本発明は、平版印刷に於ける給湿液組成物に関し、更には感光性ハロゲン化銀を利用した平版印刷版と上記給湿液組成物を用いた平版印刷方法に関し、更に、大豆油インキを用いた平版印刷方法に関し、更に、平版印刷用インキ添加物に関するものである。
平版印刷は、水と油が本質的に混じり合わない性質を巧みに利用した印刷方式であり、平版印刷版は、親油性のインキを受理する画線部分と親水性で水を受理する非画線部分とから構成される。通常の平版印刷は給湿液とインキの両方を版面に供給し、画線部分は着色性のインキを、非画線部分は給湿液を選択的に受け入れ、画線部分に着肉したインキを例えば紙などに転写させることによってなされる。このような平版印刷において、従来より、平版印刷版として使用されているものには、アルミニウム等の金属を支持体としたプレセンシタイズド版(PS版)、電子写真法(例えばエレクトロファックス)で得られる版材、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなプラスチック樹脂フィルムあるいはポリエチレン樹脂被覆紙からなる支持体を有した感光性ハロゲン化銀を利用した銀塩印刷版等がある。
近年、コンピュータートゥプレート(以下CTP)の発達により新しいタイプの平版印刷版がでてきた。アルミニウムを支持体として熱架橋反応層からなるサーマル印刷版、アルミニウムを支持体としてフォトポリマー層、酸素遮断層からなるフォトポリマー印刷版、また、感光性ハロゲン化銀を利用した銀塩印刷版にもアルミニウムを支持体とした印刷版が発売されている。
これらアルミニウム板を支持体とする平版印刷版においては、アルミニウム表面の親水性を向上させるために、通常その表面を粗面化し、さらに陽極酸化処理を行う。この粗面化され陽極酸化されたアルミニウム表面は高い親水性を示す反面、化学的に不安定で、特に高温高湿下ではその親水性を容易に失い、非画像部のインキ汚れの原因となる。一方印刷現場では、印刷品質の確認、紙の積み替え、紙詰まり、あるいは作業者の休憩等で印刷を中断する事が日常の作業として行われている。このような場合、印刷機に掛けられたままの印刷版は高温高湿下に置かれるため、アルミニウム表面が腐食されてインキ汚れが発生するという問題、及びアルミニウム表面が長時間、空気にさらされると、酸化汚れと呼ばれる斑点状のインキ汚れを発生するという、アルミニウムを支持体とする平版印刷版の特有の問題があった。この酸化汚れの問題は、感光性ハロゲン化銀を利用した銀塩印刷版において特に顕著であった。
このように、非画像部が空気にさらされるのを防止するためと、印刷版の非画線部分への濡れ性を向上させるために、給湿液に、皮膜形成する高分子化合物、例えば、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉誘導体、ポリアクリル酸及びその共重合体、ポリアクリルアミド及びその共重合体、アクリル酸と酢酸ビニルを共重合させケン化した化合物等を添加している(特許文献1〜4)。
しかし、近年では印刷の高速化が進み、前記した化合物では、非画線部分が均一に濡れにくくなり、給湿液の性能としては不十分であった。これらの欠点を改良するために、イソプロピルアルコール(IPA)を給湿液中へ約10〜25%添加して用いられていた。IPAは給湿液の表面張力をさげるので非画線部分への濡れ性がよくなり、給湿液の量が少なくてすむので、インキの乳化が少なくなり、インキと給湿液の供給量のバランスの調整が簡単である等作業面での利点が多くあり広く用いられていた。
近年、産業公害や環境問題に対する関心が高まり、IPAのような有機溶剤の使用が安全衛生面から規制される傾向にある。この為、IPAに代えて種々の界面活性剤を用いることが、例えば、特公昭55−25075号公報、同55−19757号公報に提案されている。しかしながら、これらの給湿液は、表面張力は低下させるが、IPAを用いた給湿液に比べると、インキと水の供給量のバランスが取りにくく、非画線部分への濡れ性が十分ではなかった。
一方、IPAに替わる化合物として、特開平4−363297号、特開平4−220398号、特開平2−310092号、特公平7−85947号公報には、表面張力を下げるための様々な有機溶剤、例えばアルコール類(エチルアルコール、ブチルアルコール等)、グリコールエーテル類(エチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等)、ポリオール類(グリセリン等)が開示されている(特許文献5)。更に、特開昭57−199693号には、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールと完全水溶性のプロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール等の少なくとも1種を含有する給湿液が開示されている。更には、特開平5−221179号、特開平8−132753号には、安全衛生上および消防安全上問題がなく、アルミニウム版を粗面化し陽極酸化した支持体を用いた印刷版の印刷性を向上させるとして3価以上の多価アルコールにプロピレンオキサイド付加体、あるいは、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイド付加体の化合物を含有する給湿液組成物が開示されている。これらの給湿液組成物はIPAを含有しないため、安全衛生面では有利になるが、高速印刷時において、非画線部分の濡れ性が十分ではなく、その結果、地汚れや網がらみ(網点がつぶれる)が発生するという問題が生じる。
