JP2004247268A - 固体酸化物形燃料電池システム及びその運転方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水の供給を皆無とするか、格段に減らして運転を続けることができ、且つ、利用済み燃料をリサイクルする場合のような煩雑なシステム構成を回避できる固体酸化物形燃料電池システム及び運転方法を得る。
【解決手段】燃料の空気または酸素による燃焼器と複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃焼器で生成した燃焼ガスを燃料に混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム及びその運転方法。
【選択図】図6
【解決手段】燃料の空気または酸素による燃焼器と複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃焼器で生成した燃焼ガスを燃料に混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム及びその運転方法。
【選択図】図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体酸化物形燃料電池システムにおいて、燃料の改質に用いる水の供給を不要とするか、格段に軽減するようにしてなる固体酸化物形燃料電池システム及びその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体酸化物形燃料電池〔SOFC(=Solid Oxide Fuel Cells):以下適宜SOFCと略称する〕は、作動温度が800〜1000℃の範囲、通常1000℃程度と高い。SOFCの単電池すなわちセルは固体酸化物電解質を挟んで燃料極及び空気極(酸化剤として酸素が用いられる場合は酸素極)が配置され、燃料極/電解質(=固体酸化物電解質)/空気極の3層ユニットで構成される。図1はその構成を原理的に説明する図である。
【0003】
空気極に導入される空気中の酸素は空気極で酸化物イオン(O2−)となり、固体酸化物電解質を通って燃料極に至る。ここで、燃料極に導入される燃料と反応して電子を放出し、電気と水や二酸化炭素等の反応生成物を生成する。空気極での利用済み空気は空気極オフガスとして排出され、燃料極での利用済み燃料は、未利用の燃料及び水蒸気や二酸化炭素等の反応生成物を含む燃料極オフガスとして排出される。単電池1個の電圧は低いため、通常、単電池を複数層積層して構成される。
【0004】
SOFCには円筒方式(=円筒型)や平板方式(=平板型)などがあるが、図2は円筒型SOFCの構成例の概略を示す図である。図2中左側の図のとおり、ケーシング1内に複数個の円筒型セルが支持、配置される。ケーシング1はケーシング2内に収容され、ケーシング2はその上部でヘッダーを形成している。各円筒型セルは内管と外管との2重管からなり、外管が電解質材料で構成されている。
【0005】
内管は空気供給管で、外管内に間隔を置いて配置されている。空気は、空気供給用ヘッダーに導入され、ここから各内管内を通り、その下部で折り返して、内管と外管との間を上方へ流通する。一方、燃料は、ケーシング1の下部から導入され、各外管すなわち各円筒型セルの外側を上方へ流通し、各セルの燃料側すなわち燃料が流れている側で空気中の酸素との電気化学反応により発電する。
【0006】
ところで、SOFCにおいては、燃料を改質し、改質ガス中の水素及び一酸化炭素(CO)が電気化学反応に寄与する。しかし改質ガス中の水素及び一酸化炭素は、その全部を発電に利用することはできない。SOFCにおいては、通常、供給された燃料のうち80〜90%が利用され、残りの10〜20%は未利用のままセルスタック外に排出される。
【0007】
このため、利用済み燃料中の未利用の燃料は未利用の空気により燃焼させて排出される。図2の例では、ケーシング1内の上部において、未利用の燃料が未利用の空気により燃焼し排ガスとして排出される。図2中右側の図は、ケーシング1内上方の一部を拡大して示す図で、SOFCで未利用の燃料に含まれる水素及び一酸化炭素の燃焼状況を示している。
【0008】
燃料がメタンである場合、改質ガス中の水素と一酸化炭素の組成(モル)比は3:1であり(CH4+H2O→3H2+CO)、発電に使用した水素及び一酸化炭素は、それぞれ水蒸気及び二酸化炭素になる。このようにSOFCでの利用済み燃料には未利用の水素及び一酸化炭素のほか、水蒸気や二酸化炭素などの他のガスも含まれている。図3は平板型SOFCの構成例であるが、以上の点は、図3のような平板型のSOFCなどの場合も同様である。
【0009】
改質ガスの生成には、セルの内部で改質する内部改質方式と、別途設けた改質器で改質した後、セルに導入する外部改質方式とがある。内部改質方式のSOFCでは、燃料、例えばメタンを直接セルの内部(燃料極)で改質反応を行わせるために、メタンの量に合わせて一定量の水を同時に供給する必要がある。別途、水の供給系を設置することも可能であるが、利用済み燃料中に含まれる水蒸気を利用することも考えられている。
【0010】
図4は、利用済み燃料をリサイクルするタイプのSOFCスタックの概略を示す図である。利用済み燃料は、通常エジェクタを介して新たに供給する燃料に混合される。図4のとおり、利用済み燃料をリサイクルするタイプのSOFCスタックでは、未利用の水素、一酸化炭素に加えて、発電時に発生した水蒸気や二酸化炭素もリサイクルすることになる。循環された水素、一酸化炭素は燃料として利用され、循環された水蒸気はSOFCスタックに新たに供給される燃料の改質用に利用される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のように利用済み燃料をリサイクルして利用する場合には、利用済み燃料は高温であるため、非常に煩雑なシステムを構築することが必要となる。すなわち、その構築には、高温ファンやエジェクタなどが必要となる。エジェクタの場合は燃料の昇圧装置も必要となる。しかも、これら機器の構成材料には高度の耐熱性が要求されるため高価になってしまう。また、利用済み燃料をリサイクルせずに、水を供給する場合には、蒸留器やイオン交換器などの純水製造設備が必要となり、水ポンプも必要となる。
