JP2004264685A - 変倍光学装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】広角状態であっても望遠状態であっても、明るく、かつ、良好な解像度特性が得られる変倍光学装置を得ることを目的とする。
【解決手段】正の屈折力を有する正メニスカスレンズ1と、負の屈折力を有する両凹レンズ2と、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ3とから光学系を構成して、正メニスカスレンズ1,3及び両凹レンズ2の原料としてゲルマニウムGeを用いるように構成した。これにより、広角状態であっても望遠状態であっても、明るく、かつ、良好な解像度特性が得られる効果を奏する。
【選択図】 図1
【解決手段】正の屈折力を有する正メニスカスレンズ1と、負の屈折力を有する両凹レンズ2と、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ3とから光学系を構成して、正メニスカスレンズ1,3及び両凹レンズ2の原料としてゲルマニウムGeを用いるように構成した。これにより、広角状態であっても望遠状態であっても、明るく、かつ、良好な解像度特性が得られる効果を奏する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、広角状態での撮像と望遠状態での撮像を受け付ける変倍光学装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
撮像に用いられる光学系の役割は、被写体の光学像を像平面上に形成することである。被写体の光学像は、光電変換素子などにより電気信号に変換され、被写体画像信号として、記憶手段、処理手段、表示手段などに引き渡される。
より鮮明な画像を得るには、光学系の性能として十分な解像度特性が求められる。また、光を検出するには十分な光量で結像する必要がある。そのため、広い波長範囲の光を利用したり、開口径を大きくしたりする。広い波長範囲の光を利用するには、レンズ材料の屈折率の波長依存性に起因する収差を抑えなければならず、いわゆる「色消し」がなされた光学系が求められる。開口径を大きくするには、F値(レンズの焦点距離を絞りの直径で割ったもの)を小さくし、いわゆる「明るい」光学系であることが求められる。
【0003】
また、光学系には上記のような性能の他にも機能が求められる。その代表的なものが変倍機能である。遠い被写体の詳細を画像化する場合には、焦点距離を長くして望遠状態で撮像し、広い視野範囲を画像化する場合には、焦点距離を短くして広角状態で撮像する。
変倍機能を有する構成として、レンズの2群構成が知られており、例えば、以下の特許文献1に記載されている。このような2群構成の変倍光学装置はシンプルな構成であるという利点があるが、変倍比を大きくとれないことやF値を小さくできないなどの課題がある。
【0004】
2群構成の変倍光学装置と比べて、3群構成の変倍光学装置は、変倍比を大きくできて、F値が小さい明るい光学系が得られる。例えば、以下の特許文献2に記載されている光学系は、F値が2.8で、物体側から順に、均質媒質の単レンズ1枚のみからなる正の屈折力を有する第1レンズと、均質媒質の単レンズ1枚のみからなる負の屈折力を有する第2レンズと、均質媒質の単レンズ1枚のみからなる正の屈折力を有する第3レンズから構成されている。
変倍動作は、第2レンズと絞りと第3レンズとを光軸方向に個々別々の移動量で移動することにより、変倍比3.0(焦点距離4mm〜12mm)が得られる。変倍に際して、第1レンズの物体側面から像側面までの距離が不変であって37mmであり、望遠状態の焦点距離に対して3.1倍である。
【0005】
この光学系は、光軸上に形成される光学像のスポット径が20λ以上、軸外端のスポット径が40λ以上と非常に大きく、十分な解像度特性とは言えない。ここで、λは代表波長であり、特許文献2では0.587μmである。スポット径がこれ程までに大きくなる理由は、使用波長範囲(0.486μm〜0.656μm、代表波長0.587μmに対して約0.3倍の波長幅)において、光軸上の像位置が光軸方向に200λ以上も移動するためである。即ち、3群構成の変倍光学系は十分に色消しがなされておらず、その結果として十分な解像度特性が得られていないのである。
また、F値2.8は、十分な明るさとは言えず、特に被写体から発せられる微小な光エネルギーを捉える赤外線カメラには不十分である。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−141998公報(第3頁から第4頁、図1)
【特許文献2】
特開2001−141996公報(第3頁から第4頁、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の変倍光学装置は以上のように構成されているので、2群構成と比べれば、変倍比を大きくできて、F値が小さい明るい光学系が得られる。しかし、3群構成のレンズの原料を特に考慮していないため、各レンズの屈折率が小さく(例えば、1.516,1.525)、かつ、分散能が大きく(例えば、0.156,0179)なり、その結果、十分に明るくて、色収差が小さい良好な解像度特性が得られないなどの課題があった。
【0008】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、広角状態であっても望遠状態であっても、明るく、かつ、良好な解像度特性が得られる変倍光学装置を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る変倍光学装置は、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズとから光学系を構成して、第1、第2及び第3レンズの原料としてゲルマニウムを用いたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による変倍光学装置を示す構成図であり、図において、物体側に凸面が向けられている正メニスカスレンズ1は、原料がゲルマニウムGeから成る正の屈折力を有する第1レンズG1を構成している。正メニスカスレンズ1の像側において光軸方向に移動自在に設置されている両凹レンズ2は、原料がゲルマニウムGeから成る負の屈折力を有する第2レンズG2を構成している。両凹レンズ2は図示せぬ移動手段により設置位置が移動される。
【0011】
両凹レンズ2の像側に設置され、像側に凹面が向けられている正メニスカスレンズ3は、原料がゲルマニウムGeから成る正の屈折力を有する第3レンズG3を構成している。正メニスカスレンズ3は図示せぬ移動手段により設置位置が移動される。図中、Aは絞りを表し、Iは結像面を表している。
なお、この実施の形態1では、良好な解像度性能を得るため、正メニスカスレンズ1,3の像側面を非球面状に成形し、その他の面をすべて球面状に成形している。ただし、レンズの製造方法は成形に限るものではなく、研磨、研削、切削、エッチングなどであってもよい。
また、正メニスカスレンズ1,3の像側面ではなく、物体側面又は両面を非球面形状にしても良好な解像度性能を得ることができる。
【0012】
次に動作について説明する。
光学系を明るくするには開口径を大きくする必要がある。ザイデル収差と呼ばれるレンズで発生する収差は、球面収差が開口径の3乗に比例し、コマ収差が開口径の2乗に比例し、非点収差が開口径の1乗に比例することが知られている。このように、光学系を明るくしようとすると、それに伴って各レンズで発生する収差が増大するため、光学系全体としての収差を抑えて良好な解像度特性を得るのが困難になる。このことが変倍光学系の明るさを制限している理由である。
【0013】
一方、レンズで発生する収差は、レンズの屈折率と、レンズ間の中間媒質の屈折率との差が大きい程、小さくすることができることが知られている。多くの場合、中間媒質は空気であり、その屈折率は概略1に等しい。また、レンズ材料の屈折率は1以上の正の値である。従って、より屈折率が大きなレンズ材料を選択すれば、レンズで発生する収差を抑えることができる。
【0014】
ここで、上記の特許文献2の変倍光学系では、屈折率が小さなレンズ材料を使用しているため(屈折率が1.516と1.525のレンズ材料)、レンズで発生する収差を抑えることができず、F値が2.8に限られている。
これに対して、この実施の形態1では、高屈折率な物質であるゲルマニウムGeをレンズの原料にしているので、屈折率が4以上のレンズが得られる。その結果、レンズで発生する収差を抑えることができるため、F値が小さい明るい光学系を実現することができる。
【0015】
