JP2004267583A - 腹腔鏡防曇装置、腹腔鏡防曇用部材、腹腔鏡防曇用透光部材及び腹腔鏡の防曇方法 - Google Patents

腹腔鏡防曇装置、腹腔鏡防曇用部材、腹腔鏡防曇用透光部材及び腹腔鏡の防曇方法 Download PDF

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Abstract

【課題】温度差による腹腔鏡の曇りのみならず、脂肪等の油成分による曇りをも良好に防止する。防曇を目的として、酸化チタン等の親水性を呈する物質のコーティングを透光部材に用いる場合であっても、該コーティングに起因する散乱光が生じないようにする。
【解決手段】両端に開口30,31を有する筒状体3を有し、筒状体3の基端の開口30から腹腔鏡1を挿入可能に構成されている。筒状体3の先端の開口31あるいは開口31に近接した部位に位置して透光部材4が設けられ、透明部材4は外側表面40と内側表面41とを有し、少なくとも外側表面40には親水性のコーティングが形成されている。該装置は、さらに、筒状体3の先端から光を照射するためのライトガイド35と、透光部材4に水分を供給するための水分供給路37とを備えている。
【選択図】図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、腹腔鏡防曇装置に係り、より詳しくは、腹腔鏡とは別体の装置を腹腔鏡に装着することによって、腹腔鏡の先端部の曇り等を防止する手法に関するものである。本明細書において、「防曇」という言葉は広義で用いており、水蒸気による曇りのみならず、油膜や組織片の付着によって曇ることも含むものである。
【0002】
【従来の技術】
腹腔鏡は、長尺状の本体と、本体の先端に設けた透光部と、本体の基端に設けた撮像部と、該本体の壁面に沿って延設された光ファイバからなるライトガイドと、ライトガイドに光を供給する光源と、該撮像部とモニターとを連結する伝送部とを有している。腹腔鏡手術の際には、該本体を腹腔に挿入し、ライトガイドから腹腔を照らし、撮像部からの像をモニターに表示する。
【0003】
しかしながら、腹腔鏡手術の際には、腹腔鏡の本体の先端部の透光部が曇ったり、あるいは有機物が付着したりするので、手術中において、いかに先端部の透光を良好に保つかが極めて重要である。
【0004】
腹腔鏡を腹腔に挿入した際に、腹腔鏡の先端が曇る主要な理由は、手術室の温度と体温との温度差にある。したがって、腹腔鏡の先端部位を加熱して体温と同じ温度に保つという手法が行なわれる。しかしながら、単に腹腔鏡の先端を加温しただけでは、先端部に付着した有機物等を除去することはできない。
【0005】
また、腹腔鏡に送水手段を付加し、送水手段から送水によって腹腔鏡の先端部を洗浄するという手法も提案された。しかしながら、腹腔鏡の先端に付着する有機物の多くは脂肪であり、先端の透光部に油膜を形成してしまい、単に送水するだけでは付着した脂肪等を除去することはできない。
【0006】
したがって、腹腔鏡の先端に有機物が付着することで光学像が不良となった場合には、都度、腹腔鏡を人体から取り出して清浄した後再び人体に挿入しているのが実状である。しかしながら、腹腔鏡手術中に腹腔鏡を取り出すということは、その間手術の進行が止まってしまうわけであり、一刻を争うような場合には、患者の生命にも関わる問題である。
【0007】
一方、物体の表面に光触媒である酸化チタンを塗膜することで、物体表面の親水性を向上させることができ、その親水性を利用したセルフクリーニング効果が知られている。ここに、既存の腹腔鏡の先端の透光部(ガラスないしレンズ部)に酸化チタンをコーティングするということが考えられた。しかしながら、酸化チタン被膜を腹腔鏡のレンズ部のみにコーティングすることは技術的に難しい。腹腔鏡の先端に直接酸化チタンをコーティングした場合に、酸化チタンコーティングがレンズ部とライトガイドの光軸を共に被覆してしまうとレンズ部を通した画像にコーティングの膜厚内で屈折した青色散乱光が入り、視野障害が起きてしまうという問題がある。また、酸化チタンコーティングガラスの厚さを薄くすることで散乱光をなるべく押さえることも検討されたが、ガラスを薄くすることは安全性の面で問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開平6−22902
【特許文献2】特開2001−299678
