JP2004254565A - 垂直面緑化のための緑化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】植え付け作業が容易に行え,植生基材を保護するマットは、基材を外に零れ出ないようにすると共に、植生基材からの植生植物の発芽及び葉や茎の発生を良好にする機能を有する緑化パネルを得る。
【解決手段】緑化パネル100を、支持枠により垂直面側に取り付けられて、少なくともポット苗の植え込みが可能な作業開口を少なくとも前面に形成したパネル枠10と、このパネル枠10の直ぐ内側に配置されて支持され、作業開口の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有した袋状マット材20Aと、このマット材20Aの内側に充填されて、植生植物Pを生育させるための植生基材30またはこれを充填した立体網状マットとにより構成するとともに、支持枠を、多数の金属製の直線状の支持パイプと、これらの端部を互いに連結するパイプ連結部材と、パネル枠10の一部に連結されて、当該パネル枠10を支持パイプに吊下する吊下具とにより構成した。
【選択図】図10
【解決手段】緑化パネル100を、支持枠により垂直面側に取り付けられて、少なくともポット苗の植え込みが可能な作業開口を少なくとも前面に形成したパネル枠10と、このパネル枠10の直ぐ内側に配置されて支持され、作業開口の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有した袋状マット材20Aと、このマット材20Aの内側に充填されて、植生植物Pを生育させるための植生基材30またはこれを充填した立体網状マットとにより構成するとともに、支持枠を、多数の金属製の直線状の支持パイプと、これらの端部を互いに連結するパイプ連結部材と、パネル枠10の一部に連結されて、当該パネル枠10を支持パイプに吊下する吊下具とにより構成した。
【選択図】図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の壁や橋脚の表面、あるいは擁壁等の垂直面に対して植生による緑化を行うための植生装置に関し、特に、植生植物の播種やポット苗の植え付け作業と、垂直面に対する組付作業とを簡単かつ確実に行うようにした緑化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
建物の壁や橋脚の表面、切り通し道路脇の壁、あるいは擁壁等の垂直面は、これを形成しているコンクリートが剥き出しになったままの場合が多く、そのままでは、無味乾燥な状態となっていて景観上余り好ましくない。そこで、このコンクリート剥き出しの垂直面に対して、例えばペンキ等によって絵を書き入れるか、あるいは種々な装飾を施して、その付近を通る人達に対して安らぎを与える景観とすることが試みられている。
【0004】
中でも、「花」を代表とする植物をこの垂直面に生育させて飾ること、つまり垂直面に対する「植生」が種々試みられているのであるが、これらの壁や擁壁が垂直面を形成しているものであってみれば、緩やかな傾斜面である法面におけるような従来の植生技術は適用することが困難であり、何等かの新たな手段の開発が必要となっているのである。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1で提案されているような「壁面緑化用ユニットパネル」、特許文献2で提案されているような「緑化パネルを用いた緑化工法」、あるいは特許文献3で提案されているような「緑化パネル」が開発されてきたのである。
【0006】
【特許文献1】特開2002−97653号公報、要約、図4
【0007】
【特許文献2】特開2000−1857号公報、特許請求の範囲、段落0006、図1
【0008】
【特許文献3】特開2001−320968号公報、請求項3、段落0006、段落00027、図2
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1で提案されている「壁面緑化用ユニットパネル」は、図17に示すように、「アルミニウム形材で構成された仕切板2を有する枠体1に、アルミニウム平板よりなる底板、多孔質成形体ブロックよりなり、透水性及び保水性を有する植栽土壌基盤5を収納し、枠体1の表面に格子状押さえ材6を設置して、枠体1により一体化する」(要約)ものであるが、「植栽土壌基盤5を収納した枠体1の表面に格子状押さえ材6を設置した」ものであるため、「低比重材料で製造されたフレームの剛性をフレームの断面を大きくすることなく高めてフレームの変形を防止するとともに壁面緑化用パネルの大型化を可能にする」ことはできる。
【0010】
しかしながら、この特許文献1で提案されている「壁面緑化用ユニットパネル」は、図17にも示したように、枠体1をアルミニウム形材の組み合わせて構成しなければならず、しかも壁等にはこの型枠1をブラケット3により固定しなければならないため、その組立や製造が非常に困難であると、考えられる。しかも、この特許文献1で提案されている「壁面緑化用ユニットパネル」は、植栽土壌基盤5内への播種やポット苗の植え付けが困難であるとも考えられる。
【0011】
何故なら、この特許文献1のパネルでは、大型化を可能にすることに主眼が置かれているため、実際の植生植物の種子や苗をどのように施工していくか、については何らの意も用いられていないからである。その証拠に、この特許文献1中には、植生植物の播種や植え付けについては一切言及がないのである。
【0012】
また、この特許文献1のパネルでは、植栽土壌基盤5の表面に格子状押さえ材6を直接設置したものとなっているため、植栽土壌基盤5がこの格子状押さえ材6の網目からこぼれ出てしまうという可能性も考えられ、頻繁にメンテナンスを行うわけにはいかない橋脚の垂直面への緑化工法としては、適していないとも考えられる。
【0013】
次に、特許文献2で提案されている「緑化パネルを用いた緑化工法」は、図18に示すように、骨格体6と、骨格体に張設されるフィルター3とによって形成された箱状枠体Aと、箱状枠体A内に収容された土壌及び各種肥料、保水材などを混合した植生基盤材4とから構成した箱状枠体の表装部分に、種子を播種するか吹き付け、あるいは苗を植栽するものである。(特許請求の範囲)
ところが、この特許文献2の緑化工法では、「アンカーボルトを、箱状枠体の網目に通しながら、箱状枠体が保水タンク全体を覆うように被せ、ボルトを介してナット締めする」ものであるため、この工法は、耐震補強がなされた橋脚等の垂直面には施工することができないものとなっている。
【0014】
また、この特許文献2の緑化工法では、箱状枠体の表面には、上述したようにフィルター3が存在しているのであるから、種子の播種の吹き付けもこのフィルター3が邪魔をして困難になるのではないかと、考えられる。
【0015】
そして、特許文献3で提案されている「緑化パネル」は、図19に示すように、「パネル枠2と、この表面・裏面にそれぞれ貼設されるパンチングメタルやメッシュ等の有孔板3と、この有孔板間に充填される通水性と保水性を有する充填材4と、少なくとも一方の有孔板3の外面に貼設される植生マット5から構成したものである。
【0016】
また、この特許文献3で提案されている「緑化パネル」は、当該文献の段落0030に記載されているように、「壁面等に沿ってアンカーボルトを上下方向に配置し、このアンカーボルトをアンカーボルト・ナットを介して壁面等に隙間をおいて固定する」ものであるため、アンカーボルトの配置(打ち込み)ができない場所では、施工できないことになる。
【0017】
従って、この特許文献3で提案されている「緑化パネル」では、耐震補強がなされた橋脚等の垂直壁面に対して施工できないだけでなく、上記特許文献1や2と同様に、有孔板3が表面に存在していることから、この有孔板3が播種や植え付けの邪魔になると考えられるのである。しかも、長期間の設置によって、有孔板3が充填材4から剥離したり浮き上がったりして、植生植物の根が切られてしまうことも十分考えられるため、頻繁にメンテナンスを行うわけにはいかない橋脚の垂直面への緑化工法としては、適していないとも考えられる。
【0018】
そこで、本発明者等は、この種の垂直面に対する植生を行うにあたって、上述した問題点を解消するにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、次の諸点を同時に解決することが必要であることを見出し、本発明を完成したのである。
【0019】
(イ)緑化パネルは、植生植物の播種や植え付け作業が組立後でも、また別の場所でも容易に行えるものでなければならない。
(ロ)緑化パネルによって垂直に立てられることになる植生基材を保護するマットは、中の植生基材が外に零れ出ないようにする機能を有していなければならないことは当然として、これとは逆の、植生基材からの植生植物の発芽及び葉や茎の発生を良好にする機能を備えていなければならない。
(ハ)特に、植生植物として、ある程度発根しかつ成長させてあって、植え付け後の生育管理が簡単に行える「ポット苗」を採用することができるようにして、単なる「緑」だけでなく「花卉」も楽しめるようにしなければならない。
(ニ)当然のことながら、全体として構造が単純化されていて、垂直面に対する取付や設置が、簡単且つ確実でしかも安全に行える緑化装置でなければならない。
(ホ)装飾が行える塀を形成することもできるればなおよい。
(ヘ)植生植物の植栽が両面に対して可能であり、しかも単独でも面構造モニュメントとして設置可能なものとして、建物や橋脚等の垂直面の植生に限らず、ガーデニング資材としての用途へも実施できるものでなければならない。
【0020】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する実施の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「建物の壁や橋脚310の表面、あるいは擁壁等の垂直面300に対して、又は単独で組み付けられる支持枠200と、この支持枠200を介して取付施工される緑化パネル100とからなり、この緑化パネル100に植生された植生植物Pにより、垂直面300に対する植生を行い、あるいは垣根や垂直な面構造モニュメントを構成する緑化装置であって、
緑化パネル100を、支持枠200により垂直面300側に取り付けられて、少なくともポット苗70の植え込みが可能な作業開口13を少なくとも前面に形成したパネル枠10と、このパネル枠10の直ぐ内側に配置されて支持され、作業開口13の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有した袋状マット材20Aと、この袋状マット材20Aの内側に充填されて、植生植物Pを生育させるための植生基材30またはこれを充填した立体網状マット40とにより構成するとともに、
支持枠200を、多数の金属製の直線状の支持パイプ211と、これらの支持パイプ211の端部を互いに連結するパイプ連結部材212と、パネル枠10の一部に連結されて、当該パネル枠10を支持パイプ211に吊下する吊下具213とにより構成したことを特徴とする垂直面緑化のための緑化装置」
である。
【0021】
すなわち、この請求項1に係る緑化装置は、建物の壁や橋脚310の表面、あるいは擁壁等の垂直面300に対して、又は単独で組み付けられる支持枠200と、この支持枠200を介して取付施工される緑化パネル100とからなるものであり、この緑化枠100に植生された植生植物Pにより、図1に示すような垂直面300に対する植生を行ったり、多数の緑化枠100を支持枠200によって支持することにより、図15または図16に示すような立体面構造モニュメントや垣根を構成したりするものである。
【0022】
なお、以下に示す実施形態の緑化パネル100は、図10あるいは図11に示すように、支持枠200を使用しないで、アンカー27によって垂直面300に直接取り付けられることもあるものである。
【0023】
この請求項1に係る緑化装置において使用している緑化パネル100は、図1及び図2にも示すように、垂直面300に対して、または図15に示すような垂直面300を必要としない単独状態のものとして、支持枠200を介して取付施工されて、この垂直面300での植生を可能にするものであり、図3に示すように、支持枠200により橋脚310の垂直面300側に取り付けられて、図9及び図12に示すように、少なくともポット苗70の植え込みが可能な作業開口13を少なくとも前面に形成したパネル枠10を備えたものである。
【0024】
パネル枠10は、図6に示すように、多数の格子線材12を縦横に組み付けて構成した枠本体11を有するものであり、この枠本体11を、図1、図2及び図9の(a)に示すように、縦横に組み付けた多数の支持パイプ211に取り付けられるものであるが、各支持パイプ211は、図1、図4及び図9の(b)に示すようなパイプ連結部材212を使用して、建物や橋脚310の表面、つまり垂直面300上に組み立てられる枠状のものとしたものである。
【0025】
また、これらのパネル枠10の枠本体11は、上述したように、多数の格子線材12を組み合わせて上端が開口する略箱状のものとしたものであり、各格子線材12によって形成された開口が少なくともポット苗70の植え付けが外から行える程度の大きさの作業開口13となるようにしてある。
【0026】
勿論、このパネル枠10を構成する枠本体11としては、金属板に作業開口13をパンチングしたものであってもよく、言わば大きな穴である各作業開口13が存在していて、後述する袋状マット材20Aの保持が十分行えるものであれば、上述したものに限られるものではない。
【0027】
このパネル枠10を構成してる枠本体11の直ぐ内側には、図10に示すように、吸水性及び復元性を有した袋状マット材20Aが配置されて支持されるのである。この袋状マット材20Aは、作業開口13の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有したものであり、後述する実施形態で例示しているように、ポリエチレンテレフタレート(以下、単にペットという)のような合成樹脂の繊維を不織布状に成形したものである。勿論、この袋状マット材20Aは、図10に示すように、中に植生基材30を充填してから枠本体11内に挿入しなければならないものであるから、文字通り袋状のものとして形成してある。
