JP2004265961A - 半導体レーザ装置、半導体レーザモジュールおよび半導体レーザ装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】DWDM伝送システムにおいては、中継器の間隔を長くするために、信号光源のレーザ光の大出力化が要望されている。また、光ファイバ増幅器の増幅能力を向上させるために、励起用光源に使用される半導体レーザ装置の大出力化も要望されている。
【解決手段】半導体レーザ装置10は、半導体レーザ素子9を設置するサブマウント12を有し、半導体レーザ素子9を設置するサブマウント12の少なくとも表面の一部にAuを主成分とする金属薄膜を有する金属膜が形成され、この金属膜は熱処理されることを特徴としている。
【選択図】 図1
【解決手段】半導体レーザ装置10は、半導体レーザ素子9を設置するサブマウント12を有し、半導体レーザ素子9を設置するサブマウント12の少なくとも表面の一部にAuを主成分とする金属薄膜を有する金属膜が形成され、この金属膜は熱処理されることを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高出力化と長寿命化を実現した半導体レーザ装置および半導体レーザモジュールに関し、特に半導体レーザ素子の下方に位置するサブマウントの構造に特徴のある半導体レーザ装置、半導体レーザモジュールおよび半導体レーザ装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のインターネットの急速な普及や企業内LAN間接続の急増等によって、データトラフィックの増加が問題となっており、通信パフォーマンスの低下を防止するためにも、高密度波長分割多重(DWDM:Dense−Wavelength Division Multiplexing)伝送システムがめざましい発展を遂げ普及している。
【0003】
DWDM伝送システムでは、複数の光信号をそれぞれ異なる波長に乗せることにより1本の光ファイバで従来の100倍にも及ぶ大容量伝送を実現している。ここで、DWDM伝送システムにおいて用いられる信号光源あるいは増幅用光源を構成する半導体レーザ素子を有する半導体レーザ装置は、発振波長が高精度に調節される必要があるとともに、半導体レーザ素子の熱飽和を防止して高い光出力で動作させる必要がある。このため、従来の半導体レーザ装置は、レーザ光を出射する半導体レーザ素子の近傍に、半導体レーザ素子の温度を測定するサーミスタを設け、このサーミスタからの情報によりペルチェ素子等の温度調節素子によって、半導体レーザ素子の温度調節を行ない、発振波長の不安定化や半導体レーザ素子の熱飽和を防止するようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図13は、従来の半導体レーザ装置の概要構成を示す斜視図である。図13において、半導体レーザ装置は、銅タングステン(CuW)合金で形成されたキャリア101上に、絶縁性および高熱伝導率をもつ窒化アルミニウム(AlN)で形成されたサブマウント102が設けられ、このサブマウント102上に、所定波長のレーザ光L100を出力する半導体レーザ素子103が設けられる。また、キャリア101上には、前記サブマウント102とは別にAlNで形成されたサブマウント104が設けられ、このサブマウント104上に、半導体レーザ素子の温度を計測するサーミスタ105が設けられる。
【0005】
半導体レーザ素子103とサブマウント102は、金属膜102aを介して接合される。この金属膜102aは、サブマウント上にTi/Pt/Auがそれぞれ60nm/200nm/600nmの膜厚で積層することにより形成される。この金属薄膜102aと半導体レーザ素子103をAuSnなどのハンダ材によって固定することにより、半導体レーザ素子103とサブマウント102が接合される。また、サーミスタ105とサブマウント104との間も同様に、金属膜104aを介して接合される。
【0006】
半導体レーザ素子103は、サブマウント102と接合する面にp側電極を有し、他方の面にn側電極を有する。また、半導体レーザ素子103は、主に熱を発生する活性層をサブマウント102側に配置、言い換えるならば半導体レーザ素子103の基板側にn側電極を配置した、いわゆるジャンクションダウンで固定される。n側電極は、Auのワイヤ106aによってマイナス電極にリードされる。p側電極は、金属薄膜102aおよびAuのワイヤ106bを介してプラス電極側のキャリア101にリードされる。
【0007】
これによって、サブマウント102は、半導体レーザ素子103の絶縁を確保するとともに、半導体レーザ素子103のヒートシンクとして機能する。また、サブマウント102は、キャリア101の下部にAuSnハンダ材によって接合される図示しないCuWのベースに接合され、このベース下部に設けられた図示しないペルチェモジュールが、サーミスタ105によって検出された温度に応じて半導体レーザ素子103の温度調節を行なう。
【0008】
なお、サーミスタ105も、半導体レーザ素子103と同様に、サブマウント104によってキャリア101から絶縁され、熱伝導性の高い、サブマウント102、キャリア101およびサブマウント104を介して半導体レーザ素子103の温度を検出する。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−340878号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したDWDM伝送システムにおいては、中継器の間隔を長くするために、信号光源のレーザ光の大出力化が要望されている。また、光ファイバ増幅器の増幅能力を向上させるために、励起用光源に使用される半導体レーザ装置の大出力化も要望されている。
【0011】
光出力の最大値は、主に発熱による光出力の飽和によって決定されるので、半導体レーザ装置においてレーザ光の大出力化を実現するには、放熱性の向上が鍵となる。
【0012】
そこで、上述したサブマウントを放熱性の高いダイヤモンド等の材料で形成したり、半導体レーザ素子を上述したジャンクションダウンで接合したりして放熱効率を高めている。
【0013】
ダイヤモンド等のサブマウント上に半導体レーザ素子を接合するには、まずサブマウント上にハンダ材を介して半導体レーザ素子を配置し、前記ハンダ材の融点程度の温度までサブマウントを加熱してハンダ材を溶かす。その後、ハンダ材の融点程度の温度から室温程度に温度が下がることによって半導体レーザ素子はサブマウント上に接合される。このとき、サブマウントと半導体レーザ素子の線熱膨張係数の違いによって歪が生じる。この歪によって半導体レーザ素子の特性劣化、破損、信頼性劣化が生じるという問題が起こることがあった。
【0014】
また、半導体レーザ素子は、半導体レーザ素子の動作時における発熱とサブマウントによる放熱とが繰り返されるため特性劣化、破損、信頼性劣化という問題が起こることもあった。
【0015】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、サブマウント上の金属膜を工夫することによって、半導体レーザ素子とサブマウントの線熱膨張係数の違いにより生じる歪を緩和させ、半導体レーザ素子を用いて高出力化を図りつつ長寿命化と安定化を実現する半導体レーザ装置、半導体レーザモジュール及び半導体レーザ素子の製造方法を提供することを目的とする。特にキャビティ長の大きな半導体レーザ素子を用いる場合、本発明は有効である。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる半導体レーザ装置は、高熱伝導性を有し、少なくとも表面の一部に金属膜が形成されたサブマウントと、前記金属膜上に設置される半導体レーザ素子と、を有する半導体レーザ装置において、前記金属膜は熱処理が施されていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項2にかかる半導体レーザ装置は、前記金属膜が、金(Au)を主成分とする金属薄膜を少なくとも1層含む複数の金属薄膜から成る多層膜で形成されることを特徴としている。
【0018】
また、請求項3にかかる半導体レーザ装置は、前記金(Au)を主成分とする金属薄膜の厚みが金(Au)を主成分としない金属薄膜の厚みの総計よりも大きいことを特徴としている。
【0019】
また、請求項4にかかる半導体レーザ装置は、高熱伝導性を有し、少なくとも表面の一部に金属膜が形成されたサブマウントと、前記金属膜上に設置される半導体レーザ素子と、を有する半導体レーザ装置において、前記金属膜は、ビッカース硬度がHV(0.01kgf)65未満であることを特徴としている。
【0020】
