JP2004263190A - 熱的に安定なpvdfの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】移行剤と、ラジカル開始剤としての硫酸塩と、任意成分としての分散剤と、任意成分としてのパラフィン蝋との存在下で、水性分散体中で弗化ビニリデンVDF(コモノマーを含むことができる)をラジカル重合してPVDFのホモポリマーまたはコポリマーを製造する方法の改良。
【解決手段】PVDFの水性分散体を作り、得られた水性分散体を、必要に応じて凝集した後に、洗浄してPVDF中の界面活性剤の比率(乾燥したPVDFに対する比率)を300ppm以下にし、洗浄後の水性分散体に酢酸ナトリウムを添加し、必要に応じてさらにアルキルスルホン酸カリウムを添加し、得られた水性分散体を乾燥して、酢酸ナトリウム(さらに任意成分としてのアルキルスルホン酸カリウム)を含むPVDFの粉末を回収する。
【選択図】なし

Description

本発明は、PVDFのホモポリマーまたはコポリマーの製造方法、特に、酢酸ナトリウムを加えた水性分散体中で、重合開始剤(以下、開始剤という)として過硫酸塩を用いて弗化ビニリデン(VDF)(コモノマーを用いることもできる)をラジカル重合する方法に関するものである。
弗化ビニリデンCF2=CH2(VDF)をベースにしたポリマー、例えばPVDF(ポリ弗化ビニリデン)は優れた機械的安定性、化学的不活性および耐老化性を有することは知られている。これらの特性は種々の用途で利用されており、例えば、化学またはマイクロエレクトロニクスの分野の押出し成形品や射出成形品の製造や、ガスまたは炭化水素の輸送管のシールでの使用や、建築分野でのフィルムや保護被覆の製造、電気分野の保護要素の製造等を挙げることができる。
弗化ビニリデン(VDF)のラジカル重合は一般に界面活性剤(乳化剤または表面活性剤ともよばれる)の存在下で行なわれるが、最終製品のPVDF中でこの乳化剤の量はできるだけ少なくする必要があり、一般には約300ppm以下にする必要がある。
下記特許文献に記載のVDFの重合は、開始剤としての過硫酸カリウムと、酢酸ナトリウムと、分散剤としてのペルフルオロオクタン酸ナトリウム(実施例1−3)または式:Rf−C24−SO3M(ここで、Mはアルカリ金属またはアンモニウムを表す)のスルホネートとの存在下で行う。
米国特許第4,025,709号明細書
この方法で得られたPVDF中での分散剤の比率は550〜2200ppmである。PVDFはラテックスの状態で得られ、それを炉中で乾燥するか、遠心分離してPVDFにする。しかし、ラテックスの洗浄を行なわないため、PVDF中には550〜2200ppmの分散剤が含まれる。この方法では界面活性剤が除去されないか、ほとんど除去されない。
下記特許文献には、開始剤としてジイソプロピルペルオキシジカーボネート(IPP)を用いたVDFの重合が開示されているが、酢酸ナトリウムは用いていない。
欧州特許第169,328号公報(=米国特許第4,569,978号明細書)
下記特許文献にも上記と同様な方法が記載されているが、開始剤はジ−tert−ブチルペルオキシドである。
欧州特許第816,397号公報
下記特許文献には、開始剤としてアンモニウムペルスルフェートを用い、連鎖移行剤として酢酸エチルを用いたVDFの重合が開示されているが、酢酸ナトリウムまたは分散剤は用いていない。
欧州特許第387,938号公報
下記特許文献には酸化剤−還元剤対を用いたVDFの重合が開示されているが、分散剤や酢酸ナトリウムは用いていない。酸化剤は過硫酸塩にすることができる。
米国特許第5,955,556号明細書
上記の各文献に記載の方法で製造されたPVDFの熱的安定性は押出し成形、圧縮成形または射出成形等での変形を必要とする用途では不十分である。
熱的安定性を向上させるためにPVDFに塩を加える方法が知られている。下記特許文献にはPVDFにバリウム塩またはストロンチウム塩を添加することが記載されている。
フランス国特許第1,298,572号公報
