掻取刃は、種菌を効率よく掻き出しできる他の全ての形状とすることができ、また掻取バーに対して水平ないし垂直に固定することもできる。また、掻取刃は、掻取バーに脱着できる構造として、種菌瓶に収納された種菌の種類や状態に応じて適宜変更することもできる。
【0029】
回転部3は、掻き取り部2を種菌瓶10に挿入した状態で、掻き取り部2と種菌瓶10とを相対的に回転運動させる。図2ないし図5に示す回転部3は、掻き取り部2を回転させることなく、種菌瓶10を装着した保持部1を回転させる構造としている。この回転部3は、モーター23と、このモーター23の回転軸23Aに固定されて、モーター23で回転される駆動プーリー24と、この駆動プーリー24に駆動されて保持部1の保持テーブル11を回転させる駆動ベルト25とを備える。モーター23は、その回転軸23Aが種菌瓶10の回転軸mと平行になるように配設している。図の保持部1は、種菌瓶10を傾斜する姿勢で保持するので、モーター23も傾斜する姿勢で配設している。回転部3は、モーター23で回転される駆動プーリー24で駆動ベルト25を駆動し、この駆動ベルト25で保持テーブル11を回転させる。保持テーブル11は、図6に示すように、回転できるようにリング状のベアリング17を介して支持プレート16に連結している。この保持テーブル11は、外周面に駆動ベルト25を掛けており、この駆動ベルト25で駆動されて回転する。駆動ベルト25は、支持プレート16と平行な面内を駆動するように張設している。回転部3は、モーター23の回転数と、駆動プーリー24の外径と保持テーブル11の外径の比とで種菌瓶10の回転数を調整する。回転部3は、種菌瓶10の回転数を、75〜200rpm、好ましくは、100〜150rpm、最適には120rpmとなるように調整する。
【0030】
以上の回転部3は、掻き取り部2を回転させることなく、種菌瓶10のみを回転させている。ただ、回転部は、種菌瓶を回転させることなく、掻き取り部のみを回転させることも、種菌瓶と掻き取り部の両方を回転させることもできる。掻き取り部を回転させる回転部は、たとえば、掻取バーを回転できるように支持すると共に、この掻取バーをモーターで回転させる構造として実現できる。
【0031】
掻き取り部移動部4は、一定のピッチでネジを設けた駆動ロッド6と、駆動ロッド6を回転させる駆動ロッド回転部7と、この駆動ロッド6で上昇されて掻き取り部2を上昇させるネジ保持部8と、ネジ保持部8を解放して駆動ロッド6のネジとの係合を解除するネジ解放部9とを備える。
【0032】
駆動ロッド6は、外周面に一定のピッチで雄ネジ6aを設けたネジ棒である。この駆動ロッド6は、保持部1に保持される種菌瓶10の回転軸mと平行に、すなわち図において傾斜する姿勢で配設している。駆動ロッド6は、上端部と下端部とを軸受け26を介して、回転できるように上下の補強フレーム19に連結している。駆動ロッド6の上端は、軸受け26から上方に突出しており、この突出部6Aに駆動ロッド6を回転駆動するための昇降プーリー27を固定している。
【0033】
駆動ロッド回転部7は、駆動ロッド6を回転させる。図3、図4及び図10に示す駆動ロッド6は、モーター23と、このモーター23の回転軸23Aに固定された駆動プーリー24と、駆動ロッド6の先端に固定された昇降プーリー27と、駆動プーリー24と昇降プーリー27とに張設された駆動ベルト28とを備える。図に示す駆動ロッド回転部7のモーター23は、回転部3のモーター23を併用している。回転部3のモーター23を駆動ロッド回転部7に併用する構造は、製造コストを低減できる特長がある。
【0034】
回転部3と駆動ロッド回転部7とにひとつのモーターを併用する構造は、駆動プーリー24、保持テーブル11及び昇降プーリー27の外径の比を調整して保持テーブル11と駆動ロッド6の回転数を調整できる。図の駆動プーリー24は、外形の異なる2つのプーリーを上下2段に積層してなる異径プーリーを使用している。この駆動プーリー24は、下段の第1プーリー24Aと保持テーブル11との間に駆動ベルト25を張設しており、上段の第2プーリー24Bと昇降プーリー27との間に駆動ベルト28を張設している。図の駆動プーリー24は、上段の第2プーリー24Bの外径(R2)を下段の第1プーリー24Aの外径(R1)よりも小さくしている。さらに、駆動ロッド回転部7は、昇降プーリー27の外径(RS)を第2プーリー24Bの外径(R2)よりも大きくして、モーター23の回転数に対する駆動ロッド6の回転数を小さくしている。これに対して、回転部3は、第1プーリー24Aの外径(R1)と保持テーブル11の外径(Rh)をほぼ等しくして、モーター23の回転数と保持テーブル11の回転数をほぼ等しくしている。すなわち、駆動ロッド6の回転数が、種菌瓶10の回転数に対して小さくなるようにしている。このように、駆動ロッド6の回転数を小さく調整する構造は、後述するネジ保持部8の上昇速度を小さくし、掻き取り部2を種菌瓶10に挿入する速度を小さくできる特長がある。図の装置は、RS:R2=4:1、Rh:R1=1:1として、駆動ロッド6の回転数を、種菌瓶10の回転数の1/4に減速している。ただ、種菌瓶の回転数に対する駆動ロッドの回転数の比率は、1/10〜1/2、好ましくは、1/5〜1/3とすることができる。
