JP2004265663A - 放電ランプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発光管の内部に一対の電極が対向配置された放電ランプにおいて、前記電極は、高融点金属よりなり内部に密閉空間が形成された電極本体と、この高融点金属に比較して熱伝導率が高い金属若しくは融点が低い金属よりなる該電極本体の前記密閉空間内に配置された伝熱体と、により構成され、電極本体は略有底円筒状の主要部材と主要部材の筒部開口内に嵌入された略円柱状の蓋用部材からなり、蓋用部材の最大外径部の後端と主要部材の開口周縁部とが溶接された溶接部が電極後端部の近傍に形成されていることを特徴とする。なお、電極本体の内部に主要部材と蓋用部材の当接箇所があるのが良い。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は放電ランプに関する。特に、投影装置、光化学反応装置、検査装置の光源として用いられるショートアーク型放電ランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
放電ランプは、発光物質、電極間距離、発光管内圧力という観点から幾つかのランプに分類でき、このうち発光物質ではキセノンガスを発光物質とするキセノンランプ、水銀を発光物質とする水銀ランプ、水銀以外の希土類金属などを発光物質とするメタルハライドランプなどがある。また、電極間距離というの観点では、ショートアーク型放電ランプやロングアーク型放電ランプがあり、さらに発光管内の蒸気圧という観点では、低圧放電ランプ、高圧放電ランプ、超高圧放電ランプなどが存在する。
このうち、ショートアーク型高圧水銀ランプについて言えば、耐熱温度の高い石英ガラスを発光管として、その内部にタングステン製の電極が2〜12mm程度の間隙をもって配置しており、さらに、発光管内部には発光物質として点灯時蒸気圧が105Pa〜107Paになる水銀と共に、キセノンやアルゴンなどの始動用ガスが封入されている。
このショートアーク型高圧水銀ランプは、電極間距離が短くて高輝度が得られるという利点を有することから、従来からリソグラフィーの露光用光源に広く使用されてきた。
その一方で、近年は、半導体ウエハーのみならず、液晶基板、特に、大面積の液晶ディスプレイに使う液晶基板の露光用光源として注目されており、製造工程におけるスループットを高める観点から、光源であるランプとしても大出力化が強く求められている。
【0003】
放電ランプの大出力化により定格消費電力が大きくなると、放電ランプに流れる電流値は、電流、電圧の設計値にもよるが、大体の場合において大きくなる。
このため、電極(特に、直流点灯における陽極)は、電子衝突を受ける量が多くなり、容易に昇温して溶融されるという問題を導いてしまう。また、陽極に限らず、垂直方向に配置する放電ランプにおいては、上側に位置される電極が、発光管内の熱対流などの影響を受けて、アークからの熱を受け易くなり、同様に高温化されて溶融されてしまう。
また、電極、特に、その先端部分が溶融すると、アークが不安定になるばかりでなく、電極を構成する物質が蒸発して発光管の内表面に付着して放射出力が低下するという問題も生じる。
このような現象は、ショートアーク型高圧水銀ランプに限るものではなく、放電ランプを大出力化する場合に、一般的に生ずる問題であって、従来は、放電ランプの外部に空冷機構を設けて強制的に空冷する構造や方法が提案されており、また、さらに大出力の放電ランプにおいては、電極の内部に冷却水の流路を設けて電極内部に冷却水を流す、いわゆる水冷型放電ランプ(例えば、特許第3075094号)が提案されていた。
【0004】
【特許文献1】
特許第3075094号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、放電ランプを大出力化する対策として、放電ランプの外部に空冷機構を設けて強制的に冷却する方法では、空冷機構を併用させたとしても放電ランプに投入できる電流値に限界があり、大出力化が困難であった。この限界値は、放電ランプの種類や放電ランプが配置される環境によっても多少相違するが、放電ランプへの投入電流値で概ね200A程度であり、それ以上の高電流化は実用的には不可能とされていた。
【0006】