上記した問題、特に地汚れについては、どのような平版印刷版を使用した場合にも発生するが、特に、感光性ハロゲン化銀を利用した平版印刷版を使用した場合に大きな問題になる。このような問題を改良するために、給湿液組成物に、平均粒径0.1μm以下の無機微粒子を含有させることが、特公昭51−29441号公報に記載されている。
一方、近年では作業環境や地球環境の面から、従来使用していた石油系の溶剤の代わりに、芳香族成分を含まないアロマフリー溶剤を用いたアロマフリーの平版印刷インキ(AFインキ)が開発され上市されている。アメリカでは、1970年代に起きたオイルショック時にアメリカ新聞協会(NAA)が石油系溶剤の代わりに植物油に注目して新聞用インキ溶剤として大豆油が使用され始めた。その後1980年代後半から1990年代前半にアメリカ政府や、アメリカ大豆協会(ASA)が、環境保護(大気汚染防止)や農業振興のために、積極的に大豆油(植物油)インキの使用を進めてきた。
日本国内においても大量消費、大量廃棄の社会から循環型社会への取り組み等環境問題に対する意識が高くなり、大豆油インキの使用が促進されてきた。枚葉インキ、オフ輪ヒートセットインキ、フォームインキ、新聞インキ等で大豆油インキが開発され上市されている。特開平11−293169号には、アロマフリー溶剤として大豆油を使用した印刷インキが開示されている。更に、特開2000−143785号、同2000−159868号にも大豆油を使用した印刷インキが開示されている(特許文献6)。
しかし、大豆油インキも様々な問題点を抱えている。枚葉インキにおいては、乾燥遅延が大きな問題となっている。従来のオフセット枚葉及びオフ輪インキには乾性油(植物油)としてアマニ油や桐油が一般的に使用されている。インキは紙等に印刷されると乾燥して「皮膜」を形成しなければならず、インキ中の樹脂や乾性油が空気中の酸素と反応(酸化重合)して硬化する。同じ植物油でもアマニ油や桐油に比べ大豆油は、「半乾性油」と言われ、構成する脂肪酸の飽和度が高く(ヨウ素化が低く)なっている。そのため大豆油をインキに使用した場合に酸化重合性が劣り乾燥性が悪くなる。又、カラー印刷に用いる色インキは、比較的親水性の顔料を用いているものが多く、この顔料は乳化を促進させ、乾燥性をより遅くする。乾燥性が遅くなると、インキの紙上でのセット性が悪くなる。枚葉印刷機では、印刷された紙は次々に積み重なっていくので、紙上でのセット性が悪いとインキが次の紙の裏面に写る、いわゆる裏写りを生じるという問題が発生する。これは、アート紙やコート紙を使用した場合に顕著にあらわれ重大な問題となる。
このような乳化しやすい大豆油インキを用いた印刷に於いて、IPAの替わりに、界面活性剤や有機溶剤を用いた給湿液で印刷すると、インキと給湿液の供給のバランスが取りにくいため、より乳化を促進させることになり、その結果、乾燥性がさらに遅くなるという問題、及び、画線部分へのインキの着肉性が悪くなり印刷物の濃度が低下するという問題が生じた。
また、大豆油インキを用いた平版印刷において、印刷条件の変化(例えば、印刷版や給湿液の種類、あるいは、給水機構の種類の変化)によって様々な問題が増加した。例えば保水性がPS版に比べて低い銀塩印刷版(感光性ハロゲン化銀を利用した平版印刷版)を連続給水タイプの給水機構を持つ印刷機で印刷すると、従来のインキでも地汚れが生じやすかったが、大豆油インキでは、地汚れの度合いが増加する傾向にあった。従って、大豆油インキを用いた平版印刷において、印刷版や給湿液あるいは給水機構等の印刷条件に左右されずに、適正な印刷ができる給湿液組成物や印刷方法が望まれている。
一方、前記したように、給湿液を使用する平版印刷版としては、ジアゾニウム化合物を用いたプレセンシタイズド版(PS版)、酸化亜鉛や有機光導電体を用いた電子写真方式による平版印刷版、ハロゲン化銀乳剤を感光成分として用いた銀塩写真方式による平版印刷版などが知られており、そのような平版印刷版での印刷に使用されるインキにも大豆油インキとは別に、従来から使用されているインキにも多種多様なものが知られている。
しかし、これまでの印刷インキは、ある特定の印刷版であるとか、給湿液であるとかの場合には、良好な印刷物を得ることができても、それらの種類や印刷条件が変化することによって種種の欠点を生じ、場合によっては全く使用することができないこともある。
このような印刷インキに要求される性質としては画線部には十分量のインキが付着し、非画像部には全くインキが付着しないことが重要であることは言うまでもないことであるが、更に流動性、界面適性、乾燥性などを考慮する必要がある。特に平版印刷においては、油性インキと水とが何千枚〜何万枚の印刷の間、1枚毎に繰り返して版面へ供給されるので、油性インキと水との間の界面張力、表面張力が適切なバランスを持っていないと、次第に画線部が拡大したり、逆に消失したり、インキの乳化を起こしたり、地汚れを生じたりするために、優れた界面適性の油性インキを必要とする。
特開昭61−138677号には、アルキレンオキシド単位を有し、HLB値3〜13の化合物からなる平版印刷用インキ添加剤が記載されている。確かに、この特許に示された化合物は、インキに対して良好な界面適性を与え、地汚れを改善することが出来るが、平版印刷材料、インキ、給湿液、印刷機、給水機構などの種類によっては未だ十分とは言えなかった。(例えば特許文献7参照)
例えば保水性がPS版に比べて低い銀塩印刷版を連続給水タイプの給水機構を持つ印刷機で印刷すると地汚れが生じ、前記特許に記載の化合物をインキに添加することにより地汚れを軽減することはできるがその効果は充分ではない。
