JP2004244521A - 固着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱硬化性ラジカル硬化樹脂を含有する主剤成分と有機過酸化物を含有する硬化剤成分からなる2液混合型固着剤およびそれを用いた注入型カートリッジにおいて、施工時の液垂れを少なくすること。
【解決手段】樹脂保持具を使用して施工する際に、2液混合直後の樹脂組成物の粘度を、特定範囲にコントロールすること。
【選択図】 選択図なし
【解決手段】樹脂保持具を使用して施工する際に、2液混合直後の樹脂組成物の粘度を、特定範囲にコントロールすること。
【選択図】 選択図なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば土木及び建築分野でコンクリート、岩盤等の母材に穿孔し、その穿孔のなかにアンカーボルトなどの固定部材を固定する為に用いられる、2液混合型固着剤、注入式カートリッジおよびそれを用いたアンカーボルトの固着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートや岩盤等の母材に対して穿孔した孔内にアンカーボルト等の固定部材を挿入した上で注入し固着する為に用いられる固着用の樹脂組成物として、2液混合型接着剤が用いられている。2液混合型接着剤とは、例えば特許文献1に記載されているように、主剤と硬化剤がそれぞれの容器内に別々に収容されており、固着剤として使用する場合にそれらを混合して使用するものである。2液性の注入式カートリッジとは、主剤と硬化剤がそれぞれの容器内に別々に収容されて一体として組み合わせて作られたものであり、使用する際にはカートリッジにミキシングノズルを取り付け、カートリッジのピストンを加圧することにより主剤と硬化剤を吐出させ、ミキシングノズル内で2液を混合して吐出し、コンクリート等の母材に穿孔した孔の中に樹脂組成物を充填し、アンカーボルトを挿入した後、硬化させて、接着一体化するものである。
【0003】
これらの樹脂組成物をノズルから吐出して、孔内に充填する際、下向きの孔の場合には問題ないが、横向き、上向きの孔の場合には、充填後、アンカーボルト等の固定部材を挿入する前に、樹脂組成物が孔から流れ出してしまう、いわゆる液だれ現象が発生し、ボルト固着に必要な樹脂を孔内に保持することが困難なために、固着強度が低下する問題があり、また、液だれ量が少量で、固着強度に影響しない程度でも、孔周辺の壁面、床面の汚れ等による作業環境悪化の問題や、作業者への付着などの問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、各種フィラーの添加、微紛末シリカの添加等による、粘度およびチクソトロピーのコントロールが行われているが、注入直後の粘性のコントロールは困難であり、特に大口径の場合、高温の場合などに、液垂れを防止するのは困難であった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−338818号公報
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】
熱硬化性ラジカル硬化樹脂を含有する主剤成分と有機過酸化物を含有する硬化剤成分からなる2液混合型固着剤およびそれを用いた注入型カートリッジにおいて、施工時の液垂れを少なくすること。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を続けた結果、主剤成分と硬化剤成分を混合直後の粘度が特定値を有する樹脂組成物、またはこれを含有する注入型カートリッジを使用し、樹脂保持具を用いて施工することにより、液垂れを防止することが可能である事を見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は下記の通りである。
1.熱硬化性ラジカル硬化樹脂を含有する主剤成分と有機過酸化物を含有する硬化剤成分とからなり、主剤成分および硬化剤成分の両方に無機化合物を含有する2液混合型接着剤であって、2液混合直後の樹脂組成物の粘度が、下記式(1)、(2)を満たすことを特徴とする、樹脂保持具を使用した施工用の固着剤。
30 ≦ηB(20)≦ 100 (1)
4≦ηB(2)/ηB(20)≦10 (2)
ここで、ηB(2)(Pa・s)、ηB(20)(Pa・s)は、B型粘度計を用いて、それぞれ2rpm、20rpmで測定した粘度の値(測定温度20℃)
【0009】
2.2液混合後の樹脂組成物の粘度が、下記式(3)を満たすことを特徴とする、1.に記載の固着剤。
8≦ηB(20)/ηC ≦20 (3)
ここで、ηCは、キャピラリーレオメーターを用いて、せん断速度100s−1で測定した粘度の値(測定温度 20℃)
【0010】
3.主剤成分と硬化剤成分を収容してなる2液性の注入式カートリッジにおいて、主剤成分および硬化剤成分が1.に記載の樹脂組成物からなることを特徴とする注入式カートリッジ。
4.主剤成分と硬化剤成分を収容してなる2液性の注入式カートリッジにおいて、主剤成分および硬化剤成分が2.に記載の樹脂組成物からなることを特徴とする注入式カートリッジ。
5.前記1.または2.に記載の固着剤を樹脂保持具内に充填した後、孔内にセットし、アンカーボルトを挿入して、樹脂保持具から樹脂組成物を吐出させて孔内に充填後、硬化させることを特徴とする、アンカーボルトの固着方法。
6.前記3.または4.に記載の注入型カートリッジから固着剤を樹脂保持具内に充填した後、母材に設けた孔内にセットし、アンカーボルトを挿入して、樹脂保持具から樹脂組成物を吐出させて孔内に充填後、硬化させることを特徴とする、アンカーボルトの固着方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、特にその好ましい態様を中心に、詳細に説明する。
本発明に用いられる熱硬化性ラジカル樹脂としては、熱硬化性でラジカル反応で硬化する樹脂であればよく、エポキシアクリレート樹脂等のビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウ レタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂等があげられる。一般的にコンクリート母材に施工されることが多く、耐アルカリ性に優れる樹脂が好ましい。耐アルカリ性評価として、JISのK6919の耐アルカリ性試験で重量変化±1%以下のものが好ましく、特に好ましくはエポキシアクリレート樹脂等のビニ ルエステル樹脂が挙げられる。