また、光学系の解像度特性を向上するためには色収差を抑制する必要があるが、上記の特許文献2の変倍光学系では、分散能が大きなレンズ材料を使用しているため(分散能が0.0156と0.0179のレンズ材料)、レンズで発生する色収差を抑えることができず、光軸上の像位置が光軸方向に200λ以上も移動する。そのため、光軸上に形成される光学像のスポット径が20λ以上、軸外端のスポット径が40λ以上と非常に大きくなっている。
これに対して、この実施の形態1では、低分散な物質であるゲルマニウムGeをレンズの原料にしているので、分散能が0.001以下のレンズが得られる。その結果、レンズで発生する色収差を抑えることができるため、良好な解像度特性の光学系を実現することができる。
【0016】
具体的には下記の通りである。
この実施の形態1では、F値が1.795であって、焦点距離が20〜100mmである変倍比5倍の変倍光学系を想定する。なお、望遠状態での半画角は1.7度であり、波長範囲は8.5μm〜11.5μmである。
広角状態と望遠状態の違いは、第2レンズG2である両凹レンズ2の位置であり、両凹レンズ2を光軸方向に移動することにより変倍機能が得られる。変倍に際して、最も大きな径を有する正メニスカスレンズ1、ならびに結像面Iに設置され電気配線が施された図示せぬ光電変換素子を固定としている。すなわち、正メニスカスレンズ1の物体側面から結像面Iまでの距離は不変であり、本実施例では165mmであり、望遠状態の焦点距離に対して約1.7倍である。
また、両凹レンズ2を光軸方向に移動することにより為される変倍に伴い発生するピントずれを補償するピント調整、ならびに有限距離の被写体に対するピント調整は、第3レンズG3である正メニスカスレンズ3を光軸方向に移動することにより為される。ただし、ピント調整は絞りAと第3レンズG3とを同時に移動して行ってもよい。
【0017】
ゲルマニウムGeの屈折率は、波長8.5μmで4.00454、波長10.0μmで4.00316、波長11.5μmで4.00245である。これより計算される分散能は0.00070であり、高屈折率で低分散な材料である。
このような材料をレンズ材料として選択することにより、変倍光学系における光軸上及び軸外端に形成される光学像のスポット径は、広角状態でそれぞれ0.9λ,1.8λ、望遠状態でそれぞれ1.4λ,1.8λと小さく、良好な解像度特性が得られる。ここで、λは代表波長であり、10μmである。使用波長範囲(8.5μm〜11.5μm、代表波長10μmに対して0.3倍の波長幅)において、光軸上の像位置の光軸方向の移動が広角状態で0.9λ、望遠状態で4.8λと抑えられている。
【0018】
以下、図1の変倍光学系の数値データを提示する。
非球面形状では、zを光の進行方向を正とする光軸とし、yを光軸と直交する方向にとると、下記の式にて表される。
z=1/(2×r)×y2+A4×y4+A6×y6+A8×y8
ただし、rは近軸曲率半径、A4、A6、A8はそれぞれ4次、6次、8次の非球面係数である。
【0019】
r1(正メニスカスレンズ1の物体側面の近軸曲率半径)=91.181
d1(正メニスカスレンズ1の物体側面と像側面の間隔)=3.462
r2(正メニスカスレンズ1の像側面の近軸曲率半径)=118.511
d2(正メニスカスレンズ1の像側面と両凹レンズ2の物体側面の間隔)
=54.288(広角状態),88.696(望遠状態)
r3(両凹レンズ2の物体側面の近軸曲率半径)=−140.746
d3(両凹レンズ2の物体側面と像側面の間隔)=2.000
r4(両凹レンズ2の像側面の近軸曲率半径)=99.112
d4(両凹レンズ2の像側面と絞りAの間隔)
=35.141(広角状態),0.734(望遠状態)
r5(絞りAの近軸曲率半径)=∞
d5(絞りAと正メニスカスレンズ3の物体側面の間隔)=33.007
r6(正メニスカスレンズ3の物体側面の近軸曲率半径)=52.023
d6(正メニスカスレンズ3の物体側面と像側面の間隔)=2.102
r7(正メニスカスレンズ3の像側面の近軸曲率半径)=151.267
d7(正メニスカスレンズ3の像側面と結像面Iの間隔)=34.805
【0020】
なお、正メニスカスレンズ1の像側面の非球面係数は、A4=7.611−08,A6=3.756e−12,A8=−1.225e−16であり、正メニスカスレンズ3の像側面の非球面係数は、A4=1.004e−6,A6=−1.719e−10,A8=1.179e−13である。
【0021】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ1と、負の屈折力を有する両凹レンズ2と、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ3とから光学系を構成して、正メニスカスレンズ1,3及び両凹レンズ2の原料としてゲルマニウムGeを用いるように構成したので、広角状態であっても望遠状態であっても、明るく、かつ、良好な解像度特性が得られる効果を奏する。
【0022】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2による変倍光学装置を示す構成図であり、図において、物体側に凸面が向けられている正メニスカスレンズ11は、原料がゲルマニウムGeから成る正の屈折力を有する第1レンズG1を構成している。正メニスカスレンズ11の像側において光軸方向に移動自在に設置されている両凹レンズ12は、原料がゲルマニウムGeから成る負の屈折力を有する第2レンズG2を構成している。両凹レンズ12は図示せぬ移動手段により設置位置が移動される。
【0023】
両凹レンズ12の像側に設置され、像側に凹面が向けられている正メニスカスレンズ13a(正屈折力レンズ)は、原料がゲルマニウムGeから成り、正の屈折力を有している。ただし、正メニスカスレンズ13aの代わりに両凸レンズを使用してもよい。負メニスカスレンズ13b(負屈折力レンズ)は、ゲルマニウムGeよりも分散能が大きな材料であるセレン化亜鉛ZnSeから成り、負の屈折力を有している。ただし、負メニスカスレンズ13bの代わりに両凹レンズを使用してもよい。なお、正メニスカスレンズ13a及び負メニスカスレンズ13bから正の屈折力を有する第3レンズG3を構成している。また、第3レンズG3は絞りAとともに図示せぬ移動手段により設置位置が移動される。
【0024】
この実施の形態2では、良好な解像度性能を得るため、正メニスカスレンズ11,13aの像側面を非球面状に成形し、その他の面をすべて球面状に成形している。ただし、レンズの製造方法は成形に限るものではなく、研磨、研削、切削、エッチングなどであってもよい。
また、正メニスカスレンズ11,13aの像側面ではなく、物体側面又は両面を非球面形状にしても良好な解像度性能を得ることができる。
【0025】
次に動作について説明する。
この実施の形態2では、F値が1.6であって、焦点距離が20〜100mmである変倍比5倍の変倍光学系を想定する。なお、望遠状態での半画角は1.7度であり、波長範囲は8.5μm〜11.5μmである。
広角状態と望遠状態の違いは、第2レンズG2ならびに第3レンズG3の位置である。両凹レンズ12を光軸方向に移動することにより変倍機能が得られる。変倍に際して、最も大きな径を有する正メニスカスレンズ11、ならびに結像面Iに設置された図示せぬ光電変換素子を固定としている。すなわち、正メニスカスレンズ11の物体側面から結像面Iまでの距離は不変であり、本実施例では130mmであり、望遠状態の焦点距離に対して1.3倍である。
また、両凹レンズ12を光軸方向に移動することにより為される変倍に伴い発生するピントずれを補償するピント調整、ならびに有限距離の被写体に対するピント調整は、絞りAと第3レンズG3とを光軸方向に移動することにより為される。ただし、絞りAを固定として、第3レンズG3のみを移動してもよい。
【0026】
負メニスカスレンズ13bの原料であるセレン化亜鉛ZnSeの屈折率は、波長8.5μmで2.41484、波長10.0μmで2.40652、波長11.5μmで2.39665であり、これより計算される分散能は0.0129である。第3レンズG3に負の屈折力を有する負メニスカスレンズ13bを加えることにより、負メニスカスレンズ13bで発生する色収差によって、正メニスカスレンズ13aで発生する残留色収差を抑制することができる。したがって、変倍光学系の色収差をさらに抑えて良好な解像度特性が得られる。
【0027】
このように、高屈折率で低分散なレンズ材料であるゲルマニウムGeと、このレンズ材料より分散能が大きなレンズ材料であるセレン化亜鉛ZnSeとを選択し、負メニスカスレンズ13bの屈折力を負に設定することにより、この変倍光学系における光軸上及び軸外端に形成される光学像のスポット径は、広角状態でそれぞれ0.7λ,1.9λ、望遠状態でそれぞれ1.0λ,2.7λと小さく、良好な解像度特性が得られる。使用波長範囲において、光軸上の像位置の光軸方向の移動が広角状態で1.5λ、望遠状態で3.5λと抑えられている。
