JP2004267843A - 排気ガス浄化用触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素吸蔵材としてのCeO−ZrO−SrO系複合酸化物が貴金属やNOx吸蔵材と共に担体に被覆される触媒層を有する排気ガス浄化用触媒において、低温度域から高温度域まで高いNOx浄化率を得ると共に、エンジンの低燃費化に寄与できる排気ガス浄化用触媒を提供する。
【解決手段】コンバータ7内において触媒Cは上流側触媒C1と下流側触媒C2とから成り、上流側触媒C1におけるCeO−ZrO−SrO系複合酸化物は20g/L以上、140g/L以下の含有量とされ、下流側触媒C2における上記複合酸化物は140g/L以上、280g/L以下の含有量とされている。これにより、排気ガス温度が低温であっても高温であっても常に高いNOx浄化率が得られる。
【選択図】図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気ガス浄化用触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの排気ガスを浄化するための触媒としては、理論空燃比付近で排気ガス中のHC、CO及びNOxを同時にかつ極めて有効に浄化できる三元触媒が知られている。また、空燃比リーンでは排気ガスに含まれるNOxをBa等のNOx吸蔵材に吸蔵し、理論空燃比又は空燃比リッチでは吸蔵していたNOxを貴金属上に移動させ、これを排気ガスに含まれるHC、CO及びHのような還元ガスと反応させてNに還元浄化すると共に、還元ガスをも酸化浄化する、いわゆるリーンNOx浄化触媒も知られている。
【0003】
そして、一般にこれらの触媒には、酸化数が変化して酸素の貯蔵及び放出を行う酸素吸蔵材が構成成分として含まれており、通常CeOやCeO−ZrO複酸化物が使用されている。これらの酸化物は、三元触媒においては酸素の貯蔵又は放出により理論空燃比からのずれを補正する役割を果たし、また、リーンNOx浄化触媒においては、排気ガスに大量に含まれる酸素を吸収することで、貴金属の近傍を一時的に還元雰囲気にすることによりNOxの吸蔵を促進する役割と、リーンNOx触媒が三元触媒として機能する際に上記の三元触媒における機能と同じ役割を果たす。
【0004】
このよう役割を果たす酸素吸蔵材に関しては近年、複合酸化物成分やその結晶形態に言及した多くの文献が見られ、CeO−ZrO−SrO系複合酸化物の酸素吸蔵材もその一つとして知られている(下記特許文献1参照)。
【0005】
なお、酸素吸蔵材としてのCeO−ZrO−SrO系複合酸化物が提案された特許文献1は当出願人によるものであり、本文献1には、「酸素吸蔵材として働く複酸化物は、Ce及びZrに加えてSrを含むので、触媒が高温度雰囲気に長時間晒されても酸素吸蔵機能が大きく低下することがなく、耐熱劣化性に優れた触媒を得ることができる」、旨が記載されている。
【0006】
特許文献1には、上記のような効果が得られる理由は明確ではないとしながらも、分析の結果から、Srの存在がCeO−ZrOのみの複酸化物よりも高結晶性、微粒子化、メゾポアの拡大、硫黄被毒防止に寄与しており、高い温度域にまで酸素吸蔵機能を維持することが可能となっていると考えられる、としている。
【0007】
さらに、上記Ce−Zr−Sr複酸化物(CeO−ZrO−SrO系複合酸化物)は、通常の排気ガス温度350℃前後でエンジンの空燃比をストイキ又はリッチにしたときの酸素放出量がそれほど多くないため、NOx吸蔵材に吸収されているNOxを放出させて還元浄化するために空燃比をストイキ又はリッチに維持する時間を短くすることができ、あるいはリッチ度合を低くすることができること、即ち、CeO−ZrO−SrO系複合酸化物を酸素吸蔵材とすることにより、燃料消費量を低減できる効果があることも記載している。
【0008】
そして、本文献1において、酸素吸蔵材としてのCeO−ZrO−SrO系複合酸化物は、貴金属やNOx吸蔵材と共に内側触媒層として担体上に被覆配置され、その内側触媒層上には貴金属とゼオライトとを有する外側触媒層とが備えられた排気ガス浄化用触媒として用いられることが開示されている。
【0009】