【0012】
また、上記熱硬化性ラジカル硬化樹脂とし ては、一般に反応性単量体で希釈されており、反応性単量体としては、スチレン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリ レート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレー 、イソボルニルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、フタル酸ジアリル、トリメット酸トリアリル等があり、引火点100℃以上のメタクリレートモノマーが好ましい。また、反応性単量体の有害性等を評価して選定することが望まれる。
【0013】
これら反応性単量体は、単独で用いても良いし、混合して用いても良い。樹脂への反応性単量体の混合比率は、特に限定されないが、好ましくは30〜70wt%、最も好ましくは40〜60wt%である。
本発明に用いられる熱硬化性ラジカル硬化樹脂は、一般に硬化性調整のために硬化促進剤及び重合禁止剤等を添加して用いられる。一般に用いられる樹脂の硬化促進剤としては、第3級芳香族アミン類ではN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン、N−フェニルジエタノールアミン、 N−p−トリールジエタノールアミン、N,N−ビスヒドロキシブチル−p−トルイジン等があり、その添加量は0.3〜2wt%が好ましい。また、ナフテン酸コバルト等金属石鹸を促進剤として使用してもかまわない。
【0014】
本発明に用いられる樹脂の重合禁止剤としては、ハイドロキノン類、フェノール類、クレゾール類、カテコール類、ベンゾキノン類等があり、例えば、 ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、p−トルキノン、p−キシロキノン、ナフトキノン、2,6−ジクロロキノン、ハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、カテコール、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t− ブチルハイドロキノン、モノメチルハイドロキノン、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等を必要量添加することができる。
【0015】
本発明に用いることのできる硬化剤としては、ジアシルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、ヒドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類及びパーオキシカーボネート類等の有機過酸化物であ り、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等がある。好ましくは、安定性に優れるベンゾイルパーオキサイドが用いられる。また、この硬化剤は希釈剤で希釈して用いることができる。
【0016】
硬化剤の希釈剤としては、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、シリコーンオイル、流動パラフィン重合性モノマー、水等が用いられる。また、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム等の無機物を併せて使用しても良い。更に、チクソトロピー化剤を添加して用いることが出来る。この場合、過酸化物の安定性を考慮して選択する。
【0017】
本発明の固着剤は、主剤成分および硬化剤成分の両方に無機化合物を添加したものである。無機化合物としては、充填材、チクソトロピー化剤、顔料、難燃化剤等が挙げられ、主剤成分、硬化剤成分に、それぞれ一種類以上が添加される。本発明に用いることのできる充填材は、石英砂、硅砂、硅粉、セラミック粉、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、ミルコン、タルク、クレー、マイカ、火山灰、シラス、コンクリート粉、発泡コンクリート粉、ガラスフレーク、フライアッシュ、カーボンブラック、アルミナ、シリカ、ガラスマイクロバルーン、シリカバルーン、ビリュウシラスバルーン等がある。配合量は主成分である熱硬化性ラジカル硬化樹脂または有機過酸化物に対し20〜300wt%を目安とし、目的に応じて2種類以上を組み合わせて混合することができる。充填剤として、好ましくは、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、コロイド系炭酸カルシウム、針状炭酸カルシウム(ウイスカー)等の、炭酸カルシウムが用いられる。
【0018】
本発明に用いられるチクソトロピー化剤としては、コロイダルシリカ、微結晶シリカ、ホワイトカーボン、タルク、ベントナイト等がある。
本発明に用いられる顔料の例としては、チタン白、亜鉛華、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、べんがら、黄鉛、黄土等が挙げられる。
本発明の主剤成分、および硬化剤成分には、必要に応じて有機性の可逆ゲル化剤、弾性付与剤、着色剤等を添加することができる。
【0019】
本発明に用いることのできる有機性の可逆ゲル化剤は、樹脂に混合して可逆的なゲルを形成させるものであり、例えば糖化合物の誘導体等、具体的に以下のものが挙げられる。例え ば、単糖類とベンズアルデヒドとの縮合物又はその誘導体では、ベンジリデンソルビトール、ベンジリデン キシリトール等の単糖類とベンズアルデヒドとの縮合物 又はその誘導体が好ましく、最も好ましいゲル化剤は、効果的にゲルを形成させる単糖類にソルビトールを用いたジベンジリデンソルビトール等の化合物である。
【0020】
