JP2004263086A - プリプレグおよびその製造方法 - Google Patents

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忠義 斎藤
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Abstract

【課題】本発明は、揮発分の含有量の少ないフェノール樹脂組成物をマトリックス樹脂とする難燃性を有するプリプレグを提供する。
【解決手段】強化繊維からなる補強材に、以下の(1)、(2)および(3)の要件をすべて満足するフェノール樹脂組成物を含浸してあるプリプレグであって、プリプレグとして25℃で2週間保管した後でも、プリプレグから搾り出したフェノール樹脂組成物が以下の(2)および(3)の要件を共に満足するプリプレグ。
(1)揮発分の含有量が10質量%以下
(2)50℃における粘度が5×10Pa・sec以上、1×10Pa・sec以下。
(3)50℃での動的粘弾性測定によって得られるtanδが5以上。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、揮発分の含有量の少ないフェノール樹脂組成物をマトリックス樹脂とする難燃性を有するプリプレグに関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維強化複合材料(以下、FRPと略記する。)は、軽量かつ高強度、高剛性の特徴を生かして、スポーツ・レジャー用途から自動車や航空機等の産業用途まで、幅広く用いられている。
【0003】
特に、産業用途の自動車や鉄道車両、航空機などは、近年ますます軽量化が要求されており、FRPの使用が拡大している。
【0004】
自動車や鉄道車両などに用いられるFRPには、機械的物性のほかに、難燃性が求められる。FRPに難燃性を付与するためには、特許文献1に記載されているように、フェノール樹脂組成物をマトリックス樹脂とするプリプレグを中間材料として使用する方法がある。
【0005】
フェノール樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いるプリプレグの製造方法としては、特許文献1にも記載されているように、一旦フェノール樹脂組成物をアセトンやホルムアルデヒド等の溶剤中に溶解して粘度を下げ、強化繊維に含浸した後、乾燥等によって脱溶剤して含浸してプリプレグを得るラッカー法が主流である。
【0006】
ところで、プリプレグを用いてFRPを成形する際には、プリプレグが適度な粘着性(以下、タックという)を有することが重要である。タックが強すぎるとプリプレグの取扱い性が悪くなり、弱すぎると成形中に型内ですべり所望の形状に成形できなくなる恐れがある。
【0007】
しかしながら、ラッカー法で製造したプリプレグは、製造直後は溶剤を多く含んでいる。よって、その溶剤を脱溶剤するために粘度調整が難しいという問題点がある上、揮発分の量が製造後にも経時的に変化するため、長期間の保存に対する安定性もよくない。
【0008】
ラッカー法に対して、プリプレグの製造方法に特許文献2や特許文献3に記載されているホットメルト法がある。ホットメルト法とは、溶剤を用いる代わりに、マトリックス樹脂を加温して粘度を下げ、離型紙に層状に塗工したものを、補強材に含浸することによりプリプレグを得る方法である。ホットメルト法では溶剤を用いないため、ラッカー法に比べて、マトリックス樹脂の粘度調整が容易である点や、製造現場において揮発成分の排気装置が必要なくなるという利点がある。
【0009】
ところが、マトリックス樹脂としてフェノール樹脂組成物を用いたプリプレグをホットメルト法を用いて製造するには以下の点で問題があった。フェノール樹脂組成物は室温で固体であるものが多く、このようなフェノール樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いる場合、温度を上げると一旦は粘度が下がるためプリプレグを製造することが可能であるが、室温まで冷やすと、再び固形となり、プリプレグとしてのタックや柔軟性(以下、ドレープという)がないものとなってしまう。一方、ラッカー法で製造したプリプレグを、プリプレグとしてタックやドレープが適度になる範囲にまで脱溶剤してから、ホットメルト法でプリプレグに用いる方法もあるが、この方法の場合には適切な脱溶剤のレベルが微妙で調節が難しく、またプリプレグ化後も溶剤の揮発が進み、比較的短時間で硬くなってしまい、プリプレグとしての適度なタックやドレープを維持できなかった。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−220508号公報