また一方、そのような銀塩平版印刷版の現像処理に引き続く各種版面処理液にコロイダルシリカの如き平均粒径0.1μm以下の微粒子を用いることは良く知られている。例えば、特開昭48−45305の給湿液、特開昭54−83502の中和液、特願昭55−104176の中和液、不感脂化液、給湿液、特公昭45−29001の定着剤(液)、給湿液などの版面処理液、特開昭59−31193の給湿液、特開平7−56349の版面処理液である。
しかしながら、一般にコロイダルシリカやコロイダルアルミナの様な無機の微粒子は、平版印刷版の表面に吸着し印刷版表面に親水性の層を作り、親水性を向上させると考えられているが、平版印刷版において最も望まれている印刷インキによる汚れ防止という目的を十分に達成するには至っていないだけではなく、画像部のインキ乗りを阻害してしまうという重大な欠点を有している。従って、本来的にはこのような無機微粒子を使用しなくても地汚れを生じることがない技術の開発が求められている。
特開2002−192853号公報(第4頁)
特開平11−20331号公報(第11頁)
特開平10−86548号公報(第3頁)
特開昭61−273996号公報(第1頁)
特開平4−363297号公報(第4〜5頁)
特開平11−293169号公報(第4項)
特開昭61−138677号
本発明の目的は、アルミニウム板を支持体とする平版印刷版の特有の問題である酸化汚れを防止することのできる給湿液組成物を提供することである。本発明の他の目的は、作業環境上安全で、かつ、どのような印刷条件でも地汚れや網がらみがなく、又、長時間印刷しても印刷物の濃度を低下させることなく良好な印刷物を得ることができる平版印刷用給湿液組成物を提供することである。本発明の他の目的は、感光性ハロゲン化銀を利用した平版印刷板を用いた印刷に好適な給湿液組成物及び印刷方法を提供することにある。本発明の他の目的は、大豆油を含有したインキを用いた印刷において、乳化を過度に促進させないで、印刷物の濃度を低下させることない印刷方法を提供することである。更には、本発明の目的は、インキの界面適性を飛躍的に改良し、画像部のインキ乗りを損なわずに非画像部の地汚れを防止できる平版印刷用インキを得るための添加物を提供することである。本発明の別の目的は、地汚れを生じ易い連続給水機構のついた印刷機に於て、極めて効果的に地汚れを防止できるインキ添加物を提供することである。
本発明の上記の目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
(1)少なくともアクリル酸とマレイン酸の共重合体もしくはポリ−α−ヒドロキシアクリル酸を含有することを特徴とする平版印刷版用給湿液組成物。
(2)前記平版印刷版用給湿液組成物と感光性ハロゲン化銀を利用した平版印刷版とを用いることを特徴とする平版印刷方法。
(3)前記平版印刷版用給湿液組成物と大豆油を含有したインキとを用いることを特徴とする平版印刷方法。
(4)少なくともアクリル酸とマレイン酸の共重合体もしくはポリ−α−ヒドロキシアクリル酸を含有する平版印刷用インキ添加物。
本発明によれば、アルミニウム支持体を用いた平版印刷版を用いて印刷しても酸化汚れの発生のない平版印刷用給湿液組成物を提供することができる。更には、作業環境上安全でかつ、印刷条件が変化してもインキの乳化を促進させず良好な印刷物が得られる平版印刷用給湿液組成物を提供することができる。更には、感光性ハロゲン化銀を利用した平版印刷版を用いて印刷しても乳化を促進させず地汚れを極めて良好に防止でき、インキ濃度の高い良好な印刷物を得る印刷方法を提供できる。更には、大豆油を含有したインキを用いて印刷を実施しても乳化を促進させず地汚れを極めて良好に防止でき、インキ濃度の高い良好な印刷物を得る印刷方法を提供できる。更には、地汚れの生じやすいインキ、版材及び給水機構においても地汚れを極めて良好に防止でき、インキ濃度の高い良好な印刷物を得ることができる。また、版面処理液にコロイダルシリカのような無機微粒子を必ずしも必要としないため、より高いインキ濃度の印刷物を得ることもできる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられるアクリル酸とマレイン酸の共重合体は、アクリル酸とマレイン酸を共重合して得られ、該共重合体中のカルボキシル基は、アルカリ金属等の塩であっても良い。アクリル酸とマレイン酸の共重合体の好ましい重合比率は、モル比で、アクリル酸:マレイン酸=50:50〜90:10で、より好ましくは、70:30〜90:10である。
アクリル酸とマレイン酸の共重合体の好ましい質量平均分子量は、500〜100000程度で、より好ましくは3000〜100000程度で、更に好ましくは5000〜70000である。
アクリル酸とマレイン酸の共重合体には、必要に応じて第3の重合成分として、前記2成分と共重合可能なエチレン性不飽和化合物を共重合することが出来る。共重合可能なエチレン性不飽和化合物としては、スチレン、ビニルトルエン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、オクチルメタアクリレート、酢酸ビニル等がある。
通常、給湿液は濃縮液として供給され、使用するときに約30〜約200倍に希釈される。この希釈倍率は、一般的に給湿液供給者によって予め設定されている。本発明では、この希釈された液を使用液という。以下、各成分の添加量は、使用液中の濃度である。上記したアクリル酸とマレイン酸の共重合体の含有量は給湿液組成物(使用液)中に0.005〜3質量%、好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%である。アクリル酸とマレイン酸の共重合体は、例えば、(株)日本触媒によってアクアリックTL37、同TL213、同TL300なる商品名で販売されている。
