JP2004265558A - 磁気転写用マスター担体の作製方法 - Google Patents

磁気転写用マスター担体の作製方法 Download PDF

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一弘 新妻
Shoichi Nishikawa
正一 西川
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Abstract

【課題】磁気転写用マスター担体を作製する際に、凹凸パターンの複製のために金属製の原盤に電鋳で金属盤の積層した後の、剥離性を改善するとともに、原盤の耐久性を改善し、複版数の増大を図る。
【解決手段】情報に応じた凹凸パターンPが形成されたNi製の金属原盤16に、Ni電鋳により所定厚さの金属盤17を積層し、原盤16より剥離した金属盤17を所定形状に加工してマスター基板2とする際に、予め電鋳前に、原盤16の表面に金属盤17と剥離させる硬質剥離膜15を形成し、硬度を高める。また、剥離時に破壊する樹脂膜による破壊剥離層を形成してもよい。この場合には導電膜を積層するのが好ましい。原盤16の削れを阻止し、剥離性が高まる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転写情報が担持されたマスター担体から転写を受けるスレーブ媒体へ磁気転写する磁気転写方法に使用する磁気転写用マスター担体の作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明の対象とする磁気転写は、少なくとも表層に磁性層を有するサーボ信号等の転写パターンが凹凸形状で形成されたマスター担体(パターンドマスター)を、磁気記録部を有するスレーブ媒体と密着させた状態で、転写用磁界を印加してマスター担体に担持した情報に対応する磁化パターンをスレーブ媒体に転写記録するものである。
【0003】
上記スレーブ媒体がハードディスクまたは高密度フレキシブルディスクのような円盤状媒体の場合には、前記マスター担体も円盤状で、同心円状に形成された転写パターンを有し、スレーブ媒体の片面または両面にこのマスター担体を密着させた状態で、その片側または両側に電磁石装置、永久磁石装置による磁界印加装置を配設して転写用磁界を印加する。
【0004】
上記磁気転写に使用するマスター担体の一例としては、基板の表面に情報信号に対応する凹凸パターンを形成し、この凹凸パターンの表面に薄膜磁性層を被覆形成してなるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
そして、本発明が対象としているマスター担体は、例えば、次の工程により作製される。まず、Si基板上に電子線レジストまたはフォトレジストを塗布し、ベーキングした後、電子ビームまたはレーザービーム等により転写パターンを描画露光し、現像することによりレジストによる凹凸パターンを有する第1の原盤を得る。次に、上記第1の原盤の凹凸パターン上に例えばスパッタリングにより導電層を設け、さらにNi電鋳を施して第2の原盤を積層する。次に、この第2の原盤を第1の原盤より剥離し、この第2の原盤を用いて電鋳を繰り返し、複製剥離した金属盤を所定サイズに打ち抜いてマスター基板(複版)を作製する。次に、このマスター基板の凹凸パターン表面に磁性層を成膜して、磁性層による転写パターンを有するマスター担体を作製するものである。
【0006】
そして、上記マスター担体を用いた磁気転写は、このマスター担体と、ハードディスクやフレキシブルディスクなどの磁気記録媒体によるスレーブ媒体とを密着させ、磁気転写用の外部磁場を与えて転写パターンに応じた磁気信号をスレーブ媒体に転写記録するものである。
【0007】