【0012】
そこで、本発明は、以上のように従来のSOFCシステムでは必須であった、水の供給の必要を皆無とするか、格段に軽減することにより、それらの問題を一挙に解決してなるSOFCシステム及びその運転方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃料に水を混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム及びその運転方法を提供する。
【0014】
本発明は、(B)燃料の空気または酸素による燃焼器と複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃焼器において燃料を完全燃焼させて生成した燃焼ガスを燃料に混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム及びその運転方法を提供する。
【0015】
本発明は、(C)燃料の空気または酸素による燃焼器と複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃焼器において水素、一酸化炭素及び水蒸気を生成する部分燃焼により生成した燃焼ガスを燃料に混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム及びその運転方法を提供する。
【0016】
本発明は、(D)燃料の空気または酸素による燃焼器と複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃焼器において水素及び一酸化炭素を生成する部分燃焼により生成した燃焼ガスを第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム及びその運転方法を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明(A)のSOFCシステム及びその運転方法においては、複数個のSOFCモジュール(SOFCモジュールを、本明細書中単にモジュールともいう)を第1段目から第n段目へと順次直列に多段に連結する。そして、燃料に水を混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電する。以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなる。
【0018】
燃料に混合された水により、燃料が第1段目のモジュールの電池内部(燃料極)で改質される。電池内部での改質に代えて、モジュールの外部で改質するようにしてもよい。この場合には第1段目のモジュールの燃料極の前に改質器を設け、これに水を混合した燃料を通すことで行うことができる。第1段目のモジュールにおいては、改質ガス中の水素及び一酸化炭素と空気極からの空気中の酸素との電気化学反応により発電する。水素及び一酸化炭素と空気極からの空気中の酸素との電気化学反応は下記式(1)〜(2)で示される。
【0019】
【化1】
【0020】
上記式(1)の反応により水蒸気が発生する。本発明においては、その水蒸気を第2段目のモジュールにおいて燃料の改質に必要な水蒸気として利用するものである。前述のとおり(図1)、これらの反応は燃料極側で生起する。このため、式(1)の反応で生成した水蒸気は燃料極オフガスに含まれているので、該燃料極オフガスを燃料に混合して第2段目のモジュールの燃料極に導入する。第2段目のモジュールで燃料の改質に必要な水蒸気は全て第1段目のモジュールからの燃料極オフガスに含まれている水蒸気で賄うことができるので、第2段目のモジュールに別途水を供給する必要がない。
【0021】
以降、第3段目のモジュールで必要な水蒸気として第2段目のモジュールからの燃料極オフガス中の水蒸気を利用する。こうして、順次、各段のモジュールで必要な水蒸気の全部を、それぞれ、当該各段の直前段のモジュールからの燃料極オフガス中の水蒸気だけで賄い、これにより従来のSOFCシステムでは必須であった水の供給を不要とするものである。水の供給は、第1段のモジュールに供給する燃料に対してだけに必要であり、このため、前述、従来のように水を供給する場合に比べて、水の必要量を格段に軽減することができる。
【0022】
ここで、本発明(A)〜(D)における各モジュールに供給する燃料及び本発明(B)〜(D)における燃焼器に供給する燃料としては、炭化水素、都市ガス、LPガス、天然ガス、ガソリン、軽油、灯油、ディーゼル油、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール等)、ジメチルエーテル(DME)などが用いられる。
【0023】
本発明(B)〜(D)のSOFCシステムにおいては、複数個のSOFCモジュールを第1段目から第n段目へと順次直列に多段に連結し、且つ、第1段目のSOFCモジュールの前段に燃料の空気または酸素による燃焼器を配置する。空気としては酸素富化空気を用いてもよい。
【0024】
本発明(B)においては、燃焼器において燃料を空気または酸素により完全燃焼させる。そして、生成燃焼ガスを燃料に混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなる。
【0025】
本発明(C)においては、燃焼器において水素、一酸化炭素及び水蒸気を生成する部分燃焼を行う。そして、生成燃焼ガスを燃料に混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなる。
【0026】
本発明(D)においては、燃焼器において水素及び一酸化炭素を生成する部分燃焼を行う。そして、生成燃焼ガスを第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなる。
【0027】
