JP2004249251A - フッ素含有水の処理方法 - Google Patents

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慎一 吉川
Makiko Udagawa
万規子 宇田川
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雅智 渡部
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Abstract

【課題】生成したフッ化カルシウムをフラックスの低下を最小限に抑えてろ過分離するとともに、発生する汚泥の量を少なくする。
【解決手段】被処理水22中のフッ素イオン16をカルシウムイオン18と反応させ、生成したフッ化カルシウム20を透過膜28によって分離除去するフッ素含有水の処理方法において、種晶32となる粉末を懸濁させたスラリー54を前記透過膜28でろ過することによって、予め透過膜28の一次側30の膜面上に種晶32のプレコート層を形成する。次いで被処理水22をプレコート層が形成された透過膜28でろ過する。種晶32としてフッ化カルシウムを主成分とする粉末を用い、この種晶32のプレコート層を間欠的に更新する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフッ素含有水の処理方法に係り、特に被処理水中のフッ素イオンをフッ化カルシウムとして不溶化し除去するようにしたフッ素含有水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素含有水からフッ素を除去する方法としては、被処理水に消石灰や炭酸カルシウムなどのカルシウム化合物を添加し、被処理水中のフッ素イオンをフッ化カルシウムとして不溶化する方法が周知である。不溶化したフッ化カルシウムを沈殿分離することによって、フッ素含有水からフッ素が除去される。フッ素イオンとカルシウムイオンとが結合して被処理水中で生成されるフッ化カルシウムは微細であり、沈降性がきわめて悪い。このため、沈殿分離にあたっては無機系の凝集剤を添加し、生成したフッ化カルシウムを凝集させる凝集沈殿分離が一般に実施されている。しかしながら、この凝集沈殿によって満足できる分離効果を挙げるためには多量の凝集剤が必要である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
その結果、凝集剤のコストが膨大になるとともに、沈殿分離によって発生する汚泥の量も膨大となり、汚泥処理に多大な手間と費用を要するという問題を抱えていた。汚泥をセメント材料として再利用することも一時行われていたが、凝集剤には塩素を含むものが多く、この塩素がセメントの質を低下させ、またコンクリートの鉄筋を腐蝕させる原因になることが判明し、近年はこのような再利用の方途も閉ざされている。
【0004】
このため、不溶化したフッ化カルシウムを被処理水から分離するために、凝集沈殿分離に代え、精密ろ過膜や限外ろ過膜などの透過膜を用いて膜分離する方法が提案されている(例えば、特許文献2,特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特許第2912237号公報
【特許文献2】特開2000−263063号公報
【特許文献3】特開2001−334265号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ただし、膜分離による方法は透過膜の目詰まりによるフラックスの低下が起こり易く、処理水量を安定に維持することが困難であり、メンテナンスに多大な手間を要するという基本的な問題がある。この問題を改善するために、特許文献2、特許文献3では凝集剤の添加を併用し、透過膜の膜面をろ過操作の過程でも常時洗浄するなどして、フラックスの低下を抑える工夫をしている。しかしながら、このような工夫を講じてもフラックスの低下を十分には抑えることができず、また、凝集剤を併用するので発生する汚泥の量も多くなり、汚泥処理に多大な手間と費用を要するという問題を依然として抱えていた。
