JP2004259629A - 負極用炭素質材料およびその製造方法並びに非水電解質二次電池 - Google Patents

負極用炭素質材料およびその製造方法並びに非水電解質二次電池 Download PDF

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和久 竹崎
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心一郎 山田
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裕 大木
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政幸 永峰
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Abstract

【課題】充放電容量が高く、かつ、優れた充放電効率を有する二次電池を得ることができる負極用炭素質材料を提供すること。
【解決手段】ESCAによる元素分析で280〜300eVの間に炭素−炭素結合に由来するピークのみが存在する負極用炭素質材料。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、負極用炭素質材料およびその製造方法並びに非水電解質二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子技術の進歩に伴い、カメラ一体型VTR、携帯電話、ラップトップコンピューター等の小型のポータブル電子機器が開発されてきており、これらに使用するポータブル電源として小型かつ軽量で高エネルギー密度の二次電池の開発が強く要望されている。
【0003】
このような要望に応えるものとして、理論上高電圧が得られ、かつ、高エネルギー密度を有するリチウム、ナトリウム、アルミニウム等の軽金属を負極活物質として用いる非水電解液二次電池が期待されている。中でも、リチウムイオンの充放電を非水系電解液を介して行う非水電解液二次電池は、水溶液系電解液二次電池であるニッケル・カドミウム電池や鉛蓄電池と比較して、高出力および高エネルギー密度を実現できるものとして盛んに研究開発が進められている。
【0004】
ところで、このような非水電解液二次電池において、軽金属、例えば、リチウム金属を単にそのまま負極材料として用いると、充電過程で負極にリチウム金属がデンドライド状に析出し易く、このデンドライドの先端では、電流密度が非常に高くなるため、電解液の分解によるサイクル寿命の低下が起こることになる。
また、過度にデンドライドが成長すると、電池の内部短絡が生ずることも懸念される。
このため、小型電子機器の作動時間や、電源パッケージの寿命の確保のためにも、これまで以上に高サイクル寿命、高エネルギー密度の電池を実現する負極材料の開発が強く要望されている。
【0005】
上記問題点を解決すべく、リチウム金属析出のサイクル充放電特性を改善するために、負極活物質としてリチウムイオンをドープ、脱ドープできる炭素質材料を非水電解液二次電池用負極材料として使用することが提案されている(特許文献1:特開昭62−90863号公報参照)。このような炭素質材料としては、製造コストやサイクル充放電特性等の観点から、コークス類、有機高分子化合物焼成体が主として用いられている。特に、天然高分子である結晶性セルロースを焼成することにより得られる炭素質材料が、合成高分子から得られるそれに比べて重合度のばらつきが少ないため、焼成物の特性のばらつきも少ないことから注目されている(特許文献2:特開平2−54866号公報参照)。
【0006】
しかしながら、結晶性セルロース由来の炭素質材料を含むハードカーボンは、比較的大きな充電容量を有するものの、充電容量に対する放電容量の比である充放電効率が低いという問題がある。したがって、限られた体積および重量という条件の下で高エネルギー密度の電池を作製するということを考慮すると、このような問題を有するハードカーボンを使用することは得策ではない。
【0007】
さらに、近年の環境問題への関心の高まりから、植物性高分子を含む使用済み廃棄物を再生資源として利用できるようにすることも要望されている。
このような観点から、(1)産業廃棄物から入手できるような植物性高分子由来炭素材料をヒーターで加熱、焼成し、炭化してなる非水電解液二次電池負極材料(特許文献3:国際公開第96/27911号パンフレット参照)、(2)廃コーヒー豆等の植物性原料由来の炭素材料を、水系溶媒中でマイクロ波加熱し、金属成分を溶出除去した後、ヒーター等で加熱焼成してなる非水電解液二次電池負極材料(特許文献4:特開2000−327316号公報参照)等が報告されている。