しかしながら、本文献1には、自動車の排気ガス浄化用触媒、とりわけ、リーンNOx触媒、または三元触媒が置かれる温度条件、即ち、低温度域(例えば、市街地等での低速走行時)から高温度域(例えば、高速道路等での高速走行時)の広い温度範囲に渡って、常に高いNOx浄化率を得るために必要なCeO−ZrO−SrO系複合酸化物の含有量が特定されていない。したがって、本文献1に記載の触媒は、自動車の排気ガス浄化用触媒としては、様々な運転条件の下で幅広く変化する排気ガス温度条件に対して常に高いNOx浄化率を得られない可能性がある。
【0010】
また、本発明者等は、特許文献1に記載の内側触媒層と外側触媒層を設けた触媒(以下、従来触媒と称す)について、450℃の高温度でのA/F(空燃比)とリッチNOx浄化率との関係を調べ、図9のような結果を得た。
【0011】
同図によれば、従来触媒は、リッチ(λ≦1)になるに従ってNOx浄化率が上がることが分かる。しかしながら、逆に言えば、NOx浄化率を上げるためには還元剤を供給してリッチ状態にする必要があり、それに伴って燃料消費量の増加を招くという問題がある。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−310131号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上より、本発明は、酸素吸蔵材としてのCeO−ZrO−SrO系複合酸化物が貴金属やNOx吸蔵材と共に担体に被覆される触媒層を有する排気ガス浄化用触媒において、低温度域から高温度域まで高いNOx浄化率を得ると共に、エンジンの低燃費化に寄与できる排気ガス浄化用触媒を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に関わる排気ガス浄化用触媒の第一の構成は、排気ガス中のNOxを過剰酸素の存在下で吸収し、排気ガスの酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出するNOx吸収材と、CeO−ZrO−SrO系複合酸化物と、触媒貴金属と、アルミナとを含む触媒層が触媒担体に被覆されるとともに、火花点火式エンジンの排気ガス流路に配置される排気ガス浄化用触媒であって、触媒は排気ガスの流れ方向に沿って上流側に配設された上流側触媒と排気ガスの流れ方向に沿って下流側に配設された下流側触媒とから成り、上流側触媒における複合酸化物は20g/L以上、140g/L以下の含有量とされ、下流側触媒における複合酸化物は140g/L以上、280g/L以下の含有量とされているものである。
【0015】
第一の構成によれば、通常の火花点火式エンジンでは、排気ガス流路に配置される排気ガス浄化用触媒において上流側(入口側)に配置される触媒は下流側(出口側)に配置される触媒よりも高温であるため、上流側に高温でNOx浄化率が高い特性を示すようにその含有量が20g/L以上、140g/L以下に特定されたCeO−ZrO−SrO系複合酸化物を含む触媒を配置する一方、その下流側に低温でNOx浄化率が高い特性を示すようにその含有量が140g/L以上、280g/L以下に特定されたCeO−ZrO−SrO系複合酸化物を含む触媒を配置することにより、排気ガス浄化用触媒が低温度であっても、或いは高温度であっても常に高いNOx浄化率を維持することができる。
【0016】
また、上流側触媒は高温時のλ≦1のA/F条件下において従来触媒よりもNOx浄化率が高いため、過度にリッチパージしてNOx浄化率を高める必要が無い。したがって、燃料消費量を抑えることが可能となる。
【0017】
これについて少し詳しく説明すると、酸素吸収剤であるCeO−ZrO−SrO系複合酸化物からの酸素放出量が多い場合は、ストイキ又はリッチにしてNOxを浄化するための排気ガス中の還元成分(HC、CO、H等)を多くしても、その還元成分が放出された酸素と反応して消費される量も多くなる。そのため、NOxを還元浄化するためにはより多くの還元成分が必要になる。つまり、ストイキまたはリッチに維持する時間を長くするか、リッチ度合を高くする必要がある。これに対して、本発明におけるCeO−ZrO−SrO系複合酸化物はその含有量と温度との関係から、上流側触媒に含有されるCeO−ZrO−SrO系複合酸化物は酸素放出量が少ないように20g/L以上、140g/L以下に設定してあるから、還元成分の消費量が少ない。そのために、NOxを還元浄化するためにストイキ又はリッチに維持する時間を短くし又はリッチ度合を低くすることができ、その結果、燃料消費量も少なくなる。