【0035】
掻き取り部2が上昇する速度は、駆動ロッド6に設ける雄ネジ6aのピッチと駆動ロッド6の回転数とで決定される。駆動ロッド6は、ネジ山のピッチを小さくすると掻き取り部2の上昇速度が遅くなり、大きくすると掻き取り部2の上昇速度が速くなる。また、駆動ロッド6は、回転数を大きくすると掻き取り部2の上昇速度が速くなり、回転数を小さくすると掻き取り部2の上昇速度が遅くなる。本発明の種菌接種装置は、掻き取り部2が種菌瓶10に収納された種菌をより小さな粒状に掻き取ることを特長としている。したがって、掻き取り部2の上昇速度を遅くして、掻き取り部2が種菌を掻き取る量を少なくし、小さな粒状に分離できる。ただ、掻き取り部2の上昇速度を遅くすると、種菌を掻き取るのにかかる時間が長くなる。したがって、掻き取り部移動部4は、これらのことを考慮して、掻き取り部2の上昇速度が、最適となるように駆動ロッド6に設けた雄ネジ6aのピッチと、駆動ロッド6の回転数とを調整する。掻き取り部移動部4は、掻き取り部2の上昇速度が、1〜3mm/秒、好ましくは、1.8〜2.2mm/秒となるように調整される。
【0036】
以上の種菌接種装置は、回転部のモーターを駆動ロッド回転部に併用している。ただ、本発明の種菌接種装置は、図示しないが、回転部のモーターと駆動ロッド回転部のモーターとを別々に設けることもできる。この構造は、回転部のモーターと駆動ロッド回転部のモーターとを個別に制御して、種菌瓶と駆動ロッドをそれぞれ最適な回転数で回転できる。さらに、以上の実施例の回転部3と駆動ロッド回転部7は、プーリーとベルトを介して種菌瓶10と駆動ロッド6を回転させているが、回転部と駆動ロッド回転部は、その他の機構、たとえば、複数の歯車を組み合わせて、あるいはギアでチェーンを駆動して種菌瓶と駆動ロッドを回転させることもできる。
【0037】
ネジ保持部8は、図11ないし図14に示すように、駆動ロッド6の回転によってネジに沿って上昇するチャック30を備える。このチャック30は、駆動ロッド6を両側から挟着できるように2分割されている。2分割されたチャック30は、対向面に、駆動ロッド6を案内する噛み合い凹部31を設けており、この噛み合い凹部31の内面に、駆動ロッド6の雄ネジ6aと係合する雌ネジ30aを設けている。一対のチャック30は、開閉軸32を介して開閉できるように連結されており、それぞれのチャック30に連結された開閉アーム38で駆動されて開閉される。開閉されるチャック30は、図11ないし図13に示す閉じられた状態、すなわち駆動ロッド6を両側から挟着する状態では、噛み合い凹部31の内面に設けた雌ネジ30aが駆動ロッド6の雄ネジ6aに係合する噛み合い状態となり、駆動ロッド6の回転によってネジに沿って上昇する。図14に示すようにチャック30が開かれると、雄ネジ6aとの係合が解除された非噛み合い状態となって、ネジ保持部8の上昇が停止される。
【0038】
一対のチャック30は、図11ないし図14に示すように、チャックホルダー37と開閉軸32を介して上下台22の上面に連結されている。チャックホルダー37は、金属板を組み合わせてコ字状に成形したもので、対向する2枚の金属板の間に一対のチャック30を開閉できるように配設している。チャックホルダー37は、対向する2枚の金属板に、駆動ロッド6を貫通させる通し穴37Aを開口している。この通し穴37Aは、駆動ロッド6の外径よりも大きく開口している。さらに、2枚の金属板の先端部には、一対のチャック30を貫通する開閉軸32を挿通している。この開閉軸32は、一対のチャック30の積層部分を貫通する状態でチャックホルダー37に挿通している。チャックホルダー37は、底面を上下台22に固定しており、一対のチャック30を上下台22に一体的に連結している。この上下台22は、チャック30が噛み合い状態となって上昇するとき、チャック30に引き上げられて駆動ロッド6に沿って上昇し、チャック30が解放されて非噛み合い状態となると、駆動ロッド6に沿って自重で落下する。上下台22は、中央部分に駆動ロッド6を貫通させる貫通孔22Aを開口している。この貫通孔22Aは、上下台22をスムーズに上下動できるように、駆動ロッド6の外径よりも大きく開口している。上下台22とチャックホルダー37は、貫通孔22Aと通し穴37Aとが互いに対向するように固定されており、ここを貫通する駆動ロッド6の両側に一対のチャック30が位置するようにしている。
【0039】