また、請求項5にかかる半導体レーザ装置は、高熱伝導性を有し、少なくとも表面の一部に金属膜が形成されたサブマウントと、前記金属膜上に設置される半導体レーザ素子と、を有する半導体レーザ装置において、前記金属膜はビッカース硬度がHV(0.01kgf)65未満である金(Au)を主成分とする金属薄膜を少なくとも1層含む複数の金属薄膜からなる多層膜で形成されることを特徴としている。
【0021】
また、請求項6にかかる半導体レーザ装置は、前記サブマウントが、ダイヤモンドによって形成されていることを特徴としている。
【0022】
また、請求項7にかかる半導体レーザ装置は、前記半導体レーザ素子のキャビティ長が800μm以上であることを特徴としている。
【0023】
また、請求項8にかかる半導体レーザモジュールは、請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置と、該半導体レーザ装置を覆うパッケージと、前記半導体レーザ装置から出射されたレーザ光をパッケージの外部に導波する光ファイバと、前記半導体レーザ装置と前記光ファイバと光結合を行う光結合レンズ系と、を備えたことを特徴としている。
【0024】
また、請求項9にかかる半導体レーザ装置の製造方法は、半導体レーザ素子を形成する工程と、サブマウントの表面に少なくとも前記半導体レーザ素子の底面と略同一の大きさの金属膜を形成する工程と、前記金属薄膜に熱処理を施す工程と、前記半導体レーザ素子を前記金属膜上に接合する工程を有することを特徴としている。
【0025】
また、請求項10にかかる半導体レーザ装置の製造方法は、半導体レーザ素子を形成する工程と、サブマウントの表面に少なくとも前記半導体レーザ素子の底面と略同一の大きさの金属膜を形成する工程と、前記金属膜上に誘電体膜を形成する工程と、前記金属膜に熱処理を施す工程と、前記熱処理後に前記誘電体膜を除去する工程と、前記半導体レーザ素子を前記金属膜上に接合する工程を有することを特徴としている。
【0026】
また、請求項11にかかる半導体レーザ装置の製造方法は、前記熱処理の温度が300℃以上であることを特徴としている。
【0027】
また、請求項12にかかる半導体レーザ装置の製造方法は、前記熱処理の温度が400℃以上であることを特徴としている。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる半導体レーザ装置および半導体レーザモジュールの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0029】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかる半導体レーザ装置について説明する。図1は、実施の形態1にかかる半導体レーザ装置の構成を説明するための説明図である。特に、図1(a)は、半導体レーザ装置の共振方向に対し垂直な面の断面図を示す。すなわち、紙面に垂直な方向がレーザ出射方向に一致する。また、図1(b)は、図1(a)をA−Aで切断し、ハンダ層14側から半導体レーザ素子9を見た図を示す。実施の形態1にかかる半導体レーザ装置10は、半導体レーザ素子9を設置するサブマウント12を有し、半導体レーザ素子9を設置するサブマウント12の少なくとも表面の一部にAuを主成分とする金属薄膜を有する金属膜が形成され、この金属膜は熱処理されることを特徴としている。また、図2(a)は、図1(b)と同様に図1(a)をA−Aで切断した場合のハンダ層14及び半導体レーザ素子9の斜視図である。半導体レーザ素子9は、キャビティ長Lの活性層3を有し、p側電極層16上に金属膜15を有する。また金属膜15の凸部19は、半導体レーザ素子の光が出射する側を識別するために設けられている。
【0030】
(実施例1)
図1(a)において、半導体レーザ装置10は、AlN等で形成されたキャリア11上に、絶縁性および高熱伝導性をもつダイヤモンドで形成されたサブマウント12が設けられ、このサブマウント12上に、所定波長のレーザ光を出力する半導体レーザ素子9が設置される。
【0031】
図1(a)に示すように、半導体レーザ素子9の一面側にはp側電極層16が形成され、それに対向する他面側にはn側電極層18が形成される。また、p側電極層16の表面には、Auを主成分とする金属薄膜15が形成される。なお、半導体レーザ素子9としては、例えばInP系の1.48μm帯で発振する半導体レーザ素子を用いることができ、そのキャビティ長は、高出力を実現するために800μm以上であることが好ましい。
【0032】
一方、サブマウント12上には金属膜13が形成される。そして、この金属膜13上にハンダ層14が塗布され、そのハンダ層14を介して、前記金属薄膜15が金属膜13と接合される。これにより、半導体レーザ素子9がサブマウント12上に接合されるとともに、p側電極層16から金属膜13を経由した電極配線の引き出しが可能となる。なお、半導体レーザ素子9は、活性層3がp側電極層16寄りに位置、言い換えるならば半導体レーザ素子9の基板側にn側電極を配置して、上述したジャンクションダウンの形態で接合される。
【0033】
金属膜13は、複数の金属薄膜が積層された多層膜構造であり、Auを主成分とする金属薄膜を有する。本実施例では図中に示す金属膜13は、本発明の一例であり、4層の金属薄膜c1〜c4によって構成されている。例えば金属薄膜c3としてAu膜を用いている。なお、これら金属薄膜は、隣接する金属薄膜の材料が異なれば、同じ材料により形成される金属薄膜を複数層用いても良い。例えば、本実施例では金属膜c2とc4として、ともにPt膜を用いている。
【0034】
また、これら金属薄膜は、金属薄膜間でのエレクトロマイグレーションによる劣化を防止できる組成の組み合わせとすることが好ましく、かつAuを主成分とする金属薄膜の厚みを、他の金属薄膜の厚みの総計より大きくすることが好ましい。例えば、本実施例では、Au薄膜c3の厚みを2μm、他のTi膜c1、Pt膜c2、Pt膜c4の厚みの総計は0.5μm程度とする。このように、金属膜13を構成する主材料をAuとし、かつ本発明を適用することにより金属膜13のAuのグレインサイズが大きくなり、半導体レーザ装置は低電気抵抗やクッション機能の利点を享受することができる。
【0035】
次に、サブマウントの表面に形成される金属膜の形成工程1及び形成工程2について述べる。
(形成工程1)
本発明の形成工程1では、ダイヤモンド製のサブマウントの表面に、真空蒸着法を用いてTi、Pt、Au、Ptを順番に蒸着し、Ti膜、Pt膜、Au膜、Pt膜からなる金属膜を形成する。ついで、このサブマウントに420℃、1分間窒素雰囲気下で熱処理を施すことにより金属膜に熱処理を施す。その後、金属膜上にハンダ層を真空蒸着法で形成する。
【0036】
図10は、金属膜の形成工程1に対する熱処理(焼結)を示すフローチャートである。図10において、まずダイヤモンド製のサブマウントを準備する(ステップS101)。そして、そのサブマウントの表面に、図1(a)で示したような金属膜13を真空蒸着法で形成する(ステップS102)。ここで、この金属膜13を構成する金属薄膜Au膜c3の厚みは、他の金属薄膜の厚みの総計よりも大きくなるように形成することが好ましい。例えば、本形成工程により形成される金属膜13は、金属薄膜Au膜c3の厚みを2μmとし、他の金属薄膜c1、c2、c4の厚みの総計を0.5μm程度とする。
【0037】
つぎに、前記金属膜13が形成されたサブマウントに、所定時間、所定温度で熱処理を施す(ステップS103)。この熱処理は、例えば数十秒間その特定の温度で保持される。加熱炉内で特定の時間加熱された後は、室温まで冷却される(ステップS104)。なお、サブマウントを加熱することができれば、加熱炉以外の装置を用いてもよい。
【0038】
冷却が終わった状態では、上述した金属膜は、熱処理を施すことにより熱処理を施さない場合と比較して、大きなサイズのグレインが形成されており、効果的なクッション機能を有する。次に、前記金属膜13の上に、ハンダを真空蒸着法で形成する(ステップS105)。
【0039】
(形成工程2)
本発明の形成工程2は、ダイヤモンド製のサブマウントの表面に、真空蒸着法を用いてTi、Pt、Au、Ptを順番に蒸着し、金属薄膜Ti膜、Pt膜、Au膜、Pt膜からなる金属膜を形成する。その後、金属膜上にSiN等の誘電体膜をプラズマCVD法で形成し、ついでこのサブマウントに420℃、1分間窒素雰囲気下で熱処理を施すことにより金属膜に熱処理を施す。その後、SiN等の誘電体膜を除去し、金属膜上にハンダ層を真空蒸着法で形成する。熱処理時に金属膜上にSiN等の誘電体膜を形成する目的は、熱処理後にハンダ層が剥がれる問題を抑制することにある。
【0040】