【0028】
以下、図2の変倍光学系の数値データを提示する。
r1(正メニスカスレンズ11の物体側面の近軸曲率半径)=101.858
d1(正メニスカスレンズ11の物体側面と像側面の間隔)=3.724
r2(正メニスカスレンズ11の像側面の近軸曲率半径)=144.317
d2(正メニスカスレンズ11の像側面と両凹レンズ12の物体側面の間隔)=3.988(広角状態),74.495(望遠状態)
r3(両凹レンズ12の物体側面の近軸曲率半径)=−161.350
d3(両凹レンズ12の物体側面と像側面の間隔)=2.000
r4(両凹レンズ12の像側面の近軸曲率半径)=6113.504
d4(両凹レンズ12の像側面と絞りAの間隔)
=55.422(広角状態),0.507(望遠状態)
r5(絞りAの近軸曲率半径)=∞
d5(絞りAと正メニスカスレンズ13aの物体側面の間隔)=24.755
r6(正メニスカスレンズ13aの物体側面の近軸曲率半径)=56.202
d6(正メニスカスレンズ13aの物体側面と像側面の間隔)=2.000
r7(正メニスカスレンズ13aの像側面の近軸曲率半径)=198.694
d7(正メニスカスレンズ13aの像側面と負メニスカスレンズ13bの物体側面の間隔)=3.362
r8(負メニスカスレンズ13bの物体側面の近軸曲率半径)=−36.244
d8(負メニスカスレンズ13bの物体側面と像側面の間隔)=7.000
r9(負メニスカスレンズ13bの像側面の近軸曲率半径)=−39.507
d9(負メニスカスレンズ13bの像側面と結像面Iの間隔)
=28.114(広角状態),12.522(望遠状態)
【0029】
なお、正メニスカスレンズ11の像側面の非球面係数は、A4=4.050e−08,A6=1.242e−12,A8=−9.935e−17であり、正メニスカスレンズ13aの像側面の非球面係数は、A4=1.1302e−07,A6=8.299e−10,A8=−2.690e−12である。
【0030】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ11と、負の屈折力を有する両凹レンズ12と、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ13a及び負の屈折力を有する負メニスカスレンズ13bとから光学系を構成して、正メニスカスレンズ11,13a及び両凹レンズ12の原料としてゲルマニウムGeを用い、負メニスカスレンズ13bの原料としてセレン化亜鉛ZnSeを用いるように構成したので、上記実施の形態1よりも明るく良好な解像度特性が得られる効果を奏する。
【0031】
なお、この実施の形態2では、負メニスカスレンズ13bの原料としてセレン化亜鉛ZnSeを用いるものについて示したが、ゲルマニウムGeよりも分散能が大きな材料であれば、セレン化亜鉛ZnSeに限るものではなく、例えば、半導体(ZnS,CdTe,GaAs)、アルカリ土類フロライド(CaF2,BaF2,MgF2)、アルカリハライド(NaCl,KCl)、カルコゲナイドガラスなどを用いてもよい。
【0032】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3による変倍光学装置を示す構成図であり、図において、物体側に凸面が向けられている正メニスカスレンズ21は、原料がゲルマニウムGeから成る正の屈折力を有する第1レンズG1を構成している。正メニスカスレンズ21の像側に設置されている両凹レンズ22a(負屈折力レンズ)は、原料がゲルマニウムGeから成り、負の屈折力を有する。ただし、両凹レンズ22aの代わりに負メニスカスレンズを使用してもよい。両凹レンズ22aの像側に設置されている負メニスカスレンズ22b(負屈折力レンズ)は、ゲルマニウムGeよりも分散能が大きな材料であるセレン化亜鉛ZnSeから成り、負の屈折力を有している。ただし、負メニスカスレンズ22bの代わりに両凹レンズを使用してもよい。なお、両凹レンズ22a及び負メニスカスレンズ22bは第2レンズG2を構成している。第2レンズG2は図示せぬ移動手段により、光軸方向に移動自在に設置位置が移動される。
【0033】
負メニスカスレンズ22bの像側に設置され、像側に凹面が向けられている正メニスカスレンズ23は、原料がゲルマニウムGeから成る正の屈折力を有する第3レンズG3を構成している。正メニスカスレンズ23は絞りAとともに図示せぬ移動手段により設置位置が移動される。
この実施の形態3では、良好な解像度性能を得るため、正メニスカスレンズ21,23の像側面を非球面状に成形し、その他の面をすべて球面状に成形している。ただし、レンズの製造方法は成形に限るものではなく、研磨、研削、切削、エッチングなどであってもよい。
また、正メニスカスレンズ21,23の像側面ではなく、物体側面又は両面を非球面形状にしても良好な解像度性能を得ることができる。
【0034】
次に動作について説明する。
この実施の形態3では、F値が1.5であって、焦点距離が20〜100mmである変倍比5倍の変倍光学系を想定する。なお、望遠状態での半画角は1.7度であり、波長範囲は8.5μm〜11.5μmである。
広角状態と望遠状態の違いは、第2レンズG2ならびに第3レンズG3の位置である。第2レンズG2を光軸方向に移動することにより変倍機能が得られる。変倍に際して、最も大きな径を有する正メニスカスレンズ21、ならびに結像面Iに設置された図示せぬ光電変換素子を固定としている。すなわち、正メニスカスレンズ21の物体側面から結像面Iまでの距離は不変であり、本実施例では182mmであり、望遠状態の焦点距離に対して1.8倍である。
また、第2レンズG2を光軸方向に移動することにより為される変倍に伴い発生するピントずれを補償するピント調整、ならびに有限距離の被写体に対するピント調整は、絞りAと第3レンズG3である正メニスカスレンズ23とを光軸方向に移動することにより為される。ただし、絞りAを固定として、第3レンズG3のみを移動してもよい。
【0035】
第2レンズG2に負の屈折力を有する負メニスカスレンズ22bを加えることにより、負メニスカスレンズ22bで発生する色収差によって、両凹レンズ22aで発生する残留色収差を抑制することができる。したがって、変倍光学系の色収差をさらに抑えて良好な解像度特性が得られる。
このように、高屈折率で低分散なレンズ材料であるゲルマニウムGeと、このレンズ材料より分散能が大きなレンズ材料であるセレン化亜鉛ZnSeとを選択し、負メニスカスレンズ22bの屈折力を負に設定することにより、この変倍光学系における光軸上及び軸外端に形成される光学像のスポット径は、広角状態でそれぞれ1.1λ,2.7λ、望遠状態でそれぞれ0.7λ,1.6λと小さく、良好な解像度特性が得られる。使用波長範囲において、光軸上の像位置の光軸方向の移動が広角状態で1.2λ、望遠状態で1.6λと抑えられている。
【0036】
以下、図3の変倍光学系の数値データを提示する。
r1(正メニスカスレンズ21の物体側面の近軸曲率半径)=103.962
d1(正メニスカスレンズ21の物体側面と像側面の間隔)=3.309
r2(正メニスカスレンズ21の像側面の近軸曲率半径)=129.680
d2(正メニスカスレンズ21の像側面と両凹レンズ22aの物体側面の間隔)
=16.367(広角状態),100.147(望遠状態)
r3(両凹レンズ22aの物体側面の近軸曲率半径)=−325.533
d3(両凹レンズ22aの物体側面と像側面の間隔)=2.000
r4(両凹レンズ22aの像側面の近軸曲率半径)=444.845
d4(両凹レンズ22aの像側面と負メニスカスレンズ22bの物体側面の間隔)=2.653
r5(負メニスカスレンズ22bの物体側面の近軸曲率半径)=−40.343
d5(負メニスカスレンズ22bの物体側面と像側面の間隔)=2.341
r6(負メニスカスレンズ22bの像側面の近軸曲率半径)=−47.078
d6(負メニスカスレンズ22bの像側面と絞りAの間隔)
=78.817(広角状態),0.500(望遠状態)
r7(絞りAの近軸曲率半径)=∞
d7(絞りAと正メニスカスレンズ23の物体側面の間隔)=32.432
r8(正メニスカスレンズ23の物体側面の近軸曲率半径)=51.329
d8(正メニスカスレンズ23の物体側面と像側面の間隔)=2.081
r9(正メニスカスレンズ23の像側面の近軸曲率半径)=96.598
d9(正メニスカスレンズ23の像側面と結像面の間隔)
=41.893(広角状態),36.430(望遠状態)
【0037】
なお、正メニスカスレンズ21の像側面の非球面係数は、A4=5.750e−08 ,A6=1.529e−12,A8=6.464e−17であり、正メニスカスレンズ23の像側面の非球面係数は、A4=5.174e−7,A6=−3.969e−11,A8=1.248e−13である。