本発明(B)〜(D)においては、第1段目のモジュールからの燃料極オフガスには水蒸気が含まれているので、この水蒸気を第2段目のモジュールで必要な燃料の改質に利用する。これにより、第2段目のモジュール以降のモジュールで燃料の改質に必要な水は全て各前段のモジュールの燃料極オフガス中の水蒸気で賄えるので、新たに水を供給することは不要である。このため、前述、従来のように水を供給する場合に比べて、水の必要量を格段に軽減することができる。
【0028】
燃焼器は、バーナーによる燃焼形式でもよく燃焼触媒による燃焼形式でもよい。燃焼触媒による燃焼形式の場合、燃焼器は燃焼容器内に燃焼触媒を配置することで構成される。燃焼触媒としては、燃料を空気または酸素で燃焼させ得る触媒であれば特に限定はなく、例えば白金、パラジウム等の貴金属触媒などが用いられ、これらはアルミナ等の担体に担持した形で用いられる。
【0029】
燃料が例えばメタンの場合の燃焼反応は下記式(3)〜(5)で示される。他の燃料の場合についても同様である。このうち(3)は完全燃焼、(5)は部分燃焼、(4)は(3)と(5)の中間的部分燃焼である。完全燃焼(3)は本発明(B)で利用し、部分燃焼(4)は本発明(C)で利用し、部分燃焼(5)は本発明(D)で利用する。
【0030】
【化2】
【0031】
上記式(3)の完全燃焼においては、メタン1モルに対して水蒸気が2モル生成する。そこで、この完全燃焼は以下の態様で利用する。図5(a)はこの態様を説明する図である。図5(a)のとおり、燃焼器における燃料Aの空気による燃焼ガスを第1段目のモジュールに供給する燃料Bに混合して、該燃焼ガス中の水蒸気を燃料Bの改質に利用する。この場合、燃焼器での燃料Aの燃焼量を減らして、第1段目のモジュールに供給する燃料Bの改質に必要な水量に対して不足する水を補足的に供給して補うようにすることもできる。
【0032】
上記式(4)の中間的部分燃焼においては、水素及び一酸化炭素に加え、水蒸気が生成する。このうち水素及び一酸化炭素は第1段目のモジュールの燃料として利用し、水蒸気は燃料の改質に利用する。図5(b)はこの態様を説明する図である。第1の態様として、▲1▼第1段目のモジュールで必要な燃料の全部を燃料Aの燃焼ガスで賄う。この場合には、新たな燃料Bの供給は不要である。水を補足的に供給してもよい。第2の態様として、▲2▼第1段目のモジュールで必要な燃料の大部分から一部分までの間の適宜量を燃料Aの燃焼ガスで賄い、その不足分について燃料B及び水を供給する。これら▲1▼、▲2▼のいずれの態様でも、第1段目のモジュールでは水蒸気を含む燃料極オフガスが生成するので、該オフガスを第2段目のモジュールに供給する燃料Cに混合してその改質に利用する。
【0033】
上記式(5)の部分燃焼においては、水素及び一酸化炭素が生成し、これら両ガスを第1段目のモジュールの燃料として利用する。図5(c)はこの態様を説明する図である。第1の態様として、▲1▼第1段目のモジュールで必要な燃料の全部を、燃焼器における燃料Aの燃焼ガスで賄う。この場合には、新たな燃料の供給は不要である。水を補足的に供給してもよい。第2の態様として、▲2▼第1段目のモジュールで必要な燃料の大部分から一部分までの間の適宜量を、燃焼器における燃料Aの燃焼ガスで賄い、その不足分について燃料B及び水を供給する。これら▲1▼、▲2▼のいずれの態様でも、第1段目のモジュールでは水蒸気を含む燃料極オフガスが生成するので、該オフガスを第2段目のモジュールに供給する燃料Cに混合してその改質に利用する。
【0034】
本発明(A)〜(D)においては、順次直列に多段に連結した複数個のモジュールについて、各段のモジュールの発電規模を順次大きくすることにより、すなわち発電規模を、第1段目のモジュールより第2段目のモジュールを大きくする、第2段目のモジュールより第3段目のモジュールを大きくするというように、順次大きくすることにより、各段の直後段のモジュールにおいて、各段のモジュールで生成した水蒸気を有効に利用することができる。図6は、第1段目のモジュールの前段に燃焼器を配置し、各段のモジュールの発電規模を順次大きくする場合におけるSOFCシステムの態様を説明する図である。
【0035】
図6のとおり、燃焼器及び複数個(n個)のモジュールを第1段から順次直列に第n段に連結して構成する。そして、順次直列に多段に連結する複数個のモジュールにおける各モジュールの発電規模を、第1段目より第2段目を大きくする、第2段目より第3段目を大きくする、というように順次大きく構成する。順次大きくする仕方として、同一発電規模の単電池(セル)の個数を順次所定数増やすことにより行うこともできる。この場合には、各前段のモジュールからの燃料極オフガス中の水蒸気量で改質を賄い得る燃料量に対応して、各次段のモジュールの単電池の個数を設定できるので、設計上も非常に有利である。
【0036】
本発明(A)〜(D)に係るSOFCシステムにおけるSOFCモジュールとしては、作動温度が800〜1000℃程度と高いものはもちろん、支持膜式SOFCのように800℃程度以下、例えば750℃程度の温度で作動するモジュール〔特願2001−144034(特開2002−343376)、特願2001−176739、特願2002−28847等〕を用いることができる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を基に本発明をさらに詳しく説明するが、本発明が実施例に限定されないことはもちろんである。図7は本実施例のシステム構成を示す図である。本実施例は平板式の例であるが、円筒式の場合も同様である。
【0038】
本実施例では、図7のように、燃焼器であるバーナー及びこれに続けて4段(4個)のSOFCモジュールを直列に連結してSOFCシステムを構成した。単電池における電極面積を100cm2/セルとし、第1段目のSOFCモジュールは単電池数19個、第2段目のSOFCモジュールは単電池数37個、第3段目のSOFCモジュールは単電池数75個、第4段目のSOFCモジュールは単電池数150個をセットしたものである。バーナー及び各モジュールの空気極に空気を供給した。
【0039】