【0008】
しかしながら、上記各植物性原料からなる炭素材料を負極用炭素材料として用いた二次電池における充放電効率は、必ずしも満足できる値ではなく、さらなる改良が求められているのが現状である。
また、ヒーターを用いて植物性原料を加熱して炭化させる場合、炉内全体を加熱する必要があることから、加熱効率が悪く、急昇温するにはヒーターの出力を高めなければならない。
【0009】
さらに、焼成物(炭素材料)の酸化を防ぐため、所定温度以下に冷却した後に焼成物を取り出す必要があるが、冷却にかなりの時間を要するため、連続的に焼成するには不向きである等の問題もある。
しかも、炭素材料の原料粉体が断熱材として作用するため、一度に大量の原料を焼成した場合、中心部に焼成ムラが起こる可能性が高いのに加え、爆発の虞を考えて防爆仕様の高価な焼成炉を使う必要がある等、安全性および経済性の点からも問題がある。
【0010】
加えて、高エネルギー密度の電池を作製するためには、負極材が多くのリチウムをドープ・脱ドープできることが重要となる。特に、電池容積当たりのエネルギー密度を高めるためには、単位重量当たりの活物質のドープ・脱ドープ容量が大きい炭素質材料を電池の負極材料として使用することが重要となる。
【0011】
【特許文献1】
特開昭62−90863号公報
【特許文献2】
特開平2−54866号公報
【特許文献3】
国際公開第96/27911号パンフレット
【特許文献4】
特開2000−327316号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、充放電容量が高く、かつ、優れた充放電効率を有する二次電池を得ることができる負極用炭素質材料およびその製造方法、並びにこの負極用炭素質材料を含んで構成された負極を有する非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段および発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、炭素質材料の結晶構造や微細組織を適切に制御することにより、充放電容量および充放電効率に優れた二次電池を与える負極用炭素質材料が得られること見いだすとともに、このような特定の結晶構造や微細構造を有する炭素質材料が、炭素質材料用原料を所定温度範囲で高周波加熱することにより、安価かつ安全に、しかも大量に製造できることを見いだし、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は、
1. ESCAによる元素分析で280〜300eVの間に炭素―炭素結合に由来するピークのみが存在することを特徴とする負極用炭素質材料、
2. 比表面積が5〜50m/gであり、かつ、ヘリウム法により求める真密度をρHe(g/cm)とし、ブタノール法により求める真密度をρBuOH(g/cm)とした場合に、ρHe−ρBuOH=0.4g/cm以上であることを特徴とする1の負極用炭素質材料、
3. 炭素質材料用原料を高周波加熱炉に投入し、1000〜1500℃で焼成することを特徴とする負極用炭素質材料の製造方法、
4. 正極および負極と、これら正負極間に介在されるセパレータと、電解質とを備えて構成される非水電解質二次電池であって、前記負極が、1または2の負極用炭素質材料を含んで構成されることを特徴とする非水電解質二次電池、
5. 正極および負極と、これら正負極間に介在されるセパレータと、電解質とを備えて構成される非水電解質二次電池であって、前記負極が、3の製造方法により得られた負極用炭素質材料を含んで構成されることを特徴とする非水電解質二次電池
を提供する。
【0015】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る負極用炭素質材料は、上述のように、ESCAによる元素分析で280〜300eVの間に炭素−炭素結合に由来するピークのみが存在するもの、換言すれば、上記280〜300eVの間に炭素−炭素結合のスペクトル以外のピークが存在しないものである。
ここで、上記280〜300eVの間に、炭素−炭素結合のスペクトル以外のピークが存在するということは、本来、炭素質がリチウムイオン等の活物質をドープできる部位に、何らかの他の物質が吸着または結合していることになるため、この炭素質材料を負極材として用いた二次電池の充放電容量が低くなる。
【0016】
以上のような特性を有する負極用炭素質材料において、さらに、比表面積が5〜50m/gであり、かつ、ヘリウム法により求める真密度をρHe(g/cm)とし、ブタノール法により求める真密度をρBuOH(g/cm)とした場合に、ρHe−ρBuOH=0.4g/cm以上であることが好ましい。
【0017】
