JP2004249933A - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】路面状態や走行状態や操舵状態等の操舵に影響を与える要因の変化に応じ、ステアリングホイールの回転許容量の範囲設定や変更を行うことにより、最適な操舵性能や操舵感を実現することができる車両用操舵装置を提供すること。
【解決手段】ステアリングホイール1の回転を阻止してステアリングホイール1の回転許容範囲を設定する回転阻止手段13を備えたステア・バイ・ワイヤの車両用操舵装置において、前記回転阻止手段13は、ステアリングホイール1の回転に連動して移動する移動部材22と、該移動部材22の移動を阻止する阻止部材23と、を有し、前記阻止部材23は、前記移動部材22の動きに伴って位置を移動可能とすると共に、前記移動部材22の移動を阻止する場合は前記阻止部材23の位置を固定する構成とした。
【選択図】 図2
【解決手段】ステアリングホイール1の回転を阻止してステアリングホイール1の回転許容範囲を設定する回転阻止手段13を備えたステア・バイ・ワイヤの車両用操舵装置において、前記回転阻止手段13は、ステアリングホイール1の回転に連動して移動する移動部材22と、該移動部材22の移動を阻止する阻止部材23と、を有し、前記阻止部材23は、前記移動部材22の動きに伴って位置を移動可能とすると共に、前記移動部材22の移動を阻止する場合は前記阻止部材23の位置を固定する構成とした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、操向輪の転舵装置に機械的に連結されていない操舵系を備えたステア・バイ・ワイヤ方式の車両用操舵装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来のステア・バイ・ワイヤ方式の車両用操舵装置は、舵取機構1に機械的に連結されていないステアリングホイール2の回転に連動するコラム20の回転に追従して移動可能な移動体40と、該移動体40に当接して移動体40の移動許容量を設定する二つの阻止部41,42を設けて、ステアリングホイール2の中立位置に対する左右への回転許容量を設定するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他のステア・バイ・ワイヤ方式の車両用操舵装置は、操作部材の操作に応じて回転する入力シャフト10と、舵角の変化により回転するように車輪に機械的に連結される出力シャフト31との間に介在する回転規制機構40は、入力シャフト10側に設けられる受け部41a,41bと、出力シャフト31側に設けられる当たり部47a,47bとを有する。操舵用アクチュエータの動きによる舵角変化量の目標値からの誤差の増大時に、出力シャフト31の回転による当たり部47a,47bの位置変化を受け部41a,41bにより規制することで、出力シャフト31の入力シャフト10に対する相対回転を阻止するようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−194152号公報(図1)
【特許文献2】
特開2001−80531号公報(図5及び図6)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の特許文献1に記載された車両用操舵装置にあっては、車両走行中は回転許容量の設定範囲を変更できない構成であったため、操向輪が縁石に当たった場合や、深い轍にはまった場合でもステアリングホイールは操舵できてしまうという問題があった。
【0006】
また、従来の特許文献2に記載された車両用操舵装置にあっては、回転許容量の設定範囲はステアリングホイールの操舵角に応じてのみ変化する構成であったため、上述と同様に、操向輪が縁石に当たった場合や、深い轍にはまった場合でもステアリングホイールは操舵できてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、路面状態や走行状態や操舵状態等の操舵に影響を与える要因の変化に応じ、ステアリングホイールの回転許容量の範囲設定や変更を行うことにより、最適な操舵性能や操舵感を実現することができる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、
ステアリングホイールの回転許容範囲を設定する回転阻止手段を備えたステア・バイ・ワイヤ方式の車両用操舵装置において、
前記回転阻止手段は、前記ステアリングホイールの回転に連動して移動する移動部材と、該移動部材の移動を阻止する阻止部材と、を有し、
前記阻止部材は、前記移動部材の動きに伴って位置を移動可能とすると共に、前記移動部材の移動を阻止する場合は前記阻止部材の位置を固定することを特徴とする。
【0009】
【発明の効果】
よって、本発明の車両用操舵装置にあっては、阻止部材は、移動部材の動きに伴って位置を移動可能とすると共に、移動部材の移動を阻止する場合は阻止部材の位置を固定する、すなわち、ステアリングホイールの回転許容量の自由な範囲設定や自由な変更が可能な構成としたため、路面状態や走行状態や操舵状態等の操舵に影響を与える要因の変化に応じ、ステアリングホイールの回転許容量の範囲設定や変更を行うことにより、最適な操舵性能や操舵感を実現することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の車両用操舵装置を実現する実施の形態を、図面に示す第1実施例〜第4実施例に基づいて説明する。
【0011】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
図1は第1実施例の車両用操舵装置を示す全体システム図である。図1において、1はステアリングホイール、2は反力アクチュエータ、3はトルクセンサ(反力トルク検出手段)、4は操作角センサ、5は操向輪、6は伝達部、7はステアリングギア(転舵装置)、8は転舵アクチュエータ、9は転舵角センサ、10は操舵コントローラ、11は車速センサ(車速検出手段)、12はロードセル(操向輪外力検出手段)、13は回転阻止手段、14はステアリングシャフトである。
【0012】
前記ステアリングホイール1を備えた操舵系ユニットと、前記ステアリングギア7を備えた転舵系ユニットとは、機械的に連結されていない独立ユニットによる構成とされている。そして、操舵制御系により、前記操舵系ユニットの反力アクチュエータ2及び回転阻止手段13と、前記転舵系ユニットの転舵アクチュエータ8と、が駆動制御される。
【0013】
前記操舵系ユニットの構成を説明すると、ドライバによる操作手段であるステアリングホイール1には、ステアリングホイール1と一体回転する軸長の短いステアリングシャフト14が連結されている。前記ステアリングシャフト14上には、ステアリングホイール1側から順に、ステアリングホイール1と反力アクチュエータ2の間で発生している反力トルクを検出するトルクセンサ3と、ステアリングホイール1に操作反力を与える反力アクチュエータ2と、ステアリングホイール1が操作された操作量を検出する操作角センサ4と、ステアリングホイール1の回転を阻止してステアリングホイール1の回転許容範囲を設定する回転阻止手段13と、が設けられている。
【0014】
前記転舵系ユニットの構成を説明すると、操向輪5,5を転舵するステアリングギア7には、ステアリングギア7を操作するための出力を加える転舵アクチュエータ8が連結されている。前記ステアリングギア7の左右位置には、ステアリングギア7からの力を伝達する伝達部6,6と、該伝達部6,6を介して入力される力により転舵される操向輪5,5と、が設けられている。
【0015】
前記操舵制御系の構成を説明すると、操舵コントローラ10は、ステアリングホイール1の操舵角および車両の走行状態(例えば、車速等)に基づいて算出された目標転舵角となるように、転舵アクチュエータ8を駆動制御する転舵制御部(転舵制御手段)と、操舵時に適切な操作反力を発生させるための制御量を算出し、反力アクチュエータ2に駆動指令を出力する操舵反力制御部と、ステアリングホイール1の回転を阻止するかどうかの判断に基づいて、ステアリングホイール1の回転許容範囲の設定制御を行う駆動指令を回転阻止手段13に出力する回転阻止制御部と、を有する。
【0016】
前記操舵コントローラ10には、トルクセンサ3と、操作角センサ4と、転舵角センサ9と、車速センサ11と、ロードセル12と、後述する左側阻止部材位置センサ26Lと右側阻止部材位置センサ26Rからの信号が入力される。操舵コントローラ10からは、操舵系ユニットの反力アクチュエータ2及び回転阻止手段13と、転舵系ユニットの転舵アクチュエータ8に対し、操舵時に所定の駆動制御指令が出力される。
【0017】
図2は第1実施例の車両用操舵装置における回転阻止手段の詳細な構成を示す断面図である。図2において、2は反力アクチュエータ、3はトルクセンサ、4は操作角センサ、13は回転阻止手段、14はステアリングシャフトである。
【0018】
前記回転阻止手段13の構成を説明する。前記ステアリングシャフト14を中心軸位置に配置した円筒ケース15には、その上部開口位置に上部エンドプレート16が固定され、その下部開口位置に下部エンドプレート17が固定されている。ステアリングシャフト14は、その上部位置及び下部位置にて2つのベアリング18,19を介して回転可能に支持されている。なお、回転阻止手段13の全体はカバー20により覆われている。