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、温度差による腹腔鏡の曇りのみならず、脂肪等の油成分による曇りをも良好に防止する腹腔鏡の防曇装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、防曇を目的として、光触媒である酸化チタン等の親水性・阻油性を呈する物質のコーティングを透光部材に用いる場合であっても、該コーティングに起因する散乱光が生じないようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために本発明が採用した腹腔鏡防曇装置は、両端に開口を有する筒状体を有し、該筒状体の基端の開口から腹腔鏡を挿入可能に構成されている。該筒状体の先端の開口あるいは開口に近接した部位に位置して透光部材が設けられ、該透明部材は外側表面と内側表面とを有し、少なくとも該外側表面には親水性のコーティングが形成されている。該装置は、さらに、該筒状体の先端から光を照射するためのライトガイドと、該透光部材に水分を供給するための水分供給路とを備えている。一つの好ましい態様では、該筒状体の先端の開口には中空部に向って突出する縁部が形成されており、該縁部の周面が該開口を画定している。
【0012】
該筒状体は、既存の腹腔鏡とは別体で用意され、該腹腔鏡を該筒状体の基端の開口から該筒状体の中空部に挿入させた状態で人体の腹部に挿入される。使用時において、筒状体の基端側は、人体の外部に位置している。腹腔への光の照射は、該腹腔鏡のライドガイドではなく、該筒状体のライトガイドを用いて該筒状体の先端から光を照射することで行い、該透光部材を介して腹腔鏡が光像を得る。腹腔鏡の先端は、筒状体と透光部材によって保護されているので、腹腔鏡の先端自体が曇ることはない。手術中、該透光部材には水分供給路から水分が供給されており、該透光部材に設けた親水性のコーティングによって、該透光部材の表面がセルフクリーニングされる。親水性のコーティングによって、透光部材の表面が温度差で曇ることがなく、また、透光部材の表面に油成分等が付着し難くなっている。透光部材の表面に油成分が付着した場合であっても、親水性コーティングの表面と油との間に水が入っていくので、油が自然に浮かび上がって油成分が自動的にとれてしまう。腹腔を照射する光は、服鏡腔のライトガイドではなく、筒状体のライトガイドによって案内されるため、ライトガイドからの光軸が透光部材を通過することがなく、よって、親水性コーティングに起因する散乱光が生ずることがない。したがって、透光部材の厚みを大きく取ることができる。
【0013】
酸化チタン被膜等の親水性コーティングには寿命があり、親水性コーティングのメンテナンスや装置のランニングコスト等を考慮すると、透光部材は、ある部材に完全に固定されて一体化されたものではないことが望ましい。したがって、望ましくは、該透光部材は、手術時には、該筒状体の先端の開口あるいは開口に近接した部位に位置して、脱落しないように固定されており、かつ、容易に交換自在である。具体的な態様としては、該透光部材は該筒状体の先端の開口に着脱自在であること、あるいは、該透光部材は該腹腔鏡の先端に着脱自在であること、あるいは、該透光部材は、該腹腔鏡の先端の縁部と該縁部との間に挟持されることで固定されること、が例示される。
【0014】
水分供給路は、好ましい態様では、該筒状体の内周面と該腹腔鏡の外周面との間に形成された間隙であり、あるいは、水分供給路は該筒状体の壁内に延設されている。該筒状体の基端側には水分供給口が設けてあり、該水分供給路は該水分供給口を介して水分供給源と流体連通されている。一つの好ましい態様では、該水分供給源は水タンクであり、該水タンクは直接該水供給口に連結されている。水分供給源として、筒状体に装着可能な小型の水タンクを採用することで、水分を供給するライン(例えば、可撓性パイプ)が不要となり、水分供給ラインが手術の妨げになることがない。好ましくは、水タンクの上面には水分供給用の開閉蓋が設けてあり、必要に応じて水タンクに水分を補給する。また、長時間に及ぶ手術の場合には、他の水分供給源から可撓性パイプを介して水分を供給してもよい。透光部材の外側表面を効率よく濡らすには、該水分供給路の先端からは、該透光部材の外側表面を横切るように水分が供給されるように構成することが望ましい。具体的な構成例では、該水分供給路の先端を、筒状体の先端に突成した縁部の周面に形成された一つ又は複数の開口とする。
【0015】
ライトガイドは、該筒状体の長さ方向に延出しており、該ライトガイドの基端は該筒状体基端側に設けた光供給口に連結されており、該ライトガイドの先端は該筒状体の先端に達している。したがって、ライトガイドからの光軸が筒状体の先端の開口内に位置する透光部材を通過することがなく、よって、親水性コーティングに起因する散乱光が生ずることがない。
【0016】