さらに、図10と図13に示すように、上下台22は、駆動ロッド6に沿ってスムーズに上下方向に平行移動できるように、駆動ロッド6の両側に配設してなる2本のガイドロッド34を介して補強フレーム19に連結している。上下台22は、両側部に貫通部22Bを設けると共に、この貫通部22Bにガイド筒35を固定しており、このガイド筒35に挿通したガイドロッド34に沿って上下に移動できるようにしている。さらに、上下台22は、前方に突出する先端連結部36に、掻き取り部2の下端部に連結した下端連結部29を連結している。
【0040】
ネジ解放部9は、ネジ保持部8のチャック30を開いて、チャック30の雌ネジと駆動ロッド6の雄ネジ6aとの係合を解除してこれらを非噛み合い状態とする。ネジ解放部9は、一対のチャック30を開閉する一対の開閉アーム38と、これらの開閉アーム38を駆動する開閉バー39と、この開閉バー39を駆動する駆動機構40とを備える。
【0041】
一対の開閉アーム38は、一対のチャック30にそれぞれ連結している。一対のチャック30は、チャック30の開閉方向であって、互いに反対方向に突出してなる突出部33を備え、これらの突出部33に各開閉アーム38の一端を回動できるように連結している。それぞれの開閉アーム38の他端は、開閉バー39の一端に回動できるように連結している。一対の開閉アーム38は、図11に示すように、上下に離れて互いに平行に配設されている。一対の開閉アーム38は、開閉バー39に駆動されて一対のチャック30を開閉する。図13で示すように、開閉バー39が矢印Aで示す方向に移動すると、一対の開閉アーム38は、各チャック30の突出部33を押して一対のチャック30を閉じる方向に回動させる。逆に、図14に示すように、開閉バー39が矢印Bで示す方向に移動すると、開閉アーム38がチャック30の突出部33を引いて一対のチャック30を開く方向に回動させる。
【0042】
開閉バー39は、一対の開閉アーム38をチャック30の方向に押したり引いたりする方向に往復運動できるように配設される。開閉バー39は、この向きに往復運動できるように、スライドガイド41を介して上下台22の上面に固定されている。開閉バー39は、駆動機構40で駆動されて、チャック30を開く開位置と、チャック30を閉じる閉位置とに往復運動される。
【0043】
駆動機構40は、開閉バー39を閉位置に移動させる閉機構40Aと、開閉バー39を開位置に移動させる開機構40Bとを備える。図に示す閉機構40Aは、開閉バー39を閉位置に付勢する弾性体42を備える。図に示す弾性体42はコイルスプリングで、2本のコイルスプリングを開閉バー39の両側に配設している。このコイルスプリングは引きバネである。図の開閉バー39は、開閉アーム38が連結された一端とは反対側の端部に、開閉バー39を垂直に貫通する駆動バー43を連結しており、この駆動バー43の両端に引きバネであるコイルスプリングの一端を連結している。弾性体42は、この駆動バー43をチャック30の方向に引っ張って開閉バー39を閉位置とする。さらに、駆動バー43は、両端部であって弾性体42との連結部よりも内側に一対のガイドプレート44を連結している。これらのガイドプレート44は、チャック30から離れる方向に延長されると共に、先端部を両側に折曲して係止ストッパ44Aとしている。この閉機構40Aは、ガイドプレート44の係止ストッパ44Aをソレノイド46に固定している係止部45の垂直面に当接させて、開閉バー39の移動を所定の位置で停止させる。
【0044】
開機構40Bは、開閉バー39を開位置に移動させるソレノイド46を備える。ソレノイド46は、通電状態において磁力を発生し、磁力で開閉バー39を吸引して開位置に移動させる。したがって、開閉バー43は、ソレノイド46に吸引されるように、磁性金属で製作され、あるいは先端に磁石を設ける。ソレノイド46は、弾性体42の付勢力に逆らって開閉バー39を吸引できるように、開閉バー43を吸引する磁力が弾性体42の付勢力よりも大きくなるように調整している。このようにソレノイド46で開閉バー39を吸引する構造は、電気的な制御によって極めて簡単に開閉バー39を駆動できる。
【0045】
以上の構造の駆動機構40は、ソレノイド46に通電しないOFF状態では、弾性体42が開閉バー43をチャック30の方向に引っ張って閉位置とし、チャック30を閉じた状態に保持する。ソレノイド46に通電してON状態とすると、ソレノイド46が開閉バー43をチャック30から離す方向に引っ張って開位置とし、チャック30を開いた状態に保持する。この構造の駆動機構40は、通常は弾性体42で開閉バー39を閉位置としてチャック30を閉じた状態に保持し、チャックを開くときにのみソレノイド46に通電して開閉バー39を開位置にできる。したがって、極めて理想的にチャック30の開閉を制御できる。ただ、駆動機構は、閉機構をソレノイドとして開機構を弾性体とすることも、開機構と閉機構の両方をソレノイドとすることもできる。さらに、駆動機構は、ソレノイドを使用することなく、その他の機構、たとえば、シリンダーやモーター等を使用してチャックを開閉することもできる。