【0019】
前記ステアリングシャフト14には、必要範囲だけボールねじ溝14aが形成され、このボールねじ溝14aに対し、図外の多数のボールを介してボールねじナット21が螺合している。そして、ボールねじナット21には、ステアリングホイール1の回転に連動し、螺合位置変化に応じて移動する移動部材22が固定されている。
【0020】
前記移動部材22には、前記円筒ケース15の左右位置に軸方向に開孔された左側孔15Lと右側孔15Rを貫通して突出する左側ストッパ部22Lと右側ストッパ部22Rとが形成されている。
【0021】
前記円筒ケース15の外周部の左右位置には、前記左側ストッパ部22Lとの面当接により移動部材22の移動を阻止する左側阻止部材23Lと、右側ストッパ部22Lとの面当接により移動部材22の移動を阻止する右側阻止部材23Rと、が配置されている。
【0022】
前記左側阻止部材23Lと右側阻止部材23Rは、移動部材22の動きに伴って位置を移動可能とすると共に、移動部材22の移動を阻止する場合はその位置を固定することができるように設けられている。すなわち、左側阻止部材23Lと右側阻止部材23Rは、それぞれ回転可能に両端支持された左側ねじ部材24Lと右側ねじ部材24Rに螺合されている。そして、左側ねじ部材24Lを、下端部位置にて円筒ケース15に固定した左側モータ25L(阻止部材移動アクチュエータ)により回転させ、回転可能に両端支持された右側ねじ部材24Rを、下端部位置にて円筒ケース15に固定した右側モータ25R(阻止部材移動アクチュエータ)により回転させるようにしている。
【0023】
さらに、左側阻止部材23Lと右側阻止部材23Rとを目標位置に設定するには、それぞれの部材位置を把握しておく必要があることから、左側ねじ部材24Lと右側ねじ部材24Rとの上端部位置には、それぞれ左側阻止部材位置センサ26Lと右側阻止部材位置センサ26Rが設けられている。
【0024】
次に、作用を説明する。
【0025】
[回転阻止制御動作]
図3は第1実施例の操舵コントローラ10の回転阻止制御部にて実行される回転阻止制御動作の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0026】
ステップS0では、車両のイグニッションスイッチなどにより本システムが起動され、ステップS1へ移行する。
【0027】
ステップS1では、操作角センサ4から車両のドライバからステアリングホイール1を通して入力される指令舵角(操舵方向を含む)を操舵コントローラ10に入力し、ステップS2へ移行する。ここで、第1実施例では、操作角センサ4を設置しているが、回転阻止手段13内に移動部材22の移動量を検出するセンサを設置して指令舵角に相当する量を操舵コントローラ10に入力するようにしても良い。
【0028】
ステップS2では、システム動作や車両の走行状態より、ステアリングホイール1の操舵方向は回転を阻止すべきかどうかを判断し、YESの場合はステップS3へ移行し、NOの場合はステップS4へ移行する。
【0029】
ステップS3では、2つのモータ25L,25Rにより、阻止部材23L,23Rの位置を固定して、ストッパ部22L,22Rの当たり面と阻止部材23L,23Rの受け面との面接触により、移動部材22の移動を阻止し、その後、ステップS1に戻り処理が続行される。
【0030】
ステップS4では、車速センサ11からの車速が操舵コントローラ10に入力され、ステップS5へ移行する。
【0031】
ステップS5では、ステップS4からの車速に基づいて、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出し、さらに、ステアリングホイール1の回転方向に基づいて、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出し、ステップS6へ移行する。
【0032】
ステップS6では、ステップS5により算出された移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔と、現在の移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rの移動量を算出し、ステップS7へ移行する。
【0033】
ステップS7では、ステップS6で算出された阻止部材23L,23Rの移動量に基づいて、モータ25L,25Rにより阻止部材23L,23Rの位置を移動させる。その後、ステップS1に戻り処理が続行される。以上の流れによって、回転阻止制御動作が実行される。
【0034】
[限界時の回転阻止作用]
例えば、ステアリングホイール1の操舵角および車速やヨーレートなどの車両の走行状態より算出される操向輪5,5の目標転舵量より、転舵角センサ9の出力から算出される実転舵量が所定値以上小さい場合等であって、ステップS2において、ステアリングホイール1の回転を阻止すべき状態であると判断された場合、図3のフローチャートで、ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進む流れとなり、ステップS3では、移動部材22の動きに伴って位置を移動している操舵方向の阻止部材の位置が固定される。
【0035】
すなわち、ステアリングホイール1が右回転している場合は、右側モータ25Rにより、右側阻止部材23Rの位置を固定して、右側ストッパ部22Rと右側阻止部材23Rとの面接触により、移動部材22の移動を阻止する。また、ステアリングホイール1が左回転している場合は、左側モータ25Lにより、左側阻止部材23Lの位置を固定して、左側ストッパ部22Lと左側阻止部材23Lとの面接触により、移動部材22の移動を阻止する。
【0036】
この作用によりステアリングホイール1は、移動部材22と阻止部材23L,23Rが面接触している方向の回転が阻止されるようになり、ドライバにロック感として伝えることで、ステアリングホイール1の回転限界がドライバに知らされる。
【0037】
[車速対応の回転許容範囲設定作用]
例えば、走行中にステアリングホイール1を中立位置から操舵を開始する場合等であって、ステップS2において、ステアリングホイール1の回転を阻止すべき状態ではないと判断された場合、図3のフローチャートで、ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7へと進む流れとなり、ステップS5では、例えば、車両の走行車速に反比例するように、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rの間隔が、高速時は間隔を狭く、低速時は間隔を広く設定される。
【0038】
そして、ステップS6及びステップS7では、左側ストッパ部22Lと左側阻止部材23Lとの間隔が設定間隔となるように左側モータ25Lにより左側阻止部材23Lの位置を移動して固定し、また、右側ストッパ部22Rと右側阻止部材23Rとの間隔が設定間隔となるように右側モータ25Rにより右側阻止部材23Lの位置を移動して固定する。
【0039】
すなわち、▲1▼車両が高速で走行している場合は、ドライバ操作による操作角の変化は小さくなる。▲2▼車両が高速で走行している場合は、ドライバに伝える情報としてのステアリングのロック感は、時間的遅れができるだけ短い間に発生する必要がある。▲3▼車両が低速で走行している場合は、交差点での右左折やUターンなど大舵角操作の機会が増えるため、ドライバ操作による操作角の変化は大きくなる。▲4▼車両が低速で走行している場合、ステアリングのロック感については、時間あたりの車両走行状態の変化は高速時より小さいので、時間的遅れは高速時よりも許容することができる。
【0040】
以上のことより、例えば、車速に反比例するように移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rの間隔を算出するなど、高速時は間隔を狭く、低速時は間隔を広く設定することで、操舵時には、車速にかかわらず、最適なタイミングにてドライバに伝える情報としてのステアリングのロック感を与えることができる。
【0041】
なお、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rの間隔を車速対応間隔に設定するのに、例えば、必要なドライバの仕事量が一定になるように、間隔を決定することが考えられる。ここで、ドライバの仕事量としては、ステアリングの操舵トルク×操舵角度が指標になり得る。低速ではパワーステアリングによって操舵トルクが軽くなるので、操舵角度(=移動部材22と阻止部材23L,23Rの間隔)が大きくなり、高速では逆に小さくなる。仕事量の一定値については、実験により決定するか、ドライバの操舵速度を観察して、操舵速度の速いドライバは大きく、遅いドライバは小さく設定するようにしても良い。
【0042】
[操舵方向対応の回転許容範囲設定作用]