【特許文献2】
特開平9−227700号公報
【特許文献3】
特開平11−690号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の課題は、フェノール樹脂組成物をマトリックス樹脂とする難燃性に優れたプリプレグにおいて、取扱い性が良好であり、かつその良好な取扱い性を長期間維持することが可能なプリプレグを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し得る、本発明のプリプレグは、強化繊維からなる補強材に、以下の(1)、(2)および(3)の要件をすべて満足するフェノール樹脂組成物を含浸してなるプリプレグであって、さらに、プリプレグとして25℃で2週間保管した後で、プリプレグ中から搾り出したフェノール樹脂組成物が以下の(2)および(3)の要件を共に満足するプリプレグである。
(1)揮発分の含有量が10質量%以下
(2)50℃における粘度が5×10Pa・sec以上、1×10Pa・sec以下。
(3)50℃での動的粘弾性測定によって得られるtanδが5以上。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のプリプレグに用いるフェノール樹脂組成物は、(1)揮発分の含有量が10質量%以下の要件を満たすものでなければならない。フェノール樹脂組成物中の揮発分の含有量が10質量%を超える場合には、プリプレグのタックが強くなりすぎるため、べたつき、FRPを製造する際に一旦貼りつくとはがれなくなるなど取扱い性が悪くなる。また、保管中や使用中に揮発分の含有量が変化するので安定性が悪くなるため好ましくない。揮発分の含有量がフェノール樹脂組成物に対して5質量%以下の場合はプリプレグの取扱い性およびその安定性が特に良好となるので好ましく、さらに2質量%以下の場合は好ましい。
【0014】
本発明における揮発分の含有量は、下記式<1>によって算出する。まず、プリプレグを50℃に加温し、フェノール樹脂組成物をローラー等で搾り出す。搾り出したフェノール樹脂組成物の質量を測定しWR0とする。次に該フェノール樹脂組成物を80℃の開放系で10時間熱処理した後の質量を測定しWR1とする。そしてこれらの測定値を式<1>に代入して揮発分の含有量P(質量%)を求める。
P(質量%)=[(WR0−WR1)/WR0]×100…<1>
【0015】
また、本発明のプリプレグに用いるフェノール樹脂組成物は、下記(2)および(3)の要件を同時に満足するものであって、さらに、プリプレグとして25℃で2週間保管した後も下記(2)および(3)の要件を同時に満足するものである。
(2)50℃における粘度が5×10Pa・sec以上、1×10Pa・sec以下。
(3)50℃での動的粘弾性測定によって得られるtanδが5以上。
【0016】
プリプレグの取扱い性が良好であるためには、プリプレグに適度なタックが要求される。このタックを調節することが重要であるが、本発明は粘度を制御することで、タックがより好ましいものとなることを見出したのである。
【0017】
すなわち、本発明においては、フェノール樹脂組成物50℃における粘度が、5×10Pa・sec以上、1×10Pa・sec以下である。1×10Pa・sec以上、5×10Pa・sec以下であることが特に好ましい。5×10Pa・secより低い場合には、得られるプリプレグのタックが強くなりすぎるので好ましくない。一方、1×10Pa・secを超える場合には、得られるプリプレグのタックが弱くなりすぎるので好ましくない。
【0018】
粘度の測定は、揮発分の含有量の測定と同様にしてフェノール樹脂組成物をプリプレグから搾り出し、そのフェノール樹脂組成物の粘度を、レオメトリックス社製のRDS−200または同等の性能を有する動的粘弾性測定装置で、25mmφのパラレルプレートを用い、ギャップ0.5mm、1Hzの周波数で40℃より2℃/分昇温で60℃まで測定し、50℃での値を、この樹脂の50℃での粘度とする。50℃調度での測定値が明確でない場合には、50℃を挟む2点の補間により50℃の粘度を求める。
【0019】
本発明のプリプレグに用いられるフェノール樹脂組成物は、上記要件を満たし、かつ、50℃での動的粘弾性測定によって得られるtanδが5以上であることが特に好ましい。