また、水冷型放電ランプの場合は、電極の内部に水を導入、排出するものであるから、放電ランプの大型化はもとより、放電ランプの周囲に循環ポンプや冷却水の供給、排出設備を設けなければならず、放電ランプに対して何倍もの大きさを有する冷却機構が必要となる。従って、水冷という方法は特定の用途においては有用かもしれないが、放電ランプとしての汎用性は乏しく、特に、クリーンルーム内で使用するリソグラフィー用露光装置の光源には適しているとはいえなかった。
【0007】
また、強制的な冷却機構にのみ依存する方法では、発光管の内部に最冷点部分が形成されやすくなり、この部分に水銀などの封入物質が未蒸発の状態で溜まってしまうことがある。この場合、放電ランプとして所定の動作圧力が得られないばかりか、所望の放射光量や輝度を得ることができなくなる。さらに、発光管の内部において、温度が過剰に低下した場合は、電極間に形成されるアークが不安定になり、放電ランプがちらついて発光する。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、上記問題点に鑑み、放電ランプやその周辺設備の大型化を伴うことなく、放電ランプへの投入電流の増大を可能にできる大出力型放電ランプを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明の放電ランプは、発光管の内部に一対の電極が対向配置された放電ランプにおいて、前記電極は、高融点金属よりなり内部に密閉空間が形成された電極本体と、前記高融点金属に比較して熱伝導率が高い金属若しくは融点が低い金属よりなる該電極本体の前記密閉空間内に配置された伝熱体と、により構成されてなり、前記電極本体は、略有底円筒状の主要部材と、当該主要部材の筒部開口内に嵌入された略円柱状の蓋用部材と、よりなり、前記電極には後端部の近傍に、該蓋用部材の最大外径部の後端と前記主要部材の開口周縁部とが溶接された溶接部が形成されていることを特徴とする。
また、上記放電ランプにおいて更に、前記電極本体の内部に前記主要部材と前記蓋用部材の当接箇所があることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本願発明に係る放電ランプの全体構造を示す概略図である。
発光管10は石英ガラスからなり、略球状の発光部11の両端には封止部12が一体に連設されている。この発光部11には陽極2および陰極3が対向配置しており、各電極(2,3)はそれぞれ封止部12で保持されて、その中で図示略の金属箔を介して外部リード棒4につながり、図示略の外部電源が接続される。
また、発光部11には、水銀、キセノン、アルゴンなどの発光物質や始動用ガスが所定量封入されている。そして、放電ランプは、外部電源より電力が供給されると、陽極2と陰極3でアーク放電することにより発光する。なお、この放電ランプは、陽極2を上、陰極3を下にして、発光部11の管軸が、大地に対して略垂直方向に支持されて点灯される、いわゆる垂直点灯型の放電ランプである。
【0010】
図2(a)は図1中の陽極2(「電極」とも称す。)の説明用側断面図であり、図2(b)は同図(a)に記載の矢印Xの方向からみた平面図である。
図2(a)に示すように、電極2は、内部に密閉空間Sが形成されてなる電極本体20と、この電極本体20の内部に気密に封入された伝熱体Mとにより構成されている。電極2の後端部20Bには、嵌入穴220が形成され、この穴220にタングステンの棒が嵌入されることにより、軸部分5が構成される。
【0011】
電極本体20は、高融点金属、若しくは、高融点金属を主成分とする合金からなり、内部に密閉空間S(以後、「内部空間」ともいう)が形成された略円柱状の容器形状をしたものである。この電極本体20は、軸部分5と接合する後端部20B、胴部20C、先端部20Aからなり、後端部20Bにおいては軸部分5の挿入穴220が形成されている。なお本発明においてはこの軸部分5を含めて電極と称する場合もある。
伝熱体Mは、電極本体20の内部に気密に封入された金属であり、該電極本体20よりも高い効率で熱を輸送することが可能であって、その具体的な構成及び作用については後段において詳述する。
【0012】
上記電極本体20は、高融点金属からなり、具体的には、タングステン、レニウム、タンタルなど、融点が約3000℃以上の金属が挙げられる。中でもタングステンが好ましい。
