JP2004256338A - クロロシラン類の製造方法 - Google Patents

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Shozo Matsunaga
省三 松永
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Abstract

【課題】金属シリコンの微粉や塩化アルミニウム等を効率的に除去し、配管詰まり等を発生させず、高純度のクロロシラン類を高収率で製造する方法を提供する。
【解決手段】金属シリコン2と塩化水素、または金属シリコンと四塩化珪素および水素を反応させた後、冷却し、得られるクロロシラン類の未精製混合液を蒸留塔7で蒸留してクロロシラン類を回収する方法において、未精製混合液中の不純物(微粉や塩化アルミニウム等)が濃縮した不純物濃縮液11を蒸留塔から抜き出し、再濃縮装置12で加熱することにより前記濃縮液に残存するクロロシラン類を回収するとともに、濃縮した不純物を再濃縮装置から抜き出すに際し、前記反応させる金属シリコン量1kgに対して、蒸留塔からの不純物濃縮液の抜き出し量を1〜20kgとし、再濃縮装置からの濃縮不純物の抜き出し量を0.05〜0.45kgとする。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トリクロロシラン(SiHCl)と四塩化珪素(SiCl)を主体とするクロロシラン類の製造方法、詳しくは、前記製造の過程で発生するシリコン(Si)の微粉(原料として用いた金属シリコンの未反応微粉)や、金属シリコンまたは金属シリコンに含まれるAl、Fe等が塩素化されて発生する高沸点物質を効率的に除去し、高純度のクロロシラン類を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造に用いられるシリコン単結晶は、多結晶シリコンから種々の育成法によりつくられているが、このとき出発原料として用いられる多結晶シリコンは、極めて高い純度が要求される。そのため、多結晶シリコンは、通常、純度95%以上の金属シリコンが充填された層(固定層、流動層)に塩化水素(HCl)、または、四塩化珪素(SiCl)とHを送気してトリクロロシラン(SiHCl)を生成させ、これを蒸留法により精製し、得られた高純度トリクロロシラン(SiHCl)をCVD炉内で高純度水素により還元する方法により製造されている。
【0003】
前記の高純度トリクロロシラン(SiHCl)を製造するプロセスでは、先ず、反応炉で、金属シリコンに作用させるガスの違いに応じて、主に下記▲1▼式または▲2▼式のような反応が起こる。
【0004】
Si+3HCl→SiHCl+H ・・・▲1▼
Si+3SiCl+2H→4SiHCl ・・・▲2▼
前記反応後のガス中には、生成したトリクロロシランや副生物としての四塩化珪素、水素、未反応ガス等の他、金属シリコンの微粉や、金属シリコンまたは金属シリコンに含まれるシリコン以外の物質(Al、Fe等)が塩素化されて発生する固体状およびガス状の高沸点物質(以下、単に「高沸点物質」ともいう)が含まれている。
【0005】
続いて、反応後のガスは冷却され、ガス中のトリクロロシラン(沸点:31.8℃)、四塩化珪素(沸点:57.6℃)等の沸点の低いシリコンの塩化物(以下、これらを「クロロシラン類」ともいう)は凝縮液化し、液化しない水素、未反応ガスは別途回収される。一方、前記の微粉や塩素化されて生じた固体状の高沸点物質は、冷却前にフィルターで除去されるか、またはそのままクロロシラン類の凝縮液中に取り込まれる。しかし、フィルターによる除去は、微粉に対してはある程度の効果はあるが、完全ではなく、またフィルターを通過するガス状の高沸点物質に対しては効果がなかった(前記の微粉や高沸点物質を、以下、「不純物」ともいう)。
【0006】
その後、凝縮液は蒸留塔へ導かれ、蒸留を受ける間に、クロロシラン類の純度が向上する。一方、凝縮液中に取り込まれた微粉や塩化アルミニウム、塩化鉄等の高沸点物質(不純物)は塔底に濃縮、蓄積されるが、これら高沸点物質の濃度が上昇することはクロロシラン類の品質低下につながるため好ましくなく、また、あまり高濃度に濃縮すると、金属シリコンに含まれるAl、Fe等が塩素化されて発生した塩化アルミニウム、塩化鉄等が蒸留塔のリボイラーおよび配管等の内壁に固着し、場合によっては閉塞させるため、プロセス自体が機能しなくなることがあった。
