JP2004242582A - 研削材粒子の投射による種子の発芽改善方法及び発芽改善種子 - Google Patents
研削材粒子の投射による種子の発芽改善方法及び発芽改善種子 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004242582A JP2004242582A JP2003035785A JP2003035785A JP2004242582A JP 2004242582 A JP2004242582 A JP 2004242582A JP 2003035785 A JP2003035785 A JP 2003035785A JP 2003035785 A JP2003035785 A JP 2003035785A JP 2004242582 A JP2004242582 A JP 2004242582A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- germination
- seeds
- seed
- abrasive particles
- treatment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Pretreatment Of Seeds And Plants (AREA)
Abstract
【課題】植物種子の種皮や果皮に存在する物理的、化学的、生理的な原因に起因する発芽の問題(未発芽、発芽遅延、発芽の不揃い、発芽異常など)を解決して種子の発芽を改善するための処理方法において、種子発芽に対するダメージがなく、均一な処理を施すことができ、作業環境等の問題がない処理方法を考案し、発芽改善種子を効率的に提供する。
【解決手段】処理対象の種子の種皮または果皮より硬度が大きいかまたは同程度である顆粒状または粉状の研削材粒子を投射して、一団の種子(例えば1リットル分の種子)に衝突させ、この際の衝撃により種皮または果皮の表層部を削り落とす。これにより、種皮や果皮に存在する、種子発芽に悪影響を及ぼす物理的、化学的、生理的な要因を軽減しつつ、種子表面の凹凸形状に左右されない均一な研削を行うことができる。また、研削材粒子の径を、種子の径よりも小さくとることにより、研削材粒子を一団の種子から容易に分離できる。
【選択図】 なし
【解決手段】処理対象の種子の種皮または果皮より硬度が大きいかまたは同程度である顆粒状または粉状の研削材粒子を投射して、一団の種子(例えば1リットル分の種子)に衝突させ、この際の衝撃により種皮または果皮の表層部を削り落とす。これにより、種皮や果皮に存在する、種子発芽に悪影響を及ぼす物理的、化学的、生理的な要因を軽減しつつ、種子表面の凹凸形状に左右されない均一な研削を行うことができる。また、研削材粒子の径を、種子の径よりも小さくとることにより、研削材粒子を一団の種子から容易に分離できる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農園芸生産や緑化などに使用される種子の発芽改善方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
農園芸生産や緑化などに使用される種子には、播種後に、温度や水分などの発芽のための環境条件が好適であっても、不発芽または発芽の不揃いや遅延が見られることがある。すると、作物の減収や収穫期の不揃いや遅延を招く他、得られた作物の生育度や大きさに不揃いが生じ品質が低下する。このため、生産者などにとり経済的に大きな問題となる。また、発芽が遅延すると、種子や幼根が土壌中の病原菌や害虫に侵される危険性も増大し、発芽後に苗立ち枯れ病などによる枯死が生じるおそれも増大する。
【0003】
播種後の温度、水分などの環境が発芽に好適であっても、不発芽や発芽不揃いまたは発芽遅延が生じる大きな原因は、種子内部の胚をとりまく構造にある。種子は、形態的に、胚とそれをとりまくいくつかの構造から成り立つ器官である。種子の外層部を取り囲む種皮(植物種によっては果皮)が、一般に、水分や酸素、二酸化炭素などのガスに対して、ある程度の不透性を示す。そのため、これらの外層が物理的に発芽を阻害、抑制することとなる。また、種子の外層が胚の生長や幼根の伸長を物理的に抑制することも知られている。さらには、種皮や果皮に発芽阻害物質が含まれている場合、これらの外層が発芽を阻害、抑制しやすい(「植物の休眠と発芽」5−8,藤伊 正著、東京大学出版会、1975; ”J. Japan Soc. Hort., Sci.” 53(1), 38−44(1984), Norio SUGANUMA, Hajime OHNO, 園芸学会)。
【0004】
このような不発芽や発芽の遅延などを低減する目的で、従来より、種子に対する種々の処理が試みられていた。このような発芽改善処理としては、▲1▼水に長時間浸漬しておく方法、▲2▼紙ヤスリなど研磨材を内面に貼り付けたドラム中で回転するか、または、砂などの研磨材粒子と種子とを混合してドラム中で回転することにより摩傷する方法、▲3▼湿熱、乾熱などの高温処理や、振盪、高圧、高周波電場、超音波などによる物理的処理、▲4▼有機溶媒、濃硫酸、酵素などによる化学的処理、▲5▼液体窒素などで一次的に凍結させた果皮に圧力を加えて剥皮する方法などが行われてきた(特許文献1〜5,非特許文献1〜4)。
【0005】
これらの処理により、種皮や果皮を水分やガスが透過しやすくなり、発芽が改善される。
【0006】
しかし、高温や高圧、または高周波電場や超音波などを用いる方法では、処理加工条件を種子の種類や状態に応じて正確に設定する必要があり、設定が多少ずれると処理加工の程度が不均一になった。また、条件によっては、発芽力自体を大きく低下させるおそれもあった。さらには、多くの場合、処理加工条件を正確に制御するための特殊な装置を必要とする。
【0007】
一方、有機溶媒や酸などを用いる化学的処理(特許文献3〜5)では、処理条件を種子の種類や状態に応じて的確に設定しなければならないことに加えて、作業中の安全性や作業環境、及び処理後の廃液処理に大きな問題を有する。
【0008】
上記の研磨材を用いて種皮や果皮を摩傷する方法であると、これらの問題点は回避できる。
【0009】
【特許文献1】特許2579822号公報
【0010】
【特許文献2】特開昭64−75045号公報
【0011】
【特許文献3】特開平8−70625号公報
【0012】
【特許文献4】特開平8−70626号公報
【0013】
【特許文献5】特開平5−49309号公報
【0014】
【特許文献6】特開平3−160908号公報
【0015】
【非特許文献1】「農林種子学総論」94−101、中村俊一郎著、養賢堂1985
【0016】
【非特許文献2】”Seed Ecology, Biology and Evolution of Dormancy and Germination, 101−103, 124, Carol C. Baskin and Jerry M. Baskin, ACADEMIC PRESS 1998.
【0017】
【非特許文献3】”Plant Propagation Principles and Practices” 7th edition, 220−226, Hudson T. Hartman, Dale E. Kester , Fred T. Davis Jr. Robert L Geneve, Prentice Hall 2002.
【0018】
【非特許文献4】”Seed Science and Technology” 4th edition, 140−146, Lawrence O. Copeland, Miller B. McDonald, Kluwer Academic Publishers 2001.