【0007】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を改善し、生成したフッ化カルシウムをろ過分離する際に、フラックスの低下を最小限に抑えることができるフッ素含有水の処理方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は添加する凝集剤の量を零又は最小限に抑えて、発生する汚泥の量を少なくすることができるフッ素含有水の処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るフッ素含有水の処理方法は、被処理水中のフッ素イオンをカルシウムイオンと反応させ、生成したフッ化カルシウムを透過膜によって分離除去するフッ素含有水の処理方法において、種晶となる粉末を懸濁させたスラリーを予め前記透過膜でろ過することによって、前記透過膜の一次側の膜面上に種晶のプレコート層を形成した後、前記被処理水を前記プレコート層が形成された透過膜でろ過することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は前記種晶となる粉末がフッ化カルシウムを主成分とする粉末であることを特徴とする。また、本発明は前記プレコート層を間欠的に更新することを特徴とする。この場合、前記ろ過によって成長したプレコート層を剥離し、剥離された種晶を粉砕したものを新たな種晶として前記プレコート層の形成に再利用することが好ましい。
【0010】
【作用】
本発明は生成したフッ化カルシウムを透過膜によって分離する際に、未反応のフッ素イオンが透過膜の膜面内部でカルシウムイオンと反応すること、そしてこの反応生成物であるフッ化カルシウムが透過膜の目詰まりを促進し、フラックスの低下を招くことに着目してなされたものである。すなわち、本発明によれば予め透過膜の一次側の膜面上に種晶のプレコート層を形成する。このプレコート層が不溶化した微細なフッ化カルシウムその他の懸濁物質のろ過層として機能する。また、未反応のフッ素イオンはプレコート層の表面又はプレコート層を通過する過程でカルシウムイオンと反応し、反応生成物であるフッ化カルシウムは確実に種晶の表面に析出する。このため、フッ素イオンが未反応の状態で透過膜の膜面内部に到達することを防ぐ。このため、透過膜内でのフッ化カルシウムの生成が激減し、透過膜の目詰まりを大幅に抑制できる。透過膜はもっぱらプレコート層を支持するための支持材として機能する。
【0011】
種晶としてはフッ化カルシウムを主成分とした粉末や、炭酸カルシウム粉末などが用いられる。特に種晶としてフッ化カルシウムを主成分とする粉末を用いると、種晶表面でのフッ化カルシウムの析出反応が促進される。この析出したフッ化カルシウムが新たな種晶として機能し、プレコート層は次第に肥大していく。長時間の運転によって肥大したプレコート層自体がろ過抵抗となるので透過膜から剥離させ、剥離後の透過膜には新たな種晶をプレコーティングして、プレコート層を間欠的に更新する。このプレコート層の更新に際して、剥離した肥大種晶を粉砕したものを新たな種晶として再利用することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るフッ素含有水の処理方法の実施形態を説明するための系統図である。反応槽10にはフッ素イオンを含有する被処理水12が供給される。また、反応槽10にはカルシウムイオンの供給源として水酸化カルシウムの水溶液14が添加される。この水酸化カルシウムの添加量は被処理水12に含まれるフッ素イオンの全量がフッ化カルシウムとなるのに必要な反応当量以上とされる。その結果、反応槽10ではフッ素イオン16とカルシウムイオン18とが結合してフッ化カルシウム20を生成するとともに、未反応のフッ素イオン16とカルシウムイオン18が共存することになる。フッ化カルシウム20の被処理水に対する溶解度は被処理水の温度やpH条件などによって変化するが通常レベルで10mg/L前後である。したがって、フッ化カルシウム20の濃度が上記溶解度を越える場合には、反応槽10には溶解したフッ化カルシウムと析出した微細なフッ化カルシウムとが共存している。これらのフッ化カルシウム20,フッ素イオン16,カルシウムイオン18を含む被処理水22は、循環ポンプ24によって膜分離手段26に送られる。この膜分離手段26は精密ろ過膜又は限外ろ過膜などの透過膜28を備えており、被処理水22は透過膜28の一次側30に流入する。透過膜28としてはチューブラ型やモノリス型のほか、膜表面に付着した固形物の物理的洗浄に効果の高い回転平膜などが好ましく用いられる。
【0013】