例えば、一方向への操舵を開始し、ステアリングホイール1の操舵角および車速やヨーレートなどの車両の走行状態より算出される操向輪5,5の目標転舵量と、転舵角センサ9の出力から算出される実転舵量とが許容誤差範囲内で追従している場合等であって、ステップS2において、ステアリングホイール1の回転を阻止すべき状態ではないと判断された場合、図3のフローチャートで、ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7へと進む流れとなり、ステップS5では、操舵方向の移動部材22と阻止部材23との間隔は、車速対応ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進む流れとなり、ステップS3では、ステアリングホイール1の回転の逆方向を阻止する一方の阻止部材23Lまたは23Rと移動部材22のストッパ部22Lまたは22Rとの間隔が、ステアリングホイール1の回転方向を阻止する他方の阻止部材23Rまたは23Lと移動部材22のストッパ部22Rまたは22Lとの間隔(車速対応間隔)より広く設定される。
【0043】
すなわち、ステアリングホイール1を右回転しての右旋回時の場合は、図2に示すように、左側ストッパ部22Lと左側阻止部材23Lとの間隔tLを、右側ストッパ部22Rと右側阻止部材23Rとの間隔tR(車速対応間隔)より広く設定する。また、ステアリングホイール1を左回転しての左旋回時は、右側ストッパ部22Rと右側阻止部材23Rとの間隔を、左側ストッパ部22Lと左側阻止部材23Lとの間隔より広く設定する。
【0044】
そして、ステップS6及びステップS7では、左側ストッパ部22Lと左側阻止部材23Lとの間隔が設定間隔となるように左側モータ25Lにより左側阻止部材23Lの位置を移動して固定し、また、右側ストッパ部22Rと右側阻止部材23Rとの間隔が設定間隔となるように右側モータ25Rにより右側阻止部材23Lの位置を移動して固定する。なお、先に左右両間隔が車速対応間隔に設定されている場合は、一方のみの間隔を広げる。
【0045】
これにより、ドライバがステアリングホイール1を一方向に回転している状態から急に逆回転方向に操舵しても、ステアリングホイール1の回転方向に対応する間隔より、逆回転方向の間隔が広く設定してあることで、移動部材22と阻止部材23L,23Rが干渉することなく移動部材22の移動方向が反転され、ドライバが感じる操作違和感を防ぐことができる。
【0046】
次に、効果を説明する。
第1実施例の車両用操舵装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0047】
(1) 操向輪5,5のステアリングギア7に機械的に連結されていないステアリングホイール1と、前記ステアリングホイール1に操作反力を与える反力アクチュエータ2と、前記ステアリングギア7にその出力を加える転舵アクチュエータ8と、前記ステアリングホイール1の操舵角および車両の走行状態に基づいて算出された転舵角となるように前記転舵アクチュエータ8を駆動する操舵コントローラ10の転舵制御部と、前記ステアリングホイール1の回転を阻止して前記ステアリングホイール1の回転許容範囲を設定する回転阻止手段13と、を備えた車両用操舵装置において、前記回転阻止手段13は、前記ステアリングホイール1の回転に連動して移動する移動部材22と、該移動部材22の移動を阻止する阻止部材23と、を有し、前記阻止部材23は、前記移動部材22の動きに伴って位置を移動可能とすると共に、前記移動部材22の移動を阻止する場合は前記阻止部材23の位置を固定する構成としたため、路面状態や走行状態や操舵状態等の操舵に影響を与える要因の変化に応じ、ステアリングホイール1の回転許容量の範囲設定や変更を行うことにより、最適な操舵性能や操舵感を実現することができる。
【0048】
(2) 回転阻止手段13は、ステアリングホイール1の右回転方向の回転を阻止する右側阻止部材23Rと、ステアリングホイール1の左回転方向の回転を阻止する左側阻止部材23Lと、右側阻止部材23Rと左側阻止部材23Lをそれぞれ移動させる2つの右側モータ25R及び左側モータ25Lと、を有して構成され、前記移動部材22の移動に伴って位置が移動する状態での前記阻止部材23R,23Lと前記移動部材22のストッパ部22R,22Lとの2つの間隔のうち、前記ステアリングホイール1の回転の逆方向を阻止する一方の阻止部材23Rまたは23Lと前記移動部材22のストッパ部22Rまたは23Lとの間隔を、前記ステアリングホイール1の回転方向を阻止する他方の阻止部材23Lまたは23Rと前記移動部材22のストッパ部22Lまたは23Rとの間隔より広く設定したため、ステアリングホイール1の回転を阻止したい回転方向は、阻止部材23Lまたは23Rが固定されてから短時間でステアリングホイール1の回転を阻止することが可能であると共に、ステアリングホイール1の回転方向が急に反転した場合でも、移動部材22が阻止部材23Lまたは23Rに接触して操舵違和感が生じるのを防ぐことができる。
【0049】
(3) 車速を検出する車速センサ11を設け、移動部材22の移動に伴って位置が移動する状態での阻止部材23L,23Rと移動部材のストッパ部22L,23Rとの間隔を、検出される車速が低車速側で広く設定し、検出される車速が高車速側で狭く設定するようにしたため、操舵時に車速の高低にかかわらず、最適なタイミングにてドライバに伝える情報としてのステアリングのロック感を与えることができる。
【0050】
(第2実施例)
第2実施例は、反力アクチュエータ2の出力トルクに応じて阻止部材23L,23Rと移動部材のストッパ部22L,23Rとの間隔を設定、つまり、反力トルクに応じてステアリングホイール1の回転許容量を設定する例である。なお、構成は第1実施例と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0051】
次に、作用を説明する。
【0052】
[回転阻止制御動作]
図4は第2実施例の操舵コントローラ10の回転阻止制御部にて実行される回転阻止制御動作の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、ステップS0、ステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS6、ステップS7は、第1実施例の図3に示すフローチャートと同様の処理であることで説明を省略する。
【0053】
ステップS24では、反力アクチュエータ2が発生する操舵トルクが操舵コントローラ10に入力され、ステップS25へ移行する。
ここでは、トルクセンサ3からの出力を用いても良いし、反力アクチュエータ2への指令値から算出しても良い。
【0054】
ステップS25では、ステップS24からのトルクに基づいて、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出し、さらに、ステアリングホイール1の回転方向に基づいて、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出し、ステップS6へ移行する。
【0055】
ここで、トルクが大きい場合は、ドライバ操作による操作角の変化は小さくなり、また、ドライバに伝える情報としてのステアリングのロック感は、時間的遅れができるだけ短い間に発生する必要がある。一方、トルクが小さい場合は、ドライバ操作による操作角の変化は大きくなる。
【0056】
以上のことより、例えば、トルクに反比例するように、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出するなど、トルクが大きい時は間隔を狭く、小さい時は間隔を広く設定する。
【0057】
次に、効果を説明する。
この第2実施例の車両用操舵装置にあっては、第1実施例の(1),(2)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0058】
(4) 反力アクチュエータ2の出力トルクを検出するトルクセンサ3を設け、移動部材22の移動に伴って位置が移動する状態での移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を、反力アクチュエータ2の出力トルクが高トルク側で狭く設定し、反力アクチュエータ2の出力トルクが低トルク側で広く設定するようにしたため、操舵時に反力トルクの大きさにかかわらず、最適なタイミングにてドライバに伝える情報としてのステアリングのロック感を与えることができる。
【0059】
(第3実施例)
第3実施例は、操舵角速度に応じて阻止部材23L,23Rと移動部材のストッパ部22L,23Rとの間隔を設定、つまり、ステアリング操作速度に応じてステアリングホイール1の回転許容量を設定する例である。なお、構成は第1実施例と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0060】
次に、作用を説明する。
【0061】
[回転阻止制御動作]
図5は第3実施例の操舵コントローラ10の回転阻止制御部にて実行される回転阻止制御動作の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、ステップS0、ステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS6、ステップS7は、第1実施例の図3に示すフローチャートと同様の処理であることで説明を省略する。
【0062】
ステップS34では、ステップS1で入力された操舵角の時間的変化より、操舵角速度を算出し、ステップS35へ移行する(操舵角速度検出手段)。
【0063】