本発明に用いられるポリ−α−ヒドロキシアクリル酸は、アクリル酸にヒドロキシ基を導入して重合することにより得られ、該化合物中のカルボキシル基は、アルカリ金属等の塩であっても良い。ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸の好ましい質量平均分子量は、5000〜200000程度で、より好ましくは10000〜100000である。
ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸には、必要に応じて共重合可能なエチレン性不飽和化合物を共重合することが出来る。共重合可能なエチレン性不飽和化合物としては、スチレン、ビニルトルエン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、オクチルメタアクリレート、酢酸ビニル等がある。ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸と他の重合成分の好ましい重合比率は、モル比でポリ−α−ヒドロキシアクリル酸:他の成分=70:30〜100:0である。
ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸は、例えば、ナトリウム塩の形で(株)日本パーオキサイドによって、ペールブラック1200、同5000なる商品名で販売されている。
本発明の給湿液組成物には、さらに、アルミニウム板を支持体とする平版印刷版の特有の問題である酸化汚れの発生をより防止するために、硝酸塩化合物を含有することが好ましい。硝酸塩化合物は、硝酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩の形の化合物である。本発明に用いられる硝酸塩化合物の好ましいものは、硝酸コバルト、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ナトリウム等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの化合物は単独でも2種以上併用してもよい。これら硝酸塩化合物の含有量は給湿液組成物(使用液)中に0.01〜3質量%、好ましくは0.05〜1質量%である。
本発明の給湿液組成物には、さらに(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル及びアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物を含有することが好ましい。本発明の(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテルとは、プロピレングリコールアルキルエーテル及びポリプロピレングリコールアルキルエーテルを含むことを意味しており、好ましくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位が1〜5のものであり、より好ましくは1〜3である。アルキル基は炭素数1〜5であり、好ましくは炭素数3、4である。より好ましい化合物は、(ポリ)プロピレングリコールのモノアルキルエーテルである。本発明に用いられる(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテルは化1で表される。
R1、R2は水素原子、アルキル基を表すが、R1、R2のどちらか一方は、アルキル基を表す。好ましくは、R1は炭素数1〜5のアルキル基、より好ましくは炭素数3、4のアルキル基であり、R2は水素原子である。nは好ましくは1〜5の整数であり、より好ましくは1〜3の整数である。
R1で表されるアルキル基としては、n−プロピル基やイソプロピル基のようなプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基やtert−ブチル基のようなブチル基が好ましい。
本発明に用いられる(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテルの好ましいものは、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノtert-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノtert-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノtert-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル等である。これらの化合物は単独でも2種以上併用してもよい。
上記した(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテルの含有量は給湿液組成物(使用液)中に0.015〜3質量%、好ましくは0.015〜2質量%である。
本発明に用いられるアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物は化2で表される。
R1、R2、R3、R4はアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示し、特にR1 、R3はメチル基が好ましい。n+m=Nはエチレンオキサイドの付加モル数を表わす。前記エチレンオキサイドの付加モル数は、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。上限は30程度であり、10以下が好ましい。以下により好ましい一般式を示す。