【0018】
本発明に関わる第二の構成は、排気ガス中のNOxを過剰酸素の存在下で吸収し、排気ガスの酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出するNOx吸収材と、CeO−ZrO−SrO系複合酸化物と、触媒貴金属と、アルミナとを含む触媒層が触媒担体に被覆されるとともに、火花点火式エンジンの排気ガス流路に配置される排気ガス浄化用触媒であって、触媒は高温活性触媒と低温活性触媒の2つの触媒が排気ガスの流れ方向に対して並列に配置され、触媒の入口前方に設けられた温度検出装置によって検出された排気ガス温度に基づいて高温活性触媒または低温活性触媒へ排気ガス経路を切換える切換手段が備えられているとともに、高温活性触媒における複合酸化物は20g/L以上、140g/L以下の含有量とされ、低温活性触媒における複合酸化物は140g/L以上、280g/L以下の含有量とされているものである。
【0019】
第二の構成によれば、触媒の入口前方に設けられた温度検出装置によって検出された排気ガス温度に基づいて高温活性触媒または低温活性触媒へ排気ガス経路を切換える切換手段が備えられており、排気ガス温度が所定温度以上である場合には高温活性触媒に排気ガスが流れ込むように切換手段が切換えられ、この高温活性触媒は高温でNOx浄化率が高い特性を示すようにその含有量が20g/L以上、140g/L以下に特定されたCeO−ZrO−SrO系複合酸化物を含む触媒を配置する一方、排気ガス温度が所定温度以下である場合には低温活性触媒に排気ガスが流れ込むように切換手段が切換えられ、この低温活性触媒は低温でNOx浄化率が高い特性を示すようにその含有量が140g/L以上、280g/L以下に特定されたCeO−ZrO−SrO系複合酸化物を含む触媒を配置することにより、排気ガス浄化用触媒が低温度であっても、或いは高温度であっても常に高いNOx浄化率を維持することができる。
【0020】
また、上記第一の構成の上流触媒と同様に、高温活性触媒は高温時のλ≦1のA/F条件下において従来触媒よりもNOx浄化率が高いため、過度にリッチパージしてNOx浄化率を高める必要が無い。したがって、燃料消費量を抑えることが可能となる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、酸素吸蔵材としてのCeO−ZrO−SrO系複合酸化物が貴金属やNOx吸蔵材と共に担体に被覆される触媒層を有する排気ガス浄化用触媒において、低温度域から高温度域まで高いNOx浄化率を得ると共に、エンジンの低燃費化に寄与できる排気ガス浄化用触媒を提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図8に基づいて説明する。
【0023】
なお、本発明の実施の形態の説明において、「低温(低温度)」、「高温(高温度)」等の記載がある。「低温(低温度)」と「高温(高温度)」とは、相対比較を表すもので、特定の基準の温度が設定され、それに基づいた「低温(低温度)」、「高温(高温度)」という意味ではない。何故ならば、本発明の主旨は、触媒中のCeO−ZrO−SrO系複合酸化物の含有量によってNOx浄化率が高くなる温度領域が低温度域であったり、高温度域であったりと変化することに着目し、低温度の排気ガス温度が流れる部位には低温度でNOx浄化率が高くなるような上記複合酸化物の含有量の触媒を配置し、且つ高温度の排気ガス温度が流れる部位には高温度でNOx浄化率が高くなるような上記複合酸化物の含有量の触媒を配置するものであり、幾多の車種に応じて2つの触媒における複合酸化物の夫々の含有量が設定可能であり、その組合せに準じて基準となる温度は多数に変化するためである。
【0024】
(触媒の構成)
図1は本発明の実施形態に係る排気ガス浄化用触媒Cの構造を示す。触媒Cは、例えば耐熱性に優れた担体材料であるコージェライトからなるモノリス状の担体1を備え、その担体1のセル2内壁面上には、後で詳細に説明する、NOx吸収材と、CeO−ZrO−SrO系複合酸化物(以下、複合酸化物と称す)と、触媒貴金属と、アルミナとを含む触媒層3が形成されている。
【0025】