腹腔鏡防曇装置は、さらにエアー供給路を備えており、該透光部材の外側表面にエアーを送気可能に構成されていることが望ましい。なぜなら、透光部材の外側表面には、手術時に飛散する小組織片等が付着する場合があり、このような小組織片が付着した場合には、親水性コーティングの効果をもってしても、小組織片等を取り除くことができない場合があるからである。好ましい態様では、該エアー供給路は、該筒状体の内周面と該腹腔鏡の外周面との間隙であり、あるいは、エアー供給路は該筒状体の壁内を延出している。エアー供給路は、該水分供給路と共通であってもよく、あるいは、エアー供給路と水分供給路とは独立していてもよい。該筒状体の基端側にはエアー供給口が設けてあり、該エアー供給路は該エアー供給口を介してエアー供給源と流体連通されている。一つの好ましい態様では、該エアー供給源はエアータンクであり、該エアータンクは直接該エアー供給口に連結されている。エアー供給源として、筒状体に装着可能な小型のエアータンクを採用することで、エアーを供給するライン(例えば、可撓性パイプ)が不要となり、エアー供給ラインが手術の妨げになることがない。他の好ましい態様では、腹腔鏡の気腹装置をエアー供給源として使用する。腹腔鏡手術においては、気腹装置から腹腔に常時エアーを送気することが行なわれており、その気腹装置からのエアーを分流させて、エアー供給路に導入する。気腹装置からのエアーを用いるものでは、筒状体の先端からは常に清浄なエアーが噴射され、噴射されるエアーは同時に手術用気腹に関与するため、手術に影響を及ぼすことがない。さらに好ましくは、該可撓性パイプには、該エアー供給口に近接してリザーバが設けてあり、エアーの送気量が不足の場合には、リザーバを圧迫することでより強力なエアーを噴射することができる。透光部材の外側表面に付着した異物を良好に除去するには、該エアー供給路の先端からは、該透光部材の外側表面を横切るようにエアーが噴射されることが望ましい。具体的な構成例では、該エアー供給路の先端を、筒状体の先端に突成した縁部の周面に形成された一つ又は複数の開口とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本発明に係る腹腔鏡防曇用装置は、腹腔鏡とは別体の部材であり、防曇用装置を既存の腹腔鏡に装着することで手術を行なうものである。
【0018】
図1は、従来の腹腔鏡を示す概略図であって、腹腔鏡は、長尺状の円筒部材からなる本体1を有している。本体1の先端には透光部が、本体の基端側には撮像部が設けてある。本体1の基端側には光供給口2が設けてあり、光供給口2は光源に連結される。本体1の壁内には光ファイバからなるライトガイドが延設されており、光供給口2から供給された光をライトガイドを介して本体1の先端から照射する。撮像部は光伝送部を介してモニターと連結される。腹腔鏡手術の際には、本体1を腹腔に挿入し、ライトガイドから供給された光で腹腔を照らし、撮像部からの得られた像をモニターに表示する。腹腔鏡の基本的構成および腹腔鏡を用いた手術法は公知である。
【0019】
図2は、本発明に係る防曇装置の全体概略図であって、防曇装置は長尺部材からなる円筒状の筒状体3を有している。筒状体3の両端は開口状となっており、基端の開口30と先端の開口31とを有する。筒状体3の基端の開口30から、腹腔鏡の長尺状の本体1の先端を挿入させ、本体1の先端が筒状体3の先端に近接するまで腹腔鏡の本体1を挿入させるようになっている。防曇用部材の筒状体3の内径は、腹腔鏡の本体1の外径より大きく設計されており、腹腔鏡を筒状体3に挿入させた状態において、筒状体3の内周面と本体1の外周面との間には、僅かな空隙Gが形成されている。
【0020】
筒状体3の基端側には、筒状体3と腹腔鏡の本体1との固定機構が設けてあり、固定機構を図8に例示する。図2、図8(a)では、筒状体3の基端には、短筒状の樹脂製の保持部材32が設けてある。筒状体3の基端の内周面及び保持部材32の先端部位の外周面には螺子が設けてあり、保持部材32は螺子機構を介して筒状体3の基端に装着されている。保持部材32の内径は、腹腔鏡の本体1の外径より僅かに大きく設計されており、腹腔鏡の本体1は遊びがない状態で短筒状の保持部材32の内周面にフィットすることで、筒状体3内における腹腔鏡の本体1の位置を固定する。保持部材32の内周面と腹腔鏡の本体1の外周面との間の摩擦力は、外力が作用しない状態では、筒状体3と腹腔鏡の本体1とが互いにスライドすることを規制でき、軽い操作力で腹腔鏡の本体1を防曇用装置の筒状体3の中空部に対して抜き差しできるような程度の大きさである。手術時に、筒状体3の中空部に腹腔鏡の本体1を挿入させた状態を維持する機構は、上述のように摩擦力を利用するものに限定されるものではなく、他の機構であってもよい。筒状体3と腹腔鏡とを係脱自在に固定する機構の他の構成例を図8(b)、(c)に示す。図8(b)、(c)に示す固定機構は、いずれも、筒状体3の基端側の内面と腹腔鏡の本体1の基端側の外面との間Gに設けられるスペーサと該スペーサの固定手段とから構成される。