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところがドラム回転により摩傷する方法(特許文献2)では、種子の凸部に研削が偏り、凹部があまり研削されず、不均一となる。また、多量の種子を一度に処理することで効率を上げようとすると、かなり大がかりな装置を必要とする他、種子及び研磨材の自重により、種子の胚や胚乳部分が圧迫されて損傷を受けやすい。そのため、かえって、異常発芽や不発芽を招くこともありうる。また、粗研磨粒及び微研磨粒との混合研磨材と、種子とをドラム中で混合して攪拌する種子の皮むき方法(特許文献6)であっても、同様の問題が生じる。
【0020】
本件発明者は、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意研究する中で、種子を研削する全く新しい方法を試みた。すなわち、種子の種皮や果皮より硬度が大きいか、または同程度の粒子を、比較的高速で種子に衝突させるという方法である。
【0021】
この方法では、植物種子が大きさ・比重ともに小さいので、比較的高速で研削材粒子を衝突させる際に生じる風圧や、衝突時の衝撃のために、種子が飛散して逃げる現象が生じてしまい、一見不可能と考えられた。ところが、種子の飛散による逃げを防止しつつ、種子に対して研削材粒子を適度な衝撃で衝突させることで、種子の効率的な研削が可能となった。
【0022】
特には、種子を自由に揺動可能に保持するならば、驚くべきことに、種子の全表面が充分に均等に研削されることを見出した。
【0023】
本発明は、種子の発芽改善方法において、均一な処理を施すことができ、作業環境等の問題がないとともに、処理効率を向上させることができ、かつ、種子に対するダメージを防止することができる方法を提供しようとする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明の発芽改善方法は、種子に、研削材粒子を投射することにより、該種子の種皮または果皮に研削を加えることを特徴とする。
【0025】
すなわち、処理対象の種子の種皮または果皮より硬度が大きいかまたは同程度である小粒子の流れを、一団の種子(例えば1リットル分の種子)に衝突させ、この際の衝撃により種皮または果皮の表層部を削り落とすのである。
【0026】
上記構成により、一団の種子に対して、一定の処理を効率的に施すことができ、種子に対するダメージ等の問題を回避することが可能となる。
【0027】
好ましくは、前記研削材粒子の径が、種子によって異なるものの、種子の径の0.01%〜80%の範囲内にある。すなわち、研削材粒子の径を、種子の径よりもひとまわり小さくとることにより、研削材粒子を一団の種子から容易に分離可能とする。
【0028】
また、好ましくは、種子が、研削加工中、その飛散を防止する保持部材中にて自由に揺動可能に保持され、該保持部材には、種子を保持しつつ研削材粒子を通過させる多数の開口が形成されている。
【0029】
このような構成であると、種子の凹部及び凸部の全面にわたって、充分に均一な研削を行うことができる。また、研削材粒子を種子に投射するとほぼ同時に、研削材粒子が、連続的に種子から分離されていくため、効果的な処理を行うことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の実施のための研削材粒子の投射には、金属表面の粗面化処理に用いられている市販のブラスト加工装置を応用することができるが、このような装置に限定されるわけではない。顆粒状または粉状の研削材粒子を、ある程度の範囲の速度で投射できるのであれば、良い。種子の性質上、吸湿を避けるため、乾式で行うものが好ましい。
【0031】
金属加工に用いられているブラスト(abrasive blasting)加工装置には、ショットブラスト方式とエアーブラスト方式等が挙げられるが、いずれも本発明の実施に用いることができる。ショットブラスト方式とは、例えば高速で回転する羽根ににより、研削材粒子に直接加速度を加えて、処理対象物に連続的に衝突させるものである。一方、エアーブラスト方式とは、圧縮気流により研削剤粒子を飛ばして、処理対象物に吹き付けるものである。これらの方式のブラスト加工装置は、特許第2580745号、特許第2536535号、特許第2549137号、特許第2598234号、特許第2640512号、特許第2648979号、特開平9−66460、特開平10−27794、特開2001−88031、特開2001−212763などに詳述されている。
【0032】
本発明の実施に適した研削材粒子としては、鋳鋼や軟鉄等のスチール、ステンレス鋼、亜鉛、銅などの金属材料からなる金属線断片状、球状、多角形状などのもの、及び、酸化アルミニウム(アルミナ)や炭化ケイ素、ガラスなどの硬質無機材料からなるものの他、ナイロンやポリカーボネートなどの樹脂からなるもの、及び、各種植物材料系のものが挙げられる。植物材料系の研削材粒子には、アプリコット、アンズ、モモなどの種皮やクルミの殻の粉砕物の他、トウモロコシの芯を粉砕したものが含まれる。これらの研削材粒子の他、けい砂、セラミックビーズ、エクセレンシア、スラグ、炭酸カルシウムまたは重曹などからなる粒子を用いることもできる。
【0033】
本発明の発芽改善処理に適した農園芸植物の種子としては、ホウレンソウ、フダンソウ、テンサイなどのアカザ科、アサガオやユウガオなどのヒルガオ科、カンナなどのカンナ科、ゼラニウム、ペラルゴニウムなどのフウロウソウ科、エンドウ、ソラマメ、インゲン、ダイズ、クズ、クロタラリア、ルーピン、ルピナスなどのマメ科、オクラ、トロロアオイ、ハイビスカス、ワタなどのアオイ科、ゲットウなどのショウガ科、シクラメン、プリムラなどのサクラソウ科、バーベナなどのクマツヅラ科、及び、バラやイチゴなどのバラ科のものが挙げられる。これらの植物の種子は、種皮や果皮に起因する発芽不良が生じやすいものであり、本発明の方法により充分に改善することができる。
【0034】
本発明の発芽改善処理に適した農園芸植物の種子としては、また、レタス、サラダナ、シュンギク、ゴボウ、ヒマワリ、ジニア、マリーゴールド、アスターなどのキク科、ニンジン、セルリー、ミツバなどのセリ科、キャベツ、ブロッコリ、ハクサイ、ダイコン、カブなどのアブラナ科、トマト、ナス、ピーマン、トウガラシ、トルバム、アカナス、ペチュニア、タバコなどのナス科、キュウリ、メロン、スイカ、カボチャ、カンピョウなどのウリ科、タマネギ、ネギなどのユリ科、サルビア、シソなどのシソ科、シャクヤクやボタン、デルフィニウムなどのキンポウゲ科、及び、タデ、ソバなどのタデ科、イネ、スイートコーンなどのイネ科のものが挙げられる。これらの植物の種子は、種皮や果皮に、種子伝染性の病害菌が付着しやすいのであるが、本発明の方法によって種皮や果皮を研削することにより、病害の発生を防止または低減することができる。すなわち、付着した病害菌を除去できる他、発芽を迅速かつ均一に行わせることで、病害を充分に抑制することができる。
【0035】
本発明の発芽改善処理に適した農園芸植物の種子として、さらには、種皮に発芽阻害物質が含まれているものが挙げられる。このようなものとしては、上記のレタス、サラダナ、シュンギク、ゴボウ、ヒマワリ、ジニア、マリーゴールド、アスターなどのキク科、及び、ニンジン、セルリー、ミツバなどのセリ科の植物種子の他、ユーストマなどのリンドウ科が挙げられる。
【0036】
本発明の発芽改善処理は、農園芸植物の種子に限らず、自然景観の回復や、緑化事業などに用いられている植物の種子に適用することができる。
【0037】
また、本発明の発芽改善処理によれば、ニンジン、トマト、マリーゴールド、ホウレンソウなどの種子の種皮や果皮から、刺状の突起部分、毛状部分または尾状の部分を除去または低減することにより、種子の形状を整形することができ、このため、播種作業を効率化することができる。
【0038】
さらには、種皮や果皮に包まれている内部の胚や胚乳部の発育が不充分で種子内部に空隙がある場合、このような発芽不良種子に研削材粒子が投射されることで、該空隙が押し潰される。これにより、胚や胚乳部が充分に発育している種子と比べて大きく変形するため、発芽不良種子の選別及び除去が容易になる。
【0039】
本発明の発芽改善処理を加えた後、種子に、プライミング処理または催芽処理をさらに施すことができる。プライミング処理は、例えば、特許3151471号または特許3205896などに記載の方法により行うことができ、催芽処理は、例えば特開平10−257803に記載の方法により行うことができる。
【0040】
また、本発明の発芽改善処理を加えた後、または、さらにプライミング処理などを行ったあとに、被覆造粒、フィルムコーティング、シードテープ加工、及び播種シート加工などを行うことができる。被覆造粒方法としては、特許第2520309号、特開平10−225207または特開平10−225208に記載の方法を用いることができる。また、フィルムコーティング加工としては、特許第1719604号または特開平11−146707に記載の方法を用いることができる。
【0041】
さらには、必要に応じて、本発明の発芽改善処理の後に、苗立ち枯れ病の防除のために、殺菌剤などを塗布する処理を行うこともできる。例えば、「種子伝染性病の生態と防除」(大畑貫一他編、社団法人日本植物防疫協会発行、1999年)に記載の方法により防疫処理を行うことができる。
【0042】
以下、具体的な実施例及び比較例について説明する。
【0043】
<実施例1〜2,比較例1〜2>
種子への研削材粒子の投射に、市販のエアーブラスト方式の金属表面加工装置(厚地鉄工株式会社のBS−2K型)を利用した。但し、金属に比べて比重が格段に小さい植物種子の飛散を防止するため、金属網で種子保持用の籠(かご)を作製し、この中に種子を投入した。この際、植物種子の揺動・攪拌が充分に行われるようにした。