プリプレグは、その取扱い性が良好であるためには、適度なドレープもまた要求される。よってこのドレープを調節することも重要となるが、本発明はドレープを制御するには粘度とtanδを同時に制御することで、ドレープがより好ましいものとなることを見出したのである。
【0020】
すなわち、フェノール樹脂組成物の50℃での動的粘弾性測定によって得られるtanδが5以上であることが必要であり、10以上はより好ましく、90以上は特に好ましい。フェノール樹脂組成物の50℃での動的粘弾性測定によって得られるtanδが5未満である場合には、得られるプリプレグのドレープが悪くなるので好ましくない。tanδの上限は特に限定されないが、10000以下であれば特に良好なドレープを有する。
【0021】
tanδの測定は例えば上記粘度測定時と同様に搾り出したフェノール樹脂組成物について、レオメトリックス社製のRDS−200または同等の性能を有する動的粘弾性測定装置を用いると、25mmφのパラレルプレートを用い、ギャップ0.5mm、1Hzの周波数で50℃の動的弾性率G’および動的損失率G”から算出される、tanδ=G”/G’として測定できる。
【0022】
また本発明のプリプレグに用いるフェノール樹脂組成物は、上記(2)および(3)の要件を共に満足し、さらに、プリプレグとして25℃で2週間保管した後も、プリプレグから搾り出したフェノール樹脂組成物が上記(2)および(3)の要件を共に満足する必要がある。これは、プリプレグを製造後に25℃で2週間保管した後、プリプレグから搾り出したフェノール樹脂組成物について、再度上述の方法で、50℃での粘度とtanδを測定し、上記(1)および(2)を満足していることを確認することができる。
【0023】
本発明のプリプレグに用いるフェノール樹脂組成物の組成は、上記条件を満たすものであれば特に制限はない。例えば、ノボラック型、レゾール型、テルペンフェノールなどが使用できる。更にはフェノール樹脂組成物を主成分として、ポリビニルフォルマールやフェノキシ樹脂等の熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの熱硬化性樹脂、ラジカル重合性不飽和化合物等を配合することも可能である。ただし本発明においては、これらの質量も含めたものをフェノール樹脂組成物として、プリプレグの揮発分の含有量を算出する。上記要件を満たすフェノール樹脂組成物として、一般に入手できるものとしては、昭和高分子(株)製のMRN−313、MRN−314、MRN−315などがある。
【0024】
(強化繊維)
本発明のプリプレグに用いる強化繊維の種類は、特に制限はなく、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、BPO繊維、スチール繊維などが用いられる。なかでも、炭素繊維、ガラス繊維を用いた場合には、軽量、かつ高強度、高弾性のFRPが得られるので特に好ましい。
【0025】
本願発明のプリプレグの強化繊維からなる補強材の形態にも、特に制限はなく、平織、綾織、朱子織、簾織などの織物、強化繊維を一方向に引き揃えた一方向材、あるいは0度、±45度、90度などの角度をもたせて積層し、ステッチングしたステッチングシート等が好適に用いられる。さらに、長さ数mm程度の短繊維やマルチフィラメントなどでも差し支えない。中でも、織物を用いた場合は良好なプリプレグの取扱い性およびドレープが良好となるので好ましい。
【0026】
(プリプレグの形態)
本発明のプリプレグの形態は、特に限定はされないが、織物または一方向材にフェノール樹脂組成物を含浸したもの、短繊維をバインダーでつなぎとめたマットにフェノール樹脂組成物を含浸したもの、または、短繊維からなるシートモールディングコンパウンド、といったシート状とすることが、フェノール樹脂組成物の良好なドレープがプリプレグに発現し、かつ、プリプレグの取扱い性が良好となるので好ましい。
【0027】
さらに、本発明のプリプレグは、補強材全体がフェノール樹脂組成物で含浸されていても良いが、フェノール樹脂組成物の未含浸部分がプリプレグの外側に存在し、かつ、プリプレグ内のすべての未含浸部分が、前記プリプレグ外側の未含浸部分と連続していると特に好ましい。ただし、本発明において「外側」とは、プリプレグの外側に向いた全ての面のことを指す。例えば、強化繊維の形態がシート状である場合は、上下両表面と全ての側部を合わせて「外側」と呼ぶこととし、本発明のプリプレグは、その内少なくとも一部に未含浸部分があればよい。