式中、n+m=Nはエチレンオキサイドの付加モル数を表す。好ましい付加モル数は上記した通りである。
上記化合物の添加量は、給湿液組成物(使用液)中に0.005〜3質量%、好ましくは0.01〜1質量%で、より好ましくは0.05〜1質量%である。アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物は、例えば米国エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社により製造され、日信化学工業(株)によってサーフィノール(Surfynol)、オルフィンなる商品名で販売されている。例えば、サーフィノール440(エチレンオキサイド付加モル数は3.5)、サーフィノール465(同10)、サーフィノール485(同30)等がある。
上記給湿液組成物には、上記した(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテルと組み合わせてプロピレングリコールを用いるのが好ましい。特に、(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテルのアルキル基がプロピル基またはブチル基の場合、給湿液中における溶解性や安定性を助けるためにプロピレングリコールを併用するのが好ましい。プロピレングリコールの添加量は、(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテルの添加量に対して、1〜6質量倍が好ましく、特に2〜6質量倍が好ましい。
さらに、本発明の給湿液組成物には、給湿液の印刷版の非画線部分への濡れ性を向上させるためにエチレンオキサイドを付加した化合物を添加することができる。エチレンオキサイドを付加した化合物は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリエウフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシピロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー類が挙げられる。これらの化合物は単独でも2種以上併用してもよい。これらの化合物の添加量は、給湿液組成物(使用液)中に0.005〜3質量%、好ましくは0.01〜1質量%で、より好ましくは0.05〜1質量%である。
さらに、本発明の給湿液組成物には、感光性ハロゲン化銀を利用した平版印刷版の印刷性を向上させるためにエチレングリコールアルキルエーテル類を添加することができる。エチレングリコールアルキルエーテル類は、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル等である。これらの化合物は単独でも2種以上併用してもよい。これらの化合物の添加量は、給湿液組成物(使用液)中に0.01〜3質量%、好ましくは0.05〜2質量%で、より好ましくは0.05〜1質量%である。
本発明の給湿液組成物には、前記の化合物の他にpH緩衝剤、水溶性高分子、界面活性剤、可溶化剤、防腐剤、防錆剤、キレート化合物、泡消剤、着色剤、腐食防止剤等の成分を必要に応じて添加することができる。pH緩衝剤としてはクエン酸、酢酸、酒石酸、硝酸、リン酸等とこれらの金属塩等であり、水溶性高分子としては、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アルギン酸ナトリウム等、界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、両性界面活性剤、フッ素系活性剤等、可溶化剤としては、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン等、防腐剤としては、ホルマリン、ベンズトリアゾール誘導体、4−イソチアゾリン−3−オン化合物等である。
防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、チオサリチル酸等、キレート化剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸とそのカリウム塩、ナトリウム塩等、泡消剤としては、シリコン系泡消剤等である。
本発明の給湿液組成物は、感光性ハロゲン化銀を利用した平版印刷版で印刷する方法に好適である。上記平版印刷版の代表的なものとして、銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版が挙げられる。この平版印刷版は、支持体上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を少なくとも有する平版印刷版であり、2つのタイプがある。その1つのタイプは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなプラスチック樹脂フィルムあるいはポリエチレン樹脂被覆紙からなる支持体上に、ハレーション防止層を兼ねた下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層及び物理現像核層をこの順に有する平版印刷版である。例えば、米国特許第3,728,114号、同第4,134,769号、同第4,160,670号、同第4,336,321号、同第4,501,811号、同第4,510,228号、同第4,621,041号、特公昭62−296143号、特公昭63−226658号、同63−249852号、特公平1−261643号、特開平5−100430号公報等に記載されている。