【0007】
そのため、微粉や高沸点物質を蒸留塔の塔底から抜き出し、それを加水分解処理した後、産業廃棄物として処理する方法が採られる場合が多いが、この塔底から抜き出した液中にはクロロシラン類が含まれているので、有用成分の損失が大きい。また、抜き出し後の加水分解処理等に要する費用も嵩み、経済的にも不利である。
【0008】
また、特許文献1には、塩化アルミニウムを含有するクロロシラン類液からクロロシラン類を蒸発させて回収する際に、前記蒸発を薄膜蒸発法により行い、かつ、塩化アルミニウムの濃縮物を液状で取り出す方法が開示されている。しかし、前記濃縮物を液状で取り出そうとすると、微粉の影響が大きく、制御が困難になるという難点がある。
【0009】
そのため、微粉や高沸点物質(不純物)を含むクロロシラン類の凝集液からクロロシラン類を回収するに際し、配管等の閉塞を引き起こす原因となる高沸点物質等を除去し、高い収率で高純度のクロロシラン類を回収する技術の開発が望まれていた。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−261324号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような状況に鑑みなされたもので、その目的は、金属シリコンの微粉や、金属シリコンまたは金属シリコンに含まれるAl、Fe等が塩素化されて発生する高沸点物質を含むクロロシラン類(トリクロロシランや四塩化珪素)から前記の微粉、高沸点物質(不純物)を効率的に除去し、配管等の詰まりを発生させずに、高い収率で高純度のクロロシラン類を製造する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明者は、蒸留塔の底に塔底液として濃縮された微粉や高沸点物質の一定量を抜き出して、別容器で加熱し、有用成分であるトリクロロシランおよび四塩化珪素をガス化分離して蒸留塔に戻し、この別容器(再濃縮装置)の底部に濃縮した(すなわち、蒸留塔の底に濃縮された塔底液が再濃縮した)微粉や高沸点物質を系外へ抜き出す方法について検討した。
【0013】
その結果、蒸留塔の底に溜まる塔底液の抜き出し量、再濃縮装置から系外への抜き出し量を適正な範囲に設定すれば、上記の目的を達成できることを知見した。
【0014】
本発明の要旨は、下記のクロロシラン類の製造方法にある。
【0015】
金属シリコンと塩化水素、または金属シリコンと四塩化珪素および水素を反応させた後、冷却し、得られるクロロシラン類の未精製混合液を蒸留塔で蒸留してクロロシラン類を回収するクロロシラン類の製造方法であって、未精製混合液中の不純物が濃縮した不純物濃縮液を蒸留塔から抜き出し、再濃縮装置で加熱することにより前記濃縮液に残存するクロロシラン類を回収するとともに、濃縮した不純物を再濃縮装置から抜き出すに際し、前記反応させる金属シリコン量1kgに対して、蒸留塔からの不純物濃縮液の抜き出し量を1〜20kgとし、再濃縮装置からの濃縮不純物の抜き出し量を0.05〜0.45kgとするクロロシラン類の製造方法。前記の「クロロシラン類」とは、先にも述べたように、ここでは、トリクロロシランおよび副生品として生成する四塩化珪素をいう。なお、四塩化珪素には、原料として用いられ未反応のまま排出されるものが含まれる場合もある。
【0016】
また、「不純物」とは、前記の金属シリコンと塩化水素、または、金属シリコンと四塩化珪素および水素との反応における、未反応の金属シリコンの微粉や、反応の際に生成する金属シリコンまたは金属シリコンに含まれるシリコン以外の物質(Al、Fe等)が塩素化されて発生する高沸点物質をいう。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のクロロシラン類の製造方法を図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の方法を実施するためのトリクロロシランの製造設備の一例の概略構成図で、破線で囲んだ部分が本発明の方法において実施する工程である。