ここで、比表面積が5m/g未満の場合、リチウムイオン等の活物質をドープできる部分が減少する虞があり、一方、50m/gを超える場合、ドープしたリチウムイオン等の活物質を充分脱ドープできない虞がある。より好ましい炭素質材料の比表面積は、10〜15m/g、特に、12〜14m/gである。
【0018】
また、ρHe−ρBuOH=0.4g/cm未満の場合にも、リチウムイオン等の活物質をドープできる部分が減少するため、この炭素質材料を負極に用いた二次電池の充放電容量、充放電効率が低下する虞がある。より好ましくは、ρHe−ρBuOH=0.45g/cm以上、特に、ρHe−ρBuOH=0.50g/cm以上である。
なお、本発明において、ρHeは、ヘリウムを用いた気体置換法で求めた真比重であり、ρBuOHは、n−ブタノール液体浸漬置換法で求めた真比重である。
【0019】
本発明の負極用炭素質材料の製造方法としては、上記特性を有する炭素質材料が得られる方法であれば、特に限定されるものではないが、炭素質材料用原料を、高周波加熱炉を使用して最終到達温度1000℃〜1500℃、好ましくは1200℃〜1300℃の範囲で焼成を行う方法を用いることが好ましい。
この場合、焼成温度が、1000℃未満であると、炭素質化が不充分となる可能性が高く、一方、1500℃を超えると、結晶化が進みすぎる可能性が高くなり、いずれにしても、この炭素質材料を用いた二次電池の充放電容量、充放電効率が低下する可能性が高くなる。
【0020】
使用可能な炭素質材料用原料としては、特に限定されるものではなく、ヤシ殻、コーヒー豆、木屑、石油ピッチ、石油コークス、石炭等種々の原料を用いることができるが、上述した特性を有する炭素質材料を容易に製造し得るという点から、コーヒー豆を原料として用いることが好ましい。
ここで、コーヒー豆の種類、形態としては、特に限定されるものではなく、生のままの豆や、乾燥処理、発酵処理、粉末化処理、焙煎処理、抽出処理等の種々の処理が施された豆を使用することができる。特に、産業廃棄物の低減化および再資源化を図るという点を考慮すると、焙煎後、湯等でコーヒー液が抽出されたコーヒー豆抽出残渣を用いることが好ましい。
【0021】
上記焼成を行う方法としては、特に限定されるものではないが、焼成温度のムラを少なくすること等を考慮すると、高周波加熱により行うことが好ましい。
すなわち、通常のヒーターによる加熱では、炉内温度分布のばらつきが生じやすく、しかも、炭素材料内の空隙に起因する断熱性のため、例えば、坩堝に投入した粉末(集合物、堆積物)の表面部分と内部とでは焼成温度にムラが発生し易いが、高周波を用いた場合、原料粉末を直接加熱することとなるため、焼成温度ムラが生じにくい。
また、高周波加熱は、焼成物の原子を振動させることで加熱するものであるため、ヒーターで原料粉末を加熱した場合のように、若干の酸素や水素等が炭素と結合したままの状態で加熱することになるという問題が生じにくい。
【0022】
さらに、高周波で原料粉末のみを加熱することとなるため、熱効率に優れ、焼成コストを低減することが可能となるとともに、炉内の冷却時間を短縮できるため、連続して焼成することができ、量産に適している。しかも、連続して焼成できるから、一回当たりの原料の焼成量を少なくすることができ、焼成時における爆発等の危険性を低減でき、装置の簡略化を図ることができるため、結果として、製造コストの削減につながる。
さらに、ほとんど原料粉末しか加熱されないため、800℃以上の高温焼成でも、コンベア等で炭素材料粉末を運搬することができる。
【0023】
このような高周波加熱を用いた負極用炭素質材料の具体的な製造方法は、例えば、以下のようにして行うことができる。
まず、焼成後にハードカーボンとなる原料を、真空または不活性ガス雰囲気下で300℃〜800℃、好ましくは、400℃〜700℃で0.5〜5時間、好ましくは1〜2時間加熱して一次焼成品を得る。なお、一次焼成は省略することもできる。
【0024】
得られた一次焼成品を高周波加熱炉に投入し、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性雰囲気下または減圧下、1℃/分以上、好ましくは10℃/分以上、さらに好ましくは50℃/分以上の昇温速度で1000℃〜1500℃の到達温度まで加熱し、この温度で0〜7時間、好ましくは0〜3時間、さらに好ましくは0〜0.5時間保持して焼成し、炭素質化させた後、直ちに冷却室に移して冷却し、負極用炭素質材料を得る。この場合、冷却条件は適宜設定することができる。
なお、減圧下で焼成を行う場合、その減圧度には限定はないが、1000Pa以下、特に50Pa以下であることが好ましい。
【0025】