上記のようなNi電鋳によるスタンパー作製技術は、光ディスク製造等で広く使われている。光ディスクでは一般にマスター基板を元に、射出成形機にて樹脂製のディスク基板を作製するため、マスター基板(スタンパー)の若干の歪み(変形)は射出成型時の圧力印加で解消される。一方、磁気転写においては、凹凸間隔が光ディスクより微細であり、パターン形成単位が300nm以下、例えば50nm、それ以下のレベルまで小さくなってきて、より高い精度が要求される。
【0008】
ところで、上記のような磁気転写を行う際に、品質よく信号を転写するには、マスター担体とスレーブ媒体を均一に隙間なく密着させることが重要である。このため、密着圧力を高めたり、真空吸引で密着面に空気溜まりができないようにエア排出を行うことなどが実施されている。
【0009】
しかし、密着圧力を高めることは、マスター担体のパターン破損や変形等が発生してマスター担体の耐久性能を低下させる問題となり、高価で耐久性能を要する磁気転写用マスター担体においては、密着圧力を極端に高くすることはできない。
【0010】
前記のようなマスター基板をSi基板で構成したマスター担体では、反り、歪みが小さいが、Si基板に磁性体によるパターンを形成するのが煩雑で時間が掛かると共に、高コストとなる問題がある。一方、上記原盤をもとにNi電鋳等で作製したマスター基板またはそれよりさらに複製したマスター基板を用いるマスター担体は、作製が容易であるとともに、1枚の原盤より複数のマスター基板が複製可能であり、コスト面などで有利となり実用的である。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−256644号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような原盤を用いて金属盤を積層・剥離してなるマスター基板で構成したマスター担体では、原盤からの金属盤の引き剥がし工程、所定サイズへの打抜工程等で発生した変形によりマスター基板は必ずしも平面ではなく、反りや歪みを持っている。
【0013】
マスター基板すなわちマスター担体に反りや歪みがあると、スレーブ媒体との密着性が低下してスペーシングの発生要因となり、特にビット間隔が300nm以下と小さいため、上記スペーシング量が転写特性に大きく影響する。これに加え、マスター担体およびスレーブ媒体の表面性、磁性層上に耐久性向上のために被覆した保護層厚み等も影響する。このため、基本的にマスター担体の反りや歪み量を低下させることが重要である。
【0014】
Ni電鋳で作製されたマスター基板の変形は、電鋳時の液温度、印加電流変化方法、液濃度等が影響するが、これらは工程管理を行うことで低減することが可能である。一方、原盤に電鋳した金属盤を引き剥がす工程では、自動設備化が難しく、人手による剥離の方が精度が高い。しかし、この剥離時に作用する力によってマスター基板となる金属盤に歪みが生じ変形を起こしやすいものである。
【0015】
特に、前述のように、金属製の原盤に電鋳金属盤を積層してマスター基板を作製する場合には、金属層間(Ni−Ni面)の剥離性を高めるために、原盤表面を事前に酸化処理することが一般に行われる。この酸化処理は、薬液(例えば、過マンガン酸カリウムパウダーの純水希釈液)に浸漬する方法や酸素プラズマによるスパッタリング装置でのアッシング処理などがある。
【0016】
しかし、パターンサイズが300nm以上である、一般的な光ディスク系では、この酸化方法で十分に剥離性が改善できるが、磁気転写では、パターンサイズが100nm以下となるため、パターン凹部内表面の酸化が十分できず、酸化処理が不十分な部分で、金属原盤と電鋳金属盤が固着して剥離困難となり、また、剥離できても変形を受ける問題がある。
【0017】
また、上記酸化処理により剥離性が高まる原理は、原盤における酸化処理された部位の表面から1nm程度の表層部分が破壊されて剥離するものであり、電鋳を繰り返して複版を作る毎に原盤側の表面が削り取られて減少するため、凹凸パターン形状が変化して転写品位の劣化を招いたり、1枚の原盤から複製できる複版枚数が少なくコスト高となる問題があった。
