JP2004269574A - 蓄熱塗料 - Google Patents
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Abstract
【課題】配合される蓄熱用カプセルの製造が安全且つ簡便であり、しかも、ホルムアルデヒドを放出する虞もない蓄熱塗料を提供する。
【解決手段】本発明の蓄熱塗料は、芯物質たるパラフィンがポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂の壁膜に内包された蓄熱用カプセルが含まれてなる蓄熱塗料であって、
前記ポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂が、5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートと活性水素化合物との反応重合物であることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の蓄熱塗料は、芯物質たるパラフィンがポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂の壁膜に内包された蓄熱用カプセルが含まれてなる蓄熱塗料であって、
前記ポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂が、5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートと活性水素化合物との反応重合物であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄熱用カプセルが含有されてなる蓄熱塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
物質や空間を冷却したり加温したりする時に使用される蓄熱材として、物質の相変化に伴う潜熱を利用して蓄熱を行う蓄熱材が広く利用されている。なかでも、相変化を起こし蓄熱を行う芯物質が、壁膜に内包されてなる蓄熱用カプセルは、芯物質の相変化に伴う蓄熱や放熱が芯物質の周囲を取り囲む壁膜の内側で行われるため、芯物質がどのような状態であっても粒子として取扱うことができるので取扱いが容易であるという利点を有している。
【0003】
従来、この種の該蓄熱用カプセルとしては、メラミンあるいはウレアと、ホルムアルデヒドとの反応で得られたメラミン樹脂やウレア樹脂を壁膜として使用するものや(例えば、特許文献1参照)、ポリ(メタ)クリレートやポリスチレン誘導体等のラジカル重合によって得られた樹脂を使用するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、斯かる構成の蓄熱用カプセルを含んだ溶液を、紙やプラスチック等のシート体、或いは木材、セラミックス、コンクリート等の構造体に塗布し、これらシート体や構造体に蓄熱機能を付与する方法も知られている(例えば、特許文献1、3参照)。
【0004】
しかし、前記メラミン樹脂やポリウレア樹脂を壁膜とする蓄熱用カプセルは、人体に有害な未反応のホルムアルデヒドが壁膜に残存することから、この種の蓄熱用カプセルを含む溶液を塗布すると、ホルムアルデヒドが放出されるという問題がある。
また、ポリ(メタ)クリレートやスチレン樹脂を壁膜とする蓄熱用カプセルは、製造工程で、爆発の虞のある有機過酸化物、アゾ系化合物等の重合開始剤や引火点の低い原料モノマーを使用しているので、爆発や火災の危険があり、安全性の点で問題がある。
【0005】
一方、蓄熱カプセルとして、ポリイソシアネート(多価イソシアネート)と活性水素化合物とを反応させて得られたポリウレタン樹脂を壁膜とするものも提案されている(例えば特許文献4参照)。
しかしながら、斯かる蓄熱用カプセルは、芯物質としてパラフィンを用いた場合に於いて、カプセル化(芯物質を内包した状態での壁膜形成)が困難となりやすく、ひいては、製造が困難となりやすいという問題を有している。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−200247号公報(実施例1〜4、〔0017〕〔0018〕)
【特許文献2】
特開2001−279582号公報(〔0009〕)
【特許文献3】
特開2001−248987号公報(〔0022〕〜〔0024〕)
【特許文献4】
特開平7−133479号公報(〔0009〕、〔0010〕)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、上記問題に鑑み、配合される蓄熱用カプセルの製造が安全且つ簡便であり、しかも、ホルムアルデヒドを放出する虞もない蓄熱塗料を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題に鑑み、鋭意研究することにより、パラフィンを芯物質とする蓄熱用カプセルの壁膜たるポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂の出発化合物として、5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートを使用すると、カプセル化が容易に行われることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明の蓄熱塗料は、芯物質たるパラフィンがポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂の壁膜に内包された蓄熱用カプセルが含まれてなる蓄熱塗料であって、
前記ポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂が、5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートと活性水素化合物との反応重合物であることを特徴とする。
【0010】
本発明に於ける蓄熱塗料において、蓄熱用カプセルは、パラフィンにポリイソシアネートを溶解させ、該パラフィンを水に分散させ、油相(パラフィン)側に存在するポリイソシアネートと水相側に存在する活性水素化号物とを界面重合させること等により、容易に製造される。即ち、蓄熱用カプセルの芯材となるパラフィンが、溶剤希釈倍率5倍以上のポリイソシアネートを十分に溶解し、溶媒としての役目を果たし得ることから、前記ポリイソシアネートを溶解したパラフィンを水中に分散させ、該パラフィンの分散粒子の界面において前記ポリイソシアネートと活性水素化合物とを反応させること等により、容易にカプセル化を行うことができる。さらに、壁膜が、ラジカル重合を経て重合させるものではないポリウレタン樹脂またはポリウレア樹脂であることから、製造工程で、爆発や引火の危険性のあるアゾ化合物等のラジカル開始剤を使用する必要がなく、蓄熱用カプセルを安全に製造することができる。しかも、該壁膜形成の一成分としてポリイソシアネートを用いることから、重合に際して、活性水素化号物を使用でき、蓄熱塗料から人体に有害なホルムアルデヒドが放出される虞も無い。
【0011】
本発明の蓄熱塗料は、バインダーとしてポリウレタン樹脂を含んでなるものが好ましい。