【0046】
以上のように、掻き取り部移動部4は、ネジ保持部8のチャック30が駆動ロッド6のネジと噛み合う噛み合い状態では、回転する駆動ロッド6のネジに沿って上昇するチャック30が上下台22を上昇させて、掻き取り部2を一定速度で種菌瓶10に挿入する方向に移動させる。さらに、掻き取り部移動部4は、ネジ解放部9のチャック30と駆動ロッド6のネジの係合が解除されて非噛み合い状態となると、上下台22を自重で落下させる。落下する上下台22は、極めて短時間で降下位置に達する。このため、上昇位置にある掻き取り部2を短時間で降下位置まで降下させて、掻取刃21を種菌瓶10から引き抜くことができる。
【0047】
さらに、図3に示す種菌接種装置は、落下する上下台22にはたらく衝撃を緩衝するために、落下支持バネ47とショックアブソーバー48を備えている。落下支持バネ47は、駆動ロッド6と平行に配設されており、上端を上側の補強フレーム19に、下端を上下台22に連結している。この落下支持バネ47は引きバネで、落下する上下台22を上方に引っ張って落下の衝撃を少なくする。さらに、ショックアブソーバー48は、落下する上下台22の下面に衝突して支持する支持部48Aを上方に向ける姿勢で、下側の補強フレーム19に固定している。ショックアブソーバー48は、支持部48Aにはたらく上下台22の落下のエネルギーを吸収して衝撃を少なくする。
【0048】
さらに、種菌接種装置は、図3と図5に示すように、種菌瓶10に挿入されて種菌を掻き取る掻き取り部2を揺動させる揺動部50を備える。揺動部50は、種菌瓶10の開口部の半径方向であって、図の装置において前後方向に掻き取り部2を揺動させる。この揺動部50は、掻き取り部2を前後方向に往復運動させる往復運動機構51を備える。図に示す掻き取り部2は、掻取バー20の下端部に固定した下端連結部29の先端を、上下台22の先端連結部36に垂直面内で回動できるように回動軸49を介して連結している。さらに、掻き取り部2は、掻取バー20の中間を往復運動機構51に連結しており、往復運動機構51で前後方向に駆動されて往復運動される。正確には、掻き取り部2は、図3と図5に示すように、前方に傾斜する姿勢で配設されると共に、この姿勢を保持するように押圧バネ65で付勢されているので、往復運動機構51が掻き取り部2を前方位置とするときには自重とバネの押圧力で前方に傾斜し、往復運動機構51が掻き取り部2を後方位置とするときには掻取バー20が後方に引っ張られて往復運動する。押圧バネ65は、掻き取り部2の下端連結部29の下面に固定した固定アーム66の先端に配置されている。この固定アーム66は、下端連結部29の先端から上下台22の方向に突出しており、この突出部の先端に押圧バネ65を連結している。押圧バネ65は、固定アーム66の突出部を上下台22の先端連結部36に向かって押圧しており、掻き取り部2を、回動軸49を中心として回動させて前方位置に傾斜させる。
【0049】
往復運動機構51は、掻き取り部2を下端の回動軸49を中心として前後方向に回動し、掻き取り部2の先端の掻取刃21を種菌瓶10の内部で半径方向に揺動させる。図に示す往復運動機構51は、駆動ロッド6で駆動される回転運動を往復運動に変換して掻き取り部2を前後方向に往復運動させる。この往復運動機構51は、図15ないし図17に示すように、駆動ロッド6で回転される偏芯カラー52と、この偏芯カラー52の外側に、ベアリング53を介して配設されるヨーイングケース54と、このヨーイングケース54と掻き取り部2との間に配設される駆動部材55とを備える。
【0050】
偏芯カラー52は、平面形状を円形としている。円形の偏芯カラー52は、外形の中心から偏心して偏心穴52Aを開口しており、この偏心穴52Aに駆動ロッド6を挿通している。この偏心穴52Aは、駆動ロッド6の雄ネジ6aに関係なく上下に移動できるように、駆動ロッド6の外径よりも大きな内径としている。この偏芯カラー52は、キー56とキー溝6bを介して駆動ロッド6で回転される。駆動ロッド6は、図5と図15に示すように、外周面に、軸方向に延長して一列のキー溝6bを設けている。偏心カラー52は、駆動ロッド6に設けたキー溝6bに挿入されるキー56を、偏心穴52Aの内面に突出して配設している。このキー56は、キー溝6bに沿って駆動ロッド6の軸方向に移動できるように、キー溝6bよりも多少は幅を狭くしている。
【0051】