下記特許文献には分散剤を用いずに開始剤としてアンモニウムペルスルフェートを用いたVDFの重合方法が開示されている。この方法ではPVDFに塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩素酸ナトリウムまたは塩素酸カリウムを添加する。
米国特許第3,728,303号明細書
下記特許文献には開始剤としての硫酸塩と、分散剤としてのアンモニウムペルフルオロオクタン酸との存在したでのVDFの重合方法が開示されている。VDFの重合中または押出し機への導入前にPVDFに硝酸カリウムを添加する。
欧州特許第870,792号公報
下記特許文献にはビスマス塩を添加してPVDFの熱的安定性を改善する方法が開示されている。
ベルギー国特許第9,600,257号公報(=米国特許第5,929,152号明細書)
本発明者は、開始剤として過硫酸塩を用い、酢酸ナトリウム(必要な場合にはさらにアルキルスルホン酸ナトリウム)を添加した水性分散体中で重合することによって好ましくない界面活性剤の残留物により熱安定性が損なわれず、熱的安定性に非常に優れたPVDFが得られるということを見出した。
1回のバッチ重合で製造されるPVDFの量を増加させるために、重合を界面活性剤の存在下で実施することもできる。しかし、この場合にはPVDF中に残留する界面活性剤の量を熱的安定性に影響を与えない程度に十分に少なくする必要があり、熱安定性の低下を防ぐには界面活性剤の含有量はPVDFの300ppm以下にしなくてはならない。界面活性剤の残留量をこのような低いレベルにするためには重合で得られたPVDFの水性分散体を凝集させ、水で洗浄すればよいということを見い出した。本発明ではその後にPVDF分散体に酢酸ナトリウムを加え、必要に応じてさらにアルキルスルホン酸ナトリウムを加え、乾燥してPVDF粉末を回収する。
本発明の対象は、移行剤と、ラジカル開始剤としての硫酸塩と、任意成分としての分散剤と、任意成分としてのパラフィン蝋との存在下で、水性分散体中で弗化ビニリデン(VDF)(コモノマーを含むことができる)をラジカル重合してPVDFのホモポリマーまたはコポリマーを製造する方法において、
下記(a)〜(d)を特徴とする方法にある:
(a)PVDFの水性分散体が作り、
(b)得られた水性分散体を、必要に応じて凝集した後に、洗浄してPVDF中の界面活性剤の比率(乾燥したPVDFに対する比率)を300ppm以下にし、
(c)洗浄後の水性分散体に酢酸ナトリウムを添加し、必要に応じてさらにアルキルスルホン酸カリウムを添加し、
(d)(c)で得られた水性分散体を乾燥して、酢酸ナトリウム(さらに任意成分としてのアルキルスルホン酸カリウム)を含むPVDFの粉末を回収する。
こうして得られたPVDFのホモポリマーまたはコポリマーは、酢酸ナトリウムと、任意成分としてのアルキルスルホン酸カリウムと、300ppm以下の界面活性剤とを含む。このPVDFは開始剤として過硫酸塩を用いているために下記の鎖末端を有する:
Figure 2004263190
このPVDFのホモポリマーまたはコポリマーは熱的安定性に非常に優れている。本発明の他の対象は新規物質としてのこのPVDFのホモポリマーまたはコポリマーに関するものである。
本発明は開始剤としての過硫酸塩を用いる当業者に公知の重合方法で実施することができる。この重合方法は分散剤の種類および比率に従って「乳化重合」法、この乳化重合法から派生した各種の名称(ミクロ懸濁重合法、ミニエマルション法等)でよばれている。重合終了後に水および反応物の残りからPVDFを分離する。
乳化重合法の場合にはポリマーは極めて微細な粒子からなるラテックスの形をしており、その平均粒径は一般に1ミクロン以下である。このラテックスは水の一部を例えば遠心分離で除去することで凝固させ、濃縮させることもできる。重合中に任意成分として用いた界面活性剤がPVDF中に残留すると熱的安定性が悪くなる場合がある。従って、ラテックスを噴霧乾燥器(アトマイザー)中で加熱ガスと接触させて界面活性剤を除去し、それと同時に乾燥させで粉末のPVDFを回収することができる。この方法自体は公知であり、本発明のPVDFの製造方法で用いることができる。