【0044】
用いた金属網の開口径は、種子を保持しつつ、研削材粒子の投射時及び回収時の通過効率をできるだけ損なわないように、種子の粒径よりひとまわり小さく、研削材粒子よりはできるだけ大きく設定した。これにより、投射される研削材粒子が、金網を通過して籠内の種子に衝突した後には、研削材粒子のみが金網によって篩別され、再度、籠外に出るようになる。籠外に出た研削材粒子は、ブラスト加工装置に付属するフィルター装置により回収し、繰り返し用いた。
【0045】
上記の金属籠に、比較的大型(L〜2Lサイズ)のホウレンソウの種子1リットルを収納した。この際、実施例1では、タキイ種苗(株)の「オーライ」品種を、実施例2ではタキイ種苗(株)の「おかめ」品種を用いた。
【0046】
一方、研削材粒子としては、植物種皮系材料からなる、大栄企業(株)の「PSグリット#14−20」を用いた。ここで用いた研削材粒子の粒径は、1〜2mmであって、ホウレンソウ種子の粒径3.5〜5mm前後に対して、およそ20〜57%の範囲にある。
【0047】
また、エアーブラストの際、圧縮空気の圧力を5気圧とし、投射距離を15cmとした。
【0048】
このようにして、15分間処理を行った後、取り出して、目視及び実体顕微鏡による観察を行ったところ、果皮の全体にわたって研削が行われており、へそ(臍)部が開口している個体が処理前に比べて明らかに増加していた。
【0049】
表1〜2には、このようにして得られた発芽改善処理種子(実施例1〜2)と、処理前の同ロットの種子(比較例1〜2)とについて、発芽試験を行った結果を示す。
【0050】
発芽試験は、国際種子検査規定TP法に準じたシャーレでの試験と、育苗床での培土試験とにより行った。いずれの試験も、25℃に設定したグロースチャンバー内で行った。また、培土試験には、200穴のセル成型苗用の育苗トレイ、及び、タキイ種苗(株)の「たねまき培土」を使用した。
【0051】
表1、2に示すように、研削材を投射する研削処理により、発芽勢(%)が顕著に向上し、また、総発芽率(%)及び異常発芽率(「総発芽率」−「正常発芽率」)にも改善が見られた。
【0052】
【表1】エアブラスト処理後のホウレンソウ種子のシャーレ発芽試験
(供試種子数 各400)
【表2】エアブラスト処理後のホウレンソウ種子の培土発芽試験
(供試種子数 各200)
<実施例3,比較例3>
実施例1〜2と同様の装置及び方法により、3倍体スイカの種子(タキイ種苗(株)の「試交No.T173」品種)を処理した。但し、研削材粒子として大栄企業(株)の「PSグリット#40−60」を用いた。ここで用いた研削材粒子の粒径は、約250〜500μmであって、3倍体スイカ種子(扁平卵形)の粒径約6×10mmに対して、およそ2.5〜8%の範囲にある。なお、同系統の小粒子であって、粒径が約1〜3μmと微小なものであっても、条件により、使用が可能であった。
【0053】
上記実施例1〜2と同様の金属籠を用いたが、金属網の開口径は、3倍体スイカ種子を保持しつつ、研削材粒子の投射時及び回収時の通過効率をできるだけ損なわないように、種子の粒径よりひとまわり小さく、研削材粒子よりはできるだけ大きく設定した。また、種子の仕込量は、0.5リットルとした。
【0054】
このようにして、供試種子に研削材粒子を10分間投射した。投射処理後、得られた種子の表面を目視及び実体顕微鏡により観察すると、種子の表層部が凹部及び凸部にわたって均一に研削された。また、へそ(臍)部付近に見られる翼状部も顕著に研削されていることが確認された。
【0055】
表3には、このようにして得られた発芽改善処理種子(実施例3)と、処理前の同ロットの種子(比較例3)とについて、発芽試験を行った結果を示す。発芽試験は、上記実施例1〜2の場合と同一の育苗床での培土試験により行った。但し、約20〜25℃のハウス栽培用のハウス内にて試験を行った。
【0056】
【表3】エアブラスト処理後の3倍体スイカ種子の培土試験
(供試種子数 各200)
<実施例4〜5,比較例4〜7>
種子への研削材粒子の投射に、市販のショットブラスト方式の金属表面加工装置((株)サンポーの「タンブラスターT−50」)を利用した。
【0057】
このショットブラスト装置は、ゴム製のタンブリングベルト(研削材粒子の回収のために多数の孔が分布する)上に被処理物を載せ、研削材粒子を投射する機構を持つ。しかしながら、ショットブラストが施される一般的な被処理物と比較して、植物種子は、比重・大きさともに格段に小さいため、そのままでは使用できなかった。
【0058】
そのため、種子を保持しつつ、研削材粒子の投射時および回収時の通過効率をできるだけ損なわないように、種子の粒径よりひとまわり小さく、研削材粒子よりは、できるだけ大きい開口径の金網で、特製のメッシュドラムを作製した。そして、このメッシュドラムをタンブリングベルト上に載置した状態で、メッシュドラム中に保持した種子への研削材粒子の投射を行った。
【0059】
しかし、このようなメッシュドラムを用いる代わりに、研削材粒子の吐出口とその近傍を除いて閉じられた形の、保持容器を用いることができる。例えば、円筒状の側壁が上端部で内側にすぼまって、すぼんだ口部の中心に研削材粒子の吐出口が位置するようにすることができる。この場合、保持容器の底面のみ、研削材粒子を通過させる多数の開口を設け、側壁面について開口のない金属板とすることができる。この場合も、ショットの方法等を工夫して、種子全体が攪拌、揺動されるようにする。
【0060】
メッシュドラム中に、カンナの種子1リットルを収納した。この際、実施例4では、タキイ種苗(株)の「トロピカルローズ」品種を、実施例5ではタキイ種苗(株)の「トロピカルレッド」品種を用いた。
【0061】
研削材粒子としては、褐色アルミナ#20を用いた。ここで用いた研削材粒子の粒径は、約1mm前後であって、カンナ種子(球形)の粒径約6〜10mm前後に対して、およそ10〜17%の範囲にある。
【0062】
表4には、このようにして得られた発芽改善処理種子(実施例4〜5)と、処理前の同ロットの種子(比較例4〜5)とについて、発芽試験を行った結果を示す。発芽試験は、実施例1〜2の場合と同一の培土試験により行った。
【0063】
なお、表4には、比較例6〜7として、同ロットの処理前の種子に対して、硫酸による発芽改善処理を行った場合の結果を示す。この際、慣行法にしたがい、36N硫酸に種子を20分間浸漬し、5分間流水洗浄した後、40℃180分間送風乾燥したものを発芽試験に供した。
【0064】
表4に示すように、実施例4〜5では、対応する比較例に比べて、明らかに発芽性能が向上している。また、異常発芽や苗立ち枯れも明らかに減少している。
【0065】
【表4】ショットブラスト処理後のカンナ種子の培土試験
(供試種子数 各200)
<実施例6〜7,比較例8〜11>
実施例4〜5と同様の装置及び方法により、ユウガオの種子を処理した。実施例6では、タキイ種苗(株)の「赤花夕顔」品種を、実施例7ではタキイ種苗(株)の「白花夕顔」品種を用いた。
【0066】
但し、研削材粒子として、スチールショットTS−30を用いた。ここで用いた研削材粒子の粒径は、約125〜400μmであって、ユウガオの種子の粒径8〜14mm前後に対して、およそ0.8〜5%の範囲にある。
【0067】
また、ユウガオ種子を保持しつつ、研削材粒子の投射時および回収時の通過効率をできるだけ損なわないように、ユウガオ種子の粒径よりひとまわり小さく、研削材粒子よりは、できるだけ大きい開口径の金網で、同様の特製メッシュドラムを作製した。一方、メッシュドラム中への種子の仕込量は、50ミリリットル(ml)とした。
【0068】
このようにして、供試種子に研削材粒子を8分間投射した。投射処理後、得られた種子の表面を目視及び実体顕微鏡により観察すると、種子の表層部が凹部及び凸部にわたって均一に研削され、光沢が観察された。
【0069】
表5には、このようにして得られた発芽改善処理種子(実施例6〜7)と、処理前の同ロットの種子(比較例8〜9)とについて、発芽試験を行った結果を示す。発芽試験は、上記実施例1〜2の場合と同様の育苗床での培土試験により行った。但し、20℃に設定したグロースチャンバー内にて試験を行った。
【0070】
表5には、また、処理前の同ロットの種子の種皮に手作業で傷つけを行ったもの(比較例10〜11)について同様の発芽試験を行った結果を併せて示す。この際、200粒の種子に対して、カッターナイフにより、へそ(臍)部付近に2〜3mm長の傷を種皮に付けた。
【0071】
表5の結果から知られるように、実施例の処理により、明らかに発芽が改善された。特には、発芽勢、総発芽率及び正常発芽率において、手作業で丹念に傷を付けた比較例10〜11に相当近似した値にまで向上した。
【0072】
【表5】ショットブラスト処理後のユウガオ種子の培土試験
(供試種子数 各200)
<実施例8〜9,比較例12〜13>
実施例4〜5と同様の装置及び方法により、タマネギの種子(タキイ種苗(株)の「カムイ」品種)を処理した。但し、研削材粒子として大栄企業(株)の「クルミグリット#40−60」を用いた。ここで用いた研削材粒子の粒径は、約250〜500μmであって、タマネギ種子の粒径約2〜3mm前後に対して、およそ8〜25%の範囲にある。
【0073】
また、タマネギ種子を保持しつつ、研削材粒子の投射時および回収時の通過効率をできるだけ損なわないように、タマネギ種子の粒径よりひとまわり小さく、研削材粒子よりは、できるだけ大きい開口径の金網で、同様の特製メッシュドラムを作製した。一方、メッシュドラム中への種子の仕込量は、4リットルとした。