【0019】
図1において、符号1は前記の▲2▼式の反応を生じさせる反応炉であり、前記反応炉1から排出されるガスを冷却するクエンチャー4と、クエンチャー4から供給される凝縮液を蒸留してクロロシラン類を回収する蒸留塔7が順に連結されている。図1に例示した設備では、この蒸留塔7から原料(金属シリコン)の微粉や高沸点物質が濃縮した塔底液を抜き出し、加熱して、混在しているクロロシラン類を分離回収するとともに、さらに濃縮(つまり、再濃縮)させた不純物を系外へ抜き出すための再濃縮装置12が取り付けられている。
【0020】
このトリクロロシランの製造設備において、反応炉1に原料である金属シリコン2(純度約95%以上)を装入し、約600℃に加熱された水素(H)および四塩化珪素(SiCl)を送入して流動層とする。反応炉1内では下記の反応(前記▲2▼の反応)が起こる。
【0021】
Si+3SiCl+2H→4SiHCl
反応炉1からの出口ガス3中には、反応生成物であるSiHClの他に、未反応のH、SiClおよび未反応の金属シリコンの微粉や、金属シリコンまたは金属シリコンに含まれるシリコン以外の物質(Al、Fe等)が塩素化されて発生した高沸点物質が存在している。
【0022】
続いて、前記出口ガス3をクエンチャー4で冷却し、SiHCl、SiCl等を凝縮、液化するとともに、金属シリコンの微粉や液化しない高沸点物質をSiHCl、SiCl等の凝縮液中に捕集する。冷却方法は、SiHCl、SiCl等の凝縮液に前記の微粉や液化しなかった高沸点物質が捕集された状態の液(これを「混合液」という)を冷却しながらポンプ5で強制循環する方法である。クエンチャー4で凝縮せず、または捕集もされないHおよび未反応ガス6はクエンチャー4の上方部から回収され、反応炉1の原料ガスとして再利用される。一方、前記混合液は強制循環経路から一部が抜き出され、蒸留塔7へ送られる。
【0023】
蒸留塔7では、前記の抜き出された混合液がリボイラー10でスチーム加熱され、SiHCl、SiClは蒸発して高沸点物質や金属シリコンの微粉と分離される。分離されたSiHCl8はその用途に応じてさらに精留され、SiCl9は反応炉1へ送入する原料として再利用される。一方、SiHCl、SiClから分離された金属シリコンの微粉や高沸点物質は、分離されずに残留しているSiHCl、SiClの凝縮液に濃縮した状態(これを「不純物濃縮液」という)で蒸留塔7の底部に溜まり、再度底部から抜き出され、リボイラー10での加熱、分離が繰り返される。
【0024】
従来のトリクロロシランの製造方法においては、このリボイラーでの加熱、分離が繰り返される間に、高沸点物質である金属シリコン中のAl、Fe等が塩素化されて発生した塩化アルミニウム、塩化鉄等が濃化し、過飽和になって、配管等の内壁に析出、固着し、配管を閉塞させる場合もあったのであるが、本発明の方法においては、リボイラー10と蒸留塔7の間の循環経路から一部が不純物濃縮液11として抜き出され、再濃縮装置12へ送られる。
【0025】
再濃縮装置12は、上部に不純物濃縮液送入口13とクロロシラン類排出口14を備え、円筒形でその下方が凸状をなす蒸発容器15で、この容器15の内側には攪拌手段が設けられている。蒸発容器15は二重壁構造をなし(図示せず)、内壁と外壁の間を蒸気が通過して、容器15内へ供給される不純物濃縮液11を加熱できるように構成され、さらに、底部には、不純物濃縮液11が再濃縮されて生じた不純物(以下、「濃縮不純物」という)を系外へ抜き出すために一時溜め置く濃縮不純物溜まり16が設けられている。符号23は濃縮不純物を系外へ抜き出すための排出管で、定量ポンプ24が取り付けられている。
【0026】
攪拌手段は、蒸発容器15の中央に垂直に取り付けられた回転軸17と、その回転軸17の下方に放射状に、かつ蒸発容器15の下方の内壁に沿うように設けられた攪拌羽根18と、濃縮不純物溜まり16内を攪拌し、系外への抜き出しを円滑に行うための攪拌羽根19を有し、回転軸17の上部に連結されたモータ20により正逆両方向に回転できるように構成されている。
【0027】