ステップS35では、ステップS34からの操舵角速度に基づいて、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出し、さらに、ステアリングホイール1の回転方向に基づいて、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出し、ステップS6へ移行する。
【0064】
ここで、ドライバ操作による操舵角速度が低速であるときは、操作角の変化は小さくなるため、ドライバに伝える情報としてのステアリングのロック感は、時間的遅れができるだけ短い間に発生する必要がある。一方、ドライバ操作による操舵角速度が高速であるときは、操作角の変化は大きくなるため、時間的遅れは低速時よりも許容することができる。
【0065】
以上のことより、例えば、操舵角速度に比例するように移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出するなど、操舵角速度が低速時は間隔を狭く、操舵角速度が高速時は間隔を広く設定する。
【0066】
次に、効果を説明する。
この第3実施例の車両用操舵装置にあっては、第1実施例の(1),(2)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0067】
(5) ステアリングホイール1の操舵角速度を算出する操舵角速度算出ステップS34を設け、移動部材22の移動に伴って位置が移動する状態での移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を、ステアリングホイール1の操舵角速度が高速度側で広く設定し、ステアリングホイール1の操舵角速度が低速度側で狭く設定するようにしたため、操舵時に操舵角速度の高低にかかわらず、最適なタイミングにてドライバに伝える情報としてのステアリングのロック感を与えることができる。
【0068】
(第4実施例)
第4実施例は、操向輪5,5にかかる外力に応じて阻止部材23L,23Rと移動部材22のストッパ部22L,23Rとの間隔を設定、つまり、操向輪5,5にかかる外力に応じてステアリングホイール1の回転許容量を設定する例である。なお、構成は第1実施例と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0069】
次に、作用を説明する。
【0070】
[回転阻止制御動作]
図6は第4実施例の操舵コントローラ10の回転阻止制御部にて実行される回転阻止制御動作の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、ステップS0、ステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS6、ステップS7は、第1実施例の図3に示すフローチャートと同様の処理であることで説明を省略する。
【0071】
ステップS44では、操向輪5,5に加わっている外力が操舵コントローラ10に入力され、ステップS45へ移行する。
ここでは、図1に示すように、伝達部6の中間部にロードセル12を設置し、操向輪5,5に加わる外力を直接計測するようにしたが、転舵アクチュエータ8の指令値と転舵角センサ9の出力からの外力推定値を算出しても良い。
【0072】
ステップS45では、ステップS44からの外力に基づいて、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出し、さらに、ステアリングホイール1の回転方向に基づいて、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出し、ステップS6へ移行する。
【0073】
ここで、外力が大きい場合は、操向輪5,5が縁石に当たっている場合や轍にはまっている場合が想定される。外力が小さい場合は、操向輪5,5が受けている車両外部からの影響は少ないと想定される。
【0074】
以上のことより、例えば、外力に反比例するように、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出するなど、外力が大きい時は間隔を狭く、小さい時は間隔を広く設定する。この場合、車両旋回時の横加速度から受ける外力など、予め想定できる外力分は考慮しないようにすることは言うまでもない。
【0075】
次に、効果を説明する。
この第4実施例の車両用操舵装置にあっては、第1実施例の(1),(2)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0076】
(6) 操向輪5,5にかかる外力を検出するロードセルロードセル12を設け、移動部材22の移動に伴って位置が移動する状態での移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を、操向輪5,5にかかる外力が大きい側で狭く設定し、操向輪5,5にかかる外力が小さい側で広く設定するようにしたため、操向輪5,5が縁石に当たっている場合や轍にはまっている場合に、素早くステアリングホイール1の回転を阻止することができる。
【0077】
以上、本発明の車両用操舵装置を第1実施例〜第4実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0078】
第1〜第4実施例では、車速、操舵方向、反力トルク、操舵角速度、操向輪が受ける外力に応じて移動部材と阻止部材との間隔を算出する例を示したが、路面状態や走行状態や操舵状態等において、上記以外の操舵に影響を与える要因の変化に応じ、ステアリングホイールの回転許容量の範囲設定や変更を行うようにしても良い。例えば、ヨーレートや横加速度や前後加速度など車両の走行状態を表す物理量に基づいて、移動部材と阻止部材との間隔を算出する例としても良い。
【0079】
また、例えば、車速、操舵方向、反力トルク、操舵角速度、操向輪が受ける外力のうち、3つ以上を組み合わせて移動部材と阻止部材との間隔を算出する要にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の車両用操舵装置を示す全体システム図である。
【図2】第1実施例の車両用操舵装置における回転阻止手段の詳細な構成を示す断面図である。
【図3】第1実施例の操舵コントローラの回転阻止制御部にて実行される回転阻止制御動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】第2実施例の操舵コントローラの回転阻止制御部にて実行される回転阻止制御動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】第3実施例の操舵コントローラの回転阻止制御部にて実行される回転阻止制御動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】第4実施例の操舵コントローラの回転阻止制御部にて実行される回転阻止制御動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 反力アクチュエータ
3 トルクセンサ(反力トルク検出手段)
4 操作角センサ
5 操向輪
6 伝達部
7 ステアリングギア(転舵装置)
8 転舵アクチュエータ
9 転舵角センサ
10 操舵コントローラ
11 車速センサ(車速検出手段)
12 ロードセル(操向輪外力検出手段)
13 回転阻止手段
14 ステアリングシャフト
14a ボールねじ溝
15 円筒ケース
15L 左側孔
15R 右側孔
16 上部エンドプレート
17 下部エンドプレート
18,19 ベアリング
20 カバー
21 ボールねじナット
22 移動部材
22L 左側ストッパ部
22R 右側ストッパ部
23L 左側阻止部材
23R 右側阻止部材
24L 左側ねじ部材
24R 右側ねじ部材
25L 左側モータ(阻止部材移動アクチュエータ)
25R 右側モータ(阻止部材移動アクチュエータ)
26L 左側阻止部材位置センサ
26R 右側阻止部材位置センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、操向輪の転舵装置に機械的に連結されていない操舵系を備えたステア・バイ・ワイヤ方式の車両用操舵装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来のステア・バイ・ワイヤ方式の車両用操舵装置は、舵取機構1に機械的に連結されていないステアリングホイール2の回転に連動するコラム20の回転に追従して移動可能な移動体40と、該移動体40に当接して移動体40の移動許容量を設定する二つの阻止部41,42を設けて、ステアリングホイール2の中立位置に対する左右への回転許容量を設定するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他のステア・バイ・ワイヤ方式の車両用操舵装置は、操作部材の操作に応じて回転する入力シャフト10と、舵角の変化により回転するように車輪に機械的に連結される出力シャフト31との間に介在する回転規制機構40は、入力シャフト10側に設けられる受け部41a,41bと、出力シャフト31側に設けられる当たり部47a,47bとを有する。操舵用アクチュエータの動きによる舵角変化量の目標値からの誤差の増大時に、出力シャフト31の回転による当たり部47a,47bの位置変化を受け部41a,41bにより規制することで、出力シャフト31の入力シャフト10に対する相対回転を阻止するようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−194152号公報(図1)