【0038】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ21と、負の屈折力を有する両凹レンズ22a及び負メニスカスレンズ22bと、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ23とから光学系を構成して、正メニスカスレンズ21,23及び両凹レンズ22aの原料としてゲルマニウムGeを用い、負メニスカスレンズ22bの原料としてセレン化亜鉛ZnSeを用いるように構成したので、上記実施の形態1よりも明るく良好な解像度特性が得られる効果を奏する。
【0039】
なお、この実施の形態3では、負メニスカスレンズ22bの原料としてセレン化亜鉛ZnSeを用いるものについて示したが、ゲルマニウムGeよりも分散能が大きな材料であれば、セレン化亜鉛ZnSeに限るものではなく、例えば、半導体(ZnS,CdTe,GaAs)、アルカリ土類フロライド(CaF2,BaF2,MgF2)、アルカリハライド(NaCl,KCl)、カルコゲナイドガラスなどを用いてもよい。
【0040】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4による変倍光学装置を示す構成図であり、図において、物体側に凸面が向けられている正メニスカスレンズ31は、原料がゲルマニウムGeから成る正の屈折力を有する第1レンズG1を構成している。正メニスカスレンズ31の像側において光軸方向に移動自在に設置されている両凹レンズ32は、原料がゲルマニウムGeから成る負の屈折力を有する第2レンズG2を構成している。両凹レンズ32は図示せぬ移動手段により設置位置が移動される。
両凹レンズ32の像側に設置され、像側に凹面が向けられている正メニスカスレンズ33は、原料がゲルマニウムGeから成る正の屈折力を有する第3レンズG3を構成している。正メニスカスレンズ33は絞りAとともに図示せぬ移動手段により設置位置が移動される。
【0041】
なお、この実施の形態4では、良好な解像度性能を得るため、正メニスカスレンズ31,33の像側面を非球面状に成形し、また、正メニスカスレンズ33の像側面に正の屈折力を有する焦点距離12345mmの回折光学素子を設けている。その他の面はすべて球面状に成形している。ただし、レンズの製造方法は成形に限るものではなく、研磨、研削、切削、エッチングなどであってもよい。
また、正メニスカスレンズ31,33の像側面ではなく、物体側面又は両面を非球面形状にしても良好な解像度性能を得ることができる。また、正メニスカスレンズ33の像側面ではなく、物体側面に回折光学素子を設けてもよいし、正メニスカスレンズ31又は両凹レンズ32の像側面又は物体側面に回折光学素子を設けてもよい。
【0042】
次に動作について説明する。
この実施の形態4では、F値が1.55であって、焦点距離が20〜100mmである変倍比5倍の変倍光学系を想定する。なお、望遠状態での半画角は1.7度であり、波長範囲は8.5μm〜11.5μmである。
広角状態と望遠状態の違いは、第2レンズG2である両凹レンズ32ならびに第3レンズG3のである正メニスカスレンズ33の位置である。両凹レンズ32を光軸方向に移動することにより変倍機能が得られる。最も大きな径を有する正メニスカスレンズ31、ならびに結像面Iに設置された図示せぬ光電変換素子を固定としている。本実施例では174mmであり、望遠状態の焦点距離に対して1.7倍である。
また、両凹レンズ32を光軸方向に移動することにより為される変倍に伴い発生するピントずれを補償するピント調整、ならびに有限距離の被写体に対するピント調整は、絞りAと正メニスカスレンズ33とを光軸方向に移動することにより為される。ただし、絞りAを固定として、正メニスカスレンズ33のみを移動してもよい。
【0043】
良く知られているように回折光学素子の分散能は負の値を有するので、第3レンズG3である正メニスカスレンズ33に、正の屈折力を有する回折光学素子を加えることにより、正メニスカスレンズ33で発生する残留色収差を抑制することができる。したがって、変倍光学系の色収差をさらに抑えて良好な解像度特性が得られる。
【0044】
このように、高屈折率で低分散なレンズ材料であるゲルマニウムGeを選択し、このレンズで発生する残留色収差を回折光学素子で打ち消すことにより、この変倍光学系における光軸上及び軸外端に形成される光学像のスポット径は、広角状態でそれぞれ0.9λ,3.0λ、望遠状態でそれぞれ1.3λ,2.1λと小さく、良好な解像度特性が得られる。使用波長範囲において、光軸上の像位置の光軸方向の移動が広角状態で2.3λ、望遠状態で3.6λと抑えられている。
【0045】
以下、図4の変倍光学系の数値データを提示する。
r1(正メニスカスレンズ31の物体側面の近軸曲率半径)=87.888
d1(正メニスカスレンズ31の物体側面と像側面の間隔)=3.601
r2(正メニスカスレンズ31の像側面の近軸曲率半径)=113.244
d2(正メニスカスレンズ31の像側面と両凹レンズ32の物体側面の間隔)=36.201(広角状態),79.176(望遠状態)
r3(両凹レンズ32の物体側面の近軸曲率半径)=−369.530
d3(両凹レンズ32の物体側面と像側面の間隔)=2.000
r4(両凹レンズ32の像側面の近軸曲率半径)=89.919
d4(両凹レンズ32の像側面と絞りAの間隔)
=44.240(広角状態),1.066(望遠状態)
r5(絞りAの近軸曲率半径)=∞
d5(絞りAと正メニスカスレンズ33の物体側面の間隔)=41.108
r6(正メニスカスレンズ33の物体側面の近軸曲率半径)=66.234
d6(正メニスカスレンズ33の物体側面と像側面の間隔)=2.850
r7(正メニスカスレンズ33の像側面の近軸曲率半径)=192.389
d7(正メニスカスレンズ33の像側面と結像面の間隔)
=44.403(広角状態),44.602(望遠状態)
【0046】
なお、正メニスカスレンズ31の像側面の非球面係数は、A4=8.663e−08,A6=3.682e−12,A8=7.390e−17であり、正メニスカスレンズ33の像側面の非球面係数は、A4=5.147E−07,A6=−1.298E−10,A8=1.284E−13である。
【0047】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ31と、負の屈折力を有する両凹レンズ32と、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ33とから光学系を構成して、正メニスカスレンズ33の像側面に正の屈折力を有する回折光学素子を設けたので、上記実施の形態1よりも明るく良好な解像度特性が得られる効果を奏する。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズとから光学系を構成して、第1、第2及び第3レンズの原料としてゲルマニウムを用いるように構成したので、広角状態であっても望遠状態であっても、明るく、かつ、良好な解像度特性が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による変倍光学装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態2による変倍光学装置を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態3による変倍光学装置を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態4による変倍光学装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 正メニスカスレンズ(第1レンズ)、2 両凹レンズ(第2レンズ)、3正メニスカスレンズ(第3レンズ)、11 正メニスカスレンズ(第1レンズ)、12 両凹レンズ(第2レンズ)、13a 正メニスカスレンズ(正屈折力レンズ、第3レンズ)、13b 負メニスカスレンズ(負屈折力レンズ、第3レンズ)、21 正メニスカスレンズ(第1レンズ)、22a 両凹レンズ(負屈折力レンズ、第2レンズ)、22b 負メニスカスレンズ(負屈折力レンズ、第2レンズ)、23 正メニスカスレンズ(第3レンズ)、31 正メニスカスレンズ(第1レンズ)、32 両凹レンズ(第2レンズ)、33 正メニスカスレンズ(第3レンズ)。
【発明の属する技術分野】
この発明は、広角状態での撮像と望遠状態での撮像を受け付ける変倍光学装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