図11は、前記金属膜の形成工程2に対する熱処理(焼結)を示すフローチャートである。図11において、まずダイヤモンド製のサブマウントを準備する(ステップS201)。そして、そのサブマウントの表面に、図1(a)で示したような金属膜13を真空蒸着法で形成する(ステップS202)。ここで、この金属膜13を構成する金属薄膜Au膜c3の厚みは、他の金属薄膜の厚みの総計よりも大きくなるように形成することが好ましい。例えば、本形成工程により形成される金属膜13は、金属薄膜Au膜c3の厚みを2μmとし、他の金属薄膜c1、c2、c4の厚みの総計を0.5μm程度とする。
【0041】
つぎに、前記金属膜13上に、誘電体膜(SiN等)を形成する(ステップS203)。その後、前記金属膜13、誘電体膜が形成されたサブマウントに、所定時間、所定温度で熱処理を施す(ステップS204)。この熱処理は、例えば数十秒間その特定の温度で保持される。加熱炉内で特定の時間加熱された後は、室温まで冷却される(ステップS205)。なお、サブマウントを加熱することができれば、加熱炉以外の装置を用いてもよい。
【0042】
冷却が終わった状態では、上述した金属膜は、熱処理を施すことにより大きなサイズのグレインが形成されており、効果的なクッション機能を有する。次に、前記金属膜13の上に形成された誘電体膜(SiN等)をフッ酸で除去する(ステップS205)。その後、前記金属膜13の上にハンダ層を真空蒸着法で形成する(ステップS206)。
【0043】
次に、金属膜13、特に金属薄膜Au膜c3のグレインサイズについて述べる。サブマウント上の金属膜13のクッション機能に影響を及ぼすパラメータの一つは、Au膜c3のグレインサイズであり、半導体レーザ素子9とサブマウント12との間におけるクッション機能を増加させるには、Au膜c3のグレインサイズは大きい方が望ましい。ここでは、半導体レーザ素子9のp側電極層16の表面に形成されたAuを主成分とする金属薄膜15について検討し、この結果を金属薄膜Au膜c3に適用することにする。
【0044】
図3は、どんな熱処理も施されていない場合(焼結なし)の金属薄膜15の微視画像である。金属薄膜15中のグレインサイズは、図中で表示されている20μmよりもかなり小さい。本発明者らは、前記熱処理の工程において、焼結する温度と金属薄膜15のグレインサイズとの関係を求めるために以下の実験を行った。
【0045】
図4〜8は、順に、焼結温度を100℃、200℃、300℃、360℃、420℃とした場合の金属薄膜15のグレインサイズを示す微視画像である。ここで、グレインサイズは、画像上においてある方向に1本の直線を引くことで測定することかできる。例えば図8において、水平方向に直線を引き、その直線を交差するグレインを数えた後、直線の長さをそのグレイン数で除算すればグレインサイズを得ることができる。
【0046】
図4〜8で示されるように、焼結温度が増加するに従って、グレインサイズも増加する。特に、焼結温度が100℃と200℃の間では、図4と図5で示されるように、グレインサイズを決定する縁が増加していることがよくわかる。特に、図6で示されるように、焼結温度が300℃である場合、金属薄膜の境界において早期な結晶化が観測され、より大きなグレインサイズを得ることができる。図7と図8では、さらに再結晶化が観測される。これらの結果から、発明者らは、金属薄膜15のクッション機能を効果的にするためには、300℃以上の焼結温度で熱処理することが好ましいことを見いだした。また、400℃以上の焼結温度で熱処理することがより好ましいことを見いだした。
【0047】
発明者らはこの知見を金属膜13にも適用することを考えた。すなわち、金属膜13に上述した熱処理を施すことで金属膜13中の金属薄膜Au膜c3のグレインサイズを大きくし、金属膜13のクッション機能を効果的にすることを考えた。その結果、上述した金属膜13の形成工程1、2を発明するにいたった。
【0048】
図9は、Au材料についてのビッカース硬度と焼結温度との関係を示すグラフである。なお、図9を得るために、各サンプルは、JIS Z 2244に準じた方法により10重量グラムの負荷を15秒間保持する条件の下で、2つのポイントで測定された。図9で見られるように、焼結温度の増加に従って硬度は減少する。この結果から、300℃以上の焼結温度では、金材料の硬度はHV(0.01kgf)65未満となることがわかる。発明者は、この知見を金属薄膜13にも適用することを考えた。すなわちAuを主成分とする金属薄膜13のビッカーズ硬度をHV(0.01kgf)65未満とすることで、金属膜13のクッション機能を効果的なものにすることを考えた。
【0049】
つぎに、p側電極層16、金属薄膜15、ハンダ層14および金属膜13を形成する各材料および厚みについて説明する。図2(b)は、半導体レーザ素子9とサブマウント12との間の接合部分の拡大図である。なお、図2(b)において、図1(a)と共通する部分には同一の符号を付してここではその説明を省略する。
【0050】
図2(b)において、p側電極層16は、複数の金属薄膜が積層された多層膜構造であり、少なくとも金属薄膜15と接触する金属薄膜はAuを主成分とする材料で形成される。図中に示すp側電極層16は、本発明の一例であり、5層の金属薄膜a1〜a5によって構成されている。なお、これら金属薄膜は、隣接する金属薄膜の材料が異なれば、同じ材料により形成される金属薄膜を複数層用いても良い。例えば、本実施例では金属膜a1とa5として、ともにAu膜を用いている。
【0051】
また、これら金属薄膜は、金属薄膜間でのエレクトロマイグレーションによる劣化を防止できる組成の組み合わせとすることが好ましく、かつその厚みの総計、すなわちp側電極層16の厚みh4は熱抵抗や電気抵抗が最小限となるように形成することが好ましい。例えば、本実施例では、p側電極層16の厚みh4を0.5μm以下とする。
【0052】
金属薄膜15は、Auを用いて電解めっき法によって形成される。このように、金属薄膜15を、上述したp側電極層16の最表面の金属薄膜と同じ材料であるAuで形成することによって、p側電極層16との接合状態を安定に保つことができる。また、Au(特に純金)は柔らかい上に、電気抵抗が低く、ハンダ層14との接着においてクッション材としても機能させることかできる。すなわち、金属薄膜15と一体になった半導体レーザ素子9を、ハンダ層14を介してサブマウント12上に接合する際に、サブマウント12側への加圧によって受ける半導体レーザ素子9の負荷を分散させることができる。これにより、接合時における半導体レーザ素子9の破損を防止することができる。なお、金属薄膜15の厚みh3は、上述したクッション機能を確保しつつ、熱抵抗や電気抵抗が大幅に増大しない程度の値とすることが好ましい。具体的には、金属薄膜15の厚みh3は少なくとも1μm以上であることが好ましく、特に2〜9μmの範囲内であることが好ましい。さらに、金属薄膜15の厚みh3の最適な値は6μmである。
【0053】
ここで、電解めっき法によって金属薄膜15を形成した後に、熱処理を施す。この熱処理工程によって、金属薄膜15を構成するAuのグレインサイズが大きくなり、上述したクッション効果が高められる。
【0054】
導電接着材となるハンダ層14は、Au系、例えばAuSnで形成される。Au系の材料は上述したように柔らかく電気抵抗も低いため、金属薄膜15と同様なクッション機能を持たせるために厚くすることができ、歪緩和に適する。また、ハンダ層14は、その材料の組成によって共晶温度が変わるが、共晶温度が高くなる、すなわち冷却(常温)までの温度差が大きいと、半導体レーザ素子9とサブマウント12との線熱膨張係数差による熱膨張差も大きくなり、半導体レーザ素子9に与える歪も大きくなってしまう。そこで、共晶温度が小さくなるように、ハンダ層14の組成を決定することが好ましい。例えば、ハンダ層14としてAuSnを用いた場合には、Au:Sn=74:26〜80:20の割合とすることが好ましい。
【0055】
ハンダ層14は、電気抵抗や熱抵抗が最小となり、かつ十分な導電機能と接着機能を果たすだけの厚みとすることが好ましい。例えば、ハンダ層14としてAuSnを用いた場合、半導体レーザ素子9を固着させる直前の塗布状態において3.5μm±20%(2.8〜4.2μm)とし、接合後の厚みh2を1μm程度とすることが好ましい。
【0056】
(実施例2)
図14は、実施の形態1にかかる実施例2のサブマウント44上の金属膜45の構成を説明するための説明図であり、サブマウント44側から金属膜45を見た図である。金属膜45は、複数の金属薄膜が積層された多層膜構造であり、Auを主成分とする金属薄膜有する。図中に示す金属膜45は、本発明の一例として、4層の金属薄膜40〜43によって構成されている。例えば金属薄膜42としてAu膜を用いている。なお、これら金属薄膜は、隣接する金属薄膜の材料が異なれば、同じ材料により形成される金属薄膜を複数層用いても良い。例えば、本実施例では金属膜41と43として、ともにPt膜を用いている。
より具体的には、金属膜45は、ダイヤモンド製のサブマウント44の表面全部を覆うように、真空蒸着法を用いて、金属薄膜Ti膜40、Pt膜41、Au膜42、Pt膜43の順番に蒸着されることにより形成される。