攪拌羽根18を前記のように内壁に沿うように設けるのは、蒸発容器15内を攪拌することによって容器15の内壁面における濃縮不純物の固着を防止するためである。攪拌羽根18の下端に、例えば、真鍮(BsBM)等の材質ででき、自重で前記内壁面に接触し、攪拌羽根18が一方の方向へ回転するときは壁面の液を掻き上げ、それとは逆の方向へ回転するときは液を掻き下げるように溝、または角度を付与された、羽根18の長手方向で複数に分割されたスクレーパーブロック(図示せず)が設けられていれば、前記の固着防止効果はより大きくなる。
【0028】
クロロシラン類排出口14は回収されたクロロシラン類を凝縮させるための凝縮器21に接続され、流量計22を経て蒸留塔7に連結されている。
【0029】
再濃縮装置12へ送られた不純物濃縮液11は、蒸発容器15内で容器の内外壁間を通過する蒸気により加熱され、不純物濃縮液11に残留するクロロシラン類はガス化して、クロロシラン類排出口14から蒸発容器15外へ排出される。蒸発容器15内の不純物濃縮液11は再濃縮されるが、蒸発容器15の下方の内壁(加熱面)に沿うように設けられた攪拌羽根18により攪拌されているので、濃縮液11中の塩化アルミニウム等の高沸点物質が内壁面に固着することはない。
【0030】
蒸発容器15外へ排出されたクロロシラン類は凝縮器21で液化し、流量計22を経て蒸留塔7へ戻され、SiHCl8、SiCl9として回収される。一方、再濃縮された不純物濃縮液11は濃縮不純物溜まり16内で攪拌羽根19により攪拌されつつ排出管23から系外へ抜き出される。
【0031】
前記の不純物濃縮液11の抜き出し量、すなわち濃縮液11の再濃縮装置12への移送量は、反応させる金属シリコン量、すなわち反応炉1における金属シリコンの消費量1kgに対して1〜20kgとする。不純物濃縮液11の抜き出し量が20kgより多ければ経済的に不利であり、1kgより少なければ再濃縮装置12の処理量が少なく、高沸点物質を十分抜き出しできず、配管、塔の詰まりの原因になる。なお、詰まりが生じやすいため、再濃縮装置12に不純物濃縮液11の抜き出し量を測定する流量計は設置されていないが、流量計22でクロロシラン類の回収量を知ることができ、次に述べるように、定量ポンプ24で再濃縮装置12からの抜き出し量を管理できるので、両者の和として不純物濃縮液11の抜き出し量を求めることができる。
【0032】
再濃縮装置12からの濃縮不純物の抜き出し量は前記金属シリコンの消費量1kgに対して0.05〜0.45kgとする。この濃縮不純物の抜き出し量は、金属シリコン中の高沸点物質、特にAlの濃度、および金属シリコンの微粉の発生量によっても大きく左右されるが、これらについて考慮しつつ濃縮不純物の抜き出し量を前記範囲内で適宜設定すれば、再濃縮装置12の円滑な運転が可能である。なお、抜き出し量の管理は、粘性の高い物質でも排出可能な定量ポンプ24を例えばコンピュータで断続運転させることにより行うことができる。
【0033】
前記の抜き出し量が0.05kgより少なければ、再濃縮装置12内での高沸点物質の濃度が高くなり、排出管23に詰まりが発生し、さらに高沸点物質の濃度が高くなることによって濃縮不純物の液自体の沸点が上昇するため、塩化アルミニウム等が蒸気として蒸留塔7に戻る場合も生じる。また、抜き出し量が0.45kgより多い場合は、クロロシラン類の分離、回収が十分ではなく、系外への排出損失が大きくなる。
【0034】
再濃縮装置12から系外へ抜き出された濃縮不純物は、加水分解後、産業廃棄物として処理される。
【0035】
再濃縮装置12内の運転時の圧力は、大気圧〜0.2MPa(絶対圧)とするのが好ましい。より好ましくは、大気圧〜0.15MPa(絶対圧)である。装置内の圧力が高すぎると、攪拌手段の回転軸17と蒸発容器15とのシール部からクロロシラン類の漏れが発生しやすく、メンテナンス頻度が増加するからである。
【0036】
再濃縮装置12内の運転時の温度は、80℃以下とするのが好ましい。運転温度がこれより上昇すると、高沸点物質(塩化アルミニウム等)の蒸気圧が上昇するため、蒸気として蒸留塔7に戻る場合が生じるからである。なお、再濃縮装置12内の温度は、不純物濃縮液11を沸騰させ、トリクロロシラン(沸点:31.8℃)の分離を促進できるように、40℃以上とするのが好ましい。
【0037】