ポリウレタン樹脂がバインダーである場合には、壁膜がポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂である蓄熱用カプセルが、該バインダーに対して良好な親和性を示すことから、斯かる構成の蓄熱塗料は、蓄熱用カプセルが塗料中に均一に分散されやすいものとなる。よって、該蓄熱塗料を用いた場合、塗布する際の攪拌操作が少なくて済み、蓄熱用カプセルの破壊による蓄熱効果の低減を防止することができ、しかも塗布した場合には色むらの生じにくいものとなる。
【0012】
本発明の蓄熱塗料に於いて、5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートとしては、イソホロン系ポリイソシアネート、水素添加ジフェニルメタン系ポリイソシアネート及びテトラメチルキシリレン系ポリイソシアネートの群から選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネートが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の蓄熱塗料は、芯物質たるパラフィンがポリウレタン樹脂又はポリウレタン樹脂の壁膜に内泡された蓄熱用カプセルが含まれてなるものである。
【0014】
前記蓄熱用カプセルに於いて、芯物質たるパラフィンとしては、炭素数10〜30の直鎖状又は分岐状のパラフィンが好ましい。具体例としては、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、トリアコンタン、ペンタトリアコンタン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのパラフィンは、使用目的に応じて所望される融点のものが選択され、好ましくは融点0℃〜75℃の範囲のものの中から選択される。
尚、本発明に於いて、芯物質としては、パラフィン以外の他の物質が含まれていても良い。
【0015】
本発明に於いて、ポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂は、5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートと、活性水素化合物との反応重合物である。
【0016】
ここで、溶剤希釈倍率とは、ポリイソシアネートが持つ物性値で、25℃でポリイソシアネートにヘキサンを添加していき、ポリイソシアネートとヘキサンとが初めて分離した時(通常、白濁する)のポリイソシアネートの重量(質量)に対するヘキサンの重量の倍率を意味する。
該溶剤希釈倍率が5倍未満のポリイソシアネートは、パラフィンに十分溶解できず、カプセル化が困難となる。尚、前記溶剤希釈倍率としては、10倍以上が好ましい。
【0017】
5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートとしては、イソホロン系ポリイソシアネート、水素添加ジフェニルメタン系ポリイソシアネート及びテトラメチルキシリレン系ポリイソシアネートの群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
前記イソホロン系ポリイソシアネート、水素添加ジフェニルメタン系ポリイソシアネート及びテトラメチルキシリレン系ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、これらのアロハネート変性体、ビュレト変性体、ウレア変性体、プレポリマー変性体、アダクト体、イソシアヌレート変性体等を挙げることができる。水素添加ジフェニルメタン系ポリイソシアネートとしては、部分的に水素添加されたものや完全に水素添加されたもの等を挙げることができる。
【0018】
前記活性水素化合物としては、ポリイソシアネートとの反応時や反応後にホルムアルデヒド及びメチロール化合物を発生させない公知のものを使用でき、例えば、水、ポリオール類、ポリアミン類、アミノアルコール類の1種又は2種以上を使用することができる。
【0019】
前記ポリオール類としては、公知のものを使用でき、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、水素添加ビスフェノールA、ジブロムビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジホドロキシエチルエチルテレフタレート、ハイドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール;これら多価アルコールのアルキレン誘導体;これら多価アルコールあるいはアルキレン誘導体と、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、若しくは多価カルボン酸エステルとのエステル化合物;ポリカーボネートポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリアセタールポリオール、ヒマシ油ポリオール、アクリルポリオール等の1種又は2種以上を使用することができる。
【0020】
前記ポリアミン類としては、公知のものを使用でき、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンポリアミン、ヘキサンジアミン、トリレンジアミン、イソホロンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等、従来より慣用されている全ての芳香族、脂肪族、脂環族系のアミン類等の1種又は2種以上を使用することができる。又、潜在的にアミンを遊離する化合物として、これらアミンをケチミンに変性したものも使用できる。
【0021】
前記アミノアルコール類としては、公知のものを使用でき、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチル−N−(3−アミノプロピル)−エタノールアミン等の1種又は2種以上を使用することができる。
【0022】
本発明に於いて、蓄熱用カプセルの壁膜は、界面重合法によって製造されるのが好ましい。製造方法の一例を挙げると次の通りである。
【0023】
先ず、芯物質であるパラフィンに5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートを溶解して油相混合液を調製する。
パラフィンと5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートとの比率は、重量比で、99:1〜10:90、好ましくは98:2〜50:50である。前記ポリイソシアネートの比率が大きいほど、蓄熱用カプセルの壁膜の厚さが厚くなり、強度の大きい蓄熱用カプセルが得られるが、パラフィンの含有率が少なくなり、蓄熱量が低下する傾向にある。
前記ポリイソシアネートとパラフィンとの油相混合液には、必要に応じて、公知の油性の活性水素化合物を添加してもよい。更に反応促進のため、公知のアミン系触媒、金属系触媒等を添加してもよい。
【0024】
また、得られる蓄熱用カプセルの過冷却防止、熱的性質改善のため、無機粉末、粘土鉱物質粉末、金属粉末、高融点有機化合物等を添加してもよい。又、着色のため、染料や顔料を添加してもよく、蓄熱用カプセルの壁膜の改質のため、難燃剤、分解防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を添加してもよい。