触媒層3は、貴金属成分(例えばPt、Rh)と、NOx吸蔵材としてのBa、K、Sr及びMgと、貴金属及びNOx吸蔵材が担持された母材と、この母材粉末を結合し担体に保持するバインダとを備えている。ここで、母材は、アルミナと複合酸化物との混合物で形成されている。
【0026】
(触媒Cの製法)
触媒Cの基本的な製法は次の通りである。
【0027】
まず、母材(アルミナと複合酸化物との混合物)、バインダ及び水を混合してスラリーを形成し、このスラリーをモノリス担体にウォッシュコートし、乾燥及び焼成を行なうことによって、コート層を形成する。
【0028】
続いて、貴金属成分の溶液と、NOx吸蔵材であるBa成分、K成分、Sr成分及びMg成分の各溶液との混合溶液を調製する。そして、その混合溶液をコート層に含浸させ、乾燥及び焼成を行なう。
【0029】
(触媒Cの使用形態)
触媒Cは、例えば図2に示すように、車両用のリーン燃焼エンジン4の排気ガスを排出するための排気通路5に配設された触媒コンバータ7内に配置されている。触媒コンバータ7の配設部位は車両の床下部位に相当する。
【0030】
詳細には、触媒Cは、例えば図3又は図4に示す形態とされている。まず、図3に示している形態について説明する。図3から分かるように、触媒Cはエンジンからの排気ガスが流れ込む上流側(排気ガス温度が高い側)触媒C1と、上流側触媒C1に直列にその後方に配設される下流側(排気ガス温度が低い側)触媒C2とから成っている。
【0031】
そして、上流側触媒C1と下流側触媒C2との間にはクリアランスが設定されているとともに、上流側触媒C1と下流側触媒C2の外周面は断熱材で覆われた状態で触媒コンバータ7内に配置されている。
【0032】
一方、図4に示している触媒Cの形態は、低温度域で浄化率の高い触媒C3と高温度域で浄化率の高い触媒C4が触媒コンバータ7内において並列に配置されているものである。
【0033】
そして、触媒C3と触媒C4との間にはクリアランスが設定されているとともに、夫々の外周面は断熱材で覆われている。
【0034】
また、図4に示している触媒の形態の場合、触媒C3と触媒C4に流れ込む排気ガスを仕切るための仕切り壁Cwが触媒C3と触媒C4の間から排気ガス上流側に向かって触媒コンバータ7の前端部まで設けられており、さらに、触媒コンバータ7の入口前方付近の排気ガス流路内に排気ガス温度検出手段である温度センサ9が設けられている。
【0035】
さらに、仕切り壁Cwの前端部には排気ガス切換手段である切換弁Sが設けられており、例えば350℃であった排気ガス温度が上昇して所定温度、例えば、380℃になった場合に、触媒C4への排気ガスを遮断する位置S4にあった切換弁Sは触媒C3への排気ガスを遮断する位置S3に切換えられようになっている。つまり、温度センサ9によって排気ガス温度が380℃未満であることを検出している場合は、切換弁Sは位置S4の状態とされるため、排気ガスは触媒C3に流れるが触媒C4には流れず、温度センサ9によって排気ガス温度が380℃以上であることを検出している場合は、切換弁Sは位置S3の状態とされるため、排気ガスは触媒C4に流れるが触媒C3には流れないようになっている。なお、切換えのための具体的手段はモータ駆動他、如何なる手段であってもよい。
【0036】
そして、一般的に排気ガス浄化用触媒は、NOx、CO、及びHC等の排気ガスに対して、例えば250℃の低温度域から500℃の高温度域までほぼ均一、且つ、高い浄化率を維持するものはないという現状から、図3及び図4で示した触媒について、高温度域で高い浄化率を有する触媒と、低温度域で高い浄化率を有する触媒を組み合わせることは、極めて有意義である。
【0037】
以上の説明のように、本発明に関わる触媒の仕様の形態は、低温度域で排気ガスの浄化率が高い触媒と、高温度域で排気ガスの浄化率が高い触媒とを配置するもので、これにより、エンジンの排気ガス温度が約250℃の低温度から約500℃の高温度となるような幅広い運転状態においてもNOx、CO及びHC濃度を低減することが可能となる。
【0038】
そして、触媒C(即ち、触媒C1、触媒C2、触媒C3、及び触媒C4)は、リーン燃焼運転時には排気ガスに含まれるNOxをNOx吸収材であるBa、K、Sr及びMgに吸蔵し、次に理論空燃比燃焼運転時またはリッチ燃焼運転時(λ≦1)には上記Ba等から放出されたNOxと、排気ガス中に含まれる還元成分であるHC、CO及びHとを反応させ、排気ガスを浄化するものである。すなわち、触媒CはリーンNOx浄化作用を有するものであり、そのリーン燃焼運転時における排気ガスの酸素濃度は例えば4〜5%から20%であり、空燃比はA/F=18〜150である。一方、リッチ燃焼運転時における排気ガスの酸素濃度は0.5%以下である。