【0028】
次に、プリプレグ内のすべての未含浸部分が、プリプレグの外側の未含浸部分と連続している場合の具体的な例を、シート状プリプレグの断面図の模式図である図1および図2を用いて説明する。但し、本発明は、当然この図の例のみによって限定されるものではない。
【0029】
例えば、図1aのようにプリプレグの片側表面がすべて未含浸部分であり、他方表面は全てフェノール樹脂組成物で含浸されている場合や、図1bのように、両側表面はフェノール樹脂組成物で含浸されているが、幅方向全体に未含浸部分の層が存在し、この層の端部がシート状プリプレグの側部の未含浸部分となっている場合、さらに、図1cや図1dのように、プリプレグの少なくとも片側(両側でも良い)表面が樹脂組成物の含浸部分と未含浸部分からなるが、未含浸部分は全て表面の未含浸部分と連続している場合、のいずれもすべて本発明のプリプレグに含まれる。なお、図1cのように未含浸部分同士は含浸部分によって分断されていることは差し支えない。また、図の例では、含浸部分と未含浸部分の界面は平滑となっているが、当然平滑でなくても良い。
【0030】
しかし、図2aのようにプリプレグ表面に未含浸部分が存在しない場合や、図2bのように、プリプレグ内部に、表面の未含浸部分と連続していない未含浸部分があるのは後述する理由により好ましくない。
【0031】
プリプレグ中にこのような未含浸部分を有することは、以下の点で好ましい。本発明のプリプレグを用いて、大気圧のみで成形するオーブン成形等比較的低圧で成形する場合、プリプレグ内に空気や水蒸気等(エア)が残ったまま硬化すると、得られるFRPにボイドが発生する恐れがある。しかし、プリプレグ内に外側に連続する未含浸部分が存在することにより、未含浸部分がエアの脱気回路としてはたらく。そのため、成形中に外にエアが抜け、ボイド等のない良好なものとなる。一方、図2aまたは図2bのような場合は、未含浸部分が外への脱気回路とつながっていないので、成形後のFRPにボイドが残る恐れがあるので好ましくない。
【0032】
プリプレグの形状がシート状である場合は、図1cや図1dのように、プリプレグの少なくとも片側表面がフェノール樹脂組成物の含浸部分と未含浸部分からなっており、かつ、プリプレグ内のすべての未含浸部分が、前記プリプレグの表面の未含浸部分と連続していることが特に好ましい。これは、FRPを製造する場合に、プリプレグを積層して用いることがよくあるが、この際、両表面にある程度のタックを有するほうが、他のプリプレグや型に対して固定しやすい。そのため、プリプレグ両表面にある程度のフェノール樹脂が存在し、かつ、十分な脱気回路を確保できるものが特に好ましいためである。
【0033】
(プリプレグの製造方法)
本発明のプリプレグの製造方法としては、ホットメルト方式用いると、粘度調整が容易であるので好適である。すなわち、フェノール樹脂組成物の塗工時の温度や含浸時の温度は、フェノール樹脂組成物の粘度や必要とするプリプレグの形態等から適宜決定できる。
【0034】
また、形態が織物または一方向材である補強材を用いて、シート状のプリプレグを製造する場合に、ホットメルト方式においては、離型紙に塗工したフェノール樹脂組成物を織物または一方向材の片面からのみ供給するシングルフィルム方式と、織物または一方向材の両面から供給するダブルフィルム方式に大別されるが、いずれの方式においても含浸させる際に温度や圧力などを調節して含浸の程度を調節することにより、良好にプリプレグを製造することが可能である。例えば、シングルフィルム方式であれば、図1aや図1cのようなプリプレグを、ダブルフィルム方式であれば、図1bのようなプリプレグを製造することができる。さらに、ダブルフィルム方式において片面の離型紙として凹凸を有するものを用いることで、シート状のプリプレグの片側表面の一部のみにフェノール樹脂組成物が含浸した、図1dのようなプリプレグも製造可能である。
【0035】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0036】
<粘度、tanδの測定>
プリプレグより50℃でフェノール樹脂組成物を搾り出し、下記条件にて測定した。
装置:レオメトリックス社製RDS−200
測定モード:パラレルプレート(25mmφ、ギャップ0.5mm)
周波数:1Hz
温度設定:50℃
測定データ:50℃での粘度およびtanδ
【0037】
(実施例1)