本発明において、注入型カートリッジに用いるカートリッジの容器は、運搬又は保管時には破損せず、主剤成分及び硬化剤成分の漏れがないように封入で きるものであればよく、材質としては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)等の合成樹脂成型体または、合成樹脂製フィルム、紙、金属等を用いることが出来、合成樹脂/金属のラミネートフィルム等の2種類以上の材料からなる積層品を用いることができる。好ましくは合成樹脂の成型体のカートリッジが用いられる。
【0021】
本発明の固着剤および注入型カートリッジは、コンクリート等の母材に穿孔した孔内に充填して、アンカーボルト等の固定部材を母材に固定する際に、液だれ現象の発生を防ぐ効果を有するものであり、特に、樹脂保持具を用いて施工する際に効果を発揮するものである。
ここで、樹脂保持具とは、穿孔した孔の中に挿入することのできる、通常、円筒形の部材であり、上部は開口しており底部と側面部に樹脂吐出部を有するものである。
【0022】
施工に際して、固着剤をこの樹脂保持具に充填し、母材に穿孔した孔内にセットした後、アンカーボルト等の固定部材を樹脂保持具内に挿入し、樹脂保持具の底面および側面から樹脂組成物を吐出することによりコンクリート、樹脂保持具、固定部材を、樹脂組成物で接着一体化し、その後硬化させることにより接着固定するものである。本発明の固着剤はこの施工用樹脂保持具を用いて施工することにより、横向き施工や天井施工においても、液垂れを防ぐことのできるものである。更に、樹脂保持具から吐出される際の粘性を制御することにより、施工時の空隙を排除して孔内に密充填して、高い固着強度を安定に発現できるものである。
なお、樹脂保持具の吐出部の構造としては、金属または樹脂性の材料に、微細な孔を穿孔したもの、金属または樹脂性の網等が用いられ、用途に応じて設計されるものである。
【0023】
2成分からなる固着剤の混合直後の樹脂組成物の粘度は、下記式(1)、(2)を満足する必要がある。
30 ≦ηB (20)≦100 Pa・s (1)
4≦ηB(2)/ηB(20)≦10 (2)
(ここで、ηB(2)(Pa・s)、ηB(20)(Pa・s)は、B型粘度計を用いて、それぞれ2rpm、20rpmで測定した粘度の値)
ここにおいて、ηB (20)が30Pa・s未満の場合、アンカーボルト等の固定部材を樹脂保持具内に挿入した際に、樹脂組成物が孔の上部から垂れ落ちやすくなる。
一方、100Pa・sを越える場合には、固着剤を樹脂保持具へ充填する際の粘度が高く、操作が困難である、空気を巻き込み易くなるなどの問題がある。
【0024】
一方、ηB(2)/ηB(20)が4未満の場合には、固着剤を充填した樹脂保持具を横向き孔または天井孔にセットする際に液垂れが発生する問題がある。また、ηB(2)/ηB(20)の上限は、実用的には10程度である。
樹脂組成物粘度は、下記式(3)を満足するのが好ましい。
5≦ηB(20)/ηC ≦20 (3)
(ここで、ηCは、キャピラリーレオメーターを用いて、せん断速度100s−1で測定した粘度の値)
ηCがこの範囲を満たすことにより、樹脂保持具の吐出孔より吐出される際に適切な粘度変化が起きるため、孔内への密充填と安定した強度の発現が可能となる。
【0025】
本発明において、樹脂組成物が、このような粘度を有するためには、主剤、硬化剤と充填剤、チクソトロピー化剤等の無機化合物の種類、量を適切に選択する必要がある。一般的に、主剤、硬化剤の中の、液体樹脂成分および液体希釈剤成分の粘度および混合比、充填剤、チクソトロピー化剤の混合量および形状、凝集、分散状態等の要因で、粘度および揺変性が変化する。主剤樹脂粘度は、分子量および分子鎖の剛直性、分子間力の程度によって変化するが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂にメタクリル酸を付加したエポキシアクリレート樹脂を用いる場合、分子量としては、500以上1000以下のものが好ましい。
【0026】
本発明において、粘度が上記式を満たすようにして、施工時の液垂れを改良し、安定な固着強度を得るためには、チクソトロピー化剤の種類、形状、粒子径を選択すること、及び、添加、混合、攪拌、脱泡の方法、条件をコントロールすることが有効な手段である。
チクソトロピー化剤の選定においては、一次粒子径は20nm以下が好ましく、より好ましくは15nm以下の球形粒子を使用するのが好ましく、更に、一次粒径が10nm以下の粒子と一次粒径が10〜20nmの粒子を混合使用することも好ましく行われる。チクソトロピー化剤としては、コロイダルシリカが最も好ましく用いられる。
【0027】
本発明のアンカーボルトの固着方法においては、まず、固着剤を樹脂保持具内に充填する。充填する際は、樹脂保持具の開口部を上向きにして、上方から注入するが、必要に応じて、斜めに注入することもできる。
一方、コンクリート等、アンカーボルトを固着する母材には、予め、所定の長さ、径の孔を穿孔し、孔内の切り粉などを取り除いておく。穿孔方法は、ハンマードリル、コアドリル等、公知の穿孔機器を用いることができる。
次に、固着剤を充填して樹脂保持具を、孔の中にセットした後、アンカーボルトを挿入し、樹脂保持具から樹脂組成物を吐出して、孔内に充填する。ここで、アンカーボルトとしては、異形棒鋼、全ネジボルト等、任意のものを使用することができる。
【0028】
以下、実施例により本発明を説明 する。
(測定方法)
(1)B型粘度計による樹脂組成物の粘度測定
23℃の恒温槽中で1時間以上温度調整した、主剤成分及び硬化剤成分を、総量が約200gになるように、2分間攪拌、混合し、23℃の恒温槽中で、B型粘度計(東京計器製)で、No7ローターを用いて、回転数2rpmおよび20rpmで粘度を測定した。なお、混合開始から測定までの時間は、5分間とした。
【0029】
(2)キャピラリーレオメーターによる樹脂組成物の粘度測定
23℃の恒温槽中で1時間以上温度調整した、主剤成分及び硬化剤成分を、総量が約200gになるように、2分間攪拌、混合し、キャピラリーレオメーター(東洋精器製 キャピログラフ1B(商品名))を用いて、23℃で、測定した。なお、混合開始から測定までの時間は5分間とした。
【0030】