前記本発明のクロロシラン類の製造方法で使用する原料としての金属シリコンは、比較的純度が高いものが望ましく、具体的にはAlの濃度が500〜6000ppm程度のものが望ましい。
【0038】
また、金属シリコンの反応炉への投入は、連続投入、断続投入(例えば、数時間毎の投入)のいずれでもよい。断続投入の場合、本発明における「金属シリコンの反応量(すなわち、投入量)」は、例えば、金属シリコンの1日当たりの投入量を「24時間平均」の投入量に換算して求めればよい。この場合、蒸留塔からの不純物濃縮液の抜き出し量も、同様に「24時間平均」の量として求める。
【0039】
再濃縮装置からの濃縮不純物の抜き出しも、連続、断続のいずれでもよいが、断続抜き出しの場合、その間隔が長すぎると、再濃縮装置の容量によっては蒸発容器内の濃縮不純物の濃度が上昇して粘性が増すため排出管に詰まりが生じ、抜き出しが困難となる場合もある。そのため、本発明で規定する「反応させる(投入する)金属シリコン量1kgに対して、濃縮不純物の抜き出し量を0.05〜0.45kgとする」を、長いスパンで考えて、例えば、金属シリコン投入量6000kgに対して濃縮不純物の抜き出し量を300〜2700kgとし(前記の1kgに対する0.05〜0.45kgと同じ比率である)、この300〜2700kgを、前記6000kgを投入するのに要した時間で平均化して抜き出せば、断続抜き出しでその間隔が比較的長くなった場合でも、抜き出し量が平均されるので、前記排出管の詰まり防止の観点から望ましい。
【0040】
上述した本発明のクロロシラン類の製造方法では、蒸留塔の底部に溜まる不純物濃縮液中のクロロシラン類を回収し、高沸点物質等の不純物を除去するために、図1に例示した再濃縮装置を用いているが、必ずしもこれに限定されない。前記不純物濃縮液を処理して所期の目的(クロロシラン類の回収および不純物の除去)を達成できるもの(蒸発装置)であればよく、蒸留塔からの不純物濃縮液の抜き出し量(すなわち、前記蒸発装置への移送量)および再濃縮した不純物の前記蒸発装置からの抜き出し量を上述した範囲内で適宜調整すれば、蒸留塔のリボイラー、配管等の詰まりを発生させずに、円滑な運転を行うことが可能である。
【0041】
上記本発明のクロロシラン類の製造方法によれば、金属シリコンの微粉や、金属シリコンまたは金属シリコンに含まれるAl、Fe等が塩素化されて発生する高沸点物質を含むクロロシラン類(四塩化珪素やトリクロロシラン)から前記微粉、高沸点物質を効率的に除去し、蒸留塔のリボイラー、配管等の詰まりを発生させずに、高い収率で高純度のクロロシラン類を製造することができる。
【0042】
【実施例】
前記の図1に示した構成のトリクロロシランの製造設備を用いて本発明の方法を実施した。
【0043】
先ず、反応炉1に、純度が98%の金属シリコン2を装入し、550℃に加熱された水素(H)および四塩化珪素(SiCl)を送入して流動層とし、下記の反応を生じさせた。
【0044】
Si+3SiCl+2H→4SiHCl
次いで、反応炉1からの出口ガス3(SiHCl、H、SiClおよび金属シリコンの微粉、高沸点物質が含まれる)をクエンチャー4で冷却し、凝縮液に前記の微粉や液化しなかった高沸点物質が捕集された状態の混合液の強制循環経路から一部を抜き出して蒸留塔7へ送り、リボイラー10でスチーム加熱して、SiHCl、SiClをガス化回収した。
【0045】
蒸留塔7の底部に溜まった高沸点物質や金属シリコンの微粉がガス化していないSiHCl、SiClの凝縮液に濃縮した状態の不純物濃縮液11を、反応炉1における金属シリコンの消費量1kgに対して1kgの割合で再濃縮装置12へ送った。
【0046】
再濃縮装置12では、攪拌しつつ加熱処理を行って不純物濃縮液11中に残留しているクロロシラン類をガス化回収し、再濃縮させて得られた濃縮不純物を反応炉1における金属シリコンの消費量1kgに対して0.05kgの割合で再濃縮装置12から抜き出した。なお、再濃縮装置12内の圧力は0.15MPa(絶対圧)とし、運転温度は65℃とした。
【0047】
上記のように、12ヶ月間にわたってトリクロロシランの製造設備の運転を行った結果、蒸留塔のリボイラーや配管の詰まりは皆無であった。
【0048】