撮像に用いられる光学系の役割は、被写体の光学像を像平面上に形成することである。被写体の光学像は、光電変換素子などにより電気信号に変換され、被写体画像信号として、記憶手段、処理手段、表示手段などに引き渡される。
より鮮明な画像を得るには、光学系の性能として十分な解像度特性が求められる。また、光を検出するには十分な光量で結像する必要がある。そのため、広い波長範囲の光を利用したり、開口径を大きくしたりする。広い波長範囲の光を利用するには、レンズ材料の屈折率の波長依存性に起因する収差を抑えなければならず、いわゆる「色消し」がなされた光学系が求められる。開口径を大きくするには、F値(レンズの焦点距離を絞りの直径で割ったもの)を小さくし、いわゆる「明るい」光学系であることが求められる。
【0003】
また、光学系には上記のような性能の他にも機能が求められる。その代表的なものが変倍機能である。遠い被写体の詳細を画像化する場合には、焦点距離を長くして望遠状態で撮像し、広い視野範囲を画像化する場合には、焦点距離を短くして広角状態で撮像する。
変倍機能を有する構成として、レンズの2群構成が知られており、例えば、以下の特許文献1に記載されている。このような2群構成の変倍光学装置はシンプルな構成であるという利点があるが、変倍比を大きくとれないことやF値を小さくできないなどの課題がある。
【0004】
2群構成の変倍光学装置と比べて、3群構成の変倍光学装置は、変倍比を大きくできて、F値が小さい明るい光学系が得られる。例えば、以下の特許文献2に記載されている光学系は、F値が2.8で、物体側から順に、均質媒質の単レンズ1枚のみからなる正の屈折力を有する第1レンズと、均質媒質の単レンズ1枚のみからなる負の屈折力を有する第2レンズと、均質媒質の単レンズ1枚のみからなる正の屈折力を有する第3レンズから構成されている。
変倍動作は、第2レンズと絞りと第3レンズとを光軸方向に個々別々の移動量で移動することにより、変倍比3.0(焦点距離4mm〜12mm)が得られる。変倍に際して、第1レンズの物体側面から像側面までの距離が不変であって37mmであり、望遠状態の焦点距離に対して3.1倍である。
【0005】
この光学系は、光軸上に形成される光学像のスポット径が20λ以上、軸外端のスポット径が40λ以上と非常に大きく、十分な解像度特性とは言えない。ここで、λは代表波長であり、特許文献2では0.587μmである。スポット径がこれ程までに大きくなる理由は、使用波長範囲(0.486μm〜0.656μm、代表波長0.587μmに対して約0.3倍の波長幅)において、光軸上の像位置が光軸方向に200λ以上も移動するためである。即ち、3群構成の変倍光学系は十分に色消しがなされておらず、その結果として十分な解像度特性が得られていないのである。
また、F値2.8は、十分な明るさとは言えず、特に被写体から発せられる微小な光エネルギーを捉える赤外線カメラには不十分である。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−141998公報(第3頁から第4頁、図1)
【特許文献2】
特開2001−141996公報(第3頁から第4頁、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の変倍光学装置は以上のように構成されているので、2群構成と比べれば、変倍比を大きくできて、F値が小さい明るい光学系が得られる。しかし、3群構成のレンズの原料を特に考慮していないため、各レンズの屈折率が小さく(例えば、1.516,1.525)、かつ、分散能が大きく(例えば、0.156,0179)なり、その結果、十分に明るくて、色収差が小さい良好な解像度特性が得られないなどの課題があった。
【0008】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、広角状態であっても望遠状態であっても、明るく、かつ、良好な解像度特性が得られる変倍光学装置を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る変倍光学装置は、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズとから光学系を構成して、第1、第2及び第3レンズの原料としてゲルマニウムを用いたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による変倍光学装置を示す構成図であり、図において、物体側に凸面が向けられている正メニスカスレンズ1は、原料がゲルマニウムGeから成る正の屈折力を有する第1レンズG1を構成している。正メニスカスレンズ1の像側において光軸方向に移動自在に設置されている両凹レンズ2は、原料がゲルマニウムGeから成る負の屈折力を有する第2レンズG2を構成している。両凹レンズ2は図示せぬ移動手段により設置位置が移動される。
【0011】
両凹レンズ2の像側に設置され、像側に凹面が向けられている正メニスカスレンズ3は、原料がゲルマニウムGeから成る正の屈折力を有する第3レンズG3を構成している。正メニスカスレンズ3は図示せぬ移動手段により設置位置が移動される。図中、Aは絞りを表し、Iは結像面を表している。
なお、この実施の形態1では、良好な解像度性能を得るため、正メニスカスレンズ1,3の像側面を非球面状に成形し、その他の面をすべて球面状に成形している。ただし、レンズの製造方法は成形に限るものではなく、研磨、研削、切削、エッチングなどであってもよい。
また、正メニスカスレンズ1,3の像側面ではなく、物体側面又は両面を非球面形状にしても良好な解像度性能を得ることができる。
【0012】
次に動作について説明する。
光学系を明るくするには開口径を大きくする必要がある。ザイデル収差と呼ばれるレンズで発生する収差は、球面収差が開口径の3乗に比例し、コマ収差が開口径の2乗に比例し、非点収差が開口径の1乗に比例することが知られている。このように、光学系を明るくしようとすると、それに伴って各レンズで発生する収差が増大するため、光学系全体としての収差を抑えて良好な解像度特性を得るのが困難になる。このことが変倍光学系の明るさを制限している理由である。
【0013】
一方、レンズで発生する収差は、レンズの屈折率と、レンズ間の中間媒質の屈折率との差が大きい程、小さくすることができることが知られている。多くの場合、中間媒質は空気であり、その屈折率は概略1に等しい。また、レンズ材料の屈折率は1以上の正の値である。従って、より屈折率が大きなレンズ材料を選択すれば、レンズで発生する収差を抑えることができる。
【0014】
ここで、上記の特許文献2の変倍光学系では、屈折率が小さなレンズ材料を使用しているため(屈折率が1.516と1.525のレンズ材料)、レンズで発生する収差を抑えることができず、F値が2.8に限られている。
これに対して、この実施の形態1では、高屈折率な物質であるゲルマニウムGeをレンズの原料にしているので、屈折率が4以上のレンズが得られる。その結果、レンズで発生する収差を抑えることができるため、F値が小さい明るい光学系を実現することができる。
【0015】
また、光学系の解像度特性を向上するためには色収差を抑制する必要があるが、上記の特許文献2の変倍光学系では、分散能が大きなレンズ材料を使用しているため(分散能が0.0156と0.0179のレンズ材料)、レンズで発生する色収差を抑えることができず、光軸上の像位置が光軸方向に200λ以上も移動する。そのため、光軸上に形成される光学像のスポット径が20λ以上、軸外端のスポット径が40λ以上と非常に大きくなっている。
これに対して、この実施の形態1では、低分散な物質であるゲルマニウムGeをレンズの原料にしているので、分散能が0.001以下のレンズが得られる。その結果、レンズで発生する色収差を抑えることができるため、良好な解像度特性の光学系を実現することができる。
【0016】
具体的には下記の通りである。
この実施の形態1では、F値が1.795であって、焦点距離が20〜100mmである変倍比5倍の変倍光学系を想定する。なお、望遠状態での半画角は1.7度であり、波長範囲は8.5μm〜11.5μmである。
広角状態と望遠状態の違いは、第2レンズG2である両凹レンズ2の位置であり、両凹レンズ2を光軸方向に移動することにより変倍機能が得られる。変倍に際して、最も大きな径を有する正メニスカスレンズ1、ならびに結像面Iに設置され電気配線が施された図示せぬ光電変換素子を固定としている。すなわち、正メニスカスレンズ1の物体側面から結像面Iまでの距離は不変であり、本実施例では165mmであり、望遠状態の焦点距離に対して約1.7倍である。
また、両凹レンズ2を光軸方向に移動することにより為される変倍に伴い発生するピントずれを補償するピント調整、ならびに有限距離の被写体に対するピント調整は、第3レンズG3である正メニスカスレンズ3を光軸方向に移動することにより為される。ただし、ピント調整は絞りAと第3レンズG3とを同時に移動して行ってもよい。