【実施例】
[実施例1]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂にメタクリル酸を付加したエポキシアクリレート樹脂に、反応性単量体としてジエチレングリコールジメタクリレートを混合し、粘度を1PS(25℃、E 型粘度計)にした樹脂100gに、炭酸カルシウム150g、アエロジル200 を2.5gを添加後、30分 混合・撹拌し、モルタル状の主剤成分を調整した。
過酸化ベンゾイルをシリコンオイルで希釈混合し、40%になるように調合した後、アエロジル200を1%添加して、硬化剤成分を調整した。
【0031】
つぎに、ミックスパック社製の400cc用カートリッジに主剤成分と硬化剤成分の体積比2:1で主剤と硬化剤を それぞれ区分して充填し封止しカートリッジを試作した。
試作したカートリッジから、主剤成分と硬化剤成分を混合しながら押し出した混合直後の樹脂組成物の粘度をB型粘度計を用いて測定した結果、
ηB(20)=50Pa・s、ηB(2)=250Pa・s、ηB(2)/ηB(20)=5であった。
【0032】
外径25mm、長さ175mmで、側面および底面に1mmφの吐出孔を多数配置した樹脂保持具中に上記のカートリッジから固着剤を充填した。サイズ500×500×1000mm、圧縮強度21N/mm2のコンクリートブロックに、穿孔径28mm、穿孔長180mmの孔を横向きに穿孔し、ブロワーとナイロンブラシを用いて孔内清掃を行った後、上記の固着剤を充填した樹脂保持具を、孔にセットし、外径22mmの全ネジボルト(材質SNB7)を挿入して固着させた。施工時に液垂れは殆ど発生せず、施工性は良好であった。
【0033】
[実施例2]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂にメタクリル酸を付加したエポキシアクリレート樹脂に、反応性単量体としてジエチレングリコールジメタクリレートを混合し、粘度を1PS(25℃、E 型粘度計)にした樹脂100gに、炭酸カルシウム150g、アエロジル200 を2.0gおよびアエロジル300を0.5g添加後、30分 混合・撹拌し、モルタル状の主剤成分を調整した。混合に先立ち、アエロジル200およびアエロジル300は、100℃で2時間乾燥したものを用いた。
過酸化ベンゾイルをシリコンオイルで希釈混合し、40%になるように調合した後、アエロジル200を1%添加して、硬化剤成分を調整した。
【0034】
つぎに、主剤と硬化剤を減圧脱泡した後、ミックスパック社製の400cc用カートリッジに主剤成分と硬化剤成分の体積比2:1で主剤と硬化剤をそれぞれ区分して充填し封止しカートリッジを試作した。
試作したカートリッジから、主剤成分と硬化剤成分を混合しながら押し出した混合直後の樹脂組成物の粘度をB型粘度計およびキャピラリーレオメーターを用いて測定した結果
ηB(20)=60Pa・s、ηB(2)=360Pa・s、ηC=5Pa・s、ηB(2)/ηB(20)=6、ηB(20)/ηC¥−=12であった。
この固着剤を用い、実施例1と同様に、樹脂保持具を用いて施工した。施工時に液垂れは発生せず、施工性は良好であった。
【0035】
[比較例1]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂にメタクリル酸を付加したエポキシアクリレート樹脂に、反応性単量体としてジエチレングリコールジメタクリレートを混合し、粘度を1PS(25℃、E 型粘度計)にした樹脂100gに、炭酸カルシウム150g、アエロジル200 を0.5gを添加後、30分 混合・撹拌し、モルタル状の主剤成分を調整した。
過酸化ベンゾイルをシリコンオイルで希釈混合し、40%になるように調合して、硬化剤成分を調整した。
【0036】
つぎに、ミックスパック社製の400cc用カートリッジに主剤成分と硬化剤成分の体積比2:1で主剤と硬化剤を それぞれ区分して充填し封止しカートリッジを試作した。
試作したカートリッジから、主剤成分と硬化剤成分を混合しながら押し出した混合直後の樹脂組成物の粘度をB型粘度計を用いて測定した結果、
ηB(20)=40Pa・s、ηB(2)=40Pa・s、ηB(2)/ηB(20)=3であった。
この固着剤を用い、実施例1と同様に、樹脂保持具を用いて施工した。穿孔した孔にセットした際、およびボルト挿入後に液垂れが発生し、施工性は不良であった。
【0037】
【発明の効果】
以上の結果、実施例からも明らかなように、本発明の効果として、特定の流動性を有する樹脂組成物を調製し、樹脂保持具を用いて施工することにより、横打ち、天井打ち等、従来液垂れの問題があった施工方法において、液垂れの問題を解決し、施工性を改良することが可能となった。さらに、孔内での樹脂組成物の流れを適正な状態とすることにより、乾燥状態の孔はもちろんのこと、湿潤孔においても、安定した強度を発現することが期待できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば土木及び建築分野でコンクリート、岩盤等の母材に穿孔し、その穿孔のなかにアンカーボルトなどの固定部材を固定する為に用いられる、2液混合型固着剤、注入式カートリッジおよびそれを用いたアンカーボルトの固着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートや岩盤等の母材に対して穿孔した孔内にアンカーボルト等の固定部材を挿入した上で注入し固着する為に用いられる固着用の樹脂組成物として、2液混合型接着剤が用いられている。2液混合型接着剤とは、例えば特許文献1に記載されているように、主剤と硬化剤がそれぞれの容器内に別々に収容されており、固着剤として使用する場合にそれらを混合して使用するものである。2液性の注入式カートリッジとは、主剤と硬化剤がそれぞれの容器内に別々に収容されて一体として組み合わせて作られたものであり、使用する際にはカートリッジにミキシングノズルを取り付け、カートリッジのピストンを加圧することにより主剤と硬化剤を吐出させ、ミキシングノズル内で2液を混合して吐出し、コンクリート等の母材に穿孔した孔の中に樹脂組成物を充填し、アンカーボルトを挿入した後、硬化させて、接着一体化するものである。
【0003】