具体的には、図8(b)では、筒状体3の内側と腹腔鏡の本体1の外側との間に位置して、本体1を挟持するように対向状に配設されたゴムパッド320と、筒状体3の壁に貫設された螺子321とを有し、螺子321の先端には一方のゴムパッド320が装着されており、螺子321を筒状体3の長さ方向に直交する方向に移動させることで、ゴムパッド320を本体1に圧着するものである。図8(c)では、本体1の基端側の外周には、リング部材322が周設されており、リング部材322は凸部を有している。筒状体3の基端側には、その先端が筒状体3の壁を貫通して筒状体3の中空部に臨むバネ式ストッパーレバー323が設けてある。レバー323の先端はリング部材322の凸部に係合する形状を有しており、レバー323の操作によって、レバー先端がリング部材322の凸部に係脱するようになっている。レバー323の操作によって、筒状体3と腹腔鏡とを固定する。あるいは、図示しないが、腹腔鏡の本体1の基端側の外周面に樹脂製の短筒体あるいはリング部材を装着し、腹腔鏡の本体1を筒状体3に挿入する際に、該短筒体あるいはリング部材が筒状体3の基端側の内周面にフィットするようにしてもよい。
【0021】
防曇装置の筒状体3の先端の開口31内には、ガラス等の透光部材4が、脱落しない状態で設けられる。防曇装置の筒状体3内に挿入された腹腔鏡は、筒状体3の先端の開口31に設けた透光部材4を介して光学像を得るようになっている。
【0022】
透光部材4は、筒状体3の外方に面する外側表面40と筒状体3の中空部に面する内側表面41とを有しており、外側表面40、内側表面41には、それぞれ親水性を有する膜が形成されている。好ましくは、親水性を有する膜としては、光触媒物質の膜が挙げられ、さらに好ましくは、光触媒物質は酸化チタンであり、透光部材4の外側表面40、内側表面41には酸化チタンのコーティングが施されている。ライトガイドから供給される光の光軸は透光部材4を通過しないが、装着前の紫外線照射によって手術中は十分親水性を維持することが可能である。実施例に係るコーティングにはシリカ(SiO)が含まれている。酸化チタンコーティングにシリカを含ませることが、紫外線照射後の防曇性能暗所維持に有利なことが判った。具体的には、透光部材4であるガラスの表面に酸化チタン層を形成し、さらに酸化チタン層の上に、シリカ層を形成する。シリカ層を設けることで暗所維持性能を向上させ、もって、手術直前まで紫外線照射しなくても、手術中も持続して防曇性能を長時間維持することを可能となる。酸化チタン層およびシリカ層は、単層コーティングのため作業を容易かつ迅速に行なうことができる。酸化チタン層およびシリカ層を形成する手段は、コーティングの効率からはスパッタリングが好ましいが、コーティング方法はスパッタリングに限定されない。また、後述するように、ライトガイドの光軸は透光部材を通過しないので、透光部材の表面に2層の膜を形成するものであっても、コーティングの透過性を十分に確保することができ、また、青色散乱光が顕著となってしまうことがない。尚、酸化チタンとシリカとを混合した1層の膜を透光部材の表面に形成するものであってもよいが、酸化チタンとシリカの混合コーティングは技術的に難しく、さらに、混合の均一性を厳格に保たなければならないという量産上の課題があり、2層のコーティングが有利である。また、本発明における酸化チタンコーティングはシリカを含むものに限定されるものではなく、シリカを含まないものであってもよい。酸化チタン膜が有効に機能するための寿命を考慮すると、透光部材4は防曇用部材の筒状体3とは別体で用意することで、交換可能であることが望ましい。
【0023】
交換可能な透光部材の好適な実施形態について説明する。図3に示すように、透光部材4は、透明の白色ガラスから構成された円板であり、両面40,41には酸化チタン膜が形成されている。図3おいて参照符号5は補強リングであり、補強リング5は円板状の透光部材4の外径より僅かに大きい内径を有しており、透光部材4の周面42に装着することで、透光部材4を補強する。補強リング5の外径は、腹腔鏡の本体1の外径と実質的に同じである。透光部材4は周面に補強リング5を装着した状態で、筒状体3の先端部位に着脱自在に装着される。
【0024】
防曇装置の筒状体3の先端において、壁の内周面の先端部位が内側に突出することで突起状の縁部33が形成されており、縁部33の周面330が開口31を画定している。筒状体3の先端の開口31の径は、透光部材4の径よりも小さく設計されており、透光部材4は、腹腔鏡の本体1の先端部と筒状体3の先端の開口の縁部33の側面との間で挟持されることで固定される。腹腔鏡の本体1を防曇装置の筒状体3から取り出せば、透光部材4は固定状態から解放され、透光部材4を防曇用部材の筒状体3の基端の開口30から取り出すことができる。尚、図示のものでは、突起状の縁部33を筒状体3の先端に形成したが、突起状の縁部33を筒状体3の先端に近接する部位に突成させてもよい。