【0018】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、金属製の原盤に電鋳で積層した金属盤の剥離性、原盤の耐久性を改善し、変形の少ない平坦なマスター基板を得て、レーブ媒体との密着性を高め転写特性に優れた磁気転写用マスター担体の作製方法を提供することを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気転写用マスター担体の作製方法は、情報に応じた凹凸パターンが形成された金属原盤に、電鋳により所定厚さの金属盤を積層し、前記原盤より剥離した前記金属盤を所定形状に加工してマスター基板とし、該マスター基板の凹凸パターン上に磁性層を成膜する磁気転写用マスター担体の作製方法において、
前記原盤がNi製で、複製される前記金属盤がNi電鋳により作製されるものであり、予め電鋳前に、前記原盤の表面に前記金属盤と剥離させる硬質剥離膜を形成することを特徴とするものである。
【0020】
前記硬質剥離膜は、前記原盤表面にスパッタリングでカーボン膜を形成するのが好適である。
【0021】
また、本発明の他の磁気転写用マスター担体の作製方法は、情報に応じた凹凸パターンが形成された金属原盤に、電鋳により所定厚さの金属盤を積層し、前記原盤より剥離した前記金属盤を所定形状に加工してマスター基板とし、該マスター基板の凹凸パターン上に磁性層を成膜する磁気転写用マスター担体の作製方法において、
前記原盤がNi製で、複製される前記金属盤がNi電鋳により作製されるものであり、予め電鋳前に、前記原盤の表面に前記金属盤の剥離時に破壊される破壊剥離膜を形成することを特徴とするものである。
【0022】
前記破壊剥離膜は、前記原盤の表面に樹脂膜をコーティング形成するのが好適である。その際、前記破壊剥離膜としてコーティング形成した樹脂膜の上に、スパッタリングによりNi膜、カーボン膜等の導電膜を成膜するのが好ましい。
【0023】
また、上記のような硬質剥離膜または破壊剥離膜の形成とともに、原盤表面の酸化処理を併用してもよい。
【0024】
【発明の効果】
上記のような本発明によれば、Ni製の原盤にNi電鋳により複製される金属盤を作製する電鋳前に、予め原盤の表面に金属盤と剥離させるカーボン膜等による硬質剥離膜を形成することにより、硬質剥離膜によって原盤側の表面硬度を高め、電鋳積層した金属盤の剥離時に原盤が破壊されにくく、剥離性も向上できる。
【0025】
また、他の本発明によれば、Ni製の原盤にNi電鋳により複製される金属盤を作製する電鋳前に、予め原盤の表面に金属盤の剥離時に破壊される樹脂膜等による破壊剥離膜を形成することにより、この破壊剥離膜の破壊に伴って、原盤を破損することなく金属盤の剥離が容易に行える。
【0026】
このため、原盤より複製できる複版数が増大して、マスター担体の作製コストの低減化が図れるとともに、剥離が容易で平坦なマスター担体を得て、磁気転写時のスレーブ媒体との密着性が良好となり、電磁変換特性(信号品質)が向上し、特にトラック1周での信号ばらつき(モジュレーション)が改善できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の一つの実施形態に係る磁気転写用マスター担体の部分断面図、図2はマスター基板の平面図、図3は一つの実施形態に係るマスター担体の作製工程を順に示す図、図4は他の実施形態に係るマスター担体の作製工程の要部を示す図である。なお、各図は模式図であり、実際の寸法とは異なる比率で示している。
【0028】
図1に示す磁気転写用マスター担体1は、金属製のマスター基板2と磁性層3とで構成されてなり、マスター基板2は表面に転写情報に応じた微細な凹凸パターンP(転写パターン)を有し、その表面に磁性層3が被覆形成されてなる。
【0029】
また、前記マスター基板2は、例えば電鋳により作製されたNi製であり、図2に示すように、中心孔2aをする円盤状に形成され、片面(情報担持面)の内周部および外径部を除く円環状領域に凹凸パターンPが形成されている。