一方、伝熱体Mは、電極本体20を構成する金属に比較して、ランプ点灯時における熱伝導率が高い金属である。具体的構成例としては、仮に電極本体20をタングステンにより構成した場合、銀、銅、金、インジウム、錫、亜鉛、鉛などであり、中でも銀、銅、金が好適であり、特に好ましくは銀である。
【0013】
ここで、上記伝熱体Mの熱輸送作用について説明する。
タングステンの熱伝導率は、2000K程度の高温域においては、約100W/mKである。これに対し、銀及び銅は、何れも、タングステンよりも熱伝導率が高く(2000Kにおける熱伝導率は、銀;約200W/mK、銅:約180W/mKである。)、電極先端部近傍に蓄積された熱を、該先端部よりも低温の部分にむけて効率よく輸送する。その結果、電極先端部においては、熱が該電極後方に向けて高い効率で輸送されるので、該電極先端部の過熱が防止される。なお、銀、銅、金は何れも、タングステンと合金を作らないので、安定的に熱輸送体として働く。
【0014】
また、上記とは別の構成例としては、電極本体20を構成する高融点金属としてレニウム(2000Kにおける熱伝導率:約52W/mK)を用いた場合、伝熱体Mとしてタングステンを用いても良い。レニウムを電極本体20に用いると、ハロゲン封入の水銀ランプやメタルハライドランプのような放電ランプ用に使用した場合、電極2が腐食されず、放電ランプの長寿命化を図ることができる。
【0015】
以上のように、電極本体20と、これと比較して高い熱伝導率を有するような伝熱体Mとを組み合わせることにより、電極先端部20Aの過熱を防止することができ、結果、放電ランプの電流流量の増大を図ることができるようになる。
【0016】
伝熱体Mとしては、上述したような高い熱伝導特性を有する金属を用いる代わりに、電極本体20を構成する金属に比較して低い融点を有する金属を用いて構成することも可能である。例えば、電極本体20をタングステンにより構成した場合、伝熱体Mとして、銀、銅、金、インジウム、錫、亜鉛、鉛などを使用することが可能である。電極本体20よりも低融点の金属を選択して伝熱体Mとしたときには、ランプ点灯時に、伝熱体Mが溶融して該電極本体20内部において対流が発生し、電極先端部20Aの熱を電極後方に向けて輸送する。その結果、電極先端部20Aが過剰に熱せられたときでも該電極先端部20A以外の箇所に熱を高効率に輸送できて、電極が溶融するといった問題を回避することが可能となる。そして更には、放電ランプに大きな電流を流すことが可能となる。
【0017】
続いて、本発明の実施形態に係る電極について詳細に説明する。
【0018】
電極本体20における後端部20Bには、当該電極本体20の外周と略同心に形成された円状の溶接部Wが露出形成されている。係る溶接部Wは、電極本体20内に密閉空間Sを形成すると共に伝熱体Mを封入するためのものであり、溶接して密閉するために不可避に形成されるものである。
【0019】
図3は、上記電極本体20を密閉状態とする前段階における構成用部材を示す軸方向断面図である。同図において、上記電極本体20は、主要部材21及び蓋用部材22により構成され、同図(a)主要部材、(b)蓋用部材、(c)電極本体の構造体の要部、について説明するものである。なお、同図(a)〜(c)では、各部材を電極の先端側を紙面下方に位置したときの様子を示している。図3(a)に示すように、主要部材21は有底の略円筒形状に成形されている。その開口縁近傍においては被溶接部21aが設けられており、外径が縮径されることにより、当該部材の内周面に対する直交方向の肉厚Tが端部に向かって小さくなるよう形成されている。また、この主要部材21の筒部内面には、開口側において内径が拡径されて段部が形成されており、これにより被当接部21bが形成されている。
【0020】
蓋用部材22は、図3(b)に示すように略柱状に成形されている。その最大外径部222における電極後方側の端部(紙面において上方)には、該蓋用部材22の後端面上にクサビ状の環状溝Kが設けられている。そして、蓋用部材22の最大外径部222の側面と溝Kの斜面によって、電極軸から半径方向外方に向かって肉厚T’が薄くなるように被溶接部22aが形成されている。また蓋用部材22には、その前端側部分に段部が形成されて当接部22bが設けられ、一方、後端側端面には軸部分用の棒材(図示省略)が嵌入される有底の嵌入穴220が設けられている。
【0021】