フェノール樹脂組成物として昭和高分子社製フェノール樹脂組成物、MRN−313を、補強材として三菱レイヨン(株)社製炭素繊維織物パイロフィルTR3110(繊維目付け200g/m)用いてプリプレグをホットメルト法により調製した。
本実施例における、ホットメルト法は次のとおりである。まず、フェノール樹脂組成物を60℃で離型紙にフェノール樹脂組成物の樹脂目付けが108g/mとなるように均一に塗工した。これを炭素繊維織物の片側から供給し、30℃、0.1MPa圧のヒュージングプレスで2m/分の速度で含浸させてプリプレグを得た。
得られたプリプレグは、炭素繊維織物の片側表面以外は、フェノール樹脂組成物がほとんど含浸しておらず、フェノール樹脂組成物を供給した側と反対側表面はすべて未含浸部分となっていた。このプリプレグを50℃に加温してフェノール樹脂組成物をローラーで搾り出し、揮発分を測定したところ、1.2%であった。
【0038】
得られたプリプレグの製造直後のタック、ドレープは良好であった。得られたプリプレグを50℃に加温してフェノール樹脂組成物を搾り出し、50℃の粘度、tanδを測定し、表1に示した。また得られたプリプレグを25℃で保管し、2週間後のタック、およびドレープを確認したところ、調製直後と変わらず良好であった。また25℃で2週間放置したプリプレグより同様にして樹脂を搾り出し、50℃での粘度、tanδを測定した。これらの結果をあわせて表1に示した。
【0039】
なお、得られたプリプレグを10プライ同じ方向に積層して、成形条件は80℃×5時間+130℃×2時間、昇温速度は1℃/分でオーブン成形することによりFRP板を成形した。得られたFRP板の厚みは約2mmであり、その表面や層間にはボイドがほとんどなく、良好な成形品であった。得られたFRP板の燃焼試験をUL−94規格の垂直試験法に準拠して実施した。結果はV−0であり難燃性を有していた。
【0040】
(比較例1)
フェノール樹脂組成物として、大日本インキ化学工業(株)製のフェノライト5900(60%フェノール樹脂メタノール溶液)を用いて、実施例1と同じ補強材を用い、同じ樹脂目付であるプリプレグをラッカー方式にてプリプレグを調製した。
本実施例における、ラッカー法は次のとおりである。溶剤を含むフェノール樹脂組成物を補強材に含浸し、その後プリプレグを加温して脱溶剤した。プリプレグを調製後、実施例1と同様にしてフェノール樹脂組成物を搾り出し、揮発分の含有量を測定したところ、15%であった。
得られたプリプレグは、製造直後からタックがきつく取扱い性が悪かった。このプリプレグより実施例1と同様にしてフェノール樹脂組成物を搾り出し、50℃の粘度とtanδを測定したところ、表1のようになった。また、25℃で2週間保管後のタック、ドレープを評価したところ、タックは非常に弱く、ドレープは硬くなっており、取扱い性は非常に悪かった。また25℃で2週間放置後のプリプレグ中のフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして搾り出し、50℃の粘度とtanδを測定し、結果を表1に示した。
【0041】
(比較例2)
比較例1で製造したプリプレグを、製造直後に、さらに40℃で48時間加熱処理した。このプレグの取扱い性はタック、ドレープとも適性であり、良好であった。得られたプリプレグから実施例1と同様にして樹脂を搾り出し、揮発分と50℃の粘度とtanδを測定したところ、表1のようになった。このプリプレグを2週間25℃で保管した後、その取扱い性を評価したところ、タックが弱くなっており、またドレープも非常に硬くなっており、取扱い性は良くなかった。25℃で2週間放置したプリプレグ中のフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして搾り出し、50℃の粘度とtanδを測定した。tanδが1.1と低くなっていた。
【0042】
(実施例2)
フェノール樹脂組成物として昭和高分子社製フェノール樹脂組成物、MRN−314を、補強材として三菱レイヨン(株)社製炭素繊維織物パイロフィルTRK510(目付け646g/m)を用いて、実施例1と同様にして樹脂目付けは194g/mのプリプレグを調製した。ただし、本実施例においては、樹脂フィルムを補強材の表裏に張り付けてフェノール樹脂組成物を供給した。プリプレグの両表面以外は、フェノール樹脂組成物はほとんど含浸しておらず、プリプレグの中央部分に未含浸部分の層が端部まで存在していた。得られたプリプレグのタック、ドレープは良好であった。得られたプリプレグを50℃に加温してフェノール樹脂組成物を搾り出し、揮発分、50℃の粘度、tanδを測定し、表1に示した。また得られたプリプレグを25℃で保管し、2週間後のタック、およびドレープを確認したところ、調製直後と変わらず良好であった。また25℃で2週間保管後のプリプレグ中のフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして搾り出し、50℃での粘度とtanδを測定した。結果をあわせて表1に示した。