【0039】
また、触媒CはリーンNOx浄化作用を有するが、リーン燃焼運転が長時間続くと触媒CのNOx吸蔵量が飽和状態となってNOx浄化性能の低下を招く。そのため、リーン燃焼運転を2〜3分行い、この間にNOx吸蔵材にNOxを吸蔵し、次いでリッチ燃焼運転を1〜5秒行い、この間に吸蔵していたNOxを放出して浄化する、というサイクルが繰り返されるように制御がなされている。
【0040】
さらに、触媒層3に含まれるNOx吸蔵材(Ba、K、Sr及びMg)への硫黄成分の吸収過剰状態が判定されたときには、燃焼室の空燃比をリッチ状態とすると共に、点火時期を遅らせる点火リタード制御が2〜10分程度行われるようになっている。これによって排気ガスの温度が高められてNOx吸蔵材の温度も上昇し、硫黄被毒されたNOx吸蔵材から硫黄成分が脱離して再生が図られることとなる。
【0041】
触媒層3には、触媒金属として貴金属が担持されているので、排気ガス中のNOx及びHCが貴金属表面で活性化されると共に、複合酸化物から活性化された酸素が供給されることとなる。従って、排気ガス中のNOのNOへの酸化反応、HCの部分酸化反応が円滑に進行し、このNO及び部分酸化HCはエネルギー的に反応しやすい状態にあるため、前者の還元及び後者の酸化が効率良く進行することになる。
【0042】
すなわち、空燃比リーンにおいて、触媒層3では、触媒層3でNOが酸化されて生成したNOがNOx吸蔵材に吸蔵され、見掛け上NOxが浄化された格好となる。NOx吸蔵材に吸蔵されたNOは、空燃比リッチとなったときに触媒層3の貴金属上で活性化された部分酸化HCと反応して分解浄化されることとなる。従って、触媒層3はリーンNOx浄化触媒としての機能を発揮するということができる。
【0043】
【実施例】
<評価触媒の調製>
以下の方法により本発明に係る触媒を調製した。
【0044】
−コート層の形成−
γーアルミナと複合酸化物とアルミナバインダとを、γ−アルミナ担持量(担持量は後述するハニカム担体に担持させたときの担体1L当たりの乾燥質量のこと。以下、同じ。)と複合酸化物担持量の合計を320g/Lで一定重量とするとともに、この320g/Lの範囲内で複合酸化物担持量を表1のように変え、これらに、夫々、アルミナバインダ担持量が30g/Lとなるように秤量して混合し、これにイオン交換水を添加することによってスラリーを調製した。このスラリーにコージェライト製モノリス担体を浸漬して引き上げ、余分なスラリーを吹き飛ばす、という方法により、担体にスラリーをウォッシュコートした。次いで、これを150℃の温度で1時間乾燥し、540℃の温度で2時間焼成することによってコート層を形成した。なお、この乾燥条件及び焼成条件は以下の説明における「乾燥」及び「焼成」も同じである。
【0045】
次に、比較例1として複合酸化物を含有しない、即ち、γーアルミナのみで320g/Lの担持量とされるコート層を形成した。
【0046】
さらに、比較例2としてγーアルミナを含有しない、即ち、複合酸化物のみで320g/Lの担持量とされるコート層を形成した。
【0047】
以上のコート層における複合酸化物の担持量を下記の表1に示す。なお、複合酸化物における酸化物の質量組成比は、いずれもCeO:ZrO:SrO=73.3:25.7:1である。
【表1】
Figure 2004267843
【0048】
−含浸工程−
ジニトロジアミン白金硝酸塩水溶液と、硝酸ロジウム水溶液と、酢酸バリウム水溶液と、酢酸カリウム水溶液と、酢酸ストロンチウム水溶液と、酢酸マグネシウム水溶液とを、Pt担持量が3.5g/L、Rh担持量が0.3g/L、Ba担持量が30g/L、K担持量が6g/L、Sr担持量が10g/L及びMg担持量が10g/Lとなるように秤量し混合してなる混合溶液を調製した。
【0049】
次いで、この混合溶液を表1に示した実施例1〜7、及び比較例1、2の担体上のコート層に含浸させ、これを乾燥及び焼成した。
【0050】
そして、上記実施例1〜7、及び比較例1、2のリッチNOx浄化率を下記測定方法に従って測定した。
−NOx浄化率の測定方法−