これらの樹脂組成物をノズルから吐出して、孔内に充填する際、下向きの孔の場合には問題ないが、横向き、上向きの孔の場合には、充填後、アンカーボルト等の固定部材を挿入する前に、樹脂組成物が孔から流れ出してしまう、いわゆる液だれ現象が発生し、ボルト固着に必要な樹脂を孔内に保持することが困難なために、固着強度が低下する問題があり、また、液だれ量が少量で、固着強度に影響しない程度でも、孔周辺の壁面、床面の汚れ等による作業環境悪化の問題や、作業者への付着などの問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、各種フィラーの添加、微紛末シリカの添加等による、粘度およびチクソトロピーのコントロールが行われているが、注入直後の粘性のコントロールは困難であり、特に大口径の場合、高温の場合などに、液垂れを防止するのは困難であった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−338818号公報
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】
熱硬化性ラジカル硬化樹脂を含有する主剤成分と有機過酸化物を含有する硬化剤成分からなる2液混合型固着剤およびそれを用いた注入型カートリッジにおいて、施工時の液垂れを少なくすること。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を続けた結果、主剤成分と硬化剤成分を混合直後の粘度が特定値を有する樹脂組成物、またはこれを含有する注入型カートリッジを使用し、樹脂保持具を用いて施工することにより、液垂れを防止することが可能である事を見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は下記の通りである。
1.熱硬化性ラジカル硬化樹脂を含有する主剤成分と有機過酸化物を含有する硬化剤成分とからなり、主剤成分および硬化剤成分の両方に無機化合物を含有する2液混合型接着剤であって、2液混合直後の樹脂組成物の粘度が、下記式(1)、(2)を満たすことを特徴とする、樹脂保持具を使用した施工用の固着剤。
30 ≦ηB(20)≦ 100 (1)
4≦ηB(2)/ηB(20)≦10 (2)
ここで、ηB(2)(Pa・s)、ηB(20)(Pa・s)は、B型粘度計を用いて、それぞれ2rpm、20rpmで測定した粘度の値(測定温度20℃)
【0009】
2.2液混合後の樹脂組成物の粘度が、下記式(3)を満たすことを特徴とする、1.に記載の固着剤。
8≦ηB(20)/ηC ≦20 (3)
ここで、ηCは、キャピラリーレオメーターを用いて、せん断速度100s−1で測定した粘度の値(測定温度 20℃)
【0010】
3.主剤成分と硬化剤成分を収容してなる2液性の注入式カートリッジにおいて、主剤成分および硬化剤成分が1.に記載の樹脂組成物からなることを特徴とする注入式カートリッジ。
4.主剤成分と硬化剤成分を収容してなる2液性の注入式カートリッジにおいて、主剤成分および硬化剤成分が2.に記載の樹脂組成物からなることを特徴とする注入式カートリッジ。
5.前記1.または2.に記載の固着剤を樹脂保持具内に充填した後、孔内にセットし、アンカーボルトを挿入して、樹脂保持具から樹脂組成物を吐出させて孔内に充填後、硬化させることを特徴とする、アンカーボルトの固着方法。
6.前記3.または4.に記載の注入型カートリッジから固着剤を樹脂保持具内に充填した後、母材に設けた孔内にセットし、アンカーボルトを挿入して、樹脂保持具から樹脂組成物を吐出させて孔内に充填後、硬化させることを特徴とする、アンカーボルトの固着方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、特にその好ましい態様を中心に、詳細に説明する。
本発明に用いられる熱硬化性ラジカル樹脂としては、熱硬化性でラジカル反応で硬化する樹脂であればよく、エポキシアクリレート樹脂等のビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウ レタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂等があげられる。一般的にコンクリート母材に施工されることが多く、耐アルカリ性に優れる樹脂が好ましい。耐アルカリ性評価として、JISのK6919の耐アルカリ性試験で重量変化±1%以下のものが好ましく、特に好ましくはエポキシアクリレート樹脂等のビニ ルエステル樹脂が挙げられる。
【0012】
また、上記熱硬化性ラジカル硬化樹脂とし ては、一般に反応性単量体で希釈されており、反応性単量体としては、スチレン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリ レート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレー 、イソボルニルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、フタル酸ジアリル、トリメット酸トリアリル等があり、引火点100℃以上のメタクリレートモノマーが好ましい。また、反応性単量体の有害性等を評価して選定することが望まれる。
【0013】
これら反応性単量体は、単独で用いても良いし、混合して用いても良い。樹脂への反応性単量体の混合比率は、特に限定されないが、好ましくは30〜70wt%、最も好ましくは40〜60wt%である。
本発明に用いられる熱硬化性ラジカル硬化樹脂は、一般に硬化性調整のために硬化促進剤及び重合禁止剤等を添加して用いられる。一般に用いられる樹脂の硬化促進剤としては、第3級芳香族アミン類ではN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン、N−フェニルジエタノールアミン、 N−p−トリールジエタノールアミン、N,N−ビスヒドロキシブチル−p−トルイジン等があり、その添加量は0.3〜2wt%が好ましい。また、ナフテン酸コバルト等金属石鹸を促進剤として使用してもかまわない。
【0014】