バーナー及び各モジュールに供給する燃料として、組成がCH4=88.5%(%=容量%、以下同じ)、C2H6=4.6%、C3H8=5.4%、C4H10=1.5%の都市ガス13A(脱硫済み)を用いた。図7中、A、B、C、D、Eは各箇所で導入する都市ガスを示している。B、C、D、Eの都市ガスの量は、水とS/C比(水/燃料中の炭素のモル比)=2.0として混合した時と同じ酸素分圧(2.1×10−21atm、750℃)となる量を導入した。
【0040】
ここで、SOFCモジュールにおける起電力は空気極の酸素分圧と燃料極の酸素分圧の比で決まり、その電圧E(ネルンストの式)は、E=RT/(4F)ln(空気極の酸素分圧/燃料極の酸素分圧)で表される。ここで、R=気体定数、T=温度、F=ファラデー定数である。空気極側の酸素分圧は0.21であることから、燃料極側の酸素分圧をこれと同じとすると、ほぼ同程度の発電性能が得られる。都市ガスと水をS/C比=2.0とすると、各ガス成分は平衡となり、酸素分圧=2.1×10−21atm(温度=750℃)となる。
【0041】
以上の前提から、バーナーにおいて、都市ガスを空気で完全燃焼すると、各箇所で導入する都市ガスの比率はA:B:C:D:E=0.8:1:2:4:8となる。電流密度を0.3A/cm2、電圧を0.75V/セルとし、燃料利用率を85%、各段のモジュールに導入する燃料及び空気の温度を700℃、導出されるガスの温度を800℃として都市ガス及び空気を以下のように供給して運転すると、第1段目〜第4段目の各段のモジュールではそれぞれ427W、832W、1665W、3375Wの電力が得られる。この間、水の供給は一切必要でなく、水の供給を無くして運転を続けることができる。
【0042】
バーナーでの燃焼:都市ガス=0.8NLM(NLM=Normal Liter per Minute、以下同じ)、空気=8.66NLM。
第1段目モジュール:都市ガス=1.0NLM、空気=32NLM。
第2段目モジュール:都市ガス=2.0NLM、空気=46NLM。
第3段目モジュール:都市ガス=4.0NLM、空気=105NLM。
第4段目モジュール:都市ガス=8.0NLM、空気=249NLM。
【0043】
【発明の効果】
本発明(A)によれば、第1段目のモジュールだけに水を供給すればよく、第2段目のモジュール以降は、別途水を新たに供給する必要を無くして運転を続けることができる。また、利用済み燃料をリサイクルする場合に必要な煩雑なシステムの構築を回避できるのに加え、利用済み燃料をリサイクルしない場合における水処理や水の供給を回避または軽減することができる。また、本発明(B)〜(D)によれば、水を別途新たに供給する必要を無くして運転を続けることができる。また、利用済み燃料をリサイクルする場合に必要な煩雑なシステムの構築を回避できるのに加え、利用済み燃料をリサイクルしない場合における水処理や水の供給を回避または軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】SOFCの構成を原理的に示す図
【図2】円筒型SOFCの構成例の概略を示す図
【図3】平板型SOFCの構成例の概略を示す図
【図4】利用済み燃料をリサイクルするタイプのSOFCの概略を示す図
【図5】燃焼器での各燃焼反応(3)〜(5)に対応した態様を説明する図
【図6】本発明の構成態様例を示す図
【図7】実施例におけるシステム構成を示す図
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体酸化物形燃料電池システムにおいて、燃料の改質に用いる水の供給を不要とするか、格段に軽減するようにしてなる固体酸化物形燃料電池システム及びその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体酸化物形燃料電池〔SOFC(=Solid Oxide Fuel Cells):以下適宜SOFCと略称する〕は、作動温度が800〜1000℃の範囲、通常1000℃程度と高い。SOFCの単電池すなわちセルは固体酸化物電解質を挟んで燃料極及び空気極(酸化剤として酸素が用いられる場合は酸素極)が配置され、燃料極/電解質(=固体酸化物電解質)/空気極の3層ユニットで構成される。図1はその構成を原理的に説明する図である。
【0003】
空気極に導入される空気中の酸素は空気極で酸化物イオン(O2−)となり、固体酸化物電解質を通って燃料極に至る。ここで、燃料極に導入される燃料と反応して電子を放出し、電気と水や二酸化炭素等の反応生成物を生成する。空気極での利用済み空気は空気極オフガスとして排出され、燃料極での利用済み燃料は、未利用の燃料及び水蒸気や二酸化炭素等の反応生成物を含む燃料極オフガスとして排出される。単電池1個の電圧は低いため、通常、単電池を複数層積層して構成される。
【0004】
SOFCには円筒方式(=円筒型)や平板方式(=平板型)などがあるが、図2は円筒型SOFCの構成例の概略を示す図である。図2中左側の図のとおり、ケーシング1内に複数個の円筒型セルが支持、配置される。ケーシング1はケーシング2内に収容され、ケーシング2はその上部でヘッダーを形成している。各円筒型セルは内管と外管との2重管からなり、外管が電解質材料で構成されている。
【0005】
内管は空気供給管で、外管内に間隔を置いて配置されている。空気は、空気供給用ヘッダーに導入され、ここから各内管内を通り、その下部で折り返して、内管と外管との間を上方へ流通する。一方、燃料は、ケーシング1の下部から導入され、各外管すなわち各円筒型セルの外側を上方へ流通し、各セルの燃料側すなわち燃料が流れている側で空気中の酸素との電気化学反応により発電する。
【0006】
ところで、SOFCにおいては、燃料を改質し、改質ガス中の水素及び一酸化炭素(CO)が電気化学反応に寄与する。しかし改質ガス中の水素及び一酸化炭素は、その全部を発電に利用することはできない。SOFCにおいては、通常、供給された燃料のうち80〜90%が利用され、残りの10〜20%は未利用のままセルスタック外に排出される。
【0007】