しかし、界面活性剤の蒸気圧が低い場合や、噴霧乾燥器からの噴出ガス中の残留界面活性剤を回収するのが困難な場合には洗浄しなければならない。この洗浄自体は公知の方法であり、塩を加えてラテックスを凝集させ、遠心分離または濾過によって水を除去する。水を加えてこの操作を繰返す。他の方法ではラテックスを希釈し、凝集装置に入れ、空気の存在下で剪断作用を加える。こ2つの作用の相乗効果によってラテックスは水より密度の小さい空気混和クリームに変わる。
必要な場合にはさらに、例えば下記特許文献に記載の方法を用いてこのクリームを脱イオン水で向流洗浄する。水で洗浄することによって重合に必要な界面活性剤をラテックスから除去するか、少なくともPVDFに対するその比率を大きく減少させることができる。
米国特許第4,128,517号明細書 欧州特許第460,284号公報
続いて酢酸ナトリウムを添加し、必要に応じて任意成分のアルキルスルホン酸カリウムを添加する。酢酸ナトリウム(場合によってはさらにアルキルスルホン酸カリウムを含む)洗浄後のPVDF分散体を任意の乾燥法で乾燥させる。噴霧乾燥または回転乾燥機による乾燥が特に適している。
本発明の有利な実施例ではPVDFのホモポリマーまたはコポリマーが下記(1)〜(10)を特徴とする上記方法で回分式または半連続式に製造される:
(1)重合反応器中に水と、任意成分としての界面活性剤と、任意成分としてのパラフィン蝋とを導入し、
(2) 重合反応器を脱気して酸素を除去し、
(3) 重合反応器を所定温度に加熱した後に、重合反応器中にVDFと任意成分のモノマーとを所望圧力に達するまで導入し、
(4) 移行剤は重合反応器中に重合開始時に全て導入するか、重合開始時にその一部を入れ、重合中に残りを入れ、
(5) ラジカル重合開始剤としての過硫酸塩の全部または一部を添加して重合を開始させ、低下した圧力はVDFおよび任意成分としてのコモノマーの添加で補償し、
(6) 残りの開始剤は必要に応じて重合中に添加し、
(7) 予定量のVDFと任意成分としのコモノマーとを導入した後に重合反応器を脱ガスしてPVDFの水性分散体とし、
(8) 得られたPVDFの水性分散体を、必要に応じて凝集した後、洗浄してPVDF中の界面活性剤の比率(乾燥したPVDFの量に対する比率)を300ppm以下に下げ、
(9) 洗浄後のPVDFの水性分散体に酢酸ナトリウムを添加し、必要に応じて、さらにアルキルスルホン酸カリウムを添加し、
(10) 得られたPVDFの水性分散体を乾燥して酢酸ナトリウムと任意成分としてのアルキルスルホン酸カリウムとを含むPVDFの粉末を回収する。
上記の所定温度はVDFを重合するのに十分な温度であり、約45〜130℃、有利には70〜90℃である。望ましい圧力は約35〜125バールである。
当業者はモノマーを分散させる水の量、界面活性剤、開始剤および移行剤の量は容易に決定できる。重合は攪拌反応器中で行う。
任意成分としてのコモノマーは弗素化コモノマーにすることができる。この弗素化コモノマーはフリーラジカルの作用で開いて重合するビニル基と、ビニル基に直接結合した少なくとも1つの弗素原子、フルオロアルキル基またはフルオロアルコキシ基とを含む化合物の中から選択するのが有利である。
弗化コモノマーの例としては弗化ビニル;トリフルオロエチレン(TRFE);クロロトリフルオロエチレン(CTFE);1,2-ジフルオロエチレン;テトラフルオロエチレン(TFE);ヘキサフルオロプロピレン(HFP);ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)、ペルフルオロ(エチルビニル)エーテル(PEVE)およびペルフルオロ(プロピルビニル)エーテル(PPVE)等のペルフルオロ(アルキルビニル)エーテル;ペルフルオロ(1,3-ジオキソール);ペルフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)(PDD);式 CF2=CFOCF2(CF3)OCF2X(ここで、XはSO2F、CO2H、CH2OH、CH2OCNまたはCH2OPO3H)の化合物;式 