表1に、上述した運転条件および配管等の閉塞状況、ならびにクロロシラン類の損失量等をまとめて示す(実施例)。表1において、「蒸気使用量」とは、再濃縮装置12の蒸発容器15での使用量であり、「クロロシラン類の損失量」とは、再濃縮装置12から抜き出された濃縮不純物中に含まれているクロロシラン類の損失量をいう。
【0049】
上記の実施例に対して、比較のために、不純物濃縮液11の再濃縮装置12への移送量、濃縮不純物の再濃縮装置12からの抜き出し量を種々変更して運転を行った(比較例1〜5)。運転条件、配管等の閉塞状況、クロロシラン類の損失量、問題点等を、前記の表1に併せて示す。
【0050】
【表1】
Figure 2004256338
【0051】
表1において、比較例1は、不純物濃縮液11の再濃縮装置12への移送量および濃縮不純物の再濃縮装置12からの抜き出し量のいずれも、本発明の方法で規定する量より少なかった場合であるが、再濃縮装置12の運転温度が高すぎて装置12内の圧力が0.4MPa(絶対圧)まで上昇したため、攪拌手段の回転軸17と蒸発容器15とのシール部からの漏れが発生し、2ヶ月経過した段階で、再濃縮装置12への移送量がさらに低下し、3ヶ月目には配管の閉塞が発生した。また、蒸留塔7のリボイラー10中の伝熱管の約半数は完全に閉塞していることが確認された。
【0052】
比較例2は、不純物濃縮液11の再濃縮装置12への移送量が本発明で規定する量より少なかった場合、比較例4は濃縮不純物の再濃縮装置12からの抜き出し量が本発明で規定する量より少なかった場合であるが、いずれも配管等の詰まりが発生した。
【0053】
比較例3は、不純物濃縮液11の再濃縮装置12への移送量が本発明で規定する量より多かった場合であるが、配管等の詰まりはなかったが、蒸気使用量が多く、経済性が悪かった。
【0054】
従来例1は、不純物濃縮液11を再濃縮装置12を通さずに、そのまま加水分解処理したものである。この場合、配管等の詰まりはなく、再濃縮装置12を加熱する蒸気も必要ないが、加水分解処理の費用が嵩み、有効成分であるクロロシラン類の損失も極めて大きいため、経済的に不利であった。
【0055】
【発明の効果】
本発明のクロロシラン類の製造方法によれば、金属シリコンの微粉や、金属シリコンまたは金属シリコンに含まれるAl、Fe等が塩素化されて発生する高沸点物質を含むクロロシラン類(四塩化珪素やトリクロロシラン)から前記微粉、高沸点物質を効率的に除去し、蒸留塔のリボイラー、配管等の詰まりを発生させずに、高い収率で高純度のクロロシラン類を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するためのトリクロロシランの製造設備の一例の概略構成図である。
【符号の説明】
1:反応炉
2:金属シリコン
3:出口ガス
4:クエンチャー
5:ポンプ
6:Hおよび未反応ガス
7:蒸留塔
8:SiHCl
9:SiCl
10:リボイラー
11:不純物濃縮液
12:再濃縮装置
13:不純物濃縮液送入口
14:クロロシラン類排出口
15:蒸発容器
16:濃縮不純物溜まり
17:回転軸
18:攪拌羽根
19:攪拌羽根
20:モータ
21:凝縮器
22:流量計
23:排出管
24:定量ポンプ

Claims (2)

  1. 金属シリコンと塩化水素、または金属シリコンと四塩化珪素および水素を反応させた後、冷却し、得られるクロロシラン類の未精製混合液を蒸留塔で蒸留してクロロシラン類を回収するクロロシラン類の製造方法であって、未精製混合液中の不純物が濃縮した不純物濃縮液を蒸留塔から抜き出し、再濃縮装置で加熱することにより前記濃縮液に残存するクロロシラン類を回収するとともに、濃縮した不純物を再濃縮装置から抜き出すに際し、前記反応させる金属シリコン量1kgに対して、蒸留塔からの不純物濃縮液の抜き出し量を1〜20kgとし、再濃縮装置からの濃縮不純物の抜き出し量を0.05〜0.45kgとすることを特徴とするクロロシラン類の製造方法。
  2. 再濃縮装置内の温度が80℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のクロロシラン類の製造方法。
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