本発明に用いられる樹脂の重合禁止剤としては、ハイドロキノン類、フェノール類、クレゾール類、カテコール類、ベンゾキノン類等があり、例えば、 ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、p−トルキノン、p−キシロキノン、ナフトキノン、2,6−ジクロロキノン、ハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、カテコール、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t− ブチルハイドロキノン、モノメチルハイドロキノン、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等を必要量添加することができる。
【0015】
本発明に用いることのできる硬化剤としては、ジアシルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、ヒドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類及びパーオキシカーボネート類等の有機過酸化物であ り、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等がある。好ましくは、安定性に優れるベンゾイルパーオキサイドが用いられる。また、この硬化剤は希釈剤で希釈して用いることができる。
【0016】
硬化剤の希釈剤としては、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、シリコーンオイル、流動パラフィン重合性モノマー、水等が用いられる。また、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム等の無機物を併せて使用しても良い。更に、チクソトロピー化剤を添加して用いることが出来る。この場合、過酸化物の安定性を考慮して選択する。
【0017】
本発明の固着剤は、主剤成分および硬化剤成分の両方に無機化合物を添加したものである。無機化合物としては、充填材、チクソトロピー化剤、顔料、難燃化剤等が挙げられ、主剤成分、硬化剤成分に、それぞれ一種類以上が添加される。本発明に用いることのできる充填材は、石英砂、硅砂、硅粉、セラミック粉、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、ミルコン、タルク、クレー、マイカ、火山灰、シラス、コンクリート粉、発泡コンクリート粉、ガラスフレーク、フライアッシュ、カーボンブラック、アルミナ、シリカ、ガラスマイクロバルーン、シリカバルーン、ビリュウシラスバルーン等がある。配合量は主成分である熱硬化性ラジカル硬化樹脂または有機過酸化物に対し20〜300wt%を目安とし、目的に応じて2種類以上を組み合わせて混合することができる。充填剤として、好ましくは、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、コロイド系炭酸カルシウム、針状炭酸カルシウム(ウイスカー)等の、炭酸カルシウムが用いられる。
【0018】
本発明に用いられるチクソトロピー化剤としては、コロイダルシリカ、微結晶シリカ、ホワイトカーボン、タルク、ベントナイト等がある。
本発明に用いられる顔料の例としては、チタン白、亜鉛華、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、べんがら、黄鉛、黄土等が挙げられる。
本発明の主剤成分、および硬化剤成分には、必要に応じて有機性の可逆ゲル化剤、弾性付与剤、着色剤等を添加することができる。
【0019】
本発明に用いることのできる有機性の可逆ゲル化剤は、樹脂に混合して可逆的なゲルを形成させるものであり、例えば糖化合物の誘導体等、具体的に以下のものが挙げられる。例え ば、単糖類とベンズアルデヒドとの縮合物又はその誘導体では、ベンジリデンソルビトール、ベンジリデン キシリトール等の単糖類とベンズアルデヒドとの縮合物 又はその誘導体が好ましく、最も好ましいゲル化剤は、効果的にゲルを形成させる単糖類にソルビトールを用いたジベンジリデンソルビトール等の化合物である。
【0020】
本発明において、注入型カートリッジに用いるカートリッジの容器は、運搬又は保管時には破損せず、主剤成分及び硬化剤成分の漏れがないように封入で きるものであればよく、材質としては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)等の合成樹脂成型体または、合成樹脂製フィルム、紙、金属等を用いることが出来、合成樹脂/金属のラミネートフィルム等の2種類以上の材料からなる積層品を用いることができる。好ましくは合成樹脂の成型体のカートリッジが用いられる。
【0021】
本発明の固着剤および注入型カートリッジは、コンクリート等の母材に穿孔した孔内に充填して、アンカーボルト等の固定部材を母材に固定する際に、液だれ現象の発生を防ぐ効果を有するものであり、特に、樹脂保持具を用いて施工する際に効果を発揮するものである。
ここで、樹脂保持具とは、穿孔した孔の中に挿入することのできる、通常、円筒形の部材であり、上部は開口しており底部と側面部に樹脂吐出部を有するものである。
【0022】
施工に際して、固着剤をこの樹脂保持具に充填し、母材に穿孔した孔内にセットした後、アンカーボルト等の固定部材を樹脂保持具内に挿入し、樹脂保持具の底面および側面から樹脂組成物を吐出することによりコンクリート、樹脂保持具、固定部材を、樹脂組成物で接着一体化し、その後硬化させることにより接着固定するものである。本発明の固着剤はこの施工用樹脂保持具を用いて施工することにより、横向き施工や天井施工においても、液垂れを防ぐことのできるものである。更に、樹脂保持具から吐出される際の粘性を制御することにより、施工時の空隙を排除して孔内に密充填して、高い固着強度を安定に発現できるものである。
なお、樹脂保持具の吐出部の構造としては、金属または樹脂性の材料に、微細な孔を穿孔したもの、金属または樹脂性の網等が用いられ、用途に応じて設計されるものである。
【0023】
2成分からなる固着剤の混合直後の樹脂組成物の粘度は、下記式(1)、(2)を満足する必要がある。