CF2=CFOCF2CF2SO2F)の化合物;式 F(CF2nCH2OCF=CF2(ここで、nは1,2,3,4または5)の化合物;式R1CH2OCF=CF2(ここで、R1は水素またはF(CF2zであり、zは1、2、3または4)の化合物;式 R3OCF=CH2(ここで,R3はF(CF2)z-であり、zは1、2、3または4)の化合物;ペルフルオロブチルエチレン(PFBE);3,3,3-トリフルオロプロペンおよび2-トリフルオロメチル-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン等を挙げることができる。複数のコモノマーを用いることもできる。
PVDFのコポリマーではVDFの比率を少なくとも60重量%にし、コモノマーは40重量%以下にする。好ましくは15重量%のコモノマーに対してVDFの比率は少なくとも85重量%にする。コモノマーはHFP、CTFE、TFEおよびTRFEの中から選択するのが好ましい。
乳化重合法で用いる界面活性剤は有機酸または塩基に由来するイオン性界面活性剤が有利である。下記特許文献には各種界面活性剤を用いてVF2を水性エマルション重合してPVDFを合成する方法が記載されている。
界面活性剤に関しては、乳化重合法で酸または有機塩基由来のイオン性界面活性剤を用いるのが有利である。下記特許文献には水性エマルションにVF2を投入し、重合してPVDFを合成する方法が記載されており、多くの界面活性剤が記載されている。
米国特許第4,025,709号明細書 米国特許第4,569,978号明細書 米国特許第4,360,652号明細書 欧州特許第626,396号公報 欧州特許第655,468号公報
例として下記一般式の化合物が挙げられる:
ZCn2nCOOM
(ここで、Zは弗素または塩素原子であり、nは6〜13の整数であり、Mは水素またはアルカリ金属原子またはアンモニウム基または少なくとも1つの低級アルキル置換基を有するアンモニウム基である)
また、下記式のリチウムペルフルオロアルカノエートを挙げることもできる:
3C(CF2n-2CO2Li
(n=7、8、9または10)
重合開始時または重合中に導入される界面活性剤の全重量は生成するPVDF(従って用いるフッ素化モノマーの全重量に等しい)の0〜5000ppmである。
アンモニウムペルフルオロオクタノエートおよびアンモニウムペルフルオロノナノエートまたはこれらの混合物、すなわち下記式の化合物を用いるのが有利である:
ZCn2nCOOM
(ここで、ZはF、Mはアンモニウム、nの平均値は8〜9)
PVDF中の界面活性剤の比率はNMR分析で測定する。
界面活性剤の他にパラフィン蝋を添加するのが有利である。用いるパラフィン蝋は融点が40〜70℃で、フッ素化モノマーの全重量の0.005〜0.05重量%にする。
開始剤すなわち過硫酸塩はアルカリ性過硫酸塩、好ましくは過硫酸カリウムまたは過硫酸アンモニウムにするのが有利である。
ラジカル開始剤の量は、用いる単数または複数のフッ素化モノマーの全重量の50〜600ppm、好ましくは100〜400ppmにするのが有利である。
NMR分析から下記鎖末端の存在が示される:
Figure 2004263190
この鎖末端の数はVDF単位1000個当たりの鎖末端の比率で表すことができる。この鎖末端数は分子量と用いた過硫酸塩の量に依存する。本発明ポリマーの鎖末端数はVDF単位1000個当たり0.01〜0.08である。
移行剤(agent de transfert)という用語は重合反応を進めるとともにポリマーの分子量を制限できる任意の化合物を意味し、従来法で用いられているPVDF製造用移行剤が適している。この移行剤は一般にラジカル作用に感応する水素結合を有している。例えば、酢酸、イソプロパノル、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、酢酸n−ブチル、マロン酸ジエチル、カルボン酸ジエチルおよびその他の各種クロロフルオロカーボン化合物が挙げられる。移行剤の量は基本的にその種類とその存在下で得られるポリマーの所望平均分子量に依存する。最終生成物の平均粘度はこの分子量で決まる。移行剤の量は生成されるPVDFの0.05〜5重量%にするのが好ましい。また酢酸エチルを用いるのが有利である。