触媒を固定床流通式反応評価装置に取り付け、図5に示すように、空燃比リーンの模擬排気ガス(ガス組成A)を60秒間流し、次にガス組成を切換えて空燃比リッチの模擬排気ガス(ガス組成B)を60秒間流す、というサイクルを5回繰り返した後、空燃比リーンの模擬排気ガス(ガス組成A)から空燃比リッチの模擬排気ガス(ガス組成B)に切換えて60秒間、即ち、テスト開始から540秒〜600秒の間におけるリッチNOx浄化率(以下、本測定結果に関しては単に浄化率と称す)を測定した。また、そのガス組成は表2に示す通りであり、空間速度SVは25000h−1とした。なお、一般的に、上記の方法による浄化率測定結果は、実車での測定結果よりも低い浄化率を示し、本測定の結果が約75%程度の浄化率であれば、充分に実用可能である。
【0051】
上記測定条件において、触媒温度及び模擬排気ガス温度は夫々、250℃、300℃、350℃、400℃、450℃、及び500℃とした。即ち、本浄化率の測定方法によれば、複合酸化物の担持量と、触媒温度と、浄化率との関係が分かり、図3、図4に示した形態の触媒において、低温度域で浄化率の高い触媒と高温度域で浄化率の高い触媒の組合せが明らかにできる。
【0052】
【表2】
Figure 2004267843
【0053】
図6に上記の方法による浄化率測定結果を示す。図6において、まず、実施例1の複合酸化物を含む触媒の場合、250℃の低温度では浄化率は低く温度の上昇とともに浄化率が上がり、400℃から450℃の間で最高の浄化率を示した後、さらに温度が上昇すると若干の浄化率の低下を示す。即ち、実施例1は低温度域よりも高温度域で浄化率が高い触媒である。
【0054】
実施例2の場合、250℃から約400℃の間では実施例1よりも浄化率は高いが、高温度域では逆に実施例1よりもやや低い浄化率となっている。実施例2は低温度域よりも高温度域で浄化率が高い触媒であることが分かる。
【0055】
実施例3の場合、250℃では実施例2よりも浄化率は低いが、温度の上昇とともに実施例2より高い浄化率を示すようになり、約400℃で最高の浄化率を示した後、500℃の高温では実施例1、及び実施例2よりも低い浄化率を示す。そして、実施例3は低温度域よりも高温度域で浄化率が高い触媒であることが分かる。但し、実施例1、実施例2よりもその傾向は顕著ではない。
【0056】
実施例4の場合、250℃から300℃を超える温度域では実施例1、及び3よりも高い浄化率を示し、温度の上昇とともに浄化率も上昇して350℃から400℃の間で最高の浄化率を示した後、さらに温度が上昇すると急激に浄化率が低下する。高温度域では、明らかに実施例1、2、及び3よりも浄化率は低い。即ち、実施例4は高温度域よりも低温度域で浄化率が高い触媒であることが分かる。
【0057】
実施例5の場合、実施例4に近い浄化率の傾向を示しているが、最高の浄化率を示す温度は約350℃になっており、実施例4よりもさらに、高温度域よりも低温度域で浄化率が高い触媒であることが分かる
【0058】
実施例6の場合、250℃でかなり高い浄化率を有し、さらに300℃から350℃の間で最高の浄化率が得られている。そしてその浄化率も他の実施例のよりも高い。500℃の高温度では実施例1及び実施例2よりもやや低い浄化率を示している。したがって、実施例6は高温度域よりも低温度域で浄化率が高い触媒であるとともにその傾向を最も顕著に有している。
【0059】
実施例7の場合、250℃から350℃を少し超える温度域において、実施例5と実施例6との間の浄化率を示し、温度の上昇とともに浄化率は低下する。したがって、実施例7は高温度域よりも低温度域で浄化率が高い触媒である。
【0060】
続いて比較例1及び比較例2について説明する。比較例1は先に述べたように複合酸化物の担持量は0g/Lである。この比較例1は、実施例1と同様に低温度域よりも高温度域で高い浄化率を有しているように見える。しかし、触媒上にセリアが含まれていないため、NOxを吸蔵する性能が低く、リーン運転時に実施例1に比べて少ない量のNOxしか吸蔵できていない。従って、リッチ運転時に放出するNOxの量が少なく、見かけ上、NOx浄化率が高くなっているだけである。
【0061】