【0043】
(実施例3)
ヒュージングプレスの温度を60℃とした上で、ヒュージングプレスに3回通した以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを調製した。その結果、プリプレグの全てにわたって樹脂が含浸しており、未含浸部分は存在しないプリプレグが得られた。このプリプレグからフェノール樹脂組成物を搾り出し、揮発分を測定したところ、1.1%であった。
プリプレグのタック、ドレープは良好であった。得られたプリプレグから実施例1と同様にしてフェノール樹脂組成物を搾り出し、50℃の粘度、tanδを測定し、表1に示した。また得られたプリプレグを25℃で保管し、2週間後のタック、およびドレープを確認したところ、調製直後と変わらず良好であった。また25℃で2週間保管したプリプレグから、フェノール樹脂組成物を搾り出し、50℃での粘度、tanδを測定した。これらの結果をあわせて表1に示した。
【0044】
【表1】
Figure 2004263086
【0045】
【発明の効果】
本発明のプリプレグは、難燃性であり、取扱い性が良好で、かつ、その良好な取扱い性を長期間維持するプリプレグである。また、本発明のプリプレグは、マトリックス樹脂組成物であるフェノール樹脂組成物の揮発分の含有量が10%以下であるので、ホットメルト法で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フェノール樹脂組成物の未含浸部分がプリプレグの外側に存在し、かつ、プリプレグ内のすべての未含浸部分が、プリプレグの外側の未含浸部分と連続している例を示す模式図である。
【図2】未含浸部分が、プリプレグの外側の未含浸部分と連続していない例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 シート状プリプレグ
2 フェノール樹脂組成物の未含浸部分
3 フェノール樹脂組成物の含浸部分

Claims (9)

  1. 強化繊維からなる補強材に、以下の(1)、(2)および(3)の要件をすべて満足するフェノール樹脂組成物を含浸してあるプリプレグであって、プリプレグとして25℃で2週間保管した後でも、プリプレグから搾り出したフェノール樹脂組成物が以下の(2)および(3)の要件を共に満足するプリプレグ。
    (1)揮発分の含有量が10質量%以下
    (2)50℃における粘度が5×10Pa・sec以上、1×10Pa・sec以下。
    (3)50℃での動的粘弾性測定によって得られるtanδが5以上。
  2. 強化繊維が炭素繊維またはガラス繊維である請求項1記載のプリプレグ。
  3. 強化繊維からなる補強材が織物である請求項1または2記載のプリプレグ。
  4. プリプレグ中にフェノール樹脂組成物の未含浸部分が存在し、プリプレグ内の未含浸部分すべてが、前記プリプレグの外側の未含浸部分と連続している請求項1〜3いずれか一項記載のプリプレグ。
  5. プリプレグの形態がシート状である請求項1〜4いずれか一項記載のプリプレグ。
  6. シート状のプリプレグの少なくとも片側表面が、樹脂組成物の含浸部分と未含浸部分からなる請求項6記載のプリプレグ。
  7. 強化繊維からなる補強材の片面から、加温および加圧しながら、離型紙上に塗工したフェノール樹脂組成物を含浸するプリプレグの製造方法。
  8. 強化繊維からなる補強材の両面から、加温および加圧しながら、離型紙上に塗工したフェノール樹脂組成物を含浸するプリプレグの製造方法。
  9. フェノール樹脂組成物が、以下の(1)、(2)および(3)の要件をすべて満足し、さらに、プリプレグとして25℃で2週間保管した後で、プリプレグ中から搾り出したフェノール樹脂組成物が以下の(2)および(3)の要件を共に満足するフェノール樹脂組成物を用いる請求項7または8記載のプリプレグの製造方法。
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