JP2004277638A - ポリエステル廃棄物より高純度テレフタル酸を回収する方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエステル廃棄物中に含まれるPETを解重合してテレフタル酸を回収するにあたり、特定の工程において、不純物除去設備を設ける。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記することがある。)を主成分として含有し、それとは異なる成分を含有する樹脂ボトル廃棄物を粉砕、洗浄、異物除去などの前処理を施した後に、化学的な反応処理を加え、有効成分としての高純度テレフタル酸ジメチル(以下、DMTと略機することがある。)を回収し、化学反応によって高純度テレフタル酸(以下、TAと略記することがある。)を得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアルキレンテレフタレート、とりわけPETは、その化学的安定性が優れていることから、繊維、フィルム、樹脂などの生活関連資材、飲料用ボトルなどの食品分野等に大量に生産、使用されている。
【0003】
しかしながら、生産量、使用量の増大に伴って大量に発生する廃棄物の処理は現在大きな社会問題となっており、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルなどのリサイクル方法に関し各種の提案がなされている。
【0004】
特にその廃棄物の中でも、その嵩高さからPETボトルの処理は一層深刻になりつつあるにも関わらず、そのリサイクル方法としては、回収された使用済みPETボトルを再び溶融して繊維化、又は樹脂成形品とする程度のマテリアルリサイクルしか実施されておらず、単に溶融成型する場合は、その物性の低下により再びPETボトルとして使用することは不可能である。また、PETボトルを洗浄し再び再使用するリフィール方法においては、傷などの外観の悪化、安全性、衛生性の観点などから、再使用回数に限度があること、最終的には廃棄されることになるなど、恒久的な対策とはなり得ない。
【0005】
また、PETボトル廃棄物には、ラベル、キャップといった、PETボトル製品の構成品に由来する、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)を代表とし、それ以外にもポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィンなどの異種プラスチック類、缶製品に由来する、アルミ、鉄等の金属類、その他接着剤、顔料、染料などが混入する場合がある。さらにボトル内容物に由来するものを始めとし、多種多様な物質が混入しており、その分離、除去方法、並びに回収した製品の純度を高く維持することがリサイクルをするにあたっての最大の課題となっている。
【0006】
そのような背景からポリエステル廃棄物のリサイクル方法として多種多様な方法が提案されているが、その中でも化学分解することにより有効成分を回収する方法、いわゆるケミカルリサイクル法については、近年多くの手法、例えば、アルカリ化合物の存在下にポリエステル廃棄物を加水分解してテレフタル酸を得る方法(例えば、特許文献1参照。)や、メタノール中での気相メタノール分解によりテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールを得る方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
【0007】
いずれのケミカルリサイクル法においても、プロセス内で使用する薬液(エチレングリコール、メタノール、水など)については、製造コストの低減、環境負荷の低減などの目的より、その使用量を極力低減する事が求められており、その対策として蒸留などの操作により不純物を除去し、再使用する方法が一般的に採用されている。
【0008】
しかしながら、長期間運転を継続すると、蒸留では除去できない不純物が系内に蓄積、濃縮され、結果として製品中への該不純物の含有量が増加してしまう。
【0009】
特に一部の物質については、極僅かの量が製品中に混入しただけで、製品に悪影響を及ぼすため、品質規格値が非常に低い物質も存在する。一例として、2,4,6−トリクロロアニソール(TCA)を始めとする塩素化アニソールが挙げられる。塩素化アニソールに起因するカビ臭は、1966年に実例の報告がされて以来、食品、包装材などにおいてしばしば検出例が報告されている。TCAはその類縁物質の中でも極めて官能閾値が低く、水中ではppt〜ppqレベルであるとする報告もある。