【0028】
この袋状マット材20Aは、図10に示した状態になったとき、内部の植生基材30の零れ出を防止することは当然として、図12及び図13に示すような切り込み80を入れて拡げたとしても、それ自体の、あるいは水を含んだときの復元性によって、図14に示すように、再び閉じるものである。つまり、この袋状マット材20Aは、内部の植生基材30の漏れ出を、これに切り込み80を入れたときもそうでないときも、確実に防止するものである。
【0029】
この袋状マット材20Aの内側に充填されて、植生植物Pを生育させるための植生基材30は、ポット苗70あるいは植生植物Pの生育に十分なものであれば種々なものが適用できるのである。特に、この植生基材30は、袋状マット材20A内に充填されてしまって外部に漏れ出ることがないのであるから、その粒度や性質には限定条件が要求されるものではない。なお、以下に示す実施形態の袋状マト材20A内には、植生基材30を充填した後述する立体網状マット40が挿入されることもある。
【0030】
以上のように構成した緑化パネル100を施工するには、まず、植生基材30を充填した袋状マット材20Aを、支持枠200によって垂直面300に固定した、または地面や圃場等の生育場所に配置したパネル枠10内に挿入する必要がある。つまり、ここでは、緑化装置の緑化パネル100を構成しているパネル枠10が、図9に示すように、既に垂直面300に取り付けた場合と、垂直面300上ではない図示しない圃場等の生育場所に設置されている2通りを考慮しているのである。
【0031】
特に、パネル枠10を図示しない生育場所に設置するのは、この緑化パネル100にポット苗70の植え付けや植生植物Pの播種等を垂直面300ではない場所で行い、ある程度に生育した植生植物Pをパネル枠10毎、施工現場である垂直面300に運んで、当該緑化パネル100の施工が完了したときには、図10や図11に示すように、植生植物Pが大きく生育し、あるいは、この緑化パネル100に花が咲いている状態にしたい場合があるからである。
【0032】
ところで、この緑化パネル100に対しては、当然のことながら、播種やポット苗70の植え込みを行わなくてはならないが、パネル枠10の作業開口13から袋状マット材20Aを切開して切り込み80を形成し、これを拡げることによりできたマット開口21から植生基材30内に、播種またはポット苗70の植え付けを行うのである。図12〜図14には、ポット苗70の植え込みを行う場合の例が示してあるが、まず、図12に示すように、パネル枠10の作業開口13からは袋状マット材20Aの表面が大きく露出しているから、この作業開口13からカッター等を挿入して切り込み80を形成するのである。この切り込み80は、図12に示したように、×印のような状態で形成するのが、図13に示すようなマット開口21を形成するのに有利である。
【0033】
×印状の切り込み80の中心を指等で拡げて、図13の(a)及び(b)に示したようなマット開口21とする。この場合、×印状の切り込み80の大きさは植え付けたいポット苗70の大きさに対応させればよいが、その大きさは作業開口13が比較的大きなものとして形成してあるから、自由に行える。また、切り込み80のカーッター等による形成は、袋状マット材20Aの上面が作業開口13を構成している格子線材12によって押さえつけられているから、安定した状態で簡単に行えるのである。
【0034】
以上では、ポット苗70の植え付けを例にして説明したが、植生植物Pの種子の播種の場合でも同様であることは言うまでもない。
【0035】
植生植物Pの播種やポット苗70の植え付けが済めば、各マット開口21を、当該袋状マット材20Aの復元性を利用して閉じ、その上から初期かん水を行うのである。後述する実施形態の袋状マット材20Aは、合成樹脂「ペット」を主材料とする不織布状のマットであるから、切り込み80を形成した直後では、未だ十分な復元性を有している。このため、マット開口21を閉じて元の状態にしてやれば、図14に示すように、×印を形成していた各三角片は、ポット苗70の根本を覆うように、あるいは発芽してきた芽が十分伸び出られるような状態を維持したまま、閉じられることになるのである。勿論、播種やポット苗70の植え付けがされた後には、植生植物Pの生育に必要な初期かん水を行うことは当然である。
【0036】
以上の緑化パネル100に対する播種や植え付けが、垂直面300に施工された支持枠200に既に取り付けられているパネル枠10に直接なされた場合には、これで垂直面300の緑化施工は完了したことになる。勿論、この作業は、当該緑化装置のメンテナンスにも応用される。つまり、植え付けた植生植物Pの一部が枯れたとき、その分を新しいものに植え直さなければならないが、その作業も上述したのと同様にして行うのである。そうすることによって、メンテナンス作業を容易に行うことができるからである。
【0037】
これに対して、緑化パネル100が地面等の生育場所に配置したものである場合には、パネル枠10を支持枠200によって垂直面300に取り付けることによって完了するのである。
【0038】
ところで、支持枠200は、図4または図9に示すように、多数の支持パイプ211をパイプ連結部材212を介して枠板状に組み立てたものであり、各緑化パネル100の上方に位置することになる支持パイプ211には、図7に示したような吊下具213か、あるいは図8に示したような吊下具213が取り付けられるものである。
【0039】
パイプ連結部材212としては、図4の(b)に示すような各支持パイプ211の端部同士を連結するものと、図9の(b)に示すような各支持パイプ211を挿通して連結するタイプのもの等が採用される。図4の(b)に示したパイプ連結部材212は、図4の(c)に示したような端部連結具212aを各支持パイプ211の端部開口内に挿入してこれに固定し、これらの端部連結具212aをパイプ連結部材212によってそれぞれ連結するようにするものである。この図4の(b)に示したパイプ連結部材212を使用することによって、図4の(a)に示した平板状の支持枠本体200Aとすることができるのである。
【0040】
一方、図9の(b)に示したパイプ連結部材212は、互いに直交する複数のパイプ挿通穴を有するもので、それぞれのパイプ挿通穴内に支持パイプ211を挿通して複数の支持パイプ211を直交状態で連結するものである。この図9の(b)に示したパイプ連結部材212は、これを使用することにより、幅のあるパネル枠10を、図9の(a)に示したように、2本の支持パイプ211間に吊下するのに有利となる支持枠200とするものである。この図9の(a)に示した支持枠200は、各パネル枠10、従って緑化パネル100の両面が見えるように支持することができるため、図15あるいは図16に示した後述する垂直な面構造モニュメントとすることができるものである。
【0041】
図7に示した吊下具213は、図7の(a)に示すように、下端に折り曲げた一対の係止片213aを有し、上端部に取付穴213bを形成したものであり、図7の(b)に示すように、各係止片213a間にパネル枠10を構成している枠本体11の格子線材12が挿入されて、図7の(c)に示すように、これら各係止片213aをさらに折り曲げることにより、図6の(a)〜(b)にも示すように、パネル枠10の上部に取り付けられるものである。また、この吊下具213は、その上端部に設けた取付穴213bを利用することによって、支持枠200を構成している支持パイプ211に連結されるものである。
【0042】
図8に示した吊下具213は、図7に示したものとは異なって、逆U字状のものであり、特に図8の(b)に示すような状態で、各パネル枠10に対する取付とこのパネル枠10上に位置することになる支持パイプ211に対する吊下がなされるものである。
【0043】
以上の各吊下具213をパネル枠10に取り付けた緑化パネル100は、例えば図9の(a)に示すように、支持枠200に対して吊下されるのであるが、この緑化パネル100を吊下するための支持枠200は、例えば図3に示すような橋脚310の周囲に組み付けられるものである。
【0044】
支持枠200は、図1〜図3に示すように、多数の緑化パネル100を垂直面300側に組み付けて、当該垂直面300の表面を各緑化パネル100に植生された植生植物Pによって覆うようにするものであるが、各緑化パネル100の取付が簡単にしかも確実に行えるようにしているものである。
【0045】
この支持枠200は、図1及び図2に示したように、垂直面300を構成している例えば橋脚310の周囲を囲むように基礎210上に設置されるものであり、例えば、各緑化パネル100の上部に取り付けた各吊下具213を、上述したように、各緑化パネル100の上方に水平状態で位置している各支持パイプ211に係止するのである。なお、各緑化パネル100の横部分については、図1にも示したように、連結具214によって連結される。
【0046】
また、この支持枠200は、それ全体が大きなものになると、基礎210が小規模な施工しかできない場合の転倒防止として、図1及び図2に示したように、一端をアンカー216に連結したワイヤロープ215によって支持することもある。勿論、橋脚310等の躯体にホールインアンカー等で壁つなぎできる場合には、当該支持枠200を垂直面300側に直接固定するようにしてもよい。つまり、後述する実施形態の支持枠200では、その支持枠本体200Aを、図5に示すような壁つなぎ217によって垂直面300とに対して所定間隔を置いて支持するようにしているのである。
【0047】
従って、この請求項1の緑化装置は、
(イ)緑化パネル100によって植生植物Pのため播種や植え付け作業が、組立後でも、また別の場所でも容易に行える。
(ロ)垂直に立てられることになる植生基材30を保護する袋状マット材20Aは、中の植生基材30が外に零れ出ないようにし、これとは逆の、植生基材30からの植生植物Pの発芽及び葉や茎の発生を良好にする。
(ハ)特に、植生植物Pとして、ある程度発根しかつ成長させてあって、植え付け後の生育管理が簡単に行える「ポット苗70」も採用でき、単なる「緑」だけでなく「花卉」も楽しめる。
(ニ)垂直面300に対する取付や設置が良好に行える。
(ホ)この緑化装置自体によって、装飾が行える塀を形成することもできる。
(ヘ)植生植物Pの植栽が両面に対して可能であり、しかも単独でも面構造モニュメントとして設置可能なものであり、建物や橋脚310等の垂直面300の植生に限らず、ガーデニング資材としての用途へも実施できる。
といった優れた機能を有したものとなっているのである。
【0048】
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、同様に、
「建物の壁や橋脚310の表面、あるいは擁壁等の垂直面300に対して、又は単独で組み付けられる支持枠200と、この支持枠200を介して取付施工される緑化パネル100とからなり、この緑化パネル100に植生された植生植物Pにより、垂直面300に対する植生を行い、あるいは垣根や垂直な面構造モニュメントを構成する緑化装置であって、
緑化パネル100を、支持枠200により垂直面300側に取り付けられて、少なくともポット苗70の植え込みが可能な作業開口13を少なくとも前面に形成したパネル枠10と、このパネル枠10の直ぐ内側に配置されて支持され、作業開口13の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有したマット材20bと、このマット材20bの内側に収納されて、植生植物Pを生育させるための植生基材30またはこれを充填した立体網状マット40とにより構成するとともに、
支持枠200を、多数の金属製の直線状の支持パイプ211と、これらの支持パイプ211の端部を互いに連結するパイプ連結部材212と、パネル枠10の一部に連結されて、当該パネル枠10を支持パイプ211に吊下する吊下具213とにより構成したことを特徴とする垂直面緑化のための緑化装置」
である。
【0049】
すなわち、この請求項2の緑化装置は、垂直面300に対して、又は単独で組み付けられる支持枠200と、この支持枠200を介して取付施工される緑化パネル100とからなるものであることは、上記請求項1のそれと同様であるが、緑化パネル100が、請求項1における袋状マット材20Aに変えてマット材Bを使用した点のみが異なっている。なお、このマット材B内に充填されるべきものは、植生基材30のみに限らず、これを充填した立体網状マット40のみ(図11のaの場合)、あるいはこれと植生基材30とを混合(図11のbの場合)したものであってもよい。
【0050】
つまり、この請求項2の緑化装置を構成している緑化パネル100は、図11に示してあるが、この図中の部材で請求項1で説明したのと同じ部材に、図10で使用したのと同じ符号を付して、その説明を省略することにする。また、支持枠200それ自体の構成も、請求項1の場合と同様であるので、この支持枠200についての説明を省略する。
【0051】
マット材Bは、袋状マット材20Aと同様な材料を使用したものではあるが、袋状マット材20Aのように袋状にしたものではなく、単にシート状にしたものである。このようにすることにより、例えば垂直面300側に面して播種やポット苗70の植え付けがなされない面に該当するマット材Bとして、表面側のマット材Bより薄い材料のものや、もっとコストの低いものを使用できるようにすることができるのである。また、マット材Bをシート状のものとすることにより、袋状にする手間が省けるだけでなく、パネル枠10の大きさ変化に自由に対応できて有利となる。
【0052】
立体網状マット40は、金属線材を使用して形成しても、合成樹脂性マットの密度を粗くしたものでもよいが、いずれにしても、吹き付けや手込め、あるいは客土等によって内部に植生基材30を充填でき、しかも植生植物Pの根の成長に支障のない状態のものであれば何であってもよい。また、この立体網状マット40は、上述した材料によって例えば厚さ5cm程度のマット状のものとして形成されるものであり、それだけである程度の剛性を有したものとするのが有利である。何故なら、このような立体網状マット40であれば、パネル枠10内への収納が簡単であり、長期間の使用によっても形状の維持がなされるからである。