30 ≦ηB (20)≦100 Pa・s (1)
4≦ηB(2)/ηB(20)≦10 (2)
(ここで、ηB(2)(Pa・s)、ηB(20)(Pa・s)は、B型粘度計を用いて、それぞれ2rpm、20rpmで測定した粘度の値)
ここにおいて、ηB (20)が30Pa・s未満の場合、アンカーボルト等の固定部材を樹脂保持具内に挿入した際に、樹脂組成物が孔の上部から垂れ落ちやすくなる。
一方、100Pa・sを越える場合には、固着剤を樹脂保持具へ充填する際の粘度が高く、操作が困難である、空気を巻き込み易くなるなどの問題がある。
【0024】
一方、ηB(2)/ηB(20)が4未満の場合には、固着剤を充填した樹脂保持具を横向き孔または天井孔にセットする際に液垂れが発生する問題がある。また、ηB(2)/ηB(20)の上限は、実用的には10程度である。
樹脂組成物粘度は、下記式(3)を満足するのが好ましい。
5≦ηB(20)/ηC ≦20 (3)
(ここで、ηCは、キャピラリーレオメーターを用いて、せん断速度100s−1で測定した粘度の値)
ηCがこの範囲を満たすことにより、樹脂保持具の吐出孔より吐出される際に適切な粘度変化が起きるため、孔内への密充填と安定した強度の発現が可能となる。
【0025】
本発明において、樹脂組成物が、このような粘度を有するためには、主剤、硬化剤と充填剤、チクソトロピー化剤等の無機化合物の種類、量を適切に選択する必要がある。一般的に、主剤、硬化剤の中の、液体樹脂成分および液体希釈剤成分の粘度および混合比、充填剤、チクソトロピー化剤の混合量および形状、凝集、分散状態等の要因で、粘度および揺変性が変化する。主剤樹脂粘度は、分子量および分子鎖の剛直性、分子間力の程度によって変化するが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂にメタクリル酸を付加したエポキシアクリレート樹脂を用いる場合、分子量としては、500以上1000以下のものが好ましい。
【0026】
本発明において、粘度が上記式を満たすようにして、施工時の液垂れを改良し、安定な固着強度を得るためには、チクソトロピー化剤の種類、形状、粒子径を選択すること、及び、添加、混合、攪拌、脱泡の方法、条件をコントロールすることが有効な手段である。
チクソトロピー化剤の選定においては、一次粒子径は20nm以下が好ましく、より好ましくは15nm以下の球形粒子を使用するのが好ましく、更に、一次粒径が10nm以下の粒子と一次粒径が10〜20nmの粒子を混合使用することも好ましく行われる。チクソトロピー化剤としては、コロイダルシリカが最も好ましく用いられる。
【0027】
本発明のアンカーボルトの固着方法においては、まず、固着剤を樹脂保持具内に充填する。充填する際は、樹脂保持具の開口部を上向きにして、上方から注入するが、必要に応じて、斜めに注入することもできる。
一方、コンクリート等、アンカーボルトを固着する母材には、予め、所定の長さ、径の孔を穿孔し、孔内の切り粉などを取り除いておく。穿孔方法は、ハンマードリル、コアドリル等、公知の穿孔機器を用いることができる。
次に、固着剤を充填して樹脂保持具を、孔の中にセットした後、アンカーボルトを挿入し、樹脂保持具から樹脂組成物を吐出して、孔内に充填する。ここで、アンカーボルトとしては、異形棒鋼、全ネジボルト等、任意のものを使用することができる。
【0028】
以下、実施例により本発明を説明 する。
(測定方法)
(1)B型粘度計による樹脂組成物の粘度測定
23℃の恒温槽中で1時間以上温度調整した、主剤成分及び硬化剤成分を、総量が約200gになるように、2分間攪拌、混合し、23℃の恒温槽中で、B型粘度計(東京計器製)で、No7ローターを用いて、回転数2rpmおよび20rpmで粘度を測定した。なお、混合開始から測定までの時間は、5分間とした。
【0029】
(2)キャピラリーレオメーターによる樹脂組成物の粘度測定
23℃の恒温槽中で1時間以上温度調整した、主剤成分及び硬化剤成分を、総量が約200gになるように、2分間攪拌、混合し、キャピラリーレオメーター(東洋精器製 キャピログラフ1B(商品名))を用いて、23℃で、測定した。なお、混合開始から測定までの時間は5分間とした。
【0030】
【実施例】
[実施例1]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂にメタクリル酸を付加したエポキシアクリレート樹脂に、反応性単量体としてジエチレングリコールジメタクリレートを混合し、粘度を1PS(25℃、E 型粘度計)にした樹脂100gに、炭酸カルシウム150g、アエロジル200 を2.5gを添加後、30分 混合・撹拌し、モルタル状の主剤成分を調整した。
過酸化ベンゾイルをシリコンオイルで希釈混合し、40%になるように調合した後、アエロジル200を1%添加して、硬化剤成分を調整した。
【0031】
つぎに、ミックスパック社製の400cc用カートリッジに主剤成分と硬化剤成分の体積比2:1で主剤と硬化剤を それぞれ区分して充填し封止しカートリッジを試作した。
試作したカートリッジから、主剤成分と硬化剤成分を混合しながら押し出した混合直後の樹脂組成物の粘度をB型粘度計を用いて測定した結果、
ηB(20)=50Pa・s、ηB(2)=250Pa・s、ηB(2)/ηB(20)=5であった。
【0032】
外径25mm、長さ175mmで、側面および底面に1mmφの吐出孔を多数配置した樹脂保持具中に上記のカートリッジから固着剤を充填した。サイズ500×500×1000mm、圧縮強度21N/mm2のコンクリートブロックに、穿孔径28mm、穿孔長180mmの孔を横向きに穿孔し、ブロワーとナイロンブラシを用いて孔内清掃を行った後、上記の固着剤を充填した樹脂保持具を、孔にセットし、外径22mmの全ネジボルト(材質SNB7)を挿入して固着させた。施工時に液垂れは殆ど発生せず、施工性は良好であった。
【0033】
[実施例2]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂にメタクリル酸を付加したエポキシアクリレート樹脂に、反応性単量体としてジエチレングリコールジメタクリレートを混合し、粘度を1PS(25℃、E 型粘度計)にした樹脂100gに、炭酸カルシウム150g、アエロジル200 を2.0gおよびアエロジル300を0.5g添加後、30分 混合・撹拌し、モルタル状の主剤成分を調整した。混合に先立ち、アエロジル200およびアエロジル300は、100℃で2時間乾燥したものを用いた。