【0010】
TCAはその前駆体であるトリクロロフェノール(TCP)を始めとする塩素化フェノールのカビによる代謝によりメチルエステル化されることでTCAが生成されることが知られている。TCPは主に木材用の防カビ剤として使用されてきた歴史があり、このため、木材パレットやダンボールを発生源として、加工食品・飲料中へTCAが移行するといった事例が多々報告されている。上記の理由により、該物質については回収品中への混入量を厳しく制限する必要がある。ポリエステル廃棄物の中にはダンボール、木片等が混入している事があり、TCAが系内に混入する可能性は非常に高い。
【0011】
実際には、通常のポリエステル廃棄物中へのダンボール、木片等の混入割合は低く、ケミカルリサイクルにより回収品中への混入量は検知できないレベルであり、問題は発生していない。しかしながら、将来に亘って該物質の混入量が現状を維持できる保証は無いため、万が一大量に混入した場合でも回収品の品質に影響を及ぼさないための対策を予め講じておく必要がある。
【0012】
【特許文献1】
特開平11−21374号公報
【0013】
【特許文献2】
米国特許第5952520号明細書
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは先に、特願2001−317562号としてポリエステル廃棄物からテレフタル酸を製造する方法を提案した。該特許ではポリエステル廃棄物をアルキレングリコールにより解重合し、次いでメタノールでエステル交換することで粗DMTを得て、引き続いた蒸留により高純度DMTを製造し、さらに加水分解することで高純度テレフタル酸を回収する方法を提案した。
【0015】
この方法であっても、通常のポリエステル廃棄物中のTCA含有量は極僅かであり、回収品であるテレフタル酸中にはTCAは検出されず問題とならないが、万が一、ポリエステル廃棄物中に大量にTCAが混入した場合、この方法ではテレフタル酸中にpptオーダーで該TCAが混入する可能性がある。
【0016】
本発明の目的は、上記の問題点を解消し、TCAを代表とする微量含有することにより品質に悪影響を及ぼす物質を確実に除去し、テレフタル酸中へ残留させない方法を提案するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記従来技術に鑑み鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0018】
すなわち、本発明の目的は、
ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分として含有し、さらにそれとは異なる成分を含有するポリエステル廃棄物を、下記の工程(1)〜(11)を逐次的に通過させることによりテレフタル酸を回収する方法であって、工程(5)および/または工程(11)中に不純物除去設備を設置することを特徴とする、ポリエステル廃棄物より高純度テレフタル酸を回収する方法によって達成することができる。
(1)ポリエステル廃棄物を粉砕機によりフレークス状に粉砕する工程、水により洗浄する工程、比重差を利用してPET以外の異種物質とに分離する比重選別工程を経ることにより回収PETフレークスを得る、前処理工程。
(2)回収PETフレークスを、解重合触媒を含むエチレングリコール(EG)中に投入し、175〜190℃の温度、0.1〜0.5MPaの圧力下において処理することで、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)を生成する、解重合工程。
(3)BHETをエステル交換反応触媒とメタノール(MeOH)中でエステル交換反応させ、粗テレフタル酸ジメチル(DMT)とEGを生成させ、次いでこの反応混合物をMeOH溶媒中で再結晶処理を施すエステル交換・再結晶工程。
(4)再結晶後のスラリーから、主に粗DMTからなるケークと、主にMeOHとEGからなる濾液とに分離する、粗DMT分離工程。
(5)工程(4)により得られたろ液を、蒸留により粗EGと回収MeOHとに分離し、回収MeOHを工程(3)で再使用する、MeOH回収工程。
(6)工程(5)により得られた粗EGを蒸留により回収EGを得て、回収EGを工程(2)で再使用する、EG回収工程。
(7)工程(4)により得られた粗DMTケークをMeOHにより洗浄し、次いでこのスラリーを固液分離することで中純度DMTケークを得る、リパルプ洗浄工程。