【0057】
また、これら金属薄膜は、金属薄膜間でのエレクトロマイグレーションによる劣化を防止できる組成の組み合わせとすることが好ましく、かつAuを主成分とする金属薄膜の厚みを、他の金属薄膜の厚みの総計よりも大きくすることが好ましい。例えば、本実施例では、金属薄膜42の厚みを2μmとし、他のTi膜40、Pt膜41、Pt膜43の厚みの総計を0.5μm程度とする。このように、金属膜45を構成する主材料をAuとすることにより、上述した低電気抵抗やクッション機能の利点を享受することができる。
【0058】
さらに、本実施例2のように金属膜で覆われたサブマウントを図13に示す半導体レーザ装置に用いる場合、図13に示すワイヤ106bは不要となり、工程は短縮される。
以上に説明したとおり、実施の形態1にかかる半導体レーザ装置のサブマウント上の金属膜13、45によれば、前記金属膜13、45中のAu膜c3のグレインサイズは大きくなり、Au膜c3のビッカーズ硬度は小さくなるので、Au膜c3は半導体レーザ素子9に対して効果的なクッション機能を有し、半導体レーザ素子9の端部に与える熱応力の影響を低減させることができ、活性層3で生じた熱や半導体レーザ素子9をサブマウント12上に接合する際に生じる熱を起因とした半導体レーザ素子9の劣化の助長や破損を防止することができる。
【0059】
なお、以上に説明した実施の形態1では、ジャンクションダウンを例に示したが、前記電極の極性を変えて活性層3を上方の電極側に設けた、いわゆるジャンクションアップの構造を採用した場合でも、本発明を同様に適用することができる。
また、本実施の形態では高熱伝導性のサブマウントとしてダイヤモンドを用いたが、窒化アルミ等の高熱伝導性をもつ材料を用いてもよい。
【0060】
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2にかかる半導体レーザモジュールについて説明する。実施の形態2にかかる半導体レーザモジュールは、実施の形態1で示した半導体レーザ装置をモジュール化したものである。図12は、実施の形態2にかかる半導体レーザモジュール20の構成を示す断面図である。図12において、半導体レーザモジュール20は、銅タングステン(CuW)合金などによって形成されたパッケージ29を筐体とする。そのパッケージ29の内部底面上には、温度調節装置として機能するペルチェモジュール28が配置される。ペルチェモジュール28上にはベース27が配置され、このベース27上にはキャリア34が配置される。
【0061】
特に、図12においては、半導体レーザ装置31が、上述した実施の形態1で示した半導体レーザ装置に対応し、キャリア34が図1に示したキャリア11に相当する。よって、キャリア34上には、半導体レーザ装置31が配置されるが、さらに、サーミスタ32および光モニタ33が配置される。また、ベース27上には、第1レンズ22が配置される。半導体レーザ装置31から出射されたレーザ光は、第1レンズ22、アイソレータ23および第2レンズ24を介し、光ファイバ25内に導波される。第2レンズ24は、レーザ光の光軸上に位置するパッケージ29内に設けられ、外部接続される光ファイバ25に光結合される。なお、光モニタ33は、半導体レーザ装置31の出射面とは反対側から漏れた光をモニタ検出する。
【0062】
ここで、この半導体レーザモジュール20では、他の光学部品などによる反射戻り光が共振器内に再入力しないように、半導体レーザ装置31と光ファイバ25との間にアイソレータ23を介在させている。
【0063】
なお、上述した実施の形態2では、半導体レーザ装置31から出射されたレーザ光をそのまま出力する形態の半導体レーザモジュール20としたが、光ファイバ25の第2レンズ24側端部の近傍に光ファイバグレーティングを形成し、この光ファイバグレーティングによって半導体レーザ装置31から出射されたレーザ光を波長選択して出力する光ファイバグレーティング付き半導体レーザモジュールにも適用できる。この場合、アイソレータ23は設けなくても良い。
【0064】
以上に説明したとおり、実施の形態2にかかる半導体レーザモジュールによれば、実施の形態1に示した半導体レーザ装置を搭載しているため、実施の形態1で示した効果を享受した半導体レーザモジュールを提供することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明にかかる半導体レーザ装置によれば、高熱伝導性を有するとともに表面に金属膜層が形成されたサブマウントと、前記サブマウント上に設置される半導体レーザ素子とを有する半導体レーザ装置において、前記金属膜層は熱処理されているので、半導体レーザ素子とサブマウント間において、クッション作用、低熱抵抗を与えることができ、半導体レーザ素子の保護とサブマウントによる放熱効果を享受することができ、安定した長寿命の半導体レーザ装置を提供することができる。
【0066】
また、本発明にかかる半導体レーザモジュールによれば、上述した半導体レーザ装置を搭載しているため、上述した半導体レーザ装置の効果を享受することができるという効果を奏する。
【0067】
また、本発明にかかる半導体レーザ装置の製造方法によれば、サブマウント表面に金属膜を形成した後に、その金属膜に対して熱処理を施すので、その金属膜を構成する材料のグレインサイズを大きくすることができ、上述したクッション作用を高めることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかる半導体レーザ装置の構成を説明するための説明図である。
【図2】図2(a)は、図1(b)の斜視図である。図2(b)は、図1(a)の拡大図である。
【図3】焼結なしの場合の金属膜の微視画像を示す図である。
【図4】焼結温度100℃の場合の金属膜の微視画像を示す図である。
【図5】焼結温度200℃の場合の金属膜の微視画像を示す図である。
【図6】焼結温度300℃の場合の金属膜の微視画像を示す図である。
【図7】焼結温度360℃の場合の金属膜の微視画像を示す図である。
【図8】焼結温度420℃の場合の金属膜の微視画像を示す図である。
【図9】金材料についてのビッカース硬度と焼結温度との関係を示すグラフである。
【図10】金属膜に対する熱処理(焼結)を示す形成工程1のフローチャートである。
【図11】金属膜に対する熱処理(焼結)を示す形成工程2のフローチャートである。
【図12】実施の形態2にかかる半導体レーザモジュールの構成を示す断面図である。
【図13】従来の半導体レーザ装置の概要構成を示す斜視図である。
【図14】実施の形態1の金属膜のその他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
3 活性層
9、103 半導体レーザ素子
10、31 半導体レーザ装置
11、34、101 キャリア
12、44、102、104 サブマウント
13、15、102a、104a 金属膜
14 ハンダ層
16 p側電極層
18 n側電極層
19 凸部
20 半導体レーザモジュール
22 第1レンズ
23 アイソレータ
24 第2レンズ
25 光ファイバ
27 ベース
28 ペルチェモジュール
29 パッケージ
32、105 サーミスタ
33 光モニタ
40 Ti膜
41 Pt膜
42 Au膜
43 Pt膜
106a、106b ワイヤ
L キャビティ長
【発明の属する技術分野】
本発明は、高出力化と長寿命化を実現した半導体レーザ装置および半導体レーザモジュールに関し、特に半導体レーザ素子の下方に位置するサブマウントの構造に特徴のある半導体レーザ装置、半導体レーザモジュールおよび半導体レーザ装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のインターネットの急速な普及や企業内LAN間接続の急増等によって、データトラフィックの増加が問題となっており、通信パフォーマンスの低下を防止するためにも、高密度波長分割多重(DWDM:Dense−Wavelength Division Multiplexing)伝送システムがめざましい発展を遂げ普及している。
【0003】