以上述べたように、本発明の負極用炭素質材料は、ESCAによる元素分析で280〜300eVの間に炭素―炭素結合に由来するピークのみが存在するものであるから、リチウムイオンをドープし得る部位に不純物が存在せず、該炭素質材料を用いた非水電解質二次電池の充放電容量および充放電効率を高めることができる。
また、所定温度範囲で高周波加熱を行って、炭素質材料用原料を炭化させることで、上記炭素質材料を容易に製造することができる。この場合に、原料としてコーヒー豆抽出残渣等の産業廃棄物を積極的に活用することで、廃棄物の低減および再資源化を図ることもできる。
【0026】
本発明に係る非水電解質二次電池は、正極および負極と、これら正負極間に介在されるセパレータと、電解質とを備えて構成される非水電解質二次電池であって、負極が、上述した負極用炭素質材料を含んで構成されているものである。
本発明の非水電解質二次電池においては、負極用炭素質材料として、上述した炭素質材料を用いていれば、その他の電池構成部材には、特に限定はなく、通常、非水電解質二次電池に使用されるものを適宜採用することができる。
【0027】
例えば、正極としては、正極集電体の少なくとも一方の面に、バインダーポリマーと正極活物質とを主成分として含む正極用バインダー組成物を塗布してなるものを用いることができる。
一方、負極としては、例えば、負極集電体の少なくとも一方の面に、バインダーポリマーと、上述した本発明の炭素質材料からなる負極活物質とを主成分として含む負極用バインダー組成物を塗布してなるものを用いることができる。
【0028】
ここで、集電体としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、タンタル、ニッケル、銅等を用いることができる。
また、バインダーポリマーとしては、公知の種々のバインダーポリマーを使用することができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、フルオロオレフィン共重合体架橋ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリイミド、石油ピッチ、石炭ピッチ、フェノール樹脂等を用いることができる。
【0029】
正極活物質としては、例えば、CuO,CuO,AgO,CuS,CuSO等のI族金属化合物、TiS,SiO,SnO等のIV族金属化合物、V,V13,VO,Nb,Bi,Sb等のV族金属化合物、CrO,Cr,MoO,MoS,WO,SeO等のVI族金属化合物、MnO,Mn等のVII族金属化合物、Fe,FeO,Fe,Ni,NiO,CoO等のVIII族金属化合物、ポリピロール,ポリアニリン,ポリパラフェニレン,ポリアセチレン,ポリアセン系材料等の導電性高分子化合物、としては、例えば、FeS、TiS、MoS、V、V13、MnO等のリチウムイオンを吸着離脱可能なカルコゲン、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiMo、LiV、LiNiO、LiNi1−y(但し、Mは、Co,Mn,Ti,Cr,V,Al,Sn,Pb,Znから選ばれる少なくとも1種以上の金属元素を表し、0.05≦x≦1.10、0.5≦y≦1.0)等のリチウム含有複合酸化物などが挙げられる。
【0030】
上記セパレータとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリエステル不織布、PTFE多孔体フィルム、クラフト紙、レーヨン繊維・サイザル麻繊維混抄シート、マニラ麻シート、ガラス繊維シート、セルロース系電解紙、レーヨン繊維からなる抄紙、セルロースとガラス繊維との混抄紙、またはこれらを組み合わせて複数層に構成したものなどを使用することができる。
【0031】
上記電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム等のリチウム塩と非水溶媒とを含む非水系電解質、その他の電解質塩と非水溶媒とを含む非水系電解質、固体電解質等が用いられる。また、非水系電解質に用いられる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート,エチレンカーボネート,ジメトキシエタン,γ−ブチロラクトン,2−メチルテトラヒドロフラン等を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0032】
以上のような非水電解質二次電池は、例えば、正極と負極との間にセパレータを介在させてなる電池構造体を、積層、折畳、または捲回させて、さらにラミネート型やコイン型に形成し、これを電池缶またはラミネートパック等の電池容器に収容した後に電解質を注入し、電池缶であれば封缶、ラミネートパックであればヒートシールすることで、組み立てることができる。