(8)リパルプ後の中純度DMTケークを蒸留精製することで高純度DMTを得る、DMT蒸留工程。
(9)高純度DMTを水中に投入し、200〜280℃で加水分解反応させTAを生成する、加水分解工程。
(10)加水分解反応後のTA/水スラリーをTAと水に分離しTAを得る、TA分離工程。
(11)工程(10)で得られた水を、工程(9)で再使用する、水回収工程。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について工程別に詳細に説明する。
工程(1)の前処理工程において、分別収集されたPETボトル梱包ベールを解梱包し、次いで鉄およびアルミを除去する。これらの金属は金属探知機を用いることで容易に除去することができる。次いで上記回収PETボトルを2〜30mm各に粉砕する。上記破砕物を、ポリエステルとは異なる異種プラスチック類(PE、PP、PS、PVCなど)を風力選別機、比重分離機など、比重差を利用した方法により除去し、さらに水により洗浄することで、主にPETからなる回収PETフレークスを得る。
【0020】
次に工程(2)において用いられる解重合触媒は、アルカリ金属の炭酸塩・炭酸水素塩・水酸化物・アルコキシド、アルカリ土類金属の炭酸塩・炭酸水素塩・水酸化物・アルコキシド、酢酸マンガン及び酢酸亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも1種類の金属化合物を含み、その添加量は工程(2)に供給されるPETフレークスの重量を基準として、0.1〜10重量%とすることが好ましい。
【0021】
また、この工程(2)で用いられるEGの量を工程(2)に供給されるPETフレークスの重量の0.5〜20重量倍とすることが好ましい。反応条件としては175〜190℃の温度、0.1〜0.5MPaの圧力下での反応が好ましい。
【0022】
工程(3)において用いられるエステル交換反応触媒は、アルカリ金属の炭酸塩・炭酸水素塩・水酸化物・アルコキシド、アルカリ土類金属の炭酸塩・炭酸水素塩・水酸化物・アルコキシド、酢酸マンガン及び酢酸亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも1種類の金属化合物を含み、その添加量は工程(2)に供給されたPETフレークスの重量を基準として、0.1〜10重量%とすることが好ましい。また、この工程(3)で用いられるMeOHの量を工程(2)に供給されたPETフレークスの重量の0.5〜20重量倍とすることが好ましい。反応条件としては65〜85℃の温度、0.1〜0.3MPaの圧力下での反応が好ましい。
【0023】
工程(9)において、供給する水の量は、工程(9)に供給されるDMTの重量に対して0.5〜5重量倍とすることが好ましい。反応条件としては230〜270℃の温度での反応が好ましい。
【0024】
以下に本発明のテレフタル酸回収方法の一態様を模式的に示したフロー図(図1)を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0025】
工程(1)の前処理工程(図示せず)により処理された回収PETボトルフレークスを供給源(図中11)から、また解重合反応触媒を供給槽(図中10)から、さらにEGを供給ライン(図中10a)から、解重合槽(図中1)に同時に仕込み、この解重合槽(図中1)中でPETフレークスを解重合する。
【0026】
解重合処理された混合物は、固液分離装置(図中2)に送られる。解重合槽(図中1)中で溶解しない成分は、固液分離装置(図中2)中において分離され、固形物として系外に取り除かれる。なお、この固形物は、さらに洗浄槽(図中3)中において、EGによって洗浄され、固形物表面の付着物は、必要により解重合槽(図中1)に循環供給される。また、固形物そのものは、固形物槽(図中16b)へ分離除去され、洗浄液は洗浄液貯槽(図中16a)へ抜き出される。ここで、解重合槽(図中1)での滞留時間は1〜10時間、内温は175〜190℃とすればよい。
【0027】
次いで、解重合反応が終了した解重合反応物を、蒸留・濃縮槽(図中4)に送り、仕込み重量比でEGと解重合反応物との比が0.5〜2.0となるようにEGを蒸留・留去する。留去されたEGは、解重合槽(図中1)に循環供給することができる。
【0028】