【0025】
図3には、他の実施形態に係る補強リング50も示してある。補強リング50は、補強リング5にくらべて大きい幅を有し、先端側を縮径してあり、大径部51と小径部52とからなる。大径部51の内径は腹腔鏡の本体1の外径より僅かに大きく、補強リング50は大径部51を介して腹腔鏡の本体1の先端に着脱自在に固定される。小径部52の内径は透光部材4の外径より僅かに大きく設定されている。小径部52の内側に透光部材4を嵌めることで、小径部52が透光部材4を補強すると共に、透光部材4が腹腔鏡の本体1の先端に固定される。小径部52には、一つあるいは複数の切欠き53が形成されており、後述するように、切欠き53を介して透光部材4への水分の供給を良好に行なうようにしている。
【0026】
透光部材4の装着は、図示のものに限定されるものではなく、要は、腹腔鏡手術時に透光部材が脱落しないように一時的に固定することができ、かつ、透光部材が交換可能であれば、他の構成であってもよい。図9は筒状体3の他の実施例を示しており、筒状体3は、先端側の短筒体300と筒状体本体301との2部材から構成されており、本体301の先端に短筒体300が着脱可能となっている。具体的には、本体301の先端側の外周面は縮径されており、外周面には螺子が形成されている。短筒体300の基端側の内周面にも螺子が形成されており、本体301の外周面の螺子が短筒体300の内周面の螺子に螺合するようになっている。この構成では、先ず透光部材4であるコーティングガラスを短筒体300の基端から挿入し、次いで、短筒体300の基端に本体301の先端を装着する。そして、本体301の基端から腹腔鏡の本体1を挿入させて、腹腔鏡の本体1の先端の縁部と短筒体300の先端部位との間にコーティングガラスを挟持させる。筒状体3の先端部位を着脱自在とすることで、透光部材4であるコーティングガラスの装着を容易に行なうことができるという利点がある。
【0027】
防曇装置の筒状体3の基端側近傍には、光供給口34が形成されており、光供給口34は図示しない光源に連結されている。筒状体3の壁内には、長さ方向に延出するライトガイド35が設けてある。ライトガイド35は、多数の光ファイバから構成される。光ファイバは、筒状体3の壁内に周方向に亘って密に設けてある。ライトガイド35の基端は供給口34に連結されていると共に、ライトガイド35の先端は筒状体3の先端(壁の端面)にまで達しており、光源から供給される光を筒状体3の先端から照射するようになっている。図4から明らかなように、透光部材4は筒状体3の先端の開口31内に設けてあり、ライトガイド35は筒状体3の壁内を延出しているので、光源からの光軸が透光部材4を通過することがなく、透光部材4のコーティングの影響で照明用の光が散乱することがないようになっている。したがって、十分な厚みを有する透光部材4を採用することができ、安全面でも優れる。さらには、酸化チタンコーティングの厚みも大きくすることができ、十分な親水性を発揮させることが可能となった。
【0028】
次に、透光部材4への水の供給機構について説明する。親水性物質の膜を有する透光部材4がセルフクリーニング効果を奏するためには、透光部材4の表面が濡れている必要がある。したがって、透光部材4の表面への水の供給機構が必要となる。一つの好ましい態様では、筒状体3の内周面と腹腔鏡の本体1の外周面との間の空隙Gを水分供給路とするものである。筒状体3の基端側には水の供給口36が形成されており、供給口36と空隙Gとを流体連通させる。供給口36と空隙Gとの連通手段としては、筒状体3の壁を貫通する孔を設ける、あるいは、筒状体3の基端の開口30を利用することが例示される。供給口36から空隙Gに供給された水は、筒状体3の先端の縁部33と透光部材4との当接部から外方へと沁み出し、透光部材4の外方表面40に供給される。また、透光部材4と腹腔鏡の本体1の先端の当接部からも水が沁み出し、透光部材4の内方表面40に供給される。透光部材4がセルフクリーニング効果を有するためには、表面が濡れていれば良く、必ずしも透光部材4に水を圧送する必要はない。
【0029】
水分供給路の他の態様を図4,5,6に示す。図5,6ではライトガイドは省略してある。筒状体3の壁内に筒状体3の長さ方向に延出する流路37を形成する。流路37の基端は供給口36に流体連通されている。流路37の先端は筒状体3の先端にまで達している。より具体的には、流路37の先端は筒状体3の先端の縁部33の内周面330に達しており、縁部33の内周面330から、透光部材4の外方表面40に水を供給できるようになっている。流路37の本数は特には限定されず、一つあるいは複数である。
【0030】