図3(c)に示すように、上記主要部材21の筒部内に所定の伝熱体(図示省略)を装填し、主要部材21に蓋用部材22を嵌入する。主要部材21に形成した被当接部21bに蓋用部材22の当接部22bを当接すると、主要部材の被溶接部21aに、蓋用部材22の被溶接部22aが内接して被溶接部21aと被溶接部22aとが略全周方向に接触した電極の組立体ができる。このような組立体の蓋用部材22の電極後方側の端部を、主要部材21の開口縁に溶接して接合すると、先に図2で説明した溶接部(W)がその後端部に形成された電極が出来上がる。なおこの溶接はアークメルト法によるのが好ましく、これによると溶接作業を短時間にでき、更に高品位に仕上げることができる。
【0022】
本発明では、被溶接部21a,22aが電極の後端部に位置されるので、溶接に先駆けて主要部材21内に伝熱体Mを装填したときも、溶接作業中に伝熱体Mが過熱して沸騰、蒸発するといった不具合を生じることなく、簡単に行うことができる。このため、電極本体20の溶接、密閉、及び、伝熱体Mの封入を、同一の工程で完遂することができる。なお、溶接後、軸部分用の棒材を穴220に挿入するがその際、主要部材21に対して蓋用部材22を押圧するため、電極本体20の軸方向に圧縮される方向に応力が掛かる。ここで、溶接部にも同様に応力が掛かるが、主要部材21と蓋用部材22とが当接していることにより当該溶接部が受ける応力は小さくてすみ、構造上弱い部分である溶接部の破損を未然に防止することができるようになる。
【0023】
仮に、主要部材の開口内に略円柱状の蓋用部材を嵌入しない場合、例えば、図5のように主要部材(71)と蓋用部材(72)を各部材の端面同士を付き合せて溶接部Wを形成することになるが、この場合、溶接作業中に位置ずれが生じ易い。しかも、溶接作業中は電極本体70の胴部外周を加熱することになるが、当該箇所は構造上熱容量を小さくすることが難しい部位であって(即ち熱容量が大きいので)溶接性が低く、良好な接合状態を得ることが極めて困難である。また、この電極形状によると、組立中に伝熱体Mを装填すると溶接時の高温で伝熱体Mが沸騰、蒸発することがあり、主要部材(71)と蓋用部材(72)を付き合わせた隙間から洩出したり、またこれにより変質したりする可能性がある。よって電極本体70の溶接作業と同時に伝熱体Mを封入することは不可能に等しい。
更には、電極7の最終形成品を製作できても、電極7には胴部に半径方向に大きなフランジ状の溶接部Wが形成されるようになる。このようになると、例えば図6に示すように、放電ランプの製作工程において、発光管構成用のガラス管10aに該電極7を溶接部Wが大径化したため通すことができない場合が生じる。その結果、ランプ設計変更を行わねばならず、いくら高輝度化、高出力化を実現できたとしても汎用性において十分満足できるものとならない。
【0024】
本発明によれば、該蓋用部材の最大外径部の後端と前記主要部材の開口周縁部とを溶接することにより、電極の後端部の近傍に溶接部を形成しているので、溶接の作業性が良好であると共に電極本体の溶接工程において伝熱体を封入することも可能で、電極生産性が格段に向上する。なおかつ、電極の側面上に局所的に大径化する溶接部が形成されることがないので従来と同寸法の発光管を用いて放電ランプを組み立てることが可能である。その結果、高品位でありかつ量産性に富んだ大出力型放電ランプを提供することができるようになる。
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、電極本体内部に該本体部分よりも高い熱伝導性を有する伝熱体が気密に封入されているので、当該電極先端部の熱を高効率に後方に向けて輸送することができ、当該電極を具備した本発明に係る放電ランプは、電極先端部の過熱を防止できて高輝度かつ高出力を実現することが可能になる。しかも、係る電極は略有底円筒状の主要部材の開口内に略円柱状の蓋用部材を嵌入し、電極本体の開口周縁部と蓋用部材の最大外径部における最後端とを溶接してなるものであるので、その溶接作業中に位置ずれが生じ難くて溶接工程における作業性が良好であって、生産性の良好な高品位な放電ランプを提供することができるようになる。
【0026】
続いて、図4(a)〜(c)は、本発明に係る放電ランプの電極製作工程を説明する要部の説明用断面図である。何れの例も蓋用部材の最大外径部の後端と主要部材の開口周縁部に溶接部を形成するためのものである。なお、同図において先に図1〜図3で説明した構成と同じ構成については同符号で示し、その説明を省略する。