次いで、濃縮した解重合反応物液をエステル交換反応槽(図中5)に供給し、これにエステル交換反応触媒をその供給源(図中13)から、またMeOHをその供給源(図中12)から供給することによって、解重合反応物液をDMTとEGとに転換する。このときの、エステル交換反応槽内温は、65〜85℃、0.1〜0.3MPaの内圧で滞留時間を0.5〜5時間処理することが好ましい。生成したDMTとEGとの混合物を、過剰のMeOHとともに冷却し、これを固液分離装置(図中6)に供給し、DMTのケークとEG及びMeOHの混合液とにする。
【0029】
ここで、分離されたDMTのケークは、MeOH洗浄槽(図中30)にて再度MeOHによりスラリー化して撹拌洗浄した後、再度固液分離する(図中31)。さらに、このDMTのケークを、DMT蒸留塔(図中7)に供給し、精製したDMTをDMT回収槽(図中14)に回収する。この蒸留塔(図中7)の塔底の残液は、その一部をライン(図中7a)を通して解重合槽(図中1)に戻し、残りは系外(図中18)に廃棄する。
【0030】
一方、固液分離装置(図中6)において分離されたEGとMeOHの混合液をMeOH精製塔(図中9)およびEG蒸留塔(図中8)に供給して、MeOHおよびEGを留去する。この留去MeOHは、吸着槽(図中32)により含有する微量不純物を除去した後、MeOH洗浄槽(図中30)に供給するMeOHおよび/またはエステル交換反応槽(図中5)に供給するMeOHの一部として使用することができる。さらに、MeOH精製塔(図中9)塔底の残液をEG蒸留塔(図中8)に供給し、EGを留去する。留去したEGの一部は、ライン(図中10a)を介して解重合槽(図中1)に供給するEGとして使用し、残ったEGは回収して系外(図中15)に取り出す。
【0031】
なお、EG蒸留塔(図中8)の残液の一部は、解重合槽(図中1)に戻し、残りは廃棄物として系外(図中17)に抜き出す。
【0032】
引き続いて、DMTを加水分解反応してTAを得る工程を、第1図を以って説明する。
【0033】
精製され、回収DMT槽(図中14)に蓄えられたDMTは、溶融状態のまま、DMTヒーター(図中19)で加水分解反応温度まで加熱する。加熱されたDMTは水ボイラー(図中28)で加熱された高温水と共に加水分解反応槽(図中20)に供給される。該反応槽へ供給される水/DMTの重量比は1:0.5〜1:4の範囲にあることが好ましい。該反応槽での反応温度は230〜250℃であることが好ましく、反応圧力は2.9〜4.0MPa(ゲージ圧)である。加水分解反応は平衡反応であり、反応により副生するMeOHを効率的に除去することで、高反応率を実現できる。そこで、迅速にMeOHを除去し、かつ反応温度を維持するための熱源をして、水ボイラー(図中28)で発生させた高圧スチームを反応器内に導入する。反応槽上部からは加水分解反応で副生するMeOHと、同伴する水を除去する。水ボイラーから導入するスチームと、反応器上部から抜き出す水の重量は同量であることが好ましい。加水分解反応器での滞留時間は1〜5時間であることが好ましい。
【0034】
次に加水分解反応槽(図中20)で得られた高温のTA/水スラリーを冷却するための冷却槽(図中21)へ供給する。冷却槽では急激な圧力変化を伴うため、スラリー中の水が蒸発する。蒸発した水と反応により消費された水の不足分を補うために、水供給槽(図中29)から水を供給する。供給される水は、製品中への不純物の混入を防止するためイオン交換された純水であることが好ましく、さらには加水分解反応槽を始めとする機器の腐蝕を防ぐために、溶存している空気、特に酸素を除去したものを使用することが好ましい。
【0035】
冷却されたTA/水スラリーは固液分離機(図中22)に供給され、TAケークと水とに分離される。固液分離機で得られたTAケークは、スラリー調整槽(図中25)へ供給され、EG供給源(図中36)から供給されるEGで、EG/TAのモル比で1:1〜1:3のスラリーに調整されたのち、調整済みスラリー貯槽に貯えられる。
【0036】
ここで、加水分解反応槽(図中20)から発生する水/MeOH混合蒸気は蒸気コンデンサー(図中26)で凝縮された後、MeOH蒸留塔(図中27)でMeOHと水とに蒸留分離され、塔頂から得られるMeOHは先のMeOH精製塔(図中9)に供給され再度蒸留処理される。また、MeOH蒸留塔(図中27)塔底から得られる水は水供給槽(図中23)に送られる。さらに吸着槽(図中33)で含有する微量不純物を除去した後、水ボイラー(図中28)で加熱され、加水分解反応槽(図中20)へ再度循環供給される。但し、水回収工程における吸着槽(図中33)については、前述のMeOH回収工程における吸着槽(図中32)で完全に対象不純物が除去されている場合には必要としない場合もある。しかし、MeOH回収工程での吸着剤の吸着容量が不足した場合、また運転トラブルなどにより、MeOH回収工程における吸着槽がその役割を十分に果たせなかった場合の対策として必要である。