このため、利用済み燃料中の未利用の燃料は未利用の空気により燃焼させて排出される。図2の例では、ケーシング1内の上部において、未利用の燃料が未利用の空気により燃焼し排ガスとして排出される。図2中右側の図は、ケーシング1内上方の一部を拡大して示す図で、SOFCで未利用の燃料に含まれる水素及び一酸化炭素の燃焼状況を示している。
【0008】
燃料がメタンである場合、改質ガス中の水素と一酸化炭素の組成(モル)比は3:1であり(CH4+H2O→3H2+CO)、発電に使用した水素及び一酸化炭素は、それぞれ水蒸気及び二酸化炭素になる。このようにSOFCでの利用済み燃料には未利用の水素及び一酸化炭素のほか、水蒸気や二酸化炭素などの他のガスも含まれている。図3は平板型SOFCの構成例であるが、以上の点は、図3のような平板型のSOFCなどの場合も同様である。
【0009】
改質ガスの生成には、セルの内部で改質する内部改質方式と、別途設けた改質器で改質した後、セルに導入する外部改質方式とがある。内部改質方式のSOFCでは、燃料、例えばメタンを直接セルの内部(燃料極)で改質反応を行わせるために、メタンの量に合わせて一定量の水を同時に供給する必要がある。別途、水の供給系を設置することも可能であるが、利用済み燃料中に含まれる水蒸気を利用することも考えられている。
【0010】
図4は、利用済み燃料をリサイクルするタイプのSOFCスタックの概略を示す図である。利用済み燃料は、通常エジェクタを介して新たに供給する燃料に混合される。図4のとおり、利用済み燃料をリサイクルするタイプのSOFCスタックでは、未利用の水素、一酸化炭素に加えて、発電時に発生した水蒸気や二酸化炭素もリサイクルすることになる。循環された水素、一酸化炭素は燃料として利用され、循環された水蒸気はSOFCスタックに新たに供給される燃料の改質用に利用される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のように利用済み燃料をリサイクルして利用する場合には、利用済み燃料は高温であるため、非常に煩雑なシステムを構築することが必要となる。すなわち、その構築には、高温ファンやエジェクタなどが必要となる。エジェクタの場合は燃料の昇圧装置も必要となる。しかも、これら機器の構成材料には高度の耐熱性が要求されるため高価になってしまう。また、利用済み燃料をリサイクルせずに、水を供給する場合には、蒸留器やイオン交換器などの純水製造設備が必要となり、水ポンプも必要となる。
【0012】
そこで、本発明は、以上のように従来のSOFCシステムでは必須であった、水の供給の必要を皆無とするか、格段に軽減することにより、それらの問題を一挙に解決してなるSOFCシステム及びその運転方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃料に水を混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム及びその運転方法を提供する。
【0014】
本発明は、(B)燃料の空気または酸素による燃焼器と複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃焼器において燃料を完全燃焼させて生成した燃焼ガスを燃料に混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム及びその運転方法を提供する。
【0015】
本発明は、(C)燃料の空気または酸素による燃焼器と複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃焼器において水素、一酸化炭素及び水蒸気を生成する部分燃焼により生成した燃焼ガスを燃料に混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム及びその運転方法を提供する。
【0016】
本発明は、(D)燃料の空気または酸素による燃焼器と複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃焼器において水素及び一酸化炭素を生成する部分燃焼により生成した燃焼ガスを第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム及びその運転方法を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明(A)のSOFCシステム及びその運転方法においては、複数個のSOFCモジュール(SOFCモジュールを、本明細書中単にモジュールともいう)を第1段目から第n段目へと順次直列に多段に連結する。そして、燃料に水を混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電する。以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなる。
【0018】
燃料に混合された水により、燃料が第1段目のモジュールの電池内部(燃料極)で改質される。電池内部での改質に代えて、モジュールの外部で改質するようにしてもよい。この場合には第1段目のモジュールの燃料極の前に改質器を設け、これに水を混合した燃料を通すことで行うことができる。第1段目のモジュールにおいては、改質ガス中の水素及び一酸化炭素と空気極からの空気中の酸素との電気化学反応により発電する。水素及び一酸化炭素と空気極からの空気中の酸素との電気化学反応は下記式(1)〜(2)で示される。
【0019】
【化1】
【0020】
上記式(1)の反応により水蒸気が発生する。本発明においては、その水蒸気を第2段目のモジュールにおいて燃料の改質に必要な水蒸気として利用するものである。前述のとおり(図1)、これらの反応は燃料極側で生起する。このため、式(1)の反応で生成した水蒸気は燃料極オフガスに含まれているので、該燃料極オフガスを燃料に混合して第2段目のモジュールの燃料極に導入する。第2段目のモジュールで燃料の改質に必要な水蒸気は全て第1段目のモジュールからの燃料極オフガスに含まれている水蒸気で賄うことができるので、第2段目のモジュールに別途水を供給する必要がない。
【0021】