偏芯カラー52は、図11に示すように、上下台22に固定されたチャックホルダー37の上方に配設されており、掻き取り部移動部4で上昇される上下台22に押し上げられて上昇する。さらに、この偏芯カラー52の上面には、チャックホルダー37に固定されたストッパ57を配設しており、上下台22が落下するときには、ストッパ57で偏芯カラー52を降下させるようにしている。このストッパ57は、L字状に折曲されており、起立部57Aの下端をチャックホルダー37に固定すると共に、水平部57Bをヨーイングケース54の上方に位置させて、この水平部57Bでヨーイングケース54を引っ張って偏芯カラー52を降下させる。以上の構造の偏芯カラー52は、駆動ロッド6で駆動されて回転すると共に、上下台22と一緒に駆動ロッド6に沿って上下に移動する。図15に示す偏芯カラー52は、外径の異なる上下2段の円盤を重ねた形状としており、上段の円盤を下段の円盤よりも小さな外径として、この外側にベアリング53を配設している。このように、2段構造の偏芯カラー52は、図11に示すようにヨーイングケース54をチャックホルダー37に接触させることなく配設できる。
【0052】
ヨーイングケース54は、偏芯カラー52の外周に沿って、偏芯カラー52の外側に配設されたケーシングである。ヨーイングケース54は、偏芯カラー52に対して回転できるように、ベアリング53を介して偏芯カラー52の外側に配設している。さらに、ヨーイングケース54は、外周面の一部に駆動部材55を連結する連結片58を設けており、この連結片58に連結された駆動部材55を介して掻き取り部2に連結されている。このヨーイングケース54は、内側に配設された偏芯カラー52に対して空転する。したがって、ヨーイングケース54は、図16と図17に示すように、駆動ロッド6に対して偏心して回転する偏芯カラー52によって、駆動ロッド6に対して偏心して円運動する。このように、回転することなく円運動するヨーイングケース54は、図の鎖線で示すように連結片58の連結点である点Pを円運動させて、連結片58の位置を前後方向に移動させる。すなわち、ヨーイングケース54は、円運動によって前後方向に駆動されて駆動部材55を往復運動させる。図16は、偏芯カラー52がヨーイングケース54を前方位置とする状態を、図17は、偏芯カラー52がヨーイングケース54を後方位置とする状態をそれぞれ示している。ただし、これらの図において、左側を装置の前方、右側を装置の後方としている。
【0053】
駆動部材55は、ヨーイングケース54と掻き取り部2との間に配設されており、前後方向に運動するヨーイングケース54に駆動されて、掻き取り部2を前後方向に往復運動させる。駆動部材55は、一端をヨーイングケース54の連結片58に、他端を掻取バー20の中間に設けた連結片59にそれぞれ連結している。掻き取り部2の連結片59は、掻き取り部2の下端連結部29と上下台22の先端連結部36との連結点である回動軸49から上方に離れた位置に連結している。図に示す駆動部材55は、ヨーイングケース54と掻き取り部2との間に張設された線材である。この線材には、たとえばワイヤーが使用できる。線材である駆動部材55は、線材を弛ませることによって、前方位置で傾斜姿勢にある掻き取り部2の向きを簡単に変更できる特長がある。このため、掻き取り部2の先端の掻取刃21を容易に種菌瓶10の開口部から内部に出し入れできる。ただ、駆動部材には、ロッドも使用できる。ロッドである駆動部材は、スリット等を設けることによって、前方位置で傾斜姿勢にある掻き取り部の向きを変更できる。
【0054】
以上の構造の揺動部50は、往復運動機構51で掻き取り部2を前後方向に往復運動させて、掻取刃21を種菌瓶10の内部で半径方向に揺動する。掻取刃21の揺動幅は、駆動部材55と掻き取り部2の連結位置と、往復運動機構51のストローク幅とで決定される。掻き取り部2は、回動軸49を中心として回動するので、駆動部材55と掻取バー20との連結位置を回動軸49に近づけるほど、テコの原理によって掻取刃21の揺動幅が大きくなる。さらに、往復運動機構51の前後方向のストローク幅は、偏芯カラー52の偏心距離(d)の2倍となる。したがって、揺動部50は、これらのことを考慮して、駆動部材55と掻き取り部2の連結位置と、偏芯カラー52の偏心距離(d)を決定する。揺動部50は、たとえば、掻取刃21が種菌瓶10の中心から内面まで移動して種菌瓶の種菌面の全面にわたってむらなく接触できる揺動幅とすることができる。揺動部50は、たとえば、種菌瓶10の半径を100mm、掻取刃21の幅を36mmとするとき、揺動幅を5〜20mm、好ましくは、12〜16mmとすることができる。さらに、揺動部の揺動幅は、種菌瓶の半径と掻取刃の幅に応じて適宜に変更できるのは言うまでもない。
【0055】
さらに、以上のように駆動ロッド6の回転を利用して掻き取り部2を揺動させる揺動部50は、製造コストを低減できる特長がある。ただ、揺動部は、上記以外の構造、たとえばシリンダー等の往復運動する機構を使用して掻き取り部を揺動させることもできる。
【0056】