【0053】
このような立体網状マット40は、図11の(a)に示すように、マット材20Bの中の全体に入れて実施してもよいが、図11の(b)に示すように、厚さが2cm〜5cm程度のものをマット材20Bの植生植物Pとは反対側となる部分に入れて、残りを植生基材30としてもよいものである。
【0054】
以上のように構成した緑化パネル100の施工においては、特に、植生基材30を立体網状マット40に対して吹き付けや客土等の手段によって充填しなければならないことは、この請求項2に係る緑化装置において使用している緑化パネル100がシート状のマット材Bと、その中に収納されて植生基材30またはこれを充填した立体網状マット40を有していることから、当然である。
【0055】
従って、この請求項2の緑化装置は、
(イ)緑化パネル100に対する植生植物Pのため播種や植え付け作業が組立後でも、また別の場所でも容易に行える。
(ロ)緑化パネル100によって垂直に立てられることになる植生基材30を保護するマット材Bは、中の植生基材30が外に零れ出ないようにし、これとは逆の、植生基材30からの植生植物Pの発芽及び葉や茎の発生を良好にする。
(ハ)特に、植生植物Pとして、ある程度発根しかつ成長させてあって、植え付け後の生育管理が簡単に行える「ポット苗70」も採用でき、単なる「緑」だけでなく「花卉」も楽しめる。
(ニ)当然のことながら、当該緑化装置全体として、垂直面300に対する取付や設置が良好に行える。
(ホ)この緑化装置自体によって、装飾が行える塀を形成することもできる。
(ヘ)植生植物Pの植栽が両面に対して可能であり、しかも単独でも面構造モニュメントとして設置可能なものであり、建物や橋脚310等の垂直面300の植生に限らず、ガーデニング資材としての用途へも実施できる。
といった優れた機能を有したものとなっているのである。
【0056】
また、上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請求項2に記載の垂直面緑化のための緑化装置について、
「袋状マット材20Aまたはマット材20bは、合成樹脂繊維を不織布状に成形したものであり、厚さが2mm〜10mmであること」
である。
【0057】
すなわち、この請求項3の緑化パネル100では、これを構成している袋状マット材20Aまたはマット材20bとして、合成樹脂繊維を不織布状に成形したものを採用したものである。
【0058】
このような袋状マット材20Aまたはマット材20bを採用することにより、例えば捨てられたペットボトル等の合成樹脂廃材をリサイクルできることになるし、椰子殻や天然繊維を使用した場合に比較して、腐食しにくいものであるから耐久性に優れているだけでなく、道路を走行する車の中から捨てられたタバコの火によっても発火しない難燃性のものとすることもできるのである。
【0059】
また、これらの袋状マット材20Aまたはマット材20bには、図12に示したような切り込み80が入れられるのであるが、この切り込み80が図13に示したように拡げられた後にも、図14に示したような元に簡単に戻る十分な復元性を有したものとすることができて、植生基材30の零れ出を防止できるのである。さらには、合成樹脂繊維を不織布状に成形した袋状マット材20Aまたはマット材20bは、十分な吸水性と保水性を有したものとなることは言うまでもない。
【0060】
従って、この請求項3の緑化装置は、上記「発明が解決しようとする課題」の項で述べた、(イ)〜(ヘ)の目的をより一層確実にし得るものとなっているのである。
【0061】
そして、上記課題を解決するために、請求項4に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の垂直面緑化のための緑化装置について、
「植生基材30の上または上部内に、当該植生基材30内へのかん水を行い、かつ少なくとも一端にて他の緑化パネル100側へ連結し得る連結部51を有したかん水パイプ50を収納したこと」
である。
【0062】
すなわち、この請求項4の緑化装置を構成している緑化パネル100では、これが、図10または図11に示すように、植生基材30の上または上部内にかん水パイプ50を収納して、このかん水パイプ50が既にセットされたものとしたものである。また、このかん水パイプ50の少なくとも一端には、他の緑化パネル100側へ連結し得る連結部51が設けてあり、この連結部51を利用することにより、図1等に示すような多数の緑化パネル100を連結した場合の自動かん水を効果的に行えるのである。
【0063】
従って、この請求項4の緑化装置は、上記請求項1〜請求項3のそれと同様な機能を発揮することは勿論、これを構成している緑化パネル100において、かん水作業の自動化が十分行えるものとなっているのである。
【0064】
【発明の実施の形態】
次に、以上のように構成した各請求項に係る緑化装置について説明するが、この実施形態の緑化装置は、実施例1に係る緑化パネル100と、実施例2に係る緑化パネル100との2種類ある。そこで、以下では、各実施例の緑化パネル100を中心にして説明するが、その前に、共通する部材である支持枠200について説明することとする。
【0065】
支持枠200は、図1〜図3に示したように、多数の緑化パネル100を垂直面300側に組み付けて、当該垂直面300の表面を各緑化パネル100に植生された植生植物Pによって覆うようにするものであるが、後述する各緑化パネル100の取付が簡単にしかも確実に行えるようにしているものである。
【0066】
本実施形態において採用している支持枠200は、図1〜図5に示したように、垂直面300を構成している例えば橋脚310の周囲を囲むように基礎210上に設置されるか、図15等のようにそれ単独で面構造のモニュメントを構成することができるものであり、図4に示したように、多数の支持パイプ211をパイプ連結部材212を利用して縦横に組み立てて、図4に示したような支持枠本体200Aとして、これらにより橋脚310の周囲を囲むか、図9の(a)に示したような枠状のものとしたものである。勿論、この支持枠200は、図1〜図3に示すように、多数の緑化パネル100を橋脚310等の垂直面300側に組み付けて、当該垂直面300の表面を各緑化パネル100に植生された植生植物Pによって覆うようにするものであるが、各緑化パネル100の取付を簡単にしかも確実に行えるようにしたものである。
【0067】
パイプ連結部材212としては、図4の(b)に示すような各支持パイプ211の端部同士を連結するものか、あるいは図9の(b)に示すような各支持パイプ211を挿通して連結するタイプのものを採用した。図4の(b)に示したパイプ連結部材212は、図4の(c)に示したような端部連結具212aを各支持パイプ211の端部開口内に挿入してこれに固定し、これらの端部連結具212aをパイプ連結部材212によってそれぞれ連結するものである。この図4の(b)に示したパイプ連結部材212を使用することによって、図4の(a)に示した平板状の支持枠本体200Aとすることができる。
【0068】
一方、図9の(b)に示したパイプ連結部材212は、互いに直交する複数のパイプ挿通穴を有するもので、それぞれのパイプ挿通穴内に支持パイプ211を挿通して複数の支持パイプ211を直交状態で連結するものである。この図9の(b)に示したパイプ連結部材212は、これを使用することにより、幅のあるパネル枠10を、図9の(a)に示したように、2本の支持パイプ211間に吊下するのに有利となる支持枠200とするものである。この図9の(a)に示した支持枠200は、各パネル枠10、従って緑化パネル100の両面が見えるように支持することができるため、図15あるいは図16に示した後述する垂直な面構造モニュメントとすることができるものである。
【0069】
また、これらの枠状の支持枠200あるいは支持枠本体200Aを構成して、後述する各緑化パネル100の上方に位置することになる支持パイプ211には、図7に示したような吊下具213か、あるいは図8に示したような吊下具213が取り付けられるものである。
【0070】
図7に示した吊下具213は、図7の(a)に示すように、下端に折り曲げた一対の係止片213aを有し、上端部に取付穴213bを形成したものであり、図7の(b)に示すように、各係止片213a間にパネル枠10を構成している枠本体11の格子線材12が挿入されて、図7の(c)に示すように、これら各係止片213aをさらに折り曲げることにより、図6の(a)〜(b)にも示すように、パネル枠10の上部に取り付けられるものである。また、この図7に示した吊下具213は、その上端部に設けた取付穴213bによって、支持枠200を構成している支持パイプ211に連結されるものである。
【0071】
一方、図8に示した吊下具213は、図7に示したものとは異なって、逆U字状のものであり、特に図8の(b)に示すような状態で、各パネル枠10に対する取付とこのパネル枠10上に位置することになる支持パイプ211に対する吊下がなされるものである。
【0072】
以上の各吊下具213をパネル枠10に取り付けた緑化パネル100は、例えば図9の(a)に示すように、支持枠200に対して吊下されるのであるが、この緑化パネル100を吊下するための支持枠200は、例えば図3に示すような橋脚310の周囲に組み付けられるものである。
【0073】
この支持枠200は、図3の(a)及び(b)に示したように、垂直面300を構成している例えば橋脚310の周囲を囲むように基礎210上に設置されるものであり、例えば各緑化パネル100の上部に取り付けた各吊下具213を、上述したように、各緑化パネル100の上方に水平状態で位置している各支持パイプ211に係止するのである。なお、各緑化パネル100の横部分については、図1にも示したように、連結具214によって連結される。
【0074】
また、この支持枠200は、それ全体が大きなものとなるため、図1及び図2に示したように、一端をアンカー216に連結したワイヤロープ215によって支持するのである。勿論、ワイヤロープ215ではない他の部材によって、当該支持枠200を垂直面300側に直接固定するようにしてもよい。さらに、後述する実施形態の支持枠200は、図5に示すような壁つなぎ217によって垂直面300に所定間隔をおいて支持するものである。
(実施例1)
図6には、緑化パネル100を構成するパネル枠10の組立状態が示してある。この実施形態のパネル枠10は、多数の格子線材12を組み合わせて形成したものであり、各格子線材12によって形成された開口が、図12〜図14に示すように、少なくともポット苗70の植え付けが外から行える程度の大きさ(9cm〜12cm程度の四角)の作業開口13となるようにしてある。また、この実施形態のパネル枠10は、図6の(a)に示した一方の第1枠本体11aを、図6の(b)に示した他方の第2枠本体11bに組み付けた、上端が開口する箱形の枠本体11を主体とするものである。この実施形態の第2枠本体11bには、図7に示した吊下具213が取り付けてある。また、図8の(a)には、他の枠本体11が示してあるが、この枠本体11は、図8の(b)にも示すように、吊下具213として、逆U字状のものを採用している。
【0075】
なお、この緑化パネル100におけるパネル枠10は、複数の格子線材12〜12によって上面が開放されて挿入口となる略箱形の箱枠とし、挿入口部分に開閉自在な開閉扉を設けることもある。このようにしたパネル枠10内には、袋状マット材20Aまたはマット材20Bを収納しなければならないのであるが、これらは開閉扉を開けて挿入口を開放し、ここから袋状マット材20Aまたはマット材20Bを収納できるようにしたものである。勿論、袋状マット材20A等の収納が済めば、開閉扉は閉じられる。
【0076】
いずれにしても、各パネル枠10は、図6の(c)及び図8の(a)に示したように、多数の格子線材12を組み合わせて上端が開口する略箱状のものとしたものであり、各格子線材12によって形成された開口が、図12〜図14に示すように、少なくともポット苗70の植え付けが外から行える程度の大きさの作業開口13となるようにしてある。
【0077】
図10には、実施例1に係る緑化パネル100が示してある。この緑化パネル100は、支持枠200により垂直面300側に取り付けられて、少なくともポット苗70の植え込みが可能な作業開口13を少なくとも前面に形成したパネル枠10と、このパネル枠10の直ぐ内側に配置されて支持され、作業開口13の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有した袋状マット材20Aと、この袋状マット材20Aの内側に充填されて、植生植物Pを生育させるための植生基材30またはこれを充填した立体網状マット40とにより構成してある。
【0078】
このパネル枠10の直ぐ内側には、図10に示したように、吸水性及び復元性を有した袋状マット材20Aが配置されて支持されるのである。この袋状マット材20Aは、作業開口13の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有したものであり、ペットのような合成樹脂の繊維を不織布状に成形したものである。勿論、この袋状マット材20Aは、中に植生基材30を充填してからパネル枠10内に挿入しなければならないものであるから、文字通り袋状のものとしてある。
【0079】
この袋状マット材20Aは、図10に示した状態になったとき、内部の植生基材30の零れ出を防止することは当然として、図12及び図13に示すような切り込み80を入れて拡げたとしても、それ自体の、あるいは水を含んだときの復元性によって、図14に示すように、再び閉じるものである。つまり、この袋状マット材20Aは、内部の植生基材30の漏れ出を、これに切り込み80を入れたときもそうでないときも、確実に防止するものである。
【0080】
そのためには、この袋状マット材20Aの厚さを、2mm〜10mmのものとするとよい。その理由は、十分な復元性を当該袋状マット材20Aに付与するためであり、2mmより薄いと十分な復元性がなく耐久性や保水性にも劣ることになるのであり、10mmより厚いと復元性、耐久性、及び保水性には十分であっても、ポット苗70の植え付けや播種のための切り込み80の形成が困難となるからである。