DWDM伝送システムでは、複数の光信号をそれぞれ異なる波長に乗せることにより1本の光ファイバで従来の100倍にも及ぶ大容量伝送を実現している。ここで、DWDM伝送システムにおいて用いられる信号光源あるいは増幅用光源を構成する半導体レーザ素子を有する半導体レーザ装置は、発振波長が高精度に調節される必要があるとともに、半導体レーザ素子の熱飽和を防止して高い光出力で動作させる必要がある。このため、従来の半導体レーザ装置は、レーザ光を出射する半導体レーザ素子の近傍に、半導体レーザ素子の温度を測定するサーミスタを設け、このサーミスタからの情報によりペルチェ素子等の温度調節素子によって、半導体レーザ素子の温度調節を行ない、発振波長の不安定化や半導体レーザ素子の熱飽和を防止するようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図13は、従来の半導体レーザ装置の概要構成を示す斜視図である。図13において、半導体レーザ装置は、銅タングステン(CuW)合金で形成されたキャリア101上に、絶縁性および高熱伝導率をもつ窒化アルミニウム(AlN)で形成されたサブマウント102が設けられ、このサブマウント102上に、所定波長のレーザ光L100を出力する半導体レーザ素子103が設けられる。また、キャリア101上には、前記サブマウント102とは別にAlNで形成されたサブマウント104が設けられ、このサブマウント104上に、半導体レーザ素子の温度を計測するサーミスタ105が設けられる。
【0005】
半導体レーザ素子103とサブマウント102は、金属膜102aを介して接合される。この金属膜102aは、サブマウント上にTi/Pt/Auがそれぞれ60nm/200nm/600nmの膜厚で積層することにより形成される。この金属薄膜102aと半導体レーザ素子103をAuSnなどのハンダ材によって固定することにより、半導体レーザ素子103とサブマウント102が接合される。また、サーミスタ105とサブマウント104との間も同様に、金属膜104aを介して接合される。
【0006】
半導体レーザ素子103は、サブマウント102と接合する面にp側電極を有し、他方の面にn側電極を有する。また、半導体レーザ素子103は、主に熱を発生する活性層をサブマウント102側に配置、言い換えるならば半導体レーザ素子103の基板側にn側電極を配置した、いわゆるジャンクションダウンで固定される。n側電極は、Auのワイヤ106aによってマイナス電極にリードされる。p側電極は、金属薄膜102aおよびAuのワイヤ106bを介してプラス電極側のキャリア101にリードされる。
【0007】
これによって、サブマウント102は、半導体レーザ素子103の絶縁を確保するとともに、半導体レーザ素子103のヒートシンクとして機能する。また、サブマウント102は、キャリア101の下部にAuSnハンダ材によって接合される図示しないCuWのベースに接合され、このベース下部に設けられた図示しないペルチェモジュールが、サーミスタ105によって検出された温度に応じて半導体レーザ素子103の温度調節を行なう。
【0008】
なお、サーミスタ105も、半導体レーザ素子103と同様に、サブマウント104によってキャリア101から絶縁され、熱伝導性の高い、サブマウント102、キャリア101およびサブマウント104を介して半導体レーザ素子103の温度を検出する。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−340878号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したDWDM伝送システムにおいては、中継器の間隔を長くするために、信号光源のレーザ光の大出力化が要望されている。また、光ファイバ増幅器の増幅能力を向上させるために、励起用光源に使用される半導体レーザ装置の大出力化も要望されている。
【0011】
光出力の最大値は、主に発熱による光出力の飽和によって決定されるので、半導体レーザ装置においてレーザ光の大出力化を実現するには、放熱性の向上が鍵となる。
【0012】
そこで、上述したサブマウントを放熱性の高いダイヤモンド等の材料で形成したり、半導体レーザ素子を上述したジャンクションダウンで接合したりして放熱効率を高めている。
【0013】
ダイヤモンド等のサブマウント上に半導体レーザ素子を接合するには、まずサブマウント上にハンダ材を介して半導体レーザ素子を配置し、前記ハンダ材の融点程度の温度までサブマウントを加熱してハンダ材を溶かす。その後、ハンダ材の融点程度の温度から室温程度に温度が下がることによって半導体レーザ素子はサブマウント上に接合される。このとき、サブマウントと半導体レーザ素子の線熱膨張係数の違いによって歪が生じる。この歪によって半導体レーザ素子の特性劣化、破損、信頼性劣化が生じるという問題が起こることがあった。
【0014】
また、半導体レーザ素子は、半導体レーザ素子の動作時における発熱とサブマウントによる放熱とが繰り返されるため特性劣化、破損、信頼性劣化という問題が起こることもあった。
【0015】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、サブマウント上の金属膜を工夫することによって、半導体レーザ素子とサブマウントの線熱膨張係数の違いにより生じる歪を緩和させ、半導体レーザ素子を用いて高出力化を図りつつ長寿命化と安定化を実現する半導体レーザ装置、半導体レーザモジュール及び半導体レーザ素子の製造方法を提供することを目的とする。特にキャビティ長の大きな半導体レーザ素子を用いる場合、本発明は有効である。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる半導体レーザ装置は、高熱伝導性を有し、少なくとも表面の一部に金属膜が形成されたサブマウントと、前記金属膜上に設置される半導体レーザ素子と、を有する半導体レーザ装置において、前記金属膜は熱処理が施されていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項2にかかる半導体レーザ装置は、前記金属膜が、金(Au)を主成分とする金属薄膜を少なくとも1層含む複数の金属薄膜から成る多層膜で形成されることを特徴としている。
【0018】
また、請求項3にかかる半導体レーザ装置は、前記金(Au)を主成分とする金属薄膜の厚みが金(Au)を主成分としない金属薄膜の厚みの総計よりも大きいことを特徴としている。
【0019】
また、請求項4にかかる半導体レーザ装置は、高熱伝導性を有し、少なくとも表面の一部に金属膜が形成されたサブマウントと、前記金属膜上に設置される半導体レーザ素子と、を有する半導体レーザ装置において、前記金属膜は、ビッカース硬度がHV(0.01kgf)65未満であることを特徴としている。
【0020】
また、請求項5にかかる半導体レーザ装置は、高熱伝導性を有し、少なくとも表面の一部に金属膜が形成されたサブマウントと、前記金属膜上に設置される半導体レーザ素子と、を有する半導体レーザ装置において、前記金属膜はビッカース硬度がHV(0.01kgf)65未満である金(Au)を主成分とする金属薄膜を少なくとも1層含む複数の金属薄膜からなる多層膜で形成されることを特徴としている。
【0021】
また、請求項6にかかる半導体レーザ装置は、前記サブマウントが、ダイヤモンドによって形成されていることを特徴としている。
【0022】
また、請求項7にかかる半導体レーザ装置は、前記半導体レーザ素子のキャビティ長が800μm以上であることを特徴としている。
【0023】
また、請求項8にかかる半導体レーザモジュールは、請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置と、該半導体レーザ装置を覆うパッケージと、前記半導体レーザ装置から出射されたレーザ光をパッケージの外部に導波する光ファイバと、前記半導体レーザ装置と前記光ファイバと光結合を行う光結合レンズ系と、を備えたことを特徴としている。
【0024】
また、請求項9にかかる半導体レーザ装置の製造方法は、半導体レーザ素子を形成する工程と、サブマウントの表面に少なくとも前記半導体レーザ素子の底面と略同一の大きさの金属膜を形成する工程と、前記金属薄膜に熱処理を施す工程と、前記半導体レーザ素子を前記金属膜上に接合する工程を有することを特徴としている。
【0025】
また、請求項10にかかる半導体レーザ装置の製造方法は、半導体レーザ素子を形成する工程と、サブマウントの表面に少なくとも前記半導体レーザ素子の底面と略同一の大きさの金属膜を形成する工程と、前記金属膜上に誘電体膜を形成する工程と、前記金属膜に熱処理を施す工程と、前記熱処理後に前記誘電体膜を除去する工程と、前記半導体レーザ素子を前記金属膜上に接合する工程を有することを特徴としている。
【0026】
また、請求項11にかかる半導体レーザ装置の製造方法は、前記熱処理の温度が300℃以上であることを特徴としている。
【0027】