連鎖停止現象で−CH2−CF2Hと−CH2−CF3末端が生じる。これらは完全に同定できる。移行反応で生じるラジカルが新規な鎖を再開させる比率は過硫酸塩の分解で生じるラジカルが新規な鎖を再開させる比率よりも高い。検出可能な全鎖末端中で下記末端:
Figure 2004263190
の比率が0.3〜1%であるのはこのためである。
酢酸ナトリウムとしては酢酸ナトリウム三水和物CH3−CooNa・3H2Oを用いるのが有利である。三水和物の比率は生成するPVDFの50〜600ppmにするのが有利である。酢酸ナトリウムによって導入したナトリウムは蛍光X線で測定できる。[表2]にはPVDFに対するこのナトリウムの重量比ppmを表してある。
アルキルスルホン酸カリウム(R−SO3K)は、生成するPVDFに対して0〜300ppmの重量比にすることができる。この硫酸塩のアルキル基Rは1〜11個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖である。エチル、メチル、イソプロピルおよびn−プロピルが好ましい。PVDF中のアルキルスルホン酸の比率はNMR分析で求める。
熱安定性の測定
40gの(PVDF)粉末から260・20・4mmのプレートを圧縮成形(205℃、30バールの圧力で6分間)し、20℃の水で急冷する。このプレートをメトラスタット(Metrastat、登録商標)PSD 260のオーブン内で265℃で1時間再加熱する。この加熱処理でプレートは着色する。このプレートの色の黄変測定度を測定する。すなわち、プレートを目盛り付きの白いセラミック上に置き、ミノルタ(登録商標)CR200の測色計を用いて黄変指数を測定する(黄変指数の計算にはASTM 1925規格を用いる)。
熱安定性をプレート成形でも評価する。ラテックスを乾燥させて得られる粉末を230℃の温度、毎分120回転の回転速度のクレクスタル(Clextral、登録商標)BC21二軸スクリュー共回転押出し機で混練し、押出しダイを通して4mmの大きさの顆粒にする。この顆粒から直径65mm、厚さ3mmのプレートを圧縮成形する(230℃、20バールの圧力で9分および120分)。プレートの色をミノルタ(登録商標)CR200測色計を用いて測定する(黄変指数の計算にはASTM 1925規格を用いる)。
比較例1
室温で30リットルの反応器に下記を導入した:
17リットルの蒸留水、
2gの融点が60℃のパラフィン
52.8gの15%アンモニウムペルフルオロアクタノエート溶液
反応器を密閉し、脱気してから撹拌を始め、反応器を83℃に加熱した。88gの酢酸エチルを導入後、VDFを用いて反応器を45バールに加圧した。0.5重量%濃度の過硫酸カリウム溶液を300g注入して重合を開始した。反応器の圧力はVDFを用いて45バールに維持した。1500gのVDFを導入後、0.5重量%の過硫酸カリウム溶液をさらに100g加えた。導入したVDFの全重量が8500gになった時に(4時間30分後)、圧力を15バールに下げ、残留モノマーを脱気した。ラテックスを濾過して26.4kgのラテックスを得た。乾性物質の含有率(すなわち乾燥固形分)は30%であった。
ラテックスを凝集し、洗浄し、噴霧乾燥した。これによって水溶性重合残留物の全てが除去される。凝集および洗浄は特許文献10(米国特許第4,128,517号明細書)に器の方法に従って実施した。固形分が12%になるようにラテックスを稀釈し、これを12リットル容の凝集装置に毎時18リットルの流量で導入した。それと同時に空気を毎時15リットルの流量で導入した。ラテックスはタービンミキサー(羽根先速度:毎秒12m)による剪断作用で凝集し、水より密度が低いクリームに変わった。このクリームを毎時140リットルの流量で14リットル容の洗浄カラムに頂部から供給した。洗浄カラムから出た凝集/洗浄済みのスラリー状ラテックスを中間容器へ導入し、そこから1m3の噴霧乾燥器へ送った。この噴霧乾燥器の空気温度入口温度は140℃、出口温度は85℃であった。得られた粉末を230℃、毎分120回転のクレクスタル(Clextral、登録商標)BC21二軸スクリュー共回転押出し機を用いて顆粒化した。