このような本発明に係る非水電解質二次電池は、上述した本発明の負極用炭素質材料を負極活物質として用いているから、充放電容量が高く、充放電効率に優れたものである。
【0033】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
[1]負極用炭素質材料の作製
[実施例1]
温水で洗浄したコーヒー豆を、不活性ガス雰囲気中、650℃で2時間加熱し、一次焼成品を得た。得られた一次焼成品500gを、直径100mm、高さ100mmのアルミナ製の坩堝に入れ、高周波加熱炉中で、焼成時50Pa以下の減圧下に維持しながら、5℃/分の昇温速度で1250℃(到達温度)まで加熱した。この温度で、1時間保持して一次焼成品をさらに焼成し、炭素質化して負極用炭素質材料1を得た。得られた炭素質材料1のESCA元素分析スペクトルを図1に示す。
なお、測定装置として、日本電子データム(株)製JPS−90MX MICROを用い、炭素質材料1を両面テープで貼りつけた試料ホルダーを測定準備室に導入し、30分間装置をエージングした後に、真空度が10−7Pa以下、X線出力が10kV、10mAの条件で測定した(以下同様)。
【0035】
[実施例2]
到達温度を1100℃とした以外は、実施例1と同様にして、負極用炭素質材料2を得た。得られた炭素質材料2のESCA元素分析スペクトルを図2に示す。
【0036】
[実施例3]
到達温度を1200℃とした以外は、実施例1と同様にして、負極用炭素質材料3を得た。得られた炭素質材料3のESCA元素分析スペクトルを図3に示す。
【0037】
[実施例4]
到達温度を1300℃とした以外は、実施例1と同様にして、負極用炭素質材料4を得た。得られた炭素質材料4のESCA元素分析スペクトルを図4に示す。
【0038】
[実施例5]
到達温度を1400℃とした以外は、実施例1と同様にして、負極用炭素質材料5を得た。得られた炭素質材料5のESCA元素分析スペクトルを図5に示す。
【0039】
[実施例6]
焼成時の減圧度を500Paとした以外は、実施例1と同様にして、負極用炭素質材料6を得た。得られた炭素質材料6のESCA元素分析スペクトルを図6に示す。
【0040】
[比較例1]
到達温度を950℃とした以外は、実施例1と同様にして、負極用炭素質材料7を得た。得られた炭素質材料7のESCA元素分析スペクトルを図7に示す。
【0041】
[比較例2]
到達温度を1600℃とした以外は、実施例1と同様にして、負極用炭素質材料8を得た。得られた炭素質材料8のESCA元素分析スペクトルを図8に示す。
【0042】
[比較例3]
焼成にヒーター式加熱炉を用いた以外は、実施例1と同様にして負極用炭素質材料9を得た。得られた炭素質材料9のESCA元素分析スペクトルを図9に示す。
上記各実施例および比較例で得られた炭素質材料1〜9の、比表面積、ρHe−ρBuOH密度を表1に示す。
【0043】
[2]非水電解質二次電池の作製
[実施例7〜12,比較例4〜6]
上記各実施例および比較例で得られた負極用炭素質材料を、ミキサーで粉砕し、篩により分級して径が38μm以下の粉末を得、アルゴン雰囲気中、30℃/分の昇温速度で700℃(到達温度)まで加熱し、1時間この温度に保ち、表面に吸着した水分等を除去した。この粉末を室温まで冷却後、直ちに当該粉末90重量部、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)10重量部、溶媒であるジメチルホルムアミド90重量部を均一に混合し、得られた混合物を乾燥させて負極合剤を調製した。
【0044】
続いて、この負極合剤37mgと、集電体であるニッケルメッシュ(ニッケル繊維径:20μm)とを使用し、常法にしたがって直径15.5mmのペレットを成形し、カーボン電極を作製した。得られたカーボン電極を負極とし、直径20mm、厚さ2.5mmのコイン型テストセルを作製した。
なお、セル構成は、以下の通りである。
対極:Li金属
対極集電体:銅箔
セパレータ:ポリプロピレン製多孔質膜
電解液:プロピレンカーボネートとジメトキシエタンとの混合溶媒(容量比1:1)にLiClOを1モル/Lの割合で溶解させた溶液
【0045】
上記実施例7〜12、比較例4〜6で作製したテストセルを用い、1mA(電流密度0.53mA/cm)の定電流で、下記充放電により負極容量試験を行い、充放電容量を求めた。その結果を表1に示す。
なお、以下のようにして見積もられた充放電(負極)容量は、平衡電位を基準としているので、材料固有の特性をより反映したものとなる。
【0046】
[充電試験]