【0081】
この袋状マット材20Aの内側に充填されて、植生植物Pを生育させるための植生基材30は、ポット苗70あるいは植生植物Pの生育に十分なものであれば種々なものが適用できるのであり、本実施例では、パーライトと有機物とを混合させた、例えば屋上緑化に利用されている人工土壌を採用している。また、この植生基材30は、袋状マット材20A内に充填されてしまって外部に漏れ出ることがないのであるから、その粒度や性質には特に限定条件が要求されるものではない。
【0082】
そして、この緑化パネル100については、図10に示したように、植生基材30の上または上部内に、当該植生基材30内へのかん水を行い、かつ少なくとも一端にて他の緑化パネル100側へ連結し得る連結部51を有したかん水パイプ50が収納してある。すなわち、本実施形態の緑化パネル100では、かん水パイプ50が既にセットされていて、このかん水パイプ50は、その少なくとも一端に設けた連結部51によって、他の緑化パネル100側へ連結し得るものあり、この連結部51を利用することにより、図1等に示すような多数の緑化パネル100を連結した場合の自動かん水を効果的に行えるようにしてある。
【0083】
以上の緑化パネル100を施工するには、植生基材30を充填した袋状マット材20Aを、支持枠200によって垂直面300に固定した、または地面や圃場等の生育場所に配置したパネル枠10内に挿入する。
【0084】
つまり、ここでは、緑化パネル100を構成しているパネル枠10が、図9に示したように、既に垂直面300に取り付けた場合と、垂直面300上ではない圃場等の生育場所に設置されている2通りを考慮しているのである。特に、パネル枠10を生育場所に設置するのは、この緑化パネル100にポット苗70の植え付けや植生植物Pの播種等を垂直面300ではない場所で行い、ある程度に生育した植生植物Pをパネル枠10毎、施工現場である垂直面300に運んで、当該緑化パネル100の施工が完了したときには、植生植物Pが花が咲いている状態にしたい場合があるからである。
【0085】
次に、パネル枠10の作業開口13から袋状マット材20Aを切開して切り込み80を形成し、これを拡げることによりできたマット開口21から植生基材30内に、播種またはポット苗70の植え付けを行うのである。図12〜図14には、ポット苗70の植え込みを行う場合の例が示してあるが、図12に示すように、パネル枠10の作業開口13からは袋状マット材20Aの表面が大きく露出しているから、この作業開口13からカッター等の挿入が簡単に行えるから、このカッターによって切り込み80を袋状マット材20Aに形成するのである。そして、×印状の切り込み80の中心を指等で拡げて、図13の(a)及び(b)に示したようなマット開口21とする。以上の作業は、ポット苗70の植え付けを例にして説明したが、植生植物Pの種子の播種の場合でも同様である。
【0086】
そして、植生植物Pの播種やポット苗70の植え付けが済めば、各マット開口21を当該袋状マット材20Aの復元性を利用して、図14に示したように閉じ、その上から初期かん水を行うのである。
【0087】
以上の播種や植え付けは、パネル枠10が垂直面300に施工された支持枠200に取り付けられている場合には、これで垂直面300の緑化施工は完了したことになるが、パネル枠10が生育場所に配置したものである場合には、緑化パネル100を支持枠200によって垂直面300に取り付けることは当然である。
(実施例2)
図11には、実施例2に係る緑化パネル100が示してあるが、この実施例2に係る緑化パネル100の大部分は、上述した実施例1のそれと同様であって、実施例1における袋状マット材20Aに代えてマット材Bを使用した点が異なっている。
【0088】
勿論、この緑化パネル100においても、そのマット材B内に収納されるべきものを、植生基材30のみ、あるいはこれを立体網状マット40に充填したもの、そしてこれらの混合であってもよい。なお、この実施例2の緑化パネル100では、その図11中に示した部材で実施例1で説明したのと同じものに、図10で使用したのと同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0089】
マット材Bは、袋状マット材20Aと同様な材料を使用したものではあるが、袋状マット材20Aのように袋状にしたものではなく、単にシート状にしたものであり、表面側のマット材Bより薄い材料のものや、もっとコストの低いものを使用できるようにすることができる。また、マット材Bをシート状のものとすることにより、袋状にする手間が省けるだけでなく、パネル枠10の大きさ変化に自由に対応できる。
【0090】
立体網状マット40は、金属線材を使用して形成しても、合成樹脂性マットの密度を粗くしたものでもよいが、いずれにしても、吹き付けや客土等の手段によって、内部に植生基材30を充填でき、しかも植生植物Pの根の成長に支障のない状態のものであれば何であってもよい。
【0091】
以上のように構成した緑化パネル100の施工にあたっては、立体網状マット40に対して、吹き付けや客土等の手段によって植生基材30を充填しなければならないことは、前述した通りである。その後の各工程は、上記実施例1の場合と略同じとなることは言うまでもない。
【0092】
また、これらの各緑化パネル100は、図1に示した状態で垂直面300を有する橋脚310等の植生を行うだけでなく、例えば、図15に示すような形状の柱についても植生を行うことができることは言うまでもないが、図15の(a)及び(b)に示した例では、支持枠200によって支持した各緑化パネル100間を連結具によって互いに連結するようにして、これ単独で面構造モニュメントとしているものである。
【0093】
この図15の(a)及び(b)に示した状態からすると、その中に柱等の構造物が必ずしも入っている必要がないことが分かる。つまり、各緑化パネル100を支持枠200によって独立したものとすることにより、本発明に係る緑化パネル100は、例えば大きなホールの中や地下街の交差点等に花を咲かせた「オブジェ」としての役割をも果たすことができるものである。そうであれば、これらの緑化パネル100は、図15の(a)に示した三角形状の場合に限らず、図16の(a)あるいは(b)に示したような正方形状のものとしても実施できる。なお、図16の(a)で示した例では、各緑化パネル100間を連結具によって互いに連結させた場合を示しており、図16の(b)で示した例では、各緑化パネル100間を直接互いに連結させた場合を示している。
【0094】
そして、以上のいずれの緑化パネル100でも言えることであるが、緑化パネル100を構成しているパネル枠10には、比較的大きな作業開口13が形成してあるのであるから、図10あるいは図11に示したように、ポット苗70等の植え付けを行ってない部分にポケット60を取り付け、このポケット60中に植生基材30を入れてこれに植生植物Pを植栽すれば、非常に華やかな植生を行うことができるものである。
【0095】
【発明の効果】
以上の通り、本発明は、上記実施形態で説明した通り、建物の壁や橋脚310の表面、あるいは擁壁等の垂直面300に対して、又は単独で組み付けられる支持枠200と、この支持枠200を介して取付施工される緑化パネル100とからなり、この緑化パネル100に植生された植生植物Pにより、垂直面300に対する植生を行い、あるいは垣根や垂直な面構造モニュメントを構成する緑化装置であって、
「支持枠200により垂直面300側に取り付けられて、少なくともポット苗70の植え込みが可能な作業開口13を少なくとも前面に形成したパネル枠10と、このパネル枠10の直ぐ内側に配置されて支持され、作業開口13の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有した袋状マット材20Aと、この袋状マット材20Aの内側に充填されて、植生植物Pを生育させるための植生基材30またはこれを充填した立体網状マット40とにより構成し」
あるいは、
「支持枠200により垂直面300側に取り付けられて、少なくともポット苗70の植え込みが可能な作業開口13を少なくとも前面に形成したパネル枠10と、このパネル枠10の直ぐ内側に配置されて支持され、作業開口13の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有したマット材20bと、このマット材20bの内側に収納されて、植生植物Pを生育させるための植生基材30またはこれを充填した立体網状マット40とにより構成し」
て、
「支持枠200を、多数の金属製の直線状の支持パイプ211と、これらの支持パイプ211の端部を互いに連結するパイプ連結部材212と、パネル枠10の一部に連結されて、当該パネル枠10を支持パイプ211に吊下する吊下具213とにより構成したこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、本発明に係る緑化装置は、
(イ)緑化パネル100によって植生植物Pのため播種や植え付け作業が、組立後でも、また別の場所でも容易に行える。
(ロ)垂直に立てられることになる植生基材30を保護する袋状マット材20Aは、中の植生基材30が外に零れ出ないようにし、これとは逆の、植生基材30からの植生植物Pの発芽及び葉や茎の発生を良好にする。
(ハ)特に、植生植物Pとして、ある程度発根しかつ成長させてあって、植え付け後の生育管理が簡単に行える「ポット苗70」も採用でき、単なる「緑」だけでなく「花卉」も楽しめる。
(ニ)垂直面300に対する取付や設置が良好に行える。
といった優れた機能を発揮することができるのである。
(ホ)この緑化装置自体によって、装飾が行える塀を形成することもできる。
(ヘ)植生植物Pの植栽が両面に対して可能であり、しかも単独でも面構造モニュメントとして設置可能なものであり、建物や橋脚310等の垂直面300の植生に限らず、ガーデニング資材としての用途へも実施できる。
といった優れた効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る緑化装置を橋脚の垂直面に取り付けた状態の正面図である。
【図2】同緑化装置の平面図である。
【図3】同緑化装置を橋脚に取り付けた状態を示すものであり、(a)はその正面図、(b)は側面図である。
【図4】支持枠を構成している支持枠本体を示すもので、(a)はその正面図、(b)はこれに使用しているパイプ連結具の斜視図、(c)はこのパイプ連結具を構成している固定部材の拡大斜視図である。
【図5】支持枠を垂直面に取り付ける1つの手段である壁つなぎを示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図6】パネル枠を構成する順序を示すもので、(a)は第1枠本体の斜視図、(b)は第2枠本体の斜視図、(c)は完成された枠本体の斜視図である。
【図7】吊下具の一例を示すもので、(a)は全体斜視図、(b)は枠本体を係止させたときの斜視図、(c)は係止片を折り曲げたときの斜視図である。
【図8】図7の吊下具を利用して枠本体を支持パイプに取り付けた状態を示すもので、(a)は斜視図、(b)は横断面図である。
【図9】緑化パネルまたはこれを構成しているパネル枠を支持枠に取り付けた状態を示すものであり、(a)はその全体斜視図、(b)は支持パイプとパイプ連結部材との取付関係を示す部分拡大斜視図である。
【図10】実施例1に係る緑化パネルの拡大縦断面図である。
【図11】実施例2に係る緑化パネル緑化パネルを示すもので、(a)は立体網状マットを全体的に入れた場合の拡大縦断面図、(b)は立体網状マットを部分的に入れた場合の拡大縦断面図である。
【図12】パネル枠の作業開口から切り込みを形成した状態を示すもので、(a)はその部分拡大図、(b)は(a)の縦断面図である。
【図13】切り込みを開いてマット開口を形成した状態を示すもので、(a)はその部分拡大図、(b)は(a)の縦断面図である。
【図14】マット開口からポット苗を植え付けた後このマット開口を閉じた状態を示すもので、(a)はその部分拡大図、(b)は(a)の縦断面図である。
【図15】本発明に係る緑化装置を構成している緑化パネルを利用して建物の柱を囲んだり、中に何もない状態で組み付けて面構造モニュメントとしたときの状態を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図16】図15の(a)に対応する平面図であり、(a)は各緑化パネルの端部を連結材を介して連結したときを、(b)は各緑化パネルを直接連結したときをそれぞれ示す平面図である。
【図17】特許文献1に記載された技術を示す部分拡大断面図である。
【図18】特許文献2に記載された技術を示す分解斜視図である。
【図19】特許文献3に記載された技術を示す平面図(a)、部分破断正面図(b)、及び縦断面図(c)である。
【符号の説明】
100 緑化パネル
10 パネル枠
11 枠本体
12 格子線材
13 作業開口
20A 袋状マット材
20B マット材
21 マット開口
22 保水シート
30 植生基材
40 立体網状マット
50 かん水パイプ
51 連結部
60 ポケット
70 ポット苗
80 切り込み
200 支持枠
200A 支持枠本体
210 基礎
211 支持パイプ
212 パイプ連結部材
213 吊下具
213a 係止片
213b 取付穴
214 連結具
215 ワイヤロープ
216 アンカー
217 壁つなぎ
300 垂直面
P 植生植物
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の壁や橋脚の表面、あるいは擁壁等の垂直面に対して植生による緑化を行うための植生装置に関し、特に、植生植物の播種やポット苗の植え付け作業と、垂直面に対する組付作業とを簡単かつ確実に行うようにした緑化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