以上のように、掻き取り部2の揺動部50を備える種菌接種装置は、種菌瓶10に収納された種菌の種菌面に掻取刃21をむらなく接触させて、理想的に種菌を掻き取りできる特長がある。とくに、幅の狭い掻取刃を使用して、種菌面に均一に接触できる特長がある。ただ、本発明の種菌接種装置は、必ずしも揺動部を備える必要はない。たとえば、掻取刃の幅が種菌瓶の半径とほぼ等しく、あるいはやや大きい掻き取り部は、揺動させることなく掻取刃を種菌面の全面に接触できる。
【0057】
受け部5は、掻き取り部2によって種菌瓶10から掻き出された種菌を受け取る。したがって、受け部5は、保持部1に保持された種菌瓶10の開口部の下方に位置して配設される。図2、図3及び図5に示す受け部5には、ホッパー60を使用している。ホッパー60である受け部5は、上端を広く開口すると共に、下端を次第に細くするテーパー状に成形している。このように、上端を広く開口している受け部5は、掻き取られて落下する種菌が辺りに散乱するのを有効に防止しながら種菌を収集できる特長がある。図に示す受け部5は、ホッパー60の下端に開閉蓋62を設けている。この受け部5は、この開閉蓋62を開くことによって、受け部5に集められた種菌を排出する。ただ、受け部は、必ずしも開閉蓋を備える必要はなく、ホッパーで受け取った種菌をそのまま下端の開口部から落下させることもできる。
【0058】
さらに、受け部5は、図18に示すように、傾斜姿勢で配設される掻き取り部2の掻取バー20を貫通させるスリット61を開口している。このスリット61は、上述した揺動部50で前後方向に揺動させる掻取バー20をスムーズに案内できるように上下方向に延長して開口している。さらに、図3と図5の受け部5は、種菌瓶10から落下する種菌がこのスリット61からホッパー60の外部へこぼれ落ちるのを防止するために、鎖線で示す案内プレート63を配設している。この案内プレート63は、上下方向に開口されたスリット(図示せず)を有し、このスリットの上端縁を掻取バー20の上面に当接する状態で配設している。この案内プレート63は、掻取バー20の上面に沿って落下する種菌をこの部分で落下させて、ホッパー60の外部に落下するのを有効に防止する。
【0059】
さらに、図に示す種菌接種装置は、正面の側部に殺菌灯64を備える。この殺菌灯64は、たとえば、紫外線を照射して掻き取り部2や受け部5に付着する雑菌を死滅させる。このように、殺菌灯64を備える種菌接種装置は、菌床瓶や菌床袋に雑菌が混入されるのを有効に防止しながら接種作業できる特長がある。
【0060】
以上の実施例の種菌接種装置は、以下のようにして種菌瓶に収納された種菌を掻き取って接種する。
(1) 種菌瓶10を保持部1に装着する。種菌瓶10は、図2〜図6に示すように、開口部を下方に向けた倒立した姿勢で保持部1に装着される。
(2) 掻き取り部2の掻取刃21を種菌瓶10の開口部に挿入する。
(3) 回転部3で種菌瓶10を回転させると共に、掻き取り部移動部4で掻き取り部2を一定速度で上昇させる。
このとき、ネジ保持部8はチャック30を閉じた状態に保持されており、チャック30と駆動ロッド6のネジとが係合する噛み合い状態であって、回転する駆動ロッド6に沿って上昇して掻き取り部2を上昇させる。
(4) 一定速度で上昇する掻き取り部2は、掻取刃21の先端が種菌瓶10内に収納された種菌の種菌面に均一に接触し、種菌を細かい顆粒状あるいは粒子状、粉状に掻き取る。掻き取られた種菌は、種菌瓶10の開口部から落下し、下方に配設された受け部5に受け取られる。
(5) 受け部5に所定量の種菌が落下すると、回転部3あるいは掻き取り部移動部4を停止して、種菌を掻き取るのを一時停止する。この操作は、たとえば、リミットスイッチ(図示せず)を介して制御することができる。このリミットスイッチは、モーター23を所定時間駆動させて、掻き取り部2が所定量の種菌を掻き取ると、タイムアップしてモーター23を停止する。
(6) 受け部5に落下した種菌を菌床瓶または菌床袋に接種する。
(7) その後、(3)〜(6)の作業を繰り返して、種菌瓶10に収納された全ての種菌を掻き取って接種する。
(8) 種菌が掻き取られた種菌瓶10を交換する。このとき、掻き取り部移動部4のネジ解放部9でネジ保持部8と駆動ロッド6のネジの係合を解除する。ネジ解放部9は、チャック30を開いた状態として、チャック30と駆動ロッド6のネジとを非噛み合い状態とする。非噛み合い状態となったネジ保持部8は、自重で落下して掻き取り部2を下降させる。掻き取り部2は、落下するネジ保持部8によって、速やかに種菌瓶10から抜き取られる。
(9) 掻き取り部2が抜き取られた種菌瓶10を保持部1から取り外す。
【0061】
【発明の効果】