【0025】
次いで、油相混合液を、例えば、乳化剤の存在下で水中に分散、好ましくは乳化させる。
乳化時の油相混合液と水との重量比は、通常5:95〜70:30、好ましくは10:90〜60:40である。
油相混合液の比率が大きいほど、最終的に得られる蓄熱用カプセルのスラリー中に於ける芯物質の含有率が多くなり、蓄熱量が多いスラリーを得ることができ、ひいては、効率良く蓄熱用カプセルを得ることができるが、その一方で、粘度が高くなり、反応重合時のハンドリング性が悪くなる。
【0026】
前記乳化剤としては、公知のアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤および保護コロイド剤を挙げることができる。該乳化剤の水中における濃度は0.1重量%〜20重量%が好ましい。
【0027】
前記アニオン界面活性剤としては、脂肪酸塩型、硫酸塩型、スルホン酸型、リン酸エステル型等を挙げることができる。前記ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン型、多価アルコール型等を挙げることができる。前記カチオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩型、第四アンモニウム型、アルキルピリジニウム型等を挙げることができる。前記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、ベタイン型等を挙げることができる。前記保護コロイド剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩の縮合物、ビニル系高分子、ゼラチン、天然ガム類等を挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0028】
乳化の際、用いる乳化装置としては、タービン型、プロペラ型、アンカー型、リボン型等の攪拌槽、高圧乳化機、超音波乳化機、膜乳化装置、ホモジナイザー、ホモディスパー、ホモミキサー、ライン型乳化装置等の公知のものを挙げることができる。これらの装置としては、回分式のものでも連続式のものでもよい。機械式乳化装置を使用する場合、攪拌翼先端の周速度は0.5m/秒〜100m/秒が好ましい。
【0029】
乳化温度としては、パラフィンと、5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートとの油相混合液の融点以上の温度が好ましく、0℃〜90℃の範囲から選択されるのが好ましい。
乳化時間(連続乳化の場合は乳化装置内の工程液滞留時間)としては、1秒〜2時間が好ましい。
【0030】
次いで、ポリイソシアネートと水以外の活性水素化合物とを反応させる場合には、乳化後、水溶性の活性水素化合物(水を除く)を添加する。必要に応じて、界面重合反応を促進させる水溶性の触媒を添加しても良い。
尚、乳化前には、水と油相混合液との界面面積が非常に小さいため、実質上水とポリイソシアネートとの界面重合反応は抑制されているが、乳化後には、界面面積が増大して、水とポリイソシアネートとの重合反応が進行する虞があることから、活性水素化合物(水を除く)の添加は、乳化後速やかに行うのが好ましい。
但し、斯かる活性水素化合物の添加は、前記乳化工程中に行っても良い。
【0031】
ポリイソシアネートと水とを反応させる場合には、乳化液中に存在する水を用い、5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートと反応させてポリウレア樹脂とすれば良い。必要に応じて、水溶性の触媒を添加してもよい。
【0032】
5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートと、水以外の活性水素化合物とを反応させる場合、その割合は特に限定されないが、イソシアネート基:水を除く活性水素基が、1:0.01〜5.00(モル比)が好ましい。従って、活性水素化合物の添加量は、通常、この範囲となるように調整される。
【0033】
次いで、得られた乳化物を加熱、攪拌することにより、ポリイソシアネートと活性水素化合物とを界面重合反応させてカプセル化を行なう。
このとき、水以外の活性水素化合物(ポリアミン、ポリアルコール等)とポリイソシアネートとを反応させるべく、別途、水以外の活性水素化合物を添加している場合に於いては、水のポリイソシアネートとの反応性が相対的に低いため、優先的に水以外の活性水素化合物とポリイソシアネートとが界面重合反応することになる。
【0034】
反応温度(カプセル化温度)は、通常0℃〜95℃、好ましくは、30℃〜80℃である。又、反応時間は、通常、30分〜30時間であり、実用的には6時間以内が好ましい。即ち、6時間以内で反応が完結するよう、触媒量や反応温度等を設定するのが好ましい。反応系には、反応促進と消泡の目的で、公知のアルカリ性化合物、公知の消泡剤等を添加してもよい。
【0035】
以上のような方法により、蓄熱用カプセルをスラリー(懸濁液)に含まれた状態で得ることができる。
【0036】
得られた蓄熱用カプセルの粒径は、乳化剤の種類と濃度、乳化装置の種類と攪拌速度、乳化時間、乳化温度等により調整され、通常0.5μm〜1000μm(体積基準、メジアン径)とされる。
特に、本発明の蓄熱塗料として使用する場合には、該蓄熱用カプセルの破壊および塗膜からの脱離を防止すべく、該カプセルの粒径が塗膜厚さに比べて極端に大きくないことが望ましい。具体的には、該蓄熱用カプセルの粒径は、100μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
尚、この粒径は、スラリー中に於ける粒径であり、レーザー回析式粒度分布測定装置(SALD−2000、島津製作所製)を用いて測定されたものである。
【0037】
さらに、得られたスラリーを固化乾燥することによって、あるいはスプレードライヤーやドライヤー等を用いる乾燥処理することによって、粉体の状態で蓄熱用カプセルを得ることもできる。
【0038】
本発明の蓄熱塗料は、このような蓄熱用カプセルが、バインダー及び溶媒と混合されてなるものである。
ここで、該バインダーとしては、澱粉、デキストリン、ニカワ、ゼラチン、ローカストビーンガム、グアーガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、アラビアガム、トラガントガム、ペクチン、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ、寒天、カラギーナン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルエーテル、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、ネオプレン、ポリイソプレン、ブチルゴム、塩化ゴム、ポリイソブチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、ポリ塩化ビニル、ロジン、ポリウレタン樹脂等を使用することができる。
また、溶媒としては、水、有機溶剤を使用することができる。
【0039】
中でも、本発明の蓄熱塗料は、バインダーとしてポリウレタン樹脂を使用したものが好ましく、さらに、該ポリウレタン樹脂が溶媒である水に分散されてなるものがより好ましい。