建物の壁や橋脚の表面、切り通し道路脇の壁、あるいは擁壁等の垂直面は、これを形成しているコンクリートが剥き出しになったままの場合が多く、そのままでは、無味乾燥な状態となっていて景観上余り好ましくない。そこで、このコンクリート剥き出しの垂直面に対して、例えばペンキ等によって絵を書き入れるか、あるいは種々な装飾を施して、その付近を通る人達に対して安らぎを与える景観とすることが試みられている。
【0004】
中でも、「花」を代表とする植物をこの垂直面に生育させて飾ること、つまり垂直面に対する「植生」が種々試みられているのであるが、これらの壁や擁壁が垂直面を形成しているものであってみれば、緩やかな傾斜面である法面におけるような従来の植生技術は適用することが困難であり、何等かの新たな手段の開発が必要となっているのである。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1で提案されているような「壁面緑化用ユニットパネル」、特許文献2で提案されているような「緑化パネルを用いた緑化工法」、あるいは特許文献3で提案されているような「緑化パネル」が開発されてきたのである。
【0006】
【特許文献1】特開2002−97653号公報、要約、図4
【0007】
【特許文献2】特開2000−1857号公報、特許請求の範囲、段落0006、図1
【0008】
【特許文献3】特開2001−320968号公報、請求項3、段落0006、段落00027、図2
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1で提案されている「壁面緑化用ユニットパネル」は、図17に示すように、「アルミニウム形材で構成された仕切板2を有する枠体1に、アルミニウム平板よりなる底板、多孔質成形体ブロックよりなり、透水性及び保水性を有する植栽土壌基盤5を収納し、枠体1の表面に格子状押さえ材6を設置して、枠体1により一体化する」(要約)ものであるが、「植栽土壌基盤5を収納した枠体1の表面に格子状押さえ材6を設置した」ものであるため、「低比重材料で製造されたフレームの剛性をフレームの断面を大きくすることなく高めてフレームの変形を防止するとともに壁面緑化用パネルの大型化を可能にする」ことはできる。
【0010】
しかしながら、この特許文献1で提案されている「壁面緑化用ユニットパネル」は、図17にも示したように、枠体1をアルミニウム形材の組み合わせて構成しなければならず、しかも壁等にはこの型枠1をブラケット3により固定しなければならないため、その組立や製造が非常に困難であると、考えられる。しかも、この特許文献1で提案されている「壁面緑化用ユニットパネル」は、植栽土壌基盤5内への播種やポット苗の植え付けが困難であるとも考えられる。
【0011】
何故なら、この特許文献1のパネルでは、大型化を可能にすることに主眼が置かれているため、実際の植生植物の種子や苗をどのように施工していくか、については何らの意も用いられていないからである。その証拠に、この特許文献1中には、植生植物の播種や植え付けについては一切言及がないのである。
【0012】
また、この特許文献1のパネルでは、植栽土壌基盤5の表面に格子状押さえ材6を直接設置したものとなっているため、植栽土壌基盤5がこの格子状押さえ材6の網目からこぼれ出てしまうという可能性も考えられ、頻繁にメンテナンスを行うわけにはいかない橋脚の垂直面への緑化工法としては、適していないとも考えられる。
【0013】
次に、特許文献2で提案されている「緑化パネルを用いた緑化工法」は、図18に示すように、骨格体6と、骨格体に張設されるフィルター3とによって形成された箱状枠体Aと、箱状枠体A内に収容された土壌及び各種肥料、保水材などを混合した植生基盤材4とから構成した箱状枠体の表装部分に、種子を播種するか吹き付け、あるいは苗を植栽するものである。(特許請求の範囲)
ところが、この特許文献2の緑化工法では、「アンカーボルトを、箱状枠体の網目に通しながら、箱状枠体が保水タンク全体を覆うように被せ、ボルトを介してナット締めする」ものであるため、この工法は、耐震補強がなされた橋脚等の垂直面には施工することができないものとなっている。
【0014】
また、この特許文献2の緑化工法では、箱状枠体の表面には、上述したようにフィルター3が存在しているのであるから、種子の播種の吹き付けもこのフィルター3が邪魔をして困難になるのではないかと、考えられる。
【0015】
そして、特許文献3で提案されている「緑化パネル」は、図19に示すように、「パネル枠2と、この表面・裏面にそれぞれ貼設されるパンチングメタルやメッシュ等の有孔板3と、この有孔板間に充填される通水性と保水性を有する充填材4と、少なくとも一方の有孔板3の外面に貼設される植生マット5から構成したものである。
【0016】
また、この特許文献3で提案されている「緑化パネル」は、当該文献の段落0030に記載されているように、「壁面等に沿ってアンカーボルトを上下方向に配置し、このアンカーボルトをアンカーボルト・ナットを介して壁面等に隙間をおいて固定する」ものであるため、アンカーボルトの配置(打ち込み)ができない場所では、施工できないことになる。
【0017】
従って、この特許文献3で提案されている「緑化パネル」では、耐震補強がなされた橋脚等の垂直壁面に対して施工できないだけでなく、上記特許文献1や2と同様に、有孔板3が表面に存在していることから、この有孔板3が播種や植え付けの邪魔になると考えられるのである。しかも、長期間の設置によって、有孔板3が充填材4から剥離したり浮き上がったりして、植生植物の根が切られてしまうことも十分考えられるため、頻繁にメンテナンスを行うわけにはいかない橋脚の垂直面への緑化工法としては、適していないとも考えられる。
【0018】
そこで、本発明者等は、この種の垂直面に対する植生を行うにあたって、上述した問題点を解消するにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、次の諸点を同時に解決することが必要であることを見出し、本発明を完成したのである。
【0019】
(イ)緑化パネルは、植生植物の播種や植え付け作業が組立後でも、また別の場所でも容易に行えるものでなければならない。
(ロ)緑化パネルによって垂直に立てられることになる植生基材を保護するマットは、中の植生基材が外に零れ出ないようにする機能を有していなければならないことは当然として、これとは逆の、植生基材からの植生植物の発芽及び葉や茎の発生を良好にする機能を備えていなければならない。
(ハ)特に、植生植物として、ある程度発根しかつ成長させてあって、植え付け後の生育管理が簡単に行える「ポット苗」を採用することができるようにして、単なる「緑」だけでなく「花卉」も楽しめるようにしなければならない。
(ニ)当然のことながら、全体として構造が単純化されていて、垂直面に対する取付や設置が、簡単且つ確実でしかも安全に行える緑化装置でなければならない。
(ホ)装飾が行える塀を形成することもできるればなおよい。
(ヘ)植生植物の植栽が両面に対して可能であり、しかも単独でも面構造モニュメントとして設置可能なものとして、建物や橋脚等の垂直面の植生に限らず、ガーデニング資材としての用途へも実施できるものでなければならない。
【0020】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する実施の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「建物の壁や橋脚310の表面、あるいは擁壁等の垂直面300に対して、又は単独で組み付けられる支持枠200と、この支持枠200を介して取付施工される緑化パネル100とからなり、この緑化パネル100に植生された植生植物Pにより、垂直面300に対する植生を行い、あるいは垣根や垂直な面構造モニュメントを構成する緑化装置であって、
緑化パネル100を、支持枠200により垂直面300側に取り付けられて、少なくともポット苗70の植え込みが可能な作業開口13を少なくとも前面に形成したパネル枠10と、このパネル枠10の直ぐ内側に配置されて支持され、作業開口13の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有した袋状マット材20Aと、この袋状マット材20Aの内側に充填されて、植生植物Pを生育させるための植生基材30またはこれを充填した立体網状マット40とにより構成するとともに、
支持枠200を、多数の金属製の直線状の支持パイプ211と、これらの支持パイプ211の端部を互いに連結するパイプ連結部材212と、パネル枠10の一部に連結されて、当該パネル枠10を支持パイプ211に吊下する吊下具213とにより構成したことを特徴とする垂直面緑化のための緑化装置」
である。
【0021】
すなわち、この請求項1に係る緑化装置は、建物の壁や橋脚310の表面、あるいは擁壁等の垂直面300に対して、又は単独で組み付けられる支持枠200と、この支持枠200を介して取付施工される緑化パネル100とからなるものであり、この緑化枠100に植生された植生植物Pにより、図1に示すような垂直面300に対する植生を行ったり、多数の緑化枠100を支持枠200によって支持することにより、図15または図16に示すような立体面構造モニュメントや垣根を構成したりするものである。
【0022】
なお、以下に示す実施形態の緑化パネル100は、図10あるいは図11に示すように、支持枠200を使用しないで、アンカー27によって垂直面300に直接取り付けられることもあるものである。
【0023】
この請求項1に係る緑化装置において使用している緑化パネル100は、図1及び図2にも示すように、垂直面300に対して、または図15に示すような垂直面300を必要としない単独状態のものとして、支持枠200を介して取付施工されて、この垂直面300での植生を可能にするものであり、図3に示すように、支持枠200により橋脚310の垂直面300側に取り付けられて、図9及び図12に示すように、少なくともポット苗70の植え込みが可能な作業開口13を少なくとも前面に形成したパネル枠10を備えたものである。
【0024】
パネル枠10は、図6に示すように、多数の格子線材12を縦横に組み付けて構成した枠本体11を有するものであり、この枠本体11を、図1、図2及び図9の(a)に示すように、縦横に組み付けた多数の支持パイプ211に取り付けられるものであるが、各支持パイプ211は、図1、図4及び図9の(b)に示すようなパイプ連結部材212を使用して、建物や橋脚310の表面、つまり垂直面300上に組み立てられる枠状のものとしたものである。
【0025】
また、これらのパネル枠10の枠本体11は、上述したように、多数の格子線材12を組み合わせて上端が開口する略箱状のものとしたものであり、各格子線材12によって形成された開口が少なくともポット苗70の植え付けが外から行える程度の大きさの作業開口13となるようにしてある。
【0026】
勿論、このパネル枠10を構成する枠本体11としては、金属板に作業開口13をパンチングしたものであってもよく、言わば大きな穴である各作業開口13が存在していて、後述する袋状マット材20Aの保持が十分行えるものであれば、上述したものに限られるものではない。
【0027】
このパネル枠10を構成してる枠本体11の直ぐ内側には、図10に示すように、吸水性及び復元性を有した袋状マット材20Aが配置されて支持されるのである。この袋状マット材20Aは、作業開口13の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有したものであり、後述する実施形態で例示しているように、ポリエチレンテレフタレート(以下、単にペットという)のような合成樹脂の繊維を不織布状に成形したものである。勿論、この袋状マット材20Aは、図10に示すように、中に植生基材30を充填してから枠本体11内に挿入しなければならないものであるから、文字通り袋状のものとして形成してある。
【0028】
この袋状マット材20Aは、図10に示した状態になったとき、内部の植生基材30の零れ出を防止することは当然として、図12及び図13に示すような切り込み80を入れて拡げたとしても、それ自体の、あるいは水を含んだときの復元性によって、図14に示すように、再び閉じるものである。つまり、この袋状マット材20Aは、内部の植生基材30の漏れ出を、これに切り込み80を入れたときもそうでないときも、確実に防止するものである。
【0029】
この袋状マット材20Aの内側に充填されて、植生植物Pを生育させるための植生基材30は、ポット苗70あるいは植生植物Pの生育に十分なものであれば種々なものが適用できるのである。特に、この植生基材30は、袋状マット材20A内に充填されてしまって外部に漏れ出ることがないのであるから、その粒度や性質には限定条件が要求されるものではない。なお、以下に示す実施形態の袋状マト材20A内には、植生基材30を充填した後述する立体網状マット40が挿入されることもある。
【0030】
以上のように構成した緑化パネル100を施工するには、まず、植生基材30を充填した袋状マット材20Aを、支持枠200によって垂直面300に固定した、または地面や圃場等の生育場所に配置したパネル枠10内に挿入する必要がある。つまり、ここでは、緑化装置の緑化パネル100を構成しているパネル枠10が、図9に示すように、既に垂直面300に取り付けた場合と、垂直面300上ではない図示しない圃場等の生育場所に設置されている2通りを考慮しているのである。
【0031】
特に、パネル枠10を図示しない生育場所に設置するのは、この緑化パネル100にポット苗70の植え付けや植生植物Pの播種等を垂直面300ではない場所で行い、ある程度に生育した植生植物Pをパネル枠10毎、施工現場である垂直面300に運んで、当該緑化パネル100の施工が完了したときには、図10や図11に示すように、植生植物Pが大きく生育し、あるいは、この緑化パネル100に花が咲いている状態にしたい場合があるからである。
【0032】
ところで、この緑化パネル100に対しては、当然のことながら、播種やポット苗70の植え込みを行わなくてはならないが、パネル枠10の作業開口13から袋状マット材20Aを切開して切り込み80を形成し、これを拡げることによりできたマット開口21から植生基材30内に、播種またはポット苗70の植え付けを行うのである。図12〜図14には、ポット苗70の植え込みを行う場合の例が示してあるが、まず、図12に示すように、パネル枠10の作業開口13からは袋状マット材20Aの表面が大きく露出しているから、この作業開口13からカッター等を挿入して切り込み80を形成するのである。この切り込み80は、図12に示したように、×印のような状態で形成するのが、図13に示すようなマット開口21を形成するのに有利である。