上記平版印刷版としては、三菱製紙(株)社製のシルバーディジプレートSDPシリーズや、アグファゲバルト社製のセットプリントプラス等が市販されている。ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなプラスチック樹脂フィルムあるいはポリエチレン樹脂被覆紙を支持体とする印刷版は、アルミニウムを支持体とする印刷版に比べ、印刷性が劣る傾向にある。従って、本発明の目的の一つは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなプラスチック樹脂フィルムあるいはポリエチレン樹脂被覆紙を支持体とする印刷版と本発明の給湿液組成物を用いた印刷方法を提供する。
もう1つのタイプは、粗面化され陽極酸化されたアルミニウム支持体上に物理現像核層を有し、その上にハロゲン化銀乳剤層を少なくとも有する平版印刷版である。例えば、米国特許第4,567,131号、同第5,427,889号、同第6,174,643号、同第6,187,503号、特開平5−265216号、特開平5−313206号、特開平7−56345号、同7−56347号、特開平9−6005号、特開2000−275855公報等に記載されている。上記平版印刷版としては、三菱製紙(株)社製のシルバーディジプレートSDP−αシリーズや、アグファゲバルト社製のリソスター等が市販されている。
本発明の給湿液組成物は、大豆油分を含有したインキに対して、特に良好な印刷性能を有する。前記したように、大豆油分を含有したインキは作業環境や地球環境の面から石油系溶剤やアマニ油を含有するインキに代わって用いられるようになった。しかしながら、大豆油のもつ特性のために、印刷物のインキの乾燥性が悪くなったり、インキと給湿液の供給のバランスが取りにくく過乳化が起こりやすかった。従って、本発明の目的の一つは、大豆油分を含有するインキと本発明の給湿液組成物を用いた印刷方法を提供する。
このような大豆油分を含有したインキを本発明の給湿液組成物を用いて印刷するとインキの乳化が過度に促進されず、その結果、画線部分へのインキの着肉性が低下しないので、良好な印刷物を得ることができる。
次に本発明の大豆油分を含有したインキ(以下、大豆油インキと言う)を用いた印刷方法について記載する。該印刷方法は、大豆油インキと、本発明の給湿液組成物を用いる。
本発明に係わる大豆油インキは、通常、有機・無機顔料、バインダー樹脂、大豆油、高沸点石油系溶剤を混合したものであり、その他に補助剤として可塑剤、安定剤、乾燥剤、増粘剤、分散剤、充填剤などを含んでいても良い。
本発明に係わる大豆油インキに使用する大豆油の添加量は、インキの種類によって異なるが、枚葉インキ、フォームインキで20質量%以上、オフ輪ヒートセットインキで7質量%以上、新聞インキでは、墨インキ40質量%以上、色インキで30質量%以上を含有していることである。この含有量は、前記ASAが規定する大豆油含有インキであり、ソイロゴシールを貼ることが出来き、これらを総称して大豆油インキと呼ぶ。
有機・無機顔料としては、ジスアゾイエロー、ブリリアントカーミン6B、フタロシアニンブルー、レーキレッドC、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等を使用することが出来る。
バインダー樹脂としては、ロジン、コーパル、ダンマル、セラック、硬化ロジン、ロジンエステル等の天然または加工樹脂、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、100%フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、アルキド樹脂、石油樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノブラスト樹脂などが好ましい。
高沸点石油系溶剤としては、市販されている石油系炭化水素溶剤でノルマルパラフィンまたはイソパラフィン単独組成物、パラフィン及びナフテンの化合物、パラフィン及びナフテン及びアロマの化合物等が挙げられる。市販品としては、例えば、日本石油化学社製の「アイソランS」「アイソランR」「5号ソルベント」「6号ソルベント」「7号ソルベント」「AFソルベント5」「AFソルベント6」「AFソルベント7」等が挙げられる。
これらの成分については、平版印刷インキにおいて、大豆油7〜40質量%、バインダー樹脂5〜30質量%、有機・無機顔料5〜30質量%、高沸点石油系溶剤1〜60質量%の範囲で混合される。本発明に係わる大豆油インキは、各インキメーカーより販売されており容易に入手することができる。
本発明に係わる大豆油分を含有した平版印刷インキは、給湿液を使用してオフセット印刷する平版印刷版であればそれら種類に関係なく適用することができる。
本発明のインキ添加物は、市販の平版印刷用インキに添加することができ、またインキ製造時にそのインキのビヒクルに添加することもできる。更に、顔料及びビヒクルのインキ主剤を少なくとも含む平版印刷用インキ(通常は市販されているもの)に添加する場合、そのインキのビヒクルに混和性のある樹脂(ビヒクル)と本発明の化合物の組成物として添加することもできる。