【0037】
加水分解反応により副生したMeOHは、一部が脱水反応によりジメチルエーテル(以下、DMEと略記することがある。)となる。このDMEは蒸気コンデンサー(図中26)から蒸気のまま排ガス処理施設(図中24)に送られ、燃焼処理される。
【0038】
また、固液分離機(図中22)で分離された水は大部分を水供給槽(図中23)に送られ循環使用し、一部は排水として排水処理施設(図中32)に送られる。
【0039】
上記の手法により回収されたテレフタル酸は、ポリエステル原料として最適であり、特に厳しい品質管理が求められるPETボトル用樹脂の原料として使用することができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれにより何等制限を受けるものではない。なお、実施例中の官能評価は以下の方法に従って実施した。
試験方法:検体(1)を対照水、検体(2)を試験水としてガラス製のコップに注ぎ入れ、パネリスト12名による3点識別法を用いた官能評価により調べた。
【0041】
ここで、「3点識別法」とは、試料Aと試料Bとに差があるか否かを知りたい時に、AとBとをA、A、Bのように3個一組にしてパネリストに提示し、「3個の試料のうち2個は同じもの、1個は異なるものである。異なる1個試料を選択しなさい。」という指示を与えて1個試料を選択させる手法である。この方法では、パネリスト12名のうち8名が正しく1個試料を選んだ場合、5%の危険率で有意差があるといえる。なお、検定方法は「統計的官能検査法」(日科技連)”3点識別法の検定のための表”により検定を行った。
パネリスト:オルファクトメーター(第一薬品産業株式会社)により嗅覚正常者と判断され、なおかつ、2%ショ糖、0.07%クエン酸、0.2%食塩、0.4%グルタミン酸ナトリウムおよび0.07%カフェインの水溶液の味が正しく識別できる者の中から選択した。
【0042】
[実施例1]
分別収集、回収されたPETボトルベール(ベール寸法:900mm×1000mm×500mm、120kg)を解梱包し、金属探知機により鉄、アルミを除去した後に、スクリーン径を10mmに設定した粉砕機に投入して粉砕した。その後、該粉砕物を風力選別機にかけ、PE、PS、PPを主成分とするボトルに付属したラベルを除去した後、洗浄・比重分離によりボトルの内容物を水洗・除去しつつ、PP、PEを主成分とするキャップおよび風力選別で除去できなかったラベルを除去し、回収PETフレークスとした。続いて100重量部の回収PETフレークス、360重量部のEG、さらに重合触媒として2.7重量部の炭酸ナトリウムを解重合反応器に投入し、撹拌下、180℃で4.5時間保持した。
【0043】
解重合反応処理液を、6.65kPaの減圧蒸留によって濃縮し、留分として270部のEGを回収した。
【0044】
この濃縮液、180重量部のMeOH、さらにエステル交換触媒として2.7重量部の炭酸ナトリウムをエステル交換反応器に投入し、常圧下で75℃、撹拌下、1時間保持した。
【0045】
引き続いて、生成したDMT、EG、MeOHの混合物を40℃まで冷却した。次いで該混合物を固液分離機に供給しDMTケークを得た。また、ろ液は後述するMeOH回収工程に供給した。
【0046】
該DMTケークをMeOH洗浄槽に投入し、MeOH180部を投入して40℃で撹拌洗浄し、再度固液分離機に供給してDMTケークを得た。なお、洗浄用に使用するMeOHは後述するMeOH回収工程にて得られた回収MeOHを使用した。DMTケークを溶融後、該DMTをDMT蒸留塔に仕込み、圧力6.65kPaの減圧下で蒸留し、留分としてDMTを留出させ83重量部を回収DMTとして得る事ができた。
【0047】
次に、回収DMTを100重量部/時間、水ボイラーから加熱水を100重量部/時間の速度で、さらに水ボイラーから高圧スチームを270℃の温度で400重量部/時間の速度で、各々連続的に加水分解反応器に供給した。加水分解反応器の液温は250℃とし、撹拌しながら4時間の滞留時間を確保して反応させ、その際生成するMeOHは、該反応器頭部から水蒸気と共に留出させた。留出速度は水とMeOHの混合蒸気として約400重量部/時間であり、このときの圧力は約4MPaである。
【0048】