【0017】
ゲルマニウムGeの屈折率は、波長8.5μmで4.00454、波長10.0μmで4.00316、波長11.5μmで4.00245である。これより計算される分散能は0.00070であり、高屈折率で低分散な材料である。
このような材料をレンズ材料として選択することにより、変倍光学系における光軸上及び軸外端に形成される光学像のスポット径は、広角状態でそれぞれ0.9λ,1.8λ、望遠状態でそれぞれ1.4λ,1.8λと小さく、良好な解像度特性が得られる。ここで、λは代表波長であり、10μmである。使用波長範囲(8.5μm〜11.5μm、代表波長10μmに対して0.3倍の波長幅)において、光軸上の像位置の光軸方向の移動が広角状態で0.9λ、望遠状態で4.8λと抑えられている。
【0018】
以下、図1の変倍光学系の数値データを提示する。
非球面形状では、zを光の進行方向を正とする光軸とし、yを光軸と直交する方向にとると、下記の式にて表される。
z=1/(2×r)×y2+A4×y4+A6×y6+A8×y8
ただし、rは近軸曲率半径、A4、A6、A8はそれぞれ4次、6次、8次の非球面係数である。
【0019】
r1(正メニスカスレンズ1の物体側面の近軸曲率半径)=91.181
d1(正メニスカスレンズ1の物体側面と像側面の間隔)=3.462
r2(正メニスカスレンズ1の像側面の近軸曲率半径)=118.511
d2(正メニスカスレンズ1の像側面と両凹レンズ2の物体側面の間隔)
=54.288(広角状態),88.696(望遠状態)
r3(両凹レンズ2の物体側面の近軸曲率半径)=−140.746
d3(両凹レンズ2の物体側面と像側面の間隔)=2.000
r4(両凹レンズ2の像側面の近軸曲率半径)=99.112
d4(両凹レンズ2の像側面と絞りAの間隔)
=35.141(広角状態),0.734(望遠状態)
r5(絞りAの近軸曲率半径)=∞
d5(絞りAと正メニスカスレンズ3の物体側面の間隔)=33.007
r6(正メニスカスレンズ3の物体側面の近軸曲率半径)=52.023
d6(正メニスカスレンズ3の物体側面と像側面の間隔)=2.102
r7(正メニスカスレンズ3の像側面の近軸曲率半径)=151.267
d7(正メニスカスレンズ3の像側面と結像面Iの間隔)=34.805
【0020】
なお、正メニスカスレンズ1の像側面の非球面係数は、A4=7.611−08,A6=3.756e−12,A8=−1.225e−16であり、正メニスカスレンズ3の像側面の非球面係数は、A4=1.004e−6,A6=−1.719e−10,A8=1.179e−13である。
【0021】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ1と、負の屈折力を有する両凹レンズ2と、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ3とから光学系を構成して、正メニスカスレンズ1,3及び両凹レンズ2の原料としてゲルマニウムGeを用いるように構成したので、広角状態であっても望遠状態であっても、明るく、かつ、良好な解像度特性が得られる効果を奏する。
【0022】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2による変倍光学装置を示す構成図であり、図において、物体側に凸面が向けられている正メニスカスレンズ11は、原料がゲルマニウムGeから成る正の屈折力を有する第1レンズG1を構成している。正メニスカスレンズ11の像側において光軸方向に移動自在に設置されている両凹レンズ12は、原料がゲルマニウムGeから成る負の屈折力を有する第2レンズG2を構成している。両凹レンズ12は図示せぬ移動手段により設置位置が移動される。
【0023】
両凹レンズ12の像側に設置され、像側に凹面が向けられている正メニスカスレンズ13a(正屈折力レンズ)は、原料がゲルマニウムGeから成り、正の屈折力を有している。ただし、正メニスカスレンズ13aの代わりに両凸レンズを使用してもよい。負メニスカスレンズ13b(負屈折力レンズ)は、ゲルマニウムGeよりも分散能が大きな材料であるセレン化亜鉛ZnSeから成り、負の屈折力を有している。ただし、負メニスカスレンズ13bの代わりに両凹レンズを使用してもよい。なお、正メニスカスレンズ13a及び負メニスカスレンズ13bから正の屈折力を有する第3レンズG3を構成している。また、第3レンズG3は絞りAとともに図示せぬ移動手段により設置位置が移動される。
【0024】
この実施の形態2では、良好な解像度性能を得るため、正メニスカスレンズ11,13aの像側面を非球面状に成形し、その他の面をすべて球面状に成形している。ただし、レンズの製造方法は成形に限るものではなく、研磨、研削、切削、エッチングなどであってもよい。
また、正メニスカスレンズ11,13aの像側面ではなく、物体側面又は両面を非球面形状にしても良好な解像度性能を得ることができる。
【0025】
次に動作について説明する。
この実施の形態2では、F値が1.6であって、焦点距離が20〜100mmである変倍比5倍の変倍光学系を想定する。なお、望遠状態での半画角は1.7度であり、波長範囲は8.5μm〜11.5μmである。
広角状態と望遠状態の違いは、第2レンズG2ならびに第3レンズG3の位置である。両凹レンズ12を光軸方向に移動することにより変倍機能が得られる。変倍に際して、最も大きな径を有する正メニスカスレンズ11、ならびに結像面Iに設置された図示せぬ光電変換素子を固定としている。すなわち、正メニスカスレンズ11の物体側面から結像面Iまでの距離は不変であり、本実施例では130mmであり、望遠状態の焦点距離に対して1.3倍である。
また、両凹レンズ12を光軸方向に移動することにより為される変倍に伴い発生するピントずれを補償するピント調整、ならびに有限距離の被写体に対するピント調整は、絞りAと第3レンズG3とを光軸方向に移動することにより為される。ただし、絞りAを固定として、第3レンズG3のみを移動してもよい。
【0026】
負メニスカスレンズ13bの原料であるセレン化亜鉛ZnSeの屈折率は、波長8.5μmで2.41484、波長10.0μmで2.40652、波長11.5μmで2.39665であり、これより計算される分散能は0.0129である。第3レンズG3に負の屈折力を有する負メニスカスレンズ13bを加えることにより、負メニスカスレンズ13bで発生する色収差によって、正メニスカスレンズ13aで発生する残留色収差を抑制することができる。したがって、変倍光学系の色収差をさらに抑えて良好な解像度特性が得られる。
【0027】
このように、高屈折率で低分散なレンズ材料であるゲルマニウムGeと、このレンズ材料より分散能が大きなレンズ材料であるセレン化亜鉛ZnSeとを選択し、負メニスカスレンズ13bの屈折力を負に設定することにより、この変倍光学系における光軸上及び軸外端に形成される光学像のスポット径は、広角状態でそれぞれ0.7λ,1.9λ、望遠状態でそれぞれ1.0λ,2.7λと小さく、良好な解像度特性が得られる。使用波長範囲において、光軸上の像位置の光軸方向の移動が広角状態で1.5λ、望遠状態で3.5λと抑えられている。
【0028】
以下、図2の変倍光学系の数値データを提示する。
r1(正メニスカスレンズ11の物体側面の近軸曲率半径)=101.858
d1(正メニスカスレンズ11の物体側面と像側面の間隔)=3.724
r2(正メニスカスレンズ11の像側面の近軸曲率半径)=144.317
d2(正メニスカスレンズ11の像側面と両凹レンズ12の物体側面の間隔)=3.988(広角状態),74.495(望遠状態)
r3(両凹レンズ12の物体側面の近軸曲率半径)=−161.350
d3(両凹レンズ12の物体側面と像側面の間隔)=2.000
r4(両凹レンズ12の像側面の近軸曲率半径)=6113.504
d4(両凹レンズ12の像側面と絞りAの間隔)
=55.422(広角状態),0.507(望遠状態)
r5(絞りAの近軸曲率半径)=∞
d5(絞りAと正メニスカスレンズ13aの物体側面の間隔)=24.755
r6(正メニスカスレンズ13aの物体側面の近軸曲率半径)=56.202
d6(正メニスカスレンズ13aの物体側面と像側面の間隔)=2.000
r7(正メニスカスレンズ13aの像側面の近軸曲率半径)=198.694
d7(正メニスカスレンズ13aの像側面と負メニスカスレンズ13bの物体側面の間隔)=3.362
r8(負メニスカスレンズ13bの物体側面の近軸曲率半径)=−36.244
d8(負メニスカスレンズ13bの物体側面と像側面の間隔)=7.000
r9(負メニスカスレンズ13bの像側面の近軸曲率半径)=−39.507