本発明の種菌接種装置は、極めて簡単な構造として低コストに製造できると共に、掻き取り部の進入量を正確に制御して種菌の掻き取り量を一定に制御できる優れた特長がある。それは、本発明の種菌接種装置が、開口部を下方に開口する姿勢で保持される種菌瓶に挿入されて、種菌瓶内の種菌を掻き取る掻き取り部を、独特の構造の掻き取り部移動部で種菌瓶の開口部から挿入しているからである。この掻き取り部移動部は、一定のピッチでネジを設けた駆動ロッドと、駆動ロッドのネジと係合する噛み合い状態で駆動ロッドの回転によってネジに沿って上昇するネジ保持部とを備え、駆動ロッド回転部で駆動ロッドを回転させてネジ保持部を上昇させて掻き取り部を上昇させている。このように、ネジを使った方式では、ネジの回転によって、押圧力を一定としながら極めて正確に掻き取り部の進入量を制御して種菌の掻き取り量を一定に制御できる。
【0062】
このことは、種菌瓶からの種菌の掻き出しにおいて極めて重要である。従来のようにカムなどを使用すると、ある一点では急激に掻き取り部が種菌瓶に押し込まれ、同様に急激に引き込まれる。このような往復動作では、掻き取り棒の進行方向が変化する際に掻き取り棒の突出部が種菌にひっかかり、塊状に種菌が削ぎ落とされやすくなる。他の部分では顆粒状に種菌を掻き取ることができても、このような塊状の種菌が混入すると、種菌が不均一となり、品質が悪くなる。特に、種菌は菌床との接触面でのみ着床するため、塊状の種菌は一部のみが着床し、種菌の仕様効率は悪くなる。また、掻き取り棒を急激に突き出すと種菌が塊状で押し上げられるため、種菌が部分的に圧縮されて密度も不均一となる。さらに、掻き取り部を急激に突き刺すことで種菌が損傷するという問題もある。
【0063】
このような問題点に対し、本発明は種菌面を掻き取りながら一定の速度で徐々に内部に向かって進行する構成としている。この構成では掻き取り部はゆっくりと徐々に挿入されるため、一定のペースで確実に掻き取りを行って均一な粒子状の種菌を掻き出すことができる。また、往復運動を生じないため、塊状に掻き出すこともない。さらに、掻き取り棒を種菌に急激に突き刺すこともなく、種菌を破損することもない。このように、本発明によれば、掻き出された種菌のばらつきを抑えて、均一な掻き出しを可能にすると共に、掻き出された種菌は細かな粒子状であるため、菌床に投入する際の着床率を向上させることができる。いいかえると、少ない種菌量でも効果的に着床させることができ、種菌瓶当たりの着床可能な菌床瓶数を多くして生産効率を向上できる特長が実現できる。
【0064】
さらに、本発明の種菌接種装置は、種菌瓶に挿入された掻き取り部を素早く引き出して種菌瓶の交換にかかる時間を短縮できる特長もある。それは、掻き取り部移動部がネジ解放部を備え、このネジ解放部でネジ保持部を解放してネジの係合を解除する非噛み合い状態としてネジ保持部を下降させているからである。このように、非噛み合い状態で下降するネジ保持部は、自重で落下するので、極めて短時間で下降して掻き取り部を速やかに抜き取りできる。したがって、種菌瓶の内部の奥深くまで挿入された掻き取り部であっても速やかに抜き取ることができ、種菌瓶の交換にかかる時間を短縮できる。とくに、種菌瓶から掻出刃を引き出す時間は、種菌瓶の交換作業には無関係な無駄な時間であるため、この時間を短縮できることは種菌瓶の交換にかかる時間の短縮には極めて有効である。このように、種菌瓶の交換時間を短縮できる種菌接種装置は、接種作業を能率よく行って生産効率を向上できる特長が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の種菌接種装置の掻き取り棒の上昇機構の一例を示す斜視図
【図2】本発明の一実施例にかかる種菌接種装置の正面図
【図3】図2に示す種菌接種装置の内部構造を示す断面図
【図4】図3に示す種菌接種装置を矢印Aで示す方向から見た平面図
【図5】図3に示す種菌接種装置の掻き取り部移動部を示す側面図
【図6】図3に示す種菌接種装置の保持部を示す拡大断面図
【図7】図3に示す種菌接種装置の掻き取り部を示す拡大側面図
【図8】図7に示す掻き取り部の上端部を示す正面図
【図9】図7に示す掻き取り部の上端部を示す斜視図
【図10】図3に示す種菌接種装置の掻き取り部移動部を矢印Bで示す方向から見た背面図
【図11】図5に示す掻き取り部移動部のネジ保持部周辺を示す拡大側面図
【図12】図11に示すネジ保持部の噛み合い状態を示す拡大断面図
【図13】図10に示す掻き取り部移動部のA−A線断面図であって、ネジ保持部の噛み合い状態を示す図
【図14】図13に示すネジ保持部の非噛み合い状態を示す図
【図15】揺動部の往復運動機構を示す断面図
【図16】図15に示す往復運動機構の平面図
【図17】図16に示す往復運動機構の偏芯カラーが180度回転した状態を示す平面図
【図18】図3に示す受け部のホッパーを示す平面図
【符号の説明】
1…保持部
2…掻き取り部
3…回転部
4…掻き取り部移動部
5…受け部
6…駆動ロッド 6A…突出部
6a…雄ネジ 6b…キー溝
7…駆動ロッド回転部
8…ネジ保持部
9…ネジ解放部
10…種菌瓶 10A…開口筒部 10B…胴体部
11…保持テーブル