以降、第3段目のモジュールで必要な水蒸気として第2段目のモジュールからの燃料極オフガス中の水蒸気を利用する。こうして、順次、各段のモジュールで必要な水蒸気の全部を、それぞれ、当該各段の直前段のモジュールからの燃料極オフガス中の水蒸気だけで賄い、これにより従来のSOFCシステムでは必須であった水の供給を不要とするものである。水の供給は、第1段のモジュールに供給する燃料に対してだけに必要であり、このため、前述、従来のように水を供給する場合に比べて、水の必要量を格段に軽減することができる。
【0022】
ここで、本発明(A)〜(D)における各モジュールに供給する燃料及び本発明(B)〜(D)における燃焼器に供給する燃料としては、炭化水素、都市ガス、LPガス、天然ガス、ガソリン、軽油、灯油、ディーゼル油、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール等)、ジメチルエーテル(DME)などが用いられる。
【0023】
本発明(B)〜(D)のSOFCシステムにおいては、複数個のSOFCモジュールを第1段目から第n段目へと順次直列に多段に連結し、且つ、第1段目のSOFCモジュールの前段に燃料の空気または酸素による燃焼器を配置する。空気としては酸素富化空気を用いてもよい。
【0024】
本発明(B)においては、燃焼器において燃料を空気または酸素により完全燃焼させる。そして、生成燃焼ガスを燃料に混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなる。
【0025】
本発明(C)においては、燃焼器において水素、一酸化炭素及び水蒸気を生成する部分燃焼を行う。そして、生成燃焼ガスを燃料に混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなる。
【0026】
本発明(D)においては、燃焼器において水素及び一酸化炭素を生成する部分燃焼を行う。そして、生成燃焼ガスを第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなる。
【0027】
本発明(B)〜(D)においては、第1段目のモジュールからの燃料極オフガスには水蒸気が含まれているので、この水蒸気を第2段目のモジュールで必要な燃料の改質に利用する。これにより、第2段目のモジュール以降のモジュールで燃料の改質に必要な水は全て各前段のモジュールの燃料極オフガス中の水蒸気で賄えるので、新たに水を供給することは不要である。このため、前述、従来のように水を供給する場合に比べて、水の必要量を格段に軽減することができる。
【0028】
燃焼器は、バーナーによる燃焼形式でもよく燃焼触媒による燃焼形式でもよい。燃焼触媒による燃焼形式の場合、燃焼器は燃焼容器内に燃焼触媒を配置することで構成される。燃焼触媒としては、燃料を空気または酸素で燃焼させ得る触媒であれば特に限定はなく、例えば白金、パラジウム等の貴金属触媒などが用いられ、これらはアルミナ等の担体に担持した形で用いられる。
【0029】
燃料が例えばメタンの場合の燃焼反応は下記式(3)〜(5)で示される。他の燃料の場合についても同様である。このうち(3)は完全燃焼、(5)は部分燃焼、(4)は(3)と(5)の中間的部分燃焼である。完全燃焼(3)は本発明(B)で利用し、部分燃焼(4)は本発明(C)で利用し、部分燃焼(5)は本発明(D)で利用する。
【0030】
【化2】
【0031】
上記式(3)の完全燃焼においては、メタン1モルに対して水蒸気が2モル生成する。そこで、この完全燃焼は以下の態様で利用する。図5(a)はこの態様を説明する図である。図5(a)のとおり、燃焼器における燃料Aの空気による燃焼ガスを第1段目のモジュールに供給する燃料Bに混合して、該燃焼ガス中の水蒸気を燃料Bの改質に利用する。この場合、燃焼器での燃料Aの燃焼量を減らして、第1段目のモジュールに供給する燃料Bの改質に必要な水量に対して不足する水を補足的に供給して補うようにすることもできる。
【0032】
上記式(4)の中間的部分燃焼においては、水素及び一酸化炭素に加え、水蒸気が生成する。このうち水素及び一酸化炭素は第1段目のモジュールの燃料として利用し、水蒸気は燃料の改質に利用する。図5(b)はこの態様を説明する図である。第1の態様として、▲1▼第1段目のモジュールで必要な燃料の全部を燃料Aの燃焼ガスで賄う。この場合には、新たな燃料Bの供給は不要である。水を補足的に供給してもよい。第2の態様として、▲2▼第1段目のモジュールで必要な燃料の大部分から一部分までの間の適宜量を燃料Aの燃焼ガスで賄い、その不足分について燃料B及び水を供給する。これら▲1▼、▲2▼のいずれの態様でも、第1段目のモジュールでは水蒸気を含む燃料極オフガスが生成するので、該オフガスを第2段目のモジュールに供給する燃料Cに混合してその改質に利用する。
【0033】
上記式(5)の部分燃焼においては、水素及び一酸化炭素が生成し、これら両ガスを第1段目のモジュールの燃料として利用する。図5(c)はこの態様を説明する図である。第1の態様として、▲1▼第1段目のモジュールで必要な燃料の全部を、燃焼器における燃料Aの燃焼ガスで賄う。この場合には、新たな燃料の供給は不要である。水を補足的に供給してもよい。第2の態様として、▲2▼第1段目のモジュールで必要な燃料の大部分から一部分までの間の適宜量を、燃焼器における燃料Aの燃焼ガスで賄い、その不足分について燃料B及び水を供給する。これら▲1▼、▲2▼のいずれの態様でも、第1段目のモジュールでは水蒸気を含む燃料極オフガスが生成するので、該オフガスを第2段目のモジュールに供給する燃料Cに混合してその改質に利用する。
【0034】
本発明(A)〜(D)においては、順次直列に多段に連結した複数個のモジュールについて、各段のモジュールの発電規模を順次大きくすることにより、すなわち発電規模を、第1段目のモジュールより第2段目のモジュールを大きくする、第2段目のモジュールより第3段目のモジュールを大きくするというように、順次大きくすることにより、各段の直後段のモジュールにおいて、各段のモジュールで生成した水蒸気を有効に利用することができる。図6は、第1段目のモジュールの前段に燃焼器を配置し、各段のモジュールの発電規模を順次大きくする場合におけるSOFCシステムの態様を説明する図である。