【0033】
×印状の切り込み80の中心を指等で拡げて、図13の(a)及び(b)に示したようなマット開口21とする。この場合、×印状の切り込み80の大きさは植え付けたいポット苗70の大きさに対応させればよいが、その大きさは作業開口13が比較的大きなものとして形成してあるから、自由に行える。また、切り込み80のカーッター等による形成は、袋状マット材20Aの上面が作業開口13を構成している格子線材12によって押さえつけられているから、安定した状態で簡単に行えるのである。
【0034】
以上では、ポット苗70の植え付けを例にして説明したが、植生植物Pの種子の播種の場合でも同様であることは言うまでもない。
【0035】
植生植物Pの播種やポット苗70の植え付けが済めば、各マット開口21を、当該袋状マット材20Aの復元性を利用して閉じ、その上から初期かん水を行うのである。後述する実施形態の袋状マット材20Aは、合成樹脂「ペット」を主材料とする不織布状のマットであるから、切り込み80を形成した直後では、未だ十分な復元性を有している。このため、マット開口21を閉じて元の状態にしてやれば、図14に示すように、×印を形成していた各三角片は、ポット苗70の根本を覆うように、あるいは発芽してきた芽が十分伸び出られるような状態を維持したまま、閉じられることになるのである。勿論、播種やポット苗70の植え付けがされた後には、植生植物Pの生育に必要な初期かん水を行うことは当然である。
【0036】
以上の緑化パネル100に対する播種や植え付けが、垂直面300に施工された支持枠200に既に取り付けられているパネル枠10に直接なされた場合には、これで垂直面300の緑化施工は完了したことになる。勿論、この作業は、当該緑化装置のメンテナンスにも応用される。つまり、植え付けた植生植物Pの一部が枯れたとき、その分を新しいものに植え直さなければならないが、その作業も上述したのと同様にして行うのである。そうすることによって、メンテナンス作業を容易に行うことができるからである。
【0037】
これに対して、緑化パネル100が地面等の生育場所に配置したものである場合には、パネル枠10を支持枠200によって垂直面300に取り付けることによって完了するのである。
【0038】
ところで、支持枠200は、図4または図9に示すように、多数の支持パイプ211をパイプ連結部材212を介して枠板状に組み立てたものであり、各緑化パネル100の上方に位置することになる支持パイプ211には、図7に示したような吊下具213か、あるいは図8に示したような吊下具213が取り付けられるものである。
【0039】
パイプ連結部材212としては、図4の(b)に示すような各支持パイプ211の端部同士を連結するものと、図9の(b)に示すような各支持パイプ211を挿通して連結するタイプのもの等が採用される。図4の(b)に示したパイプ連結部材212は、図4の(c)に示したような端部連結具212aを各支持パイプ211の端部開口内に挿入してこれに固定し、これらの端部連結具212aをパイプ連結部材212によってそれぞれ連結するようにするものである。この図4の(b)に示したパイプ連結部材212を使用することによって、図4の(a)に示した平板状の支持枠本体200Aとすることができるのである。
【0040】
一方、図9の(b)に示したパイプ連結部材212は、互いに直交する複数のパイプ挿通穴を有するもので、それぞれのパイプ挿通穴内に支持パイプ211を挿通して複数の支持パイプ211を直交状態で連結するものである。この図9の(b)に示したパイプ連結部材212は、これを使用することにより、幅のあるパネル枠10を、図9の(a)に示したように、2本の支持パイプ211間に吊下するのに有利となる支持枠200とするものである。この図9の(a)に示した支持枠200は、各パネル枠10、従って緑化パネル100の両面が見えるように支持することができるため、図15あるいは図16に示した後述する垂直な面構造モニュメントとすることができるものである。
【0041】
図7に示した吊下具213は、図7の(a)に示すように、下端に折り曲げた一対の係止片213aを有し、上端部に取付穴213bを形成したものであり、図7の(b)に示すように、各係止片213a間にパネル枠10を構成している枠本体11の格子線材12が挿入されて、図7の(c)に示すように、これら各係止片213aをさらに折り曲げることにより、図6の(a)〜(b)にも示すように、パネル枠10の上部に取り付けられるものである。また、この吊下具213は、その上端部に設けた取付穴213bを利用することによって、支持枠200を構成している支持パイプ211に連結されるものである。
【0042】
図8に示した吊下具213は、図7に示したものとは異なって、逆U字状のものであり、特に図8の(b)に示すような状態で、各パネル枠10に対する取付とこのパネル枠10上に位置することになる支持パイプ211に対する吊下がなされるものである。
【0043】
以上の各吊下具213をパネル枠10に取り付けた緑化パネル100は、例えば図9の(a)に示すように、支持枠200に対して吊下されるのであるが、この緑化パネル100を吊下するための支持枠200は、例えば図3に示すような橋脚310の周囲に組み付けられるものである。
【0044】
支持枠200は、図1〜図3に示すように、多数の緑化パネル100を垂直面300側に組み付けて、当該垂直面300の表面を各緑化パネル100に植生された植生植物Pによって覆うようにするものであるが、各緑化パネル100の取付が簡単にしかも確実に行えるようにしているものである。
【0045】
この支持枠200は、図1及び図2に示したように、垂直面300を構成している例えば橋脚310の周囲を囲むように基礎210上に設置されるものであり、例えば、各緑化パネル100の上部に取り付けた各吊下具213を、上述したように、各緑化パネル100の上方に水平状態で位置している各支持パイプ211に係止するのである。なお、各緑化パネル100の横部分については、図1にも示したように、連結具214によって連結される。
【0046】
また、この支持枠200は、それ全体が大きなものになると、基礎210が小規模な施工しかできない場合の転倒防止として、図1及び図2に示したように、一端をアンカー216に連結したワイヤロープ215によって支持することもある。勿論、橋脚310等の躯体にホールインアンカー等で壁つなぎできる場合には、当該支持枠200を垂直面300側に直接固定するようにしてもよい。つまり、後述する実施形態の支持枠200では、その支持枠本体200Aを、図5に示すような壁つなぎ217によって垂直面300とに対して所定間隔を置いて支持するようにしているのである。
【0047】
従って、この請求項1の緑化装置は、
(イ)緑化パネル100によって植生植物Pのため播種や植え付け作業が、組立後でも、また別の場所でも容易に行える。
(ロ)垂直に立てられることになる植生基材30を保護する袋状マット材20Aは、中の植生基材30が外に零れ出ないようにし、これとは逆の、植生基材30からの植生植物Pの発芽及び葉や茎の発生を良好にする。
(ハ)特に、植生植物Pとして、ある程度発根しかつ成長させてあって、植え付け後の生育管理が簡単に行える「ポット苗70」も採用でき、単なる「緑」だけでなく「花卉」も楽しめる。
(ニ)垂直面300に対する取付や設置が良好に行える。
(ホ)この緑化装置自体によって、装飾が行える塀を形成することもできる。
(ヘ)植生植物Pの植栽が両面に対して可能であり、しかも単独でも面構造モニュメントとして設置可能なものであり、建物や橋脚310等の垂直面300の植生に限らず、ガーデニング資材としての用途へも実施できる。
といった優れた機能を有したものとなっているのである。
【0048】
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、同様に、
「建物の壁や橋脚310の表面、あるいは擁壁等の垂直面300に対して、又は単独で組み付けられる支持枠200と、この支持枠200を介して取付施工される緑化パネル100とからなり、この緑化パネル100に植生された植生植物Pにより、垂直面300に対する植生を行い、あるいは垣根や垂直な面構造モニュメントを構成する緑化装置であって、
緑化パネル100を、支持枠200により垂直面300側に取り付けられて、少なくともポット苗70の植え込みが可能な作業開口13を少なくとも前面に形成したパネル枠10と、このパネル枠10の直ぐ内側に配置されて支持され、作業開口13の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有したマット材20bと、このマット材20bの内側に収納されて、植生植物Pを生育させるための植生基材30またはこれを充填した立体網状マット40とにより構成するとともに、
支持枠200を、多数の金属製の直線状の支持パイプ211と、これらの支持パイプ211の端部を互いに連結するパイプ連結部材212と、パネル枠10の一部に連結されて、当該パネル枠10を支持パイプ211に吊下する吊下具213とにより構成したことを特徴とする垂直面緑化のための緑化装置」
である。
【0049】
すなわち、この請求項2の緑化装置は、垂直面300に対して、又は単独で組み付けられる支持枠200と、この支持枠200を介して取付施工される緑化パネル100とからなるものであることは、上記請求項1のそれと同様であるが、緑化パネル100が、請求項1における袋状マット材20Aに変えてマット材Bを使用した点のみが異なっている。なお、このマット材B内に充填されるべきものは、植生基材30のみに限らず、これを充填した立体網状マット40のみ(図11のaの場合)、あるいはこれと植生基材30とを混合(図11のbの場合)したものであってもよい。
【0050】
つまり、この請求項2の緑化装置を構成している緑化パネル100は、図11に示してあるが、この図中の部材で請求項1で説明したのと同じ部材に、図10で使用したのと同じ符号を付して、その説明を省略することにする。また、支持枠200それ自体の構成も、請求項1の場合と同様であるので、この支持枠200についての説明を省略する。
【0051】
マット材Bは、袋状マット材20Aと同様な材料を使用したものではあるが、袋状マット材20Aのように袋状にしたものではなく、単にシート状にしたものである。このようにすることにより、例えば垂直面300側に面して播種やポット苗70の植え付けがなされない面に該当するマット材Bとして、表面側のマット材Bより薄い材料のものや、もっとコストの低いものを使用できるようにすることができるのである。また、マット材Bをシート状のものとすることにより、袋状にする手間が省けるだけでなく、パネル枠10の大きさ変化に自由に対応できて有利となる。
【0052】
立体網状マット40は、金属線材を使用して形成しても、合成樹脂性マットの密度を粗くしたものでもよいが、いずれにしても、吹き付けや手込め、あるいは客土等によって内部に植生基材30を充填でき、しかも植生植物Pの根の成長に支障のない状態のものであれば何であってもよい。また、この立体網状マット40は、上述した材料によって例えば厚さ5cm程度のマット状のものとして形成されるものであり、それだけである程度の剛性を有したものとするのが有利である。何故なら、このような立体網状マット40であれば、パネル枠10内への収納が簡単であり、長期間の使用によっても形状の維持がなされるからである。
【0053】
このような立体網状マット40は、図11の(a)に示すように、マット材20Bの中の全体に入れて実施してもよいが、図11の(b)に示すように、厚さが2cm〜5cm程度のものをマット材20Bの植生植物Pとは反対側となる部分に入れて、残りを植生基材30としてもよいものである。
【0054】
以上のように構成した緑化パネル100の施工においては、特に、植生基材30を立体網状マット40に対して吹き付けや客土等の手段によって充填しなければならないことは、この請求項2に係る緑化装置において使用している緑化パネル100がシート状のマット材Bと、その中に収納されて植生基材30またはこれを充填した立体網状マット40を有していることから、当然である。
【0055】
従って、この請求項2の緑化装置は、
(イ)緑化パネル100に対する植生植物Pのため播種や植え付け作業が組立後でも、また別の場所でも容易に行える。
(ロ)緑化パネル100によって垂直に立てられることになる植生基材30を保護するマット材Bは、中の植生基材30が外に零れ出ないようにし、これとは逆の、植生基材30からの植生植物Pの発芽及び葉や茎の発生を良好にする。
(ハ)特に、植生植物Pとして、ある程度発根しかつ成長させてあって、植え付け後の生育管理が簡単に行える「ポット苗70」も採用でき、単なる「緑」だけでなく「花卉」も楽しめる。
(ニ)当然のことながら、当該緑化装置全体として、垂直面300に対する取付や設置が良好に行える。
(ホ)この緑化装置自体によって、装飾が行える塀を形成することもできる。
(ヘ)植生植物Pの植栽が両面に対して可能であり、しかも単独でも面構造モニュメントとして設置可能なものであり、建物や橋脚310等の垂直面300の植生に限らず、ガーデニング資材としての用途へも実施できる。
といった優れた機能を有したものとなっているのである。
【0056】
また、上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請求項2に記載の垂直面緑化のための緑化装置について、
「袋状マット材20Aまたはマット材20bは、合成樹脂繊維を不織布状に成形したものであり、厚さが2mm〜10mmであること」
である。
【0057】
すなわち、この請求項3の緑化パネル100では、これを構成している袋状マット材20Aまたはマット材20bとして、合成樹脂繊維を不織布状に成形したものを採用したものである。
【0058】