実施例1
ラテックスは比較例1と同じにし、凝集/洗浄操作を実施したが、凝集/洗浄操作後に、噴霧乾燥器の供給管へ1リットル当たり15gの酢酸ナトリウム三水和物と1リットル当たり5gのエチルスルホン酸カリウムとを含む水溶液を連続的に添加した。この水溶液の供給量はPVDFの供給量に比例し、PVDFに対する酢酸ナトリウム三水和物の比率は0.00025になる。
比較例2
ラテックスは比較例1と同じにした。ラテックスを先ず凝集した。固形分が12%になるようにこれを稀釈し、12リットル容の凝集装置に毎時18リットルの流量で導入した。それと同時に空気を毎時15リットルの流量で導入した。ラテックスはタービンミキサー(羽根先速度:毎秒12m)による剪断作用で凝集し、水より密度が低いクリームに変わった。次に、凝集した分散体を稀釈して固形分を6%にした。スラリー状の凝集したラテックスを水相上に乾燥固形分が最大20%になるように重力で濃縮した。次いで、水相を抜き出した。
上記方法は残留乳化剤の濃度を300ppm以下にするには有効ではない。得られた分散体に1リットル当たり15gの酢酸ナトリウム三水和物と1リットル当たり5gのエチルスルホン酸カリウムとを含む水溶液を加えた。加えた水溶液の量は乾燥PVDF1kgにつき0.017リットルであった。この方法で得られた分散体を80℃の通気炉(ventilated oven)で12時間乾燥した。
実施例2
室温で30リットルの反応器に下記を導入した:
17リットルの蒸留水、
2gの融点が60℃のパラフィン
52.8gのアンモニウムペルフルオロアクタノエート15%溶液
反応器を密閉し、脱気してから撹拌を始め、反応器を83℃に加熱した。22.5gの酢酸エチルを導入後、VDFを用いて反応器を45バールに加圧した。0.5重量%濃度の過硫酸カリウム溶液を300g注入して重合を開始した。反応器の圧力はVDFを用いて45バールに維持した。重合中に125gの酢酸エチルと220gの0.5重量%の過硫酸カリウム溶液とを加えた。導入したVDFの全重量が8500gになった時に(4時間20分後)、圧力を15バールに下げ、残留モノマーを脱気した。ラテックスを濾過して26kgのラテックスを得た。乾性物質の含有率(すなわち乾燥固形分)は29%であった。
比較実施例と同様に凝集および洗浄を実施した後、1リットル当たり15gの酢酸ナトリウム三水和物と1リットル当たり7.5gのエチルスルホン酸カリウムを含む水溶液を連続して噴霧器へ供給するパイプへ加えた。この水溶液の供給量はPVDFの供給量と比例しているため、PVDFに対する酢酸ナトリウム三水和物の比率は0.00025になった。
比較例1と同じ条件下でPVDFスラリーを噴霧乾燥した。
結果は[表1]および[表2]にまとめてある。
Figure 2004263190
Figure 2004263190

Claims (11)

  1. 移行剤と、ラジカル開始剤としての硫酸塩と、任意成分としての分散剤と、任意成分としてのパラフィン蝋との存在下で、水性分散体中で弗化ビニリデン(VDF)(コモノマーを含むことができる)をラジカル重合してPVDFのホモポリマーまたはコポリマーを製造する方法において、
    下記(a)〜(d)を特徴とする方法:
    (a)PVDFの水性分散体を作り、
    (b)得られた水性分散体を、必要に応じて凝集した後に、洗浄してPVDF中の界面活性剤の比率(乾燥したPVDFに対する比率)を300ppm以下にし、
    (c)洗浄後の水性分散体に酢酸ナトリウムを添加し、必要に応じてさらにアルキルスルホン酸カリウムを添加し、
    (d)(c)で得られた水性分散体を乾燥して、酢酸ナトリウム(さらに任意成分としてのアルキルスルホン酸カリウム)を含むPVDFの粉末を回収する。