【0040】
バインダーとしてポリウレタン樹脂を使用し、これに壁膜がポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂を壁膜とする蓄熱用カプセルを添加すると、該壁膜はバインダーに対して良好な親和性を示し、蓄熱用カプセルが塗料中に均一に分散されることとなる。
従って、水系バインダーを用いてなる蓄熱塗料は、塗布する際の攪拌操作が少なくて済み、蓄熱用カプセルの不用意な破壊が回避されて蓄熱効果が低減しにくいものとなる。しかも、塗料中に蓄熱用カプセルが均一に分散しているため、該蓄熱塗料が塗布されてなる塗膜は、色むらの少ないものとなる。
【0041】
また、本発明の蓄熱塗料は、他の成分として、顔料、可塑剤、分散剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、凍結防止剤、防腐剤等を必要に応じて添加しても良い。
【0042】
本発明の蓄熱塗料の塗布対象としては、壁材、床材、屋根材等の建築材料、被服、帽子等の衣料品、食品包装材料、家電製品、自動車の外装および内装、家具、文具等を挙げることができる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
蓄熱用カプセルの製造例1
パラフィンとしてのヘキサデカン(融点18.2℃)45重量部と、ポリイソシアネートとしてのイソホロンジイソシアネート(溶剤希釈倍率:100倍以上)5重量部と、触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.005重量部とを室温で混合して油相混合液を調製した。
この油相混合液を、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの5重量%水溶液47.6重量部に投入し、乳化機で10分間乳化した。
得られた乳化物に、活性水素化合物として、エチレンジアミンの20重量%水溶液を3.4重量部添加し、80℃で3時間攪拌してカプセル化を行ない、蓄熱用カプセルのスラリーを得た。
【0045】
蓄熱用カプセルの製造例2
パラフィンとして、ヘキサデカン(融点18.2℃)35重量部、ポリイソシアネートとして、混合イソシアネート(アロハネート変性ヘキサメチレンジイソシアネートを30重量%、イソホロンジイソシアネートを70重量%含む。溶剤希釈倍率:5倍)を10重量部用いた以外は、製造例1と同様にして、油相混合液を調製した。
この油相混合液を、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの5重量%水溶液52重量部に投入する以外は、製造例1と同様に乳化した。
得られた乳化物に、エチレンジアミンの20重量%水溶液を7重量部添加した以外は、製造例1と同様にして蓄熱用カプセルのスラリーを得た。
【0046】
蓄熱用カプセルの比較製造例1
パラフィンとしてテトラデカン(融点5.9℃)40重量部を、pH4.5に調整したポリスチレンスルホン酸ナトリウムの5重量%水溶液50重量部に投入し、乳化装置で10分間乳化した。次いで、トリメチロールメラミンプレポリマー10重量部を添加し、70℃で3時間攪拌することによりカプセル化(反応)を行い、pH9.0に調整して反応を終了させ、蓄熱用カプセルのスラリーを得た。
【0047】
蓄熱用カプセルの比較製造例2
ポリイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート(溶剤希釈倍率:2倍)を使用した以外は、製造例1と同様にして、スラリーを得た。
【0048】
試験例
製造例1、2、比較製造例1、2で得られた各スラリーを用い、スラリー中の遊離ホルムアルデヒド濃度を、JIS K 6801に従って塩化アンモニウム法で測定した。
【0049】
また、各スラリーを、走査型電子顕微鏡を使用して観察し、カプセルが形成されているか否かを確認した。更に、該スラリーを7日間放置し、透明なパラフィン層が分離するか否か観察した。
【0050】
更に、レーザー回析式粒度分布測定装置(SALD−2000、島津製作所製)を用いて、スラリー中に含まれるカプセルの粒子径(体積基準、メジアン径)を測定した。
【0051】
その結果、製造例1、2のスラリーは、遊離ホルムアルデヒドを含有していなかった。走査型電子顕微鏡を用いた観察では、カプセルの存在が確認され、7日間放置後の状態に於いても、透明なパラフィン層の分離は確認されなかった。更に、カプセルのメジアン径は製造例1のものが6.2μm、製造例2のものが5.4μmであった。
比較製造例1のスラリーは、遊離ホルムアルデヒドを0.6重量%含有していた。走査型電子顕微鏡を用いた観察では、カプセルの存在が確認され、7日間放置後の状態に於いても、透明なパラフィン層の分離は確認されなかった。更に、カプセルのメジアン径は5.8μmであった。
比較製造例2のスラリーは、遊離ホルムアルデヒドを含有していないものの、カプセルの存在が確認されず、また、7日間放置後の状態に於いて、透明なパラフィン層の分離が確認された。
【0052】
実施例1
ルチル型酸化チタン10重量部、水20重量部、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩3重量部をサンドグラインダーで分散させ、顔料分散液を得た。該顔料分散液33重量部、製造例1の蓄熱用カプセルのスラリー50重量部、水系バインダーとしてポリウレタン樹脂エマルション(第一工業製薬、スーパーフレックス300)30重量部、キサンタンガム0.1重量部、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン0.2重量部を混合して白色の蓄熱塗料を得た。
【0053】
実施例2
製造例2の蓄熱用カプセルを用いる以外は実施例1と同様にして白色の蓄熱塗料を得た。
【0054】
比較例1
比較製造例1の蓄熱用カプセルを用いる以外は実施例1と同様にして白色の蓄熱塗料を得た。
【0055】
塗膜の試験
それぞれの蓄熱塗料をブリキ製の箱(10cm×20cm×5cm)の外面にハケで塗布し、室温で1日乾燥し、蓄熱機能を備えた白色の容器を作製した。
該容器の一部を切り取り、示差熱分析を行ったところ、18℃前後に蓄熱と蓄冷のピークが観察された。
【0056】
更に、各容器に濾紙を重ね、濾紙の上から0.2kg/cm2の圧力を1分間かけ、濾紙に付着する染みの有無を観察することによって蓄熱用カプセルの破壊を調査した。
その結果、実施例1および2の蓄熱塗料を用いた場合には濾紙にパラフィンの染みが付いておらず、蓄熱用カプセルが破壊されなかったものと推測される。また、顕微鏡観察により塗膜表面を観察したところ、蓄熱用カプセルの破壊は確認されなかった。一方、比較例1の蓄熱塗料を用いた場合には濾紙にパラフィンの染みが付着しており、蓄熱用カプセルが破壊されたものと推測される。また、顕微鏡観察により塗膜表面を観察したところ、蓄熱用カプセルが破壊されていることが確認された。
【0057】
斯かる結果から明らかなように、ウレタン樹脂の壁膜を採用した蓄熱用カプセル用いることにより、衝撃等に対して該蓄熱用カプセルの破壊しにくい蓄熱塗料とすることができる。