12…ホルダー部
13…中心穴
14…弾性押圧部 14A…先端押圧部
15…固定リング 15A…リング部 15B…連結アーム部
16…支持プレート 16A…貫通穴
17…ベアリング
18…本体フレーム 18A…駆動開口部 18B…スリット
19…補強フレーム
20…掻取バー
21…掻取刃
22…上下台 22A…貫通孔 22B…貫通部
23…モーター 23A…回転軸
24…駆動プーリー 24A…第1プーリー 24B…第2プーリー
25…駆動ベルト
26…軸受け
27…昇降プーリー
28…駆動ベルト
29…下端連結部
30…チャック 30a…雌ネジ
31…噛み合い凹部
32…開閉軸
33…突出部
34…ガイドロッド
35…ガイド筒
36…先端連結部
37…チャックホルダー 37A…通し穴
38…開閉アーム
39…開閉バー
40…駆動機構 40A…閉機構 40B…開機構
41…スライドガイド
42…弾性体
43…駆動バー
44…ガイドプレート 44A…係止ストッパ
45…係止部
46…ソレノイド
47…落下支持バネ
48…ショックアブソーバー 48A…支持部
49…回動軸
50…揺動部
51…往復運動機構
52…偏芯カラー 52A…偏心穴
52a…長径部
53…ベアリング
54…ヨーイングケース
55…駆動部材
56…キー
57…ストッパ 57A…起立部 57B…水平部
58…連結片
59…連結片
60…ホッパー
61…スリット
62…開閉蓋
63…案内プレート
64…殺菌灯
65…押圧バネ
66…固定アーム
90…上昇機構
91…円盤
92…カム
93…ローラ
94…掻き取り棒
Claims (4)
- 種菌瓶(10)の開口部を下方に開口する姿勢で種菌瓶(10)を保持するための保持部(1)と、
前記保持部(1)で保持された種菌瓶(10)の開口部に挿入し、種菌瓶(10)の内部で種菌を掻き取るための掻き取り部(2)と、
前記掻き取り部(2)を種菌瓶(10)に挿入した状態で前記掻き取り部(2)と種菌瓶(10)とを相対的に回転運動させるための回転部(3)と、
前記掻き取り部(2)を種菌瓶(10)の開口部から挿入、引き出しするように前記掻き取り部(2)を抜き差し移動させる掻き取り部移動部(4)と、
前記掻き取り部(2)で掻き取られて落下する種菌を受け取る受け部(5)と、
を備える種菌接種装置であって、
前記掻き取り部移動部(4)は、一定のピッチでネジを設けた駆動ロッド(6)と、前記駆動ロッド(6)を回転させる駆動ロッド回転部(7)と、前記駆動ロッド(6)のネジと係合する噛み合い状態で前記駆動ロッド(6)の回転によってネジに沿って上昇して前記掻き取り部(2)を上昇させるネジ保持部(8)と、前記ネジ保持部(8)を解放してネジの係合を解除する非噛み合い状態とするネジ解放部(9)と、
を備え、
前記掻き取り部移動部(4)が前記掻き取り部(2)を一定速度で種菌瓶(10)に挿入する方向に移動させて、掻き取り部(2)で種菌瓶(10)の内部の種菌を掻き取ると共に、種菌瓶(10)から抜き取る際は、前記ネジ解放部(9)を解放してネジの係合を解除し、前記ネジ保持部(8)を下降させるように構成してなることを特徴とする種菌接種装置。 - 前記掻き取り部(2)を種菌瓶(10)の開口部の半径方向に揺動させる揺動部(50)を備えることを特徴とする請求項1に記載される種菌接種装置。
- 前記回転部(3)が、前記掻き取り部(2)を回転させず、前記保持部(1)を回転させることを特徴とする請求項1に記載される種菌接種装置。
- 前記回転部(3)と、前記掻き取り部移動部(4)の駆動ロッド回転部(7)とに1台のモーター(23)を併用することを特徴とする請求項1に記載される種菌接種装置。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP2003034347A JP2004242544A (ja) | 2003-02-12 | 2003-02-12 | 種菌接種装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003034347A JP2004242544A (ja) | 2003-02-12 | 2003-02-12 | 種菌接種装置 |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
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ID=33020063
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- 2003-02-12 JP JP2003034347A patent/JP2004242544A/ja not_active Ceased
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