【特許文献2】
特開2001−80531号公報(図5及び図6)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の特許文献1に記載された車両用操舵装置にあっては、車両走行中は回転許容量の設定範囲を変更できない構成であったため、操向輪が縁石に当たった場合や、深い轍にはまった場合でもステアリングホイールは操舵できてしまうという問題があった。
【0006】
また、従来の特許文献2に記載された車両用操舵装置にあっては、回転許容量の設定範囲はステアリングホイールの操舵角に応じてのみ変化する構成であったため、上述と同様に、操向輪が縁石に当たった場合や、深い轍にはまった場合でもステアリングホイールは操舵できてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、路面状態や走行状態や操舵状態等の操舵に影響を与える要因の変化に応じ、ステアリングホイールの回転許容量の範囲設定や変更を行うことにより、最適な操舵性能や操舵感を実現することができる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、
ステアリングホイールの回転許容範囲を設定する回転阻止手段を備えたステア・バイ・ワイヤ方式の車両用操舵装置において、
前記回転阻止手段は、前記ステアリングホイールの回転に連動して移動する移動部材と、該移動部材の移動を阻止する阻止部材と、を有し、
前記阻止部材は、前記移動部材の動きに伴って位置を移動可能とすると共に、前記移動部材の移動を阻止する場合は前記阻止部材の位置を固定することを特徴とする。
【0009】
【発明の効果】
よって、本発明の車両用操舵装置にあっては、阻止部材は、移動部材の動きに伴って位置を移動可能とすると共に、移動部材の移動を阻止する場合は阻止部材の位置を固定する、すなわち、ステアリングホイールの回転許容量の自由な範囲設定や自由な変更が可能な構成としたため、路面状態や走行状態や操舵状態等の操舵に影響を与える要因の変化に応じ、ステアリングホイールの回転許容量の範囲設定や変更を行うことにより、最適な操舵性能や操舵感を実現することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の車両用操舵装置を実現する実施の形態を、図面に示す第1実施例〜第4実施例に基づいて説明する。
【0011】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
図1は第1実施例の車両用操舵装置を示す全体システム図である。図1において、1はステアリングホイール、2は反力アクチュエータ、3はトルクセンサ(反力トルク検出手段)、4は操作角センサ、5は操向輪、6は伝達部、7はステアリングギア(転舵装置)、8は転舵アクチュエータ、9は転舵角センサ、10は操舵コントローラ、11は車速センサ(車速検出手段)、12はロードセル(操向輪外力検出手段)、13は回転阻止手段、14はステアリングシャフトである。
【0012】
前記ステアリングホイール1を備えた操舵系ユニットと、前記ステアリングギア7を備えた転舵系ユニットとは、機械的に連結されていない独立ユニットによる構成とされている。そして、操舵制御系により、前記操舵系ユニットの反力アクチュエータ2及び回転阻止手段13と、前記転舵系ユニットの転舵アクチュエータ8と、が駆動制御される。
【0013】
前記操舵系ユニットの構成を説明すると、ドライバによる操作手段であるステアリングホイール1には、ステアリングホイール1と一体回転する軸長の短いステアリングシャフト14が連結されている。前記ステアリングシャフト14上には、ステアリングホイール1側から順に、ステアリングホイール1と反力アクチュエータ2の間で発生している反力トルクを検出するトルクセンサ3と、ステアリングホイール1に操作反力を与える反力アクチュエータ2と、ステアリングホイール1が操作された操作量を検出する操作角センサ4と、ステアリングホイール1の回転を阻止してステアリングホイール1の回転許容範囲を設定する回転阻止手段13と、が設けられている。
【0014】
前記転舵系ユニットの構成を説明すると、操向輪5,5を転舵するステアリングギア7には、ステアリングギア7を操作するための出力を加える転舵アクチュエータ8が連結されている。前記ステアリングギア7の左右位置には、ステアリングギア7からの力を伝達する伝達部6,6と、該伝達部6,6を介して入力される力により転舵される操向輪5,5と、が設けられている。
【0015】
前記操舵制御系の構成を説明すると、操舵コントローラ10は、ステアリングホイール1の操舵角および車両の走行状態(例えば、車速等)に基づいて算出された目標転舵角となるように、転舵アクチュエータ8を駆動制御する転舵制御部(転舵制御手段)と、操舵時に適切な操作反力を発生させるための制御量を算出し、反力アクチュエータ2に駆動指令を出力する操舵反力制御部と、ステアリングホイール1の回転を阻止するかどうかの判断に基づいて、ステアリングホイール1の回転許容範囲の設定制御を行う駆動指令を回転阻止手段13に出力する回転阻止制御部と、を有する。
【0016】
前記操舵コントローラ10には、トルクセンサ3と、操作角センサ4と、転舵角センサ9と、車速センサ11と、ロードセル12と、後述する左側阻止部材位置センサ26Lと右側阻止部材位置センサ26Rからの信号が入力される。操舵コントローラ10からは、操舵系ユニットの反力アクチュエータ2及び回転阻止手段13と、転舵系ユニットの転舵アクチュエータ8に対し、操舵時に所定の駆動制御指令が出力される。
【0017】
図2は第1実施例の車両用操舵装置における回転阻止手段の詳細な構成を示す断面図である。図2において、2は反力アクチュエータ、3はトルクセンサ、4は操作角センサ、13は回転阻止手段、14はステアリングシャフトである。
【0018】
前記回転阻止手段13の構成を説明する。前記ステアリングシャフト14を中心軸位置に配置した円筒ケース15には、その上部開口位置に上部エンドプレート16が固定され、その下部開口位置に下部エンドプレート17が固定されている。ステアリングシャフト14は、その上部位置及び下部位置にて2つのベアリング18,19を介して回転可能に支持されている。なお、回転阻止手段13の全体はカバー20により覆われている。
【0019】
前記ステアリングシャフト14には、必要範囲だけボールねじ溝14aが形成され、このボールねじ溝14aに対し、図外の多数のボールを介してボールねじナット21が螺合している。そして、ボールねじナット21には、ステアリングホイール1の回転に連動し、螺合位置変化に応じて移動する移動部材22が固定されている。
【0020】
前記移動部材22には、前記円筒ケース15の左右位置に軸方向に開孔された左側孔15Lと右側孔15Rを貫通して突出する左側ストッパ部22Lと右側ストッパ部22Rとが形成されている。
【0021】
前記円筒ケース15の外周部の左右位置には、前記左側ストッパ部22Lとの面当接により移動部材22の移動を阻止する左側阻止部材23Lと、右側ストッパ部22Lとの面当接により移動部材22の移動を阻止する右側阻止部材23Rと、が配置されている。
【0022】
前記左側阻止部材23Lと右側阻止部材23Rは、移動部材22の動きに伴って位置を移動可能とすると共に、移動部材22の移動を阻止する場合はその位置を固定することができるように設けられている。すなわち、左側阻止部材23Lと右側阻止部材23Rは、それぞれ回転可能に両端支持された左側ねじ部材24Lと右側ねじ部材24Rに螺合されている。そして、左側ねじ部材24Lを、下端部位置にて円筒ケース15に固定した左側モータ25L(阻止部材移動アクチュエータ)により回転させ、回転可能に両端支持された右側ねじ部材24Rを、下端部位置にて円筒ケース15に固定した右側モータ25R(阻止部材移動アクチュエータ)により回転させるようにしている。
【0023】
さらに、左側阻止部材23Lと右側阻止部材23Rとを目標位置に設定するには、それぞれの部材位置を把握しておく必要があることから、左側ねじ部材24Lと右側ねじ部材24Rとの上端部位置には、それぞれ左側阻止部材位置センサ26Lと右側阻止部材位置センサ26Rが設けられている。
【0024】
次に、作用を説明する。
【0025】
[回転阻止制御動作]
図3は第1実施例の操舵コントローラ10の回転阻止制御部にて実行される回転阻止制御動作の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0026】
ステップS0では、車両のイグニッションスイッチなどにより本システムが起動され、ステップS1へ移行する。
【0027】
ステップS1では、操作角センサ4から車両のドライバからステアリングホイール1を通して入力される指令舵角(操舵方向を含む)を操舵コントローラ10に入力し、ステップS2へ移行する。ここで、第1実施例では、操作角センサ4を設置しているが、回転阻止手段13内に移動部材22の移動量を検出するセンサを設置して指令舵角に相当する量を操舵コントローラ10に入力するようにしても良い。
【0028】
ステップS2では、システム動作や車両の走行状態より、ステアリングホイール1の操舵方向は回転を阻止すべきかどうかを判断し、YESの場合はステップS3へ移行し、NOの場合はステップS4へ移行する。