【0074】
このようにして、供試種子に研削材粒子を6分間投射した。投射処理後、得られた種子の表面を目視及び実体顕微鏡により観察すると、種子の表層部が凹部及び凸部にわたって均一に研削されていることが確認された。また、同時に、登熟の悪い未熟種子が粉砕されていることが確認されたので、このような粉砕未熟種子を、篩によって選別除去し、発芽試験に供した(実施例10)。
【0075】
また、このような投射処理及び選別除去後の種子2リットルずつについて、それぞれ、被覆造粒(実施例8)、及びフィルムコーティング(実施例9)を行った後、発芽試験に供した。
【0076】
実施例8における被覆造粒は、特許第2520309の実施例2に準じて行った。すなわち、投射処理した種子を傾斜回転パン中に仕込み、水をスプレーしつつ、アタパルジャイト80重量部とステアリン酸カルシウム15重量部との混合物からなる造粒用組成物を加え、粒径が3〜5mmになるまで造粒コーティングした。そして、40℃にて3時間通常乾燥した。
【0077】
一方、実施例9におけるフィルムコーティングは、特開平11−146707の実施例1及び2に記載されたように行った。すなわち、平均粒径0.25μmの酸化チタン30重量部と、メチルセルロース(2%水溶液粘度25cP)1重量部と、水69重量部と、水性顔料5重量部と、マイカ5部とからなるコーティング材を調製し、コーティングパンを用いて、投射処理後の種子にコーティングを行った。
【0078】
表6には、このようにして得られた発芽改善処理種子(実施例8〜10)と、投射処理等を行わなかった同ロットの種子(比較例12)とについて、発芽試験を行った結果を示す。発芽試験は、上記実施例1〜2の場合と同様のセル成型苗用の育苗トレイでの培土試験により行った。但し、15℃に設定したグロースチャンバー内にて試験を行った。
【0079】
表6中に示す結果において、実施例8〜10と、比較例12とを比較した場合、未熟種子が除去された分、研削後の種子の発芽は改善されている。
【0080】
また、種皮を研削した後に、一般的な被覆造粒やフィルムコーティングを施しても、研削による優れた発芽改善効果が維持されている。
【0081】
【表6】ショットブラスト処理後のタマネギ種子の培土試験
(供試種子数 各200)
<実施例11〜12,比較例13〜14>
実施例4〜5と同様の装置及び方法により、ナスの種子(タキイ種苗(株)の「千両2号」品種)を処理した。
【0082】
但し、研削材粒子として、白色アルミナの粒子を用いた。ここで用いた研削材粒子の粒径は、約250〜500μmであって、ナスの種子(扁平円形)の3×5mm前後(厚み0.4mm〜1mm)に対して、およそ5〜17%の範囲にある。
【0083】
また、ナス種子を保持しつつ、研削材粒子の投射時及び回収時の通過効率をできるだけ損なわないように、ナス種子の粒径よりひとまわり小さく、白色アルミナ粒子よりはできるだけ大きい開口径の金網で、同様の特製メッシュドラムを作製した。一方、メッシュドラム中への種子の仕込量は、2リットルとした。
【0084】
このようにして、供試種子に研削材粒子を10分間投射した。投射処理後、得られた種子の表面を目視及び実体顕微鏡により観察すると、種子の表層部が凹部及び凸部にわたって均一に研削された。
【0085】
表7には、このようにして得られた発芽改善処理種子(実施例11)と、投射処理前の同ロットの種子(比較例13)とについて、発芽試験を行った結果を示す。発芽試験は、実施例1〜2の場合と同一の培土試験により行った。
【0086】
表7には、また、実施例11の発芽改善処理種子に、さらにプライミング処理を加えた種子(実施例12)について、同様に発芽試験を行った結果について、併せて示す。また、投射処理前の同ロットの種子(比較例13)にプライミング処理のみを加えた種子(比較例14)についての発芽試験結果も併せて示す。
【0087】
ここで、プライミング処理は、特許第3205896号の実施例1に記載の方法により行った。すなわち、粒子径75〜500μm、保水率350重量%のシリカハイドロゲルと、種子とを略等重量で混ぜ合わせ、5日間処理することにより、プライミング(水和)を行った。
【0088】
プライミングを行った比較例14と、そうでない比較例13との比較から知られるようにプライミング処理の効果は顕著である。しかし、プライミング処理前に投射処理を行った実施例12では、発芽勢がさらに顕著に向上している。
【0089】
【表7】ショットブラスト処理後のナス種子の培土試験
(供試種子数 各200)
上記各実施例により説明したように、本発明の方法であると、発芽改善処理を効率的に行うことができるとともに、種子に対するダメージ等の問題を回避することが可能となる。
【0090】
実施例の方法によると、種子が揺動・攪拌されつつ、種皮や果皮の表層部が、均一な研削により適度に除去される。その結果、種皮や果皮に対する水分や空気の透過性及び浸透性は大きく向上する。また、種皮や果皮の内側は全く損傷を受けていないことから、充分な発芽能力を備えたままとなっている。
【0091】
上記各実施例においては、研削材粒子の投射による研削処理を、一定量の種子をバッチ式で行うものとして説明したが、投入口から排出口へと連続的に種子を移動させつつ、研削処理を行うものであっても良い。
【0092】
【発明の効果】
種皮または果皮の表面を、凹部及び凸部にわたって均一に研削することで、種皮や果皮の水分透過性及びガス透過性を向上し、また、種皮や果皮に含まれる発芽阻害物質を減少させた発芽改善種子を、種子胚の生長や幼根にダメージを与えることなく効率的に得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、農園芸生産や緑化などに使用される種子の発芽改善方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
農園芸生産や緑化などに使用される種子には、播種後に、温度や水分などの発芽のための環境条件が好適であっても、不発芽または発芽の不揃いや遅延が見られることがある。すると、作物の減収や収穫期の不揃いや遅延を招く他、得られた作物の生育度や大きさに不揃いが生じ品質が低下する。このため、生産者などにとり経済的に大きな問題となる。また、発芽が遅延すると、種子や幼根が土壌中の病原菌や害虫に侵される危険性も増大し、発芽後に苗立ち枯れ病などによる枯死が生じるおそれも増大する。
【0003】
播種後の温度、水分などの環境が発芽に好適であっても、不発芽や発芽不揃いまたは発芽遅延が生じる大きな原因は、種子内部の胚をとりまく構造にある。種子は、形態的に、胚とそれをとりまくいくつかの構造から成り立つ器官である。種子の外層部を取り囲む種皮(植物種によっては果皮)が、一般に、水分や酸素、二酸化炭素などのガスに対して、ある程度の不透性を示す。そのため、これらの外層が物理的に発芽を阻害、抑制することとなる。また、種子の外層が胚の生長や幼根の伸長を物理的に抑制することも知られている。さらには、種皮や果皮に発芽阻害物質が含まれている場合、これらの外層が発芽を阻害、抑制しやすい(「植物の休眠と発芽」5−8,藤伊 正著、東京大学出版会、1975; ”J. Japan Soc. Hort., Sci.” 53(1), 38−44(1984), Norio SUGANUMA, Hajime OHNO, 園芸学会)。
【0004】
このような不発芽や発芽の遅延などを低減する目的で、従来より、種子に対する種々の処理が試みられていた。このような発芽改善処理としては、▲1▼水に長時間浸漬しておく方法、▲2▼紙ヤスリなど研磨材を内面に貼り付けたドラム中で回転するか、または、砂などの研磨材粒子と種子とを混合してドラム中で回転することにより摩傷する方法、▲3▼湿熱、乾熱などの高温処理や、振盪、高圧、高周波電場、超音波などによる物理的処理、▲4▼有機溶媒、濃硫酸、酵素などによる化学的処理、▲5▼液体窒素などで一次的に凍結させた果皮に圧力を加えて剥皮する方法などが行われてきた(特許文献1〜5,非特許文献1〜4)。
【0005】
これらの処理により、種皮や果皮を水分やガスが透過しやすくなり、発芽が改善される。
【0006】
しかし、高温や高圧、または高周波電場や超音波などを用いる方法では、処理加工条件を種子の種類や状態に応じて正確に設定する必要があり、設定が多少ずれると処理加工の程度が不均一になった。また、条件によっては、発芽力自体を大きく低下させるおそれもあった。さらには、多くの場合、処理加工条件を正確に制御するための特殊な装置を必要とする。
【0007】
一方、有機溶媒や酸などを用いる化学的処理(特許文献3〜5)では、処理条件を種子の種類や状態に応じて的確に設定しなければならないことに加えて、作業中の安全性や作業環境、及び処理後の廃液処理に大きな問題を有する。
【0008】
上記の研磨材を用いて種皮や果皮を摩傷する方法であると、これらの問題点は回避できる。
【0009】
【特許文献1】特許2579822号公報
【0010】
【特許文献2】特開昭64−75045号公報
【0011】
【特許文献3】特開平8−70625号公報
【0012】
【特許文献4】特開平8−70626号公報
【0013】
【特許文献5】特開平5−49309号公報
【0014】
【特許文献6】特開平3−160908号公報
【0015】
【非特許文献1】「農林種子学総論」94−101、中村俊一郎著、養賢堂1985
【0016】
【非特許文献2】”Seed Ecology, Biology and Evolution of Dormancy and Germination, 101−103, 124, Carol C. Baskin and Jerry M. Baskin, ACADEMIC PRESS 1998.