【0035】
図6のとおり、燃焼器及び複数個(n個)のモジュールを第1段から順次直列に第n段に連結して構成する。そして、順次直列に多段に連結する複数個のモジュールにおける各モジュールの発電規模を、第1段目より第2段目を大きくする、第2段目より第3段目を大きくする、というように順次大きく構成する。順次大きくする仕方として、同一発電規模の単電池(セル)の個数を順次所定数増やすことにより行うこともできる。この場合には、各前段のモジュールからの燃料極オフガス中の水蒸気量で改質を賄い得る燃料量に対応して、各次段のモジュールの単電池の個数を設定できるので、設計上も非常に有利である。
【0036】
本発明(A)〜(D)に係るSOFCシステムにおけるSOFCモジュールとしては、作動温度が800〜1000℃程度と高いものはもちろん、支持膜式SOFCのように800℃程度以下、例えば750℃程度の温度で作動するモジュール〔特願2001−144034(特開2002−343376)、特願2001−176739、特願2002−28847等〕を用いることができる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を基に本発明をさらに詳しく説明するが、本発明が実施例に限定されないことはもちろんである。図7は本実施例のシステム構成を示す図である。本実施例は平板式の例であるが、円筒式の場合も同様である。
【0038】
本実施例では、図7のように、燃焼器であるバーナー及びこれに続けて4段(4個)のSOFCモジュールを直列に連結してSOFCシステムを構成した。単電池における電極面積を100cm2/セルとし、第1段目のSOFCモジュールは単電池数19個、第2段目のSOFCモジュールは単電池数37個、第3段目のSOFCモジュールは単電池数75個、第4段目のSOFCモジュールは単電池数150個をセットしたものである。バーナー及び各モジュールの空気極に空気を供給した。
【0039】
バーナー及び各モジュールに供給する燃料として、組成がCH4=88.5%(%=容量%、以下同じ)、C2H6=4.6%、C3H8=5.4%、C4H10=1.5%の都市ガス13A(脱硫済み)を用いた。図7中、A、B、C、D、Eは各箇所で導入する都市ガスを示している。B、C、D、Eの都市ガスの量は、水とS/C比(水/燃料中の炭素のモル比)=2.0として混合した時と同じ酸素分圧(2.1×10−21atm、750℃)となる量を導入した。
【0040】
ここで、SOFCモジュールにおける起電力は空気極の酸素分圧と燃料極の酸素分圧の比で決まり、その電圧E(ネルンストの式)は、E=RT/(4F)ln(空気極の酸素分圧/燃料極の酸素分圧)で表される。ここで、R=気体定数、T=温度、F=ファラデー定数である。空気極側の酸素分圧は0.21であることから、燃料極側の酸素分圧をこれと同じとすると、ほぼ同程度の発電性能が得られる。都市ガスと水をS/C比=2.0とすると、各ガス成分は平衡となり、酸素分圧=2.1×10−21atm(温度=750℃)となる。
【0041】
以上の前提から、バーナーにおいて、都市ガスを空気で完全燃焼すると、各箇所で導入する都市ガスの比率はA:B:C:D:E=0.8:1:2:4:8となる。電流密度を0.3A/cm2、電圧を0.75V/セルとし、燃料利用率を85%、各段のモジュールに導入する燃料及び空気の温度を700℃、導出されるガスの温度を800℃として都市ガス及び空気を以下のように供給して運転すると、第1段目〜第4段目の各段のモジュールではそれぞれ427W、832W、1665W、3375Wの電力が得られる。この間、水の供給は一切必要でなく、水の供給を無くして運転を続けることができる。
【0042】
バーナーでの燃焼:都市ガス=0.8NLM(NLM=Normal Liter per Minute、以下同じ)、空気=8.66NLM。
第1段目モジュール:都市ガス=1.0NLM、空気=32NLM。
第2段目モジュール:都市ガス=2.0NLM、空気=46NLM。
第3段目モジュール:都市ガス=4.0NLM、空気=105NLM。
第4段目モジュール:都市ガス=8.0NLM、空気=249NLM。
【0043】
【発明の効果】
本発明(A)によれば、第1段目のモジュールだけに水を供給すればよく、第2段目のモジュール以降は、別途水を新たに供給する必要を無くして運転を続けることができる。また、利用済み燃料をリサイクルする場合に必要な煩雑なシステムの構築を回避できるのに加え、利用済み燃料をリサイクルしない場合における水処理や水の供給を回避または軽減することができる。また、本発明(B)〜(D)によれば、水を別途新たに供給する必要を無くして運転を続けることができる。また、利用済み燃料をリサイクルする場合に必要な煩雑なシステムの構築を回避できるのに加え、利用済み燃料をリサイクルしない場合における水処理や水の供給を回避または軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】SOFCの構成を原理的に示す図
【図2】円筒型SOFCの構成例の概略を示す図
【図3】平板型SOFCの構成例の概略を示す図
【図4】利用済み燃料をリサイクルするタイプのSOFCの概略を示す図
【図5】燃焼器での各燃焼反応(3)〜(5)に対応した態様を説明する図
【図6】本発明の構成態様例を示す図
【図7】実施例におけるシステム構成を示す図
Claims (18)
- 複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃料に水を混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
- 燃料の空気または酸素による燃焼器と複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃焼器において燃料を完全燃焼させて生成した燃焼ガスを燃料に混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