水の供給源について説明する。図5には、水タンク6が示してあり、水タンク6は筒状体3に形成した供給口36に直接連結されている。水タンク6は供給口36に対して着脱自在である。供給口36には送水用リリースレバー7によって開閉可能な弁が設けてあり、レバー7の操作によって、水タンク6内の水を流路37に供給するようになっている。レバー操作によって流体の流れを制御する手段は周知である。水タンク6の上面には開閉自在の図示しない蓋が設けてあり、水タンク内に水を補給できるようになっている。水タンク6を直接本体に設けたものは、余計なパイプ等の送水ラインが無いので、手術時の操作性が良好である。
【0031】
手術が長時間に及ぶ場合等には、水タンク6に代えて、送水パイプ8の一端を供給口に連結し、送水パイプの他端に連結された水源(例えば、送水用点滴ユニット)から供給される水を、リリースレバー7によって弁を開放することで流路37に供給する。
【0032】
上述の酸化チタン膜を有する透光部材は、水供給機構との相乗効果によって、良好なセルフクリーニング機能を発揮する。しかしながら、手術時には、比較的大型な異物、例えば組織の一部、が透光部材の表面に付着することがある。このような異物を良好に除去するためには、防曇装置は、送気機構を有することが望ましい。送気機構の構成としては水供給機構と類似の構成を採用することができ、筒状体3の基端側にエアー供給口38を形成する。エアー流路としては、本体と腹膜鏡の空隙を利用するもの、あるいは、本体壁内に長さ方向に延出するエアー流路39を形成することが例示される。また、水分供給路とエアー供給路とを一つの流路で兼用してもよい。
【0033】
図5は、エアー供給源としてエアータンク9を示しており、エアータンク9には圧搾空気が充填されており、エアータンク9は筒状体3の供給口38に直接連結されている。供給口38には送気用リリースレバー10によって開閉可能な弁が設けてあり、レバー10の操作によって、エアータンク9内のエアーを流路39に供給するようになっている。エアータンク9はフレキシブルな部材から構成されており、供給路先端からの送気が不十分な場合には、エアータンクを押しつぶして圧迫することで、エアーを圧送する。
【0034】
手術が長時間に及ぶ場合等には、エアータンク9に代えて、エアーパイプの一端を供給口に連結し、パイプの他端に連結されたエアー源から供給されるエアーを、リリースレバー10によって弁を開放することで流路39に供給する。図7は、エアー供給源を腹腔鏡手術の際に利用する気膜装置11としたものを示す概略図である。気膜装置11からのエアー回路を分流して筒状体3の供給口38に連結する。具体的には、エアー回路は分岐を有するチューブである。チューブは、基端が気膜装置11に連結される第1チューブ12と、第1チューブ12の先端にその基端が連結されたY字管13と、Y字管13の一方の先端にその基端が連結された第2チューブ14と、Y字管13の他方の先端にその基端が連結された第3チューブ15とを有し、第2チューブ12の先端は従来の腹腔鏡手術用操作ポート16に連結され、第3チューブ15の先端は防曇用部材の供給口38に連結される。第3チューブ15には先端に近接してリザーバ17が設けてあり、リザーバ17は一つの好ましい例では、耐圧製ゴムから形成される。
【0035】
このように構成されたエアー供給機構において、必要時には、エアリリースボタンをワンプッシュすることで、エアー供給路にエアーが導入され、エアー供給路の先端から透光部材の外側表面にエアーを噴射することで、外側表面に付着した組織や水分を除去することができる。さらに、エアーの送気量が不足の場合には、リザーバを圧迫することでより強力なエアーを噴射することができる。気腹装置からのエアーを用いるものでは、筒状体の先端からは常に清浄なエアーが噴射され、噴射されるエアーは同時に手術用気腹に関与するための、手術に影響を及ぼすことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の腹腔鏡の概略図である。
【図2】本発明に係る腹腔鏡防曇装置の概略図である。
【図3】透光部材としての酸化チタン被膜を有するガラス、透光部材の補強用リング、補強用リングの他の実施態様を示す図である。
【図4】使用時における腹腔鏡と本発明に係る腹腔鏡防曇装置との関係を示す概略図である。
【図5】本発明に係る腹腔鏡防曇装置の水分供給機構およびエアー供給機構の一つの実施例を示す図および筒状体を正面から見た図である。
【図6】本発明に係る腹腔鏡防曇装置の水分供給機構およびエアー供給機構の他の実施例を示す図である。
【図7】エアー供給機構の一つの実施例を示す図である。
【図8】筒状体と腹腔鏡との固定機構を示す図である。
【図9】筒状体の他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 腹腔鏡
3 筒状体
30 筒状体基端の開口
31 筒状体先端の開口