【0027】
図4(a)において、主要部材21は有底の略円筒形状に成形されており内部電熱体M’が装填されている。また、その開口部近傍Cにおいては、最後端に向かって側部外径が縮径されることにより電極の軸方向(長さ方向)に斜面状となって被溶接部21aが形成されている。即ち被溶接部21aは当該部材の内周面に対する直交方向の肉厚が徐々に小さくなるよう形成されている。またこの主要部材21には開口部側の筒部内面上に段部が形成されることにより被当接部21bが設けられている。
【0028】
蓋用部材22には、その後端面上にリード棒を兼ねる細長い軸部223が連設されて電極軸方向に延在している。このように、蓋用部材22の一部をリード棒としたときには、蓋用部材22にリード棒を嵌入する必要がないので、先の実施形態のようにリード棒の嵌入時、電極本体に掛かる応力がなく、よって溶接部に余計な負荷が掛からず、破損の発生を抑えることができる。
蓋用部材22は、前端面の周縁部が当接部22bを兼ており、蓋用部材22が主要部材21に嵌入されると、当該当接部22bが被当接部21bに当接して位置決めされ、同時に、蓋用部材22における最大外径部222の外周面と、主要部材21における被溶接部21aの内側周面とが周接する。
このように、蓋用部材22底面を主要部材21の一部に当接箇所を設けておくと、蓋用部材22の位置決めを容易にできると共に被溶接部21a,22aの相対的な移動を防止でき、溶接作業性を向上させることができる。なお、ここでの説明を省略するが、被溶接部21a,22a同士を全周に亘って溶接することにより、内部の気密空間に伝熱体M’が封入された電極が出来上がる。
【0029】
上記実施形態においても、主要部材の開口内に略円柱状の蓋用部材を嵌入すると共に、各部材における被溶接部を、該蓋用部材の最大外径部の後端と主要部材の開口周縁部に形成しているので、主要部材の内周面と蓋用部材の外周面とが全周方向に接した状態とされ、各両部材の相対的な移動が軸方向のみに規制されることになるので位置ずれを生じることがなく、溶接の作業を簡単に行うことができるようになる。また、蓋用部材の最大外径部の後端と主要部材の開口周縁部とを溶接するので、当該箇所においては、熱容量の小さな易溶接部を簡単に形成することが可能であって、このようにすると短時間かつ低熱量で溶接を確実に完了させることができるようになる。そして、電極に形成される溶接部は、電極の後端部、詳しくは、後端面上若しくは電極後端の外周縁上に形成される、つまり、電極側面上に局所的に大径となる箇所となって形成されないので、発光管構成用のガラス管材料も従来品と同寸のものを使用できて、放電ランプの製作が困難であったり、該ランプや周辺設備が大型になったりする問題を生じることなく、電極の過熱、溶融を防止できて、電流流量の増大化を図ることが可能な放電ランプを提供することができる。
【0030】
続いて図4(b)に示す実施形態においては、主要部材21の開口部近傍Cにすり鉢状のテーパが形成されており、被溶接部21aが半径方向外方に向かって肉厚が小さくなるよう形成されている。一方、蓋用部材22には、被溶接部22aが最大外径部222近傍に形成されている。なお、蓋用部材22における被溶接部22aもまた外方に向かうに従って肉厚が小さくなるよう形成されている。主要部材21の筒部に蓋用部材22を嵌入すると、蓋用部材22の最大外径部222の後端と主要部材21の開口周縁部とが周方向に接触し、嵌合する。なお、この実施形態においても、主要部材21の筒部内に段部が形成されて被当接部21bが形成されて、蓋用部材22底面の当接部22bに当接することにより、被溶接部21a,22aを溶接した後の溶接部に、大きな負荷が掛からないようにしている。
【0031】
この実施形態によっても、主要部材と蓋用部材の位置関係がこわれにくくて溶接作業を簡便に完遂することができる。無論、溶接部は電極後端部に位置されるので先に本発明者らが提案した電極のように側面上に大径の溶接部が形成されることもない。この実施形態においても、最終形状とした電極には胴部に大径となるような部分が形成されないため、発光管の材料等を新たに製作する必要もなく、即ち大幅な設計変更が生じるような問題も生じることなく、高輝度、高出力の放電ランプを提供することができる。