- 燃料の空気または酸素による燃焼器と複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃焼器において水素、一酸化炭素及び水蒸気を生成する部分燃焼により生成した燃焼ガスを燃料に混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
- 請求項2または3に記載の固体酸化物形燃料電池システムにおいて、燃焼器で生成する燃焼ガスとともに、水を補足的に燃料に混合して第1段目の固体酸化物形燃料電池モジュールに供給するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
- 燃料の空気または酸素による燃焼器と複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃焼器において水素及び一酸化炭素を生成する部分燃焼により生成した燃焼ガスを第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池システムにおいて、順次直列に連結した複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールにおける各固体酸化物形燃料電池モジュールの発電規模を順次大きくしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
- 請求項6に記載の固体酸化物形燃料電池システムにおいて、順次大きくする固体酸化物形燃料電池モジュールの発電規模を同一発電規模の単電池の個数を順次増やすことにより行うようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
- 複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃料に水を混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電することを特徴とする固体酸化物形燃料電池システムの運転方法。
- 燃料の空気または酸素による燃焼器と複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃焼器において燃料を完全燃焼させ、生成燃焼ガスを燃料に混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電することを特徴とする固体酸化物形燃料電池システムの運転方法。
- 燃料の空気または酸素による燃焼器と複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃焼器において燃料の部分燃焼により水素、一酸化炭素及び水蒸気からなる燃焼ガスを生成し、生成燃焼ガスを燃料に混合して第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電することを特徴とする固体酸化物形燃料電池システムの運転方法。
- 請求項9または10に記載の固体酸化物形燃料電池システムの運転方法において、燃焼ガスとともに、水を補足的に燃料に混合して第1段目の固体酸化物形燃料電池モジュールに供給することを特徴とする固体酸化物形燃料電池システムの運転方法。
- 請求項10に記載の固体酸化物形燃料電池システムの運転方法において、燃焼器における燃焼を、第1段目のモジュールで必要な燃料の大部分から一部分までの間の適宜量を生成するように行い、その燃焼ガスとともに、その不足分の燃料及び水を第1段目のモジュールに供給することを特徴とする固体酸化物形燃料電池システムの運転方法。
- 燃料の空気または酸素による燃焼器と複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールを順次直列に連結し、燃焼器において水素及び一酸化炭素からなる燃焼ガスを生成する部分燃焼を行い、該燃焼ガスを第1段目のモジュールに供給して発電し、第1段目のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して第2段目のモジュールに供給して発電し、以降順次、各前段のモジュールから排出される燃料極オフガスに燃料を混合して各次段のモジュールに供給して発電することを特徴とする固体酸化物形燃料電池システムの運転方法。
- 請求項13に記載の固体酸化物形燃料電池システムの運転方法において、第1段目のモジュールに、燃焼ガスとともに、水を補足的に供給することを特徴とする固体酸化物形燃料電池システムの運転方法。
- 請求項13に記載の固体酸化物形燃料電池システムの運転方法において、燃焼器における燃焼を、第1段目のモジュールで必要な燃料の大部分から一部分までの間の適宜量を生成するように行い、該燃焼ガスとともに、その不足分の燃料及び水を第1段目のモジュールに供給することを特徴とする固体酸化物形燃料電池システムの運転方法。
- 請求項8〜15のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池システムの運転方法において、順次直列に連結した複数個の固体酸化物形燃料電池モジュールにおける各固体酸化物形燃料電池モジュールの発電規模を順次大きくすることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システムの運転方法。
- 請求項16に記載の固体酸化物形燃料電池システムの運転方法において、順次大きくする固体酸化物形燃料電池モジュールの発電規模を、同一発電規模の単電池の個数を順次増やすことにより行うことを特徴とする固体酸化物形燃料電池システムの運転方法。
- 前記燃料が炭化水素、都市ガス、LPガス、天然ガス、ガソリン、軽油、灯油、ディーゼル油、アルコール類またはジメチルエーテルであることを特徴とする請求項8〜17のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池システムの運転方法。
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