ビヒクルとしては、通常の平版印刷用ビヒクル、例えば乾性油、合成乾性油、ロジン、コーパル、ダンマル、セラック、硬化ロジン、ロジンエステル、大豆油などの天然または加工樹脂、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、100%フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、アルキド樹脂、石油樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノブラスト樹脂などが好ましい。
本発明の化合物とビヒクルの比は任意の範囲でよいが、一般には1:0.5〜1:5(質量比)の範囲程度が好ましい。
本発明の化合物の平版印刷用インキに対する添加量は、インキの種類、版材の種類などにより異なるが、約1〜約10質量%の範囲を目安にすることができる。
本発明のインキ添加物は、その他平版印刷用インキに用いられる各種添加剤、例えば可塑剤、安定剤、乾燥剤、増粘剤、分散剤、充填剤などを含んでいても良い。
本発明のインキ添加物は、給湿液を使用してオフセット印刷する平版印刷版及び平版印刷用インキであれば、それら種類に関係なく適用することができる。また、給湿液の種類も広範囲なものを使用することができ、通常の水だけではなく、一般に不感脂化促進剤、緩衝剤、保存剤、湿潤剤のような従来から知られている物質を混和して処理活性を改変することができる。
例えば、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム
、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリメチルエーテルと無水マレイン酸共重合物、カルボキシメチルスターチ、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸オキシダイドセルロース、メチルセルロース、硫酸塩(硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウムなど)、リン酸、硝酸、亜硝酸、タンニン酸及びこれらの塩、ヒドロキシ基を2個以上有するポリオール化合物(ポリエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコールなど)、有機の弱酸(クエン酸、コハク酸、アジピン酸、酒石酸、アスコルビン酸、プロピオン酸など)、ポリアクリル酸、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アミノポリカルボン酸(エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩など)、無機のコロイド(コロイダルシリカなど)、界面活性剤(エチレンオキサイドを有するノニオン性界面活性剤など)、消泡剤などの1種または2種以上を加えることができる。
この他にもメタノール、イソプロピルアルコールなどの水混和性有機溶剤や液の識別性、外観を特に考えてフタロシアニン系染料、マラカイトグリーン、ウルトラマリンなどの着色剤を微量加えることもできる。
以下に本発明を実施例により説明するが、勿論これだけに限定されるものではない。
表1に示す組成の給湿液組成物を作製した。表中の単位はグラムである。印刷に際し、これらの給湿液組成物を水で50倍に希釈して用いた。
化合物B:アクリル酸マレイン酸共重合体ナトリウム塩(質量平均分子量10000)
化合物C:アクリル酸マレイン酸共重合体ナトリウム塩(質量平均分子量60000)
<試験方法>
平版印刷版として、粗面化され陽極酸化されたアルミニウム支持体上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に有する平版印刷版(三菱製紙(株)社製のシルバーデジプレートSDP−αRII)を用いた。この平版印刷版に三菱製紙(株)社製のイメージセッター(SDP−α2400;赤色レーザーダイオードを搭載)でデジタル画像を走査露光し、現像処理して印刷版を作製した。現像処理に用いたプロセッサーはSDP−αEcoRF、現像液はSDP−αEDV、水洗液はSDP−αST、仕上げ液はSDP−αGUMである。これらはいずれも三菱製紙(株)社の製品である。
印刷機;RYOBI560(RYOBI社製印刷機、ダールグレン連続給水装置付)、インキ;ハイエコー金赤M(東洋インキ社製)、及び上記表1給湿液を用いて印刷した。
印刷方法
500枚印刷→30分放置→再印刷、を1サイクルとしてそれを3サイクル実施したときに、酸化汚れと呼ばれるスポット状のインキ汚れが発生するかどうかを観察した。結果を表2に示す。
上記結果より本発明の給湿液組成物は、酸化汚れの発生を防止できることが分かる、さらに硝酸塩化合物を含有することによって、より良好に酸化汚れの発生を防止できることが分かる。
表3に示す組成の給湿液組成物を作製した。表中の単位はグラムである。印刷に際し、これらの給湿液組成物を水で50倍に希釈して用いた。
<試験方法>
平版印刷版として、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム支持体上に下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、及び物理現像核層をこの順に有する銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版(三菱製紙(株)社製のシルバーディジプレートSDP−FR175)を用いた。この平版印刷版を露光後、自動製版機(SDPEco1630)、現像液(SLM−EAC)、安定液(SLM−EST)を用いて製版した(いずれも三菱製紙(株)社製)。
印刷機;RYOBI560(RYOBI社製印刷機、ダールグレン連続給水装置付)、インキ;スパーテックプラス紅Mタイプ(T&K TOKA社製)、及び上記給湿液と比較給湿液として実施例1の比較例1〜3を用いて印刷した。