この透過膜28の一次側30には予め種晶32がプレコーティングされており、所定厚みのプレコート層を形成している。プレコーティング操作は、種晶タンク52で調整した種晶となる粉末を懸濁させたスラリー54をポンプ24によって透過膜28の一次側30に供給し透過膜28でろ過することによって、透過膜28の一次側の膜面上に種晶32のプレコート層を形成する。種晶32の粒径は透過膜28の膜孔径よりも大きいものを用いる。
【0014】
種晶32としてはフッ化カルシウムを主成分とした粉末や、炭酸カルシウム粉末などが用いられる。特に種晶32としてフッ化カルシウムを主成分とする粉末を用いると、種晶表面でのフッ化カルシウムの析出反応が促進されるので好ましい。フッ化カルシウムを主成分とする粉末としては例えば下関三井化学(株)製の商標「ノボロック」や菱江化学(株)製の商標「エフソン」などのフッ素吸着剤として市販されているものも使用することができる。
【0015】
透過膜28の一次側30に形成された種晶32のプレコート層が被処理水22のろ過層として機能する。このため、透過膜28の一次側30に流入した被処理水22中の不溶化した微細なフッ化カルシウム20その他の懸濁物質が種晶32のプレコート層によって捕捉される。また、被処理水22中に溶解しているフッ化カルシウムも晶析作用によって種晶32の表面に析出する。さらに、被処理水22中の未反応のフッ素イオン16はプレコート層の表面又はプレコート層を通過する過程でカルシウムイオン18と反応し、反応生成物であるフッ化カルシウム20は確実に種晶32の表面に析出する。このため、フッ素イオン16が未反応の状態で透過膜28の膜面内部に到達することを防ぎ、透過膜28の目詰まりを大幅に抑制できる。このように本実施形態では種晶32のプレコート層が被処理水22のろ過層として機能しており、透過膜28はもっぱらろ過層である種晶32を支持するための支持材として機能する。
【0016】
上記種晶32のプレコート層及び透過膜28を透過し、透過膜28の二次側34に達したろ過水36は、一旦、処理水槽38に貯留された後、処理水40として系外に排出される。なお、透過膜28の一次側30に流入した被処理水22の内、ろ過操作を受けなかった残余の被処理水22は管路42から反応槽10に返送され、繰り返し循環する過程でフッ化カルシウム20の生成反応が徐々に進行する。
【0017】
種晶32のプレコート層に捕捉され、又は析出したフッ化カルシウム20が新たな種晶材として機能し、プレコート層は次第に肥大していく。長時間の運転によって肥大したプレコート層自体がろ過抵抗となるので、プレコート層を透過膜28から剥離する剥離操作を実施する。この剥離操作はプレコート層と透過膜28とのろ過抵抗を合算した透過圧力が設定値以上になった場合や、プレコート層の表面が不純物によって覆われフッ素処理能力が低下した場合などに、定期,不定期を問わず間欠的に実施する。剥離操作としては透過膜28の型式に応じて最も効果的な方法を選択する。例えば処理水槽38に貯留されたろ過水36を逆洗ポンプ44によって透過膜28の二次側34に送り透過膜28を逆洗する。又は透過膜28の一次側30に圧縮空気や圧縮水を吹き付ける。又は透過膜28の一次側30をスクレーパやスポンジボールを用いて機械的に擦洗する。又はこれらの方法を組み合わせて剥離操作を実施することもできる。
【0018】
剥離した種晶を含む汚泥46は一旦、貯留槽48に収容した後に処理処分する。種晶としてフッ化カルシウムを主成分とする粉末を用いた場合には、発生した汚泥46もフッ化カルシウムを主成分としているので化学原料としての再利用価値が高い。本実施形態では通常は凝集剤を用いる必要がないので、汚泥46の発生量も少ない。このため、仮に汚泥46に不純物が多く再利用が難しい場合でも処理処分のための経費を最小限に抑えることができる。
【0019】
剥離後の透過膜28には新たな種晶32をプレコーティングして、プレコート層を間欠的に更新する。このプレコート層の更新に際して、剥離した肥大種晶を粉砕したものを新たな種晶として再利用することができる。すなわち、前記汚泥46を種晶再生設備50に送り、フッ化カルシウムを主体とした肥大種晶を適当な手段で選別した後に粉砕する。次に、種晶再生設備50では粉砕物の中から適当な粒径のものを分級し、これを新たな種晶32として種晶タンク52に送り込む。種晶タンク52ではこの新たな種晶32と水とを混合してスラリー54を調整する。このスラリー54を循環ポンプ24によって前記剥離後の透過膜28の一次側30に送って、透過膜28の表面に新たな種晶32をプレコーティングする。その後、被処理水22のろ過操作を再開する。