1時間の通電(充電)と、2時間の休止を繰り返し、各休止時の休止時間のマイナス0.5乗に対して電圧をプロットし(図示省略)、無限時間に外掃することにより平衡電位を見積もった(断続充放電法)。なお、充電は平衡電位がリチウムに対して3mVとなった時点で終了させた。
[放電試験]
1時間の通電(充電)と2時間の休止を繰り返し、通電状態でテストセルの電圧が1.5Vを下回った時点で放電を終了させた。放電容量を炭素重量で除し、負極の充放電容量とした。
【0047】
【表1】
Figure 2004259629
【0048】
上記表1において、比表面積はBET法により測定した値を、He密度は、ヘリウム法により求めた真密度ρHeを、BuOHはブタノール法により求めた真密度ρBuOHを示すものである。
ここでρHeは、Heを用いた気体置換法における真比重として求められ、具体的には、予め分解ガスを除去した炭素質材料の質量Aと、この質量Aの炭素質材料をヘリウムガスが充満する容器内に放置した際に、除去されたヘリウムガスの体積Ahとから、A/Ahにより求めた値である。また、ρBuOHは、n−ブタノール液体浸漬置換法における真比重として求められ、具体的には、予め分解ガスを除去した炭素質材料の質量Aと、この質量Aの炭素質材料を容器内に満たされたn−ブタノール中に浸漬した際に、除去されたn−ブタノールの体積Abとから、A/Abにより求めた値である。なお、上記質量および体積は、同一の温度、圧力下で測定した値を用いるものであるが、本実施例においては、20℃、101.3kPaで測定した値を使用した。
【0049】
表1に示されるように、上記実施例1〜6で得られた炭素質材料1〜6を負極活物質として用いた実施例7〜12の二次電池は、比較例の二次電池と比べて充放電容量および充放電効率に優れていることがわかる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、ESCAによる元素分析で280〜300eVの間に炭素−炭素結合に由来するピークのみが存在する負極用炭素質材料であるから、リチウムイオンをドープし得る部位に不純物が存在せず、該炭素質材料を用いた非水電解質二次電池の充放電容量および充放電効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた負極用炭素質材料のESCAスペクトルを示す図である。
【図2】実施例2で得られた負極用炭素質材料のESCAスペクトルを示す図である。
【図3】実施例3で得られた負極用炭素質材料のESCAスペクトルを示す図である。
【図4】実施例4で得られた負極用炭素質材料のESCAスペクトルを示す図である。
【図5】実施例5で得られた負極用炭素質材料のESCAスペクトルを示す図である。
【図6】実施例6で得られた負極用炭素質材料のESCAスペクトルを示す図である。
【図7】比較例1で得られた負極用炭素質材料のESCAスペクトルを示す図である。
【図8】比較例2で得られた負極用炭素質材料のESCAスペクトルを示す図である。
【図9】比較例3で得られた負極用炭素質材料のESCAスペクトルを示す図である。

Claims (5)

  1. ESCAによる元素分析で280〜300eVの間に炭素−炭素結合に由来するピークのみが存在することを特徴とする負極用炭素質材料。
  2. 比表面積が5〜50m/gであり、かつ、ヘリウム法により求める真密度をρHe(g/cm)とし、ブタノール法により求める真密度をρBuOH(g/cm)とした場合に、ρHe−ρBuOH=0.4g/cm以上であることを特徴とする請求項1記載の負極用炭素質材料。
  3. 炭素質材料用原料を高周波加熱炉に投入し、1000〜1500℃で焼成することを特徴とする負極用炭素質材料の製造方法。
  4. 正極および負極と、これら正負極間に介在されるセパレータと、電解質とを備えて構成される非水電解質二次電池であって、
    前記負極が、請求項1または2記載の負極用炭素質材料を含んで構成されることを特徴とする非水電解質二次電池。
  5. 正極および負極と、これら正負極間に介在されるセパレータと、電解質とを備えて構成される非水電解質二次電池であって、
    前記負極が、請求項3記載の製造方法により得られた負極用炭素質材料を含んで構成されることを特徴とする非水電解質二次電池。
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WO2013035859A1 (ja) * 2011-09-09 2013-03-14 住友ベークライト株式会社 リチウムイオン二次電池用炭素材、リチウムイオン二次電池用負極材およびリチウムイオン二次電池

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