印刷性の評価;乳化が適正に保たれずに、印刷物の画像濃度が低下したときの印刷枚数で評価し、下記のグレードで表した。評価結果を表4に示す。
SS;20000枚以上
S;15000枚〜20000枚未満
A;10000枚〜15000枚未満
B;5000枚〜10000枚未満
C;2000枚〜5000枚未満
D;2000枚未満
上記結果より、本発明の給湿液に、さらに(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテルとアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物を含有させた給湿液は、比較例に比べて、インキの乳化が適正に保持されており、良好な印刷物が多く得られる。
実施例2で用いた給湿液組成物を使用して以下の試験を実施した。
<試験方法>
平版印刷版を実施例1のものに代えた以外は実施例2と同様にして印刷を実施した。
印刷性の評価;印刷機のブランケットがインキで汚れてきて良好な印刷物が得られなくなるまでの印刷枚数で評価し、下記のグレード表した。評価結果を表5に結果を示す。
SS;20000枚以上
S;15000枚〜20000枚未満
A;10000枚〜15000枚未満
B;5000枚〜10000枚未満
C;2000枚〜5000枚未満
D;2000枚未満
上記結果より、平版印刷版を代えても、本発明の給湿液は、比較例に比べて、良好な印刷物が多く得られる。
実施例1、2で用いた給湿液組成物を使用して以下の試験を実施した。
<試験方法>
実施例2のインキを、大豆油インキ(大日本インキ(株)社製のニューチャンピオンナチュラリス紅Mタイプ)に代える以外は実施例2と同様に行った。その結果を表6に示す。
上記結果より、本発明の給湿液組成物は、大豆油インキを用いて印刷を実施した場合、特にインキの乳化を過度に促進させることなく、画線部分へのインキの着肉性を落とさずに良好な印刷物が多数枚得られることがわかる。
平版印刷版として、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム支持体上に下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、及び物理現像核層をこの順に有する銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版(三菱製紙(株)社製のシルバーディジプレートSDP−FR175)を用いた。この平版印刷版を露光後、自動製版機(SDPEco1630)、現像液(SLM−EAC)、安定液(SLM−EST)を用いて製版した(いずれも三菱製紙(株)社製)。
以上の操作により作成した印刷版をオフセット印刷機にセットし、印刷機に連続給水型給水装置を持つオフセット印刷機、インキは大日本インキ社製ニューチャンピオン68紫Sタイプ、給湿液に下記に示すような給湿液を使用し、水道水でエッチングを行い、印刷を行った(ブランク)。
<給湿液>
クエン酸 5g
クエン酸3ナトリウム 5g
プロピレングリコール 50g
水を加えて20lとする。pH5.0に調整した。
使用時、イソプロピルアルコールを5容量%添加し使用液とした。
試験は、ニューチャンピオン68紫Sタイプインキに下記の本発明の化合物と比較の化合物を添加した。それぞれ約3質量%を混練して印刷した。印刷性の評価は、印刷機のブランケットがインキで汚れてきて良好な印刷物が得られなくなるまでの印刷枚数での評価(汚れ性)と印刷スタート時に十分なインキ濃度になるまでの枚数(インキ乗り)で評価した。汚れ性は下記のグレードで表した。評価結果を表7に示す。
SS;20000枚以上
S;15000枚〜20000枚未満
A;10000枚〜15000枚未満
B;5000枚〜10000枚未満
C;2000枚〜5000枚未満
D;2000枚未満
本発明11:アクリル酸−マレイン酸共重合体ナトリウム塩(質量平均分子量10000)
本発明12:アクリル酸−マレイン酸共重合体ナトリウム塩(質量平均分子量70000)
本発明13:ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸ソーダ(質量平均分子量50000)
比較4:ポリアクリルアミド(質量平均分子量7000)
比較5:ポリアクリル酸(質量平均分子量10000)
ブランクのインキで印刷した結果、全面に濃い地汚れを生じた。本発明のインキ添加物を加えたインキは、全く地汚れを生じず、高いインキ濃度の良好な印刷物が得られ、その効果は極めて顕著であった。比較化合物2種は、いずれも、ブランクに対して地汚れ防止効果は認められるものの、本発明のインキ添加物に比べると全く不満足なものであった。
平版印刷用インキとして、東洋インキ製のトーヨーキングハイユニティー5金赤Mタイプを使用し、実施例5と同様に印刷を行った。実施例5と全く同様の結果であった。
平版印刷用インキとして、サカタインクス製のダイアトーンエコピュアSOY墨Mタイプを使用し、実施例5と同様に印刷を行った。実施例5と全く同様の結果であった。
本発明の化合物及び比較化合物を同量のロジン変性アルキルフェノール樹脂と混練したものをインキ添加物として使用し、実施例5と同様に印刷を行った。実施例5と全く同様の結果であった。
印刷版を市販のPS版に変えて実施例5と同様に印刷を行った。ブランクのインキ、比較化合物を加えたインキでは薄い地汚れが生じたが、本発明のインキ添加物を加えたインキでは全く地汚れを生じず、インキ濃度の高い良好な印刷物であった。インキ乗りも問題なかった。