【0030】
磁気転写時には、図1に示すように、前記マスター担体1における磁性層3の表面(凹凸パターン)と、鎖線で示す転写を受けるスレーブ媒体4とを密着させて転写用磁界を印加して磁気転写する。その際、スレーブ媒体4は予め面内方向または垂直方向の一方に初期磁化が施され、転写用磁界はこの初期磁化とほぼ反対方向の面内方向または垂直方向に印加するものである。
【0031】
そして、上記磁気転写時に印加された転写用磁界は、マスター担体1の凹凸パターンにおけるスレーブ媒体4と密着した磁性層3の凸部に吸い込まれ、面内記録の場合にはこの部分の初期磁化は反転せずその他の部分の初期磁化が反転し、垂直記録の場合にはこの部分の初期磁化が反転しその他の部分の初期磁化は反転しない結果、スレーブ媒体4の磁気記録層にはマスター担体1の凹凸パターンに応じた磁化パターンが転写記録される。磁性層3の凹凸パターンにおける突起の高さは、20〜600nmの範囲が好ましく、さらに好ましくは30〜300nmの範囲である。
【0032】
なお、上記マスター担体1は、磁性層3の凹凸パターンが、ポジ状パターンと逆の凹凸形状のネガ状パターンの場合であっても、スレーブ媒体4に対する初期磁界の方向および転写用磁界の印加方向を逆の方向にすることによって同様の磁化パターンが転写記録できる。
【0033】
上記マスター担体1のマスター基板2は、詳細は後述するように、情報に応じた凹凸パターンが形成された第1の原盤に、Ni電鋳等によって所定厚さに金属盤を積層し、この金属盤を原盤より剥離して金属製の第2の原盤とし、これを元に第3の原盤またはマスター基板用の金属盤をNi電鋳で作製するとき、または第3の原盤以降に、原盤用またはマスター基板用の金属盤をNi電鋳で作製するとき、Ni原盤上にNi層を電鋳する場合に、Ni層が電鋳される原盤の表面にカーボン膜等による硬質剥離膜、または、樹脂膜などの破壊剥離膜を形成して、原盤の破壊防止、削れ防止を行って耐久性を向上するとともに、剥離性を向上して金属盤が受ける変形の防止を図るものである。これにより、マスター基板の作製コストを低減するとともに、マスター基板の変形を低減し、平坦性を確保することで、電磁変換特性(信号品質)の向上させ、特にトラック1周での信号ばらつき(モジュレーション)を改善する。
【0034】
<実施例1>
前記マスター担体1の一実施形態の作製方法を、図3(a)〜(j)に基づいて説明する。
【0035】
まず、(a)のように表面が平滑で清浄でシリコンウエハーによる原板10(ガラス板、石英板でもよい)の上に、密着用液を塗布して密着層を形成する下処理を行い、その上に電子線レジスト液をスピンコート等で塗布してレジスト膜11を形成し、ベーキングする。そして、高精度な回転ステージを備えた不図示の電子ビーム露光装置にて、その回転ステージに搭載した上記原板10を回転させながら、サーボ信号等に対応して変調した電子ビームBを照射し、そのレジスト膜11に所望のパターンを描画露光し、ベーキングする。その後、(b)のように、レジスト膜11を現像処理し、露光部分を除去してベーキングし、残ったレジスト膜11による所望厚みで所望の凹凸パターンPを有する第1の原盤13を作製する。
【0036】
次に、(c)のように、前記第1の原盤13の凹凸パターンP上に、Ni導電膜14aをスパッタリングにより付与し電鋳可能とした後、電鋳装置にて電鋳処理を施し、所望の厚みのNi金属盤による第2の原盤14を電鋳積層する。この第2の原盤14を、上記第1の原盤13から剥離し、残留するレジスト膜11を除去・洗浄し、(d)のように、反転した凹凸パターンPを有する金属製の第2の原盤14を得る。
【0037】
次に(e)のように、前記第2の原盤14に硬質剥離膜15としてカーボン膜をスパッタリングにより成膜し、表面硬度を上げた後、(f)のように、Ni電鋳を施して第3の原盤16を積層する。この第3の原盤16を、上記第2の原盤14から剥離し、(g)のように、反転した凹凸パターンPを有する金属製の第3の原盤16を得る。硬質剥離膜15は第2の原盤14に残った状態で第3の原盤16が剥離される。