【0017】
【非特許文献3】”Plant Propagation Principles and Practices” 7th edition, 220−226, Hudson T. Hartman, Dale E. Kester , Fred T. Davis Jr. Robert L Geneve, Prentice Hall 2002.
【0018】
【非特許文献4】”Seed Science and Technology” 4th edition, 140−146, Lawrence O. Copeland, Miller B. McDonald, Kluwer Academic Publishers 2001.
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところがドラム回転により摩傷する方法(特許文献2)では、種子の凸部に研削が偏り、凹部があまり研削されず、不均一となる。また、多量の種子を一度に処理することで効率を上げようとすると、かなり大がかりな装置を必要とする他、種子及び研磨材の自重により、種子の胚や胚乳部分が圧迫されて損傷を受けやすい。そのため、かえって、異常発芽や不発芽を招くこともありうる。また、粗研磨粒及び微研磨粒との混合研磨材と、種子とをドラム中で混合して攪拌する種子の皮むき方法(特許文献6)であっても、同様の問題が生じる。
【0020】
本件発明者は、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意研究する中で、種子を研削する全く新しい方法を試みた。すなわち、種子の種皮や果皮より硬度が大きいか、または同程度の粒子を、比較的高速で種子に衝突させるという方法である。
【0021】
この方法では、植物種子が大きさ・比重ともに小さいので、比較的高速で研削材粒子を衝突させる際に生じる風圧や、衝突時の衝撃のために、種子が飛散して逃げる現象が生じてしまい、一見不可能と考えられた。ところが、種子の飛散による逃げを防止しつつ、種子に対して研削材粒子を適度な衝撃で衝突させることで、種子の効率的な研削が可能となった。
【0022】
特には、種子を自由に揺動可能に保持するならば、驚くべきことに、種子の全表面が充分に均等に研削されることを見出した。
【0023】
本発明は、種子の発芽改善方法において、均一な処理を施すことができ、作業環境等の問題がないとともに、処理効率を向上させることができ、かつ、種子に対するダメージを防止することができる方法を提供しようとする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明の発芽改善方法は、種子に、研削材粒子を投射することにより、該種子の種皮または果皮に研削を加えることを特徴とする。
【0025】
すなわち、処理対象の種子の種皮または果皮より硬度が大きいかまたは同程度である小粒子の流れを、一団の種子(例えば1リットル分の種子)に衝突させ、この際の衝撃により種皮または果皮の表層部を削り落とすのである。
【0026】
上記構成により、一団の種子に対して、一定の処理を効率的に施すことができ、種子に対するダメージ等の問題を回避することが可能となる。
【0027】
好ましくは、前記研削材粒子の径が、種子によって異なるものの、種子の径の0.01%〜80%の範囲内にある。すなわち、研削材粒子の径を、種子の径よりもひとまわり小さくとることにより、研削材粒子を一団の種子から容易に分離可能とする。
【0028】
また、好ましくは、種子が、研削加工中、その飛散を防止する保持部材中にて自由に揺動可能に保持され、該保持部材には、種子を保持しつつ研削材粒子を通過させる多数の開口が形成されている。
【0029】
このような構成であると、種子の凹部及び凸部の全面にわたって、充分に均一な研削を行うことができる。また、研削材粒子を種子に投射するとほぼ同時に、研削材粒子が、連続的に種子から分離されていくため、効果的な処理を行うことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の実施のための研削材粒子の投射には、金属表面の粗面化処理に用いられている市販のブラスト加工装置を応用することができるが、このような装置に限定されるわけではない。顆粒状または粉状の研削材粒子を、ある程度の範囲の速度で投射できるのであれば、良い。種子の性質上、吸湿を避けるため、乾式で行うものが好ましい。
【0031】
金属加工に用いられているブラスト(abrasive blasting)加工装置には、ショットブラスト方式とエアーブラスト方式等が挙げられるが、いずれも本発明の実施に用いることができる。ショットブラスト方式とは、例えば高速で回転する羽根ににより、研削材粒子に直接加速度を加えて、処理対象物に連続的に衝突させるものである。一方、エアーブラスト方式とは、圧縮気流により研削剤粒子を飛ばして、処理対象物に吹き付けるものである。これらの方式のブラスト加工装置は、特許第2580745号、特許第2536535号、特許第2549137号、特許第2598234号、特許第2640512号、特許第2648979号、特開平9−66460、特開平10−27794、特開2001−88031、特開2001−212763などに詳述されている。
【0032】
本発明の実施に適した研削材粒子としては、鋳鋼や軟鉄等のスチール、ステンレス鋼、亜鉛、銅などの金属材料からなる金属線断片状、球状、多角形状などのもの、及び、酸化アルミニウム(アルミナ)や炭化ケイ素、ガラスなどの硬質無機材料からなるものの他、ナイロンやポリカーボネートなどの樹脂からなるもの、及び、各種植物材料系のものが挙げられる。植物材料系の研削材粒子には、アプリコット、アンズ、モモなどの種皮やクルミの殻の粉砕物の他、トウモロコシの芯を粉砕したものが含まれる。これらの研削材粒子の他、けい砂、セラミックビーズ、エクセレンシア、スラグ、炭酸カルシウムまたは重曹などからなる粒子を用いることもできる。
【0033】
本発明の発芽改善処理に適した農園芸植物の種子としては、ホウレンソウ、フダンソウ、テンサイなどのアカザ科、アサガオやユウガオなどのヒルガオ科、カンナなどのカンナ科、ゼラニウム、ペラルゴニウムなどのフウロウソウ科、エンドウ、ソラマメ、インゲン、ダイズ、クズ、クロタラリア、ルーピン、ルピナスなどのマメ科、オクラ、トロロアオイ、ハイビスカス、ワタなどのアオイ科、ゲットウなどのショウガ科、シクラメン、プリムラなどのサクラソウ科、バーベナなどのクマツヅラ科、及び、バラやイチゴなどのバラ科のものが挙げられる。これらの植物の種子は、種皮や果皮に起因する発芽不良が生じやすいものであり、本発明の方法により充分に改善することができる。
【0034】
本発明の発芽改善処理に適した農園芸植物の種子としては、また、レタス、サラダナ、シュンギク、ゴボウ、ヒマワリ、ジニア、マリーゴールド、アスターなどのキク科、ニンジン、セルリー、ミツバなどのセリ科、キャベツ、ブロッコリ、ハクサイ、ダイコン、カブなどのアブラナ科、トマト、ナス、ピーマン、トウガラシ、トルバム、アカナス、ペチュニア、タバコなどのナス科、キュウリ、メロン、スイカ、カボチャ、カンピョウなどのウリ科、タマネギ、ネギなどのユリ科、サルビア、シソなどのシソ科、シャクヤクやボタン、デルフィニウムなどのキンポウゲ科、及び、タデ、ソバなどのタデ科、イネ、スイートコーンなどのイネ科のものが挙げられる。これらの植物の種子は、種皮や果皮に、種子伝染性の病害菌が付着しやすいのであるが、本発明の方法によって種皮や果皮を研削することにより、病害の発生を防止または低減することができる。すなわち、付着した病害菌を除去できる他、発芽を迅速かつ均一に行わせることで、病害を充分に抑制することができる。
【0035】
本発明の発芽改善処理に適した農園芸植物の種子として、さらには、種皮に発芽阻害物質が含まれているものが挙げられる。このようなものとしては、上記のレタス、サラダナ、シュンギク、ゴボウ、ヒマワリ、ジニア、マリーゴールド、アスターなどのキク科、及び、ニンジン、セルリー、ミツバなどのセリ科の植物種子の他、ユーストマなどのリンドウ科が挙げられる。
【0036】
本発明の発芽改善処理は、農園芸植物の種子に限らず、自然景観の回復や、緑化事業などに用いられている植物の種子に適用することができる。
【0037】
また、本発明の発芽改善処理によれば、ニンジン、トマト、マリーゴールド、ホウレンソウなどの種子の種皮や果皮から、刺状の突起部分、毛状部分または尾状の部分を除去または低減することにより、種子の形状を整形することができ、このため、播種作業を効率化することができる。
【0038】
さらには、種皮や果皮に包まれている内部の胚や胚乳部の発育が不充分で種子内部に空隙がある場合、このような発芽不良種子に研削材粒子が投射されることで、該空隙が押し潰される。これにより、胚や胚乳部が充分に発育している種子と比べて大きく変形するため、発芽不良種子の選別及び除去が容易になる。