反応器頭部から留出した蒸気は、凝縮させた後、蒸留により塔頂からMeOHを留去し、塔底から水を回収した。回収した水は後述する水回収工程に供給した。また、水ボイラーに供給する水は後述する水回収工程にて得られた回収水を使用した。
【0049】
得られたTAと水からなるスラリーは冷却後、固液分離機に供給してTAケークを得た。また、ろ液は後述する水回収工程に供給した。
【0050】
次いで、TAケーク45重量部(TA40重量部、水:5重量部)とEG22重量部とからなるスラリーを重縮合槽に供給して、常圧下275℃、4時間でエステル化反応を行い、副生する水及びTAに同伴してきた水を系外に流出し、エステル化反応率97%まで反応させ、重合度5〜10のオリゴマー体を調整し、その後、トリメチルリン酸のEG溶液(リン原子換算濃度で5.5モル%)0.017重量部と二酸化ゲルマニウムのEG溶液(ゲルマニウム原子換算で濃度1.0モル%)0.38重量部とを加えて2000Paの減圧下で1時間保持し、引き続いて133Paの減圧下、277℃で2時間重縮合を行った。
【0051】
生成したポリマーを、重縮合槽の底部に冷却水槽に直結させて設けた抜き出し口からストランド状に抜き出して水冷した後、チップ状にカットしペレットを得た。得られたポリマーペレットを撹拌流動式結晶化機で結晶化させた後、窒素流通下140℃で3時間乾燥させ、続いて充填塔式固相重合塔に移し、窒素流通下215℃で22時間固相重合させてチップ状のポリエチレンテレフタレート樹脂を製造した。
【0052】
次いで、得られたチップを真空乾燥機内に入れ、160℃で5時間乾燥させた後、射出成形機((株)名機製作所製「M−100DM」)を用い、シリンダー温度275℃、スクリュー回転数160rpm、1次圧時間3.0秒、金型温度10℃、サイクル30秒で、外径約28mm、内径約19mm、長さ136mm、重量約56gの円筒状のプリフォームを射出成形した。
【0053】
引き続いて、プリフォームを表面温度約110℃になるように赤外線ヒーターで予熱し、ブロー圧力0.5〜4.0MPa、金型温度150℃に設定したブロー成形機を用いて延伸ブロー成形し、胴部平均肉厚330μm、内容積約1.5リットルのボトルのPETボトルを得た。
(MeOH回収工程)
MeOH回収工程では、主にMeOHとEGからなる、エステル交換反応工程直後の固液分離機からのろ液が供給される。供給液は蒸留により、塔頂からMeOH、塔底からEGを回収した。次いで塔頂から得られたMeOHを活性炭吸着槽に供給した。活性炭吸着後の回収MeOHは、前述のDMTをMeOHで洗浄するMeOH洗浄工程に供給し、洗浄用MeOHとして再使用した。
(水回収工程)
水回収工程では、主に水からなる、加水分解反応工程直後の固液分離機からのろ液と、加水分解反応器頭部からの発生蒸気を凝縮後、該凝縮液を蒸留した際の塔底液が供給される。次いで該供給液を活性炭吸着槽に供給した。活性炭吸着後の回収水は、前述の加水分解工程の水ボイラーに供給し、加水分解反応水として再使用した。
【0054】
市販のPETボトル(対照品)および上記の方法により得られたリサイクルPETボトル(試験品)中にミネラルウォーターを入れ、一定時間保持した。市販PETボトルの内容水を「対照水」、リサイクルPETボトルの内容水を「試験水」として官能評価(3点識別法)したところ、正しく1個試料を選択したパネリストは5名であった。従って、「対照水」と「試験水」との間に有意差はないと判断された。以上の結果より、リサイクルPETボトルと市販PETボトルとの間に有意差は無いと判断された。
【0055】
[実施例2]
実施例1において、水回収工程において回収工程への供給液を、活性炭吸着槽を経由せず、加水分解工程の水ボイラーに供給したこと以外は、実施例1と同様の操作を実施した。それにより得られたリサイクルPETボトル(試験品)と、市販PETボトル(対照品)を用いて官能評価したところ、正しく1個試料を選択したパネリストは7名であった。従って、リサイクルPETボトルと市販PETボトルとの間に有意差は無いと判断された。
【0056】
[比較例1]
実施例1において、MeOH回収工程において、蒸留塔塔頂から得られたMeOHを、活性炭吸着槽を経由せず、MeOH洗浄工程に供給し、さらに、水回収工程において回収工程への供給液を、活性炭吸着槽を経由せず、加水分解工程の水ボイラーに供給したこと以外は、実施例1と同様の操作を実施した。それにより得られたリサイクルPETボトル(試験品)と、市販PETボトル(対照品)を用いて官能評価したところ、正しく1個試料を選択したパネリストは11名であった。従って、リサイクルPETボトルと市販PETボトルとの間に有意差があると判断された。