また、該蓄熱用カプセルにはホルムアルデヒドが含有されていないことから、本発明の蓄熱塗料はホルムアルデヒドの放出する虞もないことが十分に推測される。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本発明の蓄熱塗料は、含有される蓄熱用カプセルの製造が安全且つ簡便であり、しかもホルムアルデヒドを放出する虞もないという効果を奏する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄熱用カプセルが含有されてなる蓄熱塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
物質や空間を冷却したり加温したりする時に使用される蓄熱材として、物質の相変化に伴う潜熱を利用して蓄熱を行う蓄熱材が広く利用されている。なかでも、相変化を起こし蓄熱を行う芯物質が、壁膜に内包されてなる蓄熱用カプセルは、芯物質の相変化に伴う蓄熱や放熱が芯物質の周囲を取り囲む壁膜の内側で行われるため、芯物質がどのような状態であっても粒子として取扱うことができるので取扱いが容易であるという利点を有している。
【0003】
従来、この種の該蓄熱用カプセルとしては、メラミンあるいはウレアと、ホルムアルデヒドとの反応で得られたメラミン樹脂やウレア樹脂を壁膜として使用するものや(例えば、特許文献1参照)、ポリ(メタ)クリレートやポリスチレン誘導体等のラジカル重合によって得られた樹脂を使用するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、斯かる構成の蓄熱用カプセルを含んだ溶液を、紙やプラスチック等のシート体、或いは木材、セラミックス、コンクリート等の構造体に塗布し、これらシート体や構造体に蓄熱機能を付与する方法も知られている(例えば、特許文献1、3参照)。
【0004】
しかし、前記メラミン樹脂やポリウレア樹脂を壁膜とする蓄熱用カプセルは、人体に有害な未反応のホルムアルデヒドが壁膜に残存することから、この種の蓄熱用カプセルを含む溶液を塗布すると、ホルムアルデヒドが放出されるという問題がある。
また、ポリ(メタ)クリレートやスチレン樹脂を壁膜とする蓄熱用カプセルは、製造工程で、爆発の虞のある有機過酸化物、アゾ系化合物等の重合開始剤や引火点の低い原料モノマーを使用しているので、爆発や火災の危険があり、安全性の点で問題がある。
【0005】
一方、蓄熱カプセルとして、ポリイソシアネート(多価イソシアネート)と活性水素化合物とを反応させて得られたポリウレタン樹脂を壁膜とするものも提案されている(例えば特許文献4参照)。
しかしながら、斯かる蓄熱用カプセルは、芯物質としてパラフィンを用いた場合に於いて、カプセル化(芯物質を内包した状態での壁膜形成)が困難となりやすく、ひいては、製造が困難となりやすいという問題を有している。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−200247号公報(実施例1〜4、〔0017〕〔0018〕)
【特許文献2】
特開2001−279582号公報(〔0009〕)
【特許文献3】
特開2001−248987号公報(〔0022〕〜〔0024〕)
【特許文献4】
特開平7−133479号公報(〔0009〕、〔0010〕)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、上記問題に鑑み、配合される蓄熱用カプセルの製造が安全且つ簡便であり、しかも、ホルムアルデヒドを放出する虞もない蓄熱塗料を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題に鑑み、鋭意研究することにより、パラフィンを芯物質とする蓄熱用カプセルの壁膜たるポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂の出発化合物として、5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートを使用すると、カプセル化が容易に行われることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明の蓄熱塗料は、芯物質たるパラフィンがポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂の壁膜に内包された蓄熱用カプセルが含まれてなる蓄熱塗料であって、
前記ポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂が、5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートと活性水素化合物との反応重合物であることを特徴とする。
【0010】
本発明に於ける蓄熱塗料において、蓄熱用カプセルは、パラフィンにポリイソシアネートを溶解させ、該パラフィンを水に分散させ、油相(パラフィン)側に存在するポリイソシアネートと水相側に存在する活性水素化号物とを界面重合させること等により、容易に製造される。即ち、蓄熱用カプセルの芯材となるパラフィンが、溶剤希釈倍率5倍以上のポリイソシアネートを十分に溶解し、溶媒としての役目を果たし得ることから、前記ポリイソシアネートを溶解したパラフィンを水中に分散させ、該パラフィンの分散粒子の界面において前記ポリイソシアネートと活性水素化合物とを反応させること等により、容易にカプセル化を行うことができる。さらに、壁膜が、ラジカル重合を経て重合させるものではないポリウレタン樹脂またはポリウレア樹脂であることから、製造工程で、爆発や引火の危険性のあるアゾ化合物等のラジカル開始剤を使用する必要がなく、蓄熱用カプセルを安全に製造することができる。しかも、該壁膜形成の一成分としてポリイソシアネートを用いることから、重合に際して、活性水素化号物を使用でき、蓄熱塗料から人体に有害なホルムアルデヒドが放出される虞も無い。
【0011】
本発明の蓄熱塗料は、バインダーとしてポリウレタン樹脂を含んでなるものが好ましい。
ポリウレタン樹脂がバインダーである場合には、壁膜がポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂である蓄熱用カプセルが、該バインダーに対して良好な親和性を示すことから、斯かる構成の蓄熱塗料は、蓄熱用カプセルが塗料中に均一に分散されやすいものとなる。よって、該蓄熱塗料を用いた場合、塗布する際の攪拌操作が少なくて済み、蓄熱用カプセルの破壊による蓄熱効果の低減を防止することができ、しかも塗布した場合には色むらの生じにくいものとなる。
【0012】
本発明の蓄熱塗料に於いて、5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートとしては、イソホロン系ポリイソシアネート、水素添加ジフェニルメタン系ポリイソシアネート及びテトラメチルキシリレン系ポリイソシアネートの群から選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネートが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の蓄熱塗料は、芯物質たるパラフィンがポリウレタン樹脂又はポリウレタン樹脂の壁膜に内泡された蓄熱用カプセルが含まれてなるものである。
【0014】