33 縁部
330 縁部周面
34 光供給口
35 ライトガイド
36 水分供給口
37 水分供給路
38 エアー供給口
39 エアー供給路
G 間隙
5 補強リング
6 水タンク
9 エアータンク
G 間隙

Claims (35)

  1. 両端に開口を有し、基端の開口から腹腔鏡を挿入するように構成された筒状体と、該筒状体の先端の開口あるいは開口に近接した部位に位置して設けられ、外側表面と内側表面とを有し、少なくとも該外側表面には親水性のコーティングが形成されている透光部材と、該筒状体の先端から光を照射するためのライトガイドと、該透光部材に水分を供給するための水分供給路とを備えた腹腔鏡防曇装置。
  2. 請求項1において、該透光部材は交換可能であることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  3. 請求項1,2いずれかにおいて、該透光部材は該筒状体の先端の開口に着脱自在であることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  4. 請求項1,2いずれかにおいて、該透光部材は該腹腔鏡の先端に着脱自在であることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  5. 請求項1乃至4いずれかにおいて、該筒状体の先端の開口には中空部に向って突出する縁部が形成されており、該縁部の周面が該先端の開口を画定していることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  6. 請求項5において、該透光部材は、該腹腔鏡の先端と該縁部との間に挟持されることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  7. 請求項1乃至6いずれかにおいて、該透光部材の周面には補強リングが設けてあることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  8. 請求項1乃至7いずれかにおいて、該水分供給路は、該筒状体の内周面と該腹腔鏡の外周面との間に形成された間隙であることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  9. 請求項1乃至7いずれかにおいて、該水分供給路は、該筒状体の壁内に延設されていることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  10. 請求項1乃至9いずれかにおいて、該筒状体の基端側には水分供給口が設けてあり、該水分供給路は該水分供給口を介して水分供給源と流体連通されていることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  11. 請求項10において、該水分供給源は水タンクであり、該水タンクは直接該水供給口に連結されていることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  12. 請求項10において、該水分供給源は該装置と離隔しており、該水分供給源は、可撓性パイプを介して該水供給口に連結されていることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  13. 請求項1乃至12いずれかにおいて、該水分供給路の先端からは、該透光部材の外側表面を横切るように水分が供給されることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  14. 請求項5において、該水分供給路の先端は、該縁部の周面に形成された一つ又は複数の開口であることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  15. 請求項1乃至14いずれかにおいて、該ライトガイドは、該筒状体の長さ方向に延出しており、該ライトガイドの基端は該筒状体基端側に設けた光供給口に連結されており、該ライトガイドの先端は該筒状体の先端に達していることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  16. 請求項1乃至15いずれかにおいて、該装置は、さらにエアー供給路を備えており、該透光部材の外側表面にエアーを送気可能に構成されていることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  17. 請求項16において、該エアー供給路は、該筒状体の内周面と該腹腔鏡の外周面との間隙であることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  18. 