【0039】
本発明の発芽改善処理を加えた後、種子に、プライミング処理または催芽処理をさらに施すことができる。プライミング処理は、例えば、特許3151471号または特許3205896などに記載の方法により行うことができ、催芽処理は、例えば特開平10−257803に記載の方法により行うことができる。
【0040】
また、本発明の発芽改善処理を加えた後、または、さらにプライミング処理などを行ったあとに、被覆造粒、フィルムコーティング、シードテープ加工、及び播種シート加工などを行うことができる。被覆造粒方法としては、特許第2520309号、特開平10−225207または特開平10−225208に記載の方法を用いることができる。また、フィルムコーティング加工としては、特許第1719604号または特開平11−146707に記載の方法を用いることができる。
【0041】
さらには、必要に応じて、本発明の発芽改善処理の後に、苗立ち枯れ病の防除のために、殺菌剤などを塗布する処理を行うこともできる。例えば、「種子伝染性病の生態と防除」(大畑貫一他編、社団法人日本植物防疫協会発行、1999年)に記載の方法により防疫処理を行うことができる。
【0042】
以下、具体的な実施例及び比較例について説明する。
【0043】
<実施例1〜2,比較例1〜2>
種子への研削材粒子の投射に、市販のエアーブラスト方式の金属表面加工装置(厚地鉄工株式会社のBS−2K型)を利用した。但し、金属に比べて比重が格段に小さい植物種子の飛散を防止するため、金属網で種子保持用の籠(かご)を作製し、この中に種子を投入した。この際、植物種子の揺動・攪拌が充分に行われるようにした。
【0044】
用いた金属網の開口径は、種子を保持しつつ、研削材粒子の投射時及び回収時の通過効率をできるだけ損なわないように、種子の粒径よりひとまわり小さく、研削材粒子よりはできるだけ大きく設定した。これにより、投射される研削材粒子が、金網を通過して籠内の種子に衝突した後には、研削材粒子のみが金網によって篩別され、再度、籠外に出るようになる。籠外に出た研削材粒子は、ブラスト加工装置に付属するフィルター装置により回収し、繰り返し用いた。
【0045】
上記の金属籠に、比較的大型(L〜2Lサイズ)のホウレンソウの種子1リットルを収納した。この際、実施例1では、タキイ種苗(株)の「オーライ」品種を、実施例2ではタキイ種苗(株)の「おかめ」品種を用いた。
【0046】
一方、研削材粒子としては、植物種皮系材料からなる、大栄企業(株)の「PSグリット#14−20」を用いた。ここで用いた研削材粒子の粒径は、1〜2mmであって、ホウレンソウ種子の粒径3.5〜5mm前後に対して、およそ20〜57%の範囲にある。
【0047】
また、エアーブラストの際、圧縮空気の圧力を5気圧とし、投射距離を15cmとした。
【0048】
このようにして、15分間処理を行った後、取り出して、目視及び実体顕微鏡による観察を行ったところ、果皮の全体にわたって研削が行われており、へそ(臍)部が開口している個体が処理前に比べて明らかに増加していた。
【0049】
表1〜2には、このようにして得られた発芽改善処理種子(実施例1〜2)と、処理前の同ロットの種子(比較例1〜2)とについて、発芽試験を行った結果を示す。
【0050】
発芽試験は、国際種子検査規定TP法に準じたシャーレでの試験と、育苗床での培土試験とにより行った。いずれの試験も、25℃に設定したグロースチャンバー内で行った。また、培土試験には、200穴のセル成型苗用の育苗トレイ、及び、タキイ種苗(株)の「たねまき培土」を使用した。
【0051】
表1、2に示すように、研削材を投射する研削処理により、発芽勢(%)が顕著に向上し、また、総発芽率(%)及び異常発芽率(「総発芽率」−「正常発芽率」)にも改善が見られた。
【0052】
【表1】エアブラスト処理後のホウレンソウ種子のシャーレ発芽試験
(供試種子数 各400)
【表2】エアブラスト処理後のホウレンソウ種子の培土発芽試験
(供試種子数 各200)
<実施例3,比較例3>
実施例1〜2と同様の装置及び方法により、3倍体スイカの種子(タキイ種苗(株)の「試交No.T173」品種)を処理した。但し、研削材粒子として大栄企業(株)の「PSグリット#40−60」を用いた。ここで用いた研削材粒子の粒径は、約250〜500μmであって、3倍体スイカ種子(扁平卵形)の粒径約6×10mmに対して、およそ2.5〜8%の範囲にある。なお、同系統の小粒子であって、粒径が約1〜3μmと微小なものであっても、条件により、使用が可能であった。
【0053】
上記実施例1〜2と同様の金属籠を用いたが、金属網の開口径は、3倍体スイカ種子を保持しつつ、研削材粒子の投射時及び回収時の通過効率をできるだけ損なわないように、種子の粒径よりひとまわり小さく、研削材粒子よりはできるだけ大きく設定した。また、種子の仕込量は、0.5リットルとした。
【0054】
このようにして、供試種子に研削材粒子を10分間投射した。投射処理後、得られた種子の表面を目視及び実体顕微鏡により観察すると、種子の表層部が凹部及び凸部にわたって均一に研削された。また、へそ(臍)部付近に見られる翼状部も顕著に研削されていることが確認された。
【0055】
表3には、このようにして得られた発芽改善処理種子(実施例3)と、処理前の同ロットの種子(比較例3)とについて、発芽試験を行った結果を示す。発芽試験は、上記実施例1〜2の場合と同一の育苗床での培土試験により行った。但し、約20〜25℃のハウス栽培用のハウス内にて試験を行った。
【0056】
【表3】エアブラスト処理後の3倍体スイカ種子の培土試験
(供試種子数 各200)
<実施例4〜5,比較例4〜7>
種子への研削材粒子の投射に、市販のショットブラスト方式の金属表面加工装置((株)サンポーの「タンブラスターT−50」)を利用した。
【0057】
このショットブラスト装置は、ゴム製のタンブリングベルト(研削材粒子の回収のために多数の孔が分布する)上に被処理物を載せ、研削材粒子を投射する機構を持つ。しかしながら、ショットブラストが施される一般的な被処理物と比較して、植物種子は、比重・大きさともに格段に小さいため、そのままでは使用できなかった。
【0058】
そのため、種子を保持しつつ、研削材粒子の投射時および回収時の通過効率をできるだけ損なわないように、種子の粒径よりひとまわり小さく、研削材粒子よりは、できるだけ大きい開口径の金網で、特製のメッシュドラムを作製した。そして、このメッシュドラムをタンブリングベルト上に載置した状態で、メッシュドラム中に保持した種子への研削材粒子の投射を行った。
【0059】
しかし、このようなメッシュドラムを用いる代わりに、研削材粒子の吐出口とその近傍を除いて閉じられた形の、保持容器を用いることができる。例えば、円筒状の側壁が上端部で内側にすぼまって、すぼんだ口部の中心に研削材粒子の吐出口が位置するようにすることができる。この場合、保持容器の底面のみ、研削材粒子を通過させる多数の開口を設け、側壁面について開口のない金属板とすることができる。この場合も、ショットの方法等を工夫して、種子全体が攪拌、揺動されるようにする。
【0060】
メッシュドラム中に、カンナの種子1リットルを収納した。この際、実施例4では、タキイ種苗(株)の「トロピカルローズ」品種を、実施例5ではタキイ種苗(株)の「トロピカルレッド」品種を用いた。
【0061】
研削材粒子としては、褐色アルミナ#20を用いた。ここで用いた研削材粒子の粒径は、約1mm前後であって、カンナ種子(球形)の粒径約6〜10mm前後に対して、およそ10〜17%の範囲にある。
【0062】
表4には、このようにして得られた発芽改善処理種子(実施例4〜5)と、処理前の同ロットの種子(比較例4〜5)とについて、発芽試験を行った結果を示す。発芽試験は、実施例1〜2の場合と同一の培土試験により行った。
【0063】
なお、表4には、比較例6〜7として、同ロットの処理前の種子に対して、硫酸による発芽改善処理を行った場合の結果を示す。この際、慣行法にしたがい、36N硫酸に種子を20分間浸漬し、5分間流水洗浄した後、40℃180分間送風乾燥したものを発芽試験に供した。
【0064】
表4に示すように、実施例4〜5では、対応する比較例に比べて、明らかに発芽性能が向上している。また、異常発芽や苗立ち枯れも明らかに減少している。
【0065】
【表4】ショットブラスト処理後のカンナ種子の培土試験
(供試種子数 各200)
<実施例6〜7,比較例8〜11>
実施例4〜5と同様の装置及び方法により、ユウガオの種子を処理した。実施例6では、タキイ種苗(株)の「赤花夕顔」品種を、実施例7ではタキイ種苗(株)の「白花夕顔」品種を用いた。
【0066】