【0029】
ステップS3では、2つのモータ25L,25Rにより、阻止部材23L,23Rの位置を固定して、ストッパ部22L,22Rの当たり面と阻止部材23L,23Rの受け面との面接触により、移動部材22の移動を阻止し、その後、ステップS1に戻り処理が続行される。
【0030】
ステップS4では、車速センサ11からの車速が操舵コントローラ10に入力され、ステップS5へ移行する。
【0031】
ステップS5では、ステップS4からの車速に基づいて、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出し、さらに、ステアリングホイール1の回転方向に基づいて、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出し、ステップS6へ移行する。
【0032】
ステップS6では、ステップS5により算出された移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔と、現在の移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rの移動量を算出し、ステップS7へ移行する。
【0033】
ステップS7では、ステップS6で算出された阻止部材23L,23Rの移動量に基づいて、モータ25L,25Rにより阻止部材23L,23Rの位置を移動させる。その後、ステップS1に戻り処理が続行される。以上の流れによって、回転阻止制御動作が実行される。
【0034】
[限界時の回転阻止作用]
例えば、ステアリングホイール1の操舵角および車速やヨーレートなどの車両の走行状態より算出される操向輪5,5の目標転舵量より、転舵角センサ9の出力から算出される実転舵量が所定値以上小さい場合等であって、ステップS2において、ステアリングホイール1の回転を阻止すべき状態であると判断された場合、図3のフローチャートで、ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進む流れとなり、ステップS3では、移動部材22の動きに伴って位置を移動している操舵方向の阻止部材の位置が固定される。
【0035】
すなわち、ステアリングホイール1が右回転している場合は、右側モータ25Rにより、右側阻止部材23Rの位置を固定して、右側ストッパ部22Rと右側阻止部材23Rとの面接触により、移動部材22の移動を阻止する。また、ステアリングホイール1が左回転している場合は、左側モータ25Lにより、左側阻止部材23Lの位置を固定して、左側ストッパ部22Lと左側阻止部材23Lとの面接触により、移動部材22の移動を阻止する。
【0036】
この作用によりステアリングホイール1は、移動部材22と阻止部材23L,23Rが面接触している方向の回転が阻止されるようになり、ドライバにロック感として伝えることで、ステアリングホイール1の回転限界がドライバに知らされる。
【0037】
[車速対応の回転許容範囲設定作用]
例えば、走行中にステアリングホイール1を中立位置から操舵を開始する場合等であって、ステップS2において、ステアリングホイール1の回転を阻止すべき状態ではないと判断された場合、図3のフローチャートで、ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7へと進む流れとなり、ステップS5では、例えば、車両の走行車速に反比例するように、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rの間隔が、高速時は間隔を狭く、低速時は間隔を広く設定される。
【0038】
そして、ステップS6及びステップS7では、左側ストッパ部22Lと左側阻止部材23Lとの間隔が設定間隔となるように左側モータ25Lにより左側阻止部材23Lの位置を移動して固定し、また、右側ストッパ部22Rと右側阻止部材23Rとの間隔が設定間隔となるように右側モータ25Rにより右側阻止部材23Lの位置を移動して固定する。
【0039】
すなわち、▲1▼車両が高速で走行している場合は、ドライバ操作による操作角の変化は小さくなる。▲2▼車両が高速で走行している場合は、ドライバに伝える情報としてのステアリングのロック感は、時間的遅れができるだけ短い間に発生する必要がある。▲3▼車両が低速で走行している場合は、交差点での右左折やUターンなど大舵角操作の機会が増えるため、ドライバ操作による操作角の変化は大きくなる。▲4▼車両が低速で走行している場合、ステアリングのロック感については、時間あたりの車両走行状態の変化は高速時より小さいので、時間的遅れは高速時よりも許容することができる。
【0040】
以上のことより、例えば、車速に反比例するように移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rの間隔を算出するなど、高速時は間隔を狭く、低速時は間隔を広く設定することで、操舵時には、車速にかかわらず、最適なタイミングにてドライバに伝える情報としてのステアリングのロック感を与えることができる。
【0041】
なお、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rの間隔を車速対応間隔に設定するのに、例えば、必要なドライバの仕事量が一定になるように、間隔を決定することが考えられる。ここで、ドライバの仕事量としては、ステアリングの操舵トルク×操舵角度が指標になり得る。低速ではパワーステアリングによって操舵トルクが軽くなるので、操舵角度(=移動部材22と阻止部材23L,23Rの間隔)が大きくなり、高速では逆に小さくなる。仕事量の一定値については、実験により決定するか、ドライバの操舵速度を観察して、操舵速度の速いドライバは大きく、遅いドライバは小さく設定するようにしても良い。
【0042】
[操舵方向対応の回転許容範囲設定作用]
例えば、一方向への操舵を開始し、ステアリングホイール1の操舵角および車速やヨーレートなどの車両の走行状態より算出される操向輪5,5の目標転舵量と、転舵角センサ9の出力から算出される実転舵量とが許容誤差範囲内で追従している場合等であって、ステップS2において、ステアリングホイール1の回転を阻止すべき状態ではないと判断された場合、図3のフローチャートで、ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7へと進む流れとなり、ステップS5では、操舵方向の移動部材22と阻止部材23との間隔は、車速対応ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進む流れとなり、ステップS3では、ステアリングホイール1の回転の逆方向を阻止する一方の阻止部材23Lまたは23Rと移動部材22のストッパ部22Lまたは22Rとの間隔が、ステアリングホイール1の回転方向を阻止する他方の阻止部材23Rまたは23Lと移動部材22のストッパ部22Rまたは22Lとの間隔(車速対応間隔)より広く設定される。
【0043】
すなわち、ステアリングホイール1を右回転しての右旋回時の場合は、図2に示すように、左側ストッパ部22Lと左側阻止部材23Lとの間隔tLを、右側ストッパ部22Rと右側阻止部材23Rとの間隔tR(車速対応間隔)より広く設定する。また、ステアリングホイール1を左回転しての左旋回時は、右側ストッパ部22Rと右側阻止部材23Rとの間隔を、左側ストッパ部22Lと左側阻止部材23Lとの間隔より広く設定する。
【0044】
そして、ステップS6及びステップS7では、左側ストッパ部22Lと左側阻止部材23Lとの間隔が設定間隔となるように左側モータ25Lにより左側阻止部材23Lの位置を移動して固定し、また、右側ストッパ部22Rと右側阻止部材23Rとの間隔が設定間隔となるように右側モータ25Rにより右側阻止部材23Lの位置を移動して固定する。なお、先に左右両間隔が車速対応間隔に設定されている場合は、一方のみの間隔を広げる。
【0045】
これにより、ドライバがステアリングホイール1を一方向に回転している状態から急に逆回転方向に操舵しても、ステアリングホイール1の回転方向に対応する間隔より、逆回転方向の間隔が広く設定してあることで、移動部材22と阻止部材23L,23Rが干渉することなく移動部材22の移動方向が反転され、ドライバが感じる操作違和感を防ぐことができる。
【0046】
次に、効果を説明する。
第1実施例の車両用操舵装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0047】
(1) 操向輪5,5のステアリングギア7に機械的に連結されていないステアリングホイール1と、前記ステアリングホイール1に操作反力を与える反力アクチュエータ2と、前記ステアリングギア7にその出力を加える転舵アクチュエータ8と、前記ステアリングホイール1の操舵角および車両の走行状態に基づいて算出された転舵角となるように前記転舵アクチュエータ8を駆動する操舵コントローラ10の転舵制御部と、前記ステアリングホイール1の回転を阻止して前記ステアリングホイール1の回転許容範囲を設定する回転阻止手段13と、を備えた車両用操舵装置において、前記回転阻止手段13は、前記ステアリングホイール1の回転に連動して移動する移動部材22と、該移動部材22の移動を阻止する阻止部材23と、を有し、前記阻止部材23は、前記移動部材22の動きに伴って位置を移動可能とすると共に、前記移動部材22の移動を阻止する場合は前記阻止部材23の位置を固定する構成としたため、路面状態や走行状態や操舵状態等の操舵に影響を与える要因の変化に応じ、ステアリングホイール1の回転許容量の範囲設定や変更を行うことにより、最適な操舵性能や操舵感を実現することができる。