【0038】
さらに、次に(h)のように、前記第3の原盤16に、前述と同様に硬質剥離膜15(カーボン膜)をスパッタリングにより成膜し、表面硬度を上げた後、Ni電鋳を施して金属盤17(第4の原盤としてもよい)を積層する。この金属盤17を、上記第3の原盤16からカーボン膜15の部分で剥離し、(i)のように、反転した凹凸パターンPを有する金属盤17を得る。この金属盤17の内径および外径を所定サイズに打抜き加工して、マスター基板2を作製してなる。
【0039】
上記第3の原盤16を繰り返し用いて複数の金属盤17を作製する。その際、カーボン膜15は、第3の原盤16上に既に成膜されていることで再度の成膜は不要である。
【0040】
次に、(j)のように、前記工程に続いて、所定サイズに打ち抜かれたマスター基板2の凹凸パターンPの表面にスパッタリングにより磁性層3、必要に応じて保護層を成膜し、マスター担体1を作製するものである。
【0041】
また、前記第2の原盤14を用いて複数の第3の原盤16(マスター基板用の金属盤)を作製し、この第3の原盤16を所定サイズに打ち抜いて複数のマスター基板2を作製し、凹凸パターンのポジ・ネガが異なるマスター担体1を得るようにしてもよい。
【0042】
なお、上記のように作製されたマスター基板2に、金属盤17を原盤13より引き剥がした時、および打抜き加工時に受けた変形(歪み/反り)を除去し平坦化するための、歪み除去工程を施してもよい。この処理としては、例えば、マスター基板2を電気炉内の平坦面板上に載置し、200〜300℃の雰囲気下で、30分〜2時間、例えば、250℃×1時間、平面放置状態で熱処理し、内部歪みを除去して変形を焼き戻すものである。
【0043】
また、上記工程では、各原盤13,14,16から電鋳層すなわち第2、第3の原盤14,16および金属盤17を剥離する際に、電鋳層の外径を打抜き後のマスター基板2の外径より、例えば1.7倍以上大きくすることにより、転写パターンPの形成部分の外径より外周部分が広く、外周部分への力の作用による原盤からの剥離時の転写パターンPの部位へ作用する力が均等化され、受ける変形が低減し、平坦性の向上が図れる。
【0044】
硬質剥離膜15としてのカーボン膜は、剥離用の硬質保護膜の性質すなわち原盤の凹凸パターンの破壊を保護する作用と、電鋳時の電極としての導電性が必要である。この観点から、該カーボン膜は、スパッタリング法で作製された膜で、厚みとしては10〜30nm程度を必要とする。あまり厚すぎると、元々のパターン形状と寸法が大きく異なってしまうので好ましくない。予め硬質剥離膜15のスパッタ厚みを考慮したパターン形状の原盤を作製することでも対応は可能である。硬質剥離膜15が薄すぎると、電鋳時の電極としての導電性が確保できず、安定した複版が作製できなくなる。
【0045】
これにより、剥離時は原盤上の硬質剥離膜15(カーボン膜)と電鋳でできたNi電鋳層の表面間で容易に剥離が可能となり、原盤側の形状変化も抑えることが可能となる。また、2枚目以降の複版作製時には、原盤側の硬質剥離膜15は既に形成されているため、形成工程は省略できる。さらに、従来の原盤に対する酸化処理を併用しても問題はない。上記硬質剥離膜15はカーボン膜に限られず、強度および導電性を有する材質であれば、適宜設計変更可能であり、例えば、Ni−Cu合金膜なども適用可能である。
【0046】
<実施例2>
図4(a)〜(c)は他の実施例の作製工程を示す図である。この図は、前述の実施例の図3(g)〜(i)の工程に相当する。
【0047】
この実施例の作製工程は、上記実施例1と同様であり、その硬質剥離膜15(カーボン膜)に代えて、樹脂膜による破壊剥離膜18を成膜するものである。つまり、第2の原盤14を用いて作製された第3の原盤16に、図4(a)のように、破壊剥離膜18として樹脂膜をコーティングにより成膜し、さらに、その上にスパッタリングによりNi膜の導電膜19を積層してなる。