このような袋状マット材20Aまたはマット材20bを採用することにより、例えば捨てられたペットボトル等の合成樹脂廃材をリサイクルできることになるし、椰子殻や天然繊維を使用した場合に比較して、腐食しにくいものであるから耐久性に優れているだけでなく、道路を走行する車の中から捨てられたタバコの火によっても発火しない難燃性のものとすることもできるのである。
【0059】
また、これらの袋状マット材20Aまたはマット材20bには、図12に示したような切り込み80が入れられるのであるが、この切り込み80が図13に示したように拡げられた後にも、図14に示したような元に簡単に戻る十分な復元性を有したものとすることができて、植生基材30の零れ出を防止できるのである。さらには、合成樹脂繊維を不織布状に成形した袋状マット材20Aまたはマット材20bは、十分な吸水性と保水性を有したものとなることは言うまでもない。
【0060】
従って、この請求項3の緑化装置は、上記「発明が解決しようとする課題」の項で述べた、(イ)〜(ヘ)の目的をより一層確実にし得るものとなっているのである。
【0061】
そして、上記課題を解決するために、請求項4に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の垂直面緑化のための緑化装置について、
「植生基材30の上または上部内に、当該植生基材30内へのかん水を行い、かつ少なくとも一端にて他の緑化パネル100側へ連結し得る連結部51を有したかん水パイプ50を収納したこと」
である。
【0062】
すなわち、この請求項4の緑化装置を構成している緑化パネル100では、これが、図10または図11に示すように、植生基材30の上または上部内にかん水パイプ50を収納して、このかん水パイプ50が既にセットされたものとしたものである。また、このかん水パイプ50の少なくとも一端には、他の緑化パネル100側へ連結し得る連結部51が設けてあり、この連結部51を利用することにより、図1等に示すような多数の緑化パネル100を連結した場合の自動かん水を効果的に行えるのである。
【0063】
従って、この請求項4の緑化装置は、上記請求項1〜請求項3のそれと同様な機能を発揮することは勿論、これを構成している緑化パネル100において、かん水作業の自動化が十分行えるものとなっているのである。
【0064】
【発明の実施の形態】
次に、以上のように構成した各請求項に係る緑化装置について説明するが、この実施形態の緑化装置は、実施例1に係る緑化パネル100と、実施例2に係る緑化パネル100との2種類ある。そこで、以下では、各実施例の緑化パネル100を中心にして説明するが、その前に、共通する部材である支持枠200について説明することとする。
【0065】
支持枠200は、図1〜図3に示したように、多数の緑化パネル100を垂直面300側に組み付けて、当該垂直面300の表面を各緑化パネル100に植生された植生植物Pによって覆うようにするものであるが、後述する各緑化パネル100の取付が簡単にしかも確実に行えるようにしているものである。
【0066】
本実施形態において採用している支持枠200は、図1〜図5に示したように、垂直面300を構成している例えば橋脚310の周囲を囲むように基礎210上に設置されるか、図15等のようにそれ単独で面構造のモニュメントを構成することができるものであり、図4に示したように、多数の支持パイプ211をパイプ連結部材212を利用して縦横に組み立てて、図4に示したような支持枠本体200Aとして、これらにより橋脚310の周囲を囲むか、図9の(a)に示したような枠状のものとしたものである。勿論、この支持枠200は、図1〜図3に示すように、多数の緑化パネル100を橋脚310等の垂直面300側に組み付けて、当該垂直面300の表面を各緑化パネル100に植生された植生植物Pによって覆うようにするものであるが、各緑化パネル100の取付を簡単にしかも確実に行えるようにしたものである。
【0067】
パイプ連結部材212としては、図4の(b)に示すような各支持パイプ211の端部同士を連結するものか、あるいは図9の(b)に示すような各支持パイプ211を挿通して連結するタイプのものを採用した。図4の(b)に示したパイプ連結部材212は、図4の(c)に示したような端部連結具212aを各支持パイプ211の端部開口内に挿入してこれに固定し、これらの端部連結具212aをパイプ連結部材212によってそれぞれ連結するものである。この図4の(b)に示したパイプ連結部材212を使用することによって、図4の(a)に示した平板状の支持枠本体200Aとすることができる。
【0068】
一方、図9の(b)に示したパイプ連結部材212は、互いに直交する複数のパイプ挿通穴を有するもので、それぞれのパイプ挿通穴内に支持パイプ211を挿通して複数の支持パイプ211を直交状態で連結するものである。この図9の(b)に示したパイプ連結部材212は、これを使用することにより、幅のあるパネル枠10を、図9の(a)に示したように、2本の支持パイプ211間に吊下するのに有利となる支持枠200とするものである。この図9の(a)に示した支持枠200は、各パネル枠10、従って緑化パネル100の両面が見えるように支持することができるため、図15あるいは図16に示した後述する垂直な面構造モニュメントとすることができるものである。
【0069】
また、これらの枠状の支持枠200あるいは支持枠本体200Aを構成して、後述する各緑化パネル100の上方に位置することになる支持パイプ211には、図7に示したような吊下具213か、あるいは図8に示したような吊下具213が取り付けられるものである。
【0070】
図7に示した吊下具213は、図7の(a)に示すように、下端に折り曲げた一対の係止片213aを有し、上端部に取付穴213bを形成したものであり、図7の(b)に示すように、各係止片213a間にパネル枠10を構成している枠本体11の格子線材12が挿入されて、図7の(c)に示すように、これら各係止片213aをさらに折り曲げることにより、図6の(a)〜(b)にも示すように、パネル枠10の上部に取り付けられるものである。また、この図7に示した吊下具213は、その上端部に設けた取付穴213bによって、支持枠200を構成している支持パイプ211に連結されるものである。
【0071】
一方、図8に示した吊下具213は、図7に示したものとは異なって、逆U字状のものであり、特に図8の(b)に示すような状態で、各パネル枠10に対する取付とこのパネル枠10上に位置することになる支持パイプ211に対する吊下がなされるものである。
【0072】
以上の各吊下具213をパネル枠10に取り付けた緑化パネル100は、例えば図9の(a)に示すように、支持枠200に対して吊下されるのであるが、この緑化パネル100を吊下するための支持枠200は、例えば図3に示すような橋脚310の周囲に組み付けられるものである。
【0073】
この支持枠200は、図3の(a)及び(b)に示したように、垂直面300を構成している例えば橋脚310の周囲を囲むように基礎210上に設置されるものであり、例えば各緑化パネル100の上部に取り付けた各吊下具213を、上述したように、各緑化パネル100の上方に水平状態で位置している各支持パイプ211に係止するのである。なお、各緑化パネル100の横部分については、図1にも示したように、連結具214によって連結される。
【0074】
また、この支持枠200は、それ全体が大きなものとなるため、図1及び図2に示したように、一端をアンカー216に連結したワイヤロープ215によって支持するのである。勿論、ワイヤロープ215ではない他の部材によって、当該支持枠200を垂直面300側に直接固定するようにしてもよい。さらに、後述する実施形態の支持枠200は、図5に示すような壁つなぎ217によって垂直面300に所定間隔をおいて支持するものである。
(実施例1)
図6には、緑化パネル100を構成するパネル枠10の組立状態が示してある。この実施形態のパネル枠10は、多数の格子線材12を組み合わせて形成したものであり、各格子線材12によって形成された開口が、図12〜図14に示すように、少なくともポット苗70の植え付けが外から行える程度の大きさ(9cm〜12cm程度の四角)の作業開口13となるようにしてある。また、この実施形態のパネル枠10は、図6の(a)に示した一方の第1枠本体11aを、図6の(b)に示した他方の第2枠本体11bに組み付けた、上端が開口する箱形の枠本体11を主体とするものである。この実施形態の第2枠本体11bには、図7に示した吊下具213が取り付けてある。また、図8の(a)には、他の枠本体11が示してあるが、この枠本体11は、図8の(b)にも示すように、吊下具213として、逆U字状のものを採用している。
【0075】
なお、この緑化パネル100におけるパネル枠10は、複数の格子線材12〜12によって上面が開放されて挿入口となる略箱形の箱枠とし、挿入口部分に開閉自在な開閉扉を設けることもある。このようにしたパネル枠10内には、袋状マット材20Aまたはマット材20Bを収納しなければならないのであるが、これらは開閉扉を開けて挿入口を開放し、ここから袋状マット材20Aまたはマット材20Bを収納できるようにしたものである。勿論、袋状マット材20A等の収納が済めば、開閉扉は閉じられる。
【0076】
いずれにしても、各パネル枠10は、図6の(c)及び図8の(a)に示したように、多数の格子線材12を組み合わせて上端が開口する略箱状のものとしたものであり、各格子線材12によって形成された開口が、図12〜図14に示すように、少なくともポット苗70の植え付けが外から行える程度の大きさの作業開口13となるようにしてある。
【0077】
図10には、実施例1に係る緑化パネル100が示してある。この緑化パネル100は、支持枠200により垂直面300側に取り付けられて、少なくともポット苗70の植え込みが可能な作業開口13を少なくとも前面に形成したパネル枠10と、このパネル枠10の直ぐ内側に配置されて支持され、作業開口13の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有した袋状マット材20Aと、この袋状マット材20Aの内側に充填されて、植生植物Pを生育させるための植生基材30またはこれを充填した立体網状マット40とにより構成してある。
【0078】
このパネル枠10の直ぐ内側には、図10に示したように、吸水性及び復元性を有した袋状マット材20Aが配置されて支持されるのである。この袋状マット材20Aは、作業開口13の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有したものであり、ペットのような合成樹脂の繊維を不織布状に成形したものである。勿論、この袋状マット材20Aは、中に植生基材30を充填してからパネル枠10内に挿入しなければならないものであるから、文字通り袋状のものとしてある。
【0079】
この袋状マット材20Aは、図10に示した状態になったとき、内部の植生基材30の零れ出を防止することは当然として、図12及び図13に示すような切り込み80を入れて拡げたとしても、それ自体の、あるいは水を含んだときの復元性によって、図14に示すように、再び閉じるものである。つまり、この袋状マット材20Aは、内部の植生基材30の漏れ出を、これに切り込み80を入れたときもそうでないときも、確実に防止するものである。
【0080】
そのためには、この袋状マット材20Aの厚さを、2mm〜10mmのものとするとよい。その理由は、十分な復元性を当該袋状マット材20Aに付与するためであり、2mmより薄いと十分な復元性がなく耐久性や保水性にも劣ることになるのであり、10mmより厚いと復元性、耐久性、及び保水性には十分であっても、ポット苗70の植え付けや播種のための切り込み80の形成が困難となるからである。
【0081】
この袋状マット材20Aの内側に充填されて、植生植物Pを生育させるための植生基材30は、ポット苗70あるいは植生植物Pの生育に十分なものであれば種々なものが適用できるのであり、本実施例では、パーライトと有機物とを混合させた、例えば屋上緑化に利用されている人工土壌を採用している。また、この植生基材30は、袋状マット材20A内に充填されてしまって外部に漏れ出ることがないのであるから、その粒度や性質には特に限定条件が要求されるものではない。
【0082】
そして、この緑化パネル100については、図10に示したように、植生基材30の上または上部内に、当該植生基材30内へのかん水を行い、かつ少なくとも一端にて他の緑化パネル100側へ連結し得る連結部51を有したかん水パイプ50が収納してある。すなわち、本実施形態の緑化パネル100では、かん水パイプ50が既にセットされていて、このかん水パイプ50は、その少なくとも一端に設けた連結部51によって、他の緑化パネル100側へ連結し得るものあり、この連結部51を利用することにより、図1等に示すような多数の緑化パネル100を連結した場合の自動かん水を効果的に行えるようにしてある。
【0083】
以上の緑化パネル100を施工するには、植生基材30を充填した袋状マット材20Aを、支持枠200によって垂直面300に固定した、または地面や圃場等の生育場所に配置したパネル枠10内に挿入する。
【0084】
つまり、ここでは、緑化パネル100を構成しているパネル枠10が、図9に示したように、既に垂直面300に取り付けた場合と、垂直面300上ではない圃場等の生育場所に設置されている2通りを考慮しているのである。特に、パネル枠10を生育場所に設置するのは、この緑化パネル100にポット苗70の植え付けや植生植物Pの播種等を垂直面300ではない場所で行い、ある程度に生育した植生植物Pをパネル枠10毎、施工現場である垂直面300に運んで、当該緑化パネル100の施工が完了したときには、植生植物Pが花が咲いている状態にしたい場合があるからである。
【0085】
次に、パネル枠10の作業開口13から袋状マット材20Aを切開して切り込み80を形成し、これを拡げることによりできたマット開口21から植生基材30内に、播種またはポット苗70の植え付けを行うのである。図12〜図14には、ポット苗70の植え込みを行う場合の例が示してあるが、図12に示すように、パネル枠10の作業開口13からは袋状マット材20Aの表面が大きく露出しているから、この作業開口13からカッター等の挿入が簡単に行えるから、このカッターによって切り込み80を袋状マット材20Aに形成するのである。そして、×印状の切り込み80の中心を指等で拡げて、図13の(a)及び(b)に示したようなマット開口21とする。以上の作業は、ポット苗70の植え付けを例にして説明したが、植生植物Pの種子の播種の場合でも同様である。