また、請求項12にかかる半導体レーザ装置の製造方法は、前記熱処理の温度が400℃以上であることを特徴としている。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる半導体レーザ装置および半導体レーザモジュールの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0029】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかる半導体レーザ装置について説明する。図1は、実施の形態1にかかる半導体レーザ装置の構成を説明するための説明図である。特に、図1(a)は、半導体レーザ装置の共振方向に対し垂直な面の断面図を示す。すなわち、紙面に垂直な方向がレーザ出射方向に一致する。また、図1(b)は、図1(a)をA−Aで切断し、ハンダ層14側から半導体レーザ素子9を見た図を示す。実施の形態1にかかる半導体レーザ装置10は、半導体レーザ素子9を設置するサブマウント12を有し、半導体レーザ素子9を設置するサブマウント12の少なくとも表面の一部にAuを主成分とする金属薄膜を有する金属膜が形成され、この金属膜は熱処理されることを特徴としている。また、図2(a)は、図1(b)と同様に図1(a)をA−Aで切断した場合のハンダ層14及び半導体レーザ素子9の斜視図である。半導体レーザ素子9は、キャビティ長Lの活性層3を有し、p側電極層16上に金属膜15を有する。また金属膜15の凸部19は、半導体レーザ素子の光が出射する側を識別するために設けられている。
【0030】
(実施例1)
図1(a)において、半導体レーザ装置10は、AlN等で形成されたキャリア11上に、絶縁性および高熱伝導性をもつダイヤモンドで形成されたサブマウント12が設けられ、このサブマウント12上に、所定波長のレーザ光を出力する半導体レーザ素子9が設置される。
【0031】
図1(a)に示すように、半導体レーザ素子9の一面側にはp側電極層16が形成され、それに対向する他面側にはn側電極層18が形成される。また、p側電極層16の表面には、Auを主成分とする金属薄膜15が形成される。なお、半導体レーザ素子9としては、例えばInP系の1.48μm帯で発振する半導体レーザ素子を用いることができ、そのキャビティ長は、高出力を実現するために800μm以上であることが好ましい。
【0032】
一方、サブマウント12上には金属膜13が形成される。そして、この金属膜13上にハンダ層14が塗布され、そのハンダ層14を介して、前記金属薄膜15が金属膜13と接合される。これにより、半導体レーザ素子9がサブマウント12上に接合されるとともに、p側電極層16から金属膜13を経由した電極配線の引き出しが可能となる。なお、半導体レーザ素子9は、活性層3がp側電極層16寄りに位置、言い換えるならば半導体レーザ素子9の基板側にn側電極を配置して、上述したジャンクションダウンの形態で接合される。
【0033】
金属膜13は、複数の金属薄膜が積層された多層膜構造であり、Auを主成分とする金属薄膜を有する。本実施例では図中に示す金属膜13は、本発明の一例であり、4層の金属薄膜c1〜c4によって構成されている。例えば金属薄膜c3としてAu膜を用いている。なお、これら金属薄膜は、隣接する金属薄膜の材料が異なれば、同じ材料により形成される金属薄膜を複数層用いても良い。例えば、本実施例では金属膜c2とc4として、ともにPt膜を用いている。
【0034】
また、これら金属薄膜は、金属薄膜間でのエレクトロマイグレーションによる劣化を防止できる組成の組み合わせとすることが好ましく、かつAuを主成分とする金属薄膜の厚みを、他の金属薄膜の厚みの総計より大きくすることが好ましい。例えば、本実施例では、Au薄膜c3の厚みを2μm、他のTi膜c1、Pt膜c2、Pt膜c4の厚みの総計は0.5μm程度とする。このように、金属膜13を構成する主材料をAuとし、かつ本発明を適用することにより金属膜13のAuのグレインサイズが大きくなり、半導体レーザ装置は低電気抵抗やクッション機能の利点を享受することができる。
【0035】
次に、サブマウントの表面に形成される金属膜の形成工程1及び形成工程2について述べる。
(形成工程1)
本発明の形成工程1では、ダイヤモンド製のサブマウントの表面に、真空蒸着法を用いてTi、Pt、Au、Ptを順番に蒸着し、Ti膜、Pt膜、Au膜、Pt膜からなる金属膜を形成する。ついで、このサブマウントに420℃、1分間窒素雰囲気下で熱処理を施すことにより金属膜に熱処理を施す。その後、金属膜上にハンダ層を真空蒸着法で形成する。
【0036】
図10は、金属膜の形成工程1に対する熱処理(焼結)を示すフローチャートである。図10において、まずダイヤモンド製のサブマウントを準備する(ステップS101)。そして、そのサブマウントの表面に、図1(a)で示したような金属膜13を真空蒸着法で形成する(ステップS102)。ここで、この金属膜13を構成する金属薄膜Au膜c3の厚みは、他の金属薄膜の厚みの総計よりも大きくなるように形成することが好ましい。例えば、本形成工程により形成される金属膜13は、金属薄膜Au膜c3の厚みを2μmとし、他の金属薄膜c1、c2、c4の厚みの総計を0.5μm程度とする。
【0037】
つぎに、前記金属膜13が形成されたサブマウントに、所定時間、所定温度で熱処理を施す(ステップS103)。この熱処理は、例えば数十秒間その特定の温度で保持される。加熱炉内で特定の時間加熱された後は、室温まで冷却される(ステップS104)。なお、サブマウントを加熱することができれば、加熱炉以外の装置を用いてもよい。
【0038】
冷却が終わった状態では、上述した金属膜は、熱処理を施すことにより熱処理を施さない場合と比較して、大きなサイズのグレインが形成されており、効果的なクッション機能を有する。次に、前記金属膜13の上に、ハンダを真空蒸着法で形成する(ステップS105)。
【0039】
(形成工程2)
本発明の形成工程2は、ダイヤモンド製のサブマウントの表面に、真空蒸着法を用いてTi、Pt、Au、Ptを順番に蒸着し、金属薄膜Ti膜、Pt膜、Au膜、Pt膜からなる金属膜を形成する。その後、金属膜上にSiN等の誘電体膜をプラズマCVD法で形成し、ついでこのサブマウントに420℃、1分間窒素雰囲気下で熱処理を施すことにより金属膜に熱処理を施す。その後、SiN等の誘電体膜を除去し、金属膜上にハンダ層を真空蒸着法で形成する。熱処理時に金属膜上にSiN等の誘電体膜を形成する目的は、熱処理後にハンダ層が剥がれる問題を抑制することにある。
【0040】
図11は、前記金属膜の形成工程2に対する熱処理(焼結)を示すフローチャートである。図11において、まずダイヤモンド製のサブマウントを準備する(ステップS201)。そして、そのサブマウントの表面に、図1(a)で示したような金属膜13を真空蒸着法で形成する(ステップS202)。ここで、この金属膜13を構成する金属薄膜Au膜c3の厚みは、他の金属薄膜の厚みの総計よりも大きくなるように形成することが好ましい。例えば、本形成工程により形成される金属膜13は、金属薄膜Au膜c3の厚みを2μmとし、他の金属薄膜c1、c2、c4の厚みの総計を0.5μm程度とする。
【0041】
つぎに、前記金属膜13上に、誘電体膜(SiN等)を形成する(ステップS203)。その後、前記金属膜13、誘電体膜が形成されたサブマウントに、所定時間、所定温度で熱処理を施す(ステップS204)。この熱処理は、例えば数十秒間その特定の温度で保持される。加熱炉内で特定の時間加熱された後は、室温まで冷却される(ステップS205)。なお、サブマウントを加熱することができれば、加熱炉以外の装置を用いてもよい。
【0042】
冷却が終わった状態では、上述した金属膜は、熱処理を施すことにより大きなサイズのグレインが形成されており、効果的なクッション機能を有する。次に、前記金属膜13の上に形成された誘電体膜(SiN等)をフッ酸で除去する(ステップS205)。その後、前記金属膜13の上にハンダ層を真空蒸着法で形成する(ステップS206)。
【0043】
次に、金属膜13、特に金属薄膜Au膜c3のグレインサイズについて述べる。サブマウント上の金属膜13のクッション機能に影響を及ぼすパラメータの一つは、Au膜c3のグレインサイズであり、半導体レーザ素子9とサブマウント12との間におけるクッション機能を増加させるには、Au膜c3のグレインサイズは大きい方が望ましい。ここでは、半導体レーザ素子9のp側電極層16の表面に形成されたAuを主成分とする金属薄膜15について検討し、この結果を金属薄膜Au膜c3に適用することにする。
【0044】
図3は、どんな熱処理も施されていない場合(焼結なし)の金属薄膜15の微視画像である。金属薄膜15中のグレインサイズは、図中で表示されている20μmよりもかなり小さい。本発明者らは、前記熱処理の工程において、焼結する温度と金属薄膜15のグレインサイズとの関係を求めるために以下の実験を行った。
【0045】
図4〜8は、順に、焼結温度を100℃、200℃、300℃、360℃、420℃とした場合の金属薄膜15のグレインサイズを示す微視画像である。ここで、グレインサイズは、画像上においてある方向に1本の直線を引くことで測定することかできる。例えば図8において、水平方向に直線を引き、その直線を交差するグレインを数えた後、直線の長さをそのグレイン数で除算すればグレインサイズを得ることができる。
【0046】