前記蓄熱用カプセルに於いて、芯物質たるパラフィンとしては、炭素数10〜30の直鎖状又は分岐状のパラフィンが好ましい。具体例としては、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、トリアコンタン、ペンタトリアコンタン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのパラフィンは、使用目的に応じて所望される融点のものが選択され、好ましくは融点0℃〜75℃の範囲のものの中から選択される。
尚、本発明に於いて、芯物質としては、パラフィン以外の他の物質が含まれていても良い。
【0015】
本発明に於いて、ポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂は、5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートと、活性水素化合物との反応重合物である。
【0016】
ここで、溶剤希釈倍率とは、ポリイソシアネートが持つ物性値で、25℃でポリイソシアネートにヘキサンを添加していき、ポリイソシアネートとヘキサンとが初めて分離した時(通常、白濁する)のポリイソシアネートの重量(質量)に対するヘキサンの重量の倍率を意味する。
該溶剤希釈倍率が5倍未満のポリイソシアネートは、パラフィンに十分溶解できず、カプセル化が困難となる。尚、前記溶剤希釈倍率としては、10倍以上が好ましい。
【0017】
5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートとしては、イソホロン系ポリイソシアネート、水素添加ジフェニルメタン系ポリイソシアネート及びテトラメチルキシリレン系ポリイソシアネートの群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
前記イソホロン系ポリイソシアネート、水素添加ジフェニルメタン系ポリイソシアネート及びテトラメチルキシリレン系ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、これらのアロハネート変性体、ビュレト変性体、ウレア変性体、プレポリマー変性体、アダクト体、イソシアヌレート変性体等を挙げることができる。水素添加ジフェニルメタン系ポリイソシアネートとしては、部分的に水素添加されたものや完全に水素添加されたもの等を挙げることができる。
【0018】
前記活性水素化合物としては、ポリイソシアネートとの反応時や反応後にホルムアルデヒド及びメチロール化合物を発生させない公知のものを使用でき、例えば、水、ポリオール類、ポリアミン類、アミノアルコール類の1種又は2種以上を使用することができる。
【0019】
前記ポリオール類としては、公知のものを使用でき、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、水素添加ビスフェノールA、ジブロムビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジホドロキシエチルエチルテレフタレート、ハイドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール;これら多価アルコールのアルキレン誘導体;これら多価アルコールあるいはアルキレン誘導体と、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、若しくは多価カルボン酸エステルとのエステル化合物;ポリカーボネートポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリアセタールポリオール、ヒマシ油ポリオール、アクリルポリオール等の1種又は2種以上を使用することができる。
【0020】
前記ポリアミン類としては、公知のものを使用でき、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンポリアミン、ヘキサンジアミン、トリレンジアミン、イソホロンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等、従来より慣用されている全ての芳香族、脂肪族、脂環族系のアミン類等の1種又は2種以上を使用することができる。又、潜在的にアミンを遊離する化合物として、これらアミンをケチミンに変性したものも使用できる。
【0021】
前記アミノアルコール類としては、公知のものを使用でき、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチル−N−(3−アミノプロピル)−エタノールアミン等の1種又は2種以上を使用することができる。
【0022】
本発明に於いて、蓄熱用カプセルの壁膜は、界面重合法によって製造されるのが好ましい。製造方法の一例を挙げると次の通りである。
【0023】
先ず、芯物質であるパラフィンに5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートを溶解して油相混合液を調製する。
パラフィンと5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートとの比率は、重量比で、99:1〜10:90、好ましくは98:2〜50:50である。前記ポリイソシアネートの比率が大きいほど、蓄熱用カプセルの壁膜の厚さが厚くなり、強度の大きい蓄熱用カプセルが得られるが、パラフィンの含有率が少なくなり、蓄熱量が低下する傾向にある。
前記ポリイソシアネートとパラフィンとの油相混合液には、必要に応じて、公知の油性の活性水素化合物を添加してもよい。更に反応促進のため、公知のアミン系触媒、金属系触媒等を添加してもよい。
【0024】
また、得られる蓄熱用カプセルの過冷却防止、熱的性質改善のため、無機粉末、粘土鉱物質粉末、金属粉末、高融点有機化合物等を添加してもよい。又、着色のため、染料や顔料を添加してもよく、蓄熱用カプセルの壁膜の改質のため、難燃剤、分解防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を添加してもよい。
【0025】
次いで、油相混合液を、例えば、乳化剤の存在下で水中に分散、好ましくは乳化させる。
乳化時の油相混合液と水との重量比は、通常5:95〜70:30、好ましくは10:90〜60:40である。
油相混合液の比率が大きいほど、最終的に得られる蓄熱用カプセルのスラリー中に於ける芯物質の含有率が多くなり、蓄熱量が多いスラリーを得ることができ、ひいては、効率良く蓄熱用カプセルを得ることができるが、その一方で、粘度が高くなり、反応重合時のハンドリング性が悪くなる。
【0026】
前記乳化剤としては、公知のアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤および保護コロイド剤を挙げることができる。該乳化剤の水中における濃度は0.1重量%〜20重量%が好ましい。
【0027】
前記アニオン界面活性剤としては、脂肪酸塩型、硫酸塩型、スルホン酸型、リン酸エステル型等を挙げることができる。前記ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン型、多価アルコール型等を挙げることができる。前記カチオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩型、第四アンモニウム型、アルキルピリジニウム型等を挙げることができる。前記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、ベタイン型等を挙げることができる。前記保護コロイド剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩の縮合物、ビニル系高分子、ゼラチン、天然ガム類等を挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0028】