【0020】
上述のとおり、本実施形態のフッ素含有水の処理方法によれば、透過膜28の表面がプレコーティングした種晶32によって覆われているので、このプレコート層が不溶化した微細なフッ化カルシウム20その他の懸濁物質のろ過層として機能する。また、溶解したフッ化カルシウムを晶析作用によって種晶32の表面に析出させる。さらに、未反応のフッ素イオンはプレコート層の表面又はプレコート層を通過する過程でカルシウムイオンと反応し、反応生成物であるフッ化カルシウム20は確実に種晶32の表面に析出する。このため、ろ過水36中のフッ素濃度を十分に低減できるとともに、透過膜の目詰まりを大幅に抑制できる。透過膜28はもっぱらプレコート層を支持するための支持材として機能する。
【0021】
本発明は上記本実施形態に限定されない。例えば、上記本実施形態に係る反応槽10と膜分離手段26とを一体化し、槽内に膜分離手段を浸漬した構造の反応槽を用いるようにしてもよい。また、プレコート層の更新方法として、肥大したプレコート層の表面部分のみを応急的に削り取る方法を採用することもできる。この方法によればプレコート層のろ過抵抗を低減できるので、本格的なプレコート層の剥離,再プレコーティング操作の頻度を大幅に低減することができる。
【0022】
なお、本発明は凝集剤の使用を否定するものではない。上記本実施形態においてプレコート層の更新操作の頻度を少なくする目的で、必要に応じて反応槽10に少量の凝集剤56を添加するようにしてもよい。凝集剤56の添加によってフッ化カルシウムその他微細な懸濁物質が相互に凝集し、プレコート層でのろ過抵抗の上昇を抑制する。また、上記本実施形態において必要に応じてpH調整剤58を反応槽10に添加するようにしてもよい。すなわち、pHを8〜10に調整するとフッ化カルシウムの溶解度が小さくなり、フッ化カルシウムの晶析作用が促進する。
【0023】
【発明の効果】
上述のとおり、本発明によれば被処理水中のフッ素イオンをカルシウムイオンと反応させ、生成したフッ化カルシウムを透過膜によって分離する場合に、フッ素イオンが未反応の状態で透過膜の膜面内部に到達することを防ぎ、透過膜の目詰まりを大幅に抑制する。このため、透過膜のフラックスの低下を最小限に抑えてろ過分離することができ、処理水量を安定して維持することができる。また、添加する凝集剤の量を最小限に抑えて、発生する汚泥の量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理方法の実施形態を説明するための系統図である。
【符号の説明】
10………反応槽、12………被処理水、14………水酸化カルシウムの水溶液、16………フッ素イオン、18………カルシウムイオン、20………フッ化カルシウム、22………被処理水、24………循環ポンプ、26………膜分離手段、28………透過膜、32………種晶、36………ろ過水、38………処理水槽、40………処理水、46………汚泥、48………貯留槽、50………種晶再生設備、52………種晶タンク、54………スラリー。

Claims (4)

  1. 被処理水中のフッ素イオンをカルシウムイオンと反応させ、生成したフッ化カルシウムを透過膜によって分離除去するフッ素含有水の処理方法において、種晶となる粉末を懸濁させたスラリーを予め前記透過膜でろ過することによって、前記透過膜の一次側の膜面上に種晶のプレコート層を形成した後、前記被処理水を前記プレコート層が形成された透過膜でろ過することを特徴とするフッ素含有水の処理方法。
  2. 前記種晶となる粉末がフッ化カルシウムを主成分とする粉末であることを特徴とする請求項1に記載のフッ素含有水の処理方法。
  3. 前記プレコート層を間欠的に更新することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフッ素含有水の処理方法。
  4. 前記ろ過によって成長したプレコート層を剥離し、剥離された種晶を粉砕したものを新たな種晶として前記プレコート層の形成に再利用することを特徴とする請求項3に記載のフッ素含有水の処理方法。
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