図4〜8で示されるように、焼結温度が増加するに従って、グレインサイズも増加する。特に、焼結温度が100℃と200℃の間では、図4と図5で示されるように、グレインサイズを決定する縁が増加していることがよくわかる。特に、図6で示されるように、焼結温度が300℃である場合、金属薄膜の境界において早期な結晶化が観測され、より大きなグレインサイズを得ることができる。図7と図8では、さらに再結晶化が観測される。これらの結果から、発明者らは、金属薄膜15のクッション機能を効果的にするためには、300℃以上の焼結温度で熱処理することが好ましいことを見いだした。また、400℃以上の焼結温度で熱処理することがより好ましいことを見いだした。
【0047】
発明者らはこの知見を金属膜13にも適用することを考えた。すなわち、金属膜13に上述した熱処理を施すことで金属膜13中の金属薄膜Au膜c3のグレインサイズを大きくし、金属膜13のクッション機能を効果的にすることを考えた。その結果、上述した金属膜13の形成工程1、2を発明するにいたった。
【0048】
図9は、Au材料についてのビッカース硬度と焼結温度との関係を示すグラフである。なお、図9を得るために、各サンプルは、JIS Z 2244に準じた方法により10重量グラムの負荷を15秒間保持する条件の下で、2つのポイントで測定された。図9で見られるように、焼結温度の増加に従って硬度は減少する。この結果から、300℃以上の焼結温度では、金材料の硬度はHV(0.01kgf)65未満となることがわかる。発明者は、この知見を金属薄膜13にも適用することを考えた。すなわちAuを主成分とする金属薄膜13のビッカーズ硬度をHV(0.01kgf)65未満とすることで、金属膜13のクッション機能を効果的なものにすることを考えた。
【0049】
つぎに、p側電極層16、金属薄膜15、ハンダ層14および金属膜13を形成する各材料および厚みについて説明する。図2(b)は、半導体レーザ素子9とサブマウント12との間の接合部分の拡大図である。なお、図2(b)において、図1(a)と共通する部分には同一の符号を付してここではその説明を省略する。
【0050】
図2(b)において、p側電極層16は、複数の金属薄膜が積層された多層膜構造であり、少なくとも金属薄膜15と接触する金属薄膜はAuを主成分とする材料で形成される。図中に示すp側電極層16は、本発明の一例であり、5層の金属薄膜a1〜a5によって構成されている。なお、これら金属薄膜は、隣接する金属薄膜の材料が異なれば、同じ材料により形成される金属薄膜を複数層用いても良い。例えば、本実施例では金属膜a1とa5として、ともにAu膜を用いている。
【0051】
また、これら金属薄膜は、金属薄膜間でのエレクトロマイグレーションによる劣化を防止できる組成の組み合わせとすることが好ましく、かつその厚みの総計、すなわちp側電極層16の厚みh4は熱抵抗や電気抵抗が最小限となるように形成することが好ましい。例えば、本実施例では、p側電極層16の厚みh4を0.5μm以下とする。
【0052】
金属薄膜15は、Auを用いて電解めっき法によって形成される。このように、金属薄膜15を、上述したp側電極層16の最表面の金属薄膜と同じ材料であるAuで形成することによって、p側電極層16との接合状態を安定に保つことができる。また、Au(特に純金)は柔らかい上に、電気抵抗が低く、ハンダ層14との接着においてクッション材としても機能させることかできる。すなわち、金属薄膜15と一体になった半導体レーザ素子9を、ハンダ層14を介してサブマウント12上に接合する際に、サブマウント12側への加圧によって受ける半導体レーザ素子9の負荷を分散させることができる。これにより、接合時における半導体レーザ素子9の破損を防止することができる。なお、金属薄膜15の厚みh3は、上述したクッション機能を確保しつつ、熱抵抗や電気抵抗が大幅に増大しない程度の値とすることが好ましい。具体的には、金属薄膜15の厚みh3は少なくとも1μm以上であることが好ましく、特に2〜9μmの範囲内であることが好ましい。さらに、金属薄膜15の厚みh3の最適な値は6μmである。
【0053】
ここで、電解めっき法によって金属薄膜15を形成した後に、熱処理を施す。この熱処理工程によって、金属薄膜15を構成するAuのグレインサイズが大きくなり、上述したクッション効果が高められる。
【0054】
導電接着材となるハンダ層14は、Au系、例えばAuSnで形成される。Au系の材料は上述したように柔らかく電気抵抗も低いため、金属薄膜15と同様なクッション機能を持たせるために厚くすることができ、歪緩和に適する。また、ハンダ層14は、その材料の組成によって共晶温度が変わるが、共晶温度が高くなる、すなわち冷却(常温)までの温度差が大きいと、半導体レーザ素子9とサブマウント12との線熱膨張係数差による熱膨張差も大きくなり、半導体レーザ素子9に与える歪も大きくなってしまう。そこで、共晶温度が小さくなるように、ハンダ層14の組成を決定することが好ましい。例えば、ハンダ層14としてAuSnを用いた場合には、Au:Sn=74:26〜80:20の割合とすることが好ましい。
【0055】
ハンダ層14は、電気抵抗や熱抵抗が最小となり、かつ十分な導電機能と接着機能を果たすだけの厚みとすることが好ましい。例えば、ハンダ層14としてAuSnを用いた場合、半導体レーザ素子9を固着させる直前の塗布状態において3.5μm±20%(2.8〜4.2μm)とし、接合後の厚みh2を1μm程度とすることが好ましい。
【0056】
(実施例2)
図14は、実施の形態1にかかる実施例2のサブマウント44上の金属膜45の構成を説明するための説明図であり、サブマウント44側から金属膜45を見た図である。金属膜45は、複数の金属薄膜が積層された多層膜構造であり、Auを主成分とする金属薄膜有する。図中に示す金属膜45は、本発明の一例として、4層の金属薄膜40〜43によって構成されている。例えば金属薄膜42としてAu膜を用いている。なお、これら金属薄膜は、隣接する金属薄膜の材料が異なれば、同じ材料により形成される金属薄膜を複数層用いても良い。例えば、本実施例では金属膜41と43として、ともにPt膜を用いている。
より具体的には、金属膜45は、ダイヤモンド製のサブマウント44の表面全部を覆うように、真空蒸着法を用いて、金属薄膜Ti膜40、Pt膜41、Au膜42、Pt膜43の順番に蒸着されることにより形成される。
【0057】
また、これら金属薄膜は、金属薄膜間でのエレクトロマイグレーションによる劣化を防止できる組成の組み合わせとすることが好ましく、かつAuを主成分とする金属薄膜の厚みを、他の金属薄膜の厚みの総計よりも大きくすることが好ましい。例えば、本実施例では、金属薄膜42の厚みを2μmとし、他のTi膜40、Pt膜41、Pt膜43の厚みの総計を0.5μm程度とする。このように、金属膜45を構成する主材料をAuとすることにより、上述した低電気抵抗やクッション機能の利点を享受することができる。
【0058】
さらに、本実施例2のように金属膜で覆われたサブマウントを図13に示す半導体レーザ装置に用いる場合、図13に示すワイヤ106bは不要となり、工程は短縮される。
以上に説明したとおり、実施の形態1にかかる半導体レーザ装置のサブマウント上の金属膜13、45によれば、前記金属膜13、45中のAu膜c3のグレインサイズは大きくなり、Au膜c3のビッカーズ硬度は小さくなるので、Au膜c3は半導体レーザ素子9に対して効果的なクッション機能を有し、半導体レーザ素子9の端部に与える熱応力の影響を低減させることができ、活性層3で生じた熱や半導体レーザ素子9をサブマウント12上に接合する際に生じる熱を起因とした半導体レーザ素子9の劣化の助長や破損を防止することができる。
【0059】
なお、以上に説明した実施の形態1では、ジャンクションダウンを例に示したが、前記電極の極性を変えて活性層3を上方の電極側に設けた、いわゆるジャンクションアップの構造を採用した場合でも、本発明を同様に適用することができる。
また、本実施の形態では高熱伝導性のサブマウントとしてダイヤモンドを用いたが、窒化アルミ等の高熱伝導性をもつ材料を用いてもよい。
【0060】
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2にかかる半導体レーザモジュールについて説明する。実施の形態2にかかる半導体レーザモジュールは、実施の形態1で示した半導体レーザ装置をモジュール化したものである。図12は、実施の形態2にかかる半導体レーザモジュール20の構成を示す断面図である。図12において、半導体レーザモジュール20は、銅タングステン(CuW)合金などによって形成されたパッケージ29を筐体とする。そのパッケージ29の内部底面上には、温度調節装置として機能するペルチェモジュール28が配置される。ペルチェモジュール28上にはベース27が配置され、このベース27上にはキャリア34が配置される。
【0061】