比較例2は、約350℃で最高の浄化率を示しているが、実施例1〜7の場合の最高の浄化率よりもかなり低く、250℃、及び500℃では50%以下の低い浄化率となっている。また、比較例2のコート層は、担体に担持する際のスラリー粘度が実施例1〜7のスラリーよりもかなり高く、メッシュの目詰まりやコート層の厚みの不均一な部分が確認でき、実用には適していないものであることも分かった。
【0062】
以上説明したように、複合酸化物を含む触媒である実施例1〜7は、その複合酸化物の担持量によって、低温度域よりも高温度域で浄化率が高い触媒と、高温度域よりも低温度域で浄化率が高い触媒とに分けられる。
【0063】
具体的には、実施例1〜3、即ち複合酸化物の担持量が40g/L〜120g/Lの触媒は低温度域よりも高温度域で浄化率が高い触媒であり、160g/L〜280g/Lの触媒は、高温度域よりも低温度域で浄化率が高い触媒であると言える。
【0064】
上記の知見を下に、高温度域よりも低温度域で浄化率が高い触媒、及び低温度域よりも高温度域で浄化率が高い触媒に必要な複合酸化物の担持量の上限値と下限値について、さらに実験を行った。
【0065】
なお、高温度域よりも低温度域で浄化率が高い触媒の複合酸化物の担持量については、320g/Lでは、先に説明したメッシュの目詰まりやコート層の厚みの不均一が生じること、及び280g/Lで充分なNOx浄化性能が確認できるところから、280g/Lを上限値として設定した。
【0066】
高温度域よりも低温度域で浄化率が高い触媒の複合酸化物担持量の下限値、及び低温度域よりも高温度域で浄化率が高い触媒に必要な複合酸化物の担持量の上限値は上記実施例3と実施例4の間にあると考えられるところから、実施例8として、複合酸化物の担持量が140g/Lの触媒を調製して、実施例1〜7と同じ方法でリッチNOx浄化率の測定を行った。なお、実施例8の触媒の調製方法は実施例1〜7と同じである。
【0067】
さらに、低温度域よりも高温度域で浄化率が高い触媒に必要な複合酸化物の担持量の下限値は比較例1と実施例1の間にあると考えられるところから、実施例9として、複合酸化物の担持量が20g/Lの触媒を調製して、実施例1〜7と同じ方法でリッチNOx浄化率の測定を行った。なお、実施例9の触媒の調製方法は実施例1〜7と同じである。
【0068】
図7は上記実施例8、及び実施例9のリッチNOx浄化率の測定結果を示すものである。なお、参考として、上記実施例1、3、4、6、及び実施例7の結果も合わせて示している。
【0069】
図7において、高温度域よりも低温度域で浄化率が高い触媒の複合酸化物担持量の下限値について実施例9を検討する。
【0070】
実施例9の場合、約400℃よりやや低い温度で最高の浄化率を示し、それよりも低温、或いは高温では浄化率が低下する。そしてこれは、ほぼ実施例3と実施例4の中間に近い浄化率を示している。
【0071】
また、250℃から300℃の低温度域では実施例4よりも浄化率を示しているが、実用可能な浄化率、約75%以上の浄化率を有しているところから、実施例9、即ち、複合酸化物の担持量が140g/Lの触媒は、高温度域よりも低温度域で浄化率が高い触媒における上記担持量の下限値として設定することができる。
【0072】
一方、実施例9の高温度域の浄化率も約75%以上を有しているところから、実施例9、即ち、複合酸化物の担持量が140g/Lの触媒は、低温度域よりも高温度域で浄化率が高い触媒における上記担持量の上限値として設定することができる。
【0073】
次に、低温度域よりも高温度域で浄化率が高い触媒の複合酸化物担持量の下限値について実施例8を検討する。
【0074】
実施例8の場合、実施例1よりもやや低い浄化率であるが、実施例1とほぼ同じ傾向を示す。そして、図7から分かるように、実施例8は400℃前後において実施例1、3、及び実施例9よりも低い浄化率を示すものの、約80〜90%の浄化率であるところから、実用可能であるとともに、この温度領域における浄化率の下限をカバーできる触媒である。したがって、低温度域よりも高温度域で浄化率が高い触媒における上記担持量の下限値として設定することができる。
【0075】
以上より、図3で示した触媒の形態の場合、上流側の触媒C1における複合酸化物の担持量は20g/L以上、140g/L以下、下流側の触媒C2における複合酸化物の担持量は140g/L以上、280g/L以下が良い。
【0076】