【0048】
次に、(b)のように、導電膜19上にNi電鋳を施して金属盤17を積層する。この金属盤17を、破壊剥離膜18の破壊に伴って、上記第3の原盤16から剥離し、(c)のように、反転した凹凸パターンPを有する金属盤17を得る。導電膜19は金属盤17の表面に被覆されたように移行する。一方、第3の原盤16の表面および金属盤17の表面には破壊されて残った破壊剥離膜18(樹脂膜)が付着しているが、これは、表面樹脂を溶媒で溶かし洗い流す。その後、純水等でリンス洗浄し、スピン乾燥にて乾燥させてクリーニング除去する。
【0049】
上記破壊剥離膜18の樹脂膜としては、ポリイミド樹脂膜が好適である。ポリイミド樹脂は、例えば市販のポリイミド溶液をシクロヘキサノール等の溶媒で適性濃度に希釈し、スピンコータ等で塗布し、高温でキュアすることにより硬化させて樹脂膜を作製する。このとき、特に液濃度については原盤16の凹凸形状を十分に反映するように、凹部内に十分に進入するように設定する。厚みは同じく20nm以下が望ましい。また、導電膜19としてのNi膜は、電鋳時の電極の役割のため、20nm以下の厚さにスパッタリングで設ける。
【0050】
上記導電膜19は、カーボン膜をスパッタリングによって樹脂膜18上に成膜積層してもよい。このカーボン膜の場合には、剥離後には、金属盤17の表面を被覆するようにカーボン膜19が転移し、そのパターン表面にカーボン保護層を被覆したようになり、表面硬度が上がり、ハンドリング時の傷防止の作用が期待できる。
【0051】
なお、前記図3における第1の原盤13の作製において、レジスト膜11を露光・現像処理した後、エッチング処理を行って、ウエハー原板10の表面にエッチングによる凹凸パターンを形成してからレジスト膜11を除去してもよい。この凹凸パターン上にNi導電膜を施してから、図3(c)と同様に、電鋳処理を施して凹凸パターンを有する第1の原盤13を作製してもよい。
【0052】
また、図3では、電鋳処理により形成した原盤14,16および金属盤17の裏面は平坦に示しているが、この裏面に表面の凹凸形状を反映した凹凸が形成されていてもマスター担体1の形成には問題がなく、必要に応じて研磨による平坦加工が施される。
【0053】
前記磁性層3の形成は、磁性材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜手段、電鋳等のメッキ法などにより成膜する。磁性層3の磁性材料としては、Co、Co合金(CoNi、CoNiZr、CoNbTaZr等)、Fe、Fe合金(FeCo、FeCoNi、FeNiMo、FeAlSi、FeAl、FeTaN)、Ni、Ni合金(NiFe)を用いることができる。特に好ましくはFeCo、FeCoNiである。磁性層3の厚みは、50nm〜500nmの範囲が好ましく、さらに好ましくは100nm〜400nmである。
【0054】
なお、磁性層3の凹凸パターンにダイヤモンドライクカーボン(DLC)等の保護膜を設けることが好ましく、潤滑剤層を設けても良い。また保護膜として5〜30nmのDLC膜と潤滑剤層が存在することがさらに好ましい。潤滑剤は、スレーブ媒体4との接触過程で生じるずれを補正する際の、摩擦による傷の発生などの耐久性の劣化を改善する。
【0055】
スレーブ媒体4は、両面または片面に磁性層が形成されたハードディスク、高密度フレキシブルディスクなどの円盤状磁気記録媒体が使用され、その磁気記録部は塗布型磁気記録層あるいは金属薄膜型磁気記録層で構成される。金属薄膜型磁気記録層の磁性材料としては、Co、Co合金(CoPtCr、CoCr、CoPtCrTa、CoPtCrNbTa、CoCrB、CoNi等)、Fe、Fe合金(FeCo、FePt、FeCoNi)を用いることができる。これは磁束密度が大きいこと、磁界印加方向と同じ方向(面内記録なら面内方向、垂直記録なら垂直方向)の磁気異方性を有していることが、明瞭な転写が行えるため好ましい。そして磁性材料の下(支持体側)に必要な磁気異方性をつけるために非磁性の下地層を設けることが好ましい。結晶構造と格子定数を磁性層に合わすことが必要である。そのためにはCr、CrTi、CoCr、CrTa、CrMo、NiAl、Ru等を用いる。