但し、研削材粒子として、スチールショットTS−30を用いた。ここで用いた研削材粒子の粒径は、約125〜400μmであって、ユウガオの種子の粒径8〜14mm前後に対して、およそ0.8〜5%の範囲にある。
【0067】
また、ユウガオ種子を保持しつつ、研削材粒子の投射時および回収時の通過効率をできるだけ損なわないように、ユウガオ種子の粒径よりひとまわり小さく、研削材粒子よりは、できるだけ大きい開口径の金網で、同様の特製メッシュドラムを作製した。一方、メッシュドラム中への種子の仕込量は、50ミリリットル(ml)とした。
【0068】
このようにして、供試種子に研削材粒子を8分間投射した。投射処理後、得られた種子の表面を目視及び実体顕微鏡により観察すると、種子の表層部が凹部及び凸部にわたって均一に研削され、光沢が観察された。
【0069】
表5には、このようにして得られた発芽改善処理種子(実施例6〜7)と、処理前の同ロットの種子(比較例8〜9)とについて、発芽試験を行った結果を示す。発芽試験は、上記実施例1〜2の場合と同様の育苗床での培土試験により行った。但し、20℃に設定したグロースチャンバー内にて試験を行った。
【0070】
表5には、また、処理前の同ロットの種子の種皮に手作業で傷つけを行ったもの(比較例10〜11)について同様の発芽試験を行った結果を併せて示す。この際、200粒の種子に対して、カッターナイフにより、へそ(臍)部付近に2〜3mm長の傷を種皮に付けた。
【0071】
表5の結果から知られるように、実施例の処理により、明らかに発芽が改善された。特には、発芽勢、総発芽率及び正常発芽率において、手作業で丹念に傷を付けた比較例10〜11に相当近似した値にまで向上した。
【0072】
【表5】ショットブラスト処理後のユウガオ種子の培土試験
(供試種子数 各200)
<実施例8〜9,比較例12〜13>
実施例4〜5と同様の装置及び方法により、タマネギの種子(タキイ種苗(株)の「カムイ」品種)を処理した。但し、研削材粒子として大栄企業(株)の「クルミグリット#40−60」を用いた。ここで用いた研削材粒子の粒径は、約250〜500μmであって、タマネギ種子の粒径約2〜3mm前後に対して、およそ8〜25%の範囲にある。
【0073】
また、タマネギ種子を保持しつつ、研削材粒子の投射時および回収時の通過効率をできるだけ損なわないように、タマネギ種子の粒径よりひとまわり小さく、研削材粒子よりは、できるだけ大きい開口径の金網で、同様の特製メッシュドラムを作製した。一方、メッシュドラム中への種子の仕込量は、4リットルとした。
【0074】
このようにして、供試種子に研削材粒子を6分間投射した。投射処理後、得られた種子の表面を目視及び実体顕微鏡により観察すると、種子の表層部が凹部及び凸部にわたって均一に研削されていることが確認された。また、同時に、登熟の悪い未熟種子が粉砕されていることが確認されたので、このような粉砕未熟種子を、篩によって選別除去し、発芽試験に供した(実施例10)。
【0075】
また、このような投射処理及び選別除去後の種子2リットルずつについて、それぞれ、被覆造粒(実施例8)、及びフィルムコーティング(実施例9)を行った後、発芽試験に供した。
【0076】
実施例8における被覆造粒は、特許第2520309の実施例2に準じて行った。すなわち、投射処理した種子を傾斜回転パン中に仕込み、水をスプレーしつつ、アタパルジャイト80重量部とステアリン酸カルシウム15重量部との混合物からなる造粒用組成物を加え、粒径が3〜5mmになるまで造粒コーティングした。そして、40℃にて3時間通常乾燥した。
【0077】
一方、実施例9におけるフィルムコーティングは、特開平11−146707の実施例1及び2に記載されたように行った。すなわち、平均粒径0.25μmの酸化チタン30重量部と、メチルセルロース(2%水溶液粘度25cP)1重量部と、水69重量部と、水性顔料5重量部と、マイカ5部とからなるコーティング材を調製し、コーティングパンを用いて、投射処理後の種子にコーティングを行った。
【0078】
表6には、このようにして得られた発芽改善処理種子(実施例8〜10)と、投射処理等を行わなかった同ロットの種子(比較例12)とについて、発芽試験を行った結果を示す。発芽試験は、上記実施例1〜2の場合と同様のセル成型苗用の育苗トレイでの培土試験により行った。但し、15℃に設定したグロースチャンバー内にて試験を行った。
【0079】
表6中に示す結果において、実施例8〜10と、比較例12とを比較した場合、未熟種子が除去された分、研削後の種子の発芽は改善されている。
【0080】
また、種皮を研削した後に、一般的な被覆造粒やフィルムコーティングを施しても、研削による優れた発芽改善効果が維持されている。
【0081】
【表6】ショットブラスト処理後のタマネギ種子の培土試験
(供試種子数 各200)
<実施例11〜12,比較例13〜14>
実施例4〜5と同様の装置及び方法により、ナスの種子(タキイ種苗(株)の「千両2号」品種)を処理した。
【0082】
但し、研削材粒子として、白色アルミナの粒子を用いた。ここで用いた研削材粒子の粒径は、約250〜500μmであって、ナスの種子(扁平円形)の3×5mm前後(厚み0.4mm〜1mm)に対して、およそ5〜17%の範囲にある。
【0083】
また、ナス種子を保持しつつ、研削材粒子の投射時及び回収時の通過効率をできるだけ損なわないように、ナス種子の粒径よりひとまわり小さく、白色アルミナ粒子よりはできるだけ大きい開口径の金網で、同様の特製メッシュドラムを作製した。一方、メッシュドラム中への種子の仕込量は、2リットルとした。
【0084】
このようにして、供試種子に研削材粒子を10分間投射した。投射処理後、得られた種子の表面を目視及び実体顕微鏡により観察すると、種子の表層部が凹部及び凸部にわたって均一に研削された。
【0085】
表7には、このようにして得られた発芽改善処理種子(実施例11)と、投射処理前の同ロットの種子(比較例13)とについて、発芽試験を行った結果を示す。発芽試験は、実施例1〜2の場合と同一の培土試験により行った。
【0086】
表7には、また、実施例11の発芽改善処理種子に、さらにプライミング処理を加えた種子(実施例12)について、同様に発芽試験を行った結果について、併せて示す。また、投射処理前の同ロットの種子(比較例13)にプライミング処理のみを加えた種子(比較例14)についての発芽試験結果も併せて示す。
【0087】
ここで、プライミング処理は、特許第3205896号の実施例1に記載の方法により行った。すなわち、粒子径75〜500μm、保水率350重量%のシリカハイドロゲルと、種子とを略等重量で混ぜ合わせ、5日間処理することにより、プライミング(水和)を行った。
【0088】
プライミングを行った比較例14と、そうでない比較例13との比較から知られるようにプライミング処理の効果は顕著である。しかし、プライミング処理前に投射処理を行った実施例12では、発芽勢がさらに顕著に向上している。
【0089】
【表7】ショットブラスト処理後のナス種子の培土試験
(供試種子数 各200)
上記各実施例により説明したように、本発明の方法であると、発芽改善処理を効率的に行うことができるとともに、種子に対するダメージ等の問題を回避することが可能となる。
【0090】
実施例の方法によると、種子が揺動・攪拌されつつ、種皮や果皮の表層部が、均一な研削により適度に除去される。その結果、種皮や果皮に対する水分や空気の透過性及び浸透性は大きく向上する。また、種皮や果皮の内側は全く損傷を受けていないことから、充分な発芽能力を備えたままとなっている。
【0091】
上記各実施例においては、研削材粒子の投射による研削処理を、一定量の種子をバッチ式で行うものとして説明したが、投入口から排出口へと連続的に種子を移動させつつ、研削処理を行うものであっても良い。
【0092】
【発明の効果】
種皮または果皮の表面を、凹部及び凸部にわたって均一に研削することで、種皮や果皮の水分透過性及びガス透過性を向上し、また、種皮や果皮に含まれる発芽阻害物質を減少させた発芽改善種子を、種子胚の生長や幼根にダメージを与えることなく効率的に得られる。
Claims (6)
- 種子に研削材粒子を投射することにより、該種子の種皮または果皮に研削を加えることを特徴とする種子の発芽改善方法。
- 前記研削材粒子の径が、種子の径の0.01%〜80%の範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の発芽改善方法。
- 種子が、研削加工中、その飛散を防止する保持部材中にて自由に揺動可能に保持され、該保持部材には、種子を保持しつつ研削材粒子を通過させる多数の開口が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の発芽改善方法。