【0057】
【発明の効果】
以上で説明した通り、本発明のポリエステル廃棄物からのテレフタル酸の工業的回収方法によれば、食品用途の包装材料用原料としても使用できるテレフタル酸を得ることができ、しかも、実用的かつ工業的なプロセスとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、ポリエステル廃棄物から高純度テレフタル酸を回収する工程の一態様を模式的に表したフロー図である。
【符号の説明】
1 解重合槽
2 固液分離装置
3 固形物洗浄槽
4 蒸留・濃縮槽
5 エステル交換反応槽
6 固液分離装置
7 DMT蒸留塔
7a 蒸留塔残液ライン
8 EG蒸留塔
9 MeOH精製塔
10 解重合反応触媒供給槽
10a EG供給ライン
11 回収PETボトルフレークス供給源
12 MeOH供給源
13 エステル交換反応触媒供給源
14 DMT回収槽
15 系外
16a 洗浄液貯槽
16b 固形物槽
17 系外
18 系外
19 DMTヒーター
20 加水分解反応槽
21 スラリー冷却槽
22 固液分離機
23 水供給槽
24 排ガス処理施設
25 スラリー調整槽
26 蒸気コンデンサー
27 MeOH蒸留塔
28 水ボイラー
29 水供給槽
30 MeOH洗浄槽
31 固液分離装置
32 吸着槽
33 吸着槽
34 排水処理施設
35 調整済みスラリー貯槽
36 EG供給源
Claims (4)
- ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分として含有し、さらにそれとは異なる成分を含有するポリエステル廃棄物を、下記の工程(1)〜(11)を逐次的に通過させることによりテレフタル酸を回収する方法であって、工程(5)および/または工程(11)中に不純物除去設備を設置することを特徴とする、ポリエステル廃棄物より高純度テレフタル酸を回収する方法。
(1)ポリエステル廃棄物を粉砕機によりフレークス状に粉砕する工程、水により洗浄する工程、比重差を利用してPET以外の異種物質とに分離する比重選別工程を経ることにより回収PETフレークスを得る、前処理工程。
(2)回収PETフレークスを、解重合触媒を含むエチレングリコール(EG)中に投入し、175〜190℃の温度、0.1〜0.5MPaの圧力下において処理することで、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)を生成する、解重合工程。
(3)BHETをエステル交換反応触媒とメタノール(MeOH)中でエステル交換反応させ、粗テレフタル酸ジメチル(DMT)とEGを生成させ、次いでこの反応混合物をMeOH溶媒中で再結晶処理を施すエステル交換・再結晶工程。
(4)再結晶後のスラリーから、主に粗DMTからなるケークと、主にMeOHとEGからなる濾液とに分離する、粗DMT分離工程。
(5)工程(4)により得られたろ液を、蒸留により粗EGと回収MeOHとに分離し、回収MeOHを工程(3)で再使用する、MeOH回収工程。
(6)工程(5)により得られた粗EGを蒸留により回収EGを得て、回収EGを工程(2)で再使用する、EG回収工程。
(7)工程(4)により得られた粗DMTケークをMeOHにより洗浄し、次いでこのスラリーを固液分離することで中純度DMTケークを得る、リパルプ洗浄工程。
(8)リパルプ後の中純度DMTケークを蒸留精製することで高純度DMTを得る、DMT蒸留工程。
(9)高純度DMTを水中に投入し、200〜280℃で加水分解反応させTAを生成する、加水分解工程。
(10)加水分解反応後のTA/水スラリーをTAと水に分離しTAを得る、TA分離工程。
(11)工程(10)で得られた水を、工程(9)で再使用する、水回収工程。 - 不純物除去設備が吸着設備である、請求項1記載の回収方法。
- 不純物除去設備が膜分離設備である、請求項1記載の回収方法。
- ポリエステル廃棄物が使用済みPETボトルである、請求項1記載の回収方法。
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- 2003-03-18 JP JP2003073667A patent/JP2004277638A/ja active Pending
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