過酸化ベンゾイルをシリコンオイルで希釈混合し、40%になるように調合した後、アエロジル200を1%添加して、硬化剤成分を調整した。
【0034】
つぎに、主剤と硬化剤を減圧脱泡した後、ミックスパック社製の400cc用カートリッジに主剤成分と硬化剤成分の体積比2:1で主剤と硬化剤をそれぞれ区分して充填し封止しカートリッジを試作した。
試作したカートリッジから、主剤成分と硬化剤成分を混合しながら押し出した混合直後の樹脂組成物の粘度をB型粘度計およびキャピラリーレオメーターを用いて測定した結果
ηB(20)=60Pa・s、ηB(2)=360Pa・s、ηC=5Pa・s、ηB(2)/ηB(20)=6、ηB(20)/ηC¥−=12であった。
この固着剤を用い、実施例1と同様に、樹脂保持具を用いて施工した。施工時に液垂れは発生せず、施工性は良好であった。
【0035】
[比較例1]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂にメタクリル酸を付加したエポキシアクリレート樹脂に、反応性単量体としてジエチレングリコールジメタクリレートを混合し、粘度を1PS(25℃、E 型粘度計)にした樹脂100gに、炭酸カルシウム150g、アエロジル200 を0.5gを添加後、30分 混合・撹拌し、モルタル状の主剤成分を調整した。
過酸化ベンゾイルをシリコンオイルで希釈混合し、40%になるように調合して、硬化剤成分を調整した。
【0036】
つぎに、ミックスパック社製の400cc用カートリッジに主剤成分と硬化剤成分の体積比2:1で主剤と硬化剤を それぞれ区分して充填し封止しカートリッジを試作した。
試作したカートリッジから、主剤成分と硬化剤成分を混合しながら押し出した混合直後の樹脂組成物の粘度をB型粘度計を用いて測定した結果、
ηB(20)=40Pa・s、ηB(2)=40Pa・s、ηB(2)/ηB(20)=3であった。
この固着剤を用い、実施例1と同様に、樹脂保持具を用いて施工した。穿孔した孔にセットした際、およびボルト挿入後に液垂れが発生し、施工性は不良であった。
【0037】
【発明の効果】
以上の結果、実施例からも明らかなように、本発明の効果として、特定の流動性を有する樹脂組成物を調製し、樹脂保持具を用いて施工することにより、横打ち、天井打ち等、従来液垂れの問題があった施工方法において、液垂れの問題を解決し、施工性を改良することが可能となった。さらに、孔内での樹脂組成物の流れを適正な状態とすることにより、乾燥状態の孔はもちろんのこと、湿潤孔においても、安定した強度を発現することが期待できる。
Claims (6)
- 熱硬化性ラジカル硬化樹脂を含有する主剤成分と有機過酸化物を含有する硬化剤成分とからなり、主剤成分および硬化剤成分の両方に無機化合物を含有する2液混合型接着剤であって、2液混合直後の樹脂組成物の粘度が、下記式(1)、(2)を満たすことを特徴とする、樹脂保持具を使用した施工用の固着剤。
30 ≦ηB(20)≦ 100 (1)
4≦ηB(2)/ηB(20)≦10 (2)
ここで、ηB(2)(Pa・s)、ηB(20)(Pa・s)は、B型粘度計を用いて、それぞれ2rpm、20rpmで測定した粘度の値(測定温度20℃) - 2液混合直後の樹脂組成物の粘度が、下記式(3)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の固着剤。
8≦ηB(20)/ηC ≦20 (3)
ここで、ηCは、キャピラリーレオメーターを用いて、せん断速度100s−1で測定した粘度の値(測定温度 20℃) - 主剤成分と硬化剤成分を収容してなる2液性の注入式カートリッジにおいて、主剤成分および硬化剤成分が請求項1に記載の樹脂組成物からなることを特徴とする注入式カートリッジ。
- 主剤成分と硬化剤成分を収容してなる2液性の注入式カートリッジにおいて、主剤成分および硬化剤成分が請求項2に記載の樹脂組成物からなることを特徴とする注入式カートリッジ。
- 請求項1または請求項2に記載の固着剤を樹脂保持具内に充填した後、孔内にセットし、アンカーボルトを挿入して、樹脂保持具から樹脂組成物を吐出させて孔内に充填後、硬化させることを特徴とする、アンカーボルトの固着方法。
- 請求項3または請求項4に記載の注入型カートリッジから固着剤を樹脂保持具内に充填した後、母材に設けた孔内にセットし、アンカーボルトを挿入して、樹脂保持具から樹脂組成物を吐出させて孔内に充填後、硬化させることを特徴とする、アンカーボルトの固着方法。
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Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007126844A (ja) * | 2005-11-02 | 2007-05-24 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 枕木の補修方法および枕木補修用固着剤 |
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| JP2010275722A (ja) * | 2009-05-27 | 2010-12-09 | Hitachi Zosen Corp | 破壊方法 |
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| JP2017133195A (ja) * | 2016-01-26 | 2017-08-03 | 三菱重工業株式会社 | コーキング材組成物、コーキング材、ケミカルアンカ及びコーキング材の施工方法 |
-
2003
- 2003-02-14 JP JP2003036207A patent/JP2004244521A/ja active Pending
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