特に、図12においては、半導体レーザ装置31が、上述した実施の形態1で示した半導体レーザ装置に対応し、キャリア34が図1に示したキャリア11に相当する。よって、キャリア34上には、半導体レーザ装置31が配置されるが、さらに、サーミスタ32および光モニタ33が配置される。また、ベース27上には、第1レンズ22が配置される。半導体レーザ装置31から出射されたレーザ光は、第1レンズ22、アイソレータ23および第2レンズ24を介し、光ファイバ25内に導波される。第2レンズ24は、レーザ光の光軸上に位置するパッケージ29内に設けられ、外部接続される光ファイバ25に光結合される。なお、光モニタ33は、半導体レーザ装置31の出射面とは反対側から漏れた光をモニタ検出する。
【0062】
ここで、この半導体レーザモジュール20では、他の光学部品などによる反射戻り光が共振器内に再入力しないように、半導体レーザ装置31と光ファイバ25との間にアイソレータ23を介在させている。
【0063】
なお、上述した実施の形態2では、半導体レーザ装置31から出射されたレーザ光をそのまま出力する形態の半導体レーザモジュール20としたが、光ファイバ25の第2レンズ24側端部の近傍に光ファイバグレーティングを形成し、この光ファイバグレーティングによって半導体レーザ装置31から出射されたレーザ光を波長選択して出力する光ファイバグレーティング付き半導体レーザモジュールにも適用できる。この場合、アイソレータ23は設けなくても良い。
【0064】
以上に説明したとおり、実施の形態2にかかる半導体レーザモジュールによれば、実施の形態1に示した半導体レーザ装置を搭載しているため、実施の形態1で示した効果を享受した半導体レーザモジュールを提供することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明にかかる半導体レーザ装置によれば、高熱伝導性を有するとともに表面に金属膜層が形成されたサブマウントと、前記サブマウント上に設置される半導体レーザ素子とを有する半導体レーザ装置において、前記金属膜層は熱処理されているので、半導体レーザ素子とサブマウント間において、クッション作用、低熱抵抗を与えることができ、半導体レーザ素子の保護とサブマウントによる放熱効果を享受することができ、安定した長寿命の半導体レーザ装置を提供することができる。
【0066】
また、本発明にかかる半導体レーザモジュールによれば、上述した半導体レーザ装置を搭載しているため、上述した半導体レーザ装置の効果を享受することができるという効果を奏する。
【0067】
また、本発明にかかる半導体レーザ装置の製造方法によれば、サブマウント表面に金属膜を形成した後に、その金属膜に対して熱処理を施すので、その金属膜を構成する材料のグレインサイズを大きくすることができ、上述したクッション作用を高めることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかる半導体レーザ装置の構成を説明するための説明図である。
【図2】図2(a)は、図1(b)の斜視図である。図2(b)は、図1(a)の拡大図である。
【図3】焼結なしの場合の金属膜の微視画像を示す図である。
【図4】焼結温度100℃の場合の金属膜の微視画像を示す図である。
【図5】焼結温度200℃の場合の金属膜の微視画像を示す図である。
【図6】焼結温度300℃の場合の金属膜の微視画像を示す図である。
【図7】焼結温度360℃の場合の金属膜の微視画像を示す図である。
【図8】焼結温度420℃の場合の金属膜の微視画像を示す図である。
【図9】金材料についてのビッカース硬度と焼結温度との関係を示すグラフである。
【図10】金属膜に対する熱処理(焼結)を示す形成工程1のフローチャートである。
【図11】金属膜に対する熱処理(焼結)を示す形成工程2のフローチャートである。
【図12】実施の形態2にかかる半導体レーザモジュールの構成を示す断面図である。
【図13】従来の半導体レーザ装置の概要構成を示す斜視図である。
【図14】実施の形態1の金属膜のその他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
3 活性層
9、103 半導体レーザ素子
10、31 半導体レーザ装置
11、34、101 キャリア
12、44、102、104 サブマウント
13、15、102a、104a 金属膜
14 ハンダ層
16 p側電極層
18 n側電極層
19 凸部
20 半導体レーザモジュール
22 第1レンズ
23 アイソレータ
24 第2レンズ
25 光ファイバ
27 ベース
28 ペルチェモジュール
29 パッケージ
32、105 サーミスタ
33 光モニタ
40 Ti膜
41 Pt膜
42 Au膜
43 Pt膜
106a、106b ワイヤ
L キャビティ長
Claims (12)
- 高熱伝導性を有し、少なくとも表面の一部に金属膜が形成されたサブマウントと、前記金属膜上に設置される半導体レーザ素子と、を有する半導体レーザ装置において、前記金属膜には熱処理が施されていることを特徴とする半導体レーザ装置。
- 前記金属膜は、金(Au)を主成分とする金属薄膜を少なくとも1層含む複数の金属薄膜からなる多層膜で形成されることを特徴とする請求項1またはに記載の半導体レーザ装置。
- 前記金(Au)を主成分とする金属薄膜の厚みは金(Au)を主成分としない金属薄膜の厚みの総計よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の半導体レーザ装置。
- 高熱伝導性を有し、少なくとも表面の一部に金属膜が形成されたサブマウントと、前記金属膜上に設置される半導体レーザ素子と、を有する半導体レーザ装置において、前記金属膜はビッカース硬度がHV(0.01kgf)65未満であることを特徴とする半導体レーザ装置。
- 高熱伝導性を有し、少なくとも表面の一部に金属膜が形成されたサブマウントと、前記金属膜上に設置される半導体レーザ素子と、を有する半導体レーザ装置において、前記金属膜はビッカース硬度がHV(0.01kgf)65未満である金(Au)を主成分とする金属薄膜を少なくとも1層含む複数の金属薄膜からなる多層膜で形成されることを特徴とする半導体レーザ装置。
- 前記サブマウントは、ダイヤモンドによって形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
- 前記半導体レーザ素子のキャビティ長は800μm以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
- 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置と、
該半導体レーザ装置を覆うパッケージと、
前記半導体レーザ装置から出射されたレーザ光をパッケージの外部に導波する光ファイバと、
前記半導体レーザ装置と前記光ファイバと光結合を行う光結合レンズ系と、
を備えたことを特徴とする半導体レーザモジュール。 - 半導体レーザ素子を形成する工程と、
サブマウントの表面に少なくとも前記半導体レーザ素子の底面と略同一の大きさの金属膜を形成する工程と、
前記金属膜に熱処理を施す工程と、
前記半導体レーザ素子を前記金属膜上に接合する工程と、
を有することを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。 - 半導体レーザ素子を形成する工程と、
サブマウントの表面に少なくとも前記半導体レーザ素子の底面と略同一の大きさの金属膜を形成する工程と、
前記金属膜上に誘電体膜を形成する工程と、
前記金属膜に熱処理を施す工程と、
前記熱処理後に前記誘電体膜を除去する工程と、
前記半導体レーザ素子を前記金属膜上に接合する工程と、を有することを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。 - 前記熱処理の温度は300℃以上であることを特徴とする請求項9または10のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
- 前記熱処理の温度は400℃以上であることを特徴とする請求項11に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
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| JP2003052344A JP2004265961A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 半導体レーザ装置、半導体レーザモジュールおよび半導体レーザ装置の製造方法 |
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-
2003
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