- 前記の研削材粒子の投射の後、種子に、プライミング処理または催芽処理を施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発芽改善方法。
- 前記の研削材粒子の投射の後、種子に、被覆造粒、フィルムコーティング、シードテープ加工、及び播種シート加工のうちの少なくとも一つを施すことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発芽改善方法。
- 請求項1〜5のいずれかの方法により得られた発芽改善種子。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003035785A JP2004242582A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | 研削材粒子の投射による種子の発芽改善方法及び発芽改善種子 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003035785A JP2004242582A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | 研削材粒子の投射による種子の発芽改善方法及び発芽改善種子 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004242582A true JP2004242582A (ja) | 2004-09-02 |
Family
ID=33021104
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2003035785A Pending JP2004242582A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | 研削材粒子の投射による種子の発芽改善方法及び発芽改善種子 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004242582A (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2010098949A (ja) * | 2008-10-21 | 2010-05-06 | Japan Carlit Co Ltd:The | 造粒コーティング種子及びその製造方法 |
| CN105379468A (zh) * | 2015-12-03 | 2016-03-09 | 青岛百瑞吉生物工程有限公司 | 一种解除果树种子休眠的种子处理方法 |
| CN110945988A (zh) * | 2019-11-25 | 2020-04-03 | 中国科学院昆明植物研究所 | 一种促进储藏后的泽泻科种子萌发的方法 |
| CN116458300A (zh) * | 2023-05-30 | 2023-07-21 | 青岛中烟种子有限责任公司 | 一种甜菜种子催芽方法 |
| US12022761B2 (en) | 2014-06-16 | 2024-07-02 | Incotec Holding B.V. | Treatment for plant seeds |
-
2003
- 2003-02-13 JP JP2003035785A patent/JP2004242582A/ja active Pending
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2010098949A (ja) * | 2008-10-21 | 2010-05-06 | Japan Carlit Co Ltd:The | 造粒コーティング種子及びその製造方法 |
| US12022761B2 (en) | 2014-06-16 | 2024-07-02 | Incotec Holding B.V. | Treatment for plant seeds |
| CN105379468A (zh) * | 2015-12-03 | 2016-03-09 | 青岛百瑞吉生物工程有限公司 | 一种解除果树种子休眠的种子处理方法 |
| CN110945988A (zh) * | 2019-11-25 | 2020-04-03 | 中国科学院昆明植物研究所 | 一种促进储藏后的泽泻科种子萌发的方法 |
| CN116458300A (zh) * | 2023-05-30 | 2023-07-21 | 青岛中烟种子有限责任公司 | 一种甜菜种子催芽方法 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JP3723596B2 (ja) | 処理種子 | |
| EP2793570B1 (en) | Seed treatment composition | |
| TW200812492A (en) | Combinations of biological control agents with a nematicidal seed coating | |
| Garcia et al. | Seed storage and germination | |
| CN103635084B (zh) | 用于蔬菜中的病原体控制的包衣组合物 | |
| CN1076829A (zh) | 铜络合物杀细菌剂/杀真菌剂及其制造方法 | |
| JP2567377B2 (ja) | 種子の処理 | |
| JP2004242582A (ja) | 研削材粒子の投射による種子の発芽改善方法及び発芽改善種子 | |
| Sakamoto et al. | Development of encapsulation technology for synthetic seeds | |
| CN107493732A (zh) | 一种用于提高水稻发芽率的水稻种子处理方法 | |
| Pernezny et al. | Investigation of seed treatments for management of bacterial leaf spot of lettuce | |
| Sudhakar et al. | Technological Advances in Agronomic Practices of Seed Processing, Storage, and Pest Management: An Update | |
| CN101869023B (zh) | 一种马铃薯种薯贮藏方法 | |
| Finch-Savage et al. | Biological control of Sclerotinia pseudotuberosa and other fungi during moist storage of Quercus robur seeds | |
| JPH02273104A (ja) | 栽培用剥皮種子及びその製造方法 | |
| EP4705266A1 (en) | Seed or root treatment composition comprising molybdate and microbes and use thereof in plants | |
| JP2005287338A (ja) | 造粒コーティング種子及びその製造方法 | |
| CN109496657B (zh) | 广东紫珠育苗的方法 | |
| Nath et al. | Effect of Bio-rational approaches on pigeon pea pod and grain damage by Helicoverpa armigera (Hüb.) | |
| JPH0614810B2 (ja) | 種皮付き種子及びその製造方法 | |
| JP2879704B2 (ja) | イネ苗腐敗症防除法 | |
| Copeland et al. | Seed enhancements | |
| RU2090054C1 (ru) | Способ заражения проса головней | |
| JPH10117511A (ja) | 催芽種子の製造方法 | |
| Balakoti et al. | ADVANCES IN SEED TECHNOLOGY AND GERMINATION |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20050606 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060830 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060912 |
|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070220 |