【0032】
続いて図4(c)に示す実施形態では、主要部材21の端面近傍の側面上には凹状の溝Gが周方向に設けられていると共に、主要部材21の開口側端面に当接するように蓋用部材22にフランジFが形成されている。被溶接部21a,22aは電極軸方向に略直交する面で周接しており、半径方向外方に向かって肉厚が小さくなるよう形成されている。なお、主要部材21の筒部内の被当接部21bと、蓋用部材22底面の当接部22bとが接することによる効果は先に述べた実施形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0033】
上記実施形態においても先に説明したものと同様の効果を得ることができる。即ち、主要部材と蓋用部材の相対的な移動が規制されるので、位置ずれを生じることなく溶接作業を簡単に遂行することができ、形成された溶接部は電極後端部に位置されて側面上に大径の溶接部が形成されることがない。よって、係る電極を用いた放電ランプにおいては、製作が容易で汎用性に富むものとなる。
【0034】
以上説明したように、本願発明によれば、電極本体内部に該本体部分よりも高い熱伝導性を有する伝熱体が気密に封入されているので、当該電極先端部の熱を高効率に後方に向けて輸送することができ、当該電極を具備した本発明に係る放電ランプは、電極先端部の過熱を防止できて高輝度かつ高出力を実現することが可能になる。
しかも、係る電極本体は、略有底円筒状の主要部材と、当該主要部材の筒部開口内に嵌入された略円柱状の蓋用部材とにより構成され、前記主要部材の開口内に蓋用部材が嵌入され、該蓋用部材の最大外径部の後端が前記主要部材の開口周縁部に溶接されることにより、当該電極本体の後端部に溶接部が形成されているので、その溶接工程においては主要部材と蓋用部材の相対的な移動が規制されて位置ずれを生じにくく、溶接工程における作業性が極めて良好なものとなる。生産性の良好な高品位な放電ランプを提供することができるようになる。
更に、本発明に係る放電ランプによれば、溶接部が電極に後端部に規則的に形成されることで、例えば溶接部が電極の胴部の中腹に不規則に形成されたものと異なり、ランプ点灯時にアークがちらつくことなく安定的に点灯させることが可能である。
【0035】
なお、本願発明は上記構成に限定されず適宜変更が可能であることはいうまでもない。例えば、電極本体を構成する高融点金属については上述した物質に限定されず適宜変更可能である。また、伝熱体も上述した物質に限定されず適宜変更可能であり、何れも、単原子からなる金属であってもよいし二種以上の金属の合金であってもよい。無論、上記実施形態に限定されるものではない。
【0036】
以下、本願発明の実施例について説明する。
〔実施例〕
図2に示した電極と同様の形態の放電ランプ用の陽極を下記条件で製作した。〔陽極側電極〕
・電極本体 材質:タングステン、軸方向長さ:55mm、胴部外径:25mm、内容積:6700mm3
・伝熱体 材質:銀、封入量6000mm3
・軸部分 材質:タングステン、外径:6mm
その結果、溶接も簡単に行うことができ溶接部の接合状態も良好であることが確認された。
【0037】
上記本実施例に係る電極を、図1に示す形態の放電ランプの陽極側電極に組込み実施例とした。
放電ランプの各部構成は下記の通りである。
発光管内容積:1830cm3
発光長(電極間距離、ランプ動作中):12mm
キセノンの封入圧力:100kPa
水銀量:28.2mg/cm3
〔陰極側電極〕
・本体 材質:トリエーティッドタングステン(トリア:2wt.%)
・軸部分 材質タングステン、外径:6mm
【0038】
〔実験例〕
上記実施例に係る放電ランプを、ランプ電流200Aで、前記陽極側電極を上にして、当該ランプを垂直方向に支持した状態で点灯した。そして、ランプ点灯して600s後に、陽極側電極の先端部における表面温度をマイクロパイロメーターにより測定した。
また、陽極側電極として単一の材質(タングステン)のみで構成された上記実施例と同仕様の従来の放電ランプを上記と同条件で点灯し、ランプ点灯して600s後に、陽極側電極の先端部における表面温度をマイクロパイロメーターにより測定した。