d9(負メニスカスレンズ13bの像側面と結像面Iの間隔)
=28.114(広角状態),12.522(望遠状態)
【0029】
なお、正メニスカスレンズ11の像側面の非球面係数は、A4=4.050e−08,A6=1.242e−12,A8=−9.935e−17であり、正メニスカスレンズ13aの像側面の非球面係数は、A4=1.1302e−07,A6=8.299e−10,A8=−2.690e−12である。
【0030】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ11と、負の屈折力を有する両凹レンズ12と、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ13a及び負の屈折力を有する負メニスカスレンズ13bとから光学系を構成して、正メニスカスレンズ11,13a及び両凹レンズ12の原料としてゲルマニウムGeを用い、負メニスカスレンズ13bの原料としてセレン化亜鉛ZnSeを用いるように構成したので、上記実施の形態1よりも明るく良好な解像度特性が得られる効果を奏する。
【0031】
なお、この実施の形態2では、負メニスカスレンズ13bの原料としてセレン化亜鉛ZnSeを用いるものについて示したが、ゲルマニウムGeよりも分散能が大きな材料であれば、セレン化亜鉛ZnSeに限るものではなく、例えば、半導体(ZnS,CdTe,GaAs)、アルカリ土類フロライド(CaF2,BaF2,MgF2)、アルカリハライド(NaCl,KCl)、カルコゲナイドガラスなどを用いてもよい。
【0032】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3による変倍光学装置を示す構成図であり、図において、物体側に凸面が向けられている正メニスカスレンズ21は、原料がゲルマニウムGeから成る正の屈折力を有する第1レンズG1を構成している。正メニスカスレンズ21の像側に設置されている両凹レンズ22a(負屈折力レンズ)は、原料がゲルマニウムGeから成り、負の屈折力を有する。ただし、両凹レンズ22aの代わりに負メニスカスレンズを使用してもよい。両凹レンズ22aの像側に設置されている負メニスカスレンズ22b(負屈折力レンズ)は、ゲルマニウムGeよりも分散能が大きな材料であるセレン化亜鉛ZnSeから成り、負の屈折力を有している。ただし、負メニスカスレンズ22bの代わりに両凹レンズを使用してもよい。なお、両凹レンズ22a及び負メニスカスレンズ22bは第2レンズG2を構成している。第2レンズG2は図示せぬ移動手段により、光軸方向に移動自在に設置位置が移動される。
【0033】
負メニスカスレンズ22bの像側に設置され、像側に凹面が向けられている正メニスカスレンズ23は、原料がゲルマニウムGeから成る正の屈折力を有する第3レンズG3を構成している。正メニスカスレンズ23は絞りAとともに図示せぬ移動手段により設置位置が移動される。
この実施の形態3では、良好な解像度性能を得るため、正メニスカスレンズ21,23の像側面を非球面状に成形し、その他の面をすべて球面状に成形している。ただし、レンズの製造方法は成形に限るものではなく、研磨、研削、切削、エッチングなどであってもよい。
また、正メニスカスレンズ21,23の像側面ではなく、物体側面又は両面を非球面形状にしても良好な解像度性能を得ることができる。
【0034】
次に動作について説明する。
この実施の形態3では、F値が1.5であって、焦点距離が20〜100mmである変倍比5倍の変倍光学系を想定する。なお、望遠状態での半画角は1.7度であり、波長範囲は8.5μm〜11.5μmである。
広角状態と望遠状態の違いは、第2レンズG2ならびに第3レンズG3の位置である。第2レンズG2を光軸方向に移動することにより変倍機能が得られる。変倍に際して、最も大きな径を有する正メニスカスレンズ21、ならびに結像面Iに設置された図示せぬ光電変換素子を固定としている。すなわち、正メニスカスレンズ21の物体側面から結像面Iまでの距離は不変であり、本実施例では182mmであり、望遠状態の焦点距離に対して1.8倍である。
また、第2レンズG2を光軸方向に移動することにより為される変倍に伴い発生するピントずれを補償するピント調整、ならびに有限距離の被写体に対するピント調整は、絞りAと第3レンズG3である正メニスカスレンズ23とを光軸方向に移動することにより為される。ただし、絞りAを固定として、第3レンズG3のみを移動してもよい。
【0035】
第2レンズG2に負の屈折力を有する負メニスカスレンズ22bを加えることにより、負メニスカスレンズ22bで発生する色収差によって、両凹レンズ22aで発生する残留色収差を抑制することができる。したがって、変倍光学系の色収差をさらに抑えて良好な解像度特性が得られる。
このように、高屈折率で低分散なレンズ材料であるゲルマニウムGeと、このレンズ材料より分散能が大きなレンズ材料であるセレン化亜鉛ZnSeとを選択し、負メニスカスレンズ22bの屈折力を負に設定することにより、この変倍光学系における光軸上及び軸外端に形成される光学像のスポット径は、広角状態でそれぞれ1.1λ,2.7λ、望遠状態でそれぞれ0.7λ,1.6λと小さく、良好な解像度特性が得られる。使用波長範囲において、光軸上の像位置の光軸方向の移動が広角状態で1.2λ、望遠状態で1.6λと抑えられている。
【0036】
以下、図3の変倍光学系の数値データを提示する。
r1(正メニスカスレンズ21の物体側面の近軸曲率半径)=103.962
d1(正メニスカスレンズ21の物体側面と像側面の間隔)=3.309
r2(正メニスカスレンズ21の像側面の近軸曲率半径)=129.680
d2(正メニスカスレンズ21の像側面と両凹レンズ22aの物体側面の間隔)
=16.367(広角状態),100.147(望遠状態)
r3(両凹レンズ22aの物体側面の近軸曲率半径)=−325.533
d3(両凹レンズ22aの物体側面と像側面の間隔)=2.000
r4(両凹レンズ22aの像側面の近軸曲率半径)=444.845
d4(両凹レンズ22aの像側面と負メニスカスレンズ22bの物体側面の間隔)=2.653
r5(負メニスカスレンズ22bの物体側面の近軸曲率半径)=−40.343
d5(負メニスカスレンズ22bの物体側面と像側面の間隔)=2.341
r6(負メニスカスレンズ22bの像側面の近軸曲率半径)=−47.078
d6(負メニスカスレンズ22bの像側面と絞りAの間隔)
=78.817(広角状態),0.500(望遠状態)
r7(絞りAの近軸曲率半径)=∞
d7(絞りAと正メニスカスレンズ23の物体側面の間隔)=32.432
r8(正メニスカスレンズ23の物体側面の近軸曲率半径)=51.329
d8(正メニスカスレンズ23の物体側面と像側面の間隔)=2.081
r9(正メニスカスレンズ23の像側面の近軸曲率半径)=96.598
d9(正メニスカスレンズ23の像側面と結像面の間隔)
=41.893(広角状態),36.430(望遠状態)
【0037】
なお、正メニスカスレンズ21の像側面の非球面係数は、A4=5.750e−08 ,A6=1.529e−12,A8=6.464e−17であり、正メニスカスレンズ23の像側面の非球面係数は、A4=5.174e−7,A6=−3.969e−11,A8=1.248e−13である。
【0038】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ21と、負の屈折力を有する両凹レンズ22a及び負メニスカスレンズ22bと、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ23とから光学系を構成して、正メニスカスレンズ21,23及び両凹レンズ22aの原料としてゲルマニウムGeを用い、負メニスカスレンズ22bの原料としてセレン化亜鉛ZnSeを用いるように構成したので、上記実施の形態1よりも明るく良好な解像度特性が得られる効果を奏する。
【0039】
なお、この実施の形態3では、負メニスカスレンズ22bの原料としてセレン化亜鉛ZnSeを用いるものについて示したが、ゲルマニウムGeよりも分散能が大きな材料であれば、セレン化亜鉛ZnSeに限るものではなく、例えば、半導体(ZnS,CdTe,GaAs)、アルカリ土類フロライド(CaF2,BaF2,MgF2)、アルカリハライド(NaCl,KCl)、カルコゲナイドガラスなどを用いてもよい。
【0040】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4による変倍光学装置を示す構成図であり、図において、物体側に凸面が向けられている正メニスカスレンズ31は、原料がゲルマニウムGeから成る正の屈折力を有する第1レンズG1を構成している。正メニスカスレンズ31の像側において光軸方向に移動自在に設置されている両凹レンズ32は、原料がゲルマニウムGeから成る負の屈折力を有する第2レンズG2を構成している。両凹レンズ32は図示せぬ移動手段により設置位置が移動される。