  2. 界面活性剤を下記一般式:
    ZCn2nCOOM
    (ここで、Zは弗素または塩素原子、nは6〜13の整数、Mは水素またはアルカリ金属原子またはアンモニウム基または少なくとも1つの低級アルキル置換基を有するアンモニウム基)
    を有する化合物の中から選択する請求項1に記載の方法。
  3. 酢酸ナトリウムの比率を生成するPVDFの50〜600ppmにする請求項1または2に記載の方法。
  4. アルキルスルホン酸カリウムをエチルスルホン酸カリウム、メチルスルホン酸カリウム、イソプロピレンスルホン酸カリウムまたはn−プロピルスルホン酸カリウムから選択する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. アルキルスルホン酸カリウムの比率を生成するPVDFの0〜300ppmにする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 下記(1)〜(10)からなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法でPVDFのホモポリマーまたはコポリマーを回分式または半連続的に製造する方法:
    (1)重合反応器中に水と、任意成分としての界面活性剤と、任意成分としてのパラフィン蝋とを導入し、
    (2) 重合反応器を脱気して酸素を除去し、
    (3) 重合反応器を所定温度に加熱した後に、重合反応器中にVDFと任意成分のモノマーとを所望圧力に達するまで導入し、
    (4) 移行剤は重合反応器中に重合開始時に全て導入するか、重合開始時にその一部を入れ、重合中に残りを入れ、
    (5) ラジカル重合開始剤としての過硫酸塩の全部または一部を添加して重合を開始させ、低下した圧力はVDFおよび任意成分としてのコモノマーの添加で補償し、
    (6) 残りの開始剤は必要に応じて重合中に添加し、
    (7) 予定量のVDFと任意成分としてのコモノマーとを導入した後に重合反応器を脱ガスしてPVDFの水性分散体とし、
    (8) 得られたPVDFの水性分散体を、必要に応じて凝集した後、洗浄してPVDF中の界面活性剤の比率(乾燥したPVDFの量に対する比率)を300ppm以下に下げ、
    (9) 洗浄後のPVDFの水性分散体に酢酸ナトリウムを添加し、必要に応じて、さらにアルキルスルホン酸カリウムを添加し、
    (10) 得られたPVDFの水性分散体を乾燥して酢酸ナトリウムと任意成分としてのアルキルスルホン酸カリウムとを含むPVDFの粉末を回収する。
  7. 酢酸ナトリウムと、任意成分としてのアルキルスルホン酸カリウムと、300ppm以下の界面活性剤とを含み、開始剤として用いた過硫酸塩に起因する下記鎖末端:
    Figure 2004263190
    を有することを特徴とするPVDFのホモポリマーまたはコポリマー。
  8. 界面活性剤が下記一般式:
    ZCn2nCOOM
    (ここで、Zは弗素または塩素原子、nは6〜13の整数、Mは水素またはアルカリ金属原子またはアンモニウム基または少なくとも1つの低級アルキル置換基を有するアンモニウム基)
    から選択される請求項7に記載のPVDFのホモポリマーまたはコポリマー。
  9. 酢酸ナトリウムの比率が生成したPVDFに対して50〜600ppmである請求項7または8に記載のPVDのホモポリマーまたはコポリマー。
  10. アルキルスルホン酸カリウムがエチルスルホン酸カリウム、メチルスルホン酸カリウム、イソプロピレンスルホン酸カリウムまたはn−プロピルスルホン酸カリウムである請求項7〜9のいずれか一項に記載のPVDFホモポリマーまたはコポリマー。
  11. アルキルスルホン酸カリウムの比率が生成するPVDFに対して0〜300ppmである請求項7〜10のいずれか一項に記載のPVDFのホモポリマーまたはコポリマー。
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