請求項16において、該エアー供給路は、該筒状体の壁内を延出していることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  19. 請求項16乃至18いずれかにおいて、エアー供給路は、該水分供給路と共通であることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  20. 請求項16乃至19いずれかにおいて、該筒状体の基端側にはエアー供給口が設けてあり、該エアー供給路は該エアー供給口を介してエアー供給源と流体連通されていることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  21. 請求項20において、該エアー供給源はエアータンクであり、該エアータンクは直接該エアー供給口に連結されていることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  22. 請求項20において、該エアー供給源は該装置と離隔しており、該エアー供給源は、可撓性パイプを介して該エアー供給口に連結されていることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  23. 請求項22において、該エアー供給源は、腹腔鏡の気腹装置であることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  24. 請求項23において、該可撓性パイプには、該エアー供給口に近接してリザーバが設けてあることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  25. 請求項16乃至24いずれかにおいて、該エアー供給路の先端からは、該透光部材の外側表面を横切るようにエアーが供給されることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  26. 請求項16乃至25いずれかにおいて、該筒状体の先端の開口には中空部に向って突出する縁部が形成されており、該エアー供給路の先端は、該縁部の周面に形成された一つ又は複数の開口であることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  27. 請求項1乃至26いずれかにおいて、該装置は、該腹腔鏡が該筒状体の中空部に挿入された状態において、該腹腔鏡と該筒状体とを固定する固定機構を備えていることを特徴とする腹腔鏡防曇装置。
  28. 両端に開口を有する長尺筒状体を有し、該筒状体の先端には中空部に面して突出する縁部が形成されており、該筒状体の基端側には光供給口、水分供給口がそれぞれ形成されており、該筒状体の壁には長さ方向に延出するライトガイドが設けてあり、該ライトガイドの基端は該光供給口に連結されており、該ライトガイドの先端は該筒状体の先端に達していることを特徴とする腹腔鏡防曇用部材。
  29. 請求項28において、該筒状体の壁内には長さ方向に延出する水分供給路が形成されており、該水分供給路の基端は該水分供給口に連結されており、該水分供給路の先端は該縁部の周面に形成された一つ又は複数の開口であることを特徴とする腹腔鏡防曇用部材。
  30. 請求項28,29いずれにおいて、該筒状体の基端側にはエアー供給口が形成されており、該筒状体の壁内には長さ方向に延出するエアー供給路が形成されており、該エアー供給路の基端が該エアー供給口に連結されており、該エアー供給路の先端は該縁部の周面に形成された一つ又は複数の開口であることを特徴とする腹腔鏡防曇用部材。
  31. 外側表面と内側表面とを有し、少なくとも該外側表面に親水性のコーティングが形成されている腹腔鏡防曇用透光部材。
  32. 請求項31において、該親水性のコーティングは、酸化チタンを含むことを特徴とする腹腔鏡防曇用透光部材。
  33. 請求項32において、該親水性のコーティングは、さらにシリカを含むことを特徴とする腹腔鏡防曇用透光部材。
  34. 請求項33において、該親水性のコーティングは、該透光部材の表面に形成された酸化チタン膜と該酸化チタン膜の上に形成されたシリカ膜とからなることを特徴とする腹腔鏡防曇用透光部材。
  35. 両端に開口を有する筒状体と、少なくとも外側表面に親水性のコーティングが形成されている透光部材とを用いた腹腔鏡の防曇方法であって、該筒状体の中空部に腹腔鏡を挿入させた状態で、該筒状体の先端の開口あるいは先端の開口に近接した部位で該腹腔鏡の先端の外側に位置させて該透光部材を設け、該透光部材に水分を供給することで、該透光部材の防曇を行なうことを特徴とする腹腔鏡の防曇方法。
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