両凹レンズ32の像側に設置され、像側に凹面が向けられている正メニスカスレンズ33は、原料がゲルマニウムGeから成る正の屈折力を有する第3レンズG3を構成している。正メニスカスレンズ33は絞りAとともに図示せぬ移動手段により設置位置が移動される。
【0041】
なお、この実施の形態4では、良好な解像度性能を得るため、正メニスカスレンズ31,33の像側面を非球面状に成形し、また、正メニスカスレンズ33の像側面に正の屈折力を有する焦点距離12345mmの回折光学素子を設けている。その他の面はすべて球面状に成形している。ただし、レンズの製造方法は成形に限るものではなく、研磨、研削、切削、エッチングなどであってもよい。
また、正メニスカスレンズ31,33の像側面ではなく、物体側面又は両面を非球面形状にしても良好な解像度性能を得ることができる。また、正メニスカスレンズ33の像側面ではなく、物体側面に回折光学素子を設けてもよいし、正メニスカスレンズ31又は両凹レンズ32の像側面又は物体側面に回折光学素子を設けてもよい。
【0042】
次に動作について説明する。
この実施の形態4では、F値が1.55であって、焦点距離が20〜100mmである変倍比5倍の変倍光学系を想定する。なお、望遠状態での半画角は1.7度であり、波長範囲は8.5μm〜11.5μmである。
広角状態と望遠状態の違いは、第2レンズG2である両凹レンズ32ならびに第3レンズG3のである正メニスカスレンズ33の位置である。両凹レンズ32を光軸方向に移動することにより変倍機能が得られる。最も大きな径を有する正メニスカスレンズ31、ならびに結像面Iに設置された図示せぬ光電変換素子を固定としている。本実施例では174mmであり、望遠状態の焦点距離に対して1.7倍である。
また、両凹レンズ32を光軸方向に移動することにより為される変倍に伴い発生するピントずれを補償するピント調整、ならびに有限距離の被写体に対するピント調整は、絞りAと正メニスカスレンズ33とを光軸方向に移動することにより為される。ただし、絞りAを固定として、正メニスカスレンズ33のみを移動してもよい。
【0043】
良く知られているように回折光学素子の分散能は負の値を有するので、第3レンズG3である正メニスカスレンズ33に、正の屈折力を有する回折光学素子を加えることにより、正メニスカスレンズ33で発生する残留色収差を抑制することができる。したがって、変倍光学系の色収差をさらに抑えて良好な解像度特性が得られる。
【0044】
このように、高屈折率で低分散なレンズ材料であるゲルマニウムGeを選択し、このレンズで発生する残留色収差を回折光学素子で打ち消すことにより、この変倍光学系における光軸上及び軸外端に形成される光学像のスポット径は、広角状態でそれぞれ0.9λ,3.0λ、望遠状態でそれぞれ1.3λ,2.1λと小さく、良好な解像度特性が得られる。使用波長範囲において、光軸上の像位置の光軸方向の移動が広角状態で2.3λ、望遠状態で3.6λと抑えられている。
【0045】
以下、図4の変倍光学系の数値データを提示する。
r1(正メニスカスレンズ31の物体側面の近軸曲率半径)=87.888
d1(正メニスカスレンズ31の物体側面と像側面の間隔)=3.601
r2(正メニスカスレンズ31の像側面の近軸曲率半径)=113.244
d2(正メニスカスレンズ31の像側面と両凹レンズ32の物体側面の間隔)=36.201(広角状態),79.176(望遠状態)
r3(両凹レンズ32の物体側面の近軸曲率半径)=−369.530
d3(両凹レンズ32の物体側面と像側面の間隔)=2.000
r4(両凹レンズ32の像側面の近軸曲率半径)=89.919
d4(両凹レンズ32の像側面と絞りAの間隔)
=44.240(広角状態),1.066(望遠状態)
r5(絞りAの近軸曲率半径)=∞
d5(絞りAと正メニスカスレンズ33の物体側面の間隔)=41.108
r6(正メニスカスレンズ33の物体側面の近軸曲率半径)=66.234
d6(正メニスカスレンズ33の物体側面と像側面の間隔)=2.850
r7(正メニスカスレンズ33の像側面の近軸曲率半径)=192.389
d7(正メニスカスレンズ33の像側面と結像面の間隔)
=44.403(広角状態),44.602(望遠状態)
【0046】
なお、正メニスカスレンズ31の像側面の非球面係数は、A4=8.663e−08,A6=3.682e−12,A8=7.390e−17であり、正メニスカスレンズ33の像側面の非球面係数は、A4=5.147E−07,A6=−1.298E−10,A8=1.284E−13である。
【0047】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ31と、負の屈折力を有する両凹レンズ32と、正の屈折力を有する正メニスカスレンズ33とから光学系を構成して、正メニスカスレンズ33の像側面に正の屈折力を有する回折光学素子を設けたので、上記実施の形態1よりも明るく良好な解像度特性が得られる効果を奏する。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズとから光学系を構成して、第1、第2及び第3レンズの原料としてゲルマニウムを用いるように構成したので、広角状態であっても望遠状態であっても、明るく、かつ、良好な解像度特性が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による変倍光学装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態2による変倍光学装置を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態3による変倍光学装置を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態4による変倍光学装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 正メニスカスレンズ(第1レンズ)、2 両凹レンズ(第2レンズ)、3正メニスカスレンズ(第3レンズ)、11 正メニスカスレンズ(第1レンズ)、12 両凹レンズ(第2レンズ)、13a 正メニスカスレンズ(正屈折力レンズ、第3レンズ)、13b 負メニスカスレンズ(負屈折力レンズ、第3レンズ)、21 正メニスカスレンズ(第1レンズ)、22a 両凹レンズ(負屈折力レンズ、第2レンズ)、22b 負メニスカスレンズ(負屈折力レンズ、第2レンズ)、23 正メニスカスレンズ(第3レンズ)、31 正メニスカスレンズ(第1レンズ)、32 両凹レンズ(第2レンズ)、33 正メニスカスレンズ(第3レンズ)。
Claims (7)
- 原料がゲルマニウムから成る正の屈折力を有する第1レンズと、上記第1レンズの像側において光軸方向に移動自在に設置され、原料がゲルマニウムから成る負の屈折力を有する第2レンズと、上記第2レンズの像側に設置され、原料がゲルマニウムから成る正の屈折力を有する第3レンズとを備えた変倍光学装置。
- 第1レンズ及び第3レンズの少なくとも一面が非球面形状であることを特徴とする請求項1記載の変倍光学装置。
- 原料がゲルマニウムから成る正の屈折力を有する第1レンズと、上記第1レンズの像側において光軸方向に移動自在に設置され、原料がゲルマニウムから成る負の屈折力を有する第2レンズと、上記第2レンズの像側に設置され、原料がゲルマニウムから成る正屈折力レンズとゲルマニウムよりも分散能が大きな材料から成る負屈折力レンズから構成されている正の屈折力を有する第3レンズとを備えた変倍光学装置。
- 第1レンズ及び正屈折力レンズの少なくとも一面が非球面形状であることを特徴とする請求項3記載の変倍光学装置。
- 原料がゲルマニウムから成る正の屈折力を有する第1レンズと、上記第1レンズの像側において光軸方向に移動自在に設置され、原料がゲルマニウムから成る負屈折力レンズとゲルマニウムよりも分散能が大きな材料から成る負屈折力レンズから構成されている負の屈折力を有する第2レンズと、上記第2レンズの像側に設置され、原料がゲルマニウムから成る正の屈折力を有する第3レンズとを備えた変倍光学装置。
- 第1レンズ及び第3レンズの少なくとも一面が非球面形状であることを特徴とする請求項5記載の変倍光学装置。
- 第1レンズ及び第3レンズの少なくとも一面が非球面形状であり、かつ、上記第1,第2又は第3レンズの像側面又は物体側面に正の屈折力を有する回折光学素子を設けたことを特徴とする請求項1記載の変倍光学装置。
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