乳化の際、用いる乳化装置としては、タービン型、プロペラ型、アンカー型、リボン型等の攪拌槽、高圧乳化機、超音波乳化機、膜乳化装置、ホモジナイザー、ホモディスパー、ホモミキサー、ライン型乳化装置等の公知のものを挙げることができる。これらの装置としては、回分式のものでも連続式のものでもよい。機械式乳化装置を使用する場合、攪拌翼先端の周速度は0.5m/秒〜100m/秒が好ましい。
【0029】
乳化温度としては、パラフィンと、5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートとの油相混合液の融点以上の温度が好ましく、0℃〜90℃の範囲から選択されるのが好ましい。
乳化時間(連続乳化の場合は乳化装置内の工程液滞留時間)としては、1秒〜2時間が好ましい。
【0030】
次いで、ポリイソシアネートと水以外の活性水素化合物とを反応させる場合には、乳化後、水溶性の活性水素化合物(水を除く)を添加する。必要に応じて、界面重合反応を促進させる水溶性の触媒を添加しても良い。
尚、乳化前には、水と油相混合液との界面面積が非常に小さいため、実質上水とポリイソシアネートとの界面重合反応は抑制されているが、乳化後には、界面面積が増大して、水とポリイソシアネートとの重合反応が進行する虞があることから、活性水素化合物(水を除く)の添加は、乳化後速やかに行うのが好ましい。
但し、斯かる活性水素化合物の添加は、前記乳化工程中に行っても良い。
【0031】
ポリイソシアネートと水とを反応させる場合には、乳化液中に存在する水を用い、5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートと反応させてポリウレア樹脂とすれば良い。必要に応じて、水溶性の触媒を添加してもよい。
【0032】
5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートと、水以外の活性水素化合物とを反応させる場合、その割合は特に限定されないが、イソシアネート基:水を除く活性水素基が、1:0.01〜5.00(モル比)が好ましい。従って、活性水素化合物の添加量は、通常、この範囲となるように調整される。
【0033】
次いで、得られた乳化物を加熱、攪拌することにより、ポリイソシアネートと活性水素化合物とを界面重合反応させてカプセル化を行なう。
このとき、水以外の活性水素化合物(ポリアミン、ポリアルコール等)とポリイソシアネートとを反応させるべく、別途、水以外の活性水素化合物を添加している場合に於いては、水のポリイソシアネートとの反応性が相対的に低いため、優先的に水以外の活性水素化合物とポリイソシアネートとが界面重合反応することになる。
【0034】
反応温度(カプセル化温度)は、通常0℃〜95℃、好ましくは、30℃〜80℃である。又、反応時間は、通常、30分〜30時間であり、実用的には6時間以内が好ましい。即ち、6時間以内で反応が完結するよう、触媒量や反応温度等を設定するのが好ましい。反応系には、反応促進と消泡の目的で、公知のアルカリ性化合物、公知の消泡剤等を添加してもよい。
【0035】
以上のような方法により、蓄熱用カプセルをスラリー(懸濁液)に含まれた状態で得ることができる。
【0036】
得られた蓄熱用カプセルの粒径は、乳化剤の種類と濃度、乳化装置の種類と攪拌速度、乳化時間、乳化温度等により調整され、通常0.5μm〜1000μm(体積基準、メジアン径)とされる。
特に、本発明の蓄熱塗料として使用する場合には、該蓄熱用カプセルの破壊および塗膜からの脱離を防止すべく、該カプセルの粒径が塗膜厚さに比べて極端に大きくないことが望ましい。具体的には、該蓄熱用カプセルの粒径は、100μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
尚、この粒径は、スラリー中に於ける粒径であり、レーザー回析式粒度分布測定装置(SALD−2000、島津製作所製)を用いて測定されたものである。
【0037】
さらに、得られたスラリーを固化乾燥することによって、あるいはスプレードライヤーやドライヤー等を用いる乾燥処理することによって、粉体の状態で蓄熱用カプセルを得ることもできる。
【0038】
本発明の蓄熱塗料は、このような蓄熱用カプセルが、バインダー及び溶媒と混合されてなるものである。
ここで、該バインダーとしては、澱粉、デキストリン、ニカワ、ゼラチン、ローカストビーンガム、グアーガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、アラビアガム、トラガントガム、ペクチン、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ、寒天、カラギーナン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルエーテル、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、ネオプレン、ポリイソプレン、ブチルゴム、塩化ゴム、ポリイソブチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、ポリ塩化ビニル、ロジン、ポリウレタン樹脂等を使用することができる。
また、溶媒としては、水、有機溶剤を使用することができる。
【0039】
中でも、本発明の蓄熱塗料は、バインダーとしてポリウレタン樹脂を使用したものが好ましく、さらに、該ポリウレタン樹脂が溶媒である水に分散されてなるものがより好ましい。
【0040】
バインダーとしてポリウレタン樹脂を使用し、これに壁膜がポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂を壁膜とする蓄熱用カプセルを添加すると、該壁膜はバインダーに対して良好な親和性を示し、蓄熱用カプセルが塗料中に均一に分散されることとなる。
従って、水系バインダーを用いてなる蓄熱塗料は、塗布する際の攪拌操作が少なくて済み、蓄熱用カプセルの不用意な破壊が回避されて蓄熱効果が低減しにくいものとなる。しかも、塗料中に蓄熱用カプセルが均一に分散しているため、該蓄熱塗料が塗布されてなる塗膜は、色むらの少ないものとなる。
【0041】
また、本発明の蓄熱塗料は、他の成分として、顔料、可塑剤、分散剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、凍結防止剤、防腐剤等を必要に応じて添加しても良い。
【0042】
本発明の蓄熱塗料の塗布対象としては、壁材、床材、屋根材等の建築材料、被服、帽子等の衣料品、食品包装材料、家電製品、自動車の外装および内装、家具、文具等を挙げることができる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
蓄熱用カプセルの製造例1