また、図4で示した触媒の形態の場合、高温側の触媒C4における複合酸化物の担持量は20g/L以上、140g/L以下、低温側の触媒C3における複合酸化物の担持量は140g/L以上、280g/L以下が良い。
【0077】
このことから明らかなように、複合酸化物の担持量が140g/Lの触媒は、図3で示した触媒の形態の場合、上流側の触媒C1と下流側の触媒C2の両方に用い、或いは図4で示した触媒の形態の場合、高温側の触媒C4と低温側の触媒C3の両方に用いても良い。
【0078】
次に、低温度域よりも高温度域で浄化率が高い触媒として実施例3の触媒を例にして、λ≦1のA/Fの状態でのリッチNOx浄化性能を測定した。その結果を図8に示している。なお、本評価方法は、上記実施例1〜7他のリッチNOx浄化率の測定方法と基本的には同じであるが、リッチ側のガス組成を変える(CO、H2、HCの還元成分を増やす)ことにより、A/Fを変化させて評価したものである。
【0079】
図8によれば、450℃の高温下、λ≦1の状態において、実施例3の触媒は従来触媒よりも高いリッチNOx浄化率を示している。このことより、低温度域よりも高温度域で浄化率が高い触媒を使えば、高温度域においてA/Fを過度にリッチにしなくても高いリッチNOx浄化性能が得られ、燃料消費量の低減が可能となることが確認できた。
【0080】
なお、図4で示した触媒の形態の場合、380℃を切換弁Sが切換えられる排気ガスの温度条件としたが、本発明はこの温度に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る排気ガス浄化用触媒の構造
【図2】本発明に係るエンジンから触媒に至る配置を示す図
【図3】本発明に係る触媒の使用形態の一つを示す図
【図4】本発明に係る触媒の別の使用形態を示す図
【図5】NOx浄化率の測定方法を示す図
【図6】リッチNOx浄化率測定結果を示す図
【図7】複合酸化物含有量の上下限値を検討するためのリッチNOx浄化率測定結果を示す図
【図8】実施例3を代表例としたλ≦1のA/F状態でのリッチNOx浄化性能測定結果
【図9】従来の技術の課題を説明する図
【符号の説明】
1・・・担体
2・・・担体セル
3・・・触媒層
5・・・排気通路5
9・・・温度検出装置
C・・・触媒
C1・・・上流側触媒
C2・・・下流側触媒
C3・・・低温度域で浄化率の高い触媒
C4・・・高温度域で浄化率の高い触媒
S・・・切換弁

Claims (2)

  1. 排気ガス中のNOxを過剰酸素の存在下で吸収し、該排気ガスの酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出するNOx吸収材と、CeO−ZrO−SrO系複合酸化物と、触媒貴金属と、アルミナとを含む触媒層が触媒担体に被覆されるとともに、火花点火式エンジンの排気ガス流路に配置される排気ガス浄化用触媒であって、
    上記触媒は排気ガスの流れ方向に沿って上流側に配設された上流側触媒と排気ガスの流れ方向に沿って下流側に配設された下流側触媒とから成り、上記上流側触媒における上記複合酸化物は20g/L以上、140g/L以下の含有量とされ、上記下流側触媒における上記複合酸化物は140g/L以上、280g/L以下の含有量とされていることを特徴とする、排気ガス浄化用触媒。
  2. 排気ガス中のNOxを過剰酸素の存在下で吸収し、該排気ガスの酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出するNOx吸収材と、CeO−ZrO−SrO系複合酸化物と、触媒貴金属と、アルミナとを含む触媒層が触媒担体に被覆されるとともに、火花点火式エンジンの排気ガス流路に配置される排気ガス浄化用触媒であって、
    上記触媒は高温活性触媒と低温活性触媒の2つの触媒が排気ガスの流れ方向に対して並列に配置され、上記触媒の入口前方に設けられた温度検出装置によって検出された排気ガス温度に基づいて上記高温活性触媒または上記低温活性触媒へ排気ガス経路を切換える切換手段が備えられているとともに、上記高温活性触媒における上記複合酸化物は20g/L以上、140g/L以下の含有量とされ、上記低温活性触媒における上記複合酸化物は140g/L以上、280g/L以下の含有量とされていることを特徴とする、排気ガス浄化用触媒。
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