【0086】
そして、植生植物Pの播種やポット苗70の植え付けが済めば、各マット開口21を当該袋状マット材20Aの復元性を利用して、図14に示したように閉じ、その上から初期かん水を行うのである。
【0087】
以上の播種や植え付けは、パネル枠10が垂直面300に施工された支持枠200に取り付けられている場合には、これで垂直面300の緑化施工は完了したことになるが、パネル枠10が生育場所に配置したものである場合には、緑化パネル100を支持枠200によって垂直面300に取り付けることは当然である。
(実施例2)
図11には、実施例2に係る緑化パネル100が示してあるが、この実施例2に係る緑化パネル100の大部分は、上述した実施例1のそれと同様であって、実施例1における袋状マット材20Aに代えてマット材Bを使用した点が異なっている。
【0088】
勿論、この緑化パネル100においても、そのマット材B内に収納されるべきものを、植生基材30のみ、あるいはこれを立体網状マット40に充填したもの、そしてこれらの混合であってもよい。なお、この実施例2の緑化パネル100では、その図11中に示した部材で実施例1で説明したのと同じものに、図10で使用したのと同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0089】
マット材Bは、袋状マット材20Aと同様な材料を使用したものではあるが、袋状マット材20Aのように袋状にしたものではなく、単にシート状にしたものであり、表面側のマット材Bより薄い材料のものや、もっとコストの低いものを使用できるようにすることができる。また、マット材Bをシート状のものとすることにより、袋状にする手間が省けるだけでなく、パネル枠10の大きさ変化に自由に対応できる。
【0090】
立体網状マット40は、金属線材を使用して形成しても、合成樹脂性マットの密度を粗くしたものでもよいが、いずれにしても、吹き付けや客土等の手段によって、内部に植生基材30を充填でき、しかも植生植物Pの根の成長に支障のない状態のものであれば何であってもよい。
【0091】
以上のように構成した緑化パネル100の施工にあたっては、立体網状マット40に対して、吹き付けや客土等の手段によって植生基材30を充填しなければならないことは、前述した通りである。その後の各工程は、上記実施例1の場合と略同じとなることは言うまでもない。
【0092】
また、これらの各緑化パネル100は、図1に示した状態で垂直面300を有する橋脚310等の植生を行うだけでなく、例えば、図15に示すような形状の柱についても植生を行うことができることは言うまでもないが、図15の(a)及び(b)に示した例では、支持枠200によって支持した各緑化パネル100間を連結具によって互いに連結するようにして、これ単独で面構造モニュメントとしているものである。
【0093】
この図15の(a)及び(b)に示した状態からすると、その中に柱等の構造物が必ずしも入っている必要がないことが分かる。つまり、各緑化パネル100を支持枠200によって独立したものとすることにより、本発明に係る緑化パネル100は、例えば大きなホールの中や地下街の交差点等に花を咲かせた「オブジェ」としての役割をも果たすことができるものである。そうであれば、これらの緑化パネル100は、図15の(a)に示した三角形状の場合に限らず、図16の(a)あるいは(b)に示したような正方形状のものとしても実施できる。なお、図16の(a)で示した例では、各緑化パネル100間を連結具によって互いに連結させた場合を示しており、図16の(b)で示した例では、各緑化パネル100間を直接互いに連結させた場合を示している。
【0094】
そして、以上のいずれの緑化パネル100でも言えることであるが、緑化パネル100を構成しているパネル枠10には、比較的大きな作業開口13が形成してあるのであるから、図10あるいは図11に示したように、ポット苗70等の植え付けを行ってない部分にポケット60を取り付け、このポケット60中に植生基材30を入れてこれに植生植物Pを植栽すれば、非常に華やかな植生を行うことができるものである。
【0095】
【発明の効果】
以上の通り、本発明は、上記実施形態で説明した通り、建物の壁や橋脚310の表面、あるいは擁壁等の垂直面300に対して、又は単独で組み付けられる支持枠200と、この支持枠200を介して取付施工される緑化パネル100とからなり、この緑化パネル100に植生された植生植物Pにより、垂直面300に対する植生を行い、あるいは垣根や垂直な面構造モニュメントを構成する緑化装置であって、
「支持枠200により垂直面300側に取り付けられて、少なくともポット苗70の植え込みが可能な作業開口13を少なくとも前面に形成したパネル枠10と、このパネル枠10の直ぐ内側に配置されて支持され、作業開口13の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有した袋状マット材20Aと、この袋状マット材20Aの内側に充填されて、植生植物Pを生育させるための植生基材30またはこれを充填した立体網状マット40とにより構成し」
あるいは、
「支持枠200により垂直面300側に取り付けられて、少なくともポット苗70の植え込みが可能な作業開口13を少なくとも前面に形成したパネル枠10と、このパネル枠10の直ぐ内側に配置されて支持され、作業開口13の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有したマット材20bと、このマット材20bの内側に収納されて、植生植物Pを生育させるための植生基材30またはこれを充填した立体網状マット40とにより構成し」
て、
「支持枠200を、多数の金属製の直線状の支持パイプ211と、これらの支持パイプ211の端部を互いに連結するパイプ連結部材212と、パネル枠10の一部に連結されて、当該パネル枠10を支持パイプ211に吊下する吊下具213とにより構成したこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、本発明に係る緑化装置は、
(イ)緑化パネル100によって植生植物Pのため播種や植え付け作業が、組立後でも、また別の場所でも容易に行える。
(ロ)垂直に立てられることになる植生基材30を保護する袋状マット材20Aは、中の植生基材30が外に零れ出ないようにし、これとは逆の、植生基材30からの植生植物Pの発芽及び葉や茎の発生を良好にする。
(ハ)特に、植生植物Pとして、ある程度発根しかつ成長させてあって、植え付け後の生育管理が簡単に行える「ポット苗70」も採用でき、単なる「緑」だけでなく「花卉」も楽しめる。
(ニ)垂直面300に対する取付や設置が良好に行える。
といった優れた機能を発揮することができるのである。
(ホ)この緑化装置自体によって、装飾が行える塀を形成することもできる。
(ヘ)植生植物Pの植栽が両面に対して可能であり、しかも単独でも面構造モニュメントとして設置可能なものであり、建物や橋脚310等の垂直面300の植生に限らず、ガーデニング資材としての用途へも実施できる。
といった優れた効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る緑化装置を橋脚の垂直面に取り付けた状態の正面図である。
【図2】同緑化装置の平面図である。
【図3】同緑化装置を橋脚に取り付けた状態を示すものであり、(a)はその正面図、(b)は側面図である。
【図4】支持枠を構成している支持枠本体を示すもので、(a)はその正面図、(b)はこれに使用しているパイプ連結具の斜視図、(c)はこのパイプ連結具を構成している固定部材の拡大斜視図である。
【図5】支持枠を垂直面に取り付ける1つの手段である壁つなぎを示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図6】パネル枠を構成する順序を示すもので、(a)は第1枠本体の斜視図、(b)は第2枠本体の斜視図、(c)は完成された枠本体の斜視図である。
【図7】吊下具の一例を示すもので、(a)は全体斜視図、(b)は枠本体を係止させたときの斜視図、(c)は係止片を折り曲げたときの斜視図である。
【図8】図7の吊下具を利用して枠本体を支持パイプに取り付けた状態を示すもので、(a)は斜視図、(b)は横断面図である。
【図9】緑化パネルまたはこれを構成しているパネル枠を支持枠に取り付けた状態を示すものであり、(a)はその全体斜視図、(b)は支持パイプとパイプ連結部材との取付関係を示す部分拡大斜視図である。
【図10】実施例1に係る緑化パネルの拡大縦断面図である。
【図11】実施例2に係る緑化パネル緑化パネルを示すもので、(a)は立体網状マットを全体的に入れた場合の拡大縦断面図、(b)は立体網状マットを部分的に入れた場合の拡大縦断面図である。
【図12】パネル枠の作業開口から切り込みを形成した状態を示すもので、(a)はその部分拡大図、(b)は(a)の縦断面図である。
【図13】切り込みを開いてマット開口を形成した状態を示すもので、(a)はその部分拡大図、(b)は(a)の縦断面図である。
【図14】マット開口からポット苗を植え付けた後このマット開口を閉じた状態を示すもので、(a)はその部分拡大図、(b)は(a)の縦断面図である。
【図15】本発明に係る緑化装置を構成している緑化パネルを利用して建物の柱を囲んだり、中に何もない状態で組み付けて面構造モニュメントとしたときの状態を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図16】図15の(a)に対応する平面図であり、(a)は各緑化パネルの端部を連結材を介して連結したときを、(b)は各緑化パネルを直接連結したときをそれぞれ示す平面図である。
【図17】特許文献1に記載された技術を示す部分拡大断面図である。
【図18】特許文献2に記載された技術を示す分解斜視図である。
【図19】特許文献3に記載された技術を示す平面図(a)、部分破断正面図(b)、及び縦断面図(c)である。
【符号の説明】
100 緑化パネル
10 パネル枠
11 枠本体
12 格子線材
13 作業開口
20A 袋状マット材
20B マット材
21 マット開口
22 保水シート
30 植生基材
40 立体網状マット
50 かん水パイプ
51 連結部
60 ポケット
70 ポット苗
80 切り込み
200 支持枠
200A 支持枠本体
210 基礎
211 支持パイプ
212 パイプ連結部材
213 吊下具
213a 係止片
213b 取付穴
214 連結具
215 ワイヤロープ
216 アンカー
217 壁つなぎ
300 垂直面
P 植生植物
Claims (4)
- 建物の壁や橋脚の表面、あるいは擁壁等の垂直面に対して、又は単独で組み付けられる支持枠と、この支持枠を介して取付施工される緑化パネルとからなり、この緑化パネルに植生された植生植物により、前記垂直面に対する植生を行い、あるいは垣根や垂直な面構造モニュメントを構成する緑化装置であって、
前記緑化パネルを、前記支持枠により前記垂直面側に取り付けられて、少なくともポット苗の植え込みが可能な作業開口を少なくとも前面に形成したパネル枠と、このパネル枠の直ぐ内側に配置されて支持され、前記作業開口の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有した袋状マット材と、この袋状マット材の内側に充填されて、植生植物を生育させるための植生基材またはこれを充填した立体網状マットとにより構成するとともに、
前記支持枠を、多数の金属製の直線状の支持パイプと、これらの支持パイプの端部を互いに連結するパイプ連結部材と、前記パネル枠の一部に連結されて、当該パネル枠を前記支持パイプに吊下する吊下具とにより構成したことを特徴とする垂直面緑化のための緑化装置。 - 建物の壁や橋脚の表面、あるいは擁壁等の垂直面に対して、又は単独で組み付けられる支持枠と、この支持枠を介して取付施工される緑化パネルとからなり、この緑化パネルに植生された植生植物により、前記垂直面に対する植生を行い、あるいは垣根や垂直な面構造モニュメントを構成する緑化装置であって、
前記緑化パネルを、前記支持枠により前記垂直面側に取り付けられて、少なくともポット苗の植え込みが可能な作業開口を少なくとも前面に形成したパネル枠と、このパネル枠の直ぐ内側に配置されて支持され、前記作業開口の外側からの切開作業が可能で吸水性及び復元性を有したマット材と、このマット材の内側に収納されて、植生植物を生育させるための植生基材を充填した立体網状マットとにより構成するとともに、
前記支持枠を、多数の金属製の直線状の支持パイプと、これらの支持パイプの端部を互いに連結するパイプ連結部材と、前記パネル枠の一部に連結されて、当該パネル枠を前記支持パイプに吊下する吊下具とにより構成したことを特徴とする垂直面緑化のための緑化装置。 - 前記袋状マット材またはマット材は、合成樹脂繊維を不織布状に成形したものであり、厚さが2mm〜10mmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の垂直面緑化のための緑化装置。
- 前記植生基材の上または上部内に、当該植生基材内へのかん水を行い、かつ少なくとも一端にて他の緑化パネル側へ連結し得る連結部を有したかん水パイプを収納したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の垂直面緑化のための緑化装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003048069A JP2004254565A (ja) | 2003-02-25 | 2003-02-25 | 垂直面緑化のための緑化装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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