パラフィンとしてのヘキサデカン(融点18.2℃)45重量部と、ポリイソシアネートとしてのイソホロンジイソシアネート(溶剤希釈倍率:100倍以上)5重量部と、触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.005重量部とを室温で混合して油相混合液を調製した。
この油相混合液を、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの5重量%水溶液47.6重量部に投入し、乳化機で10分間乳化した。
得られた乳化物に、活性水素化合物として、エチレンジアミンの20重量%水溶液を3.4重量部添加し、80℃で3時間攪拌してカプセル化を行ない、蓄熱用カプセルのスラリーを得た。
【0045】
蓄熱用カプセルの製造例2
パラフィンとして、ヘキサデカン(融点18.2℃)35重量部、ポリイソシアネートとして、混合イソシアネート(アロハネート変性ヘキサメチレンジイソシアネートを30重量%、イソホロンジイソシアネートを70重量%含む。溶剤希釈倍率:5倍)を10重量部用いた以外は、製造例1と同様にして、油相混合液を調製した。
この油相混合液を、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの5重量%水溶液52重量部に投入する以外は、製造例1と同様に乳化した。
得られた乳化物に、エチレンジアミンの20重量%水溶液を7重量部添加した以外は、製造例1と同様にして蓄熱用カプセルのスラリーを得た。
【0046】
蓄熱用カプセルの比較製造例1
パラフィンとしてテトラデカン(融点5.9℃)40重量部を、pH4.5に調整したポリスチレンスルホン酸ナトリウムの5重量%水溶液50重量部に投入し、乳化装置で10分間乳化した。次いで、トリメチロールメラミンプレポリマー10重量部を添加し、70℃で3時間攪拌することによりカプセル化(反応)を行い、pH9.0に調整して反応を終了させ、蓄熱用カプセルのスラリーを得た。
【0047】
蓄熱用カプセルの比較製造例2
ポリイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート(溶剤希釈倍率:2倍)を使用した以外は、製造例1と同様にして、スラリーを得た。
【0048】
試験例
製造例1、2、比較製造例1、2で得られた各スラリーを用い、スラリー中の遊離ホルムアルデヒド濃度を、JIS K 6801に従って塩化アンモニウム法で測定した。
【0049】
また、各スラリーを、走査型電子顕微鏡を使用して観察し、カプセルが形成されているか否かを確認した。更に、該スラリーを7日間放置し、透明なパラフィン層が分離するか否か観察した。
【0050】
更に、レーザー回析式粒度分布測定装置(SALD−2000、島津製作所製)を用いて、スラリー中に含まれるカプセルの粒子径(体積基準、メジアン径)を測定した。
【0051】
その結果、製造例1、2のスラリーは、遊離ホルムアルデヒドを含有していなかった。走査型電子顕微鏡を用いた観察では、カプセルの存在が確認され、7日間放置後の状態に於いても、透明なパラフィン層の分離は確認されなかった。更に、カプセルのメジアン径は製造例1のものが6.2μm、製造例2のものが5.4μmであった。
比較製造例1のスラリーは、遊離ホルムアルデヒドを0.6重量%含有していた。走査型電子顕微鏡を用いた観察では、カプセルの存在が確認され、7日間放置後の状態に於いても、透明なパラフィン層の分離は確認されなかった。更に、カプセルのメジアン径は5.8μmであった。
比較製造例2のスラリーは、遊離ホルムアルデヒドを含有していないものの、カプセルの存在が確認されず、また、7日間放置後の状態に於いて、透明なパラフィン層の分離が確認された。
【0052】
実施例1
ルチル型酸化チタン10重量部、水20重量部、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩3重量部をサンドグラインダーで分散させ、顔料分散液を得た。該顔料分散液33重量部、製造例1の蓄熱用カプセルのスラリー50重量部、水系バインダーとしてポリウレタン樹脂エマルション(第一工業製薬、スーパーフレックス300)30重量部、キサンタンガム0.1重量部、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン0.2重量部を混合して白色の蓄熱塗料を得た。
【0053】
実施例2
製造例2の蓄熱用カプセルを用いる以外は実施例1と同様にして白色の蓄熱塗料を得た。
【0054】
比較例1
比較製造例1の蓄熱用カプセルを用いる以外は実施例1と同様にして白色の蓄熱塗料を得た。
【0055】
塗膜の試験
それぞれの蓄熱塗料をブリキ製の箱(10cm×20cm×5cm)の外面にハケで塗布し、室温で1日乾燥し、蓄熱機能を備えた白色の容器を作製した。
該容器の一部を切り取り、示差熱分析を行ったところ、18℃前後に蓄熱と蓄冷のピークが観察された。
【0056】
更に、各容器に濾紙を重ね、濾紙の上から0.2kg/cm2の圧力を1分間かけ、濾紙に付着する染みの有無を観察することによって蓄熱用カプセルの破壊を調査した。
その結果、実施例1および2の蓄熱塗料を用いた場合には濾紙にパラフィンの染みが付いておらず、蓄熱用カプセルが破壊されなかったものと推測される。また、顕微鏡観察により塗膜表面を観察したところ、蓄熱用カプセルの破壊は確認されなかった。一方、比較例1の蓄熱塗料を用いた場合には濾紙にパラフィンの染みが付着しており、蓄熱用カプセルが破壊されたものと推測される。また、顕微鏡観察により塗膜表面を観察したところ、蓄熱用カプセルが破壊されていることが確認された。
【0057】
斯かる結果から明らかなように、ウレタン樹脂の壁膜を採用した蓄熱用カプセル用いることにより、衝撃等に対して該蓄熱用カプセルの破壊しにくい蓄熱塗料とすることができる。
また、該蓄熱用カプセルにはホルムアルデヒドが含有されていないことから、本発明の蓄熱塗料はホルムアルデヒドの放出する虞もないことが十分に推測される。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本発明の蓄熱塗料は、含有される蓄熱用カプセルの製造が安全且つ簡便であり、しかもホルムアルデヒドを放出する虞もないという効果を奏する。
Claims (3)
- 芯物質たるパラフィンがポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂の壁膜に内包された蓄熱用カプセルが含まれてなる蓄熱塗料であって、
前記ポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂が、5倍以上の溶剤希釈倍率を有するポリイソシアネートと活性水素化合物との反応重合物であることを特徴とする蓄熱塗料。 - 前記蓄熱塗料が、バインダーとしてポリウレタン樹脂を含んでなることを特徴とする請求項1記載の蓄熱塗料。
- 前記ポリイソシアネートが、イソホロン系ポリイソシアネート、水素添加ジフェニルメタン系ポリイソシアネート及びテトラメチルキシリレン系ポリイソシアネートの群から選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネートである請求項1又は2記載の蓄熱塗料。
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