その結果、実施例に係る放電ランプによれば、電極の先端部温度は、従来の放電ランプが2000℃であったのに対し、実施例に係るものは1850℃であって、本願発明に係る放電ランプのほうが低くなっていると確認された。なお、温度が低下する勾配は、従来製品に係るランプは比較的急峻であるが、本実施例に係る放電ランプでは従来製品よりも緩慢であり、電極先端部の熱をより多く後端に輸送していることが確認された。
このように、本発明に係る放電ランプによれば、電極先端部の温度を低下させることが可能であり、従来の放電ランプと寸法等を変更することなく電流流量の増大を図ることが可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明した本願発明によれば、電極本体内部に該本体部分よりも高い熱伝導性を有する伝熱体が気密に封入されているので、当該電極先端部の熱を高効率に後方に向けて輸送することができ、当該電極を具備した本発明に係る放電ランプは、電極先端部の過熱を防止できて高輝度かつ高出力を実現することが可能になる。しかも、係る電極は略有底円筒状の主要部材の開口内に略円柱状の蓋用部材を嵌入し、電極本体の開口周縁部と蓋用部材の最大外径部における最後端とを溶接してなるものであるので、主要部材の内周面と蓋用部材の外周面とが全周方向に接した状態とされて各両部材の相対的な移動が軸方向のみに規制されて溶接作業中に位置ずれを生じ難く、溶接工程における作業性が極めて良好なものとなるため、生産性良好でかつ高品位な放電ランプを提供することができるようになる。
また、電極本体において蓋用部材の最大外径部の後端と主要部材の開口周縁部とを溶接するので熱容量の小さな易溶接部を簡単に形成することができ、係る場合は溶接を短時間で確実に完遂することができるようになる。
また、最終形状とした電極においては、後端部、詳しくは、後端面上若しくは電極後端の外周縁上に溶接部が形成されているので、当該電極側面上に局所的に大径となる箇所となって形成されるようなことがなく、放電ランプの組立時において、従来の発光管構成用のガラス管材料を用いることができ、ランプの製作を困難にするような弊害を生じることがない。更に、電極の側面に溶接部が形成されていないので放電ランプの点灯特性を損なわせるといった問題も生じることなくちらつきのない安定した点灯状態を維持できるようになる。
【0040】
更に、上記本願発明に係る放電ランプにおいて、電極本体の内部に主要部材と蓋用部材とが当接部を有した状態で溶接されることにより、電極製作時の位置合せ作業が簡単になる。なお、溶接後は、電極本体に当該電極の軸方向に圧縮応力が掛かったとしても主要部材と蓋用部材との当接部によって緩和されるようになるため、溶接部に掛かる応力を小さくすることができて、当該溶接部の破損防止効果をも得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る放電ランプの全体を示す図である。
【図2】本願発明に係る陽極の説明用側断面図を示す。
【図3】本願発明に係る主要部材と蓋用部材を説明する断面図である。
【図4】本願発明に係る電極の他の実施形態を説明する図である。
【図5】本発明者らが先に発明した電極構造を説明する断面図である。
【図6】図5に示す電極の製造工程を説明する図である。
【符号の説明】
10 発光管
11 発光部
12 封止部
2 陽極(電極)
3 陰極(電極)
4 外部リード棒
5 軸部分
20 電極本体
21 主要部材
22 蓋用部材
21a、22a 被溶接部
21b 被当接部
22b 当接部
220 嵌入穴
M、M’ 伝熱体
S 密閉空間
F フランジ
G 溝
Claims (2)
- 発光管の内部に一対の電極が対向配置された放電ランプにおいて、
前記電極は、高融点金属よりなり内部に密閉空間が形成された電極本体と、前記高融点金属に比較して熱伝導率が高い金属若しくは融点が低い金属よりなる電極本体の前記密閉空間内に配置された伝熱体と、により構成されてなり、
前記電極本体は、略有底円筒状の主要部材と、当該主要部材の筒部開口内に嵌入された略円柱状の蓋用部材と、よりなり、
前記電極には後端部の近傍に、該蓋用部材の最大外径部の後端と前記主要部材の開口周縁部とが溶接された溶接部が形成されていることを特徴とする放電ランプ。 - 前記電極本体の内部に前記主要部材と前記蓋用部材の当接箇所があることを特徴とする請求項1記載の放電ランプ。
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