【0056】
初期磁界および転写用磁界を印加する磁界印加手段は、面内記録の場合には、例えば、スレーブ媒体4の半径方向に延びるギャップを有するコアにコイルが巻き付けられたリング型電磁石装置が上下両側に配設されてなり、上下で同じ方向にトラック方向と平行に発生させた転写用磁界を印加する。磁界印加時には、スレーブ媒体4とマスター担体1との密着体を回転させつつ磁界印加手段によって転写用磁界を印加する。磁界印加手段を回転移動させるように設けてもよい。磁界印加手段は、片側にのみ配設するようにしてもよく、永久磁石装置を両側または片側に配設してもよい。
【0057】
垂直記録の場合の磁界印加手段は、極性の異なる電磁石または永久磁石をスレーブ媒体4とマスター担体1との密着体の上下に配置し、垂直方向に磁界を発生させて印加する。部分的に磁界を印加するものでは、スレーブ媒体4とマスター担体1との密着体を移動させるか磁界を移動させて全面の磁気転写を行う。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施形態に係る磁気転写用マスター担体の概略断面図
【図2】マスター基板の平面図
【図3】一実施形態のマスター担体の作製工程を順に示す図
【図4】他の実施形態のマスター担体の作製工程の一部を順に示す図
【符号の説明】
1 マスター担体
2 マスター基板
3 磁性層
4 スレーブ媒体
10 原板
11 レジスト膜
13 第1の原盤
14 第2の原盤
15 硬質剥離膜(カーボン膜)
16 第3の原盤
17 金属盤
18 破壊剥離膜(樹脂膜)
19 導電膜(Ni膜、カーボン膜)

Claims (5)

  1. 情報に応じた凹凸パターンが形成された金属原盤に、電鋳により所定厚さの金属盤を積層し、前記原盤より剥離した前記金属盤を所定形状に加工してマスター基板とし、該マスター基板の凹凸パターン上に磁性層を成膜する磁気転写用マスター担体の作製方法において、
    前記原盤がNi製で、複製される前記金属盤がNi電鋳により作製されるものであり、予め電鋳前に、前記原盤の表面に前記金属盤と剥離させる硬質剥離膜を形成することを特徴とする磁気転写用マスター担体の作製方法。
  2. 前記硬質剥離膜が、前記原盤表面にスパッタリングで形成したカーボン膜であることを特徴とする請求項1に記載の磁気転写用マスター担体の作製方法。
  3. 情報に応じた凹凸パターンが形成された金属原盤に、電鋳により所定厚さの金属盤を積層し、前記原盤より剥離した前記金属盤を所定形状に加工してマスター基板とし、該マスター基板の凹凸パターン上に磁性層を成膜する磁気転写用マスター担体の作製方法において、
    前記原盤がNi製で、複製される前記金属盤がNi電鋳により作製されるものであり、予め電鋳前に、前記原盤の表面に前記金属盤の剥離時に破壊される破壊剥離膜を形成することを特徴とする磁気転写用マスター担体の作製方法。
  4. 前記破壊剥離膜が、前記原盤の表面にコーティング形成した樹脂膜であることを特徴とする請求項3に記載の磁気転写用マスター担体の作製方法。
  5. 前記破壊剥離膜が前記原盤の表面にコーティング形成した樹脂膜であり、該樹脂膜の上に、スパッタリングによりNi膜、カーボン膜等の導電膜を成膜することを特徴とする請求項4に記載の磁気転写用マスター担体の作製方法。
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JP2010086579A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Fujifilm Corp 原盤及びそれから作製されたモールド構造体

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