【0048】
(2) 回転阻止手段13は、ステアリングホイール1の右回転方向の回転を阻止する右側阻止部材23Rと、ステアリングホイール1の左回転方向の回転を阻止する左側阻止部材23Lと、右側阻止部材23Rと左側阻止部材23Lをそれぞれ移動させる2つの右側モータ25R及び左側モータ25Lと、を有して構成され、前記移動部材22の移動に伴って位置が移動する状態での前記阻止部材23R,23Lと前記移動部材22のストッパ部22R,22Lとの2つの間隔のうち、前記ステアリングホイール1の回転の逆方向を阻止する一方の阻止部材23Rまたは23Lと前記移動部材22のストッパ部22Rまたは23Lとの間隔を、前記ステアリングホイール1の回転方向を阻止する他方の阻止部材23Lまたは23Rと前記移動部材22のストッパ部22Lまたは23Rとの間隔より広く設定したため、ステアリングホイール1の回転を阻止したい回転方向は、阻止部材23Lまたは23Rが固定されてから短時間でステアリングホイール1の回転を阻止することが可能であると共に、ステアリングホイール1の回転方向が急に反転した場合でも、移動部材22が阻止部材23Lまたは23Rに接触して操舵違和感が生じるのを防ぐことができる。
【0049】
(3) 車速を検出する車速センサ11を設け、移動部材22の移動に伴って位置が移動する状態での阻止部材23L,23Rと移動部材のストッパ部22L,23Rとの間隔を、検出される車速が低車速側で広く設定し、検出される車速が高車速側で狭く設定するようにしたため、操舵時に車速の高低にかかわらず、最適なタイミングにてドライバに伝える情報としてのステアリングのロック感を与えることができる。
【0050】
(第2実施例)
第2実施例は、反力アクチュエータ2の出力トルクに応じて阻止部材23L,23Rと移動部材のストッパ部22L,23Rとの間隔を設定、つまり、反力トルクに応じてステアリングホイール1の回転許容量を設定する例である。なお、構成は第1実施例と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0051】
次に、作用を説明する。
【0052】
[回転阻止制御動作]
図4は第2実施例の操舵コントローラ10の回転阻止制御部にて実行される回転阻止制御動作の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、ステップS0、ステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS6、ステップS7は、第1実施例の図3に示すフローチャートと同様の処理であることで説明を省略する。
【0053】
ステップS24では、反力アクチュエータ2が発生する操舵トルクが操舵コントローラ10に入力され、ステップS25へ移行する。
ここでは、トルクセンサ3からの出力を用いても良いし、反力アクチュエータ2への指令値から算出しても良い。
【0054】
ステップS25では、ステップS24からのトルクに基づいて、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出し、さらに、ステアリングホイール1の回転方向に基づいて、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出し、ステップS6へ移行する。
【0055】
ここで、トルクが大きい場合は、ドライバ操作による操作角の変化は小さくなり、また、ドライバに伝える情報としてのステアリングのロック感は、時間的遅れができるだけ短い間に発生する必要がある。一方、トルクが小さい場合は、ドライバ操作による操作角の変化は大きくなる。
【0056】
以上のことより、例えば、トルクに反比例するように、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出するなど、トルクが大きい時は間隔を狭く、小さい時は間隔を広く設定する。
【0057】
次に、効果を説明する。
この第2実施例の車両用操舵装置にあっては、第1実施例の(1),(2)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0058】
(4) 反力アクチュエータ2の出力トルクを検出するトルクセンサ3を設け、移動部材22の移動に伴って位置が移動する状態での移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を、反力アクチュエータ2の出力トルクが高トルク側で狭く設定し、反力アクチュエータ2の出力トルクが低トルク側で広く設定するようにしたため、操舵時に反力トルクの大きさにかかわらず、最適なタイミングにてドライバに伝える情報としてのステアリングのロック感を与えることができる。
【0059】
(第3実施例)
第3実施例は、操舵角速度に応じて阻止部材23L,23Rと移動部材のストッパ部22L,23Rとの間隔を設定、つまり、ステアリング操作速度に応じてステアリングホイール1の回転許容量を設定する例である。なお、構成は第1実施例と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0060】
次に、作用を説明する。
【0061】
[回転阻止制御動作]
図5は第3実施例の操舵コントローラ10の回転阻止制御部にて実行される回転阻止制御動作の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、ステップS0、ステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS6、ステップS7は、第1実施例の図3に示すフローチャートと同様の処理であることで説明を省略する。
【0062】
ステップS34では、ステップS1で入力された操舵角の時間的変化より、操舵角速度を算出し、ステップS35へ移行する(操舵角速度検出手段)。
【0063】
ステップS35では、ステップS34からの操舵角速度に基づいて、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出し、さらに、ステアリングホイール1の回転方向に基づいて、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出し、ステップS6へ移行する。
【0064】
ここで、ドライバ操作による操舵角速度が低速であるときは、操作角の変化は小さくなるため、ドライバに伝える情報としてのステアリングのロック感は、時間的遅れができるだけ短い間に発生する必要がある。一方、ドライバ操作による操舵角速度が高速であるときは、操作角の変化は大きくなるため、時間的遅れは低速時よりも許容することができる。
【0065】
以上のことより、例えば、操舵角速度に比例するように移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出するなど、操舵角速度が低速時は間隔を狭く、操舵角速度が高速時は間隔を広く設定する。
【0066】
次に、効果を説明する。
この第3実施例の車両用操舵装置にあっては、第1実施例の(1),(2)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0067】
(5) ステアリングホイール1の操舵角速度を算出する操舵角速度算出ステップS34を設け、移動部材22の移動に伴って位置が移動する状態での移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を、ステアリングホイール1の操舵角速度が高速度側で広く設定し、ステアリングホイール1の操舵角速度が低速度側で狭く設定するようにしたため、操舵時に操舵角速度の高低にかかわらず、最適なタイミングにてドライバに伝える情報としてのステアリングのロック感を与えることができる。
【0068】
(第4実施例)
第4実施例は、操向輪5,5にかかる外力に応じて阻止部材23L,23Rと移動部材22のストッパ部22L,23Rとの間隔を設定、つまり、操向輪5,5にかかる外力に応じてステアリングホイール1の回転許容量を設定する例である。なお、構成は第1実施例と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0069】
次に、作用を説明する。
【0070】
[回転阻止制御動作]
図6は第4実施例の操舵コントローラ10の回転阻止制御部にて実行される回転阻止制御動作の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、ステップS0、ステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS6、ステップS7は、第1実施例の図3に示すフローチャートと同様の処理であることで説明を省略する。
【0071】
ステップS44では、操向輪5,5に加わっている外力が操舵コントローラ10に入力され、ステップS45へ移行する。
ここでは、図1に示すように、伝達部6の中間部にロードセル12を設置し、操向輪5,5に加わる外力を直接計測するようにしたが、転舵アクチュエータ8の指令値と転舵角センサ9の出力からの外力推定値を算出しても良い。
【0072】
ステップS45では、ステップS44からの外力に基づいて、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出し、さらに、ステアリングホイール1の回転方向に基づいて、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出し、ステップS6へ移行する。
【0073】
ここで、外力が大きい場合は、操向輪5,5が縁石に当たっている場合や轍にはまっている場合が想定される。外力が小さい場合は、操向輪5,5が受けている車両外部からの影響は少ないと想定される。
【0074】
以上のことより、例えば、外力に反比例するように、移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を算出するなど、外力が大きい時は間隔を狭く、小さい時は間隔を広く設定する。この場合、車両旋回時の横加速度から受ける外力など、予め想定できる外力分は考慮しないようにすることは言うまでもない。
【0075】
次に、効果を説明する。
この第4実施例の車両用操舵装置にあっては、第1実施例の(1),(2)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0076】
(6) 操向輪5,5にかかる外力を検出するロードセルロードセル12を設け、移動部材22の移動に伴って位置が移動する状態での移動部材22のストッパ部22L,22Rと阻止部材23L,23Rとの間隔を、操向輪5,5にかかる外力が大きい側で狭く設定し、操向輪5,5にかかる外力が小さい側で広く設定するようにしたため、操向輪5,5が縁石に当たっている場合や轍にはまっている場合に、素早くステアリングホイール1の回転を阻止することができる。
【0077】
以上、本発明の車両用操舵装置を第1実施例〜第4実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0078】
第1〜第4実施例では、車速、操舵方向、反力トルク、操舵角速度、操向輪が受ける外力に応じて移動部材と阻止部材との間隔を算出する例を示したが、路面状態や走行状態や操舵状態等において、上記以外の操舵に影響を与える要因の変化に応じ、ステアリングホイールの回転許容量の範囲設定や変更を行うようにしても良い。例えば、ヨーレートや横加速度や前後加速度など車両の走行状態を表す物理量に基づいて、移動部材と阻止部材との間隔を算出する例としても良い。
【0079】
また、例えば、車速、操舵方向、反力トルク、操舵角速度、操向輪が受ける外力のうち、3つ以上を組み合わせて移動部材と阻止部材との間隔を算出する要にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の車両用操舵装置を示す全体システム図である。
【図2】第1実施例の車両用操舵装置における回転阻止手段の詳細な構成を示す断面図である。
【図3】第1実施例の操舵コントローラの回転阻止制御部にて実行される回転阻止制御動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】第2実施例の操舵コントローラの回転阻止制御部にて実行される回転阻止制御動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】第3実施例の操舵コントローラの回転阻止制御部にて実行される回転阻止制御動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】第4実施例の操舵コントローラの回転阻止制御部にて実行される回転阻止制御動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 反力アクチュエータ
3 トルクセンサ(反力トルク検出手段)
4 操作角センサ
5 操向輪
6 伝達部
7 ステアリングギア(転舵装置)
8 転舵アクチュエータ
9 転舵角センサ
10 操舵コントローラ
11 車速センサ(車速検出手段)
12 ロードセル(操向輪外力検出手段)
13 回転阻止手段
14 ステアリングシャフト
14a ボールねじ溝
15 円筒ケース
15L 左側孔
15R 右側孔
16 上部エンドプレート
17 下部エンドプレート
18,19 ベアリング
20 カバー
21 ボールねじナット
22 移動部材
22L 左側ストッパ部
22R 右側ストッパ部
23L 左側阻止部材
23R 右側阻止部材
24L 左側ねじ部材
24R 右側ねじ部材
25L 左側モータ(阻止部材移動アクチュエータ)
25R 右側モータ(阻止部材移動アクチュエータ)
26L 左側阻止部材位置センサ
26R 右側阻止部材位置センサ
Claims (6)
- 操向輪の転舵装置に機械的に連結されていないステアリングホイールと、
前記ステアリングホイールに操作反力を与える反力アクチュエータと、
前記転舵装置にその出力を加える転舵アクチュエータと、
前記ステアリングホイールの操舵角および車両の走行状態に基づいて算出された転舵角となるように前記転舵アクチュエータを駆動する転舵制御手段と、
前記ステアリングホイールの回転を阻止して前記ステアリングホイールの回転許容範囲を設定する回転阻止手段と、
を備えた車両用操舵装置において、
前記回転阻止手段は、前記ステアリングホイールの回転に連動して移動する移動部材と、該移動部材の移動を阻止する阻止部材と、を有し、
前記阻止部材は、前記移動部材の動きに伴って位置を移動可能とすると共に、前記移動部材の移動を阻止する場合は前記阻止部材の位置を固定することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1に記載された車両用操舵装置において、
前記回転阻止手段は、前記ステアリングホイールの右回転方向の回転を阻止する右側阻止部材と、前記ステアリングホイールの左回転方向の回転を阻止する左側阻止部材と、右側阻止部材と左側阻止部材をそれぞれ移動させる2つの阻止部材移動アクチュエータと、を有して構成され、
前記移動部材の移動に伴って位置が移動する状態での前記阻止部材と前記移動部材との2つの間隔のうち、前記ステアリングホイールの回転の逆方向を阻止する一方の阻止部材と前記移動部材との間隔を、前記ステアリングホイールの回転方向を阻止する他方の阻止部材と前記移動部材との間隔より広く設定したことを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1または請求項2に記載された車両用操舵装置において、
車速を検出する車速検出手段を設け、
前記移動部材の移動に伴って位置が移動する状態での前記阻止部材と前記移動部材との間隔を、前記検出される車速が低車速側で広く設定し、前記検出される車速が高車速側で狭く設定することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1または請求項2に記載された車両用操舵装置において、
反力アクチュエータの出力トルクを検出する反力トルク検出手段を設け、
前記移動部材の移動に伴って位置が移動する状態での前記阻止部材と前記移動部材との間隔を、前記反力アクチュエータの出力トルクが高トルク側で狭く設定し、前記反力アクチュエータの出力トルクが低トルク側で広く設定することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1または請求項2に記載された車両用操舵装置において、
ステアリングホイールの操舵角速度を検出する操舵角速度検出手段を設け、
前記移動部材の移動に伴って位置が移動する状態での前記阻止部材と前記移動部材との間隔を、前記ステアリングホイールの操舵角速度が高速度側で広く設定し、前記ステアリングホイールの操舵角速度が低速度側で狭く設定することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1または請求項2に記載された車両用操舵装置において、
操向輪にかかる外力を検出する操向輪外力検出手段を設け、
前記移動部材の移動に伴って位置が移動する状態での前記阻止部材と前記移動部材との間隔を、操向輪にかかる外力が大きい側で狭く設定し、操向輪にかかる外力が小さい側で広く設定することを特徴とする車両用操舵装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003044646A JP2004249933A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | 車両用操舵装置 |
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| JP2003044646A JP2004249933A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | 車両用操舵装置 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2003
- 2003-02-21 JP JP2003044